JP6906217B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
一方、α−Ga2O3は、既に汎用に販売されているサファイア基板と同じ結晶構造を有するため、光・電子デバイスへの利用には好適であり、さらに、β−Ga2O3よりも広いバンドギャップをもつため、パワーデバイスに特に有用であり、そのため、α−Ga2O3を半導体として用いた半導体装置が待ち望まれている状況である。
また、特許文献3には、β−Ga2O3を半導体として用い、これに適合したショットキー特性が得られる電極として、Au、Pt、あるいはNiおよびAuの積層体のいずれかを用いた半導体装置が記載されている。
しかしながら、特許文献1〜3の記載の電極を、α−Ga2O3を半導体として用いた半導体装置に適用した場合、ショットキー電極やオーミック電極として機能しなかったり、電極が膜につかなかったり、半導体特性が損なわれたりするなどの問題があった。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
[1] コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む半導体層と、前記半導体層上に設けられ前記半導体層とショットキー接合する金属層を含むショットキー電極とを少なくとも備える半導体装置であって、前記金属層が、周期律表第4族〜第9族から選ばれる少なくとも1種の金属であって、周期律表第4周期の遷移金属を含むことを特徴とする半導体装置。
[2] 前記金属層が、周期律表第4族〜第6族から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことを特徴とする前記[1]記載の半導体装置。
[3] 前記半導体層は、第1の半導体層と、第2の半導体層とを有し、前記金属層は第1の半導体層とショットキー接合し、第1の半導体層及び第2の半導体層が、それぞれコランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含み、第1の半導体層のキャリア密度が、第2の半導体層のキャリア密度よりも小さいことを特徴とする前記[1]記載の半導体装置。
[4] 前記結晶性酸化物半導体がガリウムまたはインジウムを含む前記[1]記載の半導体装置。
[5] 前記結晶性酸化物半導体が、α−Ga 2 O 3 またはその混晶である前記[1]記載の半導体装置。
[6] さらに、オーミック電極を備えており、前記オーミック電極が、周期律表第4族または第11族の金属を含む前記[1]記載の半導体装置。
[7] コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む半導体層と、前記半導体層上にショットキー電極とを少なくとも備える半導体装置であって、前記半導体層は第1の半導体層と第2の半導体層とを有し、前記ショットキー電極は第1の半導体層とショットキー接合し、第1の半導体層のキャリア密度が、第2の半導体層のキャリア密度よりも小さく、前記半導体層の厚さが40μm以下であり、表面積が1mm 2 以下であり、1A以上の電流が流れる、ことを特徴とする半導体装置。
[8] 1MHzで測定したときのキャパシタンスが0Vバイアスで1000pF以下であることを特徴とする前記[7]記載の半導体装置。
[9] 前記半導体層の表面積が1mm 2 以下である前記[7]記載の半導体装置。
[10] パワーデバイスである前記[1]記載の半導体装置。
[11] パワーモジュール、インバータまたはコンバータである前記[1]の半導体装置。
[12] 半導体装置を備える半導体システムであって、前記半導体装置が、前記[1]記載の半導体装置である半導体システム。
霧化・液滴化工程は、前記原料溶液を霧化または液滴化する。前記原料溶液の霧化手段または液滴化手段は、前記原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストであるので衝突エネルギーによる損傷がないため、非常に好適である。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは100nm〜10μmである。
前記原料溶液は、霧化または液滴化が可能な材料を含んでおり、重水素を含有していれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよいが、本発明においては、金属または金属化合物であるのが好ましく、ガリウム、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、ニッケル、コバルト、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、シリコン、イットリウム、ストロンチウムおよびバリウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含むのがより好ましい。
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミストまたは前記液滴を成膜室内に搬送する。前記キャリアガスとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001〜2L/分であるのが好ましく、0.1〜1L/分であるのがより好ましい。
