JP2018015436A - 打具の挙動の解析装置 - Google Patents

打具の挙動の解析装置 Download PDF

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【課題】打具の変形に起因する回転トルクを考慮することにより、打具の挙動を高精度に解析する。【解決手段】スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析装置が提供される。前記解析装置は、取得部と、解析部とを備える。前記取得部は、前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得する。前記解析部は、前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析する。【選択図】図9

Description

本発明は、スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析装置、方法及びプログラムに関する。
従来より、スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する技術が知られている(非特許文献1参照)。非特許文献1は、有限要素法に基づく解析モデルに従って、ゴルフクラブのシャフトを構成する微小な各要素のスイング中の撓み変形を解析する技術を開示している。
図1は、非特許文献1の解析モデルを示している。同図に示されるように、この解析モデルでは、スイング中にゴルフクラブに作用する慣性力の作用点は、変形のない剛体としてのゴルフクラブ上に存在するものと仮定される。
松本賢太、他5名,「クラブヘッドの慣性がシャフト挙動に及ぼす影響」,スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス2015講演論文集,B−34(USB memory),2015年10月
しかしながら、実際には、スイング中のシャフトには撓みが発生しているため、慣性力の作用点は変形のない剛体としてのゴルフクラブの位置からずれる(図2参照)。そのため、この撓みによるずれと慣性力とにより、ゴルフクラブには捩じれ成分となる回転トルクが作用する。しかしながら、図1の解析モデルでは、このような回転トルクが考慮されず、これに起因して誤差が発生する結果、解析の精度が低下し得る。この精度の低下は、特に撓み量が大きい場合に顕著となる。なお、図1及び図2において、実線で示されるゴルフクラブは、変形のない剛体としてのゴルフクラブであり、点線で示されるゴルフクラブは、慣性力により変形したゴルフクラブである。
本発明は、打具の変形に起因する回転トルクを考慮することにより、打具の挙動を高精度に解析することができる解析装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
第1観点に係る解析装置は、スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析装置であって、取得部と、解析部とを備える。前記取得部は、前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得する。前記解析部は、前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析する。
第2観点に係る解析装置は、第1観点に係る解析装置であって、前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記モデルに従う式に入力されるパラメータとして、スイング中の前記打具の姿勢を算出する。
第3観点に係る解析装置は、第1観点又は第2観点に係る解析装置であって、前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記モデルに従う式に入力されるパラメータとして、スイング中の前記打具の加速度、角速度及び角加速度の少なくとも1つを算出する。
第4観点に係る解析装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る解析装置であって、前記解析部は、前記打具の変形に基づいて、前記打具に含まれる前記第1部位とは異なる前記第2部位の挙動を導出する。
第5観点に係る解析装置は、第4観点に係る解析装置であって、前記第2部位の挙動には、前記第2部位の角度、速度及び進行方向の少なくとも1つが含まれる。
第6観点に係る解析装置は、第4観点又は第5観点に係る解析装置であって、前記打具は、ゴルフクラブであり、前記第1部位は、グリップ又はシャフトであり、前記第2部位は、ヘッドである。
第7観点に係る解析装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る解析装置であって、前記解析部は、前記打具に作用する慣性力、前記回転トルク及び前記打具の変形量を表す項を含む式を用いて、前記変形量を算出する。
第8観点に係る解析装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る解析装置であって、前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記打具に作用する慣性力を算出し、前記慣性力を前記モデルに従う式に入力することにより、前記打具の変形量を算出し、前記変形量に基づいて、前記回転トルクを算出し、前記慣性力及び前記回転トルクを前記式に再入力することにより、前記変形量を再算出する。
第9観点に係る解析装置は、第1観点から第8観点のいずれかに係る解析装置であって、前記モデルは、有限要素法に従って前記打具を微小な要素に分割したモデルである。
第10観点に係る解析プログラムは、スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析プログラムであって、以下のステップをコンピュータに実行させる。
