JP4448556B1 - 既設鋼管柱腐食防止補強材 - Google Patents

既設鋼管柱腐食防止補強材 Download PDF

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Abstract

【課題】現場での補強材の取り付け作業を簡素化し、簡潔なディテールで構造耐力の高い効率的な既設鋼管柱腐食防止補強材を提供する。
【解決手段】既設鋼管柱腐食防止補強材1は、既設鋼管柱2を取り巻いて挿入される円形の腐食防止補強材3と、溝部11が既設鋼管柱2側に向くように腐食防止補強材3の内側に取り付けられる複数のコの字型受材4と、ウェブ部16がコの字型受材4の溝部11に差し込まれてコの字型受材4に嵌合し、フランジ部15が既設鋼管柱2に対向する複数のT字型補強材5と、既設鋼管柱2の内部であってT字型補強材5を含む上下方向の範囲に充填される補強用モルタル6と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設鋼管柱腐食防止補強材に係り、特に、既設の鋼管柱の腐食を防止し、地表面近傍に生じた腐食箇所を補強する既設鋼管柱腐食防止補強材に関する。
単一の鋼管柱からなる街路灯、交通標識、或いは看板などの既設鋼管柱は、地下に打設された基礎コンクリート内に埋め込まれて地表面に露出し、長年風雨に曝される。従って、鋼管柱は雨水によりその表面が腐食して鋼管の断面欠損が生じる場合があり、鋼管柱の表面に腐食が生じると強度上の問題が発生する場合がある。特に、既設鋼管柱の地表面近傍は溜まった雨水や地表面からの湿気などにより腐食が進行しやすいが、台風などの風力を受けた際に最も曲げモーメントが大きくなる部位のため鋼管柱が倒壊する危険性がある。
そこで、鋼管柱に腐食が発生するのを防止し、腐食が発生した既設鋼管柱を補強する構法が各種提案されている。例えば、特許文献1には、鋼管柱の地際腐食メンテナンス方法およびその装置が開示されている。ここでは、半割り状の鋼管を補強管とし、鋼管柱と補強管との間に僅かな隙間を持たせて固定し、その隙間にコンクリートモルタルなどの圧縮力に耐える物質を充填することが記載されている。
また、特許文献2には、鋼管製支柱の防食補強方法が開示されている。ここでは、既設の鋼管製支柱の根元側の内部空間に縦長の補強材と、骨材とエポキシ系硬化樹脂とを混合した充填材を入れ込むことが記載されている。
特開平7−324496号公報 特開2006−316585号公報
既設の鋼管柱に腐食防止補強材を設置するには現場作業が発生することから、現場での取り付け作業を極力簡素化し、構造的な欠陥が生じない構法を採用しなければならない。特に、溶接機による現場溶接や溶接切断を行なう構法の場合には、溶接機や溶接工が必要となり簡素な構法とはいえない。また、この構法では現場溶接箇所や溶接切断後の補修箇所の品質を確保することが難しく、溶接欠陥が生じた場合には構造耐力が保証できないという問題がある。
また、既設鋼管柱は、補強によってその構造強度が低下しないような構法でなければならない。特に、台風などの風力を受けた際に最も曲げモーメントが大きくなる部位であるため、補強鋼管に局部座屈が生じないように簡潔なディテールで構造耐力の高い効率的な構法が望ましい。
本願の目的は、かかる課題を解決し、現場での補強材の取り付け作業を簡素化し、簡潔なディテールで構造耐力の高い効率的な既設鋼管柱腐食防止補強材を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材は、既設鋼管柱の地表面近傍に生じた腐食箇所を補強する既設鋼管柱腐食防止補強材において、既設鋼管柱を取り巻いて挿入される腐食防止補強材と、溝部が既設鋼管柱側に向くように腐食防止補強材の内側に取り付けられる複数のコの字型受材と、ウェブ部がコの字型受材の溝部に差し込まれてコの字型受材に嵌合し、フランジ部が既設鋼管柱に対向する複数のT字型補強材と、既設鋼管柱と腐食防止補強材の間隙であってT字型補強材が差し込まれた範囲に充填される補強モルタルと、を備えることを特徴とする。
