JP6845433B2 - 打具の挙動の解析装置 - Google Patents
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Description
・前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップ
・前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具における回転中心を算出するステップ
・前記計測データ及び前記回転中心に基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析するステップ
・前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップ
・前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具における回転中心を算出するステップ
・前記計測データ及び前記回転中心に基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析するステップ
図1及び図2に、本発明の一実施形態に係る解析装置1を含むスイング解析システム100の全体構成図を示す。スイング解析システム100は、ゴルファー7によるスイング中のゴルフクラブ5の挙動を解析するように構成されている。ゴルフクラブ5の特にシャフト52の部分は、スイング中に変形する性質を有している。解析装置1は、スイング中のゴルフクラブ5のグリップエンド51aの挙動を計測した計測データに基づいて、ゴルフクラブ5のグリップ51及びシャフト52の変形を解析するとともに、この変形を考慮して、ヘッド53の挙動を解析する。以上の計測は、計測装置2により行われ、計測装置2は、解析装置1とともにスイング解析システム100を構成する。解析装置1による解析結果は、ゴルファー7に適したゴルフクラブ5のフィッティングや、ゴルファー7のフォームの改善、ゴルフ用品の開発等、様々な用途で利用される。
<2−1.計測装置>
本実施形態に係る計測装置2は、慣性センサユニット4と、距離画像センサ21とから構成される。以下、順に説明する。
慣性センサユニット4は、図1に示すとおり、ゴルフクラブ5のグリップ51におけるヘッド53と反対側の端部であるグリップエンド51aに取り付けられており、グリップエンド51aの挙動を計測する。図3に示すとおり、ゴルフクラブ5は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト52と、シャフト52の一端に設けられたヘッド53と、シャフト52の他端に設けられたグリップ51とから構成される。慣性センサユニット4は、スイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。
距離画像センサ21は、ゴルファー7がゴルフクラブ5を試打する様子を二次元画像として撮影するとともに、被写体までの距離を測定する測距機能を有するカメラである。従って、距離画像センサ21は、時系列の二次元画像とともに、時系列の深度画像を出力することができる。なお、ここでいう二次元画像とは、撮影空間の像をカメラの光軸に直交する平面内へ投影した画像である。また、深度画像とは、カメラの光軸方向の被写体の奥行きのデータを、二次元画像と略同じ撮像範囲内の画素に割り当てた画像である。本実施形態では、距離画像センサ21は、ゴルファー7を正面側から撮影すべく、ゴルファー7の前方に設置される。
解析装置1は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。図2に示すとおり、解析装置1は、コンピュータで読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体30から、或いはインターネット等の通信回線を介して、解析プログラム6を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。解析プログラム6は、計測装置2から送られてくる計測データに基づいて、スイング中のゴルフクラブ5の挙動を解析するためのソフトウェアであり、解析装置1に後述する動作を実行させる。解析プログラム6は、スイング中のゴルフクラブ5における回転中心Cを推定する機能を有するとともに、ゴルファー7がグリップ51を把持する把持力の強さを推定する機能を有する。