成膜工程では、成膜室内で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、基体上に、結晶性酸化物半導体膜を成膜する。熱反応は、熱でもって前記ミストまたは液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば1000℃)以下が好ましく、650℃以下がより好ましく、300℃〜650℃が最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよいが、非酸素雰囲気下または酸素雰囲気下で行われるのが好ましい。また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
前記基体は、前記結晶性酸化物半導体膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。
本発明においては、スイッチング特性等の半導体特性をさらにより良好なものとするため、前記ショットキー電極が周期律表第4族〜第6族から選ばれる少なくとも1種の金属または周期律表第4族〜第9族から選ばれる少なくとも1種の金属であって、周期律表第4周期の遷移金属を含むのが好ましく、周期律表第4族もしくは第6族の金属または周期律表第4族〜第6族から選ばれる少なくとも1種の金属であって、周期律表第4周期の遷移金属を含むのがより好ましい。
また、本発明においては、ショットキー電極の面積が1mm2以下であるのが好ましく、0.8mm2以下であるのがより好ましい。
図1は、本発明に係るショットキーバリアダイオード(SBD)の好適な一例を示している。図1のSBDは、n−型半導体層101a、n+型半導体層101b、ショットキー電極105aおよびオーミック電極105bを備えている。
ショットキー電極およびオーミック電極の形成は、例えば、真空蒸着法またはスパッタリング法などの公知の手段により行うことができる。より具体的に例えば、ショットキー電極を形成する場合、第1の金属層を積層させ、第1の金属層に対して、フォトリソグラフィの手法を利用したパターニングを施すことにより行うことができる。
以下、ショットキー電極105aとして第1の金属層を用い、オーミック電極105bとして、第2の金属層を用いる場合のそれぞれの態様について説明する。
その他の構成等については、上記図1のSBDの場合と同様である。
図2のSBDは、図1のSBDに比べ、さらに絶縁特性に優れており、より高い電流制御性を有する。
1.n+型半導体層の形成
1−1.成膜装置
図5を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)源2bと、キャリアガス(希釈)源2bから送り出されるキャリアガス(希釈)の流量を調節するための流量調節弁3bと、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8と、熱反応後のミスト、液滴および排気ガスを排出する排気口11とを備えている。なお、ホットプレート8上には、基板10が設置されている。
0.1M臭化ガリウム水溶液に臭化スズを混合し、ガリウムに対するスズの原子比が1:0.08となるように水溶液を調整し、この際、臭化重水素酸を体積比で10%を含有させ、これを原料溶液とした。
上記1−2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、サファイア基板をホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を470℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3a、3bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2a、2bからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5.0L/分に、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/分にそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に導入され、大気圧下、470℃にて、成膜室7内でミストが熱反応して、基板10上に膜が形成された。なお、膜厚は7.5μmであり、成膜時間は180分間であった。
XRD回折装置を用いて、上記1−4.にて得られた膜の相の同定を行ったところ、得られた膜はα−Ga203であった。
2−1.成膜装置
図6を用いて、実施例で用いたミストCVD装置19を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22aと、キャリアガス供給手段22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給手段22bと、キャリアガス(希釈)供給手段22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
0.1M臭化ガリウム水溶液に臭化重水素酸を体積比で20%を含有させ、これを原料溶液とした。
