JP2018134011A - 反芻動物用配合飼料シート - Google Patents

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大介 簑原
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、反芻動物の嗜好性が高く、ルーメンアシドーシスを起こさない、また、栄養価及び飼料効率の高い飼料であって、反芻動物の育成に必要な栄養素を幅広く含有した、保存性がよく取り扱いが容易で、給与時の作業性に優れた反芻動物用配合飼料シートを提供することである。
【解決手段】 クラフトパルプ及び濃厚飼料を含む反芻動物用配合飼料シートであって、クラフトパルプの含有率を乾燥固形分で30〜80質量%とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、パルプ及び濃厚飼料を含有する、シート状の反芻動物用配合飼料に関する。
一般に、牧畜分野においては、家畜の乳量の増加、増体重などを目的に、牧草などの粗飼料と栄養価の高いトウモロコシなどの易消化性の炭水化物(でんぷん等)を多く含む濃厚飼料とが併用されることが多い。
濃厚飼料は、トウモロコシ、麦類、大豆などの易消化性炭水化物(デンプンなど)を多く含む一方、粗飼料は、牧草を乾燥した干草(乾草、わら類)や、青刈りした牧草を発酵させたもの(サイレージ化したもの)などを主とする。
反芻動物が粗飼料を摂取し消化することが可能であるのは、ルーメン(第一胃)を有するためである。ルーメンは、反芻動物が有する複数の胃のうち最大の容積を占め、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースなどの難消化性の多糖類を分解(ルーメン発酵)し得る微生物群(ルーメン微生物)が豊富に含まれている。
しかし、粗飼料中のセルロースやヘミセルロースは、リグニン類と結合し、それぞれリグニン−セルロース複合体及びリグニン−ヘミセルロース複合体として存在している場合が多い。このような複合体は、ルーメン発酵において十分に分解されないおそれがあり、粗飼料は、飼料効率が不十分になりやすいという問題点があった。また、未消化物が多くなると糞量の増加を引き起こすため、環境面においても望ましくないとされていた。
また、牧草の中には多量の硝酸態窒素が含まれているものがあり、これを摂取した反芻動物が各種の亜硝酸塩中毒になることがある。亜硝酸塩中毒とは、係る牧草を摂取した場合に体内で硝酸態窒素から生産された亜硝酸が、酸素を運搬する血液中のヘモグロビンと化合して酸素を受け入れなくなり、重篤な場合には窒息する状態になり休止することもある。また、乳牛の場合には乳量低下等の症状を引き起こすことがある。
さらに、粗飼料は、牧草の収穫量や作柄により影響を受けやすく、供給量が不安定である。特にわが国では粗飼料の多くを輸入に頼っているため、概して価格変動が大きく、また、輸出国の諸事情により輸入困難になる場合もあり、牧場経営を圧迫する場合がある。
このため、牧草に代替でき、飼料効率に優れ、且つ安定的に入手可能な反芻動物用飼料が望まれている。
乳用家畜の乳量を維持し、或いは、肉用家畜の増体を維持するためは、飼料摂取量をも増加させる必要があるが、乳量の増加や体格の増強にともなうエネルギー要求量の増加率は、摂取飼料量の増加率を超えるため、飼料中の栄養濃度を高める必要がある。 ここで、飼料中の栄養濃度を高めるため、易消化性の炭水化物(デンプン)を多く含む濃厚飼料を粗飼料に配合することが一般に行われている。ところが、濃厚飼料中のデンプンなどの炭水化物は、第一胃(ルーメン)のpHを急激に低下させることがあり、結果としてルーメンアシドーシスが発生することがある。
ルーメンアシドーシスとは、反芻動物の疾病の一種であり、炭水化物に富む穀物、濃厚飼料、果実類などを急激に摂取することにより引き起こされる。ルーメンアシドーシスにおいては、ルーメン内において、グラム陽性乳酸生成菌、特にStreptcoccus bovisおよびLactobacillus属微生物が増加し、乳酸あるいは揮発性脂肪酸(VFA:Volatile Fatty Acid)の異常な蓄積が生じ、ルーメン内のpHが低下する(pH5以下)。その結果、ルーメン内のプロトゾア(原生動物)、及びある種の細菌の減少あるいは消滅を引き起こす。特に急性アシドーシスは、ルーメンの鬱血や脱水症(胃内容浸透圧の上昇に伴い体液が大量に胃内に移動)、さらには昏睡や死をもたらすため、極めて危険である。
