JP7300732B2 - 補強構造及び補強構造の製造方法 - Google Patents
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そこで、特許文献1には、信号機を取り換えずに、金属製補強部材を二枚の繊維強化樹脂シートで挟んだ補強シートを、信号柱の腐食部分に巻きつけることで信号機を補強する金属製支柱構造が開示されている。
すなわち、本発明は、地面又は固化材が固化した固化面から中心軸が実質的に鉛直方向に延びる鉛直部を有する支柱の補強構造であって、補強部材と、カバー部材を有し、前記補強部材は、複数の補強片で構成され、前記複数の補強片が前記鉛直部の外周を囲繞するように配されており、前記カバー部材は、複数のカバー片で構成され、前記複数のカバー片が前記補強部材の外周を囲繞するように配されている。
本発明の構成によれば、補強部材とカバー部材との間の空間を上方側から閉塞部が覆うため、補強部材とカバー部材との間の空間に雨等が入りにくく、外部からゴミ等を入れる悪戯も防止できる。
本発明の構成によれば、鉛直部の外面形状と補強部材の内面形状が相違していても鉛直部と補強部材との隙間を充填材で埋めるため、多種多様の外面形状をもつ鉛直部に対応できる。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、通常の設置位置を基準とする。
鉛直部101は、図2のように、筒状であって中心軸C1が実質的に鉛直方向に延びており、中心軸C1に対して直交する断面(以下、横断面ともいう)の外郭形状は、円形、楕円形、又は多角形状をしている。
本実施形態の鉛直部101の外郭形状は、正多角形状であり、具体的には正八角形状である。
本実施形態の支柱100は、金属支柱であり、鉛直部101が鋼鉄製の金属芯材の表面にめっき層が積層されている。
補強部材2は、図4のように、複数の補強片10a,10bによって構成されており、補強片10a,10bが支柱100の周囲を囲繞して補強するものである。
補強片10a,10bは、樹脂又はアルミニウム等の支柱100の鉛直部101よりも水分によって腐食しにくい材質で構成されている。
補強本体20aは、主に鉛直部101を覆う部位であり、円弧状に反って湾曲した板状部位であり、内側面が曲面となっている。
対向部21a,22aは、補強本体20aの周方向の端部付近において補強本体20aと径方向(鉛直部101の中心軸C1に対して直交する方向)に間隔を空けて対向する板状部位である。
対向部21a,22aは、第1締結要素5と締結可能な締結穴26a,27aを備えている。
締結穴26a,27aは、対向部21a,22aの外側から内側(支柱100側)に向かって深さを持った貫通穴又は有底穴であり、第1締結要素5の軸部と係合可能となっている。
接続壁部23a,24aは、補強本体20aと対向部21a,22aを接続する部位であり、補強本体20aから外側に向けて立ち上がった立壁部である。
すなわち、第1接続壁部23aは、補強本体20aの周方向の一方の端部と、対向部21aの端部を接続しており、第2接続壁部24aは、補強本体20aの周方向の他方の端部と、対向部22aの端部を接続している。
接続壁部23a,24aは、第3締結要素7を挿通可能な挿通孔28a,29aを備えている。
挿通孔28a,29aは、接続壁部23a,24aを厚み方向に貫通する貫通孔である。
なお、第2補強片10bの対向部21b,22bの締結穴26b,27bは、第2締結要素6と締結可能となっている。
カバー片50a,50bは、樹脂又はアルミニウム等の支柱100の鉛直部101よりも水分によって腐食しにくい材質で構成されている。
カバー本体60aは、主に補強部材2の補強本体20aの外側を覆う部位であり、支柱100の鉛直部101の外郭形状に沿った板状部位である。
連結部61a,62aは、カバー部材3を組み立てたときに、隣接するカバー片50bと重なり部分を構成し、連結される部位である。
連結部61a,62aは、締結要素5,6を挿通可能な挿通孔68a,69aを備えている。
挿通孔68a,69aは、連結部61a,62aを厚み方向に貫通する貫通孔である。
接続壁部63a,64aは、図5のように、カバー本体60aと連結部61a,62aを接続する部位であり、カバー本体60aから内側(支柱100の鉛直部101側)に向けて立ち上がった立壁部である。すなわち、第1接続壁部63aは、カバー本体60aの周方向の一方の端部と、連結部61aの端部を接続しており、第2接続壁部64aは、カバー本体60aの周方向の他方の端部と、連結部62aの端部を接続している。
すなわち、第2カバー片50bは、カバー本体60b(第2カバー本体)と、連結部61b,62b(第2連結部)と、接続壁部63b,64b(第2接続部)と、閉塞部65b,土台部66bを備えている。
なお、第2カバー片50bの接続壁部63b,64bの高さは、接続壁部63a,64aの高さよりも大きい。
具体的には締結要素5は、ボルトであり、頭部と軸部を有しており、軸部が締結穴26a,27aと締結可能となっている。
第2締結要素6(第2締結部材)は、補強片10bの締結穴26b,27bと締結可能な締結部材であって、カバー片50a,50bを補強片10bに対して固定する固定部材である。
具体的には締結要素6は、ボルトであり、頭部と軸部を有しており、軸部が締結穴26b,27bと締結可能となっている。
