JP6343590B2 - コンクリート床版接合工法、コンクリート床版取り替え工法、コンクリート床版接合構造 - Google Patents

コンクリート床版接合工法、コンクリート床版取り替え工法、コンクリート床版接合構造 Download PDF

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本発明は、橋梁の鋼桁(主桁)とプレキャストコンクリート床版(以下、単に「コンクリート床版」という。)との接合工法と、主桁に接合されているコンクリート床版の取り替え工法と、主桁とコンクリート床版の接合構造と、主桁に取り付けられるプレキャストコンクリート床版に関するものである。
[従来の主桁とコンクリート床版の接合工法]
主桁にコンクリート床版を接合する従来工法は、図10(a)(b)〜図13(a)(b)に示すように、主桁AにI型鋼が使用されている場合、主桁Aの上フランジBに、スタッドボルトCや頭つきスタッドD等(本願において「ネジ類」という。)をスタッド溶接により固定し、その上フランジBの上に、図10(b)、図12(b)のように、箱抜きされて形成された貫通口Eを備えたコンクリート床版Fを据え付ける。この場合、コンクリート床版Fの貫通口Eと前記ネジ類を位置合わせして、ネジ類の外周を貫通口Eで囲うようにする。前記ネジ類がスタッドボルトCの場合は、図11(b)に示すように、スタッドボルトCの上部に高ナットGを取り付け、高ナットGのネジ孔に頭付きボルトHをねじ込む。その後、貫通口Eが完全に埋まるように貫通口Eに必要量のコンクリート、モルタル等(以下「充填材」という。)Jを打設して養生して、コンクリート床版Fを上フランジBに設置固定(接合)する。以後、同じ要領でコンクリート床版を橋軸方向に順次設置する。前記ネジ類が頭つきスタッドDの場合は、図13(b)に示すように、そのまま貫通口E内に充填材Jを打設して養生する。なお、コンクリート床版Fの高さ調整や充填材Jの漏れ防止のために上フランジBの上面の幅方向の両端側に、上下方向に伸縮可能なパッキンを設けることもある。
[従来のコンクリート床版の取り換え工法]
前記のように接合されているコンクリート床版Fは、ネジ類が主桁Aの上フランジBに溶接で固定されているため主桁Aから外れない。このコンクリート床版Fを新規のコンクリート床版に取替えるためには、充填材Jをはつったり、カッターで上フランジBへの付け根部から切断したりして、コア抜き装置でネジ類C、Dを含むコンクリート部分のコアを抜くか、ネジ類C、Dを上フランジBから縁切りしてから、コンクリート床版Fを取外す。その後、コンクリート床版Fの取り外し跡の上フランジに、新たにネジ類を溶接し、新規のコンクリート床版を据え付け、充填材を充填して、当該コンクリート床版を主桁の上フランジに接合していた。
前記接合工法では、敷設後のコンクリート床版の取り替え作業が面倒であり、施工期間が長期化する一因となっていた。コンクリート床版の取り替え作業は交通規制を伴うことから、施工期間の短期化(急速施工)が求められており、施工期間の短縮化は重大な解決課題とされている。
従来は、主桁のウェブを切断して、コンクリート床版を上フランジごと撤去する方法(特許文献1)が提案されている。
特許第4709665号公報
本発明はウェブを切断する必要がなく、コンクリート床版を上フランジごと撤去する必要もなく、コンクリート床版の接合、取り替え工事を簡易、迅速に行うことができ、工期を短縮化できるようにすることにある。
[コンクリート床版接合工法1:止め具埋設済みコンクリート床版を使用]
本発明のコンクリート床版接合工法は、主桁の上フランジの上にコンクリート床版を設置固定する接合工法であって、止め具が埋設固定されたコンクリート床版を使用する工法であり、次のようにして施工する工法である。
(1)現場、工場、その他の箇所で、上フランジにボルトを挿通可能な挿通孔をあける。
(2)止め具が埋設固定されたコンクリート床版を前記上フランジの上に据え置く。
(3)前記コンクリート床版と上フランジの下の固定具の双方又はいずれか一方を、前記挿通孔に通して互いに連結することにより、前記上フランジとその上のコンクリート床版とを接合する。
前記止め具は、コンクリート床版と主桁間に生じるせん断力や引張力について十分に抵抗できる構造のものである。以下の接合工法、接合構造、プレキャストコンクリート床版においても同じである。
また、このときコンクリート床版の高さ調整や充填材の漏れ防止のために上フランジの上面の幅方向の両端側に、上下方向に伸縮可能なパッキンを設けることもある。パッキンを設けることは、以下の接合工法、取り替え工法、接合構造においても同じである。
[コンクリート床版接合工法2:止め具取付け後にコンクリート床版据え置き]
本発明のコンクリート床版接合工法では、止め具が埋設固定されておらず、上面から底面まで貫通する貫通口を備えたコンクリート床版を使用して、次のように接合することもできる。
(1)前記(1)と同様に、主桁の上フランジにボルトを挿通可能な挿通孔をあける。
(2)上フランジの上に配置した止め具と上フランジの下の固定具の双方又はいずれか一方を、前記挿通孔に通して互いに連結することにより、上フランジの上に止め具を取付ける。
(3)上面から底面まで貫通する貫通口を備えたコンクリート床版を、上フランジの上に据え置く。このとき、貫通口が上フランジの上に取り付けられた前記止め具の外周を囲うようにする。
(4)前記貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材を打設して、貫通口の内側の止め具を貫通口内に埋設固定することにより、上フランジの上に前記コンクリート床版を連結固定して接合する。