ルーメンアシドーシスの予防には、飼料配合の急激な変化を避け、ルーメン発酵を安定化させ、pHの変動を少なくすることが重要である。また、唾液には重曹が含まれpH調節に寄与するため、十分な反芻により唾液分泌のできる飼料を給与することも重要である。ただし、ルーメンアシドーシスを恐れ、飼料の栄養価を低くすると、エネルギーが不足して乳生産量が低下してしまうという懸念もある。
ルーメンアシドーシスを予防する飼料として、特許文献1には、木質原料に高衝撃力を与えて粉砕し微粒子化した家畜飼料が開示されている。特許文献2には、ビートパルプと廃蜜糖とを重量割合で100:5〜60の混合物からなる粉粒体の糖蜜飼料が提案されている。また、特許文献3には、カッパー価が90以下のクラフトパルプをペレット化またはシート化して反芻動物の飼料とすることが記載されている。
また、反芻動物の育成にはたん白質やビタミンなどをバランスよく与えることが必要とされる。これらの過不足によっては、乳牛の場合、卵胞発育不全症、閉鎖卵胞症、乳成績の低下等を起こし、経済効果を著しく圧迫する。日本飼料標準にはバランスのよい飼料設計を行うため、粗たん白質(CP)や可消化養分総量(TDN)等、各飼料成分の必要量が示されている。現在、必要な栄養素をバランスよく与えるため、各飼料の給与量を決めた上で別々に与える方法、事前に攪拌混合して給与する方法等がとられているが、これらの方法では飼料の給与量管理や混合に労力を要し、また、嗜好性の違いによる残食を十分回避することができない。
飼料給与の労力削減や嗜好性による残食を回避するため、特許文献4には繊維、穀類、ミネラルなどの栄養素を含むブロック状に固化成形された牛用の飼料が提案されている。
特開2012−105570号公報 特開2006−174796号公報 特開2015−198653号公報 特開平11−56263号公報
本発明が解決しようとする課題は、ルーメンアシドーシスを起こさず、反芻動物の育成に必要な栄養素をふくむ栄養価、飼料効率が高い飼料であって、嗜好性が高く、飼料搬送及び給与における省力化を図ることのできるシート状の反芻動物用配合飼料を提供することである。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、クラフトパルプ及び濃厚飼料を含む配合飼料シートを用いることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明の主な構成は以下の通りである。
(1)クラフトパルプ及び濃厚飼料を含む反芻動物用配合飼料シートであって、クラフトパルプの含有率が乾燥固形分で30〜80質量%である反芻動物用配合飼料シート。
(2)クラフトパルプが木質由来である(1)に記載の反芻動物用配合飼料シート。
(3)クラフトパルプがカッパー価5から40の範囲にあることを特徴とする(1)ないし(2)に記載の反芻動物用配合飼料シート。
(4)クラフトパルプが酸素脱リグニンクラフトパルプである(1)〜(3)のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
(5)濃厚飼料がトウモロコシ、コーンスターチ、小麦、小麦粉、大麦、米、あわ、ひえ、きび、もみ、えんどう、えん麦、ライ麦、ハダカ麦、キャッサバ、グレインソルガム、甘しょ、馬鈴薯でんぷん、そら豆、ルーピン、ふすま、大豆、大豆かす、きなこ、しょうゆかす、豆腐かす、綿実、綿実かす、ぬか、ビールかす、焼酎かす、アメかす、麦芽根、米胚芽、ナタネかす、落花生かす、アマニかす、ゴマかす、ヤシかす、ヒマワリかす、サフラワーかす、パーム核かす、カポックかす、コーングルテンミール、小麦グルテン、ポテトプロテイン、こんにゃく飛粉、クロレラのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
(6)全飼料に対し、粗たん白質を乾燥固形分として5〜40質量%含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
(7)反芻動物用配合飼料シートの坪量が50〜3000g/mであり、厚さが0.1〜10mmであり、密度が0.3〜8g/cmである(1)〜(6)のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
(8)反芻動物用配合飼料シートの製造方法であって、少なくともクラフトパルプ及び濃厚飼料を含む混合物を、水に分散させてスラリーを調整する工程、前記混合物水分散体を網目状のワイヤーにて固液分離する工程、固液分離した前記混合物をプレスすることで水分率35〜70質量%に脱水し、かつ脱水後の形状が厚さ0.1〜10mmのシート状にする工程、
