JP2018008180A - 水処理材及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】強度が高く、アンモニア及びリン酸の吸着能力、並びにpH緩衝作用に優れた水処理材を提供する。【解決手段】本発明の水処理材は、ゼオライトとケイ酸カルシウムとを含む。この水処理材において、ゼオライトはクリノプチロライト及びモルデナイトを含む。また、クリノプチロライトの結晶子径は15〜26.5nmであり、モルデナイトの結晶子径は39〜48nmである。さらに、ゼオライトとケイ酸カルシウムとの質量比は4.0:1〜1.1:1である。【選択図】なし

Description

本発明は、水処理材及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、観賞用又は養殖用の水生生物を飼育する水槽内の水を浄化処理するための水処理材及びその製造方法に関する。
観賞又は養殖を目的として魚、海老などの水生生物を水槽で飼育する場合、水生生物の排泄物、餌などによってアンモニア、リン酸などが生じ、水槽内の水質が低下する。
水槽内の水質を維持する方法としては、従来、バクテリアなどの微生物を担持させた多孔質の水処理材(「ろ過材」とも称される。)を用いて処理する方法が知られている。微生物は、水生生物が排泄したアンモニアを硝酸に酸化して処理することができる一方、硝酸の生成によって水槽内の水のpHが低下し、水生生物の飼育には適さなくなることがある。そのため、水のpHが低下した場合、水槽にpH上昇剤を投入したり、水替えを行ったりすることが行われている。しかしながら、pH上昇剤は、一時的に水のpHを上昇させることができるけれども、持続力がないという問題がある。また、水替えは、飼育管理に手間がかかるであるという問題がある。
そこで、硝酸による水槽内の水のpH低下を抑制する機能(以下、「pH緩衝作用」という。)及びリン酸の吸着能力を有する水処理材として、ワラストナイト及びアノーサイトを含有する水処理材が提案されている(例えば、特許文献1)。この水処理材は、孔内に微生物を担持させることにより、アンモニアを処理することもできる。
しかしながら、この水処理材は、それ自体にアンモニアを吸着する能力(以下、「アンモニアの吸着能力」という。)がなく、孔内に担持させた微生物がアンモニアの処理を行うため、微生物が十分に繁殖していない段階(例えば、飼育の初期段階)においては、アンモニアを十分に処理することができない。
他方、水中に含まれる窒素及びリンを吸着させる吸着剤として、ゼオライトと焼成した粘土とを含む吸着剤が知られている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、この吸着剤は、植物の肥料成分として用いられるものであるため、水槽内の水を浄化処理するための水処理材として用いるのには適していない。すなわち、この吸着剤は粉体状であるため、水処理材として用いた場合、通水充填塔などにおいて目詰まりが発生し、通水状態を維持することができない。
また、リン含有排水中からリンを除去する脱リン材として、石灰質原料及びゼオライトの反応生成物からなる脱リン材が知られている(例えば、特許文献3)
しかしながら、この脱リン材は、リン吸着能力及びpH緩衝作用が良好であるけれども、アンモニアの吸着能力はない。また、この脱リン材は強度が十分でないため、水処理材として用いた場合、使用時の水流などによって微粉化してしまう。その結果、通水充填塔などにおいて目詰まりが発生し、通水状態を維持することができない。
特許第2951516号公報 特開昭61−281093号公報 特開2001−9470号公報
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、強度が高く、アンモニア及びリン酸の吸着能力、並びにpH緩衝作用に優れた水処理材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ゼオライトとケイ酸カルシウムとを含む水処理材において、ゼオライトの種類及び結晶子径、並びにゼオライトとケイ酸カルシウムとの質量比が、強度、アンモニア及びリン酸の吸着能力、並びにpH緩衝作用と密接な関係を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の第(1)項〜第(3)項である。
(1)クリノプチロライト及びモルデナイトを含むゼオライトと、ケイ酸カルシウムとを含み、
前記クリノプチロライトの結晶子径が15〜26.5nm、前記モルデナイトの結晶子径が39〜48nmであり、
