JP2018003287A - くさび着脱機構、くさび着脱工具及びこれを用いたくさび着脱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】くさびのフランジへの緊結及び取外しをハンマー等を用いずに容易に行うことができるくさび着脱機構を提供する。
【解決手段】本発明のくさび着脱機構は、くさび着脱工具12の支持部材13をその端部がフランジ4の下面に当接しつつ支柱1の周面に沿わせ、作業者が把持部20を把持して下方向に押圧力を加えることにより、ハンドル部材14を支持部材13に対して回動させて、ハンドル部材14に連結された係合部材15を下方向に変位させることにより、くさび7を掛止孔4aに緊結させて水平材2を支柱1に固定するものである。
【選択図】図9
【解決手段】本発明のくさび着脱機構は、くさび着脱工具12の支持部材13をその端部がフランジ4の下面に当接しつつ支柱1の周面に沿わせ、作業者が把持部20を把持して下方向に押圧力を加えることにより、ハンドル部材14を支持部材13に対して回動させて、ハンドル部材14に連結された係合部材15を下方向に変位させることにより、くさび7を掛止孔4aに緊結させて水平材2を支柱1に固定するものである。
【選択図】図9
Description
本発明は、例えば建築現場等で用いられるくさび緊結式足場において、くさびを着脱するためのくさび着脱機構、くさび着脱工具及びこれを用いたくさび着脱方法に関する。
従来、マンション等の増改築や改修工事(塗装、タイル貼り、防水補修又はひび補修等)が実施される建築現場においては、建築物の周囲に作業者が高所作業を行うための仮設足場が組み立てられる。仮設足場としては、例えば各部材を連結するのに、いわゆるくさびが用いられるくさび緊結式足場が知られている(例えば特許文献1参照)。
図13は、従来のくさび緊結式足場において支柱41に水平材42が取付けられる状態を示す部分斜視図である。同図によれば、支柱41には所定間隔を隔てて複数のフランジ43が設けられ、フランジ43には複数の掛止孔44が形成されている。複数の掛止孔44のうちいずれかの掛止孔44には、水平材42の一端部が嵌合されて取付けられる。
水平材42は、円筒状のパイプ部材45と、その両端に設けられた連結部材46と、連結部材46とフランジ43とを連結するためのくさび47とを備えている。連結部材46は、側面視で略ワニ口状に形成されている。すなわち、連結部材46は、支柱41側の側面に側面開口48が形成され、その上面にくさび47を挿入するための上面開口49が形成され、その下面に、挿入されたくさび47が突出される下面開口50(図14参照)がそれぞれ形成されている。側面開口48、上面開口49及び下面開口50は、それぞれ連結部材46の内部で連通されている。
くさび47は長尺状に形成され、その上端部には、ハンマー52(後述)等で衝打される幅広の衝打部47aが形成されている。また、くさび47の下端部には、幅方向に突出した突出部51が形成されている。
上記構成において、くさび緊結式足場の組立時に水平材42を支柱41に固定する際、図13に示すように、連結部材46の側面開口48をフランジ43にあてがう。次いで、図14に示すように、くさび47を上面開口49と、フランジ43の掛止孔44とに挿入し、先端を連結部材46の下面開口50から突出させる。その後、衝打部47aを例えばハンマー52で衝打することにより、くさび47は、掛止孔44に強固に緊結され、これにより水平材42は支柱41に固定される。
また、水平材42を支柱41から取外す際には、掛止孔44に緊結されたくさび47の下端がハンマー52で衝打され、くさび47がフランジ43から弛緩される。
しかしながら、このようなくさび緊結式足場においては、水平材42を支柱41に固定する際、あるいは水平材42を支柱41から取外す際、ハンマー52等でくさび47を衝打するため、騒音が大きいといった問題点がある。特に仮設足場が例えば住宅地の中や病院の近傍にある場合には、近隣の住民や入院者等から苦情がでることがある。
また、ハンマー52等でくさび47を強固に打ち込むことから、部材が損傷しやすいといった問題点もある。さらに、水平材42を支柱41に強固に固定するためには、掛止孔44に強固にくさび47を打ち込まなければならず、ある程度の衝打力が必要である。そのため、取付けるくさび47の量が多くなると、作業者は多大な労力を要するといった問題点も生じている。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、くさびをフランジに緊結するとき及び取外しするときにおける騒音を抑制しかつ容易に作業を行うことができるくさび着脱機構及びくさび着脱工具を提供することをその課題とする。