(1)前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップ。
(2)前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析するステップ。
第11観点に係る解析方法は、スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析方法であって、以下のステップを含む。
(1)前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップ。
(2)前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析するステップ。
本発明によれば、打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データに基づいて、スイング中に変形する性質を有する打具の挙動が解析される。このとき、スイング中の打具の変形に伴って打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、打具の変形が解析される。従って、打具の変形に起因する回転トルクを考慮して、打具の挙動を高精度に解析することができる。
従来技術に係るスイング中のゴルフクラブの解析モデルを示す図。 本発明に係るスイング中のゴルフクラブの解析モデルを示す図。 本発明の一実施形態に係る解析装置を含むスイング解析システムの全体構成を示す図。 スイング解析システムの機能ブロック図。 (A)アドレス状態を示す図。(B)トップ状態を示す図。(C)インパクト状態を示す図。(D)フィニッシュ状態を示す図。 ゴルフクラブの斜視図。 有限要素法に従ってゴルフクラブをモデル化した図。 変形時のゴルフクラブをモデル化した図。 回転トルクを考慮して、変形時のゴルフクラブをモデル化した図。 解析処理の流れを示すフローチャート。 変形例に係るゴルフクラブの斜視図。 参考例に係るヘッドに貼付されるマーカーの位置を示す図。 参考例及び比較例に係るゴルファーの正面側から視たゴルフクラブの軌道のシミュレーション結果を示す図。 参考例及び比較例に係るゴルファーの右側から視たゴルフクラブの軌道のシミュレーション結果を示す図。 参考例及び実施例に係るゴルファーの正面側から視たゴルフクラブの軌道のシミュレーション結果を示す図。 参考例及び実施例に係るゴルファーの右側から視たゴルフクラブの軌道のシミュレーション結果を示す図。 参考例及び比較例に係るヘッド速度の解析結果を示す図。 参考例及び比較例に係る進入角の解析結果を示す図。 参考例及び比較例に係るフェース角の解析結果を示す図。 参考例及び比較例に係るブロー角の解析結果を示す図。 参考例及び実施例に係るヘッド速度の解析結果を示す図。 参考例及び実施例に係る進入角の解析結果を示す図。 参考例及び実施例に係るフェース角の解析結果を示す図。 参考例及び実施例に係るブロー角の解析結果を示す図。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る解析装置、方法及びプログラムをスイング中のゴルフクラブの挙動の解析に適用した場合の一実施形態について説明する。
<1.スイング解析システムの概要>
図3及び図4に、本発明の一実施形態に係る解析装置1を含むスイング解析システム100の全体構成図を示す。スイング解析システム100は、ゴルファー7によるスイング中のゴルフクラブ5の挙動の解析に適するように構成されている。解析の対象となるゴルフクラブ5の特にシャフト52の部分は、スイング中に変形する性質を有している。解析装置1は、スイング中のゴルフクラブ5のグリップ51の部分の挙動を計測した計測データに基づいて、ゴルフクラブ5の変形を解析するとともに、当該ゴルフクラブ5の変形に基づいて、ヘッド53の挙動も解析する。以上の計測は、計測装置2により行われ、計測装置2は、解析装置1とともにスイング解析システム100を構成する。解析装置1による解析結果は、ゴルファー7に適したゴルフクラブ5のフィッティングや、ゴルファー7のフォームの改善、ゴルフ用品の開発等、様々な用途で利用される。
以下、スイング解析システム100の各部の構成を説明した後、スイング解析システム100による解析方法について説明する。
<2.各部の詳細>
<2−1.計測装置>
本実施形態に係る計測装置2は、慣性センサユニット4と、距離画像センサ21とから構成される。以下、順に説明する。
<2−1−1.慣性センサユニット>
慣性センサユニット4は、図3に示すとおり、ゴルフクラブ5のグリップエンド51aに取り付けられており、グリップエンド51aの挙動を計測する。本実施形態に係る慣性センサユニット4は、着脱自在に構成されており、任意のゴルフクラブ5に取り付けることができる。なお、ゴルフクラブ5は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト52と、シャフト52の一端に設けられたヘッド53と、シャフト52の他端に設けられたグリップ51とから構成される。慣性センサユニット4は、スイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。図4に示すように、本実施形態に係る慣性センサユニット4には、加速度センサ41、角速度センサ42及び地磁気センサ43が搭載されている。また、慣性センサユニット4には、これらのセンサ41〜43から出力されるセンサデータを、通信線17を介して解析装置1等の外部のデバイスに送信するための通信装置40も搭載されている。なお、本実施形態では、通信装置40は、スイング動作の妨げにならないように無線式であるが、ケーブルを介して有線式に解析装置1に接続するようにしてもよい。