上記1−2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、サファイア基板から剥離したn+型半導体膜をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を510℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/分に、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/分にそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用いた。
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを霧化させてミストを生成した。このミストが、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、510℃にて、成膜室27内でミストが反応して、基板20上に半導体膜が形成された。なお、膜厚は3.6μmであり、成膜時間は120分間であった。
XRD回折装置を用いて、上記2−4.にて得られた膜の相の同定を行ったところ、得られた膜はα−Ga203であった。
図3に示されるように、n−型半導体層上に、Pt層、Ti層およびAu層をそれぞれ電子ビーム蒸着にて積層した。なお、Pt層の厚さは10nmであり、Ti層の厚さは4nmであり、Au層の厚さは175nmであった。
図4に示されるように、n+型半導体層上に、Ti層およびAu層をそれぞれ電子ビーム蒸着にて積層した。なお、Ti層の厚さは35nmであり、Au層の厚さは175nmであった。
以上のようにして得られた半導体装置につき、IV測定を実施例した。結果を図7に示す。また、耐圧を調べたところ、861Vであった。これらの結果から、実施例1の半導体装置が半導体特性およびショットキー特性に優れていることがわかる。
n+型半導体層の形成において、成膜温度を525℃とし、成膜時間を20分間としたこと以外は、実施例1と同様にして半導体装置を得た。なお、n+型半導体層の厚さは、0.5μmであった。得られた半導体装置につき、IV測定を実施した。結果を図8に示す。また、オン抵抗(微分抵抗)を調べたところ、0.11mΩcm2であった。
(1)n−型半導体層の形成の際に、原料溶液の臭化重水素酸を体積比で15%を含有させたこと、および成膜時間を8時間としたこと、(2)n+型半導体層の形成の際に、成膜温度を500℃としたこと、および成膜時間を110分としたこと、ならびに(3)第1の金属層(ショットキー電極)の形成の際に、n−型半導体層上に、Ti層およびAu層をそれぞれ電子ビーム蒸着にて積層したこと以外は、実施例1と同様にして半導体装置を得た。得られた半導体装置につき、IV測定を実施例した。結果を図9に示す。図9からも明らかなとおり、良好な半導体特性およびショットキー特性を示していることがわかる。
参考までに、ショットキー電極にPtを用いた場合のIV測定結果を図10に示す。図10からも明らかなとおり、半導体特性やショットキー特性が大幅に損なわれることがわかる。
1.n−型半導体層の形成
1−1.成膜装置
図5を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)源2bと、キャリアガス(希釈)源2bから送り出されるキャリアガス(希釈)の流量を調節するための流量調節弁3bと、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8と、熱反応後のミスト、液滴および排気ガスを排出する排気口11とを備えている。なお、ホットプレート8上には、基板10が設置されており、本実施例においては、基板10として、Snがドーピングされているα−Ga2O3膜がバッファ層として表面に形成されているサファイア基板を用いた。なお、サファイア基板はYVO4レーザ(波長532nm、平均出力4W)のレーザ加工機を用いて、1mmのピッチ間隔で正方形格子状に溝入れ加工(溝の深さ30μm)されたものを用いた。
0.1M臭化ガリウム水溶液に臭化水素酸を体積比で10%を含有させ、これを原料溶液とした。
上記1−2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、バッファ層付きサファイア基板をホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を470℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3a、3bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2a、2bからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を2.0L/分に、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/分にそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用いた。
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に導入され、大気圧下、470℃にて、成膜室7内でミストが熱反応して、基板10上に膜が形成された。なお、膜厚は約5μmであり、成膜時間は135分間であった。
