JP2018018928A - 絶縁膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】高いキャリア移動度、高溶解性、及び高耐酸化性を併せ持つ塗布型の有機半導体材料である新規なヘテロアセン誘導体、これを用いた有機半導体層及び有機薄膜トランジスタを提供する。【解決手段】式(1)などの反復単位を有する重合体を用いてなる絶縁膜。{(式(1)中、ArはC6〜C19のアリル基またはアリルケトン基を、Yは水素、ハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。また、kは0〜5の整数を表し、Mは式(A)などで表される有機基である。)(式(A)中、R1は水素、またはC1〜C6のアルキル基を表す。)}【選択図】なし

Description

本発明は光架橋性、優れた電気絶縁性、低漏洩電流、高絶縁破壊強度を有し、また、架橋後には各種の有機溶剤を用いた有機半導体溶液に対する耐溶剤性を示すとともに、優れた平坦性、濡れ性をも有する重合体を用いてなる絶縁膜に関するものである。
有機電界効果トランジスタデバイスに用いられる高分子誘電体層(絶縁膜層)を形成するための重合体には高絶縁破壊強度、低漏洩電流、汎用有機溶剤への溶解性、耐溶剤性を発現させるための架橋性が求められ、更に架橋後の高分子誘電体層には有機溶剤に対する濡れ性と高い平坦性が要求される。
絶縁破壊強度はデバイスを構成する誘電体層を破壊させずに印加できる最大の電界値を指す。絶縁破壊強度が高いほどデバイスとしての安定性が高まる。漏洩電流密度は本来の導電経路以外の経路、例えばゲート電極から絶縁性の有る誘電体層内を通ってソース電極に流れる電流等の大きさを表す指標である。漏洩電流は金属/誘電体/金属の3層構造からなるMIMコンデンサを作製し、誘電体層内を流れる電流値を測定することで求められる。
汎用溶剤への溶解性は印刷法により有機電界効果トランジスタデバイスを製造するのに必須の要件であるが、一方、有機電界効果トランジスタデバイスにおいては高分子誘電体層は有機半導体層等のオーバーレイ層と積層される。このため、高分子誘電体層上に溶剤を用いた印刷法によりオーバーレイ層を形成する際には、高分子誘電体は本溶剤(印刷法に用いる溶剤)に対して溶解しないことが必要である。従って、高分子誘電体層(絶縁膜層)に対しては、層を形成する際には汎用の有機溶剤に溶解し、かつ、層を形成した後には有機溶剤に対し不溶でなければならないという相反する性能が要求される。
このような要求に対応する技術として溶液製膜した高分子誘電体層を架橋する技術が知られている。例えば、ベンゾシクロブテン樹脂(商標サイクロテン)、ポリビニルフェノール樹脂(商標マルリンカー)が知られているが、ベンゾシクロブテン樹脂は架橋温度が250℃と高くプラスチックを基材として用いた場合、基材が熱変形を起こすため、その使用が難しく、また硬化時間が長く経済性にも劣っていた。更に、ロールTOロールプロセスへの適用が極めて難しい上に、デバイス性能を左右する膜の平坦性も十分とは言えなかった。ポリビニルフェノールは架橋剤としてメラミン樹脂等を用い150℃前後の温度において長時間の硬化反応が必要でありロールTOロールプロセスへの適用が極めて難しい。また、ポリビニルフェノール樹脂の水酸基は完全に消失せず、添加物、残存する水酸基による親水性などが原因と推定される漏洩電流の高さが問題となっている。更に、膜の平坦性も十分とは言えなかった。
また、架橋を必要としないタイプの重合体の内、高分子誘電体層(絶縁膜層)に用いられる重合体としてフッ素系環状エーテル樹脂(商標サイトップ)、ポリパラキシリレン樹脂(商標パリレン)等の利用が提案されている。フッ素系環状エーテル樹脂は製膜後、汎用の有機溶剤には溶解しないため架橋しない状態でも汎用溶剤に対し不溶であるという長所があるが、経済性に劣るものである。更に、本材料は表面張力が低いため基材に対する濡れ性が悪く、塗工または印刷できる基材にも大きな制約があった。また、濡れ性が悪いためピンホールを形成しやすく漏洩電流が高いという問題もあった。ポリパラキシリレン樹脂は真空蒸着法によりモノマーを基板上に蒸着させ、基板上で重合して製膜されるため汎用溶剤には溶解しない長所があるものの、印刷プロセス、及び、ロールTOロールプロセスに対応出来ないという致命的な欠陥を有している。上記のように従来知られている高分子誘電体層(絶縁膜層)に用いられる重合体は汎用溶剤への溶解性、架橋温度、架橋に要する時間、耐溶剤性、漏洩電流、溶剤に対する濡れ性、膜とした場合の平坦性等に関し何らかの課題を有しており、これらの課題を全て解決できる重合体及び該重合体を含む高分子誘電体層(絶縁膜層)が求められていた。
低温で架橋可能であり、かつ架橋時間を短縮する手段として光架橋技術が知られている。例えば、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ビニルフェノール−メタクリル酸メチル共重合体、ポリメタクリル酸アセトキシエチル、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基を側鎖に有するポリマーに対し、シンナモイル基等の光架橋性を有する化合物を反応させた光架橋性ポリマーを高分子誘電体として用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1では、前述のポリビニルフェノールと同様に上記の水酸基含有ポリマー中に存在している水酸基を全て光架橋性化合物と反応させることは難しく、水酸基の残存は避けられない。また、特許文献1では、未反応の水酸基を無水トリフルオロ酢酸と反応させてエステル化することで残存水酸基量を低減する技術についても開示している。しかし、水酸基を完全に消失させることは極めて難しい上、フッ素化合物の導入により有機溶剤に対する濡れ性が低下するという弊害がある。
また、ポリ(桂皮酸ビニル)を有機電界効果トランジスタデバイスの高分子誘電体として利用する技術が提案されているが(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)、溶液塗布された高分子誘電体層(絶縁膜層)の平坦性は0.7nm程度であり更なる平坦化が求められていた。
これら以外にも光架橋技術、及び光架橋性樹脂を用いた技術が知られており(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照。)、例えばレジスト材料としてポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物重合体と塩化シンナモイルを反応させた感光性のポリベンザルアセトフェノン樹脂に関する技術が1950年代に開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。しかし、特許文献2及び特許文献3で開示されているレジスト材料を、プリンテッドエレクトロニクス技術を利用した絶縁膜へ適用する技術について、これまで何らの開示もされていなかった。
特許第5148624号 米国特許2566302号 米国特許2708665号
アプライド・フィジクス・レターズ誌、92巻、143306頁(2008年) アプライド・フィジクス・レターズ誌、95巻、073302頁(2009年) ジャーナル・オブ・エンバイロンメンタル・ナノテクノロジー誌、3巻、3号、1頁(2014年) ポリマー・ブレティン誌、11巻、191頁(1984年)
