JP2017538579A - ポリフッ化ビニリデンの微多孔質平膜 - Google Patents

ポリフッ化ビニリデンの微多孔質平膜 Download PDF

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Abstract

本発明は、壁と、第1の表面及び第2の表面とを有する、フッ化ビニリデンポリマーから製造される疎水性平膜に関する。膜は、その第1の表面上に、開放細孔を有する網目構造を有し、その第2の表面上に、細孔が形成された連続的スキンを有し、第2の表面のスキンに隣接して、壁厚を横切る等方性細孔構造を伴う支持層を有し、その支持層は、壁厚の少なくとも80%に亘って延在しており、その支持層の細孔は、平均直径が1μm未満である。フッ化ビニリデンポリマーの重量平均分子量MWは、300000〜500000ダルトンの範囲にあり、多分散度MW/MNは、5.5より大きい。第2の表面のスキン中の細孔は、スキンの平面中で閉じた周囲長を有し、その最長の軸の方向における伸長の、その最短の軸の方向における伸長に対する平均比は、多くとも5である。第1の表面及び第2の表面中の細孔は、それらの向きにおいて本質的に等方性の分布を有する。この膜の多孔度は、50〜90体積%の範囲にあり、壁厚は、50〜300μmの範囲にある。この膜の最大分離孔径dmaxは、0.05〜1.5μmの範囲にある。

Description

本発明は、壁厚を有する壁と、第1の表面及び第2の表面とを有する、微多孔構造を伴う平膜の形態にあってフッ化ビニリデンポリマーから製造される疎水性膜であって、膜の壁は、壁厚を横切って実質的に等方性でありフィンガーポア(finger pore)をもたない、スポンジ状の、開放気孔性の細孔構造を有する微多孔質支持層を含み、この支持層は、壁厚の少なくとも80%に亘って延在し、かつ平均直径が1μm未満である細孔を含み、この膜は、その第1の表面及びその第2の表面中に細孔を有する、疎水性膜に関する。
微多孔質ポリマー膜は、非常に多岐に亘る、工業的、医薬的及び医学的な用途において、精密ろ過のために使用される。これらの用途では、膜分離法の重要性が増しており、それは、これらの方法には、分離される材料が熱的にストレスを受けず、かつ確実に損傷されないという利点があるためである。精密ろ過膜は、例えばサブミクロン範囲まで小さなサイズを有する微細な粒子又は微生物の除去を可能にし、したがって、研究室で使用する又は半導体工業で使用する純水の製造に好適である。他の多くの膜分離法の用途が、飲料工業で、バイオテクノロジーで又は廃水技術で公知である。
膜はまた、膜蒸留法のために使用されることも増えている。膜蒸留法は、従来の熱蒸留法と膜ろ過法とを組み合わせたものである。この方法は、熱的に駆動される分離法であり、その分離は、従来の蒸留法と同様、相変化に起因して行われる。例えば、膜蒸留法の手段によって塩水を処理するときには、液体相のための、つまり塩水のためのバリアを形成する疎水性膜が使用される。しかしながら、気相については、即ち水蒸気については、膜は透過性であり、水蒸気は、膜の細孔を透過することができる。この方法のための駆動力は、膜の2つの側の温度差によって通常生じる部分的な蒸気圧勾配である。通例、処理される塩水は、加熱され、疎水性膜の一方の側に沿ってガイドされる。膜の他方の側は、必要とされる温度差を実現させるために、より低い温度レベルにて保たれる。この方法は、膜を通って透過する水分子の、膜の透過側での濃縮をもたらすように行うことができる。しかしながら、この方法はまた、透過する水分子を蒸気の形態で運び去り、別のコンデンサ中で濃縮するような方法によっても行うことができる。
したがって、膜蒸留法(membrane distillation、MD)のために使用される膜の選択的特性は、液体の水の保持と同時に、自由水分子、即ち水蒸気透過性に基づく。この用途では、処理される水が、全く膜を透過しないで又はごくわずかな程度までしか膜を透過しないで細孔を満たすことが重要である。処理される水が膜を通過することを妨げて水蒸気又は水分子の通過のみを可能にするためには、膜の細孔が空気で満たされたままであることが必要である。この場合では、膜の、処理される水が位置する側での静水圧は、浸透圧、即ち膜を通しての水の透過が起こり始める圧力よりも低くなければならない。
詳細には、膜蒸留法の分野で使用される膜は、疎水性ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)又はポリプロピレン(polypropylene、PP)から製造される。このタイプの膜ポリマーは、とりわけこれらの膜を酸及びアルカリ液で洗浄するために必要とされる、高い温度安定性及び良好な化学物質耐性を同時に特徴とする。それと同時に、膜は、膜蒸留法のために、高い圧力安定性を有していなければならない。
米国特許第6146747A号は、特にポリビニルピロリドン等の、親水性ポリマーの添加に起因して親水性であるPVDF膜に関する。一実施形態では、米国特許第6146747A号の膜は、壁厚の少なくとも80%を横切って延在する等方性構造を有する。米国特許第6146747A号で開示されている膜の細孔は、膜の第1の表面上で最小であり、膜の第2の表面上で最大である。内側の等方性領域は、10μmの範囲内の細孔を有する比較的大きい細孔を有し、かつフィラメント状の網目構造を有する。膜の製造は、室温をやや超える温度に調節された溶液から行われ、ここで、凝固は、PVDFを溶解させることができない非溶媒中への浸漬がきっかけとなる。したがって、この方法は、非溶媒誘導相分離法に基づく。
欧州特許第0734759B1号は、熱誘導液体−液体相分離を伴う膜形成法を用いて製造されたPVDFから製造される膜を開示している。この膜は、それらの長手方向の伸長に沿って互いに離れた複数の位置において結合しているファイバー状又はフィラメント状ストランドを有する、ファイバー状構造を示す。欧州特許第0734759B1号の膜は、水の通過を可能にし、かつ実施例によれば、300ml/(分・m・バール)までの水透過性を有する。このタイプの膜の欠点は、ファイバー状又はフィラメント状ストランドの構造に起因して、フィラメント状ストランド間の空間が、したがって細孔のサイズが、圧力下で変化する恐れがあることである。
欧州特許第1520874A号は、とりわけポリフッ化ビニリデンから製造される膜に関し、その壁は、網目状構造と、層中に配置されている球形又は実質的に球形の粒子によって形成された構造との組合せから作られている。欧州特許第1520874A号の目的は、水の通過を可能にする、即ち高い水透過性を有する膜を提供することである。欧州特許第1520874A号の膜はまた、熱誘導相分離法においても製造することができる。
米国特許第5013339A号は、その製造方法に応じて、精密ろ過法、超ろ過法、膜蒸留法又は透析における使用が意図され、かつ膜の横断面に亘って等方性又は非等方性構造を有することができるPVDF膜を開示している。これらの膜を製造する方法もまた、熱誘導相分離法に基づき、ここでは、必要な場合には、グリセロールが添加され得る溶媒系として、一酢酸グリセリル、二酢酸グリセリル若しくは三酢酸グリセリル、又はこれらの混合物が使用され得る。冷却及び凝固が、ポリフッ化ビニリデンのための非溶媒(これは、好ましくは水である)中で行われる。
米国特許第2005/0058821A号は、三酢酸グリセリル中のポリフッ化ビニリデンの溶液からの熱誘導相分離法によるPVDF膜の製造を記載している。この方法において形成されるPVDF膜は、フィブリルにより結合された粒子の凝集により又は球晶の凝集により形成された構造を有する。
米国特許第2004/0135274A号は、フッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーから製造される膜に関し、これは、熱誘導相分離法での方法によって同様に製造される。米国特許第2004/0135274A号からの膜は、ランダムな空間方向にある3次元分岐を伴う等方性網目構造を有し、かつ目標とされる膜は、多孔質の表面を有するものである。米国特許第2004/0135274A号の膜は、ろ過のために、例えば粒子を液体から分離するために使用され、かつ高い水透過性を有する。冷却媒体がフッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーに低い親和性を有する場合には、例えば水、エチレングリコール又はデカリンの場合と同様、得られる膜の表面は、スキン状構造、又は粒状材料から成る構造を有する。フッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーに高い溶媒親和性を有する場合、米国特許第2004/0135274A号の記述によれば、開放気孔性の表面が得られる。米国特許第2004/0135274A号の方法では、ポリマー相の固化は、結晶化の手段によって行われる。
