JP2017530242A - 改良された機械特性を有する熱可塑性ポリマー組成物 - Google Patents

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Abstract

A)a)55〜90重量パーセントの半晶質の半芳香族コ−ポリアミド、およびb)10〜45重量パーセントの脂肪族ホモ−ポリアミドを含むポリアミド組成物と;B)5〜40重量パーセントの共グラフトポリマー強靭化剤であって、共グラフトポリマー強靭化剤が、少なくとも2つのガラス転移温度を有するポリオレフィンの共グラフトブレンドであり、ポリオレフィンと反応性モノマーとのブレンドから得られる共グラフトポリマー強靭化剤と、C)0〜15重量パーセントの1種または複数種の可塑剤と、D)0〜2.5重量パーセントの1種または複数種の酸化防止剤およびまたは熱安定剤と、E)難燃剤、UV安定剤、光安定剤、熱安定剤、潤滑剤、着色剤等からなる群から選択される0〜5重量パーセントの添加剤とを含むポリアミドの熱可塑性ポリマー組成物が開示される。組成物を提供する方法およびその用途が、さらに本明細書において開示される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年10月3日付けで出願された米国仮特許出願第62/059,177号明細書に対する優先権を主張する。
本発明は、改良された機械特性を高温で有するポリアミド(PA)組成物の分野に関する。本発明は、管、パイプ、ホース、ベルト等を作製するための、組成物の用途にさらに関する。
熱可塑性高分子材料は、それらが軽量で、可撓性があり、複雑な設計の入り組んだ部品に賦形するのが容易であるので、自動車部品に使用されており、多くのこのような用途において、金属製の部品よりも好ましい。しかしながら、これらのポリマー製の部品は、応力下および/または無機塩と接触時に亀裂による早期破損、つまり塩応力腐食割れ(SSCC)を呈することもある。
6T単位等の芳香族由来の繰り返し単位が、PA612/6T等のコ−ポリアミド鎖に存在することにより、対応する脂肪族ホモポリアミドよりも優れた耐薬品性に改善される。米国特許出願公開第2010/0233402号明細書は、ポリアミド鎖中に少なくとも15モルパーセントのこのような芳香族繰り返し単位を含む改良された耐薬品性の半芳香族コ−ポリアミド組成物を開示する。
コ−ポリアミドの特性は、ポリマー中に存在する繰り返し単位の割合に応じて変わる。コ−ポリアミド中に芳香族繰り返し単位が約50モルパーセント存在することにより、結晶化度を低下させることが可能となり、対応するホモポリアミドと比較すると、劣った高温機械的性能を示す。一方、芳香族単位が55モルパーセントを超えてコ−ポリアミド中に存在すると、結晶化度を増大させることが可能となり、改良された高温特性を示し得る。しかしながら、これらのコ−ポリアミドは、一般的に、それらを押出成形加工して、管、ホース、フィラメント、ケーブル外装および外被等の物品を作製するのに300℃を超える融点を有し、同様な難点を有する。
耐塩性および高温機械的性能は、半芳香族コ−ポリアミドの芳香族繰り返し単位の含量により、相互排他的に影響を受ける。米国特許第8,691,911号明細書は、半芳香族コ−ポリアミドと脂肪族ホモポリアミドとの溶融ブレンドを含むポリアミド組成物を記載し、その耐塩性は改良され、結晶化度は増大されている。
全てまたはほぼ全てポリアミドを含む組成物は、剛直になりすぎることが多く、パイプ、管、ホース、ベルト等のような部品使用に用いるのに必要とされる靭性に乏しい。それらの靭性を向上させる一つの方法は、ポリマー強靭化剤としても知られているポリマー衝撃改質剤を組み込むことである。ポリマー強靭化剤の例は、酸または酸無水物基等の、ポリアミドに反応性の基を有する機能化ポリオレフィンである。これらの官能基は、共重合またはグラフト化反応のどちらかにより、ポリオレフィン中に組み込むことが可能である。米国特許第6,380,320号明細書および米国特許第5,451,639号明細書は、エチレン性不飽和カルボン酸または酸誘導体とグラフト化された機能化ポリオレフィンを調製するプロセスを記載する。
広範な軟化点、ガラス転移温度および可撓性を有するポリオレフィンは、入手可能であり、このような機能化ポリオレフィンを調製するのに使用できる。このようなポリオレフィンとして、エチレンのホモポリマー、プロピレンのホモポリマーおよび長鎖のアルファオレフィンまたはジエンとのそれらのコポリマーが挙げられる。相対的に低いガラス転移温度、例えば0℃よりもはるかに低いガラス転移温度を有するポリオレフィンは、低温衝撃靭性を改善するための、ポリアミド組成物におけるポリマー強靭化剤として好ましいことは、当技術分野で公知である。複数種の衝撃改質剤をポリアミド組成物に組み込むことも既知であり、それらの全てが、機能化されてなくてもよい。米国特許第4,346,194号明細書は、カルボキシル誘導体を含有するエラストマー系オレフィンコポリマーを含有する強靭化されたポリアミドを記載する。米国特許第6,077,906号明細書は、マレイン化EPDMおよびポリエチレンを含む衝撃改質剤を有するポリアミド組成物を記載する。
ガラス転移温度の低いポリオレフィンの欠点の一つは、そのようなポリオレフィンは一般的に低い軟化温度(低い軟化点としても知られる)および劣った機械的強度特性を有することである。ポリアミド組成物中への組み込みの際に、そのようなポリオレフィンは、殊に高温において強度特性の著しい損失を生じ得る。これらの組成物は、部品がほぼ100℃および100℃を超える高温に曝される用途、例えば自動車アンダーフード部品には好ましくない。良好な耐塩性、高温性能、低温衝撃性能および加工性を同時に呈する、強靭で可撓性のある半芳香族コ−ポリアミド組成物を開発する継続的な必要性が存在している。本明細書に記載される熱可塑性ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー組成物の高温機械的性能を損なうことなく、良好な低温衝撃性能を提供する。
本明細書において、
A)ポリアミド組成物であって;
a)55〜90重量パーセントの半晶質の半芳香族コ−ポリアミドであって、
a−1)
i)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;
から誘導される約10〜40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と
a−2)
ii)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;
から誘導される約60〜90モルパーセントの脂肪族繰り返し単位:
を含む半芳香族コ−ポリアミド、
b)10〜45重量パーセントの脂肪族ホモポリアミドであって;
iii)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;
または
iv)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ラクタムまたは1種の脂肪族アミノカルボン酸;
から誘導される繰り返し単位を含む脂肪族ホモポリアミド、
を含むポリアミド組成物;
B)5〜40重量パーセントの共グラフトポリマー強靭化剤であって;共グラフトポリマー強靭化剤が、少なくとも2つのガラス転移温度を有する材料の共グラフトブレンドであり、
b1)55〜90重量パーセントの第一ポリオレフィンであって、少なくとも1つの−20℃より高いガラス転移温度を有し、かつ75℃より高い軟化温度を有し、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレンと3〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファ−オレフィンとのコポリマー、およびプロピレンと2〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファ−オレフィンとのコポリマーからなる群から選択される第一ポリオレフィン;および
b2)10〜45重量パーセントの第二ポリオレフィンであって、−20℃未満の1つのガラス転移温度と75℃未満の1つの軟化温度を有し、エチレンと1種または複数種のアルファオレフィンまたはジエンとのコポリマーからなる群から選択され、ポリオレフィン(b1)と(b2)が、場合により過酸化物の存在下で、溶融ブレンドされ、反応性モノマーと共グラフト化される第二ポリオレフィン;
を含むポリオレフィンから得られる共グラフトポリマー強靭化剤;
C)0〜15重量パーセントの1種または複数種の可塑剤;
D)0〜2.5重量パーセントの1種または複数種の酸化防止剤;
E)0〜5重量パーセントの1種または複数種の添加剤であって、
難燃剤、UV安定剤、光安定剤、熱安定剤、潤滑剤、着色剤またはこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤;
を含む熱可塑性ポリマー組成物であって、
B)、C)、D)およびE)の重量パーセントが熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準とする熱可塑性ポリマー組成物が、開示される。
本明細書において、上述の成分A)〜E)を含む熱可塑性ポリアミド組成物を提供するプロセスが、さらに開示され、B)、C)、D)、およびE)の重量パーセントは、組成物の総重量を基準とし、本明細書において上述した共グラフトポリマー強靭化剤、B)は、ステップa)において調製されて第一押出機から押出成形され、ステップb)において予めブレンドした予め計算した量の成分A)、C)、D)、E)と第二押出機内で溶融混合される;または共グラフトポリマー強靭化剤が、第一押出機内で調製され、単一ステップにおいて、予め計算した量の乾式ブレンド成分A)、C)、D)、E)と同一の押出機内で溶融混合される。
詳細の説明
本発明が関係する最新技術をより十分に説明するために、本明細書に引用されている特許および特許出願の全ては、参考として援用される。