上記構成により、既設鋼管柱腐食防止補強材は、腐食防止補強材を既設鋼管柱の頂部から挿入可能なような径とする。これにより、既設鋼管柱と腐食防止補強材との間隙が生じるが、この隙間を、T字型補強材を差し込む空間とすることで簡潔なディテールとすることができる。また、円形の腐食防止補強材を半割りにせずにそのまま既設鋼管柱に挿入することで、簡潔なディテールにより現場での取り付け作業を簡素化できる。さらに、腐食防止補強材自体を構造耐力の高い効率的な構造とすることができる。
また、T字型補強材を予め腐食防止補強材に取り付けられたコの字型受材に差し込んで嵌合させることで、現場での溶接作業やボルト締め作業を省略し、簡潔なディテールにより現場での取り付け作業を簡素化できる。また、T字型補強材のウェブ部が腐食防止補強材の壁面を補剛して腐食防止補強材の局部座屈を防止し、台風などの風力を受けた際にT字型補強材のフランジ部がモルタルと複合した構造となり、補強鋼管とモルタルとが一体として曲げモーメントに抵抗することができる。
また、既設鋼管柱腐食防止補強材は、コの字型受材の溝部に差し込まれたT字型補強材が、コの字型受材に設けられたストッパ部材により上下方向の位置が固定されることが好ましい。これにより、曲げモーメントを受けた場合に、T字型補強材がずれることを防止することができる。
上記目的を達成するため、本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材は、既設鋼管柱の地表面近傍に生じた腐食箇所を補強する既設鋼管柱腐食防止補強材において、一端が接続された2枚の半割り鋼管柱により既設鋼管柱を取り巻いて他端を連結した腐食防止補強材と、溝部が既設鋼管柱側に向くように腐食防止補強材の内側に取り付けられる複数のコの字型受材と、ウェブ部がコの字型受材の溝部に差し込まれてコの字型受材に嵌合し、フランジ部が既設鋼管柱に対向する複数のT字型補強材と、既設鋼管柱と腐食防止補強材の間隙であってT字型補強材が差し込まれた範囲に充填される補強モルタルと、腐食防止補強材の外周側に設けられる複数の補強リブと、腐食防止補強材及び補強リブと接続されるベース板と、を備え、補強リブとベース板とは、予め半割り鋼管柱に溶接接合されることを特徴とする。
上記構成により、既設鋼管柱腐食防止補強材は、T字型補強材を予め腐食防止補強材に取り付けられたコの字型受材に差し込んで嵌合させることで、現場での溶接作業やボルト締め作業を省略し、簡潔なディテールにより現場での取り付け作業を簡素化できる。また、T字型補強材のウェブ部が腐食防止補強材の壁面を補剛して腐食防止補強材の局部座屈を防止し、台風などの風力を受けた際にT字型補強材のフランジ部がモルタルと複合した構造となり、補強鋼管とモルタルとが一体として曲げモーメントに抵抗することができる。
また、既設鋼管柱腐食防止補強材は,補強リブが半割り鋼管柱を介してT字型補強材と対向する位置に取り付けられることが好ましい。これにより、T字型補強材と補強リブとが補強鋼管を協働して補剛し、最も曲げモーメントが大きくなる部位において構造耐力の高い効率的な構法とすることができる。
さらに、既設鋼管柱腐食防止補強材は,充填されたモルタルの上面が、防水用のウレタンにより仕上げられることが好ましい。これにより、腐食防止補強材内のモルタル部分から雨水が内部に浸透し、鉄部分に腐食が発生するのを防止できる。
以上のように、本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材によれば、現場での補強材の取り付け作業を簡素化し、簡潔なディテールで構造耐力の高い効率的な既設鋼管柱腐食防止補強材を提供することができる。
