JP2018009360A - 木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法 - Google Patents

木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018009360A
JP2018009360A JP2016138900A JP2016138900A JP2018009360A JP 2018009360 A JP2018009360 A JP 2018009360A JP 2016138900 A JP2016138900 A JP 2016138900A JP 2016138900 A JP2016138900 A JP 2016138900A JP 2018009360 A JP2018009360 A JP 2018009360A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wooden
wooden unit
unit
units
building
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016138900A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6835496B2 (ja
Inventor
木村 誠
Makoto Kimura
誠 木村
佑輔 木内
Yusuke Kiuchi
佑輔 木内
祐周 小澤
Hirochika Ozawa
祐周 小澤
敬 津曲
Kei Tsumagari
敬 津曲
匠 池内
Takumi Ikeuchi
匠 池内
康二郎 鈴木
Kojiro Suzuki
康二郎 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP2016138900A priority Critical patent/JP6835496B2/ja
Publication of JP2018009360A publication Critical patent/JP2018009360A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6835496B2 publication Critical patent/JP6835496B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)

Abstract

【課題】施工効率を向上させることで、施工にかかるコストや工期を低減することができ、さらに各層の構造及び内部構成を用途に合わせて任意に変更することができ、デザインの自由度を高めることが可能となる。【解決手段】任意な形状に形成された複数の木造ピースを枠状に組み合わせて空間を形成した外殻体を構成するとともに、上下方向Yに積層された箱状の木造ユニット2と、積層された木造ユニット2同士を層間変位自在に設けるとともに、上下方向に連結する柔節構造部10と、を備え、柔節構造部10は、上下に積層される木造ユニット2、2同士の間に介装されたロッキング支承3と、最下層の第5木造ユニット2Eから最上層の第1木造ユニット2Aを上下方向Yに貫通するとともに、基礎部11と最上層の第1木造ユニット2Aとを連結した係留索4と、を備えた構成の木造積層建築物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法に関する。
従来、木造の積層構造としては、例えば特許文献1に示されるような社寺等における五重塔等の木造多重塔による伝統木造建築が知られている。
このような木造多重塔は、内部中心に吹き抜けが形成されて階層を重ねた塔身と、その塔身の吹き抜け状の内部中心に設けられた木製心柱と、を有する。木製心柱は、下端部が地上から自立しており、階層間で層間変位が生じたときの各層の浮き上がりを抑制する機能を有している。
特開2012−117286号公報
しかしながら、従来の高層建物の場合には、タワークレーン等を使用して下層から上層に向けて順次積層しながら構築していくため、施工効率が悪く、施工にかかるコストや工期が増えるという問題があった。
また、木造建築物を高層化するための構造として、従来、コアウォール構造や耐力壁併用のラーメン構造等がある。しかしながら、構造が複雑なうえ木造であるので建築物の用途や機能に合わせたデザインの自由度が小さいという課題があり、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、施工効率を向上させることで、施工にかかるコストや工期を低減することができ、さらに各層の構造及び内部構成を用途に合わせて任意に変更することができ、デザインの自由度を高めることが可能となる木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る木造ユニットを用いた木造積層建築物は、任意な形状に形成された複数の木造ピースを枠状に組み合わせて空間を形成した外殻体を構成するとともに、上下方向に積層された箱状の木造ユニットと、積層された前記木造ユニット同士を層間変位自在に設けるとともに、上下方向に連結する柔節構造部と、を備えていることを特徴としている。
