本発明は、手袋包装体に関する。
従来より、薄手のゴムやプラスティックフィルムからなる手袋が、複数枚重ねられた状態で包装箱に収容された手袋包装体が知られている。例えば、特許文献1の手袋包装体は、上下方向に積み重ねられた手袋が包装箱に収容されている。そして、包装箱の上面中央部に長孔形状の取出口が形成されている。手袋を包装箱から取り出す場合、最も上側に重ねられている手袋を、1枚ずつ取出口から上方へ引っ張り出す。
また、特許文献2にも、包装箱の上面中央部に取出口が形成された手袋包装体が開示されている。特許文献2の包装箱には、取り外し可能な部分として、第1の部分及び第2の部分が縁部を一部共通するように配置形成されている。そして、第1の部分のみを取り外すことで比較的小さい取出口が形成されると共に、さらに第2の部分を取り外すことで比較的大きい取出口が形成されるようになっている。
1枚の手袋を取り出す際に、包装箱内の他の手袋は、包装箱における取出口の周囲部分によって押さえられる。そのとき、取出口が小さいほど、包装箱内の他の手袋をしっかりと押さえることができる。したがって、使用当初は、第1の部分のみを取り外して比較的小さい取出口を形成することにより、手袋を適切に取り出すことができる。
一方、包装箱内に残っている手袋が少なくなったとき、手袋は、包装箱の底に溜まって取出口から離れることとなる。しかし、取出口が小さければ、手袋を取り出す際に、手を取出口から包装箱の内部へ入れにくくなってしまう。そこで、第2の部分を取り外して取出口を大きくすることよって、手を包装箱内に入れやすくし、手袋を容易に取り出せるようにすることができる。
ここで、手袋包装体は、例えば作業台等にそのまま置くと設置スペースが必要になるので、作業スペースが狭くなってしまう等の問題がある。そこで、室内の壁等にラックを設置し、そのラックに手袋包装体を横向きにした状態で固定支持させることが知られている。手袋包装体を横向きにして取出口が収容箱の側面に配置されるようにすると、包装箱内には手袋が横方向に積層されることになり、取出口から横方向に手袋が引っ張り出されることとなる。
特開2011−162257号公報
特表2015−504826号公報
しかし、上記特許文献1及び2の手袋包装体では、横向きに設置して手袋を側方から取り出すようにすると、包装箱内の手袋が少なくなった場合、その手袋の束は自重によって包装箱内の下部にずれて偏ってしまう。そして、包装箱の側面における中央部分に取出口が形成されているので、下方に偏った手袋を取出口の周囲部分により確実に支持することができない。そのため、残り少なくなった手袋を1枚ずつ取り出すことが難しくなり、場合によっては複数枚の手袋がまとまって取出口から出てしまう問題もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手袋包装体について、側方から手袋を取り出すように横向きに配置した場合にも、手袋を適切に取り出すことができるようにすることにある。
第1の発明に係る手袋包装体は、直方体状に形成された包装箱に複数の手袋が積層状態で収容された手袋包装体であって、上記包装箱は、上記手袋の取出口が形成される取出口形成部を有する長方形状の取出面を備え、上記取出口形成部は、上記取出面における中心位置よりも一方の短辺側に配置されており、上記取出口は、上記取出面における一方の長辺の端部側から他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる開口縁を有し、側方から上記手袋を取り出すように上記包装箱を横向きに配置した状態で、上記取出面の上記開口縁よりも中央側部分が上記包装箱内の手袋を支持可能な支持部となっている。
第2の発明において、複数の上記手袋は、該手袋の手首が上記取出面における上記一方の短辺側に配置され、且つ該手袋の指先が上記取出面における他方の短辺側に配置されるように、向きを揃えて上記包装箱に収容されていることが好ましい。
第3の発明において、上記取出口形成部は、取り外し可能な部分として、互いに縁部を一部共通するように配置された第1の部分及び第2の部分を有し、上記第1の部分を取り外すことにより比較的小さい取出口が形成されると共に、上記第1の部分に加えて上記第2の部分を取り外すことにより比較的大きい取出口が形成されるように構成され、上記第1の部分は、上記取出面における上記一方の長辺の端部側に配置される一方、上記第2の部分は、上記取出面における上記他方の長辺の中央側に配置されていることが好ましい。
第4の発明において、上記取出口は、上記取出面における一方の長辺の端部側から、他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成されていることが望ましい。