以下の定義は、特定の事例において限定されない限り、本明細書を通して使用される用語に適用する。
特に明記されないならば、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者が通例理解するのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含めて本明細書を優先することになる。
本明細書で使用される、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」「含んでいる(including)」、「含有する」、「を特徴とする」「有する」、「有している」または任意のその他は、非排他的包含を含むものとする。例えば、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、または器具は、必ずしもこれらの要素を限定するのではなく、明白に記載されていない、或いはこのようなプロセス、方法、物品、または器具に固有な他の要素を含んでもよい。
移行句「からなる」は、請求項において規定されていない要素、ステップ、または原料を除外し、それらに通常付随する不純物を除いて、記載される以外の材料を請求項に含めない。句「からなる」が、前段の直後よりむしろ特許請求の範囲の本文に現れる場合、それは、その本文に示される要素だけを限定し、他の要素は、概して特許請求の範囲から除外されない。
移行句「から本質的になる」は、特定の材料またはステップ、および特許請求される発明の基本的および新規の特徴を実質的に影響しないものに対して特許請求の範囲を限定する。請求項の「から本質的になっている」は、「からなる」形式で記載される閉鎖クレームと「含む(comprising)」形式で起草される完全開放クレームとの中立的立場をとる。本明細書に定義される任意の、このような添加剤に適切である濃度での添加剤、および僅かな不純物は、用語「から本質的になっている」による組成物から除外されない。
組成物および成分に対して本明細書において使用される用語「実質的に含まない」は、成分の付随的な量を超えて含まない組成物を指す。別の方法で述べると、組成物は、いかなる追加の量の成分も含まず、組成物が生成された原料中に一般的に存在する量のみを含む。いくつかの市販の材料において、付随的な成分の濃度は、市販材料の重量を基準として2.5重量%未満、1.0重量%未満、0.5重量%未満、または0.1重量%未満である。
本明細書において使用される用語「純」は、全ての他の材料を実質的に含まない組成物または成分を指す。
冠詞「a」および「an」は、本明細書に記載される様々な組成物、プロセスまたは構造の要素および構成部分と関連して採用されてもよい。これは、単に便宜上であり、組成物、プロセスまたは構造体の一般的な意味を付与するためである。このような記載は、要素または構成部分の「1つまたは少なくとも1つ」を包含する。さらに、本明細書で使用される、単数の物品には、複数を除外することが特定の文脈から明らかでないならば、複数の要素または成分の記載も含まれる。
本明細書で使用される用語「または」は、非排他的であり、つまり、句「AまたはB」は、「A,B、またはAとBの両方」を意味する。さらに具体的には、条件「AまたはB」は、以下のいずれか1つにより満たされる:Aが真であり(または存在する)かつBが偽である(または存在しない);Bが真であり(または存在する)かつAが偽である(または存在しない);またはAとBの両方とも真である(または存在する)。排他的「または」は、例えば「AかBのいずれか」および「AまたはBのうち一方」等の用語により、本明細において指定される。
用語「約」は、量、大きさ、配合、パラメーター、および他の分量および特徴が厳密でない、かつ厳密である必要がないが、近似あってよくおよび/またはより大きいもしくはより小さい、所望どおり、許容差、換算係数、丸め誤差、測定誤差、および当業者が既知の他の因子であることがあることを意味する。一般に、量、大きさ、配合、パラメーターまたは他の分量もしくは特徴は、そのようであることを明確に述べているか否かを問わず、「約」または「近似」である。
加えて、本明細書に記載される範囲は、特に明記されない限り、それらの端点を包含する。さらに、本明細書に記載される範囲は、特に明記されない限り、それらの終点を含む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが、ある範囲、1つもしくは複数の好ましい範囲または好ましい上限値および好ましい下限値の一覧として示されている場合、これは、このような対が別々に開示されるかどうかに関係なく、任意の上限範囲または好ましい値と、任意の下限範囲または好ましい値との対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。本発明の範囲は、範囲を定義する際に記載される特定の値に限定されない。
材料、方法、または機械が、用語「当業者に既知」、「従来の」または同義語または同義の句を用いて本明細書に記載される場合、その用語は、本出願の出願時に従来型である材料、方法、および機械が、この記載に包含されることを意味する。目下のところ従来型ではないが、当技術業界において同様な目的上、好適であると認識されてくることになる材料、方法、および機械も包含される。
特に明記しない限り、全ての百分率、部、比率、および量等は、重量により定められる。
本明細書において、(a)半晶質の半芳香族コ−ポリアミドと脂肪族ホモポリアミドとのブレンドを含むポリアミド組成物であって、(a1)コ−ポリアミドが、8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子の脂肪族ジアミンから誘導される芳香族繰り返し単位と、6〜20個の炭素原子の1種の脂肪族ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子の脂肪族ジアミンから誘導される脂肪族繰り返し単位とを含み、(a2)ホモポリアミドが、6〜20個の炭素原子の1種の脂肪族ジカルボン酸と前記4〜20個の炭素原子の脂肪族ジアミンまたは6〜20個の炭素原子のラクタムもしくはアミノ酸とから誘導されるポリアミド組成物、(b)共グラフトポリマー強靭化剤であって、共グラフトポリマー強靭化剤が、少なくとも2つのガラス転移温度を有する共グラフトブレンドであり、ポリオレフィンから誘導される共グラフトポリマー強靭化剤、(c)可塑剤、(d)酸化防止剤および(e)光安定剤、難燃剤、熱安定剤、潤滑剤、および着色剤からなる群から選択される添加剤を含む熱可塑性ポリマー組成物が、記載される。
本開示は、熱可塑性ポリマー組成物を作製するプロセスと、自動車用燃料ライン、トラック用空気ブレーキ管および気送管/工業用油圧配管等に好適なパイプ、管、ホース、およびベルト等の物品としての組成物の用途とをさらに記載する。
本明細書に記載される組成物は、実施例において記載するように水分飽和状態に曝しかつ高温時効処理を施した際に、改良された高温機械的性能、低温靭性およびこれらの特性の改良された保持率を示し、米国連邦運輸省(DOT)規格(US Department of Transportation(DOT)Standard)571.106および欧州諸国で求められるISO規格7628の要件を満たす。
本明細書において使用される、用語「反応性モノマー」は、フリーラジカル反応により、ポリオレフィン主鎖にグラフト化させることが可能であるエチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体を指す。
本明細書において使用される、用語「機能化」は、フリーラジカルグラフト反応を実施して反応性モノマーをポリオレフィン主鎖に結合させることを指す。その反応は、ポリオレフィンを溶融し、任意に過酸化物を用いてその主鎖にフリーラジカル部位を生成し、溶融したポリオレフィン中に反応性モノマーを注入して、グラフト反応に作用することを伴う。
本明細書において使用される、用語「共グラフト」は、溶融混合して、主要相内に分散する多相形態の非主要相を生成させながら、溶融状態において、ポリオレフィン相が、1種または複数種の反応性モノマーと同時にまたランダムにグラフト化される少なくとも2種の大部分非混和性のポリオレフィンで実施されるグラフト化反応を指す。
本明細書において使用される、用語「ポリマー強靭化剤のためのベースポリマーの型」は、ポリアミド用の機能化ポリマー強靭化剤を形成するために、反応性モノマーとグラフト化される、ポリオレフィンの型、オレフィンのホモポリマーもしくはコポリマー、2種以上のこのようなポリオレフィンの溶融ブレンドかのどれかを指す。
本明細書において使用される、用語「オレフィン系ポリマー強靭化剤」は、グラフト化または機能化されてもされていなくてもよいポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを指し、米国仮特許出願第62/059,177号明細書にEO1、EO2.EO3、EO4、EO6、PE1、PP1、PP2、PP3、およびPP4として、開示されている。
本明細書において使用される、用語「共グラフトポリマー強靭化剤」は、異なるガラス転移温度を有する2種のポリオレフィンのブレンドを指し、ポリオレフィンのブレンドは、無水マレイン酸等の反応性モノマーでグラフト化もしくは機能化され、米国仮特許出願第62/059,177号明細書においてCG1、CG2、CG3、CG4、およびCG7により例証されている。
本明細書において使用される、「主要相」は、より大きい体積率で存在するポリマーにより形成されるポリマーブレンドの連続マトリックス相を指す。
本明細書において使用される、「非主要相」は、マトリックス相内に分散し、より小さい体積率で存在するポリマーにより形成される非連続相を指す。
本明細書において使用される、「水分飽和状態」は、ポリアミド組成物が、相対湿度100%の環境と平衡状態にある十分な量の水分を吸収した状態を指す。
本明細書において使用される、「破裂圧力」は、制御された速度で、定義された条件の温度下、内部の流体圧を連続的に増大させる際に、所与の寸法(外径、壁厚および長さ)の菅材が破裂する最大圧力を指し、菅材は、加圧加工を施す前に、指定のプロトコール毎にコンディショニングされている。
