JP2018018928A - 絶縁膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス - Google Patents
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Abstract
Description
以下に本発明を詳細に説明する。
式(1)中、kは0〜5の整数を表す。
式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体に対する前述の酸クロリドの仕込み量は、得られる重合体の有機溶剤に対する溶解性、及び保存安定性を高めるため、該重合体が含有するフェニル基1モルに対し0.005〜1モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.7モルである。反応でフェニル基に導入される光反応性基の量は、光架橋のし易さ、光架橋後の層の耐溶剤性、有機溶剤に対する溶解性、及び保存安定性の観点から、0.01〜0.6モルであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜0.5モルである。
本発明の絶縁膜は、上式(1)及び上式(2)の反復単位を有する重合体を溶剤に溶解させた溶液を用いて形成するものである。
<スピンコート>
ミカサ株式会社製MS―A100を用いた。
<膜厚測定>
ブルカー社製DektakXTスタイラスプロファイラーを用いて測定した。
<UV照射>
入江(株)製 理化学用水銀灯起動装置H−400−A/B、及び高圧水銀灯H−400P(東芝ライテック社製)を用いた。
<真空蒸着>
アルバック機工社製 小型真空蒸着装置VTR−350M/ERHを用いた。
<高分子誘電体層の濡れ性>
高分子誘電体(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体)層上に表面張力が異なる5種の溶剤、トルエン、テトラリン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンをそれぞれ1μl滴下し、S電極及びD電極を覆う適量の有機半導体溶液を塗布したとき、液滴を塗布した瞬間の形状を維持するか、又は濡れ広がれば、電極上をくまなく覆うことが出来るため、この場合を良好(1点)、一方、該液滴が収縮する場合、及び/又は移動する場合には電極上を覆うことが出来なくなるため、液が収縮及び/又は移動した場合を不良(0点)として評価した。全ての溶剤で良好な結果が得られた場合5点となる。
<絶縁破壊強度>
洗浄、乾燥した30×30mm2のガラス(コーニング社製Eagle XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmのゲート電極を形成した。その後、ゲート電極を形成した基材上に誘電体(絶縁体)を製膜し、誘電体層上に金電極を真空蒸着してMIMコンデンサを作製して上記の銀−金電極間に電圧をかけて、絶縁破壊により電流が誘電体層内部を流れ始める電圧を測定し、誘電体層の厚みで割った値を絶縁破壊強度とした。
<FET素子の評価>
有機電界効果トランジスタの一形態であるボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型素子を作製し、ケースレイ社製半導体パラメータアナライザーSCS4200を用い、ソース・ドレイン間電圧―60ボルトの条件でゲート電圧を変化させて、移動度、低漏洩電流密度、オン電流/オフ電流比、ソース・ドレイン間電流のヒステリシス、閾値電圧を評価した。
[合成例1] 重合体1(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体1)の合成
200mlのシュレンク管に重量平均分子量28万のポリスチレン(試薬、アルドリッチ)2.8gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)38gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.47gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)4.45gを超脱水塩化メチレン10gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で35時間反応させた。反応液を撹拌下で氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、ピンク色の固体と水を分離した。固体を50mlの水で2回、50mlのメタノールで3回洗浄した。この固体をトルエン100mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下700mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターを用いて分離した。重合体の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して2.7gの重合体1を得た。
[合成例2] 重合体2(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体2)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量2500のポリスチレン(試薬、アルドリッチ)0.9gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)10gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.17gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.16gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で141時間反応させた。撹拌下で反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより塩化メチレンを除き、濾過により薄茶色の固体と水を分離した。得られた固体を水で2回洗浄した後、メタノールで3回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下で500mlのメタノールを注いで重合体を沈殿させ、濾別して得た重合体を室温で減圧乾燥して1gの重合体2を得た。
[合成例3] 重合体3(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体3)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量3万のポリビニルナフタレン(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)15gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.2gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.2gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で43時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡茶色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下500mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.9gの重合体3を得た。
[合成例4] 重合体4(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体4)の合成:ポリ(スチレン−メチルメタクリレート)共重合体(スチレン・アルキルメタアクリレート共重合体)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量12万のポリ(スチレン−メチルメタクリレート)共重合体(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)25gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.16gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.15gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で35時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下600mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.85gの重合体4を得た。
[合成例5] 重合体5(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体5)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量30万のポリ(α−メチルスチレン)(ポリスチレン類)(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)25gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.2gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.2gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で36時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下600mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.91gの重合体5を得た。