脱水した前記シート状混合物に温風を吹き付けることで水分率を5から25質量%に乾燥する工程、を含む反芻動物用配合飼料シートの製造方法。
本発明によれば、反芻動物の嗜好性が高く、ルーメンアシドーシスを起こさない、また、栄養価及び飼料効率の高い飼料であって、反芻動物の育成に必要な栄養素を幅広く含有した、保存性がよく取り扱いが容易で、給与時の作業性に優れた反芻動物用配合飼料シートを供することができる。
本発明の反芻動物用配合飼料シートは、反芻動物に適用される。反芻動物としては、例えば乳牛および肥育牛などの牛、羊、山羊などが挙げられる。本発明の反芻動物用配合飼料シートを反芻動物に給与する時期、すなわち適用対象である反芻動物の年齢、体格、健康状態等には特に制限はないが、通常はルーメンの機能が形成されてからであり、代用乳が給与される哺乳期が終わってからである。
本発明の反芻動物用配合飼料シートは、クラフトパルプ及び濃厚飼料を含有する飼料である。
本発明の反芻動物用配合飼料シートはクラフトパルプの含有率が乾燥固形分として30〜80質量%とすることが必要で、35〜65質量%が好ましく、40〜55質量%がより好ましい。これらの範囲であれば、配合飼料シートの形状がよく保持され、取り扱いが容易になる。また、反芻動物に給与した際の採食性が悪化を防ぐことができる。
本発明の反芻動物用配合飼料シートは、クラフトパルプ(KP)を含有するものであるが、他の公知のパルプ化法によって製造されたパルプを併用することができる。例えば、機械パルプ、化学パルプのいずれもが適用可能である。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、溶解クラフトパルプ(DKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解サルファイトパルプ(DSP)等が挙げられる。また、漂白パルプ、未漂白パルプのいずれも使用できる。これらの中では、酸素脱リグニン処理した化学パルプ、漂白化学パルプなどが好ましい。また、限は特に制限されないが、カッパー価が5以上20未満であるパルプや、クラフトパルプがさらに好ましく、カッパー価が5以上20未満である酸素脱リグニン処理したクラフトパルプ(酸素脱リグニンクラフトパルプ)が特に好ましい。
本発明の反芻動物用配合飼料シートにおいて、パルプは1種類のものから成るものでもよく、複数のパルプを混合したものでもよい。例えば、原料や製造方法の異なる化学パルプ(広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、溶解広葉樹クラフトパルプ、溶解針葉樹クラフトパルプ)、あるいは機械パルプ(砕木パルプ、リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ)、を2種以上混合して使用してもよい。
機械パルプの場合、グラインダー処理(砕木パルプの場合)後、あるいはリフィニング(リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプの場合)後に、精選工程を経ないで製造することにより繊維化されていない粕をパルプに含ませることが可能となる。
原料の木材としては、例えば、広葉樹、針葉樹、雑木、タケ、ケナフ、バガス、パーム油搾油後の空房が使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナ、シナ、シラカバ、ポプラ、ユーカリ、アカシア、ナラ、イタヤカエデ、センノキ、ニレ、キリ、ホオノキ、ヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキ、アオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。
<クラフトパルプ>
本発明における反芻動物用配合飼料シートは、リグノセルロース原料をクラフト蒸解して得られるクラフトパルプを含み、特に好ましくは木材由来のクラフトパルプを含む。特に本発明においては、カナダ標準濾水度(CSF)が400ml以上のクラフトパルプを使用することによって反芻動物のルーメンにおける消化速度を緩やかにし、ルーメンにおける反芻を促進するような飼料ペレットを製造することが可能になる。好ましい態様において、本発明に用いるクラフトパルプのカナダ標準濾水度は450ml以上であり、500ml以上や550ml以上としてもよい。一般に、クラフトパルプのカナダ標準濾水度は、公知の方法によって低下させることができる。