XRD回折装置を用いて、上記1−4.にて得られた膜の相の同定を行ったところ、得られた膜はα−Ga203であった。
2−1.成膜装置
上記1−1で用いた成膜装置と同じものを用いた。なお、基板10として、上記1−4で得られた積層体を用いて、n−型半導体層上にn+型半導体層を積層した。
0.1M臭化ガリウム水溶液に臭化スズを混合し、ガリウムに対するスズの原子比が1:0.08となるように水溶液を調整し、この際、臭化水素酸を体積比で10%を含有させ、これを原料溶液とした。
上記2−2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、バッファ層付きサファイア基板をホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を450℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3a、3bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2a、2bからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を2.0L/分に、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/分にそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に導入され、大気圧下、450℃にて、成膜室7内でミストが熱反応して、基板10上に膜が形成された。なお、膜厚は約2.9μmであり、成膜時間は120分間であった。
XRD回折装置を用いて、上記2−4.にて得られた膜の相の同定を行ったところ、得られた膜はα−Ga203であった。
上記2−4.で得られた積層体のn+型半導体層上に、スパッタにより、Ti膜(厚さ70nm)及びAu膜(厚さ30nm)をそれぞれ形成し、オーミック電極とした。
上記3.で得られた積層体のオーミック電極上に、仮ウエハーを一時的に接合し、ついで、CMP装置を用いて、基板10を研磨し、上記サファイア基板と上記バッファ層とを除去した。
上記4.で得られた積層体のn−型半導体層上に、EB蒸着により、Cr膜(厚さ50nm)およびAl膜(厚さ5000nm)をそれぞれ形成し、ショットキー電極(直径300μm)とした。その後、TO220にパッケージングし、実装済みのSBDを得た。
(スイッチング特性評価)
上記5.で得られたSBDのスイッチング特性を評価した。結果を図11に示す。また、SiCを半導体として用いた場合と、Siを半導体として用いた場合のスイッチング特性もあわせて図11に示す。図11から明らかなとおり、本発明品は、他のものに比べ、波形が良好であり、スイッチング特性に優れていることがわかる。
上記5.で得られたSBDにつき、熱抵抗測定を実施した。その結果、本発明品のRjCは13.9℃/Wであり、SiCを半導体として用いたもの(RjC=12.5℃/W)と同等以上の性能であった。また、単位面積の熱抵抗を考慮すると、SiCを半導体として用いたものに比べ、チップサイズが6割程度の小さいもので同等の性能を発揮できることがわかった。
上記5.で得られたSBDにつき、CV測定(1MHz)を実施した。その結果、0Vバイアスで130pFであった。なお、単位面積あたりのキャパシタンスは1.84F/m2である。このことから、SiCを半導体として用いたものよりもキャパシタンスが小さいので、本発明品はスイッチング特性が良好であることがわかる。
上記5.で得られたSBDにつき、熱抵抗を算出したところ、15.6(K/W)であった。そして、熱抵抗が15.6(K/W)である場合であって、半導体層にβ−Ga2O3を用いた場合(比較例2)やSiCを用いた場合(比較例3)と、本発明の場合(実施例4)とを比較評価した。結果を表1に示す。表1から明らかなとおり、本発明品は、比較例品に比べ、半導体層の表面積が小さく、かつ厚さ0.01mm以下であっても、良好な熱抵抗特性を示しており、半導体装置の小型化に適していることがわかる。
ショットキー電極を直径300μmのものに代えて直径500μmのものを用いたこと以外、実施例4と同様にして、SBDを得た。得られたSBDのスイッチング特性を評価したところ、実施例4と同様の波形が確認され、良好なスイッチング特性であることがわかった。
(1)n−型半導体層の形成の際に、成膜温度を520℃としたこと、および成膜時間を25分としたこと、(2)n+型半導体層の形成の際に、原料溶液として、ガリウムアセチルアセトナート0.05モル、塩酸1.5体積%、塩化スズ(II)0.2原子%および水の混合した溶液を用いたこと、成膜温度を480℃としたこと、および成膜時間を150分としたこと、成膜装置として、図6に示されるミストCVD装置を用いたこと、ならびに(3)第1の金属層(ショットキー電極)の形成の際に、n−型半導体層上に、第1の金属層として、Ti層を電子ビーム蒸着にて積層したこと以外は、実施例1と同様にして半導体装置を得た。なお、n+型半導体層上にオーミック電極を形成し、また、ショットキー電極のカバー電極として、Ti層上に、Cu層を電子ビーム蒸着にて形成した。得られた半導体装置につき、スキャニングインターナルフォトエミッション(走査内部光電子放出顕微鏡:SIPM)測定を実施した。得られたSIPM像を図15および図16に示す。図15は、フォトイールドマップを示しており、(a)はアニール前のSIPM像を示しており、(b)は200℃アニール後のSIPM像を示しており、(c)は、300℃アニール後のSIPM像を示している。図15から、フォトイールドの面内分布が均一であり、面内分布の熱的安定性が優れていることが分かる。また、図16は、ショットキーバリアハイトマップを示しており、図16から、バリアハイトの面内分布が均一であることが分かる。
