JP6362732B1 - 反芻動物用飼料原料 - Google Patents
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Abstract
【課題】栄養価が高く、反芻を促進することができ、かつ、加工適性に優れた反芻動物用飼料を提供する。【解決手段】カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有し、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%であるフレーク状の反芻動物用飼料原料とする。【選択図】図1
Description
本発明は、反芻動物用飼料原料およびその製造方法に関する。
一般に、牧畜分野においては、家畜の乳量の増加や増体重などを目的に、栄養価の高い濃厚飼料が、牧草などの粗飼料とともに使用されることが多い。
濃厚飼料は、トウモロコシ、麦類、大豆などの易消化性炭水化物(デンプンなど)を多く含む一方、粗飼料は、牧草を乾燥した干草(乾草、わら類)や、青刈りした牧草を発酵させたもの(サイレージ化したもの)などを主とする。
反芻動物が粗飼料を摂取し消化することが可能であるのは、ルーメン(第一胃)を有するためである。ルーメンは、反芻動物が有する複数の胃のうち最大の容積を占め、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースなどの難消化性の多糖類を分解(ルーメン発酵)し得る微生物群(ルーメン微生物)が豊富に含まれている。
しかし、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースは、リグニン類と結合し、それぞれリグニン−セルロース複合体やリグニン−ヘミセルロース複合体として存在している場合が多い。このような複合体は、ルーメン発酵において十分に分解されないおそれがあり、粗飼料は、飼料効率が不十分になりやすいという問題点があった。また、未消化物が多くなると糞量の増加を引き起こすため、環境面においても望ましくないとされていた。
さらに、粗飼料は、牧草の収穫量や作柄により影響を受けやすく、供給量が不安定である。特にわが国では粗飼料の多くを輸入に頼っているため、概して価格変動が大きく、また、輸出国の諸事情により輸入困難になる場合もあり、牧場経営を圧迫する場合がある。 このため、牧草に代替でき、飼料効率に優れ、安価であり、且つ安定的に入手可能な反芻動物用飼料が望まれている。
ここで、飼料中の栄養濃度を高めるため、易消化性の炭水化物(デンプン)を多く含む濃厚飼料を粗飼料に配合することが一般に行われている。乳用家畜の乳量を維持し、或いは、肉用家畜の増体を維持するためは、飼料摂取量を増加させる必要があるが、近年、牛の生産能力が高まっており、乳量の増加や体格の増強にともなうエネルギー要求量は、粗飼料のみで得られるエネルギー量を超えるためである。ところが、濃厚飼料中のデンプンなどの炭水化物は、第一胃(ルーメン)のpHを急激に低下させることがあり、結果としてルーメンアシドーシスが発生することがある。ルーメンアシドーシスとは、反芻動物の疾病の一種であり、炭水化物に富む穀物、濃厚飼料、果実類などを急激に摂取することにより引き起こされる。ルーメンアシドーシスにおいては、ルーメン内において、グラム陽性乳酸生成菌、特にStreptcoccus bovisおよびLactobacillus属微生物が増加し、乳酸あるいは揮発性脂肪酸(VFA:Volatile Fatty Acid)の異常な蓄積が生じ、ルーメン内のpHが低下する(pH5以下)。その結果、ルーメン内のプロトゾア(原生動物)、及びある種の細菌の減少あるいは消滅を引き起こす。特に急性アシドーシスは、ルーメンの鬱血や脱水症(胃内容浸透圧の上昇に伴い体液が大量に胃内に移動)、さらには昏睡や死をもたらすため、極めて危険である。
ルーメンアシドーシスの予防には、飼料配合の急激な変化を避け、ルーメン発酵を安定化させ、pHの変動を少なくすることが重要である。また、唾液には重曹が含まれpH調節に寄与するため、十分な反芻により唾液分泌のできる飼料を給与することも重要である。ただし、ルーメンアシドーシスを恐れ、飼料の栄養価を低くすると、エネルギーが不足して乳生産量が低下してしまうという懸念もある。
ルーメンアシドーシスを予防する飼料として、特許文献1には、木質原料に高衝撃力を与えて粉砕し微粒子化した家畜飼料が開示されている。また、ペレット化した飼料に関して、特許文献2には、加工食品残渣をペレット化して飼料を製造することが提案されている。さらに、特許文献3には、リグノセルロースバイオマスをペレット化して反芻動物の飼料とすることが記載されている(特表2013−518880号公報)。さらにまた、特許文献4には、カッパー価が90以下のクラフトパルプをペレット化して反芻動物の飼料とすることが記載されている。
一般に、トウモロコシのような濃厚飼料は、発酵性が高いために栄養価が高く、乳量の増加や脂肪交雑が高くなる一方で、反芻刺激の低下に伴い、ルーメンアシドーシスの発症や、分娩前後に種々の代謝障害や繁殖障害を引き起こすことが知られている。
飼料の給与形態を考慮すると、飼料をペレットやブロックなどの形態にすることや、選び残しを防止するために水でふやかして食べやすくすることなどが考えられる。