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用溶剤への溶解性、架橋温度、架橋に要する時間、耐溶剤性、絶縁破壊強度、漏洩電流、溶剤に対する濡れ性、膜とした場合の平坦性の点で優れた性能を有する高分子誘電体層(絶縁膜層)を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の重合体を用いてなる絶縁膜により、汎用溶剤への溶解性、架橋温度、架橋に要する時間、耐溶剤性、絶縁破壊強度、漏洩電流、溶剤に対する濡れ性、膜とした場合の平坦性の点で、優れた性能を有する高分子誘電体層(絶縁膜層)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体を用いてなる絶縁膜である。
Figure 2018018928
{(式(1)中、ArはC6〜C19のアリル基を、Yは水素、ハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。また、kは0〜5の整数を表し、Mは式(A)または式(B)で表される有機基である。)
Figure 2018018928
Figure 2018018928
(式(A)または式(B)中、Rは水素、またはC1〜C6のアルキル基を表す。)}
Figure 2018018928
{(式(2)中、ArはC6〜C19のアリル基を、Yは式(1)で定義した有機基、mは1〜5の整数、nは(p−k)を表す。ここで、pは芳香族基Ar上の置換可能な部位の総数を表す。また、Zは式(C)〜(E)から選ばれる少なくとも1つの有機基を表し、Mは式(1)と同様である。)
Figure 2018018928
Figure 2018018928
Figure 2018018928
(式(C)〜(E)中、R及びRはそれぞれ独立して水素またはC1〜C6のアルキル基を示し、R〜R17はそれぞれ独立してハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。)}
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の絶縁膜は、上式(1)及び上式(2)の反復単位を有する重合体を用いてなる絶縁膜である。
式(1)中、ArはC6〜C19のアリル基を示す。
式(1)中のArにおけるC6〜C19のアリル基としては特に制限がなく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
式(1)中、Yは水素、ハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。
式(1)中のYにおけるハロゲンとしては特に制限がなく、例えば、塩素、フッ素等が挙げられる。
式(1)中のYにおけるカルボキシアルキル基としては特に制限がなく、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等が挙げられる。
式(1)中のYにおけるアルキルエーテル基としては特に制限がなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
式(1)中のYにおけるC1〜C18のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
式(1)中のYにおけるフルオロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル基等が挙げられる。
式(1)中のYにおけるシクロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる
式(1)中、kは0〜5の整数を表す。
式(1)中、Mは上式(A)または上式(B)で表される有機基である。
式(A)または式(B)中、Rは水素またはC1〜C6のアルキル基を表す。
式(1)中のRにおけるC1〜C6のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
式(2)中、ArはC6〜C19のアリル基を示す。
式(2)中のArにおけるC6〜C19のアリル基としては特に制限がなく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
式(2)中、Yは式(1)で定義した有機基と同様の有機基を表す。
式(2)中、mは1〜5の整数を表し、nは(p−k)を表す。ここで、pは芳香族基Ar上の置換可能な部位の総数を表す。
式(2)中、Zは式(C)〜(E)から選ばれる少なくとも1つの有機基を表し、Mは式(1)と同様である。
式(C)〜式(E)中、R及びRはそれぞれ独立して水素またはC1〜C6のアルキル基を示し、R〜R17はそれぞれ独立してハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。
式(C)〜式(E)中のR、RにおけるC1〜C6のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
式(C)〜式(E)中のR〜R17におけるハロゲンとしては特に制限がなく、例えば、塩素、フッ素等が挙げられる。
式(C)〜式(E)中のR〜R17におけるカルボキシアルキル基としては特に制限がなく、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等が挙げられる。
式(C)〜式(E)中のR〜R17におけるアルキルエーテル基としては特に制限がなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
式(C)〜式(E)中のR〜R17におけるC1〜C18のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、n−オクタデシル基等が挙げられる。
式(C)〜式(E)中のR〜R17におけるフルオロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル基等が挙げられる。
式(C)〜式(E)中のR〜R17におけるシクロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
具体的な式(C)で表される有機基としては、例えば、以下のものを挙げることが出来る。
Figure 2018018928
具体的な式(D)で表される有機基としては、例えば、以下のものを挙げることが出来る。
Figure 2018018928
具体的な式(E)で表される有機基としては、例えば、以下のものを挙げることが出来る。
Figure 2018018928
本発明で用いられる具体的な式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体は芳香族基を含有し、かつ、酸クロライドと反応する水酸基、アミノ基、チオール基等を含有していなければ何ら制限なく用いることが出来る。
本発明において、上式(1)及び上式(2)の反復単位を有する重合体の分子量に対しては何らの制限もなく、例えば、500〜10,000,000(g/モル)のものを用いることが出来る。得られる重合体の溶液粘度の観点から、好ましくは10,000〜100,000(g/モル)である。
本発明で用いる上式(1)及び上式(2)の反復単位を有する重合体は公知の方法で製造することが出来、光二量化性化合物をフリーデルクラフツ・アシル化反応により芳香族基含有重合体に導入することで得られる。ここで、本発明において、該光二量化性化合物が導入されることで膜とした場合の平坦性が優れるものであり、芳香族基含有重合体のみでは平坦性に劣るものとなってしまう。