前記ゼオライトと前記ケイ酸カルシウムとの質量比が4.0:1〜1.1:1である
ことを特徴とする水処理材。
(2)クリノプチロライト及びモルデナイトを含むゼオライトと、ケイ酸カルシウムを与える材料とを50:50〜75:25の質量比で混合した後、700〜850℃の温度で焼成することを特徴とする水処理材の製造方法。
(3)前記ゼオライトと、前記ケイ酸カルシウムを与える材料との質量比が55:45〜75:25であることを特徴とする第(2)項に記載の水処理材の製造方法。
本発明によれば、強度が高く、アンモニア及びリン酸の吸着能力、並びにpH緩衝作用に優れた水処理材及びその製造方法を提供することができる。
本発明の水処理材は、ゼオライト及びケイ酸カルシウムを含む。
ゼオライトは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むアルミノケイ酸塩であり、一般に、天然ゼオライト、人工ゼオライト及び合成ゼオライトに分類される。その中でも、本発明の水処理材に用いられるゼオライトは、コスト面で天然ゼオライトが好ましい。
本発明の水処理材に用いられるゼオライトは、クリノプチロライト及びモルデナイトの両方を必須成分として含む。また、本発明の水処理材に用いられるゼオライトは、その他の種類のゼオライト(例えば、ローモンタイト、チャバザイト)をさらに含んでいてもよい。
クリノプチロライトは(Ca,Na,K)[AlSi18]・6HO、モルデナイトは(Ca,Na,K)[AlSi12]・7HOの化学式を有する。なお、本発明の水処理材は焼成することによって製造されるため、ゼオライトの結晶水は、一部又は全部が脱水している。
クリノプチロライトとモルデナイトとの質量割合は、特に限定されないが、モルデナイトよりもクリノプチロライトの質量割合が高い方が好ましい。
本発明の水処理材において、クリノプチロライトは、15nm〜26.5nm(150Å〜265Å)、好ましくは15.5nm〜26.4nm(155Å〜264Å)、より好ましくは16nm〜26.2nm(160Å〜262Å)の結晶子径を有する。クリノプチロライトの結晶子径が15nm未満であると、リン酸の吸着能力が低下してしまう。一方、クリノプチロライトの結晶子径が26.5nm超過であると、アンモニア及びリン酸の両者の吸着能力が十分に得られない。
ここで、本明細書において「クリノプチロライトの結晶子径」とは、粉末X線回折におけるクリノプチロライトの2θ=30.0°(CuKα線)付近の(151)面の回折線プロファイルの半値幅(FWHM)からシェラーの式(I)によって求められるものを意味する。
D=K・λ/(β・cosθ) (I)
式中、Dは結晶子径(Å)であり、Kは定数(0.94)であり、λはX線の波長(Å)であり、βは半値幅(rad)であり、θは回折X線のブラッグ角(°)である
本発明の水処理材において、モルデナイトは、39nm〜48nm(390Å〜480Å)、好ましくは39.3nm〜48nm(393Å〜480Å)、より好ましくは39.5nm〜47.9nm(395Å〜479Å)の結晶子径を有する。モルデナイトの結晶子径が39nm未満であると、アンモニア及びリン酸の吸着能力が十分に得られない。一方、モルデナイトの結晶子径が48nm超過であると、水処理材の強度が十分に得られない。
ここで、本明細書において「モルデナイトの結晶子径」とは、粉末X線回折におけるモルデナイトの2θ=25.7°(CuKα線)付近の(202)面の回折線プロファイルの半値幅(FWHM)から上記のシェラーの式(I)によって求められるものを意味する。
ケイ酸カルシウムは、pH緩衝作用を与える成分である。すなわち、ケイ酸カルシウムは、水処理材を水中に浸漬した際に、ケイ酸カルシウムに含まれているカルシウムが適度に水に溶出してpHの変動を抑制する。特に、ケイ酸カルシウムは、水の酸性化の程度に応じてカルシウムが水に溶出するため、水のpHを常に一定に維持することができる。
ケイ酸カルシウムは、CaOとSiOとからなる複合酸化物(二元酸化物)である。ケイ酸カルシウムの例としては、特に限定されないが、ワラストナイト(CaO・SiO)、ランキナイト(3CaO・2SiO)、トリカルシウムシリケート(3CaO・SiO)、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO)などが挙げられる。本発明の水処理材に含まれるケイ酸カルシウムは、単一の種類であっても、2種以上の混合物であってもよい。
