JP2017537094A - 酸化脂質およびその使用方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、酸化脂質およびこれを含む医薬組成物に関する。また、本発明は、本発明の酸化脂質の作製方法、および、本発明の酸化脂質を含む、線維症または炎症性の疾患もしくは障害を治療または予防する方法に関する。

Description

発明の分野
本発明は、その一部の実施形態において、酸化脂質化合物およびこれを含む医薬組成物に関する。また、本発明は、かかる化合物および組成物の作製方法、ならびに線維症または炎症性の疾患もしくは障害をかかる化合物および組成物で治療または予防する方法に関する。
発明の背景
線維症は、典型的には炎症または損傷の結果としての器官または組織内における過剰な線維性結合組織の形成である。線維症には、線維性組織の過剰な蓄積の病的状態ならびに治癒における結合組織の蓄積過程が包含される。線維症と瘢痕形成過程は、どちらも、結合組織に存在する刺激された細胞(例えば、線維芽細胞)、例えばコラーゲンおよびグリコサミノグリカンが関与しているという点で類似している。
線維症は、過度な細胞外マトリックス(ECM)の蓄積によって不可逆的な組織の損傷および不全または適正な器官機能の乱れに至る慢性疾患に応答した瘢痕形成過程とみなされ得る。線維症の病理生理学は一般的には、具体的な罹病器官または組織、例えば、肺、腎臓、肝臓、心臓および皮膚との関連において研究されている。代謝恒常性の低下および慢性的な軽度の炎症は線維症の病因の一因となり得る。線維形成は動的過程であり、4つの期:i)器官/組織の傷害による起始;ii)炎症およびエフェクター細胞の活性化;iii)ECMの合成強化;ならびにiv)終末器官不全への進行を伴うECMの蓄積で起こる。
線維症は、体内の多くの組織で起こり得る。例としては、肺線維症(肺)、特発性肺線維症(肺)、嚢胞性線維症(肺)、進行性塊状線維症(肺)、肝線維症、肝硬変(肝臓)、脂肪性肝炎(脂肪性肝疾患)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心内膜心筋線維症(心臓)、心筋梗塞(心臓)、心房性線維症(心臓)、縦隔(medastinal)線維症(縦隔の軟部組織)、骨髄線維症(骨髄)、後腹膜線維症(後腹膜の軟部組織)、腎性全身性線維症(皮膚)、ケロイド(皮膚)、クローン病(腸)、強皮症/全身性硬化症(皮膚、肺)、関節線維症(膝、肩、他の関節)、ペイロニー病(陰茎)、デュピュイトラン拘縮(手、指)、癒着性関節包炎(肩)、腎線維症および巣状分節性糸球体硬化症(腎臓)が挙げられる。
インスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームの主な合併症の1つは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)であり、これは、脂肪肝から肝臓の炎症(NASH)および肝線維症へと進行する。腸内フローラの過剰増殖および組成変化に付随する腸管バリアからの漏出により、細菌成分は、門脈から肝臓内に移動し、ここでToll様受容体(TLR)に遭遇すると考えられている。
TLRは、微生物の侵入に対する自然免疫応答のために必須の受容体ファミリーである。TLRは、その細胞内局在に基づいて2つのサブグループに大別することができる。形質膜発現TLRとしてはTLR1、TLR2、TLR4、TLR5およびTLR6が挙げられ、一方、細胞内TLRとしてはTLR3、TLR7、TLR8およびTLR9が挙げられる。TLRとその対応するアゴニスト間の相互作用により、アダプター分子MyD88/TRIFの動員ならびに下流のMAPKキナーゼおよびNF−κBのリン酸化を含む合図のカスケードが誘発される。このような事象は、炎症促進性サイトカイン、例えばIL−12/23、IL−6およびTNF−αの分泌において最高度に達する。TLR2は、細菌のトリアシル化リポペプチドを認識するTLR1とヘテロ二量体を、および細菌のジアシル化リポペプチドを認識するTLR6とヘテロ二量体を形成する。MD2とカップリングしているTLR4は、リポ多糖結合タンパク質(LBP)および共受容体CD14との複合体の状態で、グラム陰性菌由来のリポ多糖(LPS)に結合する。
肝固有のクッパー細胞および肝星細胞(HSC)はTLR2(これは、グラム陰性菌およびマイコプラズマ由来のトリアシル化リポペプチドと、グラム陰性菌およびマイコプラズマ由来のジアシル化リポペプチドを認識する)と、TLR4およびその共受容体CD14(これらは、グラム陰性菌由来のリポ多糖(LPS)を認識する)を発現している。また、TLR2およびTLR4はどちらも、傷害された組織から放出される危険因子関連分子パターンにも結合し得る。このようなTLR2およびTLR4の複合体は、クッパー細胞および星細胞による炎症促進性サイトカインの産生および線維形成性の応答を媒介する。前臨床試験により、非アルコール性脂肪性肝炎および肝線維症はTLR2およびTLR4欠損マウスにおいて阻害されることが示され、疾患病因におけるその役割が示された。ヒトでは、LPS血漿レベルがNAFLD患者において高く、TLR4およびCD14の遺伝子の改変が非アルコール性脂肪性肝炎および線維形成の発生リスクと関連している。
単球は、免疫機構において鍵となる役割因子であり、自然免疫および適応免疫、免疫監視機構ならびに粒子スカベンジャー機能において極めて重要な役割を有する。一方、単球のあるサブセットは「固有」であり、定常状態の監視機構、創傷治癒および炎症の消散を補助するために炎症刺激とは無関係に組織に動員され、ヒトの循環単球の絶対多数(80〜90%)は「炎症性」と分類されるものである。このような単球は炎症刺激を感知して血管内皮またはリンパ管内皮から末梢に速やかに遊走し得、そこでマクロファージおよび樹状細胞(DC)に分化し得、これらがさらなる細胞サブセット(例えば、Th1−細胞)と共働して炎症を促進させる。宿主の防御において必要な役割を果たすが、それでもなお単球は、いくつかの炎症性疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、関節リウマチ(RA)および多発性硬化症(MS)の極めて重要な媒介因子であると同定された。慢性的に炎症状態の組織において不要な単球/マクロファージの蓄積を抑制することは治療的潜在性を有し、それに応じて、遊走阻害薬は、動物モデルおよび臨床試験において将来有望な抗炎症成果が示されている。
腎線維症(renal fibrosisまたはkidney fibrosis)は、腎臓傷害後の創傷治癒/瘢痕形成応答であり、これは、多くの慢性腎臓疾患(CKD)の形態で存在する。腎臓傷害後、固有線維芽細胞が種々の炎症促進性および線維症進行性の刺激によって活性化される。活性化された線維芽細胞(筋線維芽細胞とも称される)は過度のECMタンパク質(これは間質に蓄積される)を生成させ、したがって腎線維症の媒介因子とみなされている。腎線維症に至る一次外傷に関係なく、慢性炎症は、腎線維形成の前兆を示す過程のようである。高レベルの炎症マーカーがCKD発症の高リスクと関連していた。種々の炎症促進性サイトカインであるインターロイキン(IL)−6、IL−8、IL−10、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)ならびに接着分子(細胞間接着分子−1および血管細胞接着分子−1)の誘導により、マクロファージおよびT細胞の循環系から間質への通り抜けが誘引され、それにより炎症状態がさらに増強された。証拠により、TLRおよびマクロファージは、腎線維症の病因と関連していることが示唆されている。
線維症または炎症性の疾患もしくは障害は、深刻な罹病率ならびに患者の日常の機能、日常生活動作(ADL)および生活の質に有害な効果を引き起こし得、予後不良をもたらし得る。例えば、特発性肺線維症(IPF)は、悪化性および衰弱性の息切れを伴う慢性の難治性疾患である。IPF患者は酸素依存性となり、診断後の平均生存期間中央値は3年生存率および5年生存率が20%〜40%である。したがって、線維症および炎症性の疾患または障害のための新しい治療薬の開発が必要とされている。
一部の実施形態では、本発明により、式1
Figure 2017537094
の酸化脂質化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩を提供し、
式中、B、B、およびBの各々は独立して、酸素、硫黄、窒素、リン、およびケイ素からなる群より選択され、ここで、前記窒素、リン、およびケイ素の各々は、アルキル、ハロ、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、およびオキソからなる群より選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
10は、1〜5つのR11置換基で置換されていてもよいC2〜28アルキルであり、ここで、各R11は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択され;
pは1〜10から選択される整数であり;
qは1〜26から選択される整数であり;
20は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;
Hetはヘテロ脂環式の環またはヘテロアリールである。
式1の好適なB、B、およびBは本明細書において定義されている。一部の実施形態では、BがOである。一部の実施形態では、BがOである。一部の実施形態では、BがOである。一部の実施形態では、B、B、およびBのうちの少なくとも2つがOである、例えば、B、BがOであり、BがOもしくはSであるか;B、BがOであり、BがOもしくはSであるか;またはB、BがOであり、BがOもしくはSである。一部の実施形態では、BがSである。一部の実施形態では、BがSである。一部の実施形態では、BがSである。一部の実施形態では、B、B、およびBのうちの少なくとも2つがSである、例えば、B、BがSであり、BがOもしくはSであるか;B、BがSであり、BがOもしくはSであるか;またはB、BがSであり、BがOもしくはSである。一部の実施形態では、B、B、およびBのすべてがOである。一部の実施形態では、B、B、およびBのすべてがSである。
式1の好適なR10は本明細書において定義されている。一部の実施形態では、R10がC2〜28アルキルである。一部の実施形態では、R10が直鎖のC2〜28アルキル、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28個の炭素を有する置換または非置換のアルキル鎖である。一部の実施形態では、R10が直鎖のC2〜28アルキル、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28個の炭素を有し、1〜5つのR11置換基により置換されているアルキル鎖であり、ここで、各R11は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F)またはアルキル(例えば、C1〜10アルキル)である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R10がヘキサデシルである。一部の実施形態では、R10が(2’−オクチル)ドデシルである。一部の実施形態では、R10がエイコサニルである。
式1の好適なR20は本明細書において定義されている。一部の実施形態では、R20が水素またはアルキルである。一部の実施形態では、R20が水素である。一部の実施形態では、R20がアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、R20がメチルである。
式1におけるpおよびqの好適な値は本明細書において定義されている。一部の実施形態では、qが1〜10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一部の実施形態では、qが4である。一部の実施形態では、pが1〜7の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、または7である。一部の実施形態では、pが2である。
式1の好適なHetは本明細書において定義されている。一部の実施形態では、Hetがヘテロアリールである。一部の実施形態では、Hetが単環式のヘテロアリールである。一部の実施形態では、Hetが含窒素ヘテロアリール(例えば、単環式のヘテロアリール)である。一部の実施形態では、Hetが、1、2、3または4個の窒素原子を含む単環式のヘテロアリールである。一部の実施形態では、Hetが6員環の単環式のヘテロアリール、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジンなどである。一部の実施形態では、Hetが5員環の単環式のヘテロアリール、例えば、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキシジアゾール、ピラゾール、トリアゾールなどである。一部の実施形態では、Hetが、例えば1〜3個の窒素原子を含む二環式のヘテロアリール、例えば、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、チエノピリジン、チエノピリミジン、ピロロピリジン、イミダゾピリジンなどである。本明細書に記載の任意の実施形態において、Hetは含窒素ヘテロアリールであり得、ここで、該ヘテロアリールの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されてカチオンを形成する。一部の実施形態では、Hetがピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されてピリジニウム塩(例えば、分子内塩または本明細書に記載の外部塩)を形成する。一部の実施形態では、Hetが非置換のピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されている。一部の実施形態では、Hetが置換ピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されており、ここで、該ピリジンは1〜5(例えば、1、2、3、4または5)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはアルキル(例えば、C1〜10アルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、Hetが置換ピリジンであり、該ピリジンは、該ピリジンの2−、3−または4−位が1つのR12置換基により置換されており、R12は本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。一部の実施形態では、Hetが3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式2:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。好適なR10、R20、p、qおよびHetは、式1について本明細書において定義されたとおりのものである。
式2による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択され;R20が水素またはアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)であり;qが1〜10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;pが1〜7の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、または7であり;Hetが非置換のピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されているか、またはHetが置換ピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されており、ここで、該ピリジンは1〜5(例えば、1、2、3、4または5)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、単環式のヘテロアリール)またはアルキル(例えば、C1〜10アルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、Hetが置換ピリジンであり、該ピリジンは、該ピリジンの2−、3−または4−位が1つのR12置換基により置換されており、R12は本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。一部の実施形態では、Hetが3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式3:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩であり、式中、R10、R11、R12、R20、p、およびqは、式1について本明細書において定義されたとおりである。
式3による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)であり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6であり;pが2〜5の整数、例えば、2、3、4または5であり;該ピリジンが0〜3(例えば、0、1、2または3)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはメチルであり;qが2、3、4、5、または6であり;pが2、3、4または5であり;該ピリジンが0〜3(例えば、0、1、2または3)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12が独立して、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはメチルであり;qが4であり;pが2であり;該ピリジンが0、1または2つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。一部の実施形態では、該ピリジンは、該ピリジンの2−、3−または4−位が1つのR11置換基により置換されており、R11は本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。一部の実施形態では、該ピリジン環が1つのR12置換基により置換されており、ここで、該1つのR12置換基はフッ素またはフェニルである。一部の実施形態では、該ピリジン環が3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式4:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。好適なR10、R20およびqは、式1について本明細書において定義されたとおりのものである。
式4による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R10がヘキサデシルである。一部の実施形態では、R10が(2’−オクチル)ドデシルである。一部の実施形態では、R10がエイコサニルである。
一部の実施形態では、R20が水素またはアルキルである。一部の実施形態では、R20が水素である。一部の実施形態では、R20がアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、R20がメチルである。
一部の実施形態では、qが1〜10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一部の実施形態では、qが4である。
一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)であり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素であり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20がメチルであり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6である。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式5:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩であり、式中、R10およびR20は、式1について本明細書において定義されたとおりである。
式5による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R10がヘキサデシルである。一部の実施形態では、R10が(2’−オクチル)ドデシルである。一部の実施形態では、R10がエイコサニルである。
一部の実施形態では、R20が水素またはアルキルである。一部の実施形態では、R20が水素である。一部の実施形態では、R20がアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、R20がメチルである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。
一部の実施形態では、本発明により、(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−701);(R)−1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−702);(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703);(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−704);および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−705)からなる群より選択される化合物を提供する。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。
一部の実施形態では、本発明により:
Figure 2017537094
の構造またはその立体異性体、立体異性体混合物もしくは塩を有する酸化脂質を提供する。
一部の実施形態では、本発明により、(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フルオロ−ピリジニウムエチルエステル(VB−706)および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フェニル−ピリジニウムエチルエステル(VB−707)からなる群より選択される化合物を提供する。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。
さらに他の実施形態では、本発明により、本発明の酸化脂質を含む医薬組成物、本発明の酸化脂質の作製方法、および本発明の酸化脂質または組成物で線維症または炎症性の疾患もしくは障害を予防または治療する方法を提供する。
本発明の一部の実施形態を本明細書において、単なる一例として、添付の図面を参照しながら説明する。次に、図面について詳細に具体的に言及するが、図示した具体的事項は一例であり、本発明の実施形態の実例の論考の目的のためのものであることを強調しておく。
