JP2018012999A - クリップ及び基礎用鉄筋ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】横筋及び2本の補助筋を容易に結束することができる手段を提供する。
【解決手段】クリップ20は、1本のバネ鋼の線材からなり、横筋15の外径に沿うように横筋15の軸周りにC字形状に湾曲しており、横筋15に掛け止めされる第1掛止部21と、第1掛止部21の一方端から、第1掛止部21の湾曲外方へ向けて延びる延出部22と、延出部22における第1掛止部21と反対の端から延出部22に対して屈曲して延びており、第1掛止部21のC字形状の開口33と対向する挟持部23と、挟持部23における延出部22と反対の端から、縦筋16の外径に沿うように縦筋16の軸周りにC字形状に湾曲しており、縦筋16に掛け止めされる第2掛止部24と、を具備する。
【選択図】図9
【解決手段】クリップ20は、1本のバネ鋼の線材からなり、横筋15の外径に沿うように横筋15の軸周りにC字形状に湾曲しており、横筋15に掛け止めされる第1掛止部21と、第1掛止部21の一方端から、第1掛止部21の湾曲外方へ向けて延びる延出部22と、延出部22における第1掛止部21と反対の端から延出部22に対して屈曲して延びており、第1掛止部21のC字形状の開口33と対向する挟持部23と、挟持部23における延出部22と反対の端から、縦筋16の外径に沿うように縦筋16の軸周りにC字形状に湾曲しており、縦筋16に掛け止めされる第2掛止部24と、を具備する。
【選択図】図9
Description
本発明は、建築物の基礎に使用されるクリップと、当該クリップにより配筋部材と補助筋とが結束された基礎用鉄筋ユニットに関する。
従来、建築物の基礎において、上下方向に間隔を空けて配置された2本の横筋と、横筋に直交して配置されており、横筋に溶接された複数の縦筋と、によって構成される配筋部材が使用されている。基礎の隅角部や交差部では、相互の配筋部材の横筋が直交して配置される。そして、直交して配置された2つの横筋に渡ってL字型の補助筋が配置され、補助筋が両方の横筋に番線によって結束される。
特許文献1には、ベース鉄筋枠に立上がり鉄筋枠を連結するための連結クリップが記載されている。連結クリップは、U字形状をなしており、U字状屈曲部と、湾曲部と、引掛体と、を備えている。U字状屈曲部が立上がり鉄筋枠の縦筋に上方から掛止され、U字形状の両脚それぞれの中央部に位置し上方へ湾曲する湾曲部が、縦筋と直交して縦筋の下方に配置されているベース鉄筋枠の横筋に下方から掛止される。そして、U字形状の両足それぞれの端部に位置する引掛体がそれぞれ縦筋に上方から掛止される。これにより、ベース鉄筋枠と立上がり鉄筋枠とが連結される。
特許文献2には、コンクリート躯体内部に配される支柱部材にメッシュ型枠材を連結するためのクリップ留め固定具が記載されている。クリップ留め固定具は、中央係止部と、嵌合用切欠部と、を備えている。クリップ留め固定具の両端に位置する嵌合用切欠部が鉄筋材に掛止され、嵌合用切欠部の間に位置する中央係止部が、鋼製メッシュ型枠材のリブ部を支持する。これにより、鉄筋材と鋼製メッシュ型枠材とが連結される。
特許文献3には、布基礎用鉄筋ユニットにおいてベース部と立上り部とを連結するクリップが記載されている。クリップは、立上り掛着部と、ベース掛着部と、を備えている。クリップの中央部に位置する立上り掛着部が、立上り部の第1立上り主筋に掛止され、クリップの両端に位置するベース掛着部が、ベース部のベース主筋に掛止されることにより、ベース部と立上り部とが連結される。
番線により横筋と補助筋とを結束するためには、作業者が、横筋と補助筋とを密接させた状態に保持しつつ、番線を締め上げることとなる。また、補助筋が2本配置される構成では、横筋及び2本の補助筋を、上下方向に並べた状態に保持する必要がある。このため、作業に熟練を要する。また、各特許文献に記載されたクリップは、横筋及び2本の補助筋に適した構造ではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、横筋及び2本の補助筋を容易に結束することができる手段を提供することにある。