[コンクリート床版接合工法3:コンクリート床版据え置き後に止め具取付け]
本発明では、止め具が埋設固定されておらず、上面から底面まで貫通する貫通口を備えたコンクリート床版を使用して、次のように接合することもできる。
(1)前記(1)と同様に、主桁の上フランジにボルトを挿通可能な挿通孔をあける。
(2)上面から底面まで貫通する貫通口を備えたコンクリート床版を上フランジの上に据え置く。
(3)前記コンクリート床版の貫通口内に止め具を配置する。
(4)前記止め具と上フランジの下の固定具の双方又はいずれか一方を、前記挿通孔に通して互いに連結することにより、上フランジの上に止め具を取り付ける。
(5)前記貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材を打設して、貫通口内の止め具を貫通口内に埋設固定することにより、前記上フランジの上に前記コンクリート床版を接合する。
[コンクリート床版取り替え工法1]
本発明のコンクリート床版取り替え工法は、主桁の上フランジの上に接合されている本発明の既設コンクリート床版を、新設のコンクリート床版に取り替える工法であって、既設コンクリート床版はその内部に止め具が埋設固定されており、その止め具と上フランジの下の固定具の双方又は一方が上フランジの挿通孔を通して互いに連結されて、既設コンクリート床版が上フランジに接合されているものであり、次のようにして取り替える。
(1)上フランジの下の固定具を操作して止め具から取り外して、既設コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りする。
(2)前記既設コンクリート床版をその内部の止め具ごと、上フランジの上から取り外す。
(3)止め具が埋設固定されている新設コンクリート床版を、既設コンクリート床版の取外し跡に据え置く。
(4)上フランジの下の固定具と前記新設コンクリート床版の止め具を上フランジの挿通孔を通して互いに連結して、既設コンクリート床版を上フランジに接合する。
[コンクリート床版取り替え工法2]
本発明では、次のようにして本発明の既設コンクリート床版を新設コンクリート床版に取り替えることもできる。
(1)上フランジの下の固定具を操作して止め具から取り外して、既設コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りする。
(2)既設コンクリート床版をその内部の止め具ごと、上フランジの上から取り外す。
(3)上フランジの上に配置した新設止め具と上フランジの下の固定具の双方又はいずれか一方を、上フランジの挿通孔に通して互いに連結することにより、上フランジの上に新設止め具を取付ける。
(4)上面から底面まで貫通する貫通口を備えた新設コンクリート床版を、上フランジの上に据え置く。このとき、貫通口が上フランジの上に取り付けられた前記新設止め具の外周を囲うように据え置く。
(5)前記新設コンクリート床版の貫通口内に充填材を打設して、当該貫通口内の止め具を貫通口内に埋設固定することにより、上フランジの上に新設コンクリート床版を接合する。
[コンクリート床版取り替え工法3]
本発明の既設コンクリート床版取り替えは、次のようにして行うこともできる。
(1)上フランジの下の固定具を操作して止め具から取り外して、既設コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りする。
(2)前記既設コンクリート床版をその内部の止め具ごと、上フランジの上から取り外す。
(3)上面から底面まで貫通する貫通口を備えた新設コンクリート床版を上フランジの上に据え置く。
(4)前記新設コンクリート床版の貫通口内に新設止め具を配置する。
(5)前記新設止め具と上フランジの下の新設固定具の双方又はいずれか一方を、前記挿通孔を通して互いに連結することにより、上フランジの上に新設止め具を取り付ける。
(6)前記貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材を打設して、貫通口内の新設止め具を貫通口内に埋設固定することにより、前記上フランジの上に前記新設コンクリート床版を接合する。
[コンクリート床版取り替え工法4]
本発明のコンクリート床版取り替え工法は、前記コンクリート床版取り替え工法1〜3において、既設コンクリート床版を裁断して二以上のブロックに分割し、縁切りされた既設コンクリート床版を上フランジからブロック別に取り外すこともできる。これは、床版取り替えを分割して行えることを意味している。
[コンクリート床版接合構造1]
本発明のコンクリート床版接合構造は、主桁とその上フランジの上に設置固定されたコンクリート床版の接合構造であって、上フランジがボルトを挿通可能な挿通孔を備え、止め具が埋設固定されたコンクリート床版が上フランジの上に据え置かれ、このコンクリート床版の止め具と、上フランジの下の固定具が前記挿通孔を通して互いに連結されて、コンクリート床版が上フランジの上に接合された構造である。
[コンクリート床版接合構造2]
本発明のコンクリート床版接合構造は、上フランジがボルトを挿通可能な挿通孔を備え、コンクリート床版が上フランジの上に据え置かれ、このコンクリート床版がその上面から底面まで貫通する貫通口を備え、その貫通口の内側であって上フランジの上に配置された止め具と当該上フランジの下の固定具が前記挿通孔を通して互いに連結され、貫通口内に充填材が打設されて前記止め具が前記貫通口内に埋設固定されて、コンクリート床版が上フランジの上に接合された構造である。
[プレキャストコンクリート床版1]