欧州特許第2052771A号は、とりわけ、1つの表面上に円形の又は楕円形の細孔を有し、別の表面上にスリット形の細孔を有し、これらが互いに平行に配置されている、ポリフッ化ビニリデン系の平膜に関する。欧州特許第2052771A号の膜は、熱誘導相分離法を伴う方法によって製造される。この方法は、ポリフッ化ビニリデンポリマー及びこのポリマーのための溶媒に加えて、多孔質膜の微多孔を調節するための無機粒子、並びにポリマー及び溶媒の耐性を改善するための手段を含有するポリマー溶液で始める。溶媒、粒子、並びにポリマー及び溶媒の耐性を改善させる手段の固化の後、かつ抽出の前に、多孔質膜は引っ張られる。
本発明の目的は、水性媒体中で膜蒸留法の作業のために使用することができ、かつ高い水蒸気透過性を有するが高い水圧をかけたときは水を透過させない、膜蒸留法に好適な膜を提供することである。この膜はまた、膜ろ過の分野での作業、特に精密ろ過の分野での作業にも好適であるべきである。
本発明の目的は、フッ化ビニリデンポリマーから製造される平膜の形態にある疎水性膜によって達成され、ここで、その膜は、壁厚を有する壁、第1の表面、及び第1の表面の反対に第2の表面を有し、
その膜は、その第1の表面上に、開放細孔を有する網目構造を有し、その第2の表面上に、細孔が形成された連続的スキンを有し、
第2の表面のスキンに隣接する膜は、壁厚を横切って実質的に等方性である、開放気孔性の、微多孔質の、かつスポンジ状の細孔構造を有する支持層を有し、この支持層は、壁厚の少なくとも80%に亘って延在しており、平均直径が1μm未満である細孔を含み、
以下の点を特徴とする:
平膜を形成するフッ化ビニリデンポリマーは、重量平均分子量Mが、300000〜500000ダルトンの範囲にあり、分子量の重量平均分子量Mと数平均Mとの比によって与えられる多分散度は、5.5より大きい。
第2の表面のスキン中の細孔は、島形を有し、即ちスキンの平面中で閉じた周囲長を有し、第2の面のスキン中の細孔は、その最長の軸の方向における伸長の、その最短の軸の方向における伸長に対する平均比が、多くとも5であり、かつ第1の表面及び第2の表面中の細孔が、その表面に対して垂直に見たときに、それらの向きの本質的に等方性の分布を有し、
膜の多孔度は、50〜90体積%の範囲にあり、壁厚は、50〜300μmの範囲にあり、
膜は、最大分離孔径dmaxが、バブルポイント法に従って測定して、0.05〜1.5μmの範囲にある。
特に壁厚を横切る細孔サイズ及び細孔構造を含めた構造的特徴の、本発明による組合せに起因して、膜蒸留法の分野における適用のための、表面の開放気孔性構造、多孔度及び膜の寸法と、水蒸気の高い質量流量が、膜を通る水のブレークスルーなしで達成される。加えて、本発明の膜は、ろ過の作業に著しく好適である。
本発明は、以下の実施例及び図に基づいて更に詳細に説明される。図の内容は、次の通りである:
実施例3による膜の第1の側(ローラー側)の倍率2000での走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopic、SEM)画像 実施例3による膜の第1の側(ローラー側)の倍率8000でのSEM画像 実施例3による膜の第2の側(空気側)の倍率2000でのSEM画像 実施例3による膜の第2の側(空気側)の倍率8000でのSEM画像 実施例3による膜壁を横切る横断面の倍率2000でのSEM画像 実施例5による膜の第1の側(ローラー側)の倍率8000でのSEM画像 実施例5による膜の第2の側(空気側)の倍率8000でのSEM画像 実施例5による膜壁を横切る横断面の倍率2000での走査電子顕微鏡(SEM)画像 比較例1による膜の第1の側(ローラー側)の倍率2000でのSEM画像 比較例1による膜の第1の側(ローラー側)の倍率8000でのSEM画像 比較例1による膜の第2の側(空気側)の倍率2000でのSEM画像 比較例1による膜の第2の側(空気側)の倍率8000でのSEM画像
本発明の平膜は、疎水性であり、即ち撥水性である。本発明の疎水性平膜の第2の表面上で、生じる水(water results)に対して90°を超える接触角がもたらされる。これは、膜蒸留法の分野における適用のために特に重要であり、それは、この手段によって、水の透過を一切阻止する、膜の使用における高い信頼性を実現でき、したがって膜を通る水のブレークスルーを実現できるためである。したがって、膜は、ポリフッ化ビニリデンから好ましくはなり、詳細には、通例、公知のポリフッ化ビニリデンの膜へ添加されるポリビニルピロリドン等の親水性の添加剤を一切含有しない。
先に述べたように、この膜は、その第2の表面上に連続的スキンを有し、その中には細孔が形成されている。本発明によれば、第2の表面中の細孔は、スキンの平面中に、閉じた周囲長を有する。このことは、細孔が、囲んでいるスキン中の島のように形成され、即ち島の形に形成され、スキンに囲まれていることを意味する。本発明の膜の第2の表面中の細孔又は開口部及びそれらを囲むスキンは、島−海構造を有し、ここで、細孔(「島」)は、それらを囲むスキン中に不連続相として配置され、スキンは、細孔又は開口部を囲む領域及びウェブを有する連続相(「海」)を表し、この領域及びウェブは、1つの平面中の第2の表面上にある。
スキンの平面中の閉じた周囲長を有する、第2の表面中の細孔の島形の形成に起因して、第2の表面は、第1の表面とは異なる構造を有し、その構造は、そこでポリマー材料から製造されたフィラメント状ウェブ間の空間が細孔系を形成する網目状構造を有する。第1の表面上の網目構造は、例えば米国特許第2004/0135274A号の膜が有するような表面構造に相当する。本発明の膜の2つの表面の構造は、フィブリル状ウェブを介して互いに結合することができる球状又は球晶粒子によって膜のポリマー構造が形成される、粒状又は球晶構造とは異なる。このタイプの、表面構造を伴う膜は、例えば国際公開第93/22034A号に示されている。本発明の膜の第2の表面の比較的滑らかな構造が、ファウリングの程度が低いという点で、又は粒子の静止(lodging)を減らす若しくは避けるという点で、応用において好ましいことが見出された。
本発明の膜の特別な構造、具体的には壁厚を横切って等方性である、スポンジ状の、開放気孔性の細孔構造を有する微多孔質支持層であって、壁厚の少なくとも80%に亘って延在し、平均直径が1μm未満である細孔を含む支持層は、応用における膜の、高度に強力で良好な機械的特性の基礎である。この構造に起因して、本発明の膜は、細孔のサイズが支持層内でさえ変化する非対称構造を有する膜とは異なり、その壁の中に洞状細孔を有する膜とも異なり、更にその表面及び/又は支持構造が粒状又は球晶構造を有する膜とも異なる。先行技術からのこれらの膜は、それらの異なる構造に起因して、機械的特徴が不十分であることが多く、例えば破断強度及び破裂点伸度が不十分である。
本発明の膜の支持層の均質な等方性構造は、機械的圧力下での、膜壁を横切る負荷の均一な分布に影響し、この分布は、圧力安定性、破断強度及び破断点伸度の高い値につながる。機械的特徴に関して、支持層中の細孔サイズが、記述した範囲内に留まることも同時に重要である。詳細には、支持構造は、洞又はマクロボイドとしばしば呼ばれることもあり数μmのサイズを有し得る、フィンガーポアをもたない。このタイプのフィンガーポアは、水が細孔の中へ早期に透過する不利な濡れ挙動を示す。代わりに、本発明の膜は、支持層が比較的微細に孔化されるように、支持層中に平均直径が1μm未満の細孔を有する。好ましくは、支持層中の細孔の平均直径は、0.5μm未満である。
支持層中の細孔構造は、本発明によれば、実質的に等方性である。これにより、支持層中の細孔の平均直径は、倍率2000での走査電子顕微鏡検査を用いて壁厚を横切って見たときに実質的に一定であることが一方で理解される。別の表現をすれば、等方性支持構造の領域は、実質的に一定の直径を有する流れチャネルが壁厚を横切って存在する領域として見ることができる。当然ながら、等方性支持層中の実際の細孔サイズがいくぶんか多様であるという事実もまた考慮に入れられるべきであり、即ち、支持層は、その構造が走査電子顕微鏡検査で等方性に見える場合であってさえ、どの膜構造に適用可能であるような細孔サイズ分布をある程度まで有する。したがって、本発明との文脈内で、実質的に一定の平均孔径は、膜壁を横切る支持層の伸長において、+/−50%を超えて変化しないものであると理解される。
