JP2018012996A - 既存中空管補修部材および既存中空管補修方法 - Google Patents

既存中空管補修部材および既存中空管補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】作業現場において溶接及び/又は溶断作業を行うことなく既存中空管の根元を補修できる既存中空管補修部材を提供する。【解決手段】既存中空管8の根元近傍に形成される切断端8aと、既存中空管8の下端が埋設されるコンクリート基礎20と、の間に介設される既存中空管補修部材であって、切断端8a近傍の外側面を被覆しながら配される第1の筒体4と、この第1の筒体4の下端に一体に接合され、コンクリート基礎20に形成される切断跡穴9の開口部9aを塞ぐ平板体5と、この平板体5の下面側5bに一体に接合され、切断跡穴9内に垂下する第2の筒体6とを有し、平板体5は、第1の筒体4の中空部と、第2の筒体6の中空部とをつなぐ貫通孔7を備え、第1の筒体4と平板体5と第2の筒体6が一体化されてなる本体部2は、この本体部2を鉛直方向に二分割してなる一対の分割片3,3からなる既存中空管補修部材1による。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート基礎に埋設される中空管からなるポールの根元付近に生じる腐食箇所を補修するための既存中空管補修部材および既存中空管補修方法に関する。
従来、コンクリート基礎に中空管を埋設してなる構造物が様々な場所に埋められている。
これらの中空管は、経時変化に伴い次第に劣化して、コンクリート基礎中に埋め込まれる既存中空管の根元が腐食し、構造物の強度が著しく低下する。
このような場合に、腐植の生じた既存中空管を、手間をかけずに補修するための技術が必要とされていた。
特許文献1には「手摺支柱の補修工法」という名称で、腐蝕した手摺支柱を原形に復旧する手摺支柱の補修工法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、一部が腐蝕した既設の手摺の支柱を補修する手摺支柱の補修工法であって、支柱の腐蝕部を切断して除去するとともに、切断部位には、除去されていない上部支柱と地盤に埋設されたベースプレートとを溶接接合する鉄筋部材と、二分割された連結プレートとを設置し、二分割されたそれぞれの連結プレートには、溶接接合した介添え板を内嵌し、それぞれの介添え板を、それぞれの連結プレートから上部支柱に突出して配置するとともに、一方の介添え板を、他方の連結プレート側に突出して配置し、それぞれの連結プレートを前記切断部位に挿入した状態で、それぞれの連結プレートの合わせ面、それぞれの連結プレートと前記上部支柱との間、及びそれぞれの連結プレートと前記地盤との間、を溶接接合することによって、新築時の支柱と同様の強度を保持可能とすることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、腐蝕された部位を切断するとともに切断部位に補強部材及び二分割に形成された連結プレートを設置する。ベースプレートが地盤に埋設されている場合には、補強部材としての鉄筋がベースプレートと本体支柱の上部支柱とを接合し、それぞれの連結プレート同士及び連結プレートと上部支柱と溶接にて接合することによって、それぞれの介添え板は上部支柱と接合するとともに二分割された連結プレート同士を強固に接合することとなる。これによって、補修された支柱は新築時の強度を保持することができる。
特許文献2には「信号柱、電柱等の地表部補強構造」という名称で、信号支柱、照明柱、電柱等の地表部及び土中部において、腐食により鋼材断面が不足して外力に対する抵抗力が低下した支柱の補強構造に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、支柱1にコンクリート基礎2を有する場合には、支柱周囲のコンクリート基礎2に適宜間隔をおいて窄孔し、該孔にアンカー鉄筋3を挿入固定し,次に工場製品の半円形コンクリートブロック4の孔に前記アンカー鉄筋3を挿通して,支柱1を中心に一対の中空円筒体とする、半円形コンクリートブロック上面の継ぎ目を挟み、アンカー鉄筋3の頂部ネジに接合鋼板5を挿通させてナット6で固定、ブロックと支柱およびブロックの隙間には接着剤等の固定部剤を充填して固定し一体構造とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、工場製品を現地に搬入して人力による組み立てを行うので、大型機材を必要とせず、短期間に安全で経済的に支柱等の補強が可能である。また、全国的に見れば危険な支柱等は多数散在しているが、特許文献2に開示される考案によれば比較的少ない費用で短期間に住民の安全安心を確保できる。
特許文献3には「柱体補強構造」という名称で、基部に損傷をきたした柱体の補強構造に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、既設柱体1の損傷した基部に外嵌して当該柱体を補強する補強カバー2を有し、この補強カバーは少なくとも一対のカバー体2A,2Bで構成され、これらカバー体を柱体基部に外嵌してカバー体同士をネジ8,8…により綴じ合わせるとともに、カバー体の下端所要長さにわたり地中に埋入し、基礎コンクリート9を打設して固化することにより柱体と補強カバーとを一体化させて補強するようにしたものである。