本発明のプレキャストコンクリート床版は、前記したコンクリート床版接合工法及びコンクリート床版取り替え工法に用いることのできるものであって、内部にネジ構造の止め具が埋設固定されており、そのネジ構造は、主桁の上フランジの下の固定具と、上フランジの挿通孔を通して互いに連結できる構造のものである。
[プレキャストコンクリート床版2]
前記止め具はネジ孔が開口されたもの又はボルトが突設されたものであり、ネジ孔の場合はコンクリート床版を上フランジの上に設置するとネジ孔の下端開口部が上フランジの挿通孔に向くようにコンクリート床版の底面に開口されており、ボルトの場合はコンクリート床版を上フランジの上に設置すると上フランジの挿通孔に差し込みできるようにコンクリート床版の底面から突設されているものである。
[プレキャストコンクリート床版3]
本発明のプレキャストコンクリート床版は、上面から底面に貫通する貫通口を備え、貫通口が上フランジの上に取り付けられた止め具を収容でき、充填材を打設することのできる大きさのものである。
本発明のコンクリート床版接合工法は次の効果を奏する。
(1)スタッドボルト、頭付きスタッド等を主桁に溶接する必要がなく、上フランジの下から、ボルト、ナット等の固定具を締めつけ操作するだけで、コンクリート床版を主桁の上フランジに固定できるので、風雨の影響に左右されないためコンクリート床版接合の施工時間、施工期間を短縮することができる。
(2)止め具が埋設固定されたコンクリート床版を用いる場合は、モルタルやコンクリートなどの充填材の打設、養生が不要であるため、施工時間、施工期間を特に短縮することができる。また、床版上面に孔を設けないため浸水の心配もなく耐久性にとって好ましい。
(3)止め具を収容できる広さの貫通口が開口されているコンクリート床版を用いる場合は、コンクリート床版を上フランジの上に据え置くだけで、貫通口が上フランジの挿通孔の上に配置されるので、コンクリート床版の水平面での位置調整が容易である。
本発明のコンクリート床版の取り替え工法によれば、主桁の上フランジの下の固定具を外すだけで既設コンクリート床版を主桁から取り外す(分離する)ことができるので、新設コンクリート床版への取替え作業の簡易化、取り替え工事の短縮化を図ることができる。
本発明のプレキャストコンクリート床版は、止め具が埋設固定されている場合は、上フランジの下から止め具にボルトをネジ込むか、止め具から突出しているボルトにナットを螺合するだけで上フランジに接合でき、充填材を打設、養生する必要がなく、施工が簡易であり、取替え工期の短縮化もできる。
プレキャストコンクリート床版が貫通口を備えた構造の場合は、貫通口から、上フランジへの止め具の取り付け、充填材の打設ができるため、接合作業、取り替え作業が容易になる。
適切な設計を行えば、止め具の活用で、合成桁から非合成桁へ、合成桁から非合成桁への構造変更が可能となる。
本発明のプレキャストコンクリート床版の接合の説明図であって、(a)は止め具に袋ナットを使用したコンクリート床版の接合説明図、(b)はコンクリート床版の接合後の概略断面図。 本発明のプレキャストコンクリート床版の接合の説明図であって、(a)は止め具に高ナットを使用したコンクリート床版の接合説明図、(b)はコンクリート床版の接合後の概略断面図。 (a)は、図1(a)のコンクリート床版の接合工程の説明図、(b)、(c)は、止め具が袋ナット、固定具がずん切りボルトとナットの場合のコンクリート床版の接合工程の説明図、(d)は、図2(a)のコンクリート床版の接合工程の説明図、(e)、(f)は、止め具が高ナット、固定具がずん切りボルトとナットの場合のコンクリート床版の接合工程の説明図。 本発明のプレキャストコンクリート床版の接合の説明図であって、(a)は貫通口を備えたコンクリート床版を使用し、止め具に袋ナットを使用したコンクリート床版の接合説明図、(b)はコンクリート床版の接合後の概略断面図。 本発明のプレキャストコンクリート床版の接合の説明図であって、(a)は貫通口を備えたコンクリート床版を使用し、止め具に高ナットを使用したコンクリート床版の接合説明図、(b)はコンクリート床版の接合後の概略断面図。 (a)〜(e)は本発明のコンクリート床版接合工法であって、止め具に袋ナットを使用した場合の工程説明図。 (a)〜(e)は本発明のコンクリート床版接合工法であって、止め具に高ナットを使用した場合の工程説明図。 (a)〜(c)は本発明のコンクリート床版取り替え工法の工程説明図であって、止め具が袋ナットである場合の説明図。 (a)〜(c)は本発明のコンクリート床版取り替え工法の工程説明図であって、止め具が高ナットである場合の説明図。 従来のコンクリート床版接合工法であって、(a)はスタッドボルトを上フランジにスタッド溶接した状態の説明図、(b)は(a)の上フランジにコンクリート床版を据え付けた状態の説明図。 (a)は図10(b)の一部断面説明図、(b)は図10(b)のスタッドボルトに高ナットを取り付け頭付きボルトをねじ込んで、貫通口に充填材を打設した場合の断面図。 従来のコンクリート床版接合工法であって、(a)は頭付きスタッドを上フランジにスタッド溶接した状態の説明図、(b)は(a)の上フランジにコンクリート床版を据え付けた状態の説明図。 (a)は図12(b)の一部断面説明図、(b)は図12(b)の貫通口に充填材を打設した場合の断面図。
(コンクリート床版接合工法の実施形態1:袋ナット使用)
本発明のコンクリート床版接合工法(以下、単に「接合工法」という。)の一例を、図面を参照して説明する。図1(a)(b)に示す接合工法は主桁1がI型鋼の場合であり(以下の実施形態において同じ。)、主桁1の上フランジ2とその上に設置したコンクリート床版3を接合する工法であって、次のように施工する工法である。
[挿通孔の形成]
