JP2018007575A - 反芻動物への給餌方法 - Google Patents

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【課題】反芻動物から得られる乳の脂肪分を向上させる技術を提供する。【解決手段】本発明に基づいて、1〜15質量%の木材パルプを含有する飼料を反芻動物に摂取させることによって、反芻動物から得られる乳の脂肪分を向上させることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、反芻動物の飼育方法に関する。特に本発明は、反芻動物から得られる乳の脂肪分を向上する技術に関する。
一般に、牧畜分野においては、家畜の乳量の増加や増体重などを目的に、栄養価の高い濃厚飼料が牧草などの粗飼料とともに使用されることが多い。濃厚飼料は、トウモロコシ、麦類、大豆などの易消化性炭水化物(デンプンなど)を多く含む一方、粗飼料は、牧草を乾燥した干草(乾草、わら類)や、青刈りした牧草を発酵させたもの(サイレージ化したもの)などを主とする。
反芻動物が粗飼料を摂取し消化することが可能であるのは、ルーメン(第一胃)を有するためである。ルーメンは、反芻動物が有する複数の胃のうち最大の容積を占め、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースなどの難消化性の多糖類を分解(ルーメン発酵)し得る微生物群(ルーメン微生物)が豊富に含まれている。
しかし、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースは、リグニン類と結合し、それぞれリグニン−セルロース複合体やリグニン−ヘミセルロース複合体として存在している場合が多い。このような複合体は、ルーメン発酵において十分に分解されないおそれがあり、粗飼料は、飼料効率が不十分になりやすいという問題点があった。また、未消化物が多くなると糞量の増加を引き起こすため、環境面においても望ましくないとされていた。
さらに、粗飼料は、牧草の収穫量や作柄により影響を受けやすく、供給量が不安定である。特にわが国では粗飼料の多くを輸入に頼っているため、概して価格変動が大きく、また、輸出国の諸事情により輸入困難になる場合もあり、牧場経営を圧迫する場合がある。
このため、牧草に代替でき、飼料効率に優れ、安価であり、且つ安定的に入手可能な反芻動物用飼料が望まれている。
ここで、飼料中の栄養濃度を高めるため、易消化性の炭水化物(デンプン)を多く含む濃厚飼料を粗飼料に配合することが一般に行われている。乳用家畜の乳量を維持し、或いは、肉用家畜の増体を維持するためは、飼料摂取量をも増加させる必要があるが、乳量の増加や体格の増強にともなうエネルギー要求量の増加率は、摂取飼料量の増加率を超えるためである。ところが、濃厚飼料中のデンプンなどの炭水化物は、ルーメンのpHを急激に低下させることがあり、結果としてルーメンアシドーシスが発生することがある。ルーメンアシドーシスとは、反芻動物の疾病の一種であり、炭水化物に富む穀物、濃厚飼料、果実類などを急激に摂取することにより引き起こされる。
乳脂肪を向上ないし維持する飼料として、特許文献1には、しょう油を含有する飼料にしょう油を含有させること、特許文献2には、飼料に綿実を含有させること、特許文献3には、ナトリウム制酸剤またはマグネシウム制酸剤を給与することが提案されている。
一方、ルーメンアシドーシスを予防する飼料として、特許文献4には、木質原料に高衝撃力を与えて粉砕し微粒子化した家畜飼料が開示されている。また、ペレット化した飼料に関して、特許文献5に、加工食品残渣をペレット化して飼料を製造すること、特許文献6(特表2013−518880号公報)には、リグノセルロースバイオマスをペレット化することが提案されている。さらに、特許文献7には、中性デタージェンド繊維、デンプン及びりんごジュース粕を含む飼料をルーメンが未発達な仔牛に与えることにより、ルーメンアシドーシスを緩和して糞便性状を改善することが開示されている。
特開2006−141312号公報 特開平5−41953号公報 特開平2−35047号公報 特開2011−83281号公報 特開平10−75719号公報 国際公開WO2011/097075 特開2013−255433号公報
一般に、夏場や分娩後などは牛乳に含まれる乳脂肪分が低下することが多く、現実に乳脂肪分の低下に悩む農家は多い。また、乳製品に関連する法令(厚生労働省・乳等省令)にて、牛乳を無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上と規格されており、また、市販されている製品の多くは、無脂乳固形分8.3%以上、乳脂肪分3.5%以上とされているため、乳脂肪分を増加させる技術に対するニーズは大きい。