上記構成の特許文献3に開示される発明によれば、基部に損傷を受けた既設柱体の損傷箇所にカバー体を外嵌し、その綴じ合わせ部の綴じ合わせ重合縁をネジにより綴じたうえその下端を柱体基部の地中に挿入し、その周囲にセメントモルタルを骨材と共に充填して固化させることにより柱体とカバー体とを一体化させるので、柱体の基部が強固に補強され、新たな柱体と交換することなく安全に使用を続けることができ、道路の信号器柱のようにひと時も休止させることが難しい柱体の場合や、新規は柱体を立て替えることが困難な場所に存在する柱体の場合など特に有効に機能させることができる。
特開2008−63933号公報 実用新案登録第3141110号公報 特開2010−31549号公報
特許文献1に開示される発明では、既存の中空管における根元の腐食箇所を切除し、この切除部位に補強用パーツをあてがう構成となっているので、補強後の既存の中空管は十分な強度を発揮すると考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示される発明の場合は、既存の中空管に補強用パーツを固定するにあたり溶接作業を行う必要がある。
そして、特許文献1に開示される発明により補修しようとしている既存の中空管が山間部等のへき地にある場合は、作業者はその補修作業のためにへき地に溶接のための機材(溶接用具、発電機等)を搬送しなくてはならず、極めて煩雑であった。
特許文献2に開示される発明においても、補強後の既存の中空管は十分な強度を発揮すると考えられる。
しかしながら、特許文献2に開示される発明を採用する場合で、かつ、その補修箇所が山間部等のへき地で多数箇所におよぶ場合、作業者はその補修作業のためにへき地に多数の工場製品の半円形コンクリートブロックを搬入せねばならず煩雑であった。
特許文献3に開示される発明の場合は、その補修箇所が山間部等のへき地で多数箇所におよぶ場合であっても、カバー部材の持ち運びは容易であると考えられるものの、このカバー部材の下端を地中に埋設する必要がある。この場合、既存中空管がコンクリート基礎中に埋設される場合は、既存中空管の根元付近のコンクリート基礎を切削する必要があり、補修作業の作業効率を向上し難いという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、その目的は、構造がシンプルでかつ持ち運びが容易であり、簡単な手持ち工具を用いて容易に既存中空管に強固に取設することができる既存中空管補修部材およびそれを用いた既存中空管補修方法を提供することにある。
上記課題を解決するため第1の発明である既存中空管補修部材は、既存中空管の根元近傍に形成される切断端と、既存中空管の下端が埋設されるコンクリート基礎と、の間に介設される既存中空管補修部材であって、切断端近傍の外側面を被覆しながら配される第1の筒体と、この第1の筒体の下端に一体に接合され、コンクリート基礎に形成される既存中空管の切断跡穴の開口部を塞ぐ平板体と、平板体の下面側に一体に接合され、切断跡穴内に垂下する第2の筒体とを有し、平板体は、第1の筒体の中空部と、第2の筒体の中空部とをつなぐ貫通孔を備え、第1の筒体と平板体と第2の筒体が一体化されてなる本体部は、この本体部を鉛直方向に二分割してなる一対の分割片からなることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、第1の筒体は、既存中空管の切断端とコンクリート基礎との間に介設されて、既存中空管に作用する力をコンクリート基礎に伝達するという作用を有する。つまり、第1の筒体は既存中空管の切除部位の代替物として作用する。また、平板体は、既存中空管の根元を切除することで形成される切断跡穴の開口部を塞ぐとともに、コンクリート基礎上に第1の筒体を起立保持させるという作用を有する。また、第2の筒体は、既存中空管の切断跡穴に充填される流動性硬化物内に挿設することで、第1の筒体及び平板体を起立した状態で保持するという作用を有する。さらに、平板体の貫通孔は、流動性硬化物内に第2の筒体を挿設した際に、切断跡穴から溢れ出る流動性硬化物を第1の筒体内に導出するという作用を有する。加えて、第1の筒体と平板体と第2の筒体が一体化されてなる本体部を一対の分割片により構成することで、既存中空管において切除された部位の長さが、第1の筒体の長さより短い場合でも、既存中空管の切断端近傍の外側面を被覆しながら第1の筒体を配設することを可能にするという作用を有する。
よって、第1の発明によれば、本体部がその伸長方向に2等分されてなる分割片からなることで、既存中空管の根元近傍の劣化部位又は腐食部位を切除することで形成される既存中空管とコンクリート基礎の隙間を埋めるように、既存中空管を切除することでコンクリート基礎に形成される切断跡穴を利用して、本体部を設置することを可能にするという作用を有する。
第2の発明である既存中空管補修部材は、上述の第1の発明において、第1の筒体は、一対の分割片を一体化する固定用ボルトを挿通するためのボルト挿通孔を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、第1の発明と同じ作用に加えて、第1の筒体がボルト挿通孔を備えていることで、作業現場で作業者が分割片を一体化する固定用ボルトを第1の筒体に形成する手間を軽減するという作用を有する。