本明細書において開示されるポリアミドは、ホモポリマーもしくはコポリマーであり、用語コポリマーは、ポリマー鎖に2つ以上のアミドおよび/またはジアミド分子の繰り返し単位を有するポリアミドを指す。ホモポリマーもしくはコポリマーは、それらの各々の繰り返し単位により特定される。本開示の本明細書において開示されるコポリマーに関して、繰り返し単位は、コポリマー中に存在する繰り返し単位のモル%の降順に記載される。以下の一覧は、ポリアミド(PA)のホモポリマーおよびコポリマー中のモノマーおよび繰り返し単位を識別するのに用いる省略形を例示する:
HMD ヘキサメチレンジアミン(または二塩基酸との組み合わせで使用される場合は6)
T テレフタル酸
AA アジピン酸
DMD デカメチレンジアミン
6 ε−カプロラクタム
DDA デカン二酸
DDDA ドデカン二酸
I イソフタル酸
TMD 1,4−テトラメチレンジアミン
6T HMDおよびTから形成されるポリマー繰り返し単位
66 HMDおよびAAから形成されるポリマー繰り返し単位
10T DMDおよびTから形成されるポリマー繰り返し単位
610 HMDおよびDDAから形成されるポリマー繰り返し単位
612 HMDおよびDDDAから形成されるポリマー繰り返し単位
6 ε−カプロラクタムから形成されるポリマー繰り返し単位
11 11−アミノウンデカン酸から形成されるポリマー繰り返し単位
12 ラウロラクタムから形成されるポリマー繰り返し単位
当技術分野において、単独で使用された場合に用語「6」は、ε−カプロラクタムから形成されるポリマー繰り返し単位を示すことに留意されたい。その代わりに、T、例えば6T等の二塩基酸と組み合わせて使用される場合の「6」は、HMDを指す。ジアミンおよび二塩基酸を含む繰り返し単位において、ジアミンは最初に示される。さらに、「6」がジアミンとの組み合わせで使用される場合、例えば66は、最初の「6」はジアミンHMDを指し、2番目の「6」はアジピン酸を指す。同様に、他のアミノ酸またはラクタムから誘導される繰り返し単位は、炭素数を表す1つの数字として示される。
コポリマー繰り返し単位は、スラッシュ(つまり/)により区切られる。例えば、ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)は、PA612/6T(75/25)と略記され、括弧内の値は、コポリマー中の各繰り返し単位の繰り返し単位のモル%である。
本発明の熱可塑性組成物に有用な半晶質の半芳香族コポリアミドは、
a−1)i)から誘導される芳香族繰り返し単位を約10〜40モルパーセントと:
i)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;
a−2)ii)から誘導される脂肪族繰り返し単位を約60〜90モルパーセントと:
ii)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する前記脂肪族ジアミン;
を含む。
半晶質の半芳香族コ−ポリアミドの8〜16個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸のとして、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナプタレン二酸(napthalenedioic acid)が挙げられる。テレフタル酸およびイソフタル酸が、好ましい。
半晶質の半芳香族コ−ポリアミドの6〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸が挙げられ得る。ドデカン二酸およびデカン二酸が、好ましい脂肪族ジカルボン酸である。
半晶質の半芳香族コ−ポリアミドの脂肪族ジアミンは、4〜20個の炭素原子を有してよく、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、および2−メチル−1,5−ペンタメンチレンジアミンからなる群から選択されるのがさらに好ましい。
熱可塑性組成物に有用な半晶質の半芳香族コポリアミドとして、PA612/6T(85/15)〜(55/45)、好ましくはPA612/6T(75/25)、PA612/6T(70/30)およびPA612/6T(60/40);PA610/6T(85/15)〜(55/45)好ましくはPA610/6T(80/20)、PA610/6T(75/25)およびPA610/6T(60/40);PA1010/10T(85/15)〜(55/45)、好ましくはPA1010/10T(80/20);PA612/6I(90/10)〜(70/30)、好ましくはPA612/6I(85/15);および15〜45モルパーセントの6T+6Iのモルパーセントを有するPA612/6T/6IであっておよびTとIの比が約4:1〜1:1、好ましくはPA612/6T/6Iが80/10/10および(75/20/5)であるA612/6T/6Iからなる群から選択される半晶質の半芳香族コポリアミドがあげられる。半晶質の半芳香族コ−ポリアミドは、PA612/6TおよびPA610/6Tが好ましい。
熱可塑性組成物に有用な脂肪族ホモポリアミドは:
iii)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;または
iv)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ラクタムまたは1種の脂肪族アミノ酸
から誘導される繰り返し単位を含む。
6〜20個の炭素原子を有する脂肪族ホモポリアミドの脂肪族ジカルボン酸は、半晶質の半芳香族コ−ポリアミドの脂肪族ジカルボン酸に関して既に開示したのと同じ脂肪族ジカルボン酸であってよい。4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ホモポリアミドの脂肪族ジアミンは、半晶質の半芳香族コポリアミドの脂肪族ジアミンに関して既に開示したのと同じ脂肪族ジアミンであってよい。第二脂肪族ジアミンが、HMDであるのが好ましい。脂肪族ホモポリアミドのラクタムまたはアミノカルボン酸として、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム、および11−アミノウンデカン酸が挙げられる。ε−カプロラクタムが、好ましい。
本発明の熱可塑性組成物に有用な脂肪族ホモポリアミドとして、PA410、PA412、PA612、PA610、PA1010、PA614、PA616、PA618、PA6、PA.12およびPA11が挙げられる。本発明の熱可塑性組成物に有用な脂肪族ホモポリアミドは、PA612およびPA610であるのがさらに好ましい。
脂肪族ホモポリアミド中に存在する脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンは、半晶質の半芳香族コ−ポリアミド中に存在する脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンと同一であるのが好ましい。
表1は、本発明に有用な半晶質の半芳香族コポリアミドと脂肪族ホモポリアミドとの組み合わせを記載する。
本明細書に記載される共グラフトポリマー強靭化剤は、少なくとも2つのガラス転移温度を呈する2種以上のポリオレフィンの共グラフトブレンドであり;主要相を形成する第一ポリオレフィンは、ASTM D792規格に従って測定した0.88〜0.96g/ccの範囲の密度を有し、第一ポリオレフィンは、動的機械特性に関するASTM D4065手順に従って求めた−20℃より高い少なくとも1つのガラス転移温度(Tg)と、示差走査熱量計分析(DSC)によりASTM D3418規格に従って測定した75〜175℃の範囲の軟化温度(Tm)とを有し、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、3〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファオレフィンとのエチレンコポリマー、および2−10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファオレフィンとのプロピレンコポリマーから選択され;非主要相を形成する第二ポリオレフィンは、ASTM D792規格に従って測定した0.88g/cc未満の密度、動的機械特性に関するASTM D4065手順に従って求めた−20℃未満のその最大ガラス転移温度(Tg)、示差走査熱量計分析(DSC)によりASTM D3418規格に従って測定した75℃未満の軟化温度Tmを有し、エチレン/α−オレフィンまたはエチレン/α−オレフィン/ジエンコポリマーからなる群から選択される。共グラフトは、非主要相が主要相内に分散し2つの相が不飽和カルボン酸無水物と同時かつランダムにグラフト化されて多相衝撃改質剤を形成するのに望ましい割合で、2種のポリオレフィンが溶融混合されることを意味する。2つのポリオレフィン相は、ブレンドが少なくとも1つが−20℃より高いガラス転移温度を有しかつ少なくとも1つが−20℃未満のガラス転移温度有する複数のガラス転移温度を呈する程度に、非混和性である。ブレンドの軟化点は、主要相を形成する第一ポリオレフィンの軟化点により決まり、75℃より大きい。
共グラフトポリマー強靭化剤が、約0.05〜約5重量パーセントのグラフト分子(グラフト率)含有の官能基を含有するのが好ましい。その共グラフトポリマー強靭化剤に複数の型の反応性モノマーが存在してもよく、および/または複数種の共グラフトポリマー強靭化剤であってもよい。一実施形態において、共グラフトポリマー強靭化剤は、約0.1〜約3重量パーセントのグラフト分子含有の官能基を含む。
