JP2018008627A - 船舶及び減揺方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】船体を減揺しつつ船体の揺れが小さい場合には船体抵抗を低減することが可能な船舶及び減揺方法を提供する。
【解決手段】左右一対の舷側4A,4Bを有する船体2と、前記船体2の船首尾方向に間隔をあけて設けられ、左右一対のフィン21aa,21ab,21ba,21bbからなる複数組のフィンスタビライザー20a,20bと、を備え、前記複数組のフィンスタビライザー20a,20bのうち、少なくとも一組のフィンスタビライザー20a,20bの前記フィン21aa,21ab,21ba,21bbは、前記舷側4A,4Bから突出して前記船体2の減揺を行う突出位置と、前記舷側4A,4B内に格納される格納位置との間で変位可能に設けられているとともに、互いに独立して前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられている。
【選択図】図4

Description

この発明は、船舶及び減揺方法に関する。
船舶は、乗り心地などを向上するために、波やうねり等の外乱による船体の揺れを低減するフィンスタビライザーを備えている場合がある。このフィンスタビライザーは、船体の船底と左右舷側との境界付近から外側に向かって延びる翼形状を有した板状に形成されている。これら左右のフィンスタビライザーは、船体の揺れを打ち消すようにそれぞれの角度が制御される。これにより、進行方向の前方からの水の流れを受けた左右のフィンスタビライザーには、それぞれの角度に応じた向き及び大きさの揚力が生じて、この揚力が船体の揺れを打ち消す方向に作用する。
特許文献1には、船首近傍と船尾近傍とに設けられた二対のフィンスタビライザーを用いて、船体のローリング(横揺れ)だけではなく、ピッチング(縦揺れ)も低減する技術が提案されている。
特許文献2には、船首近傍と船尾近傍とにそれぞれフィンスタビライザーを設けた減揺装置において、抵抗増加や不安定モーメントの発生を抑制するために、船首側フィンスタビライザーを船首側没水部に固定又は格納可能とし、且つ船尾側フィンスタビライザーを船尾側没水部に固定又は格納可能としたものが提案されている。
特開平3−224892号公報 特開昭61−261185号公報
特許文献1は、フィンスタビライザーが二対設けられている。そのため、大きな減揺効果を必要としない場合に、フィンスタビライザーが船体抵抗となってしまう。例えば、主機馬力を一定にした場合には、船速が低下してしまう。また、船速を一定にした場合には主機馬力を増加させる必要が生じてしまう。
その一方で、特許文献2は、フィンスタビライザーを船体内に格納することが可能となっている。そのため、この特許文献2のフィンスタビライザーは、減揺効果が不要の場合に、フィンスタビライザーを格納して船体抵抗の増加を抑制することが可能となっている。
しかしながら、特許文献2のようなフィンスタビライザーは、船体の揺れが大きくなったときに十分な減揺効果が得られるような大きさで形成されている。そのため、例えば、フィンスタビライザーによる減揺効果が少しだけ必要な場合などに、フィンスタビライザーによる減揺効果のメリットよりも、フィンスタビライザーによる船体抵抗増加のデメリットの方が上回ってしまう場合がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、船体を減揺しつつ船体の揺れが小さい場合に船体抵抗を低減することが可能な船舶及び減揺方法を提供するものである。
この発明の第一態様によれば、船舶は、左右一対の舷側を有する船体と、前記船体の船首尾方向に間隔をあけて設けられ、左右一対のフィンからなる複数組のフィンスタビライザーと、を備え、前記複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも一組のフィンスタビライザーの前記フィンは、前記舷側から突出して前記船体の減揺を行う突出位置と、前記舷側内に格納される格納位置との間で変位可能に設けられているとともに、互いに独立して前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられている。
このように複数組のフィンスタビライザーを備えることで、船体に必要となる減揺効果を複数組のフィンスタビライザーで分担することができる。そのため、一組のフィンスタビライザーのみで船体の減揺効果を得る場合よりも、各フィンスタビライザーのフィンの大きさを縮小することができる。
さらに、複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも一組のフィンスタビライザーのフィンが、独立して突出位置と格納位置との間で変位可能となっているため、船体に必要となる減揺効果に応じた数のフィンを突出位置に配置して、それ以外のフィンスタビライザーのフィンを格納位置に配置することができる。したがって、フィンスタビライザーによる船体の減揺を行いつつ船体の揺れが小さい場合には船体抵抗を低減することが可能となる。
また、フィンが独立して変位可能なため、左右一方のフィンだけでも減揺動作を行うことができる。つまり、左右何れかのフィンが故障等して使用不能となった場合であっても、船体の減揺動作を継続することができる。
この発明の第二態様によれば、第一態様に係る前記複数組のフィンスタビライザーは、前記フィンスタビライザー毎に前記フィンの表面積が異なるようにしてもよい。
このように、複数組のフィンスタビライザーのそれぞれのフィンの表面積を異ならせることで、全てのフィンが同一表面積の場合よりも、例えば、より小さな表面積のフィンを用いて減揺動作を行うことができる。その結果、更なる船体抵抗の低減を図ることができる。
この発明の第三態様によれば、第一又は第二態様において、前記複数組のフィンスタビライザーの全ての前記フィンは、前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられていてもよい。
このように構成することで、船体の減揺動作を行う必要が全く無い場合に、全てのフィンを格納位置に格納することができる。その結果、更なる船体抵抗の低減を図ることができる。
この発明の第四態様によれば、第一から第三態様の何れか一つの態様に係る前記複数組のフィンスタビライザーは、前記船体の船首垂線と船尾垂線との垂線間長さを「L」とした場合、船首垂線から0.3Lよりも船央側且つ船尾垂線から0.3Lよりも船央側に配置されていてもよい。
このように構成することで、複数組のフィンスタビライザーを、船体のロールを抑制するための一組のフィンスタビライザーと同等に用いることができる。その結果、効率よく船体のロールを抑制することができる。