そこで本発明の課題は、反芻動物から得られる乳の脂肪分を向上させる技術を開発することである。
本発明の発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、木材パルプを含む飼料を反芻動物に給与することで乳脂肪分をアップできることを見出し、本発明を完成させるに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は、以下の態様を包含する。
(1) 1〜15質量%の木材パルプを含有する飼料を反芻動物に10日間以上摂取させることと、反芻動物の乳を回収することと、を含む、反芻動物の乳脂肪分を向上させる方法。
(2) 木材パルプを含有する前記飼料を摂取させる前、濃厚飼料を含むが木材パルプを含まない飼料を反芻動物に摂取させている、(1)に記載の方法。
(3) 木材パルプを含まない前記飼料を摂取させていた時期の乳脂肪分と比較して、木材パルプを含有する前記飼料を摂取させた時期の乳脂肪分が0.2%以上高い、(2)に記載の方法。
(4) 反芻動物が乳牛である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 木材パルプがクラフトパルプである、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 木材パルプのカッパー価が5以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 木材パルプが酸素脱リグニン処理したパルプである、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 木材パルプが、未晒クラフトパルプを酸素脱リグニン処理した酸素脱リグニンクラフトパルプであり、カッパー価が5〜15である、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、牛などの反芻動物から得られる乳の脂肪分を向上させることができる。
本発明は、1〜15質量%の木材パルプを含有する飼料を10日間以上反芻動物に摂取させることにより反芻動物の乳脂肪分を向上させる。本発明は、1〜15質量%の木材パルプを含有する飼料を摂取させる前、濃厚飼料を含むが木材パルプを含まない飼料を摂取している反芻動物に適用することが好ましい。また、木材パルプを含まない前記飼料を摂取させていた時期の乳脂肪分と比較して、木材パルプを含有する前記飼料を摂取させた時期の乳脂肪分が0.2%以上高くなることが好ましい。
一般に、牛乳は約87.6%の水分と約12.4の固形分から構成され、乳固形分には、乳脂肪分と無脂固形分が含まれる(乳脂肪分が約3.8%、無脂固形分が約8.6%)。乳に含まれる脂肪分は、飼料に含まれる繊維質、糖およびでんぷんからルーメン発酵により酢酸、酪酸が合成され、合成された酢酸や酪酸がルーメン内で吸収され肝臓に貯えられ、乳腺で乳脂肪が合成される。また、体蓄積された脂肪も乳脂肪の合成に一部、使用されることが知られている。一般に、乳脂肪、無脂固形分(SNF)、乳蛋白は、季節的な変動を受け、夏期に低くなる傾向があること、分娩後の泌乳量のピークを迎える時期(分娩後50〜60日)より少し遅れた時期(分娩後90〜100日頃)に低くなる傾向があることが知られている。本発明の好ましい態様において、木材パルプを含む飼料を北半球の場合は5月〜10月(南半球の場合は11月〜4月)の間に反芻動物に給与することができる。
本発明の反芻動物用飼料は、反芻動物に適用される。反芻動物としては、例えば、乳牛及び肥育牛などの牛、羊、山羊などが挙げられる。本発明の飼料を反芻動物に給与する場合、適用対象である反芻動物の年齢、体格、健康状態等には特に制限はなく、例えば、哺乳期の仔牛から成牛まで用いることができる。本発明の飼料を給与する期間は、少なくとも10日給与するが、12日以上給与することがより好ましい。
本発明の飼料は、木材由来のパルプである木材パルプを含有するが、乾物基準で木材パルプを1〜15質量%含有することが好ましく、1.5〜10質量%含有することがより好ましく、2〜8質量%含有させてもよい。
本発明の飼料は、木材パルプを含有するものであるが、公知のパルプ化法によって製造されたパルプを制限なく使用することができる。例えば、機械パルプ、化学パルプのいずれもが適用可能である。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、溶解クラフトパルプ(DKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解サルファイトパルプ(DSP)等が挙げられる。また、漂白パルプ、未漂白パルプのいずれも使用できる。これらの中では、酸素脱リグニン処理した化学パルプ、漂白化学パルプなどが好ましい。また、カッパー価が5〜15であるパルプや、クラフトパルプがさらに好ましく、カッパー価が5〜15である酸素脱リグニン処理したクラフトパルプが特に好ましい。