第1の発明によれば、包装箱の取出面における一方の長辺が下側となるように包装箱を横向きに配置し、取出口形成部に形成した取出口から側方へ手袋を取り出して使用する場合、包装箱内の手袋が少なくなると、その複数の手袋は自重によって包装箱内の下部にずれて偏ることとなる。包装箱の下部に偏った複数の手袋の重心位置は、側方から見て取出面における下部中央位置となる。
これに対し、本発明では、取出口が、取出面における中心位置よりも一方の短辺側に配置され、且つ、取出面における一方の長辺の端部側から他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる開口縁を有しており、その取出面の開口縁よりも中央側部分が包装箱内の手袋を支持可能な支持部となっている。
したがって、支持部は、上記手袋の重心位置と同じ取出面の下部中央位置を含む領域に設けられることとなるので、複数の手袋をその重心位置で好適に支持することができる。その結果、包装箱内で複数の手袋が下部に偏っていても、手袋を1枚ずつ適切に取り出すことができる。
ここで、包装箱内の複数の手袋は、その数が少なくなるにつれて、包装箱の下方へ徐々に偏っていくと共に包装箱内で移動しやすく不安定になる。これに対し、本発明では、取出口の開口縁が、取出面における一方の長辺の端部側から他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びているので、その開口縁の側方の支持部は、その幅(取出面の長辺方向の幅)が、下方へ向かって徐々に広くなる。すなわち、複数の手袋が包装箱の下方へ偏っていくにつれて支持部の幅も広くなるので、包装箱の下方へ偏っていく複数の手袋を適切に支持することができる。そのため、複数枚の手袋がまとまって取出口から出てしまわないようにして、より適切に手袋を1枚ずつ取り出すことができる。
第2の発明によれば、手袋の手首が取出面における一方の短辺側に配置され、且つ手袋の指先が取出面における他方の短辺側に配置されるように、複数の手袋が向きを揃えて包装箱に収容されているので、手袋の手首側が取出口に臨む配置となる。したがって、使用者が手袋を取り出す際に、常に手袋の手首側を摘まんで引き出すことになるので、手袋の指先部分を衛生的に保つことができる。
第3の発明によれば、取出口形成部が取り外し可能な第1の部分及び第2の部分を有する構成としたので、複数の手袋が包装箱内で詰まって移動しにくい使用当初には、第1の部分のみを取り外して比較的小さい取出口を形成することにより、適切に手袋を1枚ずつ取り出すことができる。一方、手袋の数が減って包装箱内で移動し易くなったときは、第1の部分に加えて第2の部分を取り外して比較的大きな取出口を形成することにより、手を包装箱内に入れやすくし、包装箱の内部から手袋を容易に取り出すことができる。
特に、本発明では、第1の部分を取出面における一方の長辺の端部側に配置する一方、第2の部分を取出面における他方の長辺の中央側に配置した。すなわち、取出面における上記一方の長辺が下側となるように包装箱を横向きに配置した場合において、手袋の数が減った状態では、複数の手袋が包装箱の下部に偏ることで包装箱の上部に空間が生じている。よって、手袋の数が減った状態で第2の部分を取り外すことにより、包装箱の上部の空間が一部開放されるので、その空間に手を差し入れて包装箱内の手袋を容易に摘まみ出すことができる。
第4の発明によれば、取出口を、取出面における一方の長辺の端部側から、他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成することにより、手袋が長孔状の取出口を通りやすくなるので、取出面に支持部を設けながらも手袋をスムーズに取り出すことができる。
図1は、本実施形態における手袋包装体の外観を示す斜視図である。
図2は、手袋包装体の取出面を示す正面図である。
図3は、包装箱の内部に収容された複数の手袋を示す断面図である。
図4は、第1の部分が取り外された取出面を示す正面図である。
図5は、第1の部分及び第2の部分が取り外された取出面を示す正面図である。
図6は、取出口形成部を拡大して示す正面図である。
図7は、その他の実施形態における手袋包装体の取出面を示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1〜図6は、本実施形態における手袋包装体1を示している。図1は、手袋包装体1の斜視図であり、図2、図4及び図5は、手袋包装体1の取出面10を示す正面図である。また、図3は、手袋包装体1の内部に収容された手袋5を示している。図6は、取出口形成部16を拡大して示している。
手袋包装体1は、図1及び図3に示すように、直方体状に形成された包装箱11と、包装箱11に積層状態で収容された複数の手袋5とを備えている。包装箱11は、紙製の箱であって、長方形の取出面10と、取出面10の周囲四辺に配置された4つの側面13と、取出面10の裏側に配置された背面14とを有している。取出面10は、手袋5の取出口15が形成される取出口形成部16を有している。
