発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用される場合、文脈において特に述べられているか、または黙示されていない限り、本明細書で使用される用語は、以下に定義される意味を有する。例えば、これらの定義において、および本明細書全体にわたり、相互に排他的な要素または選択の余地を含めることによって、特に禁忌を示すまたは黙示されていない限り、「a」および「an」という用語は、1つまたは複数を意味し、「または」という用語は、文脈により可能な場合、および/またはを意味する。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で他のことを明確に指示されていない限り、複数の指示対象を含む。
本発明の開示の様々な位置において、例えば、任意の開示された実施形態では、または特許請求の範囲では、1つまたは複数の特定された構成成分、要素またはステップを「含む」化合物、組成物、または方法について言及がなされている。発明の実施形態はまた、それらの特定された構成成分、要素またはステップであるか、これらからなるか、あるいはこれらから本質的になるような化合物、組成物、組成物または方法を具体的に含む。「〜で構成される」という用語は、「含む」という用語と交換可能なように使用され、同等の用語として述べられている。例えば、構成成分またはステップを「含む」開示された組成物、デバイス、製品または方法は、オープンであり、これらはこれらの組成物または方法プラス追加の構成成分(複数可)またはステップ(複数可)を含むかまたは示す。しかし、これらの用語は、開示された組成物、デバイス、製品または方法の、その意図した目的のための機能性を破壊するような記載されていない要素は包含しない。同様に、構成成分またはステップ「からなる」開示された組成物、デバイス、製品または方法は、クローズドであり、これらは、かなりの量の追加の構成成分(複数可)または追加のステップ(複数可)を有するような組成物または方法を含まない、または示さない。さらに、「含む」という用語ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」および「含まれる」などの他の形態の使用は限定的ではない。最後に、「から本質的になる」という用語は、開示された組成物、デバイス、製品または方法の、その意図した目的のための機能性に対して重大な影響がない、記載されていない要素の包含を認め、さらに本明細書で定義されている。本明細書で使用されるセクションの表題は、単に組織的目的のためのものであり、記載されている対象を限定するものと解釈されてはならない。他に指摘されていない限り、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法および薬理学の従来の方法が利用される。
「約」は、本明細書で使用する場合、化合物または組成物の特定の性質を記載するために提供される数字の値または値の範囲に関連して使用される場合、値または値の範囲が、特定の性質を依然として説明しながら、当業者に妥当であるとみなされる程度まで逸脱し得ることを示している。妥当な偏差は、特定の性質の測定、判定または誘導に使用された装置(複数可)の精度または正確さの範囲内であるものを含む。具体的に、「約」という用語は、この状況において使用される場合、依然として特定の性質を説明しながら、数字の値または値の範囲が、記載された値または値の範囲の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%または0.01%、典型的に10%〜0.5%、より典型的には5%〜1%の分だけ変動し得ることを示している。
「本質的に保持する(essentially retains)」、「本質的に保持する(essentially retaining)」などの用語は、本明細書で使用する場合、これの由来となる別の化合物または組成物または部分の同じ活性、特徴または性質を検出可能な程度に変化させていない、または判定の実験誤差の範囲内である、化合物またはその組成物または部分の性質、特徴または活性を指す。
「ごくわずかに」または「ごくわずかな」は、本明細書で使用する場合、HPLC分析による定量レベル未満の不純物の量であり、存在する場合、これが汚染する組成物の約0.5%〜約0.1w/w%を占める。文脈に応じて、これらの用語はまた、統計学的に有意な差異が測定値もしくは結果の間で観察されていない、またはこれらの値を得るために使用された装置類の実験誤差の範囲内であることも意味し得る。実験的に決定されたパラメーターの値におけるごくわずかな差異は、そのパラメーターにより特徴付けられた不純物が無視できる量で存在することを意味するわけではない。
「実質的に保持する」は、本明細書で使用する場合、これの由来となる別の化合物または組成物または部分の同じ物理的性質の判定は統計的に異なるが、このような差異は、その活性を評価するための適切な生物学的試験システムにおいて、生物学的活性における統計学的に有意な差異であるとは解釈されない(すなわち、生物学的活性は本質的に保持されている)化合物またはその組成物または部分の物理的性質の測定値を指す。したがって、「実質的に保持する」という句は、化合物または組成物の物理的性質が、その性質に明示的に付随する生物学的活性に対して有する作用について言及している。
「主に含有する」、「主に有する」などの用語は、混合物の主成分を指す。混合物が2つの構成成分を有する場合、その主成分は、この混合物の50重量%超を占める。3つまたはそれ超の構成成分を有する混合物では、主要な構成成分は、この混合物中に最も大量に存在するものであり、混合物の質量の大部分を占めても、占めなくてもよい。
「電子求引基」という用語は、誘導的および/または共鳴のどちらかより優位な方を介して(すなわち、官能基または原子は、誘導的に電子求引性であってもよいが、全体的には共鳴を介して電子供与性であってよい)、それが結合している原子から電子密度を引き出し、アニオンまたは電子豊富な部分を安定化させる傾向にある、官能基または電気的陰性原子を指す。電子求引性作用は典型的には、誘導的に、ただし、減衰した形態で、電子求引基(EWG)により電子不足にされた、結合した原子に結合している他の原子に伝達され、したがってさらに離れた反応性中心の求電子性に影響を与える。例示的な電子求引基として、これらに限定されないが、−C(=O)、−CN、−NO2、−CX3、−X、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−C(=O)R、−C(=O)X、−S(=O)2R、−S(=O)2OR、−S(=O)2NHR、−S(=O)2NR2、−P(=O)(OR)2、−P(=O)(CH3)NHR、−NO、および−NR3 +(式中、Xは、−F、−Br、−Cl、または−Iであり、Rは、出現ごとに、独立して、水素およびC1〜6アルキルからなる群から選択される)が挙げられる。例示的なEWGとして、置換に応じて、アリール基(例えば、フェニル)およびある特定のヘテロアリール基(例えば、ピリジン)を挙げることもできる。したがって、「電子求引基」という用語はまた、電子求引基でさらに置換されているアリールまたはヘテロアリールも含む。典型的には、電子求引基は−C(=O)、−CN、−NO2、−CX3、および−X(式中、Xはハロゲンである)である。これらの置換基に応じて、不飽和のアルキル部分もまた電子求引基となり得る。
「電子供与基」という用語は、誘導的および/または共鳴のどちらかより優位な方を介して(すなわち、官能基または原子は共鳴を介して電子供与性であってよいが、全体的には誘導的に電子求引性であってよい)、それが結合している原子の電子密度を増加させ、カチオンまたは電子不足の系を安定化させる傾向にある、官能基または電気的陽性原子を指す。電子供与作用は典型的に、電子供与基(EWG)により電子豊富となった、結合した原子に結合している他の原子に共鳴を介して伝達され、したがって、さらに離れた反応性中心の求核性に影響を与える。例示的電子供与基として、これらに限定されないが−OH、および−NH2が挙げられる。これらの置換基に応じて、アリール、ヘテロアリールまたは不飽和のアルキル部分もまた電子供与基となり得る。
「部分」とは、本明細書で使用する場合、分子または化合物の特定されたセグメント、断片または官能基を意味する。化学部分は、時には、分子、化合物または化学式の中に包埋された、またはこれらに付加した化学成分(すなわち、置換基または可変基)として示される。
所与の範囲の炭素原子により本明細書に記載された任意の置換基または部分に対して、指定された範囲は、任意の個々の数の炭素原子が記載されていることを意味する。したがって、例えば、「任意選択で置換されているC1〜C4アルキル」、「任意選択で置換されているアルケニルC2〜6アルケニル」、「任意選択で置換されているC3〜C8複素環」への言及は、本明細書で定義されるような、1、2、3もしくは4個の炭素の任意選択で置換されているアルキル部分が存在すること、あるいは本明細書で定義されるような複素環または任意選択で置換されているアルケニル部分を含む、2、3、4、5もしくは6個の炭素のアルケニル、または3、4、5、6、7もしくは8個の炭素の部分が存在することを具体的に意味する。すべてのこのような数値的な記号表示は、個々の炭素原子団のすべてを開示することを明示的に意図し、したがって「任意選択で置換されているC1〜C4アルキル」は、置換または非置換に関わらず、これらの位置異性体のすべてを含めた、メチル、エチル、3つの炭素のアルキル、および4つの炭素のアルキルを含む。したがって、アルキル部分が置換されている場合、数値的な記号表示は、非置換のベース部分を指し、そのベース部分の置換基中に存在し得る炭素原子を含むことを意図しない。所与の範囲の炭素原子で特定された、本明細書で定義されるようなエステル、カーボネート、カルバメートおよびウレアについては、指定された範囲はそれぞれの官能基のカルボニル炭素を含む。したがって、C1エステルはギ酸エステルを指し、C2エステルは酢酸エステルを指し、非置換のC1ウレアはNH2(C=O)NH2を指す。
本明細書に記載の有機の置換基、部分および基、ならびに本明細書に記載の他の任意の他の部分については通常、不安定な部分が、本明細書に記載の使用のうちの1つまたは複数のために、十分な化学的安定性を有する化合物を作製するために使用することができる一過性の種である場合を除いて、このような不安定部分を排除することになる。本明細書に提供されている定義を操作することにより、5価の炭素を有するものをもたらすような置換基、部分または基は、特に除外される。
「アルキル」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、メチル、あるいは、直鎖状、第2級、第3級または環状配置で、すなわち、直鎖、分枝、環状配置またはこれらの何らかの組合せで、共有結合により一緒に連結している炭素原子のうちの1個または複数が飽和されている(すなわち、1個または複数のsp3炭素で構成されている)炭素原子の一群を指す。隣接する飽和した炭素原子が環状配置にある場合、このようなアルキル部分は、時には本明細書で定義されるようなシクロアルキルと呼ばれる。飽和アルキル置換基は、飽和した炭素原子(すなわち、sp3炭素)を含有し、芳香族、sp2またはsp炭素原子を含有しない(すなわち、不飽和、芳香族およびヘテロ芳香族部分で置換されていていない)。不飽和のアルキル置換基は、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール部分に関して本明細書に記載されているような部分で置換されているアルキル部分である。
したがって、他に指摘されていない限り、「アルキル」という用語は、1つまたは複数の、シクロアルキル、または不飽和の、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分またはこれらの何らかの組合せで任意選択で置換されている、飽和した非環式の炭化水素基であって、この飽和した炭化水素基は、示された数の共有結合により連結している飽和炭素原子を有するものを示す(例えば、「C1〜C6アルキル」または「C1〜C6アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の隣接する非環式の飽和した炭素原子を含有するアルキル部分または基を意味し、「C1〜C8アルキル」は、1、2、3、4、5、6、7または8個の隣接する飽和した非環式の炭素原子を有するアルキル部分または基を指す)。アルキル部分または基の中の飽和炭素原子の数は、変動してもよく、典型的には1〜50、1〜30または1〜20であり、より典型的には1〜8または1〜6である。典型的には、アルキル置換基は、飽和C1〜C8アルキル部分であるか、またはより典型的には、C1〜C6またはC1〜C4アルキル部分であり、後者は、時には低級アルキルと呼ばれる。炭素原子の数が示されていない場合、アルキル基は1〜8個の炭素原子を有する。
アルキル部分または基をアルキル置換基と呼ぶ場合、それが付随するマーカッシュ構造または別の有機部分へのそのアルキル置換基は、このアルキル置換基のsp3炭素を介してその構造または部分に共有結合により結合している、その隣接する飽和炭素原子の鎖である。したがって、アルキル置換基は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの飽和部分を含有し、シクロアルキル、不飽和アルキル、芳香族またはヘテロ芳香族の部分または基も含有し得る(すなわち、それらで置換され得る)。したがって、アルキル置換基は、1、2、3つまたはそれ超の独立して選択される二重結合、三重結合またはシクロアルキル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分またはこれらの何らかの組合せ、典型的には1つの二重結合、1つの三重結合を追加的に含むことができ(すなわち、1つのアルケニルもしくはアルキニル部分で置換されている)、または1つのシクロアルキル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分で置換されている。
アルキル置換基、部分または基が特定されている場合、種は、親アルカンから水素原子を除去することから誘導されるもの(すなわち、一価である)を含み、メチル、エチル、1−プロピル(n−プロピル)、2−プロピル(イソ−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−ブチル)、2−メチル−1−プロピル(イソ−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(sec−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル、−C(CH3)3)、アミル、イソアミル、sec−アミルならびに他の直鎖、環式および分枝鎖のアルキル部分を含んでもよい。
「アルキレン」とは、本明細書で使用する場合、単独で、または別の用語の一部として、炭素原子のうちの1個または複数が不飽和である(すなわち、1個または複数のsp3炭素で構成される)、述べられている数の炭素原子の、典型的には1〜10個の炭素原子の、親アルカンの同じまたは2個の異なる飽和(すなわち、sp3)炭素原子から2個の水素原子を除去することから誘導される2つのラジカル中心を有する(すなわち、二価である)、飽和した、分枝の、環式のまたは直鎖の炭化水素ジラジカル(置換または非置換)を指す。アルキレン部分は、アルキル基の飽和部分またはラジカル炭素から水素原子が除去されてジラジカルを形成する、本明細書に記載されているようなアルキル基をさらに含む。典型的には、アルキレン部分は、親アルキル部分の飽和炭素原子から水素原子を除去することから誘導される二価の部分、これらに限定されないが:メチレン(−CH2−)、1,2−エチレン(−CH2CH2−)、1,3−プロピレン(−CH2CH2CH2−)、1,4−ブチレン(−CH2CH2CH2CH2−)などのジラジカルを含む。典型的には、アルキレンは、典型的にsp3炭素のみを含有する分枝鎖または直鎖の炭化水素である(すなわち、ラジカル炭素原子にもかかわらず完全に飽和している)。
「シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、単環式、二環式または三環式環系の基であって、環系を形成する原子のそれぞれ(すなわち、骨格の原子)は、炭素原子であり、環式環系の各環の中のこれらの炭素原子のうちの1個または複数は飽和している(すなわち、1個または複数のsp3炭素で構成される)ものである。したがって、シクロアルキルは飽和炭素の環状配置であるが、不飽和の炭素原子(複数可)もまた含有することができ、したがってその炭素環は、飽和または部分的に不飽和であってもよいし、または芳香族環と縮合していてもよく、シクロアルキルおよび芳香族環との縮合点は、シクロアルキル部分または基または置換基の隣接する不飽和炭素および芳香族環の隣接する芳香族炭素である。
特に明記しない限り、シクロアルキル部分、基または置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリールなどに関して記載されている部分で置換されていてもよいし、または別のシクロアルキル部分で置換されていてもよい。シクロアルキル部分、基または置換基として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル(adamantly)または炭素原子のみを有する他の環式部分が挙げられる。シクロアルキルとして、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルがさらに挙げられる。その構造に応じて、シクロアルキル置換基は、シクロアルキル部分または基に対して上に記載されているようなモノラジカルであっても、ジラジカル(すなわち、シクロアルキレン、例えば、これらに限定されないが、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘプタン−1,1−ジイルなど)であってもよい。
シクロアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、シクロアルキルは、シクロアルキル基の炭素環式の環系に含まれる炭素を介して、それが付随するマーカッシュ式(Markush formula)または別の有機部分に結合しているが、ただし、炭素は芳香族炭素ではないものとする。シクロアルキル置換基を含むアルケン部分の不飽和炭素が、それが付随するマーカッシュ式に結合している場合、そのシクロアルキルは、時にはシクロアルケニル置換基と呼ばれる。シクロアルキル置換基の中の炭素原子の数は環系の骨格原子の総数で定義される。その数は変動してもよく、典型的に3〜50、1〜30または1〜20の範囲であり、より典型的には、特に明記しない限り、3〜8または3〜6の範囲であり、例えば、C3〜8シクロアルキルは、3、4、5、6、7または8個の炭素環式炭素原子を含有するシクロアルキル置換基、部分または基を意味し、C3〜6シクロアルキルは、3、4、5または6個の炭素環式炭素原子を含有するシクロアルキル置換基、部分または基を意味する。したがって、シクロアルキル置換基、部分または基は通常、その炭素環式の環系に3、4、5、6、7、8個の炭素原子を有し、エキソもしくはエンドの環二重結合もしくはエンドの環三重結合または両方の組合せを含有してもよく、このエンドの環二重結合もしくは三重結合、または両方の組合せは、4n+2電子の環共役系を形成しない。二環式環系は、1個の(すなわち、スピロ環系)または2個の炭素原子を共有することができ、三環式環系は合計2、3または4個の炭素原子、典型的には2または3個の炭素原子を共有することができる。
「アルケニル」とは、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の二重結合部分(例えば、エンドおよびエキソ二重結合に対して、それぞれ−CH=CH−もしくは=CH2官能基)または1、2、3、4、5もしくは6個もしくはそれ超、典型的には1、2もしくは3個のこのような部分を含み、アルケニル置換基、部分または基がビニル部分(例えば、−CH=CH2官能基)でない限り、ベンゼンなどのアリール部分もしくは基、または連結している直鎖状、第2級、第3級もしくは環式の炭素原子、すなわち、直鎖、分枝、環式のもしくはこれらの任意の組合せで置換されていてもよい、置換基、部分または基を意味する。複数の二重結合を有するアルケニル部分、基または置換基は、1個または複数の間にある飽和炭素原子またはこれらの組合せと隣接して(すなわち、1,3ブタジエニル部分)または隣接せずに配置された二重結合を有することができるが、ただし、二重結合の環式の、隣接する配置は、4n+2電子の環共役系を形成しない(すなわち、芳香族ではない)。
アルケニル部分、基または置換基が特定されている場合、種は、例として、ただしこれらに限定されることなく、メチレン(=CH2)、メチルメチレン(=CH−CH3)、エチルメチレン(=CH−CH2−CH3)、=CH−CH2−CH2−CH3を含む、エキソまたは1つもしくは複数のエンド二重結合と、親アルケン化合物のsp2炭素から水素原子を除去することから誘導される一価の部分とを有する、本明細書に記載のアルキルまたはシクロアルキルの基、部分、または置換基のいずれかを挙げられる。このような一価の部分として、典型的にはビニル(−CH=CH2)、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ならびに少なくとも1つの二重結合を含有する他の直鎖、環式および分枝鎖の全てが炭素含有である部分が挙げられる。アルケニルがマーカッシュ群として使用される(すなわち、置換基である)場合、アルケニルは、アルケニル部分または基の二重結合した炭素(すなわち、sp2炭素)を介してそれが付随するマーカッシュ式または別の有機部分に結合している。アルケニル置換基の中の炭素原子の数は、それをアルケニル置換基と定義するアルケン官能基のsp2炭素原子の数およびこれらsp2炭素のそれぞれに付加している隣接する非芳香族炭素原子の総数により定義される。その数は変動してもよく、二重結合官能基がマーカッシュ構造内のエキソである場合、特に明記しない限り、1〜50の範囲、例えば、典型的には1〜30もしくは1〜20の範囲、さらに典型的には1〜8もしくは1〜6の範囲であってよく、または、二重結合官能基がマーカッシュ構造に対してエンドである場合、その数は変動してもよく、2〜50の範囲、典型的には2〜30または2〜20の範囲、より典型的には2〜8または2〜6の範囲であってよい。例えば、C2〜8アルケニルまたはC2〜8アルケニルは、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有し、このうちの少なくとも2個が、互いに共役しているsp2炭素である、アルケニル部分を意味し、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルケニルは、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有し、このうちの少なくとも2個が互いに共役しているsp2炭素である、アルケニル部分を意味する。典型的には、アルケニル置換基は互いに共役している2つのsp2炭素を有するC2〜C6またはC2〜C4アルケニル部分である。
「アルケニレン」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、アルケニルに関して先に記載されたような1つまたは複数の二重結合部分を含み、二重結合官能基がより大きな部分に対してエキソである場合、述べられている数の炭素原子の、典型的には1〜10個の炭素原子の、または二重結合官能基がアルケニレン部分の中のエンドである場合、2〜10個の炭素原子の、親アルケンの中の二重結合部分の同じまたは2個の異なるsp2炭素原子から2個の水素原子を除去することから誘導される2つのラジカル中心を有する、置換基、部分または基を指す。アルケニレン部分は、アルケニル基の二重結合部分の同じもしくは異なるsp2炭素原子から水素原子が除去されてジラジカルを形成するか、または異なる二重結合した部分からのsp2炭素から水素原子が除去されて別のラジカル炭素を与える、本明細書に記載されているようなアルケニル基をさらに含む。典型的には、アルケニレン部分は、−C=C−または−C=C−X1−C=C−(式中、X1は不在であるか、または本明細書で定義されるようなアルキレンである)の構造を有するジラジカルを含む。
「アルキニル」は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の三重結合部分(すなわち、−C≡C−官能基)、例えば、1、2、3、4、5、6つまたはそれ超、典型的には1または2つの三重結合を含み、1、2、3、4、5、6またはそれ超の二重結合を任意選択で含み(すなわち、アルケニル部分で任意選択で置換されている)、残りの結合(存在する場合)が単結合であり、アルキニル部分がエチニルでない限り、連結している直鎖状、第2級、第3級または環式の炭素原子でさらに構成され得る、すなわち、直鎖、分枝、環式のまたはこれらのいずれかの組合せであってよい、置換基、部分または基を意味する。
アルキニル部分または基が特定されている場合、種は、例として、ただしこれらに限定することなく、1つまたは複数の二重結合を有する本明細書に記載のアルキル部分、基または置換基のいずれか、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソ−ブチニル、3−メチル−2−ブチニル、1−ペンチニル、シクロペンチニル、1−メチル−シクロペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、シクロヘキシニル、ならびに少なくとも1つの三重結合を含有する、他の直鎖、環式のおよび分枝鎖の全てが炭素含有である部分が挙げられる。アルキニルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アルキニルは、アルキニル官能基のsp炭素のうちの1つを介してそれが付随するマーカッシュ式に結合している。アルキニル置換基の中の炭素原子の数は、それをアルキニル置換基と定義するアルキン官能基の2個のsp炭素原子、およびマーカッシュ構造で置換されていていないsp炭素に付加している隣接する非環式の、非芳香族炭素原子の総数により定義される。その数は、変動してもよく、特に明記しない限り、2〜約50の範囲、典型的には2〜30または2〜20の範囲、またはより典型的には2〜8の範囲であってよく、例えば、C2〜8アルキニルは、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有するアルキニル部分を意味する。アルキニル基は典型的には2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有する。
「アルキニレン」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、アルキニルに関して先に記載されたように、1つまたは複数の三重結合部分を含み、述べられている数の炭素原子の、典型的には2〜10個の炭素原子の、親アルキンの中の三重結合部分の2個の異なるsp炭素原子から2個の水素原子を除去することから誘導される2つのラジカル中心を有する置換基、部分または基を指す。アルキニレン部分は、アセチレンまたは2つの三重結合部分の2個のsp炭素原子から2個の水素原子が除去されてジラジカルを形成する、本明細書に記載されているようなアルキニル基をさらに含む。典型的には、アルキニレン部分は、−C≡C−または−C≡C−X−C≡C−(式中、Xは、本明細書で定義されるようなアルキレン、アルケニレンまたはアリーレン部分である)の構造を有するジラジカルを含む。
「芳香族」、「芳香族環系」などの用語は、本明細書で使用する場合、4n+2個のπ電子(式中、nは正の整数である)を含有する、非局在化したπ電子系を有する平面環を指す。芳香族環は、5、6、7、8、9、10、または10超の原子から形成することができる。芳香族は、任意選択で置換されている。「芳香族」という用語は、炭素環式(carboxcylic)アリール(「アリール」、例えば、フェニル)と複素環式アリール(または「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含む。この用語は、単環式または縮合環多環式の(すなわち、隣接する対の炭素原子を共有する環)基を含む。
「アリール」は、ここで使用される場合、環ヘテロ原子を有さない、1、2、3または4〜6つの環、典型的には1〜3つの環を含む、芳香族環系または縮合環系により定義される有機の部分、置換基または基であって、この環が、4n+2個の電子(ヒュッケル則)、典型的には6、10または14個の電子の環共役系に関与している炭素原子のみで構成され、そのうちのいくつかが、ヘテロ原子との環外の共役に追加的に関与してもよい(交差共役(例えば、キノン))ものを意味する。アリール置換基、部分または基は典型的には、6、8、10またはそれ超の芳香族炭素原子で形成される。アリール置換基、部分または基は任意選択で置換されている。例示的なアリールとして、C6〜C10アリール、例えば、フェニルおよびナフタレニルおよびフェナントリルなどが挙げられる。中性アリール部分の芳香族性は偶数の電子を必要とするので、その部分に対する所与の範囲は、奇数の芳香族炭素を有する種を包含しないことを理解されたい。アリールがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アリールは、アリール基の芳香族炭素を介してそれが付随するマーカッシュ式または別の有機部分に結合している。
構造に応じて、アリール基は、モノラジカル(すなわち、一価)であってもジラジカル(すなわち、二価である、本明細書に記載されているようなアリーレン基)であってもよい。
「アリーレン」または「ヘテロアリーレン」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、より大きな部分内に2つの共有結合(すなわち、それは二価である)を形成する、本明細書で定義されるようなアリールまたはヘテロアリールの部分、基または置換基であり、オルト、メタ、またはパラ立体配置または芳香族ジラジカル部分であってよい。例示的アリーレンとして、これらに限定されないが、以下の構造に示されているようなフェニル−1,2−エン、フェニル−1,3−エン、およびフェニル−1,4−エンが挙げられる:
「アリールアルキル」は、本明細書で使用する場合、アリール部分がアルキル部分に結合している置換基、部分または基、すなわち、−アルキル−アリール(アルキルおよびアリール基は上に記載されている通りである)、例えば、−CH2−C6H5または−CH2CH(CH3)−C6H5を意味する。アリールアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アリールアルキルのアルキル部分は、アルキル部分のsp3炭素を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合している。
「アルキルアリール」は、本明細書で使用する場合、アルキル部分がアリール部分に結合している置換基、部分または基、すなわち、−アリール−アルキル(アリールおよびアルキル基は上に記載されている通りである)、例えば、−C6H4−CH3または−C6H4−CH2CH(CH3)を意味する。アルキルアリールがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アルキルアリールのアリール部分は、アリール部分のsp2炭素を介してそれが付随するマーカッシュ式に結合している。
「任意選択で置換されているアルキル」、「任意選択で置換されているアルケニル」、「任意選択で置換されているアルキニル」、「任意選択で置換されているアルキルアリール」、「任意選択で置換されているアリールアルキル」、「任意選択で置換されている複素環」、「任意選択で置換されているアリール」、「任意選択で置換されているヘテロアリール」、「任意選択で置換されているアルキルヘテロアリール」、「任意選択で置換されているヘテロアリールアルキル」などの用語は、本明細書で定義または開示されているようなアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、または他の置換基、部分または基であって、その置換基、部分もしくは基の水素原子(複数可)が、異なる部分(複数可)もしくは基(複数可)で任意選択で置き換えられているか、またはこれらの置換基、部分もしくは基のうちの1つを構成する脂環式炭素鎖が、その鎖の炭素原子(複数可)が異なる部分(複数可)もしくは基(複数可)で置き換えられることによって分断されているものを指す。
前述の置換基、部分または基のいずれか1つにおいて水素(複数可)を置き換えている任意選択の置換基には、ハロゲン、−CN、−NH2、−OH、−N(CH3)2、アルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、およびアリールスルホンからなる群から独立して選択されるもの、またはハロゲン、−CN、−NH2、−OH、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−C(=O)OH(すなわち、CO2H)、−C(=O)O−アルキル(すなわち、CO2−アルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)2、−S(=O)2NH2、−S(=O)2NH(アルキル)、−S(=O)2N(アルキル)2、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、−S−アルキルおよび−S(=O)2アルキルからなる群から選択されるものが含まれる。
典型的には、前述の置換基、部分または基のいずれか1つにおいて、水素(複数可)を置き換えている任意選択の置換基は、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、フルオロアルコキシ、ならびに一置換、二置換および三置換されたアミノ基を含むアミノ、ならびに保護されたその誘導体からなる群から選択されるか、またはハロゲン、−CN、−NH2、−OH、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−CH3、−CH2CH3、−CF3、−OCH3、および−OCF3からなる群から選択される。典型的には、1つまたは複数のその水素を置き換えることによって任意選択で置換されている前述の置換基、部分または基のいずれか1つは、その水素(複数可)が、前の任意選択の置換基のうちの1もしくは2つで、またはより典型的には、前の任意選択の置換基のうちの1つで置き換えられている。非環式または環式環の系内の飽和脂肪族炭素原子上の任意選択の置換基はオキソ(=O)をさらに含む。フェニルまたは6員のヘテロアリール部分に対して、芳香族またはヘテロ芳香環上に存在する任意の2つの置換基の配置は、オルト(o)、メタ(m)、またはパラ(p)であってよい。
典型的には、非環式炭素鎖の炭素を置き換えている任意選択の置換基は、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、S(=O)2NH−、−NHS(=O)2、−OC(=O)NH−、および−NHC(=O)O−からなる群から選択される。
典型的には、1つまたは複数の脂環式炭素原子を置き換えることによって任意選択で置換されている前述の置換基、部分または基のいずれか1つは、炭素原子(複数可)が、前の任意選択の置換基のうちの1もしくは2つ、またはより典型的には、前の任意選択の置換基のうちの1つで置き換えられている。
「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用する場合、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、またはこれらの縮合した組合せを含む、親の一価の炭素環式部分、置換基または基であって、親炭素環式部分の環内の骨格炭素原子のうちの1つまたは複数(ただしすべてではない)は、可能であれば任意選択で置換されている、N、O、S、Se、B、Si、Pを含むヘテロ原子で独立して置き換えられており、2個またはそれ超のヘテロ原子は、互いに隣接していてもよいし、または同じ環系内の1個もしくは複数の炭素原子、典型的には1〜3個の原子により分離されていてもよいものを意味する。これらのヘテロ原子は典型的にはN、OまたはSを含む。したがって、複素環は、いずれかが炭素環式、アリールまたはヘテロアリール部分と縮合し得、フェニル(すなわち、ベンゾ)縮合したヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール部分を含む、ヘテロ芳香環(またヘテロアリールとしても公知)またはヘテロシクロアルキル環を有するものを含むが、ただし、ヘテロアリール部分がヘテロシクロアルキルまたは炭素環式部分に縮合している場合(すなわち、縮合環系の複素環式部分が一価である場合)、得られる縮合環系はヘテロアリールとして分類され、ヘテロシクロアルキル部分が炭素環式部分に縮合している場合(すなわち、縮合環系の炭素環式部分が一価である場合)、得られる縮合環系はヘテロシクロアルキルとして分類される。
複素環は典型的には、環(複数可)内に合計1〜4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、複素環式部分の中のいずれの1つの環系も、その骨格原子のすべてがヘテロ原子ではないものとし、環(複数可)内の各ヘテロ原子(可能であれば任意選択で置換されている)は、O、SおよびNから独立して選択され、複素環式基は、その単環式または縮合環系内に合計4〜10個の原子を有し、ただし、いずれの1つの環も2個の隣接するOまたはS原子を含有しないことを条件とする。ヘテロシクロアルキルは、これらの環系内に少なくとも3個の原子を有し、ヘテロアリール基は、これらの環系内に少なくとも5個の原子を有する。複素環は、例として、ただしこれらに限定することなく、Paquette, Leo A.;「Principles of Modern Heterocyclic Chemistry」(W. A. Benjamin、New York、1968年)、特に第1、3、4、6、7、および9章、「The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs」(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在まで)、特に13、14、16、19、および28巻ならびにJ. Am. Chem. Soc.、1960年、82巻:5545〜5473頁特に5566〜5573頁)により提供されているような、複素環、および芳香化された複素環であるヘテロアリールが挙げられる。
ヘテロアリールは典型的には、ヘテロアリール環系の環(複数可)内に合計1〜4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、複素環式部分の中のいずれの1つの環系も、その骨格原子のすべてがヘテロ原子(可能であれば任意選択で置換されている)であるわけではなく、0〜1個のO原子または0〜1個のS原子と共に0〜3個のN原子、1〜3個のN原子または0〜3個のN原子を有するが、ただし、少なくとも1個のヘテロ原子が存在するものとする。ヘテロアリールは、単環式または二環式であってよい。ヘテロアリール環の環系は典型的には、1〜9個の炭素を含有する(すなわち、C1〜C9ヘテロアリール)。単環式のヘテロアリールは、C1〜C5ヘテロアリールを含む。単環式ヘテロアリールは、5員または6員の環系を有するものを含む。5員ヘテロアリールは、ヘテロ芳香環系内に1〜4個の炭素原子および必要な数のヘテロ原子を含有するC1〜C4ヘテロアリールである。6員のヘテロアリールは、ヘテロ芳香環系内に1〜5個の炭素原子および必要な数のヘテロ原子を含有する、C1〜C5ヘテロアリールである。5員であるヘテロアリールとして、4、3、2または1個の芳香族ヘテロ原子(複数可)をそれぞれ有するC1、C2、C3およびC4ヘテロアリールが挙げられ、6員であるヘテロアリールとして、4、3、2または1個の芳香族ヘテロ原子(複数可)をそれぞれ有するC2、C3、C4およびC5ヘテロアリールが挙げられる。5員であるC1〜C4ヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または芳香族ヘテロ原子から(可能であれば、以下の親複素環化合物から)電子を除去することにより誘導される一価の部分で例示される:ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール。6員であるC2〜C4ヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または芳香族ヘテロ原子から(可能であれば、以下の親複素環化合物から)電子を除去することにより誘導される一価の部分により例示される:ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、およびトリアジン。二環式ヘテロアリール(すなわち、少なくとも1つがヘテロ芳香族である縮合芳香族環を有するヘテロアリール)は、C6〜C9ヘテロアリールを含む(すなわち、合計6〜9個の芳香族炭素原子および少なくとも1個の芳香族ヘテロ原子を含有するヘテロ芳香族部分)。いくつかの二環式のヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または可能であれば、以下の親6,5−二環式複素環化合物のヘテロ芳香環の芳香族ヘテロ原子から電子を除去することにより誘導される一価の部分により例示される:ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)、ベンゾイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンゾオキサゾール(N1O1)、ベンゾイソオキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S)。他の二環式ヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または(可能であれば、以下の親6,6−二環式複素環化合物のヘテロ芳香環の)芳香族ヘテロ原子から電子を除去することにより誘導される一価の部分により例示される:クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンゾオキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シンノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4)。上記5,6−および6,6−二環式ヘテロ芳香族化合物に対して、括弧内の表現は、縮合芳香族環系のヘテロ原子組成を示す。構造に応じて、ヘテロアリール基はモノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロアリーレン基)であってよい。
より典型的には、ヘテロアリールは、親アリール部分の芳香族環(複数可)の炭素原子のうちの1、2または3個が、可能であれば任意選択で置換されている、N、OおよびSを含むヘテロ原子で置き換えられているアリール部分であるが、ただし、アリール部分の中のいずれの1つの芳香族環系も、そのすべての骨格原子がヘテロ原子で置き換えられているわけではないものとし、より典型的には、酸素(−O−)、硫黄(−S−)窒素(=N−)または−NR−で置き換えられており(式中、Rは、−H、保護基もしくはアルキル、アリールであるか、または環共役系を保持する方式で別の有機部分で置換されている窒素である)、この窒素、硫黄または酸素のヘテロ原子は、環系内の隣接する原子とのπ結合またはヘテロ原子上の孤立電子対のいずれかを介して共役系に関与している。
ヘテロアリールの非限定的例として、ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、プリニル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル(isoindoyl)、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾチオピラン、ベンゾトリアジン、イソオキサゾリル、ピラゾロピリミジニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、トリアゾリルなどが挙げられる。単環式ヘテロアリールとして、例として、ただしこれらに限定することなく、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、およびフラザニルが挙げられる。
ヘテロアリールではない複素環の非限定的例として、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、インドレニル、ピペリジニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、モルホリニルおよびオキサゾリジニルが挙げられる。
典型的には、ヘテロシクロアルキルは、シクロアルキル鎖の1、2または3個の炭素が窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキル基、部分または置換基であり、C2〜C10ヘテロシクロアルキル、より典型的にはC4〜C10ヘテロシクロアルキルである。非限定的なヘテロシクロアルキルは、0〜2個のN原子、0〜2個のO原子または0〜1個のS原子またはこれらの何らかの組合せを含有することができるが、ただし、前記ヘテロ原子のうちの少なくとも1個は、環式の環系内に存在するものとし、ピロリジン−2−オンの場合のように、1つのまたは2つのオキソ(=O)部分で置換されていてもよい。より典型的には、ヘテロシクロアルキルとして、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリニルおよび単糖(monosaccharaides)が挙げられる。
ヘテロシクロアルキルは、例として、これらに限定されないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、ピロリン−2−イル、ピロリン−3−イル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリルおよびキノリジニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、すべての環形態の炭水化物(これらに限定されないが、単糖、二糖およびオリゴ糖を含めて)をさらに含む。
複素環がマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、複素環は、複素環の炭素またはヘテロ原子を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合しており、このような結合は、その炭素またはヘテロ原子の不安定なまたは許可されないような形式的な酸化状態を生じない。C連結している複素環は、炭素原子を介して分子に結合しており、時にはこれは、−C<複素環(C<は複素環内の炭素原子を表す)として記載されている。N連結している複素環は、複素環の窒素に結合している窒素含有複素環であり、時にはこれは−N<複素環(N<は複素環内の窒素原子を表す)として記載されている。したがって、窒素含有複素環は、C連結していても、またはN連結していてもよく、ピロール置換基(ピロール−1−イル(N連結)またはピロール−3−イル(C連結)であってよい)、イミダゾール置換基(イミダゾール−1−イルもしくはイミダゾール−3−イル(両方ともN連結)またはイミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イルもしくはイミダゾール−5−イル(これらすべてがC連結)であってよい)を含む。
「5員の窒素ヘテロアリール」は、その芳香族環系内に少なくとも1個の窒素原子を含有する5員のヘテロ芳香族部分であり、単環式ヘテロアリールであるか、またはアリールもしくは別のヘテロアリール環系に縮合しており、1個または複数の、他の独立して選択されるヘテロ原子、例えば、N、OまたはSなどを含有していてもよい。例示的な5員のヘテロアリールとして、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、インドール、およびイソインドールが挙げられる。
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で使用する場合、ヘテロアリール部分がアルキル部分と結合している置換基、部分または基、すなわち、−アルキル−ヘテロアリール(アルキルおよびヘテロアリール基は上に記載されている通りである)を意味する。ヘテロアリールアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、ヘテロアリールアルキルのアルキル部分は、アルキル部分のsp3炭素を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合している。
「アルキルヘテロアリール」は、本明細書で使用する場合、ヘテロアリール部分がアルキル部分に結合している置換基、部分または基、すなわち、−ヘテロアリール−アルキル(ヘテロアリールおよびアルキル基は上に記載されている通りである)を意味する。ヘテロアリールアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、ヘテロアリールアルキルのヘテロアリール部分は、アルキル部分のsp2炭素またはヘテロ原子を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合している。
「O連結部分」、「O連結置換基」などの用語は、本明細書で使用する場合、基または置換基の酸素原子を直接介して部分に結合している基または置換基を指す。O連結基は、−OH、アセトキシ(すなわち、−OC(=O)CH3)、アシルオキシ(すなわち、−OC(=O)Ra(式中、Raは、−H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているシクロアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリールまたは任意選択で置換されている複素環))などの基を含む一価であってよく、例えば、アリールオキシ(アリール−O−)、フェノキシ(Ph−O−)、ヘテロアリールオキシ(ヘテロアリール−O−)、シリルオキシ、(すなわち、R3SiO−(式中、Rは、独立して、任意選択で置換されているアルキルまたはアリールである))、および−ORPR(式中、RPRは以前に定義されたような保護基である)などの一価の基をさらに含み、またはO連結基は二価、すなわち、=Oまたは−X−(CH2)n−Y−(式中、XおよびYは、独立して、SおよびOであり、nは2〜3であり、XおよびYが結合している炭素と共にスピロ環系を形成する)であってよい。
「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用する場合、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、典型的には−Fまたは−Clである。
「保護基」は、ここで使用される場合、それが連結している原子または官能基の、望ましくない反応への参加能力を阻止するまたは減少させる部分を意味する。原子または官能基に対する典型的な保護基は、Greene(1999年)、「Protective groups in organic synthesis、第3版」、Wiley Interscienceにおいて提供されている。酸素、硫黄および窒素などのヘテロ原子に対する保護基は、求電子性の化合物との望ましくないこれらの反応を最小限に抑えるまたは回避するために時々使用される。またある時には、保護基は、非保護のヘテロ原子の求核性および/または塩基性を減少させるまたは排除するために使用される。保護された酸素の非限定的例は、−ORPR(式中、RPRは、ヒドロキシルに対する保護基である)により与えられ、ヒドロキシルは典型的にはエステル(例えば酢酸エステル、プロピオン酸エステルまたは安息香酸エステル)として保護される。ヒドロキシルに対する他の保護基は、有機金属試薬または他の極めて塩基性の試薬の求核性との干渉を回避し、ヒドロキシルは典型的には、アルキルまたはヘテロシクロアルキルエーテル(例えば、メチルまたはテトラヒドロピラニルエーテル)、アルコキシメチルエーテル(例えば、メトキシメチルまたはエトキシメチルエーテル)、任意選択で置換されているアリールエーテル、およびシリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)および[2−(トリメチルシリル)エトキシ]−メチルシリル(SEM))を含めたエーテルとして保護される。窒素保護基は、−NHRPRまたは−N(RPR)2−(式中、RPRの少なくとも1つが窒素原子保護基であるか、または両方のRPRが一緒になって保護基を構成する)などの第1級または第2級アミンに対するものを含む。
保護基は、分子内の他の箇所で、および所望する場合、新しく形成された分子の精製中に所望の化学転換を生じさせるために必要とされる反応条件下で、望ましくない副反応または保護基の早期の損失を阻止または回避することが可能であり、その新しく形成された分子の構造または立体化学的統合性に悪影響を及ぼさない条件下で除去することができる場合、適切な保護基である。例として、ただしこれらに限定することはないが、適切な保護基は、官能基の保護に対して以前に記述されたものを含み得る。適切な保護基は典型的には、ペプチドカップリング反応に使用される保護基である。
「エステル」は、本明細書で使用する場合、−C(=O)−O−構造(すなわち、エステル官能基)を含有する置換基、部分または基を意味し、この構造の炭素原子は別のヘテロ原子に直接連結しておらず、−Hまたは有機部分の別の炭素原子に直接連結しており、一価の酸素原子が、同じ有機部分に結合して、ラクトンまたは異なる有機部分を提供する。典型的には、エステルは、1〜50個の炭素原子、典型的には1〜20個の炭素原子またはより典型的には1〜8個の炭素原子を含有する有機部分と、0〜10個、典型的には0〜2個の独立して選択されるヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si、ただし、通常O、SおよびN)を含むかまたはこれらから構成され、有機部分が−C(O)−O−構造を介して(すなわち、エステル官能基を介して)結合されている。エステルがマーカッシュ構造の置換基または可変基である場合、その置換基はエステル官能基の一価の酸素原子を介してその構造に結合している。これらの場合、エステル官能基のカルボニル炭素に結合している有機部分は、本明細書に記載の有機基、例えば、C1〜20アルキル部分、C2〜20アルケニル部分、C2〜20アルキニル部分、C6〜C10アリール部分、C4〜8複素環または例えば、1、2、3、4つもしくはそれ超の置換基(各置換基は独立して選択される)を含むこれら有機基のいずれかの置換誘導体のうちの、いずれか1つを含む。例示的なエステルは、例として、ただしこれらに限定されないが、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソプロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステル、イソ吉草酸エステル、カプロン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、フェニル酢酸エステルまたは安息香酸エステルが挙げられる。
「エーテル」は、本明細書で使用する場合、カルボニル部分(複数可)に結合していない1、2、3、4つまたはそれ超の−O−(すなわち、オキシ)部分、通常1または2つの部分を含む有機の部分、基または置換基を意味し、2つの−O−部分が互いに直ちに隣接している(すなわち、直接結合している)ことはない。典型的には、エーテル構造は、式−O−の有機部分で構成されるかまたはこの有機部分からなり、有機部分は、有機部分に関して記載されているように、エステル官能基に結合している。より典型的には、エーテル部分、基または置換基は、−O−有機部分の式を有し、この有機部分は、任意選択で置換されているアルキル基に関して本明細書に記載されている通りである。エーテルがマーカッシュ群(すなわち、エーテル置換基)として使用される場合、エーテル官能基の酸素は、それが付随するマーカッシュ式に結合している。エーテルがマーカッシュ群の置換基として使用される場合、これは時には「アルコキシ」基と命名される。アルコキシとして、C1〜C4エーテル置換基、例えば、例として、これらに限定することなく、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシおよびブトキシが挙げられる。
「アミド」または「カルボキサミド」は、ここで使用される場合、−C(=O)N(R)2またはR−C(=O)N(R)−構造(すなわち、それぞれカルボキサミドまたはアミド官能基)を含有する部分を意味し、他のヘテロ原子はこの構造のカルボニル炭素に直接結合しておらず、独立して選択されるRは、水素、保護基または有機部分であり、この有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、典型的には任意選択で置換されているアルキル基である。典型的には、水素、または有機部分(Rから独立して選択される)は、カルボキサミドまたはアミド官能基に結合しており、この有機部分はまた同様に、有機部分に関して本明細書に記載されているように、エステル官能基に結合している。有機部分と結合した場合、得られる構造は、有機部分−C(=O)N(R)2、またはR−C(=O)N(R)−有機部分で表される。マーカッシュ構造に対してアミドが変数として記載される場合、アミド窒素がその構造に結合している。カルボキサミド置換基に対して、アミド官能基のカルボニル炭素がマーカッシュ構造に結合している。アミドおよびカルボキサミドは、典型的には、酸塩化物などの酸ハロゲン化物と、第1級または第2級アミンを含有する分子とを縮合させることによって調製される。代わりに、多くの場合、カルボン酸含有分子の活性化したエステルを介して進行する、ペプチド合成の技術分野で周知のアミドカップリング反応が使用される。ペプチドカップリング方法を介したアミド結合の例示的な調製が、Benoiton(2006年) Chemistry of peptide synthesis CRC Press、Bodansky「Peptide synthesis: A practical textbook」(1988年)Springer-Verlag;Frinkin,M.ら、「Peptide Synthesis」Ann. Rev. Biochem.(1974年)43巻:419〜443頁において提供されている。活性化したカルボン酸の調製に使用される試薬は、Hanら、「Recent development of peptide coupling agents in organic synthesis」Tet.(2004年)60巻:2447〜2476頁において提供されている。
「カーボネート」は、ここで使用される場合、−O−C(=O)−O−構造(すなわち、カーボネート官能基)を含有する置換基、部分または基を意味する。典型的には、カーボネート基は、ここで使用される場合、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、−O−C(=O)−O−構造を介して結合している有機部分(例えば、有機部分−O−C(=O)−O−)を含むか、またはこの有機部分からなる。カーボネートがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、カーボネート官能基の単結合した酸素原子のうちの1個は、それが付随するマーカッシュ式に結合しており、他方が、エステル官能基に結合している有機部分に関して先に記載されているように、有機部分の炭素原子に結合している。
「カルバメート」または「ウレタン」は、ここで使用される場合、−O−C(=O)N(Ra)−(すなわち、カルバメート官能基)または−O−C(=O)N(Ra)2、−O−C(=O)NH(任意選択で置換されているアルキル)または−O−C(=O)N(任意選択で置換されているアルキル)2(すなわち、例示的なカルバメート置換基)で表される構造を含有する置換基、部分または基を意味し、Raおよび任意選択で置換されているアルキルは、独立して選択され、独立して選択されるRaは、水素、保護基または有機部分であり、この有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、典型的には任意選択で置換されているアルキルである。典型的には、カルバメート基は、本明細書で使用する場合、Raから独立して選択される有機部分を含むかまたはこの有機部分からなり、この有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、−O−C(=O)−N(Ra)−構造を介して結合しており、得られる構造は有機部分−O−C(=O)−N(Ra)−、または−O−C(=O)−N(Ra)−有機部分の式を有する。カルバメートがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、カルバメート官能基の単結合した酸素(O連結している)または窒素(N連結している)が、それが付随するマーカッシュ式に結合している。カルバメート置換基の連結は、明示的に述べられている(NもしくはO連結している)か、またはこの置換基が参照される文脈において暗示されているかのいずれかである。
「ウレア」は、ここで使用される場合、−N(Ra)−C(=O)N(Ra)−(すなわち、ウレア官能基)で表される、典型的には−NH−C(=O)NH(任意選択で置換されているアルキル)または−NH−C(=O)N(任意選択で置換されているアルキル)2−(すなわち、任意選択で置換されているアルキルは例示的ウレア置換基である)で表される構造を含有する置換基、部分または基を意味し、Raおよび任意選択で置換されているアルキルは、独立して選択され、各Raは、独立して、−H、保護基、またはエステル官能基に結合している有機部分に関して記載されているような有機部分である。有機部分がウレア官能基を介して結合している場合、得られる構造は、有機部分−N(Ra)−C(=O)−N(Ra)−または−N(Ra)−C(=O)−N(Ra)−有機部分で表される。ウレアがマーカッシュ群(すなわち、置換基として)として使用される場合、ウレア官能基の単結合した窒素が、それが付随するマーカッシュ式に結合している一方で、他の単結合した窒素は非置換であるか、または1もしくは2つの、他の独立して選択される有機部分で一置換もしくは二置換されており、その有機部分(複数可)は、エステル官能基エステルに結合している有機部分に関して本明細書に記載されるとおりである。
「抗体」は、本明細書で使用する場合、最も幅広い意味で使用され、インタクトのモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性の抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す抗体断片を具体的に網羅するが、ただし、抗体断片は、薬物−リンカーのために必要な数の結合部位を有するものとする。天然の形態の抗体は、テトラマーであり、各対が1つの軽鎖および1つの重鎖を有する、2つの同一の対のイムノグロブリン鎖からなる。各対において、軽鎖および重鎖の可変領域(VLおよびVH)が一緒になって、抗原への結合の主な原因となる。軽鎖および重鎖の可変ドメインは、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域により分断される枠組み領域からなる。定常領域が、免疫系により認識でき、免疫系と相互作用することができる(例えば、Janewayら、2001年、Immunol. Biology、第5版、Garland Publishing、New Yorkを参照されたい)。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであることができる。抗体は、任意の適切な種から誘導することができる。一部の実施形態では、抗体は、ヒトまたはネズミ起源ものである。抗体は、例えば、ヒト、ヒト化またはキメラであってよい。抗体またはその抗体断片は、本発明のLDCに組み込まれた例示的なリガンド標的化部分である。
一部の態様では、抗体は、過剰増殖細胞または過剰刺激された哺乳動物細胞(すなわち、異常細胞)上のエピトープに選択的および特異的に結合し、エピトープは、正常細胞とは対照的に、異常細胞により優先的に提示されるか、もしくは異常細胞でより特徴的であり、または、異常細胞に局在しない正常細胞とは対照的に、異常細胞の付近の正常細胞により優先的に提示されるか、もしくは異常細胞の付近の正常細胞でより特徴的である。これらの態様では、哺乳動物細胞は典型的にはヒト細胞である。
「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用する場合、実質的に均質な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、微量に存在し得る、起こり得る天然由来の突然変異を除いて、集団をなす個々の抗体は同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原性部位に方向づけられている。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得たものであるという抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の産生が必要とされると解釈されてはならない。
「細胞毒性活性」は、本明細書で使用する場合、薬物、リガンド−薬物コンジュゲート、またはリガンド−薬物コンジュゲートの細胞内代謝物の細胞死滅作用を指す。細胞毒性活性はIC50値として表現され、このIC50値は、細胞の半分が生存する、単位体積当たりの濃度(モルまたは質量)である。
「細胞分裂停止活性」とは、本明細書で使用する場合、薬物、リガンド−薬物コンジュゲート、またはリガンド−薬物コンジュゲートの細胞内代謝物の抗増殖性作用を指し、これは、細胞死滅に依存せず、その作用は、過剰増殖細胞、過剰刺激された免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の細胞分裂の阻害によるものである。
「特異結合」および「特異的に結合する」という用語は、標的化部分としての抗体またはLDC内の抗体が、極めて選択的な方式で、その対応する標的抗原と結合可能であり、多数の他の抗原とは結合可能ではないことを意味する。典型的には、抗体または抗体誘導体は、少なくとも約1×10−7M、および好ましくは10−8M〜10−9M、10−10M、10−11M、または10−12Mの親和性で結合し、既定の抗原とは、密接に関係する抗原に対する結合以外の、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性の少なくとも2倍を超える親和性で結合する。
「リガンド薬物コンジュゲート」または「LDC」は、この用語が本明細書で使用される場合、リンカー単位を介して互いに結合している、標的化部分からのリガンド単位と、第3級アミン含有薬物に構造において対応する4級化第3級アミン含有薬物単位(D+)とで構成される構造体を指し、LDCは、そのリガンド単位を介して標的部分に選択的に結合する。ある場合には、LDCという用語は、各リガンド単位に結合したD+単位の数またはD+単位が結合しているリガンド単位上の位置が主に異なる、複数(すなわち、組成物)の個々のLDC化合物である。他の場合、LDCという用語は、組成物の個々のメンバーに適用される。
「標的化部分」とは、この用語が本明細書で使用される場合、過剰増殖細胞、過剰刺激された免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞が典型的には存在しない正常細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する他の部分と比較して、これらの異常細胞または望ましくない細胞の表面、細胞内、または細胞付近に典型的には存在する標的部分に選択的に結合するLDC中にリガンド単位として組み込まれた部分である。時には、標的部分は、正常細胞、または異常細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、より大きな存在量で、異常細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する。ある場合には、標的化部分は、異常細胞に特徴的なアクセス可能な抗原に特異的に結合する抗体またはこれらの細胞が見出される周辺の環境に特有のアクセス可能な抗原である。他の場合には、標的化部分は、異常細胞または他の望ましくない細胞に特徴的な、またはより大きな存在量で存在する、アクセス可能な受容体と特異的に結合するリガンドであるか、あるいは、異常細胞が見出される周辺環境の細胞に特有のアクセス可能な受容体である。典型的には、標的化部分は、異常または望ましくない哺乳動物細胞の標的部分、より典型的には異常または望ましくないヒト細胞の標的部分に選択的に結合する、本明細書で定義されるような抗体である。
「標的細胞」とは、この用語が本明細書で使用される場合、LDCが、目標とする細胞の増殖または他の望ましくない活性を阻害するためにそれらと相互作用するように設計された、目標とする細胞(すなわち、異常細胞または他の望ましくない細胞)である。ある場合には、標的細胞は、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞であり、これらは、例示的な異常細胞である。典型的には、これらの異常細胞は、哺乳動物細胞であり、より典型的にはヒト細胞である。他の場合には、標的細胞は、異常細胞または望ましくない細胞に接近することによって、近くの細胞に対するLDCの作用が、異常細胞または望ましくない細胞に対して目標とする効果を有するようにする。例えば、近くの細胞は、腫瘍の異常な血管系に特徴的な上皮細胞であってもよい。LDCがこれらの血管系細胞を標的とすることによって、これらの細胞に対する細胞毒性または細胞分裂停止作用が働くことになり、これは、腫瘍の異常細胞への栄養素送達を阻害して、異常細胞に対する細胞毒性もしくは細胞分裂停止の作用を間接的に有し、そして/またはこれらの細胞の付近に活性薬物部分を放出することによって、異常細胞に対して細胞毒性もしくは細胞分裂停止の作用を直接的に有することになる。
「標的部分」とは、この用語が本明細書で使用される場合、標的化部分またはその標的化部分からのリガンド薬物コンジュゲートのリガンド単位により優先的に認識され(すなわち、リガンド単位に選択的に結合される)、標的細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する部分である。時には、標的部分は、抗体による選択的結合のためにアクセス可能な抗原であり、これは、リガンド単位としてLDCに組み込まれている例示的な標的化部分である。これらの場合、このような抗原は、異常細胞もしくは他の望ましくない細胞の表面に存在する、または異常もしくは望ましくない細胞が見出される周辺環境、例えば、腫瘍内の過剰増殖細胞の環境に特徴的な血管系細胞などに特有の細胞の表面に存在する、細胞表面タンパク質である。より典型的には、抗原は、その同族の標的化リガンドとの結合により内在化が可能な異常細胞または他の望ましくない細胞の細胞表面タンパク質である。他の場合には、標的化部分は、標的化部分の結合により内在化され得る、または細胞表面受容体を標的とするLDCの受動的もしくは促進性輸送が可能である細胞外でアクセス可能な細胞膜受容体に対するリガンドである。一部の態様では、標的部分は、異常な哺乳動物細胞またはこのような異常細胞の環境に特徴的な哺乳動物細胞の表面に存在する。
「抗体−薬物コンジュゲート」または「ADC」は、この用語が本明細書で使用される場合、標的化部分が抗体であり、この抗体が典型的には間にあるリンカー単位を介して4級化薬物単位(D+)と共有結合により結合しているLDCを指す。多くの場合この用語は、同じ抗体、薬物単位、およびリンカー単位を有するが、各抗体に対するリンカー−薬物部分の可変の付加数または分布を有する(例えば、複数のこのような構造体の中の任意の2つのADC中のD+の数は同じであるが、これらの部位の標的化部分への結合位置は異なる場合)コンジュゲートの収集物(すなわち、集団または多数のもの)を指す。これらの場合、ADCは、コンジュゲートの平均された薬物付加数により記載されている。本明細書に記載の方法から得たADCは、一般的構造Ab−Lb−Lo−D+を有し、Lb−Loはリンカー単位を規定し、Lbは、時には第1次リンカー(LR)リンカーと呼ばれるリガンド共有結合部分であり(その部分は、ADCのリガンド単位内に存在する必要があるのでこのように命名されている)、Loは、酵素的(例えば、プロテアーゼもしくはグリコシダーゼ)または非酵素的(例えば、還元性もしくは加水分解性の)切断を受けやすい第2次リンカーである。ある場合にはその切断は異常な環境で増強されるか、またはADCの標的化抗体のその同族抗原への結合後のADCの細胞内への内在化の後で起こる。D+は、4級化第3級アミンを含有する薬物単位Dであり、Dは、Loに対するその酵素的または非酵素的作用の結果放出される。
ADC組成物中の抗体、またはそのフラグメント1つ当たりのリガンド単位の平均数(すなわち、その集団内に存在するADCのそれぞれにおけるコンジュゲートされた薬物単位の数またはこれらの位置が異なるADCコンジュゲートの集団に対して平均した数)は、pと表示されるか、またはリンカーが分枝でない場合には、pは薬物−リンカー部分の平均数である。その文脈において、pは約2〜約20の範囲の数であり、典型的には約2、約4、または約8である。他の文脈では、pは、ADCのそれぞれの中のコンジュゲートされたリンカー−薬物単位の数または位置が異なる抗体−薬物コンジュゲートの集団内でADCの単一の抗体と共有結合している薬物単位、またはリンカーが分枝していない場合リンカー薬物単位の数を表し、これはp’と表示される。その内容で、p’は、1〜20、典型的には1〜12、1〜10、およびより典型的には1〜8の範囲の整数である。
コンジュゲーション反応物からの調製物中の1つのリガンド単位当たりの薬物単位の平均数は、従来の手段、例えば、質量分析、ELISAアッセイ、HICおよび/またはHPLCなどにより特徴付けることができる。pという観点からの薬物−リンカー−リガンドコンジュゲートの定量的分布もまた判定し得る。ある場合には、pが、他の薬物付加数を有するリガンド−薬物コンジュゲートからのある特定の値である、同種のリガンド−薬物コンジュゲートの分離、精製、および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段により達成することができる。
「抗原」とは、非コンジュゲート抗体もしくはそのフラグメント、または抗体もしくはそのフラグメントからのリガンド単位を含むADCへの選択的結合が可能な実体である。一部の態様では、抗原は、正常細胞と比較して、異常細胞または他の望ましくない細胞により優先的に提示される、細胞外でアクセス可能な細胞表面タンパク質、糖タンパク質、または炭水化物である。ある場合には、抗原を有する望ましくない細胞は、哺乳動物における過剰増殖細胞である。他の場合には、抗原を有する望ましくない細胞は、哺乳動物における過剰活性化免疫細胞である。他の態様では、特異的に結合した抗原は、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の不在下で正常細胞により典型的に経験される環境とは対照的に、哺乳動物においてこのような異常細胞の特定の環境に存在する。また他の態様では、ADCの選択的結合後に内在化が可能な細胞表面抗原は、過剰増殖するまたは過剰刺激された免疫細胞がこのような異常細胞の不在下で見出される環境に特有である細胞に伴う。抗原は、LDCの例示的な標的とされる部分であり、標的化部分からのそのリガンド単位は、選択的結合を介してその抗原を優先的に認識する抗体である。
ADCに細胞表面がアクセス可能である過剰増殖細胞に伴う抗原は、例として、これらに限定されないが、CD19、CD70、CD30、CD33、NTB−A、αvβ6、およびCD123が挙げられる。
「リガンド共有結合部分」とは、その同族の標的とされる部分に選択的に結合するLDCを構成する部分であり、時には標的化部分と呼ばれる。リガンド共有結合部分として、限定なしで、受容体リガンド、細胞表面抗原に対する抗体およびトランスポーター基質が挙げられる。時には、LDCに結合されるべき受容体、抗原またはトランスポーターは、正常細胞とは対照的に、異常細胞の表面でより大きな存在量で存在する。またある時には、LDCに結合されるべき受容体、抗原またはトランスポーターは、正常細胞と対照的に、異常細胞の表面でより大きな存在量で存在する。
「リガンド共有結合部分の前駆体」は、リンカー単位、またはリンカー単位の調製に使用されるその部分構造の部分であり、LDCの調製中に標的化部分に共有結合することが可能であり、LDCの調製の際にリガンド結合部分前駆体(Lb’)がリガンド共有結合部分(Lb)に変換される。一部の態様では、Lb’部分は、典型的には、抗体もしくはそのフラグメントに対して固有であるか、また化学転換もしくは遺伝子操作により抗体に導入される、求核剤または求電子剤と反応することが可能な官能基を有する。いくつかの態様では、求核剤は、抗体を構成するペプチドのN末端アミノ基、またはリシン残基のエプシロンアミノ基である。他の態様では、求核剤は、遺伝子操作により、または抗体の鎖間ジスルフィドの化学的な還元により導入されるシステイン残基のスルフヒドリル基である。一部の態様では、求電子剤は、抗体の炭水化物部分の選択的酸化により導入されるアルデヒドであるか、または遺伝子操作されたtRNA/tRNA合成酵素対を使用して抗体に導入された非天然アミノ酸由来のケトンである。これらおよび他の方法は、BehrensおよびLiu 「Methods for site-specific drug conjugation to antibodies」mAB(2014年)6巻(1号):46〜53頁により概説されている。
「リガンド共有結合部分」とは、異常細胞もしくは望ましくない細胞またはこれらの環境を標的とするリガンド単位の残りの部分と共有結合し、リガンド単位前駆体の中の対応するLb’と標的化部分との反応から誘導される、LDC内のリガンド単位の部分である。例えば、Lb’がマレイミド部分で構成される場合、その部分と、標的化部分の反応性スルフヒドリル基の反応は、Lb’を、Lb(チオ置換スクシンイミド部分で構成される)に変換する。別の例では、Lb’が活性化したカルボン酸官能基で構成される場合、その官能基と、標的化部分内のリシンのエプシロンアミノ基との反応は、この官能基をアミド(そのアミドは結合したリガンド単位のLb部分を構成する)へと変換する。他のLb部分およびこれらのLb’含有部分からの変換は、本発明の実施形態に記載されている。ある場合には、標的化部分は二官能性分子で誘導体化することによって、リガンド共有結合前駆体部分と縮合した中間体を提供する。その縮合の結果、このように形成されたLb部分は、二官能性分子およびLb’に帰属され得る原子を有する。
「リンカー単位」は、この用語が本明細書で使用される場合、4級化薬物単位(D+)と、標的化部分からのリガンド単位との間に介入し、共有結合により結合しているリガンド薬物コンジュゲート(LDC)の有機部分を指す。典型的には、リンカー単位(L)は、リガンド共有結合(Lb)部分またはリガンド共有結合前駆体(Lb’)部分および本明細書に記載されているような第2次リンカー部分で構成される。一部の態様では、リガンド共有結合前駆体はマレイミド(M1)部分を含有する。M1を介した標的化部分の結合は、M1のマレイミド環系へのスルフヒドリル基のマイケル付加により、標的化部分のシステインスルフヒドリル基を介して起こる。その付加の結果、硫黄置換スクシンイミド環系を有するスクシンイミド(M2)部分が得られる。自然にまたは制御された条件下でのその環系のその後の加水分解は、その系が自己安定化リンカー(LSS)部分の一部である場合、コハク酸−アミド(M3)部分をもたらし、これは、さらに本明細書に記載されているような例示的な自己安定化(LS)部分である。また第1次リンカー(LR部分)であるLbまたはLb’に共有結合しているのは、第2次リンカー(Lo)部分であり、これはさらにLDCの中の標的化部分と4級化薬物単位との間に介入し、エーテル、エステル、カーボネート、ウレア、ジスルフィド、アミドまたはカルバメート官能基の仲介を介して、より典型的にはエーテル、アミドまたはカルバメート官能基を介してLRに共有結合している。
使用されているような「第1次リンカー」は、リガンド共有結合部分(Lb)またはリガンド共有結合部分前駆体(Lb’)であり、LDCのリンカー単位の構成成分として、またはLb’含有部分の構成成分、例えば、Lb’−LoもしくはLb’−Lo−D+などとして存在する。Lb’第1次リンカーは、標的化部分の求電子性または求核性官能基と反応することが可能な反応性官能基で構成される。その反応の結果、標的化部分は、Lb’の反応性官能基から誘導された官能基を介して、リガンド単位としてLb第1次リンカーに共有結合する。
「第2次リンカー」部分は、本明細書で使用する場合、第2次リンカー(Lo)が、LbまたはLb’部分と、4級化薬物単位が共有結合により結合されていてもよいリンカー単位の残りの部分との間で、官能基の仲介を介して、LbまたはLb’部分(すなわち、第1次リンカー単位)に共有結合により結合している、リンカー単位内の有機部分を指す。LDCにおいて、第2次リンカーはまた、スペーサー単位を構成するPABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置を介して4級化薬物単位(D+)に共有結合により結合している。スペーサー単位(Y)に加えて、第2次リンカーは、切断可能な(W)で構成され、W、YおよびD+は、直線的または直角のいずれかの関係で配置され、ストレッチャー単位(A)でさらに構成され得る。存在する場合、Aは時にはサブユニットA1で構成され、このサブユニットA1は、Lb’の反応性官能基、またはそれから誘導されるLbの官能基と、第2次リンカーの残りの部分とを相互接続するスキャフォールド部分である。
LDCにおいて、Loは、正常細胞またはこれらの正常な環境と比較して、異常細胞により、または異常細胞の付近で経験される可能性がより高い条件下でのWの切断により、自壊部分の自己破壊が起き、同時にDが放出されるように、切断可能な部分単位(W)に共有結合により結合している自壊部分(SI)を含有するスペーサー単位(Y)で構成される。典型的には、その自己破壊は、本明細書に記載されているようなSI部分の1,6−脱離を介して起こる。これらの場合、SIは、その薬物の第3級アミン窒素の4級化により第3級アミン含有薬物に結合している。
第2次リンカー(Lo)は、D+と結合した場合、典型的には(1)または(2)の構造で表される:
(式中、Aaはストレッチャー単位であり、WwおよびW’w’は切断可能単位であり、Yyはスペーサー単位であり、aは0または1であり、wまたはw’は1であり、yは1である)。aが1の場合、Aaの前の波線は、そのLoサブユニットのLb’またはLb(そのLDCへの組込み後にLb’から生じる)への共有結合を示す。aが0の場合、その波線は、Lb’またはLbの、構造(1)では切断可能単位Wへの共有結合、または構造(2)ではYへの共有結合を示す。
本発明の一部の態様では、構造(1)内のYは、WおよびD+で置換されている、本明細書に記載されているような自壊性(SI)部分で構成されるかまたは自壊性(SI)部分からなる。本発明の他の態様では、構造(2)のYは、第4級アミン窒素を介してD+で置換されている、本明細書に記載されているような自壊部分で構成されるかまたは自壊部分からなり、Wおよびリガンド−Lb−A−またはLb’−A−(式中、Aは、任意選択で存在する(すなわち、AはAが存在する場合、YのSIに結合しているか、またはAが不在の場合、LbもしくはLb’がYのSIに結合している))でさらに置換されている。
典型的には、構造(1)を有する第2次リンカーは、
で表され、構造(2)を有する第2次リンカーは、
で表される(式中、Yは、SIからなり、E、J、V、Z1、Z2、Z3、R’、R8およびR9は、PABまたはPABタイプの自壊性単位に関する実施形態において定義されている通りである)。
「マレイミド部分」は、本明細書で使用する場合、マレイミド環系を有するリガンド共有結合前駆体部分である。マレイミド部分(M1)は、LDC内のリンカー単位に存在することになる、本明細書に記載されているようなチオ置換スクシンイミド(M2)部分を得るための、標的化部分由来のスルフヒドリル基のマイケル付加(すなわち、1,4−共役付加)に参加することが可能である。M1部分は、チオ置換スクシンイミド部分へのその変換前にそのイミド窒素を介して、リンカー単位の残りの部分に結合している。イミド窒素以外には、M1部分は典型的には無置換であるが、そのマレイミド環系の環二重結合において、非対称的に置換されていてもよい。このような置換は、典型的には、マレイミド環系のあまり立体障害のないまたはさらに電子的に欠損した二重結合炭素(さらに優位な寄与に依存する)へのスルフヒドリル基の位置化学的に好ましい付加をもたらす。自己安定化リンカー(LSS)部分内に存在する場合、このような置換されたM1部分から誘導されたチオ置換スクシンイミド部分M2のスクシンイミド環系の制御された加水分解は、M1前駆体中に存在していた置換基(複数可)に起因するM2の2個のカルボニル炭素の反応性における差異により、自己安定化したリンカー(LS)部分内のコハク酸−アミド(M3)部分の位置化学的異性体を提供することが予想される。
「スクシンイミド部分」は、本明細書で使用する場合、ADCにおいてリンカー単位を構成する有機部分であり、マレイミド部分(M1)のマレイミド環系への抗体由来のスルフヒドリル基のマイケル付加から生じる。したがって、スクシンイミド(M2)部分は、チオ置換スクシンイミド環系で構成され、リンカー単位の残りの部分で置換されているそのイミド窒素を有し、M1前駆体上に存在していた置換基(複数可)で任意選択で置換されている。典型的には、Aが存在する場合、イミド窒素は、本明細書に記載されているようなストレッチャー部分(A)またはそのサブユニット(すなわち、A1)に共有結合により結合している。時にはM2−A(またはM2−A1)は、本明細書に記載されているような自己安定化リンカー(LSS)部分を提供する。
「コハク酸−アミド部分」は、本明細書で使用する場合、加水分解により、そのカルボニル−窒素結合のうちの1つが破損されたスクシンイミド部分M2のチオ置換スクシンイミド環系から生じたアミド置換基を有するコハク酸を指す。コハク酸−アミド(M3)部分をもたらす加水分解は、抗体チオ置換基の脱離を介して、このM3部分を有するLDCにおいて、抗体の早期損失を被る可能性が低いリンカー単位を提供する。自己安定化リンカー(LSS)部分の中に存在する場合、このような置換されたM1部分から誘導されたチオ置換スクシンイミド部分M2のスクシンイミド環系の制御された加水分解は、M1前駆体中に存在していた置換基(複数可)に起因するM2の2個のカルボニル炭素の反応性の差異による、M3部分の位置化学的異性体(個々にM3AおよびM3Bと呼ばれる)を提供することが予想される。
「自己安定化リンカー」は、本明細書で使用する場合、自己安定化(LSS)部分で最初は構成されていたLDCが、標的化部分のLDCからの早期損失に対してさらに耐性になるように、制御された条件下で、自己安定化したリンカー部分(LS)へと化学転換し得る、LDCのリンカー単位のLb含有部分、またはその前駆体(すなわち、Lb’含有部分)である。通常、LbまたはLb’部分に加えてLSS部分は、ストレッチャー単位またはそのサブユニットで構成される。LSS、WおよびYを直線的配置で有するいくつかのそのような事例において、LSSは、ストレッチャー単位またはその別のサブユニットを介して切断可能単位(W)に共有結合により結合している。LSS−Yに対して直角のWを有するような他の事例において、LSSはストレッチャー単位またはその別のサブユニットを介してYに共有結合により結合している。しかし、時には間にあるAは存在せず、LSS、WおよびYリンカー構成成分の相対配置に応じて、LSSは、WまたはYに直接共有結合により結合している。一部の態様では、LSSは、LDCへのその組込み前に、マレイミド(M1)部分をLb’部分(標的化部分はこれを介して結合することになっている)として含有し、そしてストレッチャー単位(A)またはそのサブユニット(すなわち、A1)を含有し、これはM1−AまたはM1−A1の式で表される。LDCへの組込み後(すなわち、マイケル付加を介した、標的化部分のマレイミド部分への結合後)、LSSのM1−A(またはM1−A1)部分は、その対応するチオ置換スクシンイミド部分M2−A(またはM2−A1)に変換される。通常、LSSはまた、M2またはそのM1前駆体に結合しているストレッチャー単位の置換基として、本明細書に記載されているような塩基性単位(BU)で構成される。これらの態様では、BUは、M2のスクシンイミド部分の、その対応する開環形態M3への加水分解[すなわち、M2−A(BU)−またはM2−A1(BU)−は、M3−A(BU)またはM3−A1(BU)に変換される]を補助する。
「自己安定化リンカー」は、典型的には制御された条件下で加水分解を受けたLDCのLSS部分から誘導される有機部分であり(両方ともLb含有部分である)、元のLb含有部分を提供したLb’含有部分との、標的化部分の縮合反応を逆転する可能性が低い新規Lb含有部分を提供する。通常、自己安定化リンカー(LS)は、スクシンイミド部分(M2)(スクシンイミド部分(M2)は、標的化部分のスルフヒドリル基の、M1のマレイミド環系へのマイケル付加から生成したチオ置換スクシンイミド環系を有する)の、そのM2由来の部分が、M2中の対応する置換基と比較して、そのチオ置換基の脱離に対して減少した反応性を有する別の部分への変換から得た部分に、共有結合により結合しているストレッチャー単位またはそのサブユニットで構成される。これらの態様では、M2由来の部分は、M2に対応する(M2は、そのスクシンイミド環系のそのカルボニル−窒素結合のうちの1つの加水分解を受けている)コハク酸−アミド(M3)部分の構造を有する。その加水分解は、自然に起こり得るか、またはより典型的には、M2に結合しているストレッチャー単位に共有結合により結合しており、その結合の結果として、カルボニル−窒素の断裂を補助するために適当に近接しているBUの塩基性官能基により触媒される。したがって、その加水分解の生成物は、カルボン酸官能基、および上述のストレッチャー単位の構造によりそのアミド窒素(M2含有LSS前駆体中のイミド窒素に対応する)において置換されているアミド官能基を有する。典型的には、その塩基性の官能基は、塩基−触媒される加水分解に対するその反応性がpHで制御されるアミノ基である。したがって、自己安定化リンカー(LS)は、典型的には、スキャフォールド単位またはそのサブユニットに共有結合し、ひいては第2次リンカーLo(Lo’)の残りの部分に直線的配置で共有結合しているM3構造を有し、塩基性単位は、Loに対して直角のM3結合したストレッチャー単位に共有結合により結合している。M3、A、BUおよびLoが示された方式で配置されたLSは、M3−A(BU)−Lo’またはM3−A1(BU)−Lo’の式で表される。
加水分解後、生成した自己安定化リンカー(LS)は、典型的には、BU置換されたストレッチャー単位に共有結合したM3の構造(M3−A(Bu)−またはM3A1(BU)−)を有する。そのストレッチャー単位は、ひいてはLo(Lo’)の残りの部分に直線的配置で共有結合しており、塩基性単位は、M3および他のLo構成成分単位に対して直角に配置されている。M2またはM3、A(BU)[またはA1(BU)]およびLo ’が示された方式で配置されているLSSおよびLS部分の例示的構造が、限定ではなく、例として示されている:
(式中、示されたCH(CH2NH2)C(=O)部分は、M2またはM3のアミド窒素のイミドに共有結合しているストレッチャー単位、またはそのサブユニットの構造であり、−CH2NH2部分はそのストレッチャー単位のBU置換基である)。構造の残りの部分は、スクシンイミド部分M2、またはM2のスクシンイミド環加水分解からのコハク酸−アミド部分M3を表し、これらは、イミドまたは対応するアミド窒素においてストレッチャー単位のsp3−炭素で置換されている。波線は、その基のM1のマレイミド環系へのマイケル付加から生成した標的化部分由来のスルフヒドリル基の結合を示す。M2のスクシンイミド環系は、その標的化部分由来のチオ置換基により非対称的に置換されているので、遊離したカルボン酸基に対して位置が異なる、本明細書で定義されるようなコハク酸−アミド(M3)部分の位置化学異性体が、典型的にはM2加水分解から生じることになる。上記構造において、示されたストレッチャー単位のカルボニルは、このような単位の構造に組み込まれている、本明細書で定義されるような加水分解促進剤(HE)を例証している。
M3−A(BU)は、これらの構造は、LSS部分の対応するM2−A(BU)構造と比較して、標的化部分のチオ置換基を脱離させる可能性が低く、したがって、その部分の損失を引き起こす可能性が低いので、自己安定化リンカー(LS)部分の例示的構造を表している。その増加した安定性は、M2と比較して、M3のより大きな立体配座柔軟性から生じ、これによって、E2脱離のために好ましい構造にチオ置換基が抑圧されることはもはやない。
「塩基性単位」とは、本明細書で使用する場合、LSSを含むM2部分内でスクシンイミド環系の塩基補助された加水分解へ参加することによって(すなわち、水分子の、スクシンイミドのカルボニル−窒素結合のうちの1つへの水添加を触媒する)対応するLS部分へと移行することができ、LSSに結合している標的化部分により耐容性がある制御された条件下で開始することができる、本明細書に記載されているような自己安定化リンカー(LSS)部分内の有機部分である。その目的のため、塩基性単位(BU)の塩基性官能基およびそのM2構成成分に対するLSSにおけるその相対位置は、その求電子性、したがって水攻撃に対するその感受性を有効に増加させる、M2のカルボニル基へ水素結合するその能力により選択される。代わりに、BUの塩基性官能基への水素結合によりその求核性が増加する水分子が、M2カルボニル基に方向づけられるように、これらの変数が選択される。典型的には、いずれかの機序を介して作用するBUは、それが結合しているLSS部分へ、その塩基性アミノ基を連結する1〜6個の隣接する炭素原子で構成される。水素結合によりM2カルボニルの求電子性を増加させるために、BUは、その塩基性官能基として第1級または第2級アミンを有することが必要とされるが、一方で、上に記載されている方式で水求核性を増加することは、第1級、第2級または第3級アミンを塩基性官能基として用いて行うことができる。いずれかの機序による、スクシンイミド部分M2のその対応する開環カルボン酸アミドM3への加水分解を補助するために必要なだけ、塩基性アミンが近接するためには、アミンを保持するBUの炭素鎖は、典型的には、M2のスクシンイミド窒素(したがって、その対応するM1−AまたはM1−A1構造のマレイミド窒素)へのA(またはA1)の結合点に対して、その部分のアルファ炭素において、LSSのストレッチャー部分に結合している。典型的には、そのアルファ炭素は(S)立体化学的配置を有する。
「加水分解促進剤単位」は、本明細書で使用する場合、LSS部分を構成するストレッチャー単位の任意選択の置換基である電子求引基または部分である。存在する場合、加水分解促進剤単位(HE)は通常、その電子求引性作用が、M2部分内のスクシンイミドのカルボニル基の求電子性を増加させるように、このM2部分のイミド窒素に結合したストレッチャー単位に組み込まれる。ストレッチャー単位がBU置換基をも有する場合、カルボニル基に対するHEの作用は、BUの作用(BU塩基性官能基の塩基性およびそのようなカルボニルに対するその官能基の距離に依存)と連結して、バランスがとれているので、M1−A(BU)−の構造を有するLSS前駆体からのLDCの調製中にM1もしくはM2のM3への早期加水分解が起こらず、またはごくわずかとなるが、結合した標的化部分により耐容できる制御された条件下での(pHが故意に増加される場合など)加水分解(すなわち、LDC含有−M2−A(BU)−部分のその対応する−M3−A(BU)−部分への変換)を可能にする。典型的には、HE単位は、ストレッチャー単位の、M2、またはそれから由来するM3に結合している末端から遠くに位置する、カルボニル部分(すなわち、ケトンもしくは−C(=O)−)またはカルボニル含有官能基であり、また第2次リンカーの残りの部分にこのストレッチャー単位を共有結合により結合させている。ケトン以外のカルボニル含有官能基として、エステル、カルバメート、カーボネートおよびウレアが挙げられる。HEがケトン以外のカルボニル含有官能基である場合、その官能基のカルボニル部分は、典型的にはAに結合している。BU置換基が存在しないような一部の態様では、HE単位は、ストレッチャー単位内で、このストレッチャー単位が共有結合したイミド窒素から十分に離れていてもよく、これによって、M2含有部分のスクシンイミドのカルボニル−窒素結合の加水分解性感度に対する識別できる作用は観察されない。
「ストレッチャー単位」とは、この用語が本明細書で使用される場合、ストレッチャー単位の遠くにある、リンカー単位の他の間にある構成成分、例えば、切断可能単位および/またはスペーサー単位などから標的化部分を物理的に分離する、第2次リンカー内の有機部分を指す。ストレッチャー単位は通常、LDCのLb部分が、D+に組み込んだ第3級アミン含有薬物の放出を可能とするような、Wにおけるリンカー単位のプロセシングを可能にする程十分な立体的軽減を提供しない場合に必要とされる。ストレッチャー単位(A)は、本明細書に記載されているような1つまたは複数のストレッチャー基またはサブユニットを含むことができる。LDCへの組込み前に、Aは、Lb’をある特定のリンカー構造体内の切断可能単位(W)(A、WおよびYが直線的配置にある場合など)または他のリンカー構造体内のスペーサー単位(Y)(WがA−Yに対して直角の場合など)に共有結合させることが可能な官能基を有する。本発明の一部の態様では、ストレッチャー単位は、例えば、Aがデンドリマーまたは他の多官能性の分枝構造を表す場合などのように1つより多くの切断可能単位、スペーサー単位、および/または薬物単位に結合することが可能である。本発明の一部の態様では、第2次リンカーは、そのストレッチャーサブユニットのうちの1つを介してLbまたはLb’部分に結合している一方で、別のまたはそのサブユニットは、第2次リンカーの残りの部分に共有結合している。
ストレッチャー単位(A)は、LDC内に存在する場合、リガンド共有結合部分またはリガンド共有結合部分前駆体および別の第2次リンカー単位に共有結合により結合している有機部分であり、2、3つまたはそれ超のサブユニットを含んでもこれらのサブユニットからなってもよい。典型的には、Aは1つの識別できる単位であるか、またはA1およびAoと呼ばれる2つの異なるサブユニットを有する。Aが2つのサブユニットを有するような態様では、−A1−A2−は、時には−A1−AO−と称されるので、−Aa−Ww−Yy−またはAa−Yy(Ww)−およびAaなどの部分で構成される薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートにおいて、下付き文字aは2である。ストレッチャー単位内の隣接する原子の数は、共有結合のリガンド結合部分、ストレッチャー単位および切断可能単位で構成されるLDCのWの遊離第3級アミン含有薬物の放出(異常細胞内またはこの部位でのプロセシングから生成される)を妨げる、リガンド共有結合部分で対処されていないリガンド部分からの立体干渉を緩和するように選択される。典型的には、ストレッチャー単位またはそのサブユニットは、リガンド共有結合部分またはリガンド共有結合部分前駆体と、ストレッチャー単位Aを、第2次リンカーの切断可能単位(W)もしくはスペーサー単位(Y)に、またはAの別のサブユニットに共有結合により結合させる官能基との間にある1〜6個の隣接する炭素原子を有する。一部の態様ではその官能基はまた、加水分解促進(HE)単位としての役目も果たし得る。
「分枝単位」は、本明細書で使用する場合、ストレッチャー単位(A)の任意選択のサブユニットである三官能性有機部分を指す。時には、AのサブユニットであるA1またはAOは、分枝単位として作用し、またある時には、この分枝単位はAの追加のサブユニットである。A1AOおよびBがAのサブユニットとして存在する場合、Bは、リガンド共有結合部分(Lb)またはその前駆体Lb’の近位のサブユニット(すなわち、−A1−AO−の前にある)であっても、Aの遠位のサブユニット(すなわち、−A1−AO−の後にある)であってもよい。分枝単位は、第2次リンカー単位(LO)に組み込まれるために、またはLoを第1次リンカー単位(LR)に連結するため、および可溶化単位(S)がリンカー単位(LU)の構成成分として存在する場合、この可溶化単位へ追加的に連結するために、三官能性である。Aが、1つのサブユニットが分枝単位である2つのサブユニットを有するような態様では、−Aa−Ww−Yy−またはAa−Yy(Ww)−などの部分で構成される薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートの中で下付き文字aは2であり、これらの場合では−A1−A2−としてのAaは、時には−A−B−または−B−A−と称される。Aが、1つのサブユニットが分枝単位である3または2つのサブユニットを有するような態様では、−Aa−Ww−Yy−またはAa−Yy(Ww)−などの部分で構成される薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートの中で下付き文字aは3であり、これらの場合では、−A1−A2−A3−としてのAaは、薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートのリンカー単位中でのA1、AOおよびBの相対的順序付けに応じて、時には−A1−B−AOもしくは−B−A1−AO−または−A1−AO−B−と称される。
一部の態様では、官能化した側鎖を有する天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸または他のアミン含有酸化合物は、分枝単位としての機能を果たす。典型的には、分枝単位(B)および可溶化単位(S)がリンカー単位の構成成分である場合、Bの官能化した側鎖は、LUの残りの部分にSを連結している。Bに対する例示的構造は、Aの他のサブユニット(例えば、A1、AO)に関して本明細書で記載されたものであるが、ただし、この構造は、必要とされる上述の三官能性を有するものとする。一部の態様ではBは、エプシロン−アミノ、ガンマ−カルボン酸もしくはベータ−カルボン酸官能基がそれぞれ、可溶化単位をLUの残りの部分に連結しているL立体配置またはD立体配置のリシン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸部分である。
「可溶化単位」は、本明細書で使用する場合、親水性である有機部分を指す。可溶化単位(S)は、存在する場合、分枝単位に共有結合により結合しており、薬物単位の疎水性が、そのリガンド薬物コンジュゲート(LDC)の薬物平均付加数を限定してしまう場合、薬物単位の疎水性に対して、少なくとも部分的に、反作用する働きをする。疎水性薬物のコンジュゲーションにおけるその限定は、典型的には、ADC組成物中の個々のADC化合物の疎水性媒介性凝集から生じる。適当な可溶化剤の組込みは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した場合、可溶化単位を欠いている適当な対照ADCと比較して、凝集体種の検出可能な減少をもたらす。
「切断可能単位」は、定義されている通り、その部位に対する反応性が、正常細胞と比較して、過剰増殖細胞または過剰刺激された免疫細胞(すなわち、異常細胞)内またはその周辺でより大きく、よって、その部位での作用が、異常細胞の、第3級アミン含有薬物への優先的な曝露をもたらすような反応部位を提供する。その曝露は、その切断可能単位を有するLDCからの遊離薬物の最終的放出から生じる。本発明の一部の態様では、Wは、活性または存在量が、過剰増殖する、免疫刺激するまたは他の異常細胞もしくは望ましくない細胞内で、または周辺でより大きいような酵素により切断可能な反応部位で構成される(すなわち、Wは、酵素基質で構成される)。他の態様では、Wは、異常細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、標的部位の異常細胞内、または周辺の環境で動作可能である可能性がより高い他の機序(すなわち、非酵素的)により切断可能な反応部位で構成される。本発明のまた他の態様では、LDCの異常細胞への細胞内在化の後で、反応部位が作動する可能性が高くなる。異常細胞または望ましくない細胞の細胞膜上でLDCの標的化部分により認識される、標的とされる部分がより多くあるので、その内在化は、正常細胞と比較して、これらの細胞において発生する可能性がより高い。したがって、標的細胞は、そのLDCから遊離した活性薬物部分に細胞内で曝露される可能性が高い。切断可能単位は、標的部位のこれらの条件下で切断を受けやすい1つまたは複数の部位を含むことができるが、典型的にはこのような部位を1つのみ有する。
本発明の一部の態様では、切断可能単位は、標的とする細胞の細胞内に位置する調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼに対する基質(すなわち、Wの反応部位は、調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼにより切断可能なペプチド結合またはグリコシド結合である)であり、ペプチドまたはグリコシド結合は、血清のプロテアーゼ、ヒドロラーゼ、またはグリコシダーゼと比較して、調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、この調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼもしくはグリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞により、より多量に排出されるプロテアーゼ、ヒドロラーゼもしくはグリコシダーゼにより選択的切断が可能である。代わりに、Wは、LDCに組み込まれた際に、LDCが異常細胞に優先的に内在化される場合にはリゾチームの酸性の環境により、または異常細胞が通常存在しない正常細胞の環境と比較して、これらの細胞内もしくは周りのより還元性の環境により影響を受けやすい官能基であって、遊離第3級アミン含有薬物の放出により、正常細胞と比較して異常細胞がその薬物に優先的に曝露されるような官能基を提供する。
切断可能単位(W)は、LDCへのその組込み前に、スペーサー単位(Y)に連結可能である。LDCへの組込み後、Wは、過剰増殖細胞もしくは過剰活性化免疫細胞内に存在するか、またはこれらの異常細胞もしくは望ましくない細胞の直近の環境に特徴的な酵素による作用によるか、あるいは正常細胞と比較して、過剰増殖細胞が経験する可能性がより高い条件による非酵素的作用によって、遊離第3級アミン含有薬物を放出する、切断可能な結合(すなわち、反応部位)を提供する。代わりに、Wは、正常細胞と比較して、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞への優先的な侵入によりこのような細胞の細胞内で作用する可能性がより高い切断可能な結合を提供する。典型的には、ADC中のWは、Wに対する酵素的作用により、Y−D+内の自壊部分の自己破壊が引き起こされ、遊離Dが放出されるように、自壊部分で構成されるかまたは自壊部分からなるスペーサー単位(Y)に共有結合により結合している。
切断可能な結合を提供する官能基は、例として、ただしこれらに限定されないが、以下が挙げられる(a)正常細胞と比較して、異常細胞のより還元性の条件、またはこのような細胞により経験される低酸素条件下で生成される過剰のグルタチオンの影響を受けやすいジスルフィド結合を形成する、スルフヒドリル基、(b)この切断可能な結合を有するリンカー単位を有するLDCの、正常細胞への内在化と比較して異常細胞への選択的内在化により、リゾチームの酸性条件の影響を受けやすいシッフ塩基またはヒドラゾン官能基を形成する、アルデヒド、ケトン、またはヒドラジン基、(c)正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成もしくは排出されるプロテアーゼによる、または標的とされる細胞内の調節性プロテアーゼによる、酵素的切断の影響を受けやすいアミド結合を、ペプチド結合の場合のように形成する、カルボン酸基またはアミノ基、(d)正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成または排出されるヒドロラーゼまたはエステラーゼによる酵素的切断の影響を受けやすい、ある特定のウレアもしくはカルバメート基を形成するアミノもしくはヒドロキシル基、またはエステルもしくはカーボネート基を形成するカルボン酸基またはヒドロキシ基。
切断可能な結合を提供するまた他の官能基が、正常細胞と比較して、異常細胞により時には優先的に生成され得るグリコシドに対する基質であるグリコシド連結を有する糖または炭水化物に見出される。代わりに、活性のある第3級アミン含有薬物を放出するためのリンカー単位のプロセシングに必要とされるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成される必要がないが、ただし、プロセシング酵素は、遊離薬物の早期放出から所望しない副作用を引き起こす程には、正常細胞により排出されないものとする。他の場合には、必要とされるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は排出されてもよいが、薬物の所望しない早期放出を回避するため、プロセシング酵素は、異常細胞により生成されたか、または異常細胞により引き起こされた異常な環境に応答して近くの正常細胞により生成されたかに関わらず、異常細胞の付近で排出され、その環境に局在したままであることが好ましい。その点で、Wは、自由に循環している酵素とは対照的に、異常細胞の中で、またはその環境内でプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼにより優先的に作用されるように選択される。それらの場合、LDCは、正常細胞の付近で第3級アミン含有薬物を放出する可能性が低く、または、選択された酵素を確かに生成するが、排出しない正常細胞には内在化しない。これは、このような細胞は、LDCによる侵入のために必要とされる標的とされる部分を提示する可能性が低いからである。
一部の態様では、Wは、異常細胞内に存在するかまたはこれらの異常細胞の環境に局在するプロテアーゼに対する基質を提供するアミノ酸で構成されるか、またはアミノ酸の1つもしくは複数の配列で構成されるかもしくはからなる。したがって、Wは、YのSIへのアミド結合を介してリンカー単位に組み込まれたジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチドまたはドデカペプチド部分で構成されてもこれらからなっていてもよく、その部分は、そのプロテアーゼに対する認識配列である。他の態様では、Wは、異常細胞により優先的に生成されるか、またはSIおよび炭水化物部分で構成されるLDCが、異常細胞の表面の標的とされる部分の存在に起因して選択的に侵入するこのような細胞の中に見出されるグリコシダーゼにより切断可能である、グリコシド結合により、YのSIに結合している炭水化物部分で構成されるかまたはこの炭水化物部分からなる。
「スペーサー単位」とは、本明細書で使用する場合、互いに対する立体配置に応じて切断可能単位(W)またはストレッチャー単位(A)(または、Aが不在の場合、LbもしくはLb’)に共有結合している、リンカー単位内の第2次リンカー(Lo)の有機部分である。典型的には、1つの立体配置において、4級化薬物単位(D+)とWは両方ともYに共有結合し、このYは次に、A(または、Aが不在の場合、LbもしくはLb’)に結合しており、これによって、Wは、Loの残りの部分に対して直角であり、これに対して、別の立体配置では、W、Y、DはD+がYに結合している直線的立体配置で配置されている。いずれかの配置でも、Yは、D+から切断部位Wを分離して、Wの切断が酵素的作用を介して実施される際にはいつでも、Wの切断を妨げるD+の単位からの立体相互作用を回避する働きをする。
典型的には、スペーサー単位は、本明細書で定義されるような自壊部分(SI)で構成されるかまたは自壊部分(SI)からなり、その部分が切断単位(W)に共有結合することによって、Wのin vivoでのプロセシングがSIを活性化して自己破壊させ、したがって遊離第3級アミン含有薬物を放出させる。多くの場合、YのSIは、アミド(またはアニリド)官能基を介してWに結合しており、YはまたSIを介してD+の第4級アミン窒素に共有結合することによってSIの自己破壊が、遊離第3級アミン含有薬物の放出をもたらす。
「自壊部分」とは、本明細書で使用する場合、第1と第2の官能基部分の間に介入し、活性化しない限り、これらの部分を通常安定した三部構成の分子に共有結合により組み込む有機部分を有するスペーサー単位(Y)内の二官能性部分を指す。第1の官能基部分への共有結合が切断された際の活性化により、第2の官能基部分は、SI部分の残りの部分の自己破壊により三部構成の分子から自然に分離する。活性化によるその自己破壊は、遊離第3級アミン含有薬物(D)を放出する。一部の態様では、その自己破壊は、D+と、リンカー単位のYの中に自壊(SI)を有するリンカー単位とを含むLDCの細胞内在化後に起こる。自壊(SI)部分の官能基部分の間にある有機部分は、時には、遊離第3級アミン含有薬物の同時放出と共に、1,4−脱離または1,6−脱離によりキノンメチドまたは関係する構造を形成するためのフラグメント化を経験することが可能なアリーレンまたはヘテロアリーレン部分である。このようなSI部分は、任意選択で置換されているp−アミノベンジルアルコール(PAB)部分、オルト−アミノベンジルアセタールもしくはパラ−アミノベンジルアセタール、またはPAB基と電子的に同様である(すなわち、PABタイプ)芳香族化合物、例えば、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体など(例えば、Hayら、1999年、Bioorg. Med. Chem. Lett.9巻:2237頁を参照されたい)および本明細書に記載されているような他のヘテロアリールにより例示される。
典型的には、SI部分の中の官能基部分のうちの1つに対して、リンカー単位に組み込まれるPABまたはPABタイプのSI部分のアリーレンまたはヘテロアリーレン基の芳香族炭素は、ヘテロ原子を含む官能基を介してWの切断部位に結合している電子供与性(EDG)ヘテロ原子で置換されており、そのヘテロ原子は、その電子供与能力が減衰するように官能化されている(すなわち、EDGは、YのSIをリンカー単位に組み込むことによって遮蔽されている)。第2の官能基を提供する他の置換基は、第4級アミン置換基を有するベンジル炭素であり、第3級アミン含有薬物を含む第4級アミンは、中央のアリーレンまたはヘテロアリーレン基の別の芳香族炭素原子に結合しているベンジル炭素を介して結合しており、減衰した電子供与性ヘテロ原子を保持するこの芳香族炭素は、ベンジル炭素原子に隣接している(すなわち、1,2−の関係)、またはさらに2つ離れた位置にある(すなわち、1,4−の関係)。EDGは、Wの切断部位のプロセシングが、遮蔽されたEDGの電子供与能力を修復し、したがって、ベンジル第4級アミン置換基から第3級アミン含有薬物を排出させるため、1,4−脱離または1,6−脱離を引き起こすように選択される。
例示的なPABまたはPABに関係するSI部分は、これらが、4級化薬物部分からDを放出するための1,4−フラグメント化または1,6−フラグメント化を可能にする必要な置換1,2または1,4置換パターンを有するアリーレンまたはヘテロアリーレンを有する構造(1)の第2次リンカー−D+部分の中に存在する場合、
(式中、D+は、上述のベンジル炭素に共有結合した第4級アミン窒素を介して−C(R8)(R9)−D+において結合しており、Jは、遮蔽されたEDGであり、Jを含む減衰性官能基を介してWに結合しているJは、−O−、−N(R33)−、または−S−であり、R8、R9、R33、R’、V、Z1、Z2、Z3は、PABおよびPABタイプのSI単位の実施形態において定義されている)で表される。それらの変数は、標的とされた部位において、Wのプロセシングから放出された場合、Jの反応性が、SIから脱離した第3級アミンの反応性およびその脱離から生じたキノン−メチドタイプの中間体の安定性とのバランスがとれるように選択される。
構造(1)の第2次リンカー−D+部分に関する一部の態様では、D+に結合しているPABまたはPABタイプのSI部分は、
の構造を有する。
構造(1)の第2次リンカー−D+部分の中にSI部分を組み込んでいる他の構造およびこれらの可変基の定義は、実施形態により提供される。
構造(2)の第2次リンカーに関する一部の態様では、PABまたはPABタイプのSI部分は、構造(2)の第2次リンカーの中に存在する場合、
(式中、Jへの波線は、aが0の場合、リガンド−Lb−またはLb’−への共有結合の安定した共有結合(すなわち、標的とされた部位においてプロセシングされていない)を示し、またはaが1の場合、Aまたはそのサブユニットを介した共有結合を示し、Jは、Lb、Lb’、AまたはAのサブユニットに直接、またはJを含む官能基を介して結合している−O−、−N(R33)−、または−S−であり、R’、R8、R9、V、Z1、Z2およびZ3は、式1に定義されている通りであり、Jから独立して選択されるEは、電子供与基、例えば、−O−、−N(R33)−、または−S−などであり、Eの電子供与能力は、W’への結合により減衰し、W’−Eは、グリコシダーゼのための切断部位を提供し、Eおよび−C(R8)(R9)−D+部分のベンジル炭素は、V、Z1、Z2またはZ3により定義された位置でアリーレンまたはヘテロアリーレン基に結合することによって、Eおよび−C(R8)(R9)−D+部分が、第3級アミン含有薬物の放出をもたらす1,4−フラグメント化または1,6−フラグメント化を可能にするように1,2または1,4の関係にある)の構造を有する。
構造(2)の第2次リンカー−D+部分に関する一部の態様では、D+に結合しているPABまたはPABタイプのSI部分は、
の構造を有する。
構造(2)の第2次リンカー−D+部分の中にSI部分を組み込んでいる他の構造およびこれらの可変基の定義は、実施形態により提供される。
SI部分のアリーレンまたはヘテロアリーレンは、Dの放出をモジュレートするため、またはこれが組み込まれるリガンド薬物コンジュゲートの生理化学的特性を改善する(例えば、疎水性を減少させる)ために、1,2−脱離または1,4−脱離の動態に影響を与えるようにさらに置換されてもよい。
ベンジル第4級アミン置換基を受け入れるように修飾されているSI構造の例示的な非限定的例は、Blencoweら、「Self-immolative linkers in polymeric delivery systems」Polym. Chem. (2011年)2巻:773〜790頁;Greenwald ら、「Drug delivery systems employing 1,4- or 1,6-elimination: poly(ethylene glycol) prodrugs of amine-containing compounds」J. Med. Chem.(1999年)42巻:3657〜3667頁;および米国特許第7,091,186号;同第7,754,681号;同第7,553,816号;および同第7,989,434号において提供されており、これらのすべては、これら全体が、本明細書で参照により組み込まれており、その中に提供されている構造および可変基は具体的に参照により組み込まれている。
「細胞毒性薬物」とは、本明細書で使用する場合、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞に対して抗生存作用を発揮する、LDCから誘導された化合物または代謝物を指す。一部の態様では、細胞毒性薬物は、それらの細胞に直接作用するか、あるいは過剰増殖するまたは他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の生存および/または成長を支持する異常な血管系に作用することによって間接的に作用するか、あるいは細胞毒性薬物は、浸潤性の過剰活性化免疫細胞の部位内で作用する。典型的には、細胞毒性薬物が作用する異常細胞または望ましくない細胞は、哺乳動物細胞、より典型的にはヒト細胞である。細胞毒性薬物の細胞毒性活性は、IC50値として表現することができ、これは、この値において、in vitroの細胞モデル系の中で、細胞毒性剤に曝露されたがん細胞の半分が生存する、有効濃度、典型的には単位体積当たりのモル量である。したがって、IC50値はモデル依存性である。典型的には、LDCに組み込まれた細胞毒性剤は、過剰増殖細胞で構成されるin vitroの細胞モデルにおいて100nM〜0.1pMの間、またはより典型的には約10nM〜1pMの間のIC50値を有する。極めて有毒性の細胞毒性薬物は、典型的にはこのようなモデルにおいて、約100pMまたはそれ未満のIC50値を有する。細胞毒性薬物に対する耐性を逆転させる多剤耐性阻害剤は、独立して細胞毒性ではないが、これらは細胞毒性薬物として時には含まれている。
「細胞分裂停止薬物」とは、本明細書で使用する場合、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の成長および増殖に対して阻害作用を発揮するLDCから誘導された化合物または代謝物を指す。一部の態様では、細胞分裂停止薬物は、これらの細胞に直接作用するか、あるいは過剰増殖するまたは他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の生存および/または成長を支持する異常な血管系に作用することによって間接的に作用するか、あるいは細胞毒性薬物は、浸潤性の過剰活性化免疫細胞の部位内で作用する。典型的には、細胞毒性薬物が作用する異常細胞または望ましくない細胞は、哺乳動物細胞、より典型的にはヒト細胞である。細胞分裂停止薬物に対する耐性を逆転させる多剤耐性阻害剤は、独立して細胞分裂停止性ではないが、これらは細胞分裂停止薬物として時には含まれている。
「血液悪性腫瘍」とは、この用語が本明細書で使用される場合、リンパ系または骨髄性由来の細胞を起源とする血液細胞腫瘍を指し、「液体腫瘍」という用語と同じ意味である。血液悪性腫瘍は、緩慢性、適度に侵攻性または極めて侵攻性であると分類することができる。
「リンパ腫」とは、本明細書で使用する場合、リンパ系由来の過剰増殖細胞から通常発生する血液悪性腫瘍である。リンパ腫は、時には2つの主要なタイプに分類される:ホジキンリンパ腫(HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)。リンパ腫はまた、表現型、分子または細胞発生マーカーに従い、がん細胞に最も類似している、正常細胞タイプに従い分類することもできる。その分類下のリンパ腫サブタイプとして、限定はされないが成熟B細胞新生物、成熟T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞新生物、ホジキンリンパ腫および免疫不全に伴うリンパ増殖性障害が挙げられる。リンパ腫サブタイプとして、前駆体T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T細胞リンパ芽球は骨髄内で生成されるので、時にはリンパ芽球性白血病と呼ばれる)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性リンパ腫(末梢血の関与に起因して、時には白血病と呼ばれる)、MALTリンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫およびそのさらに侵攻性のバリアントであるセザリー症候群、他に特定されていない末梢性T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫の結節性硬化症、および混合細胞型サブタイプのホジキンリンパ腫が挙げられる。
「白血病」は、この用語が本明細書で使用される場合、骨髄性由来の過剰増殖細胞から通常発生する血液悪性腫瘍であり、限定はされないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性単球性白血病(monocyctic leukemia)(AMoL)が挙げられる。他の白血病として、有毛細胞白血病(HCL)、T細胞リンパ性白血病(T−PLL)、大顆粒リンパ球性白血病および成人T細胞白血病が挙げられる。
「4級化薬物単位」とは、本明細書で使用する場合、その対応する第4級アミン塩(D+)としてLDCに組み込まれた、典型的には哺乳動物細胞に対して細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の性質を有する、任意の第3級アミン含有化合物(D)であってよい。「薬物」という用語は、過剰増殖もしくは過剰免疫刺激された疾患もしくは状態を有する対象の処置における使用に対して監督官庁により認可されているだけの化合物、またはLDCという文脈外のいずれかのこのような目的に適切である化合物を暗示しない。したがって、D+はまた、非コンジュゲート(すなわち、第3級アミン含有の「遊離」の形態であり、LDC中に存在しない)では、対象への投与に対して不適切である4級化化合物を包含する。例えば、第3級アミン含有薬物(D)は、D+としてLDCに組み込まれた場合、必要とされる治療量では耐えられない全身毒性があるので、対象においてがんを処置するのに不適当な細胞毒性化合物となり得る。一部の態様では、4級化薬物は、第3級アミン含有薬物の第3級アミン窒素を、適切な脱離基を有する第2次リンカーLoに縮合させることによって得られる。一部の態様では、D+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は、がんの処置に使用するのに適切となろう。他の態様では、D+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は、がんの処置に使用するのに適切である。一部の態様では、LDCのD+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は細胞毒性または細胞分裂停止性化合物である。他の態様では、LDCのD+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は、抗炎症性または免疫抑制性化合物である。また他の態様では、LDCのD+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は多剤耐性阻害剤である。D+に組み込むことができる他の第3級アミン含有薬物は、第3級アミン含有薬物の定義によりさらに提供される。
「第3級アミン含有薬物」は、本明細書で使用する場合、細胞毒性、細胞分裂停止性または抗炎症性の活性を有し、LDCの標的化部分がその同族の標的とされる部分に結合した後、LDCのその対応する第4級アミン(D+)部分から放出可能である脂肪族第3級アミン部分(D)により特徴付けられるような化合物である。多くの場合、第3級アミン含有化合物は、それが最初にLb含有部分またはLb’含有部分に組み込まれた際に、その4級化形態へと変換される。しかし、時には、第2級アミン含有前駆体または第1級アミン含有前駆体がLb含有部分またはLb’含有部分に組み込まれ、次いで4級化されて、D+部分を形成し、これからは、第3級アミン含有薬物の放出が可能である。したがって、L−Lb−Lo−D+およびLb’−Lo−D+などの構造は、D+が形成される特定の方法を意味せず、その形成に使用される反応物質が第3級アミン含有薬物である必要はない。
本発明のLDCから放出される第3級アミン含有薬物のクラスとして、例えば、限定はされないが、がんまたは自己免疫疾患の処置に有用である第3級アミン官能基を有する化合物が挙げられる。これらの化合物として、微小管破壊剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、DNAアルキル化剤、化学療法感作剤およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、チューブリシン、アウリスタチン、フェナジンダイマー)、ある特定の多剤耐性(MDR)阻害剤およびニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤が挙げられる。
「過剰増殖細胞」は、本明細書で使用する場合、周辺の正常組織のものと関係のないまたは協調性のない、望ましくない細胞増殖、または異常に高い速度もしくは持続状態の細胞分裂により特徴付けられる細胞を指す。典型的には、過剰増殖細胞は哺乳動物細胞である。一部の態様では、過剰増殖細胞は、本明細書で定義されるような過剰刺激された免疫細胞であり、これらの細胞分裂が持続する状態は、これらの細胞分裂における変化を最初に誘起した可能性のある刺激の停止後に起こる。他の態様では、過剰増殖細胞は、変換した正常細胞またはがん細胞であり、これらの無制御なおよび進行性の細胞増殖の状態は、良性、潜在的に悪性(前悪性)または実際悪性である腫瘍をもたらし得る。変換した正常細胞またはがん細胞から結果として生じる過剰増殖の状態として、これらに限定されないが、前がん、過形成、異形成、腺腫、肉腫、芽細胞腫、癌腫、リンパ腫、白血病またはパピローマにより特徴付けられるものが挙げられる。前がんは通常、がん発症の危険性の増加に伴い、そして時には、がんを特徴付ける分子および表現型の特性をすべてではないとしても、いくつか有する組織学的変化を示す病変として定義される。ホルモンに伴うまたはホルモン感応性の前がんとして、前立腺の上皮内新生物(PIN)、特に高悪性度のPIN(HGPIN)、異型小腺房増殖(ASAP)、子宮頸部異形成および非浸潤性乳管癌が挙げられる。過形成は、器官全体の拡大または良性腫瘍の形成または成長をもたらし得る、普通観察されるものを超えた器官または組織内での細胞増殖を一般的に指す。過形成としてこれらに限定されないが子宮内膜形成不全(子宮内膜症)、良性前立腺肥大および導管過形成が挙げられる。
「正常細胞」とは、本明細書で使用する場合、正常な組織の細胞の統合性の維持、または調節された細胞の代謝回転により必要とされる循環するリンパ性もしくは血液細胞の補充、または損傷により必要とされる組織修復、病原菌への曝露もしくは他の細胞の侵襲から結果として生じる、調節された免疫性もしくは炎症性応答に関係した、調整された細胞分裂を経験する細胞を指し、誘発された細胞分裂または免疫応答は、必要な維持、補充または病原菌クリアランスが完了した時点で終了する。正常細胞として正常に増殖する細胞、正常な静止状態の細胞および正常に活性化した免疫細胞を含む。
「正常な静止状態の細胞」は、これらの静止のGo状態の非がんの細胞であり、ストレスもしくはマイトジェンにより刺激されていないか、または通常不活性であるか、もしくは炎症誘発性サイトカイン曝露により活性化されていない免疫細胞である。
「過剰刺激された免疫細胞」は、この用語が本明細書で使用される場合、増殖もしくは刺激における変化を最初に誘起した可能性のある刺激の停止後に起こる、またはいずれの外部の侵襲も不在で起こる、異常な持続性増殖または不適当な刺激の状態により特徴付けられる先天性免疫または適応免疫に関与している細胞を指す。多くの場合、持続性増殖または不適当な刺激の状態は、病態または状態に特徴的な慢性状態の炎症をもたらす。いくつかの場合、増殖または刺激における変化を最初に誘起した可能性のある刺激は、外部の侵襲に起因せず、自己免疫疾患の場合のように内部に由来する。一部の態様では、過剰刺激された免疫細胞は、慢性の炎症誘発性サイトカインの曝露を介して過剰活性化された炎症誘発性免疫細胞である。
本発明の一部の態様では、LDCは、異常に増殖するまたは不適切に活性化する炎症誘発性免疫細胞により優先的に提示される抗原に結合する。これらの免疫細胞として、古典的活性化マクロファージまたは1型Tヘルパー(Th1)細胞が挙げられ、これらは、インターフェロン−ガンマ(INF−γ)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−10(IL−10)、および腫瘍壊死因子−ベータ(TNF−β)、すなわち、マクロファージおよびCD8+T細胞活性化に関与しているサイトカインを生成する。
「グリコシダーゼ」は、本明細書で使用する場合、グリコシド結合の酵素的切断が可能なタンパク質を指す。典型的には、切断されるグリコシド結合は、LDCの切断可能単位(W)内に存在する。時には、LDCに作用するグリコシダーゼは、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の細胞内に存在し、これらの細胞に対して、LDCは、リガンド結合の構成成分(すなわち、リガンド単位)の標的能力に起因して、正常細胞と比較して優先的なアクセスを有する。時には、グリコシドは、異常細胞もしくは望ましくない細胞に対してより特異的であるか、または正常細胞と比較して、異常細胞もしくは望ましくない細胞により優先的に排出されるか、または血清量と比較して、異常細胞もしくは望ましくない細胞の付近により多量に存在する。多くの場合、グリコシダーゼの作用を受ける、Wにおけるグリコシド結合は、炭水化物部分(Su)のアノマー炭素を、ストレッチャー単位(Y)を構成する自壊(SI)部分のフェノール系酸素に結合させて、この結合のグリコシド切断が、SIのベンジル位置に結合した第4級アミン部分から第3級アミン含有薬物の1,4−脱離または1,6−脱離を引き起こすようにする。
−Aa−Yy(Ww)−D+(式中、下付き文字wおよびyは、それぞれ1である)などの部分で構成される薬物リンカー化合物またはリガンド薬物コンジュゲートにおいて、−Y(W)−は、典型的には、本明細書で定義されるようなSu−O’−SI部分であり、グリコシダーゼによる作用により遊離第3級アミン含有薬物の自壊性放出を可能にする方式で、A、WおよびDがSIに結合している。このような−Y(W)−部分は、時にはグルクロニド単位と呼ばれ、Suはグルクロン酸に限定されない。
典型的には、Su−O’−SI部分(式中、−O’−は、グリコシド結合の酸素を表し、Suは炭水化物部分である)は、SIのアリール部分に結合したEは酸素であり、そのヘテロ原子は、その部分のアノマー炭素原子を介して炭水化物部分で置換されている、自壊性部分に関して記載されている構造で表される。より典型的にはSu−O’−SIは、
の構造を有する。
式中、R24A、R24BおよびR24Cは、発明の概要においてR24に関して定義されている通りであり、グリコシド結合から放出されるフェノールの−OHの電子供与能力、炭水化物部分Suへのグリコシド結合の所望のグリコシダーゼによる選択的切断に対する感度、およびフラグメント化の際のキノンメチド中間体の安定性が、第3級アミンの脱離能力とバランスがとれるように選択されることによって、1,4−脱離または1,6−脱離を介した、D+からのDの効率的放出が起こるようになっている。これらのSu−O’−SI構造は代表的なグルクロニド単位である。グリコシド結合がグルクロン酸に対するものである場合、そのグリコシド結合の酵素的切断が可能なグリコシダーゼはグルクロニダーゼである。「炭水化物部分」は、本明細書で使用する場合、Cm(H2O)nの実験式(式中、nはmと等しい)を有し、そのヘミアセタールまたはその誘導体の形態でアルデヒド部分を含有する単糖を指し、この式の中のCH2OH部分は、カルボン酸(例えば、グルコース中のCH2OH基の酸化からのグルクロン酸)へと酸化されている。典型的には、炭水化物部分(Su)は、ピラノースなどの環式ヘキソース、またはフラノースなどの環式ペントースである。通常、ピラノースは、β−D構造にあるグルクロニドまたはヘキソースである。ある場合には、ピラノースはβ−D−グルクロニド部分(すなわち、β−グルクロニダーゼにより切断可能なグリコシド結合を介して自壊性部分−SI−に連結しているβ−D−グルクロン酸)である。多くの場合、炭水化物部分は非置換である(例えば、天然に存在する環式ヘキソースまたは環式ペントース)。またある時には、炭水化物部分は、置換されているβ−D−グルクロニド(すなわち、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、硫黄、窒素または低級アルキルなどの1つまたは複数の基で置換されているグルクロン酸)であってよい。
「アミノ酸」は、本明細書で使用する場合、カルボン酸および脂肪族アミン官能基を含有する有機部分であり、典型的には、ペプチド合成の技術分野で周知の標準的なペプチド結合形成反応を介して、別の有機部分とアミド結合を形成することが可能な第1級または第2級アミン(aminne)官能基である。アミノ酸として、本明細書で定義されるような天然アミノ酸、非天然アミノ酸、および非古典的アミノ酸が挙げられる。疎水性アミノ酸は、カルボン(carboylic)酸とアミン官能基の間にある原子の鎖内の炭素原子に結合している疎水性置換基、典型的にはC1〜C6アルキル基を含有し、典型的にはアミンまたはカルボン酸官能基に対してアルファである炭素原子上にある。疎水性の天然アミノ酸に対して、アルファ炭素上の疎水性置換基は、バリン、アラニン、ロイシンまたはイソロイシンの疎水性置換基である。
「天然に存在するアミノ酸」とは、文脈により特に指摘されていない限り、LまたはD立体配置にある、天然アミノ酸であるアルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、アラニン、ヒスチジン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、システイン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、イソロイシン、およびバリンを指す。
「非天然アミノ酸」は、本明細書で使用する場合、天然アミノ酸の基本的構造を有するアミン含有酸化合物である(すなわち、アルファ−アミノ含有酸であるが、R基が、天然アミノ酸には存在しないアルファ炭素に結合している)。
「非古典的アミノ酸」とは、本明細書で使用する場合、そのアミン置換基が、カルボン酸に対してアルファである炭素に結合していないアミン含有酸化合物である(すなわち、アルファ−アミノ酸ではない)。非古典的アミノ酸として、メチレンが、天然アミノ酸または非天然アミノ酸において、カルボン(craboxylic)酸とアミノ官能基の間に挿入されているβ−アミノ酸が挙げられる。
「ペプチド」とは、本明細書で使用する場合、1つのアミノ酸のカルボン酸基が、このペプチド配列における隣のアミノ酸のアルファ−アミノ基と共にアミド結合を形成している2つまたはそれ超のアミノ酸のポリマーを指す。ポリペプチド中にアミド結合を調製するための方法は、アミドの定義においてさらに提供される。
ペプチドは、L立体配置もしくはD立体配置の天然に存在するアミノ酸、または非天然アミノ酸もしくは非古典的アミノ酸で構成されていてもよく、これらとして、これらに限定されないが、オルニチン、シトルリン、ジアミノ酪酸、ノルロイシン、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンが挙げられる。天然に存在しないアミノ酸および非古典的アミノ酸の他の例は、アルファ*およびアルファ−二置換*アミノ酸、N−アルキルアミノ酸*、乳酸*、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体(例えば、トリフルオロチロシン*、p−Cl−フェニルアラニン*、p−Br−フェニルアラニン*、p−F−フェニルアラニン*)、L−アリル−グリシン*、ベータ−アラニン*、L−アルファ−アミノ酪酸*、L−ガンマ−アミノ酪酸*、L−アルファ−アミノイソ酪酸*、L−エプシロン−アミノカプロン酸#、7−アミノヘプタン酸*、L−メチオニンスルホン*、L−ノルロイシン*、L−ノルバリン*、p−ニトロ−L−フェニルアラニン*、L−ヒドロキシプロリン#、L−チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体(例えば、4−メチル−Phe*、ペンタメチル−Phe*)、L−Phe(4−アミノ)#、L−Tyr(メチル)*、L−Phe(4−イソプロピル)*、L−Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)*、L−ジアミノプロピオン酸、L−Phe(4−ベンジル)*、2,4−ジアミノ酪酸、4−アミノ酪酸(ガンマ−Abu)、2−アミノ酪酸(アルファ−Abu)、6−アミノヘキサン酸(エプシロン−Ahx)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フルオロアミノ酸、ベータ−メチルアミノ酸、Cアルファ−メチルアミノ酸、N−メチルアミノ酸、ナフチルアラニンなどである。記号*は、疎水性の特徴を有する誘導体を示し、#は、親水性の特徴を有する誘導体を示し、#*は、両親媒性の特徴を有する誘導体を示す。
ペプチドにおける変異体アミノ酸配列は、グリシンまたはβ−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーに加えて、メチル、エチルまたはプロピル基などのアルキル基を含む配列の任意の2つのアミノ酸残基の間に挿入される適切なスペーサー基を時には含み得る。また、ペプチドは、ペプトイドを含んでもペプトイドからなってもよい。「ペプトイド」という用語は、アルファ−炭素置換基がアルファ−炭素ではなく、骨格窒素原子上にある変異形のアミノ酸構造を指す。ペプトイド形態のペプチドを調製するための方法は、当技術分野で公知である(例えば、Simonら、Proc. Nat'l. Acad. Sci.(USA)(1992年)89巻(20号):9367〜9371頁;およびNorwell、Trends Biotechnol.13巻(4号):132〜134頁(1995年)を参照されたい)。
「プロテアーゼ」は、本明細書で定義される場合、カルボニル−窒素結合、例えば、ペプチドに典型的に見出されるアミド結合などの酵素的切断が可能なタンパク質を指す。プロテアーゼは、主要な6つのクラスに分類される:セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼ。これらは、その基質のカルボニル−窒素結合の切断の主な原因である活性部位内の触媒の残基に応じてこのように命名されている。プロテアーゼは、カルボニル−窒素結合のN末端および/またはC末端の側にある、および様々な分布にある残基のアイデンティティーに依存する様々な特異性により特徴付けられる。
Wが、プロテアーゼにより切断可能なアミドまたは他のカルボニル−窒素含有官能基で構成される場合、その切断部位は、多くの場合、過剰増殖細胞もしくは過剰刺激された免疫細胞内に、または過剰増殖細胞もしくは過剰刺激された免疫細胞が存在する環境に特有の細胞内に見出されるプロテアーゼで認識されるものに限定される。これらの場合、LDCは、標的化部分を優先的に有していない細胞へはあまりアクセスが良くないので、プロテアーゼは必ずしも、LDCが標的とする細胞内に優先的に存在したりより大きな存在量で見出されたりする必要はない。またある時には、プロテアーゼは、異常細胞により、または正常細胞と比較して、それらの異常細胞が見出される環境もしくはそれらの正常細胞が異常細胞の不在下で見出される典型的な環境内の細胞により、優先的に排出される。したがって、プロテアーゼが排出されるような場合、プロテアーゼは、正常細胞のものと比較して、LDCが標的とする細胞付近に優先的に存在するかまたはより大きな存在量が見出されることが必ず必要となる。
LDCに組み込まれた場合、Wを構成するペプチドは、W中のカルボニル−窒素結合を切断し、リンカー単位のフラグメント化を生じることでD+からの第3級アミン含有薬物の放出を引き起こすプロテアーゼに対する認識配列を提供する。時には、認識配列は、LDCが異常細胞を標的とすることにより、正常細胞と比較して、これら異常細胞に対して好ましいアクセスを有する異常細胞内に存在する細胞内プロテアーゼによってより選択的に認識されるか、または所望の作用部位へ薬物を適切に送達するという目的で、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成される。通常、ペプチドは、第3級アミン含有薬物の早期排出を最小限に抑えるために循環しているプロテアーゼに耐性があり、したがって、薬物への望ましくない全身暴露を最小限に抑える。典型的には、ペプチドは、その配列順序に1つまたは複数の非天然アミノ酸または非古典的アミノ酸を有することによって、その耐性を有することになる。多くの場合、異常細胞により生成されるプロテアーゼによって特異的に切断されるアミド結合は、アニリドであり、このアニリドの窒素は、以前に定義された構造を有するSI部分の新生電子供与性ヘテロ原子(すなわち、J)である。したがって、W中のこのようなペプチド配列に対するプロテアーゼ作用は、SIのアリーレン部分を介しての1,4−脱離または1,6−脱離により、リンカーフラグメントから薬物放出をもたらす。
調節性プロテアーゼは、典型的には細胞内に位置し、異常細胞または他の望ましくない細胞内で時には異常または調節不全となる細胞の活性の調節のために必要とされる。さらに、ある場合には、Wが細胞内に優先的な分布を有するプロテアーゼに方向づけられている場合、そのプロテアーゼは調節性プロテアーゼであり、細胞の維持または増殖に関与している。ある場合には、これらのプロテアーゼは、カテプシンを含む。カテプシンとして、セリンプロテアーゼ、カテプシンA、カテプシンG、アスパラギン酸プロテアーゼカテプシンD、カテプシンE、およびシステインプロテアーゼ、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンWならびにカテプシンZが挙げられる。
他の場合、Wが、過剰増殖するもしくは過剰刺激された免疫細胞または近隣の細胞による優先的な排出(この排出は、過剰増殖するまたは過剰刺激された免疫細胞の環境に特有のものである)により、このような細胞の付近で細胞外に優先的に分配されるプロテアーゼに方向づけられている場合、そのプロテアーゼは通常、メタロプロテアーゼである。典型的には、これらのプロテアーゼは組織リモデリングに関与しており、過剰増殖細胞の侵襲またはこのような細胞のさらなる補強をもたらす過剰活性化免疫細胞の所望しない蓄積を補助する。
「チューブリン破壊剤」は、本明細書で使用する場合、チューブリンまたはそのサブユニットに結合し、その結果、特に過剰増殖するまたは過剰刺激された免疫細胞においてチューブリンダイナミクスに負に影響するチューブリン伸長またはチューブリン重合を阻害する細胞毒性または細胞分裂停止性化合物を指す。抗チューブリン薬剤(すなわち、チューブリン破壊剤)の例として、これらに限定されないが、タキサン、ビンカアルカロイド、マイタンシンおよびマイタンシノイド、ドラスタチンおよびアウリスタチンが挙げられる。第3級アミン含有チューブリン破壊剤は、第3級アミン官能基を含有する、または含有するように修飾することができる、本明細書で定義されるようなチューブリン破壊剤である。
「ドラスタチン薬物」は、この用語が本明細書で使用される場合、細胞毒性活性を有する海の供給源からチューブリン破壊剤として単離したペンタペプチドである。ドラスタチン10およびドラスタチン15は、第3級アミン含有ドラスタチンを例証し、以下の構造:
を有する。
いくつかの例示的ドラスタチンは、フェニルおよびチアゾール置換基が独立して選択されたアリールまたはヘテロアリール部分で置き換えられているドラスタチン10に関係している。他の例示的なドラスタチンは、C末端エステル部分が、アミド(アミド窒素がアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル(hetereoarylalkyl)部分で置換されている)で置き換えられているドラスタチン15に関係している。これらの構造および他の例示的第3級アミン含有ドラスタチンの構造ならびにLDCへのこれらの組込み方式は、4級化薬物単位の実施形態において提供される。
「アウリスタチン薬物」は、この用語が本明細書で使用される場合、ドラスタチン10に関係したペプチジルベースのチューブリン破壊剤である。いくつかの第3級アミン含有アウリスタチンは、DEまたはDFの構造を有する:
(式中、Zは、−O−、−S−、または−N(R19)−であり、R10〜R21は、4級化第3級アミン含有アウリスタチン薬物に関する実施形態において定義されている通りである)。LDCまたはその前駆体に組み込まれる場合、第3級アミン部分の(†)で示された窒素は、Loへの、またはLoで構成されるLbもしくはLb’含有部分のLoへの共有結合により4級化されている。典型的には、D+のその4級化部分は、Lo中の自壊性スペーサー単位(Y)単位が構成されるかまたはこの自壊性スペーサー単位(Y)単位をなす、PABまたはPABタイプ部分のベンジル炭素への第3級アミン部分の共有結合から生じる。他の例示的な第3級アミン含有アウリスタチンの構造およびこのような薬物のLDCへのこれらの組込み方式は、アウリスタチンベースの4級化薬物単位の実施形態において提供され、アウリスタチンEおよびアウリスタチン(Auriststin)Fを含む。
使用されている「チューブリシン薬物」は、細胞毒性活性を有するペプチドベースのチューブリン破壊剤であり、1つの天然アミノ酸または非天然アミノ酸構成成分と、3つの他の非天然アミノ酸構成成分で構成され、これらの構成成分のうちの1つは、中央の5員のまたは6員のヘテロアリーレン部分により特徴付けられ、別の構成成分は、4級化薬物単位への組込みのための第3級アミンを提供する。
いくつかの第3級アミン含有チューブリシンは、DGまたはDHの構造:
を有し、他の第3級アミン含有チューブリシンは、DG−1またはDH−1の構造:
を有する
(式中、丸は、5員または6員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、互いに1,3−またはメタの関係にあり、残りの位置において任意選択で置換されており、R4、R4A、R4B、R8Aは、それぞれ、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、R7は、任意選択で置換されているアリールアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルであり、R7Aは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択のヘテロアリールであり、R2は、二価のO連結置換基であるか(すなわち、二重結合は存在するか、もしくはその可変基を有する炭素は、R2の単一の事例により二置換されている)、または二重結合は不在であるか(すなわち、R2は、その可変基を有する炭素に単結合している)、またはR2は、水素、任意選択で置換されているアルキル、もしくは一価のO連結置換基であり、mは0または1であり、R2A、R3、R5およびR6は、チューブリシンベースの4級化第3級アミン含有薬物に関する実施形態において定義されている通りである)。
天然に存在するチューブリシンは、
の構造を有し、破線の垂直の線により示されている通り4つのアミノ酸サブユニットに好都合に分割されており、これらは、N−メチル−ピペコリン酸(Mep)、イソロイシン(Ile)、ツブバリン(Tuv)、およびツブフェニルアラニン(R7Aが水素の場合、Tup)もしくはツブチロシン(R7Aが−OHの場合、Tut)のいずれかと命名されている。チューブリシンA−I、チューブリシンU、チューブリシンVおよびチューブリシンZと命名された、現在公知の約10数種の天然に存在するチューブリシンが存在し、その構造は、チューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態において定義された構造DG−6に対する可変基により示されている。
プレチューブリシンは、構造DGまたはDH(式中、R3は−CH3であり、R2は水素である)を有し、デスメチルチューブリシンはDG、DG−1、DG−6、DH、DH−1の構造およびチューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態で与えられる他のチューブリシン構造(式中、R3は水素であり、他の可変基は、チューブリシンに関して記載されている通りである)を有する。プレチューブリシンおよびデスメチルチューブリシンは、チューブリシンの定義に任意選択で含まれている。
DG、DG−1、DG−6、DH、DH−1の構造およびチューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態において本明細書に記載の他のチューブリシン構造において、示された(†)窒素は、このような構造がLDCまたはその前駆体に組み込まれる場合の4級化の部位である。LDCまたはその前駆体に組み込まれる場合、その窒素は、Loに、またはLoで構成されるLbもしくはLb’含有部分のLoに共有結合することによって4級化される。典型的には、D+のその4級化部分は、Lo中のY単位が構成されるかまたはこのY単位をなす、PABまたはPABタイプ部分のベンジル炭素への第3級アミン部分の共有結合による結合から生じる。他の例示的な第3級アミン含有チューブリシンおよびプレチューブリシンの構造ならびにLDCへのこれらの組込みの方式は、チューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態において提供されている。