第1の金属層(ショットキー電極)の形成の際に、n−型半導体層上に、第1の金属層として、Fe層を電子ビーム蒸着にて積層したこと以外は、実施例6と同様にして半導体装置を得た。なお、n+型半導体層上にオーミック電極を形成し、また、ショットキー電極のカバー電極として、Fe層上に、Ti層およびCu層をそれぞれ電子ビーム蒸着にて形成した。得られた半導体装置につき、実施例6と同様にして、スキャニングインターナルフォトエミッション(走査内部光電子放出顕微鏡:SIPM)測定を実施した。得られたSIPM像を図17および図18に示す。図17は、フォトイールドマップを示しており、(a)はアニール前のSIPM像を示しており、(b)は200℃アニール後のSIPM像を示しており、(c)は、300℃アニール後のSIPM像を示している。図17から、フォトイールドの面内分布が均一であり、面内分布の熱的安定性が優れていることが分かる。また、図18は、ショットキーバリアハイトマップを示しており、図18から、バリアハイトの面内分布が均一であることが分かる。
2a キャリアガス源
2b キャリアガス(希釈)源
3a 流量調節弁
3b 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b ミスト
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
7 成膜室
8 ホットプレート
9 供給管
10 基板
11 排気口
19 ミストCVD装置
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
29 排気口
50a 第1の金属層
50b 第2の金属層
51 Au層
52 Ti層
53 Pt層
54 Ti層
55 Au層
101a n−型半導体層
101b n+型半導体層
104 絶縁体層
105a ショットキー電極
105b オーミック電極
Claims (12)
- コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む半導体層と、前記半導体層上に設けられ前記半導体層とショットキー接合する金属層を含むショットキー電極とを少なくとも備える半導体装置であって、前記金属層が、周期律表第4族〜第9族から選ばれる少なくとも1種の金属であって、周期律表第4周期の遷移金属を含むことを特徴とする半導体装置。
- 前記金属層が、周期律表第4族〜第6族から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
- 前記半導体層は、第1の半導体層と、第2の半導体層とを有し、前記金属層は第1の半導体層とショットキー接合し、第1の半導体層及び第2の半導体層が、それぞれコランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含み、第1の半導体層のキャリア密度が、第2の半導体層のキャリア密度よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
- 前記結晶性酸化物半導体がガリウムまたはインジウムを含む請求項1記載の半導体装置。
- 前記結晶性酸化物半導体が、α−Ga2O3またはその混晶である請求項1記載の半導体装置。
- さらに、オーミック電極を備えており、前記オーミック電極が、周期律表第4族または第11族の金属を含む請求項1記載の半導体装置。
- コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む半導体層と、前記半導体層上にショットキー電極とを少なくとも備える半導体装置であって、
前記半導体層は第1の半導体層と第2の半導体層とを有し、前記ショットキー電極は第1の半導体層とショットキー接合し、第1の半導体層のキャリア密度が、第2の半導体層のキャリア密度よりも小さく、
前記半導体層の厚さが40μm以下であり、
ショットキー電極の面積が1mm 2 以下であり、
1A以上の電流が流れる、
ことを特徴とする半導体装置。 - 1MHzで測定したときのキャパシタンスが0Vバイアスで1000pF以下であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
- 前記半導体層の表面積が1mm2以下である請求項7記載の半導体装置。
- パワーデバイスである請求項1記載の半導体装置。
- パワーモジュール、インバータまたはコンバータである請求項1記載の半導体装置。
- 半導体装置を備える半導体システムであって、前記半導体装置が、請求項1記載の半導体装置である半導体システム。
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