JP2018000056A - 反芻動物用飼料ペレット - Google Patents

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大介 簑原
加奈 佐藤
Kana Sato
加奈 佐藤
宏 新倉
Hiroshi Niikura
宏 新倉
一博 黒須
Kazuhiro Kurosu
一博 黒須
飯森 武志
Takeshi Iimori
武志 飯森
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Abstract

【課題】反芻動物に給与しやすい飼料を提供する。
【解決手段】リグノセルロース材料を原料とするクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料ペレットである。本発明に係る飼料ペレットは、木質ペレット品質規格に基づく機械的耐久性が97.5%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、反芻動物用飼料ペレットおよびその製造方法に関する。
一般に、牧畜分野においては、家畜の乳量の増加や増体重などを目的に、栄養価の高い濃厚飼料が牧草などの粗飼料とともに使用されることが多い。濃厚飼料は、トウモロコシ、麦類、大豆などの易消化性炭水化物(デンプンなど)を多く含む一方、粗飼料は、牧草を乾燥した干草(乾草、わら類)や、青刈りした牧草を発酵させたもの(サイレージ化したもの)などを主とする。
反芻動物が粗飼料を摂取し消化することが可能であるのは、ルーメン(第一胃)を有するためである。ルーメンは、反芻動物が有する複数の胃のうち最大の容積を占め、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースなどの難消化性の多糖類を分解(ルーメン発酵)し得る微生物群(ルーメン微生物)が豊富に含まれている。
しかし、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースは、リグニン類と結合し、それぞれリグニン−セルロース複合体やリグニン−ヘミセルロース複合体として存在している場合が多い。このような複合体は、ルーメン発酵において十分に分解されないおそれがあり、粗飼料は、飼料効率が不十分になりやすいという問題点があった。また、未消化物が多くなると糞量の増加を引き起こすため、環境面においても望ましくないとされていた。
さらに、粗飼料は、牧草の収穫量や作柄により影響を受けやすく、供給量が不安定である。特にわが国では粗飼料の多くを輸入に頼っているため、概して価格変動が大きく、また、輸出国の諸事情により輸入困難になる場合もあり、牧場経営を圧迫する場合がある。
このため、牧草に代替でき、飼料効率に優れ、且つ安定的に入手可能な反芻動物用飼料が望まれている。
ここで、飼料中の栄養濃度を高めるため、易消化性の炭水化物(デンプン)を多く含む濃厚飼料を粗飼料に配合することが一般に行われている。乳用家畜の乳量を維持し、或いは、肉用家畜の増体を維持するためは、飼料摂取量をも増加させる必要があるが、乳量の増加や体格の増強にともなうエネルギー要求量の増加率は、摂取飼料量の増加率を超えるためである。ところが、濃厚飼料中のデンプンなどの炭水化物は、第一胃(ルーメン)のpHを急激に低下させることがあり、結果としてルーメンアシドーシスが発生することがある。ルーメンアシドーシスとは、反芻動物の疾病の一種であり、炭水化物に富む穀物、濃厚飼料、果実類などを急激に摂取することにより引き起こされる。ルーメンアシドーシスにおいては、ルーメン内において、グラム陽性乳酸生成菌、特にStreptcoccus bovisおよびLactobacillus属微生物が増加し、乳酸あるいは揮発性脂肪酸(VFA:Volatile Fatty Acid)の異常な蓄積が生じ、ルーメン内のpHが低下する(pH5以下)。その結果、ルーメン内のプロトゾア(原生動物)、及びある種の細菌の減少あるいは消滅を引き起こす。特に急性アシドーシスは、ルーメンの鬱血や脱水症(胃内容浸透圧の上昇に伴い体液が大量に胃内に移動)、さらには昏睡や死をもたらすため、極めて危険である。
ルーメンアシドーシスの予防には、飼料配合の急激な変化を避け、ルーメン発酵を安定化させ、pHの変動を少なくすることが重要である。また、唾液には重曹が含まれpH調節に寄与するため、十分な反芻により唾液分泌のできる飼料を給与することも重要である。ただし、ルーメンアシドーシスを恐れ、飼料の栄養価を低くすると、エネルギーが不足して乳生産量が低下してしまうという懸念もある。
ルーメンアシドーシスを予防する飼料として、特許文献1には、木質原料に高衝撃力を与えて粉砕し微粒子化した家畜飼料が開示されている。また、ペレット化した飼料については、特許文献2に、加工食品残渣をペレット化して飼料を製造することが提案されている。さらに、特許文献3には、リグノセルロースバイオマスをペレット化して反芻動物の飼料とすることが記載されている(特表2013−518880号公報)。