また、このくさび着脱工具を用いたくさび着脱方法を提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供されるくさび着脱機構は、立設された支柱と、前記支柱に側面が水平方向に広がるように設けられた略板状のフランジと、一端部が前記フランジに連結される長尺状の水平材と、前記水平材の一端部を上方から貫通しつつ前記フランジの掛止孔に嵌挿することにより、前記水平材と前記フランジを緊結するくさびと、前記くさびを前記水平材の一端部において着脱するためのくさび着脱工具とを備え、前記くさび着脱工具は、上下方向に所定長さを有する支持部材と、一端部が前記支持部材に対して上下方向に回動自在とされるとともに、他端部に作業者が把持するための把持部を有するハンドル部材と、一端部が前記ハンドル部材の中央に連結されるとともに、他端部に前記くさびの突起に係合するフック部を有する係合部材とを備え、前記支持部材の端部が前記フランジの下面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、前記係合部材の前記フック部が前記くさびの下端部に形成された突起に係合され、作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に下方向に押圧力が加えられ、前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が下方向に変位され、これにより、前記くさびが前記掛止孔に緊結されて前記水平材が前記支柱に固定されることを特徴としている。
本発明のくさび着脱機構において、前記支持部材の端部が前記フランジの上面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、前記係合部材の前記フック部が前記くさびの上端部に形成された他の突起に係合され、作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に上方向に押圧力が加えられ、前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が上方向に変位され、これにより、前記くさびが前記掛止孔から弛緩されて前記水平材が前記支柱から取り外されるとよい。
本発明の第2の側面によって提供されるくさび着脱工具は、立設された支柱と、前記支柱に側面が水平方向に広がるように設けられた略板状のフランジと、一端部が前記フランジに連結される長尺状の水平材と、前記水平材の一端部を上方から貫通しつつ前記フランジの掛止孔に嵌挿することにより、前記水平材と前記フランジを緊結するくさびと、を備える仮設足場に用いられるくさび着脱工具であって、上下方向に所定長さを有する支持部材と、一端部が前記支持部材に対して上下方向に回動自在とされるとともに、他端部に作業者が把持するための把持部を有するハンドル部材と、一端部が前記ハンドル部材の中央に連結されるとともに、他端部に前記くさびの突起に係合するフック部を有する係合部材とを備え、前記支持部材の端部が前記フランジの下面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、前記係合部材の前記フック部が前記くさびの下端部に形成された突起に係合され、作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に下方向に押圧力が加えられ、前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が下方向に変位され、これにより、前記くさびが前記掛止孔に緊結されて前記水平材が前記支柱に固定されることを特徴としている。
本発明のくさび着脱工具において、前記フック部は、前記くさびの下端部に形成された略円錐状突起に係合するための湾曲状凹部を有しているとよい。
本発明のくさび着脱工具において、前記支持部材の端部が前記フランジの上面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、前記係合部材の前記フック部が前記くさびの上端部に形成された他の突起に係合され、作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に上方向に押圧力が加えられ、前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が上方向に変位され、これにより、前記くさびが前記掛止孔から弛緩されて前記水平材が前記支柱から取り外されるとよい。
本発明のくさび着脱工具において、前記フック部は、前記くさびの上端部に形成された略方形体突起に係合するためのフラット面を有しているとよい。
本発明のくさび着脱工具において、前記係合部材は、伸縮自在とされているとよい。