(1) 本発明に係るクリップは、左右方向に延びる円柱形状の横筋と、当該横筋と交差して配置され、当該横筋に固着された円柱形状の縦筋と、を有する建築物の基礎用の配筋部材が、互いの横筋が交差して配置されており、互いの横筋に渡って配置されるL字形状に折り曲げられた2本の円柱形状の補助筋と当該横筋を結束するクリップであって、上記クリップは、1本のバネ鋼の線材からなり、上記横筋の外径に沿うように上記横筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記横筋に掛け止めされる第1掛止部と、上記第1掛止部の一方端から、上記第1掛止部の湾曲外方へ向けて延びる延出部と、上記延出部における上記第1掛止部と反対の端から上記延出部に対して屈曲して延びており、上記第1掛止部のC字形状の開口と対向する挟持部と、上記挟持部における上記延出部と反対の端から、上記縦筋の外径に沿うように上記縦筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記縦筋に掛け止めされる第2掛止部と、を具備する。
上記構成によれば、第1掛止部が横筋に掛止され、第2掛止部が縦筋に掛止されることにより、延出部と挟持部との屈曲が狭まるようにクリップが弾性変形する。弾性変形したクリップにおいて、第2掛止部が縦筋に押圧されるので、第2掛止部が縦筋に対して摺動し難くなる。また、弾性変形によって、延出部と挟持部との屈曲が狭められ、その挟持部が2本の補助筋を横筋に並列させ、かつ横筋、一方の補助筋、他方の補助筋の順序で相互に密接した状態に支持する。
(2) 好ましくは、上記延出部と上記挟持部とが屈曲する角度のうち、上記第1掛止部の開口と対向する側の角度は、鈍角である。
上記構成によれば、クリップの弾性変形によって、延出部と挟持部との屈曲が狭められると、延出部と挟持部とがなす角度が弾性前の角度より小さくなる。延出部と挟持部とによって補助筋を挟み込みように支持できる。
(3) 好ましくは、上記第1掛止部において上記線材が湾曲する半径は、上記第2掛止部において上記線材が湾曲する半径より大きい。
上記構成によれば、第2掛止部を弾性変形させるより、第1掛止部を弾性変形させることが容易となる。したがって、第2掛止部を縦筋に掛け止めさせた後、第1掛止部を横筋に掛け止めさせることが容易である。
(4) 好ましくは、上記延出部と上記挟持部との間の屈曲中心と上記第1掛止部の湾曲中心との距離は、当該屈曲中心と上記第2掛止部の湾曲中心との距離より長い。
上記構成によれば、作業者が第2掛止部を持って、延出部と挟持部との間の屈曲が狭まるようにクリップを弾性変形させるより、第1掛止部を持って、延出部と挟持部との間の屈曲が狭まるようにクリップを弾性変形させることが容易になる。したがって、第2掛止部を縦筋に掛け止めさせた後、第1掛止部を横筋に掛け止めさせることが容易である。
(5) 好ましくは、上記第1掛止部における上記一方端と反対の他方端から、上記第1掛止部の湾曲に対してS字形状に湾曲されて延びる突出部を更に具備している。
上記構成によれば、作業者が突出部を持って、横筋に掛け止めされた第1掛止部が横筋から外れるように操作することが容易である。
(6) 本発明に係る基礎用鉄筋ユニットは、左右方向に延びる円柱形状の横筋と、当該横筋と交差して配置され、当該横筋に固着された円柱形状の縦筋と、を有する建築物の基礎用の配筋部材が、互いの横筋が交差して配置されており、上記各配筋部材の互いの横筋に渡って、L字形状に折り曲げられた円柱形状の第1補助筋が当該横筋に密接して配置されており、上記各配筋部材の互いの横筋に渡って、L字形状に折り曲げられた円柱形状の第2補助筋が上記第1補助筋に密接して配置されており、上記各配筋部材の横筋、上記第1補助筋、及び上記第2補助筋がクリップにより結束された基礎用鉄筋ユニットであって、上記クリップは、1本のバネ鋼の線材からなり、上記横筋の外径に沿うように上記横筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記横筋に掛け止めされる第1掛止部と、上記第1掛止部の一方端から、上記第1掛止部の湾曲外方へ向けて延びる延出部と、上記延出部における上記第1掛止部と反対の端から上記延出部に対して屈曲して延びており、上記第1掛止部のC字形状の開口と対向して上記第2補助筋に当接する挟持部と、上記挟持部における上記延出部と反対の端から、上記縦筋の外径に沿うように上記縦筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記縦筋に掛け止めされる第2掛止部と、を具備する。