本発明では、複数の木造ピースを枠状に組み合わせて外殻体を構成した木造ユニットがユニット化されているので、全体の剛性を確保しつつも、木製により軽量な構造となることから、木造ユニットを例えば積み木のように積み上げた構造となり、複数層にわたる積層構造を実現することができる。そして、木造ユニットがユニット化されているので、効率よく施工を行うことができ、施工にかかるコストや工期を低減することが可能となる。
また、木造ピースを組み合わせることで木造ユニットが構成されるため、建築物の用途や機能に合わせて自由な形状で、任意の箇所に自由に開口部等を設けた木造ユニットを形成することができる。
さらに、本発明では、柔節構造部によって木造ユニット同士を層間変位自在に設けるとともに、上下方向に連結する構成となるので、木造積層建築物を高さ方向に分節して柔らかい層を設けた構造となる。そのため、質量の偏在が平面的な捻れ挙動に繋がり難い構造となることから、上下に隣り合う木造ユニットを互いに水平方向にずらした状態で積層することが可能となり、これにより光や風を取り入れることが可能な多様な空間を実現することができる。
また、本発明に係る木造ユニットを用いた木造積層建築物は、前記柔節構造部は、前記木造ユニット同士の間に介装され、水平力を受けることで水平方向を回転軸にして回転し水平方向及び鉛直方向に変位を生じるとともに、支持する前記木造ユニットの鉛直力に応じた復元力によって元の姿勢に復元する木製の支承装置と、上下に積層される複数層の前記木造ユニット同士を連結する係留索と、を備えたことを特徴とすることができる。
このような構造によれば、積層される木造ユニット同士の間に木製の支承装置が設けられているので、地震力が作用した際に、水平力を受けると支承装置が回転して水平方向及び鉛直方向の変位を生じ、支持する鉛直力に応じた復元力で戻る作用が働く。そして、複数層に設けられる支承装置の回転による大きな層間変位を累積して木造積層建築物を長周期化することができる。
また、複数層の木造ユニット同士を連結する係留索が設けられているので、係留索によって繋がれた木造ユニットの転倒を抑制することができる。そして、木造ユニット同士を連結する係留索が地震時に引張軸力を負担するため、軽量な木造ユニットには、地震時に木造ユニットに鉛直変位が生じるが、係留索の引張軸力により木造ユニット同士が互いに引き戻され、木造ユニットの浮き上がりを抑制することができる。
このように、支承装置と係留索とを組み合わせた構成とすることで木造積層建築物の高層化を実現することができる。
また、本発明に係る木造ユニットを用いた木造積層建築物は、前記係留索の下端は、当該木造積層建築物の基礎部に連結されていることが好ましい。
この場合には、基礎部と木造ユニットとを連結する係留索が地震時に引張軸力を負担するため、軽量な木造ユニットには、地震時に木造ユニットに鉛直変位が生じるが、係留索の引張軸力により木造ユニットが基礎部側に引き戻されることとなり、木造ユニットの浮き上がりを抑制することができる。
また、本発明に係る木造ユニットを用いた木造積層建築物は、複数層の前記木造ユニットのうち少なくとも1つが他の前記木造ユニットと異なる形状であってもよい。
この場合には、鉄筋コンクリート造に比べて木造ユニットが軽量であり、鉛直方向の荷重の負担が小さいことから、異なる形状の木造ユニットを積層することが可能となる。
また、本発明に係る木造ユニットを用いた木造積層建築物は、前記木造ユニットの内部空間には、該内部空間を上下に仕切る中間床が設けられていることを特徴としてもよい。
この場合には、木造ユニットにおいて中間床が設けられた複数階(複数のフロア)からなる内部空間を構成することができる。木造ユニットの内部空間内において中間床の位置は任意に設定することが可能であるので、内部空間のデザインの自由度が高い構造となる。
また、本発明に係る木造ユニットを用いた木造積層建築物は、前記木造ユニットの内部空間には、該木造ユニットの天版及び底版に接続される内部柱が設けられていることが好ましい。
本発明では、軽量な木造ユニットの内部空間に天版及び底版に接続される内部柱を設けることで、外殻体としての剛性を高めることができるうえ、軽量化された木造ユニットの鉛直荷重を内部柱を介して下層の木造ユニットに伝達することができる。