VB−701、VB−702、VB−703、VB−704およびVB−705酸化脂質化合物の構造を示す。 VB−706およびVB−707酸化脂質化合物の構造を示す。 図2は、VB−701がヒト単球(一次CD14+)においてリポ多糖(LPS)(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図3は、VB−701がヒト単球において(THP−1細胞株)においてPGN(TLR2)誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図4は、VB−701がヒト単球(THP−1細胞株)においてMCP−1誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図5は、VB−701がヒト単球(一次CD14+)のケモカイン誘導性遊走を阻害することを示す。 図6は、VB−702がヒト単球(一次CD14+)においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図7は、VB−702がヒト単球(一次CD14+)においてRANTES誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図8は、VB−702がヒト単球(一次CD14+)のケモカイン誘導性遊走を阻害することを示す。 VB−701およびVB−702が、LPS(TLR4)刺激型であるヒト単球(一次CD14+)においてIL−12p40レベルを阻害することを示す。 VB−701およびVB−702が、Pam3CSK4(TLR2)刺激型であるヒト単球(一次CD14+)においてIL−12p40レベルを阻害することを示す。 図10A〜10Bは、ヒト単球(一次CD14+)およびLPS結合阻害アッセイにおけるLPS誘導性シグナル伝達に対するVB−703およびVB−201の効果を示す。ヒト一次単球を表示した濃度のVB−201またはVB−703で前処理した後、LPSで活性化させた。試料をウエスタンブロッティングにより、リン酸化の阻害について解析した(図10A)。熱ショックタンパク質HSP90をローディング対照として使用した。 図10Bは、表示した濃度のVB−201またはVB−703とともに20分間インキュベートした後、ビオチン−LPS(100ng/ml)をさらに15分間添加した試料の結果を示す。結果は三連の平均蛍光強度(MFI)である。 図11A〜11Bは、肝線維症に対するVB−703の効果を示す。NASHは、マウスに、生まれて2日後に200μgのストレプトゾトシン(STZ)を注射し、4週齢から高脂肪食(HFD)を給餌することによって誘導した。次いで、マウスを6週齢のとき、ビヒクル(陰性対照)、VB−703(4mg/kg)またはテルミサルタン(10mg/kg;陽性対照)のいずれかで3週間処置した。また、正常マウス(非NASH誘導)も対照として使用した。マウスを9週齢のときに致死させた。シリウスレッドでの肝臓の組織学的試料の染色を用いて線維症の程度を調べた。図11Aは、処置後の平均線維症面積を示す(解析した肝臓切片の%;平均±S.E;正常−n=5、ビヒクル−n=8、テルミサルタン−n=6)。 図11Bは、処置後の肝臓試料の代表的なシリウスレッド染色を示す(200倍の倍率)。 図12A〜12Bは、肝臓の炎症に対するVB−703の効果を示す。マウスを実施例に説明したとおりに処置し、評価した。図12Aは、処置後の平均肝臓炎症スコアを示す(平均±S.E;正常−n=5、ビヒクル−n=8、VB−703−n=8、テルミサルタン−n=6)。 図12Bは、処置後の肝臓試料の代表的なH&E染色を示す(200倍の倍率)。 図13は、VB−703がヒト単球(THP−1細胞株)においてPGN(TLR2)誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図14は、VB−703が単球由来樹状細胞においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達におけるIL−6分泌を阻害することを示す。 図15は、VB−703が単球由来樹状細胞においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達におけるIL−12p40分泌を阻害することを示す。 図16は、VB−704が、LPS−ビオチンのヒト単球(一次CD14+)に対する結合を阻害しないことを示す。 図17は、VB−704がヒト単球(一次CD14+)のケモカイン誘導性細胞遊走を阻害することを示す。 図18は、VB−705およびVB−201がヒト単球(一次CD14+)においてTLR4誘導性シグナル伝達を阻害することを示す。 図19は、VB−703およびVB−705がヒト単球(一次CD14+)においてLPS結合を阻害することを示す。 図20は、VB−705が、ヒト単球(THP−1細胞株)においてSDF1誘導性細胞遊走を阻害しないことを示す。 図21Aは、NASH誘導マウスから採取した肝臓における炎症促進性サイトカインIL−12/23p40の発現レベルを示す棒グラフを示す。このデータは、IL−12/23p40の発現が、VB−703で処置したNASH誘導マウスから採取した肝臓において有意に阻害されたことを示す。 図21Bは、NASH誘導マウスから採取した肝臓におけるケモカインMCP−1の発現レベルを示す棒グラフを示す。このデータは、MCP−1の発現が、VB−703で処置したNASH誘導マウスから採取した肝臓において有意に阻害されたことを示す。 図21Cは、NASH誘導マウスから採取した肝臓における炎症促進性サイトカインIL−1βの発現レベルを示す棒グラフを示す。このデータは、IL−1βの発現が、VB−703で処置したNASH誘導マウスから採取した肝臓において有意に阻害されたことを示す。 図22は、アルブミン/クレアチニン(mg/mg/日)に対するVB−703の効果を示す棒グラフを示す。健常ラット(n=3)(白いバー)、シャム手術ラット(n=3)(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)(n=7)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=7)(薄い灰色のバー)またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=8)(濃い灰色のバー)におけるアルブミン/クレアチニン/日を8週目に評価した。溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラットと対比した統計データを以下のとおりに示す:はp=0.002を表し;**はp≦0.001を表す。略号は:Nx,腎摘出;Eth,エタノールである。 図23は、損傷糸球体の数の低減(%)におけるVB−703の効果を示す棒グラフを示す。健常ラット(n=3)(白いバー)、シャム手術ラット(n=3)(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)(n=7)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=7)(薄い灰色のバー)またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=8)(濃い灰色のバー)における損傷糸球体(%)を8週目に評価した。溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラットと対比した統計データを以下のとおりに示す:はp≦0.005を表し;**はp≦0.001を表す。略号は:Nx,腎摘出;Eth,エタノールである。 図24は、糸球体の硬化の低減(%)におけるVB−703の効果を示す棒グラフを示す。健常ラット(n=3)(白いバー)、シャム手術ラット(n=3)(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)(n=7)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=7)(薄い灰色のバー)またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=8)(濃い灰色のバー)における糸球体硬化症(%)を8週目に評価した。溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラットと対比した統計データを以下のとおりに示す:はp≦0.005を表し;**はp≦0.001を表す。略号は:Nx,腎摘出;Eth,エタノールである。 図25は、糸球体の硬化の低減におけるVB−703の効果を示すPAS染色画像(×400)を示す。腎臓の形態構造を光学顕微鏡により、健常ラット(健常 ×400)、シャム手術ラット(シャム ×400)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(Nx PBS 0.5%エタノール ×400)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(Nx VB−703 4mg/kg ×400)またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(Nx テルミサルタン10mg/kg ×400)のPAS染色切片において、最初の手術後、8週目に評価した。略号は:Nx,腎摘出;Eth,エタノール、PAS,過ヨウ素酸シッフである。 図26Aは、線維症進行性マーカーに対するVB−703の効果を示す棒グラフを示す。腎臓におけるコラーゲンIV関連発現を、健常ラット(白いバー)、シャム手術ラット(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(薄い灰色のバー)、またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(濃い灰色のバー)において8週目に評価した。略号は、Nx:腎摘出、Eth:エタノールである。図26A〜26Cのp値は、PBSで処置した腎摘出ラットとの統計学的有意差を表す。 図26Bは、線維症進行性マーカーに対するVB−703の効果を示す棒グラフを示す。腎臓におけるフィブロネクチン関連発現を、健常ラット(白いバー)、シャム手術ラット(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(薄い灰色のバー)、またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(濃い灰色のバー)において8週目に評価した。略号は、Nx:腎摘出、Eth:エタノールである。図26A〜26Cのp値は、PBSで処置した腎摘出ラットとの統計学的有意差を表す。 図26Cは、線維症進行性マーカーに対するVB−703の効果を示す棒グラフを示す。腎臓におけるTGF−β関連発現を、健常ラット(白いバー)、シャム手術ラット(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(薄い灰色のバー)、またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(濃い灰色のバー)において8週目に評価した。略号は、Nx:腎摘出、Eth:エタノールである。図26A〜26Cのp値は、PBSで処置した腎摘出ラットとの統計学的有意差を表す。 図27Aは、糸球体における単球/マクロファージ細胞浸潤に対するVB−703の効果を評価する実験のアウトプットを示す。糸球体におけるCD68陽性細胞(細胞/糸球体)を、健常ラット(n=3)(白いバー)、シャム手術ラット(n=3)(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)(n=7)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=7)(薄い灰色のバー)、またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=8)(濃い灰色のバー)において8週目に評価した。略号は、Nx:腎摘出、Eth:エタノールである。 図27Bは、間質における単球/マクロファージ細胞浸潤に対するVB−703の効果を評価する実験のアウトプットを示す。間質におけるCD68陽性細胞(細胞/mm)を、健常ラット(n=3)(白いバー)、シャム手術ラット(n=3)(縞模様の白いバー)、溶媒対照(0.5%エタノール/PBS)で処置した腎摘出ラット(黒いバー)(n=7)、VB−703 4mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=7)(薄い灰色のバー)、またはテルミサルタン10mg/kgで処置した腎摘出ラット(n=8)(濃い灰色のバー)において8週目に評価した。略号は、Nx:腎摘出、Eth:エタノールである。
発明の詳細な説明
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に示した詳細事項または実施例に例示した詳細事項に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能である、または種々の様式で実行もしくは実施することができる。また、本明細書で用いた法律用語および専門用語は説明の目的のためのものであり、限定とみなされるべきでないことを理解されたい。
一般定義
用語「を含む(comprises)」、「を含む(comprising)」、「を含む(includes)」、「を含む(including)」、「を有する(having)」、およびその変化形は「を含むが、限定されない」を意味する。
文言「任意で」は、本明細書で用いる場合、「一部の実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味する。本発明の任意の具体的な実施形態は、複数の「任意の」特色を含むものであり得る(かかる特色が矛盾しない限り)。
本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、本文中にそうでないことを明記していない限り、複数の指示対象物を包含している。例えば、用語「化合物(a compound)」または「少なくとも1種類の化合物」には複数の化合物(その混合物を含む)が包含され得る。
本明細書で用いる場合、本発明に関する量を修飾している用語「約」は、例えば常套的な試験および取扱いによって;かかる試験および取扱いにおける偶発的なエラーによって;本発明で使用される成分の製造、供給源もしくは純度の差によって;などによって生じ得る数量における差異をいう。用語「約」で修飾されていようとそうでなかろうと、特許請求の範囲は、記載の量の等価物を包含している。一実施形態において、用語「約」は、報告した数値の10%以内を意味する。
用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、障害もしくは状態の1つ以上の症状の改善がもたらされるのに充分な、または障害もしくは状態の出現もしくは進行が妨げられるのに充分なまたは障害もしくは状態の消退もしくは治癒が引き起こされるのに充分な所与の治療用薬剤量をいう。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物の治療有効量は約5mg〜約160mgの該化合物/日である。
本明細書で用いる場合、全体をとおして、用語「アルキル」は、直鎖および分枝鎖の基を含む飽和脂肪族炭化水素をいう。一部の実施形態では、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。数値範囲;例えば、「1〜20」が記載されている場合はいつでも、この場合の該基は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個までの炭素原子を含むものであり得ることを含意している。一部の実施形態では、アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する中サイズのアルキルである。一部の実施形態では、アルキルは、1〜4個の炭素原子有する低級アルキルである。アルキル基は置換されていてもよく(例えば、1〜5つの置換基で)、非置換であってもよい。本明細書に記載の任意の実施形態において、アルキルは非置換であり得る。本明細書に記載の任意の実施形態において、アルキルはまた、1〜5つの置換基により置換されていてもよく、ここで、該置換基は、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アジド、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、カルボニル、チオカルボニル、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミドおよびアミノ(これらの用語は本明細書において定義されている)であり得る。
「シクロアルキル」基は、すべての炭素の単環式または縮合環(すなわち、隣接している1対の炭素原子を共有している環)基であって、該環の1つ以上が(one of more)が完全に共役しているπ電子系を有していないものをいう。シクロアルキル基の例は、限定されないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンおよびアダマンタンである。シクロアルキル基は置換されていてもよく(例えば、1〜5つの置換基で)、非置換であってもよい。本明細書に記載の任意の実施形態において、シクロアルキルは非置換であり得る。本明細書に記載の任意の実施形態において、シクロアルキルはまた、1〜5つの置換基により置換されていてもよく、ここで、該置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アジド、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、カルボニル、チオカルボニル、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミドおよびアミノ(これらの用語は本明細書において定義されている)であり得る。
「アルケニル」基は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基をいい、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。アルケニル基は置換されていても非置換であってもよい。
「アルキニル」基は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基をいう。アルキニル基は置換されていても非置換であってもよい。
「アリール」基は、完全に共役しているπ電子系を有するすべて炭素の単環式または縮合環の多環式(すなわち、隣接している1対の炭素原子を共有している環)基をいう。本明細書に記載の任意の実施形態において、アリール基は、6〜14個の炭素、例えば、6〜10個の炭素を有するものであり得る。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルである。アリール基は置換されていてもよく(例えば、1〜5つの置換基で)、非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アジド、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、カルボニル、チオカルボニル、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミドおよびアミノ(これらの用語は本明細書において定義されている)であり得る。本明細書に記載の任意の実施形態において、アリール基は、例えば、1〜5つの置換基、例えば、ハロゲン(例えば、フッ素もしくは塩素)、アルキル基(例えば、C1〜4アルキル)またはハロゲン置換アルキル(例えば、トリフルオロメチル)により置換されていてもよいフェニル基であり得る。
「ヘテロアリール」基は、環(1つまたは複数)内に1個以上の原子、例えば、窒素、酸素および硫黄などを有し、また完全に共役しているπ電子系を有する単環式または縮合環(すなわち、隣接している1対の原子を共有している環)基をいう。本明細書に記載の任意の実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜14個の環内原子、例えば、5〜10個の環内原子(例えば、5個または6個の環内原子)を有するものであり得る。ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが挙げられる。ヘテロアリール基は置換されていてもよく(例えば、1〜5つの置換基で)、非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アジド、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、カルボニル、チオカルボニル、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミドおよびアミノ(これらの用語は本明細書において定義されている)であり得る。
「ヘテロ脂環式」基は、環(1つまたは複数)内に1個以上のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素および硫黄を有する単環式または縮合環基をいう。該環は、1つ以上の二重結合を有するものであってもよい。しかしながら、該環は、完全に共役しているπ電子系を有していない。本明細書に記載の任意の実施形態において、ヘテロ脂環式基は3〜10個の環内原子、例えば、5〜10個の環内原子(例えば、5個または6個の環内原子)を有するものであり得る。ヘテロ脂環式は置換されていてもよく(例えば、1〜5つの置換基で)、非置換であってもよい。置換されている場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、シアノ、ニトロ、アジド、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、カルボニル、チオカルボニル、尿素、チオ尿素、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルホンアミドおよびアミノ(これらの用語は本明細書において定義されている)であり得る。代表例はピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリンなどである。
「アルコキシ」基は−O−アルキル基と−O−シクロアルキル基の両方をいい、ここで、アルキルまたはシクロアルキルは、本明細書において定義されたいずれかのものであり得る。
「アリールオキシ」基は−O−アリール基と−O−ヘテロアリール基の両方をいい、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、本明細書において定義されたいずれかのものであり得る。
「チオヒドロキシ」基は−SH基をいう。
「チオアルコキシ」基は−S−アルキル基と−S−シクロアルキル基の両方をいい、ここで、アルキルまたはシクロアルキルは、本明細書において定義されたいずれかのものであり得る。