本発明の第3の側面によって提供されるくさび着脱方法は、立設された支柱と、前記支柱に側面が水平方向に広がるように設けられた略板状のフランジと、一端部が前記フランジに連結される長尺状の水平材と、前記水平材の一端部を上方から貫通しつつ前記フランジの掛止孔に嵌挿することにより、前記水平材と前記フランジを緊結するくさびと、を備える仮設足場に用いられるくさび着脱方法であって、上下方向に所定長さを有する支持部材と、一端部が前記支持部材に対して上下方向に回動自在とされるとともに、他端部に作業者が把持するための把持部を有するハンドル部材と、一端部が前記ハンドル部材の中央に連結されるとともに、他端部に前記くさびの突起に係合するフック部を有する係合部材とを備えるくさび着脱工具を準備し、前記支持部材の端部を前記フランジの下面に当接しつつ前記支持部材を前記支柱の周面に沿わせ、前記係合部材の前記フック部を前記くさびの下端部に形成された突起に係合させ、作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に下方向に押圧力を加え、前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材を前記支持部材に対して回動させ、前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材を下方向に変位させ、これにより、前記くさびを前記掛止孔に緊結させて前記水平材を前記支柱に固定することを特徴としている。
本発明のくさび着脱方法は、前記支持部材の端部を前記フランジの上面に当接しつつ前記支持部材を前記支柱の周面に沿わせ、前記係合部材の前記フック部を前記くさびの上端部に形成された他の突起に係合させ、作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に上方向に押圧力を加え、前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材を前記支持部材に対して回動させ、前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材を上方向に変位させ、これにより、前記くさびを前記掛止孔から弛緩させて前記水平材を前記支柱から取り外すとよい。
本発明によれば、くさび着脱工具を用いて水平材が支柱に固定される。すなわち、支持部材が支柱の周面に沿わされ、係合部材のフック部がくさびの下端部に係合され、作業者によって把持部に下方向に押圧力が加えられることにより、ハンドル部材が支持部材に対して回動されて係合部材が下方向に変位される。これにより、くさびが掛止孔に緊結されて水平材が支柱に固定される。この場合、把持部がてこの力点として、ハンドル部材の一端部が支点として、係合部材の一端部が作用点としてそれぞれ機能し、てこの原理を用いてくさびが掛止孔に緊結される。そのため、従来の構成のように、くさびの緊結にハンマー等を用いる必要がなく、水平材を支柱に比較的小さい力で容易に固定することができる。したがって、ハンマー等の衝打による騒音や部材の損傷の問題を解消することができ、またハンマー等を衝打することによる作業者の労力を低減することができる。
また、本発明によれば、水平材を支柱から取り外す際においても、支持部材が支柱の周面に沿わされ、係合部材のフック部がくさびの上端部に係合され、作業者によって把持部に上方向に押圧力が加えられることにより、ハンドル部材が支持部材に対して回動されて係合部材が上方向に変位される。これにより、くさびは掛止孔から弛緩し、水平材は支柱から取り外される。したがって、水平材を支柱から取り外す場合も、従来の構成のようにハンマー等を用いる必要がなく、騒音や部材の損傷の問題を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係るくさび着脱機構が適用される仮設足場の部分斜視図である。図2は、仮設足場の部分側面図である。
本実施形態における仮設足場は、建築工事現場等で用いられる、いわゆるくさび緊結式足場であり、図1に示す支柱1が複数立設されている。支柱1は、通常、建築物(図略)の外面に沿って所定間隔を隔てて設けられる。複数の支柱1同士間には、各支柱1を支持するための水平材2が連結、固定される。
各支柱1には、上下方向に所定間隔を隔てて複数のフランジ3が設けられている。各フランジ3には、例えば水平材2を四方において連結させるために4つの掛止孔4がそれぞれ形成されている。これらの掛止孔4には、水平材2の一端部を固定するために後述するくさび7が緊結される。
水平材2は、円筒状のパイプ部材5と、パイプ部材5の両端に設けられた連結部材6と(図1では片端のみ記載されている。)、連結部材6に支持され、その内部に貫入されるくさび7とによって構成されている。パイプ部材5は、中空状に形成されており、パイプ部材5の直径は例えば約42.7mmとされている。
連結部材6は、水平材2をフランジ3に連結させるためのものである。連結部材6は、全体形状が略円筒状とされ、支柱1側が略ワニ口状に形成されるとともに、側面視で支柱1側に向かうほど上下方向に広がる側面開口8が形成されている。連結部材6は内部に空間部が形成されており、側面開口8はこの空間部に連通されている。
側面開口8において一方の側面及び他方の側面の開口高さH(図2参照)は、支柱1のフランジ3の厚みよりやや大とされている。連結部材6は、この側面開口8によってフランジ3を水平方向から挟み込むことができる。