本発明によれば、交差して配置された配筋部材の横筋と2本の補助筋とが容易に結束される。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[建築物の基礎10]
図1及び図2は、建築物(不図示)の基礎10を示す図である。基礎10は、建築物からの力を地盤に伝え、建築物を安全に支える機能をもつ構造である。基礎10は、建築物の壁や柱の位置に対応した形状である。そのため、基礎10には、隅角部10Aや交差部10Bが生じる。
図1及び図2は、建築物(不図示)の基礎10を示す図である。基礎10は、建築物からの力を地盤に伝え、建築物を安全に支える機能をもつ構造である。基礎10は、建築物の壁や柱の位置に対応した形状である。そのため、基礎10には、隅角部10Aや交差部10Bが生じる。
なお、図1から図3において、重力方向に沿った方向を上下方向4と称し、水平方向に沿った方向を前後方向5及び左右方向6と称する。上下方向4、前後方向5、及び左右方向6は相互に直交している。また、前後方向5と左右方向6とは、相対的な関係の2方向であるので、2方向のうちのいずれを前後方向5又は左右方向6と称するかは任意である。
図2に示されるように、基礎10は、上下方向4及び前後方向5に沿った断面形状が逆T字形である。基礎10の上部において、上下方向4に沿って延びる部分が立ち上がり部10Cであり、下部において前後方向5又は左右方向6に沿って延びる部分がフーチング10Dである。基礎10において上下方向4の中央より下方は、地中に埋設される。すなわち、立ち上がり部10Cの下部とフーチング10Dは、地表面GLより下方にある。基礎10の下方には、クラッシャランや割栗石などがあるが、同図では省略されている。また、本実施形態では、基礎10として布基礎が例示されているが、基礎10は布基礎に限定されず、ベタ基礎など他の基礎形状であってもよいことは言うまでもない。
基礎10は、クラッシャランや割栗石上に鉄筋ユニット13(基礎用鉄筋ユニットの一例)が組み付けられ、その周囲に型枠(不図示)が配置された後、型枠内にコンクリートが充填されて固化されることによって形成される。
[鉄筋ユニット13]
鉄筋ユニット13は、メッシュバー14(配筋部材の一例)及び補助筋17,18などによって構成されている。図3に示されるように、メッシュバー14は、相互に平行に配置された棒状の2本の横筋15と、2本の横筋15と交差して配置され、2本の横筋15それぞれに溶接された棒状の縦筋16とによって構成されている。縦筋16は、横筋15が延びる方向に間隔を空けて複数本が配置されている。横筋15は、例えば、直径22mmの円柱形状の鋼材である。縦筋16は、例えば、直径13mmの円柱形状の鋼材である。各図には示されていないが、メッシュバー14は、一定の長さの横筋15を一単位として構成されており、基礎10の形状に合わせて、横筋15がほぼ同一の軸線上に連続するように継がれて組み付けられる。
鉄筋ユニット13は、メッシュバー14(配筋部材の一例)及び補助筋17,18などによって構成されている。図3に示されるように、メッシュバー14は、相互に平行に配置された棒状の2本の横筋15と、2本の横筋15と交差して配置され、2本の横筋15それぞれに溶接された棒状の縦筋16とによって構成されている。縦筋16は、横筋15が延びる方向に間隔を空けて複数本が配置されている。横筋15は、例えば、直径22mmの円柱形状の鋼材である。縦筋16は、例えば、直径13mmの円柱形状の鋼材である。各図には示されていないが、メッシュバー14は、一定の長さの横筋15を一単位として構成されており、基礎10の形状に合わせて、横筋15がほぼ同一の軸線上に連続するように継がれて組み付けられる。