また、本発明に係る木造積層建築物の施工方法は、上述した木造ユニットを積層させることで木造積層建築物の施工方法であって、先行木造ユニットを地組する工程と、前記先行木造ユニットを1層以上の高さに上昇させる工程と、上昇した前記先行木造ユニットの下方スペースにおいて、前記先行木造ユニットの下層に位置する後行木造ユニットを地組する工程と、前記先行木造ユニットを下降させて地組した前記後行木造ユニット上に前記柔節構造部を介装させた状態で一体的に連結する工程と、一体的に連結された前記先行木造ユニット及び前記後行木造ユニットを1層以上の高さに上昇させる工程と、を有し、前記工程を順次繰り返すことで、複数の前記木造ユニットを下側から順次積層し、積層された複数層の前記木造ユニットを上下方向に連結することを特徴としている。
本発明では、木造積層建築物が軽量な木造ユニットを複数層に積層する構造となることから、各木造ユニットをジャッキアップする施工が可能となる。したがって、最上層の木造ユニットから順に地組してジャッキアップする手順で、先行木造ユニットの下層側に後行木造ユニットを積層することで効率よく施工することができ、工期の短縮を図ることができる。
このように、本発明では、地組により木造ユニットを組み立てることができ、さらに組み立てた木造ユニットをクレーンで吊り上げるといった作業がなくなるので、大型のタワークレーンを設置する必要がなく、施工にかかるコストを低減できる。
本発明の木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法によれば、施工効率を向上させることで、施工にかかるコストや工期を低減することができ、さらに各層の内部構成を用途に合わせて任意に変更することができ、デザインの自由度を高めることが可能となる。
本発明の実施の形態による木造積層建築物の概略構造を示す側面図である。 木造積層建築物を構成する木造ユニットおよび木造ピースの構成を示す一部破断した斜視図である。 (a)〜(d)は、木造ユニットの内部空間の構成を示す側面図である。 係留索の機能を説明するための図であり、(a)は平常時の木造積層建築物を示す模式図であり、(b)は小変形時の木造積層建築物を示す模式図であり、(c)は大変形時の木造積層建築物を示す模式図である。 (a)〜(f)は、木造積層建築物の施工手順を示す図である。
以下、本発明の実施の形態による木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の木造積層建築物1(木造積層建築物)は、例えばオフィス、教育施設、複合施設等の用途で用いられる高層の木造建築物を対象とし、建物の用途や機能に合わせて各層毎に自由なデザインの空間に設定可能な構造となっている。
木造積層建築物1は、任意な形状に形成された複数の木造ピース21を枠状に組み合わせて内部空間Rを有する外殻を構成するとともに、上下方向Yに積層された箱状の木造ユニット2(2A、2B、…)と、積層された複数層の木造ユニット2同士を層間変位自在に、かつ上下方向に連結する柔節構造部10と、を備えている。
木造積層建築物1は、本実施の形態では5層の木造ユニット2A、2B、…2Eが積層されており、地盤に設けられた基礎部11上に設置されている。なお、本実施の形態では、各木造ユニット2A〜2Eは、それぞれ同形状で、上方から見た平面視で正方形状をなしている。
木造ユニット2を構成する複数の木造ピース21は、図2及び図3に示すように、複数種の形状からなる。木造ピース21は、工場等で製作され、複数枚(ここでは3枚)の板を積層して貼り合せた板状構造をなし、例えば軽量で剛性の高いCLT板(Cross Laminated Timber:ひき板を並べた層を板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大判のパネル材)を採用することができる。なお、木造ピース21、21同士は、ボルトや接着材等の適宜な接合手段によって接合される。
具体的に木造ユニット2を構成する天版22、底版23、及び側壁24は、それぞれの壁面から直交方向に立設するリブ21aが設けられ、平行に対向させて配置される一対の木造ピース21のリブ21a同士を係合することで、これら上下一対の木造ピース21、21の板面同士の間に空間が形成された中空構造として組み立てられている。
CLT板からなる木造ピース21の大きさとしては、工場から工事現場まで輸送可能な大きさであることが好ましく、例えば最大長さのもので幅3m×長さ15mに設定される。
また、木造ピース21は、木造ユニット2の適宜な位置に開口部2a(図1参照)を形成するように配置可能に設けられている。図1に示す積層された木造ユニット2では、積層された順にそれぞれの開口部2aの位置が図1の紙面で左右交互に配置されている。
木造ユニット2の天版22及び底版23(最上層の第1木造ユニット2Aの場合は底版23のみ)には、後述する係留索4が非固着状態で挿通される貫通孔2bが複数(ここでは4つ)設けられている。これら貫通孔2bは、上方から見た平面視で天版22及び底版23のそれぞれの中心から一定の距離だけ離れた位置に設けられ、各層の木造ユニット2における貫通孔2bの位置が上下方向Yに同軸となるように設けられている。
