JP2017162816A - 透明導電膜および積層構造体の製造方法 - Google Patents

透明導電膜および積層構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体膜との密着性に優れ、さらに、透過性に優れ、また、耐酸性や耐久性にも優れた低抵抗の透明導電膜を提供する。
【解決手段】金属酸化物を主成分として含む透明導電膜を、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させて形成する。また、前記透明導電膜上に、半導体膜を、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させて形成することにより、積層構造体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な透明導電膜および積層構造体に関する。
携帯端末(PDA)等の電子表示機器分野において、その表示装置やセンサーの電極には、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)等に、所望により、他の不純物を添加した酸化物、窒化物、酸窒化物などにより、形成される透明導電膜や、銅やその合金等により形成される金属膜が用いられている。特に透明導電膜は、電子表示機器の表示装置に設置されるタッチパネルの構成要素であることから、その需要が高まっている。
そして、電子表示機器分野においては、特に透明導電膜の電気的特性の工場が求められている。つまり、その表示装置に使用される液晶パネルの高精細化に伴い、画素ピッチの縮小に対応して透明導電膜の低抵抗化が必要となってきている。
このような透明導電膜を得るべく、各種検討がなされている。例えば、特許文献1には、MOCVD法を用いて、透明導電膜を得る方法が記載されている。また、特許文献2には、プレナーマグネトロン型のスパッタ装置を用いて、低抵抗の透明導電膜を得る方法が記載されている。
しかしながら、いずれの方法も簡便でなく、真空装置が必要であったりして必ずしも満足のいくものではなかった。また、透明導電膜は、その上に、半導体膜が積層されて用いられることが多いが、透明導電膜と半導体膜との密着性が良好でなく、そのため、半導体膜との密着性に優れ、さらに、透過性に優れ、また、耐酸性や耐久性にも優れた低抵抗の透明導電膜の簡便な製造方法が待ち望まれていた。
特開2006−332440号公報 特開2011−18623号公報
本発明は、半導体膜との密着性に優れ、さらに、透過性に優れ、また、耐酸性や耐久性にも優れた低抵抗の透明導電膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ミストCVD法を用いて、透明導電膜を成膜すると、驚くべきことに、半導体膜との密着性に優れ、さらに、透過性に優れ、また、耐酸性や耐久性にも優れた低抵抗の透明導電膜が得られることを知見し、上記した従来の問題を一挙に解決できることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] フッ素ドープ酸化錫(FTO)を主成分として含む透明導電膜の製造方法であって、錫およびドーパントとしてフッ素を含む原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させて結晶膜を成膜することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
] 前記熱反応を、250℃〜800℃に加熱して行う前記[1]に記載の透明導電膜の製造方法
] 前記熱反応を、大気圧下で行う前記[1]または2]に記載の透明導電膜の製造方法
] 前記[1]〜[]のいずれかに記載の製造方法により透明導電膜を得て、得られた透明導電膜上に、半導体膜が積層る積層構造体の製造方法であって、前記半導体膜が、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させてることにより行うことを特徴とする積層構造体の製造方法
] 前記半導体膜が、結晶性金属酸化物を主成分として含む前記[]記載の積層構造体の製造方法
] 前記結晶性金属酸化物が、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を含有する前記[]記載の積層構造体の製造方法
] 前記結晶性金属酸化物が、α−Ga、β−Gaまたはこれらを含む結晶である前記[]または[]に記載の積層構造体の製造方法
[11] 前記熱反応を、250℃〜800℃に加熱して行う前記[]〜[]のいずれかに記載の積層構造体の製造方法
本発明によれば、半導体膜との密着性に優れ、さらに、透過性に優れ、また、耐酸性や耐久性にも優れた低抵抗の透明導電膜を提供できる。
実施例で用いたミストCVD装置の構成図である。
本発明の透明導電膜は、金属酸化物を主成分として含む透明導電膜であって、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させてなる結晶膜であることを特徴とする。なお、前記「主成分」とは、前記透明導電膜中の組成比で、前記結晶物を50%以上含むものをいい、好ましくは70%以上含むものであり、より好ましくは90%以上含むものである。
前記金属酸化物は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記金属酸化物としては、例えば、インジウム、ガリウム、錫、亜鉛、アルミニウム、カドミウム等の金属またはこれら2種以上の金属の金属酸化物などが挙げられ、このような金属酸化物は、ドーパントを含んでいてもよい。前記ドーパントとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、錫、ガリウム、アンチモン、フッ素、アルミニウム、インジウム、硼素、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブなどが挙げられる。前記金属酸化物としては、より好適には、例えば、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、ガリウムドープ酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化亜鉛(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、硼素ドープ酸化亜鉛および酸化カドミウムからなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。本発明においては、前記金属酸化物が、錫を含むのが好ましく、錫ドープ酸化インジウム(ITO)であるのがより好ましい。
前記結晶膜は、結晶を含んでいる膜であれば特に限定されず、単結晶であってもよいし、多結晶であってもよい。本発明においては、前記結晶膜が、単結晶または多結晶を主成分とするのが好ましい。なお、前記「主成分」とは、前記結晶膜中の組成比で、前記結晶物を50%以上含むものをいい、好ましくは70%以上含むものであり、より好ましくは90%以上含むものである。