ところが、飼料原料のかさ密度が低すぎると加工場までの運搬コストに影響し、飼料原料のかさ密度が高すぎると加工適性が劣る。
さらに、飼料原料が水分を多く含んでいると、加工するまでにカビが発生するなどの可能性があることはもちろん、腐敗するなど衛生上の問題となる場合がある。一方、水分が少なすぎると硬化して加工適性を損ねたり、粉塵が発生する場合がある。
そこで本発明の課題は、栄養価が高く、反芻を促進することができ、加工適性に優れた反芻動物用飼料原料を提供することである。
本発明の発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、カナダ標準濾水度を400ml以上に調整したクラフトパルプを配合することによって、反芻動物の反芻を促進しうる飼料原料となり、また、水分を調整することで高い加工適性を備えた飼料原料を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(1) カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料原料であって、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%であるフレーク状の反芻動物用飼料原料。
(2) クラフトパルプが木質材料由来である、(1)に記載の反芻動物用飼料原料。
(3) カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料原料の製造方法であって、水分率90質量%以上であるクラフトパルプを加圧圧縮装置を用いて脱水し、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%となるように調整する工程を含む、フレーク状の反芻動物用飼料原料の製造方法。
(4) 加圧圧縮装置がスクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス、ロールプレス、遠心脱水機のいずれかである(3)に記載のフレーク状の反芻動物用飼料原料の製造方法。
(1) カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料原料であって、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%であるフレーク状の反芻動物用飼料原料。
(2) クラフトパルプが木質材料由来である、(1)に記載の反芻動物用飼料原料。
(3) カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料原料の製造方法であって、水分率90質量%以上であるクラフトパルプを加圧圧縮装置を用いて脱水し、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%となるように調整する工程を含む、フレーク状の反芻動物用飼料原料の製造方法。
(4) 加圧圧縮装置がスクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス、ロールプレス、遠心脱水機のいずれかである(3)に記載のフレーク状の反芻動物用飼料原料の製造方法。
本発明によれば、反芻動物の反芻を促進しうる飼料原料であって、反芻動物の嗜好性が高く、しかも加工適性に優れた飼料原料を得ることができる。また、本発明の反芻動物用飼料原料は、木材などのリグノセルロース原料から製造できるので安定的に供給することができる。
反芻動物用飼料原料
本発明の反芻動物用飼料原料は、反芻動物用飼料に加工される。反芻動物としては、例えば、乳牛及び肥育牛などの牛、羊、山羊などが挙げられる。本発明の反芻動物用飼料原料を元に加工された飼料を反芻動物に給与する時期、すなわち適用対象である反芻動物の年齢、体格、健康状態等には特に制限はなく、例えば、哺乳期の仔牛から成牛まで用途があると考えられる。
本発明の反芻動物用飼料原料は、反芻動物用飼料に加工される。反芻動物としては、例えば、乳牛及び肥育牛などの牛、羊、山羊などが挙げられる。本発明の反芻動物用飼料原料を元に加工された飼料を反芻動物に給与する時期、すなわち適用対象である反芻動物の年齢、体格、健康状態等には特に制限はなく、例えば、哺乳期の仔牛から成牛まで用途があると考えられる。
本発明の反芻動物用飼料原料は、漂白または未漂白のクラフトパルプを含有するが、クラフトパルプを10質量%以上含有することが好ましく、50重量%以上含有することがより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、クラフトパルプのみからなっていてもよい。必要に応じて、他の飼料成分を含有させてもよい。クラフトパルプとしては、未晒クラフトパルプを酸素脱リグニン処理した酸素脱リグニンクラフトパルプが好ましい。また、カッパー価が30以下であることが好ましく、カッパー価が5〜15であるとさらに好ましく、カッパー価が7〜13であってもよい。カッパー価が30以下であると、反芻動物の嗜好性が良好である。
本発明の反芻動物用飼料原料は、クラフトパルプ(KP)を含有するものであるが、他の公知のパルプ化法によって製造されたパルプを併用することができる。例えば、機械パルプ、化学パルプのいずれもが適用可能である。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、溶解クラフトパルプ(DKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解サルファイトパルプ(DSP)等が挙げられる。また、漂白パルプ、未漂白パルプのいずれも使用できる。これらの中では、酸素脱リグニン処理した化学パルプ、漂白化学パルプなどが好ましい。