本発明で使用するクラフトパルプのカッパー価は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上や30以上としてもよい。カッパーの上限は特に制限されないが、40以下とすることができる。
木材チップからクラフトパルプを製造する場合、木材チップは蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、クラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。
クラフト蒸解工程は、木材チップをクラフト蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
また、本発明においては、絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に添加することもできる。キノン化合物の添加量が0.01質量%未満であると添加量が少なすぎて蒸解後のパルプのカッパー価が低減されず、カッパー価とパルプ収率の関係が改善されない。さらに、粕の低減、粘度の低下の抑制も不十分である。また、キノン化合物の添加量が1.5質量%を超えてもさらなる蒸解後のパルプのカッパー価の低減、及びカッパー価とパルプ収率の関係の改善は認められない。
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
蒸解液は、対絶乾木材チップ重量当たりの活性アルカリ添加率(AA)を10〜35質
量%とすることが好ましい。活性アルカリ添加率を16質量%未満であるとリグニンやヘミルロースの除去が不十分となり、22質量%を超えると収率の低下や品質の低下が起こる。ここで活性アルカリ添加率とは、NaOHとNaSの合計の添加率をNaOの添加率として換算したもので、NaOHには0.775を、NaSには0.795を乗じることでNaOの添加率に換算できる。また、硫化度は20〜35%の範囲が好ましい。硫化度20%未満の領域においては、脱リグニン性の低下、パルプ粘度の低下、粕率の増加を招く。
クラフト蒸解は、120〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜160℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、600分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。
クラフト蒸解で得られたパルプについて、酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm、より好ましくは4〜7kg/cm、アルカリ添加率はパルプ絶乾重量当たり0.5〜4質量%、処理温度80〜140℃、処理時間20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。また、酸素脱リグニン処理などを施した後のクラフトパルプのカッパー価は5〜20であることが好ましい。
さらなるカッパー価の低下、白色度の向上を目的とする場合、酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
本発明の反芻動物用配合飼料シートは、他の飼料と併せて反芻動物に給与することができる。他の飼料成分としては、粗飼料(例えば牧草)、濃厚飼料(例えばトウモロコシ、麦などの穀類、大豆などの豆類)、ふすま、米糠、おから、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等が挙げられる。
本発明の反芻動物用配合飼料シートは、前記工程で製造したクラフトパルプと濃厚飼料を含む。他の飼料成分として、粗飼料(例えば牧草)、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等を含んでいてもよい。これらの飼料をバランスよく混合し、シート状に成型することで、本発明のシート状飼料のみで反芻動物に必要な栄養素を補うことができる。