本発明において、光二量化性化合物は、下記式(3)で表される桂皮酸の酸クロリド化合物、下記式(4)で表されるベンゾイルビニル安息香酸の酸クロリド化合物、下記式(5)で表されるフェニルエテニル安息香酸の酸クロリド化合物を示す。この中で、製造が容易である桂皮酸の酸クロリドを用いるのが好ましい。また、これらの化合物は必要に応じて2種以上を併用することも出来る。
Figure 2018018928
Figure 2018018928
Figure 2018018928
(式(3)〜(5)中、R〜R17は式(C)〜(E)で定義したものと同様である。)
式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体に対する前述の酸クロリドの仕込み量は、得られる重合体の有機溶剤に対する溶解性、及び保存安定性を高めるため、該重合体が含有するフェニル基1モルに対し0.005〜1モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.7モルである。反応でフェニル基に導入される光反応性基の量は、光架橋のし易さ、光架橋後の層の耐溶剤性、有機溶剤に対する溶解性、及び保存安定性の観点から、0.01〜0.6モルであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜0.5モルである。
フリーデルクラフツ・アシル化反応により導入される芳香族基含有重合体としては、例えば、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−p−メトキシスチレン、シンジオポリスチレン等のポリスチレン;ポリビニルナフタレン、ポリビニルビフェニル、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェニルケトン等のポリビニルアリルケトン;スチレンブタジエンランダム共重合体;エチレン・スチレンランダム共重合体;スチレン・アクリロニトリル共重合体;スチレン・アルキルメタアクリレート共重合体;スチレン・α−フェニルアルキルアクリレート共重合体;スチレン・無水マレイン酸共重合体;スチレン・アクリル酸共重合体;スチレン・4−ビニルピリジン共重合体;スチレン・トランス−1,3−ペンタジエン共重合体;スチレン・2,4,6−トリメチルスチレン共重合体;スチレン・p−アセトキシスチレン共重合体;スチレン・ビニル−トリス(トリメトキシシロキシ)シラン共重合体;スチレン・ビニルベンゾエート共重合体;スチレン・ビニルブチルエーテル共重合体;石油樹脂等が例示されるが、誘電率を低くして漏洩電流を低減させるため、芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素のみから構成されている重合体を用いるのが好ましい。また、これらの重合体は2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
該フリーデルクラフツ・アシル化反応は、反応触媒を用いて実施することができる。
本発明で用いることが出来る反応触媒は公知のものを使用することが出来、無水の塩化鉄(III)や無水塩化アルミニウム等が例示される。該触媒の添加量は、該反応後の脱灰操作が煩雑になるのを回避し、かつ、反応率の低下を防ぐのに好適であるため上述の酸クロリドに対し0.9〜1.5倍モルであることが好ましい。
該フリーデルクラフツ・アシル化反応は発熱反応であり、かつ、本反応系において光反応性基が加熱により架橋する副反応を生じさせる。本発明では、該副反応を抑制させるため、反応温度制御が容易な溶液反応により実施するのが好ましい。本発明において該溶液反応で用いられる反応溶剤にはフリーデルクラフツ反応に対して安定であれば何ら制限なく使用でき、反応に対し不活性であるため、塩素系炭化水素溶剤が好適に用いられる。塩素系炭化水素溶剤としては、塩化メチレン、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタン、クロロホルム等が例示される。
該フリーデルクラフツ・アシル化反応において、反応温度に特に制限はないが、冷却及び加熱に係る経済性の観点から0℃から40℃が好ましい。
該フリーデルクラフツ・アシル化反応において、反応時間は特に制限はなく、例えば、5時間から100時間が挙げられる。反応率及び経済性の観点から、好ましくは10時間から50時間である。
また、式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体は溶解性が損なわれない限り、重合体分子が光架橋基の二量化に基づくシクロベンゾブテン構造を含有していても良い。
該光架橋基の二量化に基づくシクロベンゾブテン構造としては、下記式(6)〜(8)で表される構造が挙げられる。
Figure 2018018928
(式(6)中、R〜Rは式(3)と同様である)
Figure 2018018928
(式(7)中、R、R、R〜R14は式(4)と同様である)
Figure 2018018928
(式(8)中、R、R、R〜R17は式(5)と同様である)
本発明の絶縁膜は、上式(1)及び上式(2)の反復単位を有する重合体を溶剤に溶解させた溶液を用いて形成するものである。
該溶剤としては、該重合体を溶解する溶剤であれば何ら制限なく用いることができ、例えば、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、N−ヘキシルベンゼン、テトラリン、デカリン、イソプロピルベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエチレン等の塩素化脂肪族炭化水素化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の脂肪族環状エーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;エチルアセテート、ジメチルフタレート、サリチル酸メチル、アミルアセテート等のエステル化合物;N−ブタノール、エタノール、ISO−ブタノール等のアルコール類;1−ニトロプロパン、2硫化炭素等が例示され、これらの溶剤は必要に応じて混合して使用することが出来る。
本発明に係る絶縁膜は、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスト、ディップコーティング、ドクターブレードコーティング、パッド印刷、スキージコート、ロールコーティング、ロッドバーコーティング、エアナイフコーティング、ワイヤーバーコーティング、フローコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等を用いて形成することが出来る。なお、本発明の絶縁膜はこれらの方法を用いて形成されるものであるため、本発明の絶縁膜は汎用溶剤に対する溶解性に優れることが必要となる。
本発明に係る絶縁膜は、高分子誘電体層として用いる場合に、電界効果を大きくし、駆動電圧を下げるために薄い方が良い。本発明において、漏洩電流の増大を回避し、かつ駆動電圧が高くなるのを防ぐため、10〜2000nmが好ましく、更に好ましくは50〜1000nmである。