「チオアリールオキシ」基は−S−アリール基と−S−ヘテロアリール基の両方をいい、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、本明細書において定義されたいずれかのものであり得る。
「カルボニル」基は−C(=O)−R基をいい、Rは水素、本明細書において定義されたとおりのアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環内炭素によって結合)またはヘテロ脂環式(環内炭素によって結合)である。
「アルデヒド」基は、Rが水素であるカルボニル基をいう。
「チオカルボニル」基は−C(=S)−R基をいい、Rは本明細書において定義されたとおりである。
「C−カルボキシ」基は−C(=O)−O−R基をいい、Rは本明細書において定義されたとおりである。
「O−カルボキシ」基はRC(=O)−O−基をいい、Rは本明細書において定義されたとおりである。
「オキソ」基は=O基をいう。
「カルボン酸」基は、Rが水素であるC−カルボキシル基をいう。
「ハロ」基または「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
「トリハロメチル」基は−CX基(ここで、Xは、本明細書において定義されたとおりのハロ基である)、例えばCF基をいう。
「スルフィニル」基は−S(=O)−R基をいい、Rは本明細書において定義されたとおりである。
「スルホニル」基は−S(=O)−R基をいい、Rは本明細書において定義されたとおりである。
「S−スルホンアミド」基は−S(=O)−NR基をいい、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「N−スルホンアミド」基はRS(=O)−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「O−カルバミル」基は−OC(=O)−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「N−カルバミル」基はROC(=O)−NR−基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「O−チオカルバミル」基は−OC(=S)−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「N−チオカルバミル」基はROC(=S)NR−基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「アミノ」基は−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「C−アミド」基は−C(=O)−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「N−アミド」基はRC(=O)−NR−基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「尿素」基は−NRC(=O)−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「グアニジノ」基は−RNC(=N)−NR基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「グアニル」基はRNC(=N)−基をいい、ここで、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
用語「ホスホニル」または「ホスホネート」は、−P(=O)(OR)基を示し、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
用語「ホスフェート」は−O−P(=O)(OR)基を示し、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
「リン酸」は、各Rが水素であるホスフェート基である。
用語「ホスフィニル」は−PR基を示し、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
用語「チオ尿素」は−NR−C(=S)−NR−基を示し、各Rは本明細書において定義されたとおりである。
用語「糖(saccharide)」は、開鎖糖単位または環式糖単位(例えば、ピラノースベースもしくはフラノースベースの単位)いずれかの1つ以上の糖単位(sugar unit)をいい、特に記載のない限り、任意の単糖、二糖およびオリゴ糖が包含される。
用語「立体異性体」には、幾何異性体、例えばEまたはZ異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーなどが包含される。
用語「立体異性体混合物」には、本明細書において定義された立体異性体の任意の比率の任意の混合物が包含される。一部の実施形態では、立体異性体混合物にはラセミ混合物が包含される。一部の実施形態では、立体異性体混合物には片方のエナンチオマーを富化した混合物が包含される。一部の実施形態では、立体異性体混合物には任意の比率のジアステレオマーの混合物が包含される。
用語「エナンチオマー過剰」または「ee」は一方のエナンチオマーが他方と比べてどれだけ多く存在しているかの尺度をいう。RとSのエナンチオマー混合物では、エナンチオマー過剰の割合を│R−S│100と定義し、ここで、RおよびSは、R+S=1となるような混合物中のエナンチオマーのそれぞれのモル分率または重量分率である。キラル物質の旋光度の知識により、エナンチオマー過剰の割合は([α]obs/[α]max100と定義され、ここで、[α]obsはエナンチオマー混合物の旋光度であり、[α]maxは純粋なエナンチオマーの旋光度である。
用語「塩」には、分子内塩または外部塩の両方が包含される。一部の実施形態では、塩が分子内塩、すなわち両性イオン構造である。一部の実施形態では、塩が外部塩である。一部の実施形態では、外部塩は、適当な対イオンを有する薬学的に許容され得る塩である。医薬使用のための好適な対イオンは当該技術分野で知られている。
本出願書類全体を通して、本発明の種々の実施形態を範囲形式で提示している場合があり得る。範囲形式での説明は、便宜上、略して用いたにすぎないと解釈されるべきであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきでないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、可能なすべての下位範囲ならびに該範囲内の個々の数値が具体的に開示されているとみなされるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの下位範囲ならびに該範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5および6が具体的に開示されているとみなされたい。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
本発明の特定の特色(これは、明瞭性重視のため、別々の実施形態の状況において記載している)はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことが認識される。逆に、本発明の種々の特色(これは、簡潔性重視のため、単一の実施形態の状況において記載している)はまた、別々に、または任意の適当な下位の組合せで、もしくは本発明の記載の任意の他の実施形態において適するものとして提供してもよい。種々の実施形態の状況において記載した特定の特色は、このような要素なしでは該実施形態が実施不可である場合を除き、該実施形態の必須の特色であるとみなされるべきでない。
酸化脂質
本発明は、一部において、酸化脂質化合物に関する。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質は式1:
Figure 2017537094
(式中、B、B、およびBの各々は独立して、酸素、硫黄、窒素、リン、およびケイ素からなる群より選択され、ここで、前記窒素、リン、およびケイ素の各々は、アルキル、ハロ、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、およびオキソからなる群より選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
10は、1〜5つのR11置換基で置換されていてもよいC2〜28アルキルであり、ここで、各R11は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択され;
pは1〜10から選択される整数であり;
qは1〜26から選択される整数であり;
20は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;
Hetはヘテロ脂環式の環またはヘテロアリールである)
の化合物である。他の実施形態では、該酸化脂質は式1の化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。一部の実施形態では、式1の構造を有する酸化脂質は両性イオン(zwittionic)構造を有するものである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式1の構造を有する化合物の外部塩(external salt)(例えば、薬学的に許容され得る塩)である。一部の実施形態では、式1の化合物は式1aもしくは式1b:
Figure 2017537094
の構造を有するものまたはその塩である。
一部の実施形態では、該化合物は式1aの構造を有するものであり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。一部の実施形態では、該化合物は式1bの構造を有するものであり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
式1の好適なB、B、およびBは本明細書において定義されている。一部の実施形態では、BがOである。一部の実施形態では、BがOである。一部の実施形態では、BがOである。一部の実施形態では、B、B、およびBのうちの少なくとも2つがOである、例えば、B、BがOであり、BがOもしくはSであるか;B、BがOであり、BがOもしくはSであるか;またはB、BがOであり、BがOもしくはSである。一部の実施形態では、BがSである。一部の実施形態では、BがSである。一部の実施形態では、BがSである。一部の実施形態では、B、B、およびBのうちの少なくとも2つがSである、例えば、B、BがSであり、BがOもしくはSであるか;B、BがSであり、BがOもしくはSであるか;またはB、BがSであり、BがOもしくはSである。一部の実施形態では、B、B、およびBのすべてがOである。一部の実施形態では、B、B、およびBのすべてがSである。
式1の好適なR10は本明細書において定義されている。一部の実施形態では、R10がC2〜28アルキルである。一部の実施形態では、R10が直鎖のC2〜28アルキル、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28個の炭素を有する置換または非置換のアルキル鎖である。一部の実施形態では、R10が直鎖のC2〜28アルキル、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28個の炭素を有し、1〜5つのR11置換基により置換されているアルキル鎖であり、ここで、各R11は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F)またはアルキル(例えば、C1〜10アルキル)である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R10がヘキサデシルである。一部の実施形態では、R10が(2’−オクチル)ドデシルである。一部の実施形態では、R10がエイコサニルである。
式1の好適なR20は本明細書において定義されている。一部の実施形態では、R20が水素またはアルキルである。一部の実施形態では、R20が水素である。一部の実施形態では、R20がアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、R20がメチルである。
式1におけるpおよびqの好適な値は本明細書において定義されている。一部の実施形態では、qが1〜10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一部の実施形態では、qが4である。一部の実施形態では、pが1〜7の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、または7である。一部の実施形態では、pが2である。
式1の好適なHetは本明細書において定義されている。一部の実施形態では、Hetがヘテロアリールである。一部の実施形態では、Hetが単環式のヘテロアリールである。一部の実施形態では、Hetが含窒素ヘテロアリール(例えば、単環式のヘテロアリール)である。一部の実施形態では、Hetが、1、2、3または4個の窒素原子を含む単環式のヘテロアリールである。一部の実施形態では、Hetが6員環の単環式のヘテロアリール、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジンなどである。一部の実施形態では、Hetが5員環の単環式のヘテロアリール、例えば、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキシジアゾール、ピラゾール、トリアゾールなどである。一部の実施形態では、Hetが、窒素原子を含む、例えば1〜3個の窒素原子を含む二環式のヘテロアリール、例えば、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、チエノピリジン、チエノピリミジン、ピロロピリジン、イミダゾピリジンなどである。本明細書に記載の任意の実施形態において、Hetは含窒素ヘテロアリールであり得、ここで、該ヘテロアリールの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されてカチオンを形成する。一部の実施形態では、Hetがピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されてピリジニウム塩(例えば、分子内塩または本明細書に記載の外部塩)を形成する。一部の実施形態では、Hetが非置換のピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結される。一部の実施形態では、Hetが置換ピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結され、ここで、該ピリジンは1〜5(例えば、1、2、3、4または5)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択される(本明細書において定義されたとおり)。一部の実施形態では、各R12が独立して、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはアルキル(例えば、C1〜10アルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、Hetが置換ピリジンであり、該ピリジンは、該ピリジンの2−、3−または4−位が1つのR12置換基により置換されており、R12は本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式2:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。好適なR10、R20、p、qおよびHetは、式1について本明細書において定義されたとおりのものである。一部の実施形態では、式2の構造を有する酸化脂質は両性イオン構造を有するものである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式2の構造を有する化合物の外部塩(例えば、薬学的に許容され得る塩)である。一部の実施形態では、式2の化合物は、式2aもしくは式2b:
Figure 2017537094
の構造を有するものまたはその塩である。
一部の実施形態では、該化合物は、式2aの構造を有するS−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。一部の実施形態では、該化合物は、式2bの構造を有するR−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
式2による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択され;R20が水素またはアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)であり;qが1〜10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;pが1〜7の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、または7であり;Hetが非置換のピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は式2のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されているか、またはHetが置換ピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式2のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されており、ここで、該ピリジンは1〜5(例えば、1、2、3、4または5)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはアルキル(例えば、C1〜10アルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、Hetが置換ピリジンであり、該ピリジンは、該ピリジンの2−、3−または4−位が1つのR12置換基により置換されており、R12は本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式3:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩であり、式中、R10、R12、R20、p、およびqは、式1について本明細書において定義されたとおりである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式3による両性イオン構造である。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式3の構造を有する化合物の外部塩(例えば、薬学的に許容され得る塩)である。一部の実施形態では、式3による酸化脂質は、式3aまたは式3b:
Figure 2017537094
の構造を有するものまたはその塩である。
一部の実施形態では、該化合物は、式3aの構造を有するS−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。一部の実施形態では、該化合物は、式3bの構造を有するR−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
式3による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)であり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6であり;pが2〜5の整数、例えば、2、3、4または5であり;該ピリジンが0〜3(例えば、0、1、2または3)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはメチルであり;qが2、3、4、5、または6であり;pが2、3、4または5であり;該ピリジンが0〜3(例えば、0、1、2または3)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはメチルであり;qが4であり;pが2であり;該ピリジンが0、1または2つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、ハロゲン(例えば、F、Cl)、フェニルまたはメチルである。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択される。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、R20が水素またはC1〜4アルキルである。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、qが2〜6の整数である。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、pが2〜5の整数である。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、該ピリジンが0〜3(例えば、0、1、2または3)つのR12置換基により置換されており、ここで、各R12は独立して、本明細書において定義されたとおり、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C6〜10アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールまたはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル)である。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、該ピリジン環が1、2または3つのR12置換基により置換されている。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、該ピリジン環が1つのR12置換基により置換されており、ここで、該1つのR12置換基がフッ素またはフェニルであり、例えば、該ピリジン環が3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである。式3、3aおよび3bによる一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはメチルであり;qが4であり;pが2であり;該ピリジンが3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式4:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。好適なR10、R20およびqは、式1について本明細書において定義されたとおりのものである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式4による両性イオン構造を有するものである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式4の構造を有する化合物の外部塩(例えば、薬学的に許容され得る塩)である。一部の実施形態では、式4による酸化脂質は、式4aまたは式4b:
Figure 2017537094
の構造を有するものまたはその塩である。
一部の実施形態では、該化合物は、式4aの構造を有するS−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。一部の実施形態では、該化合物は、式4bの構造を有するR−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
式4による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R10がヘキサデシルである。一部の実施形態では、R10が(2’−オクチル)ドデシルである。一部の実施形態では、R10がエイコサニルである。
一部の実施形態では、R20が水素またはアルキルである。一部の実施形態では、R20が水素である。一部の実施形態では、R20がアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、R20がメチルである。
一部の実施形態では、qが1〜10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一部の実施形態では、qが4である。
一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素またはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)であり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20が水素であり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6である。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され;R20がメチルであり;qが2〜6の整数、例えば、2、3、4、5、または6である。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式5
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩であり、式中、R10およびR20は、式1について本明細書において定義されたとおりである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式5による両性イオン構造を有するものである。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式5の構造を有する化合物の外部塩(例えば、薬学的に許容され得る塩)である。一部の実施形態では、該酸化脂質は、式5の化合物であり、式5aまたは式5b:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物またはその塩である。
一部の実施形態では、該化合物は、式5aの構造を有するS−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。一部の実施形態では、該化合物は、式5bの構造を有するR−異性体であり、該化合物は約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有する化合物である。他の実施形態では、該化合物は、約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有する化合物である。
式5による一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R10がヘキサデシルである。一部の実施形態では、R10が(2’−オクチル)ドデシルである。一部の実施形態では、R10がエイコサニルである。
一部の実施形態では、R20が水素またはアルキルである。一部の実施形態では、R20が水素である。一部の実施形態では、R20がアルキル、例えば、C1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、R20がメチルである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。
一部の実施形態では、本発明により、(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−701);(R)−1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−702);(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703);(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−704);および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−705)からなる群より選択される化合物を提供する。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。一部の実施形態では、該化合物は、約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。
一部の実施形態では、本発明により、(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フルオロ−ピリジニウムエチルエステル(VB−706)および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フェニル−ピリジニウムエチルエステル(VB−707)からなる群より選択される化合物を提供する。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。一部の実施形態では、該化合物は、約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、巣状分節性糸球体硬化症または本明細書に記載の任意の他の線維症)がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により肝臓の炎症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に低減される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により肝線維症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に低減される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により腎線維症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により巣状分節性糸球体硬化症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。
他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物によりIKK、ERK、AKT、またはp38のリガンド誘導性リン酸化の形成が、VB−201(1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−3−ホスホコリンまたは1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシブチル)−グリセロール−3−ホスホコリン))によりIKK、ERK、AKT、またはp38のリガンド誘導性リン酸化の形成を阻害するのと同等か、またはより大きく阻害される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物によりリガンド誘導性細胞遊走が、VB−201によってリガンド誘導性細胞遊走が阻害されるのと同等か、またはより大きく阻害される。他の実施形態では、リガンドがLPS、PGN、PAM3またはMCP1である。他の実施形態では、細胞遊走が単球の遊走である。
合成方法
本発明の他の実施形態は、本発明の酸化脂質の合成方法に関する。
一部の実施形態では、本発明により、式1
Figure 2017537094
(式中、B、B、B、R10、R20、Het、p、およびqは本明細書において式1について上記で定義されているとおりである)
の化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩の合成方法を提供し、該方法は
a)中間体1
Figure 2017537094
(式中、B、B、B、R10、Het、p、およびqは式1について上記で定義されているとおりであり;LGは脱離基である)
をHetと反応させて式1の化合物を形成させる工程を含むものである。一部の実施形態では、R20’がR20と同じである。しかしながら、実施例のセクションに記載のように、中間体1をピリジン中で加熱した場合(例えば、還流温度で)、−COOR20’の−COOHへの変換もまた観察された。したがって、一部の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHまたはその塩に変換され、式1の化合物が形成される。他の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1をHetと反応させた後、−COOR20’を−COOHまたはその塩に変換させるための加水分解工程を行い、式1の化合物を形成させる。好ましい実施形態では、R20がHであり、R20’がメチルであり、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHまたはその塩に変換され、式1の化合物が形成される。一部の実施形態では、LGが、ハロゲンおよび含酸素脱離基(例えば、本明細書に記載のとおり)からなる群より選択される。
一部の実施形態では、中間体1が、
b)反応物1
Figure 2017537094
を反応物2
Figure 2017537094
と反応させてモノクロロ反応生成物を形成させる工程;および
c)該モノクロロ反応生成物を加水分解して中間体1を形成させる工程
(式中、B、B、B、R10、R20’、p、q、およびLGは中間体1について上記で定義されているとおりである)
により合成され得る。
他の実施形態では、中間体1が、
b’)反応物1
Figure 2017537094
をPOClと反応させてPOCl反応生成物を形成させる工程;
c’)反応物2A
Figure 2017537094
を該POCl反応生成物と反応させて第2の反応生成物を形成させる工程;および
d’)該第2の反応生成物を加水分解して中間体1を形成させる工程
(式中、B、B、B、R10、R20’、p、q、およびLGは中間体1について上記で定義されているとおりである)により合成され得る。一部の実施形態では、工程b’)とc’)がワンポット様式で行われ得る。一部の実施形態では、POCl反応生成物を、反応物2Aと反応させる前に単離しない。
本明細書に記載の合成方法のために好適なLGとしては、当該技術分野で知られた任意の脱離基が挙げられる。一部の実施形態では、LGがハロゲン、例えば、F、Cl、BrまたはIである。一部の実施形態では、LGが含酸素脱離基、例えば、トシレート、メシレート、トリフレートなどである。一部の実施形態では、LGがBrである。含酸素脱離基は、本明細書で用いる場合、式
Figure 2017537094
(式中、Gは典型的には、電子求引性基である)
で表される脱離基、例えば、
Figure 2017537094
をいう。含酸素脱離基の例としては、
スルホネート、例えば、ノナフレート、トリフレート、フルオロスルホネート、トシレート、メシレートまたはベシレートが挙げられる。他の含酸素脱離基、例えば、アシルオキシおよびアリールオキシ基が当該技術分野で知られている。
一部の実施形態では、LGが、
Figure 2017537094
で表される含酸素脱離基からなる群より選択される脱離基であり、R100が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、これらは各々、1〜5つのR13によって置換されていてもよく、ここで、各R13置換基は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択される。一部の実施形態では、R100がp−トリル、o−トリル、フェニル、メチル、またはトリフルオロメチルである。一部の実施形態では、R100がp−トリルである。
一部の実施形態では、B、B、およびBのすべてがOである。一部の実施形態では、Hetが非置換のピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されている。一部の実施形態では、Hetが3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されている。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R20が水素またはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、pが2である。一部の実施形態では、qが4である。
一部の実施形態では、上記の方法は、式2、3、4または5(例えば、本明細書に記載のとおり)の構造を有する化合物の合成に関するものである。かかる実施形態では、B、B、およびBのすべてがOであり、上記の方法のために好適なR10、R11、R12、R20、Het、p、およびqは、それぞれ式2、3、4または5について本明細書において定義されたとおりのものである。一部の実施形態では、R20’がR20と同じである。一部の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHもしくはその塩に変換され、式2、3、4または5の化合物が形成される。他の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1をHetと反応させた後、−COOR20’を−COOHまたはその塩に変換させるための加水分解工程を行い、式2、3、4または5の化合物を形成させる。好ましい実施形態では、R20が式2、3、4または5においてHであり、R20’がメチルであり、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHもしくはその塩に変換され、式2、3、4または5の化合物が形成される。
本明細書に記載の各プロセス工程のための好適な溶媒、反応温度ならびに他の反応パラメータは当業者により、本明細書に記載の実際の実施例に基づいて確認することができる。
したがって、一部の実施形態では、式1(例えば、本明細書に記載のとおり)の構造を有する化合物は、方法A:
Figure 2017537094
の工程を含む方法によって合成され得る。
好適なLGには、当該技術分野で知られた任意の脱離基が包含される。一部の実施形態では、LGがハロゲン、例えば、F、Cl、BrまたはIである。一部の実施形態では、LGが含酸素脱離基、例えば、トシレート、メシレート、トリフレートなどである。一部の実施形態では、LGがBrである。一部の実施形態では、LGがトシレートである。
一部の実施形態では、式1の構造を有する化合物はまた、方法B:
Figure 2017537094
の工程を含む方法によっても合成され得る。
方法Bのための好適なR100としては、1〜5つのR13で置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式アルキル、アリールまたはヘテロアリールが挙げられ、ここで、各R13置換基は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択される(本明細書に記載のとおり)。一部の実施形態では、R100がp−トリル、o−トリル、フェニル、メチル、またはトリフルオロメチル部分である。一部の実施形態では、R100がp−トリルである。
一部の実施形態では、式1の構造を有する化合物の合成方法は、さらに、エステルをカルボン酸に変換させるための加水分解工程を含む。
方法AまたはBのための好適なB、B、B、R10、R11、R12、R20、Het、p、およびqは、式1について本明細書において定義されたとおりのものである。一部の実施形態では、B、B、およびBのすべてがOである。一部の実施形態では、Hetが非置換のピリジンであり、ここで、該ピリジンの窒素原子は、式1のアルキレン鎖、すなわち−(CH−に直接連結されている。一部の実施形態では、R10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択される。一部の実施形態では、R20が水素またはC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチル)である。一部の実施形態では、pが2である。一部の実施形態では、qが4である。一部の実施形態では、R20’がR20と同じである。一部の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHまたはその塩に変換され、式1の化合物が形成される。他の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1をHetと反応させた後、−COOR20’を−COOHまたはその塩に変換させるための加水分解工程を行い、式1の化合物を形成させる。好ましい実施形態では、R20がHであり、R20’がメチルであり、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHまたはその塩に変換され、式1の化合物が形成される。
同様に、式2、3、4または5(例えば、本明細書に記載のとおり)の構造を有する化合物は上記の方法のいずれかによって、例えば、方法Aの工程または方法Bの工程を含む方法によって合成され得る。式2、3、4または5(例えば、本明細書に記載のとおり)の構造を有する化合物の合成では、B、B、およびBのすべてがOであり、方法AまたはBのための好適なR10、R11、R12、R20、Het、p、およびqは、それぞれ式2、3、4または5について本明細書において定義されたとおりのものである。一部の実施形態では、R20’がR20と同じである。一部の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHもしくはその塩に変換され、式2、3、4または5の化合物が形成される。他の実施形態では、R20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1をHetと反応させた後、−COOR20’を−COOHもしくはその塩に変換させるための加水分解工程を行い、式2、3、4または5の化合物を形成させる。好ましい実施形態では、R20がHであり、R20’がメチルであり、中間体1とHet(例えば、ピリジンまたは本明細書において定義されたとおりの置換ピリジン)との反応ではまた、−COOR20’が−COOHもしくはその塩に変換され、式2、3、4または5の化合物が形成される。
一部の実施形態では、本発明により、式1
Figure 2017537094
の化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩の合成方法であって、
a)反応物10
Figure 2017537094
をR20OHと反応させて式1の化合物を形成させる工程を含む方法を提供し、
式中、B、B、B、R10、Het、p、およびqは上記で定義されているとおりであり;R20は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される。好ましくは、R20はアルキル(例えば、C1〜4アルキル、例えば、メチル)である。一部の実施形態では、該反応は酸、例えばHClによって触媒される。また、エステルの他の既知の形成方法も工程a)において使用することができる。
一部の実施形態では、該方法は、式2、3、4または5(例えば、本明細書に記載のとおり)の構造を有する化合物の合成に関するものである。かかる実施形態では、B、B、およびBのすべてがOであり、上記の方法のための好適なR10、R11、R12、Het、p、およびqは、それぞれ式2、3、4または5について本明細書において定義されたとおりのものであり、R20が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される。好ましくは、R20はアルキル(例えば、C1〜4アルキル、例えば、メチル)である。
特定のエナンチオマー純度(例えば、本明細書に記載のとおり)を有する本発明の酸化脂質(例えば、式1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b)は、ラセミ混合物から当該技術分野で知られた手法によって得ることができる。例としては、限定されないが、キラル塩の形成とキラルまたは高速液体クロマトグラフィー「HPLC」の使用およびキラル塩の形成と晶出が挙げられる。例えば、Jacques,J.,et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley−Interscience,New York,1981);Wilen,S.H.,et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962);およびWilen,S.H.,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel編,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,Ind.,1972)を参照のこと。
また、特定のエナンチオマー純度(例えば、本明細書に記載のとおり)を有する本発明の酸化脂質(例えば、式1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b)は、本明細書に記載の一般的な方法AまたはBにより、特定のエナンチオマー純度を有する出発物質または任意の合成中間体、例えば、(S)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロール、(S)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロールまたは(S)−1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロールを用いて合成することもできる。特定のエナンチオマー純度を有する出発物質または任意の合成中間体は、当該技術分野で知られた合成方法によって、または本明細書に記載のようなラセミ混合物からのキラル分離によって得ることができる。
他の実施形態では、本発明は、本発明のいずれかの合成方法によって作製される化合物に関する。
医薬組成物
本発明の他の実施形態は、本発明の酸化脂質を含む医薬組成物に関する。一部の実施形態では、医薬組成物は本発明の酸化脂質および薬学的に許容され得るビヒクルを含むものである。他の実施形態では、医薬組成物は治療有効量の該酸化脂質を含むものである。一部の実施形態では、医薬組成物は治療有効量の該酸化脂質および薬学的に許容され得るビヒクルを含むものである。本明細書で用いる場合、酸化脂質の治療有効量は、本発明の疾患または障害が治療または予防されるのに有効な量である。