本発明の反芻動物用飼料原料において、パルプは1種類のものから成るものでもよく、複数のパルプを混合したものでもよい。例えば、原料や製造方法の異なる化学パルプ(広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、溶解広葉樹クラフトパルプ、溶解針葉樹クラフトパルプ)、あるいは機械パルプ(砕木パルプ、リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ)、を2種以上混合して使用してもよい。
機械パルプの場合、グラインダー処理(砕木パルプの場合)後、あるいはリフィニング(リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプの場合)後に、精選工程を経ないで製造することにより繊維化されていない粕をパルプに含ませることが可能となる。
クラフトパルプとしては木材由来のものが好ましい。原料の木材としては、例えば、広葉樹、針葉樹、雑木、タケ、ケナフ、バガス、パーム油搾油後の空房が使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナ、シナ、シラカバ、ポプラ、ユーカリ、アカシア、ナラ、イタヤカエデ、センノキ、ニレ、キリ、ホオノキ、ヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキ、アオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。
クラフトパルプ
本発明における反芻動物用飼料原料は、クラフトパルプを含有し、特に好ましくは木材由来のクラフトパルプを含有する。特に本発明においては、カナダ標準濾水度(CSF)が400ml以上のクラフトパルプを使用することによって反芻動物のルーメンにおける消化速度を緩やかにし、ルーメンにおける反芻を促進するような反芻動物用飼料原料を製造することが可能になる。好ましい態様において、本発明に用いるクラフトパルプのカナダ標準濾水度は450ml以上であり、500ml以上や550ml以上としてもよい。また、カナダ標準濾水度を600ml以下にすれば、反芻動物のルーメンにおいて消化が困難になることはない。よって、望ましいカナダ標準濾水度は400ml以上600ml以下である。一般に、クラフトパルプのカナダ標準濾水度は、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、コニカルリファイナーあるいはPFIミル等の公知の叩解機で処理することによって調製することができる。
本発明における反芻動物用飼料原料は、クラフトパルプを含有し、特に好ましくは木材由来のクラフトパルプを含有する。特に本発明においては、カナダ標準濾水度(CSF)が400ml以上のクラフトパルプを使用することによって反芻動物のルーメンにおける消化速度を緩やかにし、ルーメンにおける反芻を促進するような反芻動物用飼料原料を製造することが可能になる。好ましい態様において、本発明に用いるクラフトパルプのカナダ標準濾水度は450ml以上であり、500ml以上や550ml以上としてもよい。また、カナダ標準濾水度を600ml以下にすれば、反芻動物のルーメンにおいて消化が困難になることはない。よって、望ましいカナダ標準濾水度は400ml以上600ml以下である。一般に、クラフトパルプのカナダ標準濾水度は、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、コニカルリファイナーあるいはPFIミル等の公知の叩解機で処理することによって調製することができる。
本発明においては、クラフトパルプの平均繊維長は特に制限されない。好ましい態様において、広葉樹クラフトパルプの場合、平均繊維長を0.68mm以上にすることができ、0.70mm以上としてもよく、針葉樹クラフトパルプの場合、平均繊維長を1.50mm以上にすることができ、1.80mm以上としてもよい。平均繊維長をより長くすることによって反芻動物のルーメンにおいて反芻されやすい飼料ペレットを製造することが可能になる。一般に、繊維長の長い樹種を原料としてクラフト蒸解すると繊維長の長いクラフトパルプが得られることから、クラフトパルプの平均繊維長は、原料であるリグノセルロース材料を調整することによって調整することができる。例えば、針葉樹の繊維長は、広葉樹の繊維長よりも長いことが多いため、針葉樹材の割合を多くしてクラフトパルプを製造することによって平均繊維長の長いパルプを得ることができる。
本発明で使用するクラフトパルプは、好ましい態様において、裂断長が2.5〜8.5kmであり、より好ましくは3.0〜7.5kmである。裂断長とは、紙の一端を固定懸垂した際にその自重で切れるときの紙の長さを意味し、一般にキロメートルで表される。本発明においてクラフトパルプの裂断長とは、当該パルプから製造した坪量60g/m2の手抄紙について、JIS P 8113に基づいて測定した裂断長を意味する。