自動車のアンダーフード部品は、様々な政府機関や業界の規格および条例に準拠する必要がある。北米でトラック空気ブレーキシステムに使用される菅材およびホースは、一連の試験を規定する米国連邦運輸省(The US Department of Transportation)(DOT)571.106規格に準拠する必要がある。この規格に従って、管は、初期最小破裂圧力を有する必要がある。試験の1つは、管を沸騰水中に2時間浸漬してコンディショニングした後、−40℃での規定の低温衝撃試験の後、その破裂圧力を測定する(方法で詳細に規定される)ことを必要とする。試験結果は、コンディショニング後に元の破裂圧力の規格値の少なくとも80%の保持率を求める。全てのポリアミド組成物は水を吸収し、沸騰水中での2時間のコンディショニングにより、結果として本質的に水分飽和状態の管材料となる。組成物のポリアミドの型および量により、管の破裂圧力に変化が伴うようになる。組成物に組み込まれるエチレン/アルファ−オレフィンコポリマー等のオレフィン系ポリマー強靭化剤は、ポリアミドに対して希釈剤として働き、次に吸収した水分の量を低減させるように助力するが、しかしながら、オレフィン系ポリマー強靭化剤は、ポリアミドと比べて低い強度特性を有するので、衝撃改善された組成物の管破裂性を弱める。
ISO7628に従う領域でトラック空気ブレーキシステムに使用される菅材は、その規格の要件に準拠する必要があり、この規格に従って、管は、規定の最小破裂圧力を必要とする。さらに、管は、100℃および125℃の温度で特定の破裂圧力を必要とする一方、−40℃で非常に良好な衝撃靭性を有することを必要とする。管の特定の低温衝撃靭性を提供するために、衝撃改質剤は、ガラス転移温度が低くかつ結晶化度が低いことを必要とする。エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー等のオレフィン系コポリマーは、これらの特徴を呈する。しかしながら、オレフィン系コポリマーはまた、75℃以下で低い軟化点を有し、結果として、それらは、100℃を超える温度で管の破裂圧力に悪影響を与える。さらに、高密度、直鎖状低密度または低密度ポリエチレンもしくはプロピレンホモポリマーもしくはコポリマーをベースとするオレフィン系コポリマー等の結晶性ポリマー変性剤は、より高い軟化点を有するが、比較的に高いガラス転移温度を同様に有するので、ポリアミド組成物において良好な低温衝撃靭性を提供しない。
良好な低温衝撃靭性とより良好な高温破裂圧力の両方を提供するための取り組みの1つの方法は、一方は高いTgを有しそして他方は低いTgを有する2種の異なるポリマー強靭化剤を用いて、ポリアミド組成物を強靭にすることであり得る。以下の実施例で実証されるように、この取り組みの方法は、十分な望ましい改善を提供しない。しかしながら、一方は高いTgを有しそして他方は低いTgを有する2つの型のポリオレフィンが、ポリアミド組成物に組み込まれる前に、溶融ブレンドされて共グラフト化される場合、低温衝撃靭性や可撓性を損なうことなく、驚くほど改良された高温破裂圧力が実現されることが判明された。これらの組成物から調製した管はまた、DOT571.106規格に求められる沸騰水コンディショニング、低温衝撃試験および破裂試験に準拠するのに必要な特性を呈する。
従って、本開示は、少なくとも2種のベースポリマー型ポリオレフィンから誘導される共グラフトポリマー強靭化剤の組み込みを記載し、そのポリオレフィンにおいて、強靭化剤の主要相を形成する第一ポリオレフィンは、0.88〜0.96g/ccの範囲の密度を有し、少なくとも1つの−20℃より高いガラス転移温度(Tg)、75〜175℃の範囲の軟化温度(Tm)を有し、かつエチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、3〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファオレフィンとのエチレンコポリマー、および2〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファオレフィンとのポリプロピレンコポリマーから選択され;衝撃改質剤の非主要相を形成する第二ポリオレフィンは、0.88g/cc未満の密度を有し、−20℃未満の最高ガラス転移温度(Tg)を有し、かつ75℃未満の軟化温度Tmを有し、エチレン/α−オレフィンコポリマーまたはエチレン/α−オレフィン/ジエンコポリマーからなる群から選択される。
例えば示差走査熱量計分析で融点を1つ呈するならば、軟化点、または軟化温度は、ポリオレフィンの融点でもある。エラストマー系ポリオレフィンコポリマーは、明確な融点を示さないことがあり、そのような場合、軟化点は、固体から影響され易い(maleable)粘性液体の状態にポリマーが変換される最低温度である。
本明細書に記載される共グラフトポリマー強靭化剤は、ポリオレフィン相の非混和性を反映する複数のガラス転移温度を呈することがあり、ガラス転移温度は、少なくとも1つが−20℃より高く、かつ少なくとも1つが−20℃未満であり、その軟化点は、主要相を形成する第一ポリオレフィンの軟化点により決まり、75℃よりも高い。2つのガラス転移温度のうちで、第一ガラス転移温度は、約−25℃〜約−50℃の温度範囲であるのが好ましく、第二ガラス転移温度は、約0℃〜25℃の温度範囲であるのが好ましい。軟化点は、約75℃〜約175℃の範囲であるのが好ましい。
本明細書に記載される熱可塑性ポリマー組成物中の共グラフトポリマー強靭化剤の最小濃度は、熱可塑性ポリマー組成物の0.5重量パーセント、好ましくは2.5重量パーセント、さらに好ましくは約5重量パーセントであり、一方、ポリマー強靭化剤の最大量は、約50重量パーセント、好ましくは約45重量パーセントである。熱可塑性ポリマー組成物中の共グラフトポリマー強靭化剤の濃度が、熱可塑性ポリマー組成物の総重量に対して、約5重量パーセント〜約45重量パーセントであるのが好ましい。
本明細書に記載される共グラフトポリマー強靭化剤の例として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a)不均質のプロピレン−エチレンインパクトコポリマー等のプロピレンインパクトコポリマーと、エチレンと1−オクテンのコポリマーとの共グラフト組み合わせ(2:1);
(b)ポリプロピレンインパクトコポリマーと、エチレンと1−オクテンのコポリマーとの共グラフト組み合わせ(1.2:1);
(c)ポリプロピレンホモポリマーと、エチレンと1−オクテンのコポリマーとの共グラフト組み合わせ(2:1);
(d)均質ランダムプロピレン−エチレンコポリマーと、エチレンと1−オクタンのコポリマーとの共グラフト組み合わせ(2:1);
(e)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、エチレンと1−オクテンのコポリマーとの共グラフト組み合わせ(2:1)および
(f)高密度ポリエチレン(HDPE)と、エチレンと1−オクテンのコポリマーとの共グラフト組み合わせ(2:1)。
本発明に使用されるポリアミド組成物は、添加剤をさらに含んでもよい。好ましい添加剤は、酸化防止剤または熱安定剤のうちの少なくとも1つである。好適な酸化防止剤の例は、立体障害性フェノール化合物、芳香族2級アミンおよびホスフィットである。立体障害性フェノールの例として、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))、ペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2’,3ビス[3,5ジターシャリーブチル、4ヒドロキシフェニル)プロピオンイル]プロピオノヒドラジド、N,N’ヘキサン−1,6−ジイルビス[3,5ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等が挙げられる。N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))が、好ましい。芳香族2級アミンの例として、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4’−ヒドロキシ−3,5−ジ−tブチルアニリノ(tbutylanilino)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。ホスフィットの例として、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスフィットおよび類似体が挙げられる。熱安定剤の例として、Cul等のCu塩、KlまたはKBr等のカリウム塩との組み合わせでの酢酸第一銅が挙げられる。
酸化防止剤および熱安定剤は、組成物の押出成形中または重合中に熱可塑性組成物に組み込まれてもよい。重合中に組み込まれるならば、重合サイクルを開始する前に、ポリアミドモノマーを1種または複数種の添加剤と混合して、混合物を重合反応器に導入する。別な方法として、重合サイクル中に、酸化防止剤を反応器に添加することも可能である。押出成形中に酸化防止剤を組成物に組み込むのが好ましい。
使用される場合、酸化防止剤は、約0.25〜約2.5重量パーセントで組成物に存在することになり、或いは、酸化防止剤は、約0.1〜約3重量パーセントで組成物に存在してもよい。銅ベースの熱安定剤は、使用するならば、Cuの約10〜500ppmかつハロゲンの1000〜3000ppmを提供するように存在してもよい。
本明細書に記載されるポリアミド組成物は、可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤は、ポリアミドと混和性となるのが好ましい。好適な可塑剤の例として、スルホンアミド、好ましくはベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミド等の芳香族スルホンアミドが挙げられる。好適なスルホンアミドの例として、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等のN−アルキルベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドが挙げられる。N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、およびN−エチル−p−トルエンスルホンアミドが好ましい。米国特許第6348563号明細書は、このようなポリアミドに好適なパラヒドロキシ安息香酸エステル系の可塑剤を記載する。