第3の発明である既存中空管補修方法は、既存中空管の根元近傍を切除する切除工程と、既存中空管が切除されることでコンクリート基礎に形成される切断跡穴から、その内部に溜まった収容物を除去する清掃工程と、清掃済の切断跡穴内に流動性硬化物を充填する第1の流動性硬化物充填工程と、流動性硬化物が充填された切断跡穴内に、第1の発明又は第2の発明に記載の分割片における第2の筒体を挿入するとともに、平板体により切断跡穴の開口部を塞ぐ分割片設置工程と、一対の分割片を構成する第1の筒体に、少なくとも1対のボルト挿通孔を穿設するとともに、既存中空管内に流動性硬化物を注入するための注入孔を形成する孔形成工程と、ボルト挿通孔にボルトを挿設して一対の分割片を一体化する固定工程と、注入孔から第1の筒体の中空部内に流動性硬化物を充填する第2の流動性硬化物充填工程と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明において、切除工程は、補修対象である既存中空管において、劣化又は腐食が生じたコンクリート基礎の根元近傍部位を切除して、第1又は第2の発明である既存中空管補修部材を取設するためのスペースを形成するという作用を有する。また、清掃工程は、既存中空管の根元を切除することで形成される切断跡穴から内部に溜まった水や腐食して崩れて堆積した既存中空管の一部を除去することで、この切断跡穴を第1又は第2の発明である既存中空管補修部材の下端側を埋設するための埋設用穴として使用可能にするという作用を有する。さらに、第1の流動性硬化物充填工程は、既存中空管補修部材(第1の発明又は第2の発明)の分割片を保持するための流動性硬化物で清掃済の切断跡穴を満たすという作用を有する。そして、分割片設置工程は、切断された既存中空管の下端とコンクリート基礎の間に形成される隙間に、第1又は第2の発明である既存中空管補修部を構成する分割片を設置するという作用を有する。この時、切断跡穴に満たされた流動性硬化物のうち、分割片が切断跡穴に挿入されることで切断跡穴から溢れ出る流動性硬化物は、分割片を構成する平板体に形成される貫通孔を通じて第2の筒体内から第1の筒体内に導出される。そして、切断跡穴に満たされた流動性硬化物が硬化することで、切断跡穴に挿入された分割片と、流動性硬化物と、コンクリート基礎とが一体化する。加えて、孔形成工程は、切断された既存中空管の下端とコンクリート基礎の間に介設された分割片同士を一体化するための、及び/又は、分割片と既存中空管とを一体化するための、ボルトを挿通させる孔、並びに、既存中空管内に流動性硬化物を注入するための注入孔を形成するという作用を有する。また、固定工程は、ボルト挿通孔にボルトを挿設して一対の分割片を一体化するという作用を有する。さらに、これに伴い、第1又は第2の発明である既存中空管補修部材と、既存中空管とが一体化される。このように、第1の流動性硬化物充填工程と、分割片設置工程と、孔形成工程及び固定工程を行うことで、既存中空管と既存中空管補修部材とコンクリート基礎とが一体化される。さらに、第2の流動性硬化物充填工程は、既存中空管に形成された注入孔から流動性硬化物を注入することで、第1の中空管内及び既存中空管内を流動性硬化物で満たすという作用を有する。この結果、先の第1の流動性硬化物充填工程において供給され平板体に形成される貫通孔を通じて第2の筒体内から第1の筒体内に流動する流動性硬化物と、その後の第2の流動性硬化物充填工程により第1の筒体内に注入される流動性硬化物とが一体化する。この結果、第3の発明によれば、コンクリート基礎と、第1又は第2の発明である既存中空管補修部材と、既存中空管とが流動性硬化物を介して一体化するので、補修後の既存中空管の根元部分に十分な強度と耐久性を発揮させるという作用を有する。
第4の発明である既存中空管補修方法は、上記請求項3に記載の既存中空管補修方法であって、第2の流動性硬化物充填工程の前又は後に、既存中空管と第1の筒体の上端との隙間に隙間埋め材を配する隙間埋め工程を有することを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、第3の発明と同じ作用に加えて、隙間埋め工程は、既存中空管と第1の筒体の上端との間に生じる隙間を埋めるという作用を有する。これにより、既存中空管と第1の筒体の継ぎ目から、既存中空管又は第1の筒体の内部への雨水の侵入を妨げるという作用を有する。
上述のような第1の発明によれば、軽量で持ち運びが容易な既存中空管補修部材を提供することができる。また、第1の発明によれば、既存中空管を切除してなる隙間への取付け作業を、簡易な手持ち工具の使用のみで行うことができる既存中空管補修部材を提供することができる。これにより、既存中空管の補修作業を行う際の、作業効率を大幅に向上できる。
さらに、第1の発明によれば、第2の筒体の外径を、既存中空管の内径よりも小さく設定しておくことで、既存中空管の根元部分を切除した際にコンクリート基礎に形成される切断跡穴を、第1の発明に係る第2の筒体をコンクリート基礎中に埋設するための埋設用穴として使用することができる。この場合、第1の発明をコンクリート基礎に固定するにあたり、補修現場においてコンクリート基礎の一部を切削する必要がない。また、第1の発明によれば、既存中空管を切除してなる隙間に既存中空管補修部材を固定するために、既存中空管と既存中空管補修部材とを溶接する必要がない。このことは、例えば、山間部等のへき地において、既存中空管の補修作業を行う場合に、作業者が大掛かりな機材や工具を現地に搬入する必要がないことを意味している。よって、第1の発明によれば、既存中空管の補修作業時における作業者の負担を大幅に軽減することができる。
また、第1の発明に係る既存中空管補修部材は、第1の筒体と第2の筒体を、貫通孔を有する平板体の表面と裏面のそれぞれに溶接により接合したものを、その中心軸方向に分割するだけであり、容易に工場で量産できる。従って、第1の発明の製造コストを廉価にできるというメリットを有する。
さらに、第1の発明を用いる場合は、既存中空管の腐食が生じた部位を切除して第1の発明に置き換え、それ以外の部分は既存中空管をそのまま使用することができる。従って、第1の発明によれば、補修対象であるの既存中空管の機能及び強度を回復させるために必要なコストを大幅に低減することができる。