図2に示されるように、メッシュバー14は、基礎10の立ち上がり部10C及びフーチング10Dにそれぞれ配置されている。立ち上がり部10Cにおいては、メッシュバー14の横筋15の軸線が水平方向に沿っており、かつ縦筋16の軸線が重力方向に沿っている。フーチング10Dにおいては、メッシュバー14の横筋15及び縦筋16の各軸線がすべて水平方向に沿っている。同図には詳細に示されていないが、立ち上がり部10Cに配置されたメッシュバー14とフーチング10Dに配置されたメッシュバー14とは、番線などによって結束されている。
図3に示されるように、基礎10の交差部10Bにおいては、2つのメッシュバー14が交差して(本実施形態では直交して)配置される。そして、それぞれがL字状に折り曲げられた2本の棒状の補助筋17,18(第1補助筋、第2補助筋の一例)が、メッシュバー14の互いの横筋15に渡って配置される。補助筋17,18は、例えば、直径16mmの円柱形状の鋼材である。補助筋17,18の長さは、基礎10の交差部10Bにおいて要求される強度において設定される。2本の補助筋17,18は、クリップ20によって各横筋15に対して束ねられた状態で結束される。なお、同図には示されていないが、基礎10の隅角部10Aにおいても、各横筋15が互いに直交して配置された2つのメッシュバー14に渡って補助筋17,18が配置されて、これらがクリップ20により結束される。
[クリップ20]
図4〜図7に示される上下方向7は、クリップ20が鉄筋ユニット13に組み付けられた状態、すなわち横筋15及び補助筋17,18を結束した結束状態における鉄筋ユニット13の上下方向4に合致する。また、前後方向8及び左右方向9は、結束状態における前後方向5及び左右方向6にそれぞれ合致するが、前後方向5及び左右方向6は、メッシュバー14の配置によって変わる相対的な方向なので、これら方向のうちいずれかが前後方向8又は左右方向9に合致することとなる。
図4〜図7に示される上下方向7は、クリップ20が鉄筋ユニット13に組み付けられた状態、すなわち横筋15及び補助筋17,18を結束した結束状態における鉄筋ユニット13の上下方向4に合致する。また、前後方向8及び左右方向9は、結束状態における前後方向5及び左右方向6にそれぞれ合致するが、前後方向5及び左右方向6は、メッシュバー14の配置によって変わる相対的な方向なので、これら方向のうちいずれかが前後方向8又は左右方向9に合致することとなる。
クリップ20は、1本のバネ鋼の線材からなる。クリップ20は、第1掛止部21と、延出部22と、挟持部23と、第2掛止部24と、突出部25と、を有している。
第1掛止部21は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる仮想第1平面P1に沿って湾曲して延びている。第1掛止部21は、横筋15の外径に沿うようにして、横筋15の軸周りに湾曲したC字形状である。第1掛止部21の内周の半径R1(図6参照)は11mmである(横筋15の半径と同等である。)。第1掛止部21のC字形状における開口は上下方向7の下向きである。C字形状の第1掛止部21がなす円弧形状の両端が、当該円弧形状の中心に対してなす湾曲角度α(図6参照)は180°より大きい。
延出部22は、C字形状の第1掛止部21における前後方向8の前方に位置する端31(第1掛止部21の一方端の一例)から仮想第1平面P1に沿って、後方へ向かう斜め下方(第1掛止部21の湾曲外方の一例)へ直線的に延びている。
挟持部23は、延出部22における下端32(第1掛止部21と反対の端の一例)において仮想第1平面P1に沿って屈曲し、前後方向8の後方へ向けて直線的に延びている。延出部22と挟持部23との間の屈曲角度θ(図6参照)は鈍角であり、具体的には約110°から120°程度である。ここで、屈曲角度θとは、延出部22における線材の軸線と挟持部23における線材の軸線とがなす角度のうち、第1掛止部21の開口33と対向する側、すなわち図6における上側の角度である。延出部22と挟持部23との屈曲部分は湾曲しており、この湾曲した屈曲部分に沿った円の半径R2は8mmである(補助筋18の半径と同等である。)。