次に、スイング中のゴルフクラブ5の挙動を解析する解析方法について説明する。本実施形態に係る解析モデルでは、ゴルファー7がゴルフクラブ5をスイングするときの、ゴルフクラブ5を把持する把持力の強さが考慮される。以下では、まず、解析処理の基礎となる解析モデルについて説明した後、把持力の強さを判定するアルゴリズムについて説明し、最後に解析処理の流れについて説明する。
本実施形態に係る解析モデルは、有限要素法に従うモデルである。グリップ51及びシャフト52は多段円筒梁要素と仮定され、ヘッド53は剛体と仮定される。図6に示すように、グリップ51及びシャフト52は、長手方向に沿って複数の微小な要素に分割される。本実施形態では、グリップ51が6個の要素に分割され、シャフト52が16個の要素に分割される。また、グリップ51と、シャフト52において最もグリップ51近傍の要素とは、物理領域とされ、残りの領域は、弾性変形領域とされる。
本発明者らは、以下に説明する実験を行い、使用者が打具を使用するときの打具の挙動を表す時系列データに基づいて、使用者が打具を把持する把持力の強さを判定することが可能であるという知見を得た。
解析処理は、図11に示すフローチャートに従って進行する。まず、ステップS1では、ゴルファー7により上述の慣性センサユニット4付きゴルフクラブ5がスイングされ、ゴルファー7が把持しているゴルフクラブ5に回転を含む運動が与えられる。このとき、ゴルフクラブ5のスイング中の挙動が、計測装置2により計測される。より具体的には、慣性センサユニット4により、グリップエンド51aのxyz局所座標系における3軸方向の加速度ax,ay,az、角速度ωx,ωy,ωz及び地磁気mx,my,m zに関するセンサデータ(計測データ)が取得され、通信装置40を介して解析装置1に送信される。一方、解析装置1側では、取得部14aが通信部15を介してこれを受信し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、少なくともワッグル動作の期間、及びその後のアドレスからフィニッシュまでの期間の時系列のセンサデータが収集される。
成分c1:慣性座標系の第1軸と、物体固定座標系の第1軸とのなす角度の余弦
成分c2:慣性座標系の第2軸と、物体固定座標系の第1軸とのなす角度の余弦
成分c3:慣性座標系の第3軸と、物体固定座標系の第1軸とのなす角度の余弦
成分c4:慣性座標系の第1軸と、物体固定座標系の第2軸とのなす角度の余弦
成分c5:慣性座標系の第2軸と、物体固定座標系の第2軸とのなす角度の余弦
成分c6:慣性座標系の第3軸と、物体固定座標系の第2軸とのなす角度の余弦
成分c7:慣性座標系の第1軸と、物体固定座標系の第3軸とのなす角度の余弦
成分c8:慣性座標系の第2軸と、物体固定座標系の第3軸とのなす角度の余弦
成分c9:慣性座標系の第3軸と、物体固定座標系の第3軸とのなす角度の余弦
ここで、ベクトル(c1,c2,c3)は、物体固定座標系の第1軸方向の単位ベクトルを表し、ベクトル(c4,c5,c6)は、物体固定座標系の第2軸方向の単位ベクトルを表し、ベクトル(c7,c8,c9)は、物体固定座標系の第3軸方向の単位ベクトルを表している。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
上記実施形態では、スイング中のゴルフクラブ5の挙動が解析されたが、上述のアルゴリズムは、テニスラケット、ベースボールバット等、その他のスポーツ用の打具の解析にも適用することもできるし、非スポーツ用途の打具の解析にも適用することができる。
計測装置2により挙動が計測される対象は、グリップエンド51aに限られず、例えば、グリップ51の他の部位であってもよいし、シャフト52であってもよい。シャフト52の場合、シャフト52におけるグリップ51近傍の部位の挙動を計測することが好ましい。例えば、慣性センサユニット4をシャフト52に取り付けることもできる。本発明の原理によれば、ゴルフクラブ5の様々な部位の挙動を計測装置2により計測し、解析装置1により当該計測データに基づいてゴルフクラブ5の変形を解析し、当該解析結果に基づいてゴルフクラブ5の別の様々な部位の挙動を解析することができる。
上記実施形態では、慣性センサユニット4により、回転中心Cを算出するための計測データ(以下、第1解析データという)が取得された。しかしながら、この例に限られず、例えば、計測装置2を1台又は複数台のカメラ(距離画像センサ3であってもよいし、他のカメラであってもよい)により構成し、このようなカメラにより打具の動きを撮影してもよい。この場合、取得部14aは、計測装置2から出力される画像の時系列データ(すなわち、動画データ)を画像処理することにより、第1解析データとして、例えばグリップエンドの位置、速度、加速度、角速度、角加速度等のデータを取得することができる。また、慣性センサユニット4とカメラとを組み合わせることにより、第1解析データを取得することもできる。