手袋包装体1は、図1に示すように、取出面10が側方を向くように横向きに配置された状態で、壁に設置されたラック(図示省略)に装着される。このように壁に手袋包装体1を設置することにより、作業台等に手袋包装体1の設置スペースを不要にすることができる。尚、手袋包装体1は、取出面10が上方を向くように平置きとして、手袋5を上側に引き出すような使用態様としてもよい。
図2に示すように、取出口形成部16は、取出面10における中心位置よりも一方の短辺31側(図2で右側の短辺)に配置されている。取出口形成部16は、図2に示すように、取り外し可能な部分として、互いに縁部18を一部共通するように配置された第1の部分21及び第2の部分22を有している。
取出口形成部16は、図6に拡大して示すように、略六角形状になっており、その六つの角部分はアール形状となっている。第1の部分21は、図1において取出口形成部16の右下部分に配置されており、略六角形状に形成されている。この第1の部分21の六つの角部分もアール形状となっている。
第1の部分21は、取出面10における一方の長辺33(図2で下側の長辺)の端部側(図2で右側)に配置される一方、第2の部分22は、取出面10における他方の長辺34(図2で上側の長辺)の中央側に配置されている。つまり、第2の部分22は、第1の部分21に隣接しており、図1において取出口形成部16の左上部分に配置されている。そして、第2の部分22は、第1の部分21における左上側の2つの辺を共通の縁部18としている。
第1の部分21及び第2の部分22の縁部18,19は、ミシン目によって形成されている。上記共通の縁部18以外の縁部19は、その一部が二重のミシン目になっている。そのことにより、手袋5を取り出す際に、手袋5が取出口15の縁で傷付きにくくなる。
また、第1の部分21及び第2の部分22の各左上部分には、これらを取り外す際に用いる摘まみ孔が形成される摘まみ部24が設けられている。摘まみ部24の縁もミシン目によって形成されている。
そして、図4に示すように、包装箱11の取出面10から第1の部分21を取り外すことにより比較的小さい取出口15が形成される。さらに、図5に示すように、第1の部分21に加えて第2の部分22を取り外すことにより比較的大きい取出口15が形成される。すなわち、第2の部分22を取り外すことによって、この第2の部分22の面積だけ取出口15が大きくなる。
ここで、複数の手袋5は、図2及び図3に示すように、手袋5の手首5aが取出面10における一方の短辺31側に配置され、且つ手袋5の指先5bが取出面10における他方の短辺32(図2で左側の短辺)側に配置されるように、向きを揃えて包装箱11に収容されている。そして、複数の手袋5は、取出口15から取り出される方向である横方向に積層されている。また、手袋5は薄手のものであって、例えばポリエチレンシート等からなるプラスチック製のものやニトリルゴム等のゴム製のものである。
図4及び図5に示すように、取出口15は、取出面10における一方の長辺33の端部側(図4及び図5で右側)から、他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成されている。
また、取出口15は、取出面10における一方の長辺33の端部側(図4及び図5で右側)から他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向(図4及び図5で斜め左方向)に延びる開口縁15aを有している。ここでいう開口縁15aは、取出口15における図4及び図5で左側(つまり、取出面10の中央側)の開口縁である。
そして、図1に示すように側方から手袋5を取り出すように包装箱11を横向きに配置した状態で、図4及び図5に示すように取出面10の開口縁15aよりも中央側部分が包装箱11内の手袋5を支持可能な支持部40となっている。つまり、支持部40は、取出口15よりも取出面10の中央側に配置されている。
したがって、本実施形態によると、包装箱11の取出面10における一方の長辺33が下側となるように包装箱11を横向きに配置し、取出口形成部16に形成した取出口15から側方へ手袋5を取り出して使用する場合、包装箱11内の手袋5が少なくなると、その複数の手袋5は、図5に示すように自重によって包装箱11内の下部にずれて偏ることとなる。包装箱11の下部に偏った複数の手袋5の重心位置Gは、側方から見て取出面10における下部中央位置となる。
これに対し、本実施形態では、取出口15が、取出面10における中心位置よりも一方の短辺31側に配置され、且つ、取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)から他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びる開口縁15aを有しており、その取出面10の開口縁15aよりも中央側部分が包装箱11内の手袋5を支持可能な支持部40となっている。