木材チップからクラフトパルプを製造する場合、木材チップは蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、クラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
また、本発明においては、絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に添加してもよい。キノン化合物の添加量が0.01質量%未満であると添加量が少なすぎて蒸解後のパルプのカッパー価が低減されず、カッパー価とパルプ収率の関係が改善されない。さらに、粕の低減、粘度の低下の抑制も不十分である。また、キノン化合物の添加量が1.5質量%を超えてもさらなる蒸解後のパルプのカッパー価の低減、及びカッパー価とパルプ収率の関係の改善は認められない。
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
蒸解液は、対絶乾木材チップ重量当たりの活性アルカリ添加率(AA)を10〜35質量%とすることが好ましい。活性アルカリ添加率を10質量%未満であるとリグニンやヘミルロースの除去が不十分となり、35質量%を超えると収率の低下や品質の低下が起こる。ここで活性アルカリ添加率とは、NaOHとNa2Sの合計の添加率をNa2Oの添加率として換算したもので、NaOHには0.775を、Na2Sには0.795を乗じることでNa2Oの添加率に換算できる。また、硫化度は205%の範囲が好ましい。硫化度20%未満の領域においては、脱リグニン性の低下、パルプ粘度の低下、粕率の増加を招く。
クラフト蒸解は、120〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜160℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、600分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。Hファクターとしては、300〜2000が好ましい。
Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。
クラフト蒸解で得られたパルプについて、酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm2、より好ましくは4〜7kg/cm2、アルカリ添加率はパルプ絶乾重量当たり0.5〜4質量%、処理温度80〜140℃、処理時間20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。また、酸素脱リグニン処理などを施した後の酸素脱リグニンクラフトパルプのカッパー価は5〜15であることが好ましい。
さらなるカッパー価の低下、白色度の向上を目的とする場合、酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
本発明の反芻動物用飼料原料はフレーク状の形態であり、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%である。かさ密度が0.3g/cm3未満であると運搬が非効率となり、0.65g/cm3を超えるとパルプ繊維が締まり過ぎるため加工適正が低下する。また、水分率が10質量%未満であるとパルプ繊維が締まり過ぎるため、ペレット等に成型することが困難となる。水分率が70質量%を超えると運搬の際に水を多量に運搬することになるため非効率であり、繊維間結合が弱く砕け易くなりペレット等に成型することが困難となる。なお、水分率とは、水分率(質量%)=(A−B)/A(A:乾燥前のパルプ質量、B:絶乾燥後のパルプ質量)、で算出される。
パルプの水分率を10〜70質量%に調整する方法としては、加圧圧縮装置によってパルプスラリーを圧搾すればよい。加圧圧縮装置としては、特に限定されないが、スクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス、ロールプレス、遠心脱水機、等が挙げられる。
本発明のフレーク状の反芻動物用飼料原料は、ペレット状の形態に加工することができる。ペレットに成型する場合、水分率を15〜30質量%とすることが好ましい。
本発明の反芻動物用飼料原料をキューブ状に圧縮成型する場合、縦5〜50mm×横5〜50mm×高さ5〜50mmのキューブとすることが好ましい。ペレット状に圧縮成型する場合、直径5〜50mm×長さ5〜80mmの円筒状とすることが好ましい。圧縮成型を行うための装置は特に限定されていないが、ブリケッター(北川鉄工所製)、リングダイ式ペレタイザー(CPM製)、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン製)等が望ましい。
本発明の反芻動物用飼料原料加工物は、他の飼料と併せて反芻動物に給与することができる。他の飼料成分としては、粗飼料(例えば牧草)、濃厚飼料(例えばトウモロコシ、麦などの穀類、大豆などの豆類)、ふすま、米糠、おから、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等が挙げられる。これらの他の飼料成分は加工時に、木材パルプに混合させてもよい。