加速度センサ41、角速度センサ42及び地磁気センサ43はそれぞれ、局所座標系における加速度、角速度及び地磁気を計測する。より具体的には、加速度センサ41は、予め定められているグリップエンド51aを基準とする局所座標系における3軸方向の加速度を計測する。角速度センサ42も、同じ局所座標系における3軸方向の角速度を計測し、地磁気センサ43も、同じ局所座標系における3軸方向の地磁気を計測する。これらの加速度、角速度及び地磁気に関するセンサデータ(計測データ)は、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において、所定の短いサンプリング周期の時系列データとして取得される。
なお、ゴルフスイングは、一般に、アドレス、トップ、インパクト、フィニッシュの順に進む。アドレスとは、図5(A)に示すとおり、ゴルフクラブ5のヘッド53をボール近くに配置した静止状態を意味し、トップとは、図5(B)に示すとおり、アドレスからゴルフクラブ5をテイクバックし、最もヘッド53が振り上げられた状態を意味する。インパクトとは、図5(C)に示すとおり、トップからゴルフクラブ5が振り下ろされ、ヘッド53がボールと衝突した瞬間の状態を意味し、フィニッシュとは、図5(D)に示すとおり、インパクト後、ゴルフクラブ5を前方へ振り抜いた状態を意味する。
本実施形態では、加速度センサ41、角速度センサ42及び地磁気センサ43からのセンサデータは、通信装置40を介してリアルタイムに解析装置1に送信される。しかしながら、例えば、慣性センサユニット4内の記憶装置にセンサデータを格納しておき、スイング動作の終了後に当該記憶装置からセンサデータを取り出して、解析装置1に受け渡すようにしてもよい。
<2−1−2.距離画像センサ>
距離画像センサ21は、ゴルファー7がゴルフクラブ5を試打する様子を二次元画像として撮影するとともに、被写体までの距離を測定する測距機能を有するカメラである。従って、距離画像センサ21は、時系列の二次元画像とともに、時系列の深度画像を出力することができる。なお、ここでいう二次元画像とは、撮影空間の像をカメラの光軸に直交する平面内へ投影した画像である。また、深度画像とは、カメラの光軸方向の被写体の奥行きのデータを、二次元画像と略同じ撮像範囲内の画素に割り当てた画像である。本実施形態では、距離画像センサ21は、ゴルファー7を正面側から撮影すべく、ゴルファー7の前方に設置される。
本実施形態で使用される距離画像センサ21は、二次元画像を赤外線画像(以下、IR画像という)として撮影する。また、深度画像は、赤外線を用いたタイムオブフライト方式やドットパターン投影方式等の方法により得られる。従って、図4に示すように、距離画像センサ21は、赤外線を前方に向けて発光するIR発光部21aと、IR発光部21aから照射され、被写体に反射して戻ってきた赤外線を受光するIR受光部21bとを有する。IR受光部21bは、光学系及び撮像素子等を有するカメラである。ドットパターン投影方式では、IR発光部21aから照射された赤外線のドットパターンをIR受光部21bで読み取り、距離画像センサ21内部での画像処理によりドットパターンが検出され、これに基づいて奥行きが計算される。本実施形態では、IR発光部21a及びIR受光部21bは、同じ筐体21f内に収容され、筐体21fの前方に配置されている。
距離画像センサ21には、距離画像センサ21の動作全体を制御するCPU21cの他、撮影された画像データ(計測データ)を少なくとも一時的に記憶するメモリ21dが内蔵されている。距離画像センサ21の動作を制御する制御プログラムは、メモリ21d内に格納されている。また、距離画像センサ21には、通信部21eも内蔵されており、当該通信部21eは、撮影された画像データを、有線又は無線の通信線17を介して、解析装置1等の外部のデバイスへと出力することができる。本実施形態では、CPU21c及びメモリ21dも、IR発光部21a及びIR受光部21bとともに、筐体21f内に収納されている。なお、解析装置1への画像データの受け渡しは、必ずしも通信部21eを介して行う必要はない。例えば、メモリ21dが着脱式であれば、これを筐体21f内から取り外し、解析装置1のリーダー(後述する通信部15に対応)に挿入する等して、解析装置1で画像データを読み出すことができる。
本実施形態では、距離画像センサ21により赤外線撮影が行われ、撮影されたIR画像に基づいて、グリップ51の挙動が解析される。従って、距離画像センサ21によるグリップ51の計測が容易となるように、グリップ51(より正確には、グリップエンド51a)には、赤外線を効率的に反射する反射シートがマーカーとして貼付される。また、シャフト52にも、同様の赤外線の反射シートがマーカーとして貼付される。
<2−2.解析装置>
解析装置1は、ハードウェアとしては汎用のパーソナルコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。図4に示すとおり、解析装置1は、コンピュータで読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体30から、或いはインターネット等の通信回線を介して、解析プログラム3を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。解析プログラム3は、計測装置2から送られてくる計測データに基づいて、スイング中のゴルフクラブ5の挙動を解析するためのソフトウェアであり、解析装置1に後述する動作を実行させる。
解析装置1は、表示部11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11〜15は、互いにバス線16を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、ゴルフスイングの解析結果等をユーザに対し表示する。なお、ここでいうユーザとは、ゴルファー7自身やそのインストラクター、ゴルフ用品の開発者等、ゴルフスイングの解析結果を必要とする者の総称である。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、解析装置1に対するユーザからの操作を受け付ける。