したがって、支持部40は、手袋5の重心位置Gと同じ取出面10の下部中央位置を含む領域に設けられることとなるので、複数の手袋5をその重心位置Gで好適に支持することができる。その結果、包装箱11内で複数の手袋5が下部に偏っていても、手袋5を1枚ずつ適切に取り出すことができる。
ここで、包装箱11内の複数の手袋5は、その数が少なくなるにつれて、包装箱11の下方へ徐々に偏っていくと共に包装箱11内で移動しやすく不安定になる。これに対し、本実施形態では、取出口15の開口縁15aが、取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)から他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びているので、その開口縁15aの側方の支持部40は、その幅(取出面10の長辺33,34方向の幅)が、下方へ向かって徐々に広くなる。すなわち、複数の手袋5が包装箱11の下方へ偏っていくにつれて支持部40の幅も広くなるので、包装箱11の下方へ偏っていく複数の手袋5を適切に支持することができる。そのため、複数枚の手袋5がまとまって取出口15から出てしまわないようにして、より適切に手袋5を1枚ずつ取り出すことができる。
さらに、手袋5の手首5aが取出面10における一方の短辺31側に配置され、且つ手袋5の指先5bが取出面10における他方の短辺32側に配置されるように、複数の手袋5が向きを揃えて包装箱11に収容されているので、手袋5の手首5a側が取出口15に臨む配置となる。したがって、使用者が手袋5を取り出す際に、常に手袋5の手首5a側を摘まんで引き出すことになるので、手袋5の指先5bを衛生的に保つことができる。
さらにまた、取出口形成部16が取り外し可能な第1の部分21及び第2の部分22を有する構成としたので、複数の手袋5が包装箱11内で詰まって移動しにくい使用当初には、第1の部分21のみを取り外して比較的小さい取出口15を形成することにより、適切に手袋5を1枚ずつ取り出すことができる。一方、手袋5の数が減って包装箱11内で移動し易くなったときは、第1の部分21に加えて第2の部分22を取り外して比較的大きな取出口15を形成することにより、手を包装箱11内に入れやすくし、包装箱11の内部から手袋5を容易に取り出すことができる。
特に、本実施形態では、第1の部分21を取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)に配置する一方、第2の部分22を取出面10における他方の長辺34の中央側に配置した。すなわち、取出面10における上記一方の長辺33が下側となるように包装箱11を横向きに配置した場合において、手袋5の数が減った状態では、複数の手袋5が包装箱11の下部に偏ることで包装箱11の上部に空間42が生じている(図5を参照)。よって、手袋5の数が減った状態で第2の部分22を取り外すことにより、包装箱11の上部の空間42が一部開放されるので、その空間42に手を差し入れて包装箱11内の手袋5を容易に摘まみ出すことができる。
さらに、取出口15を、取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)から、他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成することにより、手袋5が長孔状の取出口15を通りやすくなるので、取出面10に支持部40を設けながらも手袋5をスムーズに取り出すことができる。
《その他の実施形態》
図7は、その他の実施形態における手袋包装体1の取出面10を示す正面図である。上述の実施形態では、図2に示すように右側である一方の短辺31側に、取出口形成部16を配置形成した例について説明したが、本発明はこれに限らず、図6に示すように左側である一方の短辺31側に、取出口形成部16を配置形成してもよい。
すなわち、図6の手袋包装体1は、図2の手袋包装体1を左右反転した構成を有しており、図6の取出面10では、左側の短辺31が一方の短辺31となり、右側の短辺32が他方の短辺32となっている。このような構成としても、図2の手袋包装体1と同じ効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明は、複数の手袋が積層状態で収容された手袋包装体について有用である。
1 手袋包装体
5 手袋
5a 手首
5b 指先
10 取出面
11 包装箱
13 側面
15 取出口
15a 開口縁
16 取出口形成部
18 縁部
21 第1の部分
22 第2の部分
31 一方の短辺
32 他方の短辺
33 一方の長辺
34 他方の長辺
40 支持部
本発明は、手袋包装体に関する。