この発明の第五態様によれば、第四態様に係る前記船体は、最も船首側に設けられた前記フィンスタビライザーよりも船首に近い位置、及び、最も船尾側に設けられた前記フィンスタビライザーよりも船尾に近い位置に、それぞれ前記船体の横揺れを抑制するビルジキールを備えていてもよい。
このように構成することで、フィンスタビライザーによって船体のロールを効率よく抑制しつつ、フィンスタビライザーとビルジキールとが干渉することを抑制できる。
この発明の第六態様によれば、減揺方法は、左右一対の舷側を有する船体と、前記船体の船首尾方向に間隔をあけて設けられて、左右一対のフィンからなる複数組のフィンスタビライザーと、を備え、前記複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも一組のフィンスタビライザーの前記フィンが、前記舷側から突出して前記船体の減揺を行う突出位置と前記舷側内に格納される格納位置との間で変位可能に設けられた船舶の減揺方法であって、前記船体の揺れの大きさに応じて、前記フィンを前記格納位置に配置された格納状態にする格納工程と、前記突出位置にある前記フィンにより減揺動作を行う減揺工程と、を含む。
このように構成することで、船体の揺れの大きさに応じて、不要なフィンを格納することができる。そのため、例えば、船体の揺れが小さい場合に、過剰な減揺能力を有するフィンを用いて減揺動作を行い、船体抵抗が増加してしまうことを抑制できる。
この発明の第七態様によれば、第六態様に係る前記格納工程は、前記船体の揺れを検出する工程と、前記船体の揺れが予め定められた閾値以下の場合に、前記格納位置に格納可能な前記フィンのうち、少なくとも一部の前記フィンを格納状態にする工程と、をさらに含んでいても良い。
このように構成することで、船体の揺れが予め定められた閾値以下の場合、すなわち船体の揺れが小さい場合に、一部のフィンのみを用いて減揺動作を行うとともに、減揺動作を行わないフィンを格納することができる。その結果、船体の減揺を行いつつ船体抵抗を低減できる。
この発明の第八態様によれば、第七態様において、前記船体の揺れが閾値以下の揺れから前記閾値よりも大きい揺れになった場合に、前記格納位置にある前記フィンを前記突出位置に変位させる突出工程を更に含んでいても良い。
このように構成することで、船体の揺れが大きくなったときには、格納状態とされているフィンを突出位置に変位させて、船体の揺れが小さい時よりも多くのフィンを用いてより大きな減揺効果を得ることができる。
この発明の第九態様によれば、第六態様において、前記複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも二組のフィンスタビライザーの前記フィンが、前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられ、前記格納工程は、前記船体の揺れを検出する工程と、前記船体の揺れの大きさに応じた組数の前記フィンスタビライザーの前記フィンを前記格納状態にする工程と、を含んでいても良い。
このように構成することで、船体の揺れの大きさに応じて、突出位置に配置されるフィンの数を段階的に変化させることができる。その結果、効率よく船体抵抗の低減を図ることができる。
上記船舶及び減揺方法によれば、船体を減揺しつつ船体の揺れが小さい場合に船体抵抗を低減することができる。
この発明の第一実施形態における船舶の概略構成を示す構成図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 この発明の第一実施形態におけるフィンスタビライザーの概略構成を示すブロック図である。 この発明の第一実施形態におけるフィンスタビライザーの配置を示す図である。 この発明の第一実施形態における減揺方法のフローチャートである。 この発明の第一実施形態の第一変形例における第一フィン及び第二フィンの平面図である。 この発明の第一実施形態の第二変形例における第一フィン及び第二フィンの平面図である。 この発明の第二実施形態における図7に相当する平面図である。 この発明の第二実施形態におけるフィンスタビライザーシステムの概略構成を示すブロック図である。 この発明の第二実施形態における減揺方法のフローチャートである。
(第一実施形態)
次に、この発明の第一実施形態における船舶及び減揺方法について図面を参照して説明する。この第一実施形態においては、船舶として車両等の貨物が搭載可能であるとともに旅客が乗船可能なカーフェリーを一例にして説明する。
図1は、この発明の第一実施形態における船舶の概略構成を示す構成図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図1に示すように、この実施形態における船舶1は、船体2と、上部構造3と、を備えている。
船体2は、舷側4A,4B(図2参照)と、船底5と、を備えている。
舷側4A,4Bは、左右一対の船側外板4a,4bを備え、船底5は、これら舷側4A,4Bの船側外板4a,4bを接続する外底板5aを備える。これら船側外板4a,4bと外底板5aとは、船体2の外板2gを構成する。これら船側外板4a,4bと外底板5aとによって、船首2aと船尾2bとを結ぶ直線に直交する船体2の外板2gの断面形状がU字状となっている(図2参照)。
さらに、船体2は、その船尾2bに、プロペラ(図示せず)と、舵6とを、それぞれ備えている。プロペラ(図示せず)は、船体2内に設けられた主機(図示せず)により駆動されて主機の回転エネルギーを船体2の推進力に変換する。舵6は、プロペラ(図示せず)の後方に設けられ、この舵6により、船体2の進行方向が制御される。
この実施形態における船舶1は、カーフェリーであるため、上述した船体2に車両等の貨物を搬入・搬出させるためのランプウェイ(図示せず)を備えている。このランプウェイは、例えば、船尾2bや船首2a側の舷側4A,4B等に設けられる。このランプウェイは、船体2の車両甲板10に繋がっており、ランプウェイを倒して展開させると、ランプウェイを通じて車両が車両甲板10に乗り込むことが可能となる。乗船した車両は、そのまま車両甲板10の上の所定の位置に停車して運搬される。
ここで、図1に示す車両甲板10は、乾舷甲板と称することもできる。一般に、カーフェリーにおける乾舷甲板は、船首2aから船尾2bまで繋がる全通甲板のうち最下層に配置される甲板である。さらに、車両甲板10は、ランプウェイから車両の乗り込みが可能であるため、車両の乗り込み甲板とも称することができる。
船体2は、この車両甲板10よりも上方に最上層の全通甲板である上甲板11を備えている。