可塑剤は、組成物の押出成形中または重合中に熱可塑性組成物に組み込まれてもよい。可塑剤が重合中に組み込まれるならば、重合サイクルを開始する前に、ポリアミドモノマーを可塑剤と混合して、混合物を重合反応器に導入する。別な方法として、重合サイクル中に、可塑剤を反応器に添加することも可能である。押出成形中に可塑剤を組成物に組み込むのが好ましい。
可塑剤は、使用されるならば、多くとも15重量パーセントで組成物に存在することになる。
本明細書に記載されるポリアミド組成物は、場合により、熱安定剤、酸化安定剤、および/または光安定剤、着色剤、潤滑剤、離型剤等の追加の添加剤を含んでもよい。このような添加剤は、得られる材料の所望の特性に基づく従来の量で添加されることが可能であり、所望の特性に対してこれらの量の調整は、当業者の知識の範囲内である。
存在する場合、添加剤は、任意の既知の方法を用いて溶融ブレンドにより、本明細書に記載されるポリアミド組成物中に組み込まれてよい。単軸押出機または二軸押出機、ブレンダー、混錬機、Banburyミキサー等の溶融混合機を用いて成分材料を均質性になるまで乾式ブレンドおよび配合して、ポリアミド組成物を得てもよい。或いは、材料の一部を第一溶融混合機内で配合した後、残りの材料を加えて、均質になるまでさらに溶融混合してもよい。
熱可塑性組成物を提供するプロセスであって、
A)混合物、b3)を調製するステップであって、混合物が、
i)55〜90重量パーセントの第一ポリオレフィン、b1)であって、−20℃よりも高い少なくとも1つのガラス転移温度、75℃より高い1つの軟化温度、および0.88〜0.96g/ccの範囲の密度を有し、エチレンホモ−ポリマー、プロピレンホモ−ポリマーおよびエチレンとプロピレンのコポリマーから選択される第一ポリオレフィンと、
ii)10〜45重量パーセントの第二ポリオレフィン、b2)であって、−20℃未満の1つのガラス転移温度、かつ75℃未満の1つの軟化温度、および0.88g/cc未満の密度を有し、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン;1−オクテン等の1種または複数種のアルファオレフィンとエチレンとのコポリマーおよび/またはブタジエン、ヘキサジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の1種または複数種のジエンとエチレンとのコポリマーから選択される第二ポリオレフィンと、
iii)少なくとも1種の反応性モノマーと、
iv)場合により、共グラフトポリマー強靭化剤を形成する過酸化物と
を押出機に供給することにより得られる少なくとも2つのガラス転移温度を呈する2種以上のポリオレフィンのブレンドを含み:
v)未反応の反応性モノマーを必要な時はいつでも除去し、
場合により、共グラフトポリマー強靭化剤を押出成形およびペレット化するステップ;および
B)ステップ(A)で得られた5〜45重量パーセントの前記混合物をポリアミド組成物と溶融ブレンドするステップであって、;ポリアミド組成物は、
vi)55〜90重量パーセントの半晶質の半芳香族コ−ポリアミドであって、前記半芳香族コ−ポリアミドが、
a)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミンから誘導される約10〜40モルパーセントの芳香族繰り返し単位;および
b)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数種の脂肪族ジカルボン酸および前記の4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンから誘導される約60〜90モルパーセントの脂肪族繰り返し単位;
を含む半芳香族コ−ポリアミド、
vii)10〜45重量パーセントの脂肪族ホモ−ポリアミドであって、
c)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;または
d)6〜20個の炭素原子を有する脂肪族ラクタムもしくは脂肪族アミノカルボン酸;
から誘導される繰り返し単位を含み、
vi)およびvii)の重量パーセントが、vi)とvii)の総重量を基準とする脂肪族ホモ−ポリアミド、
viii)0〜15重量パーセントの可塑剤;
ix)0〜2.5重量パーセント、重量パーセントの酸化防止剤および/または熱安定剤;
x)難燃剤、UV安定剤、光安定剤、熱安定剤、潤滑剤、着色剤等からなる群から選択される0〜5重量パーセントの添加剤;を含み、ポリマー強靭化剤b3、viii)、ix)およびx)の重量パーセントは、熱可塑性組成物の総重量を基準とし;成分vi)、vii)、viii)、ix)、およびx)は、ステップ(B)において、前記混合物、b3)がステップ(A)で取得される第一押出機の下流で溶融ブレンドされる、或いは成分が、ステップ(B)において、ステップ(A)で得られた混合物が場合により押出成形される第二押出機で溶融ブレンドされるステップ
を備える熱可塑性組成物を提供するプロセスが、さらに提供される。
別の一態様において、本発明は、熱可塑性ポリマー組成物を賦形することにより物品を製造する方法に関する。物品の例は、上述の組成物から成形される編上げ、回旋および波形管およびホースをはじめとする、1枚または複数枚の層を有する、フィルム、ラミネート、フィラメント、繊維、単層管、ホース、パイプ、多層管、ホースおよびパイプ、並びにエンジン部品をはじめとする自動車部品である。多層管、パイプおよびホースは、バリア層、導電層、補強層、接着結合層、耐摩耗層等の他の層を含んでもよい。「賦形」は、例えば押出成形、射出成形、熱成形、圧縮成形、インフレート成形、フィラメント紡糸、シートキャスティング、インフレーションフィルム等のあらゆる賦形技術を意味する。物品が、押出成形または射出成形により賦形されるのが好ましい。
本明細書において開示される成形または押出成形された熱可塑性物品は、以下の要件:道路用塩に対する耐性、水およびグリコール溶液、燃料、アルコール、オイル、塩素水等の冷却材による加水分解に対する耐性;殊に冷環境下での高い耐衝撃性;自動車アンダーフード温度等の高温での機械特性の改良された保持率;有意な重量低下(例えば、従来の金属以上);およびよりコンパクトで一体化されたデザインを可能にする騒音低減:のうちの1つ以上を満たす多くの車両用、産業および消費者向けの製品部品の用途を有し得る。具体的な成形または押出成形された熱可塑性物品は、トラック空気ブレーキ管;自動車用燃料ラインおよび自動車用以外の燃料ライン;自動車用冷却材ライン;オイルライン;ラジエータ側縁部タンク;エンジンマウント部;トルクロッド;工業機械に用いる気送および油圧ライン;オイル、ガス、および水の採掘および輸送用パイプに用いる配管、ライナーおよびシース;ブラシ等の産業および消費者向け用途に用いるフィラメントおよび抄紙機ベルトに用いるフィラメント;並びにスキーおよびスキー靴用のラミネーション層等のスポーツ用品からなる群から選択される。
本明細書に記載される熱可塑性ポリマー組成物は、以下の実施例により例証される。以下の実施例は、例証する目的のためだけのものであり、本発明をそれに限定するために使用されないことを理解されたい。
材料
ポリアミド
i)ヘキサメチレンジアミン、およびドデカン二酸から誘導される75モル%の繰り返し単位と、ヘキサメチレンジアミンおよびテレフタル酸から誘導される25モル%繰り返し単位とを有する、210℃の融点を有し、25℃で0.5重量パーセントのm−クレゾール溶液で測定した公称インヘレント粘度1.25を有する、DuPont,Wilmington,DEから入手可能であるPA612/6T、半芳香族、半晶質コ−ポリアミドを使用した。
ii)Zytel(登録商標)158NC010としてDuPont,Wilmington,DEから市販されている、218℃の融点を有し、25℃で0.5重量パーセントのm−クレゾール溶液で測定した公称インヘレント粘度1.2を有する、PA612、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸のホモ−ポリアミドを使用した。
iii)ヘキサメチレンジアミン、およびドデカン二酸から誘導される80モル%の繰り返し単位と、ヘキサメチレンジアミンおよびテレフタル酸から誘導される20モル%繰り返し単位とを有する、210℃の融点を有し、および25℃で0.5重量パーセントのm−クレゾール溶液で測定した公称インヘレント粘度1.25を有する、DuPont、Wilmington、DEから入手可能であるPA610/6T、半芳香族、半晶質コ−ポリアミドを使用した。
iv)Zytel(登録商標)RSLC3090NC010としてDuPont,Wilmington,DEから市販されている、218℃の融点を有し、25℃で0.5重量パーセントのm−クレゾール溶液で測定した公称インヘレント粘度1.4を有する、PA610、ヘキサメチレンジアミンとデカン二酸のホモ−ポリアミドを使用した。
v)Ultramid(登録商標)B40としてBASF Corporation,Wyandotte,MIから市販されている、220℃の融点を有し、25℃でISO試験方法307規格(96%硫酸に溶かした1重量パーセント溶液)に従った相対粘度3.89〜4.17を有する、PA6、カプロラクタムのホモ−ポリアミドを使用した。
オレフィン系ポリマー強靭化剤
i)58重量パーセントのエチレンと42重量パーセントの1−オクテンを含有し、Dow Chemical Companyから入手可能であるEngage8180、エラストマー系ポリオレフィンを使用した。
ii)Ineos Olefins and Polymersから入手可能である、Innovene H3G−01、ポリプロピレンのホモポリマー。
iii)S K Global Chemical Company製のYuclair(登録商標)FT411、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と1−ブテンとのコモノマーを使用した。