特開2011−083281号公報 特開平10−75719号公報 国際公開WO2011/097075
しかしながら、クラフトパルプのような脱リグニンが進行したパルプは、熱可塑性を有するリグニンの含有量が少ないため、硬いペレットを製造することが困難であった。また、軟らかいペレットは輸送時にペレットが砕け、粉塵が発生するなどの問題があった。
ある程度の硬度を有するペレットを製造するため樹脂などのバインダーを原料に添加することも考えられるが、バインダーを添加するとペレットの栄養成分に影響を与えたり、反芻動物の嗜好性に悪影響を与える可能性があった。
そこで本発明の課題は、リグノセルロース材料を原料として得られるクラフトパルプから、反芻動物が選り好みせず摂取するような飼料ペレットを提供することである。
本発明の発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、リグノセルロース材料を原料として製造したクラフトパルプをペレット化する際、クラフトパルプの水分率を調整することによって、輸送時に粉化しない十分な硬さを持ったペレットを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は下記の態様を包含する。
(1) リグノセルロース材料を原料とするクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料ペレットであって、木質ペレット品質規格に基づく機械的耐久性が97.5%以上である、上記飼料ペレット。
(2) リグノセルロース材料が木質材料を含む、(1)記載の飼料ペレット。
(3) ペレットの長さが1〜200mmである、(1)または(2)に記載の飼料ペレット。
(4) ペレットの直径が3〜10mmである、(1)〜(3)のいずれかに記載の飼料ペレット。
(5) ペレットの水分率が15質量%以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の飼料ペレット。
(6) 前記クラフトパルプのカッパー価が30以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の飼料ペレット。
(7) リグノセルロース材料を原料とするクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料ペレットの製造方法であって、水分率が15〜35質量%のクラフトパルプを加圧圧縮して、木質ペレット品質規格に基づく機械的耐久性が97.5質量%以上のペレットを得る工程を含む、上記方法。
(8) リングダイ式のペレタイザーを用いてクラフトパルプを加圧圧縮する、(7)に記載の方法。
(9) クラフトパルプを加圧式の固液分離装置を用いて水分率が15〜35質量%となるように固液分離する工程をさらに含む、(7)または(8)に記載の方法。
(10) 加圧式の固液分離装置が、スクリュープレス、フィルタープレス、ロールプレス、ウォッシュプレスからなる群より選択される1または2以上である、(9)に記載の方法。
本発明によれば、反芻動物の嗜好性が高く、しかもハンドリングのしやすいペレットの形態の飼料を得ることができる。また、本発明の反芻動物用飼料は、木材などのリグノセルロース原料から製造できるので安定的に供給することができ、コスト的にも有利なものである。
図1は、実験1で製造した飼料ペレットの外観写真である(サンプル1)。
飼料ペレット
本発明の反芻動物用飼料ペレットは、反芻動物に適用される。反芻動物としては、例えば、乳牛及び肥育牛などの牛、羊、山羊などが挙げられる。本発明の飼料を反芻動物に給与する時期、すなわち適用対象である反芻動物の年齢、体格、健康状態等には特に制限はなく、例えば、哺乳期の仔牛から成牛まで用途があると考えられる。
本発明の飼料ペレットは、輸送時に粉砕されて粉化しない十分な硬さを有しており、機械的耐久性(木質ペレット品質規格 6.5機械的耐久性の試験方法に準拠)が97.5%以上であることが必要である。機械的耐久性とはペレットの壊れにくさを示すもので、一定量の機械的衝撃を与えた際に壊れずに粉化しなかった質量割合である。好ましい態様において本発明の飼料ペレットは、機械的耐久性が98.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上である。
本発明における飼料ペレットは、公知の方法によってクラフトパルプを含む原料をペレット化することによって製造することができる。本発明に係る飼料ペレットは、その機械的耐久性が97.5%以上であれば、形状などは特に制限されない。ペレットの形状やサイズは特に制限されないが、例えば、ペレットの直径を2〜20mmとすることができ、3〜10mmとすることが好ましい。ペレットの長さは、例えば、1〜200mmとすることが好ましく、5〜80mmがより好ましく、10〜60mmがさらに好ましく、15〜45mmとしてもよい。