チューブリシン薬物を調製する例示的な方法および構造−活性関係は、Shankarら、「Synthesis and structure-activity relationship studies of novel tubulysin U analogs-effect on cytotoxicity of structural variations in the tubuvaline fragment」Org. Biomol. Chem.(2013年)11巻:2273〜2287頁;Xiangmingら、「Recent advances in the synthesis of tubulysins」Mini-Rev. Med. Chem.(2013年)13巻:1572〜8頁;Shankarら、「Synthesis and cytotoxic evaluation of diastereomers and N-terminal analogs of Tubulysin-U」Tet. Lett.(2013年)54巻:6137〜6141頁;Shankarら、「Total synthesis and cytotoxicity evaluation of an oxazole analogue of Tubulysin U」Synlett(2011年)2011巻(12号):1673〜6頁;Raghavan ら、J. Med. Chem.(2008年)51巻:1530〜3頁;Balasubramanian, R.ら、「Tubulysin analogs incorporating desmethyl and dimethyl tubuphenylalanine derivatives」Bioorg. Med. Chem. Lett.(2008年)18巻:2996〜9頁;およびRaghavanら「Cytotoxic simplified tubulysin analogues」J. Med. Chem.(2008年)51巻:1530〜3頁により提供される。
「フェナジンダイマー薬物」は、本明細書で使用する場合、これらのC−1位置で、カルボキサミド官能基を介して一緒に連結されている2つのアリール縮合フェナジン環系を有する第3級アミン含有化合物であり、この連結部分は、本発明のLDCの中にD+として組み込まれる際に4級化される第3級アミン含有部分で構成される。いくつかの第3級アミン含有フェナジンダイマーは、DIの構造:
(式中、環Aおよび環Bは、独立して選択された、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールは、1、2または3つの独立して選択されたRAおよび/またはRB置換基で、任意選択で置換されているフェナジン環系に縮合しており、R9AおよびR9Bは、独立して選択される、任意選択の置換アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子およびこれらの窒素の間にある炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環系を構成し、RA、RB、R11A、R11B、n、sおよびoは4級化第3級アミン含有薬物に関する実施形態において定義されている)を有する。
いくつかの例示的な第3級アミン含有フェナジンダイマー、または構造DIのフェナジンダイマーを構成する縮合したアリールもしくはヘテロアリールを有するフェナジンは、Moorthyら「Fused aryl-phenazines: scaffold for the development of bioactive molecules」Curr. Drug Targets(2014年)15巻(7号):681〜8頁;Zhuoら、「Synthesis and biological evaluation of benzo[a]phenazine derivatives as a dual inhibitor of topoisomerase I and II」Org. Biomol. Chem.(2013年)11巻(24号):3989〜4005頁;Kondratyukら「Novel marine phenazines as potential cancer chemopreventive and anti-inflammatory agents」Marine Drugs (2012年)10巻(2号):451〜64頁;Gamageら「Phenazine-1-carboxamides: structure-cytotoxicity relationships for 9-substituents and changes in the H-bonding pattern of the cationic side chain」Bioorg. Med. Chem.(2006年)14巻(4号):1160〜8頁;Yangら「Novel synthetic isoquinolino[5,4-ab]phenazines: inhibition toward topoisomerase I, antitumor and DNA photo-cleaving activities」Bioorg. Med. Chem.(2005年)13巻(21号):5909〜14頁;Gamageら「Structure-activity relationships for pyrido-, imidazo-, pyrazolo-, pyrazino-, and pyrrolophenazinecarboxamides as topoisomerase-targeted anticancer agents」J. Med. Chem.(2002年)45巻(3号):740〜3頁;Vickerら「Novel angular benzophenazines: dual topoisomerase I and topoisomerase II inhibitors as potential anticancer agents」J. Med. Chem.(2002年)45巻(3号):721〜39頁;Mekapatiら「QSAR of anticancer compounds: bis(11-oxo-11H-indeno[1,2-b]quinoline-6-carboxamides), bis(phenazine-1-carboxamides), and bis(naphthalimides)」Bioorg. Med. Chem.(2001年)9巻(11号):2757〜62頁;Gamangeら「Dicationic bis(9-methylphenazine-1-carboxamides): relationship between biological activity and linker chain structure for a series of potent topoisomerase targeted anticancer agents」J. Med. Chem.(2001年)44巻:1407〜1415頁;およびSpicerら「Bis(phenazine-1-carboxamides): structure-activity relationships for a new class of dual topoisomerase I/II-directed anticancer drugs」J. Med. Chem.(2000年)43巻(7号):1350〜8頁により提供される。
「MDR阻害剤薬物」とは、本明細書で使用する場合、疎水性細胞毒性、細胞分裂停止性または抗炎症性の薬物のトランスポーター媒介性排出に起因する多剤耐性を逆転するまたは減弱させる第3級アミン含有化合物であり、これらの化合物の作用に対する過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の耐性を付与する。それらのトランスポーターは、典型的にはATP結合カセット(ABC)トランスポーターファミリーに属し、P−糖タンパク質、乳がん耐性タンパク質、および多剤耐性関連タンパク質1を含む。MDRを付与する他のABCトランスポーターは、XiaおよびSmith「Drug efflux and multidrug resistance in acute leukemia: therapeutic impact and novel approaches to mediation」Mol. Pharmacol.(2012年)82巻(6号):1008〜1021頁に記載されている。例示的な第3級アミン含有MDR阻害剤薬物は、Zinziら「Small and innovative molecules as new strategy to revert MDR」Front. Oncol.(2014年)doi:10.3389/onc.2014.00002によって提供され、Tariquidar(商標)およびElacridar(商標)ならびにPalevaら「Interactions of the multidrug resistance modulators Tariquidar and Elacridar and their analogues with p-glycoprotein」Chem. Med. Chem. (2013年) doi: 10.1002/cmdc.201300233で提供されているようなその誘導体を含む。第3級アミン含有MDR阻害剤薬物は、独立して細胞毒性でも細胞分裂停止性でもないが、これらは、本発明のLDCから放出される、第3級アミンを含有する細胞毒性または細胞分裂停止性の薬物への包含用にそのように分類される。
4級化薬物単位に組み込まれている第3級アミンを有する例示的なMDR阻害剤薬物は、4級化第3級アミン含有薬物に関する実施形態において提供されている。典型的には、これらの薬物は、LDCに組み込まれる際にその窒素が4級化の部位となるイソキノリン部分構造により特徴付けられる。したがって、いくつかの例示的なMDR阻害剤は、構造:
(式中、Arは、任意選択で置換されているアリールである)を有し、Tariquidar(商標)およびElacridar(商標)を含む。
「予防する」、「予防すること」などの用語は、本明細書で使用する場合、医学的技術におけるその通常の従来通りの意味を採用し、したがってこの用語が指す各事例が確実に回避されることを必要としない。
「細胞内代謝物」は、本明細書で使用する場合、細胞内でのLDCに対する代謝プロセスまたは反応から結果として生じる化合物を指す。代謝プロセスまたは反応は、酵素的プロセス、例えば、LDCのペプチドリンカーのタンパク質分解の切断などであってよい。細胞内代謝物は、これらに限定されないが、標的とされる細胞への侵入、拡散、取り込みまたは輸送後、細胞内の切断を経験した標的化部分および遊離薬物を含む。
「細胞内切断された」、「細胞内切断」などの用語は、本明細書で使用される場合、細胞内でのLDCなどに対する代謝プロセスまたは反応であって、これによって、第4級アミンと抗体の間の共有による結合、例えばリンカーが破壊され、細胞内の標的化部分から分離した、コンジュゲートの遊離第3級アミン含有薬物または他の代謝物をもたらす、代謝プロセスまたは反応を指す。したがって、LDCの切断した部分は細胞内代謝物である。
「バイオアベイラビリティー」は、本明細書で使用する場合、患者に投与される薬物の所与の量の全身性利用の可能性(すなわち、血液/血漿レベル)を指す。バイオアベイラビリティーは、投与された剤形から全身循環に到達する薬物の時間(速度)と総量(程度)の両方の測定を示す絶対的用語である。
「対象」とは、本明細書で使用する場合、LDCの有効量を投与することから恩恵を受ける、過剰増殖、炎症性もしくは免疫障害を有する、またはこのような障害を起こす傾向がある、ヒト、非ヒト霊長類または哺乳動物を指す。対象の非限定的例として、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、雌ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、トリおよび家禽が挙げられる。典型的には、対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウスまたはイヌである。
「阻害する」または「〜の阻害」という用語は、測定可能な量だけ減少させる、または完全に阻止することを意味する。ADCにとっての過剰増殖細胞の増殖の阻害は、典型的には、細胞培養物(in vitroで)または異種移植片モデル(in vivoで)などの適切な試験系内で未処理の細胞(ビヒクルで擬似処理した)に対して決定される。典型的には、目的の過剰増殖細胞または活性化免疫刺激細胞に存在しない抗原への標的化部分で構成されるLDCは、陰性対照として使用される。
「治療有効量」という用語は、哺乳動物において疾患または障害を処置するのに有効な薬物の量を指す。がんの場合、薬物の治療有効量は、がん細胞の数を減少させること、腫瘍の大きさを減少させること、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害する(すなわち、ある程度進行を遅らせ、好ましくは停止する)こと、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度進行を遅らせ、好ましくは停止する)こと、腫瘍の成長をある程度阻害すること、および/またはがんに伴う症状のうちの1つもしくは複数をある程度緩和することができる。薬物が、既存のがん細胞の成長を阻害するおよび/または死滅させ得る範囲内で、それは、細胞分裂停止性および/または細胞毒性であってよい。がん療法に対して、効力は、例えば、疾患進行に対する時間(TTP)を評価するおよび/または応答率(RR)を判定することによって測定することができる。
過剰刺激された免疫細胞から結果として生じる免疫障害の場合、薬物の治療有効量は、過剰刺激された免疫細胞の数、これらの刺激の程度および/またはその他の点では正常な組織への浸潤を減少させること、ならびに/あるいは過剰刺激された免疫細胞に起因する調節不全の免疫系に伴う症状のうちの1つもしくは複数をある程度緩和することができる。過剰刺激された免疫細胞に起因する免疫障害に対して、効力は、例えば、1つもしくは複数のサイトカインレベル、例えば、IL−1β、TNFα、INFγおよびMCP−1に対するサイトカインレベル、または古典的に活性化したマクロファージの数を含む、1つもしくは複数の炎症性の代用物を評価することによって測定することができる。
本発明の一部の態様では、リガンド薬物コンジュゲートは、標的細胞(すなわち、過剰増殖細胞または過剰刺激された免疫細胞)の表面で抗原と会合し、次いで、リガンド薬物コンジュゲートは、受容体媒介性エンドサイトーシスを介して標的細胞内に吸収される。一度細胞の内側に入ると、リンカー単位内の1つまたは複数の切断単位が切断され、第3級アミン含有薬物の放出をもたらす。次いで、放出された第3級アミン含有薬物は、サイトゾル内を自由に移動し、細胞毒性もしくは細胞分裂停止性活性を誘発するか、または過剰刺激された免疫細胞の場合には、代わりに炎症誘発性シグナル伝達を阻害することができる。本発明の別の態様では、薬物は、標的細胞の外側で、ただし標的細胞に接近した範囲内でリガンド−薬物コンジュゲートから切断されることによって、放出された第3級アミン含有単位はこれに続いて、遠位の部位で放出されるのではなく、細胞に浸透する。
「担体」とは、この用語が本明細書で使用される場合、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を指す。このような薬学的担体は、水および油(石油、動物、植物または合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含めて)などの液体であってよい。担体は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状のシリカ、ウレアであってよい。加えて、助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を使用することができる。一実施形態では、患者に投与される場合、化合物または組成物および薬学的に許容される担体は無菌である。化合物が静脈内に投与される場合、水は例示的担体である。生理食塩水溶液および水性ブドウ糖およびグリセロール溶液もまた、特に注射溶液に対して液体担体として利用できる。適切な薬学的担体として、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、穀粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノールなども挙げられる。本発明の組成物はまた、所望する場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。
「処置する」、「処置」などの用語は、文脈により特に指摘されていない限り、再発を予防するための治療的処置および予防的対処を指し、この目的は、所望しない生理学的変化または障害、例えば、がんの発症もしくは拡散または慢性炎症から生じる組織損傷などを阻害するまたは減速させる(軽減する)ことにある。典型的には、このような治療的処置の有益なまたは所望の臨床結果として、これらに限定されないが、検出可能または検出不能に関わらず、症状の軽減、疾患の程度の減退、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行を遅延させるまたは遅らせる、病態の回復または緩和、および寛解(部分的であれ全部であれ)が挙げられる。「処置」はまた、処置を受けていない場合に予想される生存または生活の質と比較して、生存または生活の質を長引かせることを意味することもできる。処置を必要とする人たちとして、状態または障害をすでに有する人たち、ならびにこれらの状態または障害を起こす傾向がある人たちが挙げられる。
がん、または慢性炎症に関係した病態との関連で、「処置する」という用語は、腫瘍細胞、がん細胞、もしくは腫瘍の成長を阻害すること、腫瘍細胞もしくはがん細胞の複製を阻害すること、腫瘍細胞もしくはがん細胞の播殖を阻害すること、全身腫瘍組織量を和らげるもしくはがん性細胞の数を低減させること、炎症誘発性免疫細胞の複製もしくは刺激を阻害すること、調節不全の免疫系の慢性の炎症性状態を阻害もしくは低減すること、または自己免疫性の状態もしくは疾患を有する対象が経験する発赤の強度および/もしくは頻度を低減させること、あるいはがんまたは過剰免疫で刺激された疾患もしくは状態に伴う1つまたは複数の症状を回復させることのうちのいずれかまたはすべてを含む。
「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用する場合、化合物の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。化合物は、典型的には少なくとも1つのアミノ基を含有し、したがってこのアミノ基を用いて酸付加塩を形成することができる。例示的な塩として、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチレート、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))が挙げられる。
薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの包含を含み得る。対イオンは、親化合物の電荷を安定化する有機部分または無機部分のいずれかであってよい。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に1個より多くの帯電した原子を有することができる。複数の帯電した原子が薬学的に許容される塩の一部である事例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1個または複数の帯電した原子および/あるいは1つまたは複数の対イオンを有することができる。
典型的には、薬学的に許容される塩は、P. H. StahlおよびC. G. Wermuth(編)Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use、Weinheim/Zuerich:Wiley-VCH/VHCA、2002年に記載されているものから選択される。塩の選択は、薬物製品が示さなければならない特性に依存し、この特性は、意図される投与経路(複数可)に応じた様々なpH値での十分な水性溶解度、取扱いならびに促進条件下(すなわち、40℃および75%相対湿度で保存した場合の分解または固体変化を判定するため)で化学的および固体安定性を判定することによる必要とされる貯蔵寿命に適切な、流れ特性ならびに低い吸湿性(すなわち、水吸収対相対湿度)を有する、結晶化度を含む。
「付加数」、「薬物付加数」、「ペイロード付加数」などの用語は、LDCの集団(すなわち、同じまたは異なる結合位置を有するが、その他の点では本質的に同一構造である、結合しているD+単位の数が異なるLDCの組成物)内のペイロード(「ペイロード(単数)」および「ペイロード(複数)」は、本明細書で「薬物(単数)」および「薬物(複数)」と交換可能なように使用される)の平均数を表すまたは指す。薬物付加数は、標的化部分1つ当たり1〜24個の薬物の範囲となり得る。これは、時にはDAR、すなわち薬物対標的化部分の比と呼ばれる。本明細書に記載のLDCの組成物は、典型的には、1〜24のDAR、一部の態様では1〜8、2〜8、2〜6、2〜5および2〜4のDARを有する。典型的なDAR値は、約2、約4、約6および約8である。抗体1つ当たりの薬物の平均数、すなわちDAR値は、UV/可視分光法、質量分析法、ELISAアッセイ、およびHPLCなどの従来の手段により特徴付けることができる。定量的DAR値もまた決定することができる。ある場合には、特定のDAR値を有する均質なLDCの分離、精製、および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段で達成することができる。DARは、標的化部分上の結合部位の数により限定され得る。
例えば、標的化部分が抗体であり、結合部位がシステインチオールである場合、抗体は、Lb’含有部分と反応する十分に反応性のあるチオール基を1つのみまたはいくつか有することができる。時には、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合に参加したシステイン残基から誘導されたチオール基である。またある時には、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合に参加しなかったが、遺伝子操作を介して導入されたシステイン残基のチオール基である。典型的には、D+部分の理論的最大値未満が、コンジュゲーション反応中に抗体にコンジュゲートする。例えば、抗体は、最も反応性のあるリシン基のみがLb’含有部分と反応し得るので、このLb’含有部分と反応しない多くのリシン残基を含有し得る。
「抗生剤」は、本明細書で定義される場合、哺乳動物細胞と比較して、原核細胞(例えば、細菌)に対して主にまたは選択的にその作用を発揮する天然の、半合成または合成由来の化合物を意味する。抗生剤は典型的には、この抗生剤を投与されるヒトまたは動物に対する有意な毒性なしに、微生物の成長を阻害する。抗生剤として、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、およびアンサマイシン(ansamysins)が挙げられる。抗生剤は、主に感染症の処置に使用される。本発明に対して想定される薬物は抗生剤ではない。
I.実施形態
第3級アミン含有薬物の、正常細胞と、もしくは異常細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、過剰増殖細胞もしくは過剰活性化免疫細胞への、またはこのような異常細胞の近隣への、優先的な送達が可能である、これらの異常細胞により特徴付けられる疾患および状態を処置するのに有用な、リガンド−薬物コンジュゲート(LDC)が本明細書に提供されている。
1.1 概要:
LDCは、3つの主成分を有する:(1)異常細胞または望ましくない細胞が典型的には存在しない正常細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する他の部分と比較して、これらの異常細胞または他の望ましくない細胞の細胞表面、細胞内、または細胞付近に存在する、あるいは、正常細胞、または異常細胞もしくは望ましくない細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、より大きな存在量で異常細胞または他の望ましくない細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する、標的部分に選択的に結合する標的化部分からのリガンド単位(2)第3級アミン含有薬物に対応する構造を組み込んだ4級化薬物単位、ならびに(3)D+をリガンド単位に連結し、リガンド単位により標的とされる異常細胞または望ましくない細胞内または細胞の付近に遊離第3級アミン含有薬物を条件付きで放出することが可能なリンカー単位。
本発明に使用されるべき第3級アミン含有薬物は、原核細胞と比較して哺乳動物細胞に、主にまたは選択的にその作用(例えば、細胞毒性、細胞分裂停止性作用)を発揮する薬物である。一部の態様では、標的部分は、正常細胞と比較して、異常細胞または望ましくない細胞の表面に優先的に見出される、細胞外提示された膜タンパク質のエピトープである。
一部の態様では、第3級アミン基を有する細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の薬物単位(D)は、4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれ、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常なまたは所望しない細胞に対して細胞内活性を有し、「遊離」形態(すなわち、DはD+から放出される)では、これらの細胞に対して特異的であってもなくてもよい。したがって、Dは、異常細胞または望ましくない細胞を伴わない正常細胞と比較して、異常細胞または望ましくない細胞に対して、選択的または非特異的な細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性活性を有し得る。いずれの状況でも、異常細胞または望ましくない細胞(すなわち、標的とされる細胞)に対する特異性は、Dが組み込まれているLDCのリガンド単位(L)から生じる。LおよびD+に加えて、異常細胞または望ましくない細胞を標的とするLDCは、典型的には、4級化薬物単位をリガンド単位に共有結合により結合させるリンカー単位を有する。一部の態様では、リガンド単位は、例示的な標的化部分である抗体由来のものであり、これが異常な哺乳動物細胞を認識する。
一部の態様では、リガンド単位により認識される標的部分は、正常細胞と比較して、異常細胞または望ましくない細胞の表面に優先的に見出される、細胞外提示された膜タンパク質のエピトープである。これらの態様のいくつかにおいて、さらなる必要条件として、結合した細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の薬物の有効量が優先的に異常細胞に細胞内送達されるためには、リガンド単位が標的とする膜タンパク質は、十分なコピー数を有し、LDCの結合により内在化されなければならない。これらの制限により、D+から放出される薬物は典型的に、所望の作用部位から離れたまたはその周辺の正常細胞の破壊、損傷または望ましくない阻害により生じる耐えられない副作用のため、典型的には独立した薬物として対象に投与され得ない、高活性化合物である。
有害な周辺の作用を有する第3級アミン含有薬物が、そのLDCにより選択的に送達される必要があるとすると、LDCのリンカー単位は、標的化部分と、第3級アミン含有薬物がそこから放出されるD+との間で架橋としての機能を果たす単なる受動的構造ではなく、LDCの投与の部位から標的とされる部位へのその送達まで安定性を有するように慎重に操作され、次いで活性薬物部分を効率的に放出しなければならない。その作業課題を遂行するために、標的化部分は、Lb’含有部分と反応して、Lb含有部分を形成する。こうして形成されたLb含有部分がLDCである場合、このような化合物は、典型的にはリガンド単位の形態の標的化部分、第1次リンカー(LR)とも呼ばれるリガンド結合部分(Lb)、4級化第3級アミン含有薬物(D+)およびLbとD+の間にある第2次リンカー(Lo)で構成される。
1.1 第1次リンカー(LR):
第1次リンカー(LR)は、リガンド結合部分(Lb)またはリガンド結合部分前駆体(Lb’)であり、典型的には、LDCのリンカー単位の構成成分またはLb’含有部分、例えば、Lb’−LoまたはLb’−Lo−D+などとして存在する。Lb’含有部分の第1次リンカーは、標的化部分の求電子性または求核性官能基と反応することが可能な官能基で構成される。その反応の結果、標的化部分は、Lbを介して第1次リンカーに共有結合し、この第1次リンカーは、ここでLb’から誘導された官能基を有するLbとなる。
一部の実施形態では、Lb’含有部分中のLb’は、以下のうちの1つの構造を有する
(式中、Rは、水素またはC1〜C6の任意選択で置換されているアルキルであり、Tは、−Cl、−Br、−I、−O−メシル、−O−トシルまたは他のスルホン酸エステル脱離基であり、Uは、−F、−Cl、−Br、−I、−O−N−スクシンイミド、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニルまたは−O−C(=O)−OR57であり、X2は、C1〜10アルキレン、C3〜C8炭素環、−O−(C1〜C6アルキル)、−アリーレン−、C1〜C10アルキレン−アリーレン、−アリーレン−C1〜C10アルキレン、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C6炭素環)−、−(C3〜C8炭素環)−C1〜C10アルキレン−、C3〜C8複素環、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン、−(CH2CH2O)u、または−CH2CH2O)u−CH2−であり、uは、1〜10の範囲の整数であり、R57はC1〜C6アルキルまたはアリールであり、波線は、Loのサブユニットへの共有結合を示す)。
標的化部分の求電子剤または求核剤との相互作用により、Lb ’は、以下に例示されているようなリガンド−Lb部分に変換され、ここで1つのこのような相互作用が生じる:
(式中、示された(#)原子は、リガンドの反応性部分から誘導され、X2は定義されている通りである)。
1.2 第2次リンカー(Lo):
LDCまたはLb’を含有するその前駆体の中の第2次リンカーは、第1次リンカー(LR)と4級化薬物単位(D+)との間に位置する有機部分であり、LDCが標的とする過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在するその同族の標的部分にLDCの標的化部分が選択的に結合した後、LDCのリンカー単位内の切断可能単位のプロセシングを提供する。一部の実施形態では、Wは、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞内に存在するプロテアーゼに対する基質を提供する。そのLDCからの早期放出によって起こる、標的のない薬物放出もしくは第3級アミン含有薬物への全身暴露を最小限に抑えるために、典型的には過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の存在下にない正常細胞により排出されるプロテアーゼで認識されないか、または全身循環を有するプロテアーゼに対する基質である切断単位が好ましい。調節性プロテアーゼまたはリソソームに見出されるプロテアーゼであるプロテアーゼがさらに好ましく、リソソームは、LDCが特異的に結合した膜表面受容体の内在化によりLDCが送達される細胞の区画である。調節性プロテアーゼおよびリソソームプロテアーゼは例示的な細胞内プロテアーゼである。
一実施形態では、第2次リンカー内のWは、構造:
(式中R29は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R30はメチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または、−(CH2)2CO2Hである)を有するジペプチド部分で構成されるかまたは前記ジペプチド部分からなり、このジペプチド部分は、調節性プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼのための認識部位を提供する。
好ましい実施形態では、ジペプチドはバリン−アラニン(val−ala)である。別の実施形態では、Wは、ジペプチドバリン−シトルリン(val−cit)で構成されるかまたはこれからなる。別の実施形態では、Wは、ジペプチドトレオニン−グルタミン酸(thr−glu)で構成されるかまたはこれからなる。これらの実施形態のいくつかでは、ジペプチド部分は、アラニンもしくはシトルリンカルボン酸官能基またはグルタメートのアルファカルボン酸官能基と、SIのアリールまたはヘテロアリールアミノ基との間で形成されるアミド結合を介して、YのSI単位に共有結合により結合している。したがって、これらの実施形態では、SIはアリールアミンまたはヘテロアリールアミン部分で構成され、ジペプチド部分の上述のカルボン酸官能基は、そのアリールアミン部分のアミノ窒素とアニリド結合を形成する。
別の実施形態では、第2次リンカー内のWは、細胞内に位置するグリコシダーゼのための認識部位を有するグリコシド結合した炭水化物部分で構成される。これらの実施形態では、WはEに結合した炭水化物部分であり、W−Eは、EからのWの切断のための認識部位を提供し、WとEの間の結合はグリコシド結合である。これらの実施形態では、W−Eは、典型的には、構造
(式中、R45は−CH2OHまたは−CO2Hであり、Eは、炭水化物部分に、およびYの自壊性部分(波線で示されている通り)に結合したヘテロ原子部分、例えば、−O−、−S−または−NH−であり、炭水化物部分への結合は、グリコシダーゼのための認識部位を提供する)を有する。好ましくはその部位は、リソソームグリコシダーゼにより認識される。一部の実施形態では、R45が−CO2Hである場合のように、グリコシダーゼはグルクロニダーゼである。
Wに加えて、第2次リンカーはまたスペーサー(Y)単位で構成され、Wに関して、
によりそれぞれ表される直線的または直角の関係で配置されたストレッチャー(A)単位でさらに構成されてもよい
(式中、下付き文字wは1であり、yは1であり、下付き文字aは0または1であり、
Yへの波線は、YのD+への共有結合を示し、両方の構造において、aが1の場合にはAへの波線、またはaが0の場合には、Y−D+との直線的配置ではWへの波線、もしくはWがY−D+と直角の配置にある場合にはYへの破線は、A、WまたはYの、それぞれ、LbまたはLb’のScへの共有結合を示す)。好ましい実施形態では、a、wおよびyはそれぞれ1である。
Loの中のいくつかの例示的なA、WおよびY部分、ならびにこれらの置換基の構造は、本明細書に参照により組み込まれているWO2004/010957、WO2007/038658、米国特許第6,214,345号、同第7,498,298号、同第7,968,687号および同第8,163,888号、および米国特許公開第2009−0111756号、同第2009−0018086号および同第2009−0274713号に記載されている。
一部の実施形態では、A部分またはそのサブユニット(例えば、A1、Ao)は、
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、Aに対して直線的に配置されたWを構成するジペプチド部分のアミノ末端への結合点、またはWがYに結合し、Aに対して直角に配置されている本明細書に記載のYの中のSIの自壊部分への結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、LbまたはLb’の中のScのカルボニル含有官能基への結合点を表し、
KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42、またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR42、R43のうちの1つは不在であるが、ただし、2つの隣接するLはN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、
qは0〜12の範囲の整数であり、rは1〜12の範囲の整数であり、
Gは、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここでRPRは、適切な保護する)、−N(RPR)(RPR)(ここでRPRは、独立して保護基であるか、またはRPRは、適切な保護基を一緒に形成する)であるか、または−N(R45)(R46)であり、R45、R46の一方は水素またはRPRであり、RPRは適切な保護基であり、他方は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、
R38は、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、もしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR40とR41、もしくはR40とR43、もしくはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子と、ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員または6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成するが、ただし、KがOまたはSの場合、R41およびR42は不在であり、KがNの場合、R41、R42のうちの1つは不在であり、LがOまたはSの場合、R43およびR44は不在であり、LがNの場合、R43、R44のうちの1つは不在である)の構造を有する。
一部の実施形態では、R38は水素である。他の実施形態では、−K(R41)(R42)は−(CH2)−である。pが0でない場合の他の実施形態では、R39およびR40は出現するたびに水素である。qが0でない場合の他の実施形態では、−L(R43)(R44)−は出現するたびに−CH2−である。
好ましい実施形態では、Gは−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、Kおよび/またはLはCである。他の好ましい実施形態ではqまたはpは0である。また他の好ましい実施形態では、p+qは1〜4の範囲の整数である。
一部の実施形態ではAまたはそのサブユニットは、−NH−C1〜C10アルキレン−C(=O)−、−NH−C1〜C10アルキレン−NH−C(=O)−C1〜C10アルキレン−C(=O)−、−NH−C1〜C10アルキレン−C(=O)−NH−C1〜C10アルキレン(C=O)−、−NH−(CH2CH2O)s−CH2(C=O)−、−NH−(C3〜C8カルボシクロ)(C=O)−、−NH−(アリーレン−)−C(=O)−、および−NH−(C3〜C8ヘテロシクロ−)C(=O)の構造を有する。
他の実施形態では、Aまたはそのサブユニットは、
(式中、R13は、−C1〜C10アルキレン−、−C3〜C8カルボシクロ−、−アリーレン−、−C1〜C30ヘテロアルキレン−、−C3〜C8ヘテロシクロ−、−C1〜C10アルキレン−アリーレン−、−アリーレン−C1〜C10アルキレン−、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8カルボシクロ)−、−(C3〜C8カルボシクロ)−C1〜C10アルキレン−、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−(C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン−、−(CH2CH2O)1〜10(−CH2)1〜3−、または−(CH2CH2NH)1〜10(−CH2)1〜3−である)の構造を有する。一部の実施形態では、R13は、−C1〜C10アルキレン−または−C1〜C30ヘテロアルキレン−である。一部の実施形態では、R13は、−C1〜C10アルキレン−、−(CH2CH2O)1〜10(−CH2)1〜3−、または−(CH2CH2NH)1〜10(−CH2)1〜3−である。一部の実施形態では、R13は、−C1〜C10アルキレン−ポリエチレングリコール、またはポリエチレンイミンである。
さらに好ましい実施形態では、Aまたはそのサブユニットは、構造において、アルファ−アミノ酸−、ベータ−アミノ酸部分、または他のアミン含有酸に対応する。AおよびサブユニットA1およびAoの他の実施形態は、リンカー単位としてのLR−Loに関する実施形態において記載されている。
一部の実施形態では、Y部分は、Yに共有結合したWの酵素的プロセスの後で、1,4−脱離反応または1,6−脱離反応を経験することが可能である(すなわち、YはSIで構成される)。一部の実施形態では、Loにおいて直線的に配置されたYのSIは、
(式中、V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、−C(R24)=または−N=であり、Uは、−O−、−S−または−N(R25)−であり、
R24は、独立して、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR25、−SR26、−N(R27)(R28)、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、または−C(R29)=C(R30)−R31であり、R25は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R26は、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R27およびR28は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR27およびR28の両方は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員の複素環を構成し、R29およびR30は、独立して、水素、または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R31は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)OR32または−C(=O)NR32であり、R32は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、または任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であるが、
ただし、R24のうちの2つ以下は、水素以外とし、
Jは、−O−、S−、または−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、
Eへの波線は、1,4−脱離または1,6−脱離に対してSIのアリーレン部分を安定化するために十分にEの電子供与能力を阻害するWの官能基へのEの共有結合を表し、Wの酵素プロセシングが、Yに結合した活性薬物部分を放出する脱離を引き起こすその能力の脱阻害をもたらし(例えば、Eが、Wのカルボニル含有官能基のカルボニル部分に結合している場合)
1,4−脱離または1,6−脱離により、D+内の第3級アミン含有化合物が放出される)の構造を有する。
SIがLoの中でWおよびD+に関して直線的に配置された場合の好ましい実施形態では、SIは、
の構造を有する。
好ましい実施形態では、−J−は、−O−または−NH−であり、V、Z1またはZ2は=C(R24)であり、R24は水素または電子供与基である。他の好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、V、Z1またはZ2は=CH−である。他の好ましい実施形態では、−J−は−NHであり、V、Z1またはZ2は=CH−であり、R’は水素または電子供与基である。
他の実施形態では、W−Yは、Loにおいて直角に配置され(すなわち、リンカー単位内で−Y(W)−である)、YのSIは、グリコシダーゼのための認識部位を有するグリコシド結合した炭水化物部分に結合しており、SIを含めた直角の配置は、典型的には、
(式中、Eは、V、Z1、Z3のうちの1つに結合しているが、ただし、他のV、Z1、Z2(すなわち、Eに結合していないもの)は=C(R24)−もしくは=N−で定義される)の構造で表されるか、またはSIは、
(式中、V、Z1およびZ3は、独立して、−C(R24)=または−N=であり、R24は、独立して、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR25、−SR26、−N(R27)(R28)、−C(R29)=C(R30)−R31または任意選択で置換されているC1〜C6であり、
R25は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R26は、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R27およびR28は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR27およびR28の両方は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員の複素環を構成し、R29およびR30は、独立して、水素、または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R31は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−CN、−C(=O)OR32または−C(=O)NR32であり、R32は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、または任意選択で置換されているヘテロアリールであり、
R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R’は、水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子求引基であり、R45は、−CH2OH、−CO2Hであり、Eは−O−または−NH−であり、Jは−NH−であり、D+は、4級化薬物単位に関して記載されている実施形態において定義されている通りである)の構造で表される。
W−YがLoにおいて直角に配置されている場合の好ましい実施形態では、YのSIは、
の構造を有する。
好ましい実施形態では、−E−は、−O−または−NH−であり、VまたはZ3は=C(R24)であり、R24は水素または電子求引基である。他の好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、V、Z1またはZ2は=CH−である。他の好ましい実施形態では−J−は−NHであり、V、Z1またはZ2は=CH−であり、R’は水素または電子求引基である。
1.3 リンカー単位としてのLR−Lo
本明細書で開示されている上記SI部分のいずれかに結合している第4級薬物単位(D+)は、第3級アミン部分を有する任意の4級化された細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の薬物(すなわち、D+は4級化第3級アミン含有薬物である)を表すことができ、その4級化窒素は、SI部分のベンジル位置に結合している。
一部の実施形態では−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、Lbへの波線は、LDCの標的化部分への共有結合を示し、Q1はAa−Wwであり、Aは、2、3または4つのサブユニットで、任意選択で構成される、任意選択のストレッチャー単位であり、下付き文字aは0または1であり、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、循環している血清プロテアーゼと比較して、標的化部分の標的となる異常細胞により生成されるプロテアーゼにより、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより選択的切断が可能であり、あるいは血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下で、加水分解に対してさらに反応性があり、Q2のW−Eは、グリコシダーゼにより切断可能であり、下付き文字wは0または1であり、w’は0または1であり、w+w’は1であり(すなわち、1つのみのWが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CN、もしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基、−Q2、もしくは−C(R8)(R9)−D+であるが、ただし、w’が1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+がV、Z1、Z2、Z3のうちの1つに結合し、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基が互いにオルトまたはパラにあるものとし、
ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+が、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに結合し、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに結合することとなり、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、pは、1〜24の範囲の数であり、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、加水分解またはグリコシダーゼ切断は、DのD+からの排出をもたらす)の構造を有する。
好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、V、Z1およびZ2は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルである)の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、V、Z2およびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは、−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルである)の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、Vは、=N−または=C(R24)−であり、R24は水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子求引基であり、Z1は、=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは、−O−または−N(R33)であり、R33は、水素または低級アルキルである)の構造を有する。
Q2で構成される上記−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+構造のさらに好ましい実施形態では、Vは=C(R24)−であり、R24は水素、ハロゲンまたは−NO2である。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、VおよびZ1は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは、−O−または−N(R33)であり、R33は、水素または低級アルキルであり、R’は、水素または電子求引基である)の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、Z1は、=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、Z3は、=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子求引基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子供与基である)の構造を有する。
Q2で構成される上記−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+構造のさらに好ましい実施形態では、Z3は=C(R24)−であり、R24は水素、ハロゲンまたは−NO2である。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、VおよびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は、水素または電子求引基である)の構造を有する。
一部の実施形態では、LR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+)は、
(式中、V、Z1およびZ2は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子供与基である)の構造を有する。
好ましい実施形態では、上記LR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+およびLb’−Lo−D+)の構造のうちのいずれか1つの中のV、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも1つは−CH=であり、すなわち=N−ではない。
さらに好ましい実施形態では、LR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+)は、
(式中、V、Z1またはZ3は=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子求引基である)の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、Q1で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のR8およびR9は水素である。Q1で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中の他のさらに好ましい実施形態では、V、Z1またはZ2は=C(R24)−であり、R24は水素または電子供与基である。したがって、これらのさらに好ましい実施形態のいくつかは、
の構造を有する。
他のさらに好ましい実施形態では、Q1の中のAは、Q1で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のAが存在する場合(すなわち、aが1)、アミン含有酸のカルボン酸末端がエステルまたはアミドとしてJに結合し、そのN末端がカルボニル含有官能基を介してLbまたはLb’に結合しているアミン含有酸に構造において対応する。
他の実施形態ではLR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+)は、
(式中、V、Z1またはZ3は=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子求引基である)の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、Q2で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のR8およびR9は水素である。他のさらに好ましい実施形態では、VまたはZ3は=C(R24)−であり、R24は水素または電子供与基である。したがって、これらのさらに好ましい実施形態のいくつかは、
の構造を有する。
他のさらに好ましい実施形態では、Aは、Q2で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のAが存在する場合、アミン含有酸のカルボン酸末端がエステルまたはアミドとしてJに結合し、そのN末端がカルボニル含有官能基を介してLbまたはLb’に結合しているアミン含有酸に構造において対応する。特に好ましい実施形態では、上記−Lb−Lo−D+、Lb’−Lo−D+またはLR−Lo−D+の実施形態のいずれか1つの中の−Lb−A−またはLb’−Aは、
で表されるM1−A、M1−A1−Ao−、M2−AまたはM2−A1−Ao−の構造を有する
(式中、A1およびAoはAのサブユニットであり、Lbはスクシンイミド(M2)部分であり、Lb’はマレイミド部分(M1)であり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−はAまたはAのサブユニット(A1)であり、RおよびRa2は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Ra1は、水素、低級アルキルまたはBUであり、HEは、任意選択の加水分解促進剤(HE)単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいは一方のRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、他方のRb1は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造を有する塩基性単位であり、nは0、1、2または3であり、R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはR22およびR23は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、標的化部分のスルフヒドリル部分は、スクシンイミド部分への波線で示されている通りM2に結合しており、HEへの(またはHEが存在しない場合には、[C(Rb1)(Rb1)]mへの)波線は、Aの別のサブユニットへの、またはQ1が存在するような実施形態ではWへの、またはQ2が存在するような実施形態ではSI部分のV、Z1、Z2もしくはZ3への共有結合を示す)。
それらの実施形態では、−LbおよびLb’は、スクシンイミド(M2)部分と呼ばれ、これらに対応する−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−またはLb’−A1は、スクシンイミド含有部分と呼ばれ、これらは、代表的なLSS部分である。
他の特に好ましい実施形態では、上記Lb−を含有する実施形態のいずれか1つの中の−Lb−A−または−Lb−A1−Aoは、
(式中、A1およびAoはAのサブユニットであり、M3AおよびM3BはM3の位置異性体であり、標的化部分およびHE(または[C(Rb1)(Rb1)]m)のスルフヒドリル基への可変基および結合性は、すぐ上に示されている対応するスクシンイミド含有部分に関して定義されている通りである)で表されるM3−AまたはM3−A1−Aoの構造を有する。本発明の実施形態では、Lbはコハク酸−アミド(M3)部分と呼ばれ、−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−またはLb’−A1はコハク酸−アミド含有部分と呼ばれ、これらは代表的なLS部分である。
これらの−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−およびLb’−A1またはM1−A、M1−A1−Ao−、M2−A、M2−A1−Ao−、M3−AおよびM3−A1−Aoの実施形態のいずれか1つでは、各Rbは、独立して、好ましくは水素または低級アルキルであり、mは0または1であり、Ra1は好ましくは水素、低級アルキルもしくはBUであるか、またはRa2は好ましくは水素である。
Q1がAまたはA1−Aoで構成される、Q1で構成される上記実施形態のいずれか1つでは、好ましい実施形態は、Q1のWがアミド官能基を介してAまたはAoに結合しているものである。それらの実施形態では、好ましくはA、A1およびAoは、ストレッチャー単位の実施形態に関して本明細書に記載されているようなアミン含有酸に対応する、独立して選択される構造を有する。AまたはA1で構成される上記−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−およびLb’−A1の実施形態のいずれか1つでは、AおよびA1は、ストレッチャー単位の実施形態(Aは、Wに結合しているか、またはA1はアミド官能基を介してAoに結合している)に関して本明細書に記載されているようなアミン含有酸に対応する構造を好ましくは有する。上記M1−A、M1−A1−Ao−、M2−A、M2−A1−Ao−、M3−AおよびM3−A1−Aoの実施形態のいずれか1つでは、好ましくはA、A1およびAoは、ストレッチャー単位AおよびサブユニットAoの実施形態に関して本明細書に記載されているようなアミン含有酸に対応する、独立して選択される構造を有する。−A(BU)−または−A1(BU)−部分で構成される上記LSSまたはLSの実施形態のいずれか1つでは、AおよびA1は、BUで置換されているアミン含有酸に対応する構造を好ましくは有し、したがって、ストレッチャー単位および塩基性単位の実施形態に関して本明細書に記載されているようなジアミノ含有酸である。アミン含有酸に構造において対応するAまたはA1部分を有する、M1を含有する部分、M2を含有する部分およびM3−を含有する部分において、このアミン含有酸のアミン窒素は、M1環系もしくはM2環系のイミン窒素またはM3部分のアミド窒素として組み込まれる。LSSまたはLS−を含有する部分の中で、ジアミノ含有酸のN末端アミン窒素は、M1環系もしくはM2環系のイミン窒素またはM3部分のアミド窒素として組み込まれている。好ましくは、上記M1を含有する部分、M2を含有する部分およびM3−を含有する部分またはLSSもしくはLS−を含有する部分のいずれか1つでは、アミン含有酸またはジアミノ含有酸のカルボン酸は、A1−Ao−で構成されるような部分ではAoに対する、または、Aoが存在しない場合、Aで構成される部分ではWに対するアミド官能基に組み込まれる。
他の好ましい実施形態では、Wは、カテプシンプロテアーゼにより認識されるジペプチドで構成され、このジペプチドは、別のアミド官能基を介してSIのJに結合しており、このカテプシンは、SIへのWのアミド結合を切断して、SIのフラグメント化を引き起こすことによって、SIに結合したD+からDを放出することが可能である。
HEで構成されるこれらの実施形態および上記実施形態のいずれか1つでは、HEは好ましくは−C(=O)−である。Q1のWがカテプシンプロテアーゼにより認識されるジペプチドで構成される上記実施形態のいずれか1つでは、好ましいジペプチドは、
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドN末端の波線は、AまたはLbもしくはLb’への共有結合を示し、ジペプチドC末端の波線は、SI部分のJへの共有結合を示す)の構造を有する。
Q1で構成される好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、A1およびAoはAのサブユニットであり、Aoは任意選択のサブユニットであり(すなわち、Aoが不在の場合、A1はAとなる)、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、R’、R8、R9、J、V、Z1およびZ2は、式Iに関して先に定義された通りである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他のさらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。また他のさらに好ましい実施形態では、J、V、Z1およびZ2はそれぞれ−CH=である。またさらに好ましいのは、Lb’がマレイミド部分(M1)の構造を有するか、またはLbが、スクシンイミド部分(M2)もしくはコハク酸−アミド(M3)部分の構造を有する実施形態である。
Q1で構成される他の好ましい実施形態では、式LR−LO−D+のリガンド薬物コンジュゲートまたは薬物リンカー化合物は、
(式中、下付き文字wは、1、2、3、またはそれ超であり、好ましくは2であり、Wは、ジペプチドからなるかまたは構成され、このジペプチドは、Wwの連続的なアミノ酸サブユニットであり、このジペプチドサブユニットは、Wwの遠位末端にあり(すなわち、このジペプチドは、−W2−W1−の式を有する)、示された結合は、自由に循環している血清プロテアーゼと比較して、細胞内プロテアーゼにより特異的に切断可能なアミド結合である)の構造を有する。下付き文字aが1の場合の一部の実施形態では、ストレッチャー単位(A)は分枝単位である。Aaが分枝単位(B)で構成され、そして下付き文字aが2またはそれ超の場合の他の実施形態では、Bは、好ましくはAaの遠位のサブユニットにある。他の実施形態ではBは好ましくはWwの近位末端に連結しており、Bは好ましくはAaの遠位末端にある(例えば、Aaが−A1−AO−の場合にBがAOであるか、またはAaが−A1−AO−B−である)。これらの実施形態のいずれか1つでは、分枝単位は、可溶化単位で置換されている。
さらに好ましい実施形態では、Aまたは−A1−AO−の中のA1およびAoは、独立して構造(3)または(4)で表される:
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、好ましくはアミド官能基を介した、AもしくはAoのWへの、またはA1のAoへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、AもしくはA1のLbもしくはLb’への、またはアミド官能基を好ましくは形成するA1のカルボニル含有官能基への結合点を表し、可変基はAを表す構造に関して先に定義された通りである)。好ましい実施形態では、Lは不在(すなわち、qは0)であり、Gは水素、BU、−CO2Hもしくは−NH2、またはアスパラギン酸、グルタミン酸もしくはリシンなどの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。他の好ましい実施形態では、LおよびKは炭素であり、R41、R42、R43およびR44は出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態では、R38〜R44は、出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態は、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、rが1であり、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(4)を有する。他の好ましい実施形態では、構造(3)のpおよびqは0であるか、または構造(4)のqおよびrは0である。他の好ましい実施形態は、pおよびqが両方とも0であり、Kは、R41およびR42と一緒になって−C(=O)−である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、qが1であり、Lは、R43およびR44と一緒になって、−C(=O)−である構造(4)を有する。
構造(3)および(4)はまた、−W3−W2−W1−の中のW2に対して好ましい実施形態を表し、後者のケースにおいて提供される分枝単位Gは−CO2Hもしくは−NH2またはアスパラギン酸、グルタミン酸もしくはリシンなどの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。
さらに好ましい実施形態では、A、A1またはAoは、(3a)または(4a)
(式中、pまたはqは0または1である)の構造を有する。
LSSまたはLS部分がAまたはA1で構成される場合、好ましいAまたはA1構造は、(3)、(3a)、(4)および(4a)に対して示されているものに対応し、R38は不在であり、Gは塩基性単位(BU)であり、N末端窒素は、M1もしくはM2部分の環系のイミン窒素としてこのM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミドのアミド窒素としてM3部分に組み込まれる。
他のさらに好ましい実施形態では、AまたはAのA1およびAoは、構造において、独立して、アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸に対応する。LSSまたはLS部分がAまたはA1で構成される場合、好ましいAまたはA1部分は、構造において、BUで置換されている、アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(すなわち、ジアミノ含有酸)に対応し、BUで置換されたアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(A(BU)またはA1(BU)で表される)のN末端窒素は、M1もしくはM2部分の環系のイミン窒素としてこのM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミド部分のアミド窒素としてM3に組み込まれる。
これらの実施形態では、特に好ましいA(BU)またはA1(BU)は、(3)もしくは(3a)の構造(式中、pは0であり、GはBUである)を有するか、または(4)もしくは(4a)の構造(式中、qは1であり、GはBUである)を有する。Q1(式中、Aoは存在する)で構成される実施形態では、Aoに対応する特に好ましいアミン含有酸は、ε−アミノ−カプロン酸およびβ−アミノ−プロピオン酸を含む、−NH2−X1−CO2Hの構造(式中、X1は、任意選択で置換されているC1〜C6−アルキレンである)を有する。
好ましい実施形態では、LDCおよびこれらの薬物−リンカー前駆体のリンカー単位は、グリコシダーゼのための認識部位を有するグリコシド結合された炭水化物を提供するQ2で構成される。Q2で構成される他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、A1およびAoは、Aのサブユニットであり、Aoは、任意選択のサブユニットであり(すなわち、Aoが不在の場合、A1はAとなる)、R45は−CH2OHまたは−CO2Hであり、R8、R9、V、Z3、EおよびJは以前に定義された通りである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他のさらに好ましい実施形態では、Eは−O−である。他のさらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。他のさらに好ましい実施形態では、VおよびZ3のうちの1つまたは両方が−CH=である。またさらに好ましいのは、Lb’がマレイミド部分(M1)の構造を有する実施形態、またはLbがスクシンイミド部分(M2)もしくはコハク酸−アミド部分(M3)の構造を有する実施形態である。さらに好ましいのは、Lb’−A1がM1−A1の構造を有するか、またはLb−A1がM2−A1もしくはM3−A1に対して上記に与えられた構造を有する実施形態である。これらの実施形態のいずれか1つでは、
Q2で構成される好ましい実施形態では、Aoは存在し、(3)、(3a)、(4)または(4a)に関して先に定義された構造を有し、構造のいずれか1つのカルボニル部分への波線は、好ましくはアミド官能基を介したAoのJへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、好ましくはアミド官能基を形成する、A1のカルボニル含有官能基への結合点を表し、可変基は、Aを表す構造に関して先に定義された通りである。好ましい実施形態では、Lは不在(すなわち、qは0)であり、Gは水素、−CO2Hもしくは−NH2、またはアスパラギン酸、グルタミン酸もしくはリシンなどの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。他の好ましい実施形態では、LおよびKは炭素であり、R41、R42、R43およびR44は、出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態では、R38〜R44は、出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態は、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、rが1であり、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(4)を有する。他の好ましい実施形態では、構造(3)のpおよびqは0であるか、または構造(4)のqおよびrは0である。他の好ましい実施形態は、pおよびqが両方とも0であり、KはR41およびR42と一緒になって、−C(=O)−である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、qが1であり、LはR43およびR44と一緒になって、−C(=O)−である構造(4)を有する。
さらに好ましい実施形態では、AまたはAのA1およびAoは、独立して、構造においてアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸に対応する。LSSまたはLS部分を有する他のさらに好ましい実施形態では、この部分は、(3)、(3a)、(4)および(4a)に対して示されているものに対応する好ましい構造を有するAまたはA1で構成され、R38は不在であり、Gは塩基性単位(BU)であり、N末端窒素は、その部分の環系のイミン窒素としてM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミドのアミド窒素としてM3部分に組み込まれる。LSSまたはLSに対する他の好ましいAまたはA1部分は、構造において、BUで置換されているアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(すなわち、ジアミノ含有酸)に対応し、BU置換アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(A(BU)またはA1(BU)で表される)のN末端窒素は、その部分の環系のイミン窒素としてM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミド部分のアミド窒素としてM3に組み込まれる。
Aoが存在するQ2で構成される実施形態では、Aoに対応する特に好ましいアミン含有酸は、ε−アミノカプロン酸およびβ−アミノ−プロピオン酸を含む−NH2−X1−CO2Hの構造(式中、X1は任意選択で置換されているC1〜C6−アルキレンである)を有する。
特に好ましいのは、Lbに結合している標的化部分が抗体である上記Lb−を含有する実施形態のいずれか1つである。
1.4 4級化薬物単位
有用なクラスの第3級アミン含有薬物としては、例として、ただしこれらに限定することなく、異常細胞または異常細胞の付近の正常細胞(すなわち、腫瘍関連細胞)に対して細胞分裂停止性もしくは細胞毒性活性を有するものが挙げられる。一部の実施形態では、第3級アミン含有薬物は、過剰刺激された免疫細胞に対して細胞分裂停止性または細胞毒性活性を有する。他の実施形態では、第3級アミン含有薬物は、腫瘍細胞または腫瘍関連細胞に対して細胞分裂停止性または細胞毒性活性を有する。このような第3級アミン含有薬物として、N末端第3級アミン部分を有するチューブリシン、ドラスタチンおよびアウリスタチン、フェナジンダイマー、ならびにテトラヒドロキノリンベースのMDR阻害剤が挙げられる。
1.4.1 4級化ドラスタチンおよびアウリスタチン
一部の実施形態では、抗増殖性の4級化第3級アミン含有薬物は、ドラスタチン10、ドラスタチン15および関係する化合物を含めた第3級アミン含有ドラスタチンであり、ドラスタチン10およびドラスタチン15に対する例示されている、示された窒素(†)は、Loの中のPABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置に共有結合することによって4級化されている。
ドラスタチン10に関係した実施形態では、例示的ドラスタチンは、ドラスタチン10のフェニルおよびチアゾール置換基が独立して選択されたアリールまたはヘテロアリール部分で置き換えられているドラスタチンである。他の例示的なドラスタチンは、C末端エステル部分が、アミド官能基(その官能基のアミド窒素はアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル(hetereoarylalkyl)部分で置換されている)で置き換えられているドラスタチン15に関係している。
他のドラスタチンベースのチューブリン破壊剤に対する構造は、示された窒素(†)が、PABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置へ共有結合することにより4級化されている以下である:
(式中、各R10、R11およびR18は、独立して選択される、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、独立して選択されるArまたはAr1およびAr2は、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールである)。4級化が可能な第3級アミンを有するドラスタチンの他のペプトイド模倣剤は、Schmittら「Synthesis of dolastatin 15 peptoids」Bioorg. Med. Chem. Lett.(1998年)8巻(4号):385〜8頁において提供されている。好ましい実施形態では、R10およびR11はメチルである。他の好ましい実施形態では、R18はt−ブチルである。他の好ましい実施形態では、Arは、任意選択で置換されているフェニルであるか、または独立して選択されるAr1および/もしくはAr2は任意選択で置換されているフェニルである。また他の好ましい実施形態では、Ar1はフェニルであり、Ar2は2−チアゾリルである。
一部の実施形態では、4級化薬物は、その窒素がPABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置への共有結合により4級化されているN末端第3級アミンを有するアウリスタチンである。N末端第3級アミンを有するアウリスタチンの合成および構造は、それぞれがその全体においておよびすべての目的のため参照により組み込まれている、米国特許出願公報第2003−0083263号、同第2005−0238649号、同第2005−0009751号、同第2009−0111756号、および同第2011−0020343号;国際特許公開WO04/010957、国際特許公開WO02/088172、および米国特許第7,659,241号および同第8,343,928号に記載されている。特に、それらの特許文献において開示された4級化が可能な第3級アミンを有するアウリスタチン構造およびそれらの可変基は、具体的に参照により組み込まれているそれらの開示されたアウリスタチン構造および合成と共に、参照により本明細書に組み込まれている。本発明のLDCから放出される、例示的な第3級アミン含有アウリスタチンは、チューブリンに結合し、その結合の結果、所望の細胞(すなわち、標的細胞)に対して細胞毒性または細胞分裂停止性作用を発揮する。
N末端第3級アミンを有する例示的アウリスタチンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
式中、R10およびR11は、独立してC1〜C8アルキルであり、R12は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、各R19Aは、独立して、水素、C1〜C8アルキル、−OHまたは−O−C1〜C8アルキルであり、
R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、R21は、−CH2Phを含むアリールアルキル、−CH(CH3)−OHを含むヒドロキシルアルキル、またはC3〜C8複素環であり、Zは、O、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、mは、1〜1000の範囲の整数であり、R47は、C2〜C8アルキルであり、R48は水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、nは、0〜6の範囲の整数であり、X1はC1〜C10アルキレンである)。
N末端第3級アミンを有するいくつかの好ましいアウリスタチンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、R10およびR11は、独立して、DE−1、DE−2およびDF−1の構造内のC1〜C6アルキルであり、DE−1またはDE−2内のArは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、DF−1内でZは、−O−、または−NH−であり、R20は、水素、C1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R21は、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルである)。
さらに好ましい実施形態では、R10およびR11はメチルである。DE−1またはDE−2における他のさらに好ましい実施形態では、Arは、任意選択で置換されているフェニルまたは任意選択で置換されている2−ピリジルである。DF−1における他のさらに好ましい実施形態では、R21はX1−S−R21aまたはX1−Arであり、X1はC1〜C6アルキレンであり、R21aは低級アルキルであり、Arは、任意選択で置換されているフェニルまたはヘテロアリールである。他の好ましい実施形態では、−Z−は−O−であり、R20は低級アルキルである。他の好ましい実施形態では、Zは−NH−であり、R20は、任意選択で置換されているフェニルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールである。他の実施形態では、R21は−X1−Arであり、Xは−NH−であり、R20はArであり、独立して選択されるX1およびArは、R21に関して先に定義された通りである。
N末端第3級アミンを有するいくつかの好ましいアウリスタチンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、R10およびR11はメチルであり、R13はイソプロピルまたは−CH2−CH(CH3)2であり、R19Bは−CH(CH2Ph)−2−チアゾール、−CH(CH2Ph)−2−ピリジル、−CH(CH2−p−Cl−Ph)、−CH(CO2Me)−CH2Ph、−CH(CO2Me)−CH2CH2SCH3、CH(CH2CH2SCH3)C(=O)NH−3−キノリル、−CH(CH2Ph)C(=O)NH−p−Cl−Phであるか、またはR19Bは、
の構造を有する)。
4級化薬物単位に組み込まれる特に好ましい第3級アミン含有アウリスタチンとして、これらに限定されないが、アウリスタチンE、アウリスタチンPE、アウリスタチンPHE、アウリスタチンPYE、アウリスタチンEFP、アウリスタチンEBおよびアウリスタチンEVBが挙げられる。
一部の実施形態では、N末端第3級アミンを有するドラスタチンまたはアウリスタチンを組み込む、Lb’−Lo−D+部分は、
(式中、Lb’はマレイミド部分(M1)であり、A、W、V、Z1およびZ2は、式1に関して先に定義された通りであり、Ar、Ar1、Ar2、およびR19は、第3級アミン含有ドラスタチンおよびアウリスタチンに関して本明細書で以前定義された通りであり、SI(スペーサー単位Yをなす)のアニリン窒素は、アニリド官能基のカルボニルを介してWに結合している)の構造を有する。好ましい実施形態では、V、Z1、Z2のうちの1、2つまたはすべてが=CH−である。他の好ましい実施形態では、ArまたはAr1およびAr2は、独立して、任意選択で置換されているフェニルである。さらに好ましい実施形態では、Arはフェニルであるか、またはAr1およびAr2は両方ともフェニルであり、V、Z1およびZ2は=CH−である。
他の好ましい実施形態では、D+が4級化アウリスタチンであるペプチド切断可能単位を有する式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物は、以下のうちの1つの構造を有する:
4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記実施形態のいずれか1つでは、好ましい実施形態は、Lb’(すなわち、M1)がLb部分に置き換えられているものであり、このLb部分はまた標的化部分に結合することによってLDCを提供し、このLDC内で、Lb部分はM2またはM3部分であり、および/またはAは−A1−Ao、(式中A1およびAoはAのサブユニットである)で置き換えられている。
構造においてDE、DF、DF−1、DE−1、DE−2またはDF/E−3に対応する4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、好ましい切断可能単位(W)は、WをSIに共有結合により結合させているアニリド結合を切断可能なカテプシンプロテアーゼにより認識されるジペプチドで構成される。さらに好ましい実施形態では、Wは、
(式中、R34およびR35、ならびにA(またはそのサブユニット)およびY単位への波線で示された結合は以前定義された通りである)の構造を有するジペプチドで構成される。特に好ましい実施形態では、R34は−CH(CH3)2であり、R35は−(CH2)3−NH(=O)NH2であるか、またはR34は−CH(CH3)2であり、R35は−CH3であり、R34およびR35に対するアルファ炭素は、L−アミノ酸と同じ絶対立体配置にある。
4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、好ましいストレッチャー単位Aまたはそのサブユニット(すなわち、A1)は、アルファアミノ酸、ベータアミノ酸または他のアミン含有酸、例えば、NH2−X1−CO2Hの式(式中、X1はC1〜C6アルキレンである)を有するアミン含有酸などに構造において対応し、このアミン含有酸のN末端窒素は、M1もしくはM2部分のマレイミドもしくはスクシンイミドのイミド窒素またはコハク酸−アミド(M3)部分のアミド窒素に対応し、カルボニル基は、アミド官能基を介してWに結合している、アミン含有酸のC末端に対応する。したがって、好ましいM1−A−、M2−AもしくはM3−A部分、または好ましいM1−A1−、M2−A1もしくはM3−A1部分は、
の構造を有する。
さらに好ましいのは、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸またはε−アミノカプロン酸に対応するまたはこれらから誘導されたA単位またはそのサブユニットである。他の好ましいAまたはA1部分は、NH2−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−C(=O)OHの式(式中、Ra1は、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の式を有し、可変基は、A(BU)−およびA1(BU)−部分に関して先に定義された通りである)を有するジアミノ含有酸に、構造において対応するか、またはこれらから誘導される。さらに好ましいのは、Ra1が−CH2NH2であるAまたはA1部分である。したがって、好ましい−A−またはA1は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−C(=O)−の構造を有する。
さらに好ましい実施形態において、D+が4級化アウリスタチンであるペプチド切断可能単位Wを有する式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物は、
の構造を有する。
一部の実施形態では、さらに好ましいのは、D+が4級化アウリスタチンであり、ストレッチャー単位がM1およびX1で構成される、ペプチド切断可能単位を有する式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物であり、
の構造を有する。
構造においてDE、DF、DF−1、DE−1、DE−2またはDF/E−3に対応する4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、Aは、上記構造内で−A−が−A1−Ao−(式中、A1はAに関して上で定義されたような構造を有し、Aoは、構造において別のアミン含有酸に対応する)で置き換えられている2つのサブユニットを含有し得る。−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−Ao−の式(式中、Ra1は−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の式を有し、AoはWに結合し、A1はアミド官能基を介してAoに結合し、Ra1およびRa2置換基を有する炭素は、M1もしくはM2部分のイミド窒素またはアミド−酸M3部分のアミド窒素に結合している)を有する−A1−Ao−部分が好ましい。さらに好ましい実施形態では、−A1−Ao−は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−CH(CO2H)−(CH2)m’−1−C(=O)−または−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−1−CH(CO2H)−C(=O)−の式を有し、mは、0〜5の範囲の整数であり、m’は、1〜5の範囲の整数であり、他の可変基はAに関して定義されている通りである。構造においてDE、DF、DE−1、DE−2またはDF、DF1もしくはDF/E−3に対応する4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記Lb−A−またはLb’−A−を含有する部分のいずれか1つでは、特に好ましいのは、Lb’がM1であり、LbがM2であるか、またはLbがM3AまたはM3Bであり、M3AおよびM3Bは、M2の加水分解性開環によるコハク酸−アミド部分M3の位置異性体であり、M1−A−、M2−A−、M3A−A−、M3B−A、M1−A1−Ao、M2−A1−Ao、M3A−A1−AoまたはM3B−A1−Aoは、
(式中、カルボニル部分への波線は、Wへの共有結合を示し、他の波線は標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示す)の構造を有するものである。
Lb’がM1であり、D+が4級化アウリスタチンであり、−A1−AO−が構造−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−を有する、薬物リンカー化合物の好ましい実施形態は、
の構造を有する。
他の実施形態では、式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物は、4級化ドラスタチンまたはアウリスタチン薬物単位、およびグリコシダーゼにより切断可能なW’単位で構成され、そのLb’−Lo−D+部分は、
(式中、Lb’は、マレイミド部分(M1)であり、A、VおよびZ3は、式1およびSI単位の実施形態に関して先に定義された通りであり、Ar、Ar1、Ar2およびR18は、アウリスタチンベースの4級化薬物単位に関して先に定義された通りであり、R45は−CO2HまたはCH2OHであり、スペーサー単位YとしてのSIのアニリン窒素は、アニリド官能基のカルボニルを介してAに結合している)の構造を有する。好ましい実施形態では、V、Z3のうちの1つまたは両方は=CH−である。
4級化アウリスタチン薬物およびグリコシダーゼ切断可能単位(すなわち、グルクロニド単位)としてのW’で構成される、上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、Aは2つのサブユニットを含有することができ、上記構造内で−A−は−A1−Ao−で置き換えられており、A1は、Aに関して上で定義されたような構造を有し、Aoは、別のアミン含有酸に構造において対応する。さらに好ましい実施形態では、4級化ドラスタチンまたはアウリスタチン薬物単位で構成されるLb’−Lo−D+部分は、
の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、Lb’(すなわち、M1)は、標的化部分とまた結合することによって、Lb部分がM2またはM3部分であるLDCを得る、Lb部分で置き換えられている。さらに好ましい実施形態では、グリコシド結合を介してSIに共有結合により結合している炭水化物部分は、β立体配置においてそのアノマー炭素を有する。他のさらに好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。
ストレッチャー単位およびグルクロニド単位を有する実施形態では、さらに好ましいのは:
の構造のものである。
M1およびX1で構成されるストレッチャー単位、ならびにグルクロニド単位を有する実施形態では、さらに好ましいのは:
(式中、R45は好ましくは−CO2Hであり、下付き文字mは4である)の構造のものである。
他の好ましい実施形態では、上記実施形態のいずれか1つの中のAは、4級化アウリスタチン薬物単位およびプロテアーゼ切断可能なW単位で構成される、Lb含有部分またはLb’含有部分に関して本明細書で定義されるような−A1−Ao−で置き換えられており、−A1−Ao−は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb)(Rb)]m−(C=O)−NH−CH(CO2H)−(CH2)m’−1−C(=O)−または−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−1−CH(CO2H)−C(=O)−の式を有する。他の好ましい−A1−Ao−部分は、対応する4級化チューブリシン薬物単位に関して記載されている通りである。
それらの実施形態では、好ましい薬物リンカー化合物は、
の構造を有する。
1.4.1 4級化チューブリシン
実施形態の1つの群では、4級化薬物は、N末端(その第3級アミンの窒素が4級化薬物単位に組み込まれている)で第3級アミンを有するチューブリシンに構造において対応している。
一部の実施形態では、4級化薬物は、以下の式の構造で表されるチューブリシンであり、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、丸は、5員または6員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、互いに1,3−またはメタの関係にあり、残りの位置において任意選択で置換されており、R2はXA−R2Aであり、XAは、−O−、−S−、−N(R2B)−、−CH2−、−(C=O)N(R2B)−または−O(C=O)N(R2B)−であり、R2Bは水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであり、R2Aは、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、もしくは−C(=O)RCであり、RCは、水素、任意選択で置換されているアルキル、もしくは任意選択で置換されているアリールであるか、またはR2は、O連結置換基であり、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、一方のR7は水素または任意選択で置換されているアルキルであり、他方のR7は、任意選択で置換されているアリールアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルであり、mは0または1である)。他の実施形態では、4級化薬物は、構造DGで表されるチューブリシンであり、一方のR7は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、好ましくは低級アルキルであり、他方のR7は、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、好ましくはC1〜C6アルキルであり、mは0または1、好ましくは1であり、式中、他の可変基は以前定義された通りである。
一部の態様では、R2はXA−R2Aであり、式中、XAは、−O−、−S−、−N(R2B)−、−CH2−、または−O(C=O)N(R2B)−であり、R2Bは、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R2Aは、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、または−C(=O)RCであり、RCは、水素、任意選択で置換されているアルキル、または任意選択で置換されているアリールであるか、あるいはR2はO連結置換基である。
一部の態様では、R2はXA−R2Aであり、式中、XAは、−O−、−S−、−N(R2B)−または−(C=O)N(R2B)−であり、R2AおよびR2Bは、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであるか、あるいはR2はO連結置換基である。
他の態様では、DGまたはDH中の−N(R7)(R7)を、−N(R7)−CH(R10)(CH2R11)で置き換えて、式DH’およびDG’の4級化チューブリシン薬物を規定している:
(式中、R10は、−CO2Hで置換されているC1〜C6アルキル、またはそのエステルであり、R7は、水素であるか、もしくはR10から独立して選択されるC1〜C6アルキルであるか、またはR7およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員もしくは6員の複素環を規定し、R11は、アリールまたは5員もしくは6員のヘテロアリール(ハロゲン、低級アルキル、−OHおよび−O−C1〜C6アルキル、好ましくは−F、−CH3、および−OCH3からなる群から独立して選択される1つまたは複数の、好ましくは1または2つの、より好ましくは1つの置換基で任意選択で置換されている)であり、残りの可変基は、DGおよびDHに関して定義されている通りである)。
また他の態様では、DGまたはDHの中の−N(R7)(R7)中の一方のR7は、水素またはC1〜C6アルキルであり、他方のR7は、−CO2Hもしくはそのエステルで、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されている、独立して選択されるC1〜C6アルキルである。
構造DGおよびDHの一部の実施形態では、一方のR7は水素であり、他方のR7は、
(式中、R7Bは水素またはO連結置換基であり、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは水素もしくは低級アルキル、好ましくはメチルであり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)の構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。
構造DGまたはDHの好ましい実施形態では、一方のR7は水素であり、他方のR7は、
(式中、R7Bは−Hまたは−OHであり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)の構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。
構造DGおよびDHの他の実施形態では、一方のR7は、水素または低級アルキルであり、好ましくは水素またはメチルであり、より好ましくは水素であり、他方のR7は、
(式中、Zは、任意選択で置換されているアルキレンまたは任意選択で置換されているアルケニレンであり、R7Bは、水素またはO連結置換基、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは、水素または低級アルキル、好ましくはメチルであり、下付き文字nは、0、1または2、好ましくは0または1であり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)のうちの1つの構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。構造DGおよびDHのまた他の実施形態では、−N(R7)(R7)は、−NH(C1〜C6アルキル)であり、C1〜C6アルキルは、−CO2Hもしくはそのエステルで、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されている。好ましい実施形態では、−N(R7)(R7)は、−NH(CH3)、−CH2CH2Ph、および−CH2−CO2H、−CH2CH2CO2Hおよび−CH2CH2CH2CO2Hからなる群から選択される。
構造DG’およびDH’の一部の実施形態では、R7およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって、任意選択で置換されている5員もしくは6員の複素環を規定し、−N(R7)−CH(R10)(CH2R11)が、
(式中、波線は、DG’またはDH’の残りの部分への結合点を示している)の構造を有する。
いくつかの好ましいチューブリシンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、丸は、5員または6員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、互いに1,3−またはメタの関係にあり、残りの位置で任意選択で置換されており、R2Aは、水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共にO連結置換基を規定し、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、R7Aは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは水素または任意選択で置換されているアルキルであり、mは0または1である)。
構造DG、DG−1、DH、またはDH−1のいくつかの好ましい実施形態では、R4はメチルであるか、またはR4AおよびR4Bはメチルである。構造DG’またはDH’の他の好ましい実施形態では、R4はメチルであるか、またはR4AおよびR4Bはメチルである。他の好ましい実施形態では、R7Aは任意選択で置換されているフェニルである。他の好ましい実施形態では、R8Aは(S)−立体配置におけるメチルである。また他の好ましい実施形態では、R2Aは、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基、より好ましくは、エステル、エーテルまたはO連結しているカルバメートを規定している。さらに好ましい実施形態では、丸は、二価のオキサゾールを有する、または特に好ましくはチアゾール部分を有する5員の窒素−ヘテロアリーレンを表す。他の好ましい実施形態では、R4はメチルであるか、またはR4AおよびR4Bはメチルである。他の好ましい実施形態では、R7は任意選択で置換されているアリールアルキルであり、アリールはフェニルであり、R7Aは任意選択で置換されているフェニルである。
DG、DG’、DG−1、DH、DH’またはDH−1の他の実施形態では、丸は、好ましくは、構造
(式中、XBはO、S、またはN−RBであり、RBは水素または低級アルキルである)で表される5員の窒素ヘテロアリーレンを表す。好ましくは、4級化薬物は、構造DG、DG’またはDG−1(式中、mは1である)で表されるチューブリシンである。mが1であり、丸が任意選択で置換されている二価のチアゾール部分を表す、構造DGで表されるチューブリシンがさらに好ましい。
他の好ましいチューブリシンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、R2Aは、それが結合している酸素原子と共にO連結置換基、好ましくはエステル、エーテルまたはO連結しているカルバメートを規定し、R3は低級アルキルまたは−CH2OC(=O)R3A(式中、R3Aは任意選択で置換されている低級アルキルである)であり、R7Bは水素またはO連結置換基であり、好ましくはパラ位にある)。さらに好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、またはR3Aはメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルまたは−CH2C=(CH3)2である。他の好ましい実施形態では、R2Aはメチル、エチル、プロピル(すなわち、−OR2Aはエーテルである)または−C(=O)R2B(すなわち、−OR2Aはエステルである)であり、R2Bは低級アルキルであり、R2Bはメチル(すなわち、−OR2Aは酢酸エステルである)がさらに好ましい。コンジュゲーション部位として、N末端第3級アミンを有するさらに好ましいチューブリシンは、以下の式のうちの1つの構造を有する:
(式中、R7Bは水素または−OHであり、R3は低級アルキル、好ましくはメチルまたはエチルであり、R2BおよびR2Cは、独立して水素または低級アルキルである)。構造DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DH、DH−1およびDH−2のいずれか1つのいくつかの好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、または−CH2OC(=O)R3Aであり、R3Aは任意選択で置換されているアルキルである。構造DG’およびDH’のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、−CH2OC(=O)R3Aであり、R3Aは任意選択で置換されているアルキルである。これらの構造のうちのいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3は−C(R3A)(R3A)C(=O)−XCであり、XCは−OR3Bまたは−N(R3C)(R3C)であり、各R3A、R3BおよびR3Cは、独立して、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは任意選択で置換されているシクロアルキルである。好ましくは、R3は、−C(R3A)(R3A)C(=O)−N(R3C)(R3C)であり、各R3Aは水素であり、一方のR3Cは水素であり、他方のR3Cはn−ブチルまたはイソプロピルがさらに好ましい。
構造DG、DG’DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DH、DH’、DH−1およびDH−2のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3はエチルまたはプロピルである。
構造DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DH−1およびDH−2のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、チアゾールコア複素環
は、
で置き換えられている。
構造DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DH、DH−1、DH−2、DH−3およびDH−4のいずれか1つのいくつかの好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、または−CH2OC(=O)R3Aであり、R3Aは任意選択で置換されているアルキルである。これらの構造のうちのいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3は−C(R3A)(R3A)C(=O)−XC(式中、XCは−OR3Bまたは−N(R3C)(R3C)であり、各R3A、R3BおよびR3Cは、独立して、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは任意選択で置換されているシクロアルキルである)である。好ましくは、R3は−C(R3A)(R3A)C(=O)−N(R3C)(R3C)であり、各R3Aは水素であり、一方のR3Cは水素であり、他方のR3Cはn−ブチルまたはイソプロピルであるのがさらに好ましい。
構造DG−3、DG−4、DG−5、DH−3およびDH−4のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、チアゾールコア複素環
は、
で置き換えられている。
さらに好ましい実施形態では、チューブリシンは構造DG−3またはDG−4を有し、mは1であり、R3は任意選択で置換されているメチル、エチルまたはプロピルであり、好ましくはメチル、エチルまたはプロピルである。
特に好ましい実施形態では、チューブリシンは構造DG−3を有し、mは1であり、R3はメチル、エチルまたはプロピルであり、−OC(O)R2Bは−O−C(O)H、O−C(O)−C1〜C6アルキルまたは−OC2〜C6アルケニル(任意選択で置換されている)であり、好ましくは−OC(O)CH3、−OC(O)CH2CH3、−OC(O)CH(CH3)2、−OC(O)C(CH3)3、または−OC(O)CH=CH2である。
他の特に好ましい実施形態では、チューブリシンは構造DG−4を有し、mは1であり、R3はメチル、エチルまたはプロピルであり、−OCH2R2Bは−OCH3、−OCH2CH3、−OCH2CH2CH3または−OCH2OCH3である。
コンジュゲーション部位としてN末端第3級アミンを有する特に好ましいチューブリシンは、
(式中、R2Bは、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH(CH3)2、−CH2C(CH3)3であり、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる)の構造を有する。
他の、コンジュゲーション部位としてN末端第3級アミンを有する特に好ましいチューブリシンは、
(式中、R2Bは、水素、メチルまたは−OCH3である(すなわち、−OCH2R2Bはメチルエーテル エチルエーテル、メトキシメチルエーテル置換基である))の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、LDC内にD+として組み込まれるチューブリシンは、チューブリシンA、チューブリシンB、チューブリシンC、チューブリシンD、チューブリシンE、チューブリシンF、チューブリシンG、チューブリシンH、チューブリシンI、チューブリシンU、チューブリシンV、チューブリシンW、チューブリシンXまたはチューブリシンZを含む、天然に存在するチューブリシンであり、これらの構造は、以下の構造および可変基の定義により与えられ、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)は4級化の部位となる:
構造DG−6の特に好ましい実施形態では、4級化チューブリシンは、R3が−CH3であり、R2がC(=O)CH3であり、R7Bが水素であるチューブリシンMである。
一部の実施形態では、LoおよびD+で構成されるLb−、またはそのLb’−を含有する前駆体は、チューブリシン薬物を第4級アミン単位に組み込んでおり、Lb−、またはそのLb’−を含有する前駆体は、D+が4級化アウリスタチン薬物である、本明細書に記載の−LR−D+、Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+、LSS−Lo−D+、LS−D+、M1−A、M2−A、M3−A、M1−A1、M2−A1、M3−A1、M1−A(BU)、M2−A(BU)、M3−A(BU)、M1−A1(BU)、M2−A1(BU)またはM3−A1(BU)部分のいずれか1つに対応する構造を有する。好ましい実施形態では、DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DH、DH−1、DH−2、DH−3またはDH−4の構造を有するチューブリシンは、示された(†)第3級アミン窒素においてそのアウリスタチン構造を有する各実施形態の中のDE、DE−1、DE−2、DF、DF−1またはDF/G−3を置き換えている。
したがって、一部の好ましい−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+の実施形態は、
(式中、R2、R3、R4、R4A、R4B、R5、R6およびR7は、DGおよびDHにより遊離形態のチューブリシン薬物に関して記載されている通りであり、Lb、Lb’、Q1、V、Z1およびZ2は、4級化アウリスタチン薬物単位で構成されるLbおよびLb’−を含有する部分の実施形態に関して、先に記載されている通りであり、LoおよびそのY単位は、SI単位で構成されるかまたはSI単位からなり、Jは−O−、−S−またはN(R33)−であり、R33は水素または任意選択で置換されているアルキルである)の構造を有する。
他の好ましい−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+の実施形態は、
(式中、R2A、R3、R4、R4A、R4B、R5、R6、R7AおよびR8Aは、DG−1およびDH−1により遊離形態のチューブリシン薬物に関して記載されている通りであり、Lb、Lb’、Q1、V、Z1およびZ2は、4級化アウリスタチン薬物単位で構成されるLbおよびLb’含有部分、ならびにSI単位で構成されるかまたはSI単位からなるLoおよびそのY単位の実施形態に関して先に記載されている通りであり、Jは−O−、−S−またはN(R33)−であり、R33は水素または任意選択で置換されているアルキルである)の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、R7Aは、−OHで任意選択で置換されているフェニルであり、またはR8Aはメチルである。他のさらに好ましい実施形態では、R4またはR4AおよびR4Bはメチルである。また他の好ましい実施形態では、Jは−O−である。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、R7Aはパラ位の水素または−OHである。
4級化チューブリシン薬物単位で構成される上記Lb含有部分またはLb’含有部分のいずれか1つでは、Lb’はマレイミド部分(M1)であるか、またはLbはスクシンイミド(M2)もしくはコハク酸−アミド(M3)部分である。
4級化チューブリシン薬物で構成される上記Lb含有部分またはLb’含有部分のいずれか1つの好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他の好ましい実施形態では、V、Z1およびZ2は=CH−である。さらに好ましい実施形態では、−OR2はエステルであるか、またはR3は低級アルキルである。他のさらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。またさらに好ましい実施形態では、Q1は、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより切断可能なアミド官能基を介してJに共有結合したジペプチドで構成されるので、その基のタンパク質分解は、1,6−フラグメント化が可能なSIを放出する。
4級化チューブリシン薬物単位で構成される上記実施形態のいずれか1つの中で、さらに好ましい実施形態は、Lb’(すなわち、M1)がLb部分で置き換えられ、これがさらに標的化部分に結合することによって、このLb部分がM2またはM3部分であるLDCを与えるものである。
したがって、Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+のさらに好ましい実施形態は、
(式中、波線は、M2またはM3部分の標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示す)のうちの1つの構造を有する。好ましい実施形態では、−OR2AはC2〜C6エステルであるか、またはR3は低級アルキルであり、R7Bは水素または−OHである。他のさらに好ましい実施形態では、−R2Aは任意選択で置換されている低級アルキルであり、R3は、R2Aから独立して選択される低級アルキルであり、R7Bは水素または−OHである。特に好ましい実施形態では、R3はメチル、エチルまたはプロピルであり、R2Aは、−C(O)CH3、メチル、エチル、プロピルまたは−CH2OCH3である。
他の好ましい実施形態ではLb’−Lo−D+またはLb−Lo−D+は、
(式中、R2、R2A、R3、R4、R4A、R4B、R5、R6、R7、R7AおよびR8Aは、構造DG、DG’、DG−1、DH、DH’またはDH−1の中の遊離形態のチューブリシン薬物に関して記載されている通りであり、Lb、Lb’、A、VおよびZ3は、4級化アウリスタチン薬物単位で構成される対応するLbおよびLb’含有部分に関して先に記載されている通りであり、LoおよびそのY単位は、SI単位で構成されるかまたはSI単位からなり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R45はCO2HまたはCH2OHである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。他の好ましい実施形態ではEは−O−である。
Lb’がマレイミド(M1)部分であるか、またはLbがスクシンイミド(M2)もしくはアミド−酸(M3)部分である実施形態がさらに好ましい。
他のさらに好ましい実施形態では、Lb’−Lo−D+は、
(式中、A、R2A、R3、R45、R7BおよびR45は以前定義された通りである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態ではV、Z3のうちの1つまたは両方は=CH−である。
さらに好ましい実施形態では、4級化チューブリシンで構成される薬物単位Lb’−Lo−D+または−Lb−Lo−D+部分は、
(式中、波線は、標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示す)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、SIにグリコシド結合を介して共有結合により結合している炭水化物部分は、β立体配置でそのアノマー炭素を有する。他のさらに好ましい実施形態では、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである。
4級化チューブリシン薬物で構成されるLb含有部分、Lb’含有部分、M1含有部分、M2含有部分またはM3含有部分に関する上記実施形態のいずれか1つでは、R3は好ましくはメチルであり、またはR2は好ましくはアセテートであり、またはmは好ましくは1である。また、このようなLb含有部分、Lb’含有部分、M1含有部分、M2含有部分またはM3含有部分に対して好ましいのは、R3がメチル、エチルまたはプロピルであり、−OR2Aが−OC(O)CH3、−OCH3、−OCH2CH3または−OCH2CH2CH3であるものである。
特に好ましい実施形態は、
(式中、波線は、標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示し、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、R7Bは水素または−OHである)の構造を有する。
他の特に好ましい実施形態は、
(式中、R2およびR3は、独立して、メチル、エチルもしくはプロピルであるか、またはR2は−C(O)CH3であり、R3はメチル、エチルもしくはプロピルである)の構造を有する。
4級化チューブリシン薬物で構成されるLb含有部分のいずれか1つの中で、特に好ましいのは、結合した標的化部分が抗体であるものであり、4級化チューブリシン薬物で構成されるM2含有部分またはM3含有部分のいずれか1つの中で、特に好ましいのは、結合したスルフヒドリル基が抗体標的化部分由来のものである。
Aで構成されるLb含有部分またはLb’含有部分についての構造のいずれか1つでは、Aは、−A1−Ao−で置き換えられており、Aのそれらのサブユニットは、4級化アウリスタチン薬物単位およびストレッチャー単位を有するLoで構成される対応するLb含有部分またはLb’含有部分中に存在する場合、このような部分について記載されている通りである。他のこのような部分は、M1−A、M2−A、M3A−AおよびM3Bの中のストレッチャー単位に関してさらに以下に記載されている。
4級化チューブリシン薬物で構成されるLb含有部分、Lb’含有部分、M1含有部分、M2含有部分またはM3含有部分のうちの1つのいずれかに対して、好ましいストレッチャー基は、本明細書で定義されるようなアミン含有酸に構造において対応し、γ−アミノカプロン酸がさらに好ましい。したがって、1つの好ましいストレッチャー単位は−(CH2)5−C(=O)−の構造を有する。他の好ましいストレッチャー基は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−CH(CO2H)−(CH2)m’−1−C(=O)−または−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−1−CH(CO2H)−C(=O)−の式を有し、mは0〜5の範囲の整数であり、m’は1〜5の範囲の整数であり、Ra1は水素であるか、または−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の式を有し、他の可変基は以前定義された通りである。それらのストレッチャー単位に対して、Ra1が−CH2NH2であるものが好ましい。
さらに好ましいのは、
の構造を有するM1−A、M2−A、M3A−AおよびM3B部分を提供するストレッチャー単位である。
他のさらに好ましいストレッチャー単位は、
の構造を有するM1−A1−Ao−、M2−A1−Ao、M3A−A1−Ao−およびM3B−A1−Ao−部分を提供するものである。
また他のさらに好ましいストレッチャー単位は、
の構造を有するM1−A1−Ao−、M2−A1−Ao、M3A−A1−Ao−およびM3B−A1−Ao−部分を提供するものである。
1.6 過剰増殖状態の処置
リガンド−薬物コンジュゲートは、腫瘍細胞またはがん細胞の増殖を阻害するため、腫瘍またはがん細胞にアポトーシスを引き起こすため、または患者においてがんを処置するために有用である。したがって、リガンド−薬物コンジュゲートは、様々な環境においてがんの処置のために使用することができる。リガンド−薬物コンジュゲートを使用して、腫瘍細胞またはがん細胞に薬物を送達することができる。理論に束縛されることなく、一実施形態では、リガンド−薬物コンジュゲートのリガンド単位は、細胞表面のがん細胞または腫瘍細胞に伴う抗原または受容体に結合または会合し、結合により、リガンド−薬物コンジュゲートは、抗原媒介性または受容体媒介性のエンドサイトーシスまたは他の内在化機序を介して腫瘍細胞またはがん細胞の内側に吸収され得る(内在化する)。抗原は、腫瘍細胞もしくはがん細胞に結合することができるか、または腫瘍細胞もしくはがん細胞に伴う細胞外マトリクスタンパク質であってよい。一度細胞の内側に入ると、リンカー系の構成成分に応じて酵素的または非酵素的切断可能な機序を介して、薬物が細胞内に放出される。代替の実施形態では、薬物または薬物単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に接近してリガンド−薬物コンジュゲートから切断され、続いて薬物または薬物単位は細胞に浸透する。
リガンド薬物コンジュゲートは、コンジュゲーション特異的な腫瘍またはがんの薬物標的化を提供し得、したがって薬物の全般的毒性を減少させることができる。
一部の実施形態では、リンカー単位は血中のリガンド−薬物コンジュゲートを安定化させるが、このリガンド−薬物コンジュゲートが一度細胞の内側に入ると、薬物を遊離させることが可能である。
一実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に結合する。
別の実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の表面上にある腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原に結合する。
別の実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に伴う細胞外マトリクスタンパク質である腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原に結合する。
特定の腫瘍細胞またはがん細胞に対するリガンド単位の特異性は、最も有効に処理されるこれらの腫瘍またはがんを判定するのに重要となり得る。例えば、BR96リガンド単位を有するリガンド薬物コンジュゲートは、肺、乳房、結腸、卵巣、および膵臓のものを含む、抗原陽性の癌を処置するのに有用となり得る。抗CD30または抗CD70結合リガンド単位を有するリガンド−薬物コンジュゲートは、血液悪性腫瘍を処置するのに有用となり得る。
リガンド薬物コンジュゲートで処置することができる他の特定のタイプのがんとして、これらに限定されないが、以下の固形腫瘍、血液由来のがん、急性および慢性白血病、ならびにリンパ腫が挙げられる。
固形腫瘍として、これらに限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、悪性滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、直腸結腸がん、腎臓がん、膵がん、骨がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、口のがん、鼻腔がん、咽喉がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎臓胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、Wilms’腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、小細胞肺癌、膀胱癌、肺がん、上皮癌、グリア細胞腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起細胞腫、髄膜腫、皮膚がん、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽腫が挙げられる。
血液由来のがんとして、これらに限定されないが急性リンパ芽球性白血病「ALL」、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単球性白血病、急性赤血白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性(nonlymphocyctic)白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病「CML」、慢性リンパ球性白血病「CLL」、有毛細胞白血病、および多発性骨髄腫が挙げられる。
急性および慢性白血病として、これらに限定されないが、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、および骨髄性の白血病が挙げられる。
リンパ腫として、これらに限定されないがホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、および真性赤血球増加症が挙げられる。
ADC組成物の投与により、これらに限定されないが、腫瘍、転移、または過剰増殖細胞により特徴付けられる他の疾患もしくは障害を含むがんを処置することができるか、またはその進行を阻害することができる。
他の実施形態では、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、LDC組成物および化学療法剤の有効量を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、LDCと併用して化学療法で処置されることになるがんは、この化学療法剤に不応性でないことが判明している。別の実施形態では、ADCと併用して化学療法で処置されることになるがんは、この化学療法剤に不応性である。LDC組成物は、がんに対する処置として手術も経験した患者に投与することができる。
一部の実施形態では、患者はまた、放射線療法などの追加の処置も受ける。特定の実施形態では、リガンド−薬物コンジュゲートは、化学療法剤または放射線療法と同時に投与される。別の特定の実施形態では、化学療法剤もしくは放射線療法は、リガンド薬物コンジュゲートの投与前または投与後で投与される。
化学療法剤は、一連の期間にわたり投与することができる。ケア化学療法剤(複数可)の標準物質などの化学療法剤のいずれか1つまたは組合せを投与することができる。
さらに、化学療法または放射線療法が処置している対象に対してあまりに有毒性であることが証明されたまたは証明することができる場合、例えば、許容不可能または耐えられない副作用をもたらす場合、リガンド−薬物コンジュゲートを用いたがんの処置の方法が、化学療法または放射線療法の代替として提供される。処置されている患者は、どの処置が許容されるまたは耐えられると判明されたかに応じて、別のがんの処置、例えば、手術、放射線療法または化学療法などで、任意選択で処置することができる。
1.7 LDCを含む医薬組成物
本発明は、本明細書に記載のLDC組成物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、ADCの抗体が結合する抗原の発現を伴う障害の処置のために、患者にLDCを投与することを可能にする任意の形態であることができる。例えば、医薬組成物は、液体または凍結乾燥された固体の形態であることができる。好ましい投与経路は非経口である。非経口投与として、皮下注射、静脈内、筋肉内、および胸骨内への注射または注入技術が挙げられる。好ましい実施形態では、ADCを含む医薬組成物は、液体溶液の形態で静脈内に投与される。
医薬組成物は、患者への組成物の投与の際に化合物が生体で利用可能になり得るように製剤化することができる。このような組成物は、1または複数の用量単位の形態を取ることができ、例えば、凍結乾燥された固体は、適切な液体担体の添加により溶液または懸濁液として再構成された時点で単一の用量単位を提供することができる。
医薬組成物を調製するのに使用される材料は、使用される量において好ましくは無毒性である。医薬組成物中の活性成分(複数可)の最適な用量が、様々な要因に依存することは、当業者には明らかである。関連する要因として、限定はされないが、動物のタイプ(例えば、ヒト)、医薬組成物の特定の形態、投与方式および利用されるLDC組成物が挙げられる。
医薬組成物は、例えば液体の形態であることができる。液体は、注射による送達に有用であり得る。注射による投与のための組成物中に、1種または複数種の界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤および等張剤もまた含まれ得る。
液体組成物はまた、これらが溶液の形態であるか、懸濁液の形態であるか、または他の同様の形態であるかに関わらず、以下のうちの1種または複数種もまた含まれ得る:無菌希釈剤、例えば、注射用の水、生理食塩水、好ましくは生理的食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒もしくは懸濁媒としての役目を果たすことができる合成モノもしくはジグリセリド(digylcerides)など、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸など;緩衝剤、例えば、アミノ酸、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など;界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、ポリオールなど;および張度調整用の薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはブドウ糖など。非経口組成物は、ガラス製、プラスチック製または他の材料で作製されたアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回用量バイアルに封入することができる。生理的食塩水は例示的アジュバントである。注射用医薬組成物は好ましくは無菌である。
特定の障害または状態の処置において有効なコンジュゲートの量は、障害または状態の性質に依存することになり、標準的臨床技術で決定することができる。加えて、in vitroまたはin vivoアッセイを任意選択で利用することによって、最適な用量範囲を特定するのを助けることができる。組成物中に利用される正確な用量はまた、投与経路、および疾患または障害の重症度に依存し、医師の判断および各患者の状況に従い決定されるべきである。
医薬組成物は、それを必要とする対象への投与のために適切な用量が得られるように、LDC組成物の有効量を含む。典型的には、この量は、医薬組成物の少なくとも約0.01重量%である。
静脈内投与に対して、医薬組成物は、動物の体重1kg当たり約0.01〜約100mgのLDC組成物を含むことができる。一態様では、医薬組成物は、動物の体重1kg当たり約1〜約100mgのADC組成物を含むことができる。別の態様では、投与される量は、約0.1〜約25mg/kg(体重)のADC組成物の範囲となる。
一般的に、患者に投与されるLDC組成物の投薬量は、典型的には約0.01mg/kg〜約100mg/kg(対象の体重)である。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、約0.01mg/kg〜約15mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約15mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約5mg/kgまたは約0.1mg/kg〜約10mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、約1mg/kg〜約15mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、約1mg/kg〜約10mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、処置サイクルにわたり、約0.1〜4mg/kg、好ましくは0.1〜3.2mg/kg、またはより好ましくは0.1〜2.7mg/kg(対象の体重)である。
LDCは、任意の便利な経路、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚の内壁(例えば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜)を介した吸収により投与することができる。投与は全身性または局所的であることができる。様々な送達システム、例えば、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセル、カプセル剤への封入が公知であり、化合物を投与するために使用することができる。特定の実施形態では、1つより多くの化合物または組成物が患者に投与される。
一実施形態では、コンジュゲートは、動物、特にヒトへの静脈内投与に適応した医薬組成物として、規定通りの手順に従い製剤化される。典型的には、静脈内投与のための担体またはビヒクルは、無菌の等張の水性緩衝液である。必要な場合、組成物はまた可溶化剤を含むことができる。静脈内投与のための組成物は、注射部位での疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔剤を任意選択で含むことができる。一般的に、成分は、別々にかまたは単位剤形内に一緒に混合してのいずれかで、例えば、密閉容器内のドライな凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物、例えば、活性薬剤の量を示しているアンプルまたはサシェ剤などとして供給される。コンジュゲートが注入により投与され得る場合、それは、例えば、無菌の薬学的等級の水または生理食塩水を含有する注入ビンを用いて分配することができる。コンジュゲートが注射により投与される場合、成分を投与前に混合できるように、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
医薬組成物は、無菌の、実質的に等張であり、米国食品医薬品局のすべてのGood Manufacturing Practice(GMP)(「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」)の規制に完全に従い、一般的に製剤化される。
本発明の医薬組成物は、本発明のLDC組成物と、薬学的に許容される担体とを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物中のすべての、または実質的にすべての、または50%超のLDCは、加水分解したチオ置換スクシンイミドを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物中に存在する55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%超のリガンド薬物コンジュゲートは、加水分解したチオ置換スクシンイミドを含む。
1.8 調製
スキーム1:
スキーム1は、式Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+の薬物−リンカー化合物(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化アウリスタチンである)の例示的調製である。その特定のLb’−Lo−D+部分では、Lb’−A1(BU)−構造は例示的LSS部分を表す。
スキーム2:
スキーム2は、式Lb’−A1(BU)−Ao−Y−W−D+の薬物−リンカー化合物(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはアニリド連結を介してSIに結合したジペプチド部分であり、前記連結は調節性プロテアーゼにより切断可能であり、D+は4級化アウリスタチンである)の例示的調製である。その特定のLb’−Lo−D+部分では、Lb’−A1(BU)−構造は、別のストレッチャーサブユニットに共有結合した例示的なLSS部分を表し、val−citジペプチド部分は、前記調節性プロテアーゼ(この場合カテプシンB)による認識を提供する。
スキーム3:
スキーム3は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+薬物−リンカー化合物(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化フェナジンダイマーである)の例示的な調製である。その特定のLb’−Lo−D+化合物では、Lb’−A1−Ao−構造は、2つのストレッチャーサブユニットを有する(すなわち、−A−は−A1−AO−である)M1−A−部分を表す。
スキーム4:
スキーム4は、式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物(式中、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはアニリド連結を介してSIに結合したジペプチド部分であり、前記連結は調節性プロテアーゼにより切断可能であり、D+は4級化チューブリシン薬物単位である)を得るための中間体としてのNH2−W−Y−D+化合物の例示的な調製である。
スキーム5:
スキーム5は、スキーム4のNH2−W−Y−D+中間体と、Lb’−A−CO2HまたはLb’−A(BU)−CO2H中間体(式中、Lb’はマレイミド(M1)部分である)とのペプチドカップリングから得たLb’−A−W−Y−D+薬物−リンカー化合物およびLb’−A(BU)−W−Y−D+薬物−リンカー化合物の例示的な調製である。こうして形成された生成物、M1−A−W−Y−D+およびM1−A(BU)−W−Y−D+は、4級化チューブリシン薬物単位を有する例示的なLb’−Lo−D+薬物−リンカー化合物である。
スキーム6:
スキーム6は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+部分(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化MDR阻害剤であり、この阻害剤はタリキダルである)の例示的な調製である。その特定のLb’−Lo−D+部分では、Lb’−A(BU)−構造は例示的なLSS部分を表す。
スキーム7:
スキーム7は、式DG−4のチューブリシン(式中、R7Bは水素であり、R2Bは水素、メチルまたはエチルであり、このチューブリシンは、チューブリシンMのツブバリン部分のアセテートを置き換えているO連結置換基としてエーテル(すなわちメチル、エチルまたはプロピルエーテル)を有し、このようなチューブリシンの化学的に不安定であるN,O−アセタール官能基を有さない)の例示的な調製を表す。化合物64〜66は、加水分解的に不安定であるツブバリンアセテート置換基をエーテル部分で置き換えることによって、チューブリシンMと比較してさらに安定化している。
(式中、R7Bは水素またはO連結置換基、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは水素または低級アルキルであり、好ましくはメチルであり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)。
構造DGまたはDHの好ましい実施形態では、一方のR7は水素であり、他方のR7は、
(式中、R7Bは−Hまたは−OHであり、波線は、DGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)の構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。
構造DGおよびDHの他の実施形態では、一方のR7は水素または低級アルキル、好ましくは水素またはメチル、より好ましくは水素であり、他方のR7は、
(式中、Zは、任意選択で置換されているアルキレンまたは任意選択で置換されているアルケニレンであり、R7Bは水素またはO連結置換基、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは水素または低級アルキル、好ましくはメチルであり、下付き文字nは0、1または2、好ましくは0または1であり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)のうちの1つの構造を有する、任意選択で置換されているアリールアルキルである。構造DGおよびDHのまた他の実施形態では、−N(R7)(R7)は−NH(C1〜C6アルキル)であり、C1〜C6アルキルは、−CO2Hもしくはそのエステル、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されている。好ましい実施形態では、−N(R7)(R7)は、−NH(CH3)、−CH2CH2Ph、および−CH2−CO2H、−CH2CH2CO2Hおよび−CH2CH2CH2CO2Hからなる群から選択される。
構造DG’およびDH’の一部の実施形態では、R7およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって、任意選択で置換されている5員または6員の複素環を規定し、−N(R7)−CH(R10)(CH2R11)は、
(式中、波線は、DG’またはDH’の残りの部分への結合点を示す)の構造を有する。
スキーム8:
スキーム8は、式Lb’−LO−D+の薬物リンカー化合物(式中、D+は、チューブリシンMのツブバリン部分においてアセテートを置き換えているO連結置換基としてエーテル部分を有し、このようなチューブリシンの化学的に不安定であるN,O−アセタール官能基を有さない、4級化チューブリシン化合物である)の例示的な調製を表している。例示された化合物において、−LO−D+は、Aa−Yy(Ww)−D+の構造(式中、下付き文字a、yおよびwはそれぞれ1である)を有する。したがって、化合物78〜80は、Wが、D+(D+は4級化チューブリシン化合物)が結合しているグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を介して、PAB部分の構造を有する自壊性スペーサー単位(Y)に結合している炭水化物部分である、例示的な薬物リンカー化合物を表す。化合物78〜80は、そのLb’構成成分がM1部分および塩基性単位で構成されることによって、抗体のシステインチオールの場合のように、反応性チオール官能基を有する標的化部分とのその縮合から、リガンド薬物コンジュゲートの自己安定化リンカー構成成分(LSS)を提供する薬物リンカー化合物をさらに表す。
スキーム9:
スキーム10:
スキーム9および10は、一緒になって、式Lb’−LO−D+の薬物リンカー化合物(式中、−LO−D+は、下付き文字a、yおよびwがそれぞれ1であり、−A−が−A1−AO−である、構造Aa−Yy(Ww)−D+を有する)の代替の調製を提供する。したがって、化合物104は、式Lb−A1(BU)−AO−Y(W)−D+の例示的薬物リンカー化合物(式中、Wは、D+(D+は4級化チューブリシン化合物)に結合しているグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を介して、PAB部分の構造を有する自壊性スペーサー単位(Y)に結合している炭水化物部分である)を表す。化合物104に関しては、4級化チューブリシンは、ツブバリンアセテート構成成分を保持するが、このようなチューブリシンの化学的に不安定なN,O−アセタール官能基を有さないエーテル部分を有するチューブリシンMの4級化チューブリシンである。
スキーム11:
スキーム11は、式DG−3の薬物−リンカー化合物Lb’−LO−D+(式中、R7Bは−Hであり、R2Bはメチルであり、下付き文字wおよびyはそれぞれ1であり、W”は、薬物リンカー化合物中間体から調製した薬物リンカー化合物またはリガンド薬物コンジュゲートにおける、Wへの前駆体である)の調製のためのW”w−Yy−D+中間体の例示的な合成を表している。化合物111は、Wがジペプチド部分であり、YがPAB部分により例示される自壊性スペーサー単位である薬物リンカー中間体化合物をさらに表している。化合物111において、そのジペプチドは−バリン−グルタメート−により例示され、D+は4級化チューブリシンMにより例示されている。
スキーム12:
スキーム12は、式H−Ww−Yy−D+の中間体、すなわち化合物111(式中、下付き文字wおよびyはそれぞれ1であり、W、YおよびD+はそれぞれ、ジペプチド部分(−バリン−グルタメート−)、自壊性PAB部分、および4級化チューブリシンMで例示されている)からの、式DG−3(式中、R7Bは−Hであり、R2Bはメチルである)の薬物リンカー化合物Lb’−LO−D+の調製を例証している。化合物113は、部分M1および置換されているBU置換ストレッチャー単位前駆体(Aa’)(式中、下付き文字aは1である)を有する化合物6を縮合させることによって、リガンド共有結合部分前駆体(Lb’)を薬物リンカー化合物(式中、Lb’−A(BU)−は、マレイミド部分(M1)、塩基性単位(BU)で置換されているストレッチャー単位(A)で構成される)へ組み込んで得られるLb’−A(BU)−W−Y−D+の式を有する生成物をさらに表し、化合物111のWw−Yy−D+と縮合している前駆体は、BOC脱保護後、リンカー単位Lb’−LO−のLO構成成分の形成を完了する。
スキーム13:
スキーム14:
スキーム13および14は一緒になって、チューブリシンMのツブバリン構成成分のアセテート部分は、構造DG−3に示されているように、式−OC(O)R2Bを有する他のO連結部分で置き換えられている、チューブリシンの例示的合成を提供する。
スキーム15:
スキーム15は、デス−メチルチューブリシンMのツブバリン構成成分のアセテートO連結置換基は、結合しているO連結置換基としてエーテル部分で置き換えられており、Tub(OCH3)薬物単位は、そのN末端構成成分を介して、ストレッチャー単位のカルボニル官能基によりリンカー単位に結合している、非4級化チューブリシン薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示。化合物172からのLDCは、切断不可能なコンジュゲートを表し(すなわち、遊離デス−メチルチューブリシンM(OCH3)−OHのプロテアーゼ媒介性放出に耐性がある)、一般式M1−A−D(式中、M1はマレイミド部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンであり、非4級化薬物単位Dはデス−MeTub(OCH3)−OHである)によるものである。その薬物リンカー化合物由来のリガンド薬物コンジュゲートは、一般式L−S−M2−A−D(式中、M2は、薬物リンカー化合物のM1への標的化部分チオールの共役付加から結果として生じるスクシンイミド部分である)によるものである。LDCのリガンド単位が抗体標的化部分のものである場合(すなわち、ADC)、非特異的タンパク質分解から最終的に放出される活性のある部分は、Cys−S−M2−A−Tub(OCH3)−OHの構造(式中、Cys−S−部分は、抗体リガンド単位のシステインアミノ酸由来である)を有する。
チューブリシンMをそのツブバリン構成成分のアセテート部分を保持する別の第3級アミン含有チューブリシンと置き換えている、またはその部分を、エーテルもしくは異なるアシルオキシもしくはO連結置換基(例えば、O連結カルバメート)で置き換えている、式DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DG−7、DG−8、DH、DH−1またはDH−2の薬物−リンカー化合物は、スキーム4、スキーム7、スキーム8、スキーム9+10、スキーム11、スキーム12、またはスキーム13+14のものと類似の形式で調製される。
スキーム16:
スキーム16は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+の式を有するリガンド薬物コンジュゲート(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化ドラスタチン10である)の調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示している。式Lb’−Lo−D+のその薬物−リンカー実施形態では、Lb’−A1(BU)−構造は、例示的LSS部分を表す。化合物177は、4級化アウリスタチンEが4級化ドラスタチン10で置き換えられているスキーム1の化合物8に類似している。化合物177から調製したリガンド薬物コンジュゲートは、β−グルクロニダーゼによる作用により、遊離ドラスタチン10を放出し、この遊離ドラスタチン10は、アウリスタチンクラスの化合物の別のメンバーであり、第3級アミン官能基を含有する。
スキーム17:
スキーム17は、モノメチルドラスタチン10がカルバメート官能基を介してPAB部分にコンジュゲートしている、リガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物−リンカー化合物の例示的合成を示す。カルバメート連結したリガンド薬物コンジュゲートは、アミン官能基がPAB部分への結合点である第3級アミン含有薬物に対して不適切である。β−グルクロニダーゼによる同じ酵素プロセシングを介して、化合物183由来のコンジュゲートは、第2級アミン含有遊離薬物(すなわち、モノメチルドラスタチン10)を放出し、化合物177由来のコンジュゲートは、親第3級含有遊離薬物(すなわち、ドラスタチン10)を放出する。
スキーム18:
スキーム18は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+の式(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化アウリスタチンFである)を有するリガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示す。式Lb’−Lo−D+のその薬物−リンカー実施形態では、Lb’−A1(BU)−構造は例示的LSS部分を表す。化合物189はそれぞれ、スキーム1、4および17の、4級化アウリスタチンEまたは4級化ドラスタチン10が4級化MMAFで置き換えられている、化合物8、化合物14および化合物17に類似している。MMAFはアウリスタチンクラスの化合物の別の第3級アミン含有薬物である。
アウリスタチンE、ドラスタチン10またはアウリスタチンFを式DA、DB、DC、DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1、またはDE/F−3の化合物で置き換えている薬物−リンカー化合物は、必要に応じてスキーム1、スキーム2、スキーム5、スキーム16またはスキーム18に例示されたものと同様の形式で調製される。
スキーム19.