上部構造3は、上甲板11よりも上方に形成される構造物であって、いわゆる船楼と称されるものである。この上部構造3には、船員や乗客等のための居室や、操船を行うブリッジ等が形成されている。また、この上部構造3の船尾2b側には、主機や発電機を駆動する内燃機関の排気管が集合するファンネル13が設けられている。
図3は、この発明の第一実施形態におけるフィンスタビライザーの概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、船舶1は、フィンスタビライザーシステム20を備えている。このフィンスタビライザーシステム20は、船舶1が航走しているときに、主に、波浪等による船体2のロール方向の揺動を打ち消す揚力を船体2に作用させる。この実施形態におけるフィンスタビライザーシステム20は、第一フィンスタビライザー20aと、第二フィンスタビライザー20bと、揺動検出部30と、表示部40と、操作部50と、制御部60とをそれぞれ備えている。
第一フィンスタビライザー20aは、左右一対の第一フィン21aa,21abと、角度駆動部22a,22bと、を備えている。
左右一対の第一フィン21aa,21abは、互いに同一形状とされるとともに、それぞれリーディングエッジが船首2a側に配置され、トレーリングエッジが船尾2b側に配置される翼形状を有している。図2に示すように、この実施形態における第一フィン21aa,21abは、船側外板4a,4bと外底板5aとの境界付近の舷側4A,4Bから、やや斜め下方の船幅方向外側に向かって延びている。第一フィン21aa,21abは、船側外板4a,4bと外底板5aとの境界付近の舷側4A,4Bから、やや斜め下方の船幅方向外側に向かって延びる回転軸回りに回転可能に支持され、角度調整可能に構成されている。
角度駆動部22aは、制御部60により制御され、航走中の船舶1の周囲の(船首2a側から船尾2b側に向かう)水流に対する第一フィン21aaの角度を調整する。同様に、角度駆動部22bは、制御部60により制御され、航走中の船舶1の周囲の水流に対する第一フィン21abの角度を調整する。これら角度駆動部22a,22bは、制御部60により個別に制御可能とされ、これにより第一フィン21aa,21abの角度を左右独立して制御可能となっている。
第二フィンスタビライザー20bは、左右一対の第二フィン21ba,21bbと、角度駆動部22c,22dと、格納駆動部23a,23bと、を備えている。
第二フィン21ba,21bbは、第一フィン21aa,21abに対して、船首尾方向における船首2a側に間隔を空けて設けられている。これら左右一対の第二フィン21ba,21bbは、第一フィン21aa,21abと同様に、互いに同一形状とされるとともに、翼形状を有している。さらに、この実施形態における第二フィン21ba,21bbは、第一フィン21aa,21abと同じ大きさで形成されている。これら第二フィン21ba,21bbは、第一フィン21aa,21abと同様に、それぞれ船側外板4a,4bと外底板5aとの境界付近の舷側4A,4Bから、やや斜め下方に向かって延びている。
図4は、この発明の第一実施形態におけるフィンスタビライザーの配置を示す図である。
図4に示すように、第二フィン21ba,21bbは、船体2の減揺を行う突出位置(図4中、実線で示す位置)と舷側4A,4Bの内部(例えば、レセス内)に格納される格納位置(図4中、破線で示す位置)との間で変位可能な格納式のフィンである。さらに、第二フィン21ba,21bbは、第一フィン21aa,21abと同様に、それぞれ船体2に対して回転軸回りに回転可能に支持されている。突出位置にある第二フィン21ba,21bbは、それぞれの翼型のリーディングエッジが船首2a側に配置され、翼型のトレーリングエッジが船尾2b側に配置されるようになっている。
図3に示すように、格納駆動部23aは、制御部60により制御され、第二フィン21baを突出位置と格納位置との間で変位させる。同様に、格納駆動部23bは、制御部60により制御可能とされ、第二フィン21bbを突出位置と格納位置の間で変位させる。
角度駆動部22cは、制御部60により制御され、航走中の船舶1の周囲の水流に対して突出位置にある第二フィン21baの角度を調整する。同様に、角度駆動部22dは、制御部60により制御され、航走中の船舶1の周囲の水流に対して突出位置にある第二フィン21bbの角度を調整する。これら角度駆動部22c,22dは、制御部60により個別に制御可能とされ、これにより第二フィン21ba,21bbの角度を左右独立して制御可能となっている。
なお、第二フィン21ba,21bbが格納式のフィンであるのに対して、上述した第一フィン21aa,21abは、突出位置で固定されている非格納式のフィンと呼ぶこともできる。
揺動検出部30は、船体2の揺動、より具体的には船体2のロール角を検出する。揺動検出部30としては、例えば、ジャイロセンサー等を用いることができる。この揺動検出部30による検出結果の情報は、例えば、制御部60に向けて送信される。
表示部40は、このフィンスタビライザーシステム20における各種情報を表示する。この表示部40は、少なくとも揺動検出部30による検出結果を表示可能となっている。さらに、表示部40は、第二フィンスタビライザー20bの第二フィン21ba,21bbの現在位置を表示可能としてもよい。この実施形態における表示部40は、上部構造3のブリッジに配置されている。
操作部50は、表示部40の近傍に配置され、船員等による操作入力が可能となっている。この操作部50は、少なくとも上述した第二フィン21ba,21bbの位置(格納位置及び突出位置)をフィン毎に個別に入力することが可能となっている。さらに、操作部50は、船体2の減揺動作を行うか否かの操作入力が可能となっている。これら操作部50に入力された操作情報は、制御部60へ送信される。
制御部60は、操作部50から送信されてきた操作情報と、揺動検出部30から送信されてきた検出情報とに基づいて、角度駆動部22a,22b,22c,22d及び格納駆動部23a,23bの制御を行う。さらに、制御部60は、揺動検出部30から送信されてきた検出情報を、表示部40に送信して表示部40に表示させる。
制御部60は、船舶1の航走中の減揺動作として、それぞれ船体2の揺動による傾斜モーメントを打ち消す揚力が第一フィン21aa,21abに生じるように、角度駆動部22a,22bによって第一フィン21aa,21abの角度を制御する。さらに、制御部60は、第二フィン21ba,21bbが突出位置にある場合に、第一フィン21aa,21abと同様に、船体2の揺動による傾斜モーメント(図2中、白抜き矢印で示す)を打ち消す揚力(図2中、矢印で示す)が第二フィン21ba,21bbに生じるように、角度駆動部22c,22dによって第二フィン21ba,21bbの角度を制御する。