第2の発明によれば、第1の発明と同じ効果に加えて、第1の筒体が予めボルト挿通孔を備えていることで、既存中空管の補修作業時に、作業現場で第1の筒体に対してボルト挿通孔を形成する作業を省略することができる。これにより、作業者が現場で行う作業量を少なくでき、既存中空管の補修作業を行う際の作業者の負担を大幅に削減できる。
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明である既存中空管補修部材を用いて、コンクリート基礎にその下端部が埋設された既存中空管の劣化又は腐食部位の補修作業を行う際の作業工程を方法の発明として特定したものである。
従って、第3の発明による効果は、上述の第1又は第2の発明による効果と同じである。
また、第3の発明において、第1又は第2の発明である既存中空管補修部材を、コンクリート基礎や既存中空管に固定するために必要な部材は、例えば、モルタル等の流動性硬化物およびボルト(及びナット、ワッシャー)である。また、現場で用いる流動性硬化物の量も既存中空管の中空部内の一部を満たす程度の量があれば十分であるので、補修作業場所が山間部のへき地であっても、これらの部材の搬入は容易である。
従って、第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明である既存中空管補修部材を用いて既存中空管の劣化又は腐食部位の補修作業を行う場合の、資材や機材の搬入にかかる作業者の負担を大幅に軽減することができる。
また、第3の発明によれば、第1又は第2の発明である既存中空管補修部材と、既存中空管とを、流動性硬化物を介して一体化することができるので、補修後の既存中空管の根元部分に十分な強度と耐久性を発揮させることができる。
さらに、第1及び第2の筒体の内部はともに、流動性硬化物で満たされるので、この部分に雨水が滞留するおそれがなくなる。この結果、既存中空管の切断端に接続された既存中空管補修部材に劣化又は腐食が起こるリスクを大幅に低減することができる。
よって、第3の発明によれば、作業性が良好で、かつ、その作業に要する資材(部品)や機材が少なく、しかも、作業後の経時変化に伴って既存中空管補修部材が劣化し難い既存中空管補修方法を提供することができる。
第4の発明によれば、上述の第3の発明による効果と同じ効果に加えて、隙間埋め工程を有することで、雨水により既存中空管の切断端及びその近傍や、第1の筒体の上端及びその近傍に腐食がおこるリスクを大幅に軽減することができる。
よって、第4の発明によれば、第4の発明により補修された部位の耐久性を一層向上させることができる。
(a)本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材の側面図であり、(b)本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材の断面図である。 本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材の斜視図である。 本実施の形態に係る既存中空管補修方法の各手順を示すフローチャートである。 (a)補修対象の既存中空管の断面図であり、(b)既存中空管の腐食部を切除した後の状態を示す断面図である。 (c)本発明の実施の形態に係る流動性硬化物充填工程の様子を示す断面図であり、(d)本発明の実施の形態に係る分割片設置工程の様子を示す断面図である。 (e)本発明の実施の形態に係る孔形成工程の様子を示す断面図であり、(f)本発明の実施の形態に係る孔形成工程の完了時の様子を示す断面図である。 (g)本発明の実施の形態に係る固定工程の様子を示す断面図であり、(h)本発明の実施の形態に係る第2の流動性硬化物充填工程の様子を示す断面図である。 (i)本発明の実施の形態に係る第2の流動性硬化物充填工程の完了時の様子を示す断面図であり、(j)本発明の実施の形態に係る隙間埋め工程の様子を示す断面図である。
本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材及びそれを用いた既存中空管補修方法について図1乃至図8を参照しながら詳細に説明する。
一般に、コンクリート基礎に中空管の一端が埋設されてなる構造物は、例えば、手摺の支柱等として様々な場所において用いられている。このような中空管を用いた構造物では、経年変化に伴う劣化のせいで、コンクリート基礎上面近傍に配される中空管の根元に腐食が起こり、そのままでは十分な強度を発揮することはできないものの、根元以外の部分は十分に使用できる場合が多々ある。
このような場合に、既存中空管の腐食部を切除することで形成される欠損部分に置換されて、既存中空管の根元の強度を補う加工済の補修部材が本実施の形態に係る既存中空管補修部材である。
はじめに、本実施の形態に係る既存中空管補修部材の取付け部位について図4を参照しながら説明する。
図4(a)は補修対象の既存中空管の断面図であり、(b)は既存中空管の腐食部を切除した後の状態を示す断面図である。
図4(a)に示すように、補修対象の既存中空管8では、コンクリート基礎20中に埋設される根元部分に、経年変化に伴って腐食部8bが生じ、コンクリート基礎20に埋設される既存中空管8の下端部には雨水10が溜まる、あるいは、腐食して剥がれた既存中空管8の腐植片8cが堆積するなどしている。
このような図4(a)に示す補修対象の既存中空管8に対しては、本実施の形態に係る既存中空管補修部材を取り付けるための準備作業を行う必要がある。