スキーム19は、チューブリシンM薬物単位がストレッチャー単位のヒドラジン官能基により、そのC末端構成成分を介してリンカー単位に結合している、非4級化チューブリシン薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示している。化合物172由来のLDCは、部分−W−Y−(式中、Wはジペプチド−バリン−シトルリン−である)、および一般式M1−A−W−Y−DまたはM1−A−W2−W1−PABC−D(式中、M1はマレイミド部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンであり、Wは式−W2−W1−のペプチド切断可能単位であり、W1はシトルリンであり、W2はバリンであり、PABCは自壊性スペーサー単位Yとしてのp−アミノベンジルオキシカルボニル(p-aminobenyloxycarbonyl)部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンであり、非4級化薬物単位DはTubM−NHNH−である)で構成される切断可能なコンジュゲートを表す。その薬物−リンカー化合物由来のリガンド薬物コンジュゲートは、一般式L−S−M2−A−W−Y−DまたはL−S−M2−A−W2−W1−PABC−D(式中、M2は、標的化部分チオールの、薬物リンカー化合物のM1への共役付加から結果として生じるスクシンイミド部分である)によるものである。Wにおいて文脈特定のタンパク質分解から放出される活性薬物部分は、TubM−NH−NH2−の構造を有する。
II.番号付き実施形態
1.リガンド薬物コンジュゲート(LDC)組成物が式1の構造で表される、LDC組成物:
(式中、「リガンド」は、標的部分に選択的に結合する標的化部分由来のものであり、Lbは、リガンド共有結合部分であり、Q1はAa−Wwであり、Aは、2、3、または4つのサブユニットで任意選択で構成される、任意選択のストレッチャー単位であり、したがって下付き文字aは、Aが存在する場合、1であり、Aが不在の場合、0であり、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’ w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、異常細胞または他の望ましくない細胞において、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより選択的切断が可能であり、調節性プロテアーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、調節性プロテアーゼのWに対する作用は、LDCからの第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こすか、またはQ1のWwは、正常細胞による排出よりも、さらに大きな程度異常細胞により排出されるプロテアーゼにより切断可能であるか、または血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下で加水分解に対してさらに反応性があり、
Q2のW’−Eは、血清グリコシダーゼと比較して、異常細胞または他の望ましくない細胞において、細胞内に位置するグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を提供し、グリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されたグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはwが1の場合存在し、w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはw’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちのうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は、=N−または=C(R24)−であり、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは=C(R24)−であるが、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、pは、1〜24の範囲の数を有する平均薬物付加数であり、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断は、LDC組成物のLDCからのDの排出をもたらす)。
一部の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、ドラスタチン、例えば、ドラスタチン10またはドラスタチン15などである。
一部の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、DA、DBまたはDCの構造を有するドラスタチンである。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1およびDF/G−3のうちの1つの構造を有するアウリスタチンを含む、第3級アミン含有アウリスタチンである。
好ましい実施形態では、4級化薬物単位に組み込まれた第3級アミン含有アウリスタチンは、アウリスタチンE、アウリスタチンF、アウリスタチンPE、アウリスタチンPHE、アウリスタチンPYEおよびアウリスタチンC、GRP18112、GRP18290、GRP18158、アウリスタチンM、アウリスタチンMQ、およびアウリスタチンPACである。好ましいのは、アウリスタチンE、アウリスタチンF、アウリスタチンPE、アウリスタチンPHEおよびアウリスタチンPYEであり、アウリスタチンEおよびアウリスタチンFがさらに好ましく、アウリスタチンEが特に好ましい。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dはチューブリシンである。それらの実施形態では、好ましいのは、天然に存在するチューブリシンまたは構造DG−6を有するチューブリシンである。4級化薬物単位に組み込まれる他の好ましいチューブリシンは、DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DH、DH−1、およびDH−2のうちの1つの構造を有し、DG−3、DG−4、DG−5の構造を有するものがさらに好ましい。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、第3級アミン含有フェナジンダイマーであり、好ましくはDIの構造を有する。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物DはMDR阻害剤であり、好ましくはその窒素が4級化の部位であるイソキノリン部分構造を有する。
好ましい実施形態では、DのD+はチューブリシンMまたはアウリスタチンEである。他の好ましい実施形態では、Q1は存在し、調節性プロテアーゼに対する切断部位を提供する。他の好ましい実施形態では、Q2は存在し、グルクロニダーゼなどのグリコシダーゼに対する切断部位を提供する。
さらに好ましい実施形態では、標的化部分は抗体であり、標的とされる部分は、抗体標的化部分により選択的に認識される抗原であり、抗原は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に提示されるアクセス可能な細胞表面抗原である。
他の好ましい実施形態では、標的化部分はアクセス可能な細胞表面受容体に対するリガンドであり、標的とされる部分は標的化リガンドに選択的に結合する受容体であり、受容体は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に提示される。
特に好ましい実施形態では、標的とされる部分はアクセス可能な細胞表面抗原または受容体であり、ADC結合後、抗原または受容体が内在化し、受容体は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に提示される。
特に好ましい実施形態では、標的とされる部分は、正常細胞と比較して、異常細胞内でさらに大きな存在量があり、またはさらに活性のあるアクセス可能な細胞表面トランスポーターであり、標的化部分はその受容体の基質であり、これがトランスポーターと結合した際に、その標的化部分で構成されるLDCは、正常細胞と比較して、異常細胞への優先的な侵入を得る。
2.式1が式2Aまたは式2Bの構造を有する実施形態1に記載のLDC組成物:
一部の実施形態では、式2AのLbはM2またはM3部分であり、実施形態1のLDC組成物は、式2A−1の構造で表される:
他の実施形態では、式2BのLbはM2またはM3部分であり、実施形態1のLDC組成物は、構造式2B−1で表される:
それらの2つの実施形態のいずれかでは、MはM2またはM3部分である(すなわち、式2A−1または式2B−1のLb−Q1−は、M2−A−WまたはM3−A−Wの式を有する)。
他の実施形態では、式2A−1または2B−1のLbはM2部分であり、Q1はA−Wまたは−A1−Ao−W−であり、A1およびAoはAのサブユニットである。それらの実施形態に対して、実施形態1のLDC組成物は、式2A−2または式2B−2の構造で表される:
(式中、LSSは自己安定化リガンド単位であり、Aoは任意選択のストレッチャーサブユニットであり、LSSは、Aoが存在する場合、M2−A1であり、またはAoが不在の場合、M2−Aであり(すなわち、式2Aまたは式2BのLb−Q1−は、LSSがM2−Aの場合、LSS−Wの式を有し、またはLSSがM2−A1−の場合、LSS−Ao−Wの式を有する)。
他の実施形態では、式2A−1または2B−1のLbはM3部分であり、Q1はA−Wまたは−A1−Ao−W−であり、A1およびAoはAのサブユニットである。それらの実施形態に対して、実施形態1のLDC組成物は、式2A−1または式2B−1の構造で表され、MはM3部分であるか、またはLSSがLS部分で置き換えられた場合、式2A−2および式2B−2で表される。
上記構造のうちのいずれか1つを有する一部の実施形態では、V、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも1つは=C(R24)−である。好ましい実施形態では、そのR24は水素または電子供与基である。さらに好ましい実施形態では、V、Z1、Z2、Z3のうちの2つまたはそれ超は=C(R24)−であり、R24可変基は、出現するたびに水素であるか、または一方は電子供与基であり、他方は水素である。
好ましい実施形態では、上記構造のうちのいずれか1つがV、Z1、Z2、Z3=C(R24)−(式中、R24は電子供与基である)を有する場合、そのR24は、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。好ましい実施形態では、R’が電子供与基の場合、そのR’は、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。
上記構造のうちのいずれか1つに関する他の好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。
他の好ましい実施形態は、構造式2A−1または構造式2−A−2を有する。それらの実施形態では、さらに好ましいのは、VおよびZ1が=CH−であり、Z2が=C(R24)−であり、R24は水素または電子供与基である場合である。式2A−1または式2A−2の他の好ましい実施形態では、V、Z1およびZ2は=CH−である。式2A−1または式2A−2のさらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、V、Z2およびZ3は=CH−である。
上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つを有する他のさらに好ましい実施形態では、標的化部分(すなわち、リガンド)は抗体であり、pは2〜8の範囲である。上記構造のうちのいずれか1つを有する他のさらに好ましい実施形態では、Jは、Q1の中のWを構成するジペプチドに結合することによって、調節性プロテアーゼにより切断可能なアニリド官能基を形成する−NH−である。また他のさらに好ましい実施形態では、LDC組成物は式2Aで表される。特に好ましい実施形態では、標的化部分は抗体であり、Lbはスクシンイミド(M2)またはコハク酸−アミド(M3)部分である。他の特に好ましい実施形態では、Q1は−A1−Ao−W−であり、A1およびAoは、ストレッチャーAサブユニットであり、Lb−A1は自己安定化(LSS)リンカー部分である。また他の特に好ましい実施形態では、−Q1−は−A1−Ao−Ww−であり、下付き文字wは1であり、A1およびAoはストレッチャーAサブユニットであり、Lb−A1は安定化した(LS)リンカー部分である。
さらに好ましい実施形態は、D+がアウリスタチンEなどの4級化第3級アミン含有アウリスタチンであるか、または4級化DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1、もしくはDF/E−3の構造を有する、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
他のさらに好ましい実施形態は、D+が、チューブリシンMなどの4級化第3級アミン含有チューブリシンであるか、または4級化DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DG−7、DG−8、DH、DH−1もしくはDH−2の構造を有する、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
他のさらに好ましい実施形態は、D+がDIの構造を有する4級化フェナジンダイマーである、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
また他のさらに好ましい実施形態は、D+が4級化イソキノリンベースのMDR阻害剤(すなわち、イソキノリン部分構造を有するMDR阻害剤であり、その部分構造の窒素が4級化されている)、例えば、エラクリダルまたはタリキダルなどである、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
式2A−1または式2B−1の一部の実施形態では、ストレッチャー単位は存在しない(すなわち、下付き文字aは0である)。他の実施形態では、式2A−1または式2B−1の中にストレッチャー単位は存在する(すなわち、下付き文字aは1である)。一部の実施形態では、式2A−1または式2B−1の中のストレッチャー単位は単一単位として存在する。それらの実施形態の一部では、Aは、可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。他の実施形態では、ストレッチャー単位は、存在する場合、2、3または4つのサブユニット、好ましくは2または3つ、より好ましくは2つのサブユニットからなる。それらの実施形態の一部では、Aのサブユニットのうちの1つは、置換基として可溶化剤(SA)を有する分枝単位(B)である(すなわち、AのサブユニットであるA1、A2、A3またはA4は−B(SA)−である)。これらの実施形態の他のものでは、下付き文字aが1の場合、式2A−1または式2A−Bの中のAに分枝単位は存在しない。
式2A−1または式2B−1の一部の実施形態では、下付き文字aが1である(すなわち、ストレッチャー単位が存在する)場合、−A−は−A1−AO−である(式中、A1およびAOはAのサブユニットである)。それらの実施形態の一部では、AのA1サブユニットは−B(SA)−である。それらの実施形態の他のものでは、AのAOサブユニットは−B(SA)−である。これらの実施形態のまた他のものでは、A1もAOも−B(SA)−ではないか(すなわち、分枝単位は存在しない)、または可溶化剤はA中に存在しない。
式2A−2または式2B−2の一部の実施形態では、−AO−は、Aが単一単位の場合、−A−であり、任意選択で存在するか、またはAが1、2、3もしくは4つのサブユニットで構成されるもしくはからなる場合、−AO−はAのサブユニットである。それらの実施形態の一部では、AOが存在する場合、−AO−は−B(SA)−である。式2A−2または式2B−2の他の実施形態では、−AO−の中の可溶化剤は存在しない。
3.式1が式3Aまたは式3Bの構造を有する実施形態1に記載のLDC組成物:
4.式1の構造が、式3Cまたは式3Dの構造を有する実施形態1に記載のLDC組成物:
5.式1の構造が式3Eまたは式3Fの構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物:
式3A〜3Fのいずれか1つにおいて、R8およびR9は好ましくは水素である。式3A〜3Fの構造の他の好ましい実施形態では、V、Z1、Z2またはZ3可変基は=C(R24)−である。好ましい実施形態では、そのR24は水素または電子供与基であり、そのR24が電子供与基の場合、それは、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。他の好ましい実施形態では、R’が電子供与基の場合、そのR’は、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。他の好ましい実施形態では、V、Z1、Z2またはZ3可変基は=C(R24)−であり、そのR24は、Q2置換基を有する芳香族炭素に対してオルトにある電子求引基である。式2Bまたは2Fの構造を有する好ましい実施形態において、R’は好ましくは水素または電子求引基、例えば、−NO2または−Clなどである。
他の好ましい式3A〜3Fの構造では、Jは−NH−であり、Q2の中のEは−O−である。さらに好ましい実施形態では、Wは炭水化物であり、Q2のE−W結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
好ましい実施形態では、実施形態1のLDC組成物は、R’が水素または電子求引基であり、V、Z3のうちの1つまたは両方が=C(R24)−であり、R24が水素である、式3Fで表される。
式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの一部の実施形態では、ストレッチャー単位は存在しない(すなわち、下付き文字aは0である)。他の実施形態では、式3Aまたは式3Bの中のストレッチャー単位は存在する(すなわち、下付き文字aは1である)。式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの一部の実施形態では、ストレッチャー単位は単一単位として存在する。それらの実施形態の一部では、Aは可溶化剤を有する分枝単位である。他の実施形態ではストレッチャー単位は、存在する場合、2、3または4つ、好ましくは2または3つ、より好ましくは2つのサブユニットからなる。それらの実施形態の一部では、Aのサブユニットのうちの1つは、置換基として可溶化剤(SA)を有する分枝単位(B)である(すなわち、AのサブユニットであるA1、A2、A3またはA4は−B(SA)−である)。これらの実施形態の他の実施形態では、式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fにおいて、下付き文字aが1の場合、Aの中に分枝単位は存在しない。
式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの一部の実施形態では、下付き文字aが1である(すなわち、ストレッチャー単位が存在する)場合、−A−は−A1−AO−であり、A1およびAOはAのサブユニットである。それらの実施形態の一部では、AのA1は−B(SA)−である。それらの実施形態の他の実施形態では、AのAOは−B(SA)−である。それらの実施形態のまた他の実施形態では、A1もAOも−B(SA)−ではないか(すなわち、分枝単位は存在しない)、または可溶化剤はAの中に存在しない。
実施形態1〜5のうちのいずれか1つに関する他の好ましい実施形態でも、−A−は、存在する場合(すなわち、aが1の場合)、−A1−Ao−で置き換えられており、A1およびAoはAのサブユニットであり、Aoは任意選択のサブユニットである(すなわち、Aoが不在の場合、A1はAとなるか、またはAoが存在する場合、AはA1−Aoである)。それらの実施形態の一部では、AOが存在する場合、−AO−は−B(SA)−である。それらの実施形態の他の実施形態では、−A1−は−B(SA)−である。式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの他の実施形態では、−AO−の中に可溶化剤は存在しないか、またはAの中に分枝単位は存在しない。
式3Fで表されるさらに好ましい実施形態では、LbはM2またはM3部分であり、実施形態1のLDC組成物は、式3F−1または式3F−2の構造で表される:
(式中、MはM2またはM3部分であり、A1およびAoはストレッチャー単位Aのサブユニットである)。
式3F−1または式3F−2の構造を有するさらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、VおよびZ3は=CH−であり、R’は水素または電子求引基、好ましくは−Clまたは−NO2である。特に好ましい実施形態では、式3F−1または式3F−2の「リガンド」は抗体である。式3F−1または式3F−2の他の特に好ましい実施形態では、MはM2であり、M2−AまたはM2−A1はLSS部分である。式3F−1または式3F−2のまた他の特に好ましい実施形態では、MはM3であり、M3−AまたはM3−A1はLS部分である。
式3F−1の一部の実施形態では、Aは−B(SA)−であり、Bは分枝単位であり、SAは可溶化剤である。他の実施形態では、式3F−1のAは−B(SA)ではなく、または可溶化剤で構成されない。式3F−2の一部の実施形態では、Aoが存在し、ここでA1またはAOが−B(SA)−である。式3F−1または3F−2の他の実施形態では、Aまたは−A1−AO−はそれぞれ、分枝単位で構成されない。式3F−1または3F−2のまた他の実施形態では、可溶化剤は−A−または−A1−AO−において存在しない。
式3A、3B、3C、3D、3E、3F、3F−1または3F−2に関して好ましい実施形態のいずれか1つでは、さらに好ましいのは、D+が4級化第3級アミン含有アウリスタチン、例えば、アウリスタチンEなどであるか、または4級化DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1、もしくはDF/E−3の構造を有するものである。
式3A、3B、3C、3D、3E、3F、3F−1または3F−2に対して好ましい実施形態のいずれか1つでは、さらに好ましいのはまた、D+が、4級化第3級アミン含有チューブリシン、例えばチューブリシンMであるか、または4級化DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DG−7、DG−8、DH、DH−1もしくはDH−2の構造を有するものなどである。
式3A、3B、3C、3D、3E、3F、3F−1または3F−2に対して好ましい実施形態のいずれか1つでは、またさらに好ましいのは、D+がDIの構造を有する4級化フェナジンダイマーであるものである。
また他のさらに好ましい実施形態は、D+が4級化イソキノリンベースのMDR阻害剤(すなわち、イソキノリン部分構造を有するMDR阻害剤であって、その部分構造の窒素が4級化されている)、例えば、エラクリダルまたはタリキダルなどである、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
6.標的化部分が抗体であり、よって、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を規定し、標的とされる部分が、結合したADCの細胞内在化が可能な標的とされる異常細胞の細胞表面抗原であり、抗原が、正常細胞と比較して、異常細胞の表面に優先的に存在する、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、標的とされる抗原は、CD19、CD70、CD30、CD33、NTB−A、αvβ6、CD123およびLW−1からなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、標的とされる抗原は過剰増殖細胞のアクセス可能な細胞表面抗原である。他の好ましい実施形態では、標的とされる抗原は、過剰活性化免疫細胞のアクセス可能な細胞表面抗原である。
7.標的化部分が細胞表面トランスポーターの基質であり、標的とされる部分がその細胞表面トランスポーターであり、異常細胞の表面の標的とされるトランスポーターが、その標的化部分として基質で構成される、結合したLDCの細胞取り込みができ、そのトランスポーターが、正常細胞と比較して、異常細胞の表面で優先的に存在するまたはさらに活性のある、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、トランスポーターは葉酸トランスポーターである。他の実施形態では、標的化部分は、細胞表面受容体のリガンドであり、標的とされる部分はその細胞表面受容体であり、異常細胞の表面の標的とされる受容体は、その標的化部分として受容体リガンドで構成される、結合したLDCの細胞内在化が可能であり、標的とされる受容体が、正常細胞と比較して、異常細胞の表面に優先的に存在する。
8.Q1のWが、血清プロテアーゼと比較して、調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であるJへのペプチド結合を有するペプチド部分で構成され、Wに対する調節性プロテアーゼの作用が、組成物のLDCからの第3級アミン含有薬物(D)の細胞内放出を引き起こす実施形態1または2に記載のLDC組成物。
9.Q2のWが、グリコシド結合した炭水化物であり、Q2のグリコシド結合W−Eが、グリコシダーゼのための切断部位を提供し、W−Eに対するグリコシダーゼの作用が、組成物のLDCからの第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こす、実施形態3、4または5に記載のLDC組成物。
10.Wのペプチド部分が、式6の構造を有するジペプチド部分で構成されるかまたはこのジペプチド部分からなる、実施形態8に記載のLDC組成物:
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドのC末端への波線の結合は、式2Aまたは2Bのアリーレン部分のJへの共有結合を示し、ジペプチドのN末端への波線の結合は、もしこのような残りが存在する場合には、Wの残りの部分への、またはaが1の場合には、Aもしくはそのサブユニットへの、またはaが0の場合には、Lbへの共有結合を示し、ジペプチドのJへの結合は、調節性プロテアーゼにより切断可能である)。
11.Q2の中のWが、Eにグリコシド結合した炭水化物部分であり、グリコシド結合がグリコシダーゼにより切断可能であり、W−Eが、式7の構造を有する、実施形態9に記載のLDC組成物:
(式中、波線は、V、Z1、Z2、またはZ3のうちの1つ(その可変基が=CH(R24)−の場合)に結合したEを表し、Eは、−O−、−S−、または−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである)。
12.aが1であり、したがってQ1の中のA、またはそのサブユニット(すなわち、A1)が式1のLbに結合しており、式1の−Lb−Aまたは−Lb−A1は、式8の構造を有する、実施形態1〜11のいずれか1つの実施形態に記載のLDC組成物:
(式中、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aまたはそのサブユニット(A1)の構造を表し、RおよびRa2は、独立して、水素またはメチルであり、Ra1は、水素、メチル、エチルまたは塩基性単位(BU)であり、HEは任意選択の加水分解促進剤(HE)単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいは一方のRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、他方のRb1は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造(式中、nは、0、1、2または3であり、各R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、各R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、スクシンイミド環への波線は、標的化部分のスルフヒドリル基由来の硫黄の共有結合を示し、他の波線は、式1、2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2 3A〜3F、3F−1または3F−2の構造の残りの部分へのA(またはA1)の共有結合を示す)。
好ましい実施形態では、Rは水素である。他の好ましい実施形態では、[HE]は存在し、カルボニル(すなわち、−C(=O)−)またはカルボニル含有官能基であり、その官能基のカルボニルは、好ましくはAまたはA1の[C(Rb1)(Rb1)]m部分に直接結合している。他の好ましい実施形態では、各RbおよびRa1およびRa2は水素であり、mが5であるものがさらに好ましい。
他の好ましい実施形態では、[HE]は存在し、カルボニル(すなわち、−C(=O)−)であり、Ra1は塩基性単位であり、Ra2は水素であり、−CH2NH2の構造を有するBUがさらに好ましい。
13.標的化部分が抗体であり、式1が式9の構造を有する、実施形態10に記載のLDC組成物:
(式中、R8は水素であり、R9は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルであり、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、
VおよびZ1は、独立して、=CH−または=N−である)。
好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他の好ましい実施形態では、R34はイソプロピルであり、R35は−(CH2)3NH(C=O)NH2であり、これらの置換基が結合している炭素は、L−アミノ酸と同じ絶対立体配置にある。他の好ましい実施形態では、R34はイソプロピルであり、R35はメチルであり、これらの置換基が結合している炭素は、L−アミノ酸と同じ絶対立体配置にある。
一部の実施形態では、式9の中のAはA1−Aoで置き換えられており、および/またはLbはM2またはM3部分である。
14.標的化部分が抗体であり、式1が式10の構造を有する、実施形態13に記載のLDC組成物:
(式中、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Ra1は−Hまたは塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R34はメチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)2CO2Hであり、Jは−NH−であり、V、Z1およびZ2は=CH2−であり、R8は水素であり、
R9は水素またはメチルであり、Sは、抗体標的化部分由来のスルフヒドリル基の硫黄である)。
15.標的化部分が抗体であり、式1が式11の構造を有する、実施形態11に記載のLDC組成物:
(式中、A1およびAoは、Aの独立して選択されるサブユニットであり、AoはAの任意選択のサブユニット(すなわち、A1は、Aoが不在の場合Aとなり、Aは、Aoが存在する場合A1−Aoとなる)であり、Eは、−O−または−NH−であり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、
VおよびZ3は、独立して、=CH−または=N−であり、R8は水素であり、R9は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルであり、R45は−CO2Hである)。
他の実施形態では、式11の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
式11の一部の実施形態では、−A1−または−AO−は−B(SA)−であり、Bは分枝単位であり、SAは可溶化剤である。他の実施形態では、式11のA1もAOも−B(SA)ではなく、または−A1−AO−は可溶化剤で構成されない。
16.標的化部分が抗体であり、式1が式12の構造を有する、実施形態15に記載のLDC組成物:
(式中、A1およびAoは、Aの独立して選択されるサブユニットであり、Aoは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb)(Rb)]m−[HE]−は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Aoは、存在する場合、アミン含有酸のC末端カルボニルを介してJに結合しているアミン含有酸に、構造において対応し、
Rは水素であり、R’は水素または電子求引基であり、Ra1は水素または塩基性単位(BU)であり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、VおよびZ3は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルであり、Sは、抗体のスルフヒドリル基由来の硫黄である)。
他の実施形態では、式12の中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
17.存在する場合、Aoが、式13または式14の構造:
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、AoのWへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、AoのA1への結合点を表し、KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR43、R44のうちの1つは不在であるものとし、ただし、2つの隣接するLがN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、qは0〜12の範囲の整数であり、rは1〜12の範囲の整数であり、Gは、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORG、−CO2H、CO2RG、−NH2、または−N(RG)(RG)であり、−ORG、CO2RGにおいて、RGは、C1〜C6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)、またはRPRであり、RPRは、適切な保護基であり、−N(RG)(RG)において、独立して選択されるRGは、以前定義された通りであるか、または両方のRGは、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、またはRPRとしての両方のRGが一緒になって、適切な保護基を形成し、R38は、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル(任意選択で置換されている)、または任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいはR40とR41、またはR40とR43、またはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成する)を有するか、あるいはAoが、アルファ−アミノ、ベータ−アミノまたは別のアミン含有酸に対応する構造を有する、実施形態14、15または16に記載のLDC組成物。
一部の実施形態では、式13または式14のAOは、可溶化剤置換基を有する分枝単位である(すなわち−AO−は−B(SA)−である)。これらの事例では、Gは、可溶化剤(SA)で構成され、好ましくは、そのSAで置換されているD−アミノ酸またはL−アミノ酸の側鎖であり、残りの可変基は定義されている通りである。
18.星印で示された(*)炭素が、その炭素がキラルの場合、L−アミノ酸のアルファ炭素と主に同じ絶対立体配置にある、実施形態14または16に記載のLDC組成物。
19.式1が、標的化部分として抗体由来のリガンド単位を有することによって、式1の組成物の各LDCが、式16Aまたは式16Bの構造で表される、実施形態6に記載のLDC組成物:
(式中、Q1’はAo−Wwであり、Aoは、Aの任意選択のサブユニットであり、したがって−Q1’−は、Aoが不在の場合、−Ww−であるか、またはAoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、−Ao−WW−であり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aとなり、またはAoが存在する場合、A1であり、wは、Q2が不在の場合、1であり、またはQ2が存在する場合、0であり(すなわち、Wは不在)、
Rは水素であり、Ra1は−HまたはBUであり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素もしくはメチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、Jは−O−または−NH−であり、Q2は、存在する場合、W−Eであり、Eは−O−または−NH−であり、p’は、1〜24の範囲の整数であり、Sは、抗体標的化部分のスルフヒドリル基由来の硫黄である)。
20.式1の組成物の各LDCが式17Aまたは式17Bの構造で表される、実施形態19に記載のLDC組成物:
(式中、Jは−NH−であり、V、Z1のうちの1つは=C(R24)−であり、R24は水素、−Clまたは−NO2であり、他方のV、Z1およびZ2は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
21.式1の組成物の各LDCが、式18Aまたは式18Bの構造で表される、実施形態19に記載のLDC組成物:
(式中、Aoは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Ra1は−Hまたは塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22は、独立して、水素もしくはメチルであるか、またはR22の両方は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、Rb1は独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R8は水素であり、R9は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルである)。
他の実施形態では、式18Aまたは18Bの炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられており、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
式18Aまたは式18Bの一部の実施形態では、AOは存在する。それらの実施形態の一部では、−AO−は−B(SA)−であり、Bは分枝単位であり、SAは可溶化剤である。他の実施形態では、式18Aまたは式18BのAOは、存在する場合、−B(SA)−ではなく、または可溶化剤で構成されない。
22.式1の組成物の各LDCが式19Aまたは式19Bの構造で表される、実施形態21に記載のLDC組成物:
(式中、Rは水素であり、Ra1は水素または塩基性単位(BU)であり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素もしくはメチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、各Rb1は独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、VおよびZ3は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
他の実施形態では、式19Aまたは19Bの中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
23.星印で示された(*)炭素が、その炭素がキラルの場合、L−アミノ酸のアルファ炭素と主に同じ絶対立体配置にある、実施形態19、20、21または22に記載のLDC組成物。
24.−D+が、式20(DE’)または式21(DF’)の構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物:
(式中、R10およびR11は、独立して、C1〜C8アルキルであり、R12は水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、独立して、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、R19Aは、水素、C1〜C6アルキルまたは−OHであり、R21は、アリールまたはC3〜C8複素環であり、R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、mは1〜1000の範囲の整数であり、R47はC2〜C8アルキルであり、R48は水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、ZはO、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、X1はC1〜C10アルキレンであり、nは0〜6の範囲の整数であり、N+への波線は、式1の構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
25.−D+が、式22(DI’)の構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物
(式中、環Aおよび環Bは、環A上で1、2もしくは3つのRA置換基で任意選択で置換されている、および/または環B上で1、2もしくは3つのRB置換基で任意選択で置換されている、独立して選択されるアリールまたはヘテロアリールであり、これらはフェナジン環系に縮合しており、一方のフェナジン環系は、1、2または3つの、独立して選択されるRC置換基で任意選択で置換されており、他方のフェナジン環は1、2または3つの、独立して選択されるRD置換基で任意選択で置換されており、RA、RB、RCおよびRDは、存在する場合、ハロゲン、任意選択で置換されているアルキルまたはO連結置換基であり、R9AおよびR9Bは、独立して選択される、任意選択の置換アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子およびこれらの窒素の間にある炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環系を構成し、n、sおよびoは、独立して、2〜4の範囲の整数であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
26.−D+が、式23(DG−1’)または式24(DH−1’)の構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物
(式中、丸は、5員のヘテロアリールまたは6員のアリールもしくはヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、残りの位置における任意選択の置換と互いに1,3−またはメタ−関係にあり、R2Aは水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基を規定し、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、任意選択で置換されているアルキル(独立して選択される)であり、R7Aは任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは水素または任意選択で置換されているアルキルであり、mは0または1であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
好ましい実施形態では、R7Aは、任意選択で置換されているフェニルである。他の好ましい実施形態では、丸はチアゾールを表す。他の好ましい実施形態では、R3は−CH3である。さらに好ましい実施形態では、R7Aは、任意選択で置換されているフェニルであり、丸はチアゾールを表し、R2Aは、それが結合している酸素原子と共にエステルを規定する。
27.標的化部分が抗体である、実施形態1〜26のいずれか1つに記載のLDC組成物。
28.標的化部分由来のリガンド単位が、哺乳動物細胞の表面の抗原を標的とする、実施形態1〜27のいずれか1つに記載のLDC組成物。
29.標的化部分由来のリガンド単位が、細菌上の抗原に結合しない、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のLDC組成物。
30.標的化部分由来のリガンド単位が細菌性多糖に結合しない、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のLDC組成物。
31.標的化部分由来のリガンド単位が細胞壁テイコ酸に結合しない、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のLDC組成物。
32.D+が、構造において抗生剤に対応しない、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
33.D+が、構造において抗生剤に対応しない、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
34.D+が、細菌感染症の処置に使用されるものに、構造において対応しない、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
35.D+が、第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能である、がんの処置に有用な化学化合物である、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
36.D+が、第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能である、自己免疫疾患の処置に有用な化学化合物である、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
1A.式Iの構造を有する化合物
(式中、Lb’はリンカー共有結合前駆体部分であり、Q1はAa−Wwであり、下付き文字aは0または1であり、Aは、下付き文字aが、Aが不在の場合0であるか、またはAが存在する場合1であるような任意選択のストレッチャー単位であり、任意選択で2、3または4つのサブユニットで構成され、Q2はW’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であるJへのペプチド結合を有するペプチド部分で構成され、この細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されるプロテアーゼによる選択的切断が可能であるか、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより切断可能であるジスルフィド部分で構成されるか、またはその構造が式Iの構造に対応する式1のLDCに組み込まれた場合、血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下(すなわち、より酸性の条件下)で加水分解にさらに反応性があるヒドラゾン部分で構成され、Q2のW’−Eは、細胞内に位置するグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を提供し、このグリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、またはその構造が式Iの構造に対応する式1のLDCに組み込まれた場合、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されたグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはwが1の場合存在し、w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはw’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちのうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は=N−または=C(R24)−であり、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CN、もしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは=C(R24)−であるが、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、前記細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断は、前記LDCからのD+からのDの排出をもたらす)。
2A.Lb’が、以下のうちの1つの構造を有する、実施形態1Aに記載の化合物
(式中、Rは、水素またはC1〜C6の任意選択で置換されているアルキルであり、Tは−Cl、−Br、−I、−O−メシルまたは−O−トシルであり、Uは、−F、−Cl、−Br、−I、−O−N−スクシンイミド、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、−O−テトラフルオロフェニルまたは−O−C(=O)−OR57であり、X2はC1〜10アルキレン、C3〜C8炭素環、−O−(C1〜C6アルキル)、−アリーレン−、C1〜C10アルキレン−アリーレン、−アリーレン−C1〜C10アルキレン、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C6炭素環)−、−(C3〜C8炭素環)−C1〜C10アルキレン−、C3〜C8複素環、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン、−(CH2CH2O)u、または−CH2CH2O)u−CH2−であり、uは、1〜10の範囲の整数であり、R57はC1〜C6アルキルまたはアリールである)。
3A.前記化合物が式IIaまたは式IIbの構造を有する、実施形態2Aに記載の化合物:
(式中、Aはストレッチャー単位であり、下付き文字aは1であり、下付き文字wは1であり、下付き文字w’は1であり、Rは水素またはメチルであり、EおよびJは、独立して、−O−、または−N(R33)−(式中、R33は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルである)であり、下付き文字wは1であり、式IIaのWはペプチド部分(すなわち、Wは2つまたはそれ超、好ましくは2〜4つのアミノ酸サブユニットのものである)であり、Jへのペプチド結合は、血清プロテアーゼと比較して、調節性プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼにより選択的に切断可能であり、式IIbのW’はグリコシド結合した炭水化物であり、W’−Eの中のEへのグリコシド結合はリソソームグリコシダーゼまたは細胞内グリコシダーゼにより切断可能であり、R8は水素であり、R9は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルである)。好ましくは、式IIaのペプチドWは−W1−W2−であり、W1およびW2は、Wのアミノ酸サブユニットであり、これが一緒になって、カテプシンなどのシステインプロテアーゼのための認識部位を提供する。
式IIaまたは式IIbの一部の実施形態では、−A−は−B(SA)−であり、B(SA)は可溶化剤(SA)で置換されている、分枝単位(B)である。式IIaまたは式IIbのAの他の実施形態では、−A−は分枝単位で構成されない。式IIaまたは式IIaの一部の実施形態では−A−は−A1−AO−であり、A1またはAOは−B(SA)−である。式IIaまたは式IIbの他の実施形態では、Aは分枝単位で構成されない。式IIaまたはIIbのまた他の実施形態では、可溶化剤は−A−中に存在しない。
4A.式IIaの化合物が式IIIaまたは式IIIbの構造を有する、実施形態3Aに記載の化合物:
(式中、下付き文字wは1であり、下付き文字w’は1であり、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、RおよびRa2は、独立して、水素またはメチルであり、Ra1は水素、メチル、エチルまたは塩基性単位(BU)であり、HEは任意選択の加水分解促進剤単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、あるいは1つのRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを規定し、他方のRb1は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造(式中、nは0、1、2または3であり、各R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、各R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、R8は水素であり、R9は水素またはC1〜C6アルキルである)。
式IIIaまたは式IIIbの一部の実施形態では、AOは存在する。それらの実施形態の一部では、−AO−は−B(SA)−であり、B(SA)は、可溶化剤(SA)で置換されている分枝単位(B)である。式IIIaまたは式IIIbの他の実施形態では、−AO−は存在するが、−B(SA)−ではないか、または可溶化剤で構成されない。
4A.式Iの化合物が式IVaまたは式IVbの構造を有する実施形態2Aに記載の化合物:
(式中、式IVaの中で、V、Z1またはZ2のうちの1つは=C(R24)−であり、R24は、水素または電子供与基であり、他のV、Z1またはZ2は、=CH2−または=N−であり、R’は、水素または電子供与基であるか、あるいは式IVbの中で、VおよびZ3は、=C(R24)−であり、一方のR24は水素であり、他方のR24は水素、電子供与基もしくは電子求引基であるか、またはVおよびZ3は、独立して、=CH2−もしくは=N−であり、R’は、水素もしくは電子求引基であり、Eは、−O−もしくは−NH−であり、Jは−N(R33)であり、R33は水素もしくはメチルであり、R34はベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである)。
他の実施形態では、式IVbの中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられており、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
一部の実施形態では、式IVaの−A−は−B(SA)−であるか、またはA1−AO−であり、A1またはAOは−B(SA)−であり、B(SA)は可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。式IVbの一部の実施形態では、A1またはAOは−B(SA)−である。式IVaまたは式IVbの他の実施形態では、−A−、A1およびAOのいずれも−B(SA)−ではなく、または式IVaの中の−A−もしくは式IVbの中の−A1−AO−は可溶化剤で構成されない。
5A.式IVaまたは式IVbの化合物が式Vaまたは式Vbの構造を有する実施形態4Aに記載の化合物:
(式中、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb)(Rb)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Rは水素であり、Ra1は水素またはBUであり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、V、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
他の実施形態では、式Vbの中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられており、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
式Vaまたは式Vbの一部の実施形態では、AOは−B(SA)−である。式IVaまたは式IVbの他の実施形態では、AOは−B(SA)−ではなく、または可溶化剤で構成されない。
6A.式Vbの中のAoが、
(式中、いずれかの構造のC末端カルボニル部分への波線は、Jへの結合点を表し、いずれかの構造のN末端アミノ部分への波線は、A1のカルボニル含有官能基への結合点を表し、KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR43、R44のうちの1つは不在であるものとし、ただし、2つの隣接するLがN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、qは0〜12の範囲の整数であり、rは1〜12の範囲の整数であり、Gは水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORG、−CO2H、CO2RG(RGは、C1〜C6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)である)、またはRPR(RPRは適切な保護である)、−NH2、または−N(RG)(RG)であり、独立して選択されるRGは、以前定義された通りであるか、または両方のRGは、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、またはRPRとしての両方のRGが一緒になって適切な保護基を形成し、R38は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル(任意選択で置換されている)、もしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR40とR41、またはR40とR43、またはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成する)の構造を有するか、あるいは式Vbの中のAoがアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸に対応する構造を有する、実施形態5Aに記載の化合物。
一部の実施形態ではAOは可溶化剤置換基を有する分枝単位である(すなわち−AO−は−B(SA)−である)。これらの事例において、Gは可溶化剤(SA)で構成され、好ましくはD−アミノ酸またはL−アミノ酸の側鎖がそのSAで置換されており、残りの可変基は定義されている通りである。
8A.AOが、
(式中、X3は不在であるか、またはX2であり、X2は実施形態2Aにおいて定義されている通りであり、Raはリシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸の側鎖である)の構造を有する、実施形態6Aに記載の化合物。
9A.Aoが、
(式中、R46AおよびR46Bは、独立して、HもしくはC1〜C6アルキル(好ましくはメチル)であるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、またはR46AおよびR46Bの一方は、水素もしくはC1〜C6アルキルであり、他方は可溶化剤であり、好ましくはアミド官能基を介して窒素ヘテロ原子に結合している)の構造を有する、実施形態7Aまたは8Aに記載の化合物。好ましい実施形態では、R46AおよびR46Bのそれぞれは水素またはメチルである。他の好ましい実施形態では、R46AおよびR46Bの一方は水素であり、他方は可溶化剤であり、好ましくはアミド官能基を介して窒素ヘテロ原子に結合している。
10A.AOが、可溶化剤での置換を有する分枝単位である、実施形態1A〜6Aのいずれか1つに記載の化合物。
11A.AOが、リシン、好ましくはL−リシンであり、そのε−アミノ基において可溶化剤で任意選択で置換されている、実施形態1A〜9Aのいずれか1つに記載の化合物。
1B.実施形態2Aの化合物を、反応性スルフヒドリル、アミノまたはアルデヒド部分を有する抗体と適切な条件下で接触させることによって、反応性部分と、式1の化合物のLb’部分との縮合を生じさせ、この時点で、Lb’が、Lbに変換されることにより得られる、抗体薬物コンジュゲート(ADC)組成物であり、前記縮合からのADC組成物を表す構造内のAb−Lb−部分は、以下のうちの1つの構造を有する:
(式中、示された(#)原子は、抗体の反応性部分から誘導され、X2は、実施形態2Aで定義されている通りであり、
Abは、標的化抗体由来の抗体リガンド単位である)。
2B.反応性抗体部分が、溶媒のアクセス可能な位置において抗体の重鎖定常領域へシステイン残基を遺伝子操作することにより、または抗体のヒンジジスルフィド部分の選択的還元に適切な条件下で抗体をジスルフィド還元剤と接触させることにより、得られるシステインスルフヒドリルである、実施形態1Bに記載のADC組成物。
3B.前記組成物が、Ab−S−式1またはAb−S−式2の構造で表される実施形態2Bに記載のADC組成物:
(式中、下付き文字aは1であり、下付き文字wは1であり、下付き文字w’は1であり、下付き文字yは1であり(すなわち、ストレッチャー、切断およびスペーサー単位は存在する)、下付き文字p’は1〜8の範囲であり、可変基は、実施形態1Aと同様に定義され、D+は4級化第3級アミン含有薬物の構造を表す)。
4B.前記組成物が、Ab−S−式5またはAb−S−式11の構造で表される、実施形態3Bに記載のADC組成物:
(式中、Ab−S−式5およびAb−S−式11の可変基は、実施形態4Aまたは実施形態12Aにおいてそれぞれ定義されている通りである)。
Ab−S−式5またはAb−S−式11の一部の実施形態では、AOは不在である。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは存在する。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは、存在する場合、−B(SA)−であり、B(SA)は、可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは−B(SA)−ではない、または可溶化剤で構成されない。
他の実施形態では、炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
5B.前記組成物が、Ab−S−式9またはAb−S−式12の構造で表される実施形態3Bに記載のADC組成物:
(式中、イミド窒素に対する炭素αはBUで置換されているか、またはそうでなければ、水素で置換されており、Ab−S−式9およびAb−S−式12の可変基は、実施形態8Aまたは実施形態12Aとそれぞれ同様に定義される)。
Ab−S−式9またはAb−S−式12の一部の実施形態では、AOは不在である。Ab−S−式9またはAb−S−式12の他の実施形態では、AOは存在する。Ab−S−式9またはAb−S−式12の他の実施形態では、AOは、存在する場合、−B(SA)−であり、B(SA)は、可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは−B(SA)−ではなく、または可溶化剤で構成されない。
6B.BUが不在であり、括弧内の水素で置き換えられているか、または−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造(式中、n、R1、R2、R22およびR23は実施形態2Aと同様に定義される)を有する、実施形態5Bに記載のADC組成物。
7B.前記組成物が、Ab−S−式13またはAb−S−式14の構造で表される、実施形態5Bに記載のADC組成物:
(式中、BUが存在する場合、ADC組成物のそれぞれのコンジュゲートが、p’が出現するたびに、星印で示された(*)位置において、10%以下の反対の立体異性体を有し、
BUは、存在する場合、−CH2N(R22)(R23)であり、R22およびR23のうちの一方は−Hであり、他方は水素またはC1〜C6アルキルである)。
8B.BUが不在であり(すなわち、括弧内の水素で置き換えられている)、−[C(Rb1)(Rb1)]m−が−(CH2)4−である、実施形態5Bに記載のADC組成物。
9B.BUが−CH2NH2であり、mが0である、実施形態5Bに記載のADC組成物。
10B.Abが、哺乳動物細胞の表面の抗原を標的とする標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
11B.Abが、細菌上の抗原に結合しない標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
12B.Abが、細菌性多糖に結合しない標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
13B.Abが、細胞壁テイコ酸に結合しない、標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
14B.D+が、構造において抗生剤に対応しない、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
15B.D+が細菌感染症の処置に使用されるものに構造において対応しない、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
16B.D+が、第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能な、がんの処置において有用な化学化合物である、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
18B.D+が第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能な、自己免疫疾患の処置において有用な化学化合物である、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
1C.式1の構造:
(式中、「リガンド」は、標的部分に選択的に結合する標的化部分に由来するリガンド単位であり、Lbはリガンド共有結合部分であり、Q1はAa−Wwであり、Aは、下付き文字aが、Aが不在の場合0であるか、またはAが存在する場合1であるような任意選択のストレッチャー単位であり、任意選択で2、3または4つのサブユニットで構成され、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’ w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であり、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されるプロテアーゼにより、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより選択的に切断可能であり、または生理学的血清pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下で加水分解に対してさらに反応性があり、Q2のW’−Eは、細胞内に位置するグリコシダーゼにより選択的に切断可能なグリコシド結合を提供し、グリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されたグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはwが1の場合存在し、w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはw’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちのうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は、=N−または=C(R24)−(式中、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+である)であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは、=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは=C(R24)−であるが、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いににオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−(式中、R33は水素または任意選択で置換されているアルキルである)であり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、または電子供与基であり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、pは、1〜24の範囲の数を有する平均薬物付加数である)で表されるリガンド薬物コンジュゲート(LDC)組成物であって、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断が、LDC組成物のLDCからのDの排出をもたらす、リガンド薬物コンジュゲート(LDC)組成物。
2C.−D+が4級化アウリスタチン薬物単位である、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
3C.−D+がDE’またはDF’の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物
(式中、R10およびR11は、独立して、C1〜C8アルキルであり、R12は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、独立して、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、R21は、アリールまたはC3〜C8複素環であり、R19Aは、水素、C1〜C8アルキルまたは−OHであり、R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、mは1〜1000の範囲の整数であり、R47はC2〜C8アルキルであり、R48は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、ZはO、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、X1はC1〜C10アルキレンであり、nは0〜6の範囲の整数であり、N+への波線は、式1の構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
4C.式1の組成物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましくはpは、1〜8の範囲である。
5C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Abは、標的化抗体由来の抗体リガンド単位であり、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合しており、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、p’は1〜24の整数である)の構造で表される実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
6C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態4Cに記載のLDC組成物。
7C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合している)の構造で表される、実施形態5Cに記載のLDC組成物。
8C.式1の組成物が、
(式中、pは、1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜24の範囲の数である。好ましい実施形態では、pは、1〜8の範囲の数である。
9C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合しており、p’は1〜24の範囲の整数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
10C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態8Cに記載のLDC組成物。
11C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合している)の構造で表される、実施形態9Cに記載のLDC組成物。
12C.−D+が、4級化チューブリシン薬物単位である、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
13C.−D+が、式DG−1 ’または式DH−1’の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物:
(式中、丸は5員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールに対する示された必要とされる置換基は互いに1,3−の関係にあり、残りの位置に任意選択の置換を有し、R2Aは水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共に−OH以外のO連結置換基を規定し、
R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、任意選択で置換されているアルキル(独立して選択される)であり、R7Aは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、mは0または1であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
14C.式1の組成物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
15C.式1の組成物が、
(式中、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
16C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態14Cに記載のLDC組成物。
17C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態15Cに記載のLDC組成物。
18C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合しており、
R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、p’は1〜24の整数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
19C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、R7Bは、水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、p’は1〜24の整数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
20C.式1の組成物の各LDCが、
の構造で表される、実施形態18Cに記載のLDC組成物。
21C.その組成物の各LDCが、
の構造で表される、実施形態19Cに記載のLDC組成物。
22C.Aが、−CH2(CH2)4(C=O)−または−CH2(CH2)4(C=O)NHCH2CH2(C=O)−である、実施形態4C、5C、8C、9C、14C、15C、18Cまたは19Cに記載のLDC組成物。
23C.−D+が、4級化フェナジンダイマーである、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
24C.−D+が、DI’の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物:
(式中、環Aおよび環Bは、1、2または3つの独立して選択されるRCおよび/またはRBD置換基で任意選択で置換されているフェナジン環系に縮合した、1、2または3つのRAおよび/またはRB置換基で任意選択で置換されている、独立して選択されるアリールまたはヘテロアリールであり、RA、RB、RCおよびRDは、存在する場合、独立してハロゲン、任意選択で置換されているアルキルであるか、またはO連結置換基であり、R9AおよびR9Bは、独立して選択される、任意選択の置換アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子およびこれらの窒素の間にある炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環系を構成し、n、sおよびoは、独立して、2〜4の範囲の整数であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
25C.−D+が、
(式中、RAおよびRBは存在し、低級アルキルである)の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
26C.前記LDC組成物が、
(式中、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態25Cに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。さらに好ましい実施形態では、炭水化物はグルクロン酸である。他の好ましい実施形態では、RAおよびRBは−CH3である。他の好ましい実施形態ではLbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AがLSS部分であるか、またはM3−AがLS部分であるものである。他のさらに好ましい実施形態では、Aが−A1−Ao−で置き換えられることによって、M2−A1はLSS部分であるか、またはM3−A1はLS部分である。また他のさらに好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
27C.式1の組成物が、
(式中、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態26Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
28C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される、実施形態27Cに記載のLDC組成物。
29C.式1の組成物が、
(式中、Qは、−W−Aまたは−W−A1−Ao−であり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される実施形態26Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
好ましい実施形態では、Wは、Q1とSI部分との間の結合を切断する調節性プロテアーゼに対する基質である。他の好ましい実施形態では、LbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AもしくはM2−A1がLSS部分であるか、またはM3−AもしくはM3−A1がLS部分であるものである。また他のさらに好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
30C.−D+が、イソキノリン部分構造を有する4級化MDR阻害剤である、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
31C.式1の組成物が、
(式中、Arは任意選択で置換されているアリールまたはヘテロアリールであり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態30Cに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。さらに好ましい実施形態では、炭水化物はグルクロン酸である。他の好ましい実施形態では、RAおよびRBは−CH3である。他の好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、LbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AがLSS部分であるか、またはM3−AがLS部分であるものである。他のさらに好ましい実施形態では、Aが−A1−Ao−で置き換えられることによって、M2−A1はLSS部分であるか、またはM3−A1はLS部分である。また他のさらに好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、pは1〜24の範囲の数である。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
32C.式1の組成物が、
(式中、pは1〜8の範囲の数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。
33C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。
34C.式1の組成物が、
(式中、Qは−W−Aまたは−W−A1−Ao−であり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態30Cに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、Wは、Q1とSI部分との間の結合を切断する調節性プロテアーゼに対する基質である。他の好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、LbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AもしくはM2−A1がLSS部分であるか、またはM3−AもしくはM3−A1がLS部分であるものである。また他のさらに好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、pは1〜8の範囲の数である。
35C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態34Cに記載のLDC組成物。
36C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜24の整数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
37C.式1の組成物が、
(式中、pは1〜8の範囲の数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。
38C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される実施形態31Cに記載のLDC組成物。
39C.Arが、
(式中、波線は、アリール部分の示されたカルボニル官能基への結合を示す)の構造を有する、実施形態31C、32C、33C、34C、35Cまたは36Cに記載のLDC組成物。
40C.リガンド単位またはAbが、哺乳動物細胞の表面の抗原を標的とする標的化部分由来のものである、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
41C.標的化部分由来のリガンド単位またはAbが、細菌上の抗原に結合しない、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
42C.標的化部分由来のリガンド単位またはAbが、細菌性多糖に結合しない、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
43C.標的化部分由来のリガンド単位またはAbが、細胞壁テイコ酸に結合しない、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
1D.式I:
(式中、L’bはリガンド共有結合部分前駆体であり、Q1はAa−Wwであり、Aは、下付き文字aが、Aが不在の場合0であるか、またはAが存在する場合1であるような任意選択のストレッチャー単位であり、2、3または4つのサブユニットで任意選択で構成され、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’ w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、細胞内もしくは調節性プロテアーゼにより、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより選択的切断が可能であり、あるいは血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH(すなわち、より酸性である)条件下で、加水分解にさらに反応性があり、Q2のW’−Eは、細胞内に位置するグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を提供し、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはWは、wが1の場合存在し、下付き文字w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはW’−Eは、w’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は=N−または=C(R24)−であり、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは、=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは、=C(R24)−であり、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いにオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラにあるものとし、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、R’は水素であるかまたはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、D+は4級化第3級アミン含有薬物の構造を表し、下付き文字pは1〜24の範囲の数である)の構造を有する、薬物−リンカー化合物であって、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断が、薬物−リンカー化合物、またはリガンド薬物コンジュゲート化合物またはそれから由来するN−アセチル−システインコンジュゲートからの遊離第3級アミン含有薬物(D)の排出をもたらす、薬物−リンカー化合物。
2D.前記化合物が、式IIAまたは式IIBの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
3D.式IIIAまたは式IIIBの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
4D.式IIICまたは式IIIDの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
5D.式IIIEまたは式IIICの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
6D.Lb’−が、
(式中、Rは、水素またはC1〜C6の任意選択で置換されているアルキルであり、R’は水素もしくはハロゲンであるか、またはRおよびR’は、独立して選択されるハロゲンであり、Tは、−Cl、−Br、−I、−O−メシルもしくは−O−トシルまたは他のスルホン酸エステル脱離基であり、Uは、−F、−Cl、−Br、−I、−O−N−スクシンイミド、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、−O−テトラフルオロフェニルまたは−O−C(=O)−OR57であり、X2は、C1〜10アルキレン、C3〜C8炭素環、−O−(C1〜C6アルキル)、−アリーレン−、C1〜C10アルキレン−アリーレン、−アリーレン−C1〜C10アルキレン、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C6炭素環)−、−(C3〜C8炭素環)−C1〜C10アルキレン−、C3〜C8複素環、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン、−(CH2CH2O)u、または−CH2CH2O)u−CH2−であり、下付き文字uは、1〜10の範囲の整数であり、R57はC1〜C6アルキルまたはアリールである)からなる群から選択される構造を有する、実施形態1D〜5Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
7D.下付き文字aが1であり、したがってQ1の中のAは式IのL’bに結合しており、Lb’−Aが一般式M1−A1−AO−(式中、M1はマレイミド部分であり、AOはAの任意選択のサブユニットであり、したがってAは、AOが存在する場合、2つのサブユニットによるものであるか、またはAOが不在の場合、単一の単位である)によるものである、実施形態1D〜6Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
8D.M1−A1−AO−が、式VIIIの構造を有する、実施形態7Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、AOは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−は、AOが不在の場合、Aであり、Aoが存在する場合、A1であり、したがってAが−A1−Ao−となり、RおよびRa2は、独立して、水素またはメチルであり、Ra1は、水素、メチル、エチルまたは塩基性単位(BU)であり、HEは任意選択の加水分解促進剤(HE)単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいは一方のRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、他方のRb1は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造を有し、下付き文字nは、0、1、2または3であり、各R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、各R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、波線は、式VIII構造の残りの部分へのA(またはAO)の共有結合を示す)。
一部の実施形態では、部分−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩である。
9D.式IのM1−A1−AO−が、
(式中、R22およびR23は、それぞれ水素であるか、またはR22、R23の一方は水素であり、他方は酸に不安定なカルバメート保護基であり、下付き文字mは0〜4の範囲の整数である)の構造を有する、請求項7Dまたは8Dに記載の薬物−リンカー化合物。
一部の実施形態では、部分−N(R22)(R23)はその酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は、薬学的に許容される塩である。
10D.式IのM1−A1−AO−が、
(式中、下付き文字mは0または4であり、R22およびR23は、それぞれ水素であるか、またはR22、R23の一方が水素であり、他方が−C(O)Ot−Buである)の構造を有する、実施形態7D、8Dまたは9Dに記載の薬物−リンカー化合物。
一部の実施形態では、部分−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩である。
11D.Q1のWが、血清プロテアーゼと比較して、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であるJへのペプチド結合を有するペプチド部分で構成されるかまたは前記ペプチド部分からなり、Wに対する調節性プロテアーゼの作用が、薬物−リンカー化合物もしくはリガンド薬物コンジュゲート化合物またはそれから由来するN−アセチル−システインコンジュゲートからの遊離第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こす、実施形態1D〜10Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
12D.Q2のW’が、グリコシド結合した炭水化物であり、Q2のグリコシド結合W’−Eが、細胞内に位置するグリコシダーゼに対する切断部位を提供し、W’−Eに対するグリコシダーゼの作用が、薬物−リンカー化合物もしくはリガンド薬物コンジュゲート化合物またはそれから由来するN−アセチル−システインコンジュゲートからの第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こす、実施形態1D〜10Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
13D.Wのペプチド部分が、式VIの構造を有するジペプチド部分で構成されるかまたはこのジペプチド部分からなる、実施形態11Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドのC末端への波線の結合は、式IIAまたはIIBのアリーレン部分のJへの共有結合を示し、ジペプチドのN末端への波線の結合は、何らかのWの残りが存在する場合には、前記Wの残りへの共有結合、または下付き文字aが1の場合には、A、またはそのサブユニットへの共有結合、またはaが0の場合には、Lbへの共有結合を示し、ジペプチドのJへの結合は細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより切断可能である)。
14D.Q2の中のW’が、Eにグリコシド結合している炭水化物部分であり、グリコシド結合が細胞内グリコシダーゼにより切断可能であり、W’−Eが、式VIIの構造を有する、実施形態12Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、波線は、Eが、V、Z1、Z2、またはZ3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)の場合に結合していることを表し、Eは−O−、−S−、または−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである)。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、W’−Eの炭水化物部分はD立体配置にある。
15D.前記化合物が、式IXの構造を有する、実施形態11Dまたは13Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、R’は水素または電子供与基であり、R8は水素であり、R9は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、または任意選択で置換されているフェニルであり、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、VおよびZ1は、独立して、=CH−または=N−である)。
一部の実施形態では、Aは、塩基性単位で任意選択で置換されているC1〜C6アルキレンで構成される。他の実施形態では、V、Z1、Z2のうちの1または2つは=CH−であり、他方は=N−である。好ましい実施形態では、V、Z1、Z2のそれぞれは=CH−である。
16D.前記化合物が、式Xの構造を有する、実施形態15Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、アスタリスク(*)は、示された炭素において、キラリティーまたはその不在を指定し、AOは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Ra1は、−Hまたは塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造を有し、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、Ra2は水素であり、下付き文字mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは、不在または−C(=O)−であり、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、Jは−NH−であり、V、Z1およびZ2は=CH2−であり、R’は、水素または電子供与基であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは0〜4の範囲である。他の好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは0または4であり、AOは不在である。他の好ましい実施形態では、Ra1はBUであり、mは0である。
一部の実施形態では、Ra1はBUであり、BUの−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩である。
17D.式XIの構造を有する、実施形態12Dまたは14Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、A1およびAOはAの独立して選択されるサブユニットであり、AOはAの任意選択のサブユニットであり(すなわち、A1は、AOが不在の場合、Aとなり、AOが存在する場合、Aは−A1−AO−である);Eは−O−または−NH−であり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、VおよびZ3は、独立して、=CH−または=N−であり、R’は水素または電子求引基であり、R8は水素であり、R9は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルであり、R45は−CO2Hまたは−CH2OHである)。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hであり、W’−Eの炭水化物部分はD立体配置にある。
18D.前記化合物が、式XIIの構造を有する、実施形態12D、14Dまたは17Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、アスタリスク(*)は、示された炭素において、キラリティーまたはその不在を指定し、A1およびAOは、Aの独立して選択されるサブユニットであり、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、AOは、存在する場合、アミン含有酸のC末端カルボニルを介してJに結合しているアミン含有酸に、構造において対応し、Rは水素であり、R’は、水素または電子求引基であり、Ra1は、水素または塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造を有し、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、Ra2は水素であり、下付き文字mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hまたは−CH2OHであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、VおよびZ3は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
一部の実施形態では、Ra1はBUであり、BUの−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。好ましい実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩であり、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは、0〜4の範囲であり、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは0または4であり、AOは不在であり、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、Ra1はBUであり、mは0であり、Aoは存在し、R45は−CO2Hである。それらの好ましい実施形態のいずれか1つでは、Q2の炭水化物部分はD立体配置にある。
19D.存在する場合、AOが、式XIIIまたは式XIV:
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、AOのWへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、AoのA1への結合点を表し、KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR43、R44のうちの1つは不在であるものとし、ただし、2つの隣接するLがN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、下付き文字qは、0〜12の範囲の整数であり、下付き文字rは1〜12の範囲の整数であり、Gは水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORG、−CO2H、CO2RG、−NH2、または−N(RG)(RPG)であり、−ORG、CO2RGにおいて、RGは、C1〜C6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)、またはRPRであり、RPRは適切な保護基であり、−N(RG)(RPG)において、独立して選択されるRGは、以前定義された通りであるか、または両方のRGは、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、または両方のRPRは一緒になって適切な保護基を形成し、R38は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル(任意選択で置換されている)、もしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR40とR41、またはR40とR43、またはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成する)の構造を有するか、あるいはAOが、アルファ−アミノ、ベータ−アミノまたは別のアミン含有酸に対応する構造を有する、実施形態1D〜19Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
20D.星印で示された(*)炭素がキラリティーを有する場合、その示された炭素が、主にL−アミノ酸のアルファ炭素と同じ絶対立体配置にある、実施形態18Dに記載の薬物−リンカー化合物。
21D.−D+が、4級化第3級アミン含有チューブリン破壊剤である、実施形態1D〜20Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
22D.4級化チューブリン破壊剤−D+が4級化チューブリシン薬物単位である、実施形態21Dに記載の薬物−リンカー化合物。
23D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、式DG−1 ’または式DH−1’の構造を有する、請求項実施形態22Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、丸は5員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールに対する示された必要とされる置換基は互いに1,3−の関係にあり、残りの位置に任意選択の置換を有し、R2Aは、水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基を規定し、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、任意選択で置換されているアルキル(独立して選択される)であり、R7Aは任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは水素または任意選択で置換されているアルキルであり、下付き文字mは0または1であり、波線は、薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
24D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、Zは任意選択で置換されている低級アルキレンまたは任意選択で置換されている低級アルケニレンであり、R7B置換基の数を示している下付き文字qは、1、2または3であり、各R7Bは、独立して、水素およびO連結置換基から選択され、波線は、薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)の構造を有する、実施形態23Dに記載の薬物−リンカー化合物。
25D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R2Aは水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはR2は、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基を規定し、R3は任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R5およびR6は天然の疎水性アミノ酸の側鎖残基であり、−N(R7)(R7)は、−NH(C1〜C6アルキル)または−NH−N(C1〜C6アルキル)2であり、1つのみのC1〜C6アルキルが、−CO2H、もしくはそのエステルで、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されており、波線は、薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)の構造を有する、実施形態24Dに記載の薬物−リンカー化合物。
26D.−N(R7)(R7)が、−NH(CH3)、−NHCH2CH2Ph、および−NHCH2−CO2H、−NHCH2CH2CO2Hおよび−NHCH2CH2CH2CO2Hからなる群から選択される、実施形態25Dに記載の薬物−リンカー化合物。
27D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
の構造を有する、実施形態23Dに記載の薬物−リンカー化合物。
28D.O連結置換基−OR2Aが、−OH以外である(すなわち、R2Aは水素ではない)、請求項23D〜27Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
29D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R4Aはメチルであり、R3は、H、メチル、エチル、プロピル、−CH2−OC(O)R3A、−CH2CH(R3B)C(O)R3Aまたは−CH(R3B)C(O)NHR3Aであり、R3AはC1〜C6アルキルであり、R3BはHまたはC1〜C6アルキル(R3Aから独立して選択される)であり、−OR2Aは、−OR2B、−OC(O)R2Bもしくは−OC(O)N(R2B)(R2C)からなる群から選択されるO連結置換基であり、R2BおよびR2Cは、独立して、H、C1〜C6アルキルおよびC2〜C6アルケニルからなる群から選択され、R7Bは、水素または−OHである)の構造を有する、請求項28Dに記載の薬物−リンカー化合物。
30D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R2AおよびR3は、独立して、メチル、エチル、プロピルおよびイソ−プロピルからなる群から選択され、R2Bは、メチル、エチル、プロピルおよびイソ−プロピルであるか、または−OR2Aは以前定義された通りであり、R3は、メチル、エチルまたはプロピルであり、R7Bは、水素または−OHである)の構造を有する、実施形態29Dに記載の薬物−リンカー化合物。
31D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R2Bは、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、3−メチル−プロパ−1−イル、3,3−ジメチル−プロパ−1−イル、またはビニルであり、R3は、メチル、エチルまたはプロピルであり、R7Bは、水素または−OHである)の構造を有する、実施形態29Dに記載の薬物−リンカー化合物。
32D.R2Bが−CH3であり、R3が−CH3であり、R7BがHまたは−OHである、実施形態23D〜29Dおよび31Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
33D.R2Aが−CH2CH3である、請求項23〜30のいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
34D.R2Bが−CH3であり、R3が−CH3であり、R7BがHである、請求項23D〜29Dおよび31Dに記載の薬物−リンカー化合物。
35D.前記化合物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は、−CH3、イソプロピル、−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2または−CH2CH2CO2Hであり、R7Bは、水素または−OHであり、R2Aは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−OCH2OR2B、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは水素、またはC1〜C6アルキルである)の構造を有する、実施形態22Dに記載の薬物−リンカー化合物。
36D.R34がイソプロピルであり、R35が、−CH3、または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bが、水素または−OHであり、R2Aが、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルである、請求項35Dに記載の薬物−リンカー化合物。
37D.前記化合物が、
(式中、R7Bは、水素または−OHであり、R2Aは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−OCH2OR2B、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは、水素、またはC1〜C6アルキルであり、R45は、−CO2Hまたは−CH2OHである)の構造を有する、実施形態35Dに記載の薬物−リンカー化合物。
38D.R34がイソプロピルであり、R35が、−CH3、または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bが、水素または−OHであり、R2Aが、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルである、請求項102に記載の薬物−リンカー化合物。
39D.前記化合物が、
の構造を有する、請求項35Dまたは36Dに記載の薬物−リンカー化合物。
40D.Aまたは−A1−AO−が、−CH2(CH2)4(C=O)−または−CH2(CH2)4(C=O)NHCH2CH2(C=O)−である、実施形態1D〜8D、15D、17Dおよび35D〜37Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
41D.R2Aが、−C(O)CH3、メチル、エチルまたはプロピルである、実施形態35〜40Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
42D.4級化チューブリン破壊剤−D+が4級化アウリスタチンまたはドラスタチン薬物単位である、実施形態21Dに記載の薬物−リンカー化合物。
43D.4級化チューブリン破壊剤−D+が、4級化ドラスタチン10またはドラスタチン15である、請求項42Dに記載の薬物−リンカー化合物。
44D.4級化アウリスタチン薬物単位−D+が、DE’またはDF’:
(式中、R10およびR11は、独立して、C1〜C8アルキルであり、R12は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は、水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、独立して、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、R21はアリールまたはC3〜C8複素環であり、R19Aは、水素、C1〜C8アルキルまたは−OHであり、R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、下付き文字mは1〜1000の範囲の整数であり、R47はC2〜C8アルキルであり、R48は水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、Zは、O、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、X1はC1〜C10アルキレンであり、下付き文字nは0〜6の範囲の整数であり、波線は薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)の構造を有する、請求項42Dに記載の薬物−リンカー化合物。
45D.前記化合物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3、−CH2CH2COOHまたは−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2である)の構造を有する、請求項44Dに記載の薬物−リンカー化合物。
46D.前記化合物が、
(式中、下付き文字mは4である)の構造を有する、実施形態45Dに記載の薬物−リンカー化合物。
47D.前記化合物が、
(式中、R45は、−CO2HまたはCH2OHである)の構造を有する、実施形態44Dに記載の薬物−リンカー化合物。
48D.前記化合物が、
(式中、R45は−CO2Hまたは−CH2OHであり、下付き文字mは4である)の構造を有する、実施形態47Dに記載の薬物−リンカー化合物。
1E.
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3、イソプロピル、−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2または−CH2CH2CO2Hであり、R7Bは水素または−OHであり、R2AはC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−OCH2OR2B、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは水素、またはC1〜C6アルキルであり、下付き文字pは1〜8の範囲の数である)の構造で表されるLDC組成物。
2E.R34がイソプロピルであり、R35が−CH3、または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bが水素または−OHであり、R2Aが低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルであり、下付き文字pが1〜8の範囲の数である、実施形態1Eに記載のLDC組成物。
3E.