木造ユニット2の内側の内部空間Rには、図2及び図3(a)〜(d)に示すように、内部空間Rを上下に仕切る中間床25と、内部空間Rの高さ方向に延び天版22及び底版23に接続された内部柱26と、がそれぞれ適宜な位置、形状で設けられている。なお、図3(a)〜(d)に示す木造ユニット2は、それぞれ中間床25が上下に2段ずつ設けられ、各木造ユニット2で3フロア(3階数)が構成されている。
また、木造ユニット2に設けられる内部柱26としては、例えば図3(a)では上方に向けて大径となるラチス柱となっており、図3(b)では斜め柱となっており、図3(c)では上下方向Yに延びる小径柱となっており、図3(d)では上下方向Yに延びる大径柱となっている。
なお、中間床25の上下方向Yの位置は、中間床25によって区画されるフロア高さに合わせて自由に設定することができる。
柔節構造部10は、図1に示すように、上下に積層される木造ユニット2、2同士の間に介装されたロッキング支承3(支承装置)と、最下層の第5木造ユニット2Eから最上層の第1木造ユニット2Aを上下方向Yに貫通するとともに、基礎部11と最上層の第1木造ユニット2Aとを連結した係留索4と、を備えている。
ロッキング支承3は、上側の木造ユニット2に固定される木製の上部支持体と、下側の木造ユニット2に固定される木製の下部支持体と、これら上部支持体と下部支持体との間で水平方向を回転軸として回転可能に支持される木製の束柱と、を備えた構成となっている。
このような構成のロッキング支承3は、地震時に上下の木造ユニット2、2が水平力を受けると束柱が回転して水平方向及び鉛直方向の変位が生じるとともに、支持する鉛直力に応じた復元力で復元する耐震機能を有している(なお、建物全体を長周期化させるという意味では免震機能を有しているともいえる。)。束柱は、回転により傾斜すると、木製の上部支持体の下面及び下部支持体の上面にめり込みながら、支持する鉛直力に応じた復元力で元の位置に戻る動きをする。
図1に示すように、係留索4は、鋼素線を撚り合わせたストランドワイヤーが用いられ、木造ユニット2の天版22及び底版23に設けられる貫通孔2bの内面と隙間を有して配置されている。すなわち、係留索4の径は、貫通孔2bの径よりも十分に小さい。
係留索4は、上端部4aが最上層の第1木造ユニット2Aに連結され、下端部4bが基礎部11に連結されており、地震時には水平変位とロッキング支承3に生じる鉛直変位に応じた引張軸力を負担する。
ここで、ロッキング支承3と係留索4とからなる柔節構造部10の機能について図4を用いて説明する。図4(a)は平常時の木造積層建築物1の状態を示し、図4(b)は小変形時の木造積層建築物1の状態を示し、図4(c)は大変形時の木造積層建築物1の状態を示している。
図4(b)に示すように、小変形時には、図1に示すロッキング支承3の回転により鉛直変位(矢印Y1方向)が生じ、木造ユニット2、2同士の間で水平変位(矢印X1方向)が生じる。また、係留索4による引張軸力が傾斜復元力を負荷する。
また、図4(c)に示すように、大変形時には、ロッキング支承3の回転により鉛直変位Y1が大きくなるとともに、木造積層建築物1全体で水平変位X1が生じる。また、係留索4による引張軸力(矢印Y2方向)が木造積層建築物1全体の転倒を抑制する。
次に、上述したような本実施の形態の木造積層建築物1の施工方法について、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、図1に示すように、木造積層建築物1の設置する位置で地盤を掘削し、コンクリートを打設することにより基礎部11が施工される。そして、図5(a)、(b)に示すように、基礎部11上にジャッキアップ装置5を設置し、そのジャッキアップ装置5の周囲に作業構台50を設置する。ジャッキアップ装置5は、木造ユニット2が配置可能なスペースを有する昇降パレット51と、昇降パレット51を上下に移動させるための昇降ジャッキ52と、作業構台50の最上部に設置され昇降パレット51をワイヤで吊り上げ可能とした巻上機53と、を備えたものである。
ジャッキアップ装置5は、建築対象となる木造積層建築物の全層分の木造ユニットの重量(本実施の形態では5層分の木造ユニット2A〜2Eの全重量)を昇降可能な能力を昇降ジャッキ52及び巻上機53に備えたものとされる。作業構台50は、少なくとも1層分の木造ユニット2よりも上方の位置で作業が可能な高さになっている。