より具体的には、図4(b)に示すように、既存中空管8のコンクリート基礎20上の腐食部8bを切除し(後段において説明するステップS01)、さらに、清掃作業(後段において説明するステップS02)を行って、腐食部8bの切除に伴って生じる切断跡穴9から雨水10や腐食片8cを取り除く必要がある。
そして、図4(b)中に示すような、清掃作業後の既存中空管8の切断端8aとコンクリート基礎20(切断跡穴9の開口部9a)の間に後付されるのが本実施の形態に係る既存中空管補修部材である。
次に、本実施の形態に係る既存中空管補修部材の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材の側面図であり、(b)は本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材の断面図である。また、図2は本発明の実施の形態に係る既存中空管補修部材の斜視図である。なお、図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施の形態に係る既存中空管補修部材1は、上述の図4(b)に示す既存中空管8の根元近傍に形成される切断端8aと、コンクリート基礎20との間に介設されて用いられるものであり、図1,2に示すように、既存中空管8の切断端8a近傍の外側面を被覆しながら配される第1の筒体4と、この第1の筒体4の下端に一体に接合され、コンクリート基礎20に形成される既存中空管8の切断跡穴9の開口部9a[先の図4(b)を参照]を塞ぐ平板体5と、この平板体5の下面5b側に一体に接合され、切断跡穴9内に垂下する第2の筒体6とにより構成されるものである。
また、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1では、平板体5は、その中央部に貫通孔7を備えており、平板体5の上面5a側に一体に接合される第1の筒体4の中空部と、平板体5の下面5b側に一体に接合される第2の筒体6の中空部とが貫通孔7を介してつながっている。
さらに、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1では、第1の筒体4、平板体5及び第2の筒体6が一体化されてなる本体部2が、この本体部2を鉛直方向に二分割してなる一対の分割片3,3により構成されるものである。なお、分割片3,3は分割面3a,3aを重ね合せることで一体化することができる。
このような本実施の形態に係る既存中空管補修部材1において、第1の筒体4、平板体5及び第2の筒体6は全て金属製であり、第1の筒体4と平板体5、並びに、平板体5と第2の筒体6は、いずれも溶接により一体に接合されている。
また、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1は、図4(a),(b)に示すように、既存中空管8に対して後付けされるものである。このため、図1(b)に示すように、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1の第1の筒体4の内径と既存中空管8の外径とが一致(既存中空管8と第1の筒体4の間にクリアランスが形成される略一致の概念を含む)するように、また、切断跡穴9内に第2の筒体6を確実に挿入することができるように、切断跡穴9の内径よりも第2の筒体6の外径を小さく設定しておく必要がある。
なお、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1は、補修対象である既存中空管8の内径及び外径を採寸する等することで、事前に工場で製造することができる。
ここで、図3乃至図8を参照しながら、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1を用いた既存中空管補修方法について詳細に説明する。
図3は本実施の形態に係る既存中空管補修方法の各手順を示すフローチャートである。なお、図1,2,4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19では、既存中空管8への本実施の形態に係る既存中空管補修部材1の取付けに先だって、既存中空管補修部材1を取り付けるためのスペースを確保する必要がある。
このため、先に図4(a),(b)を参照しながら説明した既存中空管8の切除工程(ステップS01)と、切断跡穴9に溜まった雨水を排出するとともに、腐食片8cを除去する清掃工程(ステップS02)が行われる。
このステップS02の後に、図3に示す第1の流動性硬化物充填工程と、切断跡穴9への分割片設置工程が行われる。
図5(c)は本発明の実施の形態に係る流動性硬化物充填工程の様子を示す断面図であり、(d)は本発明の実施の形態に係る分割片設置工程の様子を示す断面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3及び図5(c)に示す流動性硬化物充填工程(ステップS03)は、先のステップS02において清掃を完了した切断跡穴9内に、流動性硬化剤11(例えば、モルタル、合成樹脂製硬化剤等)を流し込んで満たす工程である。
さらに、図3及び図5(d)に示す分割片設置工程(ステップS04)は、先のステップS03において切断跡穴9内に充填された流動性硬化剤11に、上述の本実施の形態に係る一対の分割片3,3の第2の筒体6を差し込んで、コンクリート基礎20に一対の分割片3,3を固定する工程である。
この時、一対の分割片3,3の分割面3a,3a(図2を参照)を重ね合せることで、図5(b)に示すように、既存中空管8の切断端8aの外側面上を被覆するように分割片3,3の第2の筒体6を配することができる。これにより、後の工程において一対の分割片3,3を固定具により一体に固定した場合に、第1の筒体4内に既存中空管8の切断端8aが挿設された状態にすることができる。
