JP2018014208A - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池特性を維持しながら保存安定性(耐候性)を向上させたリチウムイオン電池用正極活物質を提供することを目的とする。【解決手段】リチウムイオン電池正極材料であるリチウム複合酸化物であって、リチウム複合酸化物粒子の表面に、該リチウム複合酸化物粒子よりも結晶性の低い被覆層を含み、該被覆層が少なくともCoが含まれるリチウム複合酸化物であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な非水系電解質二次電池用正極活物質の開発が強く望まれている。また、ハイブリット自動車を始めとする電気自動車用の電池として高出力の二次電池の開発が強く望まれている。このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質として、リチウムを脱離および挿入することが可能な材料が用いられている。
かかるリチウムイオン二次電池の正極材料として、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)やコバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)などが挙げられる。特に、このリチウムニッケル複合酸化物はリチウムコバルト複合酸化物より低い電気化学ポテンシャルを示すため、電解液の酸化による分解が問題になりにくく、より高容量が期待でき、コバルト系と同様に高い電池電圧を示すことから開発が盛んに行われている。しかしながら、リチウムニッケル複合酸化物は、純粋にNiのみで合成した材料を正極活物質としてリチウムイオン二次電池を作製した場合、空気中の水分と反応し、活物質表面が劣化することによって電池特性が低下する欠点を有しており、取り扱いが困難である。
このような欠点を解決するために、特許文献1では、結晶性の良い水酸化コバルトで粒子表面を均一に被覆したものや、特許文献2のように、粒子表面に結晶性の金属ハロゲン化物の状態で存在するハロゲンと粒子内部の酸素原子を置換した固溶体の状態で存在させることによって保存安定性(耐候性)を向上させることが知られている。
前述のように、表面を被覆することで大気暴露を抑制することによって保存安定性(耐候性)を向上させる方法が知られているが、例えば特許文献1のように、表面を水酸化コバルトで被覆することによって耐候性を向上させる、あるいは特許文献2のように粒子表面に結晶性の金属ハロゲン化物の状態で存在するハロゲンと粒子内部の酸素原子を置換した固溶体の状態で存在させる場合、水酸化コバルトや金属ハロゲン化物は充放電に寄与しないため、被覆した物質量分エネルギー密度が低下する。さらに、表面の被覆層は充放電の抵抗層となるため、電池特性が低下する問題があった。
そこで本発明の目的は、電池特性を維持しながら保存安定性(耐候性)を向上させたリチウムイオン電池用正極活物質を提供することにある。
本発明者は鋭意検討し、正極活物質表面を少なくともCoを含む低結晶性あるいは非晶質のリチウム複合酸化物で被覆層を形成することに想到した。該被覆層はリチウム複合酸化物であることから充放電に寄与するため、エネルギー密度の低下が抑制され、耐候性が向上することを見出した。さらに大気暴露後の正極活物質の抵抗上昇を抑制できる効果があることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、リチウムイオン電池正極材料であるリチウム複合酸化物であって、
リチウム複合酸化物粒子の表面に、該リチウム複合酸化物粒子よりも結晶性の低い被覆層を含み、
該被覆層が少なくともCoが含まれるリチウム複合酸化物であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
リチウム複合酸化物粒子の表面に、該リチウム複合酸化物粒子よりも結晶性の低い被覆層を含み、
該被覆層が少なくともCoが含まれるリチウム複合酸化物であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
また、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウム複合酸化物粒子のスラリー中に少なくともCoを含む金属塩の水溶液とアルカリ水溶液を添加してリチウム複合酸化物粒子表面に少なくともCoを含む金属の水酸化物からなる被覆層を設け、該被覆層を設けたリチウム複合酸化物粒子のスラリーにLi化合物水溶液と過酸化水素水を添加して少なくともCoを含む金属の水酸化物とリチウム化合物を反応させて、少なくともCoを含むリチウム複合酸化物からなる被覆層を得ることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明においては、さらに前記少なくともCoを含むリチウム複合酸化物からなる被覆層を含む正極活物質を120℃以上400℃以下で焼成することが好ましい。