他の実施形態では、本発明の医薬組成物は経口投与され得る。
一部の実施形態では、医薬組成物は、式1、2、3、4または5(本明細書に記載のとおり)のいずれかの構造を有する化合物を含むものである。
他の実施形態では、医薬組成物は:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩を含むものである。
一部の実施形態では、医薬組成物は、(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−701);(R)−1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−702);(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703);(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−704);および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−705)からなる群より選択される化合物を含むものである。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。一部の実施形態では、該化合物は、約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
一部の実施形態では、医薬組成物は:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩を含むものである。
一部の実施形態では、医薬組成物は、(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フルオロ−ピリジニウムエチルエステル(VB−706)および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フェニル−ピリジニウムエチルエステル(VB−707)からなる群より選択される化合物を含むものである。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。一部の実施形態では、該化合物は、約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
他の実施形態では、該医薬組成物により線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、巣状分節性糸球体硬化症または本明細書に記載の任意の他の線維症)がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。他の実施形態では、該医薬組成物により肝臓の炎症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に低減される。他の実施形態では、該医薬組成物により肝線維症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に低減される。他の実施形態では、該医薬組成物により腎線維症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。他の実施形態では、該医薬組成物により巣状分節性糸球体硬化症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。
他の実施形態では、該医薬組成物によりIKK、ERK、AKT、またはp38のリガンド誘導性リン酸化の形成が、VB−201(1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−3−ホスホコリンまたは1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシブチル)−グリセロール−3−ホスホコリン))によってIKK、ERK、AKT、またはp38のリガンド誘導性リン酸化の形成が抑止されるのと同等か、またはより大きく抑止される。他の実施形態では、該医薬組成物によりリガンド誘導性細胞遊走が、VB−201によってリガンド誘導性細胞遊走が阻害されるのと同等か、またはより大きく抑止される。他の実施形態では、リガンドがLPS、PGN、PAM3またはMCP1である。他の実施形態では、細胞遊走が単球の遊走である。
線維症または炎症性の疾患もしくは障害の治療方法または予防方法
本発明の実施形態は、本発明の酸化脂質を投与する工程を含む、線維症または炎症性の疾患もしくは障害を治療または予防するための方法に関する。他の実施形態では、本発明は、炎症性の疾患または障害を治療または予防するための方法に関する。他の実施形態では、該方法は、治療有効量の本発明の酸化脂質を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。他の実施形態では、該方法は、本発明の医薬組成物を投与する工程を含む。
本明細書に記載の方法は、あらゆる型の線維症を治療または予防するために使用され得る。本発明の方法の一部の実施形態では、線維症が肺線維症、肝線維症、皮膚線維症または腎線維症である。本発明の方法の一部の実施形態では、線維症が心臓線維症、骨髄線維症、腸線維症、関節線維症(膝、肩または他の関節)、手の線維症、指の線維症、骨格筋線維症、神経線維症および陰茎線維症である。他の実施形態では、線維症が特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症、進行性塊状線維症、肝硬変、脂肪性肝炎(脂肪性肝疾患)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心内膜心筋線維症、心筋梗塞、心房性線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、ケロイド、クローン病、強皮症/全身性硬化症、関節線維症、ペイロニー病、デュピュイトラン拘縮、癒着性関節包炎、または巣状分節性糸球体硬化症である。一部の実施形態では、線維症が肝線維症である。一部の実施形態では、線維症が腎線維症である。一部の実施形態では、腎線維症の治療または予防を必要とする対象が慢性腎臓疾患を有する対象である。一部の実施形態では、線維症が巣状分節性糸球体硬化症である。一部の実施形態では、巣状分節性糸球体硬化症の治療または予防を必要とする対象が慢性腎臓疾患を有する対象である。
一部の実施形態では、線維症が、特発性肺線維症を含まない線維症である。他の実施形態では、線維症が、嚢胞性線維症を含まない線維症である。他の実施形態では、線維症が、進行性塊状線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、肝硬変を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、脂肪性肝炎(脂肪性肝疾患)を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、心内膜心筋線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、心筋梗塞を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、心房性線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、縦隔線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、骨髄線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、後腹膜線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、腎性全身性線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、ケロイドを含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、クローン病を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、強皮症/全身性硬化症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、関節線維症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、ペイロニー病を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、デュピュイトラン拘縮を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、癒着性関節包炎を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、巣状分節性糸球体硬化症を含まない線維症である。一部の実施形態では、線維症が、動脈内の線維性の病変またはプラークを含まない線維症である。
一部の実施形態では、該酸化脂質により肝臓の炎症が治療または予防されるが肝線維症は改められない。他の実施形態では、該酸化脂質により肝線維症が治療または予防されるが肝臓の炎症は改められない。
他の実施形態では、炎症性の疾患または障害が肝臓の炎症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、または乾癬である。
一部の実施形態では、炎症性の疾患または障害が、炎症性の心血管の疾患もしくは障害、脳血管の疾患もしくは障害、または末梢血管の疾患もしくは障害である。
一部の実施形態では、炎症性の疾患または障害が、閉塞性の疾患または障害、アテローム性動脈硬化症、心臓弁膜症、狭窄、再狭窄、ステント内狭窄、心筋梗塞、冠状動脈疾患、急性冠症候群、鬱血性心不全、狭心症、心筋虚血、血栓症、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎病(Kawasaki syndrome)、抗第VIII因子自己免疫性疾患または障害、壊死性小血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、微量免疫型巣状壊死性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、抗リン脂質症候群、抗体誘導性心不全、血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、心臓自己免疫、シャーガス疾患または障害および抗ヘルパーTリンパ球自己免疫からなる群より選択される炎症性の心血管の疾患または障害である。
一部の実施形態では、炎症性の疾患または障害が、卒中、脳血管の炎症、脳出血、および椎骨動脈循環不全からなる群より選択される脳血管の疾患または障害である。
一部の実施形態では、炎症性の疾患または障害が、壊疽、糖尿病性血管障害、虚血性腸疾患、血栓症、糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症からなる群より選択される末梢血管の疾患または障害である。
他の実施形態では、TLR2、TLR4および/またはCD14の活性が処理細胞において阻害される。一部の実施形態では、TLR2およびTLR4の活性が阻害されるか;TLR4とCD14の活性が阻害されるか;TLR2とCD14の活性が阻害されるか;またはTLR2、TLR4、およびCD14の活性が阻害される。
他の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の脂肪症が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて低減されない。他の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の形成が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少しない。他の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の構築(formulation)が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少しない。他の実施形態では、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて、それぞれ、本発明の酸化脂質で処置された対象の脂肪症は低減されず、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の形成は減少する。他の実施形態では、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて、それぞれ、本発明の酸化脂質で処置された対象の脂肪症は低減されず、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の形成は減少しない。他の実施形態では、泡沫細胞様マクロファージが本発明の酸化脂質で処置された対象において、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少する。一部の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の形成および泡沫細胞様マクロファージが、それぞれ、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少する。一部の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の炎症が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少する。一部の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の炎症および泡沫細胞様マクロファージが、それぞれ、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少する。一部の実施形態では、肝小葉の形成、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の炎症および泡沫細胞様マクロファージが、それぞれ、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて減少する。一部の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の形成が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて約5%〜約50%(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、または明示した値間の任意の範囲)減少する。一部の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の泡沫細胞様マクロファージの形成が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて約5%〜約50%(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、または明示した値間の任意の範囲)減少する。一部の実施形態では、本発明の酸化脂質で処置された対象の肝小葉の炎症が、未処置対象またはプラセボ処置対象と比べて約5%〜約50%(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、または明示した値間の任意の範囲)減少する。
一部の実施形態では、該酸化脂質は、式1、2、3、4または5(本明細書に記載のとおり)のいずれかの構造を有する化合物である。
一部の実施形態では、該酸化脂質が:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。
一部の実施形態では、該酸化脂質が、(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−701);(R)−1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−702);(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703);(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−704);および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−705)からなる群より選択される化合物である。一部の実施形態では、該化合物は、約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
一部の実施形態では、該酸化脂質が:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩である。
一部の実施形態では、該酸化脂質が(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フルオロ−ピリジニウムエチルエステル(VB−706)および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フェニル−ピリジニウムエチルエステル(VB−707)からなる群より選択される化合物である。接頭語「(R)−」は、グリセロール主鎖のC−2炭素の立体配置をいう。一部の実施形態では、該化合物は、約80%ee以上、例えば、約80%ee、約85%ee、約90%ee、約91%ee、約92%ee、約93%ee、約94%ee、約95%ee、約96%ee、約97%ee、約98%ee、約99%ee、約99.5%ee以上のエナンチオマー純度を有するものである。他の実施形態では、該化合物は約80%ee〜約100%ee、約85%ee〜約100%ee、約90%ee〜約100%ee、約95%ee〜約100%、約80%ee〜約99.5%ee、約85%ee〜約99.5%ee、約90%ee〜約99.5%ee、約95%ee〜約99.5%、またはその任意の範囲内のエナンチオマー純度を有するものである。
他の実施形態では、該酸化脂質化合物により、線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、巣状分節性糸球体硬化症または本明細書に記載の任意の他の線維症)がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。他の実施形態では、該酸化脂質化合物により肝臓の炎症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に低減される。他の実施形態では、該酸化脂質化合物により肝線維症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に低減される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により腎線維症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。他の実施形態では、本発明の酸化脂質化合物により巣状分節性糸球体硬化症がテルミサルタンと同様に、またはより良好に治療または予防される。
他の実施形態では、該酸化脂質化合物により、IKK、ERK、AKT、またはp38のリガンド誘導性リン酸化の形成が、VB−201(1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−3−ホスホコリンまたは1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシブチル)−グリセロール−3−ホスホコリン)によってIKK、ERK、AKT、またはp38のリガンド誘導性リン酸化の形成が阻害されるのと同等か、またはより大きく阻害される。他の実施形態では、該化合物によりリガンド誘導性細胞遊走が、VB−201によってリガンド誘導性細胞遊走が阻害されるのと同等か、またはより大きく阻害される。他の実施形態では、リガンドがLPS、PGN、MCP1、またはPAM3である。他の実施形態では、細胞遊走が単球の遊走である。
他の実施形態では、対象が哺乳動物またはヒトである。他の実施形態では、ヒトが女性である。他の実施形態では、ヒトが男性である。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式6:
Figure 2017537094
の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩であり、
式中:
nは1〜6の整数であり、ここで、nが1のとき、Cn、Bn、RnおよびYは存在せず、CはR’nに結合しており;
、B、…Bn−1およびBnの各々は独立して、酸素、硫黄、窒素、リン、およびケイ素からなる群より選択され、ここで、前記窒素、リン、およびケイ素の各々は、アルキル、ハロ、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、およびオキソからなる群より選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
、A、…An−1およびAnの各々は独立して、CR”R’’’、C=OおよびC=Sからなる群より選択され、
Yは、一般式:
Figure 2017537094
を有する部分であり、
ここで:
U、B’およびB”の各々は独立して、硫黄および酸素からなる群より選択され;
D’およびD”の各々は独立して、水素、負電荷、アルキル、アミノ置換アルキル、ヘテロ脂環式置換アルキル、ヘテロアリール置換アルキル、シクロアルキル、ホスホネートおよびチオホスホネートからなる群より選択され;
、X、…Xn−1の各々は独立して、一般式7:
Figure 2017537094
を有する飽和または不飽和の炭化水素であり、
mは1〜26の整数であり;
Zは:H、
Figure 2017537094
および−OR”
からなる群より選択され、
ここで、Wは、酸素および硫黄からなる群より選択され;
ここで、X、X、…Xn−1のうちの少なくとも1つは水素以外のZを含み:
ここで、
、R’、R、…Rn−1、Rn、R’nの各々、R”およびR’’’の各々ならびにRa、R’a、Rb、R’b、…Rm−1、R’m−1、RmおよびR’mの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択されるか、あるいはまた、R、R’、R2、…Rn−1、RnおよびR’nのうちの少なくとも2つおよび/またはRa、R’a、Rb、R’b、…Rm−1、R’m−1、RmおよびR’mのうちの少なくとも2つが少なくとも1つの4−、5−または6−員の芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ脂環式の環を形成している。
一部の実施形態では、本発明の酸化脂質が、式6(本明細書において定義されたとおり)の構造を有する化合物、またはその立体異性体、立体異性体混合物、もしくは塩であり、ここで、Yは