図1(a)に示すように、上フランジ2に挿通孔4をあける。図1(a)の例では、上フランジ2のうち、主桁1のウェブ5を挟んだ左右の位置に二つずつ挿通孔4を開けてある。挿通孔4の開口数、開口位置は任意とすることができる。挿通孔4の径は上フランジ2の上に配置される止め具(袋ナット)6の外径よりも小さくして、袋ナット6が挿通孔4から抜け落ちないようにしてある。主桁1の上には、その長手方向に複数枚のコンクリート床版3が据え置かれるため、据え置くコンクリート床版3の位置に合わせて挿通孔4を開ける。挿通孔4は既存の方法、例えば、電動ドリルなどで形成することができる。挿通孔4は既設橋の場合、施工現場で孔をあけるが、新設橋の場合、工期短縮の観点から、工場であけておくこともできる。可能であれば、ヤード等その他の箇所であけることもできる。挿通孔4は上フランジ2に存在しない場合にあければよく、本発明の接合工法で施工した既設のコンクリート床版3を取り替える場合など、上フランジ2に挿通孔4が既にあけられている場合は、その挿通孔4を利用することができるので改めて挿通孔4をあける必要はない。挿通孔4については以下の実施形態における挿通孔4においても同じである。
[コンクリート床版の据え置き]
図3(a)に示すように、上フランジ2の上にコンクリート床版3を据え置く。コンクリート床版3として止め具6が埋設固定されたものを使用する。止め具6にはネジ孔7が開口されている袋ナット、高ナット、ボルトが突設されているもの等、各種構造のものを使用できるが、図3(a)に示すものは袋ナットの場合である。図3(a)ではそのコンクリート床版3を止め具6のネジ孔7の下端開口部が挿通孔4と連通するように据え置く。据え置きにはクレーン、その他の機器を使用する。機器の使用は以下の実施形態においても同じである。
なお、このときコンクリート床版の高さ調整や充填材の漏れ防止のために上フランジの上面の幅方向の両端側に、上下方向に伸縮可能なパッキンを設けてもよい。パッキンを設けることは、以下の接合工法、取り替え工法、接合構造においても同じである。
[主桁とコンクリート床版の接合]
上フランジ2の下から前記挿通孔4に固定具(ボルト)8を差込み、止め具6のネジ孔7(図1(b))にねじ込んで、主桁1の上フランジ2とその上のコンクリート床版3を接合する。固定具8にワッシャ9を介在させて締め付けを確実にすることもできる。
前記コンクリート床版3はプレキャスト製である。前記袋ナット、ボルト、ワッシャには汎用のものを使用することができる。これらも、以下の実施形態において同じである。
(コンクリート床版接合工法の実施形態2:高ナット使用)
本発明の接合工法の他例を、図2(a)(b)を参照して説明する。この実施形態の接合工法も主桁1とその上フランジ2の上に据え置かれるコンクリート床版3の接合工法であり、上フランジ2に挿通孔4をあけ、その上フランジ2の上にコンクリート床版3を据え置き、コンクリート床版3として止め具6が埋設固定されているものを使用することにおいて実施形態1と同じである。異なるのは、コンクリート床版3に埋設固定されている止め具6が高ナットの場合である。
図2(a)(b)では止め具6のネジ孔10(図3(a))のほぼ上半分に頭付きボルト11をネジ込み、その止め具6と頭付きボルト11をコンクリート内に埋設固定したコンクリート床版3を使用することである。この場合、止め具6のネジ孔10(図3(d))の下端開口部を上フランジ2の前記挿通孔4に位置合わせして、上フランジ2の上に据え置く。次に、図2(b)に示すように、上フランジ2の下から前記挿通孔4に固定具(ボルト)8を挿通し、そのボルト8を前記ネジ孔10の下端開口部にねじ込んで、上フランジ2とその上のコンクリート床版3を接合する。この実施形態において、コンクリート床版接合工法の実施形態1と共通する部分についてはそれと同じくすることができる。ここで頭付きボルト11を使用するのはネジ孔10の上端開口部を閉塞して、コンクリート床版と鋼桁との接合力を高めるためである。この機能を果たすことができれば、頭付きボルト以外のものを使用することもできる。
(コンクリート床版接合工法の実施形態3:貫通口あり床版使用:袋ナット先取り付け)
実施形態3は、図4(a)(b)に示すように、上面と底面に開口する貫通口12を備えたものを使用し、止め具6として袋ナットを使用する場合であり、以下のように施工する工法である。
(1)図6(a)のように、主桁1の上フランジ2にボルトを挿通可能な挿通孔4をあける。
(2)図6(b)のように、上フランジ2の上に止め具6を配置し、上フランジ2の下から固定具(ボルト)8を挿入孔4内に差し込み、止め具6のネジ孔7にねじ込んで、止め具6を上フランジ2の上に取付ける。
(3)図6(c)のように、上面から底面まで貫通する貫通口12を備えたコンクリート床版3を上フランジ2の上に据え置く。このとき、貫通口12が上フランジ2の上に取り付けられた前記止め具6の外周を囲うように据え置く。コンクリート床版3はその長手方向両端側に二つずつ(計四つ)の貫通口12が形成されている。それぞれの貫通口12はコンクリート床版3の長手方向に長い横長孔であり、二つの止め具6が収まり、コンクリート、モルタル等の充填材13を充填してそれら止め具6を埋設固定できる広さと深さにしてある。
(4)図6(d)(e)のように、前記貫通口12内に充填材13を打設して貫通口12内の止め具6を貫通口12内に埋設固定して、上フランジ2の上にコンクリート床版3を接合する。充填材13の上面はコンクリート床版3の上面と面一にする。充填材13は十分に養生する。充填材13には速硬性モルタルのように、硬化までの時間が短いものを使うことで工期を短縮することができる。打設する充填材13の量は貫通口12が完全に埋まる量或いはそれよりも若干多い量とする。充填材13の充填後、その表面をコンクリート床版3の上面と面一になるように均しておく。充填材13の打設については以下の実施形態において充填材13を使用する場合も同じである。
