JP2018014996A

JP2018014996A - 安定性に優れたセラミド含有組成物

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Publication number: JP2018014996A
Application number: JP2017122905A
Authority: JP
Inventors: ジ−フン・スン; Ji Hoon Sung; ホン−シク・イ; Heon Sik Lee; ジョン−ウン・キム; Jeong Eun Kim
Original assignee: LG Household and Health Care Ltd
Current assignee: LG H&H Co Ltd
Priority date: 2016-07-27
Filing date: 2017-06-23
Publication date: 2018-02-01
Anticipated expiration: 2037-06-23
Also published as: JP6566581B2; KR20180012596A; KR102032784B1

Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、セラミド、及びセラミドと沈殿され得る成分を共に含みながらも、沈殿安定性が向上した組成物、望ましくは食品組成物、より望ましくは飲料組成物を提供することである。【解決手段】前記課題は、セラミド；及びコラーゲン、ヒアルロン酸及び鶏冠抽出物からなる群より選択されるいずれか１つ以上を含む組成物において、ゲランガム（ｇｅｌｌａｎｇｕｍ）を含むことで沈殿安定性が向上した組成物によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、沈殿安定性に優れた組成物に関する。

セラミド（ｃｅｒａｍｉｄｅ）は、スフィンゴシン（ｓｐｈｉｎｇｏｓｉｎｅ）及び脂肪酸から構成されているスフィンゴ脂質（ｓｐｈｉｎｇｏｌｉｐｉｄ）の一種であって、肌角質層を構成する角質細胞間脂質のうち約４０％以上を占め、角質層の構造形成や機能を果たすのに必須な成分である。セラミドは、水分の蒸発を抑制する脂質障壁の役割、及び角質層の整った構造を維持させる機能を有している。

また、肌の表面でフィトスフィンゴシン（ｐｈｙｔｏｓｐｈｉｎｇｏｓｉｎｅ）に分解されることで、外部の有害微生物に対する抗菌障壁として働き、炎症の調節と傷の回復にも重要な機能を果たす。セラミドの製造法としては、抽出法と合成法が存在する。天然からのセラミドの製造は動物由来、植物由来及びカビなどから抽出可能であるが、動物由来のセラミドは供給が急激に減っており、植物及びカビ由来のセラミドも量が少なくその抽出量が極めて少ないと知られている。そのため、解決方案として化学的にセラミドを合成する方法が模索され、現在市販中のセラミドの主な製造方法も合成法に該当する。セラミドは代表的な美容成分として化粧品及び食品に広く使用され、肌保湿作用が報告されている。

コラーゲンは結合組織の主成分であり、骨と肌に主に存在するが、関節、各臓器の膜、髪の毛など全身に分布している硬タンパク質の一種である。繊維状構造タンパク質としてコラーゲンの基本的構造単位はトロポコラーゲンであり、分子量約１０万の３つのポリペプチドからなる３重螺旋構造を有している。構成アミノ酸としてグリシンとプロリンを多く含み、他のタンパク質には比較的少ないヒドロキシプロリンやヒドロキシリシンを含んでいるため、これら２種のアミノ酸の含量がその器官内のコラーゲン含量の尺度になる。コラーゲンはコラゲナーゼ以外のタンパク質分解酵素では分解されず、熱または化学薬品処理によって変性すれば、ゼラチンになる。特に、２型コラーゲンは軟骨を形成する基質であって、硝子軟骨と硝子体に主に分布し、全般的な関節健康に重要な役割をすると報告されている。非変性２型コラーゲンとは、糖化されて変性されない２型コラーゲンのことを言う。非変性２型コラーゲンは主に鶏の胸部軟骨から抽出して使用される場合が多く、極小量でも骨関節炎及びリュウマチ関節炎に役立つと報告されている。