なお、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19では、このステップS04の分割片設置工程において、既存中空管8の切断端8aとコンクリート基礎20の間に本実施の形態に係る既存中空管補修部材1(分割片3,3)を配した際に、既存中空管8の切断端8a近傍と、既存中空管補修部材1の第1の筒体4とが重なり部を形成している必要がある。
これは、後段において詳細に説明するが、既存中空管8の切断端8aと既存中空管補修部材1の第1の筒体4との重なり部をボルト等の固定具により固定して、既存中空管8と既存中空管補修部材1とを一体化するためである。
従って、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1では、平板体5の下面5bから第1の筒体4の上端までの距離を、既存中空管8の切断端8aから切断跡穴9の開口部9aまでの距離よりも大きく設定しておく必要がある。
また、ステップS03において切断跡穴9に流動性硬化剤11を満たすことで、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19を完了した後の切断跡穴9内に、雨水等が溜まるのを防止することができる。
加えて、切断跡穴9内に充填される流動性硬化剤11が硬化することで、続くステップS04において流動性硬化剤11中に挿設される本実施の形態に係る分割片3,3を、切断跡穴9及び流動性硬化剤11と一体化して固定することができる。
また、切断跡穴9内に充填される流動性硬化剤11に分割片3,3に差し込んだ際に、切断跡穴9の開口部9aは、第2の筒体6に一体に固設される鍔状の平板体5により封止される。この時、第2の筒体6が流動性硬化剤11内に押し込まれることにより押出されて行き場を失った流動性硬化剤11の一部は、図5(d)に示すように、既存中空管補修部材1の平板体5に形成される貫通孔7を通って第1の筒体4の中空部内に流入する。
そして、この状態で流動性硬化剤11が硬化することで、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1(分割片3,3)を、流動性硬化剤11を介してコンクリート基礎20に一体的に固定することができる。
このように、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1の第2の筒体6は、流動性硬化剤11に埋設して用いられる。このため、流動性硬化剤11が硬化した後に、流動性硬化剤11から第2の筒体6が容易に抜けないように構成されることが望ましい。そのために、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1の第2の筒体6の表面(外側面及び/又は内側面)が平滑でないことが望ましい。
より具体的には、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1の第2の筒体6の表面を凸凹状にしてその表面を粗くしておいてもよいし、第2の筒体6の表面に突起を形成しておいてもよい。あるいは、第2の筒体6の強度を損なわない程度に第2の筒体6に単数又は複数の貫通孔を形成しておいてもよい。
いずれの場合も、切断跡穴9内において流動性硬化剤11が硬化した際に、流動性硬化剤11から一対の分割片3,3を抜け難くすることができるので、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1を用いてなる補修箇所の強度と耐久性を高めることができる。
次に、図3,6を参照しながら孔形成工程について詳細に説明する。
図6(e)は本発明の実施の形態に係る孔形成工程の様子を示す断面図であり、(f)は本発明の実施の形態に係る孔形成工程の完了時の様子を示す断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の図3、図5(d)に示す分割片設置工程(ステップS04)の完了後で、流動性硬化剤11が十分に硬化した後に、本実施の形態に係る一対の分割片3,3同士を一体化して固定する目的で、及び、本実施の形態に係る一対の分割片3,3と既存中空管8とを一体化して固定する目的で、ボルト挿通用穴を形成する工程が孔形成工程(ステップS05)である。
このステップS05は、図6(e),(f)に示すように、流動性硬化剤11により切断跡穴9内に固定された本実施の形態に係る一対の分割片3,3の第1の筒体4の所望の少なくとも2ヶ所に、例えば、ドリル12等の工具を用いてボルト挿通孔13(貫通孔)を形成する工程である。
なお、このステップS05では、第1の筒体4の中空部内に別途流動性硬化剤(後段において詳細に説明する)を注入するための注入孔14を、既存中空管8の切断端8a近傍に併せて形成してもよい。
また、図6(e)ではドリル12の先端が、ボルト挿通孔13及び注入孔14の形成予定位置である。
このステップS05において、一対の分割片3,3の第1の筒体4に形成される2つのボルト挿通孔13[図6(f)を参照]のうち、平板体5が配される側に形成されるボルト挿通孔13は、一対の分割片3,3を一体に固定化するためのものであり、既存中空管8の切断端8aと第1の筒体4との重なり部に形成されるボルト挿通孔13は、既存中空管8と一対の分割片3,3(既存中空管補修部材1)とを一体化するためのものである。
なお、図6(e),(f)では、一対の分割片3,3を一体化するためのボルト挿通孔13と、既存中空管8と既存中空管補修部材1とを一体化するためのボルト挿通孔13をそれぞれ1箇所ずつ形成する場合を例に挙げて説明しているが、それぞれのボルト挿通孔13は1箇所以上形成されてもよい。