連結部材6は、図1に示すように、その上面に支柱1側近傍からパイプ部材5側の周端に至って延びる上面開口9が形成されている。上面開口9の幅(図2における奥行き方向の幅)は、くさび7の厚みよりやや大とされている。また、連結部材6は、その下面が支柱1側近傍からパイプ部材5側の周端に至って延びる下面開口10(図2参照)が形成されている。下面開口10の幅(図2における奥行き方向の幅)も、くさび7の厚みよりやや大とされている。
くさび7は、縦長の略平板状に形成され、図2における本体右側面が本体中央のやや上部が頂点となる略山型に形成されている。くさび7は、その下端部が図2における右方向にやや湾曲されて形成されている。
くさび7は、その上端部に第1突起7aが形成されている。第1突起7aは、本体中央部に比べ図3における左右方向に幅広に形成されており、この第1突起7aにより段差11が形成される(同図参照)。第1突起7aの左右方向の幅W1は、連結部材6の上面開口9の幅より大とされている。くさび7は、この第1突起7aによって上面開口9の周縁で掛止され、くさび7全体が上面開口9を通じて連結部材6の内部に入り込まないようにされている。
くさび7の下端部近傍には、第2突起7bが形成されている。第2突起7bは、図3に示す左右方向にそれぞれ突出するものであり、頂点が丸まった略円錐状にそれぞれ形成されている。第2突起7bの図3における左右方向の幅W2は、連結部材6の上面開口9の幅より大とされている。くさび7は、この第2突起7bによって上面開口9の裏側周縁で掛止され、くさび7全体が上面開口9を通じて上方側に抜脱しないようにされている。なお、第2突起7bの幅W2は、連結部材6の下面開口10の幅(図2における奥行き方向の幅)より小とされ、これにより、くさび7の第2突起7bは下面開口10を自由に通過する。
本実施形態では、水平材2を支柱1に固定する際、及び水平材2を支柱1から取り外す際に、図4に示すくさび着脱工具12が用いられる。くさび着脱工具12は、くさび7を連結部材6に対して下方に変位させて掛止孔4に緊結させたり、くさび7を連結部材6に対して上方に変位させて掛止孔4から弛緩させたりするものである。
くさび着脱工具12は、上下方向に所定の長さを有する支持部材13と、この支持部材13に対して回動自在に支持され作業者によって把持されるハンドル部材14と、このハンドル部材14に対して回動自在に支持されくさび7と係合する係合部材15とによって概略構成されている。
支持部材13は、くさび着脱工具12によるくさび7の着脱時に上記支柱1の周側面に沿うように、断面視略円弧状に形成されており、支持部材13の内側周側面の曲率半径は、上記支柱1の曲率半径とほぼ一致している。なお、支持部材13の構造は、円弧状に限らず断面視で略くの字状でもよく、支柱1に沿わされて支持できる構造であるならば特に限定されるものではない。
支持部材13の上端は、くさび着脱工具12によるくさび7の着脱時にフランジ3の側面に当接される当接部16とされており、その端面はフラットに形成されている。支持部材13の上端中央部には、上下方向に延びて略矩形状に切り欠かれた切欠部17が形成されている。切欠部17は、くさび着脱工具12によるくさび7の着脱時に、支持部材13と連結部材6との衝突を回避するために形成されている。
本実施形態のくさび着脱工具12によるくさび7の着脱時には、支持部材13の内側面が支柱1の外周面に沿わされるとともに、支持部材13の一端である当接部16がフランジ3の側面に当接される。例えばくさび7を掛止孔4に緊結させる場合には、支持部材13の当接部16がフランジ3の下面に当接され、くさび7を掛止孔4から弛緩させる場合には、くさび着脱工具12が上下反対に支持されて支持部材13の当接部16がフランジ3の上面に当接される。
支持部材13のおもて面側中央には、上下方向に延びた側面視略山状の一対の突出片18が形成されている。一対の突出片18には、それらを貫くように支軸19が設けられ、この支軸19にハンドル部材14の一端部が軸支されている。ここで、ハンドル部材14の一端部(支軸19)は、いわゆるてこの支点として機能する。
ハンドル部材14は、略くの字状に形成されており、図4に示すように、ハンドル部材14が突出片18より下方にある場合には、支持部材13と反対側に折れ曲げられている。ハンドル部材14の他端部には、作業者によって把持される把持部20が形成されている。ここで、把持部20は、てこの力点として機能する。また、ハンドル部材14が略くの字状に形成されているのは、作業者が把持部20を手で握り支柱1側に押圧力を加えたとき、手が支柱1と把持部20との間に挟まれることを回避するためである。
ハンドル部材14の略中央の折れ曲げ部分には、それを貫くように支軸21が設けられ、この支軸21に係合部材15の一端部が軸支されている。なお、支軸21のハンドル部材14における配置位置は、上記した折れ曲げ部分に限らず、折れ曲げ部分以外の位置に設けられていてもよい。