本発明における濃厚飼料とは、トウモロコシ、コーンスターチ、小麦、小麦粉、大麦、米、あわ、ひえ、きび、もみ、えんどう、えん麦、ライ麦、ハダカ麦、キャッサバ、グレインソルガム、甘しょ、馬鈴薯でんぷん、そら豆、ルーピン、ふすま、大豆、大豆かす、きなこ、しょうゆかす、豆腐かす、綿実、綿実かす、ぬか、ビールかす、焼酎かす、アメかす、麦芽根、米胚芽、ナタネかす、落花生かす、アマニかす、ゴマかす、ヤシかす、ヒマワリかす、サフラワーかす、パーム核かす、カポックかす、コーングルテンミール、小麦グルテン、ポテトプロテイン、こんにゃく飛粉、クロレラ等である。本発明の反芻動物用配合飼料シートは、これらのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする。
本発明の反芻動物用配合飼料シートは、全飼料に対し粗たん白質を乾燥固形分として5〜40%含有していることが好ましく、7〜30%含有していることが好ましく、10〜20%含有していることが特に好ましい。上記の濃厚飼料の中で、粗たん白質を多く含むトウモロコシ、小麦、小麦粉、大麦、米、あわ、ひえ、きび、もみ、えんどう、えん麦、ライ麦、ハダカ麦、グレインソルガム、甘しょ、そら豆、ルーピン、ふすま、大豆、大豆かす、きなこ、しょうゆかす、豆腐かす、綿実、綿実かす、ぬか、ビールかす、焼酎かす、アメかす、麦芽根、米胚芽、ナタネかす、落花生かす、アマニかす、ゴマかす、ヤシかす、ヒマワリかす、サフラワーかす、パーム核かす、カポックかす、コーングルテンミール、小麦グルテン、ポテトプロテイン、こんにゃく飛粉、クロレラ、の中から少なくとも1つを添加することにより、全飼料に対し粗たん白質を乾燥固形分として5〜40%となるように含有させることが好ましい。
<パルプシートの製造>
本発明の反芻動物用配合飼料シートの製造方法としては、クラフトパルプ、濃厚飼料及びその他飼料を予め水に分散したスラリーを、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートを順に通過させて脱水してシートを抄造する方法の他、多層抄きパルプシートに濃厚飼料及びその他の飼料を含む層を挟み込む方法、サイズプレスによってパルプシートに濃厚飼料及びその他の飼料を外添する方法等により製造してもよい。プレスパートについては必ずしも経る必要はないが、ドライヤーパートにおいて効率的に乾燥を行うため、実施することが好ましい。また、乾式不織布の製造に用いられるエアレイ方式により濃厚飼料を含有するパルプシートを製造する方法、あるいはクラフトパルプ及び濃厚飼料を混練したものを成型機でシート状に加工する方法でもよい。
以下に、本発明の反芻動物用飼料シートを製造する方法として、パルプ、濃厚飼料及びその他の飼料成分を含むスラリーを調製する工程、スラリーをワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートを順に通過させて脱水してシートを製造する方法について述べる。
調整工程
本発明の配合飼料シートを製造する場合、調整工程はクラフトパルプ、濃厚飼料及びその他の飼料成分を前記所定の割合で水に分散・混合することで行う。分散及び混合の方法においては特に限定されるものではなく、適当な攪拌機を備えた容器中にクラフトパルプ、濃厚飼料及びその他飼料を投入し、十分攪拌することで行う。分散液中の飼料の固形分濃度としては特に限定されるものではないが、クラフトパルプ、濃厚飼料及びその他飼料の合計として0.2〜10質量%が好ましく、1〜7質量%が好ましく、2〜4質量%がさらに好ましい。
シート化工程
ワイヤーパートの形式としては特に限定されるものではなく、例えば、長網式、短網式、円網式、ツインワイヤー式等が挙げられる。本発明においては、脱水効率の良いツインワイヤー式のワイヤーパートとすることが、配合飼料シートの効率的な製造につながるため好ましい。
ワイヤーパートにおいては、洗浄水により配合飼料シートを洗浄することができる。洗浄水の供給方式は特に限定されず、例えば、浸漬、シャワー、一流体スプレー、二体スプレー等を用いて、洗浄水を配合飼料シートに直接、あるいはワイヤーを介して間接的に供給することができる。ツインワイヤー式のワイヤーパートを適用する場合は、片側のワイヤーの、配合飼料原料が接触している面とは反対側の面から洗浄水をシャワー供給して、配合飼料シートを洗浄することが好ましい。
多層抄きによる配合飼料シート製造時には、クラフトパルプの層と層を抄き合わせる際に、濃厚飼料及びその他の飼料の分散液を層間に均一に塗布する。この際、分散液の塗布方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。また、クラフトパルプの層上に濃厚飼料及びその他の飼料を高配合した層を重ねて抄き合わせることでも配合飼料シートを作成することもできる。配合飼料シートの層数は特に限定されないが、3層以上設けることで、配合飼料シート中に濃厚飼料を高効率に含有させることができる。