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、R7Bは水素または−OHであり、R2AはC1〜C6アルキル、−OCH2OR2B−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2BはC1〜C6アルキルまたはC2〜C6アルケニルであり、下付き文字pは1〜8の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Eに記載のLDC組成物。
4E.R7Bが水素または−OHであり、R2Aが低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルであり、下付き文字pが1〜8の範囲の数である、実施形態3Eに記載のLDC組成物。
5E.その組成物の構造が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、下付き文字pは1〜8の範囲の数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される、実施形態1Eに記載のLDC組成物。
6E.その組成物の構造が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、下付き文字pは1〜8の範囲の数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される、実施形態3Eに記載のLDC組成物。
1F.前記組成物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分は、カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、下付き文字p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表されるLDC組成物。
2F.その組成物の各リガンド薬物コンジュゲート化合物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、下付き文字p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される実施形態1Fに記載のLDC組成物。
3F.その組成物の各リガンド薬物コンジュゲート化合物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、下付き文字p’は1〜8の範囲の整数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される、実施形態1Fに記載のLDC組成物。
4F.その組成物の各リガンド薬物コンジュゲート化合物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、下付き文字p’は、1〜8の範囲の整数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される実施形態2Fに記載のLDC組成物。
5F.Aが−CH2(CH2)4(C=O)−または−CH2(CH2)4(C=O)NHCH2CH2(C=O)−である、実施形態1Fまたは2Fのいずれか1つに記載のLDC組成物。
6F.R2Aが−C(O)CH3、メチル、エチルまたはプロピルである、実施形態1E〜6Eおよび1F〜5Fのいずれか1つに記載のLDC組成物。
概要:化学
市販の無水溶媒はすべてさらに精製せずに使用した。分析用薄層クロマトグラフィーを、シリカゲル60 F254アルミニウムシート(EMD Chemicals、Gibbstown、NJ)で実施した。ラジアルクロマトグラフィーをChromatotron装置(Harris Research、Palo Alto、CA)で実施した。カラムクロマトグラフィーをBiotage Isolera One(商標)フラッシュ精製システム(Charlotte、NC)で実施した。分析HPLCは、Varian ProStar 330 PDA検出器と共に構成されるVarian ProStar 210(商標)溶媒送達システムで実施した。試料は、C12 Phenomenex Synergi(商標)2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラム上で溶出した。酸性移動相は、0.05%トリフルオロ酢酸または0.1%ギ酸(各化合物に対して表示されている)のいずれかを含有するアセトニトリルと水とからなった。化合物を、注入後、5%で1minから95%で11minの酸性アセトニトリルの線型勾配で溶出し、続いて無勾配の95%アセトニトリルで15min溶出した(流速=1.0mL/min)。LC−MSを2つの異なるシステムで実施した。LC−MSシステム1は、C12 Phenomenex Synergi 2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラムを備えたHP Agilent 1100 HPLC装置とインターフェイスしたZMD Micromass質量分析器からなった。酸性溶出液は、0.1%水性ギ酸中、5%から95%の10minにわたるアセトニトリルの線型勾配、続いて無勾配の95%アセトニトリル、5min(流速=0.4mL/min)からなった。LC−MSシステム2は、Waters 2996 Photodiode Array Detectorを備えたWaters 2695 Separations ModuleとインターフェイスしたWaters Xevo G2(商標)ToF質量分析器からなった。カラム、移動相、勾配、および流速は、LC−MSシステム1と同じであった。UPLC−MSシステム1は、Acquity UPLC BEH C18 2.1×50mm、1.7μm逆相カラムを備えたAcquity(商標) Ultra Performance LCとインターフェイスしたWaters SQ質量検出器からなった。酸性移動相(0.1%ギ酸)は、3%アセトニトリル/97%水から100%アセトニトリル(流速=0.5mL/min)の勾配からなった。UPLC−MSシステム2は、Acquity UPLC BEH C18 2.1×50mm、1.7μm逆相カラムを備えたWaters Acquity H−Class Ultra Performance LCとインターフェイスしたWaters Xevo G2 ToF質量分析器からなった。酸性移動相(0.1%ギ酸)は、3%アセトニトリル/97%水から100%アセトニトリル(流速=0.7mL/min)の勾配からなった。Varian ProStar 330 PDA検出器と共に構成されたVarian ProStar 210溶媒送達システムで分取HPLCを行った。水中0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒A)およびアセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒B)で溶出するC12 Phenomenex Synergi 10.0×250mm、4μm、80Å逆相カラムで生成物を精製した。精製方法は、一般的に、90%水性溶媒Aから10%溶媒Aにランピングする、溶媒Aから溶媒Bの線型勾配からなった。流速は4.6mL/minであり、254nmでモニタリングした。NMRスペクトルデータは、Varian Mercury 400MHz分光器で収集した。結合定数(J)はヘルツで報告される。
概要:生物学
in vitroアッセイ。対数期増殖で培養した細胞を、20%FBSを補充した150μLのRPMI 1640を含有する96ウェルプレート内で24時間播種した。細胞培養培地中の抗体−薬物コンジュゲートの段階希釈物を、4×作用濃度で調製した。50μLの各希釈物を96ウェルプレートに加えた。ADCの添加後、細胞を試験品と共に37℃で4日間インキュベートした。96時間後、CellTiter−Glo(商標)(Promega、Madison、WI)で増殖阻害を評価し、プレートリーダーで発光を測定した。3回重複して判定したIC50値は、未処置の対照と比べて、細胞成長における50%の減少をもたらす濃度として、ここで定義される。
in vivoでの異種移植片モデル。すべての実験は、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Careにより完全に認可された施設内で、Animal Care and Use Committeeに従い行った。L540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおいて効力実験を行った。L540cy腫瘍細胞を、細胞懸濁液として免疫障害のあるSCIDマウスに皮下移植した。腫瘍移植により、平均腫瘍容積が約100mm3に到達した時点で実験群へとマウスを無作為抽出した。ADCまたは対照には、腹腔内注射を介して一度投薬した。式(L×W2)/2を使用して、腫瘍容積を時間の関数として決定した。腫瘍容積が1000mm3に到達したとき動物を安楽死させた。持続性のある退行を示すマウスは、インプラント後約100日で殺した。
ex vivo安定性実験。逆相LC−MSによるげっ歯類血漿試料中ヒト化ADCの薬物付加数の評価は、ヒトFcドメインに選択的に結合するIgSelect(商標)樹脂(GE Healthcare)を用いてADCを最初に単離することにより達成した。ADCは、完全に還元されたcAC10を使用して、MDPR−グルクロニド−第4級アミン−AE8またはmDPR−Val−Cit−PAB−第4級アミン−AE(mDPR−vcPAB4−AE)14のうちのいずれかの抗体1つ当たり8個の薬物を用いて調製した。ADC(1.0mg/mL)は、無菌のラットおよびマウス血漿中、37℃で10日間インキュベートした。インキュベーション中8つの時点において、各ADCの50μLのアリコートを取り出し、−80℃で凍結した。時間経過が完了したら、ADCを各試料から精製し、TOF質量分析器とインラインの逆相HPLCで分析することによって、薬物:抗体比を決定した。
酵素的薬物放出実験。15μLのDMA中10mMの8薬物−リンカーストックを27μLのDMSOに加え、Eppendorf管内で、N−アセチルシステイン(PBS中30μLの100mMストック)を用いてクエンチした。48μLのPBSを加え、管を室温で1時間静置させた。100mMのNaOAc中にβ−グルクロニダーゼ(ウシの肝臓由来のもの、≧1,000,000単位/g固体)を最終濃度1または2mg/mLまで溶解することによって酵素ストックを同時に調製し、この最終濃度において、38μLのクエンチしたリンカー溶液を、170μLの新鮮な酵素ストックおよび132μLの100mMのNaOAcと合わせ、次いで37℃でインキュベートした。25μLを各時点で採取し、150μLMeOHに加え、すべての時点で採取されるまで−80℃で密閉保存した。次いで、試料を高速で20分間遠心分離し、UPLC−MSで分析し、インタクトなクエンチしたリンカーおよび放出された薬物についてイオンをカウントした。
細胞内での薬物放出。TF1α、L428、およびHCT−15細胞を研究に使用した。正常な条件下で培養された細胞を収集し、洗浄して、約5×105細胞/mLで新鮮培地に入れた。各処置条件に対して、T25またはT150フラスコ内に5〜15×106細胞をプレーティングした。cOKT9−5023(8薬物/Ab)を1μg/mLで培養物に加え、これらを37℃で、5%CO2で24時間インキュベートした。懸濁細胞に対して、既知の容量の細胞培養物を遠心分離(500×g、5min、4℃)で収集し、培地のアリコートを取り出し、質量スペクトル分析のために、保存した(−20℃)。接着細胞に対しては、培養液を慎重に除去し(質量スペクトル分析用に保存したアリコート)、トリプシン−EDTAで細胞を浮かせ、続いて遠心分離(500×g、5分、4℃)して、細胞ペレットを収集した。懸濁細胞と接着細胞の両方に対して、収集した細胞ペレットを氷冷したPBS中に再懸濁させ、Vi−Cell XR2.03細胞生存度分析器(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用した、平均細胞直径の列挙および判定のためにアリコートを取り出した。残りの細胞懸濁液をペレット化し(500×g、5min)、次いで1mLの氷冷したPBSでもう一度洗浄した。生成したペレットを−20℃で保存した。
較正曲線で使用するために、未処置の細胞ペレットおよび培養培地を使用して未処置の試料を生成した。未処置の細胞ペレットを、4μLの25X標準的分析物でスパイクした。スパイクされた細胞ペレットおよび処理された細胞ペレットの両方を、内部標準を含有する400μLのMeOH中でボルテックスすることによって、懸濁させ、−20℃で15分間置いた。次いで、試料を16,000×gで遠心分離し、固相抽出のために上清を調製した。未処置の培地試料(0.5mL)を、4μLの25X標準物質でスパイクした。スパイクされた培養培地および処理された培養培地の両方を10μLの内部標準と混合し、固相抽出用に調製した。試料を固相抽出に供し、回収した薬物含有溶液を乾燥させ、LC−MS/MSによる定量のために再構成した。実験用の未知試料中での放出された薬物の定量のために方程式を導くため、各薬物標準物質に対するピーク面積を、内部標準に対して得たピーク面積で割った。生成したピーク面積比を標準的なスパイク量の関数としてプロットし、直線回帰を使用してデータ点を曲線に当てはめた。実験的試料中の内部標準に対する、放出された薬物に対して得たピーク面積比は、導かれた方程式を使用して、薬物量へと変換した。
(実施例1)
(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(ブロモメチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(2):
火炎乾燥したフラスコに、4.5mLの無水THF中の公知の(Bioconjugate Chem. 2006年、17巻、831〜840頁)グルクロニドリンカーフラグメント(1、210mg、281μmol)を充填した。N2下、溶液を室温で撹拌した。トリフェニルホスフィン(111mg、421.5μmol)およびN−ブロモスクシンイミド(75mg、421.5μmol)を順次加え、溶液を2時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、Biotageカラム(ヘキサン/EtOAc、30%〜50%〜70%)を介してシリカで精製することによって、2を得た(222mg、97%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.36min、m/z(ES+)実測値:811.34。
(実施例2)
(S)−N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(4):
耐圧容器に、無水2−ブタノン(4.2mL)中の、実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体(2、111mg、137μmol)およびアウリスタチンE(3、100mg、137μmol)を充填した。反応容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで反応物を撹拌し、80℃に12時間加熱した。得られた混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、Biotageカラム(CH2Cl2/MeOH、2%〜20%〜100%)を介してシリカで精製することによって、4を得た(113mg、56%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.02min、m/z(ES+)実測値:1462.53。
(実施例3)
(S)−N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(5):フラスコに、THF(1.3mL)およびMeOH(1.3mL)中グルクロニド−AE(4、113mg、77μmol)を充填した。N2下でこの溶液を撹拌し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(19mg、462μmol)をH2O(1.3mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、1時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(26μL、462μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を最小量のDMSO中に溶解させ、分取LCで精製することによって、5を得た(34mg、40%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.20min、m/z(ES+)実測値:1100.51。
(実施例4)
(S)−N−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(7):
フラスコに、無水DMF(0.31mL)中脱保護グルクロニド−AE(5、34mg、31μmol)を充填した。N2下で、mDPR(Boc)−OSu(6、14mg、37μmol)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(27μL、155μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(27μL)でクエンチし、分取LCで精製することによって、7を得た(29mg、68%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.52min、m/z(ES+)実測値:1366.40。
(実施例5)
(S)−N−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(8):
mDPR(Boc)−グルクロニド−AE(7、29mg、21μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(1.1mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取LCで精製することによって、8を生成した(20mg、75%)。分析用UPLC−MS:tr=1.23min、m/z(ES+)実測値:1266.39。分析HPLC−MS(システム2):tr=9.53min、m/z(ES+)実測値:1266.70。
(実施例6)
(9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−1−(((S)−1−((4−(ブロモメチル)フェニル)アミノ)−1−オキソ−5−ウレイドペンタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(10):
ジペプチドFmoc−Val−Cit−PAB(9、75mg、125μmol)を、N2下で火炎乾燥したフラスコに加え、0℃に冷却した。酢酸中33%のHBrの溶液(1.3mL)を滴下添加した。溶液を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、残りのHBrを、N2流を介して吹き飛ばし、反応物を減圧下でさらに濃縮した。得られた残渣をTHF中に溶解させて再濃縮することを3回行い、次いでさらに精製せずに次に使用した。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.19min、m/z(ES+)実測値:664.47。
(実施例7)
(S)−N−(4−((S)−2−((S)−2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(11):
粗製の臭素化ジペプチド(10、48mg、72μmol)を充填した耐圧容器に、アウリスタチンE(3、30mg、41μmol)および無水2−ブタノン(2.2mL)を加えた。容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで、反応物を撹拌しながら80℃に3時間加熱した。LC−MSにより反応が観察されなかったので、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7μL、41μmol)を加え、反応物を12時間再密封した。反応混合物を減圧下で濃縮し、分取LCを介して精製することによって、11を得た(13mg、24%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.88min、m/z(ES+)実測値:1315.57。
(実施例8)
(S)−N−(4−((S)−2−((S)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(12):
Fmoc−Val−Cit−PAB−AE(11、13mg、10μmol)を無水DMF(0.4mL)と共にフラスコに加えた。N2下でピペリジン(0.1mL)を加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。反応物を、分取LCを介して直接精製することによって、12を得た(8mg、74%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.27min、m/z(ES+)実測値:1093.62。
(実施例9)
(S)−N−(4−((7S,10S,13S)−7−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−10−イソプロピル−2,2−ジメチル−4,8,11−トリオキソ−13−(3−ウレイドプロピル)−3−オキサ−5,9,12−トリアザテトラデカンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(13):
フラスコに、無水DMF(146μL)中Val−Cit−PAB−AE(12、8mg、7.3μmol)を充填した。N2下で、mDPR(Boc)−OSu(6、3.3mg、8.8μmol)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(6μL、35μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(6μL)でクエンチし、分取LCで精製することによって、13を得た(2mg、17%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.66min、m/z(ES+)実測値:1359.51。
(実施例10)
(S)−N−(4−((S)−2−((S)−2−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(14):
mDPR(Boc)−Val−Cit−PAB−AE(13、2mg、1.5μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(294μL)を滴下添加し、3時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取LCで精製することによって、14を生成した(2.2mg、99%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)実測値:1259.69。分析HPLC−MS(システム2):tr=9.22min、m/z(ES+)実測値:1259.78。
(実施例11)
N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−N−メチル−3−(メチル(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)アミノ)−N−(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)プロパン−1−アミニウム(16):
実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(25mg、30μmol)および対称的フェナジンダイマー15(J. Med. Chem.、2001年、44巻、1407頁)(19mg、30μmol)を無水ブタノン(0.48mL)および無水ジメチルホルムアミド(0.48mL)に溶解した。反応物を窒素でパージし、18時間封管内で80℃に加熱した。LC/MS分析は、出発物質およびビス−アルキル化した副生成物の存在下での生成物を明らかにした。次いで、粗材料を濃縮し、分取HPLCで精製することによって、第4級アミン16を得た(8.5mg、21%)。分析HPLC−MS(システム1):tr=12.52min、m/z(ES+)実測値:1359.19。
(実施例12)
N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−N−メチル−3−(メチル(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)アミノ)−N−(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)プロパン−1−アミニウム(17):
フラスコに、メタノール(0.2mL)およびテトラヒドロフラン(0.2mL)に溶解した第4級アミンリンカー16(8.5mg、6.0μmol)を充填し、次いで氷浴内、窒素下で0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(0.75mg、18μmol)を水(0.1mL)に溶解し、この溶液を反応フラスコに滴下添加した。追加の水(0.2mL)、メタノール(0.2mL)、およびテトラヒドロフラン(0.2mL)を加えた。次いで、反応物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで追加の水酸化リチウム(0.75mg、18μmol)を0.1mLの水中で、反応物に加えた。3時間の時点で、LCによれば反応が完了したので、氷酢酸(2.1μL)でクエンチし、回転蒸発で濃縮した。粗材料を分取HPLCで精製することによって、完全に脱保護した第4級アミンリンカー17を得た(3.7mg、62%)。分析HPLC−MS(システム1):tr=10.26min、m/z(ES+)実測値:997.45。
(実施例13)
N−(4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3−(3−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−N−メチル−3−(メチル(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)アミノ)−N−(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)プロパン−1−アミニウム(19):
リンカー17(3.7mg、3.6μmol)の無水ジメチルホルムアミド(0.18mL)中撹拌溶液に、窒素下で、マレイミドカプロイル−スクシンイミドエステル18(1.2mg、4.0μmol)を、無水ジメチルホルムアミド(0.18mL)中の溶液として加え、続いてジイソプロピルエチルアミド(3.8μL)を加えた。窒素下で、室温で1時間反応物を撹拌した後、追加の18(0.6mg)を90μLのジメチルホルムアミド中で加え、続いて90μLのジメチルスルホキシドを加えて、すべての反応物質の溶解を促進させた。窒素下で、反応物を室温でさらに2時間撹拌し、次いで、複数回の分取HPLC注入により精製することによって、残存する18を生成物である第4級アミン−フェナジンダイマーリンカー19から除去した(2.1mg、45%)。分析HPLC−MS(システム1):tr=10.76min、m/z(ES+)実測値:1190.35。
(実施例14)
(S)−2−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−プロパン酸(22):
フラスコに、無水ジメチルホルムアミド(10.6mL)中Boc−Val−OSu(20、1.0g、3.18mmol)およびH−Ala−OH(21、312mg、3.5mmol)を充填した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.1mL、6.4mmol)を加え、N2下で、溶液を50℃で12時間撹拌した。反応物をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、22を生成した(808mg、88%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.38min、m/z(ES+)実測値:289.60。
(実施例15)
tert−ブチル((S)−1−(((S)−1−((4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(24):
火炎乾燥したフラスコに、無水ジクロロメタン(14mL)中ジペプチド22(808mg、2.8mmol)および4−アミノ安息香酸アルコール23(345mg、2.8mmol)を充填した。EEDQ(762mg、3.1mmol)を固体として加え、窒素下、室温で12時間撹拌した。次いで、反応物を濃縮し、Biotageカラム(CH2Cl2/MeOH、0%〜10%)を介してシリカで精製することによって、24を得た(660mg、60%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.51min、m/z(ES+)実測値:394.51。
(実施例16)
tert−ブチル((S)−1−(((S)−1−((4−(ブロモメチル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(25):
Boc−Val−Ala−PABA−OH(24、100mg、254μmol)、N−ブロモスクシンイミド(68mg、381μmol)、およびトリフェニルホスフィン(100mg、381μmol)を含有するフラスコを、窒素でフラッシュした。反応物をTHF(4mL)中に溶解させ、12時間撹拌した。反応物を濃縮し、Biotageカラム(ヘキサン/EtOAc、10%〜100%)を介してシリカで精製することによって、25を得た(94mg、81%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.09min、m/z(ES+)実測値:456.10。
(実施例17)
(2S,4R)−tert−ブチル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(27):
火炎乾燥したフラスコに、無水DCM(0.7mL)およびt−ブタノール(0.7mL)中チューブリシンM(26、10mg、14μmol)を充填した。ジイソプロピルカルボジイミド(3.2μL、21μmol)およびDMAP(0.08mg、0.7μmol)を加え、反応物を室温で48時間撹拌した。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、27を生成した(3.5mg、32%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.35min、m/z(ES+)実測値:784.56。
(実施例18)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−5−(tert−ブトキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−((tert−ブトキシ−カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(28):
耐圧容器に、無水ブタノン(0.765mL)中Boc−Val−Ala−PAB−Br(25、3.5mg、7.7μmol)および保護されたチューブリシンM(4.0mg、5.1μmol)を充填した。N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え(1.8μL、10μmol)、反応物を窒素でフラッシュした。容器を密閉し、80℃で12時間撹拌させた。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、28を生成した(3.5mg、58%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.51min、m/z(ES+)実測値:1159.58。
(実施例19)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(29):
Boc−Val−Ala−PAB−TubM−OtBu(28、3.5mg、3μmol)を含有するフラスコを、窒素下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.3mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、29を生成した(1.9mg、63%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.05min、m/z(ES+)実測値:1003.60。
(実施例20)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(30):
MC−OSu(18、0.6mg、2μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.2mL)中に溶解させ、Val−Ala−PAB−TubM(29、1.9mg、2μmol)を含有するフラスコに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.0mg、8μmol)を加え、反応物を窒素下で3時間撹拌した。反応物をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって第4級アミンチューブリシンリンカー30を生成した(1.2mg、53%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.25min、m/z(ES+)実測値:1196.45。
(実施例21)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((7S,10S,13S)−7−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−10−イソプロピル−2,2,13−トリメチル−4,8,11−トリオキソ−3−オキサ−5,9,12−トリアザテトラデカンアミド)−ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(31):
MDPR(Boc)−OSu(6、1.3mg、3.5μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.3mL)中に溶解させ、Val−Ala−PAB−TubM(29、3.2mg、3.2μmol)を含有するフラスコに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.6mg、13μmol)を加え、反応物を窒素下で3時間撹拌した。反応物をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、31を生成した(2.0mg、49%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.35min、m/z(ES+)実測値:1269.76。
(実施例22)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(32):
MDPR(Boc)−Val−Ala−PAB−TubM(31、2mg、1.6μmol)を含有するフラスコを窒素下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(1.6mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、32を生成した(1.0mg、54%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.02min、m/z(ES+)実測値:1169.72。
(実施例23)
2−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(4−(4,5−ジメトキシ−2−(キノリン−3−カルボキサミド)ベンズアミド)フェネチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イウム(34):
耐圧容器に、無水2−ブタノン(2.9mL)中の実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体(2、78mg、96μmol)およびタリキダル(33、62mg、96μmol)を充填した。次いで、反応容器を窒素でパージし、密閉した。次いで、反応物を撹拌し、80℃に4時間加熱し、この時点でLC/MSが、4級化生成物への変換を明らかにした。生成物を冷却し、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、34を得た(123mg、90%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.05min、m/z(ES+)実測値:1377.74。分析HPLC−MS(システム2):tr=11.23min、m/z(ES+)実測値:1377.47。
(実施例24)
2−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(4−(4,5−ジメトキシ−2−(キノリン−3−カルボキサミド)ベンズアミド)フェネチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イウム(35):
メタノール(1.4mL)およびテトラヒドロフラン(1.4mL)に溶解した第4級アミンリンカー34(123mg、83μmol)をフラスコに充填し、次いで氷浴内、窒素下で0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(21mg、500μmol)を水(1.4mL)に溶解し、この溶液を反応フラスコに滴下添加した。次いで、反応物を0℃に2時間撹拌し、次いで0.45mLの水中の追加の水酸化リチウム(7mg、170μmol)を反応物に加えた。3時間の時点で、LCによれば反応が完了し、氷酢酸(28μL)でクエンチし、回転蒸発で濃縮させた。粗材料を分取HPLCで精製することによって、完全に脱保護した第4級アミンリンカー35を得た(71mg、85%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.29min、m/z(ES+)実測値:1015.74。
(実施例25)
2−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(4−(4,5−ジメトキシ−2−(キノリン−3−カルボキサミド)ベンズアミド)−フェネチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イウム(36):
MDPR(Boc)−OSu6(20mg、52μmol)の無水ジメチルホルムアミド(0.9mL)中の溶液を、脱保護したグルクロニド−タリキダル35(40mg、35μmol)を含有するフラスコに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(30μL)を加え、反応物を窒素下、室温で3時間撹拌し、この時点で、LC−MSは、生成物への変換を明らかにした。粗製の反応生成物を、分取HPLCで精製することによって、カップリングした生成物、MDPR(Boc)−グルクロニド−タリキダルを得た(30mg、67%)。分析HPLC−MS(システム2):tr=9.99min、m/z(ES+)実測値:1281.45。mDPR(Boc)−グルクロニド−タリキダル(28mg、20μmol)を含有するフラスコを窒素下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(2mL)を滴下添加し、室温で1時間撹拌し、この時点でLC−MSは、脱保護が完了したことを示した。反応物を2mLのDMSO中で希釈し、回転蒸発で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、36を生成した(20mg、定量的収量)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)実測値:1181.64。分析HPLC−MS(システム2):tr=8.95min、m/z(ES+)実測値:1181.41。
(実施例26)
ツブバリンエーテル中間体を調製するための一般的手順
エーテル化:火炎乾燥したフラスコに、無水テトラヒドロフラン(50mM)中BOC保護したツブバリン(J. Org. Chem.、2008年、73巻、4362〜4369頁)中間体41を充填し、これに、18−クラウン−6(2.0当量)を加え、−78℃に冷却した。カリウムヘキサメチルジシラジド(1.5当量)を、テトラヒドロフラン中1M溶液として滴下添加し、次いで反応物を、窒素下で、−78℃で1時間撹拌する。次いで、ヨードアルカン(2〜5当量)を加え、反応物をゆっくりと室温に温め、続いてUPLC/MSを用いる。一度出発物質が消費されたら、反応物を氷上で冷却し、飽和塩化アンモニウムでクエンチし、ジクロロメタン(10容量)中で希釈する。有機層を0.1M HClで洗浄し、生成した水相をジクロロメタンで2回抽出する。次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。粗製のBOC保護したO−アルキル化エチルエステル生成物(BOC−Tuv(O−エーテル)−OEt)の精製を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーまたは分取HPLCにより達成する。化合物42、43および44(スキーム7)を調製して、一般的手順を例証した。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(42):UPLC−MS(システム2):tr=1.62min、m/z(ES+)計算値:401.21、実測値:401.28。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(43):ツブバリン中間体41(170mg、440μmol)を、上に記載されている通りヨードエタン(89μl、880μmol)でO−エチル化することによって、メタノールおよびジクロロメタン混合物で溶出するシリカゲル精製後、表題化合物を得た。UPLC−MS(システム2):tr=1.66min、m/z(ES+)計算値:415.23(M+H)+、実測値:415.29。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(44):UPLC−MS(システム2):tr=1.77min、m/z(ES+)計算値:428.23(M+H)+、実測値:451.30(M+Na)+。1H NMR (回転異性体の1:1混合物, CDCl3) δ (ppm) 0.91 (m, 9H), 1.40 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.47 (回転異性体による2つのs, 9H), 1.64 (m, 3H), 1.87 (m, 2H), 2.74 (m, 3H), 3.42 (m, 2H), 4.10 (m, 1H), 4.42 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.50 (m, 1H), 8.14 (回転異性体による2つのs, 1H).
脱保護:対応するツブバリンエーテル遊離酸化合物(BOC−Tuv(O−エーテル)−OH)を得るための、精製されたO−アルキル化生成物(BOC−Tuv(O−エーテル)−OEt)のけん化を、テトラヒドロフラン:メタノール:水混合物の1:1:1溶媒混合物を使用して、20mM反応濃度で、以下の通り行う。O−アルキル化したツブバリン中間体を1容量ずつのテトラヒドロフランおよびメタノールに溶解する。次いで、混合物を氷浴内で、0℃で冷却する。水酸化リチウム一水和物(2〜3当量)を1容量の蒸留水に溶解し、撹拌しながら、0℃で反応フラスコに滴下添加する。次いで、反応物を室温まで温め、UPLC/MSでモニターする。出発物質が遊離酸に変換されたら、反応を氷酢酸(2〜3当量)でクエンチし、回転蒸発で濃縮する。次いで、粗製のカルボン酸を分取HPLCで精製する。化合物45、46および47(スキーム7)を化合物42、43および44からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(45):UPLC−MS(システム1):tr=1.47min、m/z(ES+)計算値:373.18、実測値:373.41。1H NMR (回転異性体の1:1混合物, CDCl3) δ (ppm) 0.87 (dd, J = 6.7, 2.0 Hz, 3H), 0.96 (dd, J = 6.7, 1.2 Hz, 3H), 1.49 (回転異性体による2つのs, 9H), 1.67 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 2.01 (m, 1H), 2.70 (m, 3H), 3.41 (s, 3H), 4.12 (m, 1H), 4.36 (第1の回転異性体, dd, J = 10.5, 2.3 Hz, 0.5H), 4.48 (第2の回転異性体, d, J = 8.6 Hz, 0.5H), 8.28 (回転異性体による2つのs, 1H).
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(46):UPLC−MS(システム2):tr=1.48min、m/z(ES+)計算値:387.20(M+H)+、実測値:387.26。1H NMR (CDCl3) δ (ppm) 0.88 (dd, J = 6.7, 2.0 Hz, 3H), 0.96 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.49 (回転異性体の2つのs, 9H), 1.68 (m, 1H), 1.86 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 2.69 (m, 3H), 3.53 (m, 2H), 4.09 (m, 1H), 4.43 (第1の回転異性体, dd, J = 10.2, 2.7 Hz, 0.5H), 4.54 (第2の回転異性体, d, J = 7.0 Hz, 0.5H), 8.24 (回転異性体による2つのs, 1H).
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(47):UPLC−MS(システム2):tr=1.58min、m/z(ES+)計算値:401.21(M+H)+、実測値:401.28(M+Na)+。
(実施例27)
アミドカップリングによるツブフェニルアラニン構成成分の導入のための一般的手順。
ペプチドカップリング:実施例26のO−アルキル化したツブバリン遊離酸(BOC−Tuv(O−エーテル)−OH)を、無水ジメチルホルムアミド(25〜50mM)中で溶解し、HATU(2.4当量)およびDIPEA(5当量)を加えることにより予備活性化する。次いで、反応混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸をツブフェニルアラニンアリルエステル40(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)に加え、次いで反応物を窒素下、周囲温度で撹拌し、UPLC/MSで進行をモニターする。反応が完了したら、氷酢酸(14当量)を加え、生成物(BOC−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル)を分取HPLCで精製する。化合物48、49および50(スキーム7)を化合物45、46および47からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(48):UPLC−MS(システム1):tr=1.96min、m/z(ES+)計算値:602.33(M+H)+、実測値:602.26。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(49):UPLC−MS(システム2):tr=1.84min、m/z(ES+)計算値:616.34(M+H)+、実測値:616.43。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(50):UPLC−MS(システム2):tr=2.00min、m/z(ES+)計算値:630.36(M+H)+、実測値:630.45。1H NMR (CDCl3) δ (ppm) 0.94 (m, 9H), 1.19 (d, J = 7.4 Hz, 3H), 1.49 (s, 9H), 1.64 (m, 5H), 1.84 (m, 1H), 2.03 (m, 2H), 2.63 (m, 1H), 2.73 (m, 3H), 2.93 (m, 2H), 3.41 (m, 2H), 4.07 (m, 2H), 4.29 (m, 1H), 4.41 (m, 2H), 4.55 (m, 2H), 5.25 (m, 2H), 5.88 (m, 1H), 7.24 (m, 5H), 8.05 (回転異性体の2つのs, 1H).
脱保護:精製されたO−アルキル化ツブバリン−ツブフェニルアラニンジ−ペプチド(BOC−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル)生成物を脱保護して、ツブバリン第2級アミン官能基を、ジクロロメタン(25mM)中10%TFAと共に、酸性条件下に曝露する。具体的には、出発物質を無水ジクロロメタン(9容量)中に溶解し、窒素下、0℃で撹拌する。次いで、トリフルオロ酢酸(1容量)を撹拌溶液に滴下添加する。反応物を室温までゆっくりと温め、UPLC/MSでモニターする。完了したら、反応物を回転蒸発で濃縮し、真空ラインで一晩ポンプダウンする。遊離アミン(NH(CH3)−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル)はさらに精製せずにそのまま使用する。化合物51、52および53(スキーム7)を化合物48、49および50からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−メトキシ−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(51):UPLC−MS(システム1):tr=1.17min、m/z(ES+)計算値:524.26(M+Na)+、実測値:524.27。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−エトキシ−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(52):UPLC−MS(システム2):tr=1.11min、m/z(ES+)計算値:516.29(M+H)+、実測値:516.37。
(2S,4R)−アリル2−メチル−4−(2−((1R,3R)−4−メチル−3−(メチルアミノ)−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−5−フェニルペンタノエート(53):UPLC−MS(システム2):tr=1.16min、m/z(ES+)計算値:530.31(M+H)+、実測値:530.40。
適切に保護された化合物40のツブフェニルアラニンを、適切に保護され、スキーム7に対して示されているような
(式中、R7BはO連結置換基、好ましくは−OHであり、下付き文字nは0、1または2、好ましくは0または1である)を含み、NH2−CH2−CO2H、NH2−CH2CH2CO2HおよびNH2−CH2CH2CH2CO2Hをさらに含む他のアミノ酸またはアミン含有酸投入物で置き換えることによって、類似のジペプチドを調製する。
(実施例28)
O−アルキル化ツブバリン−ツブフェニルアラニンアルキルエステルジペプチドと、Fmoc保護されたL−イソロイシンとのアミドカップリングのための一般的手順。
FMOC−L−イソロイシン(1.3〜2当量)を無水ジメチルホルムアミド(50〜200mM)に溶解し、HATU(1.5〜2当量)およびDIPEA(2当量)で予備活性化する。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸を、実施例27に従い調製したNH2−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリルジペプチドに加え、反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターする。反応の進行が停止するか、または完了に到達したら、氷酢酸(13当量)を加え、生成したFMOC−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリルトリペプチド生成物をprep HPLCで精製する。化合物54、55および56(スキーム7)を、化合物51、52および53からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6−ジオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザドデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(54):UPLC−MS(システム1):tr=2.07min、m/z(ES+)計算値:837.43(M+H)+、実測値:837.20
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6−ジオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザトリデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(55):UPLC−MS(システム2):tr=1.95min、m/z(ES+)計算値:851.44(M+H)+、実測値:851.54。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6−ジオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザテトラデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(56):UPLC−MS(システム2):tr=2.25min、m/z(ES+)計算値:865.46(M+H)+、実測値:865.65。
適切に保護された、実施例26の化合物40のツブフェニルアラニンを、適切に保護され、スキーム7に対して示されているような他のアミノ酸またはアミン含有酸投入物で置き換えることによって、実施例26〜28の一般的手順に従い、類似のトリ−ペプチドを調製する。適切に保護されたツブフェニルアラニンを置き換える代わりにまたはこれに加えて、FMOC−L−イソロイシンを、FMOC−L−ロイシンなどの疎水性側鎖を有する他の適切に保護されたアミノ酸に置き換えることによって、他のトリペプチドを得る。
(実施例29)
チューブリシンN末端構成成分の導入のための、イソロイシン−ツブバリン(O−エーテル)−ツブフェニルアラニンアリルエステルトリペプチドと、第3級アミン含有酸とのアミドカップリングのための一般的手順。
脱保護:実施例28に従い調製したFMOC−トリペプチド(FMOC−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリル)を、ジメチルホルムアミド(20mM)中20%ピペリジンを使用して、窒素下、室温で撹拌しながらFMOC保護基を除去することで、脱保護する。UPLC/MSでモニターされる場合に、完全な脱保護が達成されたら、反応混合物を回転蒸発で濃縮する。次いで、粗生成物を分取HPLCで精製することによって、遊離アミントリペプチド(NH2−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリル)を得る。化合物57、58および59(スキーム7)を、化合物54、55および56からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(57):UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)計算値:637.34(M+Na)+、実測値:637.57。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(58):UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:629.38(M+H)+、実測値:629.45。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(59):UPLC−MS(システム2):tr=1.29min、m/z(ES+)計算値:643.39(M+H)+、実測値:643.55。
ペプチドカップリング:(R)−N−メチル−ピペコリン酸(D−Mep)60(1.5〜2当量)を無水ジメチルホルムアミド(25〜50mM)中に溶解し、HATU(2当量)およびDIPEA(4当量)で予備活性化する。反応混合物を窒素下で、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸をFMOC脱保護から得たNH2−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリルトリペプチドに加える。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。反応が完了したら、次いで、氷酢酸(14当量)を加え、テトラ−ペプチド生成物(D−Mep−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリル)を分取HPLCで精製する。化合物61、62および63(スキーム7)を化合物57、58および59からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(61):UPLC−MS(システム1):tr=1.29min、m/z(ES+)計算値:762.42(M+Na)+、実測値:762.32。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(62):UPLC−MS(システム2):tr=1.25min、m/z(ES+)計算値:754.46(M+H)+、実測値:754.55。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(63):UPLC−MS(システム2):tr=1.36min、m/z(ES+)計算値:768.48(M+H)+、実測値:768.55。
対応するチューブリシンエーテルを遊離薬物(D−Mep−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupOH)として得るために、無水ジクロロメタン(20mM)中への溶解ならびにパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.1当量)、トリフェニルホスフィン(0.2当量)、および無水ピロリジン(8当量)での処理により、アリルエステル保護チューブリシンエーテルテトラペプチドを脱保護することによって、遊離ツブフェニルアラニン酸部分を有するチューブリシンエーテルを得、反応物を窒素下周囲温度で撹拌する。生成物遊離酸への変換がUPLC/MSにより明らかになったら、反応物を氷酢酸(22当量)でクエンチし、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドで希釈し、次いで回転蒸発で濃縮する。次いで、粗製のチューブリシンエーテルを分取HPLCで精製する。化合物64、65および66(スキーム7)を化合物61、62および63からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(64):UPLC−MS(システム2):tr=1.05min、m/z(ES+)計算値:700.41(M+H)+、実測値:700.50。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(65):UPLC−MS(システム2):tr=1.09min、m/z(ES+)計算値:714.43(M+H)+、実測値:714.51
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(66):UPLC−MS(システム2):tr=1.19min、m/z(ES+)計算値:728.44(M+H)+、実測値:728.54。
その中に示されているような実施例27のツブフェニルアラニン(化合物40)投入物および/または実施例28のFMOC−アミノ酸(FMOC−Ile)の代わりの、アミノ酸またはアミン含有酸投入物に変化形(複数可)を有するものを含めて、追加のチューブリシンエーテルは、D−Mepを他のN−アルキル化ピペコリン酸投入物またはN−アルキル化アゼチジニル−2−カルボン酸、N−アルキル化−D−プロリンもしくはN,N−ジ−アルキルアミノ酸、例えば、N,N−ジメチルグリシンなどで置き換えることによって調製する。
(実施例30)
LSS前駆体(S)−パーフルオロフェニル3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノエート(68)の調製。
フラスコに、mDPR(Boc)−OH(67)(Nature Biotech、2014年、32巻、1059〜1062頁)67(500mg、1.76mmol)を充填し、これに、ペンタフルオロフェノール(324mg、1.76mmol)のDMF(8.8mL)中の溶液を加え、続いて1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(371mg、1.93mmol)を固体として加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで、H2O中の50mLの飽和したNH4Clおよび50mLのH2Oでクエンチした。水層をDCMで2回抽出し、次いで有機物をブラインで洗浄し、NaSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、表題化合物を得た(589mg、74%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.51min、m/z(ES+)計算値:473.07(M+Na)+、実測値:473.14。
化合物68(mDPR(BOC)−OPFFと略記)は、薬物−リンカー化合物の調製のための活性化した形態の式M1−A’(BU)−COOHの例示的LSS前駆体(すなわち、Lb’含有部分の1つのタイプ)であり、一般式M1−A1(BU)−AO−W−Y−D+およびM1−A(BU)−Y(W)−D+(式中、M1はマレイミド部分であり、A’はストレッチャーサブ(ユニット)前駆体であり、A1およびAOは、ストレッチャー単位Aのサブユニットであり、BUは、アミノアルキル部分などの塩基性単位であり、Yは自壊性スペーサー単位であり、−Y(W)−はグルクロニド部分であり、例えば、炭水化物部分としてグルクロン酸残基および自壊性部分としてPAB残基から構成され、D+は4級化チューブリシンである)によるものを含む。
(実施例31)
チューブリシン(O−エーテル)−アリルエステルからのグルクロン酸放出機序を取り込んだ薬物−リンカー化合物中間体を調製するための一般的手順。
式A’−Yy(W’w’)−D+(式中、下付き文字w’およびyはそれぞれ1であり、A’はストレッチャー単位前駆体であり、D+は4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位であり、−Y(W’)−はグルクロニド単位である)の例示的薬物−リンカー化合物中間体を実施例29のチューブリシン(O−エーテル)−アリルエステルから以下の方式で調製する。こうして得た生成物は、一般式FMOC−GlucQ−Tub(O−エーテル)−O−アリルで表される。
リンカー単位の生成:耐圧容器に、無水2−ブタノン(50mM)中のD−Mep−Ile−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル(1当量)および実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(1.5当量)を充填する。反応容器をN2でフラッシュし、密閉する。次いで、反応物を撹拌し、60℃で18時間加熱する。得られた混合物を冷却し、減圧下で残渣に濃縮し、次いで、粗製のまま持ち越すか、または最小量のDMSO中に溶解させて、分取HPLCで精製することによって、表題化合物を得る。化合物69、70および71(スキーム8)をそれぞれ化合物61、62および63、ならびに化合物2からを調製することによって、一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(69):分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.61min、m/z(ES+)計算値:1470.68(M)+、実測値:1471.68。
(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(70):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.49min、m/z(ES+)計算値:1484.69(M)+、実測値:1484.84。
(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(71):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.47min、m/z(ES+)計算値:1498.71(M)+、実測値:1498.85。
脱保護:FMOC−GlucQ−Tub(O−エーテル)−O−アリル生成物を、0℃に冷却したTHFおよびMeOHで全体的に脱保護する。LiOH・H2O(6.0当量)にH2Oを滴下添加し(1:1:1THF:MeOH:H2O、50mMの最終濃度)、この時点で反応を室温に温め、一晩撹拌する。THFおよびMeOHを減圧下で除去し、最小量のDMSOを使用して生成した沈殿物を再可溶化し、混合物を分取HPLCで精製した。全体的に脱保護した生成物をH−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHと略記する。化合物72、73および74(スキーム8)を、化合物69、70および71からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(72):Fmoc−GlucQ−Tub(OMe)−Oアリル69(17mg、12μmol)を上記のように脱保護して、72(4.3mg、34%)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.08min、m/z(ES+)計算値:1068.53(M)+、実測値:1068.66。
(2R)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(73):分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1082.55(M)+、実測値:1082.68。
(2R)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(74):分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.98min、m/z(ES+)計算値:1096.56(M)+、実測値:1096.67。
(実施例32)
LSS−ストレッチャーサブユニット前駆体と、グルクロニド単位および4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位で構成される薬物−リンカー中間体とのアミドカップリングによる薬物リンカー化合物の調製のための一般的手順。
式Lb’−Aa−Yy(W’w’)−D+の例示的薬物−リンカー化合物(式中、下付き文字a、yおよびw’はそれぞれ1であり、Lb’−A−は式M1−A1(BU)−AO−を有し、M1−A1(BU)−は自己安定化(LSS)の前駆体を表し、これは、リガンド薬物コンジュゲートの中の1つのタイプのLb’含有部分であり、A1は、ストレッチャー単位Aのサブユニットであり、他のサブユニットとしてAOを有し、D+は4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位であり、−Y(W’)−はグルクロニド単位である)を、H−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHの化合物から以下の方式で調製し、これをmDPR−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OH(式中、mDPR−はM1−A1(BU)−AO−部分である)と略記する。
リンカー単位の生成:フラスコに、実施例31のアミンH−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHを充填し、これに、実施例30のmDPR(Boc)−OPFP(68、1.2当量)をDMF(10mM)溶液として加える。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.0当量)および反応物を室温で3時間撹拌した。反応をAcOH(4.0当量)でクエンチし、次いでDMSO(1容量)中で希釈し、分取HPLCで精製した。化合物75、76および77(スキーム8)を、化合物72、73および74からそれぞれ調製することによって一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(75):分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.22min、m/z(ES+)計算値:1334.62(M)+、実測値:1334.68
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(76):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.19min、m/z(ES+)計算値:1348.64(M)+、実測値:1348.79。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(77):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.24min、m/z(ES+)計算値:1362.65(M)+、実測値:1362.78。
脱保護:アミド結合形成からの生成物を以下の方式で脱保護して、BOC保護基を除去する。フラスコに、mDPR(BOC)−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHを充填し、0℃に冷却する。TFAのDCM(50mM)中10%溶液を加え、1時間撹拌しながら、反応物を室温まで温める。次いで、反応物をDMSO(1容量)で希釈し、減圧を介してDCMを除去し、次いで分取HPLCで精製する。化合物78、79および80(スキーム8)を、化合物75、76および77からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(78):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.09min、m/z(ES+)計算値:1234.57(M)+、実測値:1234.65。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(79):分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1248.59(M)+、実測値:1248.72。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(80):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.03min、m/z(ES+)計算値:1262.60(M)+、実測値:1262.73。
(実施例33)
イソロイシン−ツブバリン(OAc)−ツブフェニルアラニンアリルエステルの調製
けん化:フラスコに、THF(1.35mL)およびMeOH(1.35mL)中のBOC−Tuv(OAc)−Tup−OEt(90、50mg、81μmol)を充填し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(27mg、647μmol)をH2O(1.35mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、3時間撹拌した。次いで、反応物を酢酸(37μL、647μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(91)を得た(44mg、定量的収量)(スキーム9)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.53min、m/z(ES+)計算値:548.28(M+H)+、実測値:548.24。
アセチル化およびアリルエステル脱保護:BOC−Tuv(OH)−Tup−OH(91、44mg、81μmol)生成物を、無水ピリジン(1.6mL)中に可溶化し、N2下、室温で撹拌した。無水酢酸(15.4μL、162μmol)を滴下添加した。1時間撹拌後、追加の1.0当量の無水酢酸を加え、LCMSによれば、2時間後に反応が完了した。反応物を減圧下で濃縮乾固し、次いで無水アリルアルコール(1.6mL)中で再可溶化した。ジ−アリルピロカーボネート(54μL、325μmol)を加え、続いて固体のDMAP(3.0mg、24μmol)を加えた。反応物を室温で撹拌させ、LCMSでモニターし、反応を完了させるように推し進めるために必要に応じて、追加のジ−アリルピロカーボネートを加えた(追加の4.0当量)。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(92)を得た(スキーム9)(33mg、65%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.75min、m/z(ES+)計算値:630.32(M+H)+、実測値:630.42。
ジ−ペプチド脱保護:BOC−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(92、33mg、21μmol)を充填したフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.52mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCM中で再可溶化し、濃縮することを3回行って、TFAを除去することによって、粗製の(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(93)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.03min、m/z(ES+)計算値:530.27(M+H)+、実測値:530.36。化合物93(スキーム9)をさらに精製せずに次に使用した。
ペプチドカップリング:H−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(93、28mg、53μmol)を充填したフラスコに、BOC−L−Ile−OH(15mg、63μmol)およびHATU(40mg、106μmol)を固体として加え、続いてDMF(1.0mL)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(37μL、211μmol)を加え、反応物を室温で48時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、(2S,4R)−アリル4−(2−((6S,9R,11R)−6−((S)−sec−ブチル)−9−イソプロピル−2,2,8−トリメチル−4,7,13−トリオキソ−3,12−ジオキサ−5,8−ジアザテトラデカン−11−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(94)を得た(スキーム9)(19mg、49%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.72min、m/z(ES+)計算値:743.41(M+H)+、実測値:743.51。
トリ−ペプチド脱保護:BOC−Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(94、19mg、26μmol)を充填したフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.52mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCM中で再可溶化し、濃縮することを3回行って、TFAを除去することによって、粗製の(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(95)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:643.36(M+H)+,実測値:643.42。Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(イソロイシン−ツブバリン(OAc)−ツブフェニルアラニンアリルエステル)と略記される化合物95(スキーム9)を、さらに精製せずに持ち越した。
(実施例34)
遊離チューブリシン薬物のN末端部分に対応する4級化窒素ヘテロシクロアルキルの調製。
N末端前駆体(D−Mep):H−Pip−OtBu(96、500mg、2.70mmol)をMeOH(4.50mL)、AcOH(4.50mL)およびH2O中37%CH2O(4.50mL)中に溶解させ、20分間撹拌した。NaBH3CN(509mg、8.10mmol)を固体としてゆっくりと加えて、激しくバブリングさせ、30分間撹拌した。次いで、反応物を200mLのNaHCO3飽和溶液に注ぎ入れ、200mLのDCMで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、(R)−tert−ブチル1−メチルピペリジン−2−カルボキシレート(97)を得た(516mg、96%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.53min、m/z(ES+)計算値:200.17(M+H)+、実測値:200.21。BOC−D−Mep−OtBuと呼ばれる化合物97(スキーム10)を、さらに精製せずに持ち越して、以下の方式で、実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2に縮合した。
4級化:耐圧容器に、無水2−ブタノン(1.71mL)中の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体(2、104mg、128μmol)およびD−Mep−OtBu(97、34mg、171μmol)を充填した。反応容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで、反応物を撹拌し、60℃に12時間加熱した。得られた混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(98)を得た(97mg、82%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.32min、m/z(ES+)計算値:930.40(M)+、実測値:930.49。次いで、炭水化物部分の保護基を除去し、続いてアリルエステルとして再保護することによって、以下の方式で化合物99を得た(スキーム10)。
グリコシド脱保護:無水アリルアルコール(2.09mL)中の、酢酸エステルおよびメチルエステル保護基を有する化合物98(97mg、104μmol)を充填した、火炎乾燥したフラスコに、N2下で、Ti(OC2H5)4(87μL、417μmol)を加え、得られた反応混合物を、2時間撹拌しながら80℃に加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、50mLの1M HClに注ぎ入れた。45分間静置した後に、HClを50mLのDCMで3回抽出した。生成した有機物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取HPLCで精製することによって、(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−((アリルオキシ)カルボニル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(99)を得た(42mg、48%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:830.39(M)+、実測値:830.49。
(実施例35)
ツブバリン−(O−アシル)部分を有するチューブリシントリペプチド中間体の、遊離チューブリシン薬物に対応する4級化窒素ヘテロシクロアルキルへのアミドカップリングによる薬物−リンカー化合物中間体の調製。FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OtBuと略記される、実施例34の化合物99(スキーム10)を、t−ブチルエステル保護基を除去して脱保護することによって、化合物100を得、次いで、これを、以下の方法を介してペプチド結合の形成により、実施例33のイソロイシン−ツブバリン(OAc)−ツブフェニルアラニンアリルエステル(化合物95)にカップリングした。
N末端(D−Mep)脱保護:FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OtBu(99、42mg、50μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中30%のTFAの溶液(2.5mL)を滴下添加し、18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、25mg(64%)の(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−((アリルオキシ)カルボニル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−カルボキシ−1−メチルピペリジン−1−イウム(100)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.05min、m/z(ES+)計算値:774.32(M)+、実測値:774.42。
ペプチドカップリング:FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OHと略記される化合物100(スキーム10)を、H−Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(95、23mg、36μmol)を充填したフラスコに、化合物100(28mg、36μmol)およびHATU(27mg、72μmol)を固体として加え、続いてDMF(0.714mL)を加えることによって、トリペプチド95と縮合させた。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(25μL、143μmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。次いで反応物をDMSO中に溶解させ、分取LCで精製することによって、23mgの(46%)(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−((アリルオキシ)カルボニル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(101)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.39min、m/z(ES+)計算値:1398.66(M)+、実測値:1398.81。
グリコシドおよびTupの脱保護:FMOC−Gluc(O−アリル)Q−Mep−Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル生成物(すなわち、化合物101)(さらにFmoc−Gluc(O−アリル)Q−TubM−Oアリルと略記される)のFMOCおよびアリル保護基は、ツブバリンアセテートを保持しながら、以下の方式で達成された。FMOC−Gluc(O−アリル)Q−TubM−Oアリル(101、21mg、15μmol)を、N2下で撹拌しながら、DCM(1.5mL)に溶解させた。Pd(PPh3)4(3.5mg、3.1μmol)およびPPh3(1.6mg、6.1μmol)を固体として加え、続いてピロリジン(20.1μL、245μmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、次いで1mLのDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取LCで精製することによって、13mg(79%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(102)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.94min、m/z(ES+)計算値:1096.53(M)+、実測値:1096.65。
H−GlucQ−TubM−OHと略記される、化合物102は、式A’−Yy(W’w’)−D+(式中、下付き文字yおよびw’はそれぞれ1であり、A’はストレッチャー(サブ)ユニット前駆体であり、−Y(W)−はグルクロニド単位であり、これは、チューブリシン薬物(D)を放出するための自壊可能なPABスペーサー単位、およびグルクロン酸部分で構成され、D+は4級化チューブリシンMである)の例示的な薬物−リンカー化合物中間体である。化合物95に対応するH−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルを調製するために、BOC−Tuv(O−Ac)−Tup(OEt)(90)のアセテート部分が実施例33の一般式BOC−Tuv(O−アシル)−Tup(OEt)の化合物で置き換えられている、ツブバリン(O−アシル)構成成分投入物を含有する代替の4級化チューブリシンを有する類似の薬物リンカー化合物中間体を調製するため。次いで、実施例34および35に従いその中間体を持ち越すことによって、化合物102の薬物−リンカー化合物中間体に対応する、H−GlucQ−Tub(O−アシル)−OHとさらに略記される、一般式H−GlucQ−D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−OHの化合物を得る。
他の変化形は、スキーム10の適切に保護された6員の第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルであるBOC−D−Mep−OtBu(化合物97)を、別の適切に保護された5員または6員の第3級アミン含有複素環、例えば、BOC−N−エチル−ピペコリン酸t−ブチルエステル、BOC−N−メチル−プロリンt−ブチルエステルまたはBOC−N−メチル−アゼチジニル−2−カルボン酸t−ブチルエステルなどで置き換えることによって、それぞれスキーム10の化合物99および化合物102に類似の化合物を得ることであるか、またはさらに含み、これらの中で、FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OtBuおよびH−GlucQ−D−Mep−Ile−Tuv(O−Ac)−Tup OH、またはさらに一般的には、H−GlucQ−D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−OHの4級化D−Mep部分は、別の4級化第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルで置き換えられている。ヘテロシクロアルキルが第3級アミンを含有するカルボン酸で置き換えられている薬物−リンカー化合物中間体の追加の変化形もスキーム10を介して得ることによって、4級化チューブリシン薬物−リンカー化合物のN末端開環したバリアントが得られる。
(実施例36)
LSS−ストレッチャーサブユニット前駆体と、グルクロニド単位および4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位で構成される薬物−リンカー中間体とのアミドカップリングによる薬物リンカー化合物の調製。
LSS(mDPR)前駆体カップリング:フラスコに、無水DMF(0.595mL)中の実施例35から得られたH−GlucQ−TubM−OH(102、13.1mg、11.9μmol)を充填し、これにmDPR(BOC)−OSu(6、4.6mg、11.9μmol)をN2下で加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.3μL、47.8μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応物を酢酸(8.3μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、5.2mg(33%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(103)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.20min、m/z(ES+)計算値:1362.62(M)+、実測値:1362.75。
LSS前駆体脱保護:mDPR(BOC)−GlucQ−TubM−OH(103)上のBOC保護基を以下の通り除去して、チオール含有標的化部分との縮合によるリガンド薬物コンジュゲートの調製に適切な薬物−リンカー化合物を調製する。
mDPR(Boc)−GlucQ−TubM−OH(103、5.2mg、3.8μmol)を充填したフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.84mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、4.8mg(81%)の2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(104)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1262.56(M)+、実測値:1262.68。
実施例36から、チューブリシンMの中の4級化D−Mep部分が別の4級化6員第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルで置き換えられている4級化チューブリシンN末端残基において変化形を有する薬物−リンカー化合物も調製する。実施例36からは、カルボン酸置換された4員または5員の第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルから得た他の薬物−リンカー化合物もさらに調製する。他の変化形は、実施例33における、適切に保護された第3級アミン含有酸の使用を介して、D−Mepの4級化6員のヘテロシクロアルキルを、非環式形で置き換えることで、N末端開環形の4級化チューブリシン薬物リンカー化合物を得ている。また他の変化形は、薬物−リンカー化合物中間体について実施例33〜35に記載されているようなツブバリン構成成分のアセテート部分を、別のアシルオキシ基でで置き換えることで、類似の薬物−リンカー化合物を得ている。さらなる変化形は、両方の変更、すなわち、N末端部分とツブバリンアシルオキシ部分の変化形を取り込んでいる。
実施例36で調製した化合物は、式M1−A1(BU)−AO−Y(W)−D+またはLb’−AO−Y(W)−D+(式中、Lb’は、マレイミド部分(M1)、塩基性単位(BU)およびストレッチャー単位のサブユニット(A1)で構成され、AOは、ストレッチャー単位の別のサブユニットであり、Lb’は、薬物−リンカー化合物から調製したリガンド薬物コンジュゲートの中のLSSの前駆体である)の例示的な薬物−リンカー化合物である。
(実施例37)
4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位を有するペプチド放出機序を組み込んでいる薬物−リンカー化合物中間体を調製するための一般的手順。
式A’−Ww−Yy−D+の例示的薬物−リンカー化合物中間体を以下の通り調製する(式中、下付き文字wおよびyはそれぞれ1であり、A’は、ストレッチャー単位前駆体であり、D+は4級化チューブリシン薬物単位であり、−W−Y−は自壊性スペーサー単位(Y)に共有結合により結合しているペプチド切断可能単位(W)であり、Wは、プロテアーゼ認識部位を提供し、その作用は、リガンド薬物コンジュゲート(LDC)から遊離のチューブリシン薬物を放出し、LDCは、−LO−D+部分として、そのA’−Ww−Yy−D+で構成される)。一般的に、式BOC−W2−W1−PAB−Br(式中、W1およびW2は、Wのアミノ酸サブユニットであり、PABは自壊性スペーサー単位Y中間体である)の適切に保護されたペプチド−スペーサー単位中間体は、最初にBOC保護されたW2をH−W1−PAB−OHとペプチド結合カップリングさせ、続いてベンジル炭素を臭素化させて、ペプチド−スペーサー単位中間体BOC−W2−W1−PAB−Brを得ることによって調製する。次いで、例えばアリルエステルのように、C末端の構成成分で適切に保護されたチューブリシンは、その第3級アミン含有構成成分の4級化のためにペプチド−スペーサー単位中間体に縮合させて、全体的脱保護後に、式H−W−Y−D+(すなわち、H−W2−W1−PAB−D+)の薬物リンカー化合物中間体を得る。その反応順序の生成物は、H−Val−Glu−PAB4−TubM−OH(スキーム11)の以下の調製により例示され、この中でジペプチド残基−Val−Glu−は−W2−W1に対応する。
スペーサー単位のペプチドカップリング:FMOC−Glu(OtBu)−OH(105、2.0g、4.7mmol)、H−PAB−OH(23、579mg、4.7mmol)、およびCl2CH2(25mL)を充填したフラスコを室温で撹拌した。EEDQ(1.40g、5.6mmol)を固体として加え、混合物を一晩撹拌した。生成物を、EtOAcを用いた4mmクロマトトロンプレートで溶出し、生成物を含有する画分を濃縮した。得られた残渣をDCM中20%ピペリジン中に溶解させ、15分間撹拌し、次いで油になるまで濃縮した。この油をDCMに溶解し、DCM中10%〜20%MeOHの勾配を使用して、2mmクロマトトロンプレートから溶出させて、860mg(60%)の(S)−tert−ブチル4−アミノ−5−((4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)−5−オキソペンタノエート(106)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.65min、m/z(ES+)計算値:309.18(M+H)+、実測値:309.24。
切断可能単位のペプチドカップリング:DMF(10mL)中H−Glu(OtBu)−PAB−OH(106、860mg、2.78mmol)を充填したフラスコに、BOC−Val−OSu(20)(1.13g、3.60mmol)およびDIPEA(0.75mL)を加えた。30分後、反応混合物を100mLのEtOAcに注ぎ入れ、H2Oで3回、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶液を減圧下で乾燥させ、50mLのEtOAc中で可溶化し、ヘキサン中10%EtOAc(50mL)により沈殿させた。固体を収集し、乾燥させることによって、0.97g(70%)の(S)−tert−ブチル4−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−((4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)−5−オキソペンタノエート(107)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.37min、m/z(ES+)計算値:508.30(M+H)+、実測値:508.38。
スペーサー単位の官能化:BOC−Val−Glu(OtBu)−PAB−OH(107、200mg、394μmol)、N−ブロモスクシンイミド(105mg、591μmol)、およびトリフェニルホスフィン(155mg、591μmol)を充填したフラスコを、N2でフラッシュした。反応物をTHF(4mL)中に溶解し、12時間撹拌した。反応物を濃縮し、シリカでBiotageカラム(ヘキサン/EtOAc、10%〜100%)を介して精製することによって、210mg(93%)の(S)−tert−ブチル5−((4−(ブロモメチル)フェニル)アミノ)−4−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−オキソペンタノエート(108)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.56min、m/z(ES+)計算値:570.22(M+H)+、実測値:570.30。
4級化:BOC−Val−Glu(OtBu)−PAB−Br(108、40mg、70μmol)およびTubM−Oアリル(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)(109、45mg、59μmol)を充填したフラスコを、N2でフラッシュした。ブタノン(1.17mL)を加え、反応物を、撹拌しながら60℃に加熱した。18時間後、反応物を濃縮乾燥させ、最小量のDCM中に溶解させ、Biotage(0〜20%DCM/MeOH)を介して精製することによって、62mg(85%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−5−(tert−ブトキシ)−2−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−オキソペンタンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(110)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.47min、m/z(ES+)計算値:1257.72(M)+、実測値:1257.85。
脱保護:BOC−Val−Glu(OtBu)−PABQ−TubM−Oアリル(110、42mg、50μmol)を充填したフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中30%のTFAの溶液(0.99mL)を滴下添加し、18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCM中に溶解させ、再濃縮することを3回行った。次いで、残基をDCM(0.98mL)中に溶解させ、これに、Pd(PPh3)4(5.7mg、4.9μmol)およびPPh3(2.6mg、9.8μmol)を固体として加え、続いてピロリジン(32μL、392μmol)を加えた。1時間後、反応物を最小量のDMSO中に溶解させ、濃縮し、分取HPLCで精製することによって、47mg(90%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)−4−カルボキシブタンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(111)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1061.57(M)+、実測値:1061.69。
W2およびW1それぞれについてのFMOC−Glu(Ot−Bu)−OH(105)およびBOC−Val−OSu(20)投入物を、他の適当なアミノ酸投入物で置き換えて、化合物111と類似の他の薬物−リンカー化合物中間体を調製することで、式H−W2−W1−PAB−D+の調製された薬物−リンカー化合物中間体が、
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドN末端における波線は、Aへの、またはLbもしくはLb’への共有結合を示し、ジペプチドC末端における波線は、SI部分のJへの共有結合を示している)の構造を有するようにする。
(実施例38)
LSS前駆体部分を、4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位を有するペプチド放出機序を組み込んだ薬物−リンカー化合物中間体へ導入することにより薬物−リンカー化合物を調製するための一般的手順。
式Lb’−Y−W−D+(式中、Lb’−はM1−A(BU)−であり、−Y−W−D+は、実施例37の薬物リンカー化合物中間体に対応する)の薬物リンカー化合物がスキーム12で例示されている。薬物−リンカー化合物mDPR−Val−Glu−PABQ−TubM−OH(113)(その一般化された式は、M1−A(BU)−W2−W1−PABQ−TubM−OHである)の合成に関して、例証が以下の通り提供される。
LSS(mDPR)カップリング:フラスコに、無水DMF(0.420mL)中H−ValGluPAB4−TubM(111、22.5mg、21.2μmol)を充填し、これにN2下でmDPR(Boc)−OSu(6、8.9mg、23.3μmol)を固体として加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(14.8μL、84.7μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(14.8μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、11.5mg(40%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((7S,10S,13S)−13−(2−カルボキシエチル)−7−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−10−イソプロピル−2,2−ジメチル−4,8,11−トリオキソ−3−オキサ−5,9,12−トリアザテトラデカンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(112)を得た(11.5mg、40%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.31min、m/z(ES+)計算値:1327.66(M)+、実測値:1327.94。
脱保護:mDPR(Boc)−ValGluPAB4−TubM(112、11.5mg、8.6μmol)を充填したフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.86mL)を滴下添加し、2時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、9.9mg(93%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3−メチルブタンアミド)−4−カルボキシブタンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(113)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.99min、m/z(ES+)計算値:1227.61(M)+、実測値:1227.83。
(実施例39)
ツブバリン構成成分中のアセテートの代わりに代替のアシルオキシ部分を有するチューブリシン中間体化合物の調製。
表題化合物の調製は、ツブフェニルアラニンとの、そのアリルエステルとしてのペプチドカップリングを介した、BOC保護したデス−アセチルツブバリン化合物から進行する。次いで、プロピオニルオキシおよびブチリルオキシに関して例示したように適当な酸無水物(方法1)を使用して、またはツブバリンアセテート部分の置き換えについてイソ酪酸クロリドに関して例示したように(すなわち、イソブチリルオキシがアセトキシを置き換える)酸塩化物(方法2)を使用して、アシル部分を再導入する。代わりに、ツブバリンアセテート部分のジメチルブチリルオキシおよびイソバレリルの置き換えに関して例示されたように、ツブバリンヒドロキシルを脂肪族カルボン酸のDCC活性化を介してエステル化する(方法3)。得られた化合物は、スキーム13に示されているように一般式BOC−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルを有する。BOC保護基を除去してN末端構成成分を導入するためのペプチドカップリングを可能にすることによって、チューブリシンM類似体を得る。
Tuvの加水分解:フラスコに、メタノール(5ml)およびテトラヒドロフラン(5ml)に溶解したツブバリンアセテート(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)122(225mg、560μmol)を充填し、次いで氷浴内で、窒素下で0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(71mg、1680μmol)を水(5ml)に溶解し、この溶液を反応フラスコに滴下添加した。次いで、UPLC/MSが、生成物への変換が完了したことを明らかにするまで、反応物を室温で撹拌した。次いで、材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、200mg(定量的収量)の遊離酸化合物2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボン酸(123)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.33min、m/z(ES+)計算値:359.17(M+H)+、実測値359.14。
ペプチドカップリング:ツブバリン遊離酸化合物123(200mg、560μmol)を、無水ジメチルホルムアミド(5.4mL、100mM)に溶解し、HATU(250mg、670μmol)およびDIPEA(0.59ml、3.36mmol)を加えることによって、予備活性化した。次いで、混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。次いで、活性化した酸をツブフェニルアラニンアリルエステル40(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)に加え、次いで、進行をUPLC/MSでモニターしながら、反応物を窒素下、周囲温度で撹拌した。反応が完了したら、氷酢酸(14当量)を加え、生成物を分取HPLCで精製することによって、272mg(83%)のTuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチドである(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(124)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.84min、m/z(ES+)計算値:588.31(M+H)+、実測値588.29。
再アシル化(方法1):Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(26mg、44μmol)を無水ピリジン(1.8ml、25mM)に溶解し、窒素雰囲気下室温で撹拌した。プロピオン酸無水物125(113μl、20当量)を滴下添加し、次いで反応をUPLC/MSでモニターした。追加のプロピオン酸無水物(20当量)を加えることで、生成物への変換を達成した。材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、これを、続いて分取HPLCで精製することによって、17mg(61%)のBOC−Tuv(プロピオニルオキシ)−Tup−O−アリル生成物である(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(127)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.99min、m/z(ES+)計算値:644.34(M+H)+、実測値644.26。
Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(27mg、46μmol)を無水ピリジン(0.9ml、50mM)に溶解し、窒素雰囲気下室温で撹拌した。酪酸無水物126(225μl、30当量)を滴下添加し、次いで反応をUPLC/MSでモニターした。追加の酪酸無水物(40当量)を3回に分けて加えることで、生成物への変換を達成した。材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、これを続いて分取HPLCで精製することによって、24mg(80%)のBOC−Tuv(ブチリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−(ブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(128)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.13min、m/z(ES+)計算値:658.35(M+H)+、実測値:658.23。
再アシル化(方法2):Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(26mg、44μmol)を無水ピリジン(1.8ml、25mM)に溶解し、窒素雰囲気下室温で撹拌した。塩化イソブチリル129(93μl、20当量)を滴下添加し、次いで反応をUPLC/MSでモニターした。生成物に変換したら、材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、続いてこれを分取HPLCで精製することによって、29mg(定量的収量)のBOC−Tuv(イソブチリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物である(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(130)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.13min、m/z(ES+)計算値:658.35(M+H)+、実測値:658.33。
再アシル化(方法3):無水ジクロロメタン(5.6ml、15mM)に溶解したイソ吉草酸131(94μl、851μmol)をフラスコに充填し、溶液を窒素雰囲気下0℃で撹拌した。次いで、DMAP(10mg、85μmol)を加え、続いてDCC(88mg、425μmol)を加え、反応を2時間にわたり室温まで温めた。次いで、生成した活性化した酸をTuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(50mg、85μmol)に加え、反応物を一晩撹拌し、この時点でUPLC/MSは、生成物への変換を明らかにした。次いで、反応物をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、続いてこれを分取HPLCで精製することによって、52mg(91%)のBOC−Tuv(イソバリリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(133)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.91min、m/z(ES+)計算値:672.37(M+H)+,実測値:672.46。
フラスコに、無水ジクロロメタン(5.1ml、15mM)に溶解したgem−ジメチル酪酸132(98μl、766μmol)を充填し、溶液を窒素雰囲気下0℃で撹拌した。次いで、DMAP(9mg、77μmol)を加え、続いてDCC(79mg、383μmol)を加え、反応物を2時間にわたり室温まで温めた。次いで、生成した活性化した酸を、Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(45mg、77μmol)に加え、反応物を一晩撹拌し、この時点で、UPLC/MSは生成物への変換を明らかにした。次いで、反応物をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、続いてこれを分取HPLCで精製することによって、49mg(93%)のBOC−Tuv(ジメチルブチリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(134)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.88min、m/z(ES+)計算値:686.39(M+H)+、実測値:686.47。
脱保護:方法1、2または3で調製したBOC−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリル中間体を、ジクロロメタン中10%TFA(25mM)を用いて、酸性条件下で脱保護して、第2級アミン官能基を以下の通り曝露した。BOC保護した中間体を無水ジクロロメタン(9容量)に溶解し、窒素下、0℃で撹拌した。次いで、トリフルオロ酢酸(1容量)を撹拌溶液に滴下添加した。反応物をゆっくりと室温まで温め、UPLC/MSでモニターした。完了したら、反応物を回転蒸発により濃縮し、真空ラインで一晩ポンプダウンした。こうして得た一般式H−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの遊離アミンは、N末端構成成分の導入のため、さらに精製せずに持ち越す。
調製したH−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリル化合物(化合物135〜139)は、スキーム14において示され、以下に列挙されている。
(2S,4R)−アリル2−メチル−4−(2−((1R,3R)−4−メチル−3−(メチルアミノ)−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−5−フェニルペンタノエート(135):UPLC−MS(システム1):tr=1.24min、m/z(ES+)計算値:544.29(M+H)+、実測値:544.25
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−(ブチリルオキシ)−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(136):UPLC−MS(システム2):tr=1.20min、m/z(ES+)計算値:558.30(M+H)+、実測値:558.38
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(137):UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)計算値:558.30(M+H)+、実測値:557.93。
(2S,4R)−アリル2−メチル−4−(2−((1R,3R)−4−メチル−3−(メチルアミノ)−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−5−フェニルペンタノエート(138):UPLC−MS(システム2):tr=1.23min、m/z(ES+)計算値:572.32(M+H)+、実測値:572.40。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(139):UPLC−MS(システム2):tr=1.27min、m/z(ES+)計算値:586.33(M+H)+、実測値:586.42。
(実施例40)
イソロイシンとツブバリン(O−アシル)−ツブフェニルアラニンアリルエステルジ−ペプチドとのアミドカップリングのための一般的手順
Fmoc−L−イソロイシン(4当量)を無水ジメチルホルムアミド(50mM)に溶解し、HATU(4当量)およびDIPEA(8当量)で予備活性化する。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸を一般式H−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルのジペプチドに加える。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターする。反応の進行が停止するか、または完了まで到達したら、氷酢酸(13当量)を加え、反応生成物を分取HPLCで精製する。次いで、窒素下、室温で撹拌しながら、Fmoc−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルトリ−ペプチドをジメチルホルムアミド中20%ピペリジン(20mM)で処理することによって、FMOC保護基を除去する。UPLC/MSでモニターされる場合に、完全な脱保護を達成したら、反応混合物を回転蒸発で濃縮した。次いで、一般式H−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの粗生成物を分取HPLCで精製することによって、遊離アミントリペプチドを得た。
スキーム14に示され、以下に列挙されている一般式FMOC−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの化合物140〜144を上記ペプチドカップリング手順に従い調製した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザテトラデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(140):UPLC−MS(システム1):tr=2.11min、m/z(ES+)計算値:879.44(M+H)+、実測値:879.60。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザペンタデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(141):UPLC−MS(システム2):tr=1.94min、m/z(ES+)計算値:893.45(M+H)+、実測値:893.56。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7,14−ジメチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザペンタデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(143):UPLC−MS(システム2):tr=2.06min、m/z(ES+)計算値:907.47(M+H)+、実測値:907.58。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7,14,14−トリメチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザペンタデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(144):UPLC−MS(システム2):tr=2.50min、m/z(ES+)計算値:921.49(M+H)+、実測値:921.59
スキーム14に示され、以下に列挙されている一般式H−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの化合物145〜149を、それぞれ化合物140〜144からの上記FMOC脱保護手順に従い調製した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(145):UPLC−MS(システム1):tr=1.29min、m/z(ES+)計算値:657.37(M+H)+、実測値:658.04。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−(ブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(146):UPLC−MS(システム2):tr=1.24min、m/z(ES+)計算値:671.39(M+H)+、実測値:671.48。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(147):UPLC−MS(システム1):tr=1.33min、m/z(ES+)計算値:671.39(M+H)+、実測値:671.33
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(148):UPLC−MS(システム2):tr=1.31min、m/z(ES+)計算値:685.40(M+H)+、実測値:685.49。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(149):UPLC−MS(システム2):tr=1.30min、m/z(ES+)計算値:699.42(M+H)+、実測値:699.51。
FMOC−Ileを他の脂肪族アミノ酸(例えば、FMOC−Leu)または脂肪族アミン含有酸で置き換えることによって、ツブバリン−(O−アシル)構成成分を組み込んでいる他のトリペプチドを同様に調製する。
(実施例41)
チューブリシンN末端構成成分の導入のための、イソロイシン−ツブバリン(O−O−アシル)−ツブフェニルアラニンアリルエステルトリペプチドと第3級アミン含有酸とのアミドカップリングのための一般的手順。
(R)−N−メチル−ピペコリン酸(D−Mep)60(2当量)を、無水ジメチルホルムアミド(20〜25mM)に溶解し、HATU(2当量)およびDIPEA(4当量)で予備活性化する。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸を一般式H−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルを有する実施例40のトリペプチドに加える。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。反応が完了したら、氷酢酸(14当量)を加え、一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルのテトラペプチド生成物を分取HPLCで精製した。次いで、パラジウムテトラキス−(トリフェニルホスフィン)(0.1当量)、トリフェニルホスフィン(0.2当量)、および無水ピロリジン(8当量)で処理した、無水ジクロロメタン(20mM)中にアリルエステル保護されたチューブリシンテトラペプチド(150〜154)を溶解することによって、ツブバリンアシル部分を損失せずにアリル保護基を除去し、反応物を窒素下、周囲温度で撹拌する。UPLC/MSにより生成物の遊離酸への変換が明らかとなったら、反応を氷酢酸(22当量)でクエンチし、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドで希釈し、次いで回転蒸発で濃縮する。次いで、一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの粗製のチューブリシン化合物を分取HPLCで精製する。
スキーム14に示され、以下に列挙される一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの化合物150〜154を、上記ペプチドカップリング手順に従いそれぞれ化合物145〜149から調製した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(150):UPLC−MS(システム1):tr=1.33min、m/z(ES+)計算値:782.45(M+H)+、実測値:781.82。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−(ブチリルオキシ)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(151):UPLC−MS(システム2):tr=1.31min、m/z(ES+)計算値:796.47(M+H)+、実測値:796.57。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(152):UPLC−MS(システム1):tr=1.37min、m/z(ES+)計算値:796.47(M+H)+、実測値:795.78。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(153):UPLC−MS(システム2):tr=1.35min、m/z(ES+)計算値:810.49(M+H)+、実測値:810.59。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(154):UPLC−MS(システム2):tr=1.38min、m/z(ES+)計算値:824.50(M+H)+、実測値:824.60。
スキーム14に示され、以下に列挙される一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−OHの化合物155〜159を、上記アリル脱保護手順に従いそれぞれ化合物150〜154から調製した。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(155):UPLC−MS(システム2):tr=1.11min、m/z(ES+)計算値:742.42(M+H)+、実測値:742.51。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−1−(ブチリルオキシ)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(156):UPLC−MS(システム2):tr=1.16min、m/z(ES+)計算値:756.44(M+H)+、実測値:756.54。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(157):UPLC−MS(システム1):tr=1.23min、m/z(ES+)計算値:756.44(M+H)+、実測値:756.82。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(158):UPLC−MS(システム2):tr=1.22min、m/z(ES+)計算値:770.45(M+H)+、実測値:770.55。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(159):UPLC−MS(システム2):tr=1.23min、m/z(ES+)計算値:784.47(M+H)+、実測値:784.57。
実施例27に示されているように、実施例39のツブフェニルアラニン部分(化合物40)を置き換えているアミノ酸もしくはアミン含有酸投入物、および/または実施例40のFMOC−アミノ酸投入物(FMOC−Ile)において変化形(S)を有するものを含む追加のチューブリシンO−アシル化合物が、D−Mepを他のN−アルキル化ピペコリン酸投入物またはN−アルキル化アゼチジニル−2−カルボン酸、N−アルキル化−D−プロリンもしくはN,N−ジアルキルアミノ酸、例えばN,N−ジメチルグリシンなどで置き換えることによって調製される。
(実施例42)
ストレッチャー単位へのN末端結合を有する切断不可能なチューブリシン薬物単位を有する薬物−リンカー化合物の調製。
一般式M1−A−D(式中、M1はマレイミド部分であり、Aはストレッチャー単位であり、Dは、M1−Aリンカー単位前駆体へのN末端結合を有するチューブリシンである)の薬物−リンカー化合物をスキーム15に示されているように調製した。そのスキームにおいて、化合物172は薬物−リンカー化合物を例示し、その調製は以下に記載されており、薬物単位はデスメチル−チューブリシンM(O−CH3)(170)であり、ツブバリン構成成分のO連結アセテート置換基は−OCH3で置き換えられている。その薬物−リンカー化合物は、遊離薬物の放出に耐性がある標的化部分由来のチオール官能基を介したリガンド単位への結合を介してリガンド薬物コンジュゲート(LDC)を提供する。化合物172および抗体標的化部分由来のLDCに関して、放出される活性のある部分は、典型的には一般的構造Cys−M2−A−D(式中、M2は、M1−A−D薬物−リンカー化合物のマレイミド部分へのシステインチオールのマイケル付加から生成されるスクシンイミド部分である)で表される。このようなLDCから最終的に放出される活性のある部分は、D−Mep部分のメチル置換基がチオール置換アルキル部分で置き換えられているチューブリシンM(O−エーテル)であると考えることができる。
デス−メチル−Tub(OMe)−O−アリル:(R)−N−BOC−ピペコリン酸60(6mg、24μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.46ml、25mM)に溶解し、HATU(9mg、24μmol)およびDIPEA(9μl、48μmol)で予備活性化した。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。次いで、活性化した酸を実施例28のH−Ile−Tuv(OMe)−Tup−O−アリルトリペプチド57(10mg、12μmol)に加えた。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。次いで、反応を酢酸でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、12mg(定量的収量)の(R)−tert−ブチル2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(168)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.99min、m/z(ES+)計算値:847.47(M+Na)+、実測値:847.87。
脱保護:BOC−Tub(OMe)−Oアリル(168、12mg、15μmol)を、N2下で撹拌しながらDCM(0.75ml)中に溶解させた。Pd(PPh3)4(1.7mg、1.5μmol)およびPPh3(0.8mg、3μmol)を固体として加え、続いてピロリジン(11μl、120μmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、次いでDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、9mg(76%)の(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−((R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボキサミド)−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(169)を得た:分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.80min、m/z(ES+)計算値:786.45(M+H)+、実測値:786.67
N末端脱保護:BOC−TubOMe−OH(169、9mg、11μmol)を充填したフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.5mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、63%の(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−ピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(170)を得た(5mg)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.15min、m/z(ES+)計算値:686.40(M+H)+、実測値:685.59。
Lb’−A−カップリング:マレイミドカプロン酸171(2mg、9.5μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.5ml、20mM)に溶解し、HATU(2.3mg、6μmol)およびDIPEA(5μl、29μmol)で予備活性化した。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。次いで、活性化した酸をチューブリシンメチルエーテル170(5mg、7.3μmol)に加えた。反応物を窒素下で、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。次いで、反応を酢酸でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、7mg(定量的収量)の(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−((R)−1−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル)ピペリジン−2−カルボキサミド)−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(172)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.60min、m/z(ES+)計算値:879.47(M+H)+、実測値:879.11。
本明細書に記載されているような第4級アミンコンジュゲートは、第3級アミン含有N末端構成成分の窒素原子がアルキル部分で直接置換されている(すなわち、窒素−炭素結合を介して)、第3級アミン含有N末端構成成分を有するチューブリシンを条件付きで放出する。対照的に、薬物−リンカー化合物172から調製したリガンド薬物コンジュゲートから、条件に依らずに放出される活性薬物部分は、アミド官能基を介してアルキレンへと置換されている第2級アミンを含有するN末端構成成分を有する。
(実施例43)
グルクロニド単位を組み込んでいる4級化ドラスタチン10を有する薬物−リンカー化合物の調製。
4級化:耐圧容器に、無水2−ブタノン(1.0mL)中の、実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(62mg、76μmol)およびドラスタチン10(173、45mg、51μmol)を充填した。反応容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで、反応物を撹拌し、12時間80℃に加熱した。得られた混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、さらに精製せずに持ち越すことによって、(S)−N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(174)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.42min、m/z(ES+)計算値:1515.74(M)+、実測値:1515.91。
グリコシド脱保護:フラスコに、THF(0.42mL)およびMeOH(0.42mL)中のFMOC−GlucQ−D10(174、39mg、26μmol)を充填した。この溶液をN2下で撹拌し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(8.6mg、206μmol)をH2O(0.42mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(12μL、206μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、7mg(24%)の(S)−N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(175)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.90min、m/z(ES+)計算値:1153.62(M)+、実測値:1153.78。
LSS(mDPR)カップリング:フラスコに、無水DMF(0.62mL)中H−GlucQ−D10(175、7.0mg、6.0μmol)を充填した。mDPR(BOC)−OSu(6、2.3mg、6.1μmol)をN2下で加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.2μL、24μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(4.2μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、5.5mg(64%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(176)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:1419.71(M)+、実測値:1419.87。
LSS(mDPR)脱保護:mDPR(BOC)−GlucQ−D10(176、5.5mg、3.9μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.39mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、5.1mg(99%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(177)を得た。分析用UPLC−MS:tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1319.66(M)+、実測値:1319.81。
(実施例44)
グルクロニド単位へのカルバメート結合を有するドラスタチン10を有する薬物−リンカー化合物の調製
カルバメート薬物単位の結合:フラスコに、無水DMF(0.96mL)中のFMOC−Gluc−PNP(Bioconjugate Chem.、2006年、17巻、831〜840頁)(178、60mg、66μmol)およびモノメチルドラスタチン10(179、46mg、60μmol)を充填し、これにピリジン(0.24mL)を加え、続いてHOBt(3.2mg、24μmol)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製することによって、54mg(59%)の(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−0プロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)−ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)−フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(180)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.65min、m/z(ES+)計算値:1545.71(M+H)+、実測値:1545.98。
グリコシド脱保護:フラスコにTHF(0.78mL)およびMeOH(0.78mL)中のFmoc−Gluc−MMD10(180、54mg、35μmol)を充填した。この溶液をN2下で撹拌し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(12mg、278μmol)をH2O(0.78mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(17μL、278μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、9.6mg(23%)の(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(181)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.13min、m/z(ES+)計算値:1183.60(M+H)+、実測値:1183.70。
グルクロニド−薬物単位カップリング:フラスコに無水DMF(0.81mL)中H−Gluc−MMD10(181、9.6mg、8.1μmol)を充填した。mDPR(Boc)−OSu(6、3.4mg、8.9μmol)をN2下で加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.7μL、32μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで反応物を酢酸(5.7μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、5.2mg(44%)の(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(182)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.40min、m/z(ES+)計算値:1449.69(M+H)+、実測値:1449.80。
脱保護:mDPR(Boc)−Gluc−MMD10(182、5.6mg、3.9μmol)を含有するフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.39mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、5.2mg(99%)の(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(183)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.13min、m/z(ES+)計算値:1349.64(M+H)+、実測値:1349.75。
実施例44のためのスキーム17は、カルバメート結合した薬物単位を有する薬物−リンカー化合物を調製するための例示的な反応順序を表している。非4級化薬物単位を含有するこのようなカルバメート薬物−リンカー化合物から入手可能なリガンド薬物コンジュゲートを4級化された形と比較することができ、必要とされる4級化薬物リンカー化合物のその合成は、スキーム16の一般化により提供される。カルバメート薬物−リンカー化合物への適応のため、アルキル置換基は、薬物単位としてのその結合がその官能基の窒素を介してなされるべきである場合、第3級アミン含有薬物の第3級アミン官能基から除去しなければならない。薬物単位にその修飾を有するリガンド薬物コンジュゲートからの遊離薬物の放出は、修飾した薬物を放出することになり、これは、望ましくない可能性がある親薬物と比較して、異なる特性を有することが予想される。
(実施例45)
グルクロニド単位を組み込んだ4級化アウリスタチンFを有する薬物−リンカー化合物の調製
アウリスタチンF C末端の保護:丸底フラスコに、アウリスタチンF184(150mg、201μmol)を充填し、アリルアルコール(10mL)に溶解した。反応物を0℃に冷却し、アリルピロカーボネート(149mg、804μmol)を加え、続いてDMAP(7.3mg、60μmol)を加えた。この反応は、CO2を激しく排出し、15min後に遅くなった。室温で2時間撹拌後、反応物をUPLCで分析し、>90%変換を示した。反応物を真空中で濃縮し、粗原料をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜25%MeOH)で精製した。画分を濃縮乾固することによって、111mg(71%)の(S)−アリル2−((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−2−((S)−2−(ジメチルアミノ)−3−メチルブタンアミド)−N,3−ジメチルブタンアミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパンアミド)−3−フェニルプロパノエート(185)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.1min、m/z(ES+)計算値:786.54(M+H)+、実測値:786.72。
4級化:AF−Oアリル185(111mg、141μmol)を含有する20mLのフラスコに、臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(160mg、197μmol)および乾燥DMF(5mL)を加えた。溶液を65℃で16時間撹拌し、UPLCによれば、この反応は完了した。反応物を乾燥させ、DMSO中に溶解させ、HPLCで精製した。生成物画分を濃縮乾固させて、85mg(40%)の(S)−N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−(アリルオキシ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(186)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.45min、m/z(ES+)計算値:1516.77(M)+、実測値:1517.03。
グリコシドの脱保護:保護されたGlucQ−AF−Oアリル186(85mg、56μmol)を含有する20mLのバイアルに、THF(4mL)およびMeOH(4mL)を加えた。反応物を0℃に冷却し、LiOH溶液(水中18mg/mL)を一度に加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、UPLCによれば反応は完了した。溶媒を真空中で除去し、残渣をDMSO/H2O(1:1)中に溶解させた。HPLC prepに続く凍結乾燥により、42mg(62%)の(S)−N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(187)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.88min、m/z(ES+)計算値:1114.63(M)+、実測値:1114.83。
LSS(mDPR)カップリング:3mLのバイアルに、NH2−GluQ−AF187(42mg、39μmol)および乾燥DMF(1.6mL)を充填した。溶液を撹拌し、mDPR−(Boc)−OPfp68(19mg、42μmol)を加えた。反応物を室温で5分間撹拌し、次いでDIPEA(13μL、77μmol)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、UPLCによれば反応は完了した。粗原料のHPLC prepに続く凍結乾燥により、13mg(24%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(188)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.12min、m/z(ES+)計算値:1380.72(M)+、実測値:1380.87。
LSS(mDPR)−AO−Y(W)−D+の脱保護:Boc−mDPR−GlucQ−AF(13mg、9μmol)を含有する20mLのバイアルを0℃に冷却し、DCM中20%のTFAの溶液(1.0mL)を加えた。反応物を室温までゆっくりと温め、4時間撹拌すると、UPLCによれば反応は完了した。DMSO/H2O中0.1%TFAを反応物に加え、次いでHPLCで精製することによって、1.5mg(33%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(189)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.86min、m/z(ES+)計算値:1280.67(M)+、実測値:1280.80。
実施例45のためのスキーム18および実施例43のためのスキーム16は、スキーム1と共に、一般式Lb’−AO−Y(W)−D+、さらに具体的にはM1−A1−AO−Y(W)−D+(式中、D+は4級化アウリスタチン(すなわち、それぞれドラスタチン10、アウリスタチンE、またはアウリスタチンFである)である)の薬物−リンカー化合物を調製するための代表的経路を提供する。その一般式の他の薬物−リンカー化合物は、特にN末端アミノ酸構成成分の官能基として存在する場合、第3級アミン官能基を有する追加のアウリスタチン化合物を用いて調製する。
(実施例46)
ストレッチャー単位へのC末端結合を有する条件付きで放出可能なチューブリシン薬物単位を有する薬物−リンカー化合物の調製。
チューブリシンM−ヒドラジドを遊離薬物(190)として合成し、スキーム24に示されているようなVal−Cit−PAB−PNP活性化した薬物−リンカー化合物中間体(192)にカップリングした。手短に述べると、ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドでの活性化を介して、チューブリシンM(26)を第3級ブチルカルバゼートにカップリングした。ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸を用いて、標準的条件下で、カップリングした生成物をBOC脱保護して、遊離薬物、チューブリシンM−ヒドラジド(1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−(4−(((2R,4S)−5−ヒドラジニル−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンチルアセテート(190)を生成した。一般式M1−A−W−Y−D(式中、M1はマレイミド部分であり、Aはスペーサー単位としてのアルキレンであり、Wは−W2−W1−であり、W1はシトルリンであり、W2はバリンであり、Yは、ヒドラジド官能基を介してチューブリシン薬物単位に結合している自壊性スペーサー単位としてのPAB部分である)の切断可能なMC−Val−Cit−PABN−D薬物−リンカー化合物を、ヒドラジド窒素と、PNPで活性化した薬物−リンカー化合物中間体4−((S)−2−((S)−2−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4−ニトロフェニル)カーボネート(191)とを、ジイソプロピルエチルアミン、ヒドロキシベンゾトリアゾール、および共溶媒としてのピリジンの存在下で、反応させることによって調製し、薬物−リンカー化合物4−((S)−2−((S)−2−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル2−((2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノイル)ヒドラジンカルボキシレート(192)を、チューブリシンM−ヒドラジド(190)から33%収率で生成した。
薬物−リンカー化合物192から調製したリガンド薬物コンジュゲートの条件付きタンパク質分解は、C末端の残基がそのヒドラジドとして修飾されたままである活性薬物部分として化合物190を放出する。本明細書に記載されているような第4級アミンコンジュゲートは、これらのC末端に遊離カルボン酸官能基を有するチューブリシンを放出する。
(実施例47)
4級化Tub(O−アシル)薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのツブバリン(O−アシル)構成成分の脱アシル化の評価。
2.5μmポリプロピレン96ウェル濾過プレート内で、1mlのPBSを各ウェルに加えた。mAbSelect(商標)タンパク質A樹脂の200μlスラリーを各ウェルに適用し、水性の構成成分を真空除去した。各解凍した血漿試料の20μlのアリコートを樹脂に適用し、4℃で1時間混合した。フロースルーを遠心分離(500g、3分間)によりプレート内に収集し、別の遠心分離を介して、樹脂を200μl[2X]パパイン緩衝剤(40mM KPO4、20mM EDTA、pH7)で洗浄した。
パパイン酵素を、[1X]パパイン緩衝剤(20mM KPO4、10mM EDTA、2mM システイン、pH7)中に2.5mg/mlで溶解し、37℃で15分間インキュベートした。パパインの200μlのアリコートを、樹脂を含む各ウェルに加えた。プレートを密閉し、37℃で2時間インキュベートした。遠心分離(500g、3分間)を介してフロースルーを回収した。樹脂を100μl[1X]パパイン緩衝剤で洗浄し、フロースルーと合わせた。試料をエッペンドルフ管に移し、1000μlの氷冷したMeOHを各管に加え、氷上で15分間インキュベートした。16,000gで5分間、4℃で遠心分離することにより試料を沈殿させ、上清を96ウェルプレートに移した。
各薬物に対して1〜10,000nMの範囲の8ポイント標準曲線を50%MeOH中で調製した。各標準物質の20μLのアリコートを、試料も含有した96ウェルプレートに加えた。300μLアリコートの20mM KPO4、10mM EDTA、2mMシステイン(1Xパパイン緩衝剤)および1000μLのMeOHを各標準ウェルに加えた。プレートを窒素下で蒸発乾燥させた。
プレートを、70μlの20%アセトニトリル+0.1%ギ酸で再構成し、50μLのアリコートを、Quattro Premier三重四重極質量分析計に接続したWaters Acquity LCへ注入した。この質量分析器は、親イオンのMS/MS断片イオンへの転移を測定し、試料および標準物質中の各分析物に対するピーク面積をもたらす。標準ピーク面積を、薬物濃度の関数としてプロットし、試料から測定したピーク面積を、標準曲線により決定された線の方程式を使用して定量した。
(実施例47)
D+部分として4級化チューブリシンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性。