他方、実質的に等方性の細孔構造は、同時に、個々の細孔がまた不規則な又は楕円の形でさえあり得るとしても、全ての細孔に亘って平均したとき、その表面に対して平行でかつ垂直な空間的方向にある細孔は、実質的に同じ伸長を有し、それにより、20%までの個々の空間的方向において、伸長間の偏差が含まれることが理解される。そのため、本発明の膜は、部分的に球状でありかつ楕円形でありそれらの壁中の開口部を介して互いに結合している細孔の壁に囲まれた細孔を呈する多孔性構造を有する。そのため、本発明の構造は、例えば米国特許第2004/0135274A号又は欧州特許第0734759A号からの微細孔質膜等の、例えば空間的方向においてランダムに方向づけられた3次元の分岐を有する網目構造とは異なり、本開示との関連で、このことについて、ここで明示的に言及する。他方、本発明の膜の細孔構造は、フィブリル状ウェブを介して互いに結合することができる球状又は球晶粒子によって膜のポリマー構造が形成される、粒状又は球晶構造とは異なる。このタイプの構造を伴う膜は、例えば欧州特許第1230970A号又は国際公開第93/22034A号に記載されており、又は米国特許第2004/0135274A号の図6で開示されており、本開示との関連で、このことについて、ここで明示的に言及する。同様に、本発明の膜の構造は、欧州特許第A−0734759B1号の膜が有するもの等の、ファイバー状ストランド又はフィラメント状ストランドを伴うファイバー状構造とは異なり、本開示との関連で、このことについて、ここで明示的に言及する。
定義された、その細孔が平均粒径1μm未満である微多孔質の細孔構造を伴う支持層の均質な等方性構造は、第1及び第2の多孔質の表面と併せて、膜蒸留法における本発明の膜の用途において、高い水蒸気等の気体媒体透過性にとって重要である。そのため、平均直径が1μm未満、好ましくは0.5μm未満である細孔を有する比較的微細な細孔の支持層は、応用において、平膜の、高い機械的安定性に関して、特に高い圧力安定性に関して、有利な影響を及ぼす。
好ましくは、本発明の膜は、水蒸気の質量流量、又は水蒸気の膜貫通流量が、平膜のモジュールにより、膜面積40cm、塩水循環路温度80℃、及び蒸留物の循環路温度30℃、循環路における体積流量200l/h、入口から平膜モジュールまでの循環路における圧力レベル500ミリバール、及び塩の循環路における塩の濃度36g/lにて測定されて、少なくとも35l/(m・h)、特に好ましくは少なくとも50l/(m・h)である。
水蒸気の高い膜貫通流量を実現させるために、膜蒸留法への適用において、膜壁を横切る高い部分的蒸気圧勾配が存在すると有利である。その構造的特徴に関してバランスのとれた組合せに起因して、本発明による膜は、機械的強度が高く、したがって、そこで真空が透過液側に存在することが多い用途において出現する差圧力に耐えることができる。好ましい実施形態では、本発明による膜は、破断点伸度が少なくとも50%である。更に好ましい実施形態では、本発明による膜は、破断強度が少なくとも200cN/mmである。特に好ましくは、本発明による膜は、破断点伸度が少なくとも50%であり、併せて破断強度が少なくとも200cN/mmである。
使用されるポリフッ化ビニリデンが、機械的特性において、及び膜の性能データにおいて、決定的な影響を及ぼすことが実証された。不十分な分子量、即ち重量平均分子量がM=300000ダルトン未満の範囲にあるポリフッ化ビニリデンが使用される膜では、それにより得られた膜の、破断点伸度が不十分であり、したがって強度が不十分であることが見出された。重量平均分子量が300000〜500000ダルトンの範囲にあるが多分散度が5.5未満であるポリフッ化ビニリデンから製造された膜では、細孔構造における変化を認めることができ、そこでは、細孔がより少ない程度まで互いに結合し、つまりそれらがより低い相互結合性を呈することもまた示された。結果として、得られた、イソプロピルアルコールの膜貫通流量は、減少する。好ましくは、膜を形成しているフッ化ビニリデンポリマーの構造は、多分散度が6より大きい。多分散度は、好ましくは、多くとも10である。重量平均分子量が300000〜500000ダルトンの範囲にあるが多分散度が10より大きいポリフッ化ビニリデンから製造された膜では、得られた膜構造は、本発明により望まれる膜から、はずれる恐れがあることが観察された。
平均分子量の異なる2種のポリフッ化ビニリデンの混合物が、ポリフッ化ビニリデンとして好適であることが証明された。このタイプの混合物は、好ましくは、名称Solef(登録商標)6020(Solvay)で入手可能であるポリフッ化ビニリデンの混合物、並びに名称Hylar(登録商標)461(これもまたSolvay)で入手可能であるポリフッ化ビニリデンの混合物、又は類似のポリフッ化ビニリデンの混合物とすることができ、ここで、先に引用した、重量平均分子量Mに関する条件並びに多分散度M/Mに関する条件が、常に観察されなければならない。名称Solef(登録商標)6020で入手可能なポリフッ化ビニリデンは、重量平均分子量Mが552000ダルトンであり、多分散度が5.1である。名称Hylar(登録商標)491で入手可能なポリフッ化ビニリデンでは、重量平均分子量M271000ダルトン、多分散度5.97が求められた。これら2種のポリフッ化ビニリデンの比50:50での混合物は、重量平均分子量Mが457000ダルトンであり、多分散度が6.92であり、本発明で必要とされる範囲内に収まる値となる。重量平均分子量及び多分散度を測定する方法に関しては、この後の検討で言及される。
本発明によれば、平膜の最大分離孔径dmaxは、バブルポイント法による測定で、0.05〜1.5μmの範囲にある。好ましくは、分離孔径dmaxは、0.1〜1μmの範囲にある。膜壁を透過する水なしで、膜蒸留法での適用において出現する圧力に耐えるために、特に好ましい実施形態における本発明による膜の最大分離孔径dmaxは、バブルポイント法による測定で、0.3〜0.8μmの範囲にある。最大分離孔径が0.8μmを超えると、その用途において広く行われている操作圧力及びそれらの変動において、温度の影響を考慮に入れると、水が膜に入って透過するというリスクが高く存在する。最大分離孔径が0.3μm未満であると、実現可能な水蒸気の膜貫通流量の減少にますます影響する。膜蒸留法での適用に最も好適なのは、最大分離孔径dmaxが0.3〜0.6μmの範囲にある、本発明による平膜である。
更に特に好ましい実施形態では、膜は、名目上の細孔が0.1〜0.45μmの範囲にある。この事例では、名目上の細孔は、膜の、特定の微生物を保持する能力によって規定される。例えば、名目上の細孔が0.2μmである膜は、Brevundimonas diminuta属の細菌を保持し、名目上の細孔が0.45μmである膜は、Serratia marcescens属の細菌を保持する。名目上の細孔が0.2μmである本発明の平膜が、特に好適である。このタイプの平膜は、液体を無菌ろ過するために最適に使用することができ、ここで、膜を形成している材料の高い温度安定性に起因して、より高い工程温度での適用もまた可能である。名目上の細孔サイズの試験及び測定は、例えばHIMA Specification No.3,Vol.4,1982(Health Industry Manufacturers Association)に記載されている。
本発明による膜の多孔度は、50〜90体積%の範囲にある。50体積%未満では、膜蒸留法における適用にて、実現可能な、水蒸気の膜貫通流量の実質的な減少が示される。ろ過の分野における適用でも、多孔度が50体積%未満の膜はまた不利であり、それは、実現された、膜を通る流量が不十分なためである。他方で90体積%超では、膜の機械的特性の低下が示される。膜の多孔度が70〜85体積%の範囲にあると有利である。
多量の、水蒸気の膜貫通流量を実現させるためにはまた、膜壁が、媒体のための全体的な透過能力が高いことも必要となる。このために特に重要なのは、多孔度、細孔構造、細孔サイズ、壁中の細孔の分布及び透過性、並びに表面多孔度である。イソプロピルアルコールの膜貫通流量は、疎水性膜の高い透過性の尺度とみなされる。先に述べたように、本発明の膜は、高い透過性を有し、好ましい実施形態では、イソプロピルアルコールの膜貫通流量は3〜15ml/(cm・分・バール)の範囲にあり、特に好ましくはイソプロピルアルコールの膜貫通流量は4〜10ml/(cm・分・バール)の範囲にある。