この場合、一対の分割片3,3をより強固に一体化することができる、あるいは、既存中空管8と一対の3,3(既存中空管補修部材1)をより強固に一体化するという効果を発揮させることができる。
次に、図3及び図7(g)を参照しながら、固定工程について詳細に説明する。
図7(g)は本発明の実施の形態に係る固定工程の様子を示す断面図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3及び図7(g)に示す固定工程(ステップS06)は、先のステップS05(孔形成工程)において形成したボルト挿通孔13,13のそれぞれに、例えば、ボルト15等の固定具を挿通して、一対の分割片3,3(既存中空管補修部材1)を一体化して固定するとともに、一対の分割片3,3(既存中空管補修部材1)と既存中空管8の切断端8aを一体化して固定する工程である。
このステップS06では、図7(g)に示すように、ボルト15及びナット16を用いて、一対の分割片3,3、及び、一対の分割片3,3と既存中空管8を、一体化して固定している。
なお、このステップS06では、固定具としてボルト15及びナット16に加えて、ワッシャー17を用いてもよい。このようにワッシャー17を用いることで、ボルト15及びナット16による固定効果を一層強固にすることができる。また、一対の分割片3,3、及び、一対の分割片3,3と既存中空管8との固定具は、ボルト15(及びナット16、ワッシャー17)に特定する必要はなく、同様の機能を有するものであれば支障なく用いることができる。
次に、図3、図7(h)及び図8(i)を参照しながら第2の流動性硬化物充填工程について詳細に説明する。
図7(h)は本発明の実施の形態に係る第2の流動性硬化物充填工程の様子を示す断面図である。また、図8(i)は本発明の実施の形態に係る第2の流動性硬化物充填工程の完了時の様子を示す断面図である。なお、図1乃至図7(g)に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先のステップS06を完了した後、先のステップS03において既存中空管8の切断端8a近傍に形成しておいた注入孔14から、既存中空管補修部材1の第1の筒体4の中空部内に別途、流動性硬化剤11を注入して第1の筒体4の中空部内を流動性硬化剤11で満たす工程[図7(h)を参照]が第2の流動性硬化物充填工程(ステップ07)である。そして、このステップ07が完了した状態を示したものが図8(i)である。
図7(h)及び図8(i)に示すように、ステップ07では既存中空管補修部材1の第1の筒体4に形成された注入孔14に注入ノズル18を差し入れて、この注入ノズル18から第1の筒体4の内部に流動性硬化剤11を満たして硬化することで、第1の筒体4とボルト15とを新たに注入される流動性硬化剤11により一体化して固定することができる。
この場合、既存中空管8と既存中空管補修部材1の連結状態を強固にすることができるので、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19による補修箇所の強度や耐久性を一層高めることができる。
なお、図8(i)では、既存中空管8の切断端8a近傍に形成される注入孔14を、新たに注入される流動性硬化剤11により塞ぐ場合を例に挙げて説明しているが、新たに注入される流動性硬化剤11により注入孔14を塞ぐ必要性は特にない。
この場合、既存中空管8の上方から何らかの原因で既存中空管8の中空部内に雨水が浸入した際に、この雨水を注入孔14から既存中空管8の外に排出することができる。この場合、既存中空管8の中空部内に雨水が滞留することがないので、既存中空管8が内側から腐食するのを防止することができる。
従って、注入孔14を開放状態にしておくことで、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19による補修箇所の耐用年数を長くすることができる。
最後に、図8(j)を参照しながら、隙間埋め工程について詳細に説明する。
図8(j)は本発明の実施の形態に係る隙間埋め工程の様子を示す断面図である。なお、図1乃至図8(i)に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
なお、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19は、上述の第2の流動性硬化物充填工程(ステップ07)を完了した時点で完了としてもよいが、以下に示すステップS08を備えていてもよい。
先のステップS07の完了後に、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1の第1の筒体4の上端と、既存中空管8の隙間を、例えば、合成樹脂等(例えば、コーキング剤等)からなる流動性硬化剤21により埋める工程[図8(j)を参照]が隙間埋め工程(ステップS08)である。
この隙間埋め工程(ステップS08)を行うことで、既存中空管8と第1の筒体4の隙間に雨水が浸入するのを好適に防止することができる。この結果、既存中空管8と第1の筒体4の隙間に雨水が浸入して、この部分で新たに腐食が起こり、第1の筒体4の強度及び耐久性が低下するのを好適に防止することができる。
なお、特に図示しないが、固定具であるボルト15の頭部や、ナット16周りの隙間にも流動性硬化剤21を充填してもよい。この場合、固定具の設置個所における腐食の発生を好適に抑制して、補修箇所の強度や耐久性が低下するのを好適に防止することができる。