また、本発明に係る絶縁膜を高分子誘電体層として用いる場合、高分子誘電体層の形成においては、光架橋性のない芳香族基含有重合体を混合して使用でき、該重合体としては、例えば、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−p−メトキシスチレン、シンジオポリスチレン等のポリスチレン類;ポリビニルナフタレン類、ポリビニルビフェニル類、ポリビニルアントラセン類、ポリビニルカルバゾール類、スチレンブタジエンランダム共重合体;エチレン・スチレンランダム共重合体;ポリスチレンセグメントとポリブタジエンセグメントからなる共重合体のうち、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体、スターポリマー、又はデンドリマー;スチレン−イソプレンランダム共重合体;ポリスチレンセグメントとポリイソプレンセグメントからなる共重合体のうち、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体、スターポリマー、又はデンドリマー;ポリスチレンセグメントとポリ(エチレン・ブチレン)セグメントからなる共重合体のうち、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体、スターポリマー、又はデンドリマー;ポリスチレンセグメントとポリ(エチレン・プロピレン)セグメントからなる共重合体のうち、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体、スターポリマー、又はデンドリマー;スチレン・アクリロニトリル共重合体;スチレン・アルキルアクリレート共重合体;スチレン・アルキルメタアクリレート共重合体;スチレン・α−フルオロアルキルアクリレート共重合体;スチレン・α-フェニルアルキルアクリレート共重合体;スチレン・トリフルオロメチルアクリレート共重合体;スチレン・無水マレイン酸共重合体;スチレン・アクリル酸共重合体;スチレン・酢酸ビニル共重合体;スチレン・4−ビニルピリジン共重合体;スチレン・トランス−1,3−ペンタジエン共重合体;スチレン・2,4,6−トリメチルスチレン共重合体;スチレン・p−アセトキシスチレン共重合体;ポリ(スチレン・α−メチルスチレン)共重合体;スチレン・ビニル−トリス(トリメトキシシロキシ)シラン共重合体;スチレン・ビニルベンゾエート共重合体;スチレン・ビニルブチルエーテル共重合体、ポリビニルフェニルケトン等のポリビニルアリルケトン類等が例示される。
本発明に係る絶縁膜を高分子誘電体層として用いる場合、該膜を形成した状態、または必要に応じて光架橋して用いることができる。なお、本発明において該膜を形成した後、光架橋せずに高分子誘電体層としても用いる場合には、該膜を形成するのに用いる汎用溶剤には良好な溶解性を示し、更に、該膜の上部に該汎用溶剤とは異なる溶剤を用いて有機半導体層を形成することが出来ることが必要となる。この際、該膜が有機半導体溶液に対して耐溶剤性を持つとき、該膜を形成した状態のままで高分子誘電体層として用いることが出来る。なお、耐溶剤性に優れるものではない場合、印刷法による製膜ができず、印刷法に比べ経済性に劣る蒸着法等の方法により製膜する必要がある。
本発明に係る絶縁膜を高分子誘電体層として用いる場合、光架橋には放射線が用いられ、例えば、波長245〜350nmの紫外線が例示される。照射量は高分子誘電体の組成により適宜変更されるが、例えば、150〜3000mJ/cmが挙げられ、架橋度の低下を防止し、かつ、プロセスの短時間化による経済性の向上のため、好ましくは150〜1000mJ/cmである。紫外線の照射は通常大気中で行うが、必要に応じて不活性ガス中、または一定量の不活性ガス気流下で行うことも出来る。必要に応じて光増感剤を添加して光架橋反応を促進させることも出来る。用いる光増感剤には何ら制限はなく、例えば、ベンゾフェノン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ニトロフェニル化合物等が例示されるが、本発明で用いられる重合体との相溶性が高いベンゾフェノン化合物が好ましい。また、該増感剤は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の絶縁膜は紫外線により架橋を行うため、架橋時の加熱は必須ではない。このため、架橋を行う際の温度は特に制限されず、0〜40℃(室温)の温度範囲で架橋を行うことができるものである。
また、本発明の絶縁膜は、短時間で効率良く架橋することができるものであり、架橋に要する時間を10分以内とすることができる。なお、架橋時間の制御に好適であることから、架橋に要する時間を1〜10分とすることが好ましい。
本発明に係る絶縁膜を高分子誘電体層として用いる場合、有機電界トランジスタ(FET)における高分子誘電体層として用いられることができる。該有機電界トランジスタは、例えば、基板上に、ソース電極及びドレイン電極を付設した有機半導体層とゲート電極とをゲート絶縁層(高分子誘電体層)を介して積層することにより得ることができる。
本発明の絶縁膜は、漏電の原因となる微細な穴(ピンホール)の形成が抑制されるため、低漏洩電流である。また、本発明の絶縁膜は、高分子誘電体層として用いられる場合、有機電界効果トランジスタ(FET)素子としての実用性の観点から、漏洩電流が0.01nA以下であることが好ましい。
本発明の絶縁膜は溶剤に対する濡れ性に優れるものであり、高分子誘電体層として用いられる場合、ボトムゲート・トップコンタクト(BGBC)型及びトップゲート・ボトムコンタクト(TGTC)型の有機電界効果トランジスタデバイスにおいて該層上のS(ソース)電極及びD(ドレイン)電極を覆う適量の有機半導体溶液を塗布したとき、電極上をくまなく覆うことができるものである。
本発明の絶縁膜は優れた平坦性を有するものであり、高分子誘電体層として用いられる場合、より優れた平坦性の観点から、表面粗さ(Ra)が0.3nm以下であることが好ましい。
本発明の絶縁膜は、高分子誘電体層として用いられる場合、有機電界効果トランジスタ(FET)素子としての実用性の観点から、該FET素子の閾値電圧が0を超えて2.0V以下、または−2.0V以上で0Vより小さいことが好ましい。
本発明の絶縁膜は、高分子誘電体層として用いられる場合、有機電界効果トランジスタ(FET)素子としての実用性の観点から、該FET素子の移動度が0.20cm/Vs以上であることが好ましい。
本発明の絶縁膜は、高分子誘電体層として用いられる場合、有機電界効果トランジスタ(FET)素子としての実用性の観点から、該FET素子のオン電流/オフ電流比が10以上であることが好ましい。
本発明の絶縁膜は、高分子誘電体層として用いられる場合、有機電界効果トランジスタ(FET)素子としての実用性の観点から、該FET素子のソース・ドレイン間電流のヒステリシスが無いことが好ましい。
本発明の絶縁膜は、高分子誘電体層として用いられる場合、有機電界効果トランジスタ(FET)素子としての実用性の観点から、該FET素子の絶縁破壊強度が3MV/m以上であることが好ましい。
本発明において、該有機電界トランジスタ(FET)はボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型、ボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)型、トップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型、トップゲート・トップコンタクト(TGTC)型の何れでも良い。ここで、これらの各種構造の有機電界トランジスタの内、例えば、ボトムゲート−ボトムコンタクト(BGBC)型素子の構造は、図1で示される。