Figure 2017537094
であり、
式中:
nは3であり;
U、B’およびB”の各々は酸素であり;
ここで、D’とD”のうちの一方がヘテロ脂環式置換アルキルまたはヘテロアリール置換アルキルであり、D’とD”のうちの他方が水素または負電荷である。一部の実施形態では、D’とD”のうちの一方がヘテロアリール置換アルキルであり、D’とD”のうちの他方が水素または負電荷である。
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の任意の酸化脂質(例えば、式1〜6の構造を有する)の重水素化された類似体、プロドラッグ、水和物および溶媒和物に関する。
次に、以下の実施例に言及するが、これは上記の説明と一緒に、非限定的な様式で本発明の一部の実施形態の実例を示すものである。
一般合成手順
手順A
1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ブロモエチルエステル
Figure 2017537094
1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロールを、ベンゼンとの共沸蒸留によって乾燥させた。窒素下で室温まで冷却した後、(2−ブロモエチル)−ホスホリルクロリド(1.5当量)を添加し、得られた混合物を室温で15分間撹拌した。次いで反応混合物を氷浴中で冷却した。次いでピリジン(無水,1.2当量)を滴下した。次いで反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、溶媒を減圧除去した。次いで水を添加し、反応混合物を1時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで減圧濃縮し、1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ブロモエチルエステルを得た。
1−アルキル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル
Figure 2017537094
1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ブロモエチルエステルをピリジン(無水)に溶解させた。得られた反応混合物を22時間還流した。ピリジンの減圧除去後、残渣をメタノールに溶解させた。次いで、重炭酸ナトリウム(4.5当量)を添加した。得られた混合物を1時間還流し、熱時濾過した。メタノールでの濾液の洗浄および溶媒の減圧除去後に得られた残渣を、シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。CHCl:MeOH(5〜20%,v/v)、続いてCHCl:MeOH:HO(70:26:4,v/v/v)の混合物で溶出した。
手順B
O−トシルエチレングリコール
Figure 2017537094
p−トルエンスルホニルクロリド(7g)のジクロロメタン(無水,50ml)溶液を0℃で、エチレングリコール(無水,20ml)をジクロロメタン(無水,100ml)とピリジン(無水,7ml)中に含む撹拌溶液に滴下した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで氷上に注出し、室温に達するようにした。反応混合物をジクロロメタン(3×100ml)で抽出し、合わせた有機相を逐次、水(150ml)、硫酸(2%,100ml)、水(150ml)、飽和重炭酸ナトリウム(150ml)および再度、水(150ml)で洗浄した。溶媒を減圧除去し、7.74gのO−トシルエチレングリコールを無色の油状物として得た。
1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステル
Figure 2017537094
1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロール(ベンゼンとの共沸蒸留によって乾燥)とトリエチルアミン(3当量)を乾燥THF中に含む溶液に、オキシ塩化リン(1.2当量)の乾燥THF氷冷溶液を滴下した(2時間にわたって)。反応混合物を0℃でさらに15分間、次いで室温で45分間撹拌した。その後、反応混合物を再度、0℃まで冷却した。O−トシルエチレングリコール(1.1当量,ベンゼンとの共沸蒸留によって乾燥)の乾燥THF溶液を30分間にわたって滴下した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで濾過した。溶媒を減圧除去した。得られた残渣を水に溶解させ、1時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。CHCl:MeOH(5〜20%,v/v)の混合物で溶出した後、溶媒を減圧除去し、1−アルキル(alky)−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステルを得た。
1−アルキル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル
Figure 2017537094
1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステルのピリジン溶液を撹拌し、40℃まで6時間加熱した。次いでこの溶液を冷却し、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧除去した後、得られた残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。CHCl:MeOH(5〜20%,v/v)の混合物を最初の溶離剤として使用し、その後、CHCl:MeOH:HO(70:26:4,v/v/v)の混合物を使用した。収集した画分を減圧濃縮した。次いで、得られた残渣をクロロホルムに溶解させ、これを硫酸ナトリウム上で乾燥させた。クロロホルムを減圧除去し、次いで、精製1−アルキル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステルを得た。
上記の一般手順は、本明細書に記載の酸化脂質の合成に適用可能である。メチルエステルのメチル化のためには、この手順にさらなる工程:メタノールとHCl中でのメチル化を存在させる。
メチルエステルの形成のための一般手順
Figure 2017537094
1−アルキル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステルをメタノールに溶解させた。塩酸を、このメタノール溶液に添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。その後、水を反応混合物に添加した。得られた混合物をCHClで抽出した。有機相を逐次、水、飽和重炭酸ナトリウムおよび再度、水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧除去し、次いで、1−アルキル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステルを得た。
VB−703の合成
VB−703を、上記の一般手順に従う2つの合成手順によって合成した。
手順A
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ブロモエチルエステル
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロール(13.75g)をベンゼン(100ml)に溶解させ、50mlのベンゼンとの共沸蒸留によって乾燥させた。窒素下で室温まで冷却した後、(2−ブロモエチル)−ホスホリルクロリド(5.43ml,10.25g)を添加した。得られた混合物を室温で15分間撹拌し、次いで0℃まで冷却した。ピリジン(無水,2.73ml,2.68g)を滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで溶媒を減圧除去した。水(100ml)を添加し、混合物を1時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテル(3×100ml)で抽出し、水(100ml)で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧除去し、15.06gの1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ブロモエチルエステルを得た。
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−3−リン酸ブロモエチルエステル(15.06g)をピリジン(無水,50ml)に溶解させ、反応混合物を22時間還流した。溶媒を減圧除去した後、残渣をメタノール(100ml)に溶解させ、重炭酸ナトリウム(10.68g)を添加した。得られた溶液を1時間(hr)還流し、熱時濾過した。メタノール(2×15ml)での濾液の洗浄および溶媒の減圧除去後に得られた残渣を、シリカゲル(213g)のカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。CHCl:MeOH(5〜20%,v/v)、続いてCHCl:MeOH:HO(70:26:4,v/v/v)の混合物で溶出した。溶媒を減圧除去し、残渣をクロロホルムに溶解させた。この溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧除去し、2.42gの1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステルを得た。
手順B
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステル
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロール(7.47g,ベンゼンとの共沸蒸留によって乾燥)とトリエチルアミン(7ml)を乾燥THF(80ml)中に含む溶液を0℃で2時間、オキシ塩化リン(2ml)の乾燥THF(50ml)撹拌溶液に滴下した。反応混合物を0℃でさらに15分間および室温でさらに45分間撹拌した。反応混合物を再度、0℃まで冷却し、O−トシルエチレングリコール(3.65g,ベンゼンとの共沸蒸留によって乾燥)の乾燥THF(50ml)溶液を30分間滴下した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで濾過し、溶媒を減圧除去した。残渣を水(100ml)に溶解させ、1時間還流し、次いで冷却し、エーテル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機相を水(100ml)で洗浄し、溶媒を減圧除去した。残渣(9.62g)をシリカゲル(250g)のカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。CHCl:MeOH(5〜20%,v/v)の混合物で溶出し、溶媒を減圧除去し、6.90gの1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステルを得た。
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステル(2.20g)のピリジン(30ml)溶液を撹拌し、40℃まで6時間加熱し、次いで冷却し、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧除去した後、残渣をシリカゲル(95g)のカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。CHCl:MeOH(5〜20%,v/v)、続いてCHCl:MeOH:H2O(70:26:4,v/v/v)の混合物で溶出を行った。溶媒を減圧除去し、残渣をクロロホルムに溶解させた。この溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧除去し、0.4gの1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸トシルエチルエステルを得た。
質量分析(MS):C3564NOPの計算値657.実測値(ESI+)658[M+H],680[M+Na]および696[M+K]
Figure 2017537094
Figure 2017537094
VB−701の合成
Figure 2017537094
1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−701)を、実施例1に記載の一般手順Aに従うことによって合成した。質量分析(MS):C3156NOPの計算値601 実測値(ESI+)602[M+H]および624[M+Na]
VB−702の合成
Figure 2017537094
1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−702)を、実施例1に記載の一般手順Aに従うことによって合成した。質量分析(MS):C3564NOPの計算値657.4.実測値(ESI+)658.5[M+H]および680.5[M+Na]
Figure 2017537094
VB−704の合成
Figure 2017537094
1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−704)を、実施例1に記載のメチルエステルの形成のための一般手順に従うことによって合成した。質量分析(MS):C3258NOPの計算値615;実測値(ESI+)616[M+H]および638[M+Na]
VB−705の合成
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−705)を、実施例1に記載のメチルエステルの形成のための一般手順に従うことによって合成した。質量分析(MS):C3666NOPの計算値671;実測値(ESI+)672[M+H]および694[M+Na]
VB−706の合成
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フルオロ−ピリジニウムエチルエステル(VB−706)を、実施例1に記載の一般手順Bに従うことによって合成した。質量分析(MS):C3563FNOPの計算値675.43.実測値(ESI+)676.58[M+H]および698.57[M+Na]
Figure 2017537094
Figure 2017537094
VB−707の合成
Figure 2017537094
1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フェニル−ピリジニウムエチルエステル(VB−707)を、実施例1に記載の一般手順Bに従うことによって合成した。質量分析(MS):C4168NOPの計算値733.実測値(ESI+)734[M+H]および756[M+Na]
VB−701はヒト単球(一次CD14+)においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害する
方法および材料
単球の単離
静脈血試料は、健常男性ドナーから、Sheba Medical Center(Ramat Gan,Israel)の施設内治験審査委員会に従うように採取されたものであった。PBMCをFicoll−Paque PLUS(GE Healthcare,Uppsala,Sweden)で、50ml容Leucosepチューブ(Greiner Bio−One,Frickenhausen,Germany)を用いて単離した。細胞をPBS(Kibbutz Beit Haemek,Israel)中で洗浄し、4℃で15分間、PBSおよび0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するバッファー中で、ヒトCD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)とともにインキュベートした。
細胞の活性化およびウエスタンブロッティング
細胞(10/ml)を、20分間、VB−201(1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−3−ホスホコリンもしくは1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシブチル)−グリセロール−3−ホスホコリン)またはVB−701(図2に示した用量)または溶媒(Sol)で前処理した後、100ng/mlのリポ多糖(LPS)で15分間活性化させるか、あるいは未処理(Unt)とした。細胞を洗浄し、1:100のジチオトレイトール(DTT)、ホスファターゼ/プロテアーゼ阻害薬(Thermo Scientific)を含有する溶解バッファー中に再懸濁させた。試料をプレキャストCriterion TGXゲル(Bio−Rad,Hemel Hempstead,UK)上にロードし、ニトロセルロース膜に転写した。ブロットを、5%ミルクまたはBSA(Tris緩衝生理食塩水およびTween 20(TBST)中)で1時間ブロックした後、一次抗体および二次抗体とともにインキュベーションした。膜を、ECLキット(Thermo Scientific)を用いて発色させた。以下の抗体をイムノブロッティングに使用した。
一次抗体:p−p38(カタログ番号4511;1:1000)およびp−IKK(カタログ番号2697;1:1000)はCell Signaling Technology(Danvers,MA,USA)製のものであった。p−ERK1/2(カタログ番号M8159;1:10000)はSigma(Israel)から購入した。αチューブリン(Tub)をローディング対照として使用した。
二次抗体:HRPロバ抗ウサギ(1:5000)およびHRPヤギ抗マウス(1:3000)はJackson ImmunoResearch(West Grove,PA,USA)製のものであった。HRPロバ抗ヤギ(1:5000)はSanta Cruz Biotechnology製のものであった。
結果
図2は、VB−701およびVB−201が、ヒト単球においてLPSによって誘導されるp−IKK、p−ERKおよびp−p38の形成を阻害することを示す。したがって、VB−701およびVB−201はヒト単球(一次CD14+)においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−701はヒト単球(THP−1細胞株)においてPGN(TLR2)誘導性シグナル伝達を阻害する
方法および材料
細胞の活性化およびウエスタンブロッティング
単球THP−1細胞株はAmerican Type Tissue Culture Collectionから購入した(ATCCカタログ番号TIB−202)。細胞(10/ml)を、20分間、VB−201もしくはVB−701(図3に示した用量)または溶媒で前処理した後、20μg/mlのペプチドグリカン(PGN)(InvivoGen,San Diego,CA)で15分間活性化させるか、あるいは未処理(「Unt」)とした。細胞を洗浄し、1:100のジチオトレイトール(DTT)、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害薬(Thermo Scientific)を含有する溶解バッファー中に再懸濁させた。試料をプレキャストCriterion TGXゲル(Bio−Rad,Hemel Hempstead,UK)上にロードし、ニトロセルロース膜に転写した。ブロットを、5%ミルクまたはBSA(Tris緩衝生理食塩水およびTween 20(TBST)中)で1時間ブロックした後、一次抗体および二次抗体とともにインキュベーションした。膜を、ECLキット(Thermo Scientific)を用いて発色させた。以下の抗体をイムノブロッティングに使用した。
一次抗体:p−p38(カタログ番号4511;1:1000)およびp−IKK(カタログ番号2697;1:1000)はCell Signaling Technology(Danvers,MA,USA)製のものであった。p−ERK1/2(カタログ番号M8159;1:10000)はSigma(Israel)から購入した。αチューブリンをローディング対照として使用した。
二次抗体:HRPロバ抗ウサギ(1:5000)およびHRPヤギ抗マウス(1:3000)はJackson ImmunoResearch(West Grove,PA,USA)製のものであった。HRPロバ抗ヤギ(1:5000)はSanta Cruz Biotechnology製のものであった。
結果
図3は、VB−701およびVB−201が、THP−1細胞においてPGNによって誘導されるp−IKK、p−ERKおよびp−p38の形成を阻害することを示す。したがって、VB−701およびVB−201はPGN(TLR2)誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−701はヒト単球(THP−1細胞株)においてMCP−1誘導性シグナル伝達を阻害する
方法および材料
細胞の活性化およびウエスタンブロッティング
THP−1細胞(10/ml)を、20分間、VB−201もしくはVB−701(図4に示した用量)または溶媒で前処理した後、50ng/mlのMCP1で活性化させるか、あるいは未処理(「Unt」)とした。細胞を洗浄し、1:100のジチオトレイトール(DTT)、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害薬(Thermo Scientific)を含有する溶解バッファー中に再懸濁させた。試料をプレキャストCriterion TGXゲル(Bio−Rad,Hemel Hempstead,UK)上にロードし、ニトロセルロース膜に転写した。ブロットを、5%ミルクまたはBSA(Tris緩衝生理食塩水およびTween 20(TBST)中)で1時間ブロックした後、一次抗体および二次抗体とともにインキュベーションした。膜を、ECLキット(Thermo Scientific)を用いて発色させた。以下の抗体をイムノブロッティングに使用した。
一次抗体:p−ERK1/2(カタログ番号M8159;1:10000)はSigma(Israel)から購入した。p−AKT(カタログ番号4060;1:1000)はCell Signaling Technology(Danvers,MA)から購入した。αチューブリンをローディング対照として使用し、Sigma(Israel)から購入した。
二次抗体:HRPロバ抗ウサギ(1:5000)およびHRPヤギ抗マウス(1:3000)はJackson ImmunoResearch(West Grove,PA,USA)製のものであった。HRPロバ抗ヤギ(1:5000)はSanta Cruz Biotechnology製のものであった。
結果
図4は、VB−701およびVB−201が、THP−1細胞においてMCP1によって誘導されるp−AKTおよびp−ERKの形成を阻害することを示す。したがって、VB−701およびVB−201はMCP1誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−701はヒト単球(一次CD14+)ケモカイン誘導性遊走を阻害する