具体的な例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の具体例によって何ら限定されるものではない。なお、本明細書において、濃度や%は特に断らない限り質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:クラフトパルプを原料とする飼料原料の製造
(サンプル1〜7:LOKP)
直径(Φ)が25.4mm〜9.5mmのユーカリ材チップ(絶乾300g相当)を耐圧釜に入れ、活性アルカリ添加率14%、硫化度25%、Hファクター830、液比2.5の条件にてクラフト蒸解を行って広葉樹未晒クラフトパルプ(カッパー価:17.4、ISO白色度:34.8%)を得た。
この広葉樹未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し、濃度10%に調整後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.4%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(LOKP、カッパー価:11.8、ISO白色度:53.6%)を得た。
さらに、この広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプをPFIミル(熊谷理機製)にて叩解処理した(サンプル1:カナダ標準濾水度260ml、サンプル2:カナダ標準濾水度385ml、サンプル3:カナダ標準濾水度425ml、サンプル4、5、6、7:カナダ標準濾水度530ml)。
次いで、濾水度の異なる広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(LOKP)を遠心脱水機(YS−7SSA、岩月機械製作所製)によって、サンプル1〜4は水分率30質量%、サンプル5は15質量%、サンプル6は8質量%、サンプル7は73質量%となるまで脱水した。
(サンプル1〜7:LOKP)
直径(Φ)が25.4mm〜9.5mmのユーカリ材チップ(絶乾300g相当)を耐圧釜に入れ、活性アルカリ添加率14%、硫化度25%、Hファクター830、液比2.5の条件にてクラフト蒸解を行って広葉樹未晒クラフトパルプ(カッパー価:17.4、ISO白色度:34.8%)を得た。
この広葉樹未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し、濃度10%に調整後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.4%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(LOKP、カッパー価:11.8、ISO白色度:53.6%)を得た。
さらに、この広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプをPFIミル(熊谷理機製)にて叩解処理した(サンプル1:カナダ標準濾水度260ml、サンプル2:カナダ標準濾水度385ml、サンプル3:カナダ標準濾水度425ml、サンプル4、5、6、7:カナダ標準濾水度530ml)。
次いで、濾水度の異なる広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(LOKP)を遠心脱水機(YS−7SSA、岩月機械製作所製)によって、サンプル1〜4は水分率30質量%、サンプル5は15質量%、サンプル6は8質量%、サンプル7は73質量%となるまで脱水した。
(サンプル8〜13:NOKP)
スギ材から製造したチップ(厚さ3mm程度)を篩い分け試験機にて分画し、直径(Φ)が25.4mm〜9.5mmのスギ材チップを得た。このチップ(絶乾300g相当)を耐圧釜に入れ、活性アルカリ添加率18.5%、硫化度25%、Hファクター1500、液比3.2の条件にてクラフト蒸解を行って針葉樹未晒クラフトパルプ(カッパー価:26.1、ISO白色度:26.6%)を得た。
この針葉樹未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し、濃度10%に調整後、酸素添加率2.9%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム2.2%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、針葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(NOKP、カッパー価:10.3、ISO白色度:31.8%)を得た。
スギ材から製造したチップ(厚さ3mm程度)を篩い分け試験機にて分画し、直径(Φ)が25.4mm〜9.5mmのスギ材チップを得た。このチップ(絶乾300g相当)を耐圧釜に入れ、活性アルカリ添加率18.5%、硫化度25%、Hファクター1500、液比3.2の条件にてクラフト蒸解を行って針葉樹未晒クラフトパルプ(カッパー価:26.1、ISO白色度:26.6%)を得た。
この針葉樹未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し、濃度10%に調整後、酸素添加率2.9%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム2.2%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、針葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(NOKP、カッパー価:10.3、ISO白色度:31.8%)を得た。