上述のような本実施の形態に係る既存中空管補修部材1及びそれを用いてなる既存中空管補修方法19によれば、既存中空管8のコンクリート基礎20に埋設される根元付近にのみ腐食が生じた場合に、既存中空管8の上部を有効活用して補修作業を完了することができる。
この場合、既存中空管8において腐食が起きた部位は切除されて本実施の形態に係る既存中空管補修部材1に置き換えられるので、他の部位と比較して補修箇所の強度や耐久性が劣ることがない。
よって、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1及び既存中空管補修方法19によれば、既存中空管8の使用可能部位をそのまま利用して補修作業を完了できるので、既存中空管8の補修に要する手間及びコストを大幅に削減することができる。
さらに、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19に用いられる既存中空管補修部材1(一対の分割片3,3)は、工場にて予め製造しておくことができるので、既存中空管8の補修現場において、第1の筒体4と平板体5を一体化する、又は、平板体5と第2の筒体6を一体化する溶接作業や、第1の筒体4、平板体5及び第2の筒体6からなる本体部2を二分割して一対の分割片3,3とする溶断作業を現場において行う必要がない。
このことは、既存中空管8の補修現場に、溶接及び/又は溶断するための設備を搬入する必要がないことを意味している。
従って、本実施の形態に係る既存中空管補修部材1及びそれを用いてなる既存中空管補修方法19によれば、山間部等のへき地において既存中空管8の補修作業を行う場合でも、溶接及び/又は溶断のための設備が現地になくとも、例えば、ドリル等の簡易な手工具を用いるだけで補修作業を完了することができる。
よって、既存中空管8の補修作業を行う際の作業者の負担を大幅に軽減することができる。
なお、本実施の形態に係る既存中空管補修方法19では、一対の分割片3,3(既存中空管補修部材1)を一体化するためのボルト挿通孔13(第1の筒体4において平板体5が配される側に形成されるボルト挿通孔13)を補修現場にて形成する場合を例に挙げて説明しているが、一対の分割片3,3(既存中空管補修部材1)を一体化するためのボルト挿通孔13については、既存中空管補修部材1の製造時に予め形成しておいてもよい。
この場合、既存中空管8の補修現場にて作業者が行う作業を減らすことができるので、現地での作業効率を高めることができる。
以上説明したように本発明は、既存中空管の使用可能な部位を有効活用しながら、作業現場において溶接及び/又は溶断作業を行うことなく既存中空管の根元を補修することができる既存中空管補修部材およびそれを用いてなる既存中空管補修方法であり、建築や、送電設備等に関する技術分野において利用可能である。
1…既存中空管補修部材 2…本体部 3…分割片 3a…分割面 4…第1の筒体 5…平板体 5a…上面 5b…下面 6…第2の筒体 7…貫通孔 8…既存中空管 8a…切断端 8b…腐食部 8c…腐植片 9…切断跡穴 9a…開口部 10…雨水 11…流動性硬化剤 12…ドリル 13…ボルト挿通孔 14…注入孔 15…ボルト 16…ナット 17…ワッシャー 18…注入ノズル 19…既存中空管補修方法 20…コンクリート基礎 21…流動性硬化剤

Claims (4)

  1. 既存中空管の根元近傍に形成される切断端と、前記既存中空管の下端が埋設されるコンクリート基礎と、の間に介設される既存中空管補修部材であって、
    前記切断端近傍の外側面を被覆しながら配される第1の筒体と、
    この第1の筒体の下端に一体に接合され、前記コンクリート基礎に形成される前記既存中空管の切断跡穴の開口部を塞ぐ平板体と、
    前記平板体の下面側に一体に接合され、前記切断跡穴内に垂下する第2の筒体とを有し、
    前記平板体は、前記第1の筒体の中空部と、前記第2の筒体の中空部とをつなぐ貫通孔を備え、
    前記第1の筒体と前記平板体と前記第2の筒体が一体化されてなる本体部は、この本体部を鉛直方向に二分割してなる一対の分割片からなることを特徴とする既存中空管補修部材。
  2. 前記第1の筒体は、一対の前記分割片を一体化する固定用ボルトを挿通するためのボルト挿通孔を備えていることを特徴とする請求項1記載の既存中空管補修部材。
  3. 既存中空管の根元近傍を切除する切除工程と、
    前記既存中空管が切除されることでコンクリート基礎に形成される切断跡穴から、その内部に溜まった収容物を除去する清掃工程と、
    清掃済の前記切断跡穴内に流動性硬化物を充填する第1の流動性硬化物充填工程と、
    前記流動性硬化物が充填された前記切断跡穴内に、請求項1又は請求項2に記載の前記分割片における前記第2の筒体を挿入するとともに、前記平板体により前記切断跡穴の開口部を塞ぐ分割片設置工程と、
    一対の前記分割片を構成する前記第1の筒体に、少なくとも1対のボルト挿通孔を穿設するとともに、前記既存中空管内に流動性硬化物を注入するための注入孔を形成する孔形成工程と、
    前記ボルト挿通孔にボルトを挿設して一対の前記分割片を一体化する固定工程と、
    前記注入孔から前記第1の筒体の中空部内に流動性硬化物を充填する第2の流動性硬化物充填工程と、を有することを特徴とする既存中空管補修方法。
  4. 前記第2の流動性硬化物充填工程の前又は後に、前記既存中空管と前記第1の筒体の上端との隙間に隙間埋め材を配する隙間埋め工程を有することを特徴とする請求項3に記載の既存中空管補修方法。
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