方法および材料
単球の単離
静脈血試料は、健常男性ドナーから、Sheba Medical Center(Ramat Gan,Israel)の施設内治験審査委員会に従うように採取されたものであった。PBMCをFicoll−Paque PLUS(GE Healthcare,Uppsala,Sweden)で、50ml容Leucosepチューブ(Greiner Bio−One,Frickenhausen,Germany)を用いて単離した。細胞をPBS(Kibbutz Beit Haemek,Israel)中で洗浄し、4℃で15分間、PBSおよび0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するバッファー中で、ヒトCD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)とともにインキュベートした。
細胞の活性化および細胞遊走トランスウェルアッセイ
細胞(10/ml)を、20分間、VB−201もしくはVB−701(図5に示した用量)または溶媒(Sol)で前処理した。
ケモカイン誘導性細胞遊走について試験するため、RANTES(100ng/ml;カタログ番号300−06,PeproTech,Israel)およびMCP−1(50ng/ml;カタログ番号300−04,PeproTech,Israel)を、0.5%ウシ胎仔血清(FBS)を補給したRPMI−1640培地に溶解させ、QCM 24ウェル,5mm穴の遊走アッセイプレート(Corning−Costar,Corning,NY)の下部チャンバに配した。細胞(3×10)を上部チャンバに播種し、2〜4時間インキュベートした。続いて、下部コンパートメントに遊走した細胞の数を蛍光標示式細胞分取(FACS)によって測定した。
結果
図5は、VB−701およびVB−201がヒト単球(一次CD14+)のケモカイン誘導性遊走を阻害することを示す。
VB−702はヒト単球(一次CD14+)においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害する
ヒト単球を、実施例9および図6に記載のとおりに入手し、処理し、ウエスタンブロットによって解析した。図6は、VB−702およびVB−201が、ヒト単球においてLPSによって誘導されるp−IKK、p−ERKおよびp−p38の形成を阻害することを示す。したがって、VB−702およびVB−201はヒト単球(一次CD14+)においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−702はヒト単球(一次CD14+)においてRANTES誘導性シグナル伝達を阻害する
ヒト単球を、細胞をRANTES(100ng/ml;カタログ番号300−06,PeproTech,Israel)で15分間誘導したこと以外は実施例9および図7に記載のとおりに入手し、処理し、ウエスタンブロットによって解析した。図7は、VB−702およびVB−201が、ヒト単球においてRANTESによって誘導されるp−ERKの形成を阻害することを示す。したがって、VB−702およびVB−201はヒト単球(一次CD14+)においてRANTES誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−702はヒト単球(一次CD14+)ケモカイン誘導性遊走を阻害する
ヒト単球を、実施例12および図8に記載のとおりに入手し、処理し、細胞遊走についてトランスウェルアッセイによって解析した。図8は、VB−702およびVB−201が、ヒト単球(一次CD14+)のケモカイン誘導性遊走を阻害することを示す。
VB−701およびVB−702は、LPS(TLR4により)またはPam3CSK4(TLR2刺激型)で刺激したヒト単球(一次CD14+)においてIL−12p40レベルを阻害する
方法および材料
ヒト単球を、実施例9および図9A〜9Bに記載のとおりに入手した。ヒト単球を播種し(10/ml)、VB−201、VB−701またはVB−702で1時間前処理した後、100ng/mlの大腸菌株055:B5由来LPS(Sigma,Israel)(図9A)または300ng/mlのPam3CSK4(InvivoGen,San Diego,CA,USA)(図9B)で24時間活性化させ、サイトカイン産生を誘導した。次いで、上清み中のIL−12/23p40濃度をELISA(R&D systems,カタログ番号DY1240)によって測定した。溶媒(0.5%エタノール含有PBS)で活性化させた細胞を対照として使用した。
結果
図9A〜9Bは、VB−201、VB−701およびVB−702が、LPS(TLR4)刺激型およびPam3CSK4(TLR2)刺激型のヒト単球(一次CD14+)においてIL−12p40レベルを阻害することを示す。
VB−703はLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達、LPS結合、肝臓の炎症および線維症を阻害する
方法および材料
単球の単離
静脈血試料は、健常男性ドナーから、Sheba Medical Center(Ramat Gan,Israel)の施設内治験審査委員会に従うように採取されたものであった。PBMCをFicoll−Paque PLUS(GE Healthcare,Uppsala,Sweden)で、50ml容Leucosepチューブ(Greiner Bio−One,Frickenhausen,Germany)を用いて単離した。細胞をPBS(Kibbutz Beit Haemek,Israel)中で洗浄し、4℃で15分間、PBSおよび0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するバッファー中で、ヒトCD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)とともにインキュベートした。
細胞の活性化およびウエスタンブロッティング
細胞(10/ml)を、20分間、VB−201またはVB−703で前処理した後、100ng/mlのLPSで15分間活性化させた。細胞を洗浄し、1:100のジチオトレイトール(DTT)、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害薬(Thermo Scientific)を含有する溶解バッファー中に再懸濁させた。試料をプレキャストCriterion TGXゲル(Bio−Rad,Hemel Hempstead,UK)上にロードし、ニトロセルロース膜に転写した。ブロットを、5%ミルクまたはBSA(Tris緩衝生理食塩水およびTween 20(TBST)中)で1時間ブロックした後、一次抗体および二次抗体とともにインキュベーションした。膜を、ECLキット(Thermo Scientific)を用いて発色させた。以下の抗体をイムノブロッティングに使用した。
一次抗体:p−p38(カタログ番号4511;1:1000)およびp−IKK(カタログ番号2697;1:1000)はCell Signaling Technology(Danvers,MA,USA)製のものであった。p−ERK1/2(カタログ番号M8159;1:10000)はSigma(Israel)から購入した。熱ショックタンパク質(HSP)90(カタログ番号13119;1:500)はSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA,USA)製のものであった。
二次抗体:HRPロバ抗ウサギ(1:5000)およびHRPヤギ抗マウス(1:3000)はJackson ImmunoResearch(West Grove,PA,USA)製のものであった。HRPロバ抗ヤギ(1:5000)はSanta Cruz Biotechnology製のものであった。
LPS結合阻害アッセイ
リポ多糖(LPS)結合による干渉を評価するため、VB−201またはVB−703を20分間、細胞(10/ml)とともにインキュベートし、その後、100ng/mlのビオチン−LPS(InvivoGen)をさらに15分間、すべて4℃で添加した。細胞を洗浄し、FACSバッファー中に再懸濁させ、FACS−Calibur装置で解析した。
NASHおよび肝線維症の誘導
低用量のストレプトゾトシン(STZ)に曝露した新生児雄マウスは、糖尿病とともに肝臓脂肪症を発症する。継続的な高脂肪食(HFD)により、泡沫細胞様マクロファージを伴う小葉の炎症が増大し、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態が示される。NASHを40匹の雄マウスにおいて、生まれて2日後の200μg/マウスのSTZの単回皮下注射および4週齢からHFD[57kcal%脂肪])の給餌によって誘導した。ビヒクル、VB−703(4mg/kg)または陽性対照としてテルミサルタン(10mg/kg)を1日1回、3週間投与し、6週齢から開始した。マウスを9週齢のときに致死させた。
脂肪性肝炎および線維症の評価
肝臓の病態を用いて、肝臓の炎症および線維症に対するVB−703の効果を調べた。組織学検査スライドをヘマトキシリン/エオシン(H&E)で染色し、炎症を評価した。炎症スコアを以下のとおりに判定した。
0 − 炎症性の病巣なし
1 − 炎症性の病巣<2個
2 − 炎症性の病巣2〜4個
3 − 炎症性の病巣>4個
組織学検査スライドをシリウスレッドで染色し、線維症の程度のマーカーとしてのコラーゲン含有量を測定した。
Q−PCR
RNAを、正常マウスおよびビヒクル、VB−703またはテルミサルタンで処置したNASH誘導マウスの肝臓から、RNeasyミニキット(Qiagen)を用いて調製した。cDNAの調製のため、2μgのRNAをqScript反応ミックスおよびqScript逆転写酵素(Quanta BioSciences)と22℃で5分間、次いで42℃で30分間、合わせた。反応を、85℃でさらに5分間のインキュベーションによって終了させた。リアルタイムPCR反応はすべて、7300 Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いて行った。マウス用の既製のプローブとプライマーの組を用いたQ−PCRをIL−1β、IL−12/23p40およびMCP−1(Applied Biosystems)に使用した。GAPDHをRNAレベルの正規化に使用した。
結果
TLR4媒介性シグナル伝達事象に対するVB−703およびVB−201の効果
TLR4媒介性シグナル伝達経路に対するVB−201およびVB−703の効果を調べるため、単離したヒト一次単球をVB−201またはVB−703とともにプレインキュベートし、次いで、LPSで活性化した。図10Aは、VB−703が、炎症細胞のシグナル伝達分子であるリン酸化ERKキナーゼ(p−ERK)、リン酸化p38(p−p38)およびリン酸化IKKキナーゼ(p−IKK)を用量依存的様式で阻害したことを示す。さらに、VB−703は、TLR4駆動性タンパク質リン酸化の阻害においてVB−201より少なくとも10倍高い有効性を有していた。次いで、LPSのTLR4複合体との結合に対するVB−703の効果を試験した。図10Bは、VB−703がLPSの結合を、VB−201(約7μg/ml)より10倍超低いIC50である約0.5μg/mlのIC50で阻害したことを示す。
VB−703は肝線維症を阻害する
NASHマウスモデルにおける肝臓の炎症および線維症に対するVB−703の効果を試験した。VB−703での処置により、線維症がビヒクル処置マウスと比べて58%、有意に低減された(図11A〜11B)。この効果は、陽性対照テルミサルタン(47%)より大きかった。しかしながら、VB−703は脂肪症を有意に改めないようであった(図12A〜12B)。
VB−703は炎症媒介因子の発現を阻害する
図21A〜21Cは、2種類の炎症促進性サイトカインIL−1βとIL−12/23p40およびケモカインMCP−1の発現が、VB−703で処置したNASH誘導マウスから摘出した肝臓において有意に阻害されたことを示す。
VB−703はヒト単球(THP−1細胞株)においてPGN(TLR2)誘導性シグナル伝達を阻害する
THP−1細胞を、実施例10および図13に記載のとおりに入手し、処理し、ウエスタンブロットによって解析した。図13は、VB−703およびVB−201が、PGN THP−1細胞によって誘導されるp−IKK、p−ERKおよびp−p38の形成を阻害することを示す。したがって、VB−703およびVB−201は、ヒト単球(THP−1細胞株)においてPGN(TLR2)誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−703は、LPS(TLR4)刺激型単球由来樹状細胞(Mo由来DC)においてIL−6分泌を阻害する
方法および材料
単球由来DC(Mo−DC)を作製するため、CD14+単球を計数し、洗浄し、RPMI−1640、L−グルタミン、β−メルカプトエタノール、10%ウシ胎仔血清(FCS)、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、0.01M HEPES、抗生物質(ペニシリン,ストレプトマイシン)、50ng/mlのヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)および20ng/mlのヒトIL−4(ともに、PeproTech Asia(Israel)製)を含む培地中に播種した(10/ml)。培地を2〜3日ごとに交換した。Mo−DCを培養後5〜6日目に収集し、計数し、播種した(10/ml)。細胞をVB−201またはVB−703で1時間、前処理した後、100ng/mlの大腸菌株055:B5由来LPS(Sigma,Israel)で24時間活性化させ、サイトカイン産生を誘導した。上清み中のIL−6濃度(図14)およびIL−12/23p40(図15)濃度をELISA(R&D systems,それぞれ、カタログ番号DY1240およびカタログ番号DY206)によって測定した。溶媒(0.5%エタノール含有PBS)で活性化させた細胞を対照として使用した。
結果
図14および15は、VB−703およびVB−201が、LPS(TLR4)刺激型Mo由来DCにおいてIL−6(図14)およびIL−12p40(図15)の分泌を阻害することを示す。
VB−704は、LPS−ビオチンのヒト単球(一次CD14+)に対する結合を阻害しない
ヒト単球を、実施例17および図16に記載のとおりに入手し、処理し、LPS結合阻害アッセイによって解析した。図16は、VB−704が、LPS−ビオチンのヒト単球(一次CD14+)に対する結合を阻害しないことを示す。
VB−704はヒト単球(一次CD14+)においてケモカイン誘導性遊走を阻害する
ヒト単球を、実施例12および図17に記載のとおりに入手し、処理し、細胞遊走についてトランスウェルアッセイによって解析した。図17は、VB−704がヒト単球(一次CD14+)においてケモカイン誘導性遊走を阻害することを示す。
VB−705はヒト単球(一次CD14+)においてTLR4媒介性シグナル伝達を阻害する
ヒト単球を、実施例9および図18に記載のとおりに入手し、処理し、ウエスタンブロットによって解析した。図18は、VB−705およびVB−201が、ヒト単球においてLPSによって誘導されるp−ERKおよびp−AKTの形成を阻害することを示す。したがって、VB−705およびVB−201はヒト単球(一次CD14+)においてLPS(TLR4)誘導性シグナル伝達を阻害する。
VB−705はヒト単球(一次CD14+)においてLPS結合を阻害する
ヒト単球を、実施例17および図19に記載のとおりに入手し、処理し、LPS結合阻害アッセイにより解析した。図19は、VB−705がLPS−ビオチンのヒト単球(一次CD14+)に対する結合を阻害することを示す。
VB−705は、ヒト単球(THP−1細胞)のSDF1誘導性遊走を阻害しない
方法および材料
THP−1細胞(10/ml)を、20分間、VB−201またはVB−705(5μg/ml)または溶媒(Sol)で前処理した。ケモカイン誘導性細胞遊走について試験するため、RANTES(100ng/ml、カタログ番号300−06)(PeproTech,Israel)およびMCP−1(50ng/ml、カタログ番号300−04)(PeproTech,Israel)を、0.5%ウシ胎仔血清(FBS)を補給したRPMI−1640培地に溶解させ、QCM 24ウェル,5mm穴の遊走アッセイプレート(Corning−Costar,Corning,NY)の下部チャンバに配した。細胞(3×10)を上部チャンバに播種し、2〜4時間インキュベートした。続いて、下部コンパートメントに遊走した細胞の数を蛍光標示式細胞分取(FACS)によって測定した。
結果
図20は、VB−705が、ヒト単球(THP−1細胞株)のSDF1誘導性遊走を阻害しないことを示す。
VB−703および巣状分節性糸球体硬化症
方法および材料
動物および実験プロトコル
初期体重200gの雄Sprague Dawley(SD)ラット(Harlan Laboratories,Israel)を、専用のHVAC(22±2℃の温度および55±15%のRH(相対湿度)の熱、換気、空調動物施設)のIVCケージに2〜3匹/ケージで収容した。温度および湿度は継続してモニタリングした。施設は外部光に対する曝露はなく、12時間の明/12時間の暗の自動交互サイクルに維持した。動物に市販の齧歯類用飼料(Harlan Teklad TRM Rat/Mouse Diet)を随意に与え、ステンレス鋼シッパー管を有するポリスルホンボトルによって各ケージに供給されるオートクレーブ処理水を自由に摂取させた。動物試験はすべて、イスラエルの動物実験委員会によって承認されたものであった(IL−13−03−027)。
5/6腎摘出術による慢性腎疾患の誘導
ラットを3つの群:(1)A群の健常ラット(n=3)、(2)B群のシャム群−外科的(chirurgical)プロセスに供したが腎臓質量減少なし(n=3)、および(3)残りに慢性腎不全を誘導した(n=32)に分けた。慢性腎不全は、2段階の(5/6)腎摘出術(Nx)(まず、左の腎臓の約2/3を左側腹切開によって摘出し、1週間後、右の腎臓を全摘)によって誘導した。全身麻酔は、ケタミン100mg/kgおよびキシラジン20mg/kgの腹腔内注射からなるものにした(各調製物mlに対して0.85mlのケタミン+0.15mlのキシラジン;1μl/gBWをI.P.注射した)。
実験群
2回目の手術の1週間後、ラットを、以下の実験群:
健常,ビヒクル−PBS 0.5%エタノールを経口投与(n=3);
シャム手術,ビヒクル−PBS 0.5%エタノールを経口投与(n=3);
腎摘出,ビヒクル−PBS 0.5%エタノールを経口投与(n=8);
腎摘出,VB−703 4mg/kgを経口投与(n=8);および
腎摘出,陽性対照としてのテルミサルタン10mg/kgを経口投与(n=8)
に無作為に割り付けた。
体重(BW)を、試験全体をとおしてモニタリングし、ラットを体重に応じて7週間、経口強制投与によって処置した。右の腎臓の摘出(2回目の手術)から8週目、ラットをCO吸入によって致死させた。
血液分析、アルブミン尿およびクレアチニンクリアランス
蛋白尿およびアルブミン尿を、ほぼすべての腎摘出術(2回目の手術)後、4週目(3週間の処置)および8週目(7週間の処置)に、ケージに収容した動物から24時間の間に採取した尿検体において調べた。尿試料を:グルコース、尿素、ナトリウム、カリウム、クレアチニン、総タンパク質およびアルブミンについて分析した。
血清を、ほぼすべての腎摘出術(2回目の手術)後、8週目に採取した。採取した血清もグルコース、尿素、ナトリウム、カリウム、クレアチニン、総タンパク質、アルブミンおよびグロブリンについて分析した。
腎臓採取
8週目の致死時、腎臓を採取し、重量計測し、4%ホルムアルデヒド中に固定した。
腎臓の形態構造および形態計測解析
光学顕微鏡検査のため、4μmのパラフィン包埋組織スライドを過ヨウ素酸シッフ(PAS)試薬、マッソントリクロームおよびヘマトキシリン&エオシンで染色した。
糸球体硬化症指数。糸球体硬化症をPAS染色切片により、半定量的スコアリングシステムを用いて評価した。糸球体硬化症の程度を、主に100個の無作為に選択した糸球体を×400の倍率で検査し、硬化した糸球体の面積のパーセンテージによるスコアシステムを適用することによって評価した。スコアは0〜4に等級分類した:(0=0%面積;1=1〜25%;2=26〜50%,3=51〜75%,4=76%以上)。スコアリングしたすべての糸球体の平均を示した。さらに、全節性および分節性の糸球体硬化症の程度を同じ糸球体において評価し、ここで、<80%の硬化を分節性と称し、>80%を全節性と称した。
糸球体面積。×100の倍率の主に100個の無作為に選択した糸球体の糸球体面積を、グリッドを用いて糸球体領域でカバーされた正方形を計数することによって定量し、平均糸球体面積を計算した。
免疫組織化学検査
腎組織を4%ホルムアルデヒド中に固定し、パラフィン中に包埋した。次いで、このパラフィン包埋組織をカットして4μmの組織スライドを形成させた。パラフィン包埋組織スライドの免疫組織化学を、以下の濃度の抗体:モノクローナルマウス抗ラットCD−68(ED−1,Serotec MCA341)1:25を用いて解析した。間質CD68+染色の定量のため、陽性細胞の数を動物ごとに20個の無作為に選択した重複しない視野において計数し、平均値を示した。
リアルタイムPCR
腎臓RNAをRNeasy Fibrous Tissue Miniキット(Qiagen)で抽出し、DNAse I処理後、一本鎖cDNAを2μgの全RNAからqScript cDNA Synthesis Kit(Quanta Biosciences)を用いて合成し、リアルタイムPCRのために希釈した。コラーゲン4α、フィブロネクチンおよびTGFβの発現を、7300 Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いて定量した。アッセイは、製造業者の使用説明書に従い、以下の表に示すApplied Biosystemsによって供給されるプライマー(アッセイID)を用いて行った。データを参照遺伝子TATAボックス結合タンパク質(TBP)に対して正規化し、シャムPBS 0.5%エタノール処置と比較した相対mRNAレベルとして示した(表1)。
(表1)遺伝子発現参照
Figure 2017537094
統計
データを平均±SEMで示す。統計学的有意性は、一元配置ANOVAまたはスチューデントのt検定(適切な場合)によって判定した。統計解析はSigma Statソフトウェアを用いて行った。
結果
生理学的パラメータに対するVB−703処置の効果
VB−703処置により、試験終了時、尿中アルブミン/クレアチニン/日の比が有意に改善された(図22)。
糸球体損傷に対するVB−703処置の効果
糸球体を線維症の程度について、スコアリングによって、ならびに分節性硬化、全節性硬化を有する糸球体の割合および全節性硬化糸球体と分節性硬化糸球体の合計の計算によって評価した。さらに、糸球体の面積を計算し、肥大した糸球体の割合を計算した。損傷糸球体には、肥大した(正常面積の少なくとも1.5倍の)糸球体およびまたは硬化糸球体を含めた。