本発明により、リチウム複合酸化物(活物質)の表面に結晶性の低いあるいは非晶質の少なくともCoを含むリチウム複合酸化物を被覆することによって電池特性を維持しながら保存安定性(耐候性)の向上した非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。
以下、本発明について、(1)非水系電解質二次電池用正極活物質、(2)非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法、および、(3)非水系電解質二次電池に分けて詳細に説明する。
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、該正極活物質の表面に、少なくともCoを含む低結晶性あるいは非晶質のリチウム複合酸化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする。このような正極活物質は、少なくともCoを含む低結晶性あるいは非晶質のリチウム複合酸化物からなる被覆層により耐候性が向上する。また、正極抵抗の変化が抑制される。
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、該正極活物質の表面に、少なくともCoを含む低結晶性あるいは非晶質のリチウム複合酸化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする。このような正極活物質は、少なくともCoを含む低結晶性あるいは非晶質のリチウム複合酸化物からなる被覆層により耐候性が向上する。また、正極抵抗の変化が抑制される。
被覆層は少なくともCoを含むリチウム複合酸化物であり、上記リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)であると好ましい。被覆層がリチウム複合酸化物であることから充放電に寄与するため、エネルギー密度の低下が抑制される。また、Coを含むことから、他のリチウム複合酸化物より保存安定性(耐候性)に優れ、大気暴露後の抵抗上昇を抑制できる効果があると考えられる。
また被覆層のリチウム複合酸化物は低結晶性であるか非晶質である。低結晶性または非晶質のリチウム複合酸化物は、リチウムの拡散パスが高結晶性のものより多く、リチウムの挿入脱離の頻度因子が増加することによって抵抗が下がると考えられる。
リチウム複合酸化物の結晶性は電子線回折により確認できる。ビーム径を1nmに絞り、リチウム複合酸化物粒子および被覆層に当てたときの回折線強度を比較すると被覆層の方は結晶性が低いため、リチウム複合酸化物粒子と比べて回折線強度が弱くなることで判断が可能である。
正極活物質は1μm以下の一次粒子が複数集合した球状の二次粒子からなり、被覆層は、正極活物質の一次粒子と二次粒子の表面に存在する。表面の一部をコートしていれば効果は得られるが、粒子表面全体を被覆することが好ましい。
被覆層の厚さは100〜200nmであることが好ましい。被覆層が100nm未満では耐候性が劣る傾向にあり、また、200nmを超えると、抵抗層となり、電池特性が低下する傾向にある。
(2)非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、被覆工程を備えることを特徴とする。以下、LiCoO2からなる被覆層を設ける例を元に説明する。
(2−1)リチウム複合酸化物の製造工程
まずリチウム複合酸化物(正極活物質)の製造方法を説明する。原料として、硫酸ニッケル等の金属化合物の水溶液を用意し、アルカリを加えて晶析することにより複合金属水酸化物を合成する。合成方法は公知の方法であれば特に限定されない。
(2)非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、被覆工程を備えることを特徴とする。以下、LiCoO2からなる被覆層を設ける例を元に説明する。
(2−1)リチウム複合酸化物の製造工程
まずリチウム複合酸化物(正極活物質)の製造方法を説明する。原料として、硫酸ニッケル等の金属化合物の水溶液を用意し、アルカリを加えて晶析することにより複合金属水酸化物を合成する。合成方法は公知の方法であれば特に限定されない。
得られた複合金属水酸化物は、そのまま、あるいは仮焼して複合金属酸化物とした後にリチウム化合物と混合して焼成し、リチウム複合酸化物とする。添加するリチウム化合物は特に限定されないが、取り扱いや入手のしやすさなどから、水酸化リチウムや炭酸リチウムを用いることが好ましい。
(2−2)被覆工程
リチウム複合酸化物と純水を混合し、スラリーを調整する。スラリーの濃度は200g/L〜2500g/Lであると好ましい。スラリー濃度が低いと生産効率が悪化し、また、スラリー濃度が高すぎると撹拌性に問題がある。
(2−2)被覆工程
リチウム複合酸化物と純水を混合し、スラリーを調整する。スラリーの濃度は200g/L〜2500g/Lであると好ましい。スラリー濃度が低いと生産効率が悪化し、また、スラリー濃度が高すぎると撹拌性に問題がある。