8個のD+単位(D+は4級化チューブリシンMである)を有するLDCを主に含有する、リンパ腫細胞を標的とするLDC組成物を、スキーム5の薬物リンカー化合物30およびモノクローナル抗体cAC10から得た。この主体となるLDCは以下の構造で表される
(式中、AbはcAC10であり、p’は8であり、Sは抗体システイン残基の硫黄原子である)。モノクローナル抗体標的化CD30抗体リガンド単位、ジペプチド切断可能単位および4級化チューブリシンMで構成されるそのLDCの、CD30+リンパ腫細胞株の一団に対する細胞毒性を、cAC10抗体がCD33を標的とする対照抗体(h2H12)で置き換えられている対照コンジュゲートと比較した。cAC10−D+コンジュゲートの細胞毒性は、CD30+細胞へのその細胞内在化、および遊離のチューブリシンMを放出するための、LDCの切断可能単位であるVal−Alaジペプチドのタンパク質分解の切断後に起こる。細胞増殖阻害についてのIC50がng/mLの単位で提供されている表2において、その比較の結果が提供されている。
とりわけ、KM−2、L428、L540cy−BVRおよびDel/BYRは多剤耐性細胞株である。チューブリシンMのMep残基由来のメチル置換基が除去され、生成した第2級アミンが、カルバメートを介して、PAB自壊性部分(バリン−シトルリン(vc)切断可能単位のカテプシン切断により活性化される)に連結されているLDC組成物が調製された。実施例53に記載されているような薬物リンカー化合物172から調製されたそのLDC組成物は、不活性であることが判明し、これは、チューブリシンの細胞毒性活性のための第3級アミンファルマコフォアの重要性を裏付けるものである。
Tup/Tut残基内のカルボン酸部分もまた、コンジュゲーションの代替の部位が使用される場合、修飾に対して不耐性であることが判明した。したがって、そのカルボン酸がヒドラジドに変換して、そのTup残基を介して同じPAB自壊性部分にチューブリシンMを結合(また、カルバメート官能基を介した)させたら、薬物リンカー化合物MC−Val−Cit−PABC−NHNH−Tub M(表3ではvcPABN(ヒドラジド)と略記)から調製したコンジュゲートは、4級化薬物リンカー化合物MC−Val−Ala−PAB4−TubM(vaPAB4と略記)から調製したコンジュゲートと比較して、有意な活性を失ったことが判明した。その結果は、チューブリシンMの細胞毒性のための遊離カルボン酸の重要性を裏付けており(放出された薬物が、その位置でヒドラジドとして修飾されているので)、CD71抗原を標的とするcOKT9コンジュゲートに関して表3に要約されている。表3では、遊離チューブリシンMを放出するcOKT9−vaPAB4(主体となる8の付加数を有する)は、表2のcAC10コンジュゲート(cAC10標的化部分は、置き換えられたcOKT9である)に構造において対応している。表3の6.7のDARを有するcOKT9−vcPABN(ヒドラジド)は、チューブリシンMに対応するカルバメート連結チューブリシン構造体であり、放出されたチューブリシンは、上に記載されているようにTup残基において修飾されている。両方の組成物中の突出したLDCは、1つの抗体当たり結合した8個の薬物(または8個の4級化薬物単位)を有する。
括弧内の値は、用量−応答曲線の底部に残っている生存細胞のパーセンテージを示す。試験したHT−116、L−427、KH−H2、L540cy、MM.1RおよびHL60cy細胞株に対するCD71のコピー数はそれぞれ5K、35K、121K、33K、32Kおよび228Kである。薬物リンカー部分MC−Val−Cit−PABN−TubM(192)を有するcOKT9−ヒドラジドADCを、薬物リンカー化合物MC−Val−Ala−PAB4−TubM(30)から調製したcOKT9 ADCと比較している表3の結果は、実施例64により裏付けられる。
表2および表3の結果は、チューブリシンが、4級化薬物単位としてこのような構造体に組み込まれる場合、強力かつ免疫学的に特異的なリガンド薬物コンジュゲートが得られること、およびこのようなコンジュゲートが多耐性細胞株に対して活性であることを示している。さらに、驚くことに、このコンジュゲートが標的とするCD30+細胞と、CD30抗原を発現しない細胞とを共培養した場合、化合物30から得た4級化コンジュゲートが、CD30抗原を発現しない細胞を死滅させる能力を有することが判明した。したがって、LDC組成物は、L540cy:U268Luc+細胞の共培養物に対して6ng/mLのIC50を示し、0%の生存細胞が用量−応答曲線の底部に残っていた。L540cyはCD30+であり、U266はCD30−である。
(実施例48)
D+部分として4級化アウリスタチンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性
CD30を標的とするモノクローナル抗体cAC10、および4級化アウリスタチンEで構成されるLDCの、CD30+リンパ腫細胞株の一団に対する細胞毒性を、cAC10抗体がCD19を標的とする対照抗体(hBU12)で置き換えられている対照コンジュゲートと比較した。検出可能なCD30+抗原を有さないが、C19抗原を有する対照細胞も使用する。cAC10−D+コンジュゲートの細胞毒性は、CD30+細胞へのその細胞内在化、および遊離アウリスタチンEを放出するための、表4においてvcPAB4−AEと指定されたコンジュゲートに対するLDCの切断可能単位であるVal−Citジペプチドのカテプシン切断、またはgluc4−AEと指定されたcAC10コンジュゲートに対する切断可能単位の切断部位である炭水化物グリコシド結合のグルクロニダーゼ切断後に起こる。同様に、細胞毒性は、類似のhBU12コンジュゲートが関連する抗原の十分なコピー数を有するCD19+細胞内へと内在化する場合、これらのコンジュゲートに対して起こる。それらの比較の結果は表4に提供されており、この中で、細胞増殖阻害についてのIC50が、ng/mLの単位で提供されている。
表4においてvcPAB4−AEと指定されたLDC組成物は、スキーム2の化合物14およびCD30+リンパ腫細胞を標的とするモノクローナル抗体cAC10、またはC19+細胞を標的とするモノクローナル抗体hBU12から得られた。この組成物は、8個のD+単位(D+は4級化アウリスタチンEである)を有するLDCを主に含有する。スクシンイミド環系の制御された加水分解後、その主体となるLDCは、以下の構造で表される:
(式中、cAC10またはhBU12のAb−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβと結合している)。上記構造において示されたM3−Aは、切断可能単位としての機能を果たすVal−Citジペプチドに結合している自己安定化(LS)リンカー部分を表す。
表4においてgluc4−AEと指定されたLDC組成物は、スキーム1の化合物8、およびCD30+リンパ腫細胞を標的とするモノクローナル抗体cAC10、およびC19+細胞を標的とするモノクローナル抗体hBU12から得た(D+は4級化アウリスタチンEである)。スクシンイミド環系の制御された加水分解後、この組成物の主体となるLDCは、以下の構造で表される:
(式中、cAC10またはhBU12のAb−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合している)。上記構造に示されたM3−A1は、AのAoサブユニットに結合している、自己安定化(LS)リンカー部分を表す。
vcPAB4−AEとgluc4−AE組成物の両方は、1つの抗体当たり8個のD+単位を有する(すなわち、p’は8である)LDCを主に含有する。
Karpas299は、CD30+(コピー数238K)であり、低量のCD19を有し(コピー数10K)、L−428はCD30+(コピー数77K)であり、検出可能なC19抗原を有さず、L540cyは、CD30+(コピー数433K)であり、低量のCD19を有する(コピー数23K)。他方では、RamosおよびRLは、検出可能なCD30を有さず、異なるレベルのCD19を有する(それぞれ、32K対18K)。括弧内の値は、用量−応答曲線の底部に残っている生存細胞のパーセンテージを示している。
表4の結果は、第3級アミン含有アウリスタチンが、4級化薬物単位としてこのような構造体内に組み込まれる場合、強力かつ免疫学的に特異的なLDCが得られることを示している。
(実施例49)
遊離薬物としてのチューブリシン(O−エーテル)化合物のin vitroでの細胞毒性。
本方法に記載されているように、細胞を、一般式Tub(O−Et)−OHのチューブリシンエーテル遊離酸化合物(64〜66)で96時間処理し、またはチューブリシンM(26)で処理し、次いで、生存率について評価した。結果は表5において要約され、IC50値がnM濃度の単位で与えられている。
4種すべての試験品は、試験したすべての細胞株に対して極めて強力であった。チューブリシンエチルエーテル化合物Tub(OEt)(62)は、メチル(61)およびプロピル(63)類似体よりもさらに強力な傾向を示した。エチルエーテルおよびチューブリシンM化合物は、MDR+ L428およびHL60/RV細胞株との関連で最大レベルの効力を維持した。
(実施例50)
遊離薬物としてのチューブリシン(O−アシル)化合物のin vitroでの細胞毒性。
本方法に記載されているように、細胞をチューブリシンエステル155〜159(すなわち、Tub(O−エステル)−OH)またはチューブリシンM(26)で96時間処理し、次いで、生存率について評価した。結果は表6において要約され、IC50値がnM濃度で与えられている。チューブリシンエステル155〜158は、チューブリシンMと同等の性能を発揮し、細胞株全体で同様の効力があった。最も立体障害のあるチューブリシンO−アシル化合物(159)はチューブリシンMと比べて、有意に損なわれた効力を示し、チューブリシンMと比べて5〜47倍の範囲の効力損失があった。
(実施例51)
CD30+リンパ腫細胞を標的とする4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位を有する他のリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性
4級化チューブリシンエーテル(すなわち、Tub(O−エーテル化合物)を保持する抗CD30リガンド薬物コンジュゲートを、それぞれが8個の4級化薬物単位/抗体リガンド単位を有し、そして条件付きグルクロニダーゼリンカー単位を有する、対応するチューブリシンMコンジュゲートと比較した。細胞を、cAC10(抗CD30)コンジュゲートで96時間処理し、次いで生存率について評価した。ng/mL濃度の単位で与えられたIC50が表7に示されている。チューブリシンエチルエーテル薬物リンカー79から調製したコンジュゲートは、メチル(78)またはプロピル(80)類似体よりも常にさらに強力であった。L428を除いて、チューブリシンエチルエーテル薬物−リンカー79から調製したコンジュゲートは、チューブリシンM薬物薬物−リンカー104から調製したものと同様の性能を発揮した。すべてのLDCは、CD30陰性のRamos NHL細胞株に対して不活性であり(1000ng/mlにおいて作用なし)、高度の免疫学的特異性を示した。
(実施例52)
CD30+リンパ腫細胞またはCD33+白血病細胞を標的とする4級化チューブリシンM薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性。
チューブリシン第4級アミン薬物リンカー化合物MC−Val−Ala−PAB4−TubM(30)を、それぞれ抗CD30および抗CD33抗体であるキメラのAC10およびヒト化2H12に、抗体1つ当たり8個の4級化薬物単位でコンジュゲートさせた。これらのコンジュゲートを、CD30陽性およびCD33陽性のリンパ腫および急性骨髄性白血病(AML)細胞株の一団についてそれぞれ試験した。CD30陽性細胞株についての結果(単位:ng/mL)が表8に示されている。CD30結合コンジュゲートであるcAC10−30は、すべての細胞株全体にわたり極めて強力であったのに対して、非結合の対照h2H12−30は、この状況において不活性であり、IC50>1000ng/mlであった。
CD33を発現するAML細胞株の一団に対する結果が表9に示されている。CD33結合コンジュゲートであるh2H12−30は、すべての細胞株全体にわたり強力であり、IC50は0.9〜18ng/mlの範囲であった。このコンジュゲートはCD33陰性のL540cyに対して不活性であったことから、このADCに対する高度の免疫学的特異性を示している。
(実施例53)
異なるリンカー単位疎水性を有する4級化チューブリシンM薬物単位を有する、CD30+リンパ腫細胞を標的とするリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性。
4級化チューブリシンMを有するいくつかの親水性リンカー薬物リンカー化合物を調製し、それから由来する、CD30+細胞を標的とするリガンド薬物コンジュゲートを8個の薬物単位/cAC10抗体リガンド単位で、in vitroで評価した。結果は表10に示されている(IC50値はng/mLの単位で与えられている)。データは、遊離チューブリシンMのカテプシン条件付き放出を提供する薬物リンカー113から調製した、より親水性の−Val−Glu−ジペプチドを介して連結しているチューブリシンMを有するコンジュゲート、および遊離チューブリシンMの条件付きグルクロニダーゼ放出を提供する親水性グルクロニド単位を組み込んでいる薬物リンカー104から調製したコンジュゲートは、カテプシン条件付き遊離薬物の放出のための薬物−リンカー32から調製した−Val−Ala−対照コンジュゲートと等しい効力を有することを示している。すべてのコンジュゲートは、高度の免疫学的特異性を示し、抗原陰性のHep3B肝細胞癌細胞に対してIC50>1000ng/mlであった。
(実施例54)
チューブリシン由来の化合物のN末端構成成分を介してリンカー単位に結合している非4級化薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性
本発明以前には、アミン窒素が結合点として使用されることになっている第3級アミン含有薬物へコンジュゲートすることは、この第3級アミンからのアルキル置換基の除去を必要とした。こうして得た第2級アミンは、リンカー単位構成成分で再アルキル化して完全に異なる第3級アミン官能基を提供すること、またはアシル化して第2級アミド官能基を提供することのいずれかを可能にする。両方の手法とも、元の親薬物の放出は不必要である。さらに、放出される活性薬物部分は、親薬物と比較して生物学的活性が損なわれている可能性のある異なる第3級アミン含有化合物もしくはアミド含有化合物であるか、または放出動態が乏しく、そして/もしくは生物学的活性が損なわれている可能性のある第2級アミンである。非4級化薬物単位に対する結合点を得るためにチューブリシンの第3級アミンからアルキル置換基を除去する戦略を適用する効果を判定するため、デス−メチル−チューブリシンMおよびデス−メチル−Tub(OCH3)−OH(170)を、WO2013/085925および実施例42(スキーム15を参照されたい)の手順にそれぞれ従い調製した。化合物170は、デス−メチルチューブリシンMのツブバリン構成成分のアセテートO連結置換基を、O連結エーテル部分−OCH3で置き換えることによりデス−メチル−チューブリシンMと類似するものである。次いで、一般式M1−A−(MCと略記する)(式中、M1はマレイミド部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンである)を有するリンカー単位を、アミド官能基を介してデス−メチル−チューブリシンMおよびデス−メチル−Tub(OCH3)−OHに結合させて、薬物−リンカー化合物166および172をそれぞれ得る。リガンド薬物コンジュゲートに組み込まれる場合、それら2つの化合物の薬物リンカー部分は、リンカー単位部分を保持する(すなわち、アミド含有化合物である)か、またはアミド結合の非特異的切断から生じるデス−メチルチューブリシンMもしくはデスメチル−Tub(OCH3)−OHとして第2級アミンを保持するかのいずれかである活性薬物部分を、条件に依らずに放出する。後者のタイプの放出は遅いことが予想されるので、化合物166および172などの薬物−リンカー化合物は、有効に切断不可能であると特徴付けられる。
抗CD30 cAC10コンジュゲートを、8個の薬物/mAbで、第2級アミン含有チューブリシンから得た薬物−リンカー化合物166および172から調製し、第3級アミン含有チューブリシンであるチューブリシンMおよびチューブリシン(OCH3)−OH(これらは、本発明の第4級アミン戦略を介してコンジュゲートされた)と比較した。結果は、表11(IC50値、単位:ng/mL)に示されているように、チューブリシン薬物単位の非第4級アミン結合を提供するために、第3級アミン含有化合物のN−脱アルキル化という戦略に依存する薬物−リンカー化合物166および172由来のcAC10抗体リガンド薬物コンジュゲートは、親薬物の第3級アミン官能基を保持する遊離薬物を放出する薬物−リンカー化合物104(4°TubM)および78(4°Tub(OCH3)−OH)から調製した第4級アミン連結比較対照物と比較して、リンパ腫細胞株に対して不活性であったことを示している。
(実施例55)
D+部分として4級化アウリスタチンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性。
L540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルを、cAC10を標的化部分として、およびvcPAB4−AEをリンカー−4級化薬物単位として有し、主体となる抗体リガンド薬物コンジュゲートが抗体1つ当たり4個のD+単位を有する(すなわち、p’は4である)表4の組成物を単回投与i.p.することで処置した。このコンジュゲートと、リンカー−薬物構造体がvcPABC−MMAEと指定されている別のcAC10コンジュゲートとの比較を行った(図1)。そのLDCでは、アウリスタチンE(AE)の第3級アミンのメチル置換基を除去することで、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)が得られ、次いでこれは、カルバメートを介したその第2級アミンを介して、同じバリン−シトルリン切断可能単位のカテプシン切断で活性化するPAB自壊性部分にコンジュゲートされている。その比較の結果が図1に示されている。その図の中で、cAC10−Cは、カルバメートcAC10−vcPAB−MMAEコンジュゲートであり、cAC10−14と指定されたcAC10−vcPAB4−AEは、4級化AEコンジュゲートであり、h00−Cはh00−vcPAB−MMAEを指し、h00−14はh00−vcPAB4−AEを指し、h00は、非標的化対照リガンド単位として使用される普遍的非結合抗体である。図1の結果は、CD30+ホジキンリンパ腫細胞を標的とし、遊離第3級アミン含有薬物(AE)を放出するcAC10 4級化AEコンジュゲートのin vitro細胞毒性は、in vivoで、用量依存性形式で変換され、対応する第2級アミン含有薬物(MMAE)が放出されるコンジュゲートよりも優れていることを実証している。L540cy細胞に存在しない(モノクローナルAbはh00である)抗原を標的とする対応するコンジュゲートの投与からの結果は、擬似の処置と同様である。とりわけ、試験したより高い用量(2mg/Kg)において、vcPAB4−AE抗体リガンド薬物コンジュゲートは、腫瘍の完全な除去を引き起こし、実験の残りの期間中にリバウンドは生じなかった。
4級化AE薬物単位およびグルクロニダーゼによる条件付きアウリスタチン薬物放出のためのグルクロニド単位を組み込んだCD30を標的とした抗体リガンド薬物コンジュゲートと、非4級化MMAE薬物単位がカルバメートを介してグルクロニド単位に結合している同様のコンジュゲートとの間でも比較を行った。したがって、この場合も同様にcAC10抗体1つ当たり4個のD+単位を有する主体となるLDCを有する表4の4級化gluc4−AE抗体リガンド薬物コンジュゲート組成物を、対応するgluc−MMAE組成物と比較した。gluc4−AEおよびgluc−MMAEリンカーはまたh00にコンジュゲートし、このh00は、以前に述べた通り、対照LDCを提供する普遍的な非結合タンパク質(したがって、L540cyホジキンリンパ腫細胞に結合しない)である。結果は図2に示されている。その図1において、cAC10−8と指定されたcAC10−glcu4−AEは4級化されたAEコンジュゲートであり、cAC10−Bはカルバメート連結cAC10−gluc−MMEコンジュゲートであり、h00−8と指定されたh00−gluc4−AE、およびh00−Bと指定されたh00−glu−MMAEは、それぞれの対照コンジュゲートである。cAC10−vcPAB4−AEコンジュゲートと同様に、遊離第3級アミンを含有するアウリスタチン(AE)を放出するcAC10−gluc4−AEコンジュゲートでのin vitroの結果は、in vivoで、用量依存形式で変換され、アウリスタチン(MMAE)のデスメチル形を放出する対応するコンジュゲート(cAC10−gluc−MMAE)よりも優れている。さらに、図1および図2は、4級化コンジュゲートのin vivo作用は、免疫学的に特異的であることを示している。
(実施例56)
D+部分として4級化チューブリシン、およびペプチド切断可能単位を有する、リガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性
薬物リンカー化合物32から調製した−Val−Ala−切断可能単位を組み込んでいる第4級アミン−チューブリシンM薬物リンカー部分を有する、cAC10−32と指定されたcAC10抗体リガンド薬物コンジュゲートを、2種のCD30+異種移植片モデル、Karpas299 ALCLおよびL540cyホジキンリンパ腫において評価した。結果は図5および6にそれぞれ示されている。両方の実験では、平均腫瘍容積が100mm3に到達した時点で、腫瘍保持マウスに、試験品の単回投与i.p.を投与した。
Karpas299異種移植片モデル(図5を参照されたい)では、標的とされる、4個の薬物/mAbの抗CD30cAC10コンジュゲートは、0.3mg/kgの投薬後、腫瘍成長の遅延を誘発させたのに対して、より高い用量の1mg/kgは、5匹のマウスのうちの4匹において持続性のある完全な退行をもたらした。対照的に、h00非結合コンジュゲートは、1mg/kg用量では活性を示さなかったので、高度の免疫学的特異性を示している。
同様の結果がL540cy異種移植片モデルにおいて観察された(図6を参照されたい)。6個の薬物/mAbで付加された標的とされる抗CD30コンジュゲートは、0.3mg/kgの用量に続いて腫瘍成長の遅延を誘発させたのに対して、より高い用量である1mg/kgは、4匹のうち3匹のマウスにおいて持続性のある、完全な退行をもたらした。
(実施例57)
グルクロニド単位を介して結合しているD+部分として4級化チューブリシン(O−エーテル)を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性
グルクロニドベースの第4級アミン薬物−リンカーをL540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおいて評価した。薬物リンカー化合物104、79および80から調製した抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)は、グルクロニド単位で結合している4級化チューブリシンMおよび4級化チューブリシンエーテルチューブリシン(O−エチル)およびチューブリシン(O−プロピル)エーテルD+薬物単位をそれぞれ有する。それぞれcAC10−104、cAC10−79およびcAC10−80と指定されたそれらのADCをまた、4級化チューブリシンMをD+として有し、ジペプチド−Val−Ala−を切断可能単位として組み込んでいるcAC10−32と比較した。すべてのコンジュゲートは、ADC PKの作用を最小限に抑えるために4個の薬物/mAbで加えた。平均腫瘍容積が100mm3に到達した時点で、CD30+ L540cy異種移植片を保持するマウスに単回i.p.用量の試験品を0.6または2mg/kg投与した。図9に示されているように、すべてのADCは、30日間を通して有意な腫瘍退縮を示した。0.6mg/kgのcAC10−32という低用量レベルでは、4/5のマウスの腫瘍は、サイズが第36日において増加していた。一方で、0.6mg/kgのcAC10−104を用いた処置後、すべてのマウスにはその時点で完全な腫瘍退縮が生じた。4級化チューブリシンエーテルが示されている薬物リンカー化合物79および80由来の抗体リガンド薬物コンジュゲートについては、実験第36日目で、両方の投薬において完全な腫瘍退縮が観察された。
(実施例58)
グルクロニド単位を介して結合しているD+部分として、代替の4級化アウリスタチンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性
グルクロニド第4級アミン薬物リンカー部分を有する抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)を、抗有糸分裂性ドラスタチン10およびアウリスタチンFの標的化送達について評価し、薬物リンカー化合物177および189からそれぞれ調製した。それらのADCは、図11においてcAC10−177と指定され、図10においてcAC10−189と指定されている。
抗体1つ当たり8個の4級化アウリスタチンF薬物単位の薬物付加数を有するcAC10−189を、単回のi.p.用量0.5mg/kgおよび2mg/Kgで擬似処置した動物と、L540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルとを比較して評価した。同じ実験で、チューブリシンエーテルTub(OCH3)−OHが4級化されている薬物リンカー化合物78から調製した、cAC10−78と指定されたADCもまた試験した。cAC10−78に対して、DARは抗体1つ当たり6個の4級化チューブリシンエーテルであった。両方のコンジュゲートは、グルクロニド単位を組み込んだ同一のリンカー単位に結合している4級化薬物単位を有する。結果が図10に示されている。20日間全体にわたりすべての試験品は、両方の用量レベルで腫瘍退縮を示した。
第4級アミンドラスタチン10をD+として有する抗体リガンド薬物コンジュゲートを、カルバメート官能基を介するようにグルクロニド単位に結合しているモノメチルドラスタチン10と比べて、単回のi.p.用量0.4mg/kgおよび0.8mg/Kgで同じL540cy異種移植片モデルで評価した。グルクロニド単位を有する薬物−リンカー化合物177から調製した4級化ドラスタチン10を有する抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)は、図11においてcAC10−177と指定され、同じグルクロニド単位に結合している非4級化薬物単位を有するADCはcAC10−183と指定されている。これらのそれぞれの非標的化対照h00−177およびh00−183と比較して、両方のADCは、試験した最も低い用量である0.4mg/kgにおいて持続性のある、完全な退行を誘発させ、4/5の治癒であったカルバメート連結モノメチルドラスタチン10(183)と比較して、第4級アミン連結ドラスタチン10(177)は5/5が治癒した。試験した最大用量(0.8mg/kg)において、短い腫瘍成長遅延を示した第4級アミン連結ドラスタチン10と比較して、カルバメート連結ドラスタチン10を保持する非結合h00対照は、一過性の腫瘍退縮を示した。最終的に、両方のADC構造体は、免疫学的特異性を示した。
(実施例59)
リガンド薬物コンジュゲートの中の4級化薬物単位からの遊離第3級アミン含有薬物の細胞内放出。
CD71+であるMDR細胞株を、抗体標的化CD71(cOKT9)および4級化MDR阻害剤(タリキダル(商標))で構成されるLDC(1μg/mL)に曝露する。cOKT9−gluc4−Tと指定されたLDC組成物は、スキーム6の化合物36から得たものであったが、D+が4級化タリキダルである8個のD+単位を有するLDCを主に含有する。組成物の主体となるLDCは、スクシンイミド環系の制御された加水分解後、構造:
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、pは8である)で表される。
リガンド薬物コンジュゲートから放出され、細胞内送達され、保持された薬物濃度が表12に示され、50nMの遊離薬物で細胞を処置したことから生じる細胞内薬物(すなわち、pgp−結合薬物)の量と比較されている。LDC処置では、括弧内の値は、標的とされる細胞から漏出したMDR阻害剤の細胞外濃度であるのに対して、遊離薬物処置に対する括弧内の値は、細胞の外側に留まる遊離薬物の量を表している。
表12の結果は、MDR阻害剤タリキダルがMDR細胞の細胞内に効率的に送達されたことを示している。106個の細胞から放出されたpmol薬物の点から分析した場合、cOKT9−glu4−T組成物は、標的とされる細胞に、その薬物付加物の50〜80%を送達する。
(実施例60)
4級化薬物単位からの酵素的薬物放出の速度
N−アセチルシステイン(NAC)形のカルバメートcAC10−gluc−MMAEコンジュゲートおよび実施例53に記載されている4級化cAC10−gluc4−AEリガンド薬物コンジュゲート(すなわち、cAC10がNACで置き換えられており、対応する構造に対するp’が1である)を、0.5mg/mLまたは1mg/mLのグルクロニダーゼに曝し、グルクロニダーゼが存在しない対照と比較した。図4の結果は、NAC−gluc4−AEコンジュゲートの4級化薬物単位からのAEの放出速度が、NAC−gluc−MMAEコンジュゲートからのMMAE放出速度に匹敵し、酵素濃度に応じて、AEの完全な放出が3.5〜4.5時間以内に生じていることを示している。図4では、NAC−8は、遊離第3級アミン含有薬物(AE)を放出する4級化薬物単位を有するコンジュゲートであり、NAC−Bは、対応するデスメチルアウリスタチン(MMAE)を放出するNAC−gluc−MMAEカルバメートコンジュゲートである。
(実施例61)
4級化アウリスタチン薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのex vivoでの安定性。
マウスおよびラット血漿中でのインキュベーション後の、実施例55のリガンド薬物コンジュゲート組成物cAC10−vcPAB4−AEおよびcAC10−gluc4−AEの統合性損失が図3に示されている。図3では、gluc4−AEコンジュゲートはcAC10−8と指定され、vcPAB4−AEコンジュゲートはcAC10−14と指定されている。結果は、両方のタイプの4級化薬物−リンカー構造体は良好な安定性を有し、遊離第3級アミン含有薬物を時期尚早に放出しないことを示している。4級化チューブリシンおよびコンジュゲート、ならびにN−アセチルシステインが標的化抗体の代わりに存在する、4級化タリキダル(tarquidar)およびフェナジンダイマーコンジュゲートのモデル系もまた同じ実験条件下に曝した。これらの事例でも同様に、遊離薬物の早期放出はなかった。
(実施例62)
4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの安定性。
ADC cAC10−32の標的とされる細胞毒性を研究した、実施例56、図6のL540cy異種移植片実験からの血漿試料をすべてのマウスから投薬の4および10日後(それぞれ実験日第11および17日目)に収集して、チューブリシンM脱アセチル化の程度を評価した。ツブバリンアセテートの損失は、チューブリシンの脱活性化をもたらすことが公知である。例えば、チューブリシンVを形成するチューブリシンUの脱アセチル化は、効力の>100倍損失をもたらした(J. Med. Chem.、2009年、52巻、238〜240頁)。投薬の4および10日後の実施例56のL540cy異種移植片からの血漿試料を処理して、ADCを獲得し、薬物を酵素により放出せ、そして脱アセチル化の程度を質量分析法で定量した。注入の4日後(図7)、コンジュゲートしたチューブリシン薬物弾頭はすべての3つの用量レベルの全体で>40%脱アセチル化されていた。投薬の10日後(図8)、脱アセチル化の程度はすべての用量レベルの全体で>70%であった。これらの発見は、循環しているADCにおいて、時間の関数として、弾頭効力の損失が生じており、おそらくin vivo活性を減衰させることを示唆している。
(実施例63)
薬物単位D+として4級化チューブリシンを有するリガンド薬物コンジュゲートの薬物動態学的(PK)評価。
放射標識した抗体またはADCを使用して薬物動態学的(PK)実験を実施した。以下の手順を使用して、PK試験品に放射標識した。追加の50mMリン酸カリウム(pH8.0)および50mM塩化ナトリウムを補充したPBS中の抗体またはADCの溶液に、抗体またはADC 1mg当たり、55μCi N10スクシンイミジルプロピオネート、[プロピオネート−2,3−3H]−(Moravek Biochemicals、Cat.No.:MT919、80Ci/mmol、1mCi/mL、9:1ヘキサン:酢酸エチル溶液)を加えた。得られた混合物をボルテックスし、室温で2時間静置させた。混合物を4,000gで5分間遠心分離し、下側の水層を除去し、Amicon Ultra−15 Centrifugal Filter Units(Millipore、Cat.No.:UFC903024、30kDa MWCO)中に分割した。非コンジュゲートの放射能を4回の希釈および4,000gでの遠心分離により除去した。生成した生成物を、滅菌した0.22μmUltrafree−MC Centrifugal Filter Units(Millipore、Cat.No.:UFC30GV0S)を介して濾過し、最終の抗体またはADCの濃度を分光光度法で測定した。各生成物の比活性(μCi/mg)を液体シンチレーションカウンティングにより決定した。
非コンジュゲート抗体またはADCの薬物動態特性を、いくつかの実験で試験した。各実験では、動物の体重1kg当たり1mgの放射標識した抗体またはADCを、尾静脈を介して注射した。各試験品を、複製動物において一度投薬した。血液を、伏在静脈を介してまたは末期出血に対しては心穿刺により、様々な時点においてK2EDTA管に引き入れた。10,000gで10分間遠心分離することにより血漿を単離した。各時点からの血漿の10〜20μlの試料を、4mlのEcoscint−A液体シンチレーションカクテル(National Diagnostics)に加え、全放射能を液体シンチレーションカウンティングで測定した。1分間あたりとして得た分解値を、μCiに変換し、放射標識した試験品の比活性を使用して、各時点での血漿中に残っている抗体またはADCの濃度を計算した。
図12は、薬物−リンカー化合物mDPR−Val−Ala−PAB4−TubM(32)および実施例51に記載されている親水性リンカー類似体113から調製したコンジュゲートに対する曝露プロファイルを示している。ヒト化IgGリガンド単位を有するADCおよび−Val−Ala−ジペプチド切断可能単位を有する薬物−リンカー化合物32から調製した4級化チューブリシンMのDAR4(hIgG−32(4)と指定)は、未修飾の抗体のものと同一のクリアランスプロファイルを有した。しかし、8のDARでのADC(hIgG−32(8)と指定)では、ADCはずっと急速に血液循環から排除された。薬物リンカー化合物113から調製した、切断可能単位の中のアラニン残基がグルタメートで置換されているDAR8での対応するADC(hIgG−113(8)と指定)は、曝露の増加をもたらさなかった。hIgG−32(8)の疎水性のジペプチド切断可能単位がさらに極性のグルクロニド単位で置き換えられている、薬物リンカー化合物104から調製したhIgG ADC(hIgG−104(8)と指定)では、クリアランスにおけるわずかな改善が観察された。
図13は、薬物リンカー化合物(80)から調製したグルクロニド第4級アミン連結チューブリシンエーテル化合物Tub(O−Pr)−OHを有するDAR8のh00コンジュゲートに対するPK曝露を含有する。mDPR−gluc4−Tub(OPr)−OH80由来の8コピーの薬物リンカー部分を保持するそのh00抗体リガンド薬物コンジュゲートは、未修飾の抗体よりずっと急速に血液循環から排除された。
図14は、グルクロニド単位および4級化D+薬物単位としのアウリスタチンEまたはドラスタチン10細胞毒で構成される薬物−リンカー部分を有するDAR8のh00抗体リガンド薬物コンジュゲート(h00 ADC)、ならびにびメチル基がAEから除去された非4級化薬物単位カルバメート連結薬物単位およびドラスタチン10を有する同等のコンジュゲート(すなわち、非4級化薬物単位MMAEおよびモノメチル−ドラスタチン10のコンジュゲート)のクリアランス特性を示している。薬物リンカー化合物8から調製したグルクロニド第4級アミン−アウリスタチンE薬物リンカー部分を有するh00 ADCは、7日間全体にわたり未修飾の抗体のものと同一のPK特性を提供した。しかし、非4級化カルバメート連結モノメチルアウリスタチンEを有するh00 ADCコンジュゲート(h00−Bと指定)は、加速されたADCクリアランスを引き起こした。対照的に、薬物リンカー化合物177から調製した4級化ドラスタチン10を有し、h00−177と指定されたh00−ADC、およびカルバメート薬物リンカー化合物183から調製されたカルバメート官能基を介してリンカー単位に結合している非4級化モノメチドラスタチン10を有し、h00−183と指定されたh00−ADCは、裸の抗体よりもさらに急速に排除され、同様の曝露を有していた。
(実施例64)
遊離薬物としてのチューブリシンM−ヒドラジドと、チューブリシンM薬物ヒドラジドとのin vitroでの細胞毒性のin vitroでの比較。
ヒドラジド類似体としてチューブリシンをコンジュゲートさせるためのC末端の戦略が、チューブリシンBに対して以前記載されている(Cancer Res.、2008年、68巻、9839〜9844頁)。この手法は、本明細書に記載されている第4級アミン戦略および実施例54の切断不可能なN末端コンジュゲーション戦略の代替であり、チューブリシンC末端の構成成分の誘導体化を含む(実施例47を参照せよ)。チューブリシンM−ヒドラジド(190)を、一団の細胞株の全体で未修飾チューブリシンM(26)と比べて、遊離薬物としてin vitroで評価した。これらの細胞を96時間処理し、結果が表11に示されている(nM濃度でのIC50値)。
チューブリシンM−ヒドラジドは、試験したすべての細胞株において、親遊離薬物、チューブリシンMよりも常に効力が低かった。ヒドラジド誘導体の効力の損失は、4つの細胞株の全体で4〜25倍の範囲であった。
(実施例63)
4級化Val−Ala−PAB4チューブリシンMと比較した、非4級化Val−Cit−PABNカルバメートヒドラジド薬物リンカー部分としてのチューブリシンMのin vitroでの比較。
Val−Ala第4級アミン−チューブリシンM薬物リンカー化合物MC−vaPAB4−TubM(30)およびカルバメート連結チューブリシンM−ヒドラジド薬物リンカー化合物mDPR−Val−Cit−PABN(192)を、cOKT−9である抗トランスフェリン受容体IgGにコンジュゲートさせた。手短に述べると、cOKT−9を、TCEPで完全に還元して、8つのコンジュゲート可能なシステイン残基を露出させた。生成したチオールを、過剰に加えたマレイミド含有薬物リンカー化合物30および192でアルキル化した。cOKT−9コンジュゲートは、リンカー30および192に対してそれぞれ8個および6.7個の薬物/mAbで付加されていることが判明した。一団のがん細胞株を、生成したコンジュゲートで96時間処理し、生存率について評価した。結果は表1に示されており、IC50がng/ml単位で与えられている。
TubM−ヒドラジド(192)を保持するコンジュゲートは、第4級アミン連結TubM(30)比較対照物よりも効力が有意に低かった。誘導体化したチューブリシンは、ログ1〜3の範囲で親チューブリシンMよりも効力が低かった。
(実施例65)
グルクロニド第4級アミンリンカーを介して連結しているアウリスタチンFのin vitroでの評価。
グルクロニド第4級アミン−アウリスタチンF薬物リンカー化合物189から調製したcOKT9抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)を、記載されているように調製し、8個の薬物/Abにおいて、cOKT−9である抗トランスフェリン受容体抗体にコンジュゲートさせた。生成したADCを、カルバメート−薬物リンカー化合物MC−Val−Cit−PABC−MMAF193から調製した対応するADC(Bioconjugate Chem.、2006年、17巻、114〜124頁)との比較のためにがん細胞株の一団で試験した。結果は表13に示されている。
グルクロニド単位および自己安定LSS前駆体mDPRを有する薬物リンカー化合物189から調製した第4級アミン薬物単位としてアウリスタチンFを有するコンジュゲートは、大部分の細胞株に対して、表14に示されているように(IC50値、単位:ng/mL)、Val−Cit PABカルバメート(vcPABC)−MMAF薬物−リンカー化合物193から調製したADCと同様の細胞毒性を提供する。化合物189とは対照的に、その薬物リンカー化合物は、LSS前駆体を含有しないリンカー単位を有し、ジペプチド切断可能単位で構成される。AML細胞株HL60およびHL60/RVでは、193から得たVal−Cit−PABCカルバメート対照と比べて、観察された効力に穏やかな低減(2〜3倍)があった。
(実施例66)
がん細胞を標的とする4級化フェナジンダイマーリガンド薬物コンジュゲートの細胞毒性。
フェナジンダイマー第4級アミン薬物−リンカー化合物19を、それぞれ抗CD30および抗CD70抗体であるキメラのAC10およびヒト化1F6抗体に、抗体1つ当たり4個の薬物のDARでコンジュゲートさせた。これらのコンジュゲートを、2種のCD30+リンパ腫細胞株、Karpas299およびL540cy、ならびに2種のCD70陽性腎臓胞癌細胞株、786−OおよびCaki−1に対して試験した。データは表16に示されている(IC50値、単位;ng/mL)。
抗CD30結合コンジュゲートであるcAC10−19は、Karpas299 ALCL株に対して強力であったが、その対照であるh1F6−19(CD30抗原を認識しない)は、不活性であった。これは、高度の免疫学的特異性を示している。cAC10−19とh1F6−19コンジュゲートの両方は、CD30+/CD70+L540cy細胞に対して不活性であった。CD30陰性/CD70陽性RCC細胞に対して、CD70抗原−特異的なコンジュゲートであるh1F6−19は、CD70抗原を認識しないその対照コンジュゲートcAC10−19よりも有意に強力であった。
発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用される場合、文脈において特に述べられているか、または黙示されていない限り、本明細書で使用される用語は、以下に定義される意味を有する。例えば、これらの定義において、および本明細書全体にわたり、相互に排他的な要素または選択の余地を含めることによって、特に禁忌を示すまたは黙示されていない限り、「a」および「an」という用語は、1つまたは複数を意味し、「または」という用語は、文脈により可能な場合、および/またはを意味する。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で他のことを明確に指示されていない限り、複数の指示対象を含む。
本発明の開示の様々な位置において、例えば、任意の開示された実施形態では、または特許請求の範囲では、1つまたは複数の特定された構成成分、要素またはステップを「含む」化合物、組成物、または方法について言及がなされている。発明の実施形態はまた、それらの特定された構成成分、要素またはステップであるか、これらからなるか、あるいはこれらから本質的になるような化合物、組成物、組成物または方法を具体的に含む。「〜で構成される」という用語は、「含む」という用語と交換可能なように使用され、同等の用語として述べられている。例えば、構成成分またはステップを「含む」開示された組成物、デバイス、製品または方法は、オープンであり、これらはこれらの組成物または方法プラス追加の構成成分(複数可)またはステップ(複数可)を含むかまたは示す。しかし、これらの用語は、開示された組成物、デバイス、製品または方法の、その意図した目的のための機能性を破壊するような記載されていない要素は包含しない。同様に、構成成分またはステップ「からなる」開示された組成物、デバイス、製品または方法は、クローズドであり、これらは、かなりの量の追加の構成成分(複数可)または追加のステップ(複数可)を有するような組成物または方法を含まない、または示さない。さらに、「含む」という用語ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」および「含まれる」などの他の形態の使用は限定的ではない。最後に、「から本質的になる」という用語は、開示された組成物、デバイス、製品または方法の、その意図した目的のための機能性に対して重大な影響がない、記載されていない要素の包含を認め、さらに本明細書で定義されている。本明細書で使用されるセクションの表題は、単に組織的目的のためのものであり、記載されている対象を限定するものと解釈されてはならない。他に指摘されていない限り、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法および薬理学の従来の方法が利用される。
「約」は、本明細書で使用する場合、化合物または組成物の特定の性質を記載するために提供される数字の値または値の範囲に関連して使用される場合、値または値の範囲が、特定の性質を依然として説明しながら、当業者に妥当であるとみなされる程度まで逸脱し得ることを示している。妥当な偏差は、特定の性質の測定、判定または誘導に使用された装置(複数可)の精度または正確さの範囲内であるものを含む。具体的に、「約」という用語は、この状況において使用される場合、依然として特定の性質を説明しながら、数字の値または値の範囲が、記載された値または値の範囲の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%または0.01%、典型的に10%〜0.5%、より典型的には5%〜1%の分だけ変動し得ることを示している。
「本質的に保持する(essentially retains)」、「本質的に保持する(essentially retaining)」などの用語は、本明細書で使用する場合、これの由来となる別の化合物または組成物または部分の同じ活性、特徴または性質を検出可能な程度に変化させていない、または判定の実験誤差の範囲内である、化合物またはその組成物または部分の性質、特徴または活性を指す。
「ごくわずかに」または「ごくわずかな」は、本明細書で使用する場合、HPLC分析による定量レベル未満の不純物の量であり、存在する場合、これが汚染する組成物の約0.5%〜約0.1w/w%を占める。文脈に応じて、これらの用語はまた、統計学的に有意な差異が測定値もしくは結果の間で観察されていない、またはこれらの値を得るために使用された装置類の実験誤差の範囲内であることも意味し得る。実験的に決定されたパラメーターの値におけるごくわずかな差異は、そのパラメーターにより特徴付けられた不純物が無視できる量で存在することを意味するわけではない。
「実質的に保持する」は、本明細書で使用する場合、これの由来となる別の化合物または組成物または部分の同じ物理的性質の判定は統計的に異なるが、このような差異は、その活性を評価するための適切な生物学的試験システムにおいて、生物学的活性における統計学的に有意な差異であるとは解釈されない(すなわち、生物学的活性は本質的に保持されている)化合物またはその組成物または部分の物理的性質の測定値を指す。したがって、「実質的に保持する」という句は、化合物または組成物の物理的性質が、その性質に明示的に付随する生物学的活性に対して有する作用について言及している。
「主に含有する」、「主に有する」などの用語は、混合物の主成分を指す。混合物が2つの構成成分を有する場合、その主成分は、この混合物の50重量%超を占める。3つまたはそれ超の構成成分を有する混合物では、主要な構成成分は、この混合物中に最も大量に存在するものであり、混合物の質量の大部分を占めても、占めなくてもよい。
「電子求引基」という用語は、誘導的および/または共鳴のどちらかより優位な方を介して(すなわち、官能基または原子は、誘導的に電子求引性であってもよいが、全体的には共鳴を介して電子供与性であってよい)、それが結合している原子から電子密度を引き出し、アニオンまたは電子豊富な部分を安定化させる傾向にある、官能基または電気的陰性原子を指す。電子求引性作用は典型的には、誘導的に、ただし、減衰した形態で、電子求引基(EWG)により電子不足にされた、結合した原子に結合している他の原子に伝達され、したがってさらに離れた反応性中心の求電子性に影響を与える。例示的な電子求引基として、これらに限定されないが、−C(=O)、−CN、−NO2、−CX3、−X、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−C(=O)R、−C(=O)X、−S(=O)2R、−S(=O)2OR、−S(=O)2NHR、−S(=O)2NR2、−P(=O)(OR)2、−P(=O)(CH3)NHR、−NO、および−NR3 +(式中、Xは、−F、−Br、−Cl、または−Iであり、Rは、出現ごとに、独立して、水素およびC1〜6アルキルからなる群から選択される)が挙げられる。例示的なEWGとして、置換に応じて、アリール基(例えば、フェニル)およびある特定のヘテロアリール基(例えば、ピリジン)を挙げることもできる。したがって、「電子求引基」という用語はまた、電子求引基でさらに置換されているアリールまたはヘテロアリールも含む。典型的には、電子求引基は−C(=O)、−CN、−NO2、−CX3、および−X(式中、Xはハロゲンである)である。これらの置換基に応じて、不飽和のアルキル部分もまた電子求引基となり得る。
「電子供与基」という用語は、誘導的および/または共鳴のどちらかより優位な方を介して(すなわち、官能基または原子は共鳴を介して電子供与性であってよいが、全体的には誘導的に電子求引性であってよい)、それが結合している原子の電子密度を増加させ、カチオンまたは電子不足の系を安定化させる傾向にある、官能基または電気的陽性原子を指す。電子供与作用は典型的に、電子供与基(EWG)により電子豊富となった、結合した原子に結合している他の原子に共鳴を介して伝達され、したがって、さらに離れた反応性中心の求核性に影響を与える。例示的電子供与基として、これらに限定されないが−OH、および−NH2が挙げられる。これらの置換基に応じて、アリール、ヘテロアリールまたは不飽和のアルキル部分もまた電子供与基となり得る。
「部分」とは、本明細書で使用する場合、分子または化合物の特定されたセグメント、断片または官能基を意味する。化学部分は、時には、分子、化合物または化学式の中に包埋された、またはこれらに付加した化学成分(すなわち、置換基または可変基)として示される。
所与の範囲の炭素原子により本明細書に記載された任意の置換基または部分に対して、指定された範囲は、任意の個々の数の炭素原子が記載されていることを意味する。したがって、例えば、「任意選択で置換されているC1〜C4アルキル」、「任意選択で置換されているアルケニルC2〜6アルケニル」、「任意選択で置換されているC3〜C8複素環」への言及は、本明細書で定義されるような、1、2、3もしくは4個の炭素の任意選択で置換されているアルキル部分が存在すること、あるいは本明細書で定義されるような複素環または任意選択で置換されているアルケニル部分を含む、2、3、4、5もしくは6個の炭素のアルケニル、または3、4、5、6、7もしくは8個の炭素の部分が存在することを具体的に意味する。すべてのこのような数値的な記号表示は、個々の炭素原子団のすべてを開示することを明示的に意図し、したがって「任意選択で置換されているC1〜C4アルキル」は、置換または非置換に関わらず、これらの位置異性体のすべてを含めた、メチル、エチル、3つの炭素のアルキル、および4つの炭素のアルキルを含む。したがって、アルキル部分が置換されている場合、数値的な記号表示は、非置換のベース部分を指し、そのベース部分の置換基中に存在し得る炭素原子を含むことを意図しない。所与の範囲の炭素原子で特定された、本明細書で定義されるようなエステル、カーボネート、カルバメートおよびウレアについては、指定された範囲はそれぞれの官能基のカルボニル炭素を含む。したがって、C1エステルはギ酸エステルを指し、C2エステルは酢酸エステルを指し、非置換のC1ウレアはNH2(C=O)NH2を指す。
本明細書に記載の有機の置換基、部分および基、ならびに本明細書に記載の他の任意の他の部分については通常、不安定な部分が、本明細書に記載の使用のうちの1つまたは複数のために、十分な化学的安定性を有する化合物を作製するために使用することができる一過性の種である場合を除いて、このような不安定部分を排除することになる。本明細書に提供されている定義を操作することにより、5価の炭素を有するものをもたらすような置換基、部分または基は、特に除外される。
「アルキル」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、メチル、あるいは、直鎖状、第2級、第3級または環状配置で、すなわち、直鎖、分枝、環状配置またはこれらの何らかの組合せで、共有結合により一緒に連結している炭素原子のうちの1個または複数が飽和されている(すなわち、1個または複数のsp3炭素で構成されている)炭素原子の一群を指す。隣接する飽和した炭素原子が環状配置にある場合、このようなアルキル部分は、時には本明細書で定義されるようなシクロアルキルと呼ばれる。飽和アルキル置換基は、飽和した炭素原子(すなわち、sp3炭素)を含有し、芳香族、sp2またはsp炭素原子を含有しない(すなわち、不飽和、芳香族およびヘテロ芳香族部分で置換されていていない)。不飽和のアルキル置換基は、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール部分に関して本明細書に記載されているような部分で置換されているアルキル部分である。
したがって、他に指摘されていない限り、「アルキル」という用語は、1つまたは複数の、シクロアルキル、または不飽和の、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分またはこれらの何らかの組合せで任意選択で置換されている、飽和した非環式の炭化水素基であって、この飽和した炭化水素基は、示された数の共有結合により連結している飽和炭素原子を有するものを示す(例えば、「C1〜C6アルキル」または「C1〜C6アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の隣接する非環式の飽和した炭素原子を含有するアルキル部分または基を意味し、「C1〜C8アルキル」は、1、2、3、4、5、6、7または8個の隣接する飽和した非環式の炭素原子を有するアルキル部分または基を指す)。アルキル部分または基の中の飽和炭素原子の数は、変動してもよく、典型的には1〜50、1〜30または1〜20であり、より典型的には1〜8または1〜6である。典型的には、アルキル置換基は、飽和C1〜C8アルキル部分であるか、またはより典型的には、C1〜C6またはC1〜C4アルキル部分であり、後者は、時には低級アルキルと呼ばれる。炭素原子の数が示されていない場合、アルキル基は1〜8個の炭素原子を有する。
アルキル部分または基をアルキル置換基と呼ぶ場合、それが付随するマーカッシュ構造または別の有機部分へのそのアルキル置換基は、このアルキル置換基のsp3炭素を介してその構造または部分に共有結合により結合している、その隣接する飽和炭素原子の鎖である。したがって、アルキル置換基は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの飽和部分を含有し、シクロアルキル、不飽和アルキル、芳香族またはヘテロ芳香族の部分または基も含有し得る(すなわち、それらで置換され得る)。したがって、アルキル置換基は、1、2、3つまたはそれ超の独立して選択される二重結合、三重結合またはシクロアルキル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分またはこれらの何らかの組合せ、典型的には1つの二重結合、1つの三重結合を追加的に含むことができ(すなわち、1つのアルケニルもしくはアルキニル部分で置換されている)、または1つのシクロアルキル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分で置換されている。
アルキル置換基、部分または基が特定されている場合、種は、親アルカンから水素原子を除去することから誘導されるもの(すなわち、一価である)を含み、メチル、エチル、1−プロピル(n−プロピル)、2−プロピル(イソ−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−ブチル)、2−メチル−1−プロピル(イソ−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(sec−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル、−C(CH3)3)、アミル、イソアミル、sec−アミルならびに他の直鎖、環式および分枝鎖のアルキル部分を含んでもよい。
「アルキレン」とは、本明細書で使用する場合、単独で、または別の用語の一部として、炭素原子のうちの1個または複数が不飽和である(すなわち、1個または複数のsp3炭素で構成される)、述べられている数の炭素原子の、典型的には1〜10個の炭素原子の、親アルカンの同じまたは2個の異なる飽和(すなわち、sp3)炭素原子から2個の水素原子を除去することから誘導される2つのラジカル中心を有する(すなわち、二価である)、飽和した、分枝の、環式のまたは直鎖の炭化水素ジラジカル(置換または非置換)を指す。アルキレン部分は、アルキル基の飽和部分またはラジカル炭素から水素原子が除去されてジラジカルを形成する、本明細書に記載されているようなアルキル基をさらに含む。典型的には、アルキレン部分は、親アルキル部分の飽和炭素原子から水素原子を除去することから誘導される二価の部分、これらに限定されないが:メチレン(−CH2−)、1,2−エチレン(−CH2CH2−)、1,3−プロピレン(−CH2CH2CH2−)、1,4−ブチレン(−CH2CH2CH2CH2−)などのジラジカルを含む。典型的には、アルキレンは、典型的にsp3炭素のみを含有する分枝鎖または直鎖の炭化水素である(すなわち、ラジカル炭素原子にもかかわらず完全に飽和している)。
「シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、単環式、二環式または三環式環系の基であって、環系を形成する原子のそれぞれ(すなわち、骨格の原子)は、炭素原子であり、環式環系の各環の中のこれらの炭素原子のうちの1個または複数は飽和している(すなわち、1個または複数のsp3炭素で構成される)ものである。したがって、シクロアルキルは飽和炭素の環状配置であるが、不飽和の炭素原子(複数可)もまた含有することができ、したがってその炭素環は、飽和または部分的に不飽和であってもよいし、または芳香族環と縮合していてもよく、シクロアルキルおよび芳香族環との縮合点は、シクロアルキル部分または基または置換基の隣接する不飽和炭素および芳香族環の隣接する芳香族炭素である。
特に明記しない限り、シクロアルキル部分、基または置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリールなどに関して記載されている部分で置換されていてもよいし、または別のシクロアルキル部分で置換されていてもよい。シクロアルキル部分、基または置換基として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル(adamantly)または炭素原子のみを有する他の環式部分が挙げられる。シクロアルキルとして、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルがさらに挙げられる。その構造に応じて、シクロアルキル置換基は、シクロアルキル部分または基に対して上に記載されているようなモノラジカルであっても、ジラジカル(すなわち、シクロアルキレン、例えば、これらに限定されないが、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘプタン−1,1−ジイルなど)であってもよい。
シクロアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、シクロアルキルは、シクロアルキル基の炭素環式の環系に含まれる炭素を介して、それが付随するマーカッシュ式(Markush formula)または別の有機部分に結合しているが、ただし、炭素は芳香族炭素ではないものとする。シクロアルキル置換基を含むアルケン部分の不飽和炭素が、それが付随するマーカッシュ式に結合している場合、そのシクロアルキルは、時にはシクロアルケニル置換基と呼ばれる。シクロアルキル置換基の中の炭素原子の数は環系の骨格原子の総数で定義される。その数は変動してもよく、典型的に3〜50、1〜30または1〜20の範囲であり、より典型的には、特に明記しない限り、3〜8または3〜6の範囲であり、例えば、C3〜8シクロアルキルは、3、4、5、6、7または8個の炭素環式炭素原子を含有するシクロアルキル置換基、部分または基を意味し、C3〜6シクロアルキルは、3、4、5または6個の炭素環式炭素原子を含有するシクロアルキル置換基、部分または基を意味する。したがって、シクロアルキル置換基、部分または基は通常、その炭素環式の環系に3、4、5、6、7、8個の炭素原子を有し、エキソもしくはエンドの環二重結合もしくはエンドの環三重結合または両方の組合せを含有してもよく、このエンドの環二重結合もしくは三重結合、または両方の組合せは、4n+2電子の環共役系を形成しない。二環式環系は、1個の(すなわち、スピロ環系)または2個の炭素原子を共有することができ、三環式環系は合計2、3または4個の炭素原子、典型的には2または3個の炭素原子を共有することができる。
「アルケニル」とは、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の二重結合部分(例えば、エンドおよびエキソ二重結合に対して、それぞれ−CH=CH−もしくは=CH2官能基)または1、2、3、4、5もしくは6個もしくはそれ超、典型的には1、2もしくは3個のこのような部分を含み、アルケニル置換基、部分または基がビニル部分(例えば、−CH=CH2官能基)でない限り、ベンゼンなどのアリール部分もしくは基、または連結している直鎖状、第2級、第3級もしくは環式の炭素原子、すなわち、直鎖、分枝、環式のもしくはこれらの任意の組合せで置換されていてもよい、置換基、部分または基を意味する。複数の二重結合を有するアルケニル部分、基または置換基は、1個または複数の間にある飽和炭素原子またはこれらの組合せと隣接して(すなわち、1,3ブタジエニル部分)または隣接せずに配置された二重結合を有することができるが、ただし、二重結合の環式の、隣接する配置は、4n+2電子の環共役系を形成しない(すなわち、芳香族ではない)。
アルケニル部分、基または置換基が特定されている場合、種は、例として、ただしこれらに限定されることなく、メチレン(=CH2)、メチルメチレン(=CH−CH3)、エチルメチレン(=CH−CH2−CH3)、=CH−CH2−CH2−CH3を含む、エキソまたは1つもしくは複数のエンド二重結合と、親アルケン化合物のsp2炭素から水素原子を除去することから誘導される一価の部分とを有する、本明細書に記載のアルキルまたはシクロアルキルの基、部分、または置換基のいずれかを挙げられる。このような一価の部分として、典型的にはビニル(−CH=CH2)、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ならびに少なくとも1つの二重結合を含有する他の直鎖、環式および分枝鎖の全てが炭素含有である部分が挙げられる。アルケニルがマーカッシュ群として使用される(すなわち、置換基である)場合、アルケニルは、アルケニル部分または基の二重結合した炭素(すなわち、sp2炭素)を介してそれが付随するマーカッシュ式または別の有機部分に結合している。アルケニル置換基の中の炭素原子の数は、それをアルケニル置換基と定義するアルケン官能基のsp2炭素原子の数およびこれらsp2炭素のそれぞれに付加している隣接する非芳香族炭素原子の総数により定義される。その数は変動してもよく、二重結合官能基がマーカッシュ構造内のエキソである場合、特に明記しない限り、1〜50の範囲、例えば、典型的には1〜30もしくは1〜20の範囲、さらに典型的には1〜8もしくは1〜6の範囲であってよく、または、二重結合官能基がマーカッシュ構造に対してエンドである場合、その数は変動してもよく、2〜50の範囲、典型的には2〜30または2〜20の範囲、より典型的には2〜8または2〜6の範囲であってよい。例えば、C2〜8アルケニルまたはC2〜8アルケニルは、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有し、このうちの少なくとも2個が、互いに共役しているsp2炭素である、アルケニル部分を意味し、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルケニルは、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有し、このうちの少なくとも2個が互いに共役しているsp2炭素である、アルケニル部分を意味する。典型的には、アルケニル置換基は互いに共役している2つのsp2炭素を有するC2〜C6またはC2〜C4アルケニル部分である。
「アルケニレン」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、アルケニルに関して先に記載されたような1つまたは複数の二重結合部分を含み、二重結合官能基がより大きな部分に対してエキソである場合、述べられている数の炭素原子の、典型的には1〜10個の炭素原子の、または二重結合官能基がアルケニレン部分の中のエンドである場合、2〜10個の炭素原子の、親アルケンの中の二重結合部分の同じまたは2個の異なるsp2炭素原子から2個の水素原子を除去することから誘導される2つのラジカル中心を有する、置換基、部分または基を指す。アルケニレン部分は、アルケニル基の二重結合部分の同じもしくは異なるsp2炭素原子から水素原子が除去されてジラジカルを形成するか、または異なる二重結合した部分からのsp2炭素から水素原子が除去されて別のラジカル炭素を与える、本明細書に記載されているようなアルケニル基をさらに含む。典型的には、アルケニレン部分は、−C=C−または−C=C−X1−C=C−(式中、X1は不在であるか、または本明細書で定義されるようなアルキレンである)の構造を有するジラジカルを含む。
「アルキニル」は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の三重結合部分(すなわち、−C≡C−官能基)、例えば、1、2、3、4、5、6つまたはそれ超、典型的には1または2つの三重結合を含み、1、2、3、4、5、6またはそれ超の二重結合を任意選択で含み(すなわち、アルケニル部分で任意選択で置換されている)、残りの結合(存在する場合)が単結合であり、アルキニル部分がエチニルでない限り、連結している直鎖状、第2級、第3級または環式の炭素原子でさらに構成され得る、すなわち、直鎖、分枝、環式のまたはこれらのいずれかの組合せであってよい、置換基、部分または基を意味する。
アルキニル部分または基が特定されている場合、種は、例として、ただしこれらに限定することなく、1つまたは複数の二重結合を有する本明細書に記載のアルキル部分、基または置換基のいずれか、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソ−ブチニル、3−メチル−2−ブチニル、1−ペンチニル、シクロペンチニル、1−メチル−シクロペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、シクロヘキシニル、ならびに少なくとも1つの三重結合を含有する、他の直鎖、環式のおよび分枝鎖の全てが炭素含有である部分が挙げられる。アルキニルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アルキニルは、アルキニル官能基のsp炭素のうちの1つを介してそれが付随するマーカッシュ式に結合している。アルキニル置換基の中の炭素原子の数は、それをアルキニル置換基と定義するアルキン官能基の2個のsp炭素原子、およびマーカッシュ構造で置換されていていないsp炭素に付加している隣接する非環式の、非芳香族炭素原子の総数により定義される。その数は、変動してもよく、特に明記しない限り、2〜約50の範囲、典型的には2〜30または2〜20の範囲、またはより典型的には2〜8の範囲であってよく、例えば、C2〜8アルキニルは、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有するアルキニル部分を意味する。アルキニル基は典型的には2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有する。
「アルキニレン」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、アルキニルに関して先に記載されたように、1つまたは複数の三重結合部分を含み、述べられている数の炭素原子の、典型的には2〜10個の炭素原子の、親アルキンの中の三重結合部分の2個の異なるsp炭素原子から2個の水素原子を除去することから誘導される2つのラジカル中心を有する置換基、部分または基を指す。アルキニレン部分は、アセチレンまたは2つの三重結合部分の2個のsp炭素原子から2個の水素原子が除去されてジラジカルを形成する、本明細書に記載されているようなアルキニル基をさらに含む。典型的には、アルキニレン部分は、−C≡C−または−C≡C−X−C≡C−(式中、Xは、本明細書で定義されるようなアルキレン、アルケニレンまたはアリーレン部分である)の構造を有するジラジカルを含む。
「芳香族」、「芳香族環系」などの用語は、本明細書で使用する場合、4n+2個のπ電子(式中、nは正の整数である)を含有する、非局在化したπ電子系を有する平面環を指す。芳香族環は、5、6、7、8、9、10、または10超の原子から形成することができる。芳香族は、任意選択で置換されている。「芳香族」という用語は、炭素環式(carboxcylic)アリール(「アリール」、例えば、フェニル)と複素環式アリール(または「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含む。この用語は、単環式または縮合環多環式の(すなわち、隣接する対の炭素原子を共有する環)基を含む。
「アリール」は、ここで使用される場合、環ヘテロ原子を有さない、1、2、3または4〜6つの環、典型的には1〜3つの環を含む、芳香族環系または縮合環系により定義される有機の部分、置換基または基であって、この環が、4n+2個の電子(ヒュッケル則)、典型的には6、10または14個の電子の環共役系に関与している炭素原子のみで構成され、そのうちのいくつかが、ヘテロ原子との環外の共役に追加的に関与してもよい(交差共役(例えば、キノン))ものを意味する。アリール置換基、部分または基は典型的には、6、8、10またはそれ超の芳香族炭素原子で形成される。アリール置換基、部分または基は任意選択で置換されている。例示的なアリールとして、C6〜C10アリール、例えば、フェニルおよびナフタレニルおよびフェナントリルなどが挙げられる。中性アリール部分の芳香族性は偶数の電子を必要とするので、その部分に対する所与の範囲は、奇数の芳香族炭素を有する種を包含しないことを理解されたい。アリールがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アリールは、アリール基の芳香族炭素を介してそれが付随するマーカッシュ式または別の有機部分に結合している。
構造に応じて、アリール基は、モノラジカル(すなわち、一価)であってもジラジカル(すなわち、二価である、本明細書に記載されているようなアリーレン基)であってもよい。
「アリーレン」または「ヘテロアリーレン」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは別の用語の一部として、より大きな部分内に2つの共有結合(すなわち、それは二価である)を形成する、本明細書で定義されるようなアリールまたはヘテロアリールの部分、基または置換基であり、オルト、メタ、またはパラ立体配置または芳香族ジラジカル部分であってよい。例示的アリーレンとして、これらに限定されないが、以下の構造に示されているようなフェニル−1,2−エン、フェニル−1,3−エン、およびフェニル−1,4−エンが挙げられる:
「アリールアルキル」は、本明細書で使用する場合、アリール部分がアルキル部分に結合している置換基、部分または基、すなわち、−アルキル−アリール(アルキルおよびアリール基は上に記載されている通りである)、例えば、−CH2−C6H5または−CH2CH(CH3)−C6H5を意味する。アリールアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アリールアルキルのアルキル部分は、アルキル部分のsp3炭素を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合している。
「アルキルアリール」は、本明細書で使用する場合、アルキル部分がアリール部分に結合している置換基、部分または基、すなわち、−アリール−アルキル(アリールおよびアルキル基は上に記載されている通りである)、例えば、−C6H4−CH3または−C6H4−CH2CH(CH3)を意味する。アルキルアリールがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、アルキルアリールのアリール部分は、アリール部分のsp2炭素を介してそれが付随するマーカッシュ式に結合している。
「任意選択で置換されているアルキル」、「任意選択で置換されているアルケニル」、「任意選択で置換されているアルキニル」、「任意選択で置換されているアルキルアリール」、「任意選択で置換されているアリールアルキル」、「任意選択で置換されている複素環」、「任意選択で置換されているアリール」、「任意選択で置換されているヘテロアリール」、「任意選択で置換されているアルキルヘテロアリール」、「任意選択で置換されているヘテロアリールアルキル」などの用語は、本明細書で定義または開示されているようなアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、または他の置換基、部分または基であって、その置換基、部分もしくは基の水素原子(複数可)が、異なる部分(複数可)もしくは基(複数可)で任意選択で置き換えられているか、またはこれらの置換基、部分もしくは基のうちの1つを構成する脂環式炭素鎖が、その鎖の炭素原子(複数可)が異なる部分(複数可)もしくは基(複数可)で置き換えられることによって分断されているものを指す。
前述の置換基、部分または基のいずれか1つにおいて水素(複数可)を置き換えている任意選択の置換基には、ハロゲン、−CN、−NH2、−OH、−N(CH3)2、アルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、およびアリールスルホンからなる群から独立して選択されるもの、またはハロゲン、−CN、−NH2、−OH、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−C(=O)OH(すなわち、CO2H)、−C(=O)O−アルキル(すなわち、CO2−アルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)2、−S(=O)2NH2、−S(=O)2NH(アルキル)、−S(=O)2N(アルキル)2、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、−S−アルキルおよび−S(=O)2アルキルからなる群から選択されるものが含まれる。
典型的には、前述の置換基、部分または基のいずれか1つにおいて、水素(複数可)を置き換えている任意選択の置換基は、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、フルオロアルコキシ、ならびに一置換、二置換および三置換されたアミノ基を含むアミノ、ならびに保護されたその誘導体からなる群から選択されるか、またはハロゲン、−CN、−NH2、−OH、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−CH3、−CH2CH3、−CF3、−OCH3、および−OCF3からなる群から選択される。典型的には、1つまたは複数のその水素を置き換えることによって任意選択で置換されている前述の置換基、部分または基のいずれか1つは、その水素(複数可)が、前の任意選択の置換基のうちの1もしくは2つで、またはより典型的には、前の任意選択の置換基のうちの1つで置き換えられている。非環式または環式環の系内の飽和脂肪族炭素原子上の任意選択の置換基はオキソ(=O)をさらに含む。フェニルまたは6員のヘテロアリール部分に対して、芳香族またはヘテロ芳香環上に存在する任意の2つの置換基の配置は、オルト(o)、メタ(m)、またはパラ(p)であってよい。
典型的には、非環式炭素鎖の炭素を置き換えている任意選択の置換基は、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、S(=O)2NH−、−NHS(=O)2、−OC(=O)NH−、および−NHC(=O)O−からなる群から選択される。
典型的には、1つまたは複数の脂環式炭素原子を置き換えることによって任意選択で置換されている前述の置換基、部分または基のいずれか1つは、炭素原子(複数可)が、前の任意選択の置換基のうちの1もしくは2つ、またはより典型的には、前の任意選択の置換基のうちの1つで置き換えられている。
「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用する場合、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、またはこれらの縮合した組合せを含む、親の一価の炭素環式部分、置換基または基であって、親炭素環式部分の環内の骨格炭素原子のうちの1つまたは複数(ただしすべてではない)は、可能であれば任意選択で置換されている、N、O、S、Se、B、Si、Pを含むヘテロ原子で独立して置き換えられており、2個またはそれ超のヘテロ原子は、互いに隣接していてもよいし、または同じ環系内の1個もしくは複数の炭素原子、典型的には1〜3個の原子により分離されていてもよいものを意味する。これらのヘテロ原子は典型的にはN、OまたはSを含む。したがって、複素環は、いずれかが炭素環式、アリールまたはヘテロアリール部分と縮合し得、フェニル(すなわち、ベンゾ)縮合したヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール部分を含む、ヘテロ芳香環(またヘテロアリールとしても公知)またはヘテロシクロアルキル環を有するものを含むが、ただし、ヘテロアリール部分がヘテロシクロアルキルまたは炭素環式部分に縮合している場合(すなわち、縮合環系の複素環式部分が一価である場合)、得られる縮合環系はヘテロアリールとして分類され、ヘテロシクロアルキル部分が炭素環式部分に縮合している場合(すなわち、縮合環系の炭素環式部分が一価である場合)、得られる縮合環系はヘテロシクロアルキルとして分類される。
複素環は典型的には、環(複数可)内に合計1〜4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、複素環式部分の中のいずれの1つの環系も、その骨格原子のすべてがヘテロ原子ではないものとし、環(複数可)内の各ヘテロ原子(可能であれば任意選択で置換されている)は、O、SおよびNから独立して選択され、複素環式基は、その単環式または縮合環系内に合計4〜10個の原子を有し、ただし、いずれの1つの環も2個の隣接するOまたはS原子を含有しないことを条件とする。ヘテロシクロアルキルは、これらの環系内に少なくとも3個の原子を有し、ヘテロアリール基は、これらの環系内に少なくとも5個の原子を有する。複素環は、例として、ただしこれらに限定することなく、Paquette, Leo A.;「Principles of Modern Heterocyclic Chemistry」(W. A. Benjamin、New York、1968年)、特に第1、3、4、6、7、および9章、「The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs」(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在まで)、特に13、14、16、19、および28巻ならびにJ. Am. Chem. Soc.、1960年、82巻:5545〜5473頁特に5566〜5573頁)により提供されているような、複素環、および芳香化された複素環であるヘテロアリールが挙げられる。
ヘテロアリールは典型的には、ヘテロアリール環系の環(複数可)内に合計1〜4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、複素環式部分の中のいずれの1つの環系も、その骨格原子のすべてがヘテロ原子(可能であれば任意選択で置換されている)であるわけではなく、0〜1個のO原子または0〜1個のS原子と共に0〜3個のN原子、1〜3個のN原子または0〜3個のN原子を有するが、ただし、少なくとも1個のヘテロ原子が存在するものとする。ヘテロアリールは、単環式または二環式であってよい。ヘテロアリール環の環系は典型的には、1〜9個の炭素を含有する(すなわち、C1〜C9ヘテロアリール)。単環式のヘテロアリールは、C1〜C5ヘテロアリールを含む。単環式ヘテロアリールは、5員または6員の環系を有するものを含む。5員ヘテロアリールは、ヘテロ芳香環系内に1〜4個の炭素原子および必要な数のヘテロ原子を含有するC1〜C4ヘテロアリールである。6員のヘテロアリールは、ヘテロ芳香環系内に1〜5個の炭素原子および必要な数のヘテロ原子を含有する、C1〜C5ヘテロアリールである。5員であるヘテロアリールとして、4、3、2または1個の芳香族ヘテロ原子(複数可)をそれぞれ有するC1、C2、C3およびC4ヘテロアリールが挙げられ、6員であるヘテロアリールとして、4、3、2または1個の芳香族ヘテロ原子(複数可)をそれぞれ有するC2、C3、C4およびC5ヘテロアリールが挙げられる。5員であるC1〜C4ヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または芳香族ヘテロ原子から(可能であれば、以下の親複素環化合物から)電子を除去することにより誘導される一価の部分で例示される:ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール。6員であるC2〜C4ヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または芳香族ヘテロ原子から(可能であれば、以下の親複素環化合物から)電子を除去することにより誘導される一価の部分により例示される:ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、およびトリアジン。二環式ヘテロアリール(すなわち、少なくとも1つがヘテロ芳香族である縮合芳香族環を有するヘテロアリール)は、C6〜C9ヘテロアリールを含む(すなわち、合計6〜9個の芳香族炭素原子および少なくとも1個の芳香族ヘテロ原子を含有するヘテロ芳香族部分)。いくつかの二環式のヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または可能であれば、以下の親6,5−二環式複素環化合物のヘテロ芳香環の芳香族ヘテロ原子から電子を除去することにより誘導される一価の部分により例示される:ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)、ベンゾイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンゾオキサゾール(N1O1)、ベンゾイソオキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S)。他の二環式ヘテロアリールは、芳香族炭素から水素原子を、または(可能であれば、以下の親6,6−二環式複素環化合物のヘテロ芳香環の)芳香族ヘテロ原子から電子を除去することにより誘導される一価の部分により例示される:クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンゾオキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シンノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4)。上記5,6−および6,6−二環式ヘテロ芳香族化合物に対して、括弧内の表現は、縮合芳香族環系のヘテロ原子組成を示す。構造に応じて、ヘテロアリール基はモノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロアリーレン基)であってよい。
より典型的には、ヘテロアリールは、親アリール部分の芳香族環(複数可)の炭素原子のうちの1、2または3個が、可能であれば任意選択で置換されている、N、OおよびSを含むヘテロ原子で置き換えられているアリール部分であるが、ただし、アリール部分の中のいずれの1つの芳香族環系も、そのすべての骨格原子がヘテロ原子で置き換えられているわけではないものとし、より典型的には、酸素(−O−)、硫黄(−S−)窒素(=N−)または−NR−で置き換えられており(式中、Rは、−H、保護基もしくはアルキル、アリールであるか、または環共役系を保持する方式で別の有機部分で置換されている窒素である)、この窒素、硫黄または酸素のヘテロ原子は、環系内の隣接する原子とのπ結合またはヘテロ原子上の孤立電子対のいずれかを介して共役系に関与している。
ヘテロアリールの非限定的例として、ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、プリニル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル(isoindoyl)、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾチオピラン、ベンゾトリアジン、イソオキサゾリル、ピラゾロピリミジニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、トリアゾリルなどが挙げられる。単環式ヘテロアリールとして、例として、ただしこれらに限定することなく、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、およびフラザニルが挙げられる。
ヘテロアリールではない複素環の非限定的例として、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、インドレニル、ピペリジニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、モルホリニルおよびオキサゾリジニルが挙げられる。
典型的には、ヘテロシクロアルキルは、シクロアルキル鎖の1、2または3個の炭素が窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキル基、部分または置換基であり、C2〜C10ヘテロシクロアルキル、より典型的にはC4〜C10ヘテロシクロアルキルである。非限定的なヘテロシクロアルキルは、0〜2個のN原子、0〜2個のO原子または0〜1個のS原子またはこれらの何らかの組合せを含有することができるが、ただし、前記ヘテロ原子のうちの少なくとも1個は、環式の環系内に存在するものとし、ピロリジン−2−オンの場合のように、1つのまたは2つのオキソ(=O)部分で置換されていてもよい。より典型的には、ヘテロシクロアルキルとして、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリニルおよび単糖(monosaccharaides)が挙げられる。
ヘテロシクロアルキルは、例として、これらに限定されないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、ピロリン−2−イル、ピロリン−3−イル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリルおよびキノリジニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、すべての環形態の炭水化物(これらに限定されないが、単糖、二糖およびオリゴ糖を含めて)をさらに含む。
複素環がマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、複素環は、複素環の炭素またはヘテロ原子を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合しており、このような結合は、その炭素またはヘテロ原子の不安定なまたは許可されないような形式的な酸化状態を生じない。C連結している複素環は、炭素原子を介して分子に結合しており、時にはこれは、−C<複素環(C<は複素環内の炭素原子を表す)として記載されている。N連結している複素環は、複素環の窒素に結合している窒素含有複素環であり、時にはこれは−N<複素環(N<は複素環内の窒素原子を表す)として記載されている。したがって、窒素含有複素環は、C連結していても、またはN連結していてもよく、ピロール置換基(ピロール−1−イル(N連結)またはピロール−3−イル(C連結)であってよい)、イミダゾール置換基(イミダゾール−1−イルもしくはイミダゾール−3−イル(両方ともN連結)またはイミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イルもしくはイミダゾール−5−イル(これらすべてがC連結)であってよい)を含む。
「5員の窒素ヘテロアリール」は、その芳香族環系内に少なくとも1個の窒素原子を含有する5員のヘテロ芳香族部分であり、単環式ヘテロアリールであるか、またはアリールもしくは別のヘテロアリール環系に縮合しており、1個または複数の、他の独立して選択されるヘテロ原子、例えば、N、OまたはSなどを含有していてもよい。例示的な5員のヘテロアリールとして、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、インドール、およびイソインドールが挙げられる。
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で使用する場合、ヘテロアリール部分がアルキル部分と結合している置換基、部分または基、すなわち、−アルキル−ヘテロアリール(アルキルおよびヘテロアリール基は上に記載されている通りである)を意味する。ヘテロアリールアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、ヘテロアリールアルキルのアルキル部分は、アルキル部分のsp3炭素を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合している。
「アルキルヘテロアリール」は、本明細書で使用する場合、ヘテロアリール部分がアルキル部分に結合している置換基、部分または基、すなわち、−ヘテロアリール−アルキル(ヘテロアリールおよびアルキル基は上に記載されている通りである)を意味する。ヘテロアリールアルキルがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、ヘテロアリールアルキルのヘテロアリール部分は、アルキル部分のsp2炭素またはヘテロ原子を介して、それが付随するマーカッシュ式に結合している。
「O連結部分」、「O連結置換基」などの用語は、本明細書で使用する場合、基または置換基の酸素原子を直接介して部分に結合している基または置換基を指す。O連結基は、−OH、アセトキシ(すなわち、−OC(=O)CH3)、アシルオキシ(すなわち、−OC(=O)Ra(式中、Raは、−H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているシクロアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリールまたは任意選択で置換されている複素環))などの基を含む一価であってよく、例えば、アリールオキシ(アリール−O−)、フェノキシ(Ph−O−)、ヘテロアリールオキシ(ヘテロアリール−O−)、シリルオキシ、(すなわち、R3SiO−(式中、Rは、独立して、任意選択で置換されているアルキルまたはアリールである))、および−ORPR(式中、RPRは以前に定義されたような保護基である)などの一価の基をさらに含み、またはO連結基は二価、すなわち、=Oまたは−X−(CH2)n−Y−(式中、XおよびYは、独立して、SおよびOであり、nは2〜3であり、XおよびYが結合している炭素と共にスピロ環系を形成する)であってよい。
「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用する場合、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、典型的には−Fまたは−Clである。
「保護基」は、ここで使用される場合、それが連結している原子または官能基の、望ましくない反応への参加能力を阻止するまたは減少させる部分を意味する。原子または官能基に対する典型的な保護基は、Greene(1999年)、「Protective groups in organic synthesis、第3版」、Wiley Interscienceにおいて提供されている。酸素、硫黄および窒素などのヘテロ原子に対する保護基は、求電子性の化合物との望ましくないこれらの反応を最小限に抑えるまたは回避するために時々使用される。またある時には、保護基は、非保護のヘテロ原子の求核性および/または塩基性を減少させるまたは排除するために使用される。保護された酸素の非限定的例は、−ORPR(式中、RPRは、ヒドロキシルに対する保護基である)により与えられ、ヒドロキシルは典型的にはエステル(例えば酢酸エステル、プロピオン酸エステルまたは安息香酸エステル)として保護される。ヒドロキシルに対する他の保護基は、有機金属試薬または他の極めて塩基性の試薬の求核性との干渉を回避し、ヒドロキシルは典型的には、アルキルまたはヘテロシクロアルキルエーテル(例えば、メチルまたはテトラヒドロピラニルエーテル)、アルコキシメチルエーテル(例えば、メトキシメチルまたはエトキシメチルエーテル)、任意選択で置換されているアリールエーテル、およびシリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)および[2−(トリメチルシリル)エトキシ]−メチルシリル(SEM))を含めたエーテルとして保護される。窒素保護基は、−NHRPRまたは−N(RPR)2−(式中、RPRの少なくとも1つが窒素原子保護基であるか、または両方のRPRが一緒になって保護基を構成する)などの第1級または第2級アミンに対するものを含む。
保護基は、分子内の他の箇所で、および所望する場合、新しく形成された分子の精製中に所望の化学転換を生じさせるために必要とされる反応条件下で、望ましくない副反応または保護基の早期の損失を阻止または回避することが可能であり、その新しく形成された分子の構造または立体化学的統合性に悪影響を及ぼさない条件下で除去することができる場合、適切な保護基である。例として、ただしこれらに限定することはないが、適切な保護基は、官能基の保護に対して以前に記述されたものを含み得る。適切な保護基は典型的には、ペプチドカップリング反応に使用される保護基である。
「エステル」は、本明細書で使用する場合、−C(=O)−O−構造(すなわち、エステル官能基)を含有する置換基、部分または基を意味し、この構造の炭素原子は別のヘテロ原子に直接連結しておらず、−Hまたは有機部分の別の炭素原子に直接連結しており、一価の酸素原子が、同じ有機部分に結合して、ラクトンまたは異なる有機部分を提供する。典型的には、エステルは、1〜50個の炭素原子、典型的には1〜20個の炭素原子またはより典型的には1〜8個の炭素原子を含有する有機部分と、0〜10個、典型的には0〜2個の独立して選択されるヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si、ただし、通常O、SおよびN)を含むかまたはこれらから構成され、有機部分が−C(O)−O−構造を介して(すなわち、エステル官能基を介して)結合されている。エステルがマーカッシュ構造の置換基または可変基である場合、その置換基はエステル官能基の一価の酸素原子を介してその構造に結合している。これらの場合、エステル官能基のカルボニル炭素に結合している有機部分は、本明細書に記載の有機基、例えば、C1〜20アルキル部分、C2〜20アルケニル部分、C2〜20アルキニル部分、C6〜C10アリール部分、C4〜8複素環または例えば、1、2、3、4つもしくはそれ超の置換基(各置換基は独立して選択される)を含むこれら有機基のいずれかの置換誘導体のうちの、いずれか1つを含む。例示的なエステルは、例として、ただしこれらに限定されないが、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソプロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステル、イソ吉草酸エステル、カプロン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、フェニル酢酸エステルまたは安息香酸エステルが挙げられる。
「エーテル」は、本明細書で使用する場合、カルボニル部分(複数可)に結合していない1、2、3、4つまたはそれ超の−O−(すなわち、オキシ)部分、通常1または2つの部分を含む有機の部分、基または置換基を意味し、2つの−O−部分が互いに直ちに隣接している(すなわち、直接結合している)ことはない。典型的には、エーテル構造は、式−O−の有機部分で構成されるかまたはこの有機部分からなり、有機部分は、有機部分に関して記載されているように、エステル官能基に結合している。より典型的には、エーテル部分、基または置換基は、−O−有機部分の式を有し、この有機部分は、任意選択で置換されているアルキル基に関して本明細書に記載されている通りである。エーテルがマーカッシュ群(すなわち、エーテル置換基)として使用される場合、エーテル官能基の酸素は、それが付随するマーカッシュ式に結合している。エーテルがマーカッシュ群の置換基として使用される場合、これは時には「アルコキシ」基と命名される。アルコキシとして、C1〜C4エーテル置換基、例えば、例として、これらに限定することなく、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシおよびブトキシが挙げられる。
「アミド」または「カルボキサミド」は、ここで使用される場合、−C(=O)N(R)2またはR−C(=O)N(R)−構造(すなわち、それぞれカルボキサミドまたはアミド官能基)を含有する部分を意味し、他のヘテロ原子はこの構造のカルボニル炭素に直接結合しておらず、独立して選択されるRは、水素、保護基または有機部分であり、この有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、典型的には任意選択で置換されているアルキル基である。典型的には、水素、または有機部分(Rから独立して選択される)は、カルボキサミドまたはアミド官能基に結合しており、この有機部分はまた同様に、有機部分に関して本明細書に記載されているように、エステル官能基に結合している。有機部分と結合した場合、得られる構造は、有機部分−C(=O)N(R)2、またはR−C(=O)N(R)−有機部分で表される。マーカッシュ構造に対してアミドが変数として記載される場合、アミド窒素がその構造に結合している。カルボキサミド置換基に対して、アミド官能基のカルボニル炭素がマーカッシュ構造に結合している。アミドおよびカルボキサミドは、典型的には、酸塩化物などの酸ハロゲン化物と、第1級または第2級アミンを含有する分子とを縮合させることによって調製される。代わりに、多くの場合、カルボン酸含有分子の活性化したエステルを介して進行する、ペプチド合成の技術分野で周知のアミドカップリング反応が使用される。ペプチドカップリング方法を介したアミド結合の例示的な調製が、Benoiton(2006年) Chemistry of peptide synthesis CRC Press、Bodansky「Peptide synthesis: A practical textbook」(1988年)Springer-Verlag;Frinkin,M.ら、「Peptide Synthesis」Ann. Rev. Biochem.(1974年)43巻:419〜443頁において提供されている。活性化したカルボン酸の調製に使用される試薬は、Hanら、「Recent development of peptide coupling agents in organic synthesis」Tet.(2004年)60巻:2447〜2476頁において提供されている。
「カーボネート」は、ここで使用される場合、−O−C(=O)−O−構造(すなわち、カーボネート官能基)を含有する置換基、部分または基を意味する。典型的には、カーボネート基は、ここで使用される場合、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、−O−C(=O)−O−構造を介して結合している有機部分(例えば、有機部分−O−C(=O)−O−)を含むか、またはこの有機部分からなる。カーボネートがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、カーボネート官能基の単結合した酸素原子のうちの1個は、それが付随するマーカッシュ式に結合しており、他方が、エステル官能基に結合している有機部分に関して先に記載されているように、有機部分の炭素原子に結合している。
「カルバメート」または「ウレタン」は、ここで使用される場合、−O−C(=O)N(Ra)−(すなわち、カルバメート官能基)または−O−C(=O)N(Ra)2、−O−C(=O)NH(任意選択で置換されているアルキル)または−O−C(=O)N(任意選択で置換されているアルキル)2(すなわち、例示的なカルバメート置換基)で表される構造を含有する置換基、部分または基を意味し、Raおよび任意選択で置換されているアルキルは、独立して選択され、独立して選択されるRaは、水素、保護基または有機部分であり、この有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、典型的には任意選択で置換されているアルキルである。典型的には、カルバメート基は、本明細書で使用する場合、Raから独立して選択される有機部分を含むかまたはこの有機部分からなり、この有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分に関して本明細書に記載されているように、−O−C(=O)−N(Ra)−構造を介して結合しており、得られる構造は有機部分−O−C(=O)−N(Ra)−、または−O−C(=O)−N(Ra)−有機部分の式を有する。カルバメートがマーカッシュ群(すなわち、置換基)として使用される場合、カルバメート官能基の単結合した酸素(O連結している)または窒素(N連結している)が、それが付随するマーカッシュ式に結合している。カルバメート置換基の連結は、明示的に述べられている(NもしくはO連結している)か、またはこの置換基が参照される文脈において暗示されているかのいずれかである。
「ウレア」は、ここで使用される場合、−N(Ra)−C(=O)N(Ra)−(すなわち、ウレア官能基)で表される、典型的には−NH−C(=O)NH(任意選択で置換されているアルキル)または−NH−C(=O)N(任意選択で置換されているアルキル)2−(すなわち、任意選択で置換されているアルキルは例示的ウレア置換基である)で表される構造を含有する置換基、部分または基を意味し、Raおよび任意選択で置換されているアルキルは、独立して選択され、各Raは、独立して、−H、保護基、またはエステル官能基に結合している有機部分に関して記載されているような有機部分である。有機部分がウレア官能基を介して結合している場合、得られる構造は、有機部分−N(Ra)−C(=O)−N(Ra)−または−N(Ra)−C(=O)−N(Ra)−有機部分で表される。ウレアがマーカッシュ群(すなわち、置換基として)として使用される場合、ウレア官能基の単結合した窒素が、それが付随するマーカッシュ式に結合している一方で、他の単結合した窒素は非置換であるか、または1もしくは2つの、他の独立して選択される有機部分で一置換もしくは二置換されており、その有機部分(複数可)は、エステル官能基エステルに結合している有機部分に関して本明細書に記載されるとおりである。
「抗体」は、本明細書で使用する場合、最も幅広い意味で使用され、インタクトのモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性の抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す抗体断片を具体的に網羅するが、ただし、抗体断片は、薬物−リンカーのために必要な数の結合部位を有するものとする。天然の形態の抗体は、テトラマーであり、各対が1つの軽鎖および1つの重鎖を有する、2つの同一の対のイムノグロブリン鎖からなる。各対において、軽鎖および重鎖の可変領域(VLおよびVH)が一緒になって、抗原への結合の主な原因となる。軽鎖および重鎖の可変ドメインは、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域により分断される枠組み領域からなる。定常領域が、免疫系により認識でき、免疫系と相互作用することができる(例えば、Janewayら、2001年、Immunol. Biology、第5版、Garland Publishing、New Yorkを参照されたい)。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであることができる。抗体は、任意の適切な種から誘導することができる。一部の実施形態では、抗体は、ヒトまたはネズミ起源ものである。抗体は、例えば、ヒト、ヒト化またはキメラであってよい。抗体またはその抗体断片は、本発明のLDCに組み込まれた例示的なリガンド標的化部分である。
一部の態様では、抗体は、過剰増殖細胞または過剰刺激された哺乳動物細胞(すなわち、異常細胞)上のエピトープに選択的および特異的に結合し、エピトープは、正常細胞とは対照的に、異常細胞により優先的に提示されるか、もしくは異常細胞でより特徴的であり、または、異常細胞に局在しない正常細胞とは対照的に、異常細胞の付近の正常細胞により優先的に提示されるか、もしくは異常細胞の付近の正常細胞でより特徴的である。これらの態様では、哺乳動物細胞は典型的にはヒト細胞である。
「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用する場合、実質的に均質な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、微量に存在し得る、起こり得る天然由来の突然変異を除いて、集団をなす個々の抗体は同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原性部位に方向づけられている。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得たものであるという抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の産生が必要とされると解釈されてはならない。
「細胞毒性活性」は、本明細書で使用する場合、薬物、リガンド−薬物コンジュゲート、またはリガンド−薬物コンジュゲートの細胞内代謝物の細胞死滅作用を指す。細胞毒性活性はIC50値として表現され、このIC50値は、細胞の半分が生存する、単位体積当たりの濃度(モルまたは質量)である。
「細胞分裂停止活性」とは、本明細書で使用する場合、薬物、リガンド−薬物コンジュゲート、またはリガンド−薬物コンジュゲートの細胞内代謝物の抗増殖性作用を指し、これは、細胞死滅に依存せず、その作用は、過剰増殖細胞、過剰刺激された免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の細胞分裂の阻害によるものである。
「特異結合」および「特異的に結合する」という用語は、標的化部分としての抗体またはLDC内の抗体が、極めて選択的な方式で、その対応する標的抗原と結合可能であり、多数の他の抗原とは結合可能ではないことを意味する。典型的には、抗体または抗体誘導体は、少なくとも約1×10−7M、および好ましくは10−8M〜10−9M、10−10M、10−11M、または10−12Mの親和性で結合し、既定の抗原とは、密接に関係する抗原に対する結合以外の、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性の少なくとも2倍を超える親和性で結合する。
「リガンド薬物コンジュゲート」または「LDC」は、この用語が本明細書で使用される場合、リンカー単位を介して互いに結合している、標的化部分からのリガンド単位と、第3級アミン含有薬物に構造において対応する4級化第3級アミン含有薬物単位(D+)とで構成される構造体を指し、LDCは、そのリガンド単位を介して標的部分に選択的に結合する。ある場合には、LDCという用語は、各リガンド単位に結合したD+単位の数またはD+単位が結合しているリガンド単位上の位置が主に異なる、複数(すなわち、組成物)の個々のLDC化合物である。他の場合、LDCという用語は、組成物の個々のメンバーに適用される。
「標的化部分」とは、この用語が本明細書で使用される場合、過剰増殖細胞、過剰刺激された免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞が典型的には存在しない正常細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する他の部分と比較して、これらの異常細胞または望ましくない細胞の表面、細胞内、または細胞付近に典型的には存在する標的部分に選択的に結合するLDC中にリガンド単位として組み込まれた部分である。時には、標的部分は、正常細胞、または異常細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、より大きな存在量で、異常細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する。ある場合には、標的化部分は、異常細胞に特徴的なアクセス可能な抗原に特異的に結合する抗体またはこれらの細胞が見出される周辺の環境に特有のアクセス可能な抗原である。他の場合には、標的化部分は、異常細胞または他の望ましくない細胞に特徴的な、またはより大きな存在量で存在する、アクセス可能な受容体と特異的に結合するリガンドであるか、あるいは、異常細胞が見出される周辺環境の細胞に特有のアクセス可能な受容体である。典型的には、標的化部分は、異常または望ましくない哺乳動物細胞の標的部分、より典型的には異常または望ましくないヒト細胞の標的部分に選択的に結合する、本明細書で定義されるような抗体である。
「標的細胞」とは、この用語が本明細書で使用される場合、LDCが、目標とする細胞の増殖または他の望ましくない活性を阻害するためにそれらと相互作用するように設計された、目標とする細胞(すなわち、異常細胞または他の望ましくない細胞)である。ある場合には、標的細胞は、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞であり、これらは、例示的な異常細胞である。典型的には、これらの異常細胞は、哺乳動物細胞であり、より典型的にはヒト細胞である。他の場合には、標的細胞は、異常細胞または望ましくない細胞に接近することによって、近くの細胞に対するLDCの作用が、異常細胞または望ましくない細胞に対して目標とする効果を有するようにする。例えば、近くの細胞は、腫瘍の異常な血管系に特徴的な上皮細胞であってもよい。LDCがこれらの血管系細胞を標的とすることによって、これらの細胞に対する細胞毒性または細胞分裂停止作用が働くことになり、これは、腫瘍の異常細胞への栄養素送達を阻害して、異常細胞に対する細胞毒性もしくは細胞分裂停止の作用を間接的に有し、そして/またはこれらの細胞の付近に活性薬物部分を放出することによって、異常細胞に対して細胞毒性もしくは細胞分裂停止の作用を直接的に有することになる。
「標的部分」とは、この用語が本明細書で使用される場合、標的化部分またはその標的化部分からのリガンド薬物コンジュゲートのリガンド単位により優先的に認識され(すなわち、リガンド単位に選択的に結合される)、標的細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する部分である。時には、標的部分は、抗体による選択的結合のためにアクセス可能な抗原であり、これは、リガンド単位としてLDCに組み込まれている例示的な標的化部分である。これらの場合、このような抗原は、異常細胞もしくは他の望ましくない細胞の表面に存在する、または異常もしくは望ましくない細胞が見出される周辺環境、例えば、腫瘍内の過剰増殖細胞の環境に特徴的な血管系細胞などに特有の細胞の表面に存在する、細胞表面タンパク質である。より典型的には、抗原は、その同族の標的化リガンドとの結合により内在化が可能な異常細胞または他の望ましくない細胞の細胞表面タンパク質である。他の場合には、標的化部分は、標的化部分の結合により内在化され得る、または細胞表面受容体を標的とするLDCの受動的もしくは促進性輸送が可能である細胞外でアクセス可能な細胞膜受容体に対するリガンドである。一部の態様では、標的部分は、異常な哺乳動物細胞またはこのような異常細胞の環境に特徴的な哺乳動物細胞の表面に存在する。
「抗体−薬物コンジュゲート」または「ADC」は、この用語が本明細書で使用される場合、標的化部分が抗体であり、この抗体が典型的には間にあるリンカー単位を介して4級化薬物単位(D+)と共有結合により結合しているLDCを指す。多くの場合この用語は、同じ抗体、薬物単位、およびリンカー単位を有するが、各抗体に対するリンカー−薬物部分の可変の付加数または分布を有する(例えば、複数のこのような構造体の中の任意の2つのADC中のD+の数は同じであるが、これらの部位の標的化部分への結合位置は異なる場合)コンジュゲートの収集物(すなわち、集団または多数のもの)を指す。これらの場合、ADCは、コンジュゲートの平均された薬物付加数により記載されている。本明細書に記載の方法から得たADCは、一般的構造Ab−Lb−Lo−D+を有し、Lb−Loはリンカー単位を規定し、Lbは、時には第1次リンカー(LR)リンカーと呼ばれるリガンド共有結合部分であり(その部分は、ADCのリガンド単位内に存在する必要があるのでこのように命名されている)、Loは、酵素的(例えば、プロテアーゼもしくはグリコシダーゼ)または非酵素的(例えば、還元性もしくは加水分解性の)切断を受けやすい第2次リンカーである。ある場合にはその切断は異常な環境で増強されるか、またはADCの標的化抗体のその同族抗原への結合後のADCの細胞内への内在化の後で起こる。D+は、4級化第3級アミンを含有する薬物単位Dであり、Dは、Loに対するその酵素的または非酵素的作用の結果放出される。
ADC組成物中の抗体、またはそのフラグメント1つ当たりのリガンド単位の平均数(すなわち、その集団内に存在するADCのそれぞれにおけるコンジュゲートされた薬物単位の数またはこれらの位置が異なるADCコンジュゲートの集団に対して平均した数)は、pと表示されるか、またはリンカーが分枝でない場合には、pは薬物−リンカー部分の平均数である。その文脈において、pは約2〜約20の範囲の数であり、典型的には約2、約4、または約8である。他の文脈では、pは、ADCのそれぞれの中のコンジュゲートされたリンカー−薬物単位の数または位置が異なる抗体−薬物コンジュゲートの集団内でADCの単一の抗体と共有結合している薬物単位、またはリンカーが分枝していない場合リンカー薬物単位の数を表し、これはp’と表示される。その内容で、p’は、1〜20、典型的には1〜12、1〜10、およびより典型的には1〜8の範囲の整数である。
コンジュゲーション反応物からの調製物中の1つのリガンド単位当たりの薬物単位の平均数は、従来の手段、例えば、質量分析、ELISAアッセイ、HICおよび/またはHPLCなどにより特徴付けることができる。pという観点からの薬物−リンカー−リガンドコンジュゲートの定量的分布もまた判定し得る。ある場合には、pが、他の薬物付加数を有するリガンド−薬物コンジュゲートからのある特定の値である、同種のリガンド−薬物コンジュゲートの分離、精製、および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段により達成することができる。
「抗原」とは、非コンジュゲート抗体もしくはそのフラグメント、または抗体もしくはそのフラグメントからのリガンド単位を含むADCへの選択的結合が可能な実体である。一部の態様では、抗原は、正常細胞と比較して、異常細胞または他の望ましくない細胞により優先的に提示される、細胞外でアクセス可能な細胞表面タンパク質、糖タンパク質、または炭水化物である。ある場合には、抗原を有する望ましくない細胞は、哺乳動物における過剰増殖細胞である。他の場合には、抗原を有する望ましくない細胞は、哺乳動物における過剰活性化免疫細胞である。他の態様では、特異的に結合した抗原は、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の不在下で正常細胞により典型的に経験される環境とは対照的に、哺乳動物においてこのような異常細胞の特定の環境に存在する。また他の態様では、ADCの選択的結合後に内在化が可能な細胞表面抗原は、過剰増殖するまたは過剰刺激された免疫細胞がこのような異常細胞の不在下で見出される環境に特有である細胞に伴う。抗原は、LDCの例示的な標的とされる部分であり、標的化部分からのそのリガンド単位は、選択的結合を介してその抗原を優先的に認識する抗体である。
ADCに細胞表面がアクセス可能である過剰増殖細胞に伴う抗原は、例として、これらに限定されないが、CD19、CD70、CD30、CD33、NTB−A、αvβ6、およびCD123が挙げられる。
「リガンド共有結合部分の前駆体」は、リンカー単位、またはリンカー単位の調製に使用されるその部分構造の部分であり、LDCの調製中に標的化部分に共有結合することが可能であり、LDCの調製の際にリガンド結合部分前駆体(Lb’)がリガンド共有結合部分(Lb)に変換される。一部の態様では、Lb’部分は、典型的には、抗体もしくはそのフラグメントに対して固有であるか、また化学転換もしくは遺伝子操作により抗体に導入される、求核剤または求電子剤と反応することが可能な官能基を有する。いくつかの態様では、求核剤は、抗体を構成するペプチドのN末端アミノ基、またはリシン残基のエプシロンアミノ基である。他の態様では、求核剤は、遺伝子操作により、または抗体の鎖間ジスルフィドの化学的な還元により導入されるシステイン残基のスルフヒドリル基である。一部の態様では、求電子剤は、抗体の炭水化物部分の選択的酸化により導入されるアルデヒドであるか、または遺伝子操作されたtRNA/tRNA合成酵素対を使用して抗体に導入された非天然アミノ酸由来のケトンである。これらおよび他の方法は、BehrensおよびLiu 「Methods for site-specific drug conjugation to antibodies」mAB(2014年)6巻(1号):46〜53頁により概説されている。
「リガンド共有結合部分」とは、リガンド単位前駆体の中の対応するLb’と標的化部分との反応から誘導される部分である。例えば、Lb’がマレイミド部分で構成される場合、その部分と、標的化部分の反応性スルフヒドリル基の反応は、Lb’を、Lb(チオ置換スクシンイミド部分で構成される)に変換する。別の例では、Lb’が活性化したカルボン酸官能基で構成される場合、その官能基と、標的化部分内のリシンのエプシロンアミノ基との反応は、この官能基をアミド(そのアミドは結合したリガンド単位のLb部分を構成する)へと変換する。他のLb部分およびこれらのLb’含有部分からの変換は、本発明の実施形態に記載されている。ある場合には、標的化部分は二官能性分子で誘導体化することによって、リガンド共有結合前駆体部分と縮合した中間体を提供する。その縮合の結果、このように形成されたLb部分は、二官能性分子およびLb’に帰属され得る原子を有する。
「リンカー単位」は、この用語が本明細書で使用される場合、4級化薬物単位(D+)と、標的化部分からのリガンド単位との間に介入し、共有結合により結合しているリガンド薬物コンジュゲート(LDC)の有機部分を指す。典型的には、リンカー単位(LU)は、リガンド共有結合(Lb)部分またはリガンド共有結合前駆体(Lb’)部分および本明細書に記載されているような第2次リンカー部分で構成される。一部の態様では、リガンド共有結合前駆体はマレイミド(M1)部分を含有する。M1を介した標的化部分の結合は、M1のマレイミド環系へのスルフヒドリル基のマイケル付加により、標的化部分のシステインスルフヒドリル基を介して起こる。その付加の結果、硫黄置換スクシンイミド環系を有するスクシンイミド(M2)部分が得られる。自然にまたは制御された条件下でのその環系のその後の加水分解は、その系が自己安定化リンカー(LSS)部分の一部である場合、コハク酸−アミド(M3)部分をもたらし、これは、さらに本明細書に記載されているような例示的な自己安定化(LS)部分である。また第1次リンカー(LR部分)であるLbまたはLb’に共有結合しているのは、第2次リンカー(Lo)部分であり、これはさらにLDCの中の標的化部分と4級化薬物単位との間に介入し、エーテル、エステル、カーボネート、ウレア、ジスルフィド、アミドまたはカルバメート官能基の仲介を介して、より典型的にはエーテル、アミドまたはカルバメート官能基を介してLRに共有結合している。
使用されているような「第1次リンカー」は、リガンド共有結合部分(Lb)またはリガンド共有結合部分前駆体(Lb’)であり、LDCのリンカー単位の構成成分として、またはLb’含有部分の構成成分、例えば、Lb’−LoもしくはLb’−Lo−D+などとして存在する。Lb’第1次リンカーは、標的化部分の求電子性または求核性官能基と反応することが可能な反応性官能基で構成される。その反応の結果、標的化部分は、Lb’の反応性官能基から誘導された官能基を介して、リガンド単位としてLb第1次リンカーに共有結合する。
「第2次リンカー」部分は、本明細書で使用する場合、第2次リンカー(Lo)が、LbまたはLb’部分と、4級化薬物単位が共有結合により結合されていてもよいリンカー単位の残りの部分との間で、官能基の仲介を介して、LbまたはLb’部分(すなわち、第1次リンカー単位)に共有結合により結合している、リンカー単位内の有機部分を指す。LDCにおいて、第2次リンカーはまた、スペーサー単位を構成するPABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置を介して4級化薬物単位(D+)に共有結合により結合している。スペーサー単位(Y)に加えて、第2次リンカーは、切断可能な(W)で構成され、W、YおよびD+は、直線的または直角のいずれかの関係で配置され、ストレッチャー単位(A)でさらに構成され得る。存在する場合、Aは時にはサブユニットA1で構成され、このサブユニットA1は、Lb’の反応性官能基、またはそれから誘導されるLbの官能基と、第2次リンカーの残りの部分とを相互接続するスキャフォールド部分である。
LDCにおいて、Loは、正常細胞またはこれらの正常な環境と比較して、異常細胞により、または異常細胞の付近で経験される可能性がより高い条件下でのWの切断により、自壊部分の自己破壊が起き、同時にDが放出されるように、切断可能な部分単位(W)に共有結合により結合している自壊部分(SI)を含有するスペーサー単位(Y)で構成される。典型的には、その自己破壊は、本明細書に記載されているようなSI部分の1,6−脱離を介して起こる。これらの場合、SIは、その薬物の第3級アミン窒素の4級化により第3級アミン含有薬物に結合している。
第2次リンカー(Lo)は、D+と結合した場合、典型的には(1)または(2)の構造で表される:
(式中、Aaはストレッチャー単位であり、WwおよびW’w’は切断可能単位であり、Yyはスペーサー単位であり、aは0または1であり、wまたはw’は1であり、yは1である)。aが1の場合、Aaの前の波線は、そのLoサブユニットのLb’またはLb(そのLDCへの組込み後にLb’から生じる)への共有結合を示す。aが0の場合、その波線は、Lb’またはLbの、構造(1)では切断可能単位Wへの共有結合、または構造(2)ではYへの共有結合を示す。
本発明の一部の態様では、構造(1)内のYは、WおよびD+で置換されている、本明細書に記載されているような自壊性(SI)部分で構成されるかまたは自壊性(SI)部分からなる。本発明の他の態様では、構造(2)のYは、第4級アミン窒素を介してD+で置換されている、本明細書に記載されているような自壊部分で構成されるかまたは自壊部分からなり、Wおよびリガンド−Lb−A−またはLb’−A−(式中、Aは、任意選択で存在する(すなわち、AはAが存在する場合、YのSIに結合しているか、またはAが不在の場合、LbもしくはLb’がYのSIに結合している))でさらに置換されている。
典型的には、構造(1)を有する第2次リンカーは、
で表され、構造(2)を有する第2次リンカーは、
で表される(式中、Yは、SIからなり、E、J、V、Z1、Z2、Z3、R’、R8およびR9は、PABまたはPABタイプの自壊性単位に関する実施形態において定義されている通りである)。
「マレイミド部分」は、本明細書で使用する場合、マレイミド環系を有するリガンド共有結合前駆体部分である。マレイミド部分(M1)は、LDC内のリンカー単位に存在することになる、本明細書に記載されているようなチオ置換スクシンイミド(M2)部分を得るための、標的化部分由来のスルフヒドリル基のマイケル付加(すなわち、1,4−共役付加)に参加することが可能である。M1部分は、チオ置換スクシンイミド部分へのその変換前にそのイミド窒素を介して、リンカー単位の残りの部分に結合している。イミド窒素以外には、M1部分は典型的には無置換であるが、そのマレイミド環系の環二重結合において、非対称的に置換されていてもよい。このような置換は、典型的には、マレイミド環系のあまり立体障害のないまたはさらに電子的に欠損した二重結合炭素(さらに優位な寄与に依存する)へのスルフヒドリル基の位置化学的に好ましい付加をもたらす。自己安定化リンカー(LSS)部分内に存在する場合、このような置換されたM1部分から誘導されたチオ置換スクシンイミド部分M2のスクシンイミド環系の制御された加水分解は、M1前駆体中に存在していた置換基(複数可)に起因するM2の2個のカルボニル炭素の反応性における差異により、自己安定化したリンカー(LS)部分内のコハク酸−アミド(M3)部分の位置化学的異性体を提供することが予想される。
「スクシンイミド部分」は、本明細書で使用する場合、ADCにおいてリンカー単位を構成する有機部分であり、マレイミド部分(M1)のマレイミド環系への抗体由来のスルフヒドリル基のマイケル付加から生じる。したがって、スクシンイミド(M2)部分は、チオ置換スクシンイミド環系で構成され、リンカー単位の残りの部分で置換されているそのイミド窒素を有し、M1前駆体上に存在していた置換基(複数可)で任意選択で置換されている。典型的には、Aが存在する場合、イミド窒素は、本明細書に記載されているようなストレッチャー部分(A)またはそのサブユニット(すなわち、A1)に共有結合により結合している。時にはM2−A(またはM2−A1)は、本明細書に記載されているような自己安定化リンカー(LSS)部分を提供する。
「コハク酸−アミド部分」は、本明細書で使用する場合、加水分解により、そのカルボニル−窒素結合のうちの1つが破損されたスクシンイミド部分M2のチオ置換スクシンイミド環系から生じたアミド置換基を有するコハク酸を指す。コハク酸−アミド(M3)部分をもたらす加水分解は、抗体チオ置換基の脱離を介して、このM3部分を有するLDCにおいて、抗体の早期損失を被る可能性が低いリンカー単位を提供する。自己安定化リンカー(LSS)部分の中に存在する場合、このような置換されたM1部分から誘導されたチオ置換スクシンイミド部分M2のスクシンイミド環系の制御された加水分解は、M1前駆体中に存在していた置換基(複数可)に起因するM2の2個のカルボニル炭素の反応性の差異による、M3部分の位置化学的異性体(個々にM3AおよびM3Bと呼ばれる)を提供することが予想される。
「自己安定化リンカー」は、本明細書で使用する場合、自己安定化(LSS)部分で最初は構成されていたLDCが、標的化部分のLDCからの早期損失に対してさらに耐性になるように、制御された条件下で、自己安定化したリンカー部分(LS)へと化学転換し得る、LDCのリンカー単位のLb含有部分、またはその前駆体(すなわち、Lb’含有部分)である。通常、LbまたはLb’部分に加えてLSS部分は、ストレッチャー単位またはそのサブユニットで構成される。LSS、WおよびYを直線的配置で有するいくつかのそのような事例において、LSSは、ストレッチャー単位またはその別のサブユニットを介して切断可能単位(W)に共有結合により結合している。LSS−Yに対して直角のWを有するような他の事例において、LSSはストレッチャー単位またはその別のサブユニットを介してYに共有結合により結合している。しかし、時には間にあるAは存在せず、LSS、WおよびYリンカー構成成分の相対配置に応じて、LSSは、WまたはYに直接共有結合により結合している。一部の態様では、LSSは、LDCへのその組込み前に、マレイミド(M1)部分をLb’部分(標的化部分はこれを介して結合することになっている)として含有し、そしてストレッチャー単位(A)またはそのサブユニット(すなわち、A1)を含有し、これはM1−AまたはM1−A1の式で表される。LDCへの組込み後(すなわち、マイケル付加を介した、標的化部分のマレイミド部分への結合後)、LSSのM1−A(またはM1−A1)部分は、その対応するチオ置換スクシンイミド部分M2−A(またはM2−A1)に変換される。通常、LSSはまた、M2またはそのM1前駆体に結合しているストレッチャー単位の置換基として、本明細書に記載されているような塩基性単位(BU)で構成される。これらの態様では、BUは、M2のスクシンイミド部分の、その対応する開環形態M3への加水分解[すなわち、M2−A(BU)−またはM2−A1(BU)−は、M3−A(BU)またはM3−A1(BU)に変換される]を補助する。
「自己安定化リンカー」は、典型的には制御された条件下で加水分解を受けたLDCのLSS部分から誘導される有機部分であり(両方ともLb含有部分である)、元のLb含有部分を提供したLb’含有部分との、標的化部分の縮合反応を逆転する可能性が低い新規Lb含有部分を提供する。通常、自己安定化リンカー(LS)は、スクシンイミド部分(M2)(スクシンイミド部分(M2)は、標的化部分のスルフヒドリル基の、M1のマレイミド環系へのマイケル付加から生成したチオ置換スクシンイミド環系を有する)の、そのM2由来の部分が、M2中の対応する置換基と比較して、そのチオ置換基の脱離に対して減少した反応性を有する別の部分への変換から得た部分に、共有結合により結合しているストレッチャー単位またはそのサブユニットで構成される。これらの態様では、M2由来の部分は、M2に対応する(M2は、そのスクシンイミド環系のそのカルボニル−窒素結合のうちの1つの加水分解を受けている)コハク酸−アミド(M3)部分の構造を有する。その加水分解は、自然に起こり得るか、またはより典型的には、M2に結合しているストレッチャー単位に共有結合により結合しており、その結合の結果として、カルボニル−窒素の断裂を補助するために適当に近接しているBUの塩基性官能基により触媒される。したがって、その加水分解の生成物は、カルボン酸官能基、および上述のストレッチャー単位の構造によりそのアミド窒素(M2含有LSS前駆体中のイミド窒素に対応する)において置換されているアミド官能基を有する。典型的には、その塩基性の官能基は、塩基−触媒される加水分解に対するその反応性がpHで制御されるアミノ基である。したがって、自己安定化リンカー(LS)は、典型的には、スキャフォールド単位またはそのサブユニットに共有結合し、ひいては第2次リンカーLo(Lo’)の残りの部分に直線的配置で共有結合しているM3構造を有し、塩基性単位は、Loに対して直角のM3結合したストレッチャー単位に共有結合により結合している。M3、A、BUおよびLoが示された方式で配置されたLSは、M3−A(BU)−Lo’またはM3−A1(BU)−Lo’の式で表される。
加水分解後、生成した自己安定化リンカー(LS)は、典型的には、BU置換されたストレッチャー単位に共有結合したM3の構造(M3−A(Bu)−またはM3A1(BU)−)を有する。そのストレッチャー単位は、ひいてはLo(Lo’)の残りの部分に直線的配置で共有結合しており、塩基性単位は、M3および他のLo構成成分単位に対して直角に配置されている。M2またはM3、A(BU)[またはA1(BU)]およびLo ’が示された方式で配置されているLSSおよびLS部分の例示的構造が、限定ではなく、例として示されている:
(式中、示されたCH(CH2NH2)C(=O)部分は、M2またはM3のアミド窒素のイミドに共有結合しているストレッチャー単位、またはそのサブユニットの構造であり、−CH2NH2部分はそのストレッチャー単位のBU置換基である)。構造の残りの部分は、スクシンイミド部分M2、またはM2のスクシンイミド環加水分解からのコハク酸−アミド部分M3を表し、これらは、イミドまたは対応するアミド窒素においてストレッチャー単位のsp3−炭素で置換されている。波線は、その基のM1のマレイミド環系へのマイケル付加から生成した標的化部分由来のスルフヒドリル基の結合を示す。M2のスクシンイミド環系は、その標的化部分由来のチオ置換基により非対称的に置換されているので、遊離したカルボン酸基に対して位置が異なる、本明細書で定義されるようなコハク酸−アミド(M3)部分の位置化学異性体が、典型的にはM2加水分解から生じることになる。上記構造において、示されたストレッチャー単位のカルボニルは、このような単位の構造に組み込まれている、本明細書で定義されるような加水分解促進剤(HE)を例証している。
M3−A(BU)は、これらの構造は、LSS部分の対応するM2−A(BU)構造と比較して、標的化部分のチオ置換基を脱離させる可能性が低く、したがって、その部分の損失を引き起こす可能性が低いので、自己安定化リンカー(LS)部分の例示的構造を表している。その増加した安定性は、M2と比較して、M3のより大きな立体配座柔軟性から生じ、これによって、E2脱離のために好ましい構造にチオ置換基が抑圧されることはもはやない。
「塩基性単位」とは、本明細書で使用する場合、LSSを含むM2部分内でスクシンイミド環系の塩基補助された加水分解へ参加することによって(すなわち、水分子の、スクシンイミドのカルボニル−窒素結合のうちの1つへの水添加を触媒する)対応するLS部分へと移行することができ、LSSに結合している標的化部分により耐容性がある制御された条件下で開始することができる、本明細書に記載されているような自己安定化リンカー(LSS)部分内の有機部分である。その目的のため、塩基性単位(BU)の塩基性官能基およびそのM2構成成分に対するLSSにおけるその相対位置は、その求電子性、したがって水攻撃に対するその感受性を有効に増加させる、M2のカルボニル基へ水素結合するその能力により選択される。代わりに、BUの塩基性官能基への水素結合によりその求核性が増加する水分子が、M2カルボニル基に方向づけられるように、これらの変数が選択される。典型的には、いずれかの機序を介して作用するBUは、それが結合しているLSS部分へ、その塩基性アミノ基を連結する1〜6個の隣接する炭素原子で構成される。水素結合によりM2カルボニルの求電子性を増加させるために、BUは、その塩基性官能基として第1級または第2級アミンを有することが必要とされるが、一方で、上に記載されている方式で水求核性を増加することは、第1級、第2級または第3級アミンを塩基性官能基として用いて行うことができる。いずれかの機序による、スクシンイミド部分M2のその対応する開環カルボン酸アミドM3への加水分解を補助するために必要なだけ、塩基性アミンが近接するためには、アミンを保持するBUの炭素鎖は、典型的には、M2のスクシンイミド窒素(したがって、その対応するM1−AまたはM1−A1構造のマレイミド窒素)へのA(またはA1)の結合点に対して、その部分のアルファ炭素において、LSSのストレッチャー部分に結合している。典型的には、そのアルファ炭素は(S)立体化学的配置を有する。
「加水分解促進剤単位」は、本明細書で使用する場合、LSS部分を構成するストレッチャー単位の任意選択の置換基である電子求引基または部分である。存在する場合、加水分解促進剤単位(HE)は通常、その電子求引性作用が、M2部分内のスクシンイミドのカルボニル基の求電子性を増加させるように、このM2部分のイミド窒素に結合したストレッチャー単位に組み込まれる。ストレッチャー単位がBU置換基をも有する場合、カルボニル基に対するHEの作用は、BUの作用(BU塩基性官能基の塩基性およびそのようなカルボニルに対するその官能基の距離に依存)と連結して、バランスがとれているので、M1−A(BU)−の構造を有するLSS前駆体からのLDCの調製中にM1もしくはM2のM3への早期加水分解が起こらず、またはごくわずかとなるが、結合した標的化部分により耐容できる制御された条件下での(pHが故意に増加される場合など)加水分解(すなわち、LDC含有−M2−A(BU)−部分のその対応する−M3−A(BU)−部分への変換)を可能にする。典型的には、HE単位は、ストレッチャー単位の、M2、またはそれから由来するM3に結合している末端から遠くに位置する、カルボニル部分(すなわち、ケトンもしくは−C(=O)−)またはカルボニル含有官能基であり、また第2次リンカーの残りの部分にこのストレッチャー単位を共有結合により結合させている。ケトン以外のカルボニル含有官能基として、エステル、カルバメート、カーボネートおよびウレアが挙げられる。HEがケトン以外のカルボニル含有官能基である場合、その官能基のカルボニル部分は、典型的にはAに結合している。BU置換基が存在しないような一部の態様では、HE単位は、ストレッチャー単位内で、このストレッチャー単位が共有結合したイミド窒素から十分に離れていてもよく、これによって、M2含有部分のスクシンイミドのカルボニル−窒素結合の加水分解性感度に対する識別できる作用は観察されない。
「ストレッチャー単位」とは、この用語が本明細書で使用される場合、ストレッチャー単位の遠くにある、リンカー単位の他の間にある構成成分、例えば、切断可能単位および/またはスペーサー単位などから標的化部分を物理的に分離する、第2次リンカー内の有機部分を指す。ストレッチャー単位は通常、LDCのLb部分が、D+に組み込んだ第3級アミン含有薬物の放出を可能とするような、Wにおけるリンカー単位のプロセシングを可能にする程十分な立体的軽減を提供しない場合に必要とされる。ストレッチャー単位(A)は、本明細書に記載されているような1つまたは複数のストレッチャー基またはサブユニットを含むことができる。LDCへの組込み前に、Aは、Lb’をある特定のリンカー構造体内の切断可能単位(W)(A、WおよびYが直線的配置にある場合など)または他のリンカー構造体内のスペーサー単位(Y)(WがA−Yに対して直角の場合など)に共有結合させることが可能な官能基を有する。本発明の一部の態様では、ストレッチャー単位は、例えば、Aがデンドリマーまたは他の多官能性の分枝構造を表す場合などのように1つより多くの切断可能単位、スペーサー単位、および/または薬物単位に結合することが可能である。本発明の一部の態様では、第2次リンカーは、そのストレッチャーサブユニットのうちの1つを介してLbまたはLb’部分に結合している一方で、別のまたはそのサブユニットは、第2次リンカーの残りの部分に共有結合している。
ストレッチャー単位(A)は、LDC内に存在する場合、リガンド共有結合部分またはリガンド共有結合部分前駆体および別の第2次リンカー単位に共有結合により結合している有機部分であり、2、3つまたはそれ超のサブユニットを含んでもこれらのサブユニットからなってもよい。典型的には、Aは1つの識別できる単位であるか、またはA1およびAoと呼ばれる2つの異なるサブユニットを有する。Aが2つのサブユニットを有するような態様では、−A1−A2−は、時には−A1−AO−と称されるので、−Aa−Ww−Yy−またはAa−Yy(Ww)−およびAaなどの部分で構成される薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートにおいて、下付き文字aは2である。ストレッチャー単位内の隣接する原子の数は、共有結合のリガンド結合部分、ストレッチャー単位および切断可能単位で構成されるLDCのWの遊離第3級アミン含有薬物の放出(異常細胞内またはこの部位でのプロセシングから生成される)を妨げる、リガンド共有結合部分で対処されていないリガンド部分からの立体干渉を緩和するように選択される。典型的には、ストレッチャー単位またはそのサブユニットは、リガンド共有結合部分またはリガンド共有結合部分前駆体と、ストレッチャー単位Aを、第2次リンカーの切断可能単位(W)もしくはスペーサー単位(Y)に、またはAの別のサブユニットに共有結合により結合させる官能基との間にある1〜6個の隣接する炭素原子を有する。一部の態様ではその官能基はまた、加水分解促進(HE)単位としての役目も果たし得る。
「分枝単位」は、本明細書で使用する場合、ストレッチャー単位(A)の任意選択のサブユニットである三官能性有機部分を指す。時には、AのサブユニットであるA1またはAOは、分枝単位として作用し、またある時には、この分枝単位はAの追加のサブユニットである。A1AOおよびBがAのサブユニットとして存在する場合、Bは、リガンド共有結合部分(Lb)またはその前駆体Lb’の近位のサブユニット(すなわち、−A1−AO−の前にある)であっても、Aの遠位のサブユニット(すなわち、−A1−AO−の後にある)であってもよい。分枝単位は、第2次リンカー単位(LO)に組み込まれるために、またはLoを第1次リンカー単位(LR)に連結するため、および可溶化単位(S)がリンカー単位(LU)の構成成分として存在する場合、この可溶化単位へ追加的に連結するために、三官能性である。Aが、1つのサブユニットが分枝単位である2つのサブユニットを有するような態様では、−Aa−Ww−Yy−またはAa−Yy(Ww)−などの部分で構成される薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートの中で下付き文字aは2であり、これらの場合では−A1−A2−としてのAaは、時には−A−B−または−B−A−と称される。Aが、1つのサブユニットが分枝単位である3または2つのサブユニットを有するような態様では、−Aa−Ww−Yy−またはAa−Yy(Ww)−などの部分で構成される薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートの中で下付き文字aは3であり、これらの場合では、−A1−A2−A3−としてのAaは、薬物リンカーまたはリガンド薬物コンジュゲートのリンカー単位中でのA1、AOおよびBの相対的順序付けに応じて、時には−A1−B−AOもしくは−B−A1−AO−または−A1−AO−B−と称される。
一部の態様では、官能化した側鎖を有する天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸または他のアミン含有酸化合物は、分枝単位としての機能を果たす。典型的には、分枝単位(B)および可溶化単位(S)がリンカー単位の構成成分である場合、Bの官能化した側鎖は、LUの残りの部分にSを連結している。Bに対する例示的構造は、Aの他のサブユニット(例えば、A1、AO)に関して本明細書で記載されたものであるが、ただし、この構造は、必要とされる上述の三官能性を有するものとする。一部の態様ではBは、エプシロン−アミノ、ガンマ−カルボン酸もしくはベータ−カルボン酸官能基がそれぞれ、可溶化単位をLUの残りの部分に連結しているL立体配置またはD立体配置のリシン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸部分である。
「可溶化単位」は、本明細書で使用する場合、親水性である有機部分を指す。可溶化単位(S)は、存在する場合、分枝単位に共有結合により結合しており、薬物単位の疎水性が、そのリガンド薬物コンジュゲート(LDC)の薬物平均付加数を限定してしまう場合、薬物単位の疎水性に対して、少なくとも部分的に、反作用する働きをする。疎水性薬物のコンジュゲーションにおけるその限定は、典型的には、ADC組成物中の個々のADC化合物の疎水性媒介性凝集から生じる。適当な可溶化剤の組込みは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した場合、可溶化単位を欠いている適当な対照ADCと比較して、凝集体種の検出可能な減少をもたらす。
「切断可能単位」は、定義されている通り、その部位に対する反応性が、正常細胞と比較して、過剰増殖細胞または過剰刺激された免疫細胞(すなわち、異常細胞)内またはその周辺でより大きく、よって、その部位での作用が、異常細胞の、第3級アミン含有薬物への優先的な曝露をもたらすような反応部位を提供する。その曝露は、その切断可能単位を有するLDCからの遊離薬物の最終的放出から生じる。本発明の一部の態様では、Wは、活性または存在量が、過剰増殖する、免疫刺激するまたは他の異常細胞もしくは望ましくない細胞内で、または周辺でより大きいような酵素により切断可能な反応部位で構成される(すなわち、Wは、酵素基質で構成される)。他の態様では、Wは、異常細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、標的部位の異常細胞内、または周辺の環境で動作可能である可能性がより高い他の機序(すなわち、非酵素的)により切断可能な反応部位で構成される。本発明のまた他の態様では、LDCの異常細胞への細胞内在化の後で、反応部位が作動する可能性が高くなる。異常細胞または望ましくない細胞の細胞膜上でLDCの標的化部分により認識される、標的とされる部分がより多くあるので、その内在化は、正常細胞と比較して、これらの細胞において発生する可能性がより高い。したがって、標的細胞は、そのLDCから遊離した活性薬物部分に細胞内で曝露される可能性が高い。切断可能単位は、標的部位のこれらの条件下で切断を受けやすい1つまたは複数の部位を含むことができるが、典型的にはこのような部位を1つのみ有する。
本発明の一部の態様では、切断可能単位は、標的とする細胞の細胞内に位置する調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼに対する基質(すなわち、Wの反応部位は、調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼにより切断可能なペプチド結合またはグリコシド結合である)であり、ペプチドまたはグリコシド結合は、血清のプロテアーゼ、ヒドロラーゼ、またはグリコシダーゼと比較して、調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、この調節性のプロテアーゼ、ヒドロラーゼもしくはグリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞により、より多量に排出されるプロテアーゼ、ヒドロラーゼもしくはグリコシダーゼにより選択的切断が可能である。代わりに、Wは、LDCに組み込まれた際に、LDCが異常細胞に優先的に内在化される場合にはリゾチームの酸性の環境により、または異常細胞が通常存在しない正常細胞の環境と比較して、これらの細胞内もしくは周りのより還元性の環境により影響を受けやすい官能基であって、遊離第3級アミン含有薬物の放出により、正常細胞と比較して異常細胞がその薬物に優先的に曝露されるような官能基を提供する。
切断可能単位(W)は、LDCへのその組込み前に、スペーサー単位(Y)に連結可能である。LDCへの組込み後、Wは、過剰増殖細胞もしくは過剰活性化免疫細胞内に存在するか、またはこれらの異常細胞もしくは望ましくない細胞の直近の環境に特徴的な酵素による作用によるか、あるいは正常細胞と比較して、過剰増殖細胞が経験する可能性がより高い条件による非酵素的作用によって、遊離第3級アミン含有薬物を放出する、切断可能な結合(すなわち、反応部位)を提供する。代わりに、Wは、正常細胞と比較して、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞への優先的な侵入によりこのような細胞の細胞内で作用する可能性がより高い切断可能な結合を提供する。典型的には、ADC中のWは、Wに対する酵素的作用により、Y−D+内の自壊部分の自己破壊が引き起こされ、遊離Dが放出されるように、自壊部分で構成されるかまたは自壊部分からなるスペーサー単位(Y)に共有結合により結合している。
切断可能な結合を提供する官能基は、例として、ただしこれらに限定されないが、以下が挙げられる(a)正常細胞と比較して、異常細胞のより還元性の条件、またはこのような細胞により経験される低酸素条件下で生成される過剰のグルタチオンの影響を受けやすいジスルフィド結合を形成する、スルフヒドリル基、(b)この切断可能な結合を有するリンカー単位を有するLDCの、正常細胞への内在化と比較して異常細胞への選択的内在化により、リゾチームの酸性条件の影響を受けやすいシッフ塩基またはヒドラゾン官能基を形成する、アルデヒド、ケトン、またはヒドラジン基、(c)正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成もしくは排出されるプロテアーゼによる、または標的とされる細胞内の調節性プロテアーゼによる、酵素的切断の影響を受けやすいアミド結合を、ペプチド結合の場合のように形成する、カルボン酸基またはアミノ基、(d)正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成または排出されるヒドロラーゼまたはエステラーゼによる酵素的切断の影響を受けやすい、ある特定のウレアもしくはカルバメート基を形成するアミノもしくはヒドロキシル基、またはエステルもしくはカーボネート基を形成するカルボン酸基またはヒドロキシ基。
切断可能な結合を提供するまた他の官能基が、正常細胞と比較して、異常細胞により時には優先的に生成され得るグリコシドに対する基質であるグリコシド連結を有する糖または炭水化物に見出される。代わりに、活性のある第3級アミン含有薬物を放出するためのリンカー単位のプロセシングに必要とされるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成される必要がないが、ただし、プロセシング酵素は、遊離薬物の早期放出から所望しない副作用を引き起こす程には、正常細胞により排出されないものとする。他の場合には、必要とされるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は排出されてもよいが、薬物の所望しない早期放出を回避するため、プロセシング酵素は、異常細胞により生成されたか、または異常細胞により引き起こされた異常な環境に応答して近くの正常細胞により生成されたかに関わらず、異常細胞の付近で排出され、その環境に局在したままであることが好ましい。その点で、Wは、自由に循環している酵素とは対照的に、異常細胞の中で、またはその環境内でプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼにより優先的に作用されるように選択される。それらの場合、LDCは、正常細胞の付近で第3級アミン含有薬物を放出する可能性が低く、または、選択された酵素を確かに生成するが、排出しない正常細胞には内在化しない。これは、このような細胞は、LDCによる侵入のために必要とされる標的とされる部分を提示する可能性が低いからである。
一部の態様では、Wは、異常細胞内に存在するかまたはこれらの異常細胞の環境に局在するプロテアーゼに対する基質を提供するアミノ酸で構成されるか、またはアミノ酸の1つもしくは複数の配列で構成されるかもしくはからなる。したがって、Wは、YのSIへのアミド結合を介してリンカー単位に組み込まれたジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチドまたはドデカペプチド部分で構成されてもこれらからなっていてもよく、その部分は、そのプロテアーゼに対する認識配列である。他の態様では、Wは、異常細胞により優先的に生成されるか、またはSIおよび炭水化物部分で構成されるLDCが、異常細胞の表面の標的とされる部分の存在に起因して選択的に侵入するこのような細胞の中に見出されるグリコシダーゼにより切断可能である、グリコシド結合により、YのSIに結合している炭水化物部分で構成されるかまたはこの炭水化物部分からなる。
「スペーサー単位」とは、本明細書で使用する場合、互いに対する立体配置に応じて切断可能単位(W)またはストレッチャー単位(A)(または、Aが不在の場合、LbもしくはLb’)に共有結合している、リンカー単位内の第2次リンカー(Lo)の有機部分である。典型的には、1つの立体配置において、4級化薬物単位(D+)とWは両方ともYに共有結合し、このYは次に、A(または、Aが不在の場合、LbもしくはLb’)に結合しており、これによって、Wは、Loの残りの部分に対して直角であり、これに対して、別の立体配置では、W、Y、DはD+がYに結合している直線的立体配置で配置されている。いずれかの配置でも、Yは、D+から切断部位Wを分離して、Wの切断が酵素的作用を介して実施される際にはいつでも、Wの切断を妨げるD+の単位からの立体相互作用を回避する働きをする。
典型的には、スペーサー単位は、本明細書で定義されるような自壊部分(SI)で構成されるかまたは自壊部分(SI)からなり、その部分が切断単位(W)に共有結合することによって、Wのin vivoでのプロセシングがSIを活性化して自己破壊させ、したがって遊離第3級アミン含有薬物を放出させる。多くの場合、YのSIは、アミド(またはアニリド)官能基を介してWに結合しており、YはまたSIを介してD+の第4級アミン窒素に共有結合することによってSIの自己破壊が、遊離第3級アミン含有薬物の放出をもたらす。