本発明の水処理材において、ゼオライトとケイ酸カルシウムとの質量比は、4.0:1〜1.1:1、好ましくは3.0:1〜1.5:1である。ゼオライトの割合が高すぎる場合、リン酸の吸着能力が低下してしまう。一方、ケイ酸カルシウムの割合が高すぎる場合、水処理材の強度が低下するため、使用期間が長くなると崩壊する懸念がある。
上記のような特徴を有する本発明の水処理材は、クリノプチロライト及びモルデナイトを含むゼオライトと、ケイ酸カルシウムを与える材料とを所定の質量比で混合した後、所定の温度で焼成することによって製造される。
原料として用いられる、クリノプチロライト及びモルデナイトを含むゼオライトは、ケイ酸カルシウムを与える材料と混合させ易くする観点から、粉末状であることが好ましい。すなわち、原料として用いられるゼオライトの平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは500μm未満、より好ましくは100μm以下である。このような粉末状のゼオライトは、一般に市販されており、例えば、ジークライト株式会社製のSGW(平均粒子径10μm)、SGW−B4(平均粒子径18μm)などを用いることができる。
ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
ケイ酸カルシウムを与える化合物は、ケイ酸カルシウム、又は焼成によってケイ酸カルシウムを生成する化合物である。焼成によってケイ酸カルシウムを生成する化合物としては、特に限定されないが、トバモライト、ゾノトライト、ケイ酸カルシウム水和物(CSH)などが挙げられる。なお、これらの成分を含有する建設材料(例えば、軽量気泡コンクリート(ALC)の端材、生コンのスラッジなど)を原料として用いてもよい。ケイ酸カルシウムを与える化合物は、単一又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ケイ酸カルシウムを与える化合物が結晶水を含む場合、焼成時に結晶水の一部または全部が脱水される。
ケイ酸カルシウムを与える化合物もまた、ゼオライトと混合させ易くする観点から、粉末状であることが好ましい。すなわち、ケイ酸カルシウムを与える化合物の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは500μm未満、より好ましくは100μm以下である。
ゼオライトと、ケイ酸カルシウムを与える材料との混合割合は、質量比で50:50〜75:25、好ましくは55:45〜75:25、より好ましくは58:42〜72:28である。ゼオライトの混合割合が高すぎると、リン酸の吸着能力が十分に得られない。一方、ケイ酸カルシウムを与える材料の割合が高すぎると、混合物を成形することが難しくなる。特に、混合物を球状の成形体に成形する際に造粒性が低下する。
ゼオライトと、ケイ酸カルシウムを与える材料とを混合する場合、混合性及びその後の成形性を確保する観点から、水、1,3−ブタンジオールなどの溶剤を配合してもよい。混合方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の混合機などを用いて行なえばよい。
ゼオライトと、ケイ酸カルシウムを与える材料との混合物は、所望の製品形状に成形される。製品形状としては、特に限定されず、球状の他、円柱状、直方体状、筒状、ハニカム状などの公知の形状であり得る。
混合物を球状の成形体に成形する場合、造粒機などを用いて成形すればよい。また、混合物を円柱状、直方体状、筒状、ハニカム状などの成形体に成形する場合、押出成形機などを用いて成形すればよい。
成形体は直ぐに焼成してもよいが、クラックなどの発生を防止する観点から、必要に応じて焼成前に乾燥を行ってもよい。
成形体の焼成は、700℃〜850℃の温度で行われる。この温度範囲で焼成を行うことにより、ゼオライトの一部を溶融固化させて強度を高めると同時に、クリノプチロライト及びモルデナイトの結晶構造を保持させてアンモニア及びリン酸の吸着能力を高めることができる。焼成温度が700℃未満であると、ゼオライトの溶融が不十分となり、水処理材の強度が低下する。一方、焼成温度が850℃超過であると、モルデナイトの結晶構造が崩壊し始め、水処理材のアンモニア及びリン酸の吸着能力が低下してしまう。
焼成時間は、成形体の大きさなどに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般に5分〜200分、好ましくは8分〜190分である。