本発明の疎水性平膜では、水の膜貫通流量を直接測定はできず、それは、膜の細孔が水によって濡れることができないためである。しかしながら、測定は、最初に膜をアルコール溶液、即ちイソプロピルアルコールをベースとした溶液でフラッシュ(flushed)して、続いてそのアルコール溶液を水に置き換えるフラッシング(flushing)の工程のような方法で実施することができる。水の膜貫通流量は、イソプロピルアルコールの膜貫通流量よりも、約2〜約2.5倍多いことが見出された。
本発明によれば、膜の壁厚は、50〜300μmの範囲にある。一方で、本発明により必要とされる更なる構造特性を維持することによっても、水蒸気の、所望の、多量の膜貫通流量を実現することができる。他方、膜は、十分高い機械的強度を有する。加えて、膜蒸留法における適用での効力損失をもたらす、膜壁を介した熱の損失は、低く保たれる。好ましいのは、60〜150μmの範囲の壁厚であり、特に好ましいのは、80〜140μmの範囲の壁厚である。
好ましい実施形態では、膜の第2の表面中の細孔は、最大直径が3μmである。第2の表面がこのような孔径であると、流れが膜蒸留法の適用において第2の表面の側に適用されるとき、水が膜に入るリスクの著しい減少が示される。この場合、非円形を有する細孔の直径は、その細孔の主軸の短いほうの長さであると理解されるべきである。本発明の平膜の第2の表面中の細孔の最大直径が2μmであることが特に好ましい。特に有利なのは、最大孔径1.0μmであり、ここで、最大孔径が0.5μmである平膜が、膜蒸留法の分野における適用にとって最も好適である。
好ましい実施形態では、第2の表面中の細孔は、第1の表面中の細孔よりも小さい。詳細には、平膜の第1の表面が透過側であり、気体相が膜の透過側に存在し、特に真空が同様に透過側に存在する、膜蒸留法における適用では、第1の表面中の、より大きい細孔が、透過物を膜から離して運ぶのに有利であることが見出された。
この場合、疎水性膜の第1の表面の表面多孔度は、第2の表面の表面多孔度よりも大きい。更に好ましい実施形態では、第2の表面の表面多孔度は、多くとも10%、特に好ましくは多くとも5%である。このことはまた、膜蒸留法において、水が透過するリスクを更に減らすことができる。
膜が、その製造中に、意味のある引っ張りを受けなかった場合、膜の温度安定性に関して、即ち特に細孔構造における変化に伴う、より高い温度での膜の任意の収縮に関して、有利であることが証明された。高程度の引っ張りは、表面上の細孔に影響を及ぼし、これは、膜の伸長の方向において、それに対して垂直方向の直径よりも、実質的に大きい直径を有する。したがって、膜の第2の表面中の細孔は、それらの最長の軸の、それらの最短の軸に対する平均比が、多くとも5、好ましくは多くとも3である。第2の表面中の細孔、及び第1の表面中の細孔は、それぞれの表面に対して垂直に見たとき、それらの向きの本質的に等方性の分布を有する、即ち一方向への優先配向をもたない。好ましい実施形態では、第1の表面中の細孔は、それらの最長の軸の、それらの最短の軸に対する平均比が、多くとも5、好ましくは多くとも3である。
本発明による平膜は、そこで膜形成が熱誘導相分離法を介して行われる方法によって製造することができる。このタイプの方法で、少なくとも1種のフッ化ビニリデンポリマーから製造されるポリマー成分の均質なキャスト溶液が溶媒系中で調製され、ここで、ポリマー成分のキャスト溶液及び溶媒系は、冷却時に、脱混合臨界温度及び固化温度、並びに凝集の液体状態において脱混合臨界温度未満の混和度ギャップを有し、かつ溶媒系は、液体であって溶解温度にて互いに均質に混合され得る化合物A及び化合物Bを含有し、かつポリマー成分のための溶媒は化合物Aから選択され、化合物Bはポリマー成分のための非溶媒である。均質なキャスト溶液は、脱混和臨界温度より高いツール温度を有する形成ツール中で、第1の表面及び第2の表面を有するフィルムへと形成され、フィルムの第1の側は、熱的に調節可能な担体上に配置され、固化温度未満の冷却温度へと調節される。この手段によって、調節可能な担体上のフィルムは、ポリマーに富む相とポリマーに乏しい相とへの熱力学的非平衡液体−液体相分離が起き、続いて、固化温度未満を通過する際に、ポリマーに富む相の固化が起きて膜構造を形成するような速度で、冷える。フィルムの第2の側は、気体雰囲気との接触するようにされる。膜構造が形成された後、フィルムは担体から引き外され、溶媒系の少なくとも一部がフィルムから除去されて平膜を得る。
好ましくは、フッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーから製造される平膜の形態にある本発明の疎水性膜を製造する方法は、少なくとも、
a)80〜70重量%の溶媒系中、少なくとも1種のフッ化ビニリデンポリマーから製造される20〜30重量%のポリマー成分の均質なキャスト溶液を用意するステップであって、ここで、ポリマー成分及び溶媒系のキャスト溶液が、冷却時に、脱混合臨界温度及び固化温度、並びに凝集の液体状態における脱混合臨界温度未満の溶解度ギャップを有し、かつ、溶媒系が、液体であって溶解温度にて互いに均質に混合され得る化合物A及び化合物Bを含有し、かつ、ここで、ポリマー成分のための溶媒が化合物Aから選択され、化合物Bがポリマー成分のための非溶媒であるステップと、
b)キャスト溶液を、脱混合臨界温度より高いツール温度を有する形成ツール中で、第1の表面及び第2の表面を有するフィルムへと形成するステップと、
c)フィルムの第1の側を調節可能な担体上に置き、これを固化温度未満の冷却温度へと調節し、その結果、ポリマーに富む相とポリマーに乏しい相とへの熱力学的非平衡液体−液体相分離が起きるような速度にて、調節可能な担体を介してフィルムが冷却され、続いて固化温度未満になるとポリマーに富む相の固化が起きて膜構造を形成するステップと、同時に、
d)フィルムの第2の表面を気体雰囲気と接触させるステップと、
e)形成された膜構造を有するフィルムを担体から引っ張るステップと、
f)溶媒系の少なくとも一部をフィルムから除去して平膜を得るステップとを含み、
この方法は、
ポリマー成分の重量平均分子量Mが300000〜500000ダルトンの範囲にあり、重量平均分子量Mと分子量の数平均Mとの比により与えられる多分散度M/Mが5.5より大きいことを特徴とする。
驚くべきことに、これらの方法の条件を維持することによって、微多孔質の、スポンジ状の、開放気孔性の構造を有するフッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーから製造される本発明の膜を得ることができ、この膜は、その第2の表面のスキンに隣接して、壁厚を横切って本質的に等方性の細孔構造を伴う支持層を有し、この支持層は、壁厚の少なくとも80%に亘って延在しており、平均直径が1μm未満である細孔を有し、かつその第2の表面上に、そこでスキンの平面中に島形の細孔が形成されて閉じた周囲長を有する連続的スキンを有することが示された。分子量に関して、並びに多分散度及び冷却中の条件に関して、特にフッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーの選択が、膜構造の形成に影響を及ぼすことが示された。
本発明による方法は、液体−液体相分離を伴う熱誘導相分離法に基づく。本発明によれば、ポリマー成分と化合物A及びBとを含有する溶媒系は、凝集の液体状態において、完全な系が均質な溶液として存在する範囲、及びそれが混和度ギャップを有する範囲を有する二成分系を形成する。このタイプの系が、それが均質な溶液として存在するところから、脱混和臨界温度又は相分離温度未満へと冷却されると、初期に、液体−液体脱混合、又は2つの液体相、即ちポリマーに富む相とポリマーに乏しい相とへの相分離が起きる。固化温度未満への更なる冷却の間、ポリマーに富む相は、3次元膜構造へと固化する。本発明の文脈内で、ポリマー成分と化合物A及びBとを含む系の固化温度は、好ましくは50℃超であり、特に好ましくは100℃超である。冷却速度が十分高くて液体−液体相分離が熱力学的平衡条件下で起こることができないが、その代わりに熱力学的非平衡条件下で起き、更に他方で依然として比較的ゆっくりである場合、液体−液体相分離は、本質的に同じサイズの多数の液滴の形成とおよそ同時に行われる。次いで、得られたポリマー構造は、スポンジ状の、多孔性の、かつ開放気孔性の微細構造を有する。熱誘導液体−液体相分離を伴う方法を用いたこうしたスポンジ状の微多孔構造の形成の異なるタイプが、独国特許第2737745A号(それへの明示の言及が、本開示に関してなされる)に広範囲に亘って記載されており、例えば、R.E.Kesting「Synthetic Polymeric Membranes」,John Wiley&Sons,1985,pp.261−264で提示されている。