次に、スラリーを75℃に昇温し、スラリーのpHを9.0となるように調整する。そして、pHとスラリー温度を保ちながら、スラリー液を攪拌し、所定量の硫酸コバルト溶液及び水酸化ナトリウム溶液を同時に滴下し、リチウム複合酸化物表面に水酸化コバルトを被覆させる。前記スラリーを濾過・乾燥することで、表面に水酸化コバルトが被覆されたリチウム複合酸化物の粉末が得られた。なお、pHの値は、加熱したスラリー液をそのまま測定して得られたものである。
得られた表面に水酸化コバルトが被覆されたリチウム複合酸化物の粉末と純水を反応容器に投入し、スラリーを配合した。スラリー濃度は500〜2000g/Lであると好ましい。スラリーの混合攪拌を行いながら過酸化水素水と水酸化リチウムを加え、常温で反応させた。反応終了後、濾過・洗浄・乾燥し、リチウム複合酸化物コート活物質を得た。
得られたリチウム複合酸化物コート活物質は、120℃以上400℃未満で焼成することが好ましい。400℃未満で焼成することで被覆層の結晶性がリチウム複合酸化物粒子よりも低くすることができる。また、120℃以上で焼成すると、被覆層の剥離が起こりにくくなる。焼成中の雰囲気については特に限定されるものではないが、酸素雰囲気下が好ましい。
実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(リチウム複合酸化物(正極活物質))
正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)を合成した。まず、1500g/Lとなるように硫酸ニッケル水溶液撹拌し、そこにpHが11.0となるように25%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、晶析反応により水酸化ニッケルを生成させた。得られた水酸化ニッケルを濾過洗浄し、その後、乾燥し粉砕して水酸化ニッケル粉末を得た。
(実施例1)
(リチウム複合酸化物(正極活物質))
正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)を合成した。まず、1500g/Lとなるように硫酸ニッケル水溶液撹拌し、そこにpHが11.0となるように25%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、晶析反応により水酸化ニッケルを生成させた。得られた水酸化ニッケルを濾過洗浄し、その後、乾燥し粉砕して水酸化ニッケル粉末を得た。
得られた水酸化ニッケル粉末と水酸化リチウム一水和物を、リチウムと金属とのモル比が1:1となるように秤量し、十分に混合した後、酸素気流中、350℃で仮焼した後、800℃で20時間焼成し、室温まで炉冷して、リチウムニッケル複合酸化物であるLiNiO2を得た。
(水酸化コバルトが被覆されたリチウムニッケル複合酸化物)
前記リチウムニッケル複合酸化物950gを純水により1500g/Lスラリー液となるように調整し、その液を75℃まで昇温した。さらに、このスラリー液をpH9.0(75℃測定)となるように60%硫酸溶液を添加して調整した。
(水酸化コバルトが被覆されたリチウムニッケル複合酸化物)
前記リチウムニッケル複合酸化物950gを純水により1500g/Lスラリー液となるように調整し、その液を75℃まで昇温した。さらに、このスラリー液をpH9.0(75℃測定)となるように60%硫酸溶液を添加して調整した。
次に、pH9.0、温度75℃に保ちながら、スラリー液を激しく攪拌してリチウム複合酸化物(活物質)表面に水酸化コバルトが1重量%析出するように、10重量%の硫酸コバルト溶液及び25重量%の水酸化ナトリウム溶液を同時に滴下した。これにより、表面に水酸化コバルトが被覆された正極活物質のスラリー液を得た。上記スラリー液を濾過・乾燥し表面に水酸化コバルトが被覆されたリチウムニッケル複合酸化物の粉末が得られた。
(リチウム複合酸化物コート正極活物質)
上記水酸化コバルトが被覆されたリチウムニッケル複合酸化物の粉末を1500g/Lとなるように反応容器に投入し、次いで、攪拌機を用いて十分に混合攪拌を行いながら30%過酸化水素水と、水酸化リチウムをそれぞれ被覆された水酸化コバルトの1.4倍当量となるように加え、常温で攪拌を続けた。攪拌終了後、濾過・洗浄・乾燥し、リチウム複合酸化物コート正極活物質を得た。
(リチウム複合酸化物コート正極活物質)
上記水酸化コバルトが被覆されたリチウムニッケル複合酸化物の粉末を1500g/Lとなるように反応容器に投入し、次いで、攪拌機を用いて十分に混合攪拌を行いながら30%過酸化水素水と、水酸化リチウムをそれぞれ被覆された水酸化コバルトの1.4倍当量となるように加え、常温で攪拌を続けた。攪拌終了後、濾過・洗浄・乾燥し、リチウム複合酸化物コート正極活物質を得た。
その後、得られたリチウムニッケル複合酸化物コート活物質を300℃、14時間、酸素雰囲気下で熱処理した。
得られたリチウム複合酸化物コート正極活物質を電子線回折(株式会社日立製作所製、型番:HF−2200)により測定し、リチウムニッケル複合酸化物粒子および被覆層の回折強度を比較し、被覆層の回折強度が弱くなっていることを確認した。