ここで、上述した第一フィン21aa,21abの角度は、船体2に対する相対的な水の流れる方向(言い換えれば、船首2aから船尾2bに向かう方向)に対する角度である。例えば、船体2の揺動を打ち消す場合には、左右の第一フィン21aa,21abのそれぞれ角度は、船体2が揺動していないときの基準角度に対して互いに逆方向の角度となるように制御される。同様に、突出位置にある場合の第二フィン21ba,21bbの角度も、船体2が揺動していないときの基準角度に対して互いに逆方向の角度となるように制御される。
上述した第一フィン21aa,21abの大きさ及び第二フィン21ba,21bbの大きさは、それぞれ目標とする船体2の減揺効果(以下、単に目標減揺効果と称する)が得られる大きさ(言い換えれば、翼面積)で形成されている。より具体的には、第一フィン21aa,21abによって得られる減揺効果の最大値と、第二フィン21ba,21bbによって得られる減揺効果の最大値とを加算した減揺効果の最大値が、目標減揺効果以上となるように、第一フィン21aa,21ab及び第二フィン21ba,21bbの大きさが設定されている。
ここで、船体抵抗は、第一フィン21aa,21abの大きさ及び第二フィン21ba,21bbの大きさが小さいほど低減できる。そのため、第一フィン21aa,21ab及び第二フィン21ba,21bbによって得られる減揺効果の合計は、目標減揺効果以上ではあるが目標減揺効果に可能な限り近い値となるように設定されている。
つまり、一組のフィンスタビライザーのみで目標減揺効果を得ようとする場合のフィンの大きさよりも、第一フィン21aa,21abの大きさ及び第二フィン21ba,21bbの大きさは、それぞれ小さく形成することができる。
ここで、船体2の船首垂線(F.P.)と船尾垂線(A.P.)との垂線間長さを「L」とした場合、この実施形態における第一フィンスタビライザー20a及び第二フィンスタビライザー20bは、それぞれ船首垂線から0.3Lよりも船央側且つ船尾垂線から0.3Lよりも船央側に配置されている。つまり、これら第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとは、何れも船体2において船首尾方向の中央付近に配置されている。
図1に示すように、船体2は、上述したフィンスタビライザーシステム20の他に、横揺れを抑える減揺装置としてのビルジキール14を、左右舷側4A,4B(図1においては舷側4Aのみ示す)側に、船首尾方向に間隔を空けて複数有している。これらビルジキール14は、左右舷側4A,4Bと船底5の境界付近に形成される曲面等から外方に向かって突出するとともに船首尾方向に延びる板状に形成されている。
この実施形態における第一フィンスタビライザー20aの第一フィン21aa,21abと第二フィンスタビライザー20bの第二フィン21ba,21bbとは、船首尾方向に間隔を空けて配置された複数のビルジキール14の間に配置されている。言い換えれば、第一フィンスタビライザー20aの第一フィン21aa,21abよりも船尾に近い位置にビルジキール14が設けられるとともに、第二フィンスタビライザー20bの第二フィン21ba,21bbよりも船首に近い位置にビルジキール14が設けられている。さらに、この実施形態においては、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの間にも、ビルジキール14が配置される場合を例示している。
(第一実施形態の減揺方法)
この第一実施形態における船舶1は、上述した構成のフィンスタビライザーシステム20を備えている。次に、このフィンスタビライザーシステム20を用いた減揺方法について図面を参照しながら説明する。
この第一実施形態における減揺方法は、船員等の操作者が表示部40及び操作部50を用いて行う場合を一例に説明するが、例えば、コンピュータにより実行されるプログラムや各種電気回路等のハードウェアを用いて自動的に行うようにしても良い。
図5は、この発明の第一実施形態における減揺方法のフローチャートである。
図5に示すように、まず、操作者は、船体2の揺れを表示部40により確認する(ステップS01;揺れ検出工程)。
次いで、操作者は、船体2の揺動角度(揺れ)が予め設定された(所定の)閾値以下か否かを判定する(ステップS02)。ここで、予め定められた閾値は、例えば、第一フィンスタビライザー20aのみで十分な減揺効果を得ることができる船体2の揺動角度の上限値とすることができる。
この判定の結果、船体2の揺動角度が予め設定された閾値以下であると判定された場合(ステップS02で「Yes」)、操作者は、操作部50により、第二フィン21ba,21bbを格納位置に配置させる操作入力を行う。
これにより、第二フィン21ba,21bbが突出位置にある場合には、制御部60によって制御された格納駆動部23a,23bによって、第二フィン21ba,21bbが、それぞれ突出位置から格納位置へ変位される。一方で、第二フィン21ba,21bbがすでに格納位置にある場合には、第二フィン21ba,21bbは、そのまま格納位置で格納された状態で保持される(格納工程;ステップS03)。
次いで、操作者は、操作部50に対して減揺動作を開始する操作入力等を行う。この操作部50への操作入力に基づいて制御部60は、角度駆動部22a,22bを介して、突出位置にある第一フィン21aa,21abのみで船体2の減揺動作を開始する。つまり、第一フィンスタビライザー20aのみで船体2の減揺動作を行う(ステップS04)。その後、操作者は、最初の工程(ステップS01)に戻り上述した一連の工程を繰り返す。
ステップS02で、船体2の揺動角度(揺れ)が予め設定された閾値以下か否かを判定した結果、船体2の揺動角度が閾値よりも大きいと判定された場合(ステップS02で「No」)、操作者は、操作部50により、第二フィン21ba,21bbを突出位置にする操作入力を行う。つまり、操作者は、第一フィン21aa,21abと第二フィン21ba,21bbとの両方が突出位置となるように、操作部50へ操作入力を行う。
ここで、第二フィン21ba,21bbが格納位置にある場合には、上記の操作部50への操作入力により、第二フィン21ba,21bbが、制御部60によって制御された格納駆動部23a,23bによって、それぞれ格納位置から突出位置へ変位される(突出工程)。一方で、第二フィン21ba,21bbがすでに突出位置にある場合には、第二フィン21ba,21bbは、そのまま突出位置に保持される(ステップS05)。