本発明の反芻動物用飼料において、パルプは1種類のものから成るものでもよく、複数のパルプを混合したものでもよい。例えば、原料や製造方法の異なる化学パルプ(広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、溶解広葉樹クラフトパルプ、溶解針葉樹クラフトパルプ)、あるいは機械パルプ(砕木パルプ、リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ)、を2種以上混合して使用してもよい。
原料の木材としては、例えば、広葉樹、針葉樹、雑木、タケ、ケナフ、バガス、パーム油搾油後の空房が使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナ、シナ、シラカバ、ポプラ、ユーカリ、アカシア、ナラ、イタヤカエデ、センノキ、ニレ、キリ、ホオノキ、ヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキ、アオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。
クラフトパルプ
木材チップからクラフトパルプを製造する場合、木材チップは蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、クラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
また、本発明においては、絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に添加してもよい。キノン化合物の添加量が0.01質量%未満であると添加量が少なすぎて蒸解後のパルプのカッパー価が低減されず、カッパー価とパルプ収率の関係が改善されない。さらに、粕の低減、粘度の低下の抑制も不十分である。また、キノン化合物の添加量が1.5質量%を超えてもさらなる蒸解後のパルプのカッパー価の低減、及びカッパー価とパルプ収率の関係の改善は認められない。
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
蒸解液は、対絶乾木材チップ重量当たりの活性アルカリ添加率(AA)を10〜35質量%とすることが好ましい。活性アルカリ添加率を10質量%未満であるとリグニンやヘミルロースの除去が不十分となり、35質量%を超えると収率の低下や品質の低下が起こる。ここで活性アルカリ添加率とは、NaOHとNaSの合計の添加率をNaOの添加率として換算したもので、NaOHには0.775を、NaSには0.795を乗じることでNaOの添加率に換算できる。また、硫化度は20〜35%の範囲が好ましい。硫化度20%未満の領域においては、脱リグニン性の低下、パルプ粘度の低下、粕率の増加を招く。
クラフト蒸解は、120〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜160℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、600分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。Hファクターとしては、300〜2000が好ましい。
Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。
クラフト蒸解で得られたパルプについて、酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm、より好ましくは4〜7kg/cm、アルカリ添加率はパルプ絶乾重量当たり0.5〜4質量%、処理温度80〜140℃、処理時間20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。また、酸素脱リグニン処理などを施した後のクラフトパルプのカッパー価は5〜15であることが好ましい。
さらなるカッパー価の低下、白色度の向上を目的とする場合、酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
飼料の調製と給餌
本発明の飼料は、木材パルプを他の飼料成分と併せて調製すればよく、調製した配合飼料を反芻動物に給与することができる。他の飼料成分としては、粗飼料(例えば牧草)、濃厚飼料(例えばトウモロコシ、麦などの穀類、大豆などの豆類)、ふすま、米糠、おから、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等が挙げられる。