記憶部13は、ハードディスク等で構成することができる。記憶部13内には、解析プログラム3が格納されている他、計測装置2から送られてくる計測データが保存される。制御部14は、CPU、ROMおよびRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内の解析プログラム3を読み出して実行することにより、仮想的に取得部14a、解析部14b及び表示制御部14cとして動作する。各部14a〜14cの動作の詳細については、後述する。通信部15は、計測装置2等の外部のデバイスとの間でデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
<3.解析方法>
次に、スイング解析システム100による解析方法について説明する。以下では、まず、解析処理の基礎となる解析モデルについて説明した後、解析処理の流れについて説明する。
<3−1.解析モデル>
本実施形態に係る解析モデルは、有限要素法に従うモデルであり、グリップ51及びシャフト52は、多段円筒梁要素と仮定され、ヘッド53は剛体と仮定される。図7に示すように、グリップ51及びシャフト52は、長手方向に沿って複数の微小な要素に分割される。本実施形態では、グリップ51が6個の要素に分割され、シャフト52が16個の要素に分割される。また、グリップ51と、シャフト52において最もグリップ51近傍の要素とは、物理領域とされ、残りの領域は、弾性変形領域とされる。
ここで、図8に示すように、グリップ51においてヘッド53と反対側の端部であるグリップエンド51a側から第i番目の要素を、第i要素と呼ぶ(i=1,2,・・・,22)。なお、図8及び後述する図9において、実線で示されるゴルフクラブ5は、変形のない剛体としてのゴルフクラブであり、点線で示されるゴルフクラブ5は、慣性力により変形したゴルフクラブである。ここでいう慣性力とは、スイング中にスイング平面内を回転するように移動するゴルフクラブ5に作用する慣性力である。さらに、第i要素のグリップエンド51a側の節点を第i節点と呼び、ヘッド53側の節点を第(i+1)節点と呼ぶ。
また、無変形時のゴルフクラブ5の第i節点を原点とするシャフト座標系を定義する。シャフト座標系は、x、y及びz軸を有し、x軸は、シャフト52の軸方向に平行でグリップエンド51a側からヘッド53側に向かう方向を正とする。y軸は、ヘッド53のトゥ−ヒール方向に概ね平行で、トゥ側からヒール側に向かう方向を正とする。z軸は、フェース面53aの法線方向に概ね平行で、フェース面53aから飛球方向に向かう方向を正方向とする。また、地面に対して固定されており、ゴルフボールの設置位置を原点とする三次元の慣性座標系と、グリップエンド51aを原点とする三次元の物体固定座標系とを定義する。
このとき、数1のように各記号を定義すると、数2の式が成り立つ。なお、本明細書において、記号の右肩につくTは、転置ベクトルを意味する。
また、ゴルフクラブ5の変形により生じる仮想変位は、以下のように表される。
また、d(i)は、以下のとおり定義される。ただし、x,y,zは、それぞれx軸、y軸、z軸方向の節点の変位を表し、θxは、x軸回りの捩じり角、θy,θzは、それぞれy軸、Z軸回りの撓み角を表す。右下の添え字(i)及び(i+1)は、節点の番号を表す。
以上の式と、ダランベールの原理とにより、下式が成り立つ。なお、本明細書において、記号の上に付くドットは、微分を意味し、2つのドットは、2回微分を意味する。
このとき、数5の式が常に成り立つためには、下式が成り立たなければならない。
また、数6の式の各項は、以下のように得られる。
数6の式に数7の式を代入すると、下式が得られる。
さらに、捩りを考慮し、運動エネルギーから質量マトリクス[M]、ポテンシャルエネルギーから剛性マトリクス[K]を導出すると(「岩壺卓三ら,“振動工学の基礎”,森北出版株式会社,2008年,pp.130−134」及び「小松敬治,“機械構造振動学MATLABによる有限要素法と応答解析”,森北出版株式会社,2009年,pp.38−39」を参照)、第i要素の運動方程式は、以下のとおり表される。
また、数9の式から、グリップ51及びシャフト52全体での運動方程式は、以下のように表される。なお、右下の添え字tは、各マトリクス及びベクトルを全要素で加算していることを表す。
一方、ヘッド53の運動方程式は、以下のとおり表される。
数11及び数12の式中の記号の意味は、以下のとおりである。なお、最終節点とは、最もヘッド53側の節点である。
以上の数10〜12の式より、非減衰系でのゴルフクラブ5の運動方程式は、以下のように表される。なお、0i×jは、全ての要素をゼロとするi行j列である。Fcには、慣性力、より正確には、各節点に作用する慣性力の並進成分である節点力に加え、シャフト52の曲げ及び捩じりに寄与するトルクも含まれる。
ここで、質量マトリクス[Mc]及び剛性マトリクス[Kt]を、以下のように、物理領域及び弾性変形領域に分割する。Mi×jは、[Mc]内のi×j列のマトリクス、Ki×jは、[Kt]内のi×j列のマトリクスである。特に、M90×90及びK90×90は、それぞれ固定端条件の弾性変形領域の質量マトリクス及び剛性マトリクスである。
このとき、減衰マトリクス[Ct]は、以下のように表される(「長松昭男,“モード解析”,培風館,1985年,pp.176−216」を参照)。
ただし、上式中の各記号の意味は、以下のとおりである。
以上の数14及び数18の式より、ゴルフクラブ5の全系の運動方程式として、以下の式が導かれる。
なお、以上の各式の導出方法及び各記号の意味は、非特許文献1にも記載されているとおりの公知技術である。従って、以上では、各式及び各記号の意味について簡単に説明を行ったが、より理解を深めるためには、非特許文献1を参照することができる。
本実施形態では、数20の運動方程式において、さらに、慣性力(節点力)により生じる回転トルクが考慮される。回転トルクは、慣性力により、スイング中のゴルフクラブ5の変形に伴ってゴルフクラブ5に作用する、捩じれ成分である。