鶏冠抽出物は、昔からフランス料理のガーニッシュ、イタリアのシブリオなどヨーロッパ及びアジアで料理の材料として使用された。鶏冠抽出物には天然ヒアルロン酸を含む多様な物質が含有され、ヒアルロン酸の機能に代替することができる。また、一部の鶏冠抽出物はアメリカ食品医薬品局（ＦＤＡ）からＧＲＡＳ（ＧｅｎｅｒａｌｌｙＲｅｃｏｇｎｉｚｅｄＡｓＳａｆｅ）承認を得た原料として、副作用から比較的安全であると評価されている。

ところが、人体に有益なセラミドを含みながらコラーゲン及び／またはヒアルロン酸などを添加した組成物の場合、沈殿が生じ、官能的な特性が低下するという問題があるため、改善のための努力が続いている。

韓国特許公開第１０−２０１３−０１２５５２３号公報

本発明は、セラミド、及びセラミドと沈殿され得る成分を共に含みながらも、沈殿安定性が向上した組成物、望ましくは食品組成物、より望ましくは飲料組成物を提供することを課題とする。

上記の課題を解決するため、本発明は、セラミド；及びコラーゲン、ヒアルロン酸及び鶏冠抽出物からなる群より選択されるいずれか１つ以上を含む組成物において、ゲランガム（ｇｅｌｌａｎｇｕｍ）を含むことで沈殿安定性が向上した組成物、望ましくは食品組成物、より望ましくは飲料組成物を提供する。

本発明者らは、セラミド、及びセラミドとともに含まれて沈殿を誘発する成分が含まれた組成物の沈殿安定性を改善するため鋭意研究した結果、ゲランガム、望ましくは低アシルゲランガム（ｌｏｗａｃｙｌｇｅｌｌａｎｇｕｍ）を添加する場合、沈殿安定性が顕著に向上することを確認し、本発明に完成に至った。

以下、本発明を詳しく説明する。

本発明において、前記セラミドは当業界に周知された通常の物質を制限なく使用でき、望ましくは糖セラミド（ｇｌｕｃｏｃｅｒａｍｉｄｅ）を使用することができる。

前記糖セラミドは、糖がセラミドに結合される構造を有する物質であれば、特別な制限なく当業界に周知された通常の物質を使用することができる。例えば、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド、グルコセレブロシド、ガラクトセレブロシド、ラクトシルセラミドまたはこれらのうち２以上の混合物などが挙げられ、より望ましくはグルコシルセラミドを使用できるが、これらに限定されることはない。

最も望ましくは、グルコシルセラミドの中でも、下記化学式１で示されるパイナップル由来のグルコシルセラミドを使用することができる。本発明者らは、糖セラミドの中でも下記化学式１で示されるパイナップル由来のグルコシルセラミドを使用し、それと沈殿が生じる物質とともに飲料組成物を製造して、沈殿安定性が向上したことを実験的に確認した。

すなわち、本発明において、前記セラミドはパイナップル由来のセラミドであり得る。

前記セラミドは、組成物の総重量に対して０．０００００１〜５重量％含むことができ、望ましくは０．００００１〜３重量％含むことができ、より望ましくは０．０００１〜１重量％含むことができる。

本発明において、組成物に含まれて前記セラミドと沈殿を起こす物質としては、コラーゲン、ヒアルロン酸及び／または鶏冠抽出物などがあるが、これらに限定されることはない。従来、セラミドが含まれた組成物に上記の物質がさらに含まれる場合、沈殿が生じて沈殿物が目視されるため、外見上商品価値が落ち、沈殿による官能低下が引き起こされるという問題があったが、本発明はこのような問題を解決し、沈殿安定性は向上しながらも官能的特性には影響がない組成物を提供する。

本発明において、前記コラーゲンは当業界で通常使用されるものであれば制限されず、鱈、鯉、鮫、平目及び鱸などの魚類、牛、豚、馬及び羊などの哺乳類、鶏、鵞鳥、七面鳥及び鴨などの鳥類などから抽出されたコラーゲンであり得るが、これらに限定されることはない。