第3締結要素7(第3締結部材)は、補強片10a,10b同士を固定する部材である。
第3締結要素7は、具体的には、頭部と軸部を有するボルトと、軸受け部を有するナットの組み合わせであり、軸部が挿通孔28a,29a,28b,29bに挿通可能となっている。
充填材8は、補強本体20a,20bと鉛直部101との間の接着機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、無収縮モルタル等が使用できる。
補強部材2は、鉛直部101の形状と相違し、鉛直部101との間に隙間が形成されており、隙間全体に充填材8が充填されている。
同様に、第2接続壁部24aは、挿通孔29aが第1接続壁部23bの挿通孔28bとともに一つの連続した連通孔を構成しており、当該連通孔に第3締結要素7の軸部が挿通されている。
第1補強片10aの第1接続壁部23aからの対向部21aの延び方向は、第2補強片10bの第2接続壁部24bからの対向部22bの延び方向とは逆向きとなっている。
同様に、第2接続壁部24aからの対向部22aの延び方向は、第2接続壁部23bからの対向部21bの延び方向とは逆向きとなっている。
第1補強片10aの対向部21aは、第2補強片10bの対向部22bとともに一つの平面又は曲面を構成している。同様に、対向部22aは、対向部21bとともに一つの平面又は曲面を構成している。
カバー片50a,50bのカバー本体60a,60bの横断面の外郭形状は、支柱100の鉛直部101の外郭形状と相似形状となっており、具体的には一つの正八角形状となっている。
第1カバー片50aは、連結部61a,62aが第2カバー片50bの連結部61b,62bの外側を覆っている。すなわち、カバー片50a,50bは、支柱100の鉛直部101を中心として径方向の内外において連結部61a,62aと連結部61b,62bに重なり部分が形成されている。
カバー部材3は、カバー片50aの接続壁部63aと連結部61aと、カバー片50bの接続壁部64bによって一つのカバー凹部80を構成している。
カバー凹部80は、内外方向に深さをもち鉛直方向に延びた凹溝であり、内部に締結要素5,6の頭部が位置している。すなわち、締結要素5,6は、カバー片50a,50bのカバー本体60a,60bよりも鉛直部101側に位置しており、カバー部材3から外側に張り出していない。
連結部62aと連結部61bの重なり部分においても、第1カバー片50aの挿通孔69a,69aと第2カバー片50bの挿通孔68b,68bと補強片10b,10aの締結穴27a,26bが、それぞれ連続した一つの連通孔を構成しており、当該連通孔に締結要素5,6が挿入されている。
カバー部材3は、カバー片50aの連結部62a及び接続壁部64aと、カバー片50bの接続壁部63bによって一つのカバー凹部81を構成している。
カバー凹部81は、内外方向に深さをもち鉛直方向に延びた凹溝であり、内部に締結要素5,6の頭部が位置している。
すなわち、締結要素5,6は、カバー片50a,50bのカバー本体60a,60bよりも鉛直部101側に位置しており、カバー部材3から外側に張り出していない。
このとき、補強部材2の地面105からの高さ(グランドレベルGLからの高さ)は、30cm以上100cm以下であることが好ましい。
このとき、カバー部材3の地面105からの高さ(グランドレベルGLからの高さ)は、40cm以上120cm以下であることが好ましい。
そして、本実施形態の補強構造1によれば、第1締結要素5が重なり部分の第1カバー片50aの挿通孔68a,69aと第2カバー片50bの挿通孔69b,68bを挿通して補強片10aの対向部21a,22aの締結穴26a,27aと締結されており、第2締結要素6が重なり部分の第1カバー片50aの挿通孔68a,69aと第2カバー片50bの挿通孔69b,68bを挿通して補強片10bの対向部22b,21bの締結穴27b,26bと締結されている。すなわち、第1カバー片50aと第2カバー片50bの重なり部分に締結要素5,6を挿通し、補強片10a,10bに締結するだけで第1補強片10aと第2補強片10bの離反が防止されるので、熟練者によらずとも容易に支柱100の鉛直部101に補強部材2及びカバー部材3を固定することができる。
同様に、上記した実施形態では、カバー部材3が2つのカバー片50a,50bによって構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。カバー部材3は3つ以上のカバー片50によって構成されていてもよい。
2 補強部材
3 カバー部材
5 第1締結要素(第1締結部材)
6 第2締結要素(第2締結部材)
7 第3締結要素(第3締結部材)
8 充填材
10a 第1補強片
10b 第2補強片
20a,20b 補強本体
21a,21b 対向部
22a,22b 対向部
23a,23b 第1接続壁部
24a,24b 第2接続壁部
26a,26b 第1締結穴
27a,27b 第2締結穴
28a,28b,29a,29b 挿通孔
50a 第1カバー片
50b 第2カバー片
60a カバー本体(第1カバー本体)
60b カバー本体(第2カバー本体)
61a,62a 連結部(第1連結部)
61b,62b 連結部(第2連結部)