ここで、係合部材15の一端部(支軸21)は、てこの作用点として機能する。係合部材15は、上下方向に回動自在とされながらくさび7を係合するものである。係合部材15は、ハンドル部材14に支持される基端部23と、くさび7を係合するフック部24と、基端部23及びフック部24を連結するための寸切りボルトからなる連結部25によって構成されている。
基端部23は、略中央が折り曲げられた略くの字状に形成されており、一端部がハンドル部材14に回動支持されるとともに、他端部には、連結部25を螺入させるための所定の深さを有するネジ孔(図略)が形成されている。連結部25には、ナット26が螺嵌されており、ナット26は基端部23の回り止めとして用いられる。
フック部24は、先端側がフック状に形成されているとともに、基端側には、基端部23と同様に、連結部25を螺入させるための所定の深さを有するネジ孔(図略)が形成されている。連結部25には、ナット27が螺嵌されており、ナット27はフック部24の回り止めとして用いられる。
係合部材15は、基端部23及びフック部24に螺着される連結部25によって伸縮自在とされている。そのため、くさび着脱工具12によるくさび7の着脱時に、フック部24がくさび7に対し係合位置がずれて適切に係合していないときには、例えばナット27を緩めてフック部24を回転させることにより、フック部24のくさび7に対する係合位置を調整することができる。なお、係合部材15を伸縮させるための構造は、上記構造に限るものではない。
フック部24は、図5(a)に示すように、その先端部近傍が湾曲状に形成され、その内側に湾曲状凹部28を有している。フック部24の湾曲状凹部28は、その曲率半径がくさび7の第2突起2bの半径とほぼ同一とされている。くさび7がフランジ3に緊結される際(後述する図8,図9参照)、湾曲状凹部28は、くさび7の第2突起2bにあてがわれ、これにより第2突起2bを係合することができる。
フック部24の最先端部は、平滑な面に形成されたフラット面29とされている。くさび7がフランジ3から弛緩される際(後述する図10,図11参照)、フラット面29は、くさび7の第1突起7aの段差11にあてがわれ、これにより第1突起2aを係合することができる。
フック部24の中央部は、図5(b)に示すように、矩形状の切り欠き部30が形成されている。この切り欠き部30の幅は、くさび7の幅よりやや大となっている。そのため、くさび7がフランジ3に緊結される際、及びくさび7がフランジ3から弛緩される際、切り欠き部30は、くさび7を挟み込むことができる。
次に、本実施形態に係るくさび着脱機構において、水平材2を支柱1に固定する手順について説明する。
まず、作業者は、水平材2を支柱1に固定する際、図6に示すように、くさび7を水平材2に対して斜め状態で連結部材6の上面開口9で支持させる。これにより、側面開口8が解放されるので、この状態で連結部材6を支柱1のフランジ3側に移動させ(矢印A参照)、連結部材6をフランジ3に掛止させる。このとき、くさび7の第2突起7bは、連結部材6の上面開口9の内側で保持されるので、くさび7が連結部材6から抜け出るようなことはない。
次に、作業者は、くさび7の第1突起7aを把持し、図7に示すように、上下方向に延びるようにくさび7を支持する。このとき、くさび7の第2突起7bは、連結部材6の空間部に位置している。次いで、作業者は、くさび7の下端をフランジ3の掛止孔4と連結部材6の下面開口10とに貫通させ、くさび7の下端が連結部材6から若干突出する位置までくさび7を下方に移動させる(矢印B参照)。この状態では、くさび7は、フランジ3に緊結されておらず、フランジ3に遊嵌された状態である。
ここで、くさび着脱工具12を準備し、図8に示すように、くさび着脱工具12の支持部材13を支柱1の周側面に沿わすとともに、くさび7が遊嵌されたフランジ3の下面に当接部16を当接させる。
次いで、支持部材13をフランジ13の支柱1に沿わした状態を保持したままで、ハンドル部材14の把持部20を右斜め下方に延びるように持ち上げる。そして、係合部材15のフック部24の切り欠き部30でくさび7の下端部を挟み込みながら、湾曲状凹部28をくさび7の第2突起7bに係合させる。
その後、図9に示すように、フック部24の湾曲状凹部28がくさび7の第2突起7bに係合された状態を維持したまま、作業者がハンドル部材14の把持部20を把持しつつ、支柱1側(下方向)に押圧力を加える。この場合、把持部20は、てこの力点として機能する。これにより、ハンドル部材14は、支軸19を中心にして回動される(矢印C参照)。この場合、ハンドル部材14の一端部(支軸19)は、てこの支点として機能する。
ハンドル部材14が回動すると、ハンドル部材14に連結されている係合部材15は、下方に変位する(矢印E参照)。この場合、係合部材15の一端部(支軸21)は、てこの作用点として機能する。そのため、第2突起7bがフック部24に係合されたくさび7も、下方に変位し、くさび7はフランジ3の掛止孔4に強固に緊結される。