次いで、操作者は、操作部50に対して減揺動作を開始する操作入力等を行う。この操作部50への操作入力に基づいて制御部60は、角度駆動部22a,22b,22c,22dを介して、突出位置にある第一フィン21aa,21ab及び第二フィン21ba,21bbにより船体2の減揺動作を開始する。つまり、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの両方を用いて船体2の減揺動作を行う(ステップS06)。その後、最初の工程(ステップS01)に戻り上述した一連の工程を繰り返す。
したがって、上述した第一実施形態によれば、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの複数組のフィンスタビライザーを備えることで、船体2に必要となるロール方向の減揺効果をこれら第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとで分担することができる。そのため、一組のフィンスタビライザーのみで船体2のロール方向の減揺効果を得る場合よりも、第一フィンスタビライザー20aの第一フィン21aa,21ab及び第二フィンスタビライザー20bの第二フィン21ba,21bbの大きさ(翼面積)を縮小することができる。
さらに、第二フィンスタビライザー20bの第二フィン21ba,21bbが、それぞれ突出位置と格納位置との間で変位可能となっている。そのため、船体2に必要になる減揺効果に応じた数のフィン(第一フィン21aa,21ab、第二フィン21ba,21bb)を突出位置に配置して、船体2の揺動角度が閾値以下の場合には第二フィン21ba,21bbを格納位置に配置することができる。その結果、船体2の減揺を行いつつ船体2の揺れが小さい場合には、船体抵抗を低減することが可能となる。
また、第二フィン21ba,21bbが独立して変位可能なため、例えば、第二フィン21ba又は第二フィン21bbの一方だけでも減揺動作を行うことができる。つまり、第二フィン21ba,21bbのうち何れか一方が故障等して使用不能となった場合であっても、船体2の減揺動作を継続することができる。
また、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとが、それぞれ船首垂線から0.3Lよりも船央側且つ船尾垂線から0.3Lよりも船央側に配置されている。そのため、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとが船首尾方向で大きく離間して配置されている場合よりも、船体2のロール方向の揺れを効率よく抑制することができる。また、船首垂線から0.3Lよりも船央側且つ船尾垂線から0.3Lよりも船央側に配置され、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとが互いに直ぐ近くに配置されていることで、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの両方を用いて減揺する際には、実質的に一つフィンスタビライザーと同等に制御することができる。そのため、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの各減揺動作が複雑化することを抑制できる。
さらに、船首尾方向でビルジキール14よりも船央側に第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとが配置される。そのため、フィンスタビライザーによって船体2のロール方向の揺れを効率よく抑制しつつ、第一フィンスタビライザー20a及び第二フィンスタビライザー20bとビルジキール14とが干渉することを抑制できる。
(第一実施形態の第一変形例)
図6は、この発明の第一実施形態の第一変形例における第一フィン及び第二フィンの平面図である。
上述した第一実施形態においては、第一フィン21aa,21abが非格納式である場合について説明した。しかし、この第一実施形態の構成に限られるものでは無い。
例えば、図6に示すように、格納式の第一フィン121aa,121abを用いても良い。
この第一変形例のように構成することで、例えば、故障等により第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの何れか一方のフィンスタビライザーが格納不能となった場合であっても、何れか他方のフィンスタビライザーを格納することができる。そのため、故障等により第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの何れか一方のフィンスタビライザーが格納不能となった場合であっても、第一実施形態と同様の船体抵抗の低減効果を得ることができる。
(第一実施形態の第二変形例)
図7は、この発明の第一実施形態の第二変形例における第一フィン及び第二フィンの平面図である。
上述した第一実施形態の第一変形例においては、第一フィン121aa,121abと第二フィン21ba,21bbとが、第一実施形態と同様に、それぞれ同一形状であった。しかし、第一フィン121aa,121abと第二フィン21ba,21bbとは、互いに異なる形状であっても良い。
例えば、図7に示す第二変形例のように、第一フィンスタビライザー20aが備える第一フィン221aa,221abと、第二フィンスタビライザー20bが備える第二フィン221ba,221bbとの翼面積(表面積)が互いに異なるようにしてもよい。
この第二変形例においては、船首尾方向で船首2aに近い側に配置された第二フィン221ba,221bbの翼面積が、船尾2bに近い側に配置された第一フィン221aa,221abの翼面積よりも小さい場合を示している。しかし、船首尾方向におけるこれら第二フィン221ba,221bbと第一フィン221aa,221abとの配置は、入れ替えても良い。
この第二変形例のように構成することで、例えば、船体2に必要な減揺効果に応じて、減揺動作を行うフィン(第一フィン221aa,221ab、第二フィン221ba,221bb)により得られる減揺効果をよりきめ細かく変化させることができる。より具体的には、第一フィンスタビライザー20aと第二フィンスタビライザー20bとの両方により得られる減揺効果の合計を低減させることなく、船体2の揺れが予め定められた閾値以下の場合に、上述した第一実施形態の場合よりも、突出位置にあるフィンの翼面積(表面積)の合計をより小さくしたり、より大きくしたりして、得られる減揺効果を調整することが可能となる。
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態とフィンスタビライザーの組数のみ異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図8は、この発明の第二実施形態における図7に相当する平面図である。図9は、この発明の第二実施形態におけるフィンスタビライザーシステムの概略構成を示すブロック図である。