[合成例6] 重合体6(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体6)の合成
100mlのシュレンク管にポリ(スチレン・α−メチルスチレン)共重合体(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)20gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.2gを加え、フラスコを氷冷して上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.2gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で35時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータによりた反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下600mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.93gの重合体6を得た。
[合成例7] 重合体7(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体7)の合成
(ビニルフェニルケトンの合成)
窒素気流下で500mlの3つ口フラスコに3−クロロプロピオフェノン(試薬、アルドリッチ)16.8g、クロロホルム(試薬、東京化成)200mlを仕込み、24.7gのトリエチルアミン(試薬、東京化成)を30分間かけて滴下した後、室温で18時間反応させた。反応液を分液ロートに入れ、0.1Nの塩酸水溶液200mlで2回、純水200mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlで2回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥後、ヒドロキノンを少量加えてエバポレータで濃縮した。得られた濃縮液を減圧蒸留して4mmHgの圧力下、113〜115℃の成分を分留し、ビニルフェニルケトン13gを得た。なお、上記の合成操作は全てイエローライト下で行った。
1H−NMR(CDCl3,21℃):δ=7.94(D,2H),7.56(T,1H),7.47(T,2H),7.16(DD,1H),6.44(D,1H),5.94(D,1H)。
撹拌機を備えた50mlフラスコに窒素下で10gのビニルフェニルケトンを仕込み、60℃に加熱した。ビニルフェニルケトンが溶融した状態で真空ポンプを用いて窒素置換操作を3回繰り返した。窒素気流下で反応器にラウロイルパーオキサイド32mgをトルエン1mlに溶解させた溶液を一括で添加し、60℃で4時間反応させた。内容物を50℃に冷却した後、撹拌下でトルエン20mlを加えた。その後、反応器を室温まで冷却して、250mlのメタノールを入れた500mlのビーカーに注いでポリマーを沈殿、濾過した。得られたポリマーをトルエン20mlに再度溶解させてメタノールで再沈させる操作を3回繰り返し、30℃で減圧乾燥して2.5gのポリビニルフェニルケトンを得た。GPC測定による重量平均分子量は5.3万であった。なお、上記の操作は全てイエローライト下で行った。
300mlのシュレンク管にポリビニルフェニルケトン(ポリビニルアリルケトン類)5gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)100gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)1.1gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)1.0gを超脱水塩化メチレン20gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で50時間反応させた。反応液を氷500gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、500mlの水で2回、500mlのメタノールで6回洗浄した。この固体をトルエン300mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下1500mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に6回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.93gの重合体7を得た。
洗浄、乾燥した30×30mm2のガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmのゲート電極を形成した。ゲート電極が形成された基材の上に、合成例1で得た重合体1のトルエン溶液(3wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、40℃で1分ベークした後(絶縁膜の形成)、788mJ/cm2の紫外線を照射して架橋した膜厚535nmの高分子誘電体層を形成した。ゲート電極及び高分子誘電体層が形成された基材上に金を真空蒸着して厚み30nm、チャンネル長50μm、電極幅500μmのソース電極、及びドレイン電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmolのイソプロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、イソプロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。その後、有機半導体(ジ−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.5wt%トルエン溶液をドロップキャストした。溶剤を揮発させ乾燥した後、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型の有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に示す。
合成例2〜7により製造した重合体(重合体2〜重合体7)を用いて実施例1と同様の手法を用いて絶縁膜の形成後、有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に合わせて示す。
高分子誘電体層としてパリレン−C(日本パリレン合同会社製)(比較例1)、サイクロテン(ダウ・エレクトリック・マテリアルズ製)(比較例2)、サイトップ(AGC旭硝子(株)製)(比較例3)を用いて有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。ここで、パリレン−C(比較例1)以外は実施例1と同様の手法を用いて絶縁膜の形成後、有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。パリレン−C(比較例1)についてはSCSラボコータ2(日本パリレン合同会社製(型式PDS2010))を用いて真空蒸着法により製膜した以外は、実施例1と同様の手法を用いて有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に合わせて示す。
洗浄、乾燥した30×30mm2のガラス(基材)(コーニング社製Eagle−XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmのゲート電極を形成した。ゲート電極が形成された基材の上に、重量平均分子量2.5万のポリビニルフェノール(丸善石油(株)製マルリンカーM)の濃度20重量%の2−アセトキシー1−メトキシプロパン(PGMEA)(アルドリッチ製)溶液0.1ml、架橋剤としてポリ(メラミン-co−ホルムムアルデヒド)メチル化物(試薬:アルドリッチ)の84重量%ブタノール溶液(アルドリッチ製)を濃度10重量%となるようPGMEAで希釈した溶液0.2mlを混合し、300回転で5秒、700回転で30秒の条件でスピンコートした後、90℃、10分、150℃で1時間架橋させて厚み550nmの架橋膜を得た。ゲート電極及び架橋膜が形成された基材に金を真空蒸着して厚み30nm、チャンネル長50μm、電極幅500μmのソース電極、及びドレイン電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmolのイソプロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、イソプロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。その後、有機半導体(ジ−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.5wt%トルエン溶液をドロップキャストした。溶剤を揮発させ乾燥した後、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型の有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に合わせて示す。
Claims (3)
- 式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体を用いてなる絶縁膜。
- 式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体を用いてなり、かつ、該重合体が架橋構造を含有することを特徴とする絶縁膜。
- 請求項1又は請求項2に記載の絶縁膜を高分子誘電体層として含むことを特徴とする有機電界効果トランジスタデバイス。
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