このように、くさび着脱工具12を用いることにより、ハンドル部材14の回動動作をフック部24の変位動作に変換することができ、くさび7を適切にかつ容易にフランジ3の掛止孔4に緊結させることができる。この場合、把持部20がてこの力点として、ハンドル部材14の一端部(支軸19)が支点として、係合部材15の一端部(支軸21)が作用点としてそれぞれ機能し、てこの原理を用いてくさび7が掛止孔4に緊結される。そのため、従来のくさび着脱機構のようにハンマー52等でくさび7を衝打することがないので、騒音を生じさせることがなく、水平材2を支柱1に比較的小さい力で容易に固定することができる。また、このくさび着脱工具12によれば、ハンマー52等を衝打することによりくさび7が損傷するといったことを抑制することができるとともに、作業者の労力を低減することができる。
次に、水平材2を支柱1から取り外す手順について説明する。
作業者は、水平材2を支柱1から取り外す際、連結部材6からくさび7を抜脱させる。この場合、支柱1に水平材2を固定する際に用いたくさび着脱工具12と同様のくさび着脱工具12を準備し、図10に示すように、くさび着脱工具12を水平材2を支柱1に固定するときとは上下を反対にする。そして、くさび着脱工具12の支持部材13を支柱1の周側面に沿わすとともに、くさび7が緊結されたフランジ3の上面に当接部16を当接させる。
フランジ13の支柱1に沿わした状態を保持したままで、ハンドル部材14の把持部20を図10に示す右斜め上方に延びるように持ち上げる。次いで、係合部材15のフック部24の切り欠き部30でくさび7の上端部を挟み込みながら、係合部材15のフック部24のフラット面29をくさび7の第1突起7aの段差11に係合させる。
次に、作業者が、図11に示すように、ハンドル部材14の把持部20を把持しつつ支柱1側(上方向)に押圧力を加えると、ハンドル部材14が支軸19を中心にして回動する(矢印F参照)。この場合、把持部20はてこの力点として機能し、支軸19はてこの支点として機能する。これにより、連結部材19は上方に変位するとともに、フック部24は上方に変位し、これにともないフック部24に第1突起7aが係合されたくさび7も上方に変位する(矢印G参照)。この場合、係合部材15の一端部は、てこの作用点として機能する。そのため、くさび7はフランジ3から弛緩され、連結部材6から抜脱される。
このように、くさび着脱工具12によれば、水平材7を支柱1から取り外す場合でも、ハンドル部材14の回動動作をフック部24の変位動作に変換することができ、くさび7を適切にかつ容易にフランジ3の掛止孔4から弛緩させることができる。そのため、従来のくさび着脱機構のようにハンマー52等でくさび7を衝打することがないので、騒音を生じさせることがなく、くさび7が損傷することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、水平材2を支柱1に固定する場合及び水平材2を支柱1から取り外す場合の両方について、一つのくさび着脱工具12によって行い得ることができる。そのため、製品コストを低減することができる。
さらに、くさび着脱工具12は、ハンドル部材14を回動させることのみによって、水平材2を支柱1に固定させたり水平材2を支柱1から取り外したりすることができるので、作業者は比較的小さな力で行うことができる。そのため、従来のくさび着脱機構のようにハンマー52等でくさび7を衝打することによる労力を低減することができ、作業に負担をかけることがない。
また、本実施形態によれば、くさび7に形成されている第1突起7a及び第2突起7bを利用して、支柱1に対する水平材2の固定及び取り外しを行うことができる。すなわち、本来連結金具6からの脱落防止用に形成されていた第1突起7a及び第突起7bがそのまま利用されるので、くさび7を加工する必要がなく、加工コスト等が不要である。
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態における支柱1、水平材2、フランジ3、連結部材6、くさび7及びくさび着脱工具12等の各部材の数、形態、大きさ及び構造等は、上記実施形態に限るものではなく適宜設計変更可能である。
例えば、図12に示すようなくさび着脱工具12Aが用いられてもよい。くさび着脱工具12Aは、ハンドル部材14A及び連結部材15Aの基端部23がそれぞれ直線状に形成されている。このようなくさび着脱工具12Aを用いると、把持部20をいわゆる逆手持ちすることができ、把持部20に対して押圧力を付与し易くなるので、支柱1に水平材2を固定したり取り外したりする際の作業性が向上するといった利点がある。
1 支柱
2 水平材
3 フランジ
4 掛止孔
6 連結部材
7 くさび
7a 第1突起
7b 第2突起
12 くさび着脱工具
13 支持部材
14 ハンドル部材
15 係合部材
16 当接面