前記貫通口12は止め具6が一つだけ収まる大きさの丸孔であってもよい。いずれの場合も止め具6の外径よりも大きくして、上フランジ2の上にコンクリート床版3を載せてから位置調整することができるようにする。止め具6が予め埋設固定されているコンクリート床版3を使用する実施形態1の場合は、コンクリート床版3を上フランジ2の上に据え置くときに、コンクリート床版3に埋設固定されている止め具6を上フランジ2の挿通孔4に厳密に位置合わせする必要があり、その位置合わせが面倒であるが、この実施形態では前記のように位置調整ができるため、据え置きが容易である。
貫通口12の形成位置は、コンクリート床版3の長手方向両端側のみならず、その中間位置に形成することもできる。例えば、コンクリート床版3を均等間隔で配置された三本の主桁1に架設するような場合には、それぞれの主桁1に固定された止め具6の位置に合わせて、コンクリート床版3の長手方向両端側及びその中間位置に、貫通口12を設けておくことができる。
(コンクリート床版接合工法の実施形態4:貫通口あり床版使用:高ナット先取り付け)
実施形態4もコンクリート床版3としてその内部に止め具6が埋設固定されておらず、図5(a)(b)に示すように上面と底面に開口する貫通口12を備えたものを使用し、止め具6として高ナットを使用する場合であり、以下のように施工する工法である。
(1)図7(a)のように、主桁の上フランジ2に固定具(ボルト)8を挿通可能な挿通孔4をあける。
(2)図7(b)のように、上フランジ2の上に止め具(高ナット)6を配置し、上フランジ2の下から固定具8を挿入孔4内に差し込み、止め具6のネジ孔10にねじ込んで、止め具6を上フランジ2の上に取り付ける。
(3)図7(c)のように、上面から底面まで貫通する貫通口12を備えたコンクリート床版3を上フランジ2の上に据え置く。このとき貫通口12が上フランジ2の上に取り付けられた前記止め具6の外周を囲うように据え置く。このコンクリート床版3もその長手方向両端側に二つずつ(計四つ)の貫通口12が形成されている。それぞれの貫通口12もコンクリート床版3の長手方向に長い横長孔であり、それぞれの貫通口12に二つの止め具6が収まる広さにしてある。
(4)図7(d)のように、止め具6のネジ孔10のほぼ上半分に頭付きボルト11をネジ込む。
(5)図7(e)のように、前記貫通口12内に充填材13を打設して、貫通口12内の止め具6を貫通口12内に埋設固定して、上フランジ2の上にコンクリート床版3を接合する。
(コンクリート床版接合工法の実施形態5:貫通口あり床版使用:床版先据え置き)
前記コンクリート床版接合工法の実施形態3、4は、いずれも止め具6を上フランジ2に取り付けた後に、貫通口12を備えたコンクリート床版3を上フランジ2の上に据え置く工法であるが、本発明では、これとは逆に、先に貫通口12を備えたコンクリート床版3を上フランジ2の上に据え置き、その後に止め具6を貫通口12内に配置して上フランジ2の上に取り付けることもできる。この場合は、次のように施工する。
(1)挿通孔4をあけた上フランジ2の上に貫通口12を備えたコンクリート床版3を据え置く。
(2)コンクリート床版3の貫通口12内に止め具6を配置する。止め具6は袋ナットでも、高ナットでもよい。止め具6が高ナットの場合は、そのネジ孔0のほぼ上半分に頭付きボルト11をねじ込んでおく。
(3)上フランジ2の下からその挿通孔4内に固定具(ボルト)8を差し込んで、その固定具8を上フランジ2の上の止め具6にねじ込んで、上フランジ2の上に止め具6を取り付ける(固定する)。
(4)コンクリート床版3の貫通口12内に充填材13を打設して、貫通口12内の止め具6を貫通口12内に埋設固定して、上フランジ2の上にコンクリート床版3を接合する。
(コンクリート床版接合工法の実施形態6)
コンクリート床版接合工法の実施形態1〜5では、上フランジ2の下から上フランジ2の挿通孔4に差し込む固定具8が頭付きボルト11の場合であるが、本発明では頭付きボルトに代えて、図3(b)(c)(e)(f)のようにずん切りボルト14を上フランジ2の下から挿通孔4に差し込んで止め具(袋ナット或いは高ナット)6のネジ孔7、10の下部にネジ込み、そのずん切りボルト14の下端部(突出部)にワッシャ9を介してナット15を螺合して、止め具6と連結することもできる。
(コンクリート床版取り替え工法の実施形態1)
コンクリート床版取り替え工法の一例として、図1(b)のように接合されている本発明の既設コンクリート床版3を取り替える場合を説明する。図1(a)の既設コンクリート床版3はその内部に止め具(袋ナット)6が埋設固定されているものであり、その止め具6に、上フランジ2の下から固定具(ボルト)8が上フランジ2の挿通孔4を通してねじ込まれ、止め具6と固定具8が互いに連結されて、既設コンクリート床版3が上フランジ2に接合(固定)されている場合である。この実施形態のコンクリート床版取り替え工法は次のようにして取り替えられる。
(1)図1(b)の上フランジ2の下から固定具(ボルト)8を操作して止め具6から取り外して、既設コンクリート床版3と上フランジ2を縁切りする。
(2)既設コンクリート床版3をその内部の止め具6ごと、上フランジ2の上から取り外す。取り外しにはクレーン、その他の機器を使用する。この場合、既設コンクリート床版3を取り外し易くするため、予め、所望寸法のブロックに切断しておいて、ブロック別に取り外すこともできる。機器を使用すること、ブロックに切断しておくことは、以下の既設コンクリート床版の取り外し工法の以下の実施形態においても同じである。