プレス型式については特に限定されないが、ツインバープレス、トライニッププレス、トライベントプレス、エクステンディッドニッププレス、シュープレス、タンデムシュープレス、ベビープレス、ツインワイヤープレス、ヘビーデューティープレス等、を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、プレスロールについても特に限定されないが、グルーブドロール、サクションロール、プレーンロール等のゴムカバー、樹脂カバー等がなされたロールのなかから、1種あるいは2種以上を適宜選択して組み合わせて使用される。プレスパートを通過した配合飼料シートの水分含量は特に限定されないが、70質量%以下とすることにより、ドライヤーパートにかかる負荷を低減でき、効率的な配合飼料シートの製造が可能となる。
ドライヤー型式については特に限定されないが、シリンダードライヤー、IRドライヤー、熱風式エアドライヤー等、を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ドライヤーパートを通過したパルプシートの水分含量は特に限定されないが、外販のための輸送時の輸送ロスを軽減するために、25質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下とすることがさらに好ましい。水分含量の下限については特に限定されないが、5質量%以上とすることが好ましい。水分含量を5質量%未満にするとドライヤー乾燥を増強する必要があるため、省エネの観点から好ましくない。配合飼料シートの通過速度は、50〜150m/分が好ましい。
サイズプレスによってパルプシートに濃厚飼料を含有させることで配合飼料シートを製造する場合、ドライヤーパートの間にサイズプレスコーターを設ける。サイズプレスの型式については特に限定されず、ボンド式サイズプレス、ゲートロール型サイズプレス、ロッドメタリング型サイズプレス等を使用することができる。サイズプレスによって濃厚飼料及び他の飼料成分を均一に分散させた表面処理液をシートに塗布する。
配合飼料シートの坪量は、50〜3000g/mが好ましく、100〜2500g/mがさらに好ましく、150〜2000g/mが特に好ましい。また、配合飼料シートの厚さは、0.1〜10mmであることが好ましく、0.3〜8mmであることがさらに好ましく、0.5〜5.0mm以上であることが特に好ましい。厚さが0.1mm以下のシートは強度がなく、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートを順に通過させる際に、切断する可能性が高くなる。一方、厚さが10mmを超えるシートは厚く強度が増すため、裁断や粉砕が困難となる。また、配合飼料シートの密度は特に限定されないが、0.3〜8.0g/cmが好ましく、0.35〜5.0g/cmであることが好ましく、0.40〜3.0g/cmであることがより好ましい。
ドライヤーパートを通過した配合飼料シートは、連続的に製品仕上げすることができる。製品仕上げの形状としては、巻取形状および/または平判形状とすることができる(以下、「平判状又は巻取状に仕上げるパート」という)。客先の要望に合わせて、任意の形状に仕上げることができる製造装置を適宜選択し、製造することができる。巻取形状の製品を製造する場合は、配合飼料シートを一旦リールで巻き取り、巻き取られた配合飼料シートを、リールと同一ライン上にあるワインダー装置に移動し、スリット、分割して所望の巻取幅、長さに調整して巻取製品とすることもできるし、あるいは、配合飼料シートをリールで巻き取ることなく直接ワインダー装置に通紙し、巻取製品を調製することもできる。巻取仕上げした配合飼料シートは、続けて任意の包装紙で包装されて出荷される(以下、「製品包装仕上げを行うパート」という。)。ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、平判状又は巻取状に仕上げるパート及び、製品包装仕上げするパートを連続的に行うことにより、製品包装までの工程を短縮できるため製造コストを低減することが可能となる。
本発明の反芻動物用配合飼料シートにはセルロース、ヘミセルロースが豊富に含まれているので、反芻動物のルーメンにおいて良好に分解されるとともに、消化速度や発酵速度は適切な範囲であり、急激な発酵が引き起こされない。そのため、反芻動物においてルーメンアシドーシスを起こし難い。また、セルロースとヘミセルロースが豊富に含まれていることにより、牧草中にふくまれているようなリグニン結合性のセルロースの含量が少量であるため、ルーメン微生物が飼料を容易に分解でき、未消化物による糞量の増加も防止される。