20 把持部
24 フック部
25 連結部材
28 湾曲状凹部
29 フラット面
2 水平材
3 フランジ
4 掛止孔
6 連結部材
7 くさび
7a 第1突起
7b 第2突起
12 くさび着脱工具
13 支持部材
14 ハンドル部材
15 係合部材
16 当接面
20 把持部
24 フック部
25 連結部材
28 湾曲状凹部
29 フラット面
Claims (9)
- 立設された支柱と、
前記支柱に側面が水平方向に広がるように設けられた略板状のフランジと、
一端部が前記フランジに連結される長尺状の水平材と、
前記水平材の一端部を上方から貫通しつつ前記フランジの掛止孔に嵌挿することにより、前記水平材と前記フランジを緊結するくさびと、
前記くさびを前記水平材の一端部において着脱するためのくさび着脱工具とを備え、
前記くさび着脱工具は、
上下方向に所定長さを有する支持部材と、
一端部が前記支持部材に対して上下方向に回動自在とされるとともに、他端部に作業者が把持するための把持部を有するハンドル部材と、
一端部が前記ハンドル部材の中央に連結されるとともに、他端部に前記くさびの突起に係合するフック部を有する係合部材とを備え、
前記支持部材の端部が前記フランジの下面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、
前記係合部材の前記フック部が前記くさびの下端部に形成された突起に係合され、
作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に下方向に押圧力が加えられ、
前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、
前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が下方向に変位され、
これにより、前記くさびが前記掛止孔に緊結されて前記水平材が前記支柱に固定されることを特徴とする、くさび着脱機構。 - 前記支持部材の端部が前記フランジの上面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、
前記係合部材の前記フック部が前記くさびの上端部に形成された他の突起に係合され、
作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に上方向に押圧力が加えられ、
前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、
前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が上方向に変位され、
これにより、前記くさびが前記掛止孔から弛緩されて前記水平材が前記支柱から取り外される、請求項1に記載のくさび着脱機構。 - 立設された支柱と、
前記支柱に側面が水平方向に広がるように設けられた略板状のフランジと、
一端部が前記フランジに連結される長尺状の水平材と、
前記水平材の一端部を上方から貫通しつつ前記フランジの掛止孔に嵌挿することにより、前記水平材と前記フランジを緊結するくさびと、を備える仮設足場に用いられるくさび着脱工具であって、
上下方向に所定長さを有する支持部材と、
一端部が前記支持部材に対して上下方向に回動自在とされるとともに、他端部に作業者が把持するための把持部を有するハンドル部材と、
一端部が前記ハンドル部材の中央に連結されるとともに、他端部に前記くさびの突起に係合するフック部を有する係合部材とを備え、
前記支持部材の端部が前記フランジの下面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、
前記係合部材の前記フック部が前記くさびの下端部に形成された突起に係合され、
作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に下方向に押圧力が加えられ、
前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、
前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が下方向に変位され、
これにより、前記くさびが前記掛止孔に緊結されて前記水平材が前記支柱に固定されることを特徴とする、くさび着脱工具。 - 前記フック部は、
前記くさびの下端部に形成された略円錐状突起に係合するための湾曲状凹部を有している、請求項3に記載のくさび着脱工具。 - 前記支持部材の端部が前記フランジの上面に当接されつつ前記支持部材が前記支柱の周面に沿わされ、
前記係合部材の前記フック部が前記くさびの上端部に形成された他の突起に係合され、
作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に上方向に押圧力が加えられ、
前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材が前記支持部材に対して回動され、