本発明の平膜を形成する、又は膜を形成するためにその製造方法で使用されるフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンのホモポリマー又はフッ化ビニリデンのコポリマーとすることができる。フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレン、三フッ化エチレンクロリド、フッ化ビニル及びエチレンからなる群から選択される、少なくとも1種の更なる成分を伴うフッ化ビニリデンのコポリマーが、可能なフッ化ビニリデンのコポリマーである。好ましくは、2種以上のフッ化ビニリデンのホモポリマー及び/又はコポリマーの混合物を使用することができる。本発明の文脈内で、フッ化ビニリデンのホモポリマーが好ましい。
本発明によれば、使用される少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーから製造されるポリマー成分は、平均分子量Mが、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた測定で、300000〜500000ダルトンの範囲にあり、多分散度が少なくとも5.5である。2種以上のフッ化ビニリデンのホモポリマー及び/又はコポリマー成分の混合物の好ましい使用の場合には、それらの成分は、好ましくは、混合物の調整によって重量平均分子量及び多分散度を変えられるように、異なる平均分子量を有する。
先に述べたように、使用されるポリフッ化ビニリデン、並びに特にその分子量及びその分子量の多分散度は、膜の機械的特性及び性能データに決定的な影響を及ぼすだけでなく、平膜の製造中に形成する細孔構造にも決定的な影響を及ぼす。重量平均分子量が300000〜500000ダルトンの範囲にあるが多分散度が5.5未満であるポリフッ化ビニリデンポリマー成分を使用すると、細孔の相互接続性が低く、かつねじれが増した膜が得られることが見出された。好ましくは、使用されるポリフッ化ビニリデンポリマー成分は、多分散度が6より大きい。多分散度は、好ましくは多くとも10である。重量平均分子量が300000〜500000ダルトンの範囲にあるが多分散度が10より大きいポリフッ化ビニリデン成分から膜を製造すると、本発明の方法において存在する鎖長が非常に異なるフッ化ビニリデンポリマー分子が、熱誘導相分離法で、非常に異なる沈殿動態、及び、例えば非常に異なる温度での沈殿をもたらす恐れがあることが観察された。このことは、膜構造を形成することに影響を及ぼす恐れがあり、かつ所望の膜構造を得ることを妨げる恐れがある。
必要な程度又は範囲に、フッ化ビニリデンのホモポリマー又はフッ化ビニリデンのコポリマーはまた、抗酸化剤、UV吸収剤、潤滑剤又は核化剤等の添加剤を含有することができる。
採用したポリマー成分、化合物A及び化合物B(化合物A及びBは一緒に溶媒系を形成する)の組成物は、合わさって、1つの均質な液体相へ変換可能であり、それ未満で2つの液体相への相分離が起きる脱混合臨界温度を有していなければならない。しかしながら、この温度は、ポリマーの等しい割合を含有するが溶媒系として化合物Aのみを含有する溶液の脱混合温度よりも高い。凝集の液体状態における混和度ギャップを伴うポリマー成分/化合物Aの系では、そのため、脱混合臨界温度は、化合物Bの添加により高くすることができる。化合物Bを添加すると、得られた多孔質構造における、目標とする孔径及び細孔体積の調整が可能になる。
1つのタイプの化合物が、ポリマー成分のための溶媒である化合物Aのために使用されることになり、このポリマー成分は、この化合物の、高くとも沸点への加熱中に、完全に溶解して均質な溶液を形成する。本発明によれば、化合物は、ポリマー成分のための非溶媒である化合物Bとして選択される。ポリマー成分のための非溶媒は、一般に、本発明の文脈内で、非溶媒中に濃度1重量%にてポリマー成分を溶解せずに、この非溶媒の、高くとも沸点へ加熱する間に均質な溶液を形成する化合物であると理解される。
このようにして、化合物Aは、更なる溶媒と混合され得た。化合物Bはまた、追加の非溶媒との混合物において使用することができる。結果として、本発明の文脈内で、化合物Aは、溶媒としての全体の影響が変わらずそのままである限り、1種の化合物だけでなく、異なる溶媒の混合物としても理解される。同様に、化合物Bもまた、非溶媒としての影響が変わらずに残る限り、異なる非溶媒の混合物としても理解される。
化合物Aとして、即ち少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーのための溶媒として、好ましくは三酢酸グリセリル、二酢酸グリセリル、2−(2−ブトキシエトキシ−)エチルアセテート、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸ジブチルエーテル、酢酸ブチルジグリコール、酢酸ブチルグリコール、二酢酸グリコール、炭酸プロピレン、ブチロラクトン、又はε−カプロラクタム、又は挙げられた化合物の混合物が使用される。特に好ましくは、三酢酸グリセリル、又は三酢酸グリセリルとε−カプロラクタムとの混合物が、化合物Aのために使用される。化合物Bとして、即ちポリマー成分のための非溶媒として、アジピン酸ジオクチル、一酢酸グリセリル、グリセロール、グリコール、ジグリコール、又はヒマシ油、又はこれらの混合物がよく適合する。特に好ましいのは、アジピン酸ジオクチル若しくはヒマシ油、又はこれらの混合物の使用である。
膜の製造のために必要とされるポリマーの割合、並びに溶媒系における化合物Aの化合物Bに対する比は、単純な試験による相ダイヤグラムの作成によって求めることができる。このタイプの相ダイヤグラムは、例えばC.A.Smolders,J.J.van Aartsen,A.Steenbergen,「Kolloid−Z.und Z.Polymere」,243(1971),pp.14−20によって記載されているように、公知の方法によって展開させることができる。通例、所期の溶媒Aでは、ポリマー成分と化合物A及び化合物Bとの混合物中の化合物Bの割合は、非溶媒、即ち化合物Bの濃度に依存する。溶媒系中の化合物Bの割合は、好ましくは50〜70重量%であり、特に好ましくは55〜65重量%である。
本発明によれば、均質なキャスト溶液中の少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーの濃度は、20〜30重量%であり、溶媒系の濃度は、80〜70重量%である。本発明の方法の好ましい実施形態では、ポリマー成分の割合は、23〜27重量%であり、化合物A及びBから成る溶媒系の割合は、78〜73重量%である。必要な場合、追加の物質が、ポリマー成分、化合物A及びB、又はポリマー溶液へ添加されることができ、例えば抗酸化剤、核化剤、増量剤、生物適合性を改善させる成分、即ち酸素化における膜の使用中に血液適合性を改善させる成分、例えばビタミンE等である。
平膜を形成するために、キャスト溶液は、脱混合臨界温度より高いツール温度を有する形成ツール中で、第1の表面及び第2の表面を有するフィルムへと形成される。フィルムの形成は、公知の方法において、例えば、シート押出ダイ、キャスト型、又はドクターブレードのような従来技術の成形ツールで行うことができる。
フィルムの第1の側又は表面は、フィルムの製造の方向で処理速度にて動く熱的に調節可能な担体上に置かれる。調節可能な担体に関しては、従来技術の担体を使用することができ、その担体から、形成された膜を、後で引き外すことができる。例えば、コーティングされた紙又は金属ベルトを使用することができる。熱的に調節可能な担体は、好ましくは、熱的に調節可能な回転ローラー、即ちその上へフィルムがキャストされるキャスト用ローラーである。調節可能な担体は、形成ツールの温度よりも低い温度で、かつフィルムが、フィルムの第1の側又は表面から開始して、ポリマーに富む相とポリマーに乏しい相とへの熱力学的非平衡液体−液体相分離が起きるような速度にて、調節可能な担体を介してフィルムが冷却される固化温度よりもはるかに十分低い温度を有し、続いて固化温度未満になると、ポリマーに富む相の固化が起き、膜構造を形成する。好ましくは、担体は、30〜80℃の範囲の温度、特に好ましくは40〜70℃の範囲の温度へと調節される。このようにして、形成されたフィルムを調節可能な担体上へ置いた後に、フィルムの第1の側で開始する脱混合温度未満の温度への冷却を行って相分離を開始する。調節可能な担体上のフィルムの滞留時間は、好ましくは5〜15秒である。