iv)Braskem America Inc.から入手可能のBraskem DS6D81、ポリプロピレンとエチレンとのコモノマーのランダムコポリマー。
v)Lyondellから入手可能のPro−Fax7823、エチレンコモノマーとのインパクトポリプロピレンコポリマー。
反応性モノマー
無水マレイン酸を反応性モノマーとして使用した。UPC Technology Corporation,Taiwanから取得した。
有機過酸化物
United Initiators GmbH & Co.KG,Germanyから取得した有機過酸化物、2、5−ジメチル−2、5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン(DHBP)を使用した。
添加剤
Unitex Chemicals,USAから入手可能であるUniplex214、n−ブチルベンゼンスルホンアミドを可塑剤として使用した。
BASF Germanyから入手可能のIrganox(登録商標)1098、ヒンダードフェノール型の酸化防止剤を使用した。
Chemtura,USAから入手可能のNaugard(登録商標)445、芳香族アミン型の酸化防止剤を使用した。
BASF,Germanyから入手可能のTinuvin(登録商標)326、UV吸収剤を使用した。
BASF,Germanyから入手可能のChimassorb(登録商標)944、ヒンダードアミンを光安定剤として使用した。
Ajay North Americaから入手可能である潤滑剤、ジステアリン酸アルミニウムを使用した。
ブラックマスターバッチは、エチレン−メタクリラートキャリヤー中に35%のカーボンブラックを含有する着色剤マスターバッチである。
方法
共グラフトポリマー強靭化剤の調製
共グラフトポリマー強靭化剤:43mmサイズ12バレルBerstorff噛合型の同方向回転二軸押出機において、過酸化物の存在下での無水マレイン酸のフリーラジカル溶融グラフトにより、共グラフトポリマー強靭化剤を生成した。
2種類のポリオレフィンを必須の割合で配合機の供給口に供給し、液状の無水マレイン酸とマスターバッチとしての有機過酸化物とを180〜320℃の範囲に設定したバレル温度を有する押出機内のエチレン−オクテンコポリマーキャリヤーに導入して、グラフト反応を実施して、均一な共グラフトポリマー強靭化剤を生成した。必要である場合は常に、真空ベントにより未反応の無水マレイン酸を溶融体から除去した。得られた共グラフトポリマー強靭化剤をペレット化した。
相対量のポリオレフィン、無水マレイン酸、有機過酸化物および押出成形条件を設定し、0.1〜3.0重量パーセントの範囲のグラフト率、および1〜20gm/10分のメルトインデックス(以下に記載の方法に従って測定した)を達成した。
溶融ブレンドによる熱可塑性ポリマー組成物の調製
9つのバレル構成を有する25mmWerner and Pfleiderer二軸押出機で熱可塑性ポリマー組成物を調製した。予め計算した量のポリアミド、共グラフトポリマー強靭化剤および必要な添加剤を乾式ブレンダー中で予めブレンドし、乾式ブレンドした組成物を押出機にフロントフィーダにより供給した。ポリアミドを溶融し、ポリアミドマトリックス中に共グラフトポリマー強靭化剤を分散させるために、2つの混錬および混合スクリューエレメントを押出機の投入口の下流に入れ、次に、押出成形中に溶融体から揮発分を連続して除去するために、バレル4の真空ベント口に入れた。その後、液状可塑剤をバレル6の送液装置からのポリマー溶融体中に注入し、可塑剤の添加後に、3つの混錬および混合スクリューエレメントをスクリュー構成に提供し、ブレンド中に均一な分散を実現した。次に、ダイを介して溶融組成物を押出成形し、水中ペレタイザーを用いてペレットにした。バレル温度を供給ゾーンで210℃に設定し、ダイゾーンにおいて240℃に維持した。押出成形中、スクリュー回転数は400rpmであり、押出機の押出量を250gm/分に制御した。
続いて、配合した熱可塑性ポリマー組成物のペレットを、菅材に成形またはさらに押出成形する前に、窒素雰囲気下、60℃で約10分間乾燥させた。
溶融ブレンドされた熱可塑性ポリマー組成物の成形
溶融ブレンドされた熱可塑性ポリマー組成物の乾燥済みのペレットを、ASTM D638およびASTMD790規格に従って、180トンのNissei射出成形機を用いて、試験片に成形した。バレル温度プロファイルは、投入口での225℃からノズルでの235℃までであった。成形温度を50℃に維持した。成形に好適である0.05%未満の水分レベルを提供するため、除湿乾燥機内で溶融ブレンドした組成物を一晩中65℃で予備乾燥させた。成形したバーをキャビティ内から排出し、試験の準備ができるまで、真空密封アルミ箔バックに成形時乾燥された条件で保管した。
管の押出成形
30:1のL:D比を有し、バリアスクリューおよびGencaスパイラルダイを取り付けた、Davis Standard製の50mm単軸押出機において、本明細書において先に記載した熱可塑性ポリマー組成物を均一寸法の管形態にさらに押出成形し、押出機のスクリュー回転数は、20rpmであった。構成は、12.5mmブッシングおよび8.9mmチップを有するダイを含み、およびその入り口に8.6mmサイズの水冷却槽を含む。ベルトプーラーを用いて、得られた菅材を取り出して、該当する試験のために30cm片に切断した。
押出機のバレル温度を押出機の供給ゾーンで220℃に、ダイで230℃に維持した。2つの寸法を有する管を作製し、外径(OD)6.3mmおよび壁厚1mmを有する第一管を約14m/分(46ft/分)のライン速度で押出成形し、外径(OD)8mmおよび壁厚1mmを有する第二管を10m/分(35ft/分)のライン速度で押出成形した。
試験方法
密度の測定
共グラフトポリマー強靭化剤の密度をASTM D792規格に従って求めた。
軟化点または軟化温度の測定
示差走査熱量計分析(DSC、Q2000 TA Instruments製)を用いて、第一加熱走査において走査速度10℃/分で、ASTM D3418規格に従って、共グラフトポリマー強靭化剤の軟化点または軟化温度を求めた。
メルトフローインデックス(MFI)の定量
190℃、0.0825インチ(0.209cm.)のオリフィス径および2.16kg荷重下でTinius Olsen Melt Indexer, MODEL M987を用いて、ASTM D1238に従って、共グラフトポリマー強靭化剤のメルトフローインデックス(MFI)を求めた。
グラフト率の定量
前記マレイン化ポリオレフィンから調製した試料フィルムおよび内部で調製した標準を用いて較正した試料フィルムを使用して、フーリエ変換赤外分光法(Nicolet Avitar330FTIR分光光度計)により、公称無水マレイン酸グラフト率を測定した。
ガラス転移温度(Tg)の定量
TA Instruments,New Castle,DE,USA製のDMA Q800機器を用いて実施された動的機械分析(DMA)試験データの対応するタンジェントデルタ(tanδ)ピークから、共グラフトポリマー強靭化剤のガラス転移温度(Tg)を求めた。射出成形した試験バーから切断した公称測定18mm×12.5mm×3.2mmの試験片を使用した。−140℃まで3〜5分間バーを平衡化した後、周波数1Hzでの単一カンチレバーモード、2℃/分の勾配で−140〜+160℃の温度掃引モードにおいて20マイクロメーターの振幅での正弦波機械振動で、DMAを実施した。損失弾性率(E”)および貯蔵弾性率(E’)の対応する値からタンジェントデルタ値を算定した。
引張特性の測定
Instron Universal試験機モデル4202をクロスヘッド速度50mm/分で用いて、Type IVバーで、ASTM D638規格に従って熱可塑性ポリマー組成物の23℃での引張り強さ、破断点伸びおよび降伏強度等の引張特性を測定した。5つの被検試料の平均を表3に記載する。
曲げ弾性率の測定
Instron Universal試験機モデル4469を用いて、Type IVバーで、ASTM D790規格に従って熱可塑性ポリマー組成物の23℃での曲げ弾性率を測定した。5つの被検試料の平均を表3および4に記載する。
破裂圧力の試験
作動媒体として水を用いるモデル500DのIscoシリンジポンプを用いて、管の破裂圧力の測定を実施した。高圧ホースを用いて、加圧作動媒体、ここでは水をポンプから試験片の管試料に供給し、Swagelok急速接続継手を用いて、試験片試料をホースに接続した。試験片の管は、公称30cm(12インチ)長であった。
破裂圧力を試験する前に、米国連邦運輸省(DOT)規格571.106要件−プラスチック空気ブレーキ菅材、プラスチック空気ブレーキ菅材組立品または意図される対照毎に求められる幾つかのコンディショニングプロトコルに管試験片を曝した。
(a)制御したレベルの湿度までコンディショニングした管試験の片破裂試験。コンディショニングの試験の前に、23℃で50%の相対湿度に制御した温度および湿度のチャンバに少なくとも1週間、管試験片を保った。破裂圧力の測定のために、ホースおよび管の試験片を水でパージして、取り込まれた空気を取り除いた後、先の丸い急速接続Swagelok継手で管の開口端部に栓をした。次に、ポンプを作動して、破裂が生じるまで、制御速度50psi/sで圧力を発生させた。デジタル圧力計を用いて、破裂時のピーク圧力を記録した。米国連邦運輸省(DOT)規格571.106要件に基づくと、長さ30cm、外径(OD)6.3mmおよび壁厚1mmの寸法の管試験片は、1200psiの最小破裂圧力を有する必要がある。室温で破裂圧力を測定するために、5つの管試験片を試験し、対応する平均データを使用した。