本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材の第1実施形態の概略構成を示す断面図である。 既設鋼管柱の概要、及び第1実施形態の腐食防止補強材の施工方法を示す側面図である。 第1実施形態の腐食防止補強材のコの字型受材とT字型補強材との接合を示す詳細図である。 本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材の第2実施形態の概略構成を示す断面図である。 既設鋼管柱の概要、及び第2実施形態の腐食防止補強材の施工方法を示す側面図である。 第2実施形態の腐食防止補強材のコの字型受材とT字型補強材との接合を示す詳細図である。
以下に、図面を用いて本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材の実施形態につき、詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材の第1実施形態の概略構成を示す。図1(a)は、既設鋼管柱腐食防止補強材1を縦方向に切断した断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。本既設鋼管柱腐食防止補強材1は、既設鋼管柱2の地表面近傍に生じた腐食箇所を補強するため、腐食防止補強材3、コの字型受材4、T字型補強材5、及び補強用モルタル6から構成される。
図2に、既設鋼管柱の概要、及び第1実施形態の腐食防止補強材の施工方法を示す。既設鋼管柱2は地表面9下に打設された基礎コンクリート8内に埋め込まれて地表面に露出し、長年風雨に曝される。この地表面9の近傍に溜まった雨水などにより鋼管の一部に図1に示す腐食箇所13が生じる場合がある。この腐食箇所13が発生すると、既設鋼管柱2はその板部分の断面欠損が生じる。既設鋼管柱2の断面欠損部分は風などの水平力により既設鋼管柱2に生じる曲げモーメントに対して抵抗することができなくなる場合があり、鋼管柱が倒壊に至る場合もある。
腐食防止補強材3の施工方法は、まず基礎コンクリート8の上部を割ることで撤去し、基礎コンクリート8の表面をはつり込む。そして、腐食防止補強材3を既設鋼管柱2の頂部から挿入して地表面近傍の腐食箇所13を含むように基礎コンクリート8の表面上に設置する。その後、コンクリート補修部21に補修用コンクリートを流し込んで表面を補修し、腐食防止作業が完了する。
本実施形態では、既設鋼管柱2は、例えば、Φ59.6、Φ114.3、Φ139.8、Φ165.2などの円形鋼管であるが、これらのサイズに限らない。また、腐食防止補強材3の設置位置は、例えば、腐食防止補強材3の長さが500mmとするとそのうち300mmを地表面9から上に設置し、残りの200mmを地表面9より下に設置するが、これに限らない。さらに、腐食防止補強材3の外形は円形鋼管であり、上述した、既設鋼管柱2の各サイズに対応し、Φ101.6、Φ165.2、Φ216.3、Φ216.3といった円形鋼管が用いられるが、これらのサイズに限らない。
図3に、腐食防止補強材3のコの字型受材4とT字型補強材5との接合を示す。コの字型受材4は、腐食防止補強材3の内側側の数箇所に縦方向に取り付けられる。図1では、腐食防止補強材3の内側側の4箇所において、溶接により腐食防止補強材3の内側側に予め取り付けられる。このコの字型受材4の取り付け個数は4箇所に限らず、腐食箇所13の状況などにより箇所数が決定される。図3に示すように、このコの字型受材4は、板要素である2枚のはさみ板14により溝部11を有する。この溝部11が既設鋼管柱2の方向に向くようにその2枚の板要素の連結板12を腐食防止補強材3の内面側に取り付ける。
本第1実施形態では、腐食防止補強材3を既設鋼管柱2の頂部から挿入するが、腐食防止補強材3は、この挿入に可能なような径とする。これにより生じた既設鋼管柱2と腐食防止補強材3との間隙を利用してT字型補強材5が差し込まれる。このように、本第1実施形態の構成は、空間を有効に利用して簡潔なディテールとなる。