図5(a)に示すように、第1工程では、ジャッキアップ装置5の第1昇降パレット51Aを基礎部11上に位置する下降位置とした状態で、その第1昇降パレット51Aの上で木造積層建築物1の最上層に位置する第1木造ユニット2A(先行木造ユニット)を地組する。具体的には、外殻部を形成するように複数の木造ピース21を適宜組み合わせて接合し第1木造ユニット2Aを形成する。なお、図2に示す木造ピース21は、工場で予め製作されて施工現場に搬送される。その後、第1木造ユニット2Aの内部空間Rに中間床25や内部柱26(図3参照)を組み付けて第1木造ユニット2Aの地組が完了となる。
ここで、第1木造ユニット2Aの内部空間Rの施工は、例えば天井クレーン等を使用することで並行して進めることができるので、仮設材を低減することができるうえ、工期短縮を図ることができる。
次に、図5(b)に示すように、第2工程において、第1昇降パレット51Aを昇降ジャッキ52によってジャッキアップするとともに、巻上機53によって第1昇降パレット51Aを巻き上げることで地組された第1木造ユニット2Aを1層以上の高さに上昇させる。このとき、上昇位置にある第1昇降パレット51Aの下方には次に地組される第2木造ユニット2Bの組み立て作業スペースが形成された状態になる。
続いて、図5(c)に示すように、第3工程において、ジャッキアップ装置5の第1昇降パレット51Aが上昇位置の状態(第1木造ユニット2Aがジャッキアップされた状態)で、基礎部11上に別の第2昇降パレット51Bを備えたジャッキアップ装置5を設ける。そして、第2昇降パレット51Bの上で第2木造ユニット2B(後行木造ユニット)を上述した第1木造ユニット2Aと同様に地組する。
次に、図5(d)、(e)に示すように、第4工程において、第1木造ユニット2Aを下降させて地組した第2木造ユニット2B上にロッキング支承3を介して一体的に連結する。つまり、図5(d)に示すように、地組されている第2木造ユニット2Bの上面の所定の位置に複数のロッキング支承3を配置する。その後、第1木造ユニット2Aを第1昇降パレット51Aとともにジャッキダウンさせ、ロッキング支承3上に第1木造ユニット2Aを載置する。これにより第1木造ユニット2Aの荷重は、ロッキング支承3を介して第2木造ユニット2Bで受けることになる。続いて、第1木造ユニット2Aに対する支持が解除された第1昇降パレット51A、昇降ジャッキ52、巻上機53のワイヤを取り外す(図5(e)参照)。
次いで、図5(f)に示すように、第5工程において、一体的に連結された第1木造ユニット2A及び第2木造ユニット2Bを昇降ジャッキ52でジャッキアップするとともに、巻上機53で巻き上げることで1層以上の高さとなるように上昇させる。このとき、上昇位置にある第2昇降パレット51Bの下方には次に地組される第3木造ユニット2C(図1参照)の組み立て作業スペース(下方スペース)が形成された状態になる。
上述したような第1工程から第5工程の施工手順を順次繰り返すことで、木造積層建築物1を構成する複数層(本実施の形態では5層)の図1に示す木造ユニット2A〜2Eを、それぞれのユニット間にロッキング支承3を介在させた状態で積層することができる。
さらに、図1に示すように、最下層となる第5木造ユニット2Eの地組が完了したら、第5木造ユニット2Eと基礎部11との間にも複数のロッキング支承3を配置する。
また、5層の木造ユニット2A〜2Eが積層された適宜なタイミングで、各木造ユニット2A〜2Eの天版22及び底版23に形成される貫通孔2bに係留索4を挿通させて、その係留索4の下端部4bを基礎部11に固定し、上端部4aを第1木造ユニット2Aの底版23に固定することで、係留索4が設置され、木造積層建築物1の施工が完了となる。
なお、施工中の地震に備えて昇降パレット51を係留索4を設置するまで残す、又は支承層(ロッキング支承3が設置される層)となる天版22と底版23との間に、仮設の係留索を設置する等の手順とすることも可能である。
次に、上述した木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態では、複数の木造ピース21を枠状に組み合わせて外殻体を構成した木造ユニット2がユニット化されているので、全体の剛性を確保しつつも、木製により軽量な構造となることから、木造ユニット2を例えば積み木のように積み上げた構造となり、複数層にわたる積層構造を実現することができる。そして、木造ユニット2がユニット化されているので、効率よく施工を行うことができ、施工にかかるコストや工期を低減することが可能となる。
また、木造ピース21を組み合わせることで木造ユニット2が構成されるため、建築物の用途や機能に合わせて自由な形状で、任意の箇所に自由に開口部等を設けた木造ユニット2を形成することができる。
さらに、本実施の形態では、柔節構造部10によって木造ユニット2、2同士を層間変位自在に設けるとともに、上下方向に連結する構成となるので、木造積層建築物1を高さ方向に分節して柔らかい層を設けた構造となる。そのため、質量の偏在が平面的な捻れ挙動に繋がり難い構造となることから、上下に隣り合う木造ユニット2、2を互いに水平方向にずらした状態で積層することが可能となり、これにより光や風を取り入れることが可能な多様な空間を実現することができる。