従来より、薄手のゴムやプラスティックフィルムからなる手袋が、複数枚重ねられた状態で包装箱に収容された手袋包装体が知られている。例えば、特許文献1の手袋包装体は、上下方向に積み重ねられた手袋が包装箱に収容されている。そして、包装箱の上面中央部に長孔形状の取出口が形成されている。手袋を包装箱から取り出す場合、最も上側に重ねられている手袋を、1枚ずつ取出口から上方へ引っ張り出す。
また、特許文献2にも、包装箱の上面中央部に取出口が形成された手袋包装体が開示されている。特許文献2の包装箱には、取り外し可能な部分として、第1の部分及び第2の部分が縁部を一部共通するように配置形成されている。そして、第1の部分のみを取り外すことで比較的小さい取出口が形成されると共に、さらに第2の部分を取り外すことで比較的大きい取出口が形成されるようになっている。
1枚の手袋を取り出す際に、包装箱内の他の手袋は、包装箱における取出口の周囲部分によって押さえられる。そのとき、取出口が小さいほど、包装箱内の他の手袋をしっかりと押さえることができる。したがって、使用当初は、第1の部分のみを取り外して比較的小さい取出口を形成することにより、手袋を適切に取り出すことができる。
一方、包装箱内に残っている手袋が少なくなったとき、手袋は、包装箱の底に溜まって取出口から離れることとなる。しかし、取出口が小さければ、手袋を取り出す際に、手を取出口から包装箱の内部へ入れにくくなってしまう。そこで、第2の部分を取り外して取出口を大きくすることよって、手を包装箱内に入れやすくし、手袋を容易に取り出せるようにすることができる。
ここで、手袋包装体は、例えば作業台等にそのまま置くと設置スペースが必要になるので、作業スペースが狭くなってしまう等の問題がある。そこで、室内の壁等にラックを設置し、そのラックに手袋包装体を横向きにした状態で固定支持させることが知られている。手袋包装体を横向きにして取出口が収容箱の側面に配置されるようにすると、包装箱内には手袋が横方向に積層されることになり、取出口から横方向に手袋が引っ張り出されることとなる。
特開2011−162257号公報
特表2015−504826号公報
しかし、上記特許文献1及び2の手袋包装体では、横向きに設置して手袋を側方から取り出すようにすると、包装箱内の手袋が少なくなった場合、その手袋の束は自重によって包装箱内の下部にずれて偏ってしまう。そして、包装箱の側面における中央部分に取出口が形成されているので、下方に偏った手袋を取出口の周囲部分により確実に支持することができない。そのため、残り少なくなった手袋を1枚ずつ取り出すことが難しくなり、場合によっては複数枚の手袋がまとまって取出口から出てしまう問題もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手袋包装体について、側方から手袋を取り出すように横向きに配置した場合にも、手袋を適切に取り出すことができるようにすることにある。
第1の発明に係る手袋包装体は、直方体状に形成された包装箱に複数の手袋が積層状態で収容された手袋包装体であって、上記包装箱は、上記手袋の取出口が形成される取出口形成部を有する長方形状の取出面を備え、上記複数の手袋は、上記取出口から取り出される方向に積層されており、上記取出口形成部は、上記取出面における中心位置に配置されておらず、且つ上記取出面における中心位置よりも一方の短辺側に偏って配置されており、上記取出口は、上記取出面における一方の長辺の端部側から他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる開口縁を有し、側方から上記手袋を取り出すように、上記取出面における一方の長辺が下側となるようにして上記包装箱を横向きに配置した状態で、上記取出面の上記開口縁よりも中央側部分が上記包装箱内の手袋を支持可能な支持部となっている。
第2の発明において、複数の上記手袋は、該手袋の手首が上記取出面における上記一方の短辺側に配置され、且つ該手袋の指先が上記取出面における他方の短辺側に配置されるように、向きを揃えて上記包装箱に収容されていることが好ましい。
第3の発明において、上記取出口形成部は、取り外し可能な部分として、互いに縁部を一部共通するように配置された第1の部分及び第2の部分を有し、上記第1の部分を取り外すことにより比較的小さい取出口が形成されると共に、上記第1の部分に加えて上記第2の部分を取り外すことにより比較的大きい取出口が形成されるように構成され、上記第1の部分は、上記取出面における上記一方の長辺の端部側に配置される一方、上記第2の部分は、上記取出面における上記他方の長辺の中央側に配置されていることが好ましい。
第4の発明において、上記取出口は、上記取出面における一方の長辺の端部側から、他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成されていることが望ましい。