さらに、この針葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプをPFIミル(熊谷理機製)にて叩解処理した(サンプル8:カナダ標準濾水度375ml、サンプル9:カナダ標準濾水度425ml、サンプル10、11、12、13:カナダ標準濾水度670ml)。
次いで、カナダ標準濾水度の異なる針葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ(NOKP)を遠心脱水機(YS−7SSA、岩月機械製作所製)によって、サンプル8〜10は水分率30質量%、サンプル11は15質量%、サンプル12は8質量%、サンプル13は73質量%となるまで脱水した。
<クラフトパルプの分析>
各サンプルに用いたクラフトパルプについて、JIS P 8121に基づいてカナダ標準濾水度(CSF)、JIS P 8221に基づいてカッパー価、ISO 16065−2に基づいて数平均繊維長を測定した。また、JIS Z 7302−9に基づいて嵩密度を測定した。
各サンプルに用いたクラフトパルプについて、JIS P 8121に基づいてカナダ標準濾水度(CSF)、JIS P 8221に基づいてカッパー価、ISO 16065−2に基づいて数平均繊維長を測定した。また、JIS Z 7302−9に基づいて嵩密度を測定した。
実験2:反芻動物への給餌(insitu消化試験)
ルーメン内における消化性を、in situ法で測定した(Journal of Dairy Science, vol. 71, pages 2051-2069, 1988, James E. Nocek)。
供試動物(牛)のルーメン内に、サンプル1〜4及び8〜10を5g(風乾重)秤量したポリエステルバッグ(#R1020、ポリエステル、10cm×20cm、平均孔径50±15μm、ANKOM Technology Corp.、Fairport、NY、USA)を投入した。投入後、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、96時間の時点でルーメン内からポリエステルバッグを取り出し、水で洗浄し、60℃で乾物恒量を求めた。また、ルーメン内には投入せず、水で洗浄しただけの飼料の入ったポリエステルバッグを、分解時間0時間の試料とした。各試料の測定は、実施日を異ならせて3連で行った。
なお、対照として、圧片トウモロコシ(サンプル14:濃厚飼料、中島精麦工業、加熱圧ぺんとうもろこし)、バミューダグラス乾草(サンプル15:粗飼料、タケダ、バミューダヘイベール、米国産)を牛のルーメン内に投入して消化試験を行った。
ルーメン内における消化性を、in situ法で測定した(Journal of Dairy Science, vol. 71, pages 2051-2069, 1988, James E. Nocek)。
供試動物(牛)のルーメン内に、サンプル1〜4及び8〜10を5g(風乾重)秤量したポリエステルバッグ(#R1020、ポリエステル、10cm×20cm、平均孔径50±15μm、ANKOM Technology Corp.、Fairport、NY、USA)を投入した。投入後、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、96時間の時点でルーメン内からポリエステルバッグを取り出し、水で洗浄し、60℃で乾物恒量を求めた。また、ルーメン内には投入せず、水で洗浄しただけの飼料の入ったポリエステルバッグを、分解時間0時間の試料とした。各試料の測定は、実施日を異ならせて3連で行った。
なお、対照として、圧片トウモロコシ(サンプル14:濃厚飼料、中島精麦工業、加熱圧ぺんとうもろこし)、バミューダグラス乾草(サンプル15:粗飼料、タケダ、バミューダヘイベール、米国産)を牛のルーメン内に投入して消化試験を行った。
実験3:ペレット加工適性
サンプル4(広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ、水分率30質量%)、サンプル5(同、水分率15質量%)、サンプル6(同、水分率8質量%)、サンプル7(同、水分率73質量%)、及び、サンプル10(針葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ、水分率30質量%)、サンプル11(同、水分率15質量%)、サンプル12(同、水分率8質量%)、サンプル13(同、水分率73質量%)について、リングダイ式小型ペレタイザー(カリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)でΦ4.8mm、有効厚32mmのダイにて処理して、飼料ペレットへの加工を試みた。