「自壊部分」とは、本明細書で使用する場合、第1と第2の官能基部分の間に介入し、活性化しない限り、これらの部分を通常安定した三部構成の分子に共有結合により組み込む有機部分を有するスペーサー単位(Y)内の二官能性部分を指す。第1の官能基部分への共有結合が切断された際の活性化により、第2の官能基部分は、SI部分の残りの部分の自己破壊により三部構成の分子から自然に分離する。活性化によるその自己破壊は、遊離第3級アミン含有薬物(D)を放出する。一部の態様では、その自己破壊は、D+と、リンカー単位のYの中に自壊(SI)を有するリンカー単位とを含むLDCの細胞内在化後に起こる。自壊(SI)部分の官能基部分の間にある有機部分は、時には、遊離第3級アミン含有薬物の同時放出と共に、1,4−脱離または1,6−脱離によりキノンメチドまたは関係する構造を形成するためのフラグメント化を経験することが可能なアリーレンまたはヘテロアリーレン部分である。このようなSI部分は、任意選択で置換されているp−アミノベンジルアルコール(PAB)部分、オルト−アミノベンジルアセタールもしくはパラ−アミノベンジルアセタール、またはPAB基と電子的に同様である(すなわち、PABタイプ)芳香族化合物、例えば、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体など(例えば、Hayら、1999年、Bioorg. Med. Chem. Lett.9巻:2237頁を参照されたい)および本明細書に記載されているような他のヘテロアリールにより例示される。
典型的には、SI部分の中の官能基部分のうちの1つに対して、リンカー単位に組み込まれるPABまたはPABタイプのSI部分のアリーレンまたはヘテロアリーレン基の芳香族炭素は、ヘテロ原子を含む官能基を介してWの切断部位に結合している電子供与性(EDG)ヘテロ原子で置換されており、そのヘテロ原子は、その電子供与能力が減衰するように官能化されている(すなわち、EDGは、YのSIをリンカー単位に組み込むことによって遮蔽されている)。第2の官能基を提供する他の置換基は、第4級アミン置換基を有するベンジル炭素であり、第3級アミン含有薬物を含む第4級アミンは、中央のアリーレンまたはヘテロアリーレン基の別の芳香族炭素原子に結合しているベンジル炭素を介して結合しており、減衰した電子供与性ヘテロ原子を保持するこの芳香族炭素は、ベンジル炭素原子に隣接している(すなわち、1,2−の関係)、またはさらに2つ離れた位置にある(すなわち、1,4−の関係)。EDGは、Wの切断部位のプロセシングが、遮蔽されたEDGの電子供与能力を修復し、したがって、ベンジル第4級アミン置換基から第3級アミン含有薬物を排出させるため、1,4−脱離または1,6−脱離を引き起こすように選択される。
例示的なPABまたはPABに関係するSI部分は、これらが、4級化薬物部分からDを放出するための1,4−フラグメント化または1,6−フラグメント化を可能にする必要な置換1,2または1,4置換パターンを有するアリーレンまたはヘテロアリーレンを有する構造(1)の第2次リンカー−D+部分の中に存在する場合、
(式中、D+は、上述のベンジル炭素に共有結合した第4級アミン窒素を介して−C(R8)(R9)−D+において結合しており、Jは、遮蔽されたEDGであり、Jを含む減衰性官能基を介してWに結合しているJは、−O−、−N(R33)−、または−S−であり、R8、R9、R33、R’、V、Z1、Z2、Z3は、PABおよびPABタイプのSI単位の実施形態において定義されている)で表される。それらの変数は、標的とされた部位において、Wのプロセシングから放出された場合、Jの反応性が、SIから脱離した第3級アミンの反応性およびその脱離から生じたキノン−メチドタイプの中間体の安定性とのバランスがとれるように選択される。
構造(1)の第2次リンカー−D+部分に関する一部の態様では、D+に結合しているPABまたはPABタイプのSI部分は、
の構造を有する。
構造(1)の第2次リンカー−D+部分の中にSI部分を組み込んでいる他の構造およびこれらの可変基の定義は、実施形態により提供される。
構造(2)の第2次リンカーに関する一部の態様では、PABまたはPABタイプのSI部分は、構造(2)の第2次リンカーの中に存在する場合、
(式中、Jへの波線は、aが0の場合、リガンド−Lb−またはLb’−への共有結合の安定した共有結合(すなわち、標的とされた部位においてプロセシングされていない)を示し、またはaが1の場合、Aまたはそのサブユニットを介した共有結合を示し、Jは、Lb、Lb’、AまたはAのサブユニットに直接、またはJを含む官能基を介して結合している−O−、−N(R33)−、または−S−であり、R’、R8、R9、V、Z1、Z2およびZ3は、式1に定義されている通りであり、Jから独立して選択されるEは、電子供与基、例えば、−O−、−N(R33)−、または−S−などであり、Eの電子供与能力は、W’への結合により減衰し、W’−Eは、グリコシダーゼのための切断部位を提供し、Eおよび−C(R8)(R9)−D+部分のベンジル炭素は、V、Z1、Z2またはZ3により定義された位置でアリーレンまたはヘテロアリーレン基に結合することによって、Eおよび−C(R8)(R9)−D+部分が、第3級アミン含有薬物の放出をもたらす1,4−フラグメント化または1,6−フラグメント化を可能にするように1,2または1,4の関係にある)の構造を有する。
構造(2)の第2次リンカー−D+部分に関する一部の態様では、D+に結合しているPABまたはPABタイプのSI部分は、
の構造を有する。
構造(2)の第2次リンカー−D+部分の中にSI部分を組み込んでいる他の構造およびこれらの可変基の定義は、実施形態により提供される。
SI部分のアリーレンまたはヘテロアリーレンは、Dの放出をモジュレートするため、またはこれが組み込まれるリガンド薬物コンジュゲートの生理化学的特性を改善する(例えば、疎水性を減少させる)ために、1,2−脱離または1,4−脱離の動態に影響を与えるようにさらに置換されてもよい。
ベンジル第4級アミン置換基を受け入れるように修飾されているSI構造の例示的な非限定的例は、Blencoweら、「Self-immolative linkers in polymeric delivery systems」Polym. Chem. (2011年)2巻:773〜790頁;Greenwald ら、「Drug delivery systems employing 1,4- or 1,6-elimination: poly(ethylene glycol) prodrugs of amine-containing compounds」J. Med. Chem.(1999年)42巻:3657〜3667頁;および米国特許第7,091,186号;同第7,754,681号;同第7,553,816号;および同第7,989,434号において提供されており、これらのすべては、これら全体が、本明細書で参照により組み込まれており、その中に提供されている構造および可変基は具体的に参照により組み込まれている。
「細胞毒性薬物」とは、本明細書で使用する場合、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞に対して抗生存作用を発揮する、LDCから誘導された化合物または代謝物を指す。一部の態様では、細胞毒性薬物は、それらの細胞に直接作用するか、あるいは過剰増殖するまたは他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の生存および/または成長を支持する異常な血管系に作用することによって間接的に作用するか、あるいは細胞毒性薬物は、浸潤性の過剰活性化免疫細胞の部位内で作用する。典型的には、細胞毒性薬物が作用する異常細胞または望ましくない細胞は、哺乳動物細胞、より典型的にはヒト細胞である。細胞毒性薬物の細胞毒性活性は、IC50値として表現することができ、これは、この値において、in vitroの細胞モデル系の中で、細胞毒性剤に曝露されたがん細胞の半分が生存する、有効濃度、典型的には単位体積当たりのモル量である。したがって、IC50値はモデル依存性である。典型的には、LDCに組み込まれた細胞毒性剤は、過剰増殖細胞で構成されるin vitroの細胞モデルにおいて100nM〜0.1pMの間、またはより典型的には約10nM〜1pMの間のIC50値を有する。極めて有毒性の細胞毒性薬物は、典型的にはこのようなモデルにおいて、約100pMまたはそれ未満のIC50値を有する。細胞毒性薬物に対する耐性を逆転させる多剤耐性阻害剤は、独立して細胞毒性ではないが、これらは細胞毒性薬物として時には含まれている。
「細胞分裂停止薬物」とは、本明細書で使用する場合、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の成長および増殖に対して阻害作用を発揮するLDCから誘導された化合物または代謝物を指す。一部の態様では、細胞分裂停止薬物は、これらの細胞に直接作用するか、あるいは過剰増殖するまたは他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の生存および/または成長を支持する異常な血管系に作用することによって間接的に作用するか、あるいは細胞毒性薬物は、浸潤性の過剰活性化免疫細胞の部位内で作用する。典型的には、細胞毒性薬物が作用する異常細胞または望ましくない細胞は、哺乳動物細胞、より典型的にはヒト細胞である。細胞分裂停止薬物に対する耐性を逆転させる多剤耐性阻害剤は、独立して細胞分裂停止性ではないが、これらは細胞分裂停止薬物として時には含まれている。
「血液悪性腫瘍」とは、この用語が本明細書で使用される場合、リンパ系または骨髄性由来の細胞を起源とする血液細胞腫瘍を指し、「液体腫瘍」という用語と同じ意味である。血液悪性腫瘍は、緩慢性、適度に侵攻性または極めて侵攻性であると分類することができる。
「リンパ腫」とは、本明細書で使用する場合、リンパ系由来の過剰増殖細胞から通常発生する血液悪性腫瘍である。リンパ腫は、時には2つの主要なタイプに分類される:ホジキンリンパ腫(HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)。リンパ腫はまた、表現型、分子または細胞発生マーカーに従い、がん細胞に最も類似している、正常細胞タイプに従い分類することもできる。その分類下のリンパ腫サブタイプとして、限定はされないが成熟B細胞新生物、成熟T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞新生物、ホジキンリンパ腫および免疫不全に伴うリンパ増殖性障害が挙げられる。リンパ腫サブタイプとして、前駆体T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T細胞リンパ芽球は骨髄内で生成されるので、時にはリンパ芽球性白血病と呼ばれる)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性リンパ腫(末梢血の関与に起因して、時には白血病と呼ばれる)、MALTリンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫およびそのさらに侵攻性のバリアントであるセザリー症候群、他に特定されていない末梢性T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫の結節性硬化症、および混合細胞型サブタイプのホジキンリンパ腫が挙げられる。
「白血病」は、この用語が本明細書で使用される場合、骨髄性由来の過剰増殖細胞から通常発生する血液悪性腫瘍であり、限定はされないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性単球性白血病(monocyctic leukemia)(AMoL)が挙げられる。他の白血病として、有毛細胞白血病(HCL)、T細胞リンパ性白血病(T−PLL)、大顆粒リンパ球性白血病および成人T細胞白血病が挙げられる。
「4級化薬物単位」とは、本明細書で使用する場合、その対応する第4級アミン塩(D+)としてLDCに組み込まれた、典型的には哺乳動物細胞に対して細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の性質を有する、任意の第3級アミン含有化合物(D)であってよい。「薬物」という用語は、過剰増殖もしくは過剰免疫刺激された疾患もしくは状態を有する対象の処置における使用に対して監督官庁により認可されているだけの化合物、またはLDCという文脈外のいずれかのこのような目的に適切である化合物を暗示しない。したがって、D+はまた、非コンジュゲート(すなわち、第3級アミン含有の「遊離」の形態であり、LDC中に存在しない)では、対象への投与に対して不適切である4級化化合物を包含する。例えば、第3級アミン含有薬物(D)は、D+としてLDCに組み込まれた場合、必要とされる治療量では耐えられない全身毒性があるので、対象においてがんを処置するのに不適当な細胞毒性化合物となり得る。一部の態様では、4級化薬物は、第3級アミン含有薬物の第3級アミン窒素を、適切な脱離基を有する第2次リンカーLoに縮合させることによって得られる。一部の態様では、D+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は、がんの処置に使用するのに適切となろう。他の態様では、D+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は、がんの処置に使用するのに適切である。一部の態様では、LDCのD+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は細胞毒性または細胞分裂停止性化合物である。他の態様では、LDCのD+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は、抗炎症性または免疫抑制性化合物である。また他の態様では、LDCのD+に組み込まれた第3級アミン含有薬物は多剤耐性阻害剤である。D+に組み込むことができる他の第3級アミン含有薬物は、第3級アミン含有薬物の定義によりさらに提供される。
「第3級アミン含有薬物」は、本明細書で使用する場合、細胞毒性、細胞分裂停止性または抗炎症性の活性を有し、LDCの標的化部分がその同族の標的とされる部分に結合した後、LDCのその対応する第4級アミン(D+)部分から放出可能である脂肪族第3級アミン部分(D)により特徴付けられるような化合物である。多くの場合、第3級アミン含有化合物は、それが最初にLb含有部分またはLb’含有部分に組み込まれた際に、その4級化形態へと変換される。しかし、時には、第2級アミン含有前駆体または第1級アミン含有前駆体がLb含有部分またはLb’含有部分に組み込まれ、次いで4級化されて、D+部分を形成し、これからは、第3級アミン含有薬物の放出が可能である。したがって、L−Lb−Lo−D+およびLb’−Lo−D+などの構造は、D+が形成される特定の方法を意味せず、その形成に使用される反応物質が第3級アミン含有薬物である必要はない。
本発明のLDCから放出される第3級アミン含有薬物のクラスとして、例えば、限定はされないが、がんまたは自己免疫疾患の処置に有用である第3級アミン官能基を有する化合物が挙げられる。これらの化合物として、微小管破壊剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、DNAアルキル化剤、化学療法感作剤およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、チューブリシン、アウリスタチン、フェナジンダイマー)、ある特定の多剤耐性(MDR)阻害剤およびニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤が挙げられる。
「過剰増殖細胞」は、本明細書で使用する場合、周辺の正常組織のものと関係のないまたは協調性のない、望ましくない細胞増殖、または異常に高い速度もしくは持続状態の細胞分裂により特徴付けられる細胞を指す。典型的には、過剰増殖細胞は哺乳動物細胞である。一部の態様では、過剰増殖細胞は、本明細書で定義されるような過剰刺激された免疫細胞であり、これらの細胞分裂が持続する状態は、これらの細胞分裂における変化を最初に誘起した可能性のある刺激の停止後に起こる。他の態様では、過剰増殖細胞は、変換した正常細胞またはがん細胞であり、これらの無制御なおよび進行性の細胞増殖の状態は、良性、潜在的に悪性(前悪性)または実際悪性である腫瘍をもたらし得る。変換した正常細胞またはがん細胞から結果として生じる過剰増殖の状態として、これらに限定されないが、前がん、過形成、異形成、腺腫、肉腫、芽細胞腫、癌腫、リンパ腫、白血病またはパピローマにより特徴付けられるものが挙げられる。前がんは通常、がん発症の危険性の増加に伴い、そして時には、がんを特徴付ける分子および表現型の特性をすべてではないとしても、いくつか有する組織学的変化を示す病変として定義される。ホルモンに伴うまたはホルモン感応性の前がんとして、前立腺の上皮内新生物(PIN)、特に高悪性度のPIN(HGPIN)、異型小腺房増殖(ASAP)、子宮頸部異形成および非浸潤性乳管癌が挙げられる。過形成は、器官全体の拡大または良性腫瘍の形成または成長をもたらし得る、普通観察されるものを超えた器官または組織内での細胞増殖を一般的に指す。過形成としてこれらに限定されないが子宮内膜形成不全(子宮内膜症)、良性前立腺肥大および導管過形成が挙げられる。
「正常細胞」とは、本明細書で使用する場合、正常な組織の細胞の統合性の維持、または調節された細胞の代謝回転により必要とされる循環するリンパ性もしくは血液細胞の補充、または損傷により必要とされる組織修復、病原菌への曝露もしくは他の細胞の侵襲から結果として生じる、調節された免疫性もしくは炎症性応答に関係した、調整された細胞分裂を経験する細胞を指し、誘発された細胞分裂または免疫応答は、必要な維持、補充または病原菌クリアランスが完了した時点で終了する。正常細胞として正常に増殖する細胞、正常な静止状態の細胞および正常に活性化した免疫細胞を含む。
「正常な静止状態の細胞」は、これらの静止のGo状態の非がんの細胞であり、ストレスもしくはマイトジェンにより刺激されていないか、または通常不活性であるか、もしくは炎症誘発性サイトカイン曝露により活性化されていない免疫細胞である。
「過剰刺激された免疫細胞」は、この用語が本明細書で使用される場合、増殖もしくは刺激における変化を最初に誘起した可能性のある刺激の停止後に起こる、またはいずれの外部の侵襲も不在で起こる、異常な持続性増殖または不適当な刺激の状態により特徴付けられる先天性免疫または適応免疫に関与している細胞を指す。多くの場合、持続性増殖または不適当な刺激の状態は、病態または状態に特徴的な慢性状態の炎症をもたらす。いくつかの場合、増殖または刺激における変化を最初に誘起した可能性のある刺激は、外部の侵襲に起因せず、自己免疫疾患の場合のように内部に由来する。一部の態様では、過剰刺激された免疫細胞は、慢性の炎症誘発性サイトカインの曝露を介して過剰活性化された炎症誘発性免疫細胞である。
本発明の一部の態様では、LDCは、異常に増殖するまたは不適切に活性化する炎症誘発性免疫細胞により優先的に提示される抗原に結合する。これらの免疫細胞として、古典的活性化マクロファージまたは1型Tヘルパー(Th1)細胞が挙げられ、これらは、インターフェロン−ガンマ(INF−γ)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−10(IL−10)、および腫瘍壊死因子−ベータ(TNF−β)、すなわち、マクロファージおよびCD8+T細胞活性化に関与しているサイトカインを生成する。
「グリコシダーゼ」は、本明細書で使用する場合、グリコシド結合の酵素的切断が可能なタンパク質を指す。典型的には、切断されるグリコシド結合は、LDCの切断可能単位(W)内に存在する。時には、LDCに作用するグリコシダーゼは、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の細胞内に存在し、これらの細胞に対して、LDCは、リガンド結合の構成成分(すなわち、リガンド単位)の標的能力に起因して、正常細胞と比較して優先的なアクセスを有する。時には、グリコシドは、異常細胞もしくは望ましくない細胞に対してより特異的であるか、または正常細胞と比較して、異常細胞もしくは望ましくない細胞により優先的に排出されるか、または血清量と比較して、異常細胞もしくは望ましくない細胞の付近により多量に存在する。多くの場合、グリコシダーゼの作用を受ける、Wにおけるグリコシド結合は、炭水化物部分(Su)のアノマー炭素を、ストレッチャー単位(Y)を構成する自壊(SI)部分のフェノール系酸素に結合させて、この結合のグリコシド切断が、SIのベンジル位置に結合した第4級アミン部分から第3級アミン含有薬物の1,4−脱離または1,6−脱離を引き起こすようにする。
−Aa−Yy(Ww)−D+(式中、下付き文字wおよびyは、それぞれ1である)などの部分で構成される薬物リンカー化合物またはリガンド薬物コンジュゲートにおいて、−Y(W)−は、典型的には、本明細書で定義されるようなSu−O’−SI部分であり、グリコシダーゼによる作用により遊離第3級アミン含有薬物の自壊性放出を可能にする方式で、A、WおよびDがSIに結合している。このような−Y(W)−部分は、時にはグルクロニド単位と呼ばれ、Suはグルクロン酸に限定されない。
典型的には、Su−O’−SI部分(式中、−O’−は、グリコシド結合の酸素を表し、Suは炭水化物部分である)は、SIのアリール部分に結合したEは酸素であり、そのヘテロ原子は、その部分のアノマー炭素原子を介して炭水化物部分で置換されている、自壊性部分に関して記載されている構造で表される。より典型的にはSu−O’−SIは、
の構造を有する。
式中、R24A、R24BおよびR24Cは、発明の概要においてR24に関して定義されている通りであり、グリコシド結合から放出されるフェノールの−OHの電子供与能力、炭水化物部分Suへのグリコシド結合の所望のグリコシダーゼによる選択的切断に対する感度、およびフラグメント化の際のキノンメチド中間体の安定性が、第3級アミンの脱離能力とバランスがとれるように選択されることによって、1,4−脱離または1,6−脱離を介した、D+からのDの効率的放出が起こるようになっている。これらのSu−O’−SI構造は代表的なグルクロニド単位である。グリコシド結合がグルクロン酸に対するものである場合、そのグリコシド結合の酵素的切断が可能なグリコシダーゼはグルクロニダーゼである。「炭水化物部分」は、本明細書で使用する場合、Cm(H2O)nの実験式(式中、nはmと等しい)を有し、そのヘミアセタールまたはその誘導体の形態でアルデヒド部分を含有する単糖を指し、この式の中のCH2OH部分は、カルボン酸(例えば、グルコース中のCH2OH基の酸化からのグルクロン酸)へと酸化されている。典型的には、炭水化物部分(Su)は、ピラノースなどの環式ヘキソース、またはフラノースなどの環式ペントースである。通常、ピラノースは、β−D構造にあるグルクロニドまたはヘキソースである。ある場合には、ピラノースはβ−D−グルクロニド部分(すなわち、β−グルクロニダーゼにより切断可能なグリコシド結合を介して自壊性部分−SI−に連結しているβ−D−グルクロン酸)である。多くの場合、炭水化物部分は非置換である(例えば、天然に存在する環式ヘキソースまたは環式ペントース)。またある時には、炭水化物部分は、置換されているβ−D−グルクロニド(すなわち、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、硫黄、窒素または低級アルキルなどの1つまたは複数の基で置換されているグルクロン酸)であってよい。
「アミノ酸」は、本明細書で使用する場合、カルボン酸および脂肪族アミン官能基を含有する有機部分であり、典型的には、ペプチド合成の技術分野で周知の標準的なペプチド結合形成反応を介して、別の有機部分とアミド結合を形成することが可能な第1級または第2級アミン(aminne)官能基である。アミノ酸として、本明細書で定義されるような天然アミノ酸、非天然アミノ酸、および非古典的アミノ酸が挙げられる。疎水性アミノ酸は、カルボン(carboylic)酸とアミン官能基の間にある原子の鎖内の炭素原子に結合している疎水性置換基、典型的にはC1〜C6アルキル基を含有し、典型的にはアミンまたはカルボン酸官能基に対してアルファである炭素原子上にある。疎水性の天然アミノ酸に対して、アルファ炭素上の疎水性置換基は、バリン、アラニン、ロイシンまたはイソロイシンの疎水性置換基である。
「天然に存在するアミノ酸」とは、文脈により特に指摘されていない限り、LまたはD立体配置にある、天然アミノ酸であるアルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、アラニン、ヒスチジン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、システイン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、イソロイシン、およびバリンを指す。
「非天然アミノ酸」は、本明細書で使用する場合、天然アミノ酸の基本的構造を有するアミン含有酸化合物である(すなわち、アルファ−アミノ含有酸であるが、R基が、天然アミノ酸には存在しないアルファ炭素に結合している)。
「非古典的アミノ酸」とは、本明細書で使用する場合、そのアミン置換基が、カルボン酸に対してアルファである炭素に結合していないアミン含有酸化合物である(すなわち、アルファ−アミノ酸ではない)。非古典的アミノ酸として、メチレンが、天然アミノ酸または非天然アミノ酸において、カルボン(craboxylic)酸とアミノ官能基の間に挿入されているβ−アミノ酸が挙げられる。
「ペプチド」とは、本明細書で使用する場合、1つのアミノ酸のカルボン酸基が、このペプチド配列における隣のアミノ酸のアルファ−アミノ基と共にアミド結合を形成している2つまたはそれ超のアミノ酸のポリマーを指す。ポリペプチド中にアミド結合を調製するための方法は、アミドの定義においてさらに提供される。
ペプチドは、L立体配置もしくはD立体配置の天然に存在するアミノ酸、または非天然アミノ酸もしくは非古典的アミノ酸で構成されていてもよく、これらとして、これらに限定されないが、オルニチン、シトルリン、ジアミノ酪酸、ノルロイシン、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンが挙げられる。天然に存在しないアミノ酸および非古典的アミノ酸の他の例は、アルファ*およびアルファ−二置換*アミノ酸、N−アルキルアミノ酸*、乳酸*、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体(例えば、トリフルオロチロシン*、p−Cl−フェニルアラニン*、p−Br−フェニルアラニン*、p−F−フェニルアラニン*)、L−アリル−グリシン*、ベータ−アラニン*、L−アルファ−アミノ酪酸*、L−ガンマ−アミノ酪酸*、L−アルファ−アミノイソ酪酸*、L−エプシロン−アミノカプロン酸#、7−アミノヘプタン酸*、L−メチオニンスルホン*、L−ノルロイシン*、L−ノルバリン*、p−ニトロ−L−フェニルアラニン*、L−ヒドロキシプロリン#、L−チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体(例えば、4−メチル−Phe*、ペンタメチル−Phe*)、L−Phe(4−アミノ)#、L−Tyr(メチル)*、L−Phe(4−イソプロピル)*、L−Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)*、L−ジアミノプロピオン酸、L−Phe(4−ベンジル)*、2,4−ジアミノ酪酸、4−アミノ酪酸(ガンマ−Abu)、2−アミノ酪酸(アルファ−Abu)、6−アミノヘキサン酸(エプシロン−Ahx)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フルオロアミノ酸、ベータ−メチルアミノ酸、Cアルファ−メチルアミノ酸、N−メチルアミノ酸、ナフチルアラニンなどである。記号*は、疎水性の特徴を有する誘導体を示し、#は、親水性の特徴を有する誘導体を示し、#*は、両親媒性の特徴を有する誘導体を示す。
ペプチドにおける変異体アミノ酸配列は、グリシンまたはβ−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーに加えて、メチル、エチルまたはプロピル基などのアルキル基を含む配列の任意の2つのアミノ酸残基の間に挿入される適切なスペーサー基を時には含み得る。また、ペプチドは、ペプトイドを含んでもペプトイドからなってもよい。「ペプトイド」という用語は、アルファ−炭素置換基がアルファ−炭素ではなく、骨格窒素原子上にある変異形のアミノ酸構造を指す。ペプトイド形態のペプチドを調製するための方法は、当技術分野で公知である(例えば、Simonら、Proc. Nat'l. Acad. Sci.(USA)(1992年)89巻(20号):9367〜9371頁;およびNorwell、Trends Biotechnol.13巻(4号):132〜134頁(1995年)を参照されたい)。
「プロテアーゼ」は、本明細書で定義される場合、カルボニル−窒素結合、例えば、ペプチドに典型的に見出されるアミド結合などの酵素的切断が可能なタンパク質を指す。プロテアーゼは、主要な6つのクラスに分類される:セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼ。これらは、その基質のカルボニル−窒素結合の切断の主な原因である活性部位内の触媒の残基に応じてこのように命名されている。プロテアーゼは、カルボニル−窒素結合のN末端および/またはC末端の側にある、および様々な分布にある残基のアイデンティティーに依存する様々な特異性により特徴付けられる。
Wが、プロテアーゼにより切断可能なアミドまたは他のカルボニル−窒素含有官能基で構成される場合、その切断部位は、多くの場合、過剰増殖細胞もしくは過剰刺激された免疫細胞内に、または過剰増殖細胞もしくは過剰刺激された免疫細胞が存在する環境に特有の細胞内に見出されるプロテアーゼで認識されるものに限定される。これらの場合、LDCは、標的化部分を優先的に有していない細胞へはあまりアクセスが良くないので、プロテアーゼは必ずしも、LDCが標的とする細胞内に優先的に存在したりより大きな存在量で見出されたりする必要はない。またある時には、プロテアーゼは、異常細胞により、または正常細胞と比較して、それらの異常細胞が見出される環境もしくはそれらの正常細胞が異常細胞の不在下で見出される典型的な環境内の細胞により、優先的に排出される。したがって、プロテアーゼが排出されるような場合、プロテアーゼは、正常細胞のものと比較して、LDCが標的とする細胞付近に優先的に存在するかまたはより大きな存在量が見出されることが必ず必要となる。
LDCに組み込まれた場合、Wを構成するペプチドは、W中のカルボニル−窒素結合を切断し、リンカー単位のフラグメント化を生じることでD+からの第3級アミン含有薬物の放出を引き起こすプロテアーゼに対する認識配列を提供する。時には、認識配列は、LDCが異常細胞を標的とすることにより、正常細胞と比較して、これら異常細胞に対して好ましいアクセスを有する異常細胞内に存在する細胞内プロテアーゼによってより選択的に認識されるか、または所望の作用部位へ薬物を適切に送達するという目的で、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に生成される。通常、ペプチドは、第3級アミン含有薬物の早期排出を最小限に抑えるために循環しているプロテアーゼに耐性があり、したがって、薬物への望ましくない全身暴露を最小限に抑える。典型的には、ペプチドは、その配列順序に1つまたは複数の非天然アミノ酸または非古典的アミノ酸を有することによって、その耐性を有することになる。多くの場合、異常細胞により生成されるプロテアーゼによって特異的に切断されるアミド結合は、アニリドであり、このアニリドの窒素は、以前に定義された構造を有するSI部分の新生電子供与性ヘテロ原子(すなわち、J)である。したがって、W中のこのようなペプチド配列に対するプロテアーゼ作用は、SIのアリーレン部分を介しての1,4−脱離または1,6−脱離により、リンカーフラグメントから薬物放出をもたらす。
調節性プロテアーゼは、典型的には細胞内に位置し、異常細胞または他の望ましくない細胞内で時には異常または調節不全となる細胞の活性の調節のために必要とされる。さらに、ある場合には、Wが細胞内に優先的な分布を有するプロテアーゼに方向づけられている場合、そのプロテアーゼは調節性プロテアーゼであり、細胞の維持または増殖に関与している。ある場合には、これらのプロテアーゼは、カテプシンを含む。カテプシンとして、セリンプロテアーゼ、カテプシンA、カテプシンG、アスパラギン酸プロテアーゼカテプシンD、カテプシンE、およびシステインプロテアーゼ、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンWならびにカテプシンZが挙げられる。
他の場合、Wが、過剰増殖するもしくは過剰刺激された免疫細胞または近隣の細胞による優先的な排出(この排出は、過剰増殖するまたは過剰刺激された免疫細胞の環境に特有のものである)により、このような細胞の付近で細胞外に優先的に分配されるプロテアーゼに方向づけられている場合、そのプロテアーゼは通常、メタロプロテアーゼである。典型的には、これらのプロテアーゼは組織リモデリングに関与しており、過剰増殖細胞の侵襲またはこのような細胞のさらなる補強をもたらす過剰活性化免疫細胞の所望しない蓄積を補助する。
「チューブリン破壊剤」は、本明細書で使用する場合、チューブリンまたはそのサブユニットに結合し、その結果、特に過剰増殖するまたは過剰刺激された免疫細胞においてチューブリンダイナミクスに負に影響するチューブリン伸長またはチューブリン重合を阻害する細胞毒性または細胞分裂停止性化合物を指す。抗チューブリン薬剤(すなわち、チューブリン破壊剤)の例として、これらに限定されないが、タキサン、ビンカアルカロイド、マイタンシンおよびマイタンシノイド、ドラスタチンおよびアウリスタチンが挙げられる。第3級アミン含有チューブリン破壊剤は、第3級アミン官能基を含有する、または含有するように修飾することができる、本明細書で定義されるようなチューブリン破壊剤である。
「ドラスタチン薬物」は、この用語が本明細書で使用される場合、細胞毒性活性を有する海の供給源からチューブリン破壊剤として単離したペンタペプチドである。ドラスタチン10およびドラスタチン15は、第3級アミン含有ドラスタチンを例証し、以下の構造:
を有する。
いくつかの例示的ドラスタチンは、フェニルおよびチアゾール置換基が独立して選択されたアリールまたはヘテロアリール部分で置き換えられているドラスタチン10に関係している。他の例示的なドラスタチンは、C末端エステル部分が、アミド(アミド窒素がアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル(hetereoarylalkyl)部分で置換されている)で置き換えられているドラスタチン15に関係している。これらの構造および他の例示的第3級アミン含有ドラスタチンの構造ならびにLDCへのこれらの組込み方式は、4級化薬物単位の実施形態において提供される。
「アウリスタチン薬物」は、この用語が本明細書で使用される場合、ドラスタチン10に関係したペプチジルベースのチューブリン破壊剤である。いくつかの第3級アミン含有アウリスタチンは、DEまたはDFの構造を有する:
(式中、Zは、−O−、−S−、または−N(R19)−であり、R10〜R21は、4級化第3級アミン含有アウリスタチン薬物に関する実施形態において定義されている通りである)。LDCまたはその前駆体に組み込まれる場合、第3級アミン部分の(†)で示された窒素は、Loへの、またはLoで構成されるLbもしくはLb’含有部分のLoへの共有結合により4級化されている。典型的には、D+のその4級化部分は、Lo中の自壊性スペーサー単位(Y)単位が構成されるかまたはこの自壊性スペーサー単位(Y)単位をなす、PABまたはPABタイプ部分のベンジル炭素への第3級アミン部分の共有結合から生じる。他の例示的な第3級アミン含有アウリスタチンの構造およびこのような薬物のLDCへのこれらの組込み方式は、アウリスタチンベースの4級化薬物単位の実施形態において提供され、アウリスタチンEおよびアウリスタチン(Auriststin)Fを含む。
使用されている「チューブリシン薬物」は、細胞毒性活性を有するペプチドベースのチューブリン破壊剤であり、1つの天然アミノ酸または非天然アミノ酸構成成分と、3つの他の非天然アミノ酸構成成分で構成され、これらの構成成分のうちの1つは、中央の5員のまたは6員のヘテロアリーレン部分により特徴付けられ、別の構成成分は、4級化薬物単位への組込みのための第3級アミンを提供する。
いくつかの第3級アミン含有チューブリシンは、DGまたはDHの構造:
を有し、他の第3級アミン含有チューブリシンは、DG−1またはDH−1の構造:
を有する
(式中、丸は、5員または6員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、互いに1,3−またはメタの関係にあり、残りの位置において任意選択で置換されており、R4、R4A、R4B、R8Aは、それぞれ、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、R7は、任意選択で置換されているアリールアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルであり、R7Aは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択のヘテロアリールであり、R2は、二価のO連結置換基であるか(すなわち、二重結合は存在するか、もしくはその可変基を有する炭素は、R2の単一の事例により二置換されている)、または二重結合は不在であるか(すなわち、R2は、その可変基を有する炭素に単結合している)、またはR2は、水素、任意選択で置換されているアルキル、もしくは一価のO連結置換基であり、mは0または1であり、R2A、R3、R5およびR6は、チューブリシンベースの4級化第3級アミン含有薬物に関する実施形態において定義されている通りである)。
天然に存在するチューブリシンは、
の構造を有し、破線の垂直の線により示されている通り4つのアミノ酸サブユニットに好都合に分割されており、これらは、N−メチル−ピペコリン酸(Mep)、イソロイシン(Ile)、ツブバリン(Tuv)、およびツブフェニルアラニン(R7Aが水素の場合、Tup)もしくはツブチロシン(R7Aが−OHの場合、Tut)のいずれかと命名されている。チューブリシンA−I、チューブリシンU、チューブリシンVおよびチューブリシンZと命名された、現在公知の約10数種の天然に存在するチューブリシンが存在し、その構造は、チューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態において定義された構造DG−6に対する可変基により示されている。
プレチューブリシンは、構造DGまたはDH(式中、R3は−CH3であり、R2は水素である)を有し、デスメチルチューブリシンはDG、DG−1、DG−6、DH、DH−1の構造およびチューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態で与えられる他のチューブリシン構造(式中、R3は水素であり、他の可変基は、チューブリシンに関して記載されている通りである)を有する。プレチューブリシンおよびデスメチルチューブリシンは、チューブリシンの定義に任意選択で含まれている。
DG、DG−1、DG−6、DH、DH−1の構造およびチューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態において本明細書に記載の他のチューブリシン構造において、示された(†)窒素は、このような構造がLDCまたはその前駆体に組み込まれる場合の4級化の部位である。LDCまたはその前駆体に組み込まれる場合、その窒素は、Loに、またはLoで構成されるLbもしくはLb’含有部分のLoに共有結合することによって4級化される。典型的には、D+のその4級化部分は、Lo中のY単位が構成されるかまたはこのY単位をなす、PABまたはPABタイプ部分のベンジル炭素への第3級アミン部分の共有結合による結合から生じる。他の例示的な第3級アミン含有チューブリシンおよびプレチューブリシンの構造ならびにLDCへのこれらの組込みの方式は、チューブリシンベースの4級化薬物単位の実施形態において提供されている。
チューブリシン薬物を調製する例示的な方法および構造−活性関係は、Shankarら、「Synthesis and structure-activity relationship studies of novel tubulysin U analogs-effect on cytotoxicity of structural variations in the tubuvaline fragment」Org. Biomol. Chem.(2013年)11巻:2273〜2287頁;Xiangmingら、「Recent advances in the synthesis of tubulysins」Mini-Rev. Med. Chem.(2013年)13巻:1572〜8頁;Shankarら、「Synthesis and cytotoxic evaluation of diastereomers and N-terminal analogs of Tubulysin-U」Tet. Lett.(2013年)54巻:6137〜6141頁;Shankarら、「Total synthesis and cytotoxicity evaluation of an oxazole analogue of Tubulysin U」Synlett(2011年)2011巻(12号):1673〜6頁;Raghavan ら、J. Med. Chem.(2008年)51巻:1530〜3頁;Balasubramanian, R.ら、「Tubulysin analogs incorporating desmethyl and dimethyl tubuphenylalanine derivatives」Bioorg. Med. Chem. Lett.(2008年)18巻:2996〜9頁;およびRaghavanら「Cytotoxic simplified tubulysin analogues」J. Med. Chem.(2008年)51巻:1530〜3頁により提供される。
「フェナジンダイマー薬物」は、本明細書で使用する場合、これらのC−1位置で、カルボキサミド官能基を介して一緒に連結されている2つのアリール縮合フェナジン環系を有する第3級アミン含有化合物であり、この連結部分は、本発明のLDCの中にD+として組み込まれる際に4級化される第3級アミン含有部分で構成される。いくつかの第3級アミン含有フェナジンダイマーは、DIの構造:
(式中、環Aおよび環Bは、独立して選択された、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールは、1、2または3つの独立して選択されたRAおよび/またはRB置換基で、任意選択で置換されているフェナジン環系に縮合しており、R9AおよびR9Bは、独立して選択される、任意選択の置換アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子およびこれらの窒素の間にある炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環系を構成し、RA、RB、R11A、R11B、n、sおよびoは4級化第3級アミン含有薬物に関する実施形態において定義されている)を有する。
いくつかの例示的な第3級アミン含有フェナジンダイマー、または構造DIのフェナジンダイマーを構成する縮合したアリールもしくはヘテロアリールを有するフェナジンは、Moorthyら「Fused aryl-phenazines: scaffold for the development of bioactive molecules」Curr. Drug Targets(2014年)15巻(7号):681〜8頁;Zhuoら、「Synthesis and biological evaluation of benzo[a]phenazine derivatives as a dual inhibitor of topoisomerase I and II」Org. Biomol. Chem.(2013年)11巻(24号):3989〜4005頁;Kondratyukら「Novel marine phenazines as potential cancer chemopreventive and anti-inflammatory agents」Marine Drugs (2012年)10巻(2号):451〜64頁;Gamageら「Phenazine-1-carboxamides: structure-cytotoxicity relationships for 9-substituents and changes in the H-bonding pattern of the cationic side chain」Bioorg. Med. Chem.(2006年)14巻(4号):1160〜8頁;Yangら「Novel synthetic isoquinolino[5,4-ab]phenazines: inhibition toward topoisomerase I, antitumor and DNA photo-cleaving activities」Bioorg. Med. Chem.(2005年)13巻(21号):5909〜14頁;Gamageら「Structure-activity relationships for pyrido-, imidazo-, pyrazolo-, pyrazino-, and pyrrolophenazinecarboxamides as topoisomerase-targeted anticancer agents」J. Med. Chem.(2002年)45巻(3号):740〜3頁;Vickerら「Novel angular benzophenazines: dual topoisomerase I and topoisomerase II inhibitors as potential anticancer agents」J. Med. Chem.(2002年)45巻(3号):721〜39頁;Mekapatiら「QSAR of anticancer compounds: bis(11-oxo-11H-indeno[1,2-b]quinoline-6-carboxamides), bis(phenazine-1-carboxamides), and bis(naphthalimides)」Bioorg. Med. Chem.(2001年)9巻(11号):2757〜62頁;Gamangeら「Dicationic bis(9-methylphenazine-1-carboxamides): relationship between biological activity and linker chain structure for a series of potent topoisomerase targeted anticancer agents」J. Med. Chem.(2001年)44巻:1407〜1415頁;およびSpicerら「Bis(phenazine-1-carboxamides): structure-activity relationships for a new class of dual topoisomerase I/II-directed anticancer drugs」J. Med. Chem.(2000年)43巻(7号):1350〜8頁により提供される。
「MDR阻害剤薬物」とは、本明細書で使用する場合、疎水性細胞毒性、細胞分裂停止性または抗炎症性の薬物のトランスポーター媒介性排出に起因する多剤耐性を逆転するまたは減弱させる第3級アミン含有化合物であり、これらの化合物の作用に対する過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の耐性を付与する。それらのトランスポーターは、典型的にはATP結合カセット(ABC)トランスポーターファミリーに属し、P−糖タンパク質、乳がん耐性タンパク質、および多剤耐性関連タンパク質1を含む。MDRを付与する他のABCトランスポーターは、XiaおよびSmith「Drug efflux and multidrug resistance in acute leukemia: therapeutic impact and novel approaches to mediation」Mol. Pharmacol.(2012年)82巻(6号):1008〜1021頁に記載されている。例示的な第3級アミン含有MDR阻害剤薬物は、Zinziら「Small and innovative molecules as new strategy to revert MDR」Front. Oncol.(2014年)doi:10.3389/onc.2014.00002によって提供され、Tariquidar(商標)およびElacridar(商標)ならびにPalevaら「Interactions of the multidrug resistance modulators Tariquidar and Elacridar and their analogues with p-glycoprotein」Chem. Med. Chem. (2013年) doi: 10.1002/cmdc.201300233で提供されているようなその誘導体を含む。第3級アミン含有MDR阻害剤薬物は、独立して細胞毒性でも細胞分裂停止性でもないが、これらは、本発明のLDCから放出される、第3級アミンを含有する細胞毒性または細胞分裂停止性の薬物への包含用にそのように分類される。
4級化薬物単位に組み込まれている第3級アミンを有する例示的なMDR阻害剤薬物は、4級化第3級アミン含有薬物に関する実施形態において提供されている。典型的には、これらの薬物は、LDCに組み込まれる際にその窒素が4級化の部位となるイソキノリン部分構造により特徴付けられる。したがって、いくつかの例示的なMDR阻害剤は、構造:
(式中、Arは、任意選択で置換されているアリールである)を有し、Tariquidar(商標)およびElacridar(商標)を含む。
「予防する」、「予防すること」などの用語は、本明細書で使用する場合、医学的技術におけるその通常の従来通りの意味を採用し、したがってこの用語が指す各事例が確実に回避されることを必要としない。
「細胞内代謝物」は、本明細書で使用する場合、細胞内でのLDCに対する代謝プロセスまたは反応から結果として生じる化合物を指す。代謝プロセスまたは反応は、酵素的プロセス、例えば、LDCのペプチドリンカーのタンパク質分解の切断などであってよい。細胞内代謝物は、これらに限定されないが、標的とされる細胞への侵入、拡散、取り込みまたは輸送後、細胞内の切断を経験した標的化部分および遊離薬物を含む。
「細胞内切断された」、「細胞内切断」などの用語は、本明細書で使用される場合、細胞内でのLDCなどに対する代謝プロセスまたは反応であって、これによって、第4級アミンと抗体の間の共有による結合、例えばリンカーが破壊され、細胞内の標的化部分から分離した、コンジュゲートの遊離第3級アミン含有薬物または他の代謝物をもたらす、代謝プロセスまたは反応を指す。したがって、LDCの切断した部分は細胞内代謝物である。
「バイオアベイラビリティー」は、本明細書で使用する場合、患者に投与される薬物の所与の量の全身性利用の可能性(すなわち、血液/血漿レベル)を指す。バイオアベイラビリティーは、投与された剤形から全身循環に到達する薬物の時間(速度)と総量(程度)の両方の測定を示す絶対的用語である。
「対象」とは、本明細書で使用する場合、LDCの有効量を投与することから恩恵を受ける、過剰増殖、炎症性もしくは免疫障害を有する、またはこのような障害を起こす傾向がある、ヒト、非ヒト霊長類または哺乳動物を指す。対象の非限定的例として、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、雌ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、トリおよび家禽が挙げられる。典型的には、対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウスまたはイヌである。
「阻害する」または「〜の阻害」という用語は、測定可能な量だけ減少させる、または完全に阻止することを意味する。ADCにとっての過剰増殖細胞の増殖の阻害は、典型的には、細胞培養物(in vitroで)または異種移植片モデル(in vivoで)などの適切な試験系内で未処理の細胞(ビヒクルで擬似処理した)に対して決定される。典型的には、目的の過剰増殖細胞または活性化免疫刺激細胞に存在しない抗原への標的化部分で構成されるLDCは、陰性対照として使用される。
「治療有効量」という用語は、哺乳動物において疾患または障害を処置するのに有効な薬物の量を指す。がんの場合、薬物の治療有効量は、がん細胞の数を減少させること、腫瘍の大きさを減少させること、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害する(すなわち、ある程度進行を遅らせ、好ましくは停止する)こと、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度進行を遅らせ、好ましくは停止する)こと、腫瘍の成長をある程度阻害すること、および/またはがんに伴う症状のうちの1つもしくは複数をある程度緩和することができる。薬物が、既存のがん細胞の成長を阻害するおよび/または死滅させ得る範囲内で、それは、細胞分裂停止性および/または細胞毒性であってよい。がん療法に対して、効力は、例えば、疾患進行に対する時間(TTP)を評価するおよび/または応答率(RR)を判定することによって測定することができる。
過剰刺激された免疫細胞から結果として生じる免疫障害の場合、薬物の治療有効量は、過剰刺激された免疫細胞の数、これらの刺激の程度および/またはその他の点では正常な組織への浸潤を減少させること、ならびに/あるいは過剰刺激された免疫細胞に起因する調節不全の免疫系に伴う症状のうちの1つもしくは複数をある程度緩和することができる。過剰刺激された免疫細胞に起因する免疫障害に対して、効力は、例えば、1つもしくは複数のサイトカインレベル、例えば、IL−1β、TNFα、INFγおよびMCP−1に対するサイトカインレベル、または古典的に活性化したマクロファージの数を含む、1つもしくは複数の炎症性の代用物を評価することによって測定することができる。
本発明の一部の態様では、リガンド薬物コンジュゲートは、標的細胞(すなわち、過剰増殖細胞または過剰刺激された免疫細胞)の表面で抗原と会合し、次いで、リガンド薬物コンジュゲートは、受容体媒介性エンドサイトーシスを介して標的細胞内に吸収される。一度細胞の内側に入ると、リンカー単位内の1つまたは複数の切断単位が切断され、第3級アミン含有薬物の放出をもたらす。次いで、放出された第3級アミン含有薬物は、サイトゾル内を自由に移動し、細胞毒性もしくは細胞分裂停止性活性を誘発するか、または過剰刺激された免疫細胞の場合には、代わりに炎症誘発性シグナル伝達を阻害することができる。本発明の別の態様では、薬物は、標的細胞の外側で、ただし標的細胞に接近した範囲内でリガンド−薬物コンジュゲートから切断されることによって、放出された第3級アミン含有単位はこれに続いて、遠位の部位で放出されるのではなく、細胞に浸透する。
「担体」とは、この用語が本明細書で使用される場合、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を指す。このような薬学的担体は、水および油(石油、動物、植物または合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含めて)などの液体であってよい。担体は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状のシリカ、ウレアであってよい。加えて、助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を使用することができる。一実施形態では、患者に投与される場合、化合物または組成物および薬学的に許容される担体は無菌である。化合物が静脈内に投与される場合、水は例示的担体である。生理食塩水溶液および水性ブドウ糖およびグリセロール溶液もまた、特に注射溶液に対して液体担体として利用できる。適切な薬学的担体として、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、穀粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノールなども挙げられる。本発明の組成物はまた、所望する場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。
「処置する」、「処置」などの用語は、文脈により特に指摘されていない限り、再発を予防するための治療的処置および予防的対処を指し、この目的は、所望しない生理学的変化または障害、例えば、がんの発症もしくは拡散または慢性炎症から生じる組織損傷などを阻害するまたは減速させる(軽減する)ことにある。典型的には、このような治療的処置の有益なまたは所望の臨床結果として、これらに限定されないが、検出可能または検出不能に関わらず、症状の軽減、疾患の程度の減退、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行を遅延させるまたは遅らせる、病態の回復または緩和、および寛解(部分的であれ全部であれ)が挙げられる。「処置」はまた、処置を受けていない場合に予想される生存または生活の質と比較して、生存または生活の質を長引かせることを意味することもできる。処置を必要とする人たちとして、状態または障害をすでに有する人たち、ならびにこれらの状態または障害を起こす傾向がある人たちが挙げられる。
がん、または慢性炎症に関係した病態との関連で、「処置する」という用語は、腫瘍細胞、がん細胞、もしくは腫瘍の成長を阻害すること、腫瘍細胞もしくはがん細胞の複製を阻害すること、腫瘍細胞もしくはがん細胞の播殖を阻害すること、全身腫瘍組織量を和らげるもしくはがん性細胞の数を低減させること、炎症誘発性免疫細胞の複製もしくは刺激を阻害すること、調節不全の免疫系の慢性の炎症性状態を阻害もしくは低減すること、または自己免疫性の状態もしくは疾患を有する対象が経験する発赤の強度および/もしくは頻度を低減させること、あるいはがんまたは過剰免疫で刺激された疾患もしくは状態に伴う1つまたは複数の症状を回復させることのうちのいずれかまたはすべてを含む。
「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用する場合、化合物の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。化合物は、典型的には少なくとも1つのアミノ基を含有し、したがってこのアミノ基を用いて酸付加塩を形成することができる。例示的な塩として、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチレート、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))が挙げられる。
薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの包含を含み得る。対イオンは、親化合物の電荷を安定化する有機部分または無機部分のいずれかであってよい。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に1個より多くの帯電した原子を有することができる。複数の帯電した原子が薬学的に許容される塩の一部である事例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1個または複数の帯電した原子および/あるいは1つまたは複数の対イオンを有することができる。
典型的には、薬学的に許容される塩は、P. H. StahlおよびC. G. Wermuth(編)Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use、Weinheim/Zuerich:Wiley-VCH/VHCA、2002年に記載されているものから選択される。塩の選択は、薬物製品が示さなければならない特性に依存し、この特性は、意図される投与経路(複数可)に応じた様々なpH値での十分な水性溶解度、取扱いならびに促進条件下(すなわち、40℃および75%相対湿度で保存した場合の分解または固体変化を判定するため)で化学的および固体安定性を判定することによる必要とされる貯蔵寿命に適切な、流れ特性ならびに低い吸湿性(すなわち、水吸収対相対湿度)を有する、結晶化度を含む。
「付加数」、「薬物付加数」、「ペイロード付加数」などの用語は、LDCの集団(すなわち、同じまたは異なる結合位置を有するが、その他の点では本質的に同一構造である、結合しているD+単位の数が異なるLDCの組成物)内のペイロード(「ペイロード(単数)」および「ペイロード(複数)」は、本明細書で「薬物(単数)」および「薬物(複数)」と交換可能なように使用される)の平均数を表すまたは指す。薬物付加数は、標的化部分1つ当たり1〜24個の薬物の範囲となり得る。これは、時にはDAR、すなわち薬物対標的化部分の比と呼ばれる。本明細書に記載のLDCの組成物は、典型的には、1〜24のDAR、一部の態様では1〜8、2〜8、2〜6、2〜5および2〜4のDARを有する。典型的なDAR値は、約2、約4、約6および約8である。抗体1つ当たりの薬物の平均数、すなわちDAR値は、UV/可視分光法、質量分析法、ELISAアッセイ、およびHPLCなどの従来の手段により特徴付けることができる。定量的DAR値もまた決定することができる。ある場合には、特定のDAR値を有する均質なLDCの分離、精製、および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段で達成することができる。DARは、標的化部分上の結合部位の数により限定され得る。
例えば、標的化部分が抗体であり、結合部位がシステインチオールである場合、抗体は、Lb’含有部分と反応する十分に反応性のあるチオール基を1つのみまたはいくつか有することができる。時には、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合に参加したシステイン残基から誘導されたチオール基である。またある時には、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合に参加しなかったが、遺伝子操作を介して導入されたシステイン残基のチオール基である。典型的には、D+部分の理論的最大値未満が、コンジュゲーション反応中に抗体にコンジュゲートする。例えば、抗体は、最も反応性のあるリシン基のみがLb’含有部分と反応し得るので、このLb’含有部分と反応しない多くのリシン残基を含有し得る。
「抗生剤」は、本明細書で定義される場合、哺乳動物細胞と比較して、原核細胞(例えば、細菌)に対して主にまたは選択的にその作用を発揮する天然の、半合成または合成由来の化合物を意味する。抗生剤は典型的には、この抗生剤を投与されるヒトまたは動物に対する有意な毒性なしに、微生物の成長を阻害する。抗生剤として、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、およびアンサマイシン(ansamysins)が挙げられる。抗生剤は、主に感染症の処置に使用される。本発明に対して想定される薬物は抗生剤ではない。
I.実施形態
第3級アミン含有薬物の、正常細胞と、もしくは異常細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、過剰増殖細胞もしくは過剰活性化免疫細胞への、またはこのような異常細胞の近隣への、優先的な送達が可能である、これらの異常細胞により特徴付けられる疾患および状態を処置するのに有用な、リガンド−薬物コンジュゲート(LDC)が本明細書に提供されている。
1.1 概要:
LDCは、3つの主成分を有する:(1)異常細胞または望ましくない細胞が典型的には存在しない正常細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する他の部分と比較して、これらの異常細胞または他の望ましくない細胞の細胞表面、細胞内、または細胞付近に存在する、あるいは、正常細胞、または異常細胞もしくは望ましくない細胞が典型的には存在しない正常細胞の環境と比較して、より大きな存在量で異常細胞または他の望ましくない細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在する、標的部分に選択的に結合する標的化部分からのリガンド単位(2)第3級アミン含有薬物に対応する構造を組み込んだ4級化薬物単位、ならびに(3)D+をリガンド単位に連結し、リガンド単位により標的とされる異常細胞または望ましくない細胞内または細胞の付近に遊離第3級アミン含有薬物を条件付きで放出することが可能なリンカー単位。
本発明に使用されるべき第3級アミン含有薬物は、原核細胞と比較して哺乳動物細胞に、主にまたは選択的にその作用(例えば、細胞毒性、細胞分裂停止性作用)を発揮する薬物である。一部の態様では、標的部分は、正常細胞と比較して、異常細胞または望ましくない細胞の表面に優先的に見出される、細胞外提示された膜タンパク質のエピトープである。
一部の態様では、第3級アミン基を有する細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の薬物単位(D)は、4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれ、過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常なまたは所望しない細胞に対して細胞内活性を有し、「遊離」形態(すなわち、DはD+から放出される)では、これらの細胞に対して特異的であってもなくてもよい。したがって、Dは、異常細胞または望ましくない細胞を伴わない正常細胞と比較して、異常細胞または望ましくない細胞に対して、選択的または非特異的な細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性活性を有し得る。いずれの状況でも、異常細胞または望ましくない細胞(すなわち、標的とされる細胞)に対する特異性は、Dが組み込まれているLDCのリガンド単位(L)から生じる。LおよびD+に加えて、異常細胞または望ましくない細胞を標的とするLDCは、典型的には、4級化薬物単位をリガンド単位に共有結合により結合させるリンカー単位を有する。一部の態様では、リガンド単位は、例示的な標的化部分である抗体由来のものであり、これが異常な哺乳動物細胞を認識する。
一部の態様では、リガンド単位により認識される標的部分は、正常細胞と比較して、異常細胞または望ましくない細胞の表面に優先的に見出される、細胞外提示された膜タンパク質のエピトープである。これらの態様のいくつかにおいて、さらなる必要条件として、結合した細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の薬物の有効量が優先的に異常細胞に細胞内送達されるためには、リガンド単位が標的とする膜タンパク質は、十分なコピー数を有し、LDCの結合により内在化されなければならない。これらの制限により、D+から放出される薬物は典型的に、所望の作用部位から離れたまたはその周辺の正常細胞の破壊、損傷または望ましくない阻害により生じる耐えられない副作用のため、典型的には独立した薬物として対象に投与され得ない、高活性化合物である。
有害な周辺の作用を有する第3級アミン含有薬物が、そのLDCにより選択的に送達される必要があるとすると、LDCのリンカー単位は、標的化部分と、第3級アミン含有薬物がそこから放出されるD+との間で架橋としての機能を果たす単なる受動的構造ではなく、LDCの投与の部位から標的とされる部位へのその送達まで安定性を有するように慎重に操作され、次いで活性薬物部分を効率的に放出しなければならない。その作業課題を遂行するために、標的化部分は、Lb’含有部分と反応して、Lb含有部分を形成する。こうして形成されたLb含有部分がLDCである場合、このような化合物は、典型的にはリガンド単位の形態の標的化部分、第1次リンカー(LR)とも呼ばれるリガンド結合部分(Lb)、4級化第3級アミン含有薬物(D+)およびLbとD+の間にある第2次リンカー(Lo)で構成される。
1.1 第1次リンカー(LR):
第1次リンカー(LR)は、リガンド結合部分(Lb)またはリガンド結合部分前駆体(Lb’)であり、典型的には、LDCのリンカー単位の構成成分またはLb’含有部分、例えば、Lb’−LoまたはLb’−Lo−D+などとして存在する。Lb’含有部分の第1次リンカーは、標的化部分の求電子性または求核性官能基と反応することが可能な官能基で構成される。その反応の結果、標的化部分は、Lbを介して第1次リンカーに共有結合し、この第1次リンカーは、ここでLb’から誘導された官能基を有するLbとなる。
一部の実施形態では、Lb’含有部分中のLb’は、以下のうちの1つの構造を有する
(式中、Rは、水素またはC1〜C6の任意選択で置換されているアルキルであり、Tは、−Cl、−Br、−I、−O−メシル、−O−トシルまたは他のスルホン酸エステル脱離基であり、Uは、−F、−Cl、−Br、−I、−O−N−スクシンイミド、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニルまたは−O−C(=O)−OR57であり、X2は、C1〜10アルキレン、C3〜C8炭素環、−O−(C1〜C6アルキル)、−アリーレン−、C1〜C10アルキレン−アリーレン、−アリーレン−C1〜C10アルキレン、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C6炭素環)−、−(C3〜C8炭素環)−C1〜C10アルキレン−、C3〜C8複素環、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン、−(CH2CH2O)u、または−CH2CH2O)u−CH2−であり、uは、1〜10の範囲の整数であり、R57はC1〜C6アルキルまたはアリールであり、波線は、Loのサブユニットへの共有結合を示す)。
標的化部分の求電子剤または求核剤との相互作用により、Lb ’は、以下に例示されているようなリガンド−Lb部分に変換され、ここで1つのこのような相互作用が生じる:
(式中、示された(#)原子は、リガンドの反応性部分から誘導され、X2は定義されている通りである)。
1.2 第2次リンカー(Lo):
LDCまたはLb’を含有するその前駆体の中の第2次リンカーは、第1次リンカー(LR)と4級化薬物単位(D+)との間に位置する有機部分であり、LDCが標的とする過剰増殖細胞、過剰活性化免疫細胞または他の異常細胞もしくは望ましくない細胞の表面、細胞内、または細胞付近に存在するその同族の標的部分にLDCの標的化部分が選択的に結合した後、LDCのリンカー単位内の切断可能単位のプロセシングを提供する。一部の実施形態では、Wは、過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞内に存在するプロテアーゼに対する基質を提供する。そのLDCからの早期放出によって起こる、標的のない薬物放出もしくは第3級アミン含有薬物への全身暴露を最小限に抑えるために、典型的には過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の存在下にない正常細胞により排出されるプロテアーゼで認識されないか、または全身循環を有するプロテアーゼに対する基質である切断単位が好ましい。調節性プロテアーゼまたはリソソームに見出されるプロテアーゼであるプロテアーゼがさらに好ましく、リソソームは、LDCが特異的に結合した膜表面受容体の内在化によりLDCが送達される細胞の区画である。調節性プロテアーゼおよびリソソームプロテアーゼは例示的な細胞内プロテアーゼである。
一実施形態では、第2次リンカー内のWは、構造:
(式中R29は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R30はメチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または、−(CH2)2CO2Hである)を有するジペプチド部分で構成されるかまたは前記ジペプチド部分からなり、このジペプチド部分は、調節性プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼのための認識部位を提供する。
好ましい実施形態では、ジペプチドはバリン−アラニン(val−ala)である。別の実施形態では、Wは、ジペプチドバリン−シトルリン(val−cit)で構成されるかまたはこれからなる。別の実施形態では、Wは、ジペプチドトレオニン−グルタミン酸(thr−glu)で構成されるかまたはこれからなる。これらの実施形態のいくつかでは、ジペプチド部分は、アラニンもしくはシトルリンカルボン酸官能基またはグルタメートのアルファカルボン酸官能基と、SIのアリールまたはヘテロアリールアミノ基との間で形成されるアミド結合を介して、YのSI単位に共有結合により結合している。したがって、これらの実施形態では、SIはアリールアミンまたはヘテロアリールアミン部分で構成され、ジペプチド部分の上述のカルボン酸官能基は、そのアリールアミン部分のアミノ窒素とアニリド結合を形成する。
別の実施形態では、第2次リンカー内のWは、細胞内に位置するグリコシダーゼのための認識部位を有するグリコシド結合した炭水化物部分で構成される。これらの実施形態では、WはEに結合した炭水化物部分であり、W−Eは、EからのWの切断のための認識部位を提供し、WとEの間の結合はグリコシド結合である。これらの実施形態では、W−Eは、典型的には、構造
(式中、R45は−CH2OHまたは−CO2Hであり、Eは、炭水化物部分に、およびYの自壊性部分(波線で示されている通り)に結合したヘテロ原子部分、例えば、−O−、−S−または−NH−であり、炭水化物部分への結合は、グリコシダーゼのための認識部位を提供する)を有する。好ましくはその部位は、リソソームグリコシダーゼにより認識される。一部の実施形態では、R45が−CO2Hである場合のように、グリコシダーゼはグルクロニダーゼである。
Wに加えて、第2次リンカーはまたスペーサー(Y)単位で構成され、Wに関して、
によりそれぞれ表される直線的または直角の関係で配置されたストレッチャー(A)単位でさらに構成されてもよい
(式中、下付き文字wは1であり、yは1であり、下付き文字aは0または1であり、
Yへの波線は、YのD+への共有結合を示し、両方の構造において、aが1の場合にはAへの波線、またはaが0の場合には、Y−D+との直線的配置ではWへの波線、もしくはWがY−D+と直角の配置にある場合にはYへの破線は、A、WまたはYの、それぞれ、LbまたはLb’のScへの共有結合を示す)。好ましい実施形態では、a、wおよびyはそれぞれ1である。
Loの中のいくつかの例示的なA、WおよびY部分、ならびにこれらの置換基の構造は、本明細書に参照により組み込まれているWO2004/010957、WO2007/038658、米国特許第6,214,345号、同第7,498,298号、同第7,968,687号および同第8,163,888号、および米国特許公開第2009−0111756号、同第2009−0018086号および同第2009−0274713号に記載されている。
一部の実施形態では、A部分またはそのサブユニット(例えば、A1、Ao)は、
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、Aに対して直線的に配置されたWを構成するジペプチド部分のアミノ末端への結合点、またはWがYに結合し、Aに対して直角に配置されている本明細書に記載のYの中のSIの自壊部分への結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、LbまたはLb’の中のScのカルボニル含有官能基への結合点を表し、
KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42、またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR42、R43のうちの1つは不在であるが、ただし、2つの隣接するLはN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、
qは0〜12の範囲の整数であり、rは1〜12の範囲の整数であり、
Gは、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここでRPRは、適切な保護する)、−N(RPR)(RPR)(ここでRPRは、独立して保護基であるか、またはRPRは、適切な保護基を一緒に形成する)であるか、または−N(R45)(R46)であり、R45、R46の一方は水素またはRPRであり、RPRは適切な保護基であり、他方は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、
R38は、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、もしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR40とR41、もしくはR40とR43、もしくはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子と、ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員または6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成するが、ただし、KがOまたはSの場合、R41およびR42は不在であり、KがNの場合、R41、R42のうちの1つは不在であり、LがOまたはSの場合、R43およびR44は不在であり、LがNの場合、R43、R44のうちの1つは不在である)の構造を有する。
一部の実施形態では、R38は水素である。他の実施形態では、−K(R41)(R42)は−(CH2)−である。pが0でない場合の他の実施形態では、R39およびR40は出現するたびに水素である。qが0でない場合の他の実施形態では、−L(R43)(R44)−は出現するたびに−CH2−である。
好ましい実施形態では、Gは−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、Kおよび/またはLはCである。他の好ましい実施形態ではqまたはpは0である。また他の好ましい実施形態では、p+qは1〜4の範囲の整数である。
一部の実施形態ではAまたはそのサブユニットは、−NH−C1〜C10アルキレン−C(=O)−、−NH−C1〜C10アルキレン−NH−C(=O)−C1〜C10アルキレン−C(=O)−、−NH−C1〜C10アルキレン−C(=O)−NH−C1〜C10アルキレン(C=O)−、−NH−(CH2CH2O)s−CH2(C=O)−、−NH−(C3〜C8カルボシクロ)(C=O)−、−NH−(アリーレン−)−C(=O)−、および−NH−(C3〜C8ヘテロシクロ−)C(=O)の構造を有する。
他の実施形態では、Aまたはそのサブユニットは、
(式中、R13は、−C1〜C10アルキレン−、−C3〜C8カルボシクロ−、−アリーレン−、−C1〜C30ヘテロアルキレン−、−C3〜C8ヘテロシクロ−、−C1〜C10アルキレン−アリーレン−、−アリーレン−C1〜C10アルキレン−、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8カルボシクロ)−、−(C3〜C8カルボシクロ)−C1〜C10アルキレン−、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−(C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン−、−(CH2CH2O)1〜10(−CH2)1〜3−、または−(CH2CH2NH)1〜10(−CH2)1〜3−である)の構造を有する。一部の実施形態では、R13は、−C1〜C10アルキレン−または−C1〜C30ヘテロアルキレン−である。一部の実施形態では、R13は、−C1〜C10アルキレン−、−(CH2CH2O)1〜10(−CH2)1〜3−、または−(CH2CH2NH)1〜10(−CH2)1〜3−である。一部の実施形態では、R13は、−C1〜C10アルキレン−ポリエチレングリコール、またはポリエチレンイミンである。
さらに好ましい実施形態では、Aまたはそのサブユニットは、構造において、アルファ−アミノ酸−、ベータ−アミノ酸部分、または他のアミン含有酸に対応する。AおよびサブユニットA1およびAoの他の実施形態は、リンカー単位としてのLR−Loに関する実施形態において記載されている。
一部の実施形態では、Y部分は、Yに共有結合したWの酵素的プロセスの後で、1,4−脱離反応または1,6−脱離反応を経験することが可能である(すなわち、YはSIで構成される)。一部の実施形態では、Loにおいて直線的に配置されたYのSIは、
(式中、V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、−C(R24)=または−N=であり、Uは、−O−、−S−または−N(R25)−であり、
R24は、独立して、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR25、−SR26、−N(R27)(R28)、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、または−C(R29)=C(R30)−R31であり、R25は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R26は、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R27およびR28は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR27およびR28の両方は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員の複素環を構成し、R29およびR30は、独立して、水素、または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R31は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)OR32または−C(=O)NR32であり、R32は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、または任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であるが、
ただし、R24のうちの2つ以下は、水素以外とし、
Jは、−O−、S−、または−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、
Eへの波線は、1,4−脱離または1,6−脱離に対してSIのアリーレン部分を安定化するために十分にEの電子供与能力を阻害するWの官能基へのEの共有結合を表し、Wの酵素プロセシングが、Yに結合した活性薬物部分を放出する脱離を引き起こすその能力の脱阻害をもたらし(例えば、Eが、Wのカルボニル含有官能基のカルボニル部分に結合している場合)
1,4−脱離または1,6−脱離により、D+内の第3級アミン含有化合物が放出される)の構造を有する。
SIがLoの中でWおよびD+に関して直線的に配置された場合の好ましい実施形態では、SIは、
の構造を有する。
好ましい実施形態では、−J−は、−O−または−NH−であり、V、Z1またはZ2は=C(R24)であり、R24は水素または電子供与基である。他の好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、V、Z1またはZ2は=CH−である。他の好ましい実施形態では、−J−は−NHであり、V、Z1またはZ2は=CH−であり、R’は水素または電子供与基である。
他の実施形態では、W−Yは、Loにおいて直角に配置され(すなわち、リンカー単位内で−Y(W)−である)、YのSIは、グリコシダーゼのための認識部位を有するグリコシド結合した炭水化物部分に結合しており、SIを含めた直角の配置は、典型的には、
(式中、Eは、V、Z1、Z3のうちの1つに結合しているが、ただし、他のV、Z1、Z2(すなわち、Eに結合していないもの)は=C(R24)−もしくは=N−で定義される)の構造で表されるか、またはSIは、
(式中、V、Z1およびZ3は、独立して、−C(R24)=または−N=であり、R24は、独立して、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR25、−SR26、−N(R27)(R28)、−C(R29)=C(R30)−R31または任意選択で置換されているC1〜C6であり、
R25は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R26は、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R27およびR28は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR27およびR28の両方は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員の複素環を構成し、R29およびR30は、独立して、水素、または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R31は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−CN、−C(=O)OR32または−C(=O)NR32であり、R32は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、または任意選択で置換されているヘテロアリールであり、
R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R’は、水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子求引基であり、R45は、−CH2OH、−CO2Hであり、Eは−O−または−NH−であり、Jは−NH−であり、D+は、4級化薬物単位に関して記載されている実施形態において定義されている通りである)の構造で表される。
W−YがLoにおいて直角に配置されている場合の好ましい実施形態では、YのSIは、
の構造を有する。
好ましい実施形態では、−E−は、−O−または−NH−であり、VまたはZ3は=C(R24)であり、R24は水素または電子求引基である。他の好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、V、Z1またはZ2は=CH−である。他の好ましい実施形態では−J−は−NHであり、V、Z1またはZ2は=CH−であり、R’は水素または電子求引基である。
1.3 リンカー単位としてのLR−Lo
本明細書で開示されている上記SI部分のいずれかに結合している第4級薬物単位(D+)は、第3級アミン部分を有する任意の4級化された細胞毒性、細胞分裂停止性、免疫抑制性または抗炎症性の薬物(すなわち、D+は4級化第3級アミン含有薬物である)を表すことができ、その4級化窒素は、SI部分のベンジル位置に結合している。
一部の実施形態では−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、Lbへの波線は、LDCの標的化部分への共有結合を示し、Q1はAa−Wwであり、Aは、2、3または4つのサブユニットで、任意選択で構成される、任意選択のストレッチャー単位であり、下付き文字aは0または1であり、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、循環している血清プロテアーゼと比較して、標的化部分の標的となる異常細胞により生成されるプロテアーゼにより、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより選択的切断が可能であり、あるいは血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下で、加水分解に対してさらに反応性があり、Q2のW−Eは、グリコシダーゼにより切断可能であり、下付き文字wは0または1であり、w’は0または1であり、w+w’は1であり(すなわち、1つのみのWが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CN、もしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基、−Q2、もしくは−C(R8)(R9)−D+であるが、ただし、w’が1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+がV、Z1、Z2、Z3のうちの1つに結合し、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基が互いにオルトまたはパラにあるものとし、
ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+が、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに結合し、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに結合することとなり、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、pは、1〜24の範囲の数であり、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、加水分解またはグリコシダーゼ切断は、DのD+からの排出をもたらす)の構造を有する。
好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、V、Z1およびZ2は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルである)の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、V、Z2およびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは、−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルである)の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、Vは、=N−または=C(R24)−であり、R24は水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子求引基であり、Z1は、=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは、−O−または−N(R33)であり、R33は、水素または低級アルキルである)の構造を有する。
Q2で構成される上記−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+構造のさらに好ましい実施形態では、Vは=C(R24)−であり、R24は水素、ハロゲンまたは−NO2である。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、VおよびZ1は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは、−O−または−N(R33)であり、R33は、水素または低級アルキルであり、R’は、水素または電子求引基である)の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、Z1は、=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、Z3は、=N−または=C(R24)−であり、R24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子求引基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子供与基である)の構造を有する。
Q2で構成される上記−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+構造のさらに好ましい実施形態では、Z3は=C(R24)−であり、R24は水素、ハロゲンまたは−NO2である。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、VおよびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は、水素または電子求引基である)の構造を有する。
一部の実施形態では、LR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+)は、
(式中、V、Z1およびZ2は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子供与基である)の構造を有する。
好ましい実施形態では、上記LR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+およびLb’−Lo−D+)の構造のうちのいずれか1つの中のV、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも1つは−CH=であり、すなわち=N−ではない。
さらに好ましい実施形態では、LR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+)は、
(式中、V、Z1またはZ3は=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子求引基である)の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、Q1で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のR8およびR9は水素である。Q1で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中の他のさらに好ましい実施形態では、V、Z1またはZ2は=C(R24)−であり、R24は水素または電子供与基である。したがって、これらのさらに好ましい実施形態のいくつかは、
の構造を有する。
他のさらに好ましい実施形態では、Q1の中のAは、Q1で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のAが存在する場合(すなわち、aが1)、アミン含有酸のカルボン酸末端がエステルまたはアミドとしてJに結合し、そのN末端がカルボニル含有官能基を介してLbまたはLb’に結合しているアミン含有酸に構造において対応する。
他の実施形態ではLR−Lo−D+(すなわち、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+)は、
(式中、V、Z1またはZ3は=N−または=C(R24)−であり、独立して選択されるR24は、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは電子供与基であり、R8およびR9は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Jは−O−または−N(R33)であり、R33は水素または低級アルキルであり、R’は水素または電子求引基である)の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、Q2で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のR8およびR9は水素である。他のさらに好ましい実施形態では、VまたはZ3は=C(R24)−であり、R24は水素または電子供与基である。したがって、これらのさらに好ましい実施形態のいくつかは、
の構造を有する。
他のさらに好ましい実施形態では、Aは、Q2で構成される上記LR−Loの構造のうちのいずれか1つの中のAが存在する場合、アミン含有酸のカルボン酸末端がエステルまたはアミドとしてJに結合し、そのN末端がカルボニル含有官能基を介してLbまたはLb’に結合しているアミン含有酸に構造において対応する。特に好ましい実施形態では、上記−Lb−Lo−D+、Lb’−Lo−D+またはLR−Lo−D+の実施形態のいずれか1つの中の−Lb−A−またはLb’−Aは、
で表されるM1−A、M1−A1−Ao−、M2−AまたはM2−A1−Ao−の構造を有する
(式中、A1およびAoはAのサブユニットであり、Lbはスクシンイミド(M2)部分であり、Lb’はマレイミド部分(M1)であり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−はAまたはAのサブユニット(A1)であり、RおよびRa2は、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、Ra1は、水素、低級アルキルまたはBUであり、HEは、任意選択の加水分解促進剤(HE)単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいは一方のRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、他方のRb1は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造を有する塩基性単位であり、nは0、1、2または3であり、R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはR22およびR23は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、標的化部分のスルフヒドリル部分は、スクシンイミド部分への波線で示されている通りM2に結合しており、HEへの(またはHEが存在しない場合には、[C(Rb1)(Rb1)]mへの)波線は、Aの別のサブユニットへの、またはQ1が存在するような実施形態ではWへの、またはQ2が存在するような実施形態ではSI部分のV、Z1、Z2もしくはZ3への共有結合を示す)。
それらの実施形態では、−LbおよびLb’は、スクシンイミド(M2)部分と呼ばれ、これらに対応する−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−またはLb’−A1は、スクシンイミド含有部分と呼ばれ、これらは、代表的なLSS部分である。
他の特に好ましい実施形態では、上記Lb−を含有する実施形態のいずれか1つの中の−Lb−A−または−Lb−A1−Aoは、
(式中、A1およびAoはAのサブユニットであり、M3AおよびM3BはM3の位置異性体であり、標的化部分およびHE(または[C(Rb1)(Rb1)]m)のスルフヒドリル基への可変基および結合性は、すぐ上に示されている対応するスクシンイミド含有部分に関して定義されている通りである)で表されるM3−AまたはM3−A1−Aoの構造を有する。本発明の実施形態では、Lbはコハク酸−アミド(M3)部分と呼ばれ、−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−またはLb’−A1はコハク酸−アミド含有部分と呼ばれ、これらは代表的なLS部分である。
これらの−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−およびLb’−A1またはM1−A、M1−A1−Ao−、M2−A、M2−A1−Ao−、M3−AおよびM3−A1−Aoの実施形態のいずれか1つでは、各Rbは、独立して、好ましくは水素または低級アルキルであり、mは0または1であり、Ra1は好ましくは水素、低級アルキルもしくはBUであるか、またはRa2は好ましくは水素である。
Q1がAまたはA1−Aoで構成される、Q1で構成される上記実施形態のいずれか1つでは、好ましい実施形態は、Q1のWがアミド官能基を介してAまたはAoに結合しているものである。それらの実施形態では、好ましくはA、A1およびAoは、ストレッチャー単位の実施形態に関して本明細書に記載されているようなアミン含有酸に対応する、独立して選択される構造を有する。AまたはA1で構成される上記−Lb−A−、Lb’−A、−Lb−A1−およびLb’−A1の実施形態のいずれか1つでは、AおよびA1は、ストレッチャー単位の実施形態(Aは、Wに結合しているか、またはA1はアミド官能基を介してAoに結合している)に関して本明細書に記載されているようなアミン含有酸に対応する構造を好ましくは有する。上記M1−A、M1−A1−Ao−、M2−A、M2−A1−Ao−、M3−AおよびM3−A1−Aoの実施形態のいずれか1つでは、好ましくはA、A1およびAoは、ストレッチャー単位AおよびサブユニットAoの実施形態に関して本明細書に記載されているようなアミン含有酸に対応する、独立して選択される構造を有する。−A(BU)−または−A1(BU)−部分で構成される上記LSSまたはLSの実施形態のいずれか1つでは、AおよびA1は、BUで置換されているアミン含有酸に対応する構造を好ましくは有し、したがって、ストレッチャー単位および塩基性単位の実施形態に関して本明細書に記載されているようなジアミノ含有酸である。アミン含有酸に構造において対応するAまたはA1部分を有する、M1を含有する部分、M2を含有する部分およびM3−を含有する部分において、このアミン含有酸のアミン窒素は、M1環系もしくはM2環系のイミン窒素またはM3部分のアミド窒素として組み込まれる。LSSまたはLS−を含有する部分の中で、ジアミノ含有酸のN末端アミン窒素は、M1環系もしくはM2環系のイミン窒素またはM3部分のアミド窒素として組み込まれている。好ましくは、上記M1を含有する部分、M2を含有する部分およびM3−を含有する部分またはLSSもしくはLS−を含有する部分のいずれか1つでは、アミン含有酸またはジアミノ含有酸のカルボン酸は、A1−Ao−で構成されるような部分ではAoに対する、または、Aoが存在しない場合、Aで構成される部分ではWに対するアミド官能基に組み込まれる。
他の好ましい実施形態では、Wは、カテプシンプロテアーゼにより認識されるジペプチドで構成され、このジペプチドは、別のアミド官能基を介してSIのJに結合しており、このカテプシンは、SIへのWのアミド結合を切断して、SIのフラグメント化を引き起こすことによって、SIに結合したD+からDを放出することが可能である。
HEで構成されるこれらの実施形態および上記実施形態のいずれか1つでは、HEは好ましくは−C(=O)−である。Q1のWがカテプシンプロテアーゼにより認識されるジペプチドで構成される上記実施形態のいずれか1つでは、好ましいジペプチドは、
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドN末端の波線は、AまたはLbもしくはLb’への共有結合を示し、ジペプチドC末端の波線は、SI部分のJへの共有結合を示す)の構造を有する。
Q1で構成される好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、A1およびAoはAのサブユニットであり、Aoは任意選択のサブユニットであり(すなわち、Aoが不在の場合、A1はAとなる)、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、R’、R8、R9、J、V、Z1およびZ2は、式Iに関して先に定義された通りである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他のさらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。また他のさらに好ましい実施形態では、J、V、Z1およびZ2はそれぞれ−CH=である。またさらに好ましいのは、Lb’がマレイミド部分(M1)の構造を有するか、またはLbが、スクシンイミド部分(M2)もしくはコハク酸−アミド(M3)部分の構造を有する実施形態である。
Q1で構成される他の好ましい実施形態では、式LR−LO−D+のリガンド薬物コンジュゲートまたは薬物リンカー化合物は、
(式中、下付き文字wは、1、2、3、またはそれ超であり、好ましくは2であり、Wは、ジペプチドからなるかまたは構成され、このジペプチドは、Wwの連続的なアミノ酸サブユニットであり、このジペプチドサブユニットは、Wwの遠位末端にあり(すなわち、このジペプチドは、−W2−W1−の式を有する)、示された結合は、自由に循環している血清プロテアーゼと比較して、細胞内プロテアーゼにより特異的に切断可能なアミド結合である)の構造を有する。下付き文字aが1の場合の一部の実施形態では、ストレッチャー単位(A)は分枝単位である。Aaが分枝単位(B)で構成され、そして下付き文字aが2またはそれ超の場合の他の実施形態では、Bは、好ましくはAaの遠位のサブユニットにある。他の実施形態ではBは好ましくはWwの近位末端に連結しており、Bは好ましくはAaの遠位末端にある(例えば、Aaが−A1−AO−の場合にBがAOであるか、またはAaが−A1−AO−B−である)。これらの実施形態のいずれか1つでは、分枝単位は、可溶化単位で置換されている。
さらに好ましい実施形態では、Aまたは−A1−AO−の中のA1およびAoは、独立して構造(3)または(4)で表される:
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、好ましくはアミド官能基を介した、AもしくはAoのWへの、またはA1のAoへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、AもしくはA1のLbもしくはLb’への、またはアミド官能基を好ましくは形成するA1のカルボニル含有官能基への結合点を表し、可変基はAを表す構造に関して先に定義された通りである)。好ましい実施形態では、Lは不在(すなわち、qは0)であり、Gは水素、BU、−CO2Hもしくは−NH2、またはアスパラギン酸、グルタミン酸もしくはリシンなどの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。他の好ましい実施形態では、LおよびKは炭素であり、R41、R42、R43およびR44は出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態では、R38〜R44は、出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態は、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、rが1であり、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(4)を有する。他の好ましい実施形態では、構造(3)のpおよびqは0であるか、または構造(4)のqおよびrは0である。他の好ましい実施形態は、pおよびqが両方とも0であり、Kは、R41およびR42と一緒になって−C(=O)−である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、qが1であり、Lは、R43およびR44と一緒になって、−C(=O)−である構造(4)を有する。
構造(3)および(4)はまた、−W3−W2−W1−の中のW2に対して好ましい実施形態を表し、後者のケースにおいて提供される分枝単位Gは−CO2Hもしくは−NH2またはアスパラギン酸、グルタミン酸もしくはリシンなどの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。
さらに好ましい実施形態では、A、A1またはAoは、(3a)または(4a)
(式中、pまたはqは0または1である)の構造を有する。
LSSまたはLS部分がAまたはA1で構成される場合、好ましいAまたはA1構造は、(3)、(3a)、(4)および(4a)に対して示されているものに対応し、R38は不在であり、Gは塩基性単位(BU)であり、N末端窒素は、M1もしくはM2部分の環系のイミン窒素としてこのM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミドのアミド窒素としてM3部分に組み込まれる。
他のさらに好ましい実施形態では、AまたはAのA1およびAoは、構造において、独立して、アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸に対応する。LSSまたはLS部分がAまたはA1で構成される場合、好ましいAまたはA1部分は、構造において、BUで置換されている、アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(すなわち、ジアミノ含有酸)に対応し、BUで置換されたアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(A(BU)またはA1(BU)で表される)のN末端窒素は、M1もしくはM2部分の環系のイミン窒素としてこのM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミド部分のアミド窒素としてM3に組み込まれる。
これらの実施形態では、特に好ましいA(BU)またはA1(BU)は、(3)もしくは(3a)の構造(式中、pは0であり、GはBUである)を有するか、または(4)もしくは(4a)の構造(式中、qは1であり、GはBUである)を有する。Q1(式中、Aoは存在する)で構成される実施形態では、Aoに対応する特に好ましいアミン含有酸は、ε−アミノ−カプロン酸およびβ−アミノ−プロピオン酸を含む、−NH2−X1−CO2Hの構造(式中、X1は、任意選択で置換されているC1〜C6−アルキレンである)を有する。
好ましい実施形態では、LDCおよびこれらの薬物−リンカー前駆体のリンカー単位は、グリコシダーゼのための認識部位を有するグリコシド結合された炭水化物を提供するQ2で構成される。Q2で構成される他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
(式中、A1およびAoは、Aのサブユニットであり、Aoは、任意選択のサブユニットであり(すなわち、Aoが不在の場合、A1はAとなる)、R45は−CH2OHまたは−CO2Hであり、R8、R9、V、Z3、EおよびJは以前に定義された通りである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他のさらに好ましい実施形態では、Eは−O−である。他のさらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。他のさらに好ましい実施形態では、VおよびZ3のうちの1つまたは両方が−CH=である。またさらに好ましいのは、Lb’がマレイミド部分(M1)の構造を有する実施形態、またはLbがスクシンイミド部分(M2)もしくはコハク酸−アミド部分(M3)の構造を有する実施形態である。さらに好ましいのは、Lb’−A1がM1−A1の構造を有するか、またはLb−A1がM2−A1もしくはM3−A1に対して上記に与えられた構造を有する実施形態である。これらの実施形態のいずれか1つでは、
Q2で構成される好ましい実施形態では、Aoは存在し、(3)、(3a)、(4)または(4a)に関して先に定義された構造を有し、構造のいずれか1つのカルボニル部分への波線は、好ましくはアミド官能基を介したAoのJへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、好ましくはアミド官能基を形成する、A1のカルボニル含有官能基への結合点を表し、可変基は、Aを表す構造に関して先に定義された通りである。好ましい実施形態では、Lは不在(すなわち、qは0)であり、Gは水素、−CO2Hもしくは−NH2、またはアスパラギン酸、グルタミン酸もしくはリシンなどの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。他の好ましい実施形態では、LおよびKは炭素であり、R41、R42、R43およびR44は、出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態では、R38〜R44は、出現するたびに水素である。他の好ましい実施形態は、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、rが1であり、Kが窒素であり、R41、R42の一方が不在であり、他方が水素である構造(4)を有する。他の好ましい実施形態では、構造(3)のpおよびqは0であるか、または構造(4)のqおよびrは0である。他の好ましい実施形態は、pおよびqが両方とも0であり、KはR41およびR42と一緒になって、−C(=O)−である構造(3)を有する。他の好ましい実施形態は、qが1であり、LはR43およびR44と一緒になって、−C(=O)−である構造(4)を有する。
さらに好ましい実施形態では、AまたはAのA1およびAoは、独立して、構造においてアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸に対応する。LSSまたはLS部分を有する他のさらに好ましい実施形態では、この部分は、(3)、(3a)、(4)および(4a)に対して示されているものに対応する好ましい構造を有するAまたはA1で構成され、R38は不在であり、Gは塩基性単位(BU)であり、N末端窒素は、その部分の環系のイミン窒素としてM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミドのアミド窒素としてM3部分に組み込まれる。LSSまたはLSに対する他の好ましいAまたはA1部分は、構造において、BUで置換されているアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(すなわち、ジアミノ含有酸)に対応し、BU置換アルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸(A(BU)またはA1(BU)で表される)のN末端窒素は、その部分の環系のイミン窒素としてM1もしくはM2部分に組み込まれるか、またはコハク酸アミド部分のアミド窒素としてM3に組み込まれる。
Aoが存在するQ2で構成される実施形態では、Aoに対応する特に好ましいアミン含有酸は、ε−アミノカプロン酸およびβ−アミノ−プロピオン酸を含む−NH2−X1−CO2Hの構造(式中、X1は任意選択で置換されているC1〜C6−アルキレンである)を有する。
特に好ましいのは、Lbに結合している標的化部分が抗体である上記Lb−を含有する実施形態のいずれか1つである。
1.4 4級化薬物単位
有用なクラスの第3級アミン含有薬物としては、例として、ただしこれらに限定することなく、異常細胞または異常細胞の付近の正常細胞(すなわち、腫瘍関連細胞)に対して細胞分裂停止性もしくは細胞毒性活性を有するものが挙げられる。一部の実施形態では、第3級アミン含有薬物は、過剰刺激された免疫細胞に対して細胞分裂停止性または細胞毒性活性を有する。他の実施形態では、第3級アミン含有薬物は、腫瘍細胞または腫瘍関連細胞に対して細胞分裂停止性または細胞毒性活性を有する。このような第3級アミン含有薬物として、N末端第3級アミン部分を有するチューブリシン、ドラスタチンおよびアウリスタチン、フェナジンダイマー、ならびにテトラヒドロキノリンベースのMDR阻害剤が挙げられる。
1.4.1 4級化ドラスタチンおよびアウリスタチン
一部の実施形態では、抗増殖性の4級化第3級アミン含有薬物は、ドラスタチン10、ドラスタチン15および関係する化合物を含めた第3級アミン含有ドラスタチンであり、ドラスタチン10およびドラスタチン15に対する例示されている、示された窒素(†)は、Loの中のPABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置に共有結合することによって4級化されている。
ドラスタチン10に関係した実施形態では、例示的ドラスタチンは、ドラスタチン10のフェニルおよびチアゾール置換基が独立して選択されたアリールまたはヘテロアリール部分で置き換えられているドラスタチンである。他の例示的なドラスタチンは、C末端エステル部分が、アミド官能基(その官能基のアミド窒素はアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル(hetereoarylalkyl)部分で置換されている)で置き換えられているドラスタチン15に関係している。
他のドラスタチンベースのチューブリン破壊剤に対する構造は、示された窒素(†)が、PABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置へ共有結合することにより4級化されている以下である:
(式中、各R10、R11およびR18は、独立して選択される、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、独立して選択されるArまたはAr1およびAr2は、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールである)。4級化が可能な第3級アミンを有するドラスタチンの他のペプトイド模倣剤は、Schmittら「Synthesis of dolastatin 15 peptoids」Bioorg. Med. Chem. Lett.(1998年)8巻(4号):385〜8頁において提供されている。好ましい実施形態では、R10およびR11はメチルである。他の好ましい実施形態では、R18はt−ブチルである。他の好ましい実施形態では、Arは、任意選択で置換されているフェニルであるか、または独立して選択されるAr1および/もしくはAr2は任意選択で置換されているフェニルである。また他の好ましい実施形態では、Ar1はフェニルであり、Ar2は2−チアゾリルである。
一部の実施形態では、4級化薬物は、その窒素がPABまたはPABタイプの自壊部分のベンジル位置への共有結合により4級化されているN末端第3級アミンを有するアウリスタチンである。N末端第3級アミンを有するアウリスタチンの合成および構造は、それぞれがその全体においておよびすべての目的のため参照により組み込まれている、米国特許出願公報第2003−0083263号、同第2005−0238649号、同第2005−0009751号、同第2009−0111756号、および同第2011−0020343号;国際特許公開WO04/010957、国際特許公開WO02/088172、および米国特許第7,659,241号および同第8,343,928号に記載されている。特に、それらの特許文献において開示された4級化が可能な第3級アミンを有するアウリスタチン構造およびそれらの可変基は、具体的に参照により組み込まれているそれらの開示されたアウリスタチン構造および合成と共に、参照により本明細書に組み込まれている。本発明のLDCから放出される、例示的な第3級アミン含有アウリスタチンは、チューブリンに結合し、その結合の結果、所望の細胞(すなわち、標的細胞)に対して細胞毒性または細胞分裂停止性作用を発揮する。
N末端第3級アミンを有する例示的アウリスタチンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
式中、R10およびR11は、独立してC1〜C8アルキルであり、R12は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、各R19Aは、独立して、水素、C1〜C8アルキル、−OHまたは−O−C1〜C8アルキルであり、
R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、R21は、−CH2Phを含むアリールアルキル、−CH(CH3)−OHを含むヒドロキシルアルキル、またはC3〜C8複素環であり、Zは、O、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、mは、1〜1000の範囲の整数であり、R47は、C2〜C8アルキルであり、R48は水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、nは、0〜6の範囲の整数であり、X1はC1〜C10アルキレンである)。
N末端第3級アミンを有するいくつかの好ましいアウリスタチンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、R10およびR11は、独立して、DE−1、DE−2およびDF−1の構造内のC1〜C6アルキルであり、DE−1またはDE−2内のArは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、DF−1内でZは、−O−、または−NH−であり、R20は、水素、C1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R21は、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルである)。
さらに好ましい実施形態では、R10およびR11はメチルである。DE−1またはDE−2における他のさらに好ましい実施形態では、Arは、任意選択で置換されているフェニルまたは任意選択で置換されている2−ピリジルである。DF−1における他のさらに好ましい実施形態では、R21はX1−S−R21aまたはX1−Arであり、X1はC1〜C6アルキレンであり、R21aは低級アルキルであり、Arは、任意選択で置換されているフェニルまたはヘテロアリールである。他の好ましい実施形態では、−Z−は−O−であり、R20は低級アルキルである。他の好ましい実施形態では、Zは−NH−であり、R20は、任意選択で置換されているフェニルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールである。他の実施形態では、R21は−X1−Arであり、Xは−NH−であり、R20はArであり、独立して選択されるX1およびArは、R21に関して先に定義された通りである。
N末端第3級アミンを有するいくつかの好ましいアウリスタチンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、R10およびR11はメチルであり、R13はイソプロピルまたは−CH2−CH(CH3)2であり、R19Bは−CH(CH2Ph)−2−チアゾール、−CH(CH2Ph)−2−ピリジル、−CH(CH2−p−Cl−Ph)、−CH(CO2Me)−CH2Ph、−CH(CO2Me)−CH2CH2SCH3、CH(CH2CH2SCH3)C(=O)NH−3−キノリル、−CH(CH2Ph)C(=O)NH−p−Cl−Phであるか、またはR19Bは、
の構造を有する)。
4級化薬物単位に組み込まれる特に好ましい第3級アミン含有アウリスタチンとして、これらに限定されないが、アウリスタチンE、アウリスタチンPE、アウリスタチンPHE、アウリスタチンPYE、アウリスタチンEFP、アウリスタチンEBおよびアウリスタチンEVBが挙げられる。
一部の実施形態では、N末端第3級アミンを有するドラスタチンまたはアウリスタチンを組み込む、Lb’−Lo−D+部分は、
(式中、Lb’はマレイミド部分(M1)であり、A、W、V、Z1およびZ2は、式1に関して先に定義された通りであり、Ar、Ar1、Ar2、およびR19は、第3級アミン含有ドラスタチンおよびアウリスタチンに関して本明細書で以前定義された通りであり、SI(スペーサー単位Yをなす)のアニリン窒素は、アニリド官能基のカルボニルを介してWに結合している)の構造を有する。好ましい実施形態では、V、Z1、Z2のうちの1、2つまたはすべてが=CH−である。他の好ましい実施形態では、ArまたはAr1およびAr2は、独立して、任意選択で置換されているフェニルである。さらに好ましい実施形態では、Arはフェニルであるか、またはAr1およびAr2は両方ともフェニルであり、V、Z1およびZ2は=CH−である。
他の好ましい実施形態では、D+が4級化アウリスタチンであるペプチド切断可能単位を有する式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物は、以下のうちの1つの構造を有する:
4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記実施形態のいずれか1つでは、好ましい実施形態は、Lb’(すなわち、M1)がLb部分に置き換えられているものであり、このLb部分はまた標的化部分に結合することによってLDCを提供し、このLDC内で、Lb部分はM2またはM3部分であり、および/またはAは−A1−Ao、(式中A1およびAoはAのサブユニットである)で置き換えられている。
構造においてDE、DF、DF−1、DE−1、DE−2またはDF/E−3に対応する4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、好ましい切断可能単位(W)は、WをSIに共有結合により結合させているアニリド結合を切断可能なカテプシンプロテアーゼにより認識されるジペプチドで構成される。さらに好ましい実施形態では、Wは、
(式中、R34およびR35、ならびにA(またはそのサブユニット)およびY単位への波線で示された結合は以前定義された通りである)の構造を有するジペプチドで構成される。特に好ましい実施形態では、R34は−CH(CH3)2であり、R35は−(CH2)3−NH(=O)NH2であるか、またはR34は−CH(CH3)2であり、R35は−CH3であり、R34およびR35に対するアルファ炭素は、L−アミノ酸と同じ絶対立体配置にある。
4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、好ましいストレッチャー単位Aまたはそのサブユニット(すなわち、A1)は、アルファアミノ酸、ベータアミノ酸または他のアミン含有酸、例えば、NH2−X1−CO2Hの式(式中、X1はC1〜C6アルキレンである)を有するアミン含有酸などに構造において対応し、このアミン含有酸のN末端窒素は、M1もしくはM2部分のマレイミドもしくはスクシンイミドのイミド窒素またはコハク酸−アミド(M3)部分のアミド窒素に対応し、カルボニル基は、アミド官能基を介してWに結合している、アミン含有酸のC末端に対応する。したがって、好ましいM1−A−、M2−AもしくはM3−A部分、または好ましいM1−A1−、M2−A1もしくはM3−A1部分は、
の構造を有する。
さらに好ましいのは、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸またはε−アミノカプロン酸に対応するまたはこれらから誘導されたA単位またはそのサブユニットである。他の好ましいAまたはA1部分は、NH2−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−C(=O)OHの式(式中、Ra1は、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の式を有し、可変基は、A(BU)−およびA1(BU)−部分に関して先に定義された通りである)を有するジアミノ含有酸に、構造において対応するか、またはこれらから誘導される。さらに好ましいのは、Ra1が−CH2NH2であるAまたはA1部分である。したがって、好ましい−A−またはA1は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−C(=O)−の構造を有する。
さらに好ましい実施形態において、D+が4級化アウリスタチンであるペプチド切断可能単位Wを有する式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物は、
の構造を有する。
一部の実施形態では、さらに好ましいのは、D+が4級化アウリスタチンであり、ストレッチャー単位がM1およびX1で構成される、ペプチド切断可能単位を有する式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物であり、
の構造を有する。
構造においてDE、DF、DF−1、DE−1、DE−2またはDF/E−3に対応する4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、Aは、上記構造内で−A−が−A1−Ao−(式中、A1はAに関して上で定義されたような構造を有し、Aoは、構造において別のアミン含有酸に対応する)で置き換えられている2つのサブユニットを含有し得る。−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−Ao−の式(式中、Ra1は−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の式を有し、AoはWに結合し、A1はアミド官能基を介してAoに結合し、Ra1およびRa2置換基を有する炭素は、M1もしくはM2部分のイミド窒素またはアミド−酸M3部分のアミド窒素に結合している)を有する−A1−Ao−部分が好ましい。さらに好ましい実施形態では、−A1−Ao−は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−CH(CO2H)−(CH2)m’−1−C(=O)−または−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−1−CH(CO2H)−C(=O)−の式を有し、mは、0〜5の範囲の整数であり、m’は、1〜5の範囲の整数であり、他の可変基はAに関して定義されている通りである。構造においてDE、DF、DE−1、DE−2またはDF、DF1もしくはDF/E−3に対応する4級化アウリスタチン薬物単位で構成される上記Lb−A−またはLb’−A−を含有する部分のいずれか1つでは、特に好ましいのは、Lb’がM1であり、LbがM2であるか、またはLbがM3AまたはM3Bであり、M3AおよびM3Bは、M2の加水分解性開環によるコハク酸−アミド部分M3の位置異性体であり、M1−A−、M2−A−、M3A−A−、M3B−A、M1−A1−Ao、M2−A1−Ao、M3A−A1−AoまたはM3B−A1−Aoは、
(式中、カルボニル部分への波線は、Wへの共有結合を示し、他の波線は標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示す)の構造を有するものである。
Lb’がM1であり、D+が4級化アウリスタチンであり、−A1−AO−が構造−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−を有する、薬物リンカー化合物の好ましい実施形態は、
の構造を有する。
他の実施形態では、式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物は、4級化ドラスタチンまたはアウリスタチン薬物単位、およびグリコシダーゼにより切断可能なW’単位で構成され、そのLb’−Lo−D+部分は、
(式中、Lb’は、マレイミド部分(M1)であり、A、VおよびZ3は、式1およびSI単位の実施形態に関して先に定義された通りであり、Ar、Ar1、Ar2およびR18は、アウリスタチンベースの4級化薬物単位に関して先に定義された通りであり、R45は−CO2HまたはCH2OHであり、スペーサー単位YとしてのSIのアニリン窒素は、アニリド官能基のカルボニルを介してAに結合している)の構造を有する。好ましい実施形態では、V、Z3のうちの1つまたは両方は=CH−である。
4級化アウリスタチン薬物およびグリコシダーゼ切断可能単位(すなわち、グルクロニド単位)としてのW’で構成される、上記LbまたはLb’−を含有する部分のいずれか1つでは、Aは2つのサブユニットを含有することができ、上記構造内で−A−は−A1−Ao−で置き換えられており、A1は、Aに関して上で定義されたような構造を有し、Aoは、別のアミン含有酸に構造において対応する。さらに好ましい実施形態では、4級化ドラスタチンまたはアウリスタチン薬物単位で構成されるLb’−Lo−D+部分は、
の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、Lb’(すなわち、M1)は、標的化部分とまた結合することによって、Lb部分がM2またはM3部分であるLDCを得る、Lb部分で置き換えられている。さらに好ましい実施形態では、グリコシド結合を介してSIに共有結合により結合している炭水化物部分は、β立体配置においてそのアノマー炭素を有する。他のさらに好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。
ストレッチャー単位およびグルクロニド単位を有する実施形態では、さらに好ましいのは:
の構造のものである。
M1およびX1で構成されるストレッチャー単位、ならびにグルクロニド単位を有する実施形態では、さらに好ましいのは:
(式中、R45は好ましくは−CO2Hであり、下付き文字mは4である)の構造のものである。
他の好ましい実施形態では、上記実施形態のいずれか1つの中のAは、4級化アウリスタチン薬物単位およびプロテアーゼ切断可能なW単位で構成される、Lb含有部分またはLb’含有部分に関して本明細書で定義されるような−A1−Ao−で置き換えられており、−A1−Ao−は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb)(Rb)]m−(C=O)−NH−CH(CO2H)−(CH2)m’−1−C(=O)−または−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−1−CH(CO2H)−C(=O)−の式を有する。他の好ましい−A1−Ao−部分は、対応する4級化チューブリシン薬物単位に関して記載されている通りである。
それらの実施形態では、好ましい薬物リンカー化合物は、
の構造を有する。
1.4.1 4級化チューブリシン
実施形態の1つの群では、4級化薬物は、N末端(その第3級アミンの窒素が4級化薬物単位に組み込まれている)で第3級アミンを有するチューブリシンに構造において対応している。
一部の実施形態では、4級化薬物は、以下の式の構造で表されるチューブリシンであり、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、丸は、5員または6員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、互いに1,3−またはメタの関係にあり、残りの位置において任意選択で置換されており、R2はXA−R2Aであり、XAは、−O−、−S−、−N(R2B)−、−CH2−、−(C=O)N(R2B)−または−O(C=O)N(R2B)−であり、R2Bは水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであり、R2Aは、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、もしくは−C(=O)RCであり、RCは、水素、任意選択で置換されているアルキル、もしくは任意選択で置換されているアリールであるか、またはR2は、O連結置換基であり、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、一方のR7は水素または任意選択で置換されているアルキルであり、他方のR7は、任意選択で置換されているアリールアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルであり、mは0または1である)。他の実施形態では、4級化薬物は、構造DGで表されるチューブリシンであり、一方のR7は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、好ましくは低級アルキルであり、他方のR7は、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、好ましくはC1〜C6アルキルであり、mは0または1、好ましくは1であり、式中、他の可変基は以前定義された通りである。
一部の態様では、R2はXA−R2Aであり、式中、XAは、−O−、−S−、−N(R2B)−、−CH2−、または−O(C=O)N(R2B)−であり、R2Bは、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R2Aは、水素、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、または−C(=O)RCであり、RCは、水素、任意選択で置換されているアルキル、または任意選択で置換されているアリールであるか、あるいはR2はO連結置換基である。
一部の態様では、R2はXA−R2Aであり、式中、XAは、−O−、−S−、−N(R2B)−または−(C=O)N(R2B)−であり、R2AおよびR2Bは、独立して、水素または任意選択で置換されているアルキルであるか、あるいはR2はO連結置換基である。
他の態様では、DGまたはDH中の−N(R7)(R7)を、−N(R7)−CH(R10)(CH2R11)で置き換えて、式DH’およびDG’の4級化チューブリシン薬物を規定している:
(式中、R10は、−CO2Hで置換されているC1〜C6アルキル、またはそのエステルであり、R7は、水素であるか、もしくはR10から独立して選択されるC1〜C6アルキルであるか、またはR7およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員もしくは6員の複素環を規定し、R11は、アリールまたは5員もしくは6員のヘテロアリール(ハロゲン、低級アルキル、−OHおよび−O−C1〜C6アルキル、好ましくは−F、−CH3、および−OCH3からなる群から独立して選択される1つまたは複数の、好ましくは1または2つの、より好ましくは1つの置換基で任意選択で置換されている)であり、残りの可変基は、DGおよびDHに関して定義されている通りである)。
また他の態様では、DGまたはDHの中の−N(R7)(R7)中の一方のR7は、水素またはC1〜C6アルキルであり、他方のR7は、−CO2Hもしくはそのエステルで、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されている、独立して選択されるC1〜C6アルキルである。
構造DGおよびDHの一部の実施形態では、一方のR7は水素であり、他方のR7は、
(式中、R7Bは水素またはO連結置換基であり、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは水素もしくは低級アルキル、好ましくはメチルであり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)の構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。
構造DGまたはDHの好ましい実施形態では、一方のR7は水素であり、他方のR7は、
(式中、R7Bは−Hまたは−OHであり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)の構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。
構造DGおよびDHの他の実施形態では、一方のR7は、水素または低級アルキルであり、好ましくは水素またはメチルであり、より好ましくは水素であり、他方のR7は、
(式中、Zは、任意選択で置換されているアルキレンまたは任意選択で置換されているアルケニレンであり、R7Bは、水素またはO連結置換基、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは、水素または低級アルキル、好ましくはメチルであり、下付き文字nは、0、1または2、好ましくは0または1であり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)のうちの1つの構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。構造DGおよびDHのまた他の実施形態では、−N(R7)(R7)は、−NH(C1〜C6アルキル)であり、C1〜C6アルキルは、−CO2Hもしくはそのエステルで、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されている。好ましい実施形態では、−N(R7)(R7)は、−NH(CH3)、−CH2CH2Ph、および−CH2−CO2H、−CH2CH2CO2Hおよび−CH2CH2CH2CO2Hからなる群から選択される。
構造DG’およびDH’の一部の実施形態では、R7およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって、任意選択で置換されている5員もしくは6員の複素環を規定し、−N(R7)−CH(R10)(CH2R11)が、
(式中、波線は、DG’またはDH’の残りの部分への結合点を示している)の構造を有する。
いくつかの好ましいチューブリシンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、丸は、5員または6員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、互いに1,3−またはメタの関係にあり、残りの位置で任意選択で置換されており、R2Aは、水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共にO連結置換基を規定し、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、独立して選択される、任意選択で置換されているアルキルであり、R7Aは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは水素または任意選択で置換されているアルキルであり、mは0または1である)。
構造DG、DG−1、DH、またはDH−1のいくつかの好ましい実施形態では、R4はメチルであるか、またはR4AおよびR4Bはメチルである。構造DG’またはDH’の他の好ましい実施形態では、R4はメチルであるか、またはR4AおよびR4Bはメチルである。他の好ましい実施形態では、R7Aは任意選択で置換されているフェニルである。他の好ましい実施形態では、R8Aは(S)−立体配置におけるメチルである。また他の好ましい実施形態では、R2Aは、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基、より好ましくは、エステル、エーテルまたはO連結しているカルバメートを規定している。さらに好ましい実施形態では、丸は、二価のオキサゾールを有する、または特に好ましくはチアゾール部分を有する5員の窒素−ヘテロアリーレンを表す。他の好ましい実施形態では、R4はメチルであるか、またはR4AおよびR4Bはメチルである。他の好ましい実施形態では、R7は任意選択で置換されているアリールアルキルであり、アリールはフェニルであり、R7Aは任意選択で置換されているフェニルである。
DG、DG’、DG−1、DH、DH’またはDH−1の他の実施形態では、丸は、好ましくは、構造
(式中、XBはO、S、またはN−RBであり、RBは水素または低級アルキルである)で表される5員の窒素ヘテロアリーレンを表す。好ましくは、4級化薬物は、構造DG、DG’またはDG−1(式中、mは1である)で表されるチューブリシンである。mが1であり、丸が任意選択で置換されている二価のチアゾール部分を表す、構造DGで表されるチューブリシンがさらに好ましい。
他の好ましいチューブリシンは、以下の式で表され、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる:
(式中、R2Aは、それが結合している酸素原子と共にO連結置換基、好ましくはエステル、エーテルまたはO連結しているカルバメートを規定し、R3は低級アルキルまたは−CH2OC(=O)R3A(式中、R3Aは任意選択で置換されている低級アルキルである)であり、R7Bは水素またはO連結置換基であり、好ましくはパラ位にある)。さらに好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、またはR3Aはメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチルまたは−CH2C=(CH3)2である。他の好ましい実施形態では、R2Aはメチル、エチル、プロピル(すなわち、−OR2Aはエーテルである)または−C(=O)R2B(すなわち、−OR2Aはエステルである)であり、R2Bは低級アルキルであり、R2Bはメチル(すなわち、−OR2Aは酢酸エステルである)がさらに好ましい。コンジュゲーション部位として、N末端第3級アミンを有するさらに好ましいチューブリシンは、以下の式のうちの1つの構造を有する:
(式中、R7Bは水素または−OHであり、R3は低級アルキル、好ましくはメチルまたはエチルであり、R2BおよびR2Cは、独立して水素または低級アルキルである)。構造DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DH、DH−1およびDH−2のいずれか1つのいくつかの好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、または−CH2OC(=O)R3Aであり、R3Aは任意選択で置換されているアルキルである。構造DG’およびDH’のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、−CH2OC(=O)R3Aであり、R3Aは任意選択で置換されているアルキルである。これらの構造のうちのいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3は−C(R3A)(R3A)C(=O)−XCであり、XCは−OR3Bまたは−N(R3C)(R3C)であり、各R3A、R3BおよびR3Cは、独立して、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは任意選択で置換されているシクロアルキルである。好ましくは、R3は、−C(R3A)(R3A)C(=O)−N(R3C)(R3C)であり、各R3Aは水素であり、一方のR3Cは水素であり、他方のR3Cはn−ブチルまたはイソプロピルがさらに好ましい。
構造DG、DG’DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DH、DH’、DH−1およびDH−2のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3はエチルまたはプロピルである。
構造DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DH−1およびDH−2のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、チアゾールコア複素環
は、
で置き換えられている。
構造DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DH、DH−1、DH−2、DH−3およびDH−4のいずれか1つのいくつかの好ましい実施形態では、R3はメチルであるか、または−CH2OC(=O)R3Aであり、R3Aは任意選択で置換されているアルキルである。これらの構造のうちのいずれか1つの他の好ましい実施形態では、R3は−C(R3A)(R3A)C(=O)−XC(式中、XCは−OR3Bまたは−N(R3C)(R3C)であり、各R3A、R3BおよびR3Cは、独立して、水素、任意選択で置換されているアルキルまたは任意選択で置換されているシクロアルキルである)である。好ましくは、R3は−C(R3A)(R3A)C(=O)−N(R3C)(R3C)であり、各R3Aは水素であり、一方のR3Cは水素であり、他方のR3Cはn−ブチルまたはイソプロピルであるのがさらに好ましい。
構造DG−3、DG−4、DG−5、DH−3およびDH−4のいずれか1つの他の好ましい実施形態では、チアゾールコア複素環
は、
で置き換えられている。
さらに好ましい実施形態では、チューブリシンは構造DG−3またはDG−4を有し、mは1であり、R3は任意選択で置換されているメチル、エチルまたはプロピルであり、好ましくはメチル、エチルまたはプロピルである。
特に好ましい実施形態では、チューブリシンは構造DG−3を有し、mは1であり、R3はメチル、エチルまたはプロピルであり、−OC(O)R2Bは−O−C(O)H、O−C(O)−C1〜C6アルキルまたは−OC2〜C6アルケニル(任意選択で置換されている)であり、好ましくは−OC(O)CH3、−OC(O)CH2CH3、−OC(O)CH(CH3)2、−OC(O)C(CH3)3、または−OC(O)CH=CH2である。
他の特に好ましい実施形態では、チューブリシンは構造DG−4を有し、mは1であり、R3はメチル、エチルまたはプロピルであり、−OCH2R2Bは−OCH3、−OCH2CH3、−OCH2CH2CH3または−OCH2OCH3である。
コンジュゲーション部位としてN末端第3級アミンを有する特に好ましいチューブリシンは、
(式中、R2Bは、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH(CH3)2、−CH2C(CH3)3であり、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)が4級化の部位となる)の構造を有する。
他の、コンジュゲーション部位としてN末端第3級アミンを有する特に好ましいチューブリシンは、
(式中、R2Bは、水素、メチルまたは−OCH3である(すなわち、−OCH2R2Bはメチルエーテル エチルエーテル、メトキシメチルエーテル置換基である))の構造を有する。
他の好ましい実施形態では、LDC内にD+として組み込まれるチューブリシンは、チューブリシンA、チューブリシンB、チューブリシンC、チューブリシンD、チューブリシンE、チューブリシンF、チューブリシンG、チューブリシンH、チューブリシンI、チューブリシンU、チューブリシンV、チューブリシンW、チューブリシンXまたはチューブリシンZを含む、天然に存在するチューブリシンであり、これらの構造は、以下の構造および可変基の定義により与えられ、このような化合物が4級化薬物単位(D+)としてLDCに組み込まれる場合、示された窒素(†)は4級化の部位となる:
構造DG−6の特に好ましい実施形態では、4級化チューブリシンは、R3が−CH3であり、R2がC(=O)CH3であり、R7Bが水素であるチューブリシンMである。
一部の実施形態では、LoおよびD+で構成されるLb−、またはそのLb’−を含有する前駆体は、チューブリシン薬物を第4級アミン単位に組み込んでおり、Lb−、またはそのLb’−を含有する前駆体は、D+が4級化アウリスタチン薬物である、本明細書に記載の−LR−D+、Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+、LSS−Lo−D+、LS−D+、M1−A、M2−A、M3−A、M1−A1、M2−A1、M3−A1、M1−A(BU)、M2−A(BU)、M3−A(BU)、M1−A1(BU)、M2−A1(BU)またはM3−A1(BU)部分のいずれか1つに対応する構造を有する。好ましい実施形態では、DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DH、DH−1、DH−2、DH−3またはDH−4の構造を有するチューブリシンは、示された(†)第3級アミン窒素においてそのアウリスタチン構造を有する各実施形態の中のDE、DE−1、DE−2、DF、DF−1またはDF/G−3を置き換えている。
したがって、一部の好ましい−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+の実施形態は、
(式中、R2、R3、R4、R4A、R4B、R5、R6およびR7は、DGおよびDHにより遊離形態のチューブリシン薬物に関して記載されている通りであり、Lb、Lb’、Q1、V、Z1およびZ2は、4級化アウリスタチン薬物単位で構成されるLbおよびLb’−を含有する部分の実施形態に関して、先に記載されている通りであり、LoおよびそのY単位は、SI単位で構成されるかまたはSI単位からなり、Jは−O−、−S−またはN(R33)−であり、R33は水素または任意選択で置換されているアルキルである)の構造を有する。
他の好ましい−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+の実施形態は、
(式中、R2A、R3、R4、R4A、R4B、R5、R6、R7AおよびR8Aは、DG−1およびDH−1により遊離形態のチューブリシン薬物に関して記載されている通りであり、Lb、Lb’、Q1、V、Z1およびZ2は、4級化アウリスタチン薬物単位で構成されるLbおよびLb’含有部分、ならびにSI単位で構成されるかまたはSI単位からなるLoおよびそのY単位の実施形態に関して先に記載されている通りであり、Jは−O−、−S−またはN(R33)−であり、R33は水素または任意選択で置換されているアルキルである)の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、R7Aは、−OHで任意選択で置換されているフェニルであり、またはR8Aはメチルである。他のさらに好ましい実施形態では、R4またはR4AおよびR4Bはメチルである。また他の好ましい実施形態では、Jは−O−である。
他の好ましい実施形態では、−Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+は、
の構造を有する。
さらに好ましい実施形態では、R7Aはパラ位の水素または−OHである。
4級化チューブリシン薬物単位で構成される上記Lb含有部分またはLb’含有部分のいずれか1つでは、Lb’はマレイミド部分(M1)であるか、またはLbはスクシンイミド(M2)もしくはコハク酸−アミド(M3)部分である。
4級化チューブリシン薬物で構成される上記Lb含有部分またはLb’含有部分のいずれか1つの好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他の好ましい実施形態では、V、Z1およびZ2は=CH−である。さらに好ましい実施形態では、−OR2はエステルであるか、またはR3は低級アルキルである。他のさらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。またさらに好ましい実施形態では、Q1は、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより切断可能なアミド官能基を介してJに共有結合したジペプチドで構成されるので、その基のタンパク質分解は、1,6−フラグメント化が可能なSIを放出する。
4級化チューブリシン薬物単位で構成される上記実施形態のいずれか1つの中で、さらに好ましい実施形態は、Lb’(すなわち、M1)がLb部分で置き換えられ、これがさらに標的化部分に結合することによって、このLb部分がM2またはM3部分であるLDCを与えるものである。
したがって、Lb−Lo−D+またはLb’−Lo−D+のさらに好ましい実施形態は、
(式中、波線は、M2またはM3部分の標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示す)のうちの1つの構造を有する。好ましい実施形態では、−OR2AはC2〜C6エステルであるか、またはR3は低級アルキルであり、R7Bは水素または−OHである。他のさらに好ましい実施形態では、−R2Aは任意選択で置換されている低級アルキルであり、R3は、R2Aから独立して選択される低級アルキルであり、R7Bは水素または−OHである。特に好ましい実施形態では、R3はメチル、エチルまたはプロピルであり、R2Aは、−C(O)CH3、メチル、エチル、プロピルまたは−CH2OCH3である。