具体的には、本実施形態では、図9に示すように、第i節点に作用する慣性力(慣性力より算出した並進成分である節点力)F(i)の作用点が、変形後のゴルフクラブ5上に置かれる。この場合、変形前の第i節点には、第i節点の撓み(撓み量d(i))に起因して、回転トルクT(i)が生じる。このとき、並進成分である慣性力F(i)がする仮想仕事は、回転による第i節点の仮想変位をδθ(i)とすると、以下のとおり表される。
このとき、ダランベールの原理に基づいて、下式が導かれる。数5の式と比較すると、下式においては、回転トルクが考慮されていることが分かる。
以上より、回転トルクを考慮したときの第i要素の運動方程式は、下式のとおりとなる。
ただし、Tcとは、回転トルクを表し、以下の式のとおり表される。
数20の式は、回転トルクTcを考慮しないゴルフクラブ5の運動方程式であるが、数23の式は、回転トルクTcを考慮したゴルフクラブ5の運動方程式である。従って数23の式には、慣性力Fcを表す項、及び変形量dtを表す項に加え、回転トルクTcを表す項が含まれている。
ところで、グリップ51は、ゴルファー7に把持されるが、固定端のように硬く把持されるのではなく、柔軟な手の動きを伴って移動するように把持される。本実施形態では、このような柔軟な把持条件を表現するために、図7に示すように、グリップ51をバネモデルにモデル化して、解析が行われる。モデル化の方法は、非特許文献1にも記載されているように公知技術であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
<3−2.解析処理の流れ>
解析処理は、図10に示すフローチャートに従って進行する。まず、ステップS1では、ゴルファー7によりゴルフクラブ5がスイングされる。このとき、ゴルフクラブ5のスイング中の挙動が、計測装置2により計測される。より具体的には、計測装置2に含まれる慣性センサユニット4により、グリップエンド51aの局所座標系における3軸方向の加速度、角速度及び地磁気に関するセンサデータ(計測データ)が取得され、通信装置40を介して解析装置1に送信される。一方、解析装置1側では、取得部14aが通信部15を介してこれを受信し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスからインパクトまでの時系列のセンサデータが収集される。
また、ステップS1では、慣性センサユニット4による計測と同時に、距離画像センサ21により、ゴルファー7の正面側からゴルフクラブ5がスイングされる様子を捉えた画像データ(計測データ)が取得され、通信部21eを介して解析装置1に送信される。一方、解析装置1側では、取得部14aが通信部15を介してこれを受信し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスからインパクトまでの時系列の画像データが収集される。すなわち、ステップS1で取得される画像データは、動画データである。なお、ここでいう画像データには、IR画像及び深度画像を含む2系統の時系列の画像データが含まれる。
続くステップS2では、解析部14bが、ステップS1で取得された計測データに基づいて、スイング中の各時刻におけるグリップ51の姿勢を算出する。グリップ51の姿勢は、地面に対して固定されている上述した慣性座標系の中での上述した物体固定座標系の向きにより表すことができる。従って、本実施形態では、グリップ51の姿勢として、慣性座標系を物体固定座標系に変換するための姿勢行列である上述の行列[S]が導出される。
姿勢行列[S]の9つの成分の意味は、以下のとおりである。
成分c1:慣性座標系の第1軸と、物体固定座標系の第1軸とのなす角度の余弦
成分c2:慣性座標系の第2軸と、物体固定座標系の第1軸とのなす角度の余弦
成分c3:慣性座標系の第3軸と、物体固定座標系の第1軸とのなす角度の余弦
成分c4:慣性座標系の第1軸と、物体固定座標系の第2軸とのなす角度の余弦
成分c5:慣性座標系の第2軸と、物体固定座標系の第2軸とのなす角度の余弦
成分c6:慣性座標系の第3軸と、物体固定座標系の第2軸とのなす角度の余弦
成分c7:慣性座標系の第1軸と、物体固定座標系の第3軸とのなす角度の余弦
成分c8:慣性座標系の第2軸と、物体固定座標系の第3軸とのなす角度の余弦
成分c9:慣性座標系の第3軸と、物体固定座標系の第3軸とのなす角度の余弦
ここで、ベクトル(c1,c2,c3)は、物体固定座標系の第1軸方向の単位ベクトルを表し、ベクトル(c4,c5,c6)は、物体固定座標系の第2軸方向の単位ベクトルを表し、ベクトル(c7,c8,c9)は、物体固定座標系の第3軸方向の単位ベクトルを表している。
ステップS2では、姿勢行列[S]は、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。また、姿勢行列[S]は、ステップS1で取得されたセンサデータ、すなわち、時系列の加速度、角速度及び地磁気のデータを含むセンサデータに基づいて算出される。なお、グリップ51に装着された慣性センサユニットから出力されるセンサデータに基づいて、グリップの姿勢を表す姿勢行列[S]を導出する方法は、様々知られているため、ここでは詳細な説明を省略するが、必要であれば、同出願人らによる特開2016−2429号公報や特開2016−2430号公報等に記載の方法に従うことができる。また、地磁気のデータを用いずに、センサデータのうち加速度及び角速度のデータのみを用いて姿勢行列[S]を導出することもできるが、このような方法も様々知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、本実施形態では、慣性センサユニット4の局所座標系は、上述した物体固定座標系に一致するように設定されているものとする。ただし、両座標系は一致していなくてもよいが、その場合には、両座標系を変換するための変換行列を予め決定して記憶部13に保持しておき、適宜変換すればよい。従って、局所座標系と物体固定座標系が相違していたとしても、両座標系は実質的に等価である。