(二次電池の作製)
上述のようにして得られたリチウムニッケル複合酸化物コート活物質:52.5mgと、アセチレンブラック:15mgと、PTEE:7.5mgを混合し、100MPaの圧力で、直径11mm、厚さ100μmにプレス成形した後、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥することにより、正極を作製した。
(二次電池の作製)
上述のようにして得られたリチウムニッケル複合酸化物コート活物質:52.5mgと、アセチレンブラック:15mgと、PTEE:7.5mgを混合し、100MPaの圧力で、直径11mm、厚さ100μmにプレス成形した後、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥することにより、正極を作製した。
次に、この正極を用いて2032型コイン電池を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。この2032型コイン電池の負極には、直径17mm、厚さ1mmのリチウム金属を用い、電解液には、1MのLiClO4を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。また、セパレータには、膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。なお、2032型コイン電池は、ガスケットを有し、正極缶と負極缶とでコイン状の電池に組み立てられたものである。
(電池評価)
[放電容量]
2032型コイン電池を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2として、カットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行ない、初期放電容量を求めた。この際、充放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
(電池評価)
[放電容量]
2032型コイン電池を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2として、カットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行ない、初期放電容量を求めた。この際、充放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
[正極抵抗]
充電電位4.1Vで充電した2032型コイン電池を用いて、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製)を使用し、ナイキストプロットを得た。プロットは、溶液抵抗、負極抵抗と容量、および、正極抵抗と容量を示す特性曲線の和として表れているため、等価回路を用いてフィッティング計算し、正極抵抗の値を算出した。
(大気暴露後放電容量)
上記リチウム複合酸化物コート活物質を温度80℃湿度60%RHの高温高湿下に24時間暴露(以下、大気暴露)し、上記放電容量と上記正極抵抗の値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
熱処理温度を120℃酸素雰囲気下とした以外は実施例1と同様にし、実施例2に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
充電電位4.1Vで充電した2032型コイン電池を用いて、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製)を使用し、ナイキストプロットを得た。プロットは、溶液抵抗、負極抵抗と容量、および、正極抵抗と容量を示す特性曲線の和として表れているため、等価回路を用いてフィッティング計算し、正極抵抗の値を算出した。
(大気暴露後放電容量)
上記リチウム複合酸化物コート活物質を温度80℃湿度60%RHの高温高湿下に24時間暴露(以下、大気暴露)し、上記放電容量と上記正極抵抗の値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
熱処理温度を120℃酸素雰囲気下とした以外は実施例1と同様にし、実施例2に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
得られたリチウム複合酸化物コート活物質を電子線回折により測定し、リチウム複合酸化物粒子および被覆層の回折強度を比較し、被覆層の回折強度が弱くなっていることを確認した。
(実施例3)
乾燥後の熱処理を実施しない以外は実施例1と同様にし、実施例3に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
(実施例3)
乾燥後の熱処理を実施しない以外は実施例1と同様にし、実施例3に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