図1(b)に示すように、腐食防止補強材3の下部には、腐食防止補強材3の設置の際にはつられたコンクリート面に腐食防止補強材3を係止するためのアンカーボルト19が設けられる。また、腐食防止補強材3のコの字型受材4の底部には、後述するT字型補強材5の受け部となるストッパ部材17が取り付けられる。
T字型補強材5は、腐食防止補強材3が既設鋼管柱2を取り巻いて挿入された後、各コの字型受材4の溝部11に差し込まれる。すなわち、図3に示すように、T字型補強材5は、フランジ部15とウェブ部16の2枚の板要素から構成され、ウェブ部16がコの字型受材4の溝部11に差し込まれてコの字型受材4に嵌合し、フランジ部15が既設鋼管柱2に対向する。
T字型補強材5が全てのコの字型受材4に差し込まれると、既設鋼管柱2と腐食防止補強材3との間隙であってT字型補強材5を含む上下方向の範囲に補強用モルタル6が充填される。さらに、充填された補強用モルタル6の上面は、防水用ウレタン18により仕上げられる。そして、コンクリート補修が行なわれて既設鋼管柱腐食防止補強材1の設置は完了する。
本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材1により、円形の腐食防止補強材3を半割りにせずにそのまま既設鋼管柱2に挿入することで、簡潔なディテールにより現場での取り付け作業を簡素化できる。また、腐食防止補強材3自体を構造耐力の高い効率的な構造とすることができる。すなわち、腐食防止補強材3は、それ自体が補強されずに鋼管としての耐力を発揮できる。また、腐食防止補強材3を既設鋼管柱2に設置し、T字型補強材5をコの字型受材4に差し込み、補強用モルタル6を充填するだけという簡易な現場作業であり、ボルトの締め付けや現場溶接が不要となり、簡潔なディテールにより現場での取り付け作業を簡素化できる。
また、図3に示すように、コの字型受材4が薄肉の腐食防止補強材3の内面側の数箇所に縦方向に取り付けられることで、曲げモーメントによる腐食防止補強材3の局部座屈を補強することができる。さらに、コの字型受材4に嵌合したT字型補強材5により、理論的に図3に示す破線の補強用モルタル6がT字型補強材5と一体化して風などにより発生する曲げモーメントに抵抗する。このように、腐食防止補強材3がコの字型受材4及びT字型補強材5を介して補強用モルタル6と複合して風などによる水平力により発生する曲げモーメントの抵抗要素となり構造耐力の高い効率的な構造とすることができる。
(第2実施形態)
図4に、本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材の第2実施形態の概略構成を示す。図4(a)は、既設鋼管柱腐食防止補強材20を縦方向に切断した断面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B断面図である。本既設鋼管柱腐食防止補強材20は、既設鋼管柱22の地表面近傍に生じた腐食箇所33を補強するために、半割りの腐食防止補強材23a,23b、コの字型受材24、T字型補強材25、及び補強用モルタル26から構成される。
図5に、既設鋼管柱の概要、及び第2実施形態の腐食防止補強材の施工方法を示す。既設鋼管柱22は地表面29下に打設された基礎コンクリート28内に埋め込まれて地表面29に露出し、長年風雨に曝される。この地表面29の近傍に溜まった雨水などにより鋼管の一部に図4に示す腐食箇所33が生じる場合がある。この腐食箇所33が発生すると、既設鋼管柱22はその板部分の断面欠損が生じる。既設鋼管柱22の断面欠損部分は風などの水平力により既設鋼管柱22に生じる曲げモーメントに対して抵抗することができなくなる場合があり、鋼管柱が倒壊に至る場合もある。