サンプル4(広葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ、水分率30質量%)、サンプル5(同、水分率15質量%)、サンプル6(同、水分率8質量%)、サンプル7(同、水分率73質量%)、及び、サンプル10(針葉樹酸素脱リグニンクラフトパルプ、水分率30質量%)、サンプル11(同、水分率15質量%)、サンプル12(同、水分率8質量%)、サンプル13(同、水分率73質量%)について、リングダイ式小型ペレタイザー(カリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)でΦ4.8mm、有効厚32mmのダイにて処理して、飼料ペレットへの加工を試みた。
<機械的耐久性試験>
上記飼料ペレットについて、木質ペレット品質規格(日本木質ペレット協会、2011年3月31日制定)の「機械的耐久性の試験方法」に基づいて木質ペレットの機械的耐久性を評価した。木質ペレット品質規格の機械的耐久性は、欧州の規格であるEN15210−1に準拠して規格化されたものであり、機械的衝撃力に対する木質ペレットの耐粉化性能に関する。具体的には、DT―T型ペレット耐久試験機(三洋貿易社製)を用いて、下式の機械的耐久性(DU)を求めた。
・機械的耐久性(%)=m1/m0×100
m1:回転処理前のサンプル質量(g)
m0:回転処理後のサンプル質量(g)
上記飼料ペレットについて、木質ペレット品質規格(日本木質ペレット協会、2011年3月31日制定)の「機械的耐久性の試験方法」に基づいて木質ペレットの機械的耐久性を評価した。木質ペレット品質規格の機械的耐久性は、欧州の規格であるEN15210−1に準拠して規格化されたものであり、機械的衝撃力に対する木質ペレットの耐粉化性能に関する。具体的には、DT―T型ペレット耐久試験機(三洋貿易社製)を用いて、下式の機械的耐久性(DU)を求めた。
・機械的耐久性(%)=m1/m0×100
m1:回転処理前のサンプル質量(g)
m0:回転処理後のサンプル質量(g)
カナダ標準濾水度が400ml以上のクラフトパルプより製造した飼料原料は、カナダ標準濾水度400ml未満のパルプから製造した飼料原料と比較して、糖化にかかる時間がより長くなることが分かった。本発明による飼料原料は、より長い時間ルーメン内に留まることができるため、反芻の誘発に寄与するものと考えられる。
また、本発明に係る飼料原料(サンプル3〜5、サンプル9〜11)は、カナダ標準濾水度の低いクラフトパルプから製造した飼料原料(サンプル1〜2、8)および濃厚飼料(サンプル14)と比較して、最終的な消化率が同等で、かつ、粗飼料(サンプル15)よりも最終的な消化率が高くなった。したがって、本発明による飼料原料は、高い効率でエネルギー変換がなされるものと考えられる。
さらに、サンプル4、5はサンプル6、7と比較して、あるいは、サンプル10、11はサンプル12、13と比較して、ペレット加工適性に優れた飼料原料であることが示された。
このように、本発明によって、栄養価が高く、消化速度が緩やかで反芻を促進することができ、かつ、加工適性に優れた反芻動物用飼料原料を製造することができた。
Claims (4)
- カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料原料であって、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%であるフレーク状の反芻動物用飼料原料。
- クラフトパルプが木質材料由来である、請求項1に記載の反芻動物用飼料原料。
- カナダ標準濾水度400ml以上であるクラフトパルプを含有する反芻動物用飼料原料の製造方法であって、水分率90質量%以上であるクラフトパルプを加圧圧縮装置を用いて脱水し、JIS Z 7302−9に準じて測定したかさ密度が0.3〜0.65g/cm3で、かつ水分率が10〜70質量%となるように調整する工程を含む、フレーク状の反芻動物用飼料原料の製造方法。
- 加圧圧縮装置がスクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス、ロールプレス、遠心脱水機のいずれかである、請求項3に記載のフレーク状の反芻動物用飼料原料の製造方法。
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---|---|---|---|---|
JP2001519486A (ja) * | 1997-10-07 | 2001-10-23 | ウェヤーハウザー・カンパニー | わらを処理してパルプにする方法及びそれから得られる紙製品 |
US6485774B1 (en) * | 1999-08-27 | 2002-11-26 | David I. Bransby | Method of preparing and handling chopped plant materials |
JP2011083281A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-04-28 | Nippon Paper Chemicals Co Ltd | 反芻動物用飼料 |
JP2015198653A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-12 | 日本製紙株式会社 | 反芻動物用飼料 |
-
2017
- 2017-05-31 JP JP2017108733A patent/JP6362732B1/ja active Active
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