JP6761363B2 - 粉末飲料組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
このように、流動性が低下しやすい原料を粉末清涼飲料等に用いると、混合不良等の製造上の問題や溶解性の低下等の使用性の問題が生じる懸念がある。
従って、コンドロイチン等を原料として含有する機能性食品を粉末飲料として市販する場合、消費者の傾向や改善効果を鑑みて、流動性を改善する添加剤として、食品として表示可能な原料が望まれている。
〔1〕(A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれか、並びに(B)成分:HMB、を含有する粉末飲料組成物。
〔2〕前記(A)成分における前記コンドロイチンが、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンである上記〔1〕に記載の粉末飲料組成物。
〔3〕(C)成分:グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種、をさらに含有する上記〔1〕又は〔2〕に記載の粉末飲料組成物。
〔4〕(A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれか、並びに(B)成分:HMB、を含有する流動性改善剤。
〔5〕(A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれか、並びに(B)成分:HMB、を含有する溶解性改善剤。
〔6〕前記(A)成分における前記コンドロイチンが、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンである上記〔4〕又は〔5〕に記載の剤。
〔7〕(C)成分:グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種を、さらに含有する上記〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の剤。
〔8〕(A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれかを含有する組成物の流動性及び溶解性の少なくともいずれかを改善する方法であって、(B)成分:HMBを加える方法。
〔9〕前記(A)成分における前記コンドロイチンが、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンである上記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記組成物が、(C)成分:グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種、をさらに含有する上記〔8〕又は〔9〕に記載の方法。
本発明の粉末飲料組成物は、(A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれか、並びに(B)成分:HMBを含有する。
本発明の粉末飲料組成物は、(A)成分を含有することで、膝関節のクッション性を高める機能性食品として利用し得る。なお、(A)成分は、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種であり、通常、流動性や溶解性に劣る成分である。
また、本発明の粉末飲料組成物は、(B)成分を含有することで、流動性や溶解性に劣る(A)成分を含有する粉末飲料組成物であっても、流動性及び溶解性の少なくともいずれかを改善し得る。
しかしながら、流動性と溶解性を改善する添加剤としてHMBが不適切と考えられる中、本発明者等が、(A)成分とHMBを含有する粉末飲料組成物を製造したところ、流動性と溶解性が改善することを見出した。
(C)成分として、コラーゲンを含有する場合、粉末飲料組成物の流動性や溶解性をさらに改善し得る。また、機能性食品としての膝関節のクッション性を一層改善し得る。
(C)成分として、グルコサミンを含有する場合、粉末飲料組成物の流動性や溶解性をさらに改善し得る。また、膝関節の痛みを軽減させる機能性食品としても利用し得る。
(A)成分は、コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれかである。(A)成分は、軟骨を構成する成分であり、吸水性が高く、膝関節のクッション性を高める働きがあることが知られており、機能性食品として使用される成分である。
コンドロイチンは、コンドロイチン硫酸として人体にも広く分布しており、特に、関節部の軟骨や皮膚に多く含まれることから、変形性関節症の改善や皮膚の美容等の効果を目的とした健康食品に利用されている。本発明の粉末飲料組成物の(A)成分として用いられるコンドロイチンは、ヘキソサミン及びウロン酸からなるムコ多糖の一種であるコンドロイチンに加え、その硫酸エステルであるコンドロイチン硫酸、更にその生理学的に許容な塩(例えば、ナトリウム塩など)を含む。コンドロイチンは、角膜、水晶体、毛様体筋、硝子体、軟骨、骨、腱、血管壁、皮膚等にタンパク質と結合した状態で多く含まれており、コンドロイチン−タンパク質複合体を用いることもできる。
コンドロイチンは、動物の軟骨等から得ることができるが、化学合成したもの、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。また、精製したコンドロイチン以外にも、成分としてコンドロイチンを含有するものであれば、例えば、軟骨の粉末や軟骨抽出物も使用することもできる。
コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物とは、例えばサメ軟骨を細断し、水等の溶剤中で蛋白分解酵素により処理して抽出し、吸着や濾過等の方法で精製し、デキストリン等の賦形剤を加えてスプレー乾燥等の方法により粉末状としたものが挙げられる。コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物の主要成分は分子量10万から数10万程度の多糖類であるコンドロイチン硫酸ナトリウムである。
コンドロイチンとしてコンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンを用いる場合、例えば、コンドロイチンを20%含有しているコンドロイチン含有サメ軟骨抽出物(例えば、マルハニチロ食品社製 SC20)の場合、大人1人あたり、1日1〜3000mg、好ましくは50〜1000mgとなることを目安として決めることができる。コンドロイチンの配合量は、例えば、マルハニチロ食品社製 SC20の場合、粉末飲料組成物の全質量に基づいて、通常、0.02〜99質量%であり、好ましくは0.5〜70質量%であり、より好ましくは4〜50質量%である。
ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンとの二糖繰り返し単位から構成されている高分子の長鎖の多糖である。本発明の(A)成分として用いられ得るヒアルロン酸の平均分子量は、下記の方法により求めた値として定義される。
比粘度=[(試料溶液の所要流下秒数)/(0.2mol/lの塩化ナトリウム溶液の所要流下秒数)]−1
還元限度=比粘度/(本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100ml))
極限粘度=3.6×10-4M0.78
M:平均分子量
(B)成分は、3−ヒドロキシイソ吉草酸(3−Hydroxy−3−MethylButyrate,β−Hydroxy−β−Methylbutyrate)及び/又はその塩であり、ロイシンの代謝産物である。また、筋量や筋力の増加に効果のある筋肉ケア素材として利用され、食品に分類される。
HMBとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、製品名HMB協和(協和発酵バイオ社製)、小林HMBパウダー(小林香料社製)が挙げられる。
HMBの配合量は、粉末飲料組成物の全質量に基づいて、通常、0.99〜99質量%であり、好ましくは9〜99質量%であり、より好ましくは15〜91質量%である。また、HMBに対する(A)成分の質量比((A)/(B))は、通常、0.01〜100であり、好ましくは0.01〜2であり、より好ましくは0.1〜1であり、さらに好ましくは0.1〜0.5である。
(C)成分は、グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種である。(C)成分のうち、グルコサミンは、抗炎症作用や関節を構成しているプロテオグリカン量の維持に効果があり、グルコサミンを含有する粉末飲料組成物は、膝関節の痛みを軽減する機能性食品としても利用し得る。また、コラーゲンは、軟骨を構成する成分であり、吸水性が高く、本発明の粉末飲料組成物が機能性食品として謳う膝関節のクッション性を改善する機能をさらに高め得る。
本発明の(C)成分として用いられ得るグルコサミンは、その構造中に含まれる水素原子の1つ以上が他の置換基に置換してなる、グルコサミンの誘導体であってもよいが、グルコサミン自体であることが好ましい。グルコサミンは、その薬理学的に許容される塩を用いてもよい。グルコサミンやその薬理学的に許容される塩は、工業的には、例えばキチンを原料として加水分解することにより得られるが、化学合成したものや、あるいはこれらの混合物を用いることもできる。また、精製したグルコサミン以外にも、成分としてグルコサミンを含有するものであれば使用することができる。
グルコサミンの配合量は、粉末飲料組成物の全質量に基づいて、好ましくは8〜50質量%であり、より好ましくは20〜35質量%である。
本発明の(C)成分として用いられ得るコラーゲンは、I〜IV型のいずれであってもよく、コラーゲンペプチド等のその他のコラーゲンであってもよい。また、ウシ、ブタ、ニワトリ等の動物から調製する事が可能である。なお、本発明において(C)成分として用いられ得るコラーゲンは、他の成分として含まれるコラーゲン、例えば、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含まれるコラーゲン、は除くものとする。
コラーゲンの配合量は、粉末飲料組成物の全質量に基づいて、好ましくは0.2〜50質量%であり、より好ましくは4〜20質量%である。
本発明の粉末飲料組成物は、本発明の効果や機能を損なわない限り、他の任意成分を含有してもよい。例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸等の二酸化珪素、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポピドン、乳糖、コーンスターチ、タルク、粉糖、マンニトール、デキストリン等の賦型剤;ショ糖、砂糖、蜂蜜、ブドウ糖果糖液糖、ブドウ糖、甘草(グリチルリチン)、果糖、ソーマチン、麦芽糖、黒糖等の甘味料;クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、グルコン酸等の食品用有機酸や、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩等のナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、炭酸塩等のpH調整剤;ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、EDTA、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の合成抗酸化剤;カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン等のカロテノイド;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)等の抗酸化ビタミン類;カテキン、イソフラボン等のフラボノイド類;ポリフェノール類、またはそれらの誘導体、ローズマリー抽出物等の抗酸化剤;アロエ搾汁液、アマチャヅル、薬用人参等の薬効成分;リンゴ果汁、梅果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁等の果汁;リンゴ香料、梅香料、ミカン香料、グレープフルーツ香料等の香料が挙げられる。