(b)沸騰水コンディショニングおよび低温衝撃を施した管試験片の破裂試験。管試験片を最初に沸騰水中で2時間コンディショニングし、室温まで約15分間冷却させた後、本明細書で上述した規格571.106に記載される低温衝撃テスト冶具に置いた。冶具は、重さ454gmの半球状ハンマーを30cm高さから鉛直に管のスパン上に落下させて管試験片に衝撃を与えることができる。管試験片を有する冶具および衝撃ハンマーを−40℃に設定した凍結室内に置いた。全組立品をその温度で16〜20時間放置した後、依然として凍結室内に置いたまま、落ちてくるハンマーにより管試験片に衝撃を与えた。衝撃を受けた試験片を取り出し、どのような破損に関しても検査した。破損がない場合、管試験片を室温まで20分間、温めた後、上述の手順に従って破裂試験を施すことが可能であった。米国連邦運輸省(DOT)規格571.106は、長さ30cm、外径(OD)6.3mmおよび壁厚1mmの寸法の管は、本来の要件の少なくとも80%の破裂圧力、つまりこの寸法では960psiを保持することを必要とする。
(c)高温での管試験片の破裂試験。試験片を高圧のポンプホースに接続し、側開口を通って熱風循環炉内に入れ、必要に応じて125℃および100℃の所望の試験温度に炉を設定した。加圧された室温の水と接触する際に、管が続いて冷却されるのを回避するために、試験片内の空気をパージしなかった。管試験片を約30分間加熱した後、ポンプを50psi/sの率で作動して、破裂をもたらした。デジタル圧力計を用いてピーク圧力を再び記録した。
高温で実施した破裂試験に関して、3つの管試験片を試験し、対応する平均データを使用した。
米国連邦運輸省(DOT)規格571.106準拠の空気ブレーキ管は、破裂圧力、沸騰水コンディショニングおよび耐低温衝撃性等の規格において本明細書で先に記載した要件を全て満たす必要がある。さらに、熱可塑性ポリマー組成物の曲げ弾性率により示されるような取り付けの容易性のために可撓性を保持しながら、100℃または125℃等の高温で改良された破裂圧力を提供する管試験片を有することが望まれている。
欧州諸国におけるトラック空気ブレーキ管は、ISO7628規格に準拠する必要がある。この規格は、1250kPaクラスの空気ブレーキ系用の熱可塑性菅材に対して、100℃で最小破裂圧力値31.3バール、125℃で25バールに特定する。長さ30cm、外径(OD)8mmおよび壁厚1mmの管試験片をこれらの要件に従って、試験した。
上述の試験の結果を表4および表5に示す。
結果
オレフィン系ポリマー強靭化剤の組成物およびそれらの特性を表2に記載し、オレフィン系ポリマー強靭化剤をE01〜E06で表し、E01〜E06は、エチレン/1−オクテンエラストマー系ポリオレフィンベースのポリマー強靭化剤である。PE1は、ポリエチレンベースのポリマー強靭化剤である。PP1〜PP4は、ポリプロピレンベースのポリマー強靭化剤である。CG1〜CG7は、共グラフトポリマー強靭化剤である。
本明細書に記載されるように調製した種々の成形された熱可塑性ポリマー組成物の機械特性を表3に示す。
表3に記載する試料は、37.8重量パーセントのPA612/6T(75/25)、31重量パーセントのPA612、9重量パーセントの可塑剤、0.5重量パーセントの酸化防止剤、0.3重量パーセントのUV吸収剤、0.3重量パーセントの光安定剤、0.1重量パーセントの潤滑剤および21重量パーセントの強靭化剤を含有する。比較例CE1〜CE8の組成物は、その各々が単一型のポリオレフィンを含む1種または2種のオレフィン系ポリマー強靭化剤を有する。本発明の実施例IE1〜IE5は、共グラフトポリマー強靭化剤を有する。
US DOT571.106およびISO7628の破裂試験に基づいて試験した、外径6.3mmおよび壁厚1mmを有する管の試験結果を表4に示す。
試料CE1〜CE8のいずれかは、DOT571.106沸騰水/低温衝撃破裂試験の要件を満たすことができなかった、または高い剛性を呈した、または100℃および125℃で劣ったバースト値を示した。対照的に、本発明の実施例IE1〜IE5は、選択した試験に対するDOT571.106要件を満たし、可撓性を損なうことなく改良された高温破裂圧力を示した。
外径8mmおよび壁厚1mmを有する管を1250kPaクラスの空気ブレーキ管に対するISO7628規格要件に基づいて試験した結果を表5に報告する。
これらの結果により、本発明に従って作製した試料IE1、IE2およびIE5は、100℃と125℃の両方のISO7628の破裂圧力要件に、可撓性を損なうことなく満たしているが、一方比較例CE1、CE2およびCE8は、これらの要件を満たすには至っていないことがわかる。
PA610/6T半芳香族コポリアミドおよびPA610脂肪族ホモポリアミドを用いて、実施例IE6を調製し、実施例IE6は、45.6重量パーセントのPA610/6T(80/20)、22重量パーセントのPA610、5.9重量パーセントの可塑剤、0.5重量パーセントの酸化防止剤Irganox1098、0.5重量%の酸化防止剤Naugard445、2重量%のブラックマスターバッチ、0.1重量パーセントの潤滑剤および23重量パーセントの共グラフトポリマー強靭化剤を含む。
比較例CE9は、CE9ではポリマー強靭化剤として、IE6に使用した共グラフトポリマー強靭化剤(CG1)の代わりにエチレン/1−オクテンコポリマー(EO3)を使用したことを除いて、IE6と同一である。機械特性を表6に示す。
IE6およびCE9から調製した管の破裂圧力の結果を表7に示す。破裂試験の手順は、表4および5の結果を得るのに用いた破裂試験と異なる。試験を受ける管は、6.3mmOD×1mm壁厚または8mmOD×1mm壁厚の寸法を有する。特別に設計された装置を用いて、100℃および125℃での破裂試験を実施した。予め設定した50psi/sの一定の加圧率で作動油を圧送するように設定したシリンジポンプに、30cm長の管を連結した。管を温油浴に浸し、管を通って汲み上げたオイルと同一であるオイルを含む温油浴に管を浸すことにより、100℃または125℃の試験温度まで管を予め昇温した。管を通って汲み上げた加圧されたオイルを油浴と同じ温度まで加熱した。管を温油浴に浸しながら、破裂試験を実施した。
表7での結果により、共グラフトポリマー強靭化剤Bを含む本明細書に記載される熱可塑性ポリマー組成物を用いて調製した管は、エチレン/1−オレフィンコポリマーのポリマー強靭化剤を含む同じ組成物と比較すると、優れた破裂圧力を呈することが明らかにわかる。125℃の試験温度で、IE6は、CE9よりも78%大きい破裂圧力を有した。
PA610/6T半芳香族コポリアミドおよびPA6脂肪族ホモポリアミドを用いて、実施例IE7を調製し、IE7は、41重量パーセントのPA610/6T(80/20)、28.9重量パーセントのPA6、5.9重量パーセントの可塑剤、0.5重量パーセントの酸化防止剤Irganox1098、0.3重量パーセントのUV吸収剤、0.3重量パーセントの光安定剤、0.1重量パーセントの潤滑剤および23重量パーセントのポリマー強靭化剤CG1を含む。
比較例CE10は、CE10ではポリマー変性剤として、IE7に使用した共グラフトポリマー強靭化剤(CG1)の代わりにエチレン/1−オクテンコポリマー(EO3)を使用したことを除いて、IE7と同一である。機械特性を表8に示す。
IE6およびCE9から調製した管を試験するのに用いたのと同じ手順を用いて、IE7およびCE10から調製した管を試験した。結果を表9に示す。
表9での結果により、共グラフトポリマー強靭化剤Bを含む本明細書に記載される熱可塑性ポリマー組成物を用いて調製した管が、エチレン/1−オレフィンコポリマーのポリマー強靭化剤を含む同じ組成物と比較すると、優れた破裂圧力を呈することがわかる。125℃の試験温度で、IE7は、CE10よりも25%大きい破裂圧力を有した。

Claims (15)

  1. 熱可塑性ポリマー組成物であって、
    A)ポリアミド組成物であって、
    a)55〜90重量パーセントの半晶質の半芳香族コ−ポリアミドであって、
    a−1)
    i)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミンから誘導される約10〜40モルパーセントの芳香族繰り返し単位、および
    a−2)
    ii)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数種の脂肪族ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する1種の前記脂肪族ジアミン
    から誘導される約60〜90モルパーセントの脂肪族繰り返し単位
    を含む半芳香族コ−ポリアミド、
    b)10〜45重量パーセントの脂肪族ホモポリアミドであって、
    iii)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;または
    iv)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ラクタムまたは1種の脂肪族アミノカルボン酸
    から誘導される繰り返し単位を含む脂肪族ホモポリアミド
    を含む、ポリアミド組成物であって、a)およびb)の重量パーセントが、a)とb)の総重量を基準とするポリアミド組成物と;
    B)5〜40重量パーセントの共グラフトポリマー強靭化剤であって、前記共グラフトポリマー強靭化剤が、少なくとも2つのガラス転移温度を呈する共グラフトブレンドであり、
    b1)55〜90重量パーセントの第一ポリオレフィンであって、少なくとも1つの−20℃より高いガラス転移温度を有し、かつ75℃より高い軟化温度を有し、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレンと3〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファ−オレフィンとのコポリマー、およびプロピレンと2〜10個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファ−オレフィンとのコポリマーからなる群から選択される第一ポリオレフィン、
    b2)10−45重量パーセントの第二ポリオレフィンであって、−20℃未満の最高ガラス転移温度と75℃未満の軟化温度を有し、エチレンと少なくとも3個の炭素原子を有する1種または複数種のアルファオレフィンまたはジエンとのコポリマーから選択され、前記ポリオレフィン(b1)と(b2)が、場合により過酸化物の存在下で、溶融ブレンドされ、反応性モノマーと共グラフト化される第二ポリオレフィン