本発明の飼料に濃厚飼料を配合する場合、例えば、とうもろこし、小麦、大麦、精白米などの穀物を用いることができる。本発明の飼料においては、例えば、米、小麦、大麦、えん麦、マイロ、とうもろこしなどの穀物を主なデンプン源として用いることができる。
本発明においては、粗飼料を一定レベルで配合することが好ましく、例えば、乾物換算で5〜50質量%含むことが好ましく、15〜48質量%含むことがより好ましく、25〜45質量%としてもよい。粗飼料の原料としては、例えば、大豆、大豆粕(加糖加熱処理又は加湿加熱処理等を施した大豆粕を含む)、菜種粕、アマニ粕、コーングルテンミール、濃縮大豆蛋白、小麦グルテン、小麦グルテン酵素分解物などを挙げることができる。特に、大豆粕などの大豆由来粗蛋白質供給原料(ただし、加糖加熱処理又は加湿加熱処理を施したものを除く)は、溶解性蛋白質を多く給与してルーメン内での繊維の消化率を高め、子牛の成育を向上させるといった観点や、DDGS等の粗脂肪の含有量が比較的高いNDF供給原料などの配合により飼料中の粗脂肪の含有量が過度に多くなるのを抑制するため、飼料に配合することが好ましい。
本発明においては、飼料に糖類を配合してもよく、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、及びマルトースなどを好適に配合することができる。
本発明の飼料は、上述した原料の他に、呈味料、ミネラル、ビタミン、有機ミネラル、牧草、イネ科の植物の飼料原料、結晶アミノ酸、油脂、脂肪酸、脂肪酸カルシウム、吸着材、鉱物、植物抽出物、発酵物、着香料、有機酸、抗生物質、動物質性飼料、微生物成分、漢方薬、酵素剤、オリゴ糖、木質系飼料、粘結剤、他の植物体加工副産物などを含んでもよい。
牧草としては、例えば、オーチャードグラス、チモシー、オーツヘイ、アルファルファ、イタリアンライグラス、アカクローバー等を挙げることができ、イネ科の植物に由来する飼料原料としては、例えば、ソルガム、小麦ストロー、稲わら等を挙げることができる。もっとも、牧草やイネ科の植物に由来する飼料原料は、例えば、生後3ヶ月齢以下の子牛にとっては消化が容易でないので、ルーメンの胃壁を刺激する目的で必要に応じて粗飼料として供給し、本発明の子牛用飼料には、含有させないか、含有させるとしても少量とすることが好ましい。
好ましい態様において、木材パルプと他の飼料成分を圧縮成型してペレットのような形態にしてもよい。本発明の飼料ペレットと併用する飼料は、パルプ状、紛体状、フラッフ化の形態でもよいが、キューブ状又はペレット状などに圧縮成型するか、断裁したシート状の形態とすることが、トウモロコシや牧草などの他の飼料と混合することが容易となり、さらに運搬や取扱いが容易となるので好ましい。
キューブ状に圧縮成型する場合、縦5〜50mm×横5〜50mm×高さ5〜50mmのキューブとすることが好ましい。ペレット状に圧縮成型する場合、直径5〜50mm×長さ5〜80mmの円筒状とすることが好ましい。圧縮成型を行うための装置は特に限定されていないが、ブリケッター(北川鉄工所製)、リングダイ式ペレタイザー(CPM製)、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン製)等が望ましい。
シート状の形態とする場合、坪量が300〜2000g/mで、5〜50mm×5〜50mmのシート片とすることが好ましい。
本発明の反芻動物用飼料は、水分含有率を15質量%以下とすることが好ましい。水分含有率を15質量%以下とすることで、運搬性が向上し、微生物による腐敗を軽減できる。飼料の水分含有率は、例えば、1質量%以上としてもよく、5質量%以上に調整してもよい。
本発明の反芻動物用飼料は、例えば、可消化養分総量(TDN:Total Digestible Nutrients)を50〜95%とすることができるが、60〜85%、さらには65〜80%としてもよい。粗タンパク質(CP:Crude Protein)は、例えば、5〜40%とすることができるが、10〜30%、さらには13〜25%としてもよい。
具体的な例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の具体例によって何ら限定されるものではない。なお、本明細書において、濃度や%は特に断らない限り質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:木材パルプを含む飼料の製造
下表に示す配合に基づいて、対照区と試験区で用いる飼料を調製した。対照区の飼料と試験区の飼料は、乾物中の可消化養分総量(TDN)、粗タンパク質(CP)、粗飼料割合がほぼ同様になるように配合した(TDN:約75%、CP:約14.6%、粗飼料割合:約40%)。木材クラフトパルプ(TDN:90%以上)は、トウモロコシ圧片と同等のTDNであったため、トウモロコシ圧片と置換した。