成形体の焼成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の焼成装置を用いて行うことができる。焼成装置としては、電気炉、バッチ炉、トンネル窯、ロータリーキルンなどを用いることができる。
上記のようにして製造される本発明の水処理材は、強度が高く、アンモニア及びリン酸の吸着能力、並びにpH緩衝作用に優れている。また一般に、ゼオライトは、様々な金属を吸着する能力を有しているため、ゼオライトを含む本発明の水処理材は、様々な金属(例えば、重金属陽イオンなど)の吸着能力も有している。さらに、上記のような製造方法によれば、造粒性が良好であるため、球状の水処理材を容易に製造することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、次の原料を用いて水処理材を作製した。
・ゼオライト:ジークライト株式会社製のSGW−B4(平均粒子径18μm)を用いた。このゼオライトは、粉末X線回折によってクリノプチロライト及びモルデナイトの両方を含むことを確認した。
・ケイ酸カルシウムを与える材料:ALCの端材を500μm未満に粉砕したもの(以下、「ALC粉末」という。)を用いた。ALC粉末の主成分は、ケイ酸カルシウム水和物の一種であるトバモライトである。
実施例及び比較例における各評価は、次のようにして行った。
<ゼオライトの種類の同定>
粉末X線回折装置(Bruker社製D8 Advance)を用い、電流350mA、電圧35kV、ステップサイズ0.02°、スキャンスピード0.13秒/ステップ、測定範囲10°〜65°の条件で、水処理材に含まれるゼオライトの種類の同定を行った。
<クリノプチロライト及びモルデナイトの結晶子径の算出>
粉末X線回折装置(Bruker社製D8 Advance)を用い、CuKα線により、クリノプチロライトの2θ=30.0°付近の(151)面の回折線プロファイルの半値幅、モルデナイトの2θ=25.7°付近の(202)面の回折線プロファイルの半値幅を測定した後、上記のシェラーの式(I)によってクリノプチロライト及びモルデナイトの結晶子径を算出した。
<水処理材の摩耗(強度)の評価>
水道水100mL及び水処理材5gを内容積250mLのポリ容器に入れ、振とう器で3日間振とうした後、5mmの篩で篩分けした。その後、5mmの篩上に残留した水処理材を乾燥させ、乾燥後の重量を測定した。そして、水処理材の摩耗率(%)を以下の式によって算出した。
(振とう前の水処理材の重量−振とう後の水処理材の重量)/振とう前の水処理材の重量×100
<水処理材のpH緩衝作用の評価>
水道水に硝酸を添加してpHを2.2となるように調整した模擬水100mL及び水処理材1.5gを内容積250mLのポリ容器に入れ、振とう器で3日間振とうした後、模擬水のpHを測定した。
<水処理材のアンモニア及びリン酸の吸着能力の評価>
リン酸水素二アンモニウム0.47gを蒸留水に加えた模擬水1Lを準備した。この模擬水において、アンモニア態窒素の濃度は100mg/L、リン酸態リンの濃度は110mg/Lである。この模擬水200mL及び水処理材0.5gを内容積250mLのポリ容器に入れ、振とう器で7日間振とうした後、水処理材を除去し、模擬水におけるアンモニア態窒素及びリン酸態リンの濃度を測定した。アンモニア態窒素の濃度は、インドフェノール青比色法を用いたパックテスト、リン酸態リンの濃度は、モリブデン青比色法を用いたパックテストによって測定した。
水処理材のアンモニアの吸着能力は、以下の式によってアンモニアの吸着率(%)を算出した。
(振とう前の模擬水におけるアンモニア態窒素の濃度−振とう後の模擬水におけるアンモニア態窒素の濃度)/振とう前の模擬水におけるアンモニア態窒素の濃度×100
同様に、水処理材のリン酸の吸着能力は、以下の式によってリン酸の吸着率(%)を算出した。
(振とう前の模擬水におけるリン酸態リンの濃度−振とう後の模擬水におけるリン酸態リンの濃度)/振とう前の模擬水におけるリン酸態リンの濃度×100
<重金属の吸着能力の評価>
鉛濃度が1mg/Lとなるような模擬水を、蒸留水に硝酸鉛(特級試薬Pb(NO)を加えることで調製した。この模擬水1L及び水処理材10gをポリプロピレン製容器に入れ、振とう器で7日間振とうした後、水処理材を除去し、模擬水における鉛濃度を測定した。鉛濃度は、ICP質量分析装置を用いて測定した。
水処理材の鉛の吸着能力は、以下の式によって算出した。
(振とう前の模擬水における鉛濃度−振とう後の模擬水における鉛濃度)/振とう前の模擬水における鉛濃度×100
(実施例1〜6及び比較例1〜3)