第1の発明によれば、包装箱の取出面における一方の長辺が下側となるように包装箱を横向きに配置し、取出口形成部に形成した取出口から側方へ手袋を取り出して使用する場合、包装箱内の手袋が少なくなると、その複数の手袋は自重によって包装箱内の下部にずれて偏ることとなる。包装箱の下部に偏った複数の手袋の重心位置は、側方から見て取出面における下部中央位置となる。
これに対し、本発明では、取出口が、取出面における中心位置に配置されておらず、且つ取出面における中心位置よりも一方の短辺側に偏って配置され、且つ、取出面における一方の長辺の端部側から他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる開口縁を有しており、その取出面の開口縁よりも中央側部分が包装箱内の手袋を支持可能な支持部となっている。
したがって、支持部は、上記手袋の重心位置と同じ取出面の下部中央位置を含む領域に設けられることとなるので、複数の手袋をその重心位置で好適に支持することができる。その結果、包装箱内で複数の手袋が下部に偏っていても、手袋を1枚ずつ適切に取り出すことができる。
ここで、包装箱内の複数の手袋は、その数が少なくなるにつれて、包装箱の下方へ徐々に偏っていくと共に包装箱内で移動しやすく不安定になる。これに対し、本発明では、取出口の開口縁が、取出面における一方の長辺の端部側から他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びているので、その開口縁の側方の支持部は、その幅(取出面の長辺方向の幅)が、下方へ向かって徐々に広くなる。すなわち、複数の手袋が包装箱の下方へ偏っていくにつれて支持部の幅も広くなるので、包装箱の下方へ偏っていく複数の手袋を適切に支持することができる。そのため、複数枚の手袋がまとまって取出口から出てしまわないようにして、より適切に手袋を1枚ずつ取り出すことができる。
第2の発明によれば、手袋の手首が取出面における一方の短辺側に配置され、且つ手袋の指先が取出面における他方の短辺側に配置されるように、複数の手袋が向きを揃えて包装箱に収容されているので、手袋の手首側が取出口に臨む配置となる。したがって、使用者が手袋を取り出す際に、常に手袋の手首側を摘まんで引き出すことになるので、手袋の指先部分を衛生的に保つことができる。
第3の発明によれば、取出口形成部が取り外し可能な第1の部分及び第2の部分を有する構成としたので、複数の手袋が包装箱内で詰まって移動しにくい使用当初には、第1の部分のみを取り外して比較的小さい取出口を形成することにより、適切に手袋を1枚ずつ取り出すことができる。一方、手袋の数が減って包装箱内で移動し易くなったときは、第1の部分に加えて第2の部分を取り外して比較的大きな取出口を形成することにより、手を包装箱内に入れやすくし、包装箱の内部から手袋を容易に取り出すことができる。
特に、本発明では、第1の部分を取出面における一方の長辺の端部側に配置する一方、第2の部分を取出面における他方の長辺の中央側に配置した。すなわち、取出面における上記一方の長辺が下側となるように包装箱を横向きに配置した場合において、手袋の数が減った状態では、複数の手袋が包装箱の下部に偏ることで包装箱の上部に空間が生じている。よって、手袋の数が減った状態で第2の部分を取り外すことにより、包装箱の上部の空間が一部開放されるので、その空間に手を差し入れて包装箱内の手袋を容易に摘まみ出すことができる。
第4の発明によれば、取出口を、取出面における一方の長辺の端部側から、他方の長辺の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成することにより、手袋が長孔状の取出口を通りやすくなるので、取出面に支持部を設けながらも手袋をスムーズに取り出すことができる。
図1は、本実施形態における手袋包装体の外観を示す斜視図である。
図2は、手袋包装体の取出面を示す正面図である。
図3は、包装箱の内部に収容された複数の手袋を示す断面図である。
図4は、第1の部分が取り外された取出面を示す正面図である。
図5は、第1の部分及び第2の部分が取り外された取出面を示す正面図である。
図6は、取出口形成部を拡大して示す正面図である。
図7は、その他の実施形態における手袋包装体の取出面を示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1〜図6は、本実施形態における手袋包装体1を示している。図1は、手袋包装体1の斜視図であり、図2、図4及び図5は、手袋包装体1の取出面10を示す正面図である。また、図3は、手袋包装体1の内部に収容された手袋5を示している。図6は、取出口形成部16を拡大して示している。