(3)上フランジ2の上であって、既設コンクリート床版3の取り外し跡に、新設コンクリート床版を配置する。新設コンクリート床版には止め具(袋ナット又は高ナット)6が埋設されているものを使用する。
(4)上フランジ2の下から、上フランジ2の挿通孔4内に固定具(ボルト)8を差し込んで、止め具6のネジ孔7、10にねじ込んで、固定具8と新設コンクリート床版内の止め具6を互いに連結して、上フランジ2の上に新設コンクリート床版を接合する。
(コンクリート床版取り替え工法の実施形態2)
コンクリート床版取り替え工法の他例として、図2(b)のように接合されている既設コンクリート床版3を取り替える場合を説明する。この実施形態のコンクリート床版取り替え工法は次のようにして取り替えることができる。
(1)図2(b)の上フランジ2の下で固定具8を操作して(緩めて)止め具6から取り外して、既設コンクリート床版3と上フランジ2の接合を縁切りする。
(2)既設コンクリート床版3をその内部の止め具6ごと、上フランジ2の上から取り外す。
(3)上フランジ2の上であって、既設コンクリート床版3の取り外し跡に、新設コンクリート床版を据え置く。新設コンクリート床版には止め具(袋ナット又は高ナット)6が埋設固定されているものを使用する。
(4)上フランジ2の下から、上フランジ2の挿通孔4内に差し込んだ固定具(ボルト)8を止め具6のねじ孔7、10にねじ込んで固定具8と新設コンクリート床版内の止め具6を互いに連結して、上フランジ2の上に新設コンクリート床版を接合する。
(コンクリート床版取り替え工法の実施形態3)
コンクリート床版取り替え工法の実施形態1も実施形態2も、新設コンクリート床版に止め具6が埋設固定されている場合であるが、この実施形態は図8(a)、図9(a)のように上面から底面に貫通する貫通口12が開口され、貫通口12に充填材13が打設されている場合である。この実施形態のコンクリート床版取り替え工法は次のようにして行うことができる。
(1)図8(b)、図9(b)のように、上フランジ2の下の固定具8を緩めて止め具6から取り外して、既設コンクリート床版3と上フランジ2の接合を縁切りする。
(2)既設コンクリート床版3をその内部の止め具6ごと、上フランジ2の上から取り外す。
(3)上フランジ2の上であって、既設コンクリート床版3の取り外し跡の挿通孔4に新設止め具を取り付ける。この場合、上フランジ2の下からその挿通孔4に頭付きボルト11、スタッドボルト14等の固定具8を差し込んで、新設止め具のネジ孔にねじ込み、新設止め具を上フランジ2の上に固定する。新設止め具には袋ナット、高ナット、その他の螺子構造のものを使用する。高ナットの場合はそのネジ孔10の上端部に頭付きボルト11を挿通しておく。
(4)上フランジ2の上であって、既設コンクリート床版3の取り外し跡に新設コンクリート床版を据え置く。新設コンクリート床版は止め具6が埋設固定されておらず、上面から底面に貫通する貫通口12が開口されているもの使用する。このとき、貫通口12で新設止め具を囲うように据え置く。
(5)上フランジ2の下から、上フランジ2の挿通孔4内に固定具8を差し込み、新設止め具のネジ孔にねじ込んで固定具8と新設止め具を互いに連結して、上フランジ2の上に新設コンクリート床版を接合する。
(6)前記貫通口12内に充填材13を打設して、貫通口12内の新設止め具を貫通口12内に埋設固定する。
(コンクリート床版取り替え工法の実施形態4)
この実施形態のコンクリート床版取り替え工法は、実施形態3のように既設コンクリート床版3の取り外し跡に、貫通口12のある新設コンクリート床版を配置する。その後に、貫通口12の内側に新設止め具を配置し、その新設止め具に、上フランジ2の下から差し込んだ固定具8をネジ込んで、新設止め具を上フランジ2の上であって貫通口12の内側に固定する。この貫通口12内に充填材13を充填して新設止め具を貫通口12内に埋設固定することにより、新設コンクリート床版を上フランジ2の上に接合する。
前記いずれの取り替え工法においても、止め具も固定具も既設のものを使用することができるが、新規のものを使用することが望ましい。挿入孔4は既設コンクリート床版3の接合に使用されていたものを使用可能であるが、必要であれば、上フランジ2に新規にあけることもできる。
なお、既設床版が図1(b)の構造を採用しているものを、新たに図2(b)に変更したり図8(b)や図9(b)のように変更したりすることもできる。他も同様で、既設床版の構造が図2(b)を、新たに図1(b)や図8(b)や図9(b)に変えたりもできる。
(コンクリート床版接合構造の実施例1:止め具埋設固定コンクリート床版使用)
本発明のコンクリート床版接合構造は、図1(a)、図2(a)のように、主桁1の上フランジ2が固定具8を挿通可能な挿通孔4を備え、コンクリート床版3に止め具6がプレキャストで埋設固定されているコンクリート床版3が上フランジ2の上に据え置かれ、当該コンクリート床版3の止め具6と上フランジ2の下の固定具8が挿通孔4を通して互いに連結されて、コンクリート床版3が上フランジ2の上に接合された構造である。コンクリート床版3にプレキャストで埋設固定されている止め具6は袋ナット、高ナット、頭付きボルト、その他の構造の螺子類であってもよい。止め具6が袋ナット、高ナット等のネジ孔を備えたものの場合は、固定具8に頭付きボルトを使用し、それを上フランジ2の下から上フランジ2の挿入孔4に差し込み、止め具6のネジ孔にネジ込んで止め具6と連結固定することができる。上フランジ2の下からずん切りボルト14を上フランジ2の挿入孔4に差し込み、その下端部を上フランジ2の下に突出させ、その下端部にナット15を螺合して止め具6と固定具8を連結固定することもできる。この場合は、前記ずん切りボルト14とナット15で固定具8が構成される。