第2掛止部24は、仮想第1平面P1と直交して挟持部23を含んでおり、かつ前後方向8及び左右方向9に沿って拡がる仮想第2平面P2に沿って湾曲して延びている。第2掛止部24は、縦筋16の外径に沿うようにして、縦筋16の軸周りに湾曲したC字形状である。第2掛止部24は、挟持部23の後端34(延出部と反対の端の一例)から左右方向9の左方へ湾曲しつつ延びている。第2掛止部24の内周の半径R3(図7参照)は6.5mmである(縦筋16の半径と同等である。)。つまり、第1掛止部21の半径R1は、第2掛止部24の半径R3より大きい(半径R1>半径R3)。第2掛止部24のC字形状における開口は前後方向8の前向きである。C字形状の第2掛止部24がなす円弧形状の両端が、当該円弧形状の中心に対してなす湾曲角度β(図7参照)は約180°である。
突出部25は、第1掛止部21における前後方向8の後方の端35(第1掛止部21における他方端の一例)から、第1掛止部21の湾曲に対してS字形状に湾曲して延びている。突出部25は、仮想第1平面P1に沿った円環形状である。突出部25は、その円環形状の内側にユーザの指(例えば人差し指)が入る程度の内径である。
図6,7に示されるように、第1掛止部21の湾曲中心C1と、延出部22と挟持部23との間の屈曲部の屈曲中心C2との距離L1は、第2掛止部24の湾曲中心C3と屈曲中心C2との距離L2より長い(距離L1>距離L2)。距離L1は、横筋15の半径、補助筋17の直径、及び補助筋18の半径を考慮して設定されており、具体的には、これらの合計である35mmより若干短い。距離L2は、縦筋16の半径及び補助筋18の半径を考慮して設定されており、具体的には、これらの合計である14.5mmと同程度である。
[結束方法]
以下に、図8及び図9を参照しつつ、クリップ20によって横筋15と補助筋17,18とが結束される手順が説明される。
以下に、図8及び図9を参照しつつ、クリップ20によって横筋15と補助筋17,18とが結束される手順が説明される。
図3に示されるように、基礎10の交差部10Bにおいて、2つのメッシュバー14が、それぞれの横筋15の軸が直交するように配置されている。図8に示されるように、ユーザは、補助筋17を、各メッシュバー14における上方に位置する横筋15の下方に位置させて、横筋15及び縦筋16に当接させた状態に補助筋17を保持する。補助筋17の外径は、横筋15の外径より小さいので、補助筋17は、横筋15の下方と縦筋16とがなす隅部に収まるようにして、ユーザに保持される。
さらに、ユーザは、補助筋18を、補助筋17の下方に位置させて、補助筋17及び縦筋16に当接させた状態に保持する。補助筋17,18の外径は等しいので、補助筋17の下端に補助筋18の上端が当接する。この状態において、ユーザは、横筋15及び補助筋17,18を一体に保持している。
そして、ユーザは、保持している補助筋18の下方において、クリップ20を第1掛止部21が第2掛止部24より上方に位置する姿勢として、挟持部23を補助筋18に当接させつつ、第2掛止部24を縦筋16に掛止する。これにより、縦筋16において補助筋18が位置する側(図8における左側)と反対側(図8における右側)の内周面に、第2掛止部24の湾曲内側の部分が当接する。
続いて、ユーザは、補助筋17に対して横筋15が位置する向きに、すなわち上下方向4の上向きに、指などを用いて突出部25を引っ張り上げて、第1掛止部21が横筋15へ近づくように第1掛止部21を移動させる。つまり、第1掛止部21の湾曲が拡がるように弾性変形させつつ、第1掛止部21を横筋15の上方へ向かって引っ張り上げる。
ユーザが、引っ張り上げた第1掛止部21を縦筋16へ向かって移動させると、延出部22と挟持部23との間の屈曲部の内周部分と、挟持部23と、が補助筋18に当接する。更に、第1掛止部21が移動されると、延出部22と挟持部との間の部分の屈曲角度θが小さくなるように弾性変形する。