ペレット化は、圧縮成型によって行われ、公知の装置を使用することができる。圧縮成型を行うための装置は特に限定されないが、例えば、ブリケッター(北川鉄工所製)、リングダイ式ペレタイザー(CPM製)、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン製)を好適な例として挙げることができる。
本発明の飼料ペレットは、漂白または未漂白のクラフトパルプを含有するが、クラフトパルプを10質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、クラフトパルプのみからなっていてもよい。必要に応じて、他の飼料成分を含有させてもよい。クラフトパルプとしては、酸素脱リグニン処理したものが好ましく、また、カッパー価が30以下であることが好ましく、カッパー価が5〜15であるとさらに好ましく、カッパー価が7〜13であってもよい。カッパー価が30以下であると、反芻動物の嗜好性が良好である。
本発明の飼料ペレットは、クラフトパルプ(KP)を必須で含有するものであるが、他の公知のパルプ化法によって製造されたパルプを併用することができる。例えば、機械パルプ、化学パルプのいずれもが適用可能である。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。化学パルプとしては、溶解クラフトパルプ(DKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解サルファイトパルプ(DSP)等が挙げられる。また、漂白パルプ、未漂白パルプのいずれも使用できる。カッパー価が5〜15である酸素脱リグニン処理したパルプが特に好ましい。パルプ分としてクラフトパルプの含有率は50質量%以上が好ましい。
原料の木材としては、例えば、広葉樹、針葉樹、雑木、タケ、ケナフ、バガス、パーム油搾油後の空房が使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナ、シナ、シラカバ、ポプラ、ユーカリ、アカシア、ナラ、イタヤカエデ、センノキ、ニレ、キリ、ホオノキ、ヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキ、アオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。
クラフトパルプ
本発明における飼料ペレットは、リグノセルロース原料をクラフト蒸解して得られるクラフトパルプを含み、特に好ましくは木材由来のクラフトパルプを含む。
木材チップからクラフトパルプを製造する場合、木材チップは蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、クラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
また、本発明においては、キノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に添加してもよい。キノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を添加する場合は絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%が好ましい。キノン化合物の添加量が0.01質量%未満であると添加量が少なすぎて蒸解後のパルプのカッパー価が低減されず、カッパー価とパルプ収率の関係が改善されない。さらに、粕の低減、粘度の低下の抑制も不十分である。また、キノン化合物の添加量が1.5質量%を超えてもさらなる蒸解後のパルプのカッパー価の低減、及びカッパー価とパルプ収率の関係の改善は認められない。
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
蒸解液は、対絶乾木材チップ重量当たりの活性アルカリ添加率(AA)を10〜35質量%とすることが好ましい。活性アルカリ添加率を10質量%未満であるとリグニンやヘミルロースの除去が不十分となり、35質量%を超えると収率の低下や品質の低下が起こる。ここで活性アルカリ添加率とは、NaOHとNaSの合計の添加率をNaOの添加率として換算したもので、NaOHには0.775を、NaSには0.795を乗じることでNaOの添加率に換算できる。また、硫化度は20〜35%の範囲が好ましい。硫化度20%未満の領域においては、脱リグニン性の低下、パルプ粘度の低下、粕率の増加を招く。
クラフト蒸解は、120〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜160℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、600分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。Hファクターとしては、300〜2000が好ましい。
Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。