以下に実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実験例によってなんら限定されるものではない。なお、本明細書において、濃度や%は特に断らない限り質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
[実施例1]
反芻動物用配合飼料シートの作成には広葉樹由来の酸素脱リグニンパルプ、トウモロコシサイレージ、トウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、ふすま、添加剤を用いた。
酸素脱リグニンパルプは下記の通り作成した。ユーカリ材のチップを活性アルカリ添加率16.0%、硫化度25%、Hファクター800にてクラフト蒸解を行い、未晒クラフトパルプを得た(カッパー価:19.0、ISO白色度:27.7%)。上記未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し濃度10%に調製後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.4%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、酸素脱リグニンクラフトパルプを得た(カッパー価:8.9、ISO白色度:46.1%)。得られた酸素脱リグニンクラフトパルプを水道水で洗浄した(水分率:76.1%)。この酸素脱リグニンクラフトパルプ(カナダ標準濾水度:633ml)と上記原料を水中に分散・混合させ、ダブルワイヤーマシン(丸石製作所、MAE―12型)において抄速30m/分で水分率51.0質量%の反芻動物用配合飼料シートを製造した。次いで、フレクトドライヤーにて水分率11.1質量%の反芻動物用配合飼料シートを製造した。
[比較例1]
対照試料としては、トウモロコシサイレージ、イタリアングラスサイレージ、ルーサン乾草、オーツヘイ、トウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、ふすま、添加剤を下記表1の割合で混合した配合飼料(比較例1)を用いた。
[比較例2]
上記実施例1と同様の酸素脱リグニンパルプを80%、大豆粕、添加剤を用い、実施例1と同様の方法で作成した配合飼料シートを用いた。
[比較例3]
上記実施例1と同様の飼料、製造方法で作成した、酸素脱リグニンパルプの配合率を25%とした配合飼料シートを用いた。
実施例及び比較例の各飼料の組成を表1に示した。
Figure 2018134011
<実験1:in situ消化試験>
試料のルーメン内における消化性を、in situ法で測定した(Journal of Dairy Science, vol. 71, pages 2051-2069, 1988, James E. Nocek)。
供試動物(牛)のルーメン内に、サンプル5g(風乾重)を秤量したポリエステルバッグ(#R1020、ポリエステル、10cm×20cm、平均孔径50±15μm、ANKOM Technology Corp.、Fairport、NY、USA)を投入した。投入後、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、96時間の時点でルーメン内からポリエステルバッグを取り出し、水で洗浄し、60℃で乾物恒量を求めた。また、ルーメン内には投入せず、水で洗浄しただけの飼料の入ったポリエステルバッグを、分解時間0時間の試料とした。各試料の測定は、実施日を異ならせて3連で行った。
<実験2:かさ密度測定>
実施例1、比較例2、比較例3の配合飼料シートはベールの縦、横、高さを測定し、ベール重量を用いることで、かさ密度を測定した。配合飼料に関して、次のように試験した。
比較例1の配合飼料に関して、JIS Z 7302-9に準じて、次のように試験した。ただし、測定容器の大きさは5リットルとする。
円孔径3.15mm の板ふるいに掛けた試料(約8kg)を用いる。
測定容器 取手付き5リットル円筒形容器
(a)空の測定容器のみの質量と、容器に水を満たした時の質量を、いずれも1gの桁まではかり、水1g=1cmとして容器の容積(V)を次式から求める。
V=(mW−m0)×1(cm/g) (cm