得られたリチウム複合酸化物コート活物質を電子線回折により測定し、リチウム複合酸化物粒子および被覆層の回折強度を比較し、被覆層の回折強度が弱くなっていることを確認した。
(実施例4)
熱処理温度を400℃とした以外は実施例1と同様にし、実施例4に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
(実施例4)
熱処理温度を400℃とした以外は実施例1と同様にし、実施例4に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
得られたリチウム複合酸化物コート活物質を電子線回折により測定し、リチウム複合酸化物粒子および被覆層の回折強度を比較し、被覆層の回折強度が弱くなっていることを確認した。
(比較例1)
リチウム複合酸化物コートをしていないリチウムニッケル複合酸化物を大気暴露し、上記放電容量と上記正極抵抗の値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例2)
熱処理温度を700℃酸素雰囲気下とした以外は実施例1と同様にし、比較例2に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
(比較例1)
リチウム複合酸化物コートをしていないリチウムニッケル複合酸化物を大気暴露し、上記放電容量と上記正極抵抗の値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例2)
熱処理温度を700℃酸素雰囲気下とした以外は実施例1と同様にし、比較例2に係るリチウム複合酸化物コート活物質を得た。
得られたリチウム複合酸化物コート活物質を電子線回折により測定し、リチウム複合酸化物粒子および被覆層の回折強度を比較し、被覆層の回折強度がリチウムニッケル複合酸化物粒子と同等であることを確認した。
(結果)
実施例1〜4では、リチウム複合酸化物コート活物質表面のリチウム複合酸化物コートが低結晶性であることによって、表1に示すように大気暴露後の放電容量の低下、および正極抵抗の上昇を抑制していることから、耐候性は良好であることが確認された。また、大気暴露前の電池特性は、被覆層を設けていない比較例1と同等であることから、被覆層は電池特性に影響していないことが確認された。
(結果)
実施例1〜4では、リチウム複合酸化物コート活物質表面のリチウム複合酸化物コートが低結晶性であることによって、表1に示すように大気暴露後の放電容量の低下、および正極抵抗の上昇を抑制していることから、耐候性は良好であることが確認された。また、大気暴露前の電池特性は、被覆層を設けていない比較例1と同等であることから、被覆層は電池特性に影響していないことが確認された。
比較例1では、リチウム複合酸化物コート活物質表面が被覆されていないため、空気中の水分と反応し、リチウム複合酸化物コート活物質表面が劣化することによって、表1に示すように大気暴露後の放電容量は大きく低下し、正極抵抗も大きく上昇した。
比較例2では、リチウム複合酸化物コート活物質表面に結晶性の良いリチウム複合酸化物コートが被覆されているため、Liの挿入脱離の頻度因子が低下し、表1に示すように大気暴露前から正極抵抗は比較例1であるコート無しリチウム複合酸化物の試料より高く、放電容量も低くなった。
Claims (3)
- リチウムイオン電池正極材料であるリチウム複合酸化物であって、
リチウム複合酸化物粒子の表面に、該リチウム複合酸化物粒子よりも結晶性の低い被覆層を含み、
該被覆層が少なくともCoが含まれるリチウムコバルト複合酸化物であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。 - リチウムコバルト複合酸化物からなる被覆層を含む正極活物質の製造方法であって、
リチウム複合酸化物粒子のスラリー中に少なくともCoを含む金属塩の水溶液とアルカリ水溶液を添加してリチウム複合酸化物粒子表面にCo含有金属水酸化物からなる被覆層を設け、該被覆層を設けたリチウム複合酸化物粒子のスラリーにLi化合物水溶液と過酸化水素水を添加してCo含有金属水酸化物とリチウム化合物を反応させて、リチウムコバルト複合酸化物からなる被覆層を得ることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記リチウムコバルト複合酸化物からなる被覆層を含む正極活物質を、さらに120℃以上400℃以下で焼成することを特徴とする請求項2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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JP2022521211A (ja) * | 2019-02-28 | 2022-04-06 | エスエム ラブ コーポレーション リミテッド | 正極活物質、その製造方法、及びそれを含む正極を含むリチウム二次電池 |
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