本発明で用いることが出来る基材は素子を作製できる十分な平坦性を確保できれば特に制限されず、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;プラスチック;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属;セラミックス;コート紙;表面コート不織布等が挙げられ、これらの材料からなる複合材料又はこれらの材料を多層化した材料であっても良い。また、表面張力を調整するため、これらの材料表面をコーティングすることも出来る。
基材として用いるプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン−1、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレンブロック共重合体等が例示される。また、上記のプラスチックを2種以上用いて積層して基材として用いることができる。
本発明で用いることが出来る導電性のゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極としては、金、銀、アルミニウム、銅、チタン、白金、クロム、ポリシリコン、シリサイド、インジウム・錫・オキサイド(ITO)、酸化錫等の導電性材料が例示される。また、これらの導電材料を複数、積層して用いることもできる。
電極の形成(回路パターンの形成)の際に、前記の高分子誘電体層をUV架橋後、遮光マスクを用い、高分子誘電体層表面に真空紫外(VUV)光を照射することで、親水化した回路パターンを形成することができる。VUV光の照射時間は用いる高分子誘電体の構造、及び光源と高分子誘電体層表面間の距離により異なるが、十分な親水化及びプロセスの短時間化による経済性の向上の観点から、1分〜10分が好ましく、更に好ましくは1分〜5分である。
また、BGTC型素子では前記の基材上または有機半導体層の上に電極を形成する。この場合、電極の形成方法としては特に制限はなく、蒸着、高周波スパッタリング、電子ビームスパッタリング等が挙げられ、前記導電性材料のナノ粒子を水又は有機溶剤に溶解させたインクを用いて、溶液スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、ドクターブレード、ダイコート、パッド印刷、ロールコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等の方法を採用することも出来る。また、必要に応じて電極上にフルオロアルキルチオール、フルオロアリルチオール等を吸着させる処理を行っても良い。
本発明で用いることが出来る有機半導体には何ら制限はなく、N型及びP型の有機半導体の何れも使用することができ、N型とP型を組み合わせたバイポーラトランジスタとしても使用できる。
有機半導体としては、TIPS−ペンタセン(F−1)、C8−BTBT(F−2)、TES−ADT(F−3)、Dif−TES−ADT(F−4)、ポリヘキシルチオフェン(F−5)等が例示される。
Figure 2018018928
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本発明において、低分子量及び高分子の有機半導体の何れも用いることができ、これらを混合して使用することも出来る。
本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、有機半導体を真空蒸着する方法、または有機半導体を有機溶剤に溶解させて塗布、印刷する方法等が例示されるが、有機半導体層の薄膜を形成出来る方法であれば何らの制限もない。有機半導体層を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて塗布、または印刷する場合の溶液濃度は有機半導体の構造及び用いる溶剤により異なるが、より均一な半導体層の形成及び層の厚みの低減の観点から、0.5%〜5重量%であることが好ましい。この際の有機溶剤としては有機半導体が製膜可能な一定の濃度で溶解する限り何ら制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、デカリン、インダン、1−メチルナフタレン、2−エチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、ジメチルナフタレン異性体混合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、テトラリン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、γ−ブチロラクトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、エチルアセテート、フェニルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−N−プロピルエーテル、テトラデカヒドロフェナントレン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロフェナントレン、デカヒドロ−2−ナフトール、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール、α−テルピネオール、イソホロントリアセチンデカヒドロ−2−ナフトール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2,6−ジメチルアニソール、1,2−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、1−ベンゾチオフェン、3−メチルベンゾチオフェン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が例示されるが、好ましい性状の結晶膜を得るためには有機半導体の溶解力が高く、沸点が100℃以上の溶剤が適しており、キシレン、イソプロピルベンゼン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、1,2−ジクロロベンゼン、3,4−ジメチルアニソール、ペンチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、デカヒドロ−2−ナフトールが好ましい。また、前述の溶剤2種以上を適切な割合で混合した混合溶剤も用いることが出来る。
有機半導体層には必要に応じて各種有機・無機の高分子若しくはオリゴマー、又は有機・無機ナノ粒子を添加でき、上記高分子誘電体層上に高分子溶液を塗布して保護膜を形成出来る。更に、必要に応じて本保護膜上に各種防湿コーティング、耐光性コーティング等を行うことが出来る。
本発明により汎用溶剤への溶解性、架橋温度、架橋に要する時間、耐溶剤性、漏洩電流密度、溶剤に対する濡れ性、膜とした場合の平坦性の点で、優れた性能を有する高分子誘電体層を提供できる。
;ボトムゲート−ボトムコンタクト(BGBC)型素子の断面形状による構造を示す図である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において用いた有機半導体(ジ−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)は、特開2015−224238号公報の製造方法により得た。
実施例において、スピンコート、膜厚測定、UV照射、真空蒸着については、以下に示す装置で実施した。
<スピンコート>