(コンクリート床版接合構造の実施例2:貫通口付きコンクリート床版使用)
この実施形態のコンクリート床版接合構造は、図8(a)、図9(a)のように、コンクリート床版3が貫通口12を備え、貫通口12内に充填材13を打設して止め具6を埋設固定したものである。この場合は、上フランジ2が挿通孔4を備え、コンクリート床版3が貫通口12を備え、上フランジ2の上に据え置かれたコンクリート床版3の貫通口12内に止め具6が配置され、その止め具6と上フランジ2の下の固定具8の双方又はいずれか一方が前記挿入孔4に差し込まれ互いに連結固定されている。更に、貫通口12内に充填材13が打設されて貫通口12内の止め具6が貫通口12内に埋設固定されることによって、コンクリート床版3が上フランジ2の上に接合されている。
[プレキャストコンクリート床版の実施例1]
本発明のプレキャストコンクリート床版は、前記したコンクリート床版接合工法及びコンクリート床版取り替え工法に用いることのできるプレキャストコンクリート床版3であって、ネジ構造の止め具6がプレキャストにより内部に埋設固定されているものである。
前記止め具6のネジ構造は上フランジ2の下の固定具8と、上フランジ2の挿通孔4を通して互いに連結できる構造であり、例えばネジ孔7、10が開口されたもの又はボルトが突設されたものである。ネジ孔の場合はコンクリート床版3を上フランジ2の上に設置すると、ネジ孔の下端開口部が上フランジ2の挿通孔4に対向するようにコンクリート床版3の底面に開口されており、ボルトの場合はコンクリート床版3を上フランジ2の上に設置すると上フランジ2の挿通孔4に差し込みできるようにコンクリート床版3の底面から突設されている。
止め具6の数、埋設固定箇所は上フランジ2に開口されている挿通孔4の数、位置に合わせて設定する。
[プレキャストコンクリート床版の実施例2]
本発明のプレキャストコンクリート床版は、上面から底面に貫通する貫通口12を備えたものである。貫通口12は上フランジ2の上に取り付けられた止め具6を収容でき、充填材13を打設することのできる大きさと深さに形成されている。貫通口12の形状、深さ、数等は用途に合わせて設計することができる。
[止め具]
本発明で用いる止め具は、コンクリート床版3と主桁1間に生じるせん断力や引張力について十分に抵抗できる構造のものである。より大きなせん断力や引張力を負担できるようにするためには、図2(a)(b)、図5(a)(b)のように、高ナット6と頭付きボルト11の組み合わせが望ましい。コンクリート床版3は主桁1に載せただけであれば重ね梁として挙動し、このときコンクリート床版3と主桁1間のずれを許容するので、せん断力はほとんど作用しない。コンクリート床版3と主桁1とがずれることなく結合すると合成桁として挙動する。このときコンクリート床版3と主桁1間のずれをまったく許容しない、いわゆる完全合成桁の場合、作用するせん断力が最大となる。合成桁は重ね梁に比べたわみも少なく、上フランジ2とコンクリート床版3が一体化するため、上フランジ2の断面積を少なくできる。つまり多少の挿通孔4を上フランジ2にあけても問題はない。また、コンクリート床版3と主桁1のずれを多少許容する不完全合成桁という構造もある。よって、止め具6はずれ止めとも呼ばれている。上フランジ2に応力の面から挿通孔4をあけることができない場合は、止め具6のずれ止めとしての効果で、上フランジ2とコンクリート床版3との合成作用を見込むことができれば、上フランジ2に挿通孔4をあけることで上フランジ2の面積が減少しても、コンクリート床版3がそれを補うことで、挿通孔4をあけることの問題はない。
本発明のコンクリート床版接合工法、コンクリート床版取り替え工法、コンクリート床版接合構造、プレキャストコンクリート床版は、本発明の課題を解決できれば、前記した実施形態以外の実施形態とすることもできる。
1 主桁
2 上フランジ
3 コンクリート床版
4 挿通孔
5 ウェブ
6 止め具
7 (袋ナットの)ネジ孔
8 固定具
9 ワッシャ
10 (高ナットの)ネジ孔
11 頭付きボルト
12 貫通口
13 充填材
14 ずん切りボルト
15 ナット
A 主桁
B 上フランジ
C スタッドボルト
D 頭つきスタッド
E 貫通口
F コンクリート床版
G 高ナット
H 頭付きボルト
J 充填材

Claims (6)

  1. 主桁の上フランジの上にコンクリート床版を設置し、そのコンクリート床版と前記上フランジを接合するコンクリート床版接合工法において、次の(1)〜(3)の工程を備え、当該(3)の工程完了後に、上フランジの下の固定具を上フランジの上の止め具から取り外すと前記コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りできるようにしたことを特徴とするコンクリート床版接合工法。
    (1)上フランジの上に配置したコンクリート床版と主桁間に生じるせん断力や引張力を伝達できるネジ式の止め具と上フランジの下の固定具のいずれか一方を、上フランジの挿通孔に通して互いにネジ連結することにより、上フランジの上にネジ式の止め具を脱着可能に取付ける工程。
    (2)上面から底面まで貫通し、前記止め具の外径よりも大きく且つ止め具の外側で据え置き位置を水平調節可能な大きさの貫通口を備えたコンクリート床版を、その貫通口が上フランジの上に取り付けられた前記止め具を囲うように上フランジの上に据え置く工程。
    (3)前記貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材を打設して、貫通口内の止め具を貫通口内に埋設固定することにより、上フランジの上にコンクリート床版を連結固定して接合する工程。