クラフト蒸解で得られたパルプについて、酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm、より好ましくは4〜7kg/cm、アルカリ添加率はパルプ絶乾重量当たり0.5〜4質量%、処理温度80〜140℃、処理時間20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。また、酸素脱リグニン処理などを施した後のクラフトパルプのカッパー価は5〜15であることが好ましい。
さらなるカッパー価の低下、白色度の向上を目的とする場合、酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
飼料ペレットの反芻動物への給餌
本発明の飼料ペレットは、他の飼料と併せて反芻動物に給与することができる。他の飼料成分としては、粗飼料(例えば牧草)、濃厚飼料(例えばトウモロコシ、麦などの穀類、大豆などの豆類)、ふすま、米糠、おから、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等が挙げられる。これらの他の飼料成分は圧縮成型を行う際に、木材パルプに混合させてもよい。
本発明の反芻動物用飼料ペレットは、水分含有率(水分率)を15質量%以下とすることが好ましい。水分含有率を15質量%以下とすることで、運搬性が向上し、微生物による腐敗を軽減できる。飼料ペレットの水分含有率は、例えば、1質量%以上としてもよく、5質量%以上に調整してもよい。
具体的な例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の具体例によって何ら限定されるものではない。なお、本明細書において、濃度や%は特に断らない限り質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:パルプを原料とする飼料ペレットの製造
(サンプル1)
ユーカリ材のチップを活性アルカリ添加率16.0%、硫化度25%、Hファクター800にてクラフト蒸解を行い、未晒クラフトパルプを得た(カッパー価:19.0、ISO白色度:27.7%)。 上記未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し濃度10%に調製後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.4%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、酸素脱リグニンクラフトパルプを得た(カッパー価:8.9、ISO白色度:46.1%)。
得られた酸素脱リグニンクラフトパルプを水道水で洗浄した(水分率:76.1%)。得られたパルプをスクリュープレス(SHX−200型、富国工業製)で脱水し、水分率を29.5質量%に調整した。
次に、脱水したパルプをリングダイ式小型ペレタイザー(カリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)を用いて圧縮処理し、直径約4.8mm、長さ約37mmの飼料ペレットを製造した。ペレットは、送風乾燥機にて水分率を調製した(機械的耐久性:99.5%、水分率:約13.6%)。
(サンプル2)
サンプル1と同じ酸素脱リグニンクラフトパルプを小型フィルタープレス(YTOH2型、薮田機械社製)で脱水し、水分率を32.2質量%に調整した。
次に、脱水したパルプをリングダイ式小型ペレタイザー(カリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)を用いて圧縮処理し、直径約4.8mm、長さ約18mmの飼料ペレットを製造した。ペレットは、送風乾燥機にて水分率を調製した(機械的耐久性:97.8%、水分率:約14.6質量%)。
(サンプル3:比較例)
サンプル1と同じ酸素脱リグニンクラフトパルプを小型フィルタープレス(YTOH2型、薮田機械社製)で脱水し、水分率を36.1質量%に調整した。
次に、パルプをリングダイ式小型ペレタイザー(カリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)を用いて圧縮処理し、直径約4.8mm、長さ約12mmの飼料ペレットを製造した。ペレットは、送風乾燥機にて水分率を調製した(機械的耐久性:95.7%、水分率:約22.6質量%)。
(サンプル4:比較例)
ラジアータマツの未晒リファイナーグラウンドウッドパルプ(日本製紙製RGP、水分率48.3質量%、ISO白色度8.7%、リグニン含有率28%)をスクリュープレス(SHX−200型、富国工業製)で脱水し、水分率を27.9質量%に調整した。
次に、脱水した未晒リファイナーグラウンドウッドパルプをリングダイ式小型ペレタイザー(カリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)を用いて圧縮処理し、直径約4.8mm、長さ約37mmの飼料ペレットを製造した。ペレットは、送風乾燥機にて水分率を調製した(機械的耐久性:99.2%、水分率:約18.6質量%)。