ミカサ株式会社製MS―A100を用いた。
<膜厚測定>
ブルカー社製DektakXTスタイラスプロファイラーを用いて測定した。
<UV照射>
入江(株)製 理化学用水銀灯起動装置H−400−A/B、及び高圧水銀灯H−400P(東芝ライテック社製)を用いた。
<真空蒸着>
アルバック機工社製 小型真空蒸着装置VTR−350M/ERHを用いた。
実施例において、高分子誘電体層の濡れ性、絶縁破壊強度、FET(電界効果トランジスタ)素子の評価については、以下に示す条件で実施した。
<高分子誘電体層の濡れ性>
高分子誘電体(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体)層上に表面張力が異なる5種の溶剤、トルエン、テトラリン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンをそれぞれ1μl滴下し、S電極及びD電極を覆う適量の有機半導体溶液を塗布したとき、液滴を塗布した瞬間の形状を維持するか、又は濡れ広がれば、電極上をくまなく覆うことが出来るため、この場合を良好(1点)、一方、該液滴が収縮する場合、及び/又は移動する場合には電極上を覆うことが出来なくなるため、液が収縮及び/又は移動した場合を不良(0点)として評価した。全ての溶剤で良好な結果が得られた場合5点となる。
<絶縁破壊強度>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmのゲート電極を形成した。その後、ゲート電極を形成した基材上に誘電体(絶縁体)を製膜し、誘電体層上に金電極を真空蒸着してMIMコンデンサを作製して上記の銀−金電極間に電圧をかけて、絶縁破壊により電流が誘電体層内部を流れ始める電圧を測定し、誘電体層の厚みで割った値を絶縁破壊強度とした。
<FET素子の評価>
有機電界効果トランジスタの一形態であるボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型素子を作製し、ケースレイ社製半導体パラメータアナライザーSCS4200を用い、ソース・ドレイン間電圧―60ボルトの条件でゲート電圧を変化させて、移動度、低漏洩電流密度、オン電流/オフ電流比、ソース・ドレイン間電流のヒステリシス、閾値電圧を評価した。
以下に合成例1〜合成例7を示すが、反応、精製、乾燥は全てイエローライト下、又は遮光下で行った。なお、合成例において、イエローライト下又は遮光下で行ったのは、光二量化性化合物の架橋反応、及び光二量化性化合物が導入された重合体の光架橋反応を防ぐためである。
[合成例1] 重合体1(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体1)の合成
200mlのシュレンク管に重量平均分子量28万のポリスチレン(試薬、アルドリッチ)2.8gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)38gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.47gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)4.45gを超脱水塩化メチレン10gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で35時間反応させた。反応液を撹拌下で氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、ピンク色の固体と水を分離した。固体を50mlの水で2回、50mlのメタノールで3回洗浄した。この固体をトルエン100mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下700mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターを用いて分離した。重合体の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して2.7gの重合体1を得た。
[合成例2] 重合体2(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体2)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量2500のポリスチレン(試薬、アルドリッチ)0.9gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)10gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.17gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.16gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で141時間反応させた。撹拌下で反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより塩化メチレンを除き、濾過により薄茶色の固体と水を分離した。得られた固体を水で2回洗浄した後、メタノールで3回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下で500mlのメタノールを注いで重合体を沈殿させ、濾別して得た重合体を室温で減圧乾燥して1gの重合体2を得た。
[合成例3] 重合体3(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体3)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量3万のポリビニルナフタレン(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)15gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.2gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.2gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で43時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡茶色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下500mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.9gの重合体3を得た。
[合成例4] 重合体4(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体4)の合成:ポリ(スチレン−メチルメタクリレート)共重合体(スチレン・アルキルメタアクリレート共重合体)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量12万のポリ(スチレン−メチルメタクリレート)共重合体(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)25gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.16gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.15gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で35時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下600mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.85gの重合体4を得た。