70質量部のゼオライト及び30質量部のALC粉末を混合した後、得られた混合物を直径が7mm〜10mmとなるようにパンペレタイザーを用いて水を噴霧しながら造粒した。得られた造粒物を乾燥した後、表1に示す温度及び時間で焼成することにより、球状の水処理材を得た。得られた水処理材について、上記の各評価を行った。なお、重金属の吸着能力の評価については、代表として実施例4のみ行った。各評価の結果を表1に示す。
Figure 2018008180
表1に示されているように、実施例1〜6の水処理材は、摩耗率が小さく(強度が高く)、pH緩衝作用を有すると共に、アンモニア及びリン酸の吸着能力が高かった。また、実施例4の水処理材は重金属の吸着能力を有しており、類似の鉱物組成を有する実施例1〜3及び実施例5〜6の水処理材についても重金属の吸着能力を有することが推認される。このような効果を有する実施例1〜6の水処理材は、クリノプチロライトの結晶子径が15〜26.5nm、モルデナイトの結晶子径が39〜48nm、ゼオライトとケイ酸カルシウムとの質量比が4.0:1〜1.1:1の範囲内であった。
これに対して比較例1の水処理材は、焼成温度が低すぎたために、モルデナイトの結晶子径が大きくなり過ぎてしまい、摩耗率が大きくなった(強度が低くなった)。また、比較例2の水処理材は、焼成温度が高すぎたために、モルデナイトの結晶子径が小さくなり過ぎてしまい、アンモニア及びリン酸の吸着能力が低くなった。さらに、比較例2と同じ焼成温度で焼成時間を長くすることによって作製した比較例3の水処理材は、クリノプチロライトの結晶子径が大きくなり過ぎてしまい、アンモニア及びリン酸の吸着能力が低くなった。
次に、ゼオライトとALC粉末との混合割合を変えて水処理材を作製し、上記の各評価(重金属の吸着能力の評価は除く)と共に造粒性の評価を行った。また、実施例4の水処理材についても同様の評価を行った。なお、造粒性の評価は目視にて行った。造粒性の評価において、パンペレタイザーによる造粒が容易であったものを◎、混合物の粘着性が低下したものの、パンペレタイザーによる造粒が可能であったものを○、混合物の粘着性が低く、パンペレタイザーによる造粒が困難であったものを△と表す。
(実施例7)
ゼオライトの配合量を60質量部、ALC粉末の配合量を40質量部に変えたこと以外は実施例4と同様にして水処理材を作製した。
(実施例8)
ゼオライトの配合量を50質量部、ALC粉末の配合量を50質量部に変えたこと以外は実施例4と同様にして水処理材を作製した。
(比較例4)
ゼオライトの配合量を80質量部、ALC粉末の配合量を20質量部に変えたこと以外は実施例4と同様にして水処理材を作製した。
実施例4、7及び8、並びに比較例4の水処理材の各評価の結果を表2に示す。
Figure 2018008180
表2に示されているように、実施例4、7及び8の水処理材は、摩耗率が小さく(強度が高く)、pH緩衝作用を有すると共に、アンモニア及びリン酸の吸着能力が高かったのに対し、比較例4の水処理材は、ゼオライトの配合割合が高すぎたために、リン酸の吸着能力が低くなった。また、ALC粉末の配合割合が高くなるにつれて、ゼオライトとALC粉末との混合物の粘性が低下し、ゼオライトとALC粉末がまとまり難くなったため、パンペレタイザーによる造粒が難しくなった。ただし、ALC粉末の配合割合が高くなっても、他の成形手段などを用いれば造粒可能であることは言うまでもない。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、強度が高く、アンモニア及びリン酸の吸着能力、並びにpH緩衝作用に優れた水処理材及びその製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. クリノプチロライト及びモルデナイトを含むゼオライトと、ケイ酸カルシウムとを含み、
    前記クリノプチロライトの結晶子径が15〜26.5nm、前記モルデナイトの結晶子径が39〜48nmであり、
    前記ゼオライトと前記ケイ酸カルシウムとの質量比が4.0:1〜1.1:1であるである
    ことを特徴とする水処理材。
  2. クリノプチロライト及びモルデナイトを含むゼオライトと、ケイ酸カルシウムを与える材料とを50:50〜75:25の質量比で混合した後、700〜850℃の温度で焼成することを特徴とする水処理材の製造方法。
  3. 前記ゼオライトと、前記ケイ酸カルシウムを与える材料との質量比が55:45〜75:25であることを特徴とする請求項2に記載の水処理材の製造方法。
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