手袋包装体1は、図1及び図3に示すように、直方体状に形成された包装箱11と、包装箱11に積層状態で収容された複数の手袋5とを備えている。包装箱11は、紙製の箱であって、長方形の取出面10と、取出面10の周囲四辺に配置された4つの側面13と、取出面10の裏側に配置された背面14とを有している。取出面10は、手袋5の取出口15が形成される取出口形成部16を有している。
手袋包装体1は、図1に示すように、取出面10が側方を向くように横向きに配置された状態で、壁に設置されたラック(図示省略)に装着される。このように壁に手袋包装体1を設置することにより、作業台等に手袋包装体1の設置スペースを不要にすることができる。尚、手袋包装体1は、取出面10が上方を向くように平置きとして、手袋5を上側に引き出すような使用態様としてもよい。
図2に示すように、取出口形成部16は、取出面10における中心位置よりも一方の短辺31側(図2で右側の短辺)に配置されている。取出口形成部16は、図2に示すように、取り外し可能な部分として、互いに縁部18を一部共通するように配置された第1の部分21及び第2の部分22を有している。
取出口形成部16は、図6に拡大して示すように、略六角形状になっており、その六つの角部分はアール形状となっている。第1の部分21は、図1において取出口形成部16の右下部分に配置されており、略六角形状に形成されている。この第1の部分21の六つの角部分もアール形状となっている。
第1の部分21は、取出面10における一方の長辺33(図2で下側の長辺)の端部側(図2で右側)に配置される一方、第2の部分22は、取出面10における他方の長辺34(図2で上側の長辺)の中央側に配置されている。つまり、第2の部分22は、第1の部分21に隣接しており、図1において取出口形成部16の左上部分に配置されている。そして、第2の部分22は、第1の部分21における左上側の2つの辺を共通の縁部18としている。
第1の部分21及び第2の部分22の縁部18,19は、ミシン目によって形成されている。上記共通の縁部18以外の縁部19は、その一部が二重のミシン目になっている。そのことにより、手袋5を取り出す際に、手袋5が取出口15の縁で傷付きにくくなる。
また、第1の部分21及び第2の部分22の各左上部分には、これらを取り外す際に用いる摘まみ孔が形成される摘まみ部24が設けられている。摘まみ部24の縁もミシン目によって形成されている。
そして、図4に示すように、包装箱11の取出面10から第1の部分21を取り外すことにより比較的小さい取出口15が形成される。さらに、図5に示すように、第1の部分21に加えて第2の部分22を取り外すことにより比較的大きい取出口15が形成される。すなわち、第2の部分22を取り外すことによって、この第2の部分22の面積だけ取出口15が大きくなる。
ここで、複数の手袋5は、図2及び図3に示すように、手袋5の手首5aが取出面10における一方の短辺31側に配置され、且つ手袋5の指先5bが取出面10における他方の短辺32(図2で左側の短辺)側に配置されるように、向きを揃えて包装箱11に収容されている。そして、複数の手袋5は、取出口15から取り出される方向である横方向に積層されている。また、手袋5は薄手のものであって、例えばポリエチレンシート等からなるプラスチック製のものやニトリルゴム等のゴム製のものである。
図4及び図5に示すように、取出口15は、取出面10における一方の長辺33の端部側(図4及び図5で右側)から、他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成されている。
また、取出口15は、取出面10における一方の長辺33の端部側(図4及び図5で右側)から他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向(図4及び図5で斜め左方向)に延びる開口縁15aを有している。ここでいう開口縁15aは、取出口15における図4及び図5で左側(つまり、取出面10の中央側)の開口縁である。
そして、図1に示すように側方から手袋5を取り出すように包装箱11を横向きに配置した状態で、図4及び図5に示すように取出面10の開口縁15aよりも中央側部分が包装箱11内の手袋5を支持可能な支持部40となっている。つまり、支持部40は、取出口15よりも取出面10の中央側に配置されている。
したがって、本実施形態によると、包装箱11の取出面10における一方の長辺33が下側となるように包装箱11を横向きに配置し、取出口形成部16に形成した取出口15から側方へ手袋5を取り出して使用する場合、包装箱11内の手袋5が少なくなると、その複数の手袋5は、図5に示すように自重によって包装箱11内の下部にずれて偏ることとなる。包装箱11の下部に偏った複数の手袋5の重心位置Gは、側方から見て取出面10における下部中央位置となる。