他の好ましい実施形態ではLb’−Lo−D+またはLb−Lo−D+は、
(式中、R2、R2A、R3、R4、R4A、R4B、R5、R6、R7、R7AおよびR8Aは、構造DG、DG’、DG−1、DH、DH’またはDH−1の中の遊離形態のチューブリシン薬物に関して記載されている通りであり、Lb、Lb’、A、VおよびZ3は、4級化アウリスタチン薬物単位で構成される対応するLbおよびLb’含有部分に関して先に記載されている通りであり、LoおよびそのY単位は、SI単位で構成されるかまたはSI単位からなり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R45はCO2HまたはCH2OHである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、Jは−NH−である。他の好ましい実施形態ではEは−O−である。
Lb’がマレイミド(M1)部分であるか、またはLbがスクシンイミド(M2)もしくはアミド−酸(M3)部分である実施形態がさらに好ましい。
他のさらに好ましい実施形態では、Lb’−Lo−D+は、
(式中、A、R2A、R3、R45、R7BおよびR45は以前定義された通りである)の構造を有する。さらに好ましい実施形態ではV、Z3のうちの1つまたは両方は=CH−である。
さらに好ましい実施形態では、4級化チューブリシンで構成される薬物単位Lb’−Lo−D+または−Lb−Lo−D+部分は、
(式中、波線は、標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示す)の構造を有する。さらに好ましい実施形態では、SIにグリコシド結合を介して共有結合により結合している炭水化物部分は、β立体配置でそのアノマー炭素を有する。他のさらに好ましい実施形態では、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである。
4級化チューブリシン薬物で構成されるLb含有部分、Lb’含有部分、M1含有部分、M2含有部分またはM3含有部分に関する上記実施形態のいずれか1つでは、R3は好ましくはメチルであり、またはR2は好ましくはアセテートであり、またはmは好ましくは1である。また、このようなLb含有部分、Lb’含有部分、M1含有部分、M2含有部分またはM3含有部分に対して好ましいのは、R3がメチル、エチルまたはプロピルであり、−OR2Aが−OC(O)CH3、−OCH3、−OCH2CH3または−OCH2CH2CH3であるものである。
特に好ましい実施形態は、
(式中、波線は、標的化部分のスルフヒドリル基への共有結合を示し、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、R7Bは水素または−OHである)の構造を有する。
他の特に好ましい実施形態は、
(式中、R2およびR3は、独立して、メチル、エチルもしくはプロピルであるか、またはR2は−C(O)CH3であり、R3はメチル、エチルもしくはプロピルである)の構造を有する。
4級化チューブリシン薬物で構成されるLb含有部分のいずれか1つの中で、特に好ましいのは、結合した標的化部分が抗体であるものであり、4級化チューブリシン薬物で構成されるM2含有部分またはM3含有部分のいずれか1つの中で、特に好ましいのは、結合したスルフヒドリル基が抗体標的化部分由来のものである。
Aで構成されるLb含有部分またはLb’含有部分についての構造のいずれか1つでは、Aは、−A1−Ao−で置き換えられており、Aのそれらのサブユニットは、4級化アウリスタチン薬物単位およびストレッチャー単位を有するLoで構成される対応するLb含有部分またはLb’含有部分中に存在する場合、このような部分について記載されている通りである。他のこのような部分は、M1−A、M2−A、M3A−AおよびM3Bの中のストレッチャー単位に関してさらに以下に記載されている。
4級化チューブリシン薬物で構成されるLb含有部分、Lb’含有部分、M1含有部分、M2含有部分またはM3含有部分のうちの1つのいずれかに対して、好ましいストレッチャー基は、本明細書で定義されるようなアミン含有酸に構造において対応し、γ−アミノカプロン酸がさらに好ましい。したがって、1つの好ましいストレッチャー単位は−(CH2)5−C(=O)−の構造を有する。他の好ましいストレッチャー基は、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−C(=O)−、−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−CH(CO2H)−(CH2)m’−1−C(=O)−または−C(Ra1)(Ra2)−[C(Rb1)(Rb1)]m−(C=O)−NH−(CH2)m’−1−CH(CO2H)−C(=O)−の式を有し、mは0〜5の範囲の整数であり、m’は1〜5の範囲の整数であり、Ra1は水素であるか、または−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の式を有し、他の可変基は以前定義された通りである。それらのストレッチャー単位に対して、Ra1が−CH2NH2であるものが好ましい。
さらに好ましいのは、
の構造を有するM1−A、M2−A、M3A−AおよびM3B部分を提供するストレッチャー単位である。
他のさらに好ましいストレッチャー単位は、
の構造を有するM1−A1−Ao−、M2−A1−Ao、M3A−A1−Ao−およびM3B−A1−Ao−部分を提供するものである。
また他のさらに好ましいストレッチャー単位は、
の構造を有するM1−A1−Ao−、M2−A1−Ao、M3A−A1−Ao−およびM3B−A1−Ao−部分を提供するものである。
1.6 過剰増殖状態の処置
リガンド−薬物コンジュゲートは、腫瘍細胞またはがん細胞の増殖を阻害するため、腫瘍またはがん細胞にアポトーシスを引き起こすため、または患者においてがんを処置するために有用である。したがって、リガンド−薬物コンジュゲートは、様々な環境においてがんの処置のために使用することができる。リガンド−薬物コンジュゲートを使用して、腫瘍細胞またはがん細胞に薬物を送達することができる。理論に束縛されることなく、一実施形態では、リガンド−薬物コンジュゲートのリガンド単位は、細胞表面のがん細胞または腫瘍細胞に伴う抗原または受容体に結合または会合し、結合により、リガンド−薬物コンジュゲートは、抗原媒介性または受容体媒介性のエンドサイトーシスまたは他の内在化機序を介して腫瘍細胞またはがん細胞の内側に吸収され得る(内在化する)。抗原は、腫瘍細胞もしくはがん細胞に結合することができるか、または腫瘍細胞もしくはがん細胞に伴う細胞外マトリクスタンパク質であってよい。一度細胞の内側に入ると、リンカー系の構成成分に応じて酵素的または非酵素的切断可能な機序を介して、薬物が細胞内に放出される。代替の実施形態では、薬物または薬物単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に接近してリガンド−薬物コンジュゲートから切断され、続いて薬物または薬物単位は細胞に浸透する。
リガンド薬物コンジュゲートは、コンジュゲーション特異的な腫瘍またはがんの薬物標的化を提供し得、したがって薬物の全般的毒性を減少させることができる。
一部の実施形態では、リンカー単位は血中のリガンド−薬物コンジュゲートを安定化させるが、このリガンド−薬物コンジュゲートが一度細胞の内側に入ると、薬物を遊離させることが可能である。
一実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に結合する。
別の実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の表面上にある腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原に結合する。
別の実施形態では、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に伴う細胞外マトリクスタンパク質である腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原に結合する。
特定の腫瘍細胞またはがん細胞に対するリガンド単位の特異性は、最も有効に処理されるこれらの腫瘍またはがんを判定するのに重要となり得る。例えば、BR96リガンド単位を有するリガンド薬物コンジュゲートは、肺、乳房、結腸、卵巣、および膵臓のものを含む、抗原陽性の癌を処置するのに有用となり得る。抗CD30または抗CD70結合リガンド単位を有するリガンド−薬物コンジュゲートは、血液悪性腫瘍を処置するのに有用となり得る。
リガンド薬物コンジュゲートで処置することができる他の特定のタイプのがんとして、これらに限定されないが、以下の固形腫瘍、血液由来のがん、急性および慢性白血病、ならびにリンパ腫が挙げられる。
固形腫瘍として、これらに限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、悪性滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、直腸結腸がん、腎臓がん、膵がん、骨がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、口のがん、鼻腔がん、咽喉がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎臓胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、Wilms’腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、小細胞肺癌、膀胱癌、肺がん、上皮癌、グリア細胞腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起細胞腫、髄膜腫、皮膚がん、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽腫が挙げられる。
血液由来のがんとして、これらに限定されないが急性リンパ芽球性白血病「ALL」、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単球性白血病、急性赤血白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性(nonlymphocyctic)白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病「CML」、慢性リンパ球性白血病「CLL」、有毛細胞白血病、および多発性骨髄腫が挙げられる。
急性および慢性白血病として、これらに限定されないが、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、および骨髄性の白血病が挙げられる。
リンパ腫として、これらに限定されないがホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、および真性赤血球増加症が挙げられる。
ADC組成物の投与により、これらに限定されないが、腫瘍、転移、または過剰増殖細胞により特徴付けられる他の疾患もしくは障害を含むがんを処置することができるか、またはその進行を阻害することができる。
他の実施形態では、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に、LDC組成物および化学療法剤の有効量を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、LDCと併用して化学療法で処置されることになるがんは、この化学療法剤に不応性でないことが判明している。別の実施形態では、ADCと併用して化学療法で処置されることになるがんは、この化学療法剤に不応性である。LDC組成物は、がんに対する処置として手術も経験した患者に投与することができる。
一部の実施形態では、患者はまた、放射線療法などの追加の処置も受ける。特定の実施形態では、リガンド−薬物コンジュゲートは、化学療法剤または放射線療法と同時に投与される。別の特定の実施形態では、化学療法剤もしくは放射線療法は、リガンド薬物コンジュゲートの投与前または投与後で投与される。
化学療法剤は、一連の期間にわたり投与することができる。ケア化学療法剤(複数可)の標準物質などの化学療法剤のいずれか1つまたは組合せを投与することができる。
さらに、化学療法または放射線療法が処置している対象に対してあまりに有毒性であることが証明されたまたは証明することができる場合、例えば、許容不可能または耐えられない副作用をもたらす場合、リガンド−薬物コンジュゲートを用いたがんの処置の方法が、化学療法または放射線療法の代替として提供される。処置されている患者は、どの処置が許容されるまたは耐えられると判明されたかに応じて、別のがんの処置、例えば、手術、放射線療法または化学療法などで、任意選択で処置することができる。
1.7 LDCを含む医薬組成物
本発明は、本明細書に記載のLDC組成物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、ADCの抗体が結合する抗原の発現を伴う障害の処置のために、患者にLDCを投与することを可能にする任意の形態であることができる。例えば、医薬組成物は、液体または凍結乾燥された固体の形態であることができる。好ましい投与経路は非経口である。非経口投与として、皮下注射、静脈内、筋肉内、および胸骨内への注射または注入技術が挙げられる。好ましい実施形態では、ADCを含む医薬組成物は、液体溶液の形態で静脈内に投与される。
医薬組成物は、患者への組成物の投与の際に化合物が生体で利用可能になり得るように製剤化することができる。このような組成物は、1または複数の用量単位の形態を取ることができ、例えば、凍結乾燥された固体は、適切な液体担体の添加により溶液または懸濁液として再構成された時点で単一の用量単位を提供することができる。
医薬組成物を調製するのに使用される材料は、使用される量において好ましくは無毒性である。医薬組成物中の活性成分(複数可)の最適な用量が、様々な要因に依存することは、当業者には明らかである。関連する要因として、限定はされないが、動物のタイプ(例えば、ヒト)、医薬組成物の特定の形態、投与方式および利用されるLDC組成物が挙げられる。
医薬組成物は、例えば液体の形態であることができる。液体は、注射による送達に有用であり得る。注射による投与のための組成物中に、1種または複数種の界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤および等張剤もまた含まれ得る。
液体組成物はまた、これらが溶液の形態であるか、懸濁液の形態であるか、または他の同様の形態であるかに関わらず、以下のうちの1種または複数種もまた含まれ得る:無菌希釈剤、例えば、注射用の水、生理食塩水、好ましくは生理的食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒もしくは懸濁媒としての役目を果たすことができる合成モノもしくはジグリセリド(digylcerides)など、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸など;緩衝剤、例えば、アミノ酸、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など;界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、ポリオールなど;および張度調整用の薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはブドウ糖など。非経口組成物は、ガラス製、プラスチック製または他の材料で作製されたアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回用量バイアルに封入することができる。生理的食塩水は例示的アジュバントである。注射用医薬組成物は好ましくは無菌である。
特定の障害または状態の処置において有効なコンジュゲートの量は、障害または状態の性質に依存することになり、標準的臨床技術で決定することができる。加えて、in vitroまたはin vivoアッセイを任意選択で利用することによって、最適な用量範囲を特定するのを助けることができる。組成物中に利用される正確な用量はまた、投与経路、および疾患または障害の重症度に依存し、医師の判断および各患者の状況に従い決定されるべきである。
医薬組成物は、それを必要とする対象への投与のために適切な用量が得られるように、LDC組成物の有効量を含む。典型的には、この量は、医薬組成物の少なくとも約0.01重量%である。
静脈内投与に対して、医薬組成物は、動物の体重1kg当たり約0.01〜約100mgのLDC組成物を含むことができる。一態様では、医薬組成物は、動物の体重1kg当たり約1〜約100mgのADC組成物を含むことができる。別の態様では、投与される量は、約0.1〜約25mg/kg(体重)のADC組成物の範囲となる。
一般的に、患者に投与されるLDC組成物の投薬量は、典型的には約0.01mg/kg〜約100mg/kg(対象の体重)である。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、約0.01mg/kg〜約15mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約15mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、患者に投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、約0.1mg/kg〜約5mg/kgまたは約0.1mg/kg〜約10mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、約1mg/kg〜約15mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、約1mg/kg〜約10mg/kg(対象の体重)の間である。一部の実施形態では、投与される投薬量は、処置サイクルにわたり、約0.1〜4mg/kg、好ましくは0.1〜3.2mg/kg、またはより好ましくは0.1〜2.7mg/kg(対象の体重)である。
LDCは、任意の便利な経路、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚の内壁(例えば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜)を介した吸収により投与することができる。投与は全身性または局所的であることができる。様々な送達システム、例えば、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセル、カプセル剤への封入が公知であり、化合物を投与するために使用することができる。特定の実施形態では、1つより多くの化合物または組成物が患者に投与される。
一実施形態では、コンジュゲートは、動物、特にヒトへの静脈内投与に適応した医薬組成物として、規定通りの手順に従い製剤化される。典型的には、静脈内投与のための担体またはビヒクルは、無菌の等張の水性緩衝液である。必要な場合、組成物はまた可溶化剤を含むことができる。静脈内投与のための組成物は、注射部位での疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔剤を任意選択で含むことができる。一般的に、成分は、別々にかまたは単位剤形内に一緒に混合してのいずれかで、例えば、密閉容器内のドライな凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物、例えば、活性薬剤の量を示しているアンプルまたはサシェ剤などとして供給される。コンジュゲートが注入により投与され得る場合、それは、例えば、無菌の薬学的等級の水または生理食塩水を含有する注入ビンを用いて分配することができる。コンジュゲートが注射により投与される場合、成分を投与前に混合できるように、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
医薬組成物は、無菌の、実質的に等張であり、米国食品医薬品局のすべてのGood Manufacturing Practice(GMP)(「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」)の規制に完全に従い、一般的に製剤化される。
本発明の医薬組成物は、本発明のLDC組成物と、薬学的に許容される担体とを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物中のすべての、または実質的にすべての、または50%超のLDCは、加水分解したチオ置換スクシンイミドを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物中に存在する55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%超のリガンド薬物コンジュゲートは、加水分解したチオ置換スクシンイミドを含む。
1.8 調製
スキーム1:
スキーム1は、式Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+の薬物−リンカー化合物(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化アウリスタチンである)の例示的調製である。その特定のLb’−Lo−D+部分では、Lb’−A1(BU)−構造は例示的LSS部分を表す。
スキーム2:
スキーム2は、式Lb’−A1(BU)−Ao−Y−W−D+の薬物−リンカー化合物(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはアニリド連結を介してSIに結合したジペプチド部分であり、前記連結は調節性プロテアーゼにより切断可能であり、D+は4級化アウリスタチンである)の例示的調製である。その特定のLb’−Lo−D+部分では、Lb’−A1(BU)−構造は、別のストレッチャーサブユニットに共有結合した例示的なLSS部分を表し、val−citジペプチド部分は、前記調節性プロテアーゼ(この場合カテプシンB)による認識を提供する。
スキーム3:
スキーム3は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+薬物−リンカー化合物(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化フェナジンダイマーである)の例示的な調製である。その特定のLb’−Lo−D+化合物では、Lb’−A1−Ao−構造は、2つのストレッチャーサブユニットを有する(すなわち、−A−は−A1−AO−である)M1−A−部分を表す。
スキーム4:
スキーム4は、式Lb’−Lo−D+の薬物−リンカー化合物(式中、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはアニリド連結を介してSIに結合したジペプチド部分であり、前記連結は調節性プロテアーゼにより切断可能であり、D+は4級化チューブリシン薬物単位である)を得るための中間体としてのNH2−W−Y−D+化合物の例示的な調製である。
スキーム5:
スキーム5は、スキーム4のNH2−W−Y−D+中間体と、Lb’−A−CO2HまたはLb’−A(BU)−CO2H中間体(式中、Lb’はマレイミド(M1)部分である)とのペプチドカップリングから得たLb’−A−W−Y−D+薬物−リンカー化合物およびLb’−A(BU)−W−Y−D+薬物−リンカー化合物の例示的な調製である。こうして形成された生成物、M1−A−W−Y−D+およびM1−A(BU)−W−Y−D+は、4級化チューブリシン薬物単位を有する例示的なLb’−Lo−D+薬物−リンカー化合物である。
スキーム6:
スキーム6は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+部分(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化MDR阻害剤であり、この阻害剤はタリキダルである)の例示的な調製である。その特定のLb’−Lo−D+部分では、Lb’−A(BU)−構造は例示的なLSS部分を表す。
スキーム7:
スキーム7は、式DG−4のチューブリシン(式中、R7Bは水素であり、R2Bは水素、メチルまたはエチルであり、このチューブリシンは、チューブリシンMのツブバリン部分のアセテートを置き換えているO連結置換基としてエーテル(すなわちメチル、エチルまたはプロピルエーテル)を有し、このようなチューブリシンの化学的に不安定であるN,O−アセタール官能基を有さない)の例示的な調製を表す。化合物64〜66は、加水分解的に不安定であるツブバリンアセテート置換基をエーテル部分で置き換えることによって、チューブリシンMと比較してさらに安定化している。
(式中、R7Bは水素またはO連結置換基、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは水素または低級アルキルであり、好ましくはメチルであり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)。
構造DGまたはDHの好ましい実施形態では、一方のR7は水素であり、他方のR7は、
(式中、R7Bは−Hまたは−OHであり、波線は、DGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)の構造を有する任意選択で置換されているアリールアルキルである。
構造DGおよびDHの他の実施形態では、一方のR7は水素または低級アルキル、好ましくは水素またはメチル、より好ましくは水素であり、他方のR7は、
(式中、Zは、任意選択で置換されているアルキレンまたは任意選択で置換されているアルケニレンであり、R7Bは水素またはO連結置換基、好ましくはパラ位の水素または−OHであり、R8Aは水素または低級アルキル、好ましくはメチルであり、下付き文字nは0、1または2、好ましくは0または1であり、波線はDGまたはDHの残りの部分への結合点を示す)のうちの1つの構造を有する、任意選択で置換されているアリールアルキルである。構造DGおよびDHのまた他の実施形態では、−N(R7)(R7)は−NH(C1〜C6アルキル)であり、C1〜C6アルキルは、−CO2Hもしくはそのエステル、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されている。好ましい実施形態では、−N(R7)(R7)は、−NH(CH3)、−CH2CH2Ph、および−CH2−CO2H、−CH2CH2CO2Hおよび−CH2CH2CH2CO2Hからなる群から選択される。
構造DG’およびDH’の一部の実施形態では、R7およびR10は、それらが結合している原子と一緒になって、任意選択で置換されている5員または6員の複素環を規定し、−N(R7)−CH(R10)(CH2R11)は、
(式中、波線は、DG’またはDH’の残りの部分への結合点を示す)の構造を有する。
スキーム8:
スキーム8は、式Lb’−LO−D+の薬物リンカー化合物(式中、D+は、チューブリシンMのツブバリン部分においてアセテートを置き換えているO連結置換基としてエーテル部分を有し、このようなチューブリシンの化学的に不安定であるN,O−アセタール官能基を有さない、4級化チューブリシン化合物である)の例示的な調製を表している。例示された化合物において、−LO−D+は、Aa−Yy(Ww)−D+の構造(式中、下付き文字a、yおよびwはそれぞれ1である)を有する。したがって、化合物78〜80は、Wが、D+(D+は4級化チューブリシン化合物)が結合しているグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を介して、PAB部分の構造を有する自壊性スペーサー単位(Y)に結合している炭水化物部分である、例示的な薬物リンカー化合物を表す。化合物78〜80は、そのLb’構成成分がM1部分および塩基性単位で構成されることによって、抗体のシステインチオールの場合のように、反応性チオール官能基を有する標的化部分とのその縮合から、リガンド薬物コンジュゲートの自己安定化リンカー構成成分(LSS)を提供する薬物リンカー化合物をさらに表す。
スキーム9:
スキーム10:
スキーム9および10は、一緒になって、式Lb’−LO−D+の薬物リンカー化合物(式中、−LO−D+は、下付き文字a、yおよびwがそれぞれ1であり、−A−が−A1−AO−である、構造Aa−Yy(Ww)−D+を有する)の代替の調製を提供する。したがって、化合物104は、式Lb−A1(BU)−AO−Y(W)−D+の例示的薬物リンカー化合物(式中、Wは、D+(D+は4級化チューブリシン化合物)に結合しているグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を介して、PAB部分の構造を有する自壊性スペーサー単位(Y)に結合している炭水化物部分である)を表す。化合物104に関しては、4級化チューブリシンは、ツブバリンアセテート構成成分を保持するが、このようなチューブリシンの化学的に不安定なN,O−アセタール官能基を有さないエーテル部分を有するチューブリシンMの4級化チューブリシンである。
スキーム11:
スキーム11は、式DG−3の薬物−リンカー化合物Lb’−LO−D+(式中、R7Bは−Hであり、R2Bはメチルであり、下付き文字wおよびyはそれぞれ1であり、W”は、薬物リンカー化合物中間体から調製した薬物リンカー化合物またはリガンド薬物コンジュゲートにおける、Wへの前駆体である)の調製のためのW”w−Yy−D+中間体の例示的な合成を表している。化合物111は、Wがジペプチド部分であり、YがPAB部分により例示される自壊性スペーサー単位である薬物リンカー中間体化合物をさらに表している。化合物111において、そのジペプチドは−バリン−グルタメート−により例示され、D+は4級化チューブリシンMにより例示されている。
スキーム12:
スキーム12は、式H−Ww−Yy−D+の中間体、すなわち化合物111(式中、下付き文字wおよびyはそれぞれ1であり、W、YおよびD+はそれぞれ、ジペプチド部分(−バリン−グルタメート−)、自壊性PAB部分、および4級化チューブリシンMで例示されている)からの、式DG−3(式中、R7Bは−Hであり、R2Bはメチルである)の薬物リンカー化合物Lb’−LO−D+の調製を例証している。化合物113は、部分M1および置換されているBU置換ストレッチャー単位前駆体(Aa’)(式中、下付き文字aは1である)を有する化合物6を縮合させることによって、リガンド共有結合部分前駆体(Lb’)を薬物リンカー化合物(式中、Lb’−A(BU)−は、マレイミド部分(M1)、塩基性単位(BU)で置換されているストレッチャー単位(A)で構成される)へ組み込んで得られるLb’−A(BU)−W−Y−D+の式を有する生成物をさらに表し、化合物111のWw−Yy−D+と縮合している前駆体は、BOC脱保護後、リンカー単位Lb’−LO−のLO構成成分の形成を完了する。
スキーム13:
スキーム14:
スキーム13および14は一緒になって、チューブリシンMのツブバリン構成成分のアセテート部分は、構造DG−3に示されているように、式−OC(O)R2Bを有する他のO連結部分で置き換えられている、チューブリシンの例示的合成を提供する。
スキーム15:
スキーム15は、デス−メチルチューブリシンMのツブバリン構成成分のアセテートO連結置換基は、結合しているO連結置換基としてエーテル部分で置き換えられており、Tub(OCH3)薬物単位は、そのN末端構成成分を介して、ストレッチャー単位のカルボニル官能基によりリンカー単位に結合している、非4級化チューブリシン薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示。化合物172からのLDCは、切断不可能なコンジュゲートを表し(すなわち、遊離デス−メチルチューブリシンM(OCH3)−OHのプロテアーゼ媒介性放出に耐性がある)、一般式M1−A−D(式中、M1はマレイミド部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンであり、非4級化薬物単位Dはデス−MeTub(OCH3)−OHである)によるものである。その薬物リンカー化合物由来のリガンド薬物コンジュゲートは、一般式L−S−M2−A−D(式中、M2は、薬物リンカー化合物のM1への標的化部分チオールの共役付加から結果として生じるスクシンイミド部分である)によるものである。LDCのリガンド単位が抗体標的化部分のものである場合(すなわち、ADC)、非特異的タンパク質分解から最終的に放出される活性のある部分は、Cys−S−M2−A−Tub(OCH3)−OHの構造(式中、Cys−S−部分は、抗体リガンド単位のシステインアミノ酸由来である)を有する。
チューブリシンMをそのツブバリン構成成分のアセテート部分を保持する別の第3級アミン含有チューブリシンと置き換えている、またはその部分を、エーテルもしくは異なるアシルオキシもしくはO連結置換基(例えば、O連結カルバメート)で置き換えている、式DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DG−7、DG−8、DH、DH−1またはDH−2の薬物−リンカー化合物は、スキーム4、スキーム7、スキーム8、スキーム9+10、スキーム11、スキーム12、またはスキーム13+14のものと類似の形式で調製される。
スキーム16:
スキーム16は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+の式を有するリガンド薬物コンジュゲート(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化ドラスタチン10である)の調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示している。式Lb’−Lo−D+のその薬物−リンカー実施形態では、Lb’−A1(BU)−構造は、例示的LSS部分を表す。化合物177は、4級化アウリスタチンEが4級化ドラスタチン10で置き換えられているスキーム1の化合物8に類似している。化合物177から調製したリガンド薬物コンジュゲートは、β−グルクロニダーゼによる作用により、遊離ドラスタチン10を放出し、この遊離ドラスタチン10は、アウリスタチンクラスの化合物の別のメンバーであり、第3級アミン官能基を含有する。
スキーム17:
スキーム17は、モノメチルドラスタチン10がカルバメート官能基を介してPAB部分にコンジュゲートしている、リガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物−リンカー化合物の例示的合成を示す。カルバメート連結したリガンド薬物コンジュゲートは、アミン官能基がPAB部分への結合点である第3級アミン含有薬物に対して不適切である。β−グルクロニダーゼによる同じ酵素プロセシングを介して、化合物183由来のコンジュゲートは、第2級アミン含有遊離薬物(すなわち、モノメチルドラスタチン10)を放出し、化合物177由来のコンジュゲートは、親第3級含有遊離薬物(すなわち、ドラスタチン10)を放出する。
スキーム18:
スキーム18は、Lb’−A1(BU)−Ao−Y(W)−D+の式(式中、Lb’はM1部分であり、YはPAB自壊性(SI)部分であり、Wはグリコシド連結を介してSIに結合した炭水化物(Su)部分であり、前記連結はグリコシダーゼにより切断可能であり、D+は4級化アウリスタチンFである)を有するリガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示す。式Lb’−Lo−D+のその薬物−リンカー実施形態では、Lb’−A1(BU)−構造は例示的LSS部分を表す。化合物189はそれぞれ、スキーム1、4および17の、4級化アウリスタチンEまたは4級化ドラスタチン10が4級化MMAFで置き換えられている、化合物8、化合物14および化合物17に類似している。MMAFはアウリスタチンクラスの化合物の別の第3級アミン含有薬物である。
アウリスタチンE、ドラスタチン10またはアウリスタチンFを式DA、DB、DC、DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1、またはDE/F−3の化合物で置き換えている薬物−リンカー化合物は、必要に応じてスキーム1、スキーム2、スキーム5、スキーム16またはスキーム18に例示されたものと同様の形式で調製される。
スキーム19.
スキーム19は、チューブリシンM薬物単位がストレッチャー単位のヒドラジン官能基により、そのC末端構成成分を介してリンカー単位に結合している、非4級化チューブリシン薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートの調製のための薬物リンカー化合物の例示的合成を示している。化合物172由来のLDCは、部分−W−Y−(式中、Wはジペプチド−バリン−シトルリン−である)、および一般式M1−A−W−Y−DまたはM1−A−W2−W1−PABC−D(式中、M1はマレイミド部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンであり、Wは式−W2−W1−のペプチド切断可能単位であり、W1はシトルリンであり、W2はバリンであり、PABCは自壊性スペーサー単位Yとしてのp−アミノベンジルオキシカルボニル(p-aminobenyloxycarbonyl)部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンであり、非4級化薬物単位DはTubM−NHNH−である)で構成される切断可能なコンジュゲートを表す。その薬物−リンカー化合物由来のリガンド薬物コンジュゲートは、一般式L−S−M2−A−W−Y−DまたはL−S−M2−A−W2−W1−PABC−D(式中、M2は、標的化部分チオールの、薬物リンカー化合物のM1への共役付加から結果として生じるスクシンイミド部分である)によるものである。Wにおいて文脈特定のタンパク質分解から放出される活性薬物部分は、TubM−NH−NH2−の構造を有する。
II.番号付き実施形態
1.リガンド薬物コンジュゲート(LDC)組成物が式1の構造で表される、LDC組成物:
(式中、「リガンド」は、標的部分に選択的に結合する標的化部分由来のものであり、Lbは、リガンド共有結合部分であり、Q1はAa−Wwであり、Aは、2、3、または4つのサブユニットで任意選択で構成される、任意選択のストレッチャー単位であり、したがって下付き文字aは、Aが存在する場合、1であり、Aが不在の場合、0であり、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’ w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、異常細胞または他の望ましくない細胞において、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより選択的切断が可能であり、調節性プロテアーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、調節性プロテアーゼのWに対する作用は、LDCからの第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こすか、またはQ1のWwは、正常細胞による排出よりも、さらに大きな程度異常細胞により排出されるプロテアーゼにより切断可能であるか、または血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下で加水分解に対してさらに反応性があり、
Q2のW’−Eは、血清グリコシダーゼと比較して、異常細胞または他の望ましくない細胞において、細胞内に位置するグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を提供し、グリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されたグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはwが1の場合存在し、w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはw’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちのうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は、=N−または=C(R24)−であり、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは=C(R24)−であるが、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、pは、1〜24の範囲の数を有する平均薬物付加数であり、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断は、LDC組成物のLDCからのDの排出をもたらす)。
一部の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、ドラスタチン、例えば、ドラスタチン10またはドラスタチン15などである。
一部の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、DA、DBまたはDCの構造を有するドラスタチンである。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1およびDF/G−3のうちの1つの構造を有するアウリスタチンを含む、第3級アミン含有アウリスタチンである。
好ましい実施形態では、4級化薬物単位に組み込まれた第3級アミン含有アウリスタチンは、アウリスタチンE、アウリスタチンF、アウリスタチンPE、アウリスタチンPHE、アウリスタチンPYEおよびアウリスタチンC、GRP18112、GRP18290、GRP18158、アウリスタチンM、アウリスタチンMQ、およびアウリスタチンPACである。好ましいのは、アウリスタチンE、アウリスタチンF、アウリスタチンPE、アウリスタチンPHEおよびアウリスタチンPYEであり、アウリスタチンEおよびアウリスタチンFがさらに好ましく、アウリスタチンEが特に好ましい。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dはチューブリシンである。それらの実施形態では、好ましいのは、天然に存在するチューブリシンまたは構造DG−6を有するチューブリシンである。4級化薬物単位に組み込まれる他の好ましいチューブリシンは、DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DH、DH−1、およびDH−2のうちの1つの構造を有し、DG−3、DG−4、DG−5の構造を有するものがさらに好ましい。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物Dは、第3級アミン含有フェナジンダイマーであり、好ましくはDIの構造を有する。
他の実施形態では、D+の第3級アミン含有薬物DはMDR阻害剤であり、好ましくはその窒素が4級化の部位であるイソキノリン部分構造を有する。
好ましい実施形態では、DのD+はチューブリシンMまたはアウリスタチンEである。他の好ましい実施形態では、Q1は存在し、調節性プロテアーゼに対する切断部位を提供する。他の好ましい実施形態では、Q2は存在し、グルクロニダーゼなどのグリコシダーゼに対する切断部位を提供する。
さらに好ましい実施形態では、標的化部分は抗体であり、標的とされる部分は、抗体標的化部分により選択的に認識される抗原であり、抗原は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に提示されるアクセス可能な細胞表面抗原である。
他の好ましい実施形態では、標的化部分はアクセス可能な細胞表面受容体に対するリガンドであり、標的とされる部分は標的化リガンドに選択的に結合する受容体であり、受容体は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に提示される。
特に好ましい実施形態では、標的とされる部分はアクセス可能な細胞表面抗原または受容体であり、ADC結合後、抗原または受容体が内在化し、受容体は、正常細胞と比較して、異常細胞により優先的に提示される。
特に好ましい実施形態では、標的とされる部分は、正常細胞と比較して、異常細胞内でさらに大きな存在量があり、またはさらに活性のあるアクセス可能な細胞表面トランスポーターであり、標的化部分はその受容体の基質であり、これがトランスポーターと結合した際に、その標的化部分で構成されるLDCは、正常細胞と比較して、異常細胞への優先的な侵入を得る。
2.式1が式2Aまたは式2Bの構造を有する実施形態1に記載のLDC組成物:
一部の実施形態では、式2AのLbはM2またはM3部分であり、実施形態1のLDC組成物は、式2A−1の構造で表される:
他の実施形態では、式2BのLbはM2またはM3部分であり、実施形態1のLDC組成物は、構造式2B−1で表される:
それらの2つの実施形態のいずれかでは、MはM2またはM3部分である(すなわち、式2A−1または式2B−1のLb−Q1−は、M2−A−WまたはM3−A−Wの式を有する)。
他の実施形態では、式2A−1または2B−1のLbはM2部分であり、Q1はA−Wまたは−A1−Ao−W−であり、A1およびAoはAのサブユニットである。それらの実施形態に対して、実施形態1のLDC組成物は、式2A−2または式2B−2の構造で表される:
(式中、LSSは自己安定化リガンド単位であり、Aoは任意選択のストレッチャーサブユニットであり、LSSは、Aoが存在する場合、M2−A1であり、またはAoが不在の場合、M2−Aであり(すなわち、式2Aまたは式2BのLb−Q1−は、LSSがM2−Aの場合、LSS−Wの式を有し、またはLSSがM2−A1−の場合、LSS−Ao−Wの式を有する)。
他の実施形態では、式2A−1または2B−1のLbはM3部分であり、Q1はA−Wまたは−A1−Ao−W−であり、A1およびAoはAのサブユニットである。それらの実施形態に対して、実施形態1のLDC組成物は、式2A−1または式2B−1の構造で表され、MはM3部分であるか、またはLSSがLS部分で置き換えられた場合、式2A−2および式2B−2で表される。
上記構造のうちのいずれか1つを有する一部の実施形態では、V、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも1つは=C(R24)−である。好ましい実施形態では、そのR24は水素または電子供与基である。さらに好ましい実施形態では、V、Z1、Z2、Z3のうちの2つまたはそれ超は=C(R24)−であり、R24可変基は、出現するたびに水素であるか、または一方は電子供与基であり、他方は水素である。
好ましい実施形態では、上記構造のうちのいずれか1つがV、Z1、Z2、Z3=C(R24)−(式中、R24は電子供与基である)を有する場合、そのR24は、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。好ましい実施形態では、R’が電子供与基の場合、そのR’は、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。
上記構造のうちのいずれか1つに関する他の好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。
他の好ましい実施形態は、構造式2A−1または構造式2−A−2を有する。それらの実施形態では、さらに好ましいのは、VおよびZ1が=CH−であり、Z2が=C(R24)−であり、R24は水素または電子供与基である場合である。式2A−1または式2A−2の他の好ましい実施形態では、V、Z1およびZ2は=CH−である。式2A−1または式2A−2のさらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、V、Z2およびZ3は=CH−である。
上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つを有する他のさらに好ましい実施形態では、標的化部分(すなわち、リガンド)は抗体であり、pは2〜8の範囲である。上記構造のうちのいずれか1つを有する他のさらに好ましい実施形態では、Jは、Q1の中のWを構成するジペプチドに結合することによって、調節性プロテアーゼにより切断可能なアニリド官能基を形成する−NH−である。また他のさらに好ましい実施形態では、LDC組成物は式2Aで表される。特に好ましい実施形態では、標的化部分は抗体であり、Lbはスクシンイミド(M2)またはコハク酸−アミド(M3)部分である。他の特に好ましい実施形態では、Q1は−A1−Ao−W−であり、A1およびAoは、ストレッチャーAサブユニットであり、Lb−A1は自己安定化(LSS)リンカー部分である。また他の特に好ましい実施形態では、−Q1−は−A1−Ao−Ww−であり、下付き文字wは1であり、A1およびAoはストレッチャーAサブユニットであり、Lb−A1は安定化した(LS)リンカー部分である。
さらに好ましい実施形態は、D+がアウリスタチンEなどの4級化第3級アミン含有アウリスタチンであるか、または4級化DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1、もしくはDF/E−3の構造を有する、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
他のさらに好ましい実施形態は、D+が、チューブリシンMなどの4級化第3級アミン含有チューブリシンであるか、または4級化DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DG−7、DG−8、DH、DH−1もしくはDH−2の構造を有する、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
他のさらに好ましい実施形態は、D+がDIの構造を有する4級化フェナジンダイマーである、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
また他のさらに好ましい実施形態は、D+が4級化イソキノリンベースのMDR阻害剤(すなわち、イソキノリン部分構造を有するMDR阻害剤であり、その部分構造の窒素が4級化されている)、例えば、エラクリダルまたはタリキダルなどである、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
式2A−1または式2B−1の一部の実施形態では、ストレッチャー単位は存在しない(すなわち、下付き文字aは0である)。他の実施形態では、式2A−1または式2B−1の中にストレッチャー単位は存在する(すなわち、下付き文字aは1である)。一部の実施形態では、式2A−1または式2B−1の中のストレッチャー単位は単一単位として存在する。それらの実施形態の一部では、Aは、可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。他の実施形態では、ストレッチャー単位は、存在する場合、2、3または4つのサブユニット、好ましくは2または3つ、より好ましくは2つのサブユニットからなる。それらの実施形態の一部では、Aのサブユニットのうちの1つは、置換基として可溶化剤(SA)を有する分枝単位(B)である(すなわち、AのサブユニットであるA1、A2、A3またはA4は−B(SA)−である)。これらの実施形態の他のものでは、下付き文字aが1の場合、式2A−1または式2A−Bの中のAに分枝単位は存在しない。
式2A−1または式2B−1の一部の実施形態では、下付き文字aが1である(すなわち、ストレッチャー単位が存在する)場合、−A−は−A1−AO−である(式中、A1およびAOはAのサブユニットである)。それらの実施形態の一部では、AのA1サブユニットは−B(SA)−である。それらの実施形態の他のものでは、AのAOサブユニットは−B(SA)−である。これらの実施形態のまた他のものでは、A1もAOも−B(SA)−ではないか(すなわち、分枝単位は存在しない)、または可溶化剤はA中に存在しない。
式2A−2または式2B−2の一部の実施形態では、−AO−は、Aが単一単位の場合、−A−であり、任意選択で存在するか、またはAが1、2、3もしくは4つのサブユニットで構成されるもしくはからなる場合、−AO−はAのサブユニットである。それらの実施形態の一部では、AOが存在する場合、−AO−は−B(SA)−である。式2A−2または式2B−2の他の実施形態では、−AO−の中の可溶化剤は存在しない。
3.式1が式3Aまたは式3Bの構造を有する実施形態1に記載のLDC組成物:
4.式1の構造が、式3Cまたは式3Dの構造を有する実施形態1に記載のLDC組成物:
5.式1の構造が式3Eまたは式3Fの構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物:
式3A〜3Fのいずれか1つにおいて、R8およびR9は好ましくは水素である。式3A〜3Fの構造の他の好ましい実施形態では、V、Z1、Z2またはZ3可変基は=C(R24)−である。好ましい実施形態では、そのR24は水素または電子供与基であり、そのR24が電子供与基の場合、それは、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。他の好ましい実施形態では、R’が電子供与基の場合、そのR’は、−C(R8)(R9)−D+置換基を有する芳香族炭素に対して好ましくはオルトまたはパラである。他の好ましい実施形態では、V、Z1、Z2またはZ3可変基は=C(R24)−であり、そのR24は、Q2置換基を有する芳香族炭素に対してオルトにある電子求引基である。式2Bまたは2Fの構造を有する好ましい実施形態において、R’は好ましくは水素または電子求引基、例えば、−NO2または−Clなどである。
他の好ましい式3A〜3Fの構造では、Jは−NH−であり、Q2の中のEは−O−である。さらに好ましい実施形態では、Wは炭水化物であり、Q2のE−W結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
好ましい実施形態では、実施形態1のLDC組成物は、R’が水素または電子求引基であり、V、Z3のうちの1つまたは両方が=C(R24)−であり、R24が水素である、式3Fで表される。
式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの一部の実施形態では、ストレッチャー単位は存在しない(すなわち、下付き文字aは0である)。他の実施形態では、式3Aまたは式3Bの中のストレッチャー単位は存在する(すなわち、下付き文字aは1である)。式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの一部の実施形態では、ストレッチャー単位は単一単位として存在する。それらの実施形態の一部では、Aは可溶化剤を有する分枝単位である。他の実施形態ではストレッチャー単位は、存在する場合、2、3または4つ、好ましくは2または3つ、より好ましくは2つのサブユニットからなる。それらの実施形態の一部では、Aのサブユニットのうちの1つは、置換基として可溶化剤(SA)を有する分枝単位(B)である(すなわち、AのサブユニットであるA1、A2、A3またはA4は−B(SA)−である)。これらの実施形態の他の実施形態では、式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fにおいて、下付き文字aが1の場合、Aの中に分枝単位は存在しない。
式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの一部の実施形態では、下付き文字aが1である(すなわち、ストレッチャー単位が存在する)場合、−A−は−A1−AO−であり、A1およびAOはAのサブユニットである。それらの実施形態の一部では、AのA1は−B(SA)−である。それらの実施形態の他の実施形態では、AのAOは−B(SA)−である。それらの実施形態のまた他の実施形態では、A1もAOも−B(SA)−ではないか(すなわち、分枝単位は存在しない)、または可溶化剤はAの中に存在しない。
実施形態1〜5のうちのいずれか1つに関する他の好ましい実施形態でも、−A−は、存在する場合(すなわち、aが1の場合)、−A1−Ao−で置き換えられており、A1およびAoはAのサブユニットであり、Aoは任意選択のサブユニットである(すなわち、Aoが不在の場合、A1はAとなるか、またはAoが存在する場合、AはA1−Aoである)。それらの実施形態の一部では、AOが存在する場合、−AO−は−B(SA)−である。それらの実施形態の他の実施形態では、−A1−は−B(SA)−である。式3A、3B、3C、3D、3D、3Eまたは3Fの他の実施形態では、−AO−の中に可溶化剤は存在しないか、またはAの中に分枝単位は存在しない。
式3Fで表されるさらに好ましい実施形態では、LbはM2またはM3部分であり、実施形態1のLDC組成物は、式3F−1または式3F−2の構造で表される:
(式中、MはM2またはM3部分であり、A1およびAoはストレッチャー単位Aのサブユニットである)。
式3F−1または式3F−2の構造を有するさらに好ましい実施形態では、R8およびR9は水素であり、VおよびZ3は=CH−であり、R’は水素または電子求引基、好ましくは−Clまたは−NO2である。特に好ましい実施形態では、式3F−1または式3F−2の「リガンド」は抗体である。式3F−1または式3F−2の他の特に好ましい実施形態では、MはM2であり、M2−AまたはM2−A1はLSS部分である。式3F−1または式3F−2のまた他の特に好ましい実施形態では、MはM3であり、M3−AまたはM3−A1はLS部分である。
式3F−1の一部の実施形態では、Aは−B(SA)−であり、Bは分枝単位であり、SAは可溶化剤である。他の実施形態では、式3F−1のAは−B(SA)ではなく、または可溶化剤で構成されない。式3F−2の一部の実施形態では、Aoが存在し、ここでA1またはAOが−B(SA)−である。式3F−1または3F−2の他の実施形態では、Aまたは−A1−AO−はそれぞれ、分枝単位で構成されない。式3F−1または3F−2のまた他の実施形態では、可溶化剤は−A−または−A1−AO−において存在しない。
式3A、3B、3C、3D、3E、3F、3F−1または3F−2に関して好ましい実施形態のいずれか1つでは、さらに好ましいのは、D+が4級化第3級アミン含有アウリスタチン、例えば、アウリスタチンEなどであるか、または4級化DE、DE−1、DE−2、DF、DF−1、もしくはDF/E−3の構造を有するものである。
式3A、3B、3C、3D、3E、3F、3F−1または3F−2に対して好ましい実施形態のいずれか1つでは、さらに好ましいのはまた、D+が、4級化第3級アミン含有チューブリシン、例えばチューブリシンMであるか、または4級化DG、DG−1、DG−2、DG−3、DG−4、DG−5、DG−6、DG−7、DG−8、DH、DH−1もしくはDH−2の構造を有するものなどである。
式3A、3B、3C、3D、3E、3F、3F−1または3F−2に対して好ましい実施形態のいずれか1つでは、またさらに好ましいのは、D+がDIの構造を有する4級化フェナジンダイマーであるものである。
また他のさらに好ましい実施形態は、D+が4級化イソキノリンベースのMDR阻害剤(すなわち、イソキノリン部分構造を有するMDR阻害剤であって、その部分構造の窒素が4級化されている)、例えば、エラクリダルまたはタリキダルなどである、上記式2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2の構造のうちのいずれか1つである。
6.標的化部分が抗体であり、よって、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を規定し、標的とされる部分が、結合したADCの細胞内在化が可能な標的とされる異常細胞の細胞表面抗原であり、抗原が、正常細胞と比較して、異常細胞の表面に優先的に存在する、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、標的とされる抗原は、CD19、CD70、CD30、CD33、NTB−A、αvβ6、CD123およびLW−1からなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、標的とされる抗原は過剰増殖細胞のアクセス可能な細胞表面抗原である。他の好ましい実施形態では、標的とされる抗原は、過剰活性化免疫細胞のアクセス可能な細胞表面抗原である。
7.標的化部分が細胞表面トランスポーターの基質であり、標的とされる部分がその細胞表面トランスポーターであり、異常細胞の表面の標的とされるトランスポーターが、その標的化部分として基質で構成される、結合したLDCの細胞取り込みができ、そのトランスポーターが、正常細胞と比較して、異常細胞の表面で優先的に存在するまたはさらに活性のある、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、トランスポーターは葉酸トランスポーターである。他の実施形態では、標的化部分は、細胞表面受容体のリガンドであり、標的とされる部分はその細胞表面受容体であり、異常細胞の表面の標的とされる受容体は、その標的化部分として受容体リガンドで構成される、結合したLDCの細胞内在化が可能であり、標的とされる受容体が、正常細胞と比較して、異常細胞の表面に優先的に存在する。
8.Q1のWが、血清プロテアーゼと比較して、調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であるJへのペプチド結合を有するペプチド部分で構成され、Wに対する調節性プロテアーゼの作用が、組成物のLDCからの第3級アミン含有薬物(D)の細胞内放出を引き起こす実施形態1または2に記載のLDC組成物。
9.Q2のWが、グリコシド結合した炭水化物であり、Q2のグリコシド結合W−Eが、グリコシダーゼのための切断部位を提供し、W−Eに対するグリコシダーゼの作用が、組成物のLDCからの第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こす、実施形態3、4または5に記載のLDC組成物。
10.Wのペプチド部分が、式6の構造を有するジペプチド部分で構成されるかまたはこのジペプチド部分からなる、実施形態8に記載のLDC組成物:
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドのC末端への波線の結合は、式2Aまたは2Bのアリーレン部分のJへの共有結合を示し、ジペプチドのN末端への波線の結合は、もしこのような残りが存在する場合には、Wの残りの部分への、またはaが1の場合には、Aもしくはそのサブユニットへの、またはaが0の場合には、Lbへの共有結合を示し、ジペプチドのJへの結合は、調節性プロテアーゼにより切断可能である)。
11.Q2の中のWが、Eにグリコシド結合した炭水化物部分であり、グリコシド結合がグリコシダーゼにより切断可能であり、W−Eが、式7の構造を有する、実施形態9に記載のLDC組成物:
(式中、波線は、V、Z1、Z2、またはZ3のうちの1つ(その可変基が=CH(R24)−の場合)に結合したEを表し、Eは、−O−、−S−、または−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである)。
12.aが1であり、したがってQ1の中のA、またはそのサブユニット(すなわち、A1)が式1のLbに結合しており、式1の−Lb−Aまたは−Lb−A1は、式8の構造を有する、実施形態1〜11のいずれか1つの実施形態に記載のLDC組成物:
(式中、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aまたはそのサブユニット(A1)の構造を表し、RおよびRa2は、独立して、水素またはメチルであり、Ra1は、水素、メチル、エチルまたは塩基性単位(BU)であり、HEは任意選択の加水分解促進剤(HE)単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいは一方のRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、他方のRb1は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造(式中、nは、0、1、2または3であり、各R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、各R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、スクシンイミド環への波線は、標的化部分のスルフヒドリル基由来の硫黄の共有結合を示し、他の波線は、式1、2A、2B、2A−1、2B−1、2A−2、2B−2 3A〜3F、3F−1または3F−2の構造の残りの部分へのA(またはA1)の共有結合を示す)。
好ましい実施形態では、Rは水素である。他の好ましい実施形態では、[HE]は存在し、カルボニル(すなわち、−C(=O)−)またはカルボニル含有官能基であり、その官能基のカルボニルは、好ましくはAまたはA1の[C(Rb1)(Rb1)]m部分に直接結合している。他の好ましい実施形態では、各RbおよびRa1およびRa2は水素であり、mが5であるものがさらに好ましい。
他の好ましい実施形態では、[HE]は存在し、カルボニル(すなわち、−C(=O)−)であり、Ra1は塩基性単位であり、Ra2は水素であり、−CH2NH2の構造を有するBUがさらに好ましい。
13.標的化部分が抗体であり、式1が式9の構造を有する、実施形態10に記載のLDC組成物:
(式中、R8は水素であり、R9は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルであり、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、
VおよびZ1は、独立して、=CH−または=N−である)。
好ましい実施形態では、R8およびR9は水素である。他の好ましい実施形態では、R34はイソプロピルであり、R35は−(CH2)3NH(C=O)NH2であり、これらの置換基が結合している炭素は、L−アミノ酸と同じ絶対立体配置にある。他の好ましい実施形態では、R34はイソプロピルであり、R35はメチルであり、これらの置換基が結合している炭素は、L−アミノ酸と同じ絶対立体配置にある。
一部の実施形態では、式9の中のAはA1−Aoで置き換えられており、および/またはLbはM2またはM3部分である。
14.標的化部分が抗体であり、式1が式10の構造を有する、実施形態13に記載のLDC組成物:
(式中、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Ra1は−Hまたは塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R34はメチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)2CO2Hであり、
Jは−NH−であり、V、Z1およびZ2は=CH2−であり、R8は水素であり、
R9は水素またはメチルであり、Sは、抗体標的化部分由来のスルフヒドリル基の硫黄である)。
15.標的化部分が抗体であり、式1が式11の構造を有する、実施形態11に記載のLDC組成物:
(式中、A1およびAoは、Aの独立して選択されるサブユニットであり、AoはAの任意選択のサブユニット(すなわち、A1は、Aoが不在の場合Aとなり、Aは、Aoが存在する場合A1−Aoとなる)であり、Eは、−O−または−NH−であり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、
VおよびZ3は、独立して、=CH−または=N−であり、R8は水素であり、R9は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルであり、R45は−CO2Hである)。
他の実施形態では、式11の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
式11の一部の実施形態では、−A1−または−AO−は−B(SA)−であり、Bは分枝単位であり、SAは可溶化剤である。他の実施形態では、式11のA1もAOも−B(SA)ではなく、または−A1−AO−は可溶化剤で構成されない。
16.標的化部分が抗体であり、式1が式12の構造を有する、実施形態15に記載のLDC組成物:
(式中、A1およびAoは、Aの独立して選択されるサブユニットであり、Aoは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb)(Rb)]m−[HE]−は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Aoは、存在する場合、アミン含有酸のC末端カルボニルを介してJに結合しているアミン含有酸に、構造において対応し、
Rは水素であり、R’は水素または電子求引基であり、Ra1は水素または塩基性単位(BU)であり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、VおよびZ3は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルであり、Sは、抗体のスルフヒドリル基由来の硫黄である)。
他の実施形態では、式12の中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
17.存在する場合、Aoが、式13または式14の構造:
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、AoのWへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、AoのA1への結合点を表し、KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR43、R44のうちの1つは不在であるものとし、ただし、2つの隣接するLがN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、qは0〜12の範囲の整数であり、rは1〜12の範囲の整数であり、Gは、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORG、−CO2H、CO2RG、−NH2、または−N(RG)(RG)であり、−ORG、CO2RGにおいて、RGは、C1〜C6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)、またはRPRであり、RPRは、適切な保護基であり、−N(RG)(RG)において、独立して選択されるRGは、以前定義された通りであるか、または両方のRGは、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、またはRPRとしての両方のRGが一緒になって、適切な保護基を形成し、R38は、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル(任意選択で置換されている)、または任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいはR40とR41、またはR40とR43、またはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成する)を有するか、あるいはAoが、アルファ−アミノ、ベータ−アミノまたは別のアミン含有酸に対応する構造を有する、実施形態14、15または16に記載のLDC組成物。
一部の実施形態では、式13または式14のAOは、可溶化剤置換基を有する分枝単位である(すなわち−AO−は−B(SA)−である)。これらの事例では、Gは、可溶化剤(SA)で構成され、好ましくは、そのSAで置換されているD−アミノ酸またはL−アミノ酸の側鎖であり、残りの可変基は定義されている通りである。
18.星印で示された(*)炭素が、その炭素がキラルの場合、L−アミノ酸のアルファ炭素と主に同じ絶対立体配置にある、実施形態14または16に記載のLDC組成物。
19.式1が、標的化部分として抗体由来のリガンド単位を有することによって、式1の組成物の各LDCが、式16Aまたは式16Bの構造で表される、実施形態6に記載のLDC組成物:
(式中、Q1’はAo−Wwであり、Aoは、Aの任意選択のサブユニットであり、したがって−Q1’−は、Aoが不在の場合、−Ww−であるか、またはAoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、−Ao−WW−であり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aとなり、またはAoが存在する場合、A1であり、wは、Q2が不在の場合、1であり、またはQ2が存在する場合、0であり(すなわち、Wは不在)、
Rは水素であり、Ra1は−HまたはBUであり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素もしくはメチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、Jは−O−または−NH−であり、Q2は、存在する場合、W−Eであり、Eは−O−または−NH−であり、p’は、1〜24の範囲の整数であり、Sは、抗体標的化部分のスルフヒドリル基由来の硫黄である)。
20.式1の組成物の各LDCが式17Aまたは式17Bの構造で表される、実施形態19に記載のLDC組成物:
(式中、Jは−NH−であり、V、Z1のうちの1つは=C(R24)−であり、R24は水素、−Clまたは−NO2であり、他方のV、Z1およびZ2は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
21.式1の組成物の各LDCが、式18Aまたは式18Bの構造で表される、実施形態19に記載のLDC組成物:
(式中、Aoは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Ra1は−Hまたは塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22は、独立して、水素もしくはメチルであるか、またはR22の両方は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、Rb1は独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R8は水素であり、R9は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルである)。
他の実施形態では、式18Aまたは18Bの炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられており、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
式18Aまたは式18Bの一部の実施形態では、AOは存在する。それらの実施形態の一部では、−AO−は−B(SA)−であり、Bは分枝単位であり、SAは可溶化剤である。他の実施形態では、式18Aまたは式18BのAOは、存在する場合、−B(SA)−ではなく、または可溶化剤で構成されない。
22.式1の組成物の各LDCが式19Aまたは式19Bの構造で表される、実施形態21に記載のLDC組成物:
(式中、Rは水素であり、Ra1は水素または塩基性単位(BU)であり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素もしくはメチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、各Rb1は独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、VおよびZ3は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
他の実施形態では、式19Aまたは19Bの中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
23.星印で示された(*)炭素が、その炭素がキラルの場合、L−アミノ酸のアルファ炭素と主に同じ絶対立体配置にある、実施形態19、20、21または22に記載のLDC組成物。
24.−D+が、式20(DE’)または式21(DF’)の構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物:
(式中、R10およびR11は、独立して、C1〜C8アルキルであり、R12は水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、独立して、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、R19Aは、水素、C1〜C6アルキルまたは−OHであり、R21は、アリールまたはC3〜C8複素環であり、R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、mは1〜1000の範囲の整数であり、R47はC2〜C8アルキルであり、R48は水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、ZはO、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、X1はC1〜C10アルキレンであり、nは0〜6の範囲の整数であり、N+への波線は、式1の構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
25.−D+が、式22(DI’)の構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物
(式中、環Aおよび環Bは、環A上で1、2もしくは3つのRA置換基で任意選択で置換されている、および/または環B上で1、2もしくは3つのRB置換基で任意選択で置換されている、独立して選択されるアリールまたはヘテロアリールであり、これらはフェナジン環系に縮合しており、一方のフェナジン環系は、1、2または3つの、独立して選択されるRC置換基で任意選択で置換されており、他方のフェナジン環は1、2または3つの、独立して選択されるRD置換基で任意選択で置換されており、RA、RB、RCおよびRDは、存在する場合、ハロゲン、任意選択で置換されているアルキルまたはO連結置換基であり、R9AおよびR9Bは、独立して選択される、任意選択の置換アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子およびこれらの窒素の間にある炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環系を構成し、n、sおよびoは、独立して、2〜4の範囲の整数であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
26.−D+が、式23(DG−1’)または式24(DH−1’)の構造を有する、実施形態1に記載のLDC組成物
(式中、丸は、5員のヘテロアリールまたは6員のアリールもしくはヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールへの示された必要とされる置換基は、残りの位置における任意選択の置換と互いに1,3−またはメタ−関係にあり、R2Aは水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基を規定し、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、任意選択で置換されているアルキル(独立して選択される)であり、R7Aは任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは水素または任意選択で置換されているアルキルであり、mは0または1であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
好ましい実施形態では、R7Aは、任意選択で置換されているフェニルである。他の好ましい実施形態では、丸はチアゾールを表す。他の好ましい実施形態では、R3は−CH3である。さらに好ましい実施形態では、R7Aは、任意選択で置換されているフェニルであり、丸はチアゾールを表し、R2Aは、それが結合している酸素原子と共にエステルを規定する。
27.標的化部分が抗体である、実施形態1〜26のいずれか1つに記載のLDC組成物。
28.標的化部分由来のリガンド単位が、哺乳動物細胞の表面の抗原を標的とする、実施形態1〜27のいずれか1つに記載のLDC組成物。
29.標的化部分由来のリガンド単位が、細菌上の抗原に結合しない、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のLDC組成物。
30.標的化部分由来のリガンド単位が細菌性多糖に結合しない、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のLDC組成物。
31.標的化部分由来のリガンド単位が細胞壁テイコ酸に結合しない、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のLDC組成物。
32.D+が、構造において抗生剤に対応しない、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
33.D+が、構造において抗生剤に対応しない、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
34.D+が、細菌感染症の処置に使用されるものに、構造において対応しない、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
35.D+が、第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能である、がんの処置に有用な化学化合物である、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
36.D+が、第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能である、自己免疫疾患の処置に有用な化学化合物である、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のLDC組成物。
1A.式Iの構造を有する化合物
(式中、Lb’はリンカー共有結合前駆体部分であり、Q1はAa−Wwであり、下付き文字aは0または1であり、Aは、下付き文字aが、Aが不在の場合0であるか、またはAが存在する場合1であるような任意選択のストレッチャー単位であり、任意選択で2、3または4つのサブユニットで構成され、Q2はW’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であるJへのペプチド結合を有するペプチド部分で構成され、この細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されるプロテアーゼによる選択的切断が可能であるか、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより切断可能であるジスルフィド部分で構成されるか、またはその構造が式Iの構造に対応する式1のLDCに組み込まれた場合、血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下(すなわち、より酸性の条件下)で加水分解にさらに反応性があるヒドラゾン部分で構成され、Q2のW’−Eは、細胞内に位置するグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を提供し、このグリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、またはその構造が式Iの構造に対応する式1のLDCに組み込まれた場合、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されたグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはwが1の場合存在し、w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはw’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちのうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は=N−または=C(R24)−であり、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CN、もしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは=C(R24)−であるが、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、前記細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断は、前記LDCからのD+からのDの排出をもたらす)。
2A.Lb’が、以下のうちの1つの構造を有する、実施形態1Aに記載の化合物
(式中、Rは、水素またはC1〜C6の任意選択で置換されているアルキルであり、Tは−Cl、−Br、−I、−O−メシルまたは−O−トシルであり、Uは、−F、−Cl、−Br、−I、−O−N−スクシンイミド、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、−O−テトラフルオロフェニルまたは−O−C(=O)−OR57であり、X2はC1〜10アルキレン、C3〜C8炭素環、−O−(C1〜C6アルキル)、−アリーレン−、C1〜C10アルキレン−アリーレン、−アリーレン−C1〜C10アルキレン、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C6炭素環)−、−(C3〜C8炭素環)−C1〜C10アルキレン−、C3〜C8複素環、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン、−(CH2CH2O)u、または−CH2CH2O)u−CH2−であり、uは、1〜10の範囲の整数であり、R57はC1〜C6アルキルまたはアリールである)。
3A.前記化合物が式IIaまたは式IIbの構造を有する、実施形態2Aに記載の化合物:
(式中、Aはストレッチャー単位であり、下付き文字aは1であり、下付き文字wは1であり、下付き文字w’は1であり、Rは水素またはメチルであり、EおよびJは、独立して、−O−、または−N(R33)−(式中、R33は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルである)であり、下付き文字wは1であり、式IIaのWはペプチド部分(すなわち、Wは2つまたはそれ超、好ましくは2〜4つのアミノ酸サブユニットのものである)であり、Jへのペプチド結合は、血清プロテアーゼと比較して、調節性プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼにより選択的に切断可能であり、式IIbのW’はグリコシド結合した炭水化物であり、W’−Eの中のEへのグリコシド結合はリソソームグリコシダーゼまたは細胞内グリコシダーゼにより切断可能であり、R8は水素であり、R9は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルである)。好ましくは、式IIaのペプチドWは−W1−W2−であり、W1およびW2は、Wのアミノ酸サブユニットであり、これが一緒になって、カテプシンなどのシステインプロテアーゼのための認識部位を提供する。
式IIaまたは式IIbの一部の実施形態では、−A−は−B(SA)−であり、B(SA)は可溶化剤(SA)で置換されている、分枝単位(B)である。式IIaまたは式IIbのAの他の実施形態では、−A−は分枝単位で構成されない。式IIaまたは式IIaの一部の実施形態では−A−は−A1−AO−であり、A1またはAOは−B(SA)−である。式IIaまたは式IIbの他の実施形態では、Aは分枝単位で構成されない。式IIaまたはIIbのまた他の実施形態では、可溶化剤は−A−中に存在しない。
4A.式IIaの化合物が式IIIaまたは式IIIbの構造を有する、実施形態3Aに記載の化合物:
(式中、下付き文字wは1であり、下付き文字w’は1であり、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、RおよびRa2は、独立して、水素またはメチルであり、Ra1は水素、メチル、エチルまたは塩基性単位(BU)であり、HEは任意選択の加水分解促進剤単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、あるいは1つのRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを規定し、他方のRb1は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造(式中、nは0、1、2または3であり、各R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、各R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、R8は水素であり、R9は水素またはC1〜C6アルキルである)。
式IIIaまたは式IIIbの一部の実施形態では、AOは存在する。それらの実施形態の一部では、−AO−は−B(SA)−であり、B(SA)は、可溶化剤(SA)で置換されている分枝単位(B)である。式IIIaまたは式IIIbの他の実施形態では、−AO−は存在するが、−B(SA)−ではないか、または可溶化剤で構成されない。
4A.式Iの化合物が式IVaまたは式IVbの構造を有する実施形態2Aに記載の化合物:
(式中、式IVaの中で、V、Z1またはZ2のうちの1つは=C(R24)−であり、R24は、水素または電子供与基であり、他のV、Z1またはZ2は、=CH2−または=N−であり、R’は、水素または電子供与基であるか、あるいは式IVbの中で、VおよびZ3は、=C(R24)−であり、一方のR24は水素であり、他方のR24は水素、電子供与基もしくは電子求引基であるか、またはVおよびZ3は、独立して、=CH2−もしくは=N−であり、R’は、水素もしくは電子求引基であり、Eは、−O−もしくは−NH−であり、Jは−N(R33)であり、R33は水素もしくはメチルであり、R34はベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである)。
他の実施形態では、式IVbの中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられており、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
一部の実施形態では、式IVaの−A−は−B(SA)−であるか、またはA1−AO−であり、A1またはAOは−B(SA)−であり、B(SA)は可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。式IVbの一部の実施形態では、A1またはAOは−B(SA)−である。式IVaまたは式IVbの他の実施形態では、−A−、A1およびAOのいずれも−B(SA)−ではなく、または式IVaの中の−A−もしくは式IVbの中の−A1−AO−は可溶化剤で構成されない。
5A.式IVaまたは式IVbの化合物が式Vaまたは式Vbの構造を有する実施形態4Aに記載の化合物:
(式中、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb)(Rb)]m−[HE]−部分は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Rは水素であり、Ra1は水素またはBUであり、BUは−CH2−N(R22)(R23)の構造(式中、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成する)を有し、Ra2は水素であり、mは1〜5の範囲の整数であり、Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、V、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
他の実施形態では、式Vbの中の炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられており、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
式Vaまたは式Vbの一部の実施形態では、AOは−B(SA)−である。式IVaまたは式IVbの他の実施形態では、AOは−B(SA)−ではなく、または可溶化剤で構成されない。
6A.式Vbの中のAoが、
(式中、いずれかの構造のC末端カルボニル部分への波線は、Jへの結合点を表し、いずれかの構造のN末端アミノ部分への波線は、A1のカルボニル含有官能基への結合点を表し、KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR43、R44のうちの1つは不在であるものとし、ただし、2つの隣接するLがN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、qは0〜12の範囲の整数であり、rは1〜12の範囲の整数であり、Gは水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORG、−CO2H、CO2RG(RGは、C1〜C6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)である)、またはRPR(RPRは適切な保護である)、−NH2、または−N(RG)(RG)であり、独立して選択されるRGは、以前定義された通りであるか、または両方のRGは、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、またはRPRとしての両方のRGが一緒になって適切な保護基を形成し、R38は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル(任意選択で置換されている)、もしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR40とR41、またはR40とR43、またはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成する)の構造を有するか、あるいは式Vbの中のAoがアルファ−アミノ酸、ベータ−アミノ酸または他のアミン含有酸に対応する構造を有する、実施形態5Aに記載の化合物。
一部の実施形態ではAOは可溶化剤置換基を有する分枝単位である(すなわち−AO−は−B(SA)−である)。これらの事例において、Gは可溶化剤(SA)で構成され、好ましくはD−アミノ酸またはL−アミノ酸の側鎖がそのSAで置換されており、残りの可変基は定義されている通りである。
8A.AOが、
(式中、X3は不在であるか、またはX2であり、X2は実施形態2Aにおいて定義されている通りであり、Raはリシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸の側鎖である)の構造を有する、実施形態6Aに記載の化合物。
9A.Aoが、
(式中、R46AおよびR46Bは、独立して、HもしくはC1〜C6アルキル(好ましくはメチル)であるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、またはR46AおよびR46Bの一方は、水素もしくはC1〜C6アルキルであり、他方は可溶化剤であり、好ましくはアミド官能基を介して窒素ヘテロ原子に結合している)の構造を有する、実施形態7Aまたは8Aに記載の化合物。好ましい実施形態では、R46AおよびR46Bのそれぞれは水素またはメチルである。他の好ましい実施形態では、R46AおよびR46Bの一方は水素であり、他方は可溶化剤であり、好ましくはアミド官能基を介して窒素ヘテロ原子に結合している。
10A.AOが、可溶化剤での置換を有する分枝単位である、実施形態1A〜6Aのいずれか1つに記載の化合物。
11A.AOが、リシン、好ましくはL−リシンであり、そのε−アミノ基において可溶化剤で任意選択で置換されている、実施形態1A〜9Aのいずれか1つに記載の化合物。
1B.実施形態2Aの化合物を、反応性スルフヒドリル、アミノまたはアルデヒド部分を有する抗体と適切な条件下で接触させることによって、反応性部分と、式1の化合物のLb’部分との縮合を生じさせ、この時点で、Lb’が、Lbに変換されることにより得られる、抗体薬物コンジュゲート(ADC)組成物であり、前記縮合からのADC組成物を表す構造内のAb−Lb−部分は、以下のうちの1つの構造を有する:
(式中、示された(#)原子は、抗体の反応性部分から誘導され、X2は、実施形態2Aで定義されている通りであり、
Abは、標的化抗体由来の抗体リガンド単位である)。
2B.反応性抗体部分が、溶媒のアクセス可能な位置において抗体の重鎖定常領域へシステイン残基を遺伝子操作することにより、または抗体のヒンジジスルフィド部分の選択的還元に適切な条件下で抗体をジスルフィド還元剤と接触させることにより、得られるシステインスルフヒドリルである、実施形態1Bに記載のADC組成物。
3B.前記組成物が、Ab−S−式1またはAb−S−式2の構造で表される実施形態2Bに記載のADC組成物:
(式中、下付き文字aは1であり、下付き文字wは1であり、下付き文字w’は1であり、下付き文字yは1であり(すなわち、ストレッチャー、切断およびスペーサー単位は存在する)、下付き文字p’は1〜8の範囲であり、可変基は、実施形態1Aと同様に定義され、D+は4級化第3級アミン含有薬物の構造を表す)。
4B.前記組成物が、Ab−S−式5またはAb−S−式11の構造で表される、実施形態3Bに記載のADC組成物:
(式中、Ab−S−式5およびAb−S−式11の可変基は、実施形態4Aまたは実施形態12Aにおいてそれぞれ定義されている通りである)。
Ab−S−式5またはAb−S−式11の一部の実施形態では、AOは不在である。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは存在する。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは、存在する場合、−B(SA)−であり、B(SA)は、可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは−B(SA)−ではない、または可溶化剤で構成されない。
他の実施形態では、炭水化物部分は、別の炭水化物部分で置き換えられ、その部分へのグリコシド結合はグリコシダーゼにより切断可能である。
5B.前記組成物が、Ab−S−式9またはAb−S−式12の構造で表される実施形態3Bに記載のADC組成物:
(式中、イミド窒素に対する炭素αはBUで置換されているか、またはそうでなければ、水素で置換されており、Ab−S−式9およびAb−S−式12の可変基は、実施形態8Aまたは実施形態12Aとそれぞれ同様に定義される)。
Ab−S−式9またはAb−S−式12の一部の実施形態では、AOは不在である。Ab−S−式9またはAb−S−式12の他の実施形態では、AOは存在する。Ab−S−式9またはAb−S−式12の他の実施形態では、AOは、存在する場合、−B(SA)−であり、B(SA)は、可溶化剤(SA)置換基を有する分枝単位(B)である。Ab−S−式5またはAb−S−式11の他の実施形態では、AOは−B(SA)−ではなく、または可溶化剤で構成されない。
6B.BUが不在であり、括弧内の水素で置き換えられているか、または−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造(式中、n、R1、R2、R22およびR23は実施形態2Aと同様に定義される)を有する、実施形態5Bに記載のADC組成物。
7B.前記組成物が、Ab−S−式13またはAb−S−式14の構造で表される、実施形態5Bに記載のADC組成物:
(式中、BUが存在する場合、ADC組成物のそれぞれのコンジュゲートが、p’が出現するたびに、星印で示された(*)位置において、10%以下の反対の立体異性体を有し、
BUは、存在する場合、−CH2N(R22)(R23)であり、R22およびR23のうちの一方は−Hであり、他方は水素またはC1〜C6アルキルである)。
8B.BUが不在であり(すなわち、括弧内の水素で置き換えられている)、−[C(Rb1)(Rb1)]m−が−(CH2)4−である、実施形態5Bに記載のADC組成物。
9B.BUが−CH2NH2であり、mが0である、実施形態5Bに記載のADC組成物。
10B.Abが、哺乳動物細胞の表面の抗原を標的とする標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
11B.Abが、細菌上の抗原に結合しない標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
12B.Abが、細菌性多糖に結合しない標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
13B.Abが、細胞壁テイコ酸に結合しない、標的化抗体由来のものである、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
14B.D+が、構造において抗生剤に対応しない、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
15B.D+が細菌感染症の処置に使用されるものに構造において対応しない、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
16B.D+が、第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能な、がんの処置において有用な化学化合物である、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
18B.D+が第3級アミン官能基を有する、またはその官能基を有するように修飾可能な、自己免疫疾患の処置において有用な化学化合物である、実施形態1B〜9Bのいずれか1つに記載のADC組成物。
1C.式1の構造:
(式中、「リガンド」は、標的部分に選択的に結合する標的化部分に由来するリガンド単位であり、Lbはリガンド共有結合部分であり、Q1はAa−Wwであり、Aは、下付き文字aが、Aが不在の場合0であるか、またはAが存在する場合1であるような任意選択のストレッチャー単位であり、任意選択で2、3または4つのサブユニットで構成され、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’ w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であり、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されるプロテアーゼにより、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより選択的に切断可能であり、または生理学的血清pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH条件下で加水分解に対してさらに反応性があり、Q2のW’−Eは、細胞内に位置するグリコシダーゼにより選択的に切断可能なグリコシド結合を提供し、グリコシダーゼは、正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞に対してより特異的であってもなくてもよく、または正常細胞と比較して、標的とされる異常細胞もしくは他の望ましくない細胞によりさらに多量に排出されたグリコシダーゼにより選択的切断が可能であり、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはwが1の場合存在し、w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはw’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちのうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は、=N−または=C(R24)−(式中、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+である)であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは、=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは=C(R24)−であるが、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いににオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いにオルトまたはパラであり、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−(式中、R33は水素または任意選択で置換されているアルキルである)であり、R’は水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、または電子供与基であり、D+は、4級化第3級アミン含有薬物Dの構造を表し、pは、1〜24の範囲の数を有する平均薬物付加数である)で表されるリガンド薬物コンジュゲート(LDC)組成物であって、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断が、LDC組成物のLDCからのDの排出をもたらす、リガンド薬物コンジュゲート(LDC)組成物。
2C.−D+が4級化アウリスタチン薬物単位である、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
3C.−D+がDE’またはDF’の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物
(式中、R10およびR11は、独立して、C1〜C8アルキルであり、R12は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、独立して、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、R21は、アリールまたはC3〜C8複素環であり、R19Aは、水素、C1〜C8アルキルまたは−OHであり、R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、mは1〜1000の範囲の整数であり、R47はC2〜C8アルキルであり、R48は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、ZはO、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、X1はC1〜C10アルキレンであり、nは0〜6の範囲の整数であり、N+への波線は、式1の構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
4C.式1の組成物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましくはpは、1〜8の範囲である。
5C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Abは、標的化抗体由来の抗体リガンド単位であり、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合しており、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、p’は1〜24の整数である)の構造で表される実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
6C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態4Cに記載のLDC組成物。
7C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合している)の構造で表される、実施形態5Cに記載のLDC組成物。
8C.式1の組成物が、
(式中、pは、1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜24の範囲の数である。好ましい実施形態では、pは、1〜8の範囲の数である。
9C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合しており、p’は1〜24の範囲の整数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
10C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態8Cに記載のLDC組成物。
11C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合している)の構造で表される、実施形態9Cに記載のLDC組成物。
12C.−D+が、4級化チューブリシン薬物単位である、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
13C.−D+が、式DG−1 ’または式DH−1’の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物:
(式中、丸は5員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールに対する示された必要とされる置換基は互いに1,3−の関係にあり、残りの位置に任意選択の置換を有し、R2Aは水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共に−OH以外のO連結置換基を規定し、
R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、任意選択で置換されているアルキル(独立して選択される)であり、R7Aは、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、mは0または1であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
14C.式1の組成物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
15C.式1の組成物が、
(式中、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
16C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態14Cに記載のLDC組成物。
17C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態15Cに記載のLDC組成物。
18C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合しており、
R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、p’は1〜24の整数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
19C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、R7Bは、水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、p’は1〜24の整数である)の構造で表される、実施形態1Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
20C.式1の組成物の各LDCが、
の構造で表される、実施形態18Cに記載のLDC組成物。
21C.その組成物の各LDCが、
の構造で表される、実施形態19Cに記載のLDC組成物。
22C.Aが、−CH2(CH2)4(C=O)−または−CH2(CH2)4(C=O)NHCH2CH2(C=O)−である、実施形態4C、5C、8C、9C、14C、15C、18Cまたは19Cに記載のLDC組成物。
23C.−D+が、4級化フェナジンダイマーである、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
24C.−D+が、DI’の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物:
(式中、環Aおよび環Bは、1、2または3つの独立して選択されるRCおよび/またはRBD置換基で任意選択で置換されているフェナジン環系に縮合した、1、2または3つのRAおよび/またはRB置換基で任意選択で置換されている、独立して選択されるアリールまたはヘテロアリールであり、RA、RB、RCおよびRDは、存在する場合、独立してハロゲン、任意選択で置換されているアルキルであるか、またはO連結置換基であり、R9AおよびR9Bは、独立して選択される、任意選択の置換アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子およびこれらの窒素の間にある炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環系を構成し、n、sおよびoは、独立して、2〜4の範囲の整数であり、N+への波線は、式1構造の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
25C.−D+が、
(式中、RAおよびRBは存在し、低級アルキルである)の構造を有する、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
26C.前記LDC組成物が、
(式中、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態25Cに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。さらに好ましい実施形態では、炭水化物はグルクロン酸である。他の好ましい実施形態では、RAおよびRBは−CH3である。他の好ましい実施形態ではLbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AがLSS部分であるか、またはM3−AがLS部分であるものである。他のさらに好ましい実施形態では、Aが−A1−Ao−で置き換えられることによって、M2−A1はLSS部分であるか、またはM3−A1はLS部分である。また他のさらに好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
27C.式1の組成物が、
(式中、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態26Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
28C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される、実施形態27Cに記載のLDC組成物。
29C.式1の組成物が、
(式中、Qは、−W−Aまたは−W−A1−Ao−であり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される実施形態26Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
好ましい実施形態では、Wは、Q1とSI部分との間の結合を切断する調節性プロテアーゼに対する基質である。他の好ましい実施形態では、LbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AもしくはM2−A1がLSS部分であるか、またはM3−AもしくはM3−A1がLS部分であるものである。また他のさらに好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
30C.−D+が、イソキノリン部分構造を有する4級化MDR阻害剤である、実施形態1Cに記載のLDC組成物。
31C.式1の組成物が、
(式中、Arは任意選択で置換されているアリールまたはヘテロアリールであり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態30Cに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。さらに好ましい実施形態では、炭水化物はグルクロン酸である。他の好ましい実施形態では、RAおよびRBは−CH3である。他の好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、LbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AがLSS部分であるか、またはM3−AがLS部分であるものである。他のさらに好ましい実施形態では、Aが−A1−Ao−で置き換えられることによって、M2−A1はLSS部分であるか、またはM3−A1はLS部分である。また他のさらに好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、pは1〜24の範囲の数である。好ましい実施形態では、pは1〜8の範囲の数である。
32C.式1の組成物が、
(式中、pは1〜8の範囲の数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。
33C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。
34C.式1の組成物が、
(式中、Qは−W−Aまたは−W−A1−Ao−であり、pは1〜24の範囲の数である)の構造で表される、実施形態30Cに記載のLDC組成物。
好ましい実施形態では、Wは、Q1とSI部分との間の結合を切断する調節性プロテアーゼに対する基質である。他の好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、LbはM2またはM3部分であり、より好ましくは、M2−AもしくはM2−A1がLSS部分であるか、またはM3−AもしくはM3−A1がLS部分であるものである。また他のさらに好ましい実施形態では、「リガンド」は標的化抗体であり、pは1〜8の範囲の数である。
35C.式1の組成物が、
の構造で表される、実施形態34Cに記載のLDC組成物。
36C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜24の整数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。好ましい実施形態では、p’は1〜8の整数である。
37C.式1の組成物が、
(式中、pは1〜8の範囲の数である)の構造で表される、実施形態31Cに記載のLDC組成物。
38C.式1の組成物の各LDCが、
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される実施形態31Cに記載のLDC組成物。
39C.Arが、
(式中、波線は、アリール部分の示されたカルボニル官能基への結合を示す)の構造を有する、実施形態31C、32C、33C、34C、35Cまたは36Cに記載のLDC組成物。
40C.リガンド単位またはAbが、哺乳動物細胞の表面の抗原を標的とする標的化部分由来のものである、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
41C.標的化部分由来のリガンド単位またはAbが、細菌上の抗原に結合しない、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
42C.標的化部分由来のリガンド単位またはAbが、細菌性多糖に結合しない、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
43C.標的化部分由来のリガンド単位またはAbが、細胞壁テイコ酸に結合しない、実施形態1C〜39Cのいずれか1つに記載のLDC組成物。
1D.式I:
(式中、L’bはリガンド共有結合部分前駆体であり、Q1はAa−Wwであり、Aは、下付き文字aが、Aが不在の場合0であるか、またはAが存在する場合1であるような任意選択のストレッチャー単位であり、2、3または4つのサブユニットで任意選択で構成され、Q2はW’w’−E−であり、Q2は、存在する場合、V、Z1、Z2またはZ3に結合しており、WwおよびW’ w’は切断可能単位であり、Q1のWwは、血清プロテアーゼと比較して、細胞内もしくは調節性プロテアーゼにより、またはジスルフィド交換を介してグルタチオンにより選択的切断が可能であり、あるいは血清の生理学的pHと比較して、リソソーム内に存在するより低いpH(すなわち、より酸性である)条件下で、加水分解にさらに反応性があり、Q2のW’−Eは、細胞内に位置するグリコシダーゼにより切断可能なグリコシド結合を提供し、下付き文字wは0または1であり、したがってWは、wが0の場合不在であるか、またはWは、wが1の場合存在し、下付き文字w’は0または1であり、W’−Eは、w’が0の場合不在であるか、またはW’−Eは、w’が1の場合存在し、w+w’は1であり(すなわち、W、W’のうちの1つのみが存在する)、V、Z1、Z2およびZ3は=N−または=C(R24)−であり、R24は水素またはアルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基、電子供与基、−Q2、または−C(R8)(R9)−D+であり、wが1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも1つは、=C(R24)−であり、w’が1の場合、V、Z1、Z2およびZ3のうちの少なくとも2つは、=C(R24)−であり、ただし、wが1の場合、Q2は不在であり、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q1−J−および−C(R8)(R9)−D+置換基は互いにオルトまたはパラにあるものとし、ただし、w’が1の場合、1つのみのR24が−C(R8)(R9)−D+であり、したがって−C(R8)(R9)−D+は、V、Z1、Z2、Z3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、1つのみの他のR24がQ2であり、したがってQ2は、V、Z1、Z2、Z3のうちの別の1つに、その可変基が=C(R24)−の場合に結合しており、Q2および−C(R8)(R9)−D+置換基は、互いにオルトまたはパラにあるものとし、R8およびR9は、独立して、水素、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル(任意選択で置換されている)、またはアリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)であり、R’は水素であるかまたはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子求引基であるか、または電子供与基であり、EおよびJは、独立して、−O−、−S−または−N(R33)−であり、R33は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、D+は4級化第3級アミン含有薬物の構造を表し、下付き文字pは1〜24の範囲の数である)の構造を有する、薬物−リンカー化合物であって、前記プロテアーゼ切断、ジスルフィド交換、酸加水分解またはグリコシダーゼ切断が、薬物−リンカー化合物、またはリガンド薬物コンジュゲート化合物またはそれから由来するN−アセチル−システインコンジュゲートからの遊離第3級アミン含有薬物(D)の排出をもたらす、薬物−リンカー化合物。
2D.前記化合物が、式IIAまたは式IIBの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
3D.式IIIAまたは式IIIBの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
4D.式IIICまたは式IIIDの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
5D.式IIIEまたは式IIICの構造を有する、実施形態1Dに記載の薬物リンカー化合物:
6D.Lb’−が、
(式中、Rは、水素またはC1〜C6の任意選択で置換されているアルキルであり、R’は水素もしくはハロゲンであるか、またはRおよびR’は、独立して選択されるハロゲンであり、Tは、−Cl、−Br、−I、−O−メシルもしくは−O−トシルまたは他のスルホン酸エステル脱離基であり、Uは、−F、−Cl、−Br、−I、−O−N−スクシンイミド、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、−O−テトラフルオロフェニルまたは−O−C(=O)−OR57であり、X2は、C1〜10アルキレン、C3〜C8炭素環、−O−(C1〜C6アルキル)、−アリーレン−、C1〜C10アルキレン−アリーレン、−アリーレン−C1〜C10アルキレン、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C6炭素環)−、−(C3〜C8炭素環)−C1〜C10アルキレン−、C3〜C8複素環、−C1〜C10アルキレン−(C3〜C8ヘテロシクロ)−、−C3〜C8ヘテロシクロ)−C1〜C10アルキレン、−(CH2CH2O)u、または−CH2CH2O)u−CH2−であり、下付き文字uは、1〜10の範囲の整数であり、R57はC1〜C6アルキルまたはアリールである)からなる群から選択される構造を有する、実施形態1D〜5Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
7D.下付き文字aが1であり、したがってQ1の中のAは式IのL’bに結合しており、Lb’−Aが一般式M1−A1−AO−(式中、M1はマレイミド部分であり、AOはAの任意選択のサブユニットであり、したがってAは、AOが存在する場合、2つのサブユニットによるものであるか、またはAOが不在の場合、単一の単位である)によるものである、実施形態1D〜6Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
8D.M1−A1−AO−が、式VIIIの構造を有する、実施形態7Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、AOは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−は、AOが不在の場合、Aであり、Aoが存在する場合、A1であり、したがってAが−A1−Ao−となり、RおよびRa2は、独立して、水素またはメチルであり、Ra1は、水素、メチル、エチルまたは塩基性単位(BU)であり、HEは任意選択の加水分解促進剤(HE)単位であり、mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、あるいは2つのRb1は、それらが結合している炭素(複数可)と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、あるいは一方のRb1およびHEは、それらが結合している炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたは5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、他方のRb1は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、BUは、−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)の構造を有し、下付き文字nは、0、1、2または3であり、各R1は、独立して、水素もしくは低級アルキルであるか、または2つのR1は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成し、各R2は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、任意選択で置換されているアリールもしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、または2つのR2は、それらが結合している炭素(複数可)および間にある任意の炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを規定するか、または1つのR1および1つのR2は、それらが結合している炭素および間にある任意の炭素と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルを構成し、残りのR1およびR2は定義されている通りであり、R22およびR23は、独立して、水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、波線は、式VIII構造の残りの部分へのA(またはAO)の共有結合を示す)。
一部の実施形態では、部分−[C(R1)(R1)]−[C(R2)(R2)]n−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩である。
9D.式IのM1−A1−AO−が、
(式中、R22およびR23は、それぞれ水素であるか、またはR22、R23の一方は水素であり、他方は酸に不安定なカルバメート保護基であり、下付き文字mは0〜4の範囲の整数である)の構造を有する、請求項7Dまたは8Dに記載の薬物−リンカー化合物。
一部の実施形態では、部分−N(R22)(R23)はその酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は、薬学的に許容される塩である。
10D.式IのM1−A1−AO−が、
(式中、下付き文字mは0または4であり、R22およびR23は、それぞれ水素であるか、またはR22、R23の一方が水素であり、他方が−C(O)Ot−Buである)の構造を有する、実施形態7D、8Dまたは9Dに記載の薬物−リンカー化合物。
一部の実施形態では、部分−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩である。
11D.Q1のWが、血清プロテアーゼと比較して、細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより選択的に切断可能であるJへのペプチド結合を有するペプチド部分で構成されるかまたは前記ペプチド部分からなり、Wに対する調節性プロテアーゼの作用が、薬物−リンカー化合物もしくはリガンド薬物コンジュゲート化合物またはそれから由来するN−アセチル−システインコンジュゲートからの遊離第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こす、実施形態1D〜10Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
12D.Q2のW’が、グリコシド結合した炭水化物であり、Q2のグリコシド結合W’−Eが、細胞内に位置するグリコシダーゼに対する切断部位を提供し、W’−Eに対するグリコシダーゼの作用が、薬物−リンカー化合物もしくはリガンド薬物コンジュゲート化合物またはそれから由来するN−アセチル−システインコンジュゲートからの第3級アミン含有薬物(D)の放出を引き起こす、実施形態1D〜10Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
13D.Wのペプチド部分が、式VIの構造を有するジペプチド部分で構成されるかまたはこのジペプチド部分からなる、実施形態11Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドのC末端への波線の結合は、式IIAまたはIIBのアリーレン部分のJへの共有結合を示し、ジペプチドのN末端への波線の結合は、何らかのWの残りが存在する場合には、前記Wの残りへの共有結合、または下付き文字aが1の場合には、A、またはそのサブユニットへの共有結合、またはaが0の場合には、Lbへの共有結合を示し、ジペプチドのJへの結合は細胞内プロテアーゼまたは調節性プロテアーゼにより切断可能である)。
14D.Q2の中のW’が、Eにグリコシド結合している炭水化物部分であり、グリコシド結合が細胞内グリコシダーゼにより切断可能であり、W’−Eが、式VIIの構造を有する、実施形態12Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、波線は、Eが、V、Z1、Z2、またはZ3のうちの1つに、その可変基が=C(R24)の場合に結合していることを表し、Eは−O−、−S−、または−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、R45は−CH2OHまたは−CO2Hである)。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、W’−Eの炭水化物部分はD立体配置にある。
15D.前記化合物が、式IXの構造を有する、実施形態11Dまたは13Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、R’は水素または電子供与基であり、R8は水素であり、R9は、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、または任意選択で置換されているフェニルであり、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、VおよびZ1は、独立して、=CH−または=N−である)。
一部の実施形態では、Aは、塩基性単位で任意選択で置換されているC1〜C6アルキレンで構成される。他の実施形態では、V、Z1、Z2のうちの1または2つは=CH−であり、他方は=N−である。好ましい実施形態では、V、Z1、Z2のそれぞれは=CH−である。
16D.前記化合物が、式Xの構造を有する、実施形態15Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、アスタリスク(*)は、示された炭素において、キラリティーまたはその不在を指定し、AOは、Aの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、Rは−Hであり、Ra1は、−Hまたは塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造を有し、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、Ra2は水素であり、下付き文字mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは、不在または−C(=O)−であり、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、Jは−NH−であり、V、Z1およびZ2は=CH2−であり、R’は、水素または電子供与基であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは0〜4の範囲である。他の好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは0または4であり、AOは不在である。他の好ましい実施形態では、Ra1はBUであり、mは0である。
一部の実施形態では、Ra1はBUであり、BUの−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。他の実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩である。
17D.式XIの構造を有する、実施形態12Dまたは14Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、A1およびAOはAの独立して選択されるサブユニットであり、AOはAの任意選択のサブユニットであり(すなわち、A1は、AOが不在の場合、Aとなり、AOが存在する場合、Aは−A1−AO−である);Eは−O−または−NH−であり、Jは−N(R33)−であり、R33は水素またはメチルであり、VおよびZ3は、独立して、=CH−または=N−であり、R’は水素または電子求引基であり、R8は水素であり、R9は水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキルまたは任意選択で置換されているフェニルであり、R45は−CO2Hまたは−CH2OHである)。
好ましい実施形態では、R45は−CO2Hであり、W’−Eの炭水化物部分はD立体配置にある。
18D.前記化合物が、式XIIの構造を有する、実施形態12D、14Dまたは17Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、アスタリスク(*)は、示された炭素において、キラリティーまたはその不在を指定し、A1およびAOは、Aの独立して選択されるサブユニットであり、AoはAの任意選択のサブユニットであり、−[C(Rb1)(Rb1)]m−[HE]−は、Aoが不在の場合、Aであり、Aoが存在し、したがってAがA1−Aoとなる場合、A1であり、AOは、存在する場合、アミン含有酸のC末端カルボニルを介してJに結合しているアミン含有酸に、構造において対応し、Rは水素であり、R’は、水素または電子求引基であり、Ra1は、水素または塩基性単位(BU)であり、BUは、−CH2−N(R22)(R23)の構造を有し、R22およびR23は、独立して、水素、メチルもしくはエチルであるか、またはこれらの両方が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成し、Ra2は水素であり、下付き文字mは0〜6の範囲の整数であり、各Rb1は、独立して、水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、HEは不在または−C(=O)−であり、R45は−CO2Hまたは−CH2OHであり、Eは−O−であり、Jは−NH−であり、VおよびZ3は=CH2−であり、R8は水素であり、R9は水素またはメチルである)。
一部の実施形態では、Ra1はBUであり、BUの−N(R22)(R23)は、その酸付加塩として存在し、酸付加塩は無機酸(好ましくはHCl)のものであり、またはTFAなどの有機酸のものである。好ましい実施形態では、酸付加塩は薬学的に許容される塩であり、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは、0〜4の範囲であり、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、HEは存在し、下付き文字mは0または4であり、AOは不在であり、R45は−CO2Hである。他の好ましい実施形態では、Ra1はBUであり、mは0であり、Aoは存在し、R45は−CO2Hである。それらの好ましい実施形態のいずれか1つでは、Q2の炭水化物部分はD立体配置にある。
19D.存在する場合、AOが、式XIIIまたは式XIV:
(式中、いずれかの構造のカルボニル部分への波線は、AOのWへの結合点を表し、いずれかの構造のアミノ部分への波線は、AoのA1への結合点を表し、KおよびLは、独立して、C、N、OまたはSであるが、ただし、KまたはLがOまたはSの場合、Kに対するR41およびR42またはLに対するR43およびR44は不在であり、KまたはLがNの場合、Kに対するR41、R42のうちの1つまたはLに対するR43、R44のうちの1つは不在であるものとし、ただし、2つの隣接するLがN、O、またはSとして独立して選択されないものとし、下付き文字qは、0〜12の範囲の整数であり、下付き文字rは1〜12の範囲の整数であり、Gは水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル、−OH、−ORG、−CO2H、CO2RG、−NH2、または−N(RG)(RPG)であり、−ORG、CO2RGにおいて、RGは、C1〜C6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール(任意選択で置換されている)、またはRPRであり、RPRは適切な保護基であり、−N(RG)(RPG)において、独立して選択されるRGは、以前定義された通りであるか、または両方のRGは、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを構成するか、または両方のRPRは一緒になって適切な保護基を形成し、R38は水素または任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R39〜R44は、独立して、水素、任意選択で置換されているC1〜C6アルキル(任意選択で置換されている)、もしくは任意選択で置換されているヘテロアリールであるか、またはR39、R40の両方は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCの場合、それらが結合しているKと一緒になって、またはR43、R44は、LがCの場合、それらが結合しているLと一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを構成するか、またはR40とR41、またはR40とR43、またはR41とR43は、それらが結合している炭素またはヘテロ原子ならびにこれらの炭素および/またはヘテロ原子の間にある原子と一緒になって、5員もしくは6員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを構成する)の構造を有するか、あるいはAOが、アルファ−アミノ、ベータ−アミノまたは別のアミン含有酸に対応する構造を有する、実施形態1D〜19Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
20D.星印で示された(*)炭素がキラリティーを有する場合、その示された炭素が、主にL−アミノ酸のアルファ炭素と同じ絶対立体配置にある、実施形態18Dに記載の薬物−リンカー化合物。
21D.−D+が、4級化第3級アミン含有チューブリン破壊剤である、実施形態1D〜20Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
22D.4級化チューブリン破壊剤−D+が4級化チューブリシン薬物単位である、実施形態21Dに記載の薬物−リンカー化合物。
23D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、式DG−1 ’または式DH−1’の構造を有する、請求項実施形態22Dに記載の薬物−リンカー化合物:
(式中、丸は5員の窒素ヘテロアリールを表し、そのヘテロアリールに対する示された必要とされる置換基は互いに1,3−の関係にあり、残りの位置に任意選択の置換を有し、R2Aは、水素もしくは任意選択で置換されているアルキルであるか、またはR2Aは、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基を規定し、R3は、水素または任意選択で置換されているアルキルであり、R4、R4A、R4B、R5およびR6は、任意選択で置換されているアルキル(独立して選択される)であり、R7Aは任意選択で置換されているアリールまたは任意選択で置換されているヘテロアリールであり、R8Aは水素または任意選択で置換されているアルキルであり、下付き文字mは0または1であり、波線は、薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)。
24D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、Zは任意選択で置換されている低級アルキレンまたは任意選択で置換されている低級アルケニレンであり、R7B置換基の数を示している下付き文字qは、1、2または3であり、各R7Bは、独立して、水素およびO連結置換基から選択され、波線は、薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)の構造を有する、実施形態23Dに記載の薬物−リンカー化合物。
25D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R2Aは水素もしくは任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであるか、またはR2は、それが結合している酸素原子と共に、−OH以外のO連結置換基を規定し、R3は任意選択で置換されているC1〜C6アルキルであり、R5およびR6は天然の疎水性アミノ酸の側鎖残基であり、−N(R7)(R7)は、−NH(C1〜C6アルキル)または−NH−N(C1〜C6アルキル)2であり、1つのみのC1〜C6アルキルが、−CO2H、もしくはそのエステルで、または任意選択で置換されているフェニルで任意選択で置換されており、波線は、薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)の構造を有する、実施形態24Dに記載の薬物−リンカー化合物。
26D.−N(R7)(R7)が、−NH(CH3)、−NHCH2CH2Ph、および−NHCH2−CO2H、−NHCH2CH2CO2Hおよび−NHCH2CH2CH2CO2Hからなる群から選択される、実施形態25Dに記載の薬物−リンカー化合物。
27D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
の構造を有する、実施形態23Dに記載の薬物−リンカー化合物。
28D.O連結置換基−OR2Aが、−OH以外である(すなわち、R2Aは水素ではない)、請求項23D〜27Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
29D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R4Aはメチルであり、R3は、H、メチル、エチル、プロピル、−CH2−OC(O)R3A、−CH2CH(R3B)C(O)R3Aまたは−CH(R3B)C(O)NHR3Aであり、R3AはC1〜C6アルキルであり、R3BはHまたはC1〜C6アルキル(R3Aから独立して選択される)であり、−OR2Aは、−OR2B、−OC(O)R2Bもしくは−OC(O)N(R2B)(R2C)からなる群から選択されるO連結置換基であり、R2BおよびR2Cは、独立して、H、C1〜C6アルキルおよびC2〜C6アルケニルからなる群から選択され、R7Bは、水素または−OHである)の構造を有する、請求項28Dに記載の薬物−リンカー化合物。
30D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R2AおよびR3は、独立して、メチル、エチル、プロピルおよびイソ−プロピルからなる群から選択され、R2Bは、メチル、エチル、プロピルおよびイソ−プロピルであるか、または−OR2Aは以前定義された通りであり、R3は、メチル、エチルまたはプロピルであり、R7Bは、水素または−OHである)の構造を有する、実施形態29Dに記載の薬物−リンカー化合物。
31D.4級化チューブリシン薬物単位−D+が、
(式中、R2Bは、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、3−メチル−プロパ−1−イル、3,3−ジメチル−プロパ−1−イル、またはビニルであり、R3は、メチル、エチルまたはプロピルであり、R7Bは、水素または−OHである)の構造を有する、実施形態29Dに記載の薬物−リンカー化合物。
32D.R2Bが−CH3であり、R3が−CH3であり、R7BがHまたは−OHである、実施形態23D〜29Dおよび31Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
33D.R2Aが−CH2CH3である、請求項23〜30のいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
34D.R2Bが−CH3であり、R3が−CH3であり、R7BがHである、請求項23D〜29Dおよび31Dに記載の薬物−リンカー化合物。
35D.前記化合物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は、−CH3、イソプロピル、−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2または−CH2CH2CO2Hであり、R7Bは、水素または−OHであり、R2Aは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−OCH2OR2B、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは水素、またはC1〜C6アルキルである)の構造を有する、実施形態22Dに記載の薬物−リンカー化合物。
36D.R34がイソプロピルであり、R35が、−CH3、または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bが、水素または−OHであり、R2Aが、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルである、請求項35Dに記載の薬物−リンカー化合物。
37D.前記化合物が、
(式中、R7Bは、水素または−OHであり、R2Aは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−OCH2OR2B、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは、水素、またはC1〜C6アルキルであり、R45は、−CO2Hまたは−CH2OHである)の構造を有する、実施形態35Dに記載の薬物−リンカー化合物。
38D.R34がイソプロピルであり、R35が、−CH3、または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bが、水素または−OHであり、R2Aが、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルである、請求項102に記載の薬物−リンカー化合物。
39D.前記化合物が、
の構造を有する、請求項35Dまたは36Dに記載の薬物−リンカー化合物。
40D.Aまたは−A1−AO−が、−CH2(CH2)4(C=O)−または−CH2(CH2)4(C=O)NHCH2CH2(C=O)−である、実施形態1D〜8D、15D、17Dおよび35D〜37Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
41D.R2Aが、−C(O)CH3、メチル、エチルまたはプロピルである、実施形態35〜40Dのいずれか1つに記載の薬物−リンカー化合物。
42D.4級化チューブリン破壊剤−D+が4級化アウリスタチンまたはドラスタチン薬物単位である、実施形態21Dに記載の薬物−リンカー化合物。
43D.4級化チューブリン破壊剤−D+が、4級化ドラスタチン10またはドラスタチン15である、請求項42Dに記載の薬物−リンカー化合物。
44D.4級化アウリスタチン薬物単位−D+が、DE’またはDF’:
(式中、R10およびR11は、独立して、C1〜C8アルキルであり、R12は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環または−X1−(C3〜C8複素環)であり、R13は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R14は、水素もしくはメチルであるか、またはR13およびR14は、それらが結合している炭素と一緒になって、C3〜C8シクロアルキルを構成し、R15は、水素またはC1〜C8アルキルであり、R16は、水素、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、アリール、−X1−アリール、−X1−(C3〜C8シクロアルキル)、C3〜C8複素環および−X1−(C3〜C8複素環)であり、R17は、独立して、水素、−OH、C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキルおよびO−(C1〜C8アルキル)であり、R18は、独立して、水素またはC1〜C8アルキルであり、R19は、−C(R19A)2−C(R19A)2−アリール、−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8複素環)または−C(R19A)2−C(R19A)2−(C3〜C8シクロアルキル)であり、R21はアリールまたはC3〜C8複素環であり、R19Aは、水素、C1〜C8アルキルまたは−OHであり、R20は、水素、C1〜C20アルキル、アリール、C3〜C8複素環、−(R47O)m−R48、および−(R47O)m−CH(R49)2であり、下付き文字mは1〜1000の範囲の整数であり、R47はC2〜C8アルキルであり、R48は水素またはC1〜C8アルキルであり、R49は、独立して、−COOH、−(CH2)n−N(R50)2、−(CH2)n−SO3H、または−(CH2)n−SO3−C1〜C8アルキルであり、R50は、独立して、C1〜C8アルキル、または−(CH2)n−COOHであり、Zは、O、S、NH、またはNR46であり、R46はC1〜C8アルキルであり、X1はC1〜C10アルキレンであり、下付き文字nは0〜6の範囲の整数であり、波線は薬物−リンカー化合物の残りの部分へのD+の共有結合を示す)の構造を有する、請求項42Dに記載の薬物−リンカー化合物。
45D.前記化合物が、
(式中、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3、−CH2CH2COOHまたは−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2である)の構造を有する、請求項44Dに記載の薬物−リンカー化合物。
46D.前記化合物が、
(式中、下付き文字mは4である)の構造を有する、実施形態45Dに記載の薬物−リンカー化合物。
47D.前記化合物が、
(式中、R45は、−CO2HまたはCH2OHである)の構造を有する、実施形態44Dに記載の薬物−リンカー化合物。
48D.前記化合物が、
(式中、R45は−CO2Hまたは−CH2OHであり、下付き文字mは4である)の構造を有する、実施形態47Dに記載の薬物−リンカー化合物。
1E.