前記コラーゲンは、組成物の総重量に対して０．１〜２０重量％含むことができ、望ましくは０．５〜１５重量％含むことができ、より望ましくは０．５〜１０重量％含むことができる。

本発明において、前記ヒアルロン酸はβ（１→４）グリコシド結合を通じてＮ‐アセチルＤグルコサミン（ＧｌｃＮＡｃ）とＤ‐グルクロン酸（ＧｌｃＡ）とが連結された二糖類の繰り返される構造を有する物質であり、二糖体はβ（１→３）結合を通じてヒアルロン酸を形成する。ヒアルロン酸は、これらに限定されないが、脊椎動物の殆どすべての組織、例えば、胎盤、滑液、ガラス体液、トサカなどに存在し、連結組織部位、すなわち肌、滑液などに多量存在する。

前記ヒアルロン酸は、組成物の総重量に対して０．００００１〜１重量％含むことができ、望ましくは０．００００５〜０．５重量％含むことができ、より望ましくは０．０００１〜０．１重量％含むことができる。

本発明において、前記鶏冠抽出物、すなわちトサカ抽出物はトサカから抽出された抽出物のことを言い、前記トサカは鶏の種類に関係なく如何なるトサカでも使用することができる。前記鶏冠抽出物は、当業界の通常の抽出方法で製造でき、例えば、加水分解酵素を処理して抽出することができる。前記鶏冠抽出物は、ヒアルロン酸を０．１〜１５重量％含むことができるが、これに限定されることはない。

前記鶏冠抽出物は、組成物の総重量に対して０．０１〜１０重量％含むことができ、望ましくは０．０５〜５重量％含むことができ、より望ましくは０．１〜３重量％含むことができる。

本発明において、前記ゲランガムは、これらに限定されないが、炭水化物に微生物（例えば、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓｅｌｏｄｅａ）を培養して生成でき、ラムノース、グルクロン酸及びブドウ糖が１：１：２で構成されたヘテロ多糖類である。微生物を直接培養して製造でき、商業的に利用可能なゲランガムを使用することができる。

望ましくは、前記ゲランガムの中でも、本発明者らは下記化学式２で示される低アシルゲランガムを使用し、セラミド、及びセラミドとともに沈殿される成分が含まれた組成物において沈殿安定性が向上することを実験的に確認した。

ここで、前記ｎは、５０〜２０００であり、望ましくは５０〜１５００、より望ましくは１００〜１０００である。

望ましくは、前記低アシルゲランガムの分子量は、１×１０^５〜７×１０^５ダルトン（ｄａｌｔｏｎ）であり得、より望ましくは１×１０^５〜５×１０^５ダルトンであり得る。

すなわち、本発明らは、セラミド；及びコラーゲン、ヒアルロン酸及び鶏冠抽出物からなる群より選択されるいずれか１つ以上を含み、セラミドとともに沈殿される成分が含まれた組成物に、前記ゲランガム、望ましくは低アシルゲランガムを添加する場合、官能的特性に影響を与えず、且つ、沈殿安定性が著しく向上することを実験的に確認した。

前記ゲランガムは、組成物の総重量に対して０．０００１〜１重量％含むことができ、望ましくは０．０００５〜１重量％含むことができ、より望ましくは０．００１〜０．５重量％含むことができる。

本発明の一態様において、本発明は、セラミド；及びコラーゲン、ヒアルロン酸及び鶏冠抽出物からなる群より選択されるいずれか１つ以上を含む食品組成物において、ゲランガムを含むことで沈殿安定性が向上した食品組成物、望ましくは飲料組成物を提供する。

本発明の食品は、当業界で通常使用される方法によって製造可能であり、製造時には当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。