図8、図9に示すように、この第二実施形態の船舶100は、その船体2に、フィンスタビライザーシステム201を備えている。フィンスタビライザーシステム201は、第一フィンスタビライザー200aと、第二フィンスタビライザー200bと、第三フィンスタビライザー200cと、揺動検出部30と、表示部40と、操作部500と、制御部600とをそれぞれ備えている。なお、この第二実施形態において、第一フィンスタビライザー200aと、第二フィンスタビライザー200bと、第三フィンスタビライザー200cとは、それぞれ同一の構成である。そのため、以下の説明においては、第一フィンスタビライザー200aのみ詳細に説明し、第二フィンスタビライザー200bと、第三フィンスタビライザー200cとの詳細説明は省略する。
図9に示すように、第一フィンスタビライザー200aは、左右一対の第一フィン210aa,210abと、角度駆動部220a,220bと、格納駆動部230a,230bと、を備えている。
左右一対の第一フィン210aa,210abは、船舶100に設置されるフィンスタビライザーの組数が増加している分だけ、第一実施形態の第二フィン21ba,21bbよりも、その表面積が小さく形成されている。これら第一フィン210aa,210abは、上記表面積が異なる点を除いて実質的に第一実施形態の第二フィン21ba,21bbと同一の構成である。
角度駆動部220aは、制御部600により制御され、航走中の船舶100の周囲の水流に対する第一フィン210aaの角度を調整する。同様に、角度駆動部220bは、制御部600により制御され、航走中の船舶100の周囲の水流に対する第一フィン210abの角度を調整する。これら角度駆動部220a,220bは、制御部600により個別に制御可能とされ、これにより第一フィン210aa,210abの角度を左右独立して制御可能となっている。
格納駆動部230aは、制御部600により制御され、第一フィン210aaを突出位置と格納位置との間で変位させる。同様に、格納駆動部230bは、制御部600により制御可能とされ、第一フィン210abを突出位置と格納位置の間で変位させる。
第二フィンスタビライザー200bは、第一フィンスタビライザー200aと同様に、左右一対の第二フィン210ba,210bbと、角度駆動部220c,220dと、格納駆動部230c,230dと、を備えている。
第三フィンスタビライザー200cは、第一フィンスタビライザー200aと同様に、左右一対の第三フィン210ca,210cbと、角度駆動部220e,220fと、格納駆動部230e,230fと、を備えている。
これら第一フィンスタビライザー200a,第二フィンスタビライザー200b及び第三フィンスタビライザー200cは、第一実施形態と同様に、船首垂線から0.3Lよりも船央側且つ船尾垂線から0.3Lよりも船央側に全て配置されている。また、第二実施形態における船体2も、第一実施形態と同じ配置でビルジキール14を備えているが、図8においては図示を省略している。
表示部400は、このフィンスタビライザーシステム201における各種情報を表示する。この表示部400は、第一実施形態の表示部40と同様に、上部構造3のブリッジ等に配置されるとともに、少なくとも揺動検出部30による検出結果が表示可能となっている。
操作部500は、第一実施形態の操作部50と同様に、表示部400の近傍に配置され、船員等の操作者による操作入力が可能となっている。この操作部500は、上述した第一フィン210aa,210ab、第二フィン210ba,210bb、第三フィン210ca,210cbの位置(格納位置及び突出位置)をフィン毎に個別に入力することが可能となっている。この操作部500に入力された操作情報は、制御部600へ送信される。さらに、操作部500は、船体2の減揺動作を行うか否かの操作入力が可能となっている。
制御部600は、操作部500から送信されてきた操作情報と、揺動検出部30から送信されてきた船体2のロール角の検出情報とに基づいて、角度駆動部220a,220b,220c,220d,220e,220f及び格納駆動部230a,230b,230c,230d,230e,230fの駆動制御を行う。さらに、制御部600は、揺動検出部30から送信されてきた検出情報を、表示部400に送信して表示部400に表示させる。
さらに、制御部600は、上述した第一実施形態の制御部60と同様に、船舶1の航走中の減揺動作として、それぞれ船体2の揺動による傾斜モーメントを打ち消す揚力が生じるように、第一フィンスタビライザー200aと、第二フィンスタビライザー200bと、第三フィンスタビライザー200cとをそれぞれ駆動制御する。
(第二実施形態の減揺方法)
第二実施形態における船舶100は、上述した構成のフィンスタビライザーシステム201を備えている。次に、この第二実施形態のフィンスタビライザーシステム201を用いた減揺方法について図面を参照しながら説明する。なお、この第二実施形態における減容方法の説明においては、必要な場合を除いて第一フィンスタビライザー200aと、第二フィンスタビライザー200bと、第三フィンスタビライザー200cとをそれぞれ区別せずに全てフィンスタビライザー200と称する。同様に、第一フィン210aa,210ab、第二フィン210ba,210bb、第三フィン210ca,210cbも区別せずに単にフィン210と称する。
この第二実施形態における減揺方法は、第一実施形態の減揺方法と同様に、船員等の操作者が表示部400及び操作部500を用いて行う場合を一例に説明するが、例えば、コンピュータにより実行されるプログラムや電気回路等のハードウェアを用いて自動的に行うようにしても良い。
図10は、この発明の第二実施形態における減揺方法のフローチャートである。
図10に示すように、まず、操作者は、船体2の揺動角度(ロール角度、揺れ)を表示部400により確認する(ステップS10)。
次いで、操作者は、船体2の揺動角度が予め設定された第一閾値以下か否かを判定する。ここで、第一閾値は、例えば、三組のフィンスタビライザー200のうち、何れか一組のフィンスタビライザー200のフィン210により減揺可能な船体2の揺動角度の上限値とすることができる。
この判定の結果、船体2の揺動角度が予め設定された第一閾値以下であると判定された場合(ステップS11で「Yes」)、操作者は、操作部500により、三組のフィンスタビライザー200のうち、二組のフィンスタビライザー200のフィン210を格納位置に配置させる操作入力を行う。