VB−703処置およびテルミサルタン処置では、損傷糸球体の割合が、それぞれ38%(p≦0.005)および31%(p≦0.005)と有意に低減された(図23)。この効果は一部において、糸球体肥大の低減の寄与によるものであった。糸球体損傷の低減に対する主な寄与は、硬化糸球体の低減によるものであった。VB−703処置およびテルミサルタン処置により、それぞれ49%(p≦0.005)および57%(p≦0.005)の硬化糸球体の低減がもたらされた。(図24,表2)。
(表2)糸球体硬化症に対するVB−201の効果(平均±S.E)
Figure 2017537094
1群あたりの試験動物の数およびNx PBS 0.5%エタノール群に対するp値を示す。
図25は、健常動物もしくはシャム手術動物またはVB−703処置動物もしくはテルミサルタン処置動物と対比させた、ビヒクル処置した腎摘出動物の糸球体(PAS染色)における典型的な硬化性変化を示す。
線維症進行性マーカーに対するVB−703処置の効果
コラーゲンIVのmRNA発現は、ビヒクル処置した腎摘出ラット(7.5±1.51)において、健常動物(1.1±0.12)またはシャム手術動物(1.0±0.32)と対比させると、それぞれ7倍または8倍増大した。VB−703処置によりコラーゲンIV発現が、Nx PBS 0.5%エタノール処置で観察されたものと比較すると51%(3.7±0.52)有意に(p<0.05)低減された。Nx PBS 0.5%エタノール処置で観察されたものと比較すると、コラーゲンIV発現の41%の低減がテルミサルタン処置した腎摘出ラット(4.4±0.23)において観察された(有意傾向の有意差(p=0.064))(図26A)。
フィブロネクチンのmRNA発現は、ビヒクル処置した腎摘出ラット(12.7±1.01)において、健常動物(0.8±0.08)またはシャム手術動物(1.0±0.31)と対比させると、それぞれ16倍または13倍増大した。VB−703処置により、フィブロネクチン発現が、Nx PBS 0.5%エタノール処置で観察されたものと比較すると47%(6.7±0.98)有意に(p<0.005)低減された。テルミサルタン処置ではフィブロネクチン発現は23%(9.8±2.09)、中程度に低減された;しかしながら、この低減は統計学的に有意ではなかった(図26B)。
TGF−βのmRNA発現は、ビヒクル処置した腎摘出ラット(8.4±0.49)において、健常動物(0.9±0.24)またはシャム手術動物(1.0±0.23)(p≦0.001)と対比させると、それぞれ10倍または8倍増大した。VB−703処置およびテルミサルタン処置では、TGF−β発現は、Nx PBS 0.5%エタノール処置で観察されたものと比較すると、それぞれ42%(4.8±0.32)および44%(4.7±0.52)有意に(p≦0.001)低減された(図26C)。
糸球体および間質の単球/マクロファージ浸潤に対するVB−703処置の効果
図27A〜27Bは、糸球体(図27A)または間質(図27B)における単球/マクロファージ細胞浸潤に対するVB−703の効果を示す。この実験では、VB−703およびテルミサルタンは、糸球体および間質の単球/マクロファージ浸潤の低減に対して有意な効果をもたらさなかった。
本出願書類において挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、引用により、個々の各刊行物、特許および特許出願があたかも具体的に個々に示されて引用により本明細書に組み込まれているのと同程度に本明細書にその全体が組み込まれる。また、本出願書類における任意の参考文献の引用または特定は、かかる参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるという是認と解釈されるべきでない。セクションの見出しを使用している点において、これは、必ずしも限定していると解釈されるべきでない。

Claims (72)

  1. 式1
    Figure 2017537094
    の構造を有する化合物であって、
    式中、
    、B、およびBの各々は独立して、酸素、硫黄、窒素、リン、およびケイ素からなる群より選択され;該窒素、リン、およびケイ素の各々は、アルキル、ハロ、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、およびオキソからなる群より選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
    10は、1〜5つのR11置換基により置換されていてもよいC2〜28アルキルであり、各R11は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択され;
    pは、1〜10から選択される整数であり;
    qは、1〜26から選択される整数であり;
    20は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;かつ
    Hetは、ヘテロ脂環式の環またはヘテロアリールである;
    前記化合物。
  2. 式2
    Figure 2017537094
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  3. 10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
  4. 20が水素またはアルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. Hetが含窒素ヘテロアリールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 前記ヘテロアリールの1個の窒素原子が、前記アルキレン鎖−(CH−に直接連結されている、請求項5に記載の化合物。
  7. Hetが非置換である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. Hetが1〜5つのR12により置換されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. 各R12が独立して、ハロゲン、アリール、またはアルキルである、請求項8に記載の化合物。
  10. 式3
    Figure 2017537094
    の構造を有する、請求項1または2に記載の化合物。
  11. 10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択される、請求項10に記載の化合物。
  12. 20が水素またはC1〜4アルキルである、請求項10または11に記載の化合物。
  13. qが2〜6の整数である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. pが2〜5の整数である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 前記ピリジン環が置換されていない、請求項10〜14のいずれか一項に記載の化合物。
  16. 前記ピリジン環が、1、2または3つのR12置換基により置換されている、請求項10〜14のいずれか一項に記載の化合物。
  17. 各R12が独立して、ハロゲン、アリール、またはC1〜4アルキルである、請求項16に記載の化合物。
  18. 前記ピリジン環が1つのR12置換基により置換されており、該1つのR12置換基がフッ素またはフェニルである、請求項17に記載の化合物。
  19. 前記ピリジン環が3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである、請求項18に記載の化合物。
  20. pが2である、請求項10〜19のいずれか一項に記載の化合物。
  21. qが4である、請求項10〜20のいずれか一項に記載の化合物。
  22. 式4
    Figure 2017537094
    の構造を有する、請求項1、2、または10のいずれか一項に記載の化合物。
  23. 10が、ヘキサデシル、ドデシル、オクタデシル、オクチル、エイコサニル、シス−9−ヘキサデセニル、(2’−オクチル)ドデシル、および(15’−カルボキシ)ペンタデシルからなる群より選択される、請求項22に記載の化合物。
  24. 20が水素またはアルキルである、請求項22または23に記載の化合物。
  25. qが1〜10の整数である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の化合物。
  26. 式5
    Figure 2017537094
    の構造を有する、請求項22に記載の化合物。
  27. 10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
  28. 20が水素またはC1〜4アルキルである、請求項26または27に記載の化合物。
  29. 10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択され、R20が水素またはメチルである、請求項1〜20および22〜28のいずれか一項に記載の化合物。
  30. Figure 2017537094
    からなる群より選択される構造を有する化合物。
  31. (R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−701);(R)−1−エイコサニル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−702);(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703);(R)−1−ヘキサデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−704);および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシメチル)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−705)からなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
  32. (R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703)である、請求項30に記載の化合物。
  33. Figure 2017537094
    からなる群より選択される化合物。
  34. (R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フルオロ−ピリジニウムエチルエステル(VB−706)および(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−グリセロ−sn−3−リン酸3−フェニル−ピリジニウムエチルエステル(VB−707)からなる群より選択される、請求項32に記載の化合物。
  35. 立体異性体、立体異性体混合物、または塩の形態である、請求項1〜34のいずれか一項に記載の化合物。
  36. 請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容され得るビヒクルを含む、医薬組成物。
  37. 線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
  38. 線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項36に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
  39. 前記線維症が、肺線維症、肝線維症、皮膚線維症、腎線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、進行性塊状線維症、肝硬変、脂肪性肝炎(脂肪性肝疾患)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心内膜心筋線維症、心筋梗塞、心房性線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、ケロイド、クローン病、強皮症/全身性硬化症、関節線維症、ペイロニー病、デュピュイトラン拘縮、癒着性関節包炎、または巣状分節性糸球体硬化症である、請求項37または38に記載の方法。
  40. 炎症性の疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
  41. 炎症性の疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項36に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
  42. 前記炎症性の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、または乾癬である、請求項40または41に記載の方法。
  43. 前記炎症性の疾患または障害が、炎症性の心血管の疾患もしくは障害、脳血管の疾患もしくは障害、または末梢血管の疾患もしくは障害である、請求項40または41に記載の方法。
  44. 前記炎症性の心血管の疾患または障害が、閉塞性の疾患または障害、アテローム性動脈硬化症、心臓弁膜症、狭窄、再狭窄、ステント内狭窄、心筋梗塞、冠状動脈疾患、急性冠症候群、鬱血性心不全、狭心症、心筋虚血、血栓症、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎病、抗第VIII因子自己免疫性疾患または障害、壊死性小血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、微量免疫型巣状壊死性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、抗リン脂質症候群、抗体誘導性心不全、血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、心臓自己免疫、シャーガス疾患または障害、および抗ヘルパーTリンパ球自己免疫からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
  45. 前記脳血管の疾患または障害が、卒中、脳血管の炎症、脳出血、および椎骨動脈循環不全からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
  46. 前記末梢血管の疾患または障害が、壊疽、糖尿病性血管障害、虚血性腸疾患、血栓症、糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
  47. TLR2、TLR4、またはCD14の活性が前記対象の細胞内で阻害される、請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. TLR2およびTLR4の活性;TLR4およびCD14の活性;TLR2およびCD14の活性;またはTLR2、TLR4、およびCD14の活性が前記対象の細胞内で阻害される、請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法。
  49. 肝線維症の治療または予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、該対象に治療有効量の請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
  50. 肝線維症の治療または予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、該対象に治療有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
  51. 腎線維症の治療または予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、該対象に治療有効量の請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
  52. 腎線維症の治療または予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、該対象に治療有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
  53. 巣状分節性糸球体硬化症の治療または予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、該対象に治療有効量の請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
  54. 巣状分節性糸球体硬化症の治療または予防を、それを必要とする対象において行う方法であって、該対象に治療有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
  55. 前記化合物が(R)−1−(2’−オクチル)ドデシル−2−(4’−カルボキシ)ブチル−sn−グリセロ−3−リン酸ピリジニウムエチルエステル(VB−703)である、請求項49または54に記載の方法。
  56. 前記対象がヒトである、請求項37〜55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記化合物または医薬組成物が経口投与される、請求項37〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 式1
    Figure 2017537094
    の化合物の合成方法であって、
    式中、
    、B、およびBの各々は独立して、酸素、硫黄、窒素、リン、およびケイ素からなる群より選択され;該窒素、リン、およびケイ素の各々は、アルキル、ハロ、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、およびオキソからなる群より選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよく;
    10は、1〜5つのR11置換基で置換されていてもよいC2〜28アルキルであり、各R11は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択され;
    pは1〜10から選択される整数であり;
    qは1〜26から選択される整数であり;
    20は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;かつ
    Hetはヘテロ脂環式の環またはヘテロアリールであり;
    該方法が、
    a)中間体1
    Figure 2017537094
    をHetと反応させて式1の化合物を形成させる工程を含み、
    式中、
    、B、B、R10、Het、p、およびqは式1について上記で定義されているとおりであり;
    LGは、ハロゲンおよび含酸素脱離基からなる群より選択される脱離基であり;
    20’がR20と同じであるか;
    20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1をHetと反応させた後、−COOR20’を−COOHもしくはその塩に変換させるための加水分解工程を行い、式1の化合物を形成させるか;または
    20がHであり、R20’が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、中間体1をHetと反応させて−COOR20’を−COOHもしくはその塩に変換させ、式1の化合物を形成させる;
    前記方法。
  59. b)反応物1
    Figure 2017537094
    を反応物2
    Figure 2017537094
    と反応させてモノクロロ反応生成物を形成させる工程;および
    c)該モノクロロ反応生成物を加水分解して中間体1を形成させる工程
    をさらに含み、
    式中、B、B、B、R10、R20’、p、q、およびLGは中間体1について上記で定義されているとおりである、
    請求項58に記載の方法。
  60. b’)反応物1
    Figure 2017537094
    をPOClと反応させてPOCl反応生成物を形成させる工程;
    c’)反応物2A
    Figure 2017537094
    を該POCl反応生成物と反応させて第2の反応生成物を形成させる工程;および
    d’)該第2の反応生成物を加水分解して中間体1を形成させる工程
    をさらに含み、
    式中、B、B、B、R10、R20’、p、q、およびLGは中間体1について上記で定義されているとおりである、
    請求項58に記載の方法。
  61. LGが、
    Figure 2017537094
    で表される含酸素脱離基からなる群より選択される脱離基であり、R100が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、これらは各々、1〜5つのR13によって置換されていてもよく、各R13置換基は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィニル、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、アミド、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、C−カルバメート、N−カルバメート、C−チオカルボキシ、S−チオカルボキシ、およびアミノからなる群より選択される、請求項58〜60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 100が、p−トリル、o−トリル、フェニル、メチル、またはトリフルオロメチルである、請求項61に記載の方法。
  63. 100がp−トリルである、請求項62に記載の方法。
  64. LGがハロゲンである、請求項58〜60のいずれか一項に記載の方法。
  65. LGがBrである、請求項64に記載の方法。
  66. 、B、Bが各々、酸素である、請求項58〜65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 10が、ヘキサデシル、エイコサニル、および(2’−オクチル)ドデシルからなる群より選択される、請求項58〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. pが2であり、qが4である、請求項58〜67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 20が水素であり、R20’がメチルである、請求項58〜68のいずれか一項に記載の方法。
  70. Hetが非置換のピリジンである、請求項58〜69のいずれか一項に記載の方法。
  71. Hetが、3−フルオロ−ピリジンまたは3−フェニル−ピリジンである、請求項58〜70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 式1の化合物が、立体異性体、立体異性体混合物、または塩の形態である、請求項58〜71のいずれか一項に記載の方法。
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