また、本実施の形態では、積層される木造ユニット2、2同士の間に木製のロッキング支承3が設けられているので、地震力が作用した際に、水平力を受けるとロッキング支承3の束材が回転して層間変位を生じ、支持する鉛直力に応じた復元力で戻る作用が働く。そして、複数層に設けられるロッキング支承3の回転による大きな層間変位を累積して木造積層建築物1を長周期化することができる。
また、複数層の木造ユニット2を上下方向に貫通する係留索4が設けられているので、積層される木造ユニット2の転倒を抑制することができる。そして、基礎部11と最上層の第1木造ユニット2Aとを連結する係留索4が地震時に引張軸力を負担するため、軽量な木造ユニット2には、地震時に木造ユニット2に鉛直変位が生じるが、係留索4の引張軸力により木造ユニット2は基礎部11側に引き戻されるため、木造ユニット2の浮き上がりが抑制される。
このように、ロッキング支承3と係留索4とを組み合わせた構成とすることで木造積層建築物1の高層化を実現することができる。
さらにまた、本実施の形態では、木造ユニット2において中間床25が設けられた複数階(複数のフロア)からなる内部空間Rを構成することができる。木造ユニット2の内部空間R内において中間床25の位置は任意に設定することが可能であるので、内部空間Rのデザインの自由度が高い構造となる。
また、本実施の形態では、軽量な木造ユニット2の内部空間Rに内部柱26を設けることで、外殻体としての剛性を高めることができるうえ、軽量化された木造ユニット2の鉛直荷重を内部柱26を介して下層の木造ユニット2に伝達することができる。
さらに、本実施の形態では、木造積層建築物1が軽量な木造ユニット2を複数層に積層する構造となることから、上述したように各木造ユニット2をジャッキアップ装置5を使用してジャッキアップする施工が可能となる。したがって、最上層の第1木造ユニット2Aから順に地組してジャッキアップする手順で、先行木造ユニット2の下層側に後行木造ユニット2を積層することで効率よく施工することができ、工期の短縮を図ることができる。したがって、地組により木造ユニット2を組み立てることができ、さらに組み立てた木造ユニット2をクレーンで吊り上げるといった作業がなくなるので、大型のタワークレーンを設置する必要がなく、施工にかかるコストを低減できる。
上述のように本実施の形態による木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法では、施工効率を向上させることで、施工にかかるコストや工期を低減することができ、さらに各層の内部構成を用途に合わせて任意に変更することができ、デザインの自由度を高めることが可能となる。
以上、本発明による木造ユニットを用いた木造積層建築物、及び木造積層建築物の施工方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、複数(5つ)の木造ユニット2のすべてが同形状であり、上下方向に同軸に積層された構成の木造積層建築物1とされているが、このような構成であることに限定されることはない。例えば、木造ユニット2は鉄筋コンクリート造に比べて軽量であり、鉛直方向の荷重の負担が小さいことから、異なる形状の木造ユニット2を積層することが可能である。
例えば、係留索を接続する方法も重量や剛性バランスに合わせて自由に設計することができる。つまり、本実施の形態では基礎部から最上層までを連続して係留索4によって連結しているが、これに限定されることはなく、基礎部から中間層の区間のみを係留索で連結する構造や、中間層から最上層の区間のみを係留索で連結する構造、あるいは中間層の所定の2層間のみを係留索で連結する構成であってもよい。さらには、本実施の形態のような基礎部から最上層までの係留索4に加え、中間層から基礎部(最上層)の係留索を組み合わせた構成とすることも可能である。
また、本実施の形態ではジャッキアップ装置5を使用して各木造ユニット2を地組してジャッキアップすることで順次積層する施工方法としているが、このような施工方法に限定されることはない。また、ジャッキアップ方法についても、本実施の形態のようなジャッキアップ装置5を使用することに制限されることはない。したがって、タワークレーン等を設置して下層の木造ユニット2から順に上層の木造ユニット2を積み上げていく施工方法であっても勿論かまわない。
また、係留索4として、本実施の形態では鋼素線を撚り合わせたストランドワイヤーとしているが、これに限定されることはなく、平行ストランドワイヤーやナイロン等の高強度素材のものを採用することが可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 木造積層建築物