これに対し、本実施形態では、取出口15が、取出面10における中心位置よりも一方の短辺31側に配置され、且つ、取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)から他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びる開口縁15aを有しており、その取出面10の開口縁15aよりも中央側部分が包装箱11内の手袋5を支持可能な支持部40となっている。
したがって、支持部40は、手袋5の重心位置Gと同じ取出面10の下部中央位置を含む領域に設けられることとなるので、複数の手袋5をその重心位置Gで好適に支持することができる。その結果、包装箱11内で複数の手袋5が下部に偏っていても、手袋5を1枚ずつ適切に取り出すことができる。
ここで、包装箱11内の複数の手袋5は、その数が少なくなるにつれて、包装箱11の下方へ徐々に偏っていくと共に包装箱11内で移動しやすく不安定になる。これに対し、本実施形態では、取出口15の開口縁15aが、取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)から他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びているので、その開口縁15aの側方の支持部40は、その幅(取出面10の長辺33,34方向の幅)が、下方へ向かって徐々に広くなる。すなわち、複数の手袋5が包装箱11の下方へ偏っていくにつれて支持部40の幅も広くなるので、包装箱11の下方へ偏っていく複数の手袋5を適切に支持することができる。そのため、複数枚の手袋5がまとまって取出口15から出てしまわないようにして、より適切に手袋5を1枚ずつ取り出すことができる。
さらに、手袋5の手首5aが取出面10における一方の短辺31側に配置され、且つ手袋5の指先5bが取出面10における他方の短辺32側に配置されるように、複数の手袋5が向きを揃えて包装箱11に収容されているので、手袋5の手首5a側が取出口15に臨む配置となる。したがって、使用者が手袋5を取り出す際に、常に手袋5の手首5a側を摘まんで引き出すことになるので、手袋5の指先5bを衛生的に保つことができる。
さらにまた、取出口形成部16が取り外し可能な第1の部分21及び第2の部分22を有する構成としたので、複数の手袋5が包装箱11内で詰まって移動しにくい使用当初には、第1の部分21のみを取り外して比較的小さい取出口15を形成することにより、適切に手袋5を1枚ずつ取り出すことができる。一方、手袋5の数が減って包装箱11内で移動し易くなったときは、第1の部分21に加えて第2の部分22を取り外して比較的大きな取出口15を形成することにより、手を包装箱11内に入れやすくし、包装箱11の内部から手袋5を容易に取り出すことができる。
特に、本実施形態では、第1の部分21を取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)に配置する一方、第2の部分22を取出面10における他方の長辺34の中央側に配置した。すなわち、取出面10における上記一方の長辺33が下側となるように包装箱11を横向きに配置した場合において、手袋5の数が減った状態では、複数の手袋5が包装箱11の下部に偏ることで包装箱11の上部に空間42が生じている(図5を参照)。よって、手袋5の数が減った状態で第2の部分22を取り外すことにより、包装箱11の上部の空間42が一部開放されるので、その空間42に手を差し入れて包装箱11内の手袋5を容易に摘まみ出すことができる。
さらに、取出口15を、取出面10における一方の長辺33の端部側(図2で右側)から、他方の長辺34の中央側へ向かって斜め方向に延びる長孔状に形成することにより、手袋5が長孔状の取出口15を通りやすくなるので、取出面10に支持部40を設けながらも手袋5をスムーズに取り出すことができる。
《その他の実施形態》
図7は、その他の実施形態における手袋包装体1の取出面10を示す正面図である。上述の実施形態では、図2に示すように右側である一方の短辺31側に、取出口形成部16を配置形成した例について説明したが、本発明はこれに限らず、図6に示すように左側である一方の短辺31側に、取出口形成部16を配置形成してもよい。
すなわち、図6の手袋包装体1は、図2の手袋包装体1を左右反転した構成を有しており、図6の取出面10では、左側の短辺31が一方の短辺31となり、右側の短辺32が他方の短辺32となっている。このような構成としても、図2の手袋包装体1と同じ効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明は、複数の手袋が積層状態で収容された手袋包装体について有用である。
1 手袋包装体
5 手袋
5a 手首
5b 指先
10 取出面
11 包装箱
13 側面
15 取出口
15a 開口縁
16 取出口形成部
18 縁部
21 第1の部分
22 第2の部分
31 一方の短辺
32 他方の短辺
33 一方の長辺
34 他方の長辺
40 支持部