本発明の透明導電膜は、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させることにより得られる。
(原料溶液)
原料溶液は、金属酸化物の原料であって、霧化または液滴化が可能な材料を含んでいれば特に限定されないが、前記原料溶液として、前記金属を錯体または塩の形態で有機溶媒または水に溶解または分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩、フッ化金属塩などが挙げられる。
また、前記原料溶液には、ハロゲン化水素酸や酸化剤等の添加剤を混合してもよい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、フッ酸などが挙げられるが、中でも、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H)、過酸化ナトリウム(Na)、過酸化バリウム(BaO)、過酸化ベンゾイル(CCO)等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。
前記原料溶液には、前記ドーパントが含まれていてもよい。前記ドーパント量は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、好ましくは、原料溶液に対して、0.001〜40モル%であり、より好ましくは、0.01〜30モル%であり、最も好ましくは0.1〜10モル%である。
(基体)
前記基体は、前記結晶膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されないが、好ましくは、10〜2000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。
前記基板は、板状であって、前記結晶膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよいが、前記基板が、絶縁体基板であるのが好ましく、また、表面に金属膜を有する基板であるのも好ましい。前記基板としては、例えば、コランダム構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、またはβ−ガリア構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、六方晶構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、前記特定の結晶構造を有する基板材料が、原子比で、基板材料の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。
基板材料は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。前記のコランダム構造を有する基板材料としては、例えば、前記のコランダム構造を有する材料として例示したものと同じものなどが挙げられるが、本発明においては、α−Alまたはα−Gaが好ましい。そして、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、サファイア基板(好ましくはc面サファイア基板)や、α型酸化ガリウム基板などが好適な例として挙げられる。β−ガリア構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えばβ−Ga基板、又はGaとAlとを含みAlが0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板などが挙げられる。また、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えば、SiC基板、ZnO基板、GaN基板などが挙げられる。なお、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板上には、直接または別の層(例:緩衝層)を介して、各層を積層してもよい。
本発明においては、前記基体が、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板であるのが好ましく、サファイア基板またはα型酸化ガリウム基板であるのがより好ましく、c面サファイア基板であるのが最も好ましい。
本発明では、ミストCVD法を用いて、基体上に成膜する。前記ミストCVD法では、前記原料溶液を霧化または液滴化し(霧化・液滴化工程)、生成されるミストまたは液滴をキャリアガスによって前記基体に供給し(ミスト・液滴供給工程)、供給されたミストまたは液滴を反応させて、前記基体上に成膜する(成膜工程)。
前記霧化・液滴化工程は、原料溶液を調整し、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストを発生させる。前記金属の配合割合は、特に限定されないが、原料溶液全体に対して、0.01〜70重量%であるのが好ましく、0.1〜50重量%であるのがより好ましい。霧化または液滴化手段は、前記原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の霧化手段または液滴化手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段であるのが好ましい。
前記キャリアガス供給工程では、キャリアガスを前記ミストまたは前記液滴に供給する。キャリアガスの種類としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、キャリアガス濃度を変化させた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。
ミスト供給工程では、前記キャリアガスによって前記ミストまたは前記液滴を基体へ供給する。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、例えば30mm角基板上に成膜する場合には、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。
成膜工程では、前記ミストまたは前記液滴を反応させて、前記基体表面の一部または全部に成膜する。前記反応は、前記ミストまたは前記液滴から膜が形成される反応であれば特に限定されないが、本発明においては、加熱による熱反応が好ましい。前記熱反応は、加熱でもって前記ミストまたは前記液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、850℃以下の温度で行うのが好ましく、250℃〜800℃に加熱して行うのがより好ましく、350℃〜700℃で行うのが最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。