本発明の流動性改善剤や本発明の溶解性改善剤は、上記の本発明の粉末飲料組成物の用途発明である。そのため、流動性や溶解性に劣る(A)成分を含有する粉末飲料であっても、食品として表示可能な(B)成分を含有するので、従来、消費者に好まれないという問題や使用量に制限がある、食品添加物の表示をする添加剤を使用しなくても、混合不良や溶解性の低下等の問題を解決することができる。
なお、他の詳細は、上記「1.粉末飲料組成物」に記載したことと同様である。
本発明の方法は、(A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれかを含有する組成物の流動性及び溶解性の少なくともいずれかを改善する方法であって、(B)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸及び/又はその塩を加える方法である。
(A)成分を含有する組成物に(B)成分を加える形態としては、特に限定されない。例えば、粉末の組成物に粉末の(B)成分を加える形態、いずれかの成分の液体(水溶液、アルコール溶液、スラリー等)に他の成分の粉末を加える形態、いずれかの成分の液体(水溶液、アルコール溶液、スラリー等)に他の成分の液体を加える形態が挙げられる。但し、液体を用いた場合は、乾燥を実施する。
なお、他の詳細は、上記「1.粉末飲料組成物」に記載したことと同様である。
◎:非常に良い
○:良い
●:やや良い
×:悪い
◎:1分以内
○:2分以内
●:5分以内
×:溶けない
HMBカルシウム(商品名「HMB協和」、協和発酵バイオ社製)
コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物(商品名「SC20」、マルハニチロ食品社製)
ヒアルロン酸(商品名「ヒアベストJ」、キューピー社製)
グルコサミン(商品名「Green Grown(発酵グルコサミン)」、ファイトファーマ社製)
コラーゲン(ニッピ社製)
結晶セルロース(商品名「セオラスUF−F711」、旭化成社製)
コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物100部、HMBカルシウム1部を混合し、透明瓶に入れ、40℃、相対湿度75%の条件で3日間静置した。この粉末を用いて流動性評価と溶解性評価を行った。評価結果を表1に記す。
(A)成分の種類、及び(A)成分と(B)成分の配合量を表1に記すよう変更した以外は、実施例1と同様にし、流動性評価と溶解性評価を行った。評価結果を表1に記す。
各成分を表2に記す配合処方に変更し、透明瓶に入れ、40℃、相対湿度75%の条件で3日間静置した。この粉末を用いて流動性評価と溶解性評価を行った。評価結果を表2に記す。
一方、表1より、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物を用いた(A)成分と食品の表示が可能な(B)成分を含有する本発明の粉末飲料組成物は、流動性及び溶解性が改善することがわかる(実施例1〜8)。また、(A)成分としてヒアルロン酸を用いて検討したところ、流動性及び溶解性はほぼ同程度に改善した(実施例9〜13)。さらに、(A)成分としてコンドロイチン含有サメ軟骨抽出物とヒアルロン酸を併用した場合であっても、流動性及び溶解性が改善した(実施例14〜21)。
各成分を表3に記す配合処方に変更し、透明瓶に入れ、40℃、相対湿度75%の条件で3日間静置した。この粉末を用いて流動性評価と溶解性評価を行った。評価結果を表3に記す。
デキストリン(商品名「パインデックス100」、松谷化学工業社製)
クエン酸(商品名「クエン酸」、磐田科学工業社製)
ショ糖(商品名「スクロース」、和光純薬工業社製)
Claims (10)
- (A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれか、並びに
(B)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸及び/又はその塩、を含有する粉末飲料組成物。 - 前記(A)成分における前記コンドロイチンが、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンである請求項1に記載の粉末飲料組成物。
- (C)成分:グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種、をさらに含有する請求項1又は2に記載の粉末飲料組成物。
- 3−ヒドロキシイソ吉草酸及び/又はその塩を有効成分として含有する、コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれかを含有する組成物の流動性改善剤。
- 3−ヒドロキシイソ吉草酸及び/又はその塩を有効成分として含有する、コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれかを含有する組成物の溶解性改善剤。
- 前記コンドロイチンが、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンである請求項4又は5に記載の剤。
- グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種を、有効成分としてさらに含有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の剤。
- (A)成分:コンドロイチン及びヒアルロン酸の少なくともいずれかを含有する組成物の流動性及び溶解性の少なくともいずれかを改善する方法であって、
(B)成分:3−ヒドロキシイソ吉草酸及び/又はその塩を加える方法。 - 前記(A)成分における前記コンドロイチンが、コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物に含有されるコンドロイチンである請求項8に記載の方法。
- 前記組成物が、(C)成分:グルコサミン及び/又はその塩、並びにコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種、をさらに含有する請求項8又は9に記載の方法。
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