    を含むポリオレフィンから得られる共グラフトポリマー強靭化剤と;
    C)0〜15重量パーセントの1種または複数種の可塑剤と;
    D)0〜2重量パーセントの1種または複数種の酸化防止剤と;
    E)0〜5重量パーセントの添加剤であって、難燃剤、UV安定剤、光安定剤、熱安定剤、潤滑剤、着色剤等からなる群から選択される添加剤を含み;B)、C)、D)およびE)の重量パーセントが前記熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準とする熱可塑性ポリマー組成物。
  2. 前記半芳香族コ−ポリアミドが、
    a−1)
    i)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン
    から誘導される約10〜40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と;
    a−2)
    ii)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン
    から誘導される約60〜90モルパーセントの脂肪族繰り返し単位と;
    を含み、
    前記脂肪族ホモポリアミドが、
    iii)6〜20個の炭素原子を有する前記脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の前記脂肪族ジアミン
    から誘導される繰り返し単位を含む請求項1に記載の溶融ブレンドされた熱可塑性ポリマー組成物。
  3. 前記半芳香族コ−ポリアミドが、
    a−1)
    i)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン
    から誘導される約10〜40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と;
    a−2)
    ii)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン
    から誘導される約60〜90モルパーセントの脂肪族繰り返し単位とを含み、
    前記脂肪族ホモポリアミドが、
    iv)カプロラクタム
    から誘導される繰り返し単位を含む請求項1に記載の溶融ブレンドされた熱可塑性ポリマー組成物。
  4. 前記共グラフトポリマー強靭化剤が、少なくとも2つのガラス転移温度を呈する共グラフトブレンドであり、
    b1)55〜90重量パーセントの第一ポリオレフィンであって、
    −20℃より高い少なくとも1つのガラス転移温度および75℃より高い軟化温度を有し、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマーおよびエチレンとプロピレンとのコポリマーからなる群から選択される第一ポリオレフィンと、
    b2)10〜45重量パーセントの第二ポリオレフィンであって、−20℃未満の最高ガラス転移温度および75℃未満の軟化温度を有し、エチレンとアルファオレフィンおよび/またはジエンとのコポリマーからなる群から選択され、前記アルファオレフィンおよび/またはジエンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ブタジエンおよびノルボルネンからなる群から選択される第二ポリオレフィンとを含むポリオレフィンから得られ;前記ポリオレフィンが、場合により過酸化物の存在下で、反応性モノマーと共グラフト化される請求項1に記載の組成物。
  5. 前記反応性モノマーが、アクリル酸;メタクリル酸;マレイン酸;フマル酸;ナジック酸;シタコン酸(citaconic acid);イタコン酸;前記酸の無水物;前記酸の金属塩、前記金属塩のエステル、アミドまたはイミドまたはそれらの組み合わせからなる群から選択されるオレフィン系カルボン酸または無水物または誘導体である請求項1に記載の組成物。
  6. 前記共グラフトポリマー強靭化剤が、約0.1〜約5重量パーセントの範囲のグラフト率を有する請求項1に記載の組成物。
  7. 前記共グラフトポリマー強靭化剤が、約75〜約175℃の範囲の1つの軟化温度を有し、かつ少なくとも2つのガラス転移温度を呈し、前記第一ガラス転移温度が、約−25〜約−50℃の範囲であり、かつ前記第二ガラス転移温度が、約0〜約25℃の範囲である請求項1に記載の組成物。
  8. 熱可塑性ポリマー組成物を作製する方法であって:
    A)混合物、b3)を調製するステップであって、
    i)55〜90重量パーセントの第一ポリオレフィン、b1)であって、−20℃よりも高い少なくとも1つのガラス転移温度、かつ75℃より高い1つの軟化温度を有し、エチレンホモ−ポリマー、プロピレンホモ−ポリマーおよびエチレンとプロピレンのコポリマーから選択される第一ポリオレフィンと;
    ii)10〜45重量パーセントの第二ポリオレフィン、b2)であって、−20℃未満の最高ガラス転移温度、かつ75℃未満の1つの軟化温度を有し、エチレンとアルファオレフィンおよび/またはジエンとのコポリマーから選択され、前記アルファオレフィンおよび/またはジエンが、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン;1−オクテン、ブタジエン、ノルボルネンからなる群から選択される第二ポリオレフィンと;
    iii)少なくとも1種の反応性モノマーと;
    iv)場合により、1種の過酸化物であって、その結果前記共グラフトポリマー強靭化剤が形成される過酸化物と
    を押出機に供給することにより得られる少なくとも2つのガラス転移温度を呈する2種以上のポリオレフィンのブレンドを含む前記混合物を調製するステップ:および
    B)ステップ(A)で得られた5〜45重量パーセントの前記混合物をポリアミド組成物と溶融ブレンドするステップであって、前記ポリアミド組成物が、
    v)55〜90重量パーセントの半晶質の半芳香族コ−ポリアミドであって、
    a)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミンから誘導される約10〜40モルパーセントの芳香族繰り返し単位;および
    b)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する前記脂肪族ジアミンから誘導される約60〜90モルパーセントの脂肪族繰り返し単位;
    を含む半芳香族コ−ポリアミドと;
    vi)10〜45重量パーセントの脂肪族ホモ−ポリアミドであって、
    c)6〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン;または
    d)6〜20個の炭素原子を有する脂肪族ラクタムもしくは脂肪族アミノカルボン酸;
    から誘導される繰り返し単位を含む脂肪族ホモ−ポリアミドであって、v)およびvi)の重量パーセントが、v)とvi)の総重量を基準とする脂肪族ホモ−ポリアミドと;
    vii)0〜15重量パーセントの1種または複数の可塑剤と;
    viii)0〜2.5重量パーセントの1種または複数の酸化防止剤および/または熱安定剤と;
    ix)難燃剤、UV安定剤、光安定剤、熱安定剤、潤滑剤、および着色剤からなる群から選択される0〜5重量パーセントの添加剤と;を含み、前記ポリマー強靭化剤b3、成分vii)、viii)、およびix)の重量パーセントは、前記熱可塑性組成物の総重量を基準とし;成分v)、vi)、vii)、viii)、およびix)は、ステップ(B)において、前記混合物、b3)が取得される第一押出機の下流で溶融ブレンドされるように、溶融ブレンドするステップ
    を備える熱可塑性ポリマー組成物を作製する方法。
  9. 前記熱可塑性ポリマー組成物が、押出成形され、ペレット化される請求項8に記載の方法。
  10. 未反応の反応性モノマーの除去をさらに備える請求項8に記載の方法。
  11. 前記共グラフトポリマー強靭化剤の押出成形およびペレット化をさらに備える請求項8に記載の方法。
  12. 前記半芳香族コ−ポリアミドが、
    a)
    i)8〜16個の炭素原子を有する1種または複数種の芳香族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
    から誘導される芳香族繰り返し単位を約10〜40モルパーセントと;
    b)
    ii)6〜20個の炭素原子を有する1種または複数種の脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジアミン
    から誘導される脂肪族繰り返し単位を約60〜90モルパーセントと
    を含み、および
    前記脂肪族ホモポリアミドが、
    iii)6〜20個の炭素原子を有する前記脂肪族ジカルボン酸および4〜20個の炭素原子を有する前記脂肪族ジアミン;から誘導される繰り返し単位を含む請求項8に記載の方法。
  13. 前記反応性モノマーが、アクリル酸;メタクリル酸;マレイン酸;フマル酸;ナジック酸;シタコン酸(citaconic acid);イタコン酸;前記酸の金属塩、前記金属塩のエステル、アミドもしくはイミドまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項8に記載の方法。
  14. 前記共グラフトポリマー強靭化剤が、約0.1〜約5重量パーセントの範囲のグラフト率を有する請求項8に記載の方法。
  15. 押出成形された物品であって、前記物品が、管、パイプ、ホース、またはベルトを含む請求項1に記載の少なくとも1層の熱可塑性組成物を含む物品。
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