これにより、例えば、二組以上のフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置にある場合には、制御部600によって少なくとも一組のフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置から格納位置へ変位される(格納工程)。さらに、全てのフィンスタビライザー200のフィン210が既に格納位置にある場合には、制御部600によって一組のフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置から突出位置へと変位される(突出工程)。一方で、二組のフィンスタビライザー200のフィン210が既に格納位置にあり一組のフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置にある場合には、それぞれのフィンスタビライザー200のフィン210は、現在位置で保持される。(ステップS12)。
次いで、操作者は、操作部500に対して減揺動作を開始する操作入力等を行う。この操作部500への操作入力に基づいて制御部600は、三組のフィンスタビライザー200のフィン210うち、突出位置にあるフィン210のみで船体2の減揺動作を開始する(ステップS13)。その後、操作者は、最初の工程(ステップS10)に戻り上述した一連の工程を繰り返す。
ステップS11で、船体2の揺動角度が第一閾値よりも大きいと判定された場合(ステップS11で「No」)、操作者は、船体2の揺動角度が予め設定された第二閾値以下か否かを判定する(ステップS14)。ここで、第二閾値は、例えば、三組のフィンスタビライザー200のうち、何れか二組のフィンスタビライザー200のフィン210により減揺可能な船体2の揺動角度の上限値とすることができる。
この判定の結果、船体2の揺動角度が第二閾値以下と判定された場合(ステップS14で「Yes」)、操作者は、操作部500により、三組のフィンスタビライザー200のうち、一組のフィンスタビライザー200のフィン210を格納位置に配置させ、二組のフィンスタビライザー200のフィン210を突出位置に配置させる操作入力を行う。
これにより、例えば、全てのフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置にある場合には、何れか一組のフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置から格納位置へと変位される(格納工程)。さらに、二組以上のフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置にある場合には、少なくとも一組のフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置から突出位置へと変位されて、二組のフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置とされる(突出工程)。一方で、二組のフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置にあり、一組のフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置にある場合には、それぞれのフィンスタビライザー200のフィン210は、現在位置で保持される。(ステップS15)。
次いで、操作者は、操作部500に対して減揺動作を開始する操作入力等を行う。この操作部500への操作入力に基づいて制御部600は、突出位置にある二組のフィンスタビライザー200のフィン210により船体2の減揺動作を開始する(ステップS16)。その後、最初の工程(ステップS10)に戻り上述した一連の工程を繰り返す。
ステップS14で、船体2の揺動角度が第二閾値よりも大きいと判定された場合(ステップS14で「No」)、操作者は、操作部500により、全てのフィンスタビライザー200のフィン210を突出位置に配置させる操作入力を行う。
これにより、例えば、少なくとも一組のフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置にある場合には、格納位置にあるフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置から突出位置へと変位されて、全てのフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置とされる(突出工程)。一方で、全てのフィンスタビライザー200のフィン210が突出位置にある場合には、それぞれのフィンスタビライザー200のフィン210は、現在位置で保持される。(ステップS17)。
次いで、操作者は、操作部500に対して減揺動作を開始する操作入力等を行う。この操作部500への操作入力に基づいて制御部600は、突出位置にある三組のフィンスタビライザー200のフィン210を全て用いて船体2の減揺動作を開始する(ステップS18)。その後、最初の工程(ステップS10)に戻り上述した一連の工程を繰り返す。
したがって、上述した第二実施形態によれば、三組のフィンスタビライザー200を備えることで、船体2に必要となる減揺効果を三組のフィンスタビライザー200で分担することができる。そのため、一組及び二組のフィンスタビライザー200によって船体2の減揺効果を得る場合よりも、各フィンスタビライザー200のフィン210の大きさを縮小することができる。
さらに、三組のフィンスタビライザー200のフィン210が、それぞれ独立して突出位置と格納位置との間で変位可能となっているため、船体2に必要となる減揺効果に応じた数のフィン210を突出位置に配置して、それ以外のフィンスタビライザー200のフィン210を格納位置に配置することができる。その結果、フィンスタビライザー200による船体2の減揺を行いつつ船体2の揺れが小さい場合には船体抵抗を効果的に低減することが可能となる。
また、各フィンスタビライザー200のフィン210が独立して変位可能なため、第一実施形態と同様に、左右一方のフィン210だけでも減揺動作を行うことができる。つまり、左右何れかのフィンが故障等して使用不能となった場合であっても、船体の減揺動作を継続することができる。
さらに、全てのフィンスタビライザー200のフィン210が格納位置と突出位置との間で変位可能であるため、例えば、船体2の減揺動作を行う必要が全く無い場合又はビルジキール14のみで減揺する場合に、全てのフィン210を格納位置に格納することができる。その結果、更なる船体抵抗の低減を図ることができる。
また、第一閾値及び第二閾値によって船体2の揺れの大きさを判断できる。そのため、船体2の揺れの大きさに応じて、不要なフィン210を的確に格納することができる。つまり、船体2の揺れが小さい場合に、一部のフィンスタビライザー200のフィン210のみを用いて減揺動作を行うとともに、減揺動作を行わないフィン210を格納する。そのため、船体2の揺れが小さい場合に、過剰な減揺能力を有するフィン210を用いて減揺動作を行って船体抵抗が増加することを抑制できる。