(ペレットの機械的耐久性)
上記飼料ペレットについて、木質ペレット品質規格(日本木質ペレット協会、2011年3月31日制定)の「機械的耐久性の試験方法」に基づいて木質ペレットの機械的耐久性を評価した。木質ペレット品質規格の機械的耐久性は、欧州の規格であるEN15210−1に準拠して規格化されたものであり、機械的衝撃力に対する木質ペレットの耐粉化性能に関する。具体的には、DT―T型ペレット耐久試験機(三洋貿易社製)を用いて、下式の機械的耐久性(DU)を求めた。
・機械的耐久性(%)=m1/m0×100
m1:回転処理前のサンプル質量(g)
m0:改訂処理後のサンプル質量(g)
実験2:反芻動物への給餌
バミューダグラス9kg(乾燥重量)に対して上記4種の飼料ペレット1kg(乾燥重量)を配合した。この配合飼料10kgを成牛のホルスタイン種雌牛4頭(乳牛A〜D)に供試し、カフェテリア方式にてこれら4種の飼料の嗜好性を比較した。
供試牛はそれぞれ独立した牛房に管理し、4分割した飼槽に各配合飼料(10kgずつ)を朝の給餌時に設置した。7時間後に飼槽から各飼料を回収し、残量を計量した。試験は3日間行い、毎日、各飼料の設置場所を入れ替えた。
実験3:反芻動物への給餌(in situ消化試験)
ルーメン内における消化性を、in situ法で測定した(Nocek 1988)。
供試動物(牛)のルーメン内に、サンプル5g(風乾重)を秤量したポリエステルバッグ(#R1020、ポリエステル、10cm×20cm、平均孔径50±15μm、ANKOM Technology Corp.、Fairport、NY、USA)を投入した。投入後、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、96時間の時点でルーメン内からポリエステルバッグを取り出し、水で洗浄し、60℃で乾物恒量を求めた。また、ルーメン内には投入せず、水で洗浄しただけの飼料の入ったポリエステルバッグを、分解時間0時間の試料とした。各試料の測定は、実施日を異ならせて3連で行った。
上記の結果から明らかなように、本発明の飼料ペレット(サンプル1〜2)を含む配合飼料は、嗜好性が良好であり、乳牛が好んで採食した。一方、機械的耐久性が低い飼料ペレット(サンプル3)を含む配合飼料は、ペレットが脆くすぐに崩れてしまうため牛にとって採食しづらかったと考えられる。また、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)で製造した飼料ペレット(サンプル4)を含む配合飼料は、牛が好まず採食が進まず、他の飼料ペレットと比較して消化率が著しく低かった。なかった。すなわち、本発明に係る飼料ペレットは、反芻動物が選り好みせずに採食し、消化率が高いことがわかった。

Claims (10)

  1. リグノセルロース材料を原料とするクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料ペレットであって、木質ペレット品質規格に基づく機械的耐久性が97.5%以上である、上記飼料ペレット。
  2. リグノセルロース材料が木質材料を含む、請求項1に記載の飼料ペレット。
  3. ペレットの長さが1〜200mmである、請求項1または2に記載の飼料ペレット。
  4. ペレットの直径が3〜10mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の飼料ペレット。
  5. ペレットの水分率が15質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の飼料ペレット。
  6. 前記クラフトパルプのカッパー価が30以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の飼料ペレット。
  7. リグノセルロース材料を原料とするクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料ペレットの製造方法であって、
    水分率が15〜35質量%のクラフトパルプを加圧圧縮して、木質ペレット品質規格に基づく機械的耐久性が97.5質量%以上のペレットを得る工程を含む、上記方法。
  8. リングダイ式のペレタイザーを用いてクラフトパルプを加圧圧縮する、請求項7に記載の方法。
  9. クラフトパルプを加圧式の固液分離装置を用いて水分率が15〜35質量%となるように固液分離する工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
  10. 加圧式の固液分離装置が、スクリュープレス、フィルタープレス、ロールプレス、ウォッシュプレスからなる群より選択される1または2以上である、請求項9に記載の方法。
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