以上のとおり、センサデータのみからでも姿勢行列[S]を算出可能であるが、さらに解析の精度を向上させるべく、ステップS1で取得された画像データも参照して、姿勢行列[S]を算出することもできる。具体的には、解析部14bは、ステップS1で取得された時系列のIR画像を画像処理することにより、マーカーの付されたグリップエンド51aやシャフト52等の注目点の慣性座標系における二次元座標を導出する。続いて、ステップS1で取得された時系列の深度画像から、注目点の奥行の座標を特定する。これにより、注目点の慣性座標系における三次元座標が時系列に導出される。そして、解析部14bは、注目点のこのような位置情報に加え、センサデータに含まれる各種情報を用いて、最適化された姿勢行列[S]を導出することができる。例えば、ゴルフクラブ5の注目点の位置情報及びセンサデータに含まれる各種情報を用いて所定の目的関数を定義し、これを最小化又は最大化するような最適解として、姿勢行列[S]を導出することができる。
続くステップS3では、解析部14bは、ステップS1で取得された計測データに基づいて、スイング中の各時刻におけるグリップエンド51aの物体固定座標系における加速度、並びにグリップ51の物体固定座標系における角速度及び角加速度を算出する。具体的には、グリップエンド51aの物体固定座標系における加速度は、ステップS1で取得された加速度センサ41の出力値から重力成分をキャンセルすることにより導出される。グリップ51の物体固定座標系における角速度は、角速度センサ42の出力値に一致する。グリップ51の物体固定座標系における角加速度は、角速度センサ42の出力値を微分することにより算出される。グリップエンド51aの物体固定座標系における加速度、並びにグリップ51の物体固定座標系における角速度及び角加速度の値も、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。
以上のとおり、センサデータのみからでも、グリップエンド51aの物体固定座標系における加速度、並びにグリップ51の物体固定座標系における角速度及び角加速度の値を算出可能であるが、さらに解析の精度を向上させるべく、姿勢行列[S]の場合と同様に、ステップS1で取得された画像データも参照して最適解を導出することもできる。
また、ステップS3では、解析部14bは、ステップS1で取得された計測データに基づいて、スイング中の各時刻におけるグリップエンド51aの慣性座標系における三次元座標を導出する。具体的には、解析部14bは、グリップエンド51aの物体固定座標系における加速度を姿勢行列[S]を用いて慣性座標系の値に変換し、変換後の加速度を2回積分することにより、グリップエンド51aの慣性座標系における三次元座標を時系列に算出する。すなわち、グリップエンド51aの軌道が算出される。また、グリップエンド51aの軌道は、上述のとおり、ステップS1で取得された画像データに基づいて算出することもできる。
続くステップS4では、解析部14bは、ステップS2,S3で算出された姿勢行列[S]、グリップエンド51aの加速度、並びにグリップ51の角速度及び角加速度を数16の式に入力することにより、スイング中の各時刻における慣性力Fcを算出する。慣性力Fcは、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。
続くステップS5では、解析部14bは、ステップS4で算出された慣性力Fcを数20の式に入力することにより、スイング中の各時刻における、グリップ51及びシャフト52の撓みによる変形量dtである第1変形量を算出する。第1変形量dtは、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。
続くステップS6では、解析部14bは、ステップS2,S3で算出された姿勢行列[S]、グリップエンド51aの加速度、並びにグリップ51の角速度及び角加速度に加え、ステップS5で算出された第1変形量dtを数24の式に入力することにより、スイング中の各時刻における回転トルクTcを算出する。回転トルクTcは、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。
続くステップS7では、解析部14bは、ステップS4,S6で算出された慣性力Fc及び回転トルクTcを数23の式に入力することにより、グリップ51及びシャフト52の撓みによる変形量dtを、第2変形量として再算出する。第2変形量dtは、スイング中の各時刻において算出され、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。
ここで、数23の式は、数20の式の右辺に回転トルクTcを加えたものである。すなわち、ステップS7は、数20の式に、Fc=Fc+Tcとして値を再入力しているステップであると言うことができる。
続くステップS8では、解析部14bは、ステップS7で算出された第2変形量dtに基づいて、ヘッド53の挙動を導出する。本実施形態では、ヘッド53の挙動としては、スイング中の各時刻におけるヘッド53の重心の位置、並びにインパクト直前のヘッド53の速度(以下、ヘッド速度という)、フェース角、進入角及びブロー角が算出される。ヘッド53の重心の位置は、少なくともアドレスからインパクトまでの期間において時系列に算出される。すなわち、スイング中のヘッド53の重心の軌道が算出される。
ステップS8の実行時においては、これまでのステップにより、スイング中の各時刻におけるゴルフクラブ5の各節点における第2変形量dt等が導出されている。従って、解析部14bは、この情報に基づいて、スイング中の各時刻におけるシャフト52上の最終節点の挙動を導出する。そして、この時系列の最終節点の挙動、並びにヘッド53の形状のデータから、スイング中の各時刻におけるヘッド53の様々な注目点(ヘッド53の重心を含む)の位置を算出する。ヘッド53の形状のデータとは、例えば、ヘッド53の設計時のCADデータであり、記憶部13内に予め記憶されているものとする。そして、解析部14bは、これらの時系列のヘッド53の様々な注目点の位置に基づいて、上述したようなヘッド53の挙動を導出する。