2、2A〜2E 木造ユニット
2b 貫通孔
3 ロッキング支承(支承装置)
4 係留索
5 ジャッキアップ装置
10 柔節構造部
11 基礎部
21 木造ピース
22 天版
23 底版
24 側壁
25 中間床
26 内部柱
51、51A、51B 昇降パレット
52 昇降ジャッキ
R 内部空間
Y 上下方向
X 水平方向

Claims (7)

  1. 任意な形状に形成された複数の木造ピースを枠状に組み合わせて空間を形成した外殻体を構成するとともに、上下方向に積層された箱状の木造ユニットと、
    積層された前記木造ユニット同士を層間変位自在に設けるとともに、上下方向に連結する柔節構造部と、
    を備えていることを特徴とする木造ユニットを用いた木造積層建築物。
  2. 前記柔節構造部は、
    前記木造ユニット同士の間に介装され、水平力を受けることで水平方向を回転軸にして回転し水平方向及び鉛直方向に変位を生じるとともに、支持する前記木造ユニットの鉛直力に応じた復元力によって元の姿勢に復元する木製の支承装置と、
    上下に積層される複数層の前記木造ユニット同士を連結する係留索と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の木造ユニットを用いた木造積層建築物。
  3. 前記係留索の下端は、当該木造積層建築物の基礎部に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の木造ユニットを用いた木造積層建築物。
  4. 複数層の前記木造ユニットのうち少なくとも1つが他の前記木造ユニットと異なる形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の木造ユニットを用いた木造積層建築物。
  5. 前記木造ユニットの内部空間には、該内部空間を上下に仕切る中間床が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の木造ユニットを用いた木造積層建築物。
  6. 前記木造ユニットの内部空間には、該木造ユニットの天版及び底版に接続される内部柱が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の木造ユニットを用いた木造積層建築物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の木造ユニットを積層させることで木造積層建築物の施工方法であって、
    先行木造ユニットを地組する工程と、
    前記先行木造ユニットを1層以上の高さに上昇させる工程と、
    上昇した前記先行木造ユニットの下方スペースにおいて、前記先行木造ユニットの下層に位置する後行木造ユニットを地組する工程と、
    前記先行木造ユニットを下降させて地組した前記後行木造ユニット上に前記柔節構造部を介装させた状態で一体的に連結する工程と、
    一体的に連結された前記先行木造ユニット及び前記後行木造ユニットを1層以上の高さに上昇させる工程と、
    を有し、
    前記工程を順次繰り返すことで、複数の前記木造ユニットを下側から順次積層し、積層された複数層の前記木造ユニットを上下方向に連結することを特徴とする木造積層建築物の施工方法。
JP2016138900A 2016-07-13 2016-07-13 木造ユニットを用いた木造積層建築物 Active JP6835496B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016138900A JP6835496B2 (ja) 2016-07-13 2016-07-13 木造ユニットを用いた木造積層建築物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016138900A JP6835496B2 (ja) 2016-07-13 2016-07-13 木造ユニットを用いた木造積層建築物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018009360A true JP2018009360A (ja) 2018-01-18
JP6835496B2 JP6835496B2 (ja) 2021-02-24

Family

ID=60995115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016138900A Active JP6835496B2 (ja) 2016-07-13 2016-07-13 木造ユニットを用いた木造積層建築物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6835496B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020020257A (ja) * 2019-07-04 2020-02-06 健也 惠美須 箱型建築物ユニットおよび建築物