[合成例5] 重合体5(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体5)の合成
100mlのシュレンク管に重量平均分子量30万のポリ(α−メチルスチレン)(ポリスチレン類)(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)25gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.2gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.2gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で36時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下600mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.91gの重合体5を得た。
[合成例6] 重合体6(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体6)の合成
100mlのシュレンク管にポリ(スチレン・α−メチルスチレン)共重合体(試薬、アルドリッチ)1gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)20gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)0.2gを加え、フラスコを氷冷して上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)0.2gを超脱水塩化メチレン5gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で35時間反応させた。反応液を氷100gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータによりた反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、50mlの水で2回、50mlのメタノールで4回洗浄した。この固体をトルエン50mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下600mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に3回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.93gの重合体6を得た。
[合成例7] 重合体7(式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体7)の合成
(ビニルフェニルケトンの合成)
窒素気流下で500mlの3つ口フラスコに3−クロロプロピオフェノン(試薬、アルドリッチ)16.8g、クロロホルム(試薬、東京化成)200mlを仕込み、24.7gのトリエチルアミン(試薬、東京化成)を30分間かけて滴下した後、室温で18時間反応させた。反応液を分液ロートに入れ、0.1Nの塩酸水溶液200mlで2回、純水200mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlで2回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥後、ヒドロキノンを少量加えてエバポレータで濃縮した。得られた濃縮液を減圧蒸留して4mmHgの圧力下、113〜115℃の成分を分留し、ビニルフェニルケトン13gを得た。なお、上記の合成操作は全てイエローライト下で行った。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=7.94(D,2H),7.56(T,H),7.47(T,2H),7.16(DD,1H),6.44(D,H),5.94(D,H)。
(ポリビニルフェニルケトンの合成)
撹拌機を備えた50mlフラスコに窒素下で10gのビニルフェニルケトンを仕込み、60℃に加熱した。ビニルフェニルケトンが溶融した状態で真空ポンプを用いて窒素置換操作を3回繰り返した。窒素気流下で反応器にラウロイルパーオキサイド32mgをトルエン1mlに溶解させた溶液を一括で添加し、60℃で4時間反応させた。内容物を50℃に冷却した後、撹拌下でトルエン20mlを加えた。その後、反応器を室温まで冷却して、250mlのメタノールを入れた500mlのビーカーに注いでポリマーを沈殿、濾過した。得られたポリマーをトルエン20mlに再度溶解させてメタノールで再沈させる操作を3回繰り返し、30℃で減圧乾燥して2.5gのポリビニルフェニルケトンを得た。GPC測定による重量平均分子量は5.3万であった。なお、上記の操作は全てイエローライト下で行った。
(重合体7の合成)
300mlのシュレンク管にポリビニルフェニルケトン(ポリビニルアリルケトン類)5gを仕込み、超脱水塩化メチレン(試薬、東京化成)100gを加えて溶解させた。この溶液に無水塩化アルミニウム(試薬、和光純薬)1.1gを加え、フラスコを氷冷した上で30分撹拌した。この溶液に桂皮酸の酸クロリド化合物であるシンナモイルクロリド(試薬、東京化成)1.0gを超脱水塩化メチレン20gに溶解させた溶液を徐々に加え、氷冷下で10分間反応させた後、室温で50時間反応させた。反応液を氷500gを入れたビーカー中に徐々に注ぎ、反応をクエンチした。全ての氷が融解後、エバポレータにより反応液から塩化メチレンを除き、淡黄色固体と水を分離した。固体を濾過して分離後、500mlの水で2回、500mlのメタノールで6回洗浄した。この固体をトルエン300mlに溶解させ、テフロンフィルターを用いて濾過した上で、撹拌下1500mlのメタノールに注いで重合体を再沈殿させ、テフロンフィルターにより分離した。同様の再沈操作を更に6回繰り返した後、室温で減圧乾燥して0.93gの重合体7を得た。
[実施例1] 絶縁膜及び有機電界効果トランジスタ
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmのゲート電極を形成した。ゲート電極が形成された基材の上に、合成例1で得た重合体1のトルエン溶液(3wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、40℃で1分ベークした後(絶縁膜の形成)、788mJ/cmの紫外線を照射して架橋した膜厚535nmの高分子誘電体層を形成した。ゲート電極及び高分子誘電体層が形成された基材上に金を真空蒸着して厚み30nm、チャンネル長50μm、電極幅500μmのソース電極、及びドレイン電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmolのイソプロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、イソプロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。その後、有機半導体(ジ−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.5wt%トルエン溶液をドロップキャストした。溶剤を揮発させ乾燥した後、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型の有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に示す。