63a 第1接続壁部(第1接続部)
63b 第1接続壁部(第2接続部)
64a 第2接続壁部(第1接続部)
64b 第2接続壁部(第2接続部)
65a,65b 空間覆部
66a,66b 土台部
68a,68b 挿通孔
69a,69b 挿通孔
80,81 カバー凹部
100 支柱
101 鉛直部
102 凹部
103 固化材
105 地面
106 固化面
Claims (12)
- 地面又は固化材が固化した固化面から中心軸が実質的に鉛直方向に延びる鉛直部を有する支柱の補強構造であって、
補強部材と、カバー部材を有し、
前記補強部材は、複数の補強片で構成され、前記複数の補強片が前記鉛直部の外周を囲繞するように配されており、
前記カバー部材は、複数のカバー片で構成され、前記複数のカバー片が前記補強部材の外周を囲繞するように配されており、
第1締結部材と、第2締結部材を有し、
前記複数の補強片には、第1補強片と、第2補強片があり、
前記第1補強片と前記第2補強片は、補強本体と、前記補強本体と間隔を空けて対向する対向部と、前記補強本体と前記対向部とを接続する接続壁部をそれぞれ有し、
前記第1補強片の接続壁部と前記第2補強片の接続壁部は、周方向に対向しており、
前記複数のカバー片には、第1カバー片と、第2カバー片があり、
前記第1カバー片と前記第2カバー片は、一部に径方向における重なり部分があって、当該重なり部分が前記第1補強片の対向部と第2補強片の対向部に跨っており、
前記第1締結部材は、前記第1カバー片と前記第2カバー片の前記重なり部分を挿通し、前記第1補強片の対向部と締結されており、
前記第2締結部材は、前記第1カバー片と前記第2カバー片の前記重なり部分を挿通し、前記第2補強片の対向部と締結されていることを特徴とする補強構造。 - 前記補強部材は、下端部が地面よりも下方にあって前記固化材に埋没しており、
前記カバー部材は、地面又は前記固化材上に載置されていることを特徴とする請求項1に記載の補強構造。 - 前記補強部材と前記カバー部材との間に空間があり、
前記補強部材又は前記カバー部材は、前記空間を上方側から覆う閉塞部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の補強構造。 - 前記カバー片は、前記補強片の大部分を覆っていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の補強構造。
- 前記補強部材と前記鉛直部との間には、隙間があり、
前記隙間の大部分に充填材が充填されて前記補強部材と前記鉛直部が接着されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の補強構造。 - 第3締結部材を有し、
前記第3締結部材は、第1補強片の接続壁部と第2補強片の接続壁部を挿通し、前記第1補強片と前記第2補強片を連結していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の補強構造。 - 前記カバー片は、前記補強片の補強本体を覆う第1カバー本体と、前記第1カバー本体よりも前記鉛直部側に位置し前記重なり部分を構成する第1連結部を有し、
前記第1締結部材は、前記第1カバー片の前記第1カバー本体よりも前記鉛直部側に位置していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の補強構造。 - 前記第1カバー片は、前記第1カバー本体と前記第1連結部を接続する第1接続部を有し、
前記第2カバー片は、前記第2補強片の補強本体を覆う第2カバー本体と、前記第2カバー本体よりも前記鉛直部側に位置し前記重なり部分を構成する第2連結部と、前記第2カバー本体と前記第2連結部を接続する第2接続部を有し、
前記カバー部材は、前記第1接続部と前記重なり部と前記第2接続部によって連続したカバー凹部を構成しており、
前記カバー凹部は、鉛直方向成分を持って延びていることを特徴とする請求項7に記載の補強構造。 - 前記カバー部材は、アルミニウム製又は樹脂製であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の補強構造。
- 前記カバー部材は、土台部を有しており、自立可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の補強構造。
- 前記支柱は、信号柱、標識柱、電化柱、又は照明柱であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の補強構造。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の補強構造の製造方法であって、
前記鉛直部の周囲を掘削し、前記鉛直部を囲む凹部を形成する掘削工程と、
前記凹部に前記補強部材の下端部を進入させた状態で前記補強部材を前記鉛直部の周囲に囲繞させる補強取付工程と、
前記凹部に前記固化材を充填させ前記補強部材の下端部を前記固化材に埋設する埋設工程と、
前記補強部材の外周を前記カバー部材で囲繞させて前記補強部材に対して前記カバー部材を取り付けるカバー取付工程を含むことを特徴とする補強構造の製造方法。
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