他方、湾曲が拡がるように弾性変形された第1掛止部21が、突出部25が横筋15の外周面を摺動しながら、突出部25の端部37が横筋15を乗り越えるように移動されると、第1掛止部21が弾性復帰して、第1掛止部21の湾曲の内周面が横筋15の外周面に当接し、第1掛止部21が横筋15に上方から掛止される。これにより、図9に示される結束状態となる。
[結束状態]
図9に示されるように、クリップ20によって横筋15と補助筋17,18とが結束された結束状態において、第1掛止部21は、補助筋17,18の方へ(上下方向4の下向きへ)開口33が向いた状態で、横筋15に掛止されている。第2掛止部24は、補助筋18へ向かって(前後方向5の後向きへ向かって)開口36が向いた状態で、縦筋16に掛止されている。挟持部23は、第1掛止部21の開口33の方へ(上下方向4の上向きへ)向かって補助筋18に当接している。延出部22と挟持部23との間の屈曲部は、補助筋18の外周面に沿って当接している。
図9に示されるように、クリップ20によって横筋15と補助筋17,18とが結束された結束状態において、第1掛止部21は、補助筋17,18の方へ(上下方向4の下向きへ)開口33が向いた状態で、横筋15に掛止されている。第2掛止部24は、補助筋18へ向かって(前後方向5の後向きへ向かって)開口36が向いた状態で、縦筋16に掛止されている。挟持部23は、第1掛止部21の開口33の方へ(上下方向4の上向きへ)向かって補助筋18に当接している。延出部22と挟持部23との間の屈曲部は、補助筋18の外周面に沿って当接している。
結束状態のクリップ20において、延出部22と挟持部23との間の屈曲角度θは、クリップ20が弾性変形していない自然状態の屈曲角度θより小さい。結束状態のクリップ20において、横筋15の軸を中心として、屈曲角度θが自然状態の屈曲角度θに戻るような弾性復元力が働くことによって、延出部22及び挟持部23が縦筋16へ近づくように付勢される。この延出部22及び挟持部23によって、補助筋18が、縦筋16へ向かって斜め上方へ持ち上げられるように付勢され、その結果、補助筋18が補助筋17及び縦筋16にそれぞれ密接し、補助筋17が横筋15及び縦筋16にそれぞれ密接した状態に保持される。
また、延出部22及び挟持部23が縦筋16へ近づくように付勢されることにより、第2掛止部24の内周面が縦筋16の外周面に押圧されて、第2掛止部24が縦筋16に対して摺動し難くなる。
仮に、図10に示されるように、クリップ20が結束状態にされる前に、ユーザにより保持された補助筋17の軸が、横筋15の軸より縦筋16から遠い位置にあったとしても、クリップ20が結束状態にされる過程において、延出部22が補助筋17に当接することによって、補助筋17が縦筋16に密接する位置へ移動されて、図9に示される結束状態となる。
なお、詳細な説明は省略されるが、各メッシュバー14における下方に位置する横筋15に沿って補助筋17,18が配置される態様では、前述と上下が反転された結束状態となる。すなわち、メッシュバー14において下方に位置する横筋15の上方に補助筋17,18が並列に保持されて、クリップ20を第1掛止部21が第2掛止部24より下方に位置する姿勢として、前述と同様にして横筋15、補助筋17,18の結束を行う。
[本実施形態の作用効果]
前述された本実施形態によれば、結束状態のクリップ20により、第2掛止部24が縦筋16に押圧されるので、第2掛止部24が縦筋16に対して摺動し難くなる。また、延出部22及び挟持部23が補助筋17,18を横筋15に並列させ、かつ横筋15、補助筋17、補助筋18の順序で相互に密接した状態に保持する。
前述された本実施形態によれば、結束状態のクリップ20により、第2掛止部24が縦筋16に押圧されるので、第2掛止部24が縦筋16に対して摺動し難くなる。また、延出部22及び挟持部23が補助筋17,18を横筋15に並列させ、かつ横筋15、補助筋17、補助筋18の順序で相互に密接した状態に保持する。