腐食防止補強材23の施工方法は、まず基礎コンクリート28の上部を割ることで撤去し、基礎コンクリート28の表面をはつり込む。そして、半割りの腐食防止補強材23a,23bを既設鋼管柱22の側面から地表面近傍の腐食箇所33を含むように基礎コンクリート28の表面上に設置する。その後、コンクリート補修部41にコンクリートを流し込み補修を行い、腐食防止作業が完了する。
第2実施形態の既設鋼管柱腐食防止補強材20は、第1実施形態の既設鋼管柱腐食防止補強材1と異なり、腐食防止補強材23が半割りの腐食防止補強材23a,23bを組み合わせたものであり、固定バンド43により締め付けられて既設鋼管柱22に取り付けられる。また、円形鋼管としての形状を保持するために形状保持板46により半割りの腐食防止補強材23a,23bが相互に連結される。この既設鋼管柱22は、例えば、Φ59.6、Φ114.3、Φ139.8、Φ165.2などの円形鋼管であるが、これらのサイズに限らない。また、腐食防止補強材23a,23bは、上述した、既設鋼管柱22の各サイズに対応し、Φ101.6、Φ165.2、Φ216.3、Φ216.3を半割りにした円形鋼管が用いられるが、これらのサイズに限らない。腐食防止補強材23は、半割りの腐食防止補強材23a,23bにより既設鋼管柱22を取り巻いて組み立てられる。例えば、腐食防止補強材23の長さが500mmとするとそのうち300mmを地表面29から上に設置し、残りの200mmを地表面29より下に設置するが、これに限らない。
図4に示すように、本実施形態では、第1実施形態と異なり、腐食防止補強材23の下部には、三角形の補強リブ41及び4角形のベース板42が取り付けられる。本実施形態では、補強リブ41は、コの字型受材24及びT字型補強材25と対向した位置に4箇所設けられる。ベース板42は、腐食防止補強材23の外周側において腐食防止補強材23a,23bと補強リブ41とに接続される。また、この補強リブ41とベース板42とは、予め半割りの腐食防止補強材23a,23bにそれぞれ溶接接合され、現場においてベース板42同士を連結部44により連結して一体化する。このベース板42には、4箇所にアンカーボルト39用の孔が明けられる。そして、腐食防止補強材23は、アンカーボルト39により基礎コンクリート28に定着される。
図6に、腐食防止補強材23のコの字型受材24とT字型補強材25との接合を示す。コの字型受材24は、腐食防止補強材23の内側側の数箇所に縦方向に取り付けられる。図4では、腐食防止補強材23の内側側の4箇所において、溶接により腐食防止補強材23の内側側に予め取り付けられる。このコの字型受材24の取り付け個数は4箇所に限らず、腐食箇所33の状況などにより箇所数が決定される。図6に示すように、このコの字型受材24は、板要素である2枚のはさみ板34により溝部31を有する。この溝部31が既設鋼管柱22に向くようにその2枚の板要素の連結板32を腐食防止補強材23a,23bの内面側に取り付ける。
T字型補強材25は、腐食防止補強材23が既設鋼管柱22を取り巻いて組み立てられた後、各コの字型受材24の溝部31に差し込まれる。すなわち、図4に示すように、T字型補強材25は、フランジ部35とウェブ部36の2枚の板要素から構成され、ウェブ部36がコの字型受材24の溝部31に差し込まれてコの字型受材24に嵌合し、フランジ部35が既設鋼管柱22に対向する。
T字型補強材25が全てのコの字型受材24に差し込まれると、既設鋼管柱22と腐食防止補強材23との間隙であってT字型補強材25を含む上下方向の範囲に補強用モルタル26が充填される。さらに、充填された補強用モルタル26の上面は、防水用ウレタン38により仕上げられる。そして、コンクリート補修が行なわれて既設鋼管柱腐食防止補強材1の設置は完了する。
本発明に係る既設鋼管柱腐食防止補強材20により、腐食防止補強材23自体を構造耐力の高い効率的な構造とすることができる。すなわち、腐食防止補強材23を既設鋼管柱22に設置し、T字型補強材25をコの字型受材24に差し込み、補強用モルタル26を充填するだけという簡易な現場作業であり、現場溶接が不要となり、簡潔なディテールにより現場での取り付け作業を簡素化できる。