また、船体2の揺れが大きくなったときには、格納状態とされているフィン210を突出位置に変位させて、船体2の揺れが小さい時よりも多くのフィン210を用いてより大きな減揺効果を得ることができる。
その結果、船体2の揺れの大きさに応じた十分な減揺効果が得られるとともに、必要な減揺効果の大きさに応じて船体抵抗の低減を図ることができる。
なお、この発明は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した第一実施形態では、二組のフィンスタビライザー20a,20bのうち第二フィンスタビライザー20bの第二フィン21ba,21bbのみが突出位置と格納位置との間で変位可能に設けられる場合について説明した。更に、第二実施形態では、三組のフィンスタビライザー200のフィン210の全てが突出位置と格納位置との間で変位可能に設けられる場合について説明した。しかし、突出位置と格納位置との間で変位可能に設けられるフィンスタビライザーのフィンは、少なくとも一組のフィンスタビライザーであればよく、例えば、二組のフィンスタビライザーが、突出位置と格納位置との間で変位可能に設けられていても良く、更に二組のフィンスタビライザーが、突出位置と格納位置との間で変位不能に設けられていても良い。
また、上述した第一実施形態では、第二フィン21ba,21bbを格納可能な第二フィンスタビライザー20bが第一フィンスタビライザー20aよりも船首2a側に配置される場合について説明した。しかし、この構成に限られず、例えば、格納可能な第二フィンスタビライザー20bを船尾2b側に配置するようにしてもよい。
さらに、上述した第二実施形態においては、三組のフィンスタビライザー200を設ける場合について説明した。しかし、四組以上のフィンスタビライザーを設けても良い。この場合、フィンスタビライザーの組数に応じた数の揺動角度の閾値を設けて、格納するフィンの数を判断すればよい。
また、上述した各実施形態においては、カーフェリーを一例にして説明したが、カーフェリー以外の船舶にも適用可能である。
さらに、上述した各実施形態においては、船体2がビルジキール14を備える場合について説明した。しかし、この発明は、ビルジキール14を備えない船舶にも適用可能である。
1 船舶
2 船体
3 上部構造
4A,4B 舷側
4a,4b 船側外板
5 船底
5a 外底板
6 舵
10 車両甲板
11 上甲板
13 ファンネル
14 ビルジキール
20,201 フィンスタビライザーシステム
20a 第一フィンスタビライザー
20b 第二フィンスタビライザー
21aa,21ab,121aa,121ab,221aa,221ab 第一フィン
21ba,21bb,221ba,221bb 第二フィン
22a,22b,22c,22d 角度駆動部
23a,23b 格納駆動部
30 揺動検出部
40,400 表示部
50,500 操作部
60,600 制御部
200 フィンスタビライザー
210 フィン
210aa,210ab 第一フィン
210ba,210bb 第二フィン
210ca,210cb 第三フィン

Claims (9)

  1. 左右一対の舷側を有する船体と、
    前記船体の船首尾方向に間隔をあけて設けられ、左右一対のフィンからなる複数組のフィンスタビライザーと、
    を備え、
    前記複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも一組のフィンスタビライザーの前記フィンは、
    前記舷側から突出して前記船体の減揺を行う突出位置と、前記舷側内に格納される格納位置との間で変位可能に設けられているとともに、互いに独立して前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられている船舶。
  2. 前記複数組のフィンスタビライザーは、前記フィンスタビライザー毎に前記フィンの表面積が異なる請求項1に記載の船舶。
  3. 前記複数組のフィンスタビライザーの全ての前記フィンは、前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられている請求項1又は2に記載の船舶。
  4. 前記複数組のフィンスタビライザーは、前記船体の船首垂線と船尾垂線との垂線間長さを「L」とした場合、船首垂線から0.3Lよりも船央側且つ船尾垂線から0.3Lよりも船央側に配置されている請求項1から3の何れか一項に記載の船舶。
  5. 前記船体は、
    最も船首側に設けられた前記フィンスタビライザーよりも船首に近い位置、及び、最も船尾側に設けられた前記フィンスタビライザーよりも船尾に近い位置に、それぞれ前記船体の横揺れを抑制するビルジキールを備える請求項4に記載の船舶。
  6. 左右一対の舷側を有する船体と、
    前記船体の船首尾方向に間隔をあけて設けられて、左右一対のフィンからなる複数組のフィンスタビライザーと、を備え、
    前記複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも一組のフィンスタビライザーの前記フィンが、前記舷側から突出して前記船体の減揺を行う突出位置と前記舷側内に格納される格納位置との間で変位可能に設けられた船舶の減揺方法であって、
    前記船体の揺れの大きさに応じて、前記フィンを前記格納位置に配置された格納状態にする格納工程と、
    前記突出位置にある前記フィンにより減揺動作を行う減揺工程と、を含む減揺方法。
  7. 前記格納工程は、
    前記船体の揺れを検出する工程と、
    前記船体の揺れが予め定められた閾値以下の場合に、前記格納位置に格納可能な前記フィンのうち、少なくとも一部の前記フィンを格納状態にする工程と、
    をさらに含む請求項6に記載の減揺方法。
  8. 前記船体の揺れが閾値以下の揺れから前記閾値よりも大きい揺れになった場合に、前記格納位置にある前記フィンを前記突出位置に変位させる突出工程を更に含む請求項7に記載の減揺方法。
  9. 前記複数組のフィンスタビライザーのうち、少なくとも二組のフィンスタビライザーの前記フィンが、前記突出位置と前記格納位置との間で変位可能に設けられ、
    前記格納工程は、
    前記船体の揺れを検出する工程と、
    前記船体の揺れの大きさに応じた組数の前記フィンスタビライザーの前記フィンを前記格納状態にする工程と、を含む請求項6に記載の減揺方法。
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