  2. 主桁の上フランジの上にコンクリート床版を設置し、そのコンクリート床版と前記上フランジを接合するコンクリート床版接合工法において、次の(1)〜(4)の工程を備え、当該(4)の工程完了後に、上フランジの下の固定具を上フランジの上の止め具から取り外すと前記コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りできるようにしたことを特徴とするコンクリート床版接合工法。
    (1)上面から底面まで貫通し、前記止め具の外径よりも大きく且つ止め具の外側で据え置き位置を水平調節可能な大きさの貫通口を備えたコンクリート床版を、その貫通口が上フランジの上に取り付けられた前記止め具を囲うように上フランジの上に据え置く工程。
    (2)前記コンクリート床版の貫通口内にコンクリート床版と主桁間に生じるせん断力や引張力を伝達できるネジ式の止め具を配置する工程。
    (3)前記止め具と上フランジの下のネジ式の固定具のいずれか一方を上フランジの挿通孔に通して、前記貫通口内で互いにネジ連結することにより、上フランジの上に止め具を脱着可能に取り付ける工程。
    (4)前記貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材を打設して、貫通口内の止め具を貫通口内に埋設固定することにより、上フランジの上にコンクリート床版を連結固定して接合する工程。
  3. 主桁の上フランジの上に接合されている既設コンクリート床版を、新設のコンクリート床版に取り替える工法であって、既設コンクリート床版が請求項1記載のコンクリート床版接合工法で上フランジの上に接合されたものであり、次の工程を備えたことを特徴とするコンクリート床版取り替え工法。
    (1)上フランジの下のネジ式の固定具を操作してネジ式の止め具から取り外して、既設コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りする工程。
    (2)既設コンクリート床版をその内部に埋設固定されているネジ式の止め具ごと上フランジの上から取り外す工程。
    (3)上フランジの上に配置したネジ式の新設止め具と上フランジの下のネジ式の固定具のいずれか一方を、上フランジの挿通孔に通して互いに連結して、上フランジの上に新設止め具を脱着可能に取付ける工程。
    (4)上面から底面まで貫通する貫通口を備えた新設コンクリート床版を、その貫通口が上フランジの上に取り付けられた前記新設止め具を囲うように上フランジの上に据え置く工程。
    (5)前記新設コンクリート床版の貫通口内に充填材を打設して、当該貫通口内の止め具を貫通口内に埋設固定することにより、上フランジの上に新設コンクリート床版を接合する工程。
  4. 主桁の上フランジの上に接合されている既設コンクリート床版を、新設のコンクリート床版に取り替える工法であって、既設コンクリート床版は請求項2記載のコンクリート床版接合工法で上フランジの上に接合されたものであり、次の工程を備えたことを特徴とするコンクリート床版取り替え工法。
    (1)上フランジの下のネジ式の固定具を操作してネジ式の止め具から取り外して、既設コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りする工程。
    (2)前記既設コンクリート床版をその内部の埋設固定されているネジ式の止め具ごと上フランジの上から取り外す工程。
    (3)上面から底面まで貫通する貫通口を備えた新設コンクリート床版を上フランジの上に据え置く工程。
    (4)前記新設コンクリート床版の貫通口内にネジ式の新設止め具を配置する工程。
    (5)前記新設止め具と上フランジの下に用意したネジ式の新設固定具のいずれか一方を、前記挿通孔を通して互いに連結することにより、上フランジの上に新設止め具を取り付ける工程。
    (6)前記新設コンクリート床版の貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材を打設して、貫通口内の新設止め具を貫通口内に埋設固定することにより、前記上フランジの上に前記新設コンクリート床版を接合する工程。
  5. 請求項3又は請求項4記載のコンクリート床版取り替え工法において、
    既設コンクリート床版を裁断して二以上のブロックに分割し、縁切りされた既設コンクリート床版を上フランジからブロック別に取り外す、
    ことを特徴とするコンクリート床版取り替え工法。
  6. 主桁とその上フランジの上に設置固定されたコンクリート床版の接合構造において、
    上フランジがボルトを挿通可能な挿通孔を備え、
    コンクリート床版と主桁間に生じるせん断力や引張力を伝達できるネジ式の止め具と、上フランジの下のネジ式の固定具が、前記挿通孔を通して互いに脱着可能にネジ連結されており、
    上面から底面まで貫通し、前記止め具の外径よりも大きく且つ止め具の外側で据え置き位置を水平調節可能な大きさの貫通口を備えたコンクリート床版が、前記上フランジの上に前記止め具を囲うように据え置かれており、
    前記貫通口内にコンクリート、モルタル等の充填材が打設されて、貫通口内の止め具が貫通口内に埋設固定されて、コンクリート床版が上フランジの上に接合されており、
    上フランジの下の前記固定具を上フランジの上の前記止め具から取り外すと前記コンクリート床版と上フランジの接合を縁切りできるようにしてある、
    ことを特徴とするコンクリート床版接合構造。
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