また、本発明においては、前記透明導電膜上に、半導体膜を積層するのが好ましい。前記透明導電膜上に、半導体膜が積層されている積層構造体は、好ましくは、前記半導体膜が、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させてなる膜である。
前記半導体膜は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、半導体であれば、どのような金属化合物であってもよい。前記金属化合物としては、例えば、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化物、金属複合窒化物、金属複合炭化物、金属複合酸化物、金属炭窒化物、金属酸窒化物、金属炭窒酸化物及び金属炭酸化物などが挙げられる。前記金属としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、好適には、ガリウム、インジウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、亜鉛、ゲルマニウム等が挙げられる。本発明においては、前記半導体膜が、結晶性金属酸化物を主成分として含むのが好ましい。前記結晶性金属酸化物は、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を含有するのが好ましく、α−Ga、β−Gaまたはこれらを含む結晶であるのがより好ましい。
前記半導体膜の成膜は、前記透明導電膜と同様に、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により加熱させて行うのが好ましい。成膜条件等も、前記透明導電膜の成膜の場合と同様であるが、本発明においては、前記熱反応を、250℃〜800℃に加熱して行うのが好ましい。
上記のようにして、ミストCVD法を用いて得られた積層構造体は、優れた透過度を有しており、半導体膜と透明導電膜との密着性に優れたものになる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ミストCVD装置
まず、図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)源2bと、キャリアガス(希釈)源2bから送り出されるキャリアガス(希釈)の流量を調節するための流量調節弁3bと、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8を備えている。ホットプレート8上には、基板10が設置されている。
2.原料溶液の作製
錫(Sn)を1モル%添加した臭化インジウム(InBr)0.025mol/Lの水溶液を調整し、これを原料溶液とした。
3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、1辺が10mmの正方形の結晶成長用基板をホットプレート8上に設置させ、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3(3a、3b)を開いてキャリアガス源2(2a、2b)からキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
4.単層膜形成
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを微粒子化させて原料微粒子4bを生成した。この原料微粒子4bが、キャリアガスによって成膜室7内に導入され、大気圧下、500℃にて、成膜室7内で反応して、基板10上に薄膜を形成した。なお、成膜時間は20分であった。
5.評価
上記4.にて得られたITO膜につき、比抵抗を測定したところ、1.84×10−4Ωcmであった。また、スパッタリングにより成膜した膜と透過度を比較評価したところ、本発明のITO膜の方が、300nm〜550nmの波長において、10%以上も透過度に優れていた。
6.積層構造体
上記1.〜4と同様にして得られたITO膜に、さらに、酸化ガリウム膜を成膜した。成膜条件は、上記2.の原料溶液を、臭化ガリウム0.1mol/Lの水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを原料溶液としたこと以外は、上記1.〜4.と同様にして成膜した。得られた積層構造体につき、薄膜用XRD回折装置を用いて、膜を同定した。その結果、ITO膜は、コランダム構造およびビックバイト構造を有することがわかった。また、酸化ガリウム膜は、β−Gaであった。
また、前記のスパッタリングにより成膜した膜を用いて、ITO膜上に、さらに、酸化ガリウム膜を成膜し、積層構造体を得た。成膜条件は、上記と同様である。その結果、スパッタリングによるITO膜では、剥離が見られ、十分な密着性が得られなかった。一方、本発明の積層構造体では、剥離等は一切みられず、良好な密着性を有していた。
本発明の透明導電膜は、あらゆる分野に用いることができるが、特に、表示素子等に有用である。
1 ミストCVD装置
2a キャリアガス源
2b キャリアガス(希釈)源
3a 流量調節弁
3b 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b 原料微粒子
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
7 成膜室
8 ホットプレート
9 供給管
10 基板

Claims (8)

  1. フッ素ドープ酸化錫(FTO)を主成分として含む透明導電膜の製造方法であって、錫およびドーパントとしてフッ素を含む原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させて結晶膜を成膜することを特徴とする透明導電膜の製造方法
  2. 前記熱反応を、250℃〜800℃に加熱して行う請求項1に記載の透明導電膜の製造方法
  3. 前記熱反応を、大気圧下で行う請求項1または2に記載の透明導電膜の製造方法
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により透明導電膜を得て、得られた透明導電膜上に、半導体膜積層る積層構造体の製造方法であって、前記半導体膜の積層を、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を加熱により熱反応させてることにより行うことを特徴とする積層構造体の製造方法
  5. 前記半導体膜が、結晶性金属酸化物を主成分として含む請求項記載の積層構造体の製造方法
  6. 前記結晶性金属酸化物が、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を含有する請求項記載の積層構造体の製造方法
  7. 前記結晶性金属酸化物が、α−Ga、β−Gaまたはこれらを含む結晶である請求項またはに記載の積層構造体の製造方法
  8. 前記熱反応を、250℃〜800℃に加熱して行う請求項のいずれかに記載の積層構造体の製造方法

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