続くステップS9では、表示制御部14cは、以上の解析結果を表示部11上に表示する。ここでいう解析結果とは、例えば、スイング中の各時刻におけるグリップエンド51aの慣性座標系での位置、グリップ51の姿勢、及びシャフト52の各節点における第2変形量dt、並びにステップS8で導出されたヘッド53の挙動の情報である。また、解析結果として、後述する図14A及び図14Bに示されるような、変形を考慮したスイング中のゴルフクラブ5の軌道をGUI表示することもできる。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<4−1>
計測装置2により挙動が計測される対象は、グリップ51に限られず、例えば、シャフト52であってもよい。ただし、この場合、シャフト52におけるグリップ51近傍の部位の挙動を計測することが好ましい。例えば、慣性センサユニット4をシャフト52に取付けることもできる。また、本発明の原理によれば、ゴルフクラブ5の様々な部位の挙動を計測装置2により計測し、解析装置1により当該計測データに基づいてゴルフクラブ5の変形を解析し、当該解析結果に基づいてさらにゴルフクラブ5の別の様々な部位の挙動を解析することができる。
<4−2>
計測装置2の構成は、上述した例に限られず、例えば、計測装置2として、複数台のカメラからなるモーションキャプチャシステムを用いることができる。この場合、モーションキャプチャシステムから取得される画像データ(計測データ)に基づいて、上述のステップS2〜S7を実行することができる。また、この場合、ゴルフクラブ5に図11に示すような治具50を取り付けることが好ましい。
図11では、治具50は、グリップ51においてヘッド53側の端部付近に取り付けられている。治具50は、グリップ51から突出し、シャフト52の延びる方向に直交して延びる2本の棒ないし梁状の突起部54,55を備えている。また、突起部54と突起部55とは、互いに概ね直交している。突起部54,55の先端には、それぞれ球体状のマーカー54a,55aが取り付けられており、突起部54の根元の位置とシャフト52を挟んで反対側の位置にも、球体状のマーカー54bが取り付けられている。さらに、シャフト52のチップ端に、球体状のマーカー54cが取り付けられている。これらのマーカー54a〜54c,55aは、計測装置2による追跡を容易にするマーカーであり、光を効率的に反射するように構成されている。そして、解析部14bは、撮影された複数枚の画像に写るこれらのマーカー54a〜54c,55aの像を抽出し、三角測量の原理等に基づいてマーカー54a〜54c,55aの慣性座標系における三次元座標を導出する。続いて、マーカー54a,54b,55aの慣性座標系における三次元座標に基づいて、グリップ51の姿勢を導出する。そして、グリップ51の姿勢から、グリップ51の物体固定座標系における角速度及びこれを微分して得られる角加速度を導出する。また、治具50とグリップエンド51aとの位置関係は既知であるため、当該位置関係と、マーカー54a,54b,55aの慣性座標系における三次元座標とに基づいて、グリップエンド51aの慣性座標系における三次元座標を導出する。そして、グリップ51の姿勢に基づいて、グリップエンド51aの慣性座標系における三次元座標を物体固定座標系の値に変換した後、変換後の三次元座標に基づいて、グリップエンド51aの物体固定座標系における加速度を導出する。以降の処理は、上記実施形態と同様に進行する。
<参考例>
ゴルフクラブに図11と同様の治具を取り付け、モーションキャプチャシステムにより治具のマーカーの軌道を計測した。また、図12に示すように、ヘッドのクラウン部上におけるフェース面近傍の位置であって、トゥ側の端部付近とヒール側の端部付近とにマーカーを貼付し、モーションキャプチャシステムによりこれらのマーカーの軌道を計測した。ここでいうモーションキャプチャシステムは、変形例4−2の中で説明した三次元計測を可能にする複数台のカメラからなるシステムとした。そして、以上のマーカーの軌道から、スイング中のグリップ及びシャフトの軌道、並びにインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。また、以上のマーカーの軌道とCADデータとから、スイング中のヘッドの軌道を算出した。
<比較例>
上記実施形態に記載した方法と同様の方法により、スイング中の第1変形量dtを算出し、第2変形量dtではなく第1変形量dtを用いて、変形を考慮したグリップ及びシャフトの各節点の軌道を算出した。また、こうして導出された最終節点の位置に基づいて、上記実施形態に記載した方法と同様の方法により、スイング中の各時刻におけるヘッドの重心の位置、並びにインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。ここでは、ヘッドの重心の位置とヘッドのCADデータとから、参考例で説明したヘッドのクラウン部上のマーカーの位置に相当する位置を特定し、これらの位置に基づいて、インパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。本比較例では、スイング中のグリップの姿勢、グリップエンドの物体固定座標系における加速度、並びにグリップの物体固定座標系における角速度及び角加速度は、距離画像センサ及び慣性センサユニットではなく、参考例及び変形例4−2と同様のモーションキャプチャシステムにより計測された計測データに基づいて算出された。
<実施例>