例えば、前記組成物は、食品組成物に通常使用されて匂い、味、美観などを向上できる追加成分を含むことができる。例えば、糖、ビタミンＡ、Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｂ_１、Ｂ_２、Ｂ_６、Ｂ_１２、ナイアシン（ｎｉａｃｉｎ）、ビオチン（ｂｉｏｔｉｎ）、葉酸（ｆｏｌａｔｅ）、パントテン酸（ｐａｎｔｈｏｔｅｎｉｃａｃｉｄ）などを含むことができる。前記糖には、単糖類、二糖類、多糖類などが含まれ、例えば、ブドウ糖、乳糖、トレハロース、キシリトールなどが含まれる。また、亜鉛（Ｚｎ）、鉄（Ｆｅ）、カルシウム（Ｃａ）、クロム（Ｃｒ）、マグネシウム（Ｍｇ）、マンガン（Ｍｎ）、銅（Ｃｕ）などのミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。また、防腐剤（ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど）、殺菌剤（漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウムなど）、酸化防止剤（ブチルヒドロキシアニソール（ＢＨＡ）、ブチルヒドロキシトルエン（ＢＨＴ）など）、着色剤（タール色素など）、発色剤（亜窒酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなど）、漂白剤（亜硫酸ナトリウム）、調味料（ＭＳＧ（グルタミン酸ナトリウム）など）、甘味料（ズルチン、シクラメート、サッカリン、ナトリウムなど）、香料（果実香、バニリン、ラクトン類など）、膨張剤（ミョウバン、Ｄ‐酒石酸水素カリウムなど）、強化剤、乳化剤、増粘剤（糊料）、被膜剤、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物（ｆｏｏｄａｄｄｉｔｉｖｅｓ）を添加することができる。前記添加物は食品の種類に合わせて選別され、適切な量で使用される。

その他、残量の水が含まれる。

本発明による組成物は、セラミド；及びコラーゲン、ヒアルロン酸、鶏冠抽出物などの成分が含まれても、沈殿安定性に優れ、食品組成物、望ましくは飲料組成物に活用することができる。

以下、本発明の理解を助けるために実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲が下記実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。

実施例１〜３の製造：セラミド含有飲料の製造
精製水を加熱した後、低アシルゲランガムを０．００５、０．０１、０．１重量％ずつそれぞれ入れて溶解させ、実施例１〜３の安定剤として使用した。完全に溶解して溶液が透明になれば、表１に示した組成でパイナップル抽出物及びコラーゲン、鶏冠抽出物、糖類、香料を添加し溶解した。配合が完了すれば、均質、殺菌過程を経てガラス瓶に充填して飲料を製造した。ゲランガムは市販の製品を購入して使用し、セラミドは丸善製薬株式会社製のパイナップルセラミド乳化液を、コラーゲンと鶏冠抽出物はＡＰＩ社製の原料を、糖類及び香料は市販の製品を購入して使用した。

比較例１〜５の製造：セラミド含有飲料の製造
比較例１〜５の飲料は、安定剤の組成を変化させたことを除いて、上記実施例１〜３と同じ方法で製造した。安定剤としては、飲料に使用される代表的な安定剤である高アシルゲランガム（ｈｉｇｈａｃｙｌｇｅｌｌａｎｇｕｍ）、キサンタンガム、ペクチン、大豆多糖類を使用して比較例を製造した。実施例１〜３及び比較例１〜５の組成を表１に示した。安定剤は市販の安定剤を購入して使用した。

実験例１：沈殿安定性の確認
本発明による飲料組成物の沈殿安定性を確認するため、実施例１〜３及び比較例１〜５を製造して４０℃、７５％の湿度条件で４ヶ月間観察し、沈殿安定性を確認した。その結果を下記表２に示した。

その結果、表２のように、実施例１〜３を除いた他の比較群では沈殿が観察され、特にすべての比較例で１０日内に沈殿が発生した。実施例１〜３は、苛酷条件下でも４ヶ月間沈殿が発生せず、安定的な性状を維持できることが確認された。