上記実施形態では、第1解析データは、ワッグルデータとされたが、これに限られない。例えば、ゴルファー7にゴルフクラブ5を把持させ、並進運動を与えず、回転運動のみを与えることを意識させながらゴルフクラブをスイングさせる。このときのセンサデータは、第1解析データとして好ましく使用することができる。
上記実施形態では、慣性センサユニット4により、ゴルファー7の把持状態を解析するための計測データ(以下、第2解析データという)である、打具の動きを表す時系列データが取得された。しかしながら、この例に限られず、例えば、計測装置2を1台又は複数台のカメラ(距離画像センサ3であってもよいし、他のカメラであってもよい)により構成し、このようなカメラにより打具の動きを撮影してもよい。この場合、取得部14aは、計測装置2から出力される画像の時系列データ(すなわち、動画データ)を画像処理することにより、第2解析データとして、例えばグリップエンドの位置、加速度、角速度等のデータを取得することができる。また、慣性センサユニット4とカメラとを組み合わせることにより、解析データを取得することもできる。
上記実施形態では、所定の周波数成分の大きさDが、周波数スペクトルを所定の周波数帯域において積分することにより特定された。しかしながら、所定の周波数成分の大きさDを、所定の周波数帯におけるスペクトルパワーの最大値としてもよいし、特定の周波数のスペクトルパワーの値としてもよい。
上記実施形態では、所定の周波数成分の大きさDが、周波数解析を行うことにより特定された。しかしながら、注目している所定の周波数成分又は所定の周波数成分以外の成分を通過させるバンドパスフィルタに第2解析データを通した後、これを元の第2解析データの波と比較し、元の波とバンドパスフィルタ通過後の波の変化の度合いを、所定の周波数成分の大きさDとすることもできる。
上記実施形態のステップS5では、加速度ax,ay,azのデータが補正されたが、勿論、これに代えて又は加えて、角速度ωx,ωy,ωzのデータを補正することもできる。
上記実施形態では、把持力の強さが、強い又は弱いの2段階で現わされたが、3段階以上で判定することもできるし、数値で判定することもできる。
ゴルフクラブの適当な場所に複数のマーカーを取り付け、モーションキャプチャシステムによりスイング中のマーカーの軌道を計測した。また、ヘッドの適当な場所に複数のマーカーを貼付し、モーションキャプチャシステムによりスイング中のこれらのマーカーの軌道を計測した。ここでいうモーションキャプチャシステムは、高精度な三次元計測を可能にする多数のカメラからなるシステムとした。そして、以上のマーカーの軌道から、スイング中のグリップ及びシャフトの軌道、並びにインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。また、以上のマーカーの軌道とCADデータとから、スイング中のヘッドの軌道を算出した。
上記実施形態に記載した方法と同様の方法により、スイング中の回転中心C及びゴルファーの把持力の強さを算出し、これらに基づいてグリップ及びシャフトの各節点の軌道を算出した。また、上記実施形態に記載した方法と同様の方法により、スイング中の各時刻におけるヘッドの重心の位置、並びにインパクト直前のヘッド速度、フェース角、進入角及びブロー角を算出した。
図13Aは、参考例及び実施例に係るゴルフクラブ(及びゴルファーの腕)の軌道をゴルファーの正面側から視た様子を示しており、図13Bは、同軌道を右側から視た様子を示している。これらのグラフからは、実施例の軌道が、マーカーを用いて注目点の位置を直接的に計測する参考例の軌道に近似していることが分かる。よって、実施例に係る方法の精度の高さが確認された。ところで、通常、グリップの計測データに基づいてシャフトの先端の軌道を導出する場合、特にインパクト付近において誤差が出やすい。しかしながら、本実施例によれば、図13Bに円で囲んだ通り、インパクト付近のシャフトの先端においても、誤差が殆ど見られない。なお、このときのゴルファーは、把持力の強いゴルファーであり、回転中心Cは、グリップエンドから約19cmと算出された。
14a 取得部
14b 解析部
14c 中心算出部
14d 判定部
2 計測装置
4 慣性センサユニット
5 ゴルフクラブ(打具)
51 グリップ
51a グリップエンド(第1部位)
52 シャフト
53 ヘッド(第2部位)
6 解析プログラム
C 回転中心
Fc,F(i) 慣性力
dt,d(i) 変形量
Claims (14)
- スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析装置であって、
前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得する取得部と、
前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具における回転中心を算出する中心算出部と、
前記計測データ及び前記回転中心に基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析する解析部と
を備える、解析装置。 - 前記解析部は、前記回転中心に基づいて、前記計測データを補正し、前記補正後の計測データに基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析する、
請求項1に記載の解析装置。 - 前記取得部は、第1のタイミングでの前記計測データである第1計測データを取得するとともに、第2のタイミングでの前記計測データである第2計測データを取得し、
前記中心算出部は、前記第1計測データに基づいて、前記回転中心を算出し、
前記解析部は、前記第2計測データ及び前記回転中心に基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析する、
請求項1又は2に記載の解析装置。 - 前記中心算出部は、前記計測データに含まれるデータであって、前記打具の使用者がワッグル動作を行ったときの前記第1部位の挙動を計測したデータ、及び、前記打具の使用者が前記打具に並進運動を与えず、回転運動のみを与えることを意図して前記打具を操作したときの前記第1部位の挙動を計測したデータの少なくとも一方のデータに基づいて、前記回転中心を算出する、
請求項1から3のいずれかに記載の解析装置。 - 前記中心算出部は、前記計測データに基づいて、前記打具において動きが最小化される位置を前記回転中心として算出する、
請求項1から4のいずれかに記載の解析装置。 - 前記計測データに基づいて、前記打具の使用者が前記打具を把持する把持力の強さを判定する判定部
をさらに備え、
前記解析部は、前記把持力の強さにさらに基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析する、
請求項1から5のいずれかに記載の解析装置。 - 前記判定部は、前記計測データに含まれる所定の周波数成分の大きさを特定し、前記所定の周波数成分の大きさに応じて、前記把持力の強さを判定する、
請求項6に記載の解析装置。 - 前記取得部は、前記計測データとして、前記第1部位に取り付けられた慣性センサにより計測されたデータを取得する、
請求項1から7のいずれかに記載の解析装置。 - 前記解析部は、前記打具の変形に基づいて、前記打具に含まれる前記第1部位とは異なる第2部位の挙動を導出する、
請求項1から8のいずれかに記載の解析装置。 - 前記打具は、ゴルフクラブであり、前記第1部位は、グリップ又はシャフトであり、前記第2部位は、ヘッドである、
請求項9に記載の解析装置。 - 前記打具は、ゴルフクラブである、
請求項1から9のいずれかに記載の解析装置。 - 前記解析部は、前記計測データに基づいて、前記打具に作用する慣性力を算出し、前記慣性力に基づいて、有限要素法モデルにより前記打具の変形量を算出する、
請求項1から11のいずれかに記載の解析装置。 - スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析プログラムであって、
前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップと、
前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具における回転中心を算出するステップと、
前記計測データ及び前記回転中心に基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析するステップと
をコンピュータに実行させる、
解析プログラム。 - スイング中に変形する性質を有する打具の挙動を解析する解析方法であって、
前記打具に含まれる第1部位のスイング中の挙動を計測した計測データを取得するステップと、
前記計測データに基づいて、スイング中の前記打具における回転中心を算出するステップと、
前記計測データ及び前記回転中心に基づいて、スイング中の前記打具の変形を解析するステップと
を含む、解析方法。
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