また、自然状態のクリップ20において、延出部22と挟持部23との間の屈曲角度θが鈍角なので、結束状態のクリップ20において屈曲角度θが小さくなると、延出部22と挟持部23とが補助筋17,18を挟み込みように支持する。
また、第1掛止部21の半径R1が第2掛止部24の半径R2より大きいので、第2掛止部24を弾性変形させるより、第1掛止部21を弾性変形させることが容易である。したがって、第2掛止部24を縦筋16に掛け止めさせた後、第1掛止部21を横筋15に掛け止めさせることが容易である。
また、延出部22と挟持部23との間の屈曲中心C2と第1掛止部21の湾曲中心C1との距離L1は、当該屈曲中心C2と第2掛止部24の湾曲中心C3との距離L2より長いので、ユーザが、第2掛止部24を持って屈曲角度θが狭まるようにクリップ20を弾性変形させるより、第1掛止部21を持って屈曲角度θが狭まるようにクリップ20を弾性変形させることが容易である。したがって、第2掛止部24を縦筋16に掛け止めさせた後、第1掛止部21を横筋15に掛け止めさせることが容易である。
また、クリップ20が突出部25を具備しているので、ユーザが突出部25を持って、横筋15に掛け止めされた第1掛止部21が横筋15から外れるように、クリップ20を操作することが容易である。
[変形例]
前述された実施形態では、突出部25は円環形状であるが、突出部25は四角環状など円環以外の環状であってもよい。また、突出部25は、湾曲が完全に閉じていない(すなわち環状でない)形状や、ユーザの指が内側に入らない程度に折り曲げられた形状であってもよい。
前述された実施形態では、突出部25は円環形状であるが、突出部25は四角環状など円環以外の環状であってもよい。また、突出部25は、湾曲が完全に閉じていない(すなわち環状でない)形状や、ユーザの指が内側に入らない程度に折り曲げられた形状であってもよい。
また、前述された実施形態では、第1掛止部21の湾曲角度αは、180°より大きいが、約180°であってもよい。ただし、湾曲角度αが180°より大きければ、第1掛止部21が横筋15に掛止された状態から、予期せずに第1掛止部21が横筋15から外れることが抑制される。
また、前述された実施形態では、第2掛止部24の一方の端から挟持部23が延びているが、第2掛止部24の両端から一対の挟持部23がそれぞれ延びており、一対の突出部25、第1掛止部21、延出部22、及び挟持部23を有するクリップ20が実現されてもよい。
また、前述された実施形態では、第1掛止部21、延出部22、及び挟持部23が同一の仮想第1平面P1上に配置され、第2掛止部24、及び挟持部23が同一の仮想第2平面P2上に配置されているが、第1掛止部21、延出部22、及び挟持部23が同一の仮想平面上に配置されていなくてもよいし、第2掛止部24、及び挟持部23が同一の仮想平面上に配置されていなくてもよい。具体的には、例えば、延出部22は、第1掛止部21の一方の端から、前後方向8の後向きであって、上下方向7の下向き、かつ左右方向9の右向きに延びていてもよい。
また、前述された実施形態では、延出部22は直線的に延びているが、延出部22は湾曲していてもよい。例えば、図11に示されるように、延出部22における上下方向4の中央部が、前後方向5の後ろ向きへ膨出するように湾曲していてもよい。これにより、結束状態のクリップ20において、延出部22の中央部が補助筋17と当接して、補助筋17を横筋15及び縦筋16に密接するように付勢することができる。
13・・・鉄筋ユニット(基礎用鉄筋ユニット)
14・・・メッシュバー(配筋部材)
15・・・横筋
16・・・縦筋
17,18・・・補助筋
20・・・クリップ
21・・・第1掛止部
22・・・延出部
23・・・挟持部
24・・・第2掛止部
25・・・突出部
31・・・前方の端(一方端)
32・・・下端(反対の端)
33・・・開口
34・・・後端(反対の端)
35・・・後方の端(他方端)
14・・・メッシュバー(配筋部材)
15・・・横筋
16・・・縦筋
17,18・・・補助筋
20・・・クリップ
21・・・第1掛止部
22・・・延出部
23・・・挟持部
24・・・第2掛止部
25・・・突出部