調節可能な担体上に置かれていない、フィルムの第2の表面は、気体雰囲気との接触に持ち込まれる。好ましい実施形態では、気体雰囲気の温度は、20〜25℃の範囲にある。同様に、気体雰囲気の相対湿度が45〜65%の範囲にあれば、好ましい。気体雰囲気の条件に起因して、後に得られる膜の性質は、第2の表面上に、例えばその表面の多孔度又は第2の表面中の細孔の平均サイズに、影響され得る。
ポリマー又は膜構造の冷却及び十分な固化の後、担体上に位置させたフィルムが担体から引き外される。膜構造の形成及び固化は、透明なフィルムから不透明なフィルムへの、フィルムの見かけの変化に基づいて評価することができる。
好ましい実施形態では、調節可能な担体は、調節可能なキャスト用ローラーであり、これは、その底部上の周囲長の一部と共に、液体冷却媒体で満たされた槽に浸漬される。この場合では、更に好ましい実施形態では、フィルムは、槽の表面上で、担体、即ちキャスト用ローラーから引き外され、それ自体は冷却媒体中に浸漬されない。
キャスト用ローラーを液状冷却媒体で槽へ浸漬すると、キャスト用ローラーの表面が濡れ、その回転中に、冷却媒体の薄いフィルムを槽から引っ張る。したがって、キャスト溶液フィルムが、乾燥したキャスト用ローラー上へ置かれず、むしろ冷却媒体で濡らされたキャスト用ローラー上へ置かれるように、キャスト用ローラーの表面は、冷却媒体のフィルムで濡らされる。これは、フィルム又は得られた膜の第1の側上の表面構造の形成に影響を及ぼし、得られた平膜の第1の表面上で開放気孔性の網目構造の形成を助ける。
当然ながら、冷却媒体は、冷却温度にて、膜構造の形成を可能にして第1の表面上のポリマー成分の全体又は部分的な溶解を妨げるポリマー成分のための非溶媒として作用しなければならない。好ましくは、その液体冷却媒体は、ポリマー成分に関して不活性に作用し、即ちポリマー成分と化学的に反応しない。好ましくは、その液状冷却媒体は、ポリマー成分のための溶媒及び非溶媒を含有する。
好ましくは、冷却媒体中に含有される溶媒及び/又は非溶媒は、それぞれ化合物A及び化合物Bであり、これらはまた、ポリマー成分及び溶媒系の均質な溶液を製造するために使用される。この場合、液体冷却媒体中の化合物Aの化合物Bに対する比が、キャスト溶液中のこれらの成分の比と類似していれば有利であり得る。特に好ましくは、冷却媒体は、非溶媒として、アジピン酸ジオクチル若しくはヒマシ油、又はこれらの混合物を含有する。特に好ましくは、冷却媒体中に含有される溶媒は、三酢酸グリセリル、又は三酢酸グリセリルとε−カプロラクタムとの混合物である。
冷却及び固化はまた、複数の段階でも行うことができ、例えば、更なる冷却及び固化のために、膜構造の、目に見えるほどの固化の後で、かつ最初のローラーから引き外された後に、その上をフィルムがガイドされる、次々と配列させた調節可能な複数のローラーを使用することによっても行うことができる。この場合、フィルムが動く方向に次々と配置されたローラーは、低下した温度を有することができる。
次に、溶媒系の少なくとも一部、即ち化合物A及びBの一部は、平膜を得るためにフィルムから除去されなければならない。溶媒系の除去は、例えば抽出を通じて行うことができる。好ましくは、それによりポリマーを溶解させないが化合物A及びBと混合され得る、あるタイプの抽出剤が使用される。続いて、高温での乾燥が、抽出剤を膜から除去するために必要であり得る。使用可能な抽出剤は、アセトン、メタノール、エタノール、好ましくはイソプロピルアルコールである。
本発明による平膜の性質を求めるために、以下の方法を用いた:
最大分離細孔:
最大分離細孔の直径は、バブルポイント法(ASTM No.128−99及びF 316−03)により求め、そのために、独国特許第3617724A号に記載されている方法が好適である。それにより、dmaxは、以下の方程式により、バブルポイントと関連付けられる蒸気圧Pから得る。
max=σ/P
(式中、σは、測定中に使用される濡れた液体に主に依存する定数である)IPAでは、σは、25℃にて0.61μm・バールである。
イソプロピルアルコールの膜貫通流量(IPAの透過性):
ディスク形の膜試料を、試験される膜から打ち抜き、次いで、自由測定面積17.35cmが得られるように、好適な試料ホルダー中で周囲長にて液密にクランプ(clamped)した。試料ホルダーを、そこを通してイソプロピルアルコール(IPA)が圧力下で流れることができる試料セル中に位置させる。
試験セルを、試験器具中に組み込み、規定の試験圧力(およそ0.2バール)で25℃に条件付けした超純粋イソプロピルアルコール(IPA)の流れに供する。2分間の測定時間中に得られた、ろ過したIPA体積、即ち測定中に生じた透過物を、重量測定で又は体積測定で求めた。測定を始める前に、その系は空気でパージされなければならない。TMFを求めるために、インプット及びアウトプット圧力を、試験装置中の試験セル上で測定する。測定は、25℃にて行う。
膜貫通流量、TMFは、式(III)により求める。
ml
TMF=−−−−−− [−−−−−−−−] (III)
Δt・A・Δp cm・分・バール
(式中、
=測定期間中に膜試料を通って流れるIPAの体積[ml]
Δt=測定時間[分]
=貫通された膜試料の面積(17.35cm
Δp=測定中に設定した圧力[バール]である)
水蒸気の膜貫通流量:
水蒸気の膜貫通流量の測定は、平膜モジュール上で、試験表面40cmで行う。2つの液体循環路を、この平膜モジュールに結合させ、ここで、供給流れ(塩水の循環路)を、その流れが、試験される平膜の1つの側に沿って流れるように、平膜モジュールに結合させる。透過物を吸収する蒸留物循環路は、平膜の他の側の平膜モジュールを通って流れる。循環路の開始体積は、それぞれ1.6lとした。測定中、蒸留物の循環路は、透過物の添加の結果、継続的に増加する。塩水循環路は、塩含量が36±0.5g/lであり、これを、脱イオン水の添加中、導電率測定により一定に保つ。
双方の循環路における体積流量を、200l/時間±5%に設定し、ここで、循環路を、互いに対して逆流の流れにガイドする。蒸留物の循環路は温度30℃へ、塩水の循環路は温度80℃へ調節した。双方の循環路を、平膜モジュールへのそれぞれの入り口で設定した同じ圧力レベルの500ミリバールに保つ。
水蒸気の膜貫通流量を求めるために、蒸留物の循環路における重量の増加を、経時的に重量測定で求める。最小測定時間は、15分間とする。
水蒸気の膜貫通流量l/(m・h)は、重量における増加として求め、又は時間単位当たりの体積において得られた増加として求め、使用される平膜モジュールの流れ膜表面(内側表面)を指す。
破断強度及び破断点伸度
膜の破断強度の測定は、Zwick(Ulm,Germany)製の、世界共通の標準の試験用機械を用いて行う。この目的のために、試料を、試験される平膜からカットし、それらの端は、製造方向へ向いており、製造方向へ横断している。この試料は、幅15mmとし、自由長さが25cmになるように試験用機械中にクランプする。
膜試料を、試料の長手方向において、又は横断方向において、破断するまで一定の速度で広げる。このために必要とされる強度を、長さの変化の関数として測定し、強度/伸度曲線として残す。測定は、複数回の測定として、5種の膜試料で、クランピング長さ100mm、トラクション速度500mm/分で行う。プレテンションの重量は、2.5cNとする。この測定は、室温にて行う。
破断に必要とされる力BKを、平均数値としてcNで求め、それによって実現される破裂点伸度を元の長さの%として求める。膜試料の、cN/mmでの破断強度σは、破断力BKを、試料の幅及び膜の厚さから得る、膜壁の横断面の面積Aへと標準化することによって得る。
分子量、多分散度:
分子量及びモル質量分布(多分散度)の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)(カラム:PSS GRAM:10μm、G、30、100、3000Å)を用いて、希釈剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)/0.01MのLiClを伴うポリスチレン標準液で、流速1ml/分で行う。試料の濃度は3mg/mlとし、注入体積は100μl(注入系TSP AS 3000)とした。オーブンの温度を70℃に設定し、Shodex RI 71示差屈折計で検出を行う。モル質量分布の数平均M及び重量平均Mを、従来技術の方法を用いて、モル質量分布から求める。分散度は、重量平均Mの、数平均Mに対する比、つまりM/Mから得る。
表面中の細孔サイズ:
表面中の細孔の平均直径の測定は、走査電子顕微鏡画像に基づく表面の画像分析法を用いて、倍率500(外側表面)又は倍率2000(内側表面)で行う。表面の走査電子顕微鏡画像は、細孔の長手方向の伸長の、その横断方向の伸長に対する比を評価するためにも使用した。
体積多孔度:
調べる膜の少なくとも0.5gの試料を乾燥検量する。続いて、その膜試料を、膜材料を湿らせるが膨張を引き起こすことはない液体中に置き、その液体が全ての細孔中へ浸透するように24時間置く。存在するPVDF膜では、25℃で粘度200mPa・sのシリコーン油(Merck)を使用する。液体の、膜細孔への透過は、膜試料が不透明からガラス状の透明な状態へ変化して、目視で識別可能である。続いて、膜試料を液体から取り出し、膜試料へ付着している液体をおよそ1800gの遠心分離によって除去し、こうして前処置した濡れた、即ち液体に満ちた、膜試料の質量を、計量によって求めた。
下記の式に従って体積多孔度εを求める。
(m湿潤−m乾燥)/ρ液体
体積多孔度ε=−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(m湿潤−m乾燥)/ρ液体+m乾燥/ρポリマー
(式中、
乾燥=濡らして乾燥させた後の乾燥膜試料の重量[g]
湿潤=濡れた、液体に満ちた膜試料の重量[g]
ρ液体=使用される液体の密度[g/cm
ρポリマー=膜ポリマーの密度[g/cm]である)
実施例1〜4:
Solvay SolexisからのPVDF粉末であるHylar 461タイプとSolef 6020タイプとの混合物(混合比50:50)を、押出機中、235〜245℃にて溶融させた。溶融したポリマーを、40重量%の三酢酸グリセリル(成分A)及び60重量%のアジピン酸ジオクチル(成分B)から成る溶媒系と、ミキサー中、230〜245℃にて混合させ、続いて処理して均質な溶液を形成する。ポリマーの割合は、25.5重量%に設定した。キャスト溶液中で使用するPVDF混合物は、重量平均分子量Mが457000ダルトンであり、多分散度M/Mが6.92であった。
完成したキャスト溶液を、210℃へと条件付けしたシート押出ダイの手段によって、調節した金属キャスト用ローラー上へ注いで、厚さがおよそ100μmのフィルムを形成した。キャスト用ローラーの温度は、40〜70℃で多様とした。キャスト用ローラー上に位置させたフィルムは、およそ23℃で相対湿度55%の気候に気候調節したゾーンに供給し、固化の後にキャスト用ローラーから引き外した。キャスト用ローラー上のフィルムの滞留時間は、およそ10秒とした。
こうして得たフィルムを、温度およそ60℃にてイソプロピルアルコールで抽出して溶媒系を除去し、次いで対流式オーブン中、温度80℃にて乾燥させた。
こうして得た平膜の性質を表1にまとめる。
Figure 2017538579
こうして製造された平膜中に含有されているPVDF成分の重量平均分子量M及び多分散度M/Mは、出発材料のものに、実質的に相当する。
実施例3による平膜では、水蒸気の膜貫通流量は、55.6l/(m・h)であり、かつ、長手方向で350cN/mm、横断方向で385cN/mmの破断強度が求められた。この膜の破断点伸度は、長手方向で74.1%であり、横断方向で119.7%であった。体積多孔度は、75〜80体積%の範囲にあった。
図1から図4は、実施例3による膜の表面の、倍率2000及び倍率8000での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
膜の製造中にキャスト用ローラーに対していた膜の表面(膜のローラー側、第1の側)のSEM画像は、倍率2000及び倍率5000で、開放細孔を伴う明白な網目構造を呈し、そこでは、部分的にフィラメント状のウェブ間の空間が、細孔系を形成している(図1、図2)。膜の製造中に空気に曝された膜の表面(膜の空気側、第2の側)の、倍率2000及び倍率5000でのSEM画像は、均一で比較的平らな表面構造を示し、これは、島の形の細孔を有する(図3、図4)。これらの細孔は、不規則な形を有しているが、優先配向は呈していない。
図2を図4と比較すると、第1の表面中の、実施例3による平膜の細孔は、第2の表面中の細孔よりも大きい。
図5は、実施例3による平膜の壁を横切る横断面の倍率2000でのSEM画像を示す。第2の表面に隣接する横断面(上の左の画像、空気側)では、微細孔支持層が明らかであり、これは、横断面全体に亘って本質的に延在し、孔径に関して壁厚を横切る勾配なしに等方性細孔構造を有する。支持層中の細孔の平均直径は、1μm未満である。
実施例5〜6:
手順は、実施例1及び2でのものと同じとした。しかしながら、実施例1及び2とは異なり、PVDFのHylar 461タイプとSolef 6020タイプとの混合物を、混合比30:70で使用した。得られたポリマー成分は、重量平均分子量Mが355000ダルトンであり、多分散度M/Mが7.84であった。
実施例5及び6による平膜の性質を表2にまとめる。
Figure 2017538579
実施例5による平膜の破断強度は、長手方向で298cN/mmであり、横断方向で396cN/mmであった。この膜の破断点伸度は、長手方向で74.9%であり、横断方向で77.4%であった。実施例6による平膜について、長手方向で365cN/mm、横断方向で487cN/mmの破断強度が求められた。この膜の破断点伸度は、長手方向で96.5%であり、横断方向で139.7%であった。
図6及び図7は、実施例5による膜の表面の、倍率8000での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。膜の製造中にキャスト用ローラーに対していた実施例5による膜の表面(膜のローラー側、第1の側)のSEM画像は、先の実施例3のように、開放細孔を伴う明白な網目構造を有し、そこで部分的なフィラメント状のウェブ間の空間は、細孔系を形成する(図6)。膜の製造中に空気に曝された膜の表面(膜の空気側、第2の側)のSEM画像は、均一で比較的平らな表面構造を示し、これは、島の形の細孔を有する(図7)。この細孔は、不規則な形であるが、優先配向は呈していない。図6を図7と比較すると、第1の表面中の、実施例5による平膜の細孔は、第2の表面中の細孔よりも大きい。
図8は、実施例5による平膜の壁を横切る横断面の倍率2000でのSEM画像を示す。ここで再び、第2の表面に隣接する横断面(上の左の画像、空気側)では、微細孔支持層は明らかであり、これは、横断面全体に亘って本質的に延在し、孔径に関して壁厚を横切る勾配なしに等方性細孔構造を有する。支持層中の細孔の平均直径は、1μm未満である。
実施例6による平膜では、表面及び横断面に関して類似の画像がもたらされ、その別個の提示は省く。
実施例7:
手順は、実施例1でのものと同じとした。しかしながら、実施例1と異なり、35重量%の三酢酸グリセリル(成分A)及び65重量%のアジピン酸ジオクチル(成分B)から成る溶媒系を使用した。キャスト用ローラーの温度は、実施例1のように40℃とした。
実施例7による平膜の性質を表3にまとめる。
Figure 2017538579
実施例7による平膜の破断強度は、長手方向で320cN/mmであり、横断方向で355cN/mmであった。この膜の破断点伸度は、長手方向で69.7%であり、横断方向で87.3%であった。
比較例1:
手順は、実施例1でのものと同じとした。実施例1と異なり、60重量%の三酢酸グリセリル(成分A)及び40重量%のアジピン酸ジオクチル(成分B)から成る溶媒系を使用した。キャスト用ローラーの温度はまた、実施例1でのように40℃とした。
比較例1による平膜の性質を表4にまとめる。
Figure 2017538579
比較例1による平膜の破断強度は、長手方向で437cN/mmであり、横断方向で413cN/mmであった。この膜の破断点伸度は、長手方向で119.1%であり、横断方向で111.2%であった。