実験例２：官能評価
実施例１〜３及び比較例１〜５で製造した飲料の官能評価を行った。

本実験は、大田地域に居住し、飲料タイプ健康機能食品を飲んだ経験のある２０〜４０代２０人を対象にして、ボディ感、香及び味に対して調査した値を下記表３に示した。官能評価は、製造後１０日が経過した実施例１〜３及び比較例１〜５に対し、振ってから飲んだ場合とそのまま飲んだ場合とに分けて実験した。

「非常に良い」を５点、「良い」を４点、「普通」を３点、「不満足」を２点、「非常に不満足」を１点とし、５点尺度法で評価した。

その結果、表３に示したように、沈殿が生じた比較例１〜５の場合、そのまま飲んだとき、ボディ感を含めて全般的な官能が著しく低下したが、実施例１〜３の場合は沈殿が生じないため、飲用の方法による官能の差がなかった。

実施例４〜６の製造：セラミド含有飲料の製造
精製水を加熱した後、低アシルゲランガムを０．０１重量％入れて溶解させ、実施例４〜６の安定剤として使用した。完全に溶解して溶液が透明になれば、沈殿を誘発する物質を調査するため、セラミドを必ず含み、コラーゲンと鶏冠抽出物の一方あるいは両方を含まない実施例４〜６を配合した。セラミド、コラーゲン及び鶏冠抽出物を全て含む飲料の組成は、実施例２を参考した。沈殿に影響を与えず、完全に溶解する糖類及び香料は一緒に配合し、配合が完了すれば、均質、殺菌過程を経てガラス瓶に充填して飲料を製造した。ゲランガム及びキサンタンガムは市販の製品を購入して使用し、パイナップルセラミドは丸善製薬株式会社製のパイナップルセラミド乳化液を、コラーゲンと鶏冠抽出物はＡＰＩ社製の原料を、糖類及び香料は市販の製品を購入して使用した。

比較例６〜９の製造：セラミド含有飲料の製造
沈殿防止剤の役割を調査するため、ゲランガム及びキサンタンガムを含まないことを除いて、上記実施例４〜６と同じ方法で飲料を製造した。比較例の組成は下記表４に示した。

実験例３：沈殿安定性の確認
実施例４〜６及び比較例６〜９を製造して４０℃、７５％の湿度条件で４ヶ月間観察し、沈殿安定性を確認した。その結果を下記表５に示した。

表５に示されたように、実施例４〜６、比較例６を除いた他の比較群では沈殿が生じ、安定性に問題があることが確認された。すなわち、パイナップルセラミドは単独で飲料に含まれる場合には問題がないが、コラーゲンまたは鶏冠抽出物とともに含まれているときは沈殿を誘発し、これは低アシルゲランガムで抑制可能であることが確認できた。

Claims

セラミドと、
コラーゲン、ヒアルロン酸及び鶏冠抽出物からなる群より選択されるいずれか１つ以上とを含む食品組成物において、
ゲランガムを含むことで沈殿安定性が向上した食品組成物。
前記セラミドは、糖セラミドであることを特徴とする請求項１に記載の食品組成物。
前記セラミドは、パイナップル由来のセラミドであることを特徴とする請求項１に記載の食品組成物。
前記セラミドは、組成物の総重量に対して０．０００００１〜５重量％含まれることを特徴とする請求項１に記載の食品組成物。
前記ゲランガムは、下記化学式２で示される低アシルゲランガムであることを特徴とする請求項１に記載の食品組成物：
ここで、前記ｎは、５０〜２０００である。
前記ゲランガムは、組成物の総重量に対して０．０００１〜１重量％含まれたことを特徴とする請求項１に記載の食品組成物。
前記食品は、飲料であることを特徴とする請求項１ないし請求項６のうちいずれか１項に記載の食品組成物。