(粗飼料)
・トウモロコシサイレージ(宮崎県畜産試験場内で自家生産)
・イタリアンライグラスサイレージ(宮崎県畜産試験場内で自家生産)
・ルーサン乾草(アメリカ産、九州ノーサン商事より購入、アルファベール・Pride)
・オーツヘイ(オーストラリア産、ヤマエ久野株式会社飼料畜産南九州支店より購入)
(濃厚飼料)
・トウモロコシ圧片(中島精麦工業、加熱圧ぺんとうもろこし)
・大麦圧片(中島精麦工業、皮付き圧ぺん麦)
・大豆粕(加藤製油、大豆粕フレーク)
・ふすま(日本製粉、精良ふすま)
・木材クラフトパルプ
ユーカリチップを活性アルカリ添加率16.0%、硫化度25%、Hファクター800にてクラフト蒸解を行い、未晒クラフトパルプを得た(カッパー価:19.8、ISO白色度:27.6%)。 上記未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し濃度10%に調製後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.4%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、酸素脱リグニンクラフトパルプを得た(カッパー価:9.4、ISO白色度:45.1%)。
得られた酸素脱リグニンクラフトパルプを水道水で洗浄した後、スクリュープレス(SHX−200型、富国工業製)で脱水し、水分率を27.9質量%に調整した。
(添加剤)
・炭酸カルシウム(白雲石工業)
・ビタミン剤(DSMニュートリシヨンジャパン、ビタファックF乳牛用)
実験2:反芻動物への給餌試験
搾乳牛4頭(ホルスタイン種、産次数:1産、平均搾乳日数:194±40日)を用いて、飼料の給与試験を行った。試験は、1期14日間で対象区2頭と試験区(以下、パルプ区ともいう)2頭を入れ替えるクロスオーバー法にて、9月から10月に日本で行った。
実験1で調製した飼料を、1日1回、余るように十分量与え(飽食)、毎日、搾乳を行った。
搾乳牛から採取した乳について、乳量を毎日記録するとともに、各期の最終3日間の脂肪分をゲルベル法で測定した。測定方法は下記のとおりである。
(1) ゲルベル乳脂計に硫酸を10mL注入する。
(2) よく攪拌した試料11mLをゲルベル用ホールピペットでとり、器壁に沿って静かに重層する。この際試料の温度は15〜20℃を遵守する。
(3) 3−メチル−1−ブタノール1mLを加え、ゴム栓を押し込む。
(4) ゲルベル乳脂計を振とうしてよく混合し、凝集物(カード)を完全に溶解させた後、60〜65℃の水浴中に15分間浸漬する。
(5) ゲルベル用の遠心分離器を用いて900rpmで5分間遠心分離した後、再び60〜65℃の水浴中に5分間浸漬する。
(6) 脂肪柱(最下底からメニスカスの下縁まで)を素早く読み取り、乳脂肪分を測定する。
結果を表に示すが、乳脂肪分を測定した結果、対照区では乳脂肪分が4.44%だったのに対し、試験区では乳脂肪分が5.19%に増加していた。すなわち、TDNが同等でありながら、本発明によれば乳脂率を増加させることができた。

Claims (8)

  1. 1〜15質量%の木材パルプを含有する飼料を反芻動物に10日間以上摂取させることと、反芻動物の乳を回収することと、を含む、反芻動物の乳脂肪分を向上させる方法。
  2. 木材パルプを含有する前記飼料を摂取させる前、濃厚飼料を含むが木材パルプを含まない飼料を反芻動物に摂取させている、請求項1に記載の方法。
  3. 木材パルプを含まない前記飼料を摂取させていた時期の乳脂肪分と比較して、木材パルプを含有する前記飼料を摂取させた時期の乳脂肪分が0.2%以上高い、請求項2に記載の方法。
  4. 反芻動物が乳牛である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 木材パルプがクラフトパルプである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 木材パルプのカッパー価が5以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 木材パルプが酸素脱リグニン処理したパルプである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 木材パルプが、未晒クラフトパルプを酸素脱リグニン処理した酸素脱リグニンクラフトパルプであり、カッパー価が5〜15である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
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