比較例1による膜の表面の、倍率2000及び倍率8000での走査電子顕微鏡(SEM)画像によって証明されるように、比較例1による膜は、明白な球晶構造を伴う第1及び第2の表面(ローラー側及び空気側)を有する(図9〜12)。特に第1の表面では、本発明の網目状表面構造とは明らかに異なる構造が明白であり、そこでは、粒状の又は球晶のセグメントが、部分的に、フィブリルにより互いに結合している。この比較例による膜の第2の側は、その球晶構造に起因して、粗さが増加している。
比較例2〜5:
手順は、実施例1〜4でのものと同じとした。しかしながら、実施例1〜4と異なり、PVDFのSolef 6020タイプを、ポリマー成分として100%の割合で使用した。PVDFのSolef 6020タイプでは、重量平均分子量M552000ダルトン、及び多分散度M/M5.1が求められた。
比較例2〜5による平膜の性質を表5にまとめる。
Figure 2017538579
比較例3による膜では、水蒸気の膜貫通流量は、51.1l/(m・h)であり、かつ破断強度は、長手方向で381cN/mm、横断方向で662cN/mmが求められた。この膜の破断点伸度は、長手方向で93.3%であり、横断方向で232.4%であった。比較例2から5による平膜の体積多孔度はまた、75〜80体積%の範囲にあった。

Claims (15)

  1. フッ化ビニリデンポリマーから製造される平膜の形態にある疎水性膜であって、前記膜は、壁厚を有する壁、第1の表面及び第2の表面を有し、
    前記膜は、前記第1の表面上に、開放細孔を有する網目構造を有し、前記第2の表面上に、細孔が形成された連続的スキンを有し、
    前記第2の表面の前記スキンに隣接する前記膜が、前記壁厚を横切って実質的に等方性である、開放気孔性の、微多孔質の、かつスポンジ状の細孔構造を有する支持層を有し、前記支持層は、前記壁厚の少なくとも80%に亘って延在しており、平均直径が1μm未満である細孔を含む膜において、
    前記膜を形成する前記フッ化ビニリデンポリマーは、重量平均分子量Mが300000〜500000ダルトンの範囲にあり、重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの比によって与えられる多分散度M/Mは、5.5より大きく、
    前記第2の表面の前記スキン中の細孔は、前記スキンの平面中で閉じた周囲長を有し、その最長の軸の方向における伸長の、その最短の軸の方向における伸長に対する平均比が、多くとも5であり、かつ前記第1の表面及び前記第2の表面中の細孔は、表面に対して垂直に見たときに、それらの向きの本質的に等方性の分布を有し、
    前記膜の多孔度は、50〜90体積%の範囲にあり、壁厚は、50〜300μmの範囲にあり、
    前記膜は、最大分離孔径dmaxが、バブルポイント法に従って測定して、0.05〜1.5μmの範囲にあることを特徴とする、膜。
  2. イソプロピルアルコールの膜貫通流量が、25℃で測定して、3〜15ml/cm・分・バール)の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
  3. 水蒸気の膜貫通流量が、平膜モジュールにより、膜面積40cm、塩水循環路温度80℃、及び蒸留物循環路温度30℃、前記循環路における体積流量200l/h、入口から平膜モジュールまでの前記循環路における圧力レベル500ミリバール、及び前記塩循環路における塩濃度36g/lで測定して、少なくとも35l/(m・h)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膜。
  4. 破断点伸度が、室温にて少なくとも50%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜。
  5. 破断強度が、室温にて少なくとも200cN/mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜。
  6. 体積多孔度が、70〜85体積%の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜。
  7. 壁厚が、60〜150μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の膜。
  8. 最大分離孔径dmaxが、0.1〜1.0μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の膜。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の膜を、フッ化ビニリデンのホモポリマー又はコポリマーから製造する方法であって、少なくとも
    a)80〜70重量%の溶媒系中、少なくとも1種のフッ化ビニリデンポリマーから製造される20〜30重量%のポリマー成分の均質なキャスト溶液を用意するステップであって、前記ポリマー成分及び溶媒系の前記キャスト溶液が、冷却時に、脱混合臨界温度及び固化温度、並びに凝集の液体状態における前記脱混合臨界温度未満の混和度ギャップを有し、かつ、前記溶媒系が、液体であって溶解温度にて互いに均質に混合され得る化合物A及び化合物Bを含有し、かつ、ポリマー成分のための溶媒が化合物Aとして選択され、化合物Bがポリマー成分のための非溶媒であるステップと、
    b)キャスト溶液を、脱混合臨界温度より高いツール温度を有する成形ツール中で、第1の表面及び第2の表面を有するフィルムへと形成するステップと、
    c)前記フィルムの第1の側を調節可能な担体上に配置し、これを固化温度未満の冷却温度へと調節し、その結果、ポリマーに富む相とポリマーに乏しい相とへの熱力学的非平衡液−液相分離が起きるような速度にて、前記調節可能な担体を介して前記フィルムが冷却され、続いて固化温度未満になると前記ポリマーに富む相の固化が起きて膜構造を形成するステップと、同時に、
    d)前記フィルムの前記第2の表面を気体雰囲気と接触させるステップと、
    e)形成された膜構造を有するフィルムを担体から引っ張るステップと、
    f)前記溶媒系の少なくとも一部を前記フィルムから除去して平膜を得るステップとを含む方法において、
    前記ポリマー成分が、重量平均分子量Mが300000〜500000ダルトンの範囲にあり、重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの比により与えられる多分散度M/Mが5.5より大きいことを特徴とする、方法。
  10. グリセリルトリアセテート、グリセリルジアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ−)エチルアセテート、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸ジブチルエーテル、ブチルジグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、グリコールジアセテート、炭酸プロピレン、ブチロラクトン若しくはε−カプロラクタム、又は挙げられた化合物の混合物が、化合物Aとして使用されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. アジピン酸ジオクチル、グリセリルモノアセテート、グリセロール、グリコール、ジグリコール若しくはヒマシ油、又はこれらの混合物が、化合物Bとして使用されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記担体が、30〜80℃の範囲の温度を有することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記気体雰囲気が、20〜25℃の範囲の温度を有することを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記調節可能な担体が、調節可能な回転するキャストローラーであり、底部上のその周囲長の一部と共に、液体冷却媒体で満たされた槽に浸漬されることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記液体冷却媒体が、前記ポリマー成分のための溶媒及び非溶媒を含み、前記冷却媒体が、前記冷却温度で前記ポリマー成分のための非溶媒として作用することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
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