ここで、V:測定容器の容積(cm)、m0:空の測定容器の質量(g)、mW:水を満たした容器の質量(g)
(b)測定容器を良く乾燥した後、試料を測定容器の縁からあふれる状態まで入れ、約15 cmの高さから厚さ1.5cm の木製板(中密度ファイバーボードMDFが便利)上に3 回落下させる。
(c) 測定容器に減量分を追加して、試料がすりきり状態になるまで(b)の操作を繰り返す。
(d) 試料の表面が平らになるように整え、試料で満たされた測定容器の質量を1gの桁まではかる。
(e) かさ密度BDを次式から計算する。
BD={(m1−m0)/V}×1000(kg/m
ここで、BD:かさ密度(kg/m
m0:空の測定容器の質量(g)
m1:試料を満たした測定容器の質量(g)
V :測定容器の容積(cm
試験結果を表2に示す。本発明に係る配合飼料シート(実施例1)は、濃厚飼料を多く含む従来の配合飼料(比較例1)よりも最終的な消化率が高かった。また、実施例1は比較例1、3よりも初期の消化率が低く、急激な消化がおさえられるため、アシドーシスの予防に寄与するものと考えられた。比較例3は比較例1より初期の消化率が低かったものの、消化率の変化の挙動は比較例1と類似しており、実施例1よりもアシドーシスの予防への寄与は小さいと考えられた。
また、シート状の形態である実施例1、比較例2、比較例3は積み重ねることで、サンプル間の余分な空隙が生じず、かさ密度を比較例1よりも大きくすることができた。
比較例2は最終的な消化率の高さ、初期の消化率の低さで優れた結果を示したが、クラフトパルプの高配合によるたん白質の不足を補いきることができず、飼料設計飼料中の粗たん白質(CP)の割合は7.5%と低い値であった。日本飼料標準に基づく1日10L以上を産乳する乳牛が要するCPの配合割合は10.5%、体重550kgの肉雌牛の維持に要するCP配合割合が8.0%であること等から、比較例2はCPの配合割合が不足していた。
Figure 2018134011
このように、本発明によって、アシドーシスの予防に寄与し、かさ密度が大きく搬送性に優れ、かつ栄養価のバランスに優れた反芻動物用配合飼料シートを発明した。

Claims (8)

  1. クラフトパルプ及び濃厚飼料を含む反芻動物用配合飼料シートであって、クラフトパルプの含有率が乾燥固形分で30〜80質量%である反芻動物用配合飼料シート。
  2. クラフトパルプが木質由来である請求項1記載の反芻動物用配合飼料シート。
  3. クラフトパルプがカッパー価5〜40の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし2記載の反芻動物用配合飼料シート。
  4. クラフトパルプが酸素脱リグニンクラフトパルプである請求項1〜3のいずれかに反芻動物用配合飼料シート。
  5. 濃厚飼料がトウモロコシ、コーンスターチ、小麦、小麦粉、大麦、米、あわ、ひえ、きび、もみ、えんどう、えん麦、ライ麦、ハダカ麦、キャッサバ、グレインソルガム、甘しょ、馬鈴薯でんぷん、そら豆、ルーピン、ふすま、大豆、大豆かす、きなこ、しょうゆかす、豆腐かす、綿実、綿実かす、ぬか、ビールかす、焼酎かす、アメかす、麦芽根、米胚芽、ナタネかす、落花生かす、アマニかす、ゴマかす、ヤシかす、ヒマワリかす、サフラワーかす、パーム核かす、カポックかす、コーングルテンミール、小麦グルテン、ポテトプロテイン、こんにゃく飛粉、クロレラのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
  6. 全飼料に対し、粗たん白質を乾燥固形分として5〜40質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
  7. 反芻動物用配合飼料シートの坪量が50〜3000g/mであり、厚さが0.1〜10mmである請求項1〜6のいずれかに記載の反芻動物用配合飼料シート。
  8. 反芻動物用配合飼料シートの製造方法であって、少なくともクラフトパルプ及び濃厚飼料を含む混合物を水に分散させてスラリーを調製する工程、前記混合物水分散体を網目状のワイヤーにて固液分離する工程、固液分離した前記混合物をプレスすることで水分率35〜70質量%に脱水し、かつ脱水後の形状が厚さ0.1〜10mmのシート状にする工程、脱水した前記シートの水分率を5〜25質量%に乾燥する工程、を含む反芻動物用配合飼料シートの製造方法。
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