また、図6に示すように、コの字型受材24が薄肉の腐食防止補強材23の内面側の数箇所に縦方向に取り付けられることで、曲げモーメントによる腐食防止補強材23の局部座屈を補強することができる。さらに、コの字型受材24に嵌合したT字型補強材25により、理論的に図6に示す破線の補強モルタル26がT字型補強材25と一体化して曲げモーメントに抵抗する。このように、腐食防止補強材23がコの字型受材24及びT字型補強材25を介して補強用モルタル26と複合して風などによる水平力により発生する曲げモーメントの抵抗要素となり構造耐力の高い効率的な構造とすることができる。
1,20 既設鋼管柱腐食防止補強材、2,22 既設鋼管柱、3,23,23a,23b 腐食防止補強材、4,24 コの字型受材、5,25 T字型補強材、6,26 補強用モルタル、7,27 ベースプレート、8,28 基礎コンクリート、9,29 地表面、10,30 溶接部、11,31 溝部、12,32 連結板、13,33 腐食箇所、14,34 はさみ板、15,35 フランジ部、16,36 ウェブ部、17 ストッパ部材、18,38 防水用ウレタン、19,39 アンカーボルト、21,47 コンクリート補修部、41 補強リブ、42 ベース板、43 固定バンド、44 連結部、45 障害物、46 形状保持板。

Claims (5)

  1. 既設鋼管柱の地表面近傍に生じた腐食箇所を補強する既設鋼管柱腐食防止補強材において、
    既設鋼管柱を取り巻いて挿入される腐食防止補強材と、
    溝部が既設鋼管柱側に向くように腐食防止補強材の内側に取り付けられる複数のコの字型受材と、
    ウェブ部がコの字型受材の溝部に差し込まれてコの字型受材に嵌合し、フランジ部が既設鋼管柱に対向する複数のT字型補強材と、
    既設鋼管柱と腐食防止補強材の間隙であってT字型補強材が差し込まれた範囲に充填される補強モルタルと、を備えることを特徴とする既設鋼管柱腐食防止補強材。
  2. 請求項1に記載の既設鋼管柱腐食防止補強材であって、コの字型受材の溝部に差し込まれたT字型補強材は、コの字型受材に設けられたストッパ部材により上下方向の位置が固定されることを特徴とする既設鋼管柱腐食防止補強材。
  3. 既設鋼管柱の地表面近傍に生じた腐食箇所を補強する既設鋼管柱腐食防止補強材において、
    一端が接続された2枚の半割り鋼管柱により既設鋼管柱を取り巻いて他端を連結した腐食防止補強材と、
    溝部が既設鋼管柱側に向くように腐食防止補強材の内側に取り付けられる複数のコの字型受材と、
    ウェブ部がコの字型受材の溝部に差し込まれてコの字型受材に嵌合し、フランジ部が既設鋼管柱に対向する複数のT字型補強材と、
    既設鋼管柱と腐食防止補強材の間隙であってT字型補強材が差し込まれた範囲に充填される補強モルタルと、
    腐食防止補強材の外周側に設けられる複数の補強リブと、
    腐食防止補強材及び補強リブと接続されるベース板と、
    を備え、
    補強リブとベース板とは、予め半割り鋼管柱に溶接接合されることを特徴とする既設鋼管柱腐食防止補強材。
  4. 請求項3に記載の既設鋼管柱腐食防止補強材であって、補強リブは半割り鋼管柱を介してT字型補強材と対向する位置に取り付けられることを特徴とする既設鋼管柱腐食防止補強材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1に記載の既設鋼管柱腐食防止補強材であって、充填されたモルタルの上面は、防水用のウレタンにより仕上げられることを特徴とする既設鋼管柱腐食防止補強材。
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