上記実施形態に記載した方法と同様の方法により、スイング中の第2変形量dtを算出し、第2変形量dtに基づいて、変形を考慮したグリップ及びシャフトの各節点の軌道を算出した。また、上記実施形態に記載した方法と同様の方法により、スイング中の各時刻におけるヘッドの重心の位置、並びにインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。ここでは、ヘッドの重心の位置とヘッドのCADデータとから、参考例で説明したヘッドのクラウン部上のマーカーの位置に相当する位置を特定し、これらの位置に基づいて、インパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。本実施例では、スイング中のグリップの姿勢、グリップエンドの物体固定座標系における加速度、並びにグリップの物体固定座標系における角速度及び角加速度は、距離画像センサ及び慣性センサユニットではなく、参考例及び変形例4−2と同様のモーションキャプチャシステムにより計測された計測データに基づいて算出された。
<検証>
図13Aは、参考例及び比較例に係るゴルフクラブの軌道をゴルファーの正面側から視た様子を示しており、図13Bは、同軌道を右側から視た様子を示している。また、図14Aは、参考例及び実施例に係るゴルフクラブ(及びゴルファーの腕)の軌道をゴルファーの正面側から視た様子を示しており、図14Bは、同軌道を右側から視た様子を示している。これらの図からは、比較例の軌道よりも実施例の軌道の方が、参考例の軌道に近似していることが分かる。よって、実施例に係る方法の精度の高さが確認された。また、特に図13B及び図14Bに円で囲んだインパクト付近のシャフトの先端の軌道に注目すると、比較例と比べて実施例において、解析の精度が大幅に改善されていることが分かる。
また、図15A〜図15Dは、それぞれ、参考例及び比較例に係るインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角の相関を示すグラフであり、図16A〜図16Dは、それぞれ、参考例及び実施例に係るインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角の相関を示すグラフである。この結果からは、特にフェース角に関し、実施例及び参考例に係る結果が近似しており、解析の精度が大幅に改善されていることが分かる。
1 解析装置
14a 取得部
14b 解析部
2 計測装置
5 ゴルフクラブ(打具)
51 グリップ(第1部位)
52 シャフト
53 ヘッド(第2部位)
c,F(i) 慣性力
c,T(i) 回転トルク
t,d(i) 変形量

Claims (11)

  1. スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析装置であって、
    前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得する取得部と、
    前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析する解析部と
    を備える、解析装置。
  2. 前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記モデルに従う式に入力されるパラメータとして、スイング中の前記打具の姿勢を算出する、
    請求項1に記載の解析装置。
  3. 前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記モデルに従う式に入力されるパラメータとして、スイング中の前記打具の加速度、角速度及び角加速度の少なくとも1つを算出する、
    請求項1又は2に記載の解析装置。
  4. 前記解析部は、前記打具の変形に基づいて、前記打具に含まれる前記第1部位とは異なる前記第2部位の挙動を導出する、
    請求項1から3のいずれかに記載の解析装置。
  5. 前記第2部位の挙動には、前記第2部位の角度、速度及び進行方向の少なくとも1つが含まれる、
    請求項4に記載の解析装置。
  6. 前記打具は、ゴルフクラブであり、前記第1部位は、グリップ又はシャフトであり、前記第2部位は、ヘッドである、
    請求項4又は5に記載の解析装置。
  7. 前記解析部は、前記打具に作用する慣性力、前記回転トルク及び前記打具の変形量を表す項を含む式を用いて、前記変形量を算出する、
    請求項1から6のいずれかに記載の解析装置。
  8. 前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記打具に作用する慣性力を算出し、前記慣性力を前記モデルに従う式に入力することにより、前記打具の変形量を算出し、前記変形量に基づいて、前記回転トルクを算出し、前記慣性力及び前記回転トルクを前記式に再入力することにより、前記変形量を再算出する、
    請求項1から6のいずれかに記載の解析装置。
  9. 前記モデルは、有限要素法に従って前記打具を微小な要素に分割したモデルである、
    請求項1から8のいずれかに記載の解析装置。
  10. スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析プログラムであって、
    前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップと、
    前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析するステップと
    をコンピュータに実行させる、
    解析プログラム。
  11. スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析方法であって、
    前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップと、
    前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形に伴って前記打具に作用する回転トルクを考慮したモデルを用いて、前記打具の変形を解析するステップと
    を含む、解析方法。
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