WO2020026886A1 (ja) * 2018-08-01 2020-02-06 Sai Group Holdings株式会社 箱型建築物ユニットおよび建築物
WO2020045352A1 (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 Sai Group Holdings株式会社 建築物
JP7559445B2 (ja) 2020-09-07 2024-10-02 株式会社大林組 建築物及び建築物の構築方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020026886A1 (ja) * 2018-08-01 2020-02-06 Sai Group Holdings株式会社 箱型建築物ユニットおよび建築物
CN112543831A (zh) * 2018-08-01 2021-03-23 Sai集团控股株式会社 箱型建筑物单元及建筑物
US11629489B2 (en) 2018-08-01 2023-04-18 Sai Group Holdings Kabushiki Kaisha Box-shaped building unit and building
WO2020045352A1 (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 Sai Group Holdings株式会社 建築物
JP2020020257A (ja) * 2019-07-04 2020-02-06 健也 惠美須 箱型建築物ユニットおよび建築物
JP7559445B2 (ja) 2020-09-07 2024-10-02 株式会社大林組 建築物及び建築物の構築方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6835496B2 (ja) 2021-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6835496B2 (ja) 木造ユニットを用いた木造積層建築物
JP6469429B2 (ja) トラス梁架構
JP2009073599A (ja) タワークレーンの支持構造およびクライミング方法
JP4092624B2 (ja) 建築物の免震構造
JP5191191B2 (ja) 増築建屋の増築構法
JP6736226B2 (ja) 塔状建築物上部に建設される構造物の構造体および施工法
JP2009156022A (ja) 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造
JP7015624B2 (ja) 耐力壁
CN211342017U (zh) 塔体结构及信号塔
JP2011231608A (ja) プレキャストコンクリート構造物及びその施工方法
JPH08270081A (ja) 架構構造物の施工方法
JP7169765B2 (ja) 構造物の構築方法
JP6752006B2 (ja) 建物ユニットの固定構造及びユニット建物
JP4795838B2 (ja) 可変階高構造物及びその構築方法
JP2762096B2 (ja) 超高層タワー
JP2017101516A (ja) 免制振併用構造物
JP6757179B2 (ja) 建築物の構築方法
JP2021031919A (ja) 屋根構造物及び屋根構造物の構築方法
JP2015143463A (ja) 建物と補強構造と支持構造とを有する建造物
JP2021011748A (ja) 水平力伝達機構
JP7184470B2 (ja) 塔状建物頂部に設置される構造体
JP3055073B2 (ja) 建築物
JP7548869B2 (ja) 構造物の構築方法
JP3175837U (ja) 高強度のエレベータのフレーム構造
JP2018123468A (ja) 複合吊り構造物及びその構築方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181005

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190626

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200630

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6835496

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150