前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材が上方向に変位され、
これにより、前記くさびが前記掛止孔から弛緩されて前記水平材が前記支柱から取り外される、請求項3または4に記載のくさび着脱工具。 - 前記フック部は、
前記くさびの上端部に形成された略方形体突起に係合するためのフラット面を有している、請求項5に記載のくさび着脱工具。 - 前記係合部材は、伸縮自在とされている、請求項3ないし6のいずれかに記載のくさび着脱工具。
- 立設された支柱と、
前記支柱に側面が水平方向に広がるように設けられた略板状のフランジと、
一端部が前記フランジに連結される長尺状の水平材と、
前記水平材の一端部を上方から貫通しつつ前記フランジの掛止孔に嵌挿することにより、前記水平材と前記フランジを緊結するくさびと、を備える仮設足場に用いられるくさび着脱方法であって、
上下方向に所定長さを有する支持部材と、
一端部が前記支持部材に対して上下方向に回動自在とされるとともに、他端部に作業者が把持するための把持部を有するハンドル部材と、
一端部が前記ハンドル部材の中央に連結されるとともに、他端部に前記くさびの突起に係合するフック部を有する係合部材とを備えるくさび着脱工具を準備し、
前記支持部材の端部を前記フランジの下面に当接しつつ前記支持部材を前記支柱の周面に沿わせ、
前記係合部材の前記フック部を前記くさびの下端部に形成された突起に係合させ、
作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に下方向に押圧力を加え、
前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材を前記支持部材に対して回動させ、
前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材を下方向に変位させ、
これにより、前記くさびを前記掛止孔に緊結させて前記水平材を前記支柱に固定することを特徴とする、くさび着脱方法。 - 前記支持部材の端部を前記フランジの上面に当接しつつ前記支持部材を前記支柱の周面に沿わせ、
前記係合部材の前記フック部を前記くさびの上端部に形成された他の突起に係合させ、
作業者によって把持された前記把持部がてこの力点として機能して、前記把持部に上方向に押圧力を加え、
前記ハンドル部材の一端部がてこの支点として機能して、前記ハンドル部材を前記支持部材に対して回動させ、
前記係合部材の一端部がてこの作用点として機能して、前記係合部材を上方向に変位させ、
これにより、前記くさびを前記掛止孔から弛緩させて前記水平材を前記支柱から取り外す、請求項8に記載のくさび着脱方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016127117A JP2018003287A (ja) | 2016-06-28 | 2016-06-28 | くさび着脱機構、くさび着脱工具及びこれを用いたくさび着脱方法 |
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JP2016127117A JP2018003287A (ja) | 2016-06-28 | 2016-06-28 | くさび着脱機構、くさび着脱工具及びこれを用いたくさび着脱方法 |
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JP2016127117A Pending JP2018003287A (ja) | 2016-06-28 | 2016-06-28 | くさび着脱機構、くさび着脱工具及びこれを用いたくさび着脱方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6933348B1 (ja) * | 2020-11-20 | 2021-09-08 | 乾 裕介 | ランマの車両運搬用固定装置 |
JP2022014327A (ja) * | 2020-07-06 | 2022-01-19 | 株式会社フクザワ | 仮設足場用操作装置 |
-
2016
- 2016-06-28 JP JP2016127117A patent/JP2018003287A/ja active Pending
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JP2022014327A (ja) * | 2020-07-06 | 2022-01-19 | 株式会社フクザワ | 仮設足場用操作装置 |
JP7032482B2 (ja) | 2020-07-06 | 2022-03-08 | 株式会社フクザワ | 仮設足場用操作装置 |
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