31・・・前方の端(一方端)
32・・・下端(反対の端)
33・・・開口
34・・・後端(反対の端)
35・・・後方の端(他方端)
Claims (6)
- 左右方向に延びる円柱形状の横筋と、当該横筋と交差して配置され、当該横筋に固着された円柱形状の縦筋と、を有する建築物の基礎用の配筋部材が、互いの横筋が交差して配置されており、互いの横筋に渡って配置されるL字形状に折り曲げられた2本の円柱形状の補助筋と当該横筋を結束するクリップであって、
上記クリップは、1本のバネ鋼の線材からなり、
上記横筋の外径に沿うように上記横筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記横筋に掛け止めされる第1掛止部と、
上記第1掛止部の一方端から、上記第1掛止部の湾曲外方へ向けて延びる延出部と、
上記延出部における上記第1掛止部と反対の端から上記延出部に対して屈曲して延びており、上記第1掛止部のC字形状の開口と対向する挟持部と、
上記挟持部における上記延出部と反対の端から、上記縦筋の外径に沿うように上記縦筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記縦筋に掛け止めされる第2掛止部と、を具備するクリップ。 - 上記延出部と上記挟持部とが屈曲する角度のうち、上記第1掛止部の開口と対向する側の角度は、鈍角である請求項1に記載のクリップ。
- 上記第1掛止部において上記線材が湾曲する半径は、上記第2掛止部において上記線材が湾曲する半径より大きい請求項1又は2に記載のクリップ。
- 上記延出部と上記挟持部との間の屈曲中心と上記第1掛止部の湾曲中心との距離は、当該屈曲中心と上記第2掛止部の湾曲中心との距離より長い請求項1から3のいずれかに記載のクリップ。
- 上記第1掛止部における上記一方端と反対の他方端から、上記第1掛止部の湾曲に対してS字形状に湾曲されて延びる突出部を更に具備している請求項1から4のいずれかに記載のクリップ。
- 左右方向に延びる円柱形状の横筋と、当該横筋と交差して配置され、当該横筋に固着された円柱形状の縦筋と、を有する建築物の基礎用の配筋部材が、互いの横筋が交差して配置されており、
上記各配筋部材の互いの横筋に渡って、L字形状に折り曲げられた円柱形状の第1補助筋が当該横筋に密接して配置されており、
上記各配筋部材の互いの横筋に渡って、L字形状に折り曲げられた円柱形状の第2補助筋が上記第1補助筋に密接して配置されており、
上記各配筋部材の横筋、上記第1補助筋、及び上記第2補助筋がクリップにより結束された基礎用鉄筋ユニットであって、
上記クリップは、1本のバネ鋼の線材からなり、
上記横筋の外径に沿うように上記横筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記横筋に掛け止めされる第1掛止部と、
上記第1掛止部の一方端から、上記第1掛止部の湾曲外方へ向けて延びる延出部と、
上記延出部における上記第1掛止部と反対の端から上記延出部に対して屈曲して延びており、上記第1掛止部のC字形状の開口と対向して上記第2補助筋に当接する挟持部と、
上記挟持部における上記延出部と反対の端から、上記縦筋の外径に沿うように上記縦筋の軸周りにC字形状に湾曲しており、上記縦筋に掛け止めされる第2掛止部と、を具備する基礎用鉄筋ユニット。
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JP2002173941A (ja) * | 2000-12-07 | 2002-06-21 | Nippon Industry Co Ltd | 布基礎のアンカーボルト支持工法 |
JP2013142263A (ja) * | 2012-01-11 | 2013-07-22 | San-Ei Trading Co Ltd | 住宅基礎用鉄筋コンクリート梁のシングル配筋施工方法、住宅基礎用鉄筋コンクリート梁のシングル配筋構造、ならびに鉄筋枠ユニット |
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