Figure 2018018928
ドレイン・ソース間電圧VDSを−60ボルトとして、ゲート・ソース間電圧を変化させて本素子を評価した結果、移動度は0.3cm/V・S、漏洩電流密度は0.01nA/cm、ソース・ドレイン間の電流にはヒステリシスが見られず、オン電流/オフ電流比は10以上、絶縁破壊強度は3MV/cm以上であり、漏洩電流密度、ヒステリシス、オン電流/オフ電流比、絶縁破壊強度の何れにも優れていた。
[実施例2〜7]
合成例2〜7により製造した重合体(重合体2〜重合体7)を用いて実施例1と同様の手法を用いて絶縁膜の形成後、有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に合わせて示す。
実施例1と同様に有機電界効果トランジスタデバイスとして優れた性能を有することが確認された。
[比較例1〜3]
高分子誘電体層としてパリレン−C(日本パリレン合同会社製)(比較例1)、サイクロテン(ダウ・エレクトリック・マテリアルズ製)(比較例2)、サイトップ(AGC旭硝子(株)製)(比較例3)を用いて有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。ここで、パリレン−C(比較例1)以外は実施例1と同様の手法を用いて絶縁膜の形成後、有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。パリレン−C(比較例1)についてはSCSラボコータ2(日本パリレン合同会社製(型式PDS2010))を用いて真空蒸着法により製膜した以外は、実施例1と同様の手法を用いて有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に合わせて示す。
パリレン−C(比較例1)は有機溶剤に溶解しないため、蒸着で重合製膜する必要があり、製膜性に劣るものであった。また、サイトップ(比較例3)は汎用溶剤に対する耐溶剤性を有するものの、経済性に著しく劣る溶剤のみにしか溶解性を示さなかった。なお、フッ素系溶剤は表面張力が低く、サイトップを用いるとき、有機半導体層との積層性にも問題を有するものであった。
有機電界効果トランジスタデバイス層(高分子誘電体層性能)としては、パリレン−C(比較例1)は架橋温度、架橋時間、及び表面粗さ(平坦性)の点で劣り、サイクロテン(比較例2)は架橋温度、架橋時間、閾値電圧、オン電流/オフ電流比、及びヒステリシスの点で劣り、サイトップ(比較例3)は溶剤の濡れ性、閾値電圧、及び移動度の点で劣っていることが確認された。
[比較例4]
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(基材)(コーニング社製Eagle−XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmのゲート電極を形成した。ゲート電極が形成された基材の上に、重量平均分子量2.5万のポリビニルフェノール(丸善石油(株)製マルリンカーM)の濃度20重量%の2−アセトキシー1−メトキシプロパン(PGMEA)(アルドリッチ製)溶液0.1ml、架橋剤としてポリ(メラミン-co−ホルムムアルデヒド)メチル化物(試薬:アルドリッチ)の84重量%ブタノール溶液(アルドリッチ製)を濃度10重量%となるようPGMEAで希釈した溶液0.2mlを混合し、300回転で5秒、700回転で30秒の条件でスピンコートした後、90℃、10分、150℃で1時間架橋させて厚み550nmの架橋膜を得た。ゲート電極及び架橋膜が形成された基材に金を真空蒸着して厚み30nm、チャンネル長50μm、電極幅500μmのソース電極、及びドレイン電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmolのイソプロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、イソプロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。その後、有機半導体(ジ−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.5wt%トルエン溶液をドロップキャストした。溶剤を揮発させ乾燥した後、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型の有機電界効果トランジスタデバイスを作製した。作製した有機電界効果トランジスタデバイスの構成、評価結果等を表1に合わせて示す。
有機電界効果トランジスタデバイス層(高分子誘電体層性能)としては、ポリビニルフェノールは架橋温度、架橋時間、閾値電圧、オン電流/オフ電流比、ヒステリシスの点で劣っていることが確認された。
プリンテッドエレクトロニクス技術により製造出来る高品質の有機電界効果トランジスタデバイスに好適な絶縁膜を提供できる。

Claims (3)

  1. 式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体を用いてなる絶縁膜。
    Figure 2018018928
    {(式(1)中、ArはC6〜C19のアリル基またはアリルケトン基を、Yは水素、ハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。また、kは0〜5の整数を表し、Mは式(A)または式(B)で表される有機基である。)
    Figure 2018018928
    Figure 2018018928
    (式(A)または式(B)中、Rは水素、またはC1〜C6のアルキル基を表す。)}
    Figure 2018018928
    {(式(2)中、ArはC6〜C19のアリル基を、Yは式(1)で定義した有機基、mは1〜5の整数、nは(p−k)を表す。ここで、pは芳香族基Ar上の置換可能な部位の総数を表す。また、Zは式(C)〜(E)から選ばれる少なくとも1つの有機基を表し、Mは式(1)と同様である。)
    Figure 2018018928
    Figure 2018018928
    Figure 2018018928
    (式(C)〜(E)中、R及びRはそれぞれ独立して水素またはC1〜C6のアルキル基を示し、R〜R17はそれぞれ独立してハロゲン、シアノ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。)}
  2. 式(1)及び式(2)の反復単位を有する重合体を用いてなり、かつ、該重合体が架橋構造を含有することを特徴とする絶縁膜。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の絶縁膜を高分子誘電体層として含むことを特徴とする有機電界効果トランジスタデバイス。
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