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3、イソプロピル、−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2または−CH2CH2CO2Hであり、R7Bは水素または−OHであり、R2AはC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−OCH2OR2B、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは水素、またはC1〜C6アルキルであり、下付き文字pは1〜8の範囲の数である)の構造で表されるLDC組成物。
2E.R34がイソプロピルであり、R35が−CH3、または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bが水素または−OHであり、R2Aが低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルであり、下付き文字pが1〜8の範囲の数である、実施形態1Eに記載のLDC組成物。
3E.
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、R7Bは水素または−OHであり、R2AはC1〜C6アルキル、−OCH2OR2B−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2BはC1〜C6アルキルまたはC2〜C6アルケニルであり、下付き文字pは1〜8の範囲の数である)の構造で表される、実施形態1Eに記載のLDC組成物。
4E.R7Bが水素または−OHであり、R2Aが低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bが低級アルキルであり、下付き文字pが1〜8の範囲の数である、実施形態3Eに記載のLDC組成物。
5E.その組成物の構造が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、下付き文字pは1〜8の範囲の数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される、実施形態1Eに記載のLDC組成物。
6E.その組成物の構造が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、下付き文字pは1〜8の範囲の数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される、実施形態3Eに記載のLDC組成物。
1F.前記組成物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分は、カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、R34はイソプロピルであり、R35は−CH3または−CH2CH2CH2NH(C=O)NH2であり、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、下付き文字p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表されるLDC組成物。
2F.その組成物の各リガンド薬物コンジュゲート化合物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、R7Bは水素または−OHであり、R2Aは、低級アルキル、−C(=O)R2Bまたは−C(=O)NHR2Bであり、R2Bは低級アルキルであり、下付き文字p’は1〜8の範囲の整数である)の構造で表される実施形態1Fに記載のLDC組成物。
3F.その組成物の各リガンド薬物コンジュゲート化合物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、下付き文字p’は1〜8の範囲の整数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される、実施形態1Fに記載のLDC組成物。
4F.その組成物の各リガンド薬物コンジュゲート化合物が、
(式中、Abは抗体リガンド単位であり、Sは抗体リガンド単位の硫黄原子であり、Ab−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、下付き文字p’は、1〜8の範囲の整数であり、下付き文字mは4である)の構造で表される実施形態2Fに記載のLDC組成物。
5F.Aが−CH2(CH2)4(C=O)−または−CH2(CH2)4(C=O)NHCH2CH2(C=O)−である、実施形態1Fまたは2Fのいずれか1つに記載のLDC組成物。
6F.R2Aが−C(O)CH3、メチル、エチルまたはプロピルである、実施形態1E〜6Eおよび1F〜5Fのいずれか1つに記載のLDC組成物。
概要:化学
市販の無水溶媒はすべてさらに精製せずに使用した。分析用薄層クロマトグラフィーを、シリカゲル60 F254アルミニウムシート(EMD Chemicals、Gibbstown、NJ)で実施した。ラジアルクロマトグラフィーをChromatotron装置(Harris Research、Palo Alto、CA)で実施した。カラムクロマトグラフィーをBiotage Isolera One(商標)フラッシュ精製システム(Charlotte、NC)で実施した。分析HPLCは、Varian ProStar 330 PDA検出器と共に構成されるVarian ProStar 210(商標)溶媒送達システムで実施した。試料は、C12 Phenomenex Synergi(商標)2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラム上で溶出した。酸性移動相は、0.05%トリフルオロ酢酸または0.1%ギ酸(各化合物に対して表示されている)のいずれかを含有するアセトニトリルと水とからなった。化合物を、注入後、5%で1minから95%で11minの酸性アセトニトリルの線型勾配で溶出し、続いて無勾配の95%アセトニトリルで15min溶出した(流速=1.0mL/min)。LC−MSを2つの異なるシステムで実施した。LC−MSシステム1は、C12 Phenomenex Synergi 2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラムを備えたHP Agilent 1100 HPLC装置とインターフェイスしたZMD Micromass質量分析器からなった。酸性溶出液は、0.1%水性ギ酸中、5%から95%の10minにわたるアセトニトリルの線型勾配、続いて無勾配の95%アセトニトリル、5min(流速=0.4mL/min)からなった。LC−MSシステム2は、Waters 2996 Photodiode Array Detectorを備えたWaters 2695 Separations ModuleとインターフェイスしたWaters Xevo G2(商標)ToF質量分析器からなった。カラム、移動相、勾配、および流速は、LC−MSシステム1と同じであった。UPLC−MSシステム1は、Acquity UPLC BEH C18 2.1×50mm、1.7μm逆相カラムを備えたAcquity(商標) Ultra Performance LCとインターフェイスしたWaters SQ質量検出器からなった。酸性移動相(0.1%ギ酸)は、3%アセトニトリル/97%水から100%アセトニトリル(流速=0.5mL/min)の勾配からなった。UPLC−MSシステム2は、Acquity UPLC BEH C18 2.1×50mm、1.7μm逆相カラムを備えたWaters Acquity H−Class Ultra Performance LCとインターフェイスしたWaters Xevo G2 ToF質量分析器からなった。酸性移動相(0.1%ギ酸)は、3%アセトニトリル/97%水から100%アセトニトリル(流速=0.7mL/min)の勾配からなった。Varian ProStar 330 PDA検出器と共に構成されたVarian ProStar 210溶媒送達システムで分取HPLCを行った。水中0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒A)およびアセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸(溶媒B)で溶出するC12 Phenomenex Synergi 10.0×250mm、4μm、80Å逆相カラムで生成物を精製した。精製方法は、一般的に、90%水性溶媒Aから10%溶媒Aにランピングする、溶媒Aから溶媒Bの線型勾配からなった。流速は4.6mL/minであり、254nmでモニタリングした。NMRスペクトルデータは、Varian Mercury 400MHz分光器で収集した。結合定数(J)はヘルツで報告される。
概要:生物学
in vitroアッセイ。対数期増殖で培養した細胞を、20%FBSを補充した150μLのRPMI 1640を含有する96ウェルプレート内で24時間播種した。細胞培養培地中の抗体−薬物コンジュゲートの段階希釈物を、4×作用濃度で調製した。50μLの各希釈物を96ウェルプレートに加えた。ADCの添加後、細胞を試験品と共に37℃で4日間インキュベートした。96時間後、CellTiter−Glo(商標)(Promega、Madison、WI)で増殖阻害を評価し、プレートリーダーで発光を測定した。3回重複して判定したIC50値は、未処置の対照と比べて、細胞成長における50%の減少をもたらす濃度として、ここで定義される。
in vivoでの異種移植片モデル。すべての実験は、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Careにより完全に認可された施設内で、Animal Care and Use Committeeに従い行った。L540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおいて効力実験を行った。L540cy腫瘍細胞を、細胞懸濁液として免疫障害のあるSCIDマウスに皮下移植した。腫瘍移植により、平均腫瘍容積が約100mm3に到達した時点で実験群へとマウスを無作為抽出した。ADCまたは対照には、腹腔内注射を介して一度投薬した。式(L×W2)/2を使用して、腫瘍容積を時間の関数として決定した。腫瘍容積が1000mm3に到達したとき動物を安楽死させた。持続性のある退行を示すマウスは、インプラント後約100日で殺した。
ex vivo安定性実験。逆相LC−MSによるげっ歯類血漿試料中ヒト化ADCの薬物付加数の評価は、ヒトFcドメインに選択的に結合するIgSelect(商標)樹脂(GE Healthcare)を用いてADCを最初に単離することにより達成した。ADCは、完全に還元されたcAC10を使用して、MDPR−グルクロニド−第4級アミン−AE8またはmDPR−Val−Cit−PAB−第4級アミン−AE(mDPR−vcPAB4−AE)14のうちのいずれかの抗体1つ当たり8個の薬物を用いて調製した。ADC(1.0mg/mL)は、無菌のラットおよびマウス血漿中、37℃で10日間インキュベートした。インキュベーション中8つの時点において、各ADCの50μLのアリコートを取り出し、−80℃で凍結した。時間経過が完了したら、ADCを各試料から精製し、TOF質量分析器とインラインの逆相HPLCで分析することによって、薬物:抗体比を決定した。
酵素的薬物放出実験。15μLのDMA中10mMの8薬物−リンカーストックを27μLのDMSOに加え、Eppendorf管内で、N−アセチルシステイン(PBS中30μLの100mMストック)を用いてクエンチした。48μLのPBSを加え、管を室温で1時間静置させた。100mMのNaOAc中にβ−グルクロニダーゼ(ウシの肝臓由来のもの、≧1,000,000単位/g固体)を最終濃度1または2mg/mLまで溶解することによって酵素ストックを同時に調製し、この最終濃度において、38μLのクエンチしたリンカー溶液を、170μLの新鮮な酵素ストックおよび132μLの100mMのNaOAcと合わせ、次いで37℃でインキュベートした。25μLを各時点で採取し、150μLMeOHに加え、すべての時点で採取されるまで−80℃で密閉保存した。次いで、試料を高速で20分間遠心分離し、UPLC−MSで分析し、インタクトなクエンチしたリンカーおよび放出された薬物についてイオンをカウントした。
細胞内での薬物放出。TF1α、L428、およびHCT−15細胞を研究に使用した。正常な条件下で培養された細胞を収集し、洗浄して、約5×105細胞/mLで新鮮培地に入れた。各処置条件に対して、T25またはT150フラスコ内に5〜15×106細胞をプレーティングした。cOKT9−5023(8薬物/Ab)を1μg/mLで培養物に加え、これらを37℃で、5%CO2で24時間インキュベートした。懸濁細胞に対して、既知の容量の細胞培養物を遠心分離(500×g、5min、4℃)で収集し、培地のアリコートを取り出し、質量スペクトル分析のために、保存した(−20℃)。接着細胞に対しては、培養液を慎重に除去し(質量スペクトル分析用に保存したアリコート)、トリプシン−EDTAで細胞を浮かせ、続いて遠心分離(500×g、5分、4℃)して、細胞ペレットを収集した。懸濁細胞と接着細胞の両方に対して、収集した細胞ペレットを氷冷したPBS中に再懸濁させ、Vi−Cell XR2.03細胞生存度分析器(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用した、平均細胞直径の列挙および判定のためにアリコートを取り出した。残りの細胞懸濁液をペレット化し(500×g、5min)、次いで1mLの氷冷したPBSでもう一度洗浄した。生成したペレットを−20℃で保存した。
較正曲線で使用するために、未処置の細胞ペレットおよび培養培地を使用して未処置の試料を生成した。未処置の細胞ペレットを、4μLの25X標準的分析物でスパイクした。スパイクされた細胞ペレットおよび処理された細胞ペレットの両方を、内部標準を含有する400μLのMeOH中でボルテックスすることによって、懸濁させ、−20℃で15分間置いた。次いで、試料を16,000×gで遠心分離し、固相抽出のために上清を調製した。未処置の培地試料(0.5mL)を、4μLの25X標準物質でスパイクした。スパイクされた培養培地および処理された培養培地の両方を10μLの内部標準と混合し、固相抽出用に調製した。試料を固相抽出に供し、回収した薬物含有溶液を乾燥させ、LC−MS/MSによる定量のために再構成した。実験用の未知試料中での放出された薬物の定量のために方程式を導くため、各薬物標準物質に対するピーク面積を、内部標準に対して得たピーク面積で割った。生成したピーク面積比を標準的なスパイク量の関数としてプロットし、直線回帰を使用してデータ点を曲線に当てはめた。実験的試料中の内部標準に対する、放出された薬物に対して得たピーク面積比は、導かれた方程式を使用して、薬物量へと変換した。
(実施例1)
(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(ブロモメチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(2):
火炎乾燥したフラスコに、4.5mLの無水THF中の公知の(Bioconjugate Chem. 2006年、17巻、831〜840頁)グルクロニドリンカーフラグメント(1、210mg、281μmol)を充填した。N2下、溶液を室温で撹拌した。トリフェニルホスフィン(111mg、421.5μmol)およびN−ブロモスクシンイミド(75mg、421.5μmol)を順次加え、溶液を2時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、Biotageカラム(ヘキサン/EtOAc、30%〜50%〜70%)を介してシリカで精製することによって、2を得た(222mg、97%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.36min、m/z(ES+)実測値:811.34。
(実施例2)
(S)−N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(4):
耐圧容器に、無水2−ブタノン(4.2mL)中の、実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体(2、111mg、137μmol)およびアウリスタチンE(3、100mg、137μmol)を充填した。反応容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで反応物を撹拌し、80℃に12時間加熱した。得られた混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、Biotageカラム(CH2Cl2/MeOH、2%〜20%〜100%)を介してシリカで精製することによって、4を得た(113mg、56%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.02min、m/z(ES+)実測値:1462.53。
(実施例3)
(S)−N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(5):フラスコに、THF(1.3mL)およびMeOH(1.3mL)中グルクロニド−AE(4、113mg、77μmol)を充填した。N2下でこの溶液を撹拌し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(19mg、462μmol)をH2O(1.3mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、1時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(26μL、462μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を最小量のDMSO中に溶解させ、分取LCで精製することによって、5を得た(34mg、40%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.20min、m/z(ES+)実測値:1100.51。
(実施例4)
(S)−N−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(7):
フラスコに、無水DMF(0.31mL)中脱保護グルクロニド−AE(5、34mg、31μmol)を充填した。N2下で、mDPR(Boc)−OSu(6、14mg、37μmol)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(27μL、155μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(27μL)でクエンチし、分取LCで精製することによって、7を得た(29mg、68%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.52min、m/z(ES+)実測値:1366.40。
(実施例5)
(S)−N−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(8):
mDPR(Boc)−グルクロニド−AE(7、29mg、21μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(1.1mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取LCで精製することによって、8を生成した(20mg、75%)。分析用UPLC−MS:tr=1.23min、m/z(ES+)実測値:1266.39。分析HPLC−MS(システム2):tr=9.53min、m/z(ES+)実測値:1266.70。
(実施例6)
(9H−フルオレン−9−イル)メチル((S)−1−(((S)−1−((4−(ブロモメチル)フェニル)アミノ)−1−オキソ−5−ウレイドペンタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(10):
ジペプチドFmoc−Val−Cit−PAB(9、75mg、125μmol)を、N2下で火炎乾燥したフラスコに加え、0℃に冷却した。酢酸中33%のHBrの溶液(1.3mL)を滴下添加した。溶液を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、残りのHBrを、N2流を介して吹き飛ばし、反応物を減圧下でさらに濃縮した。得られた残渣をTHF中に溶解させて再濃縮することを3回行い、次いでさらに精製せずに次に使用した。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.19min、m/z(ES+)実測値:664.47。
(実施例7)
(S)−N−(4−((S)−2−((S)−2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(11):
粗製の臭素化ジペプチド(10、48mg、72μmol)を充填した耐圧容器に、アウリスタチンE(3、30mg、41μmol)および無水2−ブタノン(2.2mL)を加えた。容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで、反応物を撹拌しながら80℃に3時間加熱した。LC−MSにより反応が観察されなかったので、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7μL、41μmol)を加え、反応物を12時間再密封した。反応混合物を減圧下で濃縮し、分取LCを介して精製することによって、11を得た(13mg、24%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.88min、m/z(ES+)実測値:1315.57。
(実施例8)
(S)−N−(4−((S)−2−((S)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(12):
Fmoc−Val−Cit−PAB−AE(11、13mg、10μmol)を無水DMF(0.4mL)と共にフラスコに加えた。N2下でピペリジン(0.1mL)を加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。反応物を、分取LCを介して直接精製することによって、12を得た(8mg、74%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.27min、m/z(ES+)実測値:1093.62。
(実施例9)
(S)−N−(4−((7S,10S,13S)−7−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−10−イソプロピル−2,2−ジメチル−4,8,11−トリオキソ−13−(3−ウレイドプロピル)−3−オキサ−5,9,12−トリアザテトラデカンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(13):
フラスコに、無水DMF(146μL)中Val−Cit−PAB−AE(12、8mg、7.3μmol)を充填した。N2下で、mDPR(Boc)−OSu(6、3.3mg、8.8μmol)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(6μL、35μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(6μL)でクエンチし、分取LCで精製することによって、13を得た(2mg、17%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.66min、m/z(ES+)実測値:1359.51。
(実施例10)
(S)−N−(4−((S)−2−((S)−2−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(14):
mDPR(Boc)−Val−Cit−PAB−AE(13、2mg、1.5μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(294μL)を滴下添加し、3時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取LCで精製することによって、14を生成した(2.2mg、99%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)実測値:1259.69。分析HPLC−MS(システム2):tr=9.22min、m/z(ES+)実測値:1259.78。
(実施例11)
N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−N−メチル−3−(メチル(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)アミノ)−N−(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)プロパン−1−アミニウム(16):
実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(25mg、30μmol)および対称的フェナジンダイマー15(J. Med. Chem.、2001年、44巻、1407頁)(19mg、30μmol)を無水ブタノン(0.48mL)および無水ジメチルホルムアミド(0.48mL)に溶解した。反応物を窒素でパージし、18時間封管内で80℃に加熱した。LC/MS分析は、出発物質およびビス−アルキル化した副生成物の存在下での生成物を明らかにした。次いで、粗材料を濃縮し、分取HPLCで精製することによって、第4級アミン16を得た(8.5mg、21%)。分析HPLC−MS(システム1):tr=12.52min、m/z(ES+)実測値:1359.19。
(実施例12)
N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−N−メチル−3−(メチル(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)アミノ)−N−(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)プロパン−1−アミニウム(17):
フラスコに、メタノール(0.2mL)およびテトラヒドロフラン(0.2mL)に溶解した第4級アミンリンカー16(8.5mg、6.0μmol)を充填し、次いで氷浴内、窒素下で0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(0.75mg、18μmol)を水(0.1mL)に溶解し、この溶液を反応フラスコに滴下添加した。追加の水(0.2mL)、メタノール(0.2mL)、およびテトラヒドロフラン(0.2mL)を加えた。次いで、反応物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで追加の水酸化リチウム(0.75mg、18μmol)を0.1mLの水中で、反応物に加えた。3時間の時点で、LCによれば反応が完了したので、氷酢酸(2.1μL)でクエンチし、回転蒸発で濃縮した。粗材料を分取HPLCで精製することによって、完全に脱保護した第4級アミンリンカー17を得た(3.7mg、62%)。分析HPLC−MS(システム1):tr=10.26min、m/z(ES+)実測値:997.45。
(実施例13)
N−(4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3−(3−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−N−メチル−3−(メチル(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)アミノ)−N−(2−(9−メチルフェナジン−1−カルボキサミド)エチル)プロパン−1−アミニウム(19):
リンカー17(3.7mg、3.6μmol)の無水ジメチルホルムアミド(0.18mL)中撹拌溶液に、窒素下で、マレイミドカプロイル−スクシンイミドエステル18(1.2mg、4.0μmol)を、無水ジメチルホルムアミド(0.18mL)中の溶液として加え、続いてジイソプロピルエチルアミド(3.8μL)を加えた。窒素下で、室温で1時間反応物を撹拌した後、追加の18(0.6mg)を90μLのジメチルホルムアミド中で加え、続いて90μLのジメチルスルホキシドを加えて、すべての反応物質の溶解を促進させた。窒素下で、反応物を室温でさらに2時間撹拌し、次いで、複数回の分取HPLC注入により精製することによって、残存する18を生成物である第4級アミン−フェナジンダイマーリンカー19から除去した(2.1mg、45%)。分析HPLC−MS(システム1):tr=10.76min、m/z(ES+)実測値:1190.35。
(実施例14)
(S)−2−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−プロパン酸(22):
フラスコに、無水ジメチルホルムアミド(10.6mL)中Boc−Val−OSu(20、1.0g、3.18mmol)およびH−Ala−OH(21、312mg、3.5mmol)を充填した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.1mL、6.4mmol)を加え、N2下で、溶液を50℃で12時間撹拌した。反応物をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、22を生成した(808mg、88%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.38min、m/z(ES+)実測値:289.60。
(実施例15)
tert−ブチル((S)−1−(((S)−1−((4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(24):
火炎乾燥したフラスコに、無水ジクロロメタン(14mL)中ジペプチド22(808mg、2.8mmol)および4−アミノ安息香酸アルコール23(345mg、2.8mmol)を充填した。EEDQ(762mg、3.1mmol)を固体として加え、窒素下、室温で12時間撹拌した。次いで、反応物を濃縮し、Biotageカラム(CH2Cl2/MeOH、0%〜10%)を介してシリカで精製することによって、24を得た(660mg、60%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.51min、m/z(ES+)実測値:394.51。
(実施例16)
tert−ブチル((S)−1−(((S)−1−((4−(ブロモメチル)フェニル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)カルバメート(25):
Boc−Val−Ala−PABA−OH(24、100mg、254μmol)、N−ブロモスクシンイミド(68mg、381μmol)、およびトリフェニルホスフィン(100mg、381μmol)を含有するフラスコを、窒素でフラッシュした。反応物をTHF(4mL)中に溶解させ、12時間撹拌した。反応物を濃縮し、Biotageカラム(ヘキサン/EtOAc、10%〜100%)を介してシリカで精製することによって、25を得た(94mg、81%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.09min、m/z(ES+)実測値:456.10。
(実施例17)
(2S,4R)−tert−ブチル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(27):
火炎乾燥したフラスコに、無水DCM(0.7mL)およびt−ブタノール(0.7mL)中チューブリシンM(26、10mg、14μmol)を充填した。ジイソプロピルカルボジイミド(3.2μL、21μmol)およびDMAP(0.08mg、0.7μmol)を加え、反応物を室温で48時間撹拌した。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、27を生成した(3.5mg、32%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.35min、m/z(ES+)実測値:784.56。
(実施例18)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−5−(tert−ブトキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−((tert−ブトキシ−カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(28):
耐圧容器に、無水ブタノン(0.765mL)中Boc−Val−Ala−PAB−Br(25、3.5mg、7.7μmol)および保護されたチューブリシンM(4.0mg、5.1μmol)を充填した。N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え(1.8μL、10μmol)、反応物を窒素でフラッシュした。容器を密閉し、80℃で12時間撹拌させた。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、28を生成した(3.5mg、58%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.51min、m/z(ES+)実測値:1159.58。
(実施例19)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(29):
Boc−Val−Ala−PAB−TubM−OtBu(28、3.5mg、3μmol)を含有するフラスコを、窒素下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.3mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、29を生成した(1.9mg、63%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.05min、m/z(ES+)実測値:1003.60。
(実施例20)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(30):
MC−OSu(18、0.6mg、2μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.2mL)中に溶解させ、Val−Ala−PAB−TubM(29、1.9mg、2μmol)を含有するフラスコに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.0mg、8μmol)を加え、反応物を窒素下で3時間撹拌した。反応物をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって第4級アミンチューブリシンリンカー30を生成した(1.2mg、53%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.25min、m/z(ES+)実測値:1196.45。
(実施例21)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((7S,10S,13S)−7−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−10−イソプロピル−2,2,13−トリメチル−4,8,11−トリオキソ−3−オキサ−5,9,12−トリアザテトラデカンアミド)−ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(31):
MDPR(Boc)−OSu(6、1.3mg、3.5μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.3mL)中に溶解させ、Val−Ala−PAB−TubM(29、3.2mg、3.2μmol)を含有するフラスコに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.6mg、13μmol)を加え、反応物を窒素下で3時間撹拌した。反応物をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、31を生成した(2.0mg、49%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.35min、m/z(ES+)実測値:1269.76。
(実施例22)
(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3−メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(32):
MDPR(Boc)−Val−Ala−PAB−TubM(31、2mg、1.6μmol)を含有するフラスコを窒素下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(1.6mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を濃縮し、DMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、32を生成した(1.0mg、54%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.02min、m/z(ES+)実測値:1169.72。
(実施例23)
2−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(4−(4,5−ジメトキシ−2−(キノリン−3−カルボキサミド)ベンズアミド)フェネチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イウム(34):
耐圧容器に、無水2−ブタノン(2.9mL)中の実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体(2、78mg、96μmol)およびタリキダル(33、62mg、96μmol)を充填した。次いで、反応容器を窒素でパージし、密閉した。次いで、反応物を撹拌し、80℃に4時間加熱し、この時点でLC/MSが、4級化生成物への変換を明らかにした。生成物を冷却し、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、34を得た(123mg、90%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.05min、m/z(ES+)実測値:1377.74。分析HPLC−MS(システム2):tr=11.23min、m/z(ES+)実測値:1377.47。
(実施例24)
2−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(4−(4,5−ジメトキシ−2−(キノリン−3−カルボキサミド)ベンズアミド)フェネチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イウム(35):
メタノール(1.4mL)およびテトラヒドロフラン(1.4mL)に溶解した第4級アミンリンカー34(123mg、83μmol)をフラスコに充填し、次いで氷浴内、窒素下で0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(21mg、500μmol)を水(1.4mL)に溶解し、この溶液を反応フラスコに滴下添加した。次いで、反応物を0℃に2時間撹拌し、次いで0.45mLの水中の追加の水酸化リチウム(7mg、170μmol)を反応物に加えた。3時間の時点で、LCによれば反応が完了し、氷酢酸(28μL)でクエンチし、回転蒸発で濃縮させた。粗材料を分取HPLCで精製することによって、完全に脱保護した第4級アミンリンカー35を得た(71mg、85%)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.29min、m/z(ES+)実測値:1015.74。
(実施例25)
2−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(4−(4,5−ジメトキシ−2−(キノリン−3−カルボキサミド)ベンズアミド)−フェネチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イウム(36):
MDPR(Boc)−OSu6(20mg、52μmol)の無水ジメチルホルムアミド(0.9mL)中の溶液を、脱保護したグルクロニド−タリキダル35(40mg、35μmol)を含有するフラスコに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(30μL)を加え、反応物を窒素下、室温で3時間撹拌し、この時点で、LC−MSは、生成物への変換を明らかにした。粗製の反応生成物を、分取HPLCで精製することによって、カップリングした生成物、MDPR(Boc)−グルクロニド−タリキダルを得た(30mg、67%)。分析HPLC−MS(システム2):tr=9.99min、m/z(ES+)実測値:1281.45。mDPR(Boc)−グルクロニド−タリキダル(28mg、20μmol)を含有するフラスコを窒素下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(2mL)を滴下添加し、室温で1時間撹拌し、この時点でLC−MSは、脱保護が完了したことを示した。反応物を2mLのDMSO中で希釈し、回転蒸発で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、36を生成した(20mg、定量的収量)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)実測値:1181.64。分析HPLC−MS(システム2):tr=8.95min、m/z(ES+)実測値:1181.41。
(実施例26)
ツブバリンエーテル中間体を調製するための一般的手順
エーテル化:火炎乾燥したフラスコに、無水テトラヒドロフラン(50mM)中BOC保護したツブバリン(J. Org. Chem.、2008年、73巻、4362〜4369頁)中間体41を充填し、これに、18−クラウン−6(2.0当量)を加え、−78℃に冷却した。カリウムヘキサメチルジシラジド(1.5当量)を、テトラヒドロフラン中1M溶液として滴下添加し、次いで反応物を、窒素下で、−78℃で1時間撹拌する。次いで、ヨードアルカン(2〜5当量)を加え、反応物をゆっくりと室温に温め、続いてUPLC/MSを用いる。一度出発物質が消費されたら、反応物を氷上で冷却し、飽和塩化アンモニウムでクエンチし、ジクロロメタン(10容量)中で希釈する。有機層を0.1M HClで洗浄し、生成した水相をジクロロメタンで2回抽出する。次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。粗製のBOC保護したO−アルキル化エチルエステル生成物(BOC−Tuv(O−エーテル)−OEt)の精製を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーまたは分取HPLCにより達成する。化合物42、43および44(スキーム7)を調製して、一般的手順を例証した。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(42):UPLC−MS(システム2):tr=1.62min、m/z(ES+)計算値:401.21、実測値:401.28。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(43):ツブバリン中間体41(170mg、440μmol)を、上に記載されている通りヨードエタン(89μl、880μmol)でO−エチル化することによって、メタノールおよびジクロロメタン混合物で溶出するシリカゲル精製後、表題化合物を得た。UPLC−MS(システム2):tr=1.66min、m/z(ES+)計算値:415.23(M+H)+、実測値:415.29。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(44):UPLC−MS(システム2):tr=1.77min、m/z(ES+)計算値:428.23(M+H)+、実測値:451.30(M+Na)+。1H NMR (回転異性体の1:1混合物, CDCl3) δ (ppm) 0.91 (m, 9H), 1.40 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.47 (回転異性体による2つのs, 9H), 1.64 (m, 3H), 1.87 (m, 2H), 2.74 (m, 3H), 3.42 (m, 2H), 4.10 (m, 1H), 4.42 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.50 (m, 1H), 8.14 (回転異性体による2つのs, 1H).
脱保護:対応するツブバリンエーテル遊離酸化合物(BOC−Tuv(O−エーテル)−OH)を得るための、精製されたO−アルキル化生成物(BOC−Tuv(O−エーテル)−OEt)のけん化を、テトラヒドロフラン:メタノール:水混合物の1:1:1溶媒混合物を使用して、20mM反応濃度で、以下の通り行う。O−アルキル化したツブバリン中間体を1容量ずつのテトラヒドロフランおよびメタノールに溶解する。次いで、混合物を氷浴内で、0℃で冷却する。水酸化リチウム一水和物(2〜3当量)を1容量の蒸留水に溶解し、撹拌しながら、0℃で反応フラスコに滴下添加する。次いで、反応物を室温まで温め、UPLC/MSでモニターする。出発物質が遊離酸に変換されたら、反応を氷酢酸(2〜3当量)でクエンチし、回転蒸発で濃縮する。次いで、粗製のカルボン酸を分取HPLCで精製する。化合物45、46および47(スキーム7)を化合物42、43および44からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(45):UPLC−MS(システム1):tr=1.47min、m/z(ES+)計算値:373.18、実測値:373.41。1H NMR (回転異性体の1:1混合物, CDCl3) δ (ppm) 0.87 (dd, J = 6.7, 2.0 Hz, 3H), 0.96 (dd, J = 6.7, 1.2 Hz, 3H), 1.49 (回転異性体による2つのs, 9H), 1.67 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 2.01 (m, 1H), 2.70 (m, 3H), 3.41 (s, 3H), 4.12 (m, 1H), 4.36 (第1の回転異性体, dd, J = 10.5, 2.3 Hz, 0.5H), 4.48 (第2の回転異性体, d, J = 8.6 Hz, 0.5H), 8.28 (回転異性体による2つのs, 1H).
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(46):UPLC−MS(システム2):tr=1.48min、m/z(ES+)計算値:387.20(M+H)+、実測値:387.26。1H NMR (CDCl3) δ (ppm) 0.88 (dd, J = 6.7, 2.0 Hz, 3H), 0.96 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.49 (回転異性体の2つのs, 9H), 1.68 (m, 1H), 1.86 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 2.69 (m, 3H), 3.53 (m, 2H), 4.09 (m, 1H), 4.43 (第1の回転異性体, dd, J = 10.2, 2.7 Hz, 0.5H), 4.54 (第2の回転異性体, d, J = 7.0 Hz, 0.5H), 8.24 (回転異性体による2つのs, 1H).
エチル2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキシレート(47):UPLC−MS(システム2):tr=1.58min、m/z(ES+)計算値:401.21(M+H)+、実測値:401.28(M+Na)+。
(実施例27)
アミドカップリングによるツブフェニルアラニン構成成分の導入のための一般的手順。
ペプチドカップリング:実施例26のO−アルキル化したツブバリン遊離酸(BOC−Tuv(O−エーテル)−OH)を、無水ジメチルホルムアミド(25〜50mM)中で溶解し、HATU(2.4当量)およびDIPEA(5当量)を加えることにより予備活性化する。次いで、反応混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸をツブフェニルアラニンアリルエステル40(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)に加え、次いで反応物を窒素下、周囲温度で撹拌し、UPLC/MSで進行をモニターする。反応が完了したら、氷酢酸(14当量)を加え、生成物(BOC−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル)を分取HPLCで精製する。化合物48、49および50(スキーム7)を化合物45、46および47からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(48):UPLC−MS(システム1):tr=1.96min、m/z(ES+)計算値:602.33(M+H)+、実測値:602.26。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(49):UPLC−MS(システム2):tr=1.84min、m/z(ES+)計算値:616.34(M+H)+、実測値:616.43。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(50):UPLC−MS(システム2):tr=2.00min、m/z(ES+)計算値:630.36(M+H)+、実測値:630.45。1H NMR (CDCl3) δ (ppm) 0.94 (m, 9H), 1.19 (d, J = 7.4 Hz, 3H), 1.49 (s, 9H), 1.64 (m, 5H), 1.84 (m, 1H), 2.03 (m, 2H), 2.63 (m, 1H), 2.73 (m, 3H), 2.93 (m, 2H), 3.41 (m, 2H), 4.07 (m, 2H), 4.29 (m, 1H), 4.41 (m, 2H), 4.55 (m, 2H), 5.25 (m, 2H), 5.88 (m, 1H), 7.24 (m, 5H), 8.05 (回転異性体の2つのs, 1H).
脱保護:精製されたO−アルキル化ツブバリン−ツブフェニルアラニンジ−ペプチド(BOC−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル)生成物を脱保護して、ツブバリン第2級アミン官能基を、ジクロロメタン(25mM)中10%TFAと共に、酸性条件下に曝露する。具体的には、出発物質を無水ジクロロメタン(9容量)中に溶解し、窒素下、0℃で撹拌する。次いで、トリフルオロ酢酸(1容量)を撹拌溶液に滴下添加する。反応物を室温までゆっくりと温め、UPLC/MSでモニターする。完了したら、反応物を回転蒸発で濃縮し、真空ラインで一晩ポンプダウンする。遊離アミン(NH(CH3)−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル)はさらに精製せずにそのまま使用する。化合物51、52および53(スキーム7)を化合物48、49および50からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−メトキシ−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(51):UPLC−MS(システム1):tr=1.17min、m/z(ES+)計算値:524.26(M+Na)+、実測値:524.27。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−エトキシ−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(52):UPLC−MS(システム2):tr=1.11min、m/z(ES+)計算値:516.29(M+H)+、実測値:516.37。
(2S,4R)−アリル2−メチル−4−(2−((1R,3R)−4−メチル−3−(メチルアミノ)−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−5−フェニルペンタノエート(53):UPLC−MS(システム2):tr=1.16min、m/z(ES+)計算値:530.31(M+H)+、実測値:530.40。
適切に保護された化合物40のツブフェニルアラニンを、適切に保護され、スキーム7に対して示されているような
(式中、R7BはO連結置換基、好ましくは−OHであり、下付き文字nは0、1または2、好ましくは0または1である)を含み、NH2−CH2−CO2H、NH2−CH2CH2CO2HおよびNH2−CH2CH2CH2CO2Hをさらに含む他のアミノ酸またはアミン含有酸投入物で置き換えることによって、類似のジペプチドを調製する。
(実施例28)
O−アルキル化ツブバリン−ツブフェニルアラニンアルキルエステルジペプチドと、Fmoc保護されたL−イソロイシンとのアミドカップリングのための一般的手順。
FMOC−L−イソロイシン(1.3〜2当量)を無水ジメチルホルムアミド(50〜200mM)に溶解し、HATU(1.5〜2当量)およびDIPEA(2当量)で予備活性化する。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸を、実施例27に従い調製したNH2−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリルジペプチドに加え、反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターする。反応の進行が停止するか、または完了に到達したら、氷酢酸(13当量)を加え、生成したFMOC−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリルトリペプチド生成物をprep HPLCで精製する。化合物54、55および56(スキーム7)を、化合物51、52および53からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6−ジオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザドデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(54):UPLC−MS(システム1):tr=2.07min、m/z(ES+)計算値:837.43(M+H)+、実測値:837.20
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6−ジオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザトリデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(55):UPLC−MS(システム2):tr=1.95min、m/z(ES+)計算値:851.44(M+H)+、実測値:851.54。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6−ジオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザテトラデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(56):UPLC−MS(システム2):tr=2.25min、m/z(ES+)計算値:865.46(M+H)+、実測値:865.65。
適切に保護された、実施例26の化合物40のツブフェニルアラニンを、適切に保護され、スキーム7に対して示されているような他のアミノ酸またはアミン含有酸投入物で置き換えることによって、実施例26〜28の一般的手順に従い、類似のトリ−ペプチドを調製する。適切に保護されたツブフェニルアラニンを置き換える代わりにまたはこれに加えて、FMOC−L−イソロイシンを、FMOC−L−ロイシンなどの疎水性側鎖を有する他の適切に保護されたアミノ酸に置き換えることによって、他のトリペプチドを得る。
(実施例29)
チューブリシンN末端構成成分の導入のための、イソロイシン−ツブバリン(O−エーテル)−ツブフェニルアラニンアリルエステルトリペプチドと、第3級アミン含有酸とのアミドカップリングのための一般的手順。
脱保護:実施例28に従い調製したFMOC−トリペプチド(FMOC−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリル)を、ジメチルホルムアミド(20mM)中20%ピペリジンを使用して、窒素下、室温で撹拌しながらFMOC保護基を除去することで、脱保護する。UPLC/MSでモニターされる場合に、完全な脱保護が達成されたら、反応混合物を回転蒸発で濃縮する。次いで、粗生成物を分取HPLCで精製することによって、遊離アミントリペプチド(NH2−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリル)を得る。化合物57、58および59(スキーム7)を、化合物54、55および56からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(57):UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)計算値:637.34(M+Na)+、実測値:637.57。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(58):UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:629.38(M+H)+、実測値:629.45。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(59):UPLC−MS(システム2):tr=1.29min、m/z(ES+)計算値:643.39(M+H)+、実測値:643.55。
ペプチドカップリング:(R)−N−メチル−ピペコリン酸(D−Mep)60(1.5〜2当量)を無水ジメチルホルムアミド(25〜50mM)中に溶解し、HATU(2当量)およびDIPEA(4当量)で予備活性化する。反応混合物を窒素下で、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸をFMOC脱保護から得たNH2−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリルトリペプチドに加える。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。反応が完了したら、次いで、氷酢酸(14当量)を加え、テトラ−ペプチド生成物(D−Mep−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupO−アリル)を分取HPLCで精製する。化合物61、62および63(スキーム7)を化合物57、58および59からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(61):UPLC−MS(システム1):tr=1.29min、m/z(ES+)計算値:762.42(M+Na)+、実測値:762.32。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(62):UPLC−MS(システム2):tr=1.25min、m/z(ES+)計算値:754.46(M+H)+、実測値:754.55。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(63):UPLC−MS(システム2):tr=1.36min、m/z(ES+)計算値:768.48(M+H)+、実測値:768.55。
対応するチューブリシンエーテルを遊離薬物(D−Mep−Ile−Tuv(O−エーテル)−TupOH)として得るために、無水ジクロロメタン(20mM)中への溶解ならびにパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.1当量)、トリフェニルホスフィン(0.2当量)、および無水ピロリジン(8当量)での処理により、アリルエステル保護チューブリシンエーテルテトラペプチドを脱保護することによって、遊離ツブフェニルアラニン酸部分を有するチューブリシンエーテルを得、反応物を窒素下周囲温度で撹拌する。生成物遊離酸への変換がUPLC/MSにより明らかになったら、反応物を氷酢酸(22当量)でクエンチし、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドで希釈し、次いで回転蒸発で濃縮する。次いで、粗製のチューブリシンエーテルを分取HPLCで精製する。化合物64、65および66(スキーム7)を化合物61、62および63からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(64):UPLC−MS(システム2):tr=1.05min、m/z(ES+)計算値:700.41(M+H)+、実測値:700.50。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−エトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(65):UPLC−MS(システム2):tr=1.09min、m/z(ES+)計算値:714.43(M+H)+、実測値:714.51
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−プロポキシペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(66):UPLC−MS(システム2):tr=1.19min、m/z(ES+)計算値:728.44(M+H)+、実測値:728.54。
その中に示されているような実施例27のツブフェニルアラニン(化合物40)投入物および/または実施例28のFMOC−アミノ酸(FMOC−Ile)の代わりの、アミノ酸またはアミン含有酸投入物に変化形(複数可)を有するものを含めて、追加のチューブリシンエーテルは、D−Mepを他のN−アルキル化ピペコリン酸投入物またはN−アルキル化アゼチジニル−2−カルボン酸、N−アルキル化−D−プロリンもしくはN,N−ジ−アルキルアミノ酸、例えば、N,N−ジメチルグリシンなどで置き換えることによって調製する。
(実施例30)
LSS前駆体(S)−パーフルオロフェニル3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノエート(68)の調製。
フラスコに、mDPR(Boc)−OH(67)(Nature Biotech、2014年、32巻、1059〜1062頁)67(500mg、1.76mmol)を充填し、これに、ペンタフルオロフェノール(324mg、1.76mmol)のDMF(8.8mL)中の溶液を加え、続いて1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(371mg、1.93mmol)を固体として加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで、H2O中の50mLの飽和したNH4Clおよび50mLのH2Oでクエンチした。水層をDCMで2回抽出し、次いで有機物をブラインで洗浄し、NaSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、表題化合物を得た(589mg、74%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.51min、m/z(ES+)計算値:473.07(M+Na)+、実測値:473.14。
化合物68(mDPR(BOC)−OPFFと略記)は、薬物−リンカー化合物の調製のための活性化した形態の式M1−A’(BU)−COOHの例示的LSS前駆体(すなわち、Lb’含有部分の1つのタイプ)であり、一般式M1−A1(BU)−AO−W−Y−D+およびM1−A(BU)−Y(W)−D+(式中、M1はマレイミド部分であり、A’はストレッチャーサブ(ユニット)前駆体であり、A1およびAOは、ストレッチャー単位Aのサブユニットであり、BUは、アミノアルキル部分などの塩基性単位であり、Yは自壊性スペーサー単位であり、−Y(W)−はグルクロニド部分であり、例えば、炭水化物部分としてグルクロン酸残基および自壊性部分としてPAB残基から構成され、D+は4級化チューブリシンである)によるものを含む。
(実施例31)
チューブリシン(O−エーテル)−アリルエステルからのグルクロン酸放出機序を取り込んだ薬物−リンカー化合物中間体を調製するための一般的手順。
式A’−Yy(W’w’)−D+(式中、下付き文字w’およびyはそれぞれ1であり、A’はストレッチャー単位前駆体であり、D+は4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位であり、−Y(W’)−はグルクロニド単位である)の例示的薬物−リンカー化合物中間体を実施例29のチューブリシン(O−エーテル)−アリルエステルから以下の方式で調製する。こうして得た生成物は、一般式FMOC−GlucQ−Tub(O−エーテル)−O−アリルで表される。
リンカー単位の生成:耐圧容器に、無水2−ブタノン(50mM)中のD−Mep−Ile−Tuv(O−エーテル)−Tup−O−アリル(1当量)および実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(1.5当量)を充填する。反応容器をN2でフラッシュし、密閉する。次いで、反応物を撹拌し、60℃で18時間加熱する。得られた混合物を冷却し、減圧下で残渣に濃縮し、次いで、粗製のまま持ち越すか、または最小量のDMSO中に溶解させて、分取HPLCで精製することによって、表題化合物を得る。化合物69、70および71(スキーム8)をそれぞれ化合物61、62および63、ならびに化合物2からを調製することによって、一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(69):分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.61min、m/z(ES+)計算値:1470.68(M)+、実測値:1471.68。
(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(70):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.49min、m/z(ES+)計算値:1484.69(M)+、実測値:1484.84。
(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(71):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.47min、m/z(ES+)計算値:1498.71(M)+、実測値:1498.85。
脱保護:FMOC−GlucQ−Tub(O−エーテル)−O−アリル生成物を、0℃に冷却したTHFおよびMeOHで全体的に脱保護する。LiOH・H2O(6.0当量)にH2Oを滴下添加し(1:1:1THF:MeOH:H2O、50mMの最終濃度)、この時点で反応を室温に温め、一晩撹拌する。THFおよびMeOHを減圧下で除去し、最小量のDMSOを使用して生成した沈殿物を再可溶化し、混合物を分取HPLCで精製した。全体的に脱保護した生成物をH−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHと略記する。化合物72、73および74(スキーム8)を、化合物69、70および71からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(72):Fmoc−GlucQ−Tub(OMe)−Oアリル69(17mg、12μmol)を上記のように脱保護して、72(4.3mg、34%)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.08min、m/z(ES+)計算値:1068.53(M)+、実測値:1068.66。
(2R)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(73):分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1082.55(M)+、実測値:1082.68。
(2R)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(74):分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.98min、m/z(ES+)計算値:1096.56(M)+、実測値:1096.67。
(実施例32)
LSS−ストレッチャーサブユニット前駆体と、グルクロニド単位および4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位で構成される薬物−リンカー中間体とのアミドカップリングによる薬物リンカー化合物の調製のための一般的手順。
式Lb’−Aa−Yy(W’w’)−D+の例示的薬物−リンカー化合物(式中、下付き文字a、yおよびw’はそれぞれ1であり、Lb’−A−は式M1−A1(BU)−AO−を有し、M1−A1(BU)−は自己安定化(LSS)の前駆体を表し、これは、リガンド薬物コンジュゲートの中の1つのタイプのLb’含有部分であり、A1は、ストレッチャー単位Aのサブユニットであり、他のサブユニットとしてAOを有し、D+は4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位であり、−Y(W’)−はグルクロニド単位である)を、H−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHの化合物から以下の方式で調製し、これをmDPR−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OH(式中、mDPR−はM1−A1(BU)−AO−部分である)と略記する。
リンカー単位の生成:フラスコに、実施例31のアミンH−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHを充填し、これに、実施例30のmDPR(Boc)−OPFP(68、1.2当量)をDMF(10mM)溶液として加える。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.0当量)および反応物を室温で3時間撹拌した。反応をAcOH(4.0当量)でクエンチし、次いでDMSO(1容量)中で希釈し、分取HPLCで精製した。化合物75、76および77(スキーム8)を、化合物72、73および74からそれぞれ調製することによって一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(75):分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.22min、m/z(ES+)計算値:1334.62(M)+、実測値:1334.68
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(76):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.19min、m/z(ES+)計算値:1348.64(M)+、実測値:1348.79。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(77):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.24min、m/z(ES+)計算値:1362.65(M)+、実測値:1362.78。
脱保護:アミド結合形成からの生成物を以下の方式で脱保護して、BOC保護基を除去する。フラスコに、mDPR(BOC)−GlucQ−Tub(O−エーテル)−OHを充填し、0℃に冷却する。TFAのDCM(50mM)中10%溶液を加え、1時間撹拌しながら、反応物を室温まで温める。次いで、反応物をDMSO(1容量)で希釈し、減圧を介してDCMを除去し、次いで分取HPLCで精製する。化合物78、79および80(スキーム8)を、化合物75、76および77からそれぞれ調製することによって、一般的手順を例証した。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(78):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.09min、m/z(ES+)計算値:1234.57(M)+、実測値:1234.65。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−エトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(79):分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1248.59(M)+、実測値:1248.72。
(2R)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチル−1−プロポキシペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(80):分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.03min、m/z(ES+)計算値:1262.60(M)+、実測値:1262.73。
(実施例33)
イソロイシン−ツブバリン(OAc)−ツブフェニルアラニンアリルエステルの調製
けん化:フラスコに、THF(1.35mL)およびMeOH(1.35mL)中のBOC−Tuv(OAc)−Tup−OEt(90、50mg、81μmol)を充填し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(27mg、647μmol)をH2O(1.35mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、3時間撹拌した。次いで、反応物を酢酸(37μL、647μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣をDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(91)を得た(44mg、定量的収量)(スキーム9)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.53min、m/z(ES+)計算値:548.28(M+H)+、実測値:548.24。
アセチル化およびアリルエステル脱保護:BOC−Tuv(OH)−Tup−OH(91、44mg、81μmol)生成物を、無水ピリジン(1.6mL)中に可溶化し、N2下、室温で撹拌した。無水酢酸(15.4μL、162μmol)を滴下添加した。1時間撹拌後、追加の1.0当量の無水酢酸を加え、LCMSによれば、2時間後に反応が完了した。反応物を減圧下で濃縮乾固し、次いで無水アリルアルコール(1.6mL)中で再可溶化した。ジ−アリルピロカーボネート(54μL、325μmol)を加え、続いて固体のDMAP(3.0mg、24μmol)を加えた。反応物を室温で撹拌させ、LCMSでモニターし、反応を完了させるように推し進めるために必要に応じて、追加のジ−アリルピロカーボネートを加えた(追加の4.0当量)。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(92)を得た(スキーム9)(33mg、65%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.75min、m/z(ES+)計算値:630.32(M+H)+、実測値:630.42。
ジ−ペプチド脱保護:BOC−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(92、33mg、21μmol)を充填したフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.52mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCM中で再可溶化し、濃縮することを3回行って、TFAを除去することによって、粗製の(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(93)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.03min、m/z(ES+)計算値:530.27(M+H)+、実測値:530.36。化合物93(スキーム9)をさらに精製せずに次に使用した。
ペプチドカップリング:H−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(93、28mg、53μmol)を充填したフラスコに、BOC−L−Ile−OH(15mg、63μmol)およびHATU(40mg、106μmol)を固体として加え、続いてDMF(1.0mL)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(37μL、211μmol)を加え、反応物を室温で48時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、(2S,4R)−アリル4−(2−((6S,9R,11R)−6−((S)−sec−ブチル)−9−イソプロピル−2,2,8−トリメチル−4,7,13−トリオキソ−3,12−ジオキサ−5,8−ジアザテトラデカン−11−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(94)を得た(スキーム9)(19mg、49%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.72min、m/z(ES+)計算値:743.41(M+H)+、実測値:743.51。
トリ−ペプチド脱保護:BOC−Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(94、19mg、26μmol)を充填したフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.52mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCM中で再可溶化し、濃縮することを3回行って、TFAを除去することによって、粗製の(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(95)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:643.36(M+H)+,実測値:643.42。Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(イソロイシン−ツブバリン(OAc)−ツブフェニルアラニンアリルエステル)と略記される化合物95(スキーム9)を、さらに精製せずに持ち越した。
(実施例34)
遊離チューブリシン薬物のN末端部分に対応する4級化窒素ヘテロシクロアルキルの調製。
N末端前駆体(D−Mep):H−Pip−OtBu(96、500mg、2.70mmol)をMeOH(4.50mL)、AcOH(4.50mL)およびH2O中37%CH2O(4.50mL)中に溶解させ、20分間撹拌した。NaBH3CN(509mg、8.10mmol)を固体としてゆっくりと加えて、激しくバブリングさせ、30分間撹拌した。次いで、反応物を200mLのNaHCO3飽和溶液に注ぎ入れ、200mLのDCMで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、(R)−tert−ブチル1−メチルピペリジン−2−カルボキシレート(97)を得た(516mg、96%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.53min、m/z(ES+)計算値:200.17(M+H)+、実測値:200.21。BOC−D−Mep−OtBuと呼ばれる化合物97(スキーム10)を、さらに精製せずに持ち越して、以下の方式で、実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2に縮合した。
4級化:耐圧容器に、無水2−ブタノン(1.71mL)中の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体(2、104mg、128μmol)およびD−Mep−OtBu(97、34mg、171μmol)を充填した。反応容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで、反応物を撹拌し、60℃に12時間加熱した。得られた混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(98)を得た(97mg、82%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.32min、m/z(ES+)計算値:930.40(M)+、実測値:930.49。次いで、炭水化物部分の保護基を除去し、続いてアリルエステルとして再保護することによって、以下の方式で化合物99を得た(スキーム10)。
グリコシド脱保護:無水アリルアルコール(2.09mL)中の、酢酸エステルおよびメチルエステル保護基を有する化合物98(97mg、104μmol)を充填した、火炎乾燥したフラスコに、N2下で、Ti(OC2H5)4(87μL、417μmol)を加え、得られた反応混合物を、2時間撹拌しながら80℃に加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、50mLの1M HClに注ぎ入れた。45分間静置した後に、HClを50mLのDCMで3回抽出した。生成した有機物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取HPLCで精製することによって、(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−((アリルオキシ)カルボニル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(99)を得た(42mg、48%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:830.39(M)+、実測値:830.49。
(実施例35)
ツブバリン−(O−アシル)部分を有するチューブリシントリペプチド中間体の、遊離チューブリシン薬物に対応する4級化窒素ヘテロシクロアルキルへのアミドカップリングによる薬物−リンカー化合物中間体の調製。FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OtBuと略記される、実施例34の化合物99(スキーム10)を、t−ブチルエステル保護基を除去して脱保護することによって、化合物100を得、次いで、これを、以下の方法を介してペプチド結合の形成により、実施例33のイソロイシン−ツブバリン(OAc)−ツブフェニルアラニンアリルエステル(化合物95)にカップリングした。
N末端(D−Mep)脱保護:FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OtBu(99、42mg、50μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中30%のTFAの溶液(2.5mL)を滴下添加し、18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、25mg(64%)の(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−((アリルオキシ)カルボニル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−カルボキシ−1−メチルピペリジン−1−イウム(100)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.05min、m/z(ES+)計算値:774.32(M)+、実測値:774.42。
ペプチドカップリング:FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OHと略記される化合物100(スキーム10)を、H−Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル(95、23mg、36μmol)を充填したフラスコに、化合物100(28mg、36μmol)およびHATU(27mg、72μmol)を固体として加え、続いてDMF(0.714mL)を加えることによって、トリペプチド95と縮合させた。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(25μL、143μmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。次いで反応物をDMSO中に溶解させ、分取LCで精製することによって、23mgの(46%)(2R)−1−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−((アリルオキシ)カルボニル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(101)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.39min、m/z(ES+)計算値:1398.66(M)+、実測値:1398.81。
グリコシドおよびTupの脱保護:FMOC−Gluc(O−アリル)Q−Mep−Ile−Tuv(OAc)−Tup−O−アリル生成物(すなわち、化合物101)(さらにFmoc−Gluc(O−アリル)Q−TubM−Oアリルと略記される)のFMOCおよびアリル保護基は、ツブバリンアセテートを保持しながら、以下の方式で達成された。FMOC−Gluc(O−アリル)Q−TubM−Oアリル(101、21mg、15μmol)を、N2下で撹拌しながら、DCM(1.5mL)に溶解させた。Pd(PPh3)4(3.5mg、3.1μmol)およびPPh3(1.6mg、6.1μmol)を固体として加え、続いてピロリジン(20.1μL、245μmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、次いで1mLのDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取LCで精製することによって、13mg(79%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(102)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.94min、m/z(ES+)計算値:1096.53(M)+、実測値:1096.65。
H−GlucQ−TubM−OHと略記される、化合物102は、式A’−Yy(W’w’)−D+(式中、下付き文字yおよびw’はそれぞれ1であり、A’はストレッチャー(サブ)ユニット前駆体であり、−Y(W)−はグルクロニド単位であり、これは、チューブリシン薬物(D)を放出するための自壊可能なPABスペーサー単位、およびグルクロン酸部分で構成され、D+は4級化チューブリシンMである)の例示的な薬物−リンカー化合物中間体である。化合物95に対応するH−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルを調製するために、BOC−Tuv(O−Ac)−Tup(OEt)(90)のアセテート部分が実施例33の一般式BOC−Tuv(O−アシル)−Tup(OEt)の化合物で置き換えられている、ツブバリン(O−アシル)構成成分投入物を含有する代替の4級化チューブリシンを有する類似の薬物リンカー化合物中間体を調製するため。次いで、実施例34および35に従いその中間体を持ち越すことによって、化合物102の薬物−リンカー化合物中間体に対応する、H−GlucQ−Tub(O−アシル)−OHとさらに略記される、一般式H−GlucQ−D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−OHの化合物を得る。
他の変化形は、スキーム10の適切に保護された6員の第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルであるBOC−D−Mep−OtBu(化合物97)を、別の適切に保護された5員または6員の第3級アミン含有複素環、例えば、BOC−N−エチル−ピペコリン酸t−ブチルエステル、BOC−N−メチル−プロリンt−ブチルエステルまたはBOC−N−メチル−アゼチジニル−2−カルボン酸t−ブチルエステルなどで置き換えることによって、それぞれスキーム10の化合物99および化合物102に類似の化合物を得ることであるか、またはさらに含み、これらの中で、FMOC−Gluc(O−アリル)Q−D−Mep−OtBuおよびH−GlucQ−D−Mep−Ile−Tuv(O−Ac)−Tup OH、またはさらに一般的には、H−GlucQ−D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−OHの4級化D−Mep部分は、別の4級化第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルで置き換えられている。ヘテロシクロアルキルが第3級アミンを含有するカルボン酸で置き換えられている薬物−リンカー化合物中間体の追加の変化形もスキーム10を介して得ることによって、4級化チューブリシン薬物−リンカー化合物のN末端開環したバリアントが得られる。
(実施例36)
LSS−ストレッチャーサブユニット前駆体と、グルクロニド単位および4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位で構成される薬物−リンカー中間体とのアミドカップリングによる薬物リンカー化合物の調製。
LSS(mDPR)前駆体カップリング:フラスコに、無水DMF(0.595mL)中の実施例35から得られたH−GlucQ−TubM−OH(102、13.1mg、11.9μmol)を充填し、これにmDPR(BOC)−OSu(6、4.6mg、11.9μmol)をN2下で加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.3μL、47.8μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応物を酢酸(8.3μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、5.2mg(33%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(103)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.20min、m/z(ES+)計算値:1362.62(M)+、実測値:1362.75。
LSS前駆体脱保護:mDPR(BOC)−GlucQ−TubM−OH(103)上のBOC保護基を以下の通り除去して、チオール含有標的化部分との縮合によるリガンド薬物コンジュゲートの調製に適切な薬物−リンカー化合物を調製する。
mDPR(Boc)−GlucQ−TubM−OH(103、5.2mg、3.8μmol)を充填したフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.84mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、4.8mg(81%)の2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(104)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1262.56(M)+、実測値:1262.68。
実施例36から、チューブリシンMの中の4級化D−Mep部分が別の4級化6員第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルで置き換えられている4級化チューブリシンN末端残基において変化形を有する薬物−リンカー化合物も調製する。実施例36からは、カルボン酸置換された4員または5員の第3級アミン含有ヘテロシクロアルキルから得た他の薬物−リンカー化合物もさらに調製する。他の変化形は、実施例33における、適切に保護された第3級アミン含有酸の使用を介して、D−Mepの4級化6員のヘテロシクロアルキルを、非環式形で置き換えることで、N末端開環形の4級化チューブリシン薬物リンカー化合物を得ている。また他の変化形は、薬物−リンカー化合物中間体について実施例33〜35に記載されているようなツブバリン構成成分のアセテート部分を、別のアシルオキシ基でで置き換えることで、類似の薬物−リンカー化合物を得ている。さらなる変化形は、両方の変更、すなわち、N末端部分とツブバリンアシルオキシ部分の変化形を取り込んでいる。
実施例36で調製した化合物は、式M1−A1(BU)−AO−Y(W)−D+またはLb’−AO−Y(W)−D+(式中、Lb’は、マレイミド部分(M1)、塩基性単位(BU)およびストレッチャー単位のサブユニット(A1)で構成され、AOは、ストレッチャー単位の別のサブユニットであり、Lb’は、薬物−リンカー化合物から調製したリガンド薬物コンジュゲートの中のLSSの前駆体である)の例示的な薬物−リンカー化合物である。
(実施例37)
4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位を有するペプチド放出機序を組み込んでいる薬物−リンカー化合物中間体を調製するための一般的手順。
式A’−Ww−Yy−D+の例示的薬物−リンカー化合物中間体を以下の通り調製する(式中、下付き文字wおよびyはそれぞれ1であり、A’は、ストレッチャー単位前駆体であり、D+は4級化チューブリシン薬物単位であり、−W−Y−は自壊性スペーサー単位(Y)に共有結合により結合しているペプチド切断可能単位(W)であり、Wは、プロテアーゼ認識部位を提供し、その作用は、リガンド薬物コンジュゲート(LDC)から遊離のチューブリシン薬物を放出し、LDCは、−LO−D+部分として、そのA’−Ww−Yy−D+で構成される)。一般的に、式BOC−W2−W1−PAB−Br(式中、W1およびW2は、Wのアミノ酸サブユニットであり、PABは自壊性スペーサー単位Y中間体である)の適切に保護されたペプチド−スペーサー単位中間体は、最初にBOC保護されたW2をH−W1−PAB−OHとペプチド結合カップリングさせ、続いてベンジル炭素を臭素化させて、ペプチド−スペーサー単位中間体BOC−W2−W1−PAB−Brを得ることによって調製する。次いで、例えばアリルエステルのように、C末端の構成成分で適切に保護されたチューブリシンは、その第3級アミン含有構成成分の4級化のためにペプチド−スペーサー単位中間体に縮合させて、全体的脱保護後に、式H−W−Y−D+(すなわち、H−W2−W1−PAB−D+)の薬物リンカー化合物中間体を得る。その反応順序の生成物は、H−Val−Glu−PAB4−TubM−OH(スキーム11)の以下の調製により例示され、この中でジペプチド残基−Val−Glu−は−W2−W1に対応する。
スペーサー単位のペプチドカップリング:FMOC−Glu(OtBu)−OH(105、2.0g、4.7mmol)、H−PAB−OH(23、579mg、4.7mmol)、およびCl2CH2(25mL)を充填したフラスコを室温で撹拌した。EEDQ(1.40g、5.6mmol)を固体として加え、混合物を一晩撹拌した。生成物を、EtOAcを用いた4mmクロマトトロンプレートで溶出し、生成物を含有する画分を濃縮した。得られた残渣をDCM中20%ピペリジン中に溶解させ、15分間撹拌し、次いで油になるまで濃縮した。この油をDCMに溶解し、DCM中10%〜20%MeOHの勾配を使用して、2mmクロマトトロンプレートから溶出させて、860mg(60%)の(S)−tert−ブチル4−アミノ−5−((4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)−5−オキソペンタノエート(106)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.65min、m/z(ES+)計算値:309.18(M+H)+、実測値:309.24。
切断可能単位のペプチドカップリング:DMF(10mL)中H−Glu(OtBu)−PAB−OH(106、860mg、2.78mmol)を充填したフラスコに、BOC−Val−OSu(20)(1.13g、3.60mmol)およびDIPEA(0.75mL)を加えた。30分後、反応混合物を100mLのEtOAcに注ぎ入れ、H2Oで3回、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶液を減圧下で乾燥させ、50mLのEtOAc中で可溶化し、ヘキサン中10%EtOAc(50mL)により沈殿させた。固体を収集し、乾燥させることによって、0.97g(70%)の(S)−tert−ブチル4−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−((4−(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)−5−オキソペンタノエート(107)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.37min、m/z(ES+)計算値:508.30(M+H)+、実測値:508.38。
スペーサー単位の官能化:BOC−Val−Glu(OtBu)−PAB−OH(107、200mg、394μmol)、N−ブロモスクシンイミド(105mg、591μmol)、およびトリフェニルホスフィン(155mg、591μmol)を充填したフラスコを、N2でフラッシュした。反応物をTHF(4mL)中に溶解し、12時間撹拌した。反応物を濃縮し、シリカでBiotageカラム(ヘキサン/EtOAc、10%〜100%)を介して精製することによって、210mg(93%)の(S)−tert−ブチル5−((4−(ブロモメチル)フェニル)アミノ)−4−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−オキソペンタノエート(108)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.56min、m/z(ES+)計算値:570.22(M+H)+、実測値:570.30。
4級化:BOC−Val−Glu(OtBu)−PAB−Br(108、40mg、70μmol)およびTubM−Oアリル(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)(109、45mg、59μmol)を充填したフラスコを、N2でフラッシュした。ブタノン(1.17mL)を加え、反応物を、撹拌しながら60℃に加熱した。18時間後、反応物を濃縮乾燥させ、最小量のDCM中に溶解させ、Biotage(0〜20%DCM/MeOH)を介して精製することによって、62mg(85%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−5−(tert−ブトキシ)−2−((S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミド)−5−オキソペンタンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(110)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.47min、m/z(ES+)計算値:1257.72(M)+、実測値:1257.85。
脱保護:BOC−Val−Glu(OtBu)−PABQ−TubM−Oアリル(110、42mg、50μmol)を充填したフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中30%のTFAの溶液(0.99mL)を滴下添加し、18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCM中に溶解させ、再濃縮することを3回行った。次いで、残基をDCM(0.98mL)中に溶解させ、これに、Pd(PPh3)4(5.7mg、4.9μmol)およびPPh3(2.6mg、9.8μmol)を固体として加え、続いてピロリジン(32μL、392μmol)を加えた。1時間後、反応物を最小量のDMSO中に溶解させ、濃縮し、分取HPLCで精製することによって、47mg(90%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−アミノ−3−メチルブタンアミド)−4−カルボキシブタンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(111)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1061.57(M)+、実測値:1061.69。
W2およびW1それぞれについてのFMOC−Glu(Ot−Bu)−OH(105)およびBOC−Val−OSu(20)投入物を、他の適当なアミノ酸投入物で置き換えて、化合物111と類似の他の薬物−リンカー化合物中間体を調製することで、式H−W2−W1−PAB−D+の調製された薬物−リンカー化合物中間体が、
(式中、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2、または−(CH2)2CO2Hであり、ジペプチドN末端における波線は、Aへの、またはLbもしくはLb’への共有結合を示し、ジペプチドC末端における波線は、SI部分のJへの共有結合を示している)の構造を有するようにする。
(実施例38)
LSS前駆体部分を、4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位を有するペプチド放出機序を組み込んだ薬物−リンカー化合物中間体へ導入することにより薬物−リンカー化合物を調製するための一般的手順。
式Lb’−Y−W−D+(式中、Lb’−はM1−A(BU)−であり、−Y−W−D+は、実施例37の薬物リンカー化合物中間体に対応する)の薬物リンカー化合物がスキーム12で例示されている。薬物−リンカー化合物mDPR−Val−Glu−PABQ−TubM−OH(113)(その一般化された式は、M1−A(BU)−W2−W1−PABQ−TubM−OHである)の合成に関して、例証が以下の通り提供される。
LSS(mDPR)カップリング:フラスコに、無水DMF(0.420mL)中H−ValGluPAB4−TubM(111、22.5mg、21.2μmol)を充填し、これにN2下でmDPR(Boc)−OSu(6、8.9mg、23.3μmol)を固体として加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(14.8μL、84.7μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(14.8μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、11.5mg(40%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((7S,10S,13S)−13−(2−カルボキシエチル)−7−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−10−イソプロピル−2,2−ジメチル−4,8,11−トリオキソ−3−オキサ−5,9,12−トリアザテトラデカンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(112)を得た(11.5mg、40%)。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.31min、m/z(ES+)計算値:1327.66(M)+、実測値:1327.94。
脱保護:mDPR(Boc)−ValGluPAB4−TubM(112、11.5mg、8.6μmol)を充填したフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.86mL)を滴下添加し、2時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、9.9mg(93%)の(2R)−2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−アセトキシ−1−(4−(((2R,4S)−4−カルボキシ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)−1−(4−((S)−2−((S)−2−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−3−メチルブタンアミド)−4−カルボキシブタンアミド)ベンジル)−1−メチルピペリジン−1−イウム(113)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.99min、m/z(ES+)計算値:1227.61(M)+、実測値:1227.83。
(実施例39)
ツブバリン構成成分中のアセテートの代わりに代替のアシルオキシ部分を有するチューブリシン中間体化合物の調製。
表題化合物の調製は、ツブフェニルアラニンとの、そのアリルエステルとしてのペプチドカップリングを介した、BOC保護したデス−アセチルツブバリン化合物から進行する。次いで、プロピオニルオキシおよびブチリルオキシに関して例示したように適当な酸無水物(方法1)を使用して、またはツブバリンアセテート部分の置き換えについてイソ酪酸クロリドに関して例示したように(すなわち、イソブチリルオキシがアセトキシを置き換える)酸塩化物(方法2)を使用して、アシル部分を再導入する。代わりに、ツブバリンアセテート部分のジメチルブチリルオキシおよびイソバレリルの置き換えに関して例示されたように、ツブバリンヒドロキシルを脂肪族カルボン酸のDCC活性化を介してエステル化する(方法3)。得られた化合物は、スキーム13に示されているように一般式BOC−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルを有する。BOC保護基を除去してN末端構成成分を導入するためのペプチドカップリングを可能にすることによって、チューブリシンM類似体を得る。
Tuvの加水分解:フラスコに、メタノール(5ml)およびテトラヒドロフラン(5ml)に溶解したツブバリンアセテート(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)122(225mg、560μmol)を充填し、次いで氷浴内で、窒素下で0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(71mg、1680μmol)を水(5ml)に溶解し、この溶液を反応フラスコに滴下添加した。次いで、UPLC/MSが、生成物への変換が完了したことを明らかにするまで、反応物を室温で撹拌した。次いで、材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、200mg(定量的収量)の遊離酸化合物2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボン酸(123)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.33min、m/z(ES+)計算値:359.17(M+H)+、実測値359.14。
ペプチドカップリング:ツブバリン遊離酸化合物123(200mg、560μmol)を、無水ジメチルホルムアミド(5.4mL、100mM)に溶解し、HATU(250mg、670μmol)およびDIPEA(0.59ml、3.36mmol)を加えることによって、予備活性化した。次いで、混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。次いで、活性化した酸をツブフェニルアラニンアリルエステル40(Org. Lett.、2007年、9巻、1605〜1607頁)に加え、次いで、進行をUPLC/MSでモニターしながら、反応物を窒素下、周囲温度で撹拌した。反応が完了したら、氷酢酸(14当量)を加え、生成物を分取HPLCで精製することによって、272mg(83%)のTuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチドである(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(124)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.84min、m/z(ES+)計算値:588.31(M+H)+、実測値588.29。
再アシル化(方法1):Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(26mg、44μmol)を無水ピリジン(1.8ml、25mM)に溶解し、窒素雰囲気下室温で撹拌した。プロピオン酸無水物125(113μl、20当量)を滴下添加し、次いで反応をUPLC/MSでモニターした。追加のプロピオン酸無水物(20当量)を加えることで、生成物への変換を達成した。材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、これを、続いて分取HPLCで精製することによって、17mg(61%)のBOC−Tuv(プロピオニルオキシ)−Tup−O−アリル生成物である(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(127)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.99min、m/z(ES+)計算値:644.34(M+H)+、実測値644.26。
Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(27mg、46μmol)を無水ピリジン(0.9ml、50mM)に溶解し、窒素雰囲気下室温で撹拌した。酪酸無水物126(225μl、30当量)を滴下添加し、次いで反応をUPLC/MSでモニターした。追加の酪酸無水物(40当量)を3回に分けて加えることで、生成物への変換を達成した。材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、これを続いて分取HPLCで精製することによって、24mg(80%)のBOC−Tuv(ブチリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−(ブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(128)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.13min、m/z(ES+)計算値:658.35(M+H)+、実測値:658.23。
再アシル化(方法2):Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(26mg、44μmol)を無水ピリジン(1.8ml、25mM)に溶解し、窒素雰囲気下室温で撹拌した。塩化イソブチリル129(93μl、20当量)を滴下添加し、次いで反応をUPLC/MSでモニターした。生成物に変換したら、材料をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、続いてこれを分取HPLCで精製することによって、29mg(定量的収量)のBOC−Tuv(イソブチリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物である(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(130)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=2.13min、m/z(ES+)計算値:658.35(M+H)+、実測値:658.33。
再アシル化(方法3):無水ジクロロメタン(5.6ml、15mM)に溶解したイソ吉草酸131(94μl、851μmol)をフラスコに充填し、溶液を窒素雰囲気下0℃で撹拌した。次いで、DMAP(10mg、85μmol)を加え、続いてDCC(88mg、425μmol)を加え、反応を2時間にわたり室温まで温めた。次いで、生成した活性化した酸をTuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(50mg、85μmol)に加え、反応物を一晩撹拌し、この時点でUPLC/MSは、生成物への変換を明らかにした。次いで、反応物をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、続いてこれを分取HPLCで精製することによって、52mg(91%)のBOC−Tuv(イソバリリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(133)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.91min、m/z(ES+)計算値:672.37(M+H)+,実測値:672.46。
フラスコに、無水ジクロロメタン(5.1ml、15mM)に溶解したgem−ジメチル酪酸132(98μl、766μmol)を充填し、溶液を窒素雰囲気下0℃で撹拌した。次いで、DMAP(9mg、77μmol)を加え、続いてDCC(79mg、383μmol)を加え、反応物を2時間にわたり室温まで温めた。次いで、生成した活性化した酸を、Tuv(OH)−Tup−Oアリルジペプチド124(45mg、77μmol)に加え、反応物を一晩撹拌し、この時点で、UPLC/MSは生成物への変換を明らかにした。次いで、反応物をジクロロメタンで希釈し、0.1M HClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、次いで合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、粗生成物を得、続いてこれを分取HPLCで精製することによって、49mg(93%)のBOC−Tuv(ジメチルブチリルオキシ)−Tup−O−アリル生成物(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(134)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.88min、m/z(ES+)計算値:686.39(M+H)+、実測値:686.47。
脱保護:方法1、2または3で調製したBOC−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリル中間体を、ジクロロメタン中10%TFA(25mM)を用いて、酸性条件下で脱保護して、第2級アミン官能基を以下の通り曝露した。BOC保護した中間体を無水ジクロロメタン(9容量)に溶解し、窒素下、0℃で撹拌した。次いで、トリフルオロ酢酸(1容量)を撹拌溶液に滴下添加した。反応物をゆっくりと室温まで温め、UPLC/MSでモニターした。完了したら、反応物を回転蒸発により濃縮し、真空ラインで一晩ポンプダウンした。こうして得た一般式H−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの遊離アミンは、N末端構成成分の導入のため、さらに精製せずに持ち越す。
調製したH−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリル化合物(化合物135〜139)は、スキーム14において示され、以下に列挙されている。
(2S,4R)−アリル2−メチル−4−(2−((1R,3R)−4−メチル−3−(メチルアミノ)−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−5−フェニルペンタノエート(135):UPLC−MS(システム1):tr=1.24min、m/z(ES+)計算値:544.29(M+H)+、実測値:544.25
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−(ブチリルオキシ)−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(136):UPLC−MS(システム2):tr=1.20min、m/z(ES+)計算値:558.30(M+H)+、実測値:558.38
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(137):UPLC−MS(システム1):tr=1.30min、m/z(ES+)計算値:558.30(M+H)+、実測値:557.93。
(2S,4R)−アリル2−メチル−4−(2−((1R,3R)−4−メチル−3−(メチルアミノ)−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−5−フェニルペンタノエート(138):UPLC−MS(システム2):tr=1.23min、m/z(ES+)計算値:572.32(M+H)+、実測値:572.40。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチル−3−(メチルアミノ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(139):UPLC−MS(システム2):tr=1.27min、m/z(ES+)計算値:586.33(M+H)+、実測値:586.42。
(実施例40)
イソロイシンとツブバリン(O−アシル)−ツブフェニルアラニンアリルエステルジ−ペプチドとのアミドカップリングのための一般的手順
Fmoc−L−イソロイシン(4当量)を無水ジメチルホルムアミド(50mM)に溶解し、HATU(4当量)およびDIPEA(8当量)で予備活性化する。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸を一般式H−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルのジペプチドに加える。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターする。反応の進行が停止するか、または完了まで到達したら、氷酢酸(13当量)を加え、反応生成物を分取HPLCで精製する。次いで、窒素下、室温で撹拌しながら、Fmoc−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルトリ−ペプチドをジメチルホルムアミド中20%ピペリジン(20mM)で処理することによって、FMOC保護基を除去する。UPLC/MSでモニターされる場合に、完全な脱保護を達成したら、反応混合物を回転蒸発で濃縮した。次いで、一般式H−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの粗生成物を分取HPLCで精製することによって、遊離アミントリペプチドを得た。
スキーム14に示され、以下に列挙されている一般式FMOC−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの化合物140〜144を上記ペプチドカップリング手順に従い調製した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザテトラデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(140):UPLC−MS(システム1):tr=2.11min、m/z(ES+)計算値:879.44(M+H)+、実測値:879.60。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7−メチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザペンタデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(141):UPLC−MS(システム2):tr=1.94min、m/z(ES+)計算値:893.45(M+H)+、実測値:893.56。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7,14−ジメチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザペンタデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(143):UPLC−MS(システム2):tr=2.06min、m/z(ES+)計算値:907.47(M+H)+、実測値:907.58。
(2S,4R)−アリル4−(2−((5S,8R,10R)−5−((S)−sec−ブチル)−1−(9H−フルオレン−9−イル)−8−イソプロピル−7,14,14−トリメチル−3,6,12−トリオキソ−2,11−ジオキサ−4,7−ジアザペンタデカン−10−イル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(144):UPLC−MS(システム2):tr=2.50min、m/z(ES+)計算値:921.49(M+H)+、実測値:921.59
スキーム14に示され、以下に列挙されている一般式H−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの化合物145〜149を、それぞれ化合物140〜144からの上記FMOC脱保護手順に従い調製した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(145):UPLC−MS(システム1):tr=1.29min、m/z(ES+)計算値:657.37(M+H)+、実測値:658.04。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−(ブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(146):UPLC−MS(システム2):tr=1.24min、m/z(ES+)計算値:671.39(M+H)+、実測値:671.48。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(147):UPLC−MS(システム1):tr=1.33min、m/z(ES+)計算値:671.39(M+H)+、実測値:671.33
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(148):UPLC−MS(システム2):tr=1.31min、m/z(ES+)計算値:685.40(M+H)+、実測値:685.49。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−アミノ−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(149):UPLC−MS(システム2):tr=1.30min、m/z(ES+)計算値:699.42(M+H)+、実測値:699.51。
FMOC−Ileを他の脂肪族アミノ酸(例えば、FMOC−Leu)または脂肪族アミン含有酸で置き換えることによって、ツブバリン−(O−アシル)構成成分を組み込んでいる他のトリペプチドを同様に調製する。
(実施例41)
チューブリシンN末端構成成分の導入のための、イソロイシン−ツブバリン(O−O−アシル)−ツブフェニルアラニンアリルエステルトリペプチドと第3級アミン含有酸とのアミドカップリングのための一般的手順。
(R)−N−メチル−ピペコリン酸(D−Mep)60(2当量)を、無水ジメチルホルムアミド(20〜25mM)に溶解し、HATU(2当量)およびDIPEA(4当量)で予備活性化する。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌する。次いで、活性化した酸を一般式H−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルを有する実施例40のトリペプチドに加える。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。反応が完了したら、氷酢酸(14当量)を加え、一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルのテトラペプチド生成物を分取HPLCで精製した。次いで、パラジウムテトラキス−(トリフェニルホスフィン)(0.1当量)、トリフェニルホスフィン(0.2当量)、および無水ピロリジン(8当量)で処理した、無水ジクロロメタン(20mM)中にアリルエステル保護されたチューブリシンテトラペプチド(150〜154)を溶解することによって、ツブバリンアシル部分を損失せずにアリル保護基を除去し、反応物を窒素下、周囲温度で撹拌する。UPLC/MSにより生成物の遊離酸への変換が明らかとなったら、反応を氷酢酸(22当量)でクエンチし、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドで希釈し、次いで回転蒸発で濃縮する。次いで、一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの粗製のチューブリシン化合物を分取HPLCで精製する。
スキーム14に示され、以下に列挙される一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−O−アリルの化合物150〜154を、上記ペプチドカップリング手順に従いそれぞれ化合物145〜149から調製した。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(150):UPLC−MS(システム1):tr=1.33min、m/z(ES+)計算値:782.45(M+H)+、実測値:781.82。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−1−(ブチリルオキシ)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(151):UPLC−MS(システム2):tr=1.31min、m/z(ES+)計算値:796.47(M+H)+、実測値:796.57。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(152):UPLC−MS(システム1):tr=1.37min、m/z(ES+)計算値:796.47(M+H)+、実測値:795.78。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(153):UPLC−MS(システム2):tr=1.35min、m/z(ES+)計算値:810.49(M+H)+、実測値:810.59。
(2S,4R)−アリル4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノエート(154):UPLC−MS(システム2):tr=1.38min、m/z(ES+)計算値:824.50(M+H)+、実測値:824.60。
スキーム14に示され、以下に列挙される一般式D−Mep−Ile−Tuv(O−アシル)−Tup−OHの化合物155〜159を、上記アリル脱保護手順に従いそれぞれ化合物150〜154から調製した。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−(プロピオニルオキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(155):UPLC−MS(システム2):tr=1.11min、m/z(ES+)計算値:742.42(M+H)+、実測値:742.51。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−1−(ブチリルオキシ)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(156):UPLC−MS(システム2):tr=1.16min、m/z(ES+)計算値:756.44(M+H)+、実測値:756.54。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−(イソブチリルオキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(157):UPLC−MS(システム1):tr=1.23min、m/z(ES+)計算値:756.44(M+H)+、実測値:756.82。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチル−1−((3−メチルブタノイル)オキシ)ペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(158):UPLC−MS(システム2):tr=1.22min、m/z(ES+)計算値:770.45(M+H)+、実測値:770.55。
(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−((3,3−ジメチルブタノイル)オキシ)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(159):UPLC−MS(システム2):tr=1.23min、m/z(ES+)計算値:784.47(M+H)+、実測値:784.57。
実施例27に示されているように、実施例39のツブフェニルアラニン部分(化合物40)を置き換えているアミノ酸もしくはアミン含有酸投入物、および/または実施例40のFMOC−アミノ酸投入物(FMOC−Ile)において変化形(S)を有するものを含む追加のチューブリシンO−アシル化合物が、D−Mepを他のN−アルキル化ピペコリン酸投入物またはN−アルキル化アゼチジニル−2−カルボン酸、N−アルキル化−D−プロリンもしくはN,N−ジアルキルアミノ酸、例えばN,N−ジメチルグリシンなどで置き換えることによって調製される。
(実施例42)
ストレッチャー単位へのN末端結合を有する切断不可能なチューブリシン薬物単位を有する薬物−リンカー化合物の調製。
一般式M1−A−D(式中、M1はマレイミド部分であり、Aはストレッチャー単位であり、Dは、M1−Aリンカー単位前駆体へのN末端結合を有するチューブリシンである)の薬物−リンカー化合物をスキーム15に示されているように調製した。そのスキームにおいて、化合物172は薬物−リンカー化合物を例示し、その調製は以下に記載されており、薬物単位はデスメチル−チューブリシンM(O−CH3)(170)であり、ツブバリン構成成分のO連結アセテート置換基は−OCH3で置き換えられている。その薬物−リンカー化合物は、遊離薬物の放出に耐性がある標的化部分由来のチオール官能基を介したリガンド単位への結合を介してリガンド薬物コンジュゲート(LDC)を提供する。化合物172および抗体標的化部分由来のLDCに関して、放出される活性のある部分は、典型的には一般的構造Cys−M2−A−D(式中、M2は、M1−A−D薬物−リンカー化合物のマレイミド部分へのシステインチオールのマイケル付加から生成されるスクシンイミド部分である)で表される。このようなLDCから最終的に放出される活性のある部分は、D−Mep部分のメチル置換基がチオール置換アルキル部分で置き換えられているチューブリシンM(O−エーテル)であると考えることができる。
デス−メチル−Tub(OMe)−O−アリル:(R)−N−BOC−ピペコリン酸60(6mg、24μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.46ml、25mM)に溶解し、HATU(9mg、24μmol)およびDIPEA(9μl、48μmol)で予備活性化した。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。次いで、活性化した酸を実施例28のH−Ile−Tuv(OMe)−Tup−O−アリルトリペプチド57(10mg、12μmol)に加えた。反応物を窒素下、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。次いで、反応を酢酸でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、12mg(定量的収量)の(R)−tert−ブチル2−(((2S,3S)−1−(((1R,3R)−1−(4−(((2R,4S)−5−(アリルオキシ)−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−1−メトキシ−4−メチルペンタン−3−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソペンタン−2−イル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(168)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.99min、m/z(ES+)計算値:847.47(M+Na)+、実測値:847.87。
脱保護:BOC−Tub(OMe)−Oアリル(168、12mg、15μmol)を、N2下で撹拌しながらDCM(0.75ml)中に溶解させた。Pd(PPh3)4(1.7mg、1.5μmol)およびPPh3(0.8mg、3μmol)を固体として加え、続いてピロリジン(11μl、120μmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、次いでDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、9mg(76%)の(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−((R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボキサミド)−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(169)を得た:分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.80min、m/z(ES+)計算値:786.45(M+H)+、実測値:786.67
N末端脱保護:BOC−TubOMe−OH(169、9mg、11μmol)を充填したフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.5mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、63%の(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−ピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(170)を得た(5mg)。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.15min、m/z(ES+)計算値:686.40(M+H)+、実測値:685.59。
Lb’−A−カップリング:マレイミドカプロン酸171(2mg、9.5μmol)を無水ジメチルホルムアミド(0.5ml、20mM)に溶解し、HATU(2.3mg、6μmol)およびDIPEA(5μl、29μmol)で予備活性化した。混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。次いで、活性化した酸をチューブリシンメチルエーテル170(5mg、7.3μmol)に加えた。反応物を窒素下で、室温で撹拌し、UPLC/MSでモニターした。次いで、反応を酢酸でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、7mg(定量的収量)の(2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−3−((2S,3S)−2−((R)−1−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル)ピペリジン−2−カルボキサミド)−N,3−ジメチルペンタンアミド)−1−メトキシ−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタン酸(172)を得た。分析用UPLC−MS(システム1):tr=1.60min、m/z(ES+)計算値:879.47(M+H)+、実測値:879.11。
本明細書に記載されているような第4級アミンコンジュゲートは、第3級アミン含有N末端構成成分の窒素原子がアルキル部分で直接置換されている(すなわち、窒素−炭素結合を介して)、第3級アミン含有N末端構成成分を有するチューブリシンを条件付きで放出する。対照的に、薬物−リンカー化合物172から調製したリガンド薬物コンジュゲートから、条件に依らずに放出される活性薬物部分は、アミド官能基を介してアルキレンへと置換されている第2級アミンを含有するN末端構成成分を有する。
(実施例43)
グルクロニド単位を組み込んでいる4級化ドラスタチン10を有する薬物−リンカー化合物の調製。
4級化:耐圧容器に、無水2−ブタノン(1.0mL)中の、実施例1の臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(62mg、76μmol)およびドラスタチン10(173、45mg、51μmol)を充填した。反応容器をN2でフラッシュし、密閉した。次いで、反応物を撹拌し、12時間80℃に加熱した。得られた混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、さらに精製せずに持ち越すことによって、(S)−N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(174)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.42min、m/z(ES+)計算値:1515.74(M)+、実測値:1515.91。
グリコシド脱保護:フラスコに、THF(0.42mL)およびMeOH(0.42mL)中のFMOC−GlucQ−D10(174、39mg、26μmol)を充填した。この溶液をN2下で撹拌し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(8.6mg、206μmol)をH2O(0.42mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(12μL、206μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、7mg(24%)の(S)−N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(175)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.90min、m/z(ES+)計算値:1153.62(M)+、実測値:1153.78。
LSS(mDPR)カップリング:フラスコに、無水DMF(0.62mL)中H−GlucQ−D10(175、7.0mg、6.0μmol)を充填した。mDPR(BOC)−OSu(6、2.3mg、6.1μmol)をN2下で加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.2μL、24μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(4.2μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、5.5mg(64%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(176)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.18min、m/z(ES+)計算値:1419.71(M)+、実測値:1419.87。
LSS(mDPR)脱保護:mDPR(BOC)−GlucQ−D10(176、5.5mg、3.9μmol)を含有するフラスコを、N2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.39mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、5.1mg(99%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(177)を得た。分析用UPLC−MS:tr=0.95min、m/z(ES+)計算値:1319.66(M)+、実測値:1319.81。
(実施例44)
グルクロニド単位へのカルバメート結合を有するドラスタチン10を有する薬物−リンカー化合物の調製
カルバメート薬物単位の結合:フラスコに、無水DMF(0.96mL)中のFMOC−Gluc−PNP(Bioconjugate Chem.、2006年、17巻、831〜840頁)(178、60mg、66μmol)およびモノメチルドラスタチン10(179、46mg、60μmol)を充填し、これにピリジン(0.24mL)を加え、続いてHOBt(3.2mg、24μmol)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製することによって、54mg(59%)の(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−0プロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)−ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)−フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(180)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.65min、m/z(ES+)計算値:1545.71(M+H)+、実測値:1545.98。
グリコシド脱保護:フラスコにTHF(0.78mL)およびMeOH(0.78mL)中のFmoc−Gluc−MMD10(180、54mg、35μmol)を充填した。この溶液をN2下で撹拌し、0℃に冷却した。LiOH・H2O(12mg、278μmol)をH2O(0.78mL)中で可溶化し、次いで滴下添加した。反応物を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、反応を酢酸(17μL、278μmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を最小量のDMSO中に溶解させ、分取HPLCで精製することによって、9.6mg(23%)の(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(181)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.13min、m/z(ES+)計算値:1183.60(M+H)+、実測値:1183.70。
グルクロニド−薬物単位カップリング:フラスコに無水DMF(0.81mL)中H−Gluc−MMD10(181、9.6mg、8.1μmol)を充填した。mDPR(Boc)−OSu(6、3.4mg、8.9μmol)をN2下で加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.7μL、32μmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで反応物を酢酸(5.7μL)でクエンチし、分取HPLCで精製することによって、5.2mg(44%)の(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(182)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.40min、m/z(ES+)計算値:1449.69(M+H)+、実測値:1449.80。
脱保護:mDPR(Boc)−Gluc−MMD10(182、5.6mg、3.9μmol)を含有するフラスコをN2下で0℃に冷却した。CH2Cl2中10%のTFAの溶液(0.39mL)を滴下添加し、4時間撹拌した。次いで、反応物をDMSO中に溶解させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCで精製することによって、5.2mg(99%)の(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((5S,8S,11S,12R)−11−((S)−sec−ブチル)−5,8−ジイソプロピル−12−(2−((S)−2−((1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−(((S)−2−フェニル−1−(チアゾール−2−イル)エチル)アミノ)プロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−4,10−ジメチル−3,6,9−トリオキソ−2,13−ジオキサ−4,7,10−トリアザテトラデシル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(183)を得た。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.13min、m/z(ES+)計算値:1349.64(M+H)+、実測値:1349.75。
実施例44のためのスキーム17は、カルバメート結合した薬物単位を有する薬物−リンカー化合物を調製するための例示的な反応順序を表している。非4級化薬物単位を含有するこのようなカルバメート薬物−リンカー化合物から入手可能なリガンド薬物コンジュゲートを4級化された形と比較することができ、必要とされる4級化薬物リンカー化合物のその合成は、スキーム16の一般化により提供される。カルバメート薬物−リンカー化合物への適応のため、アルキル置換基は、薬物単位としてのその結合がその官能基の窒素を介してなされるべきである場合、第3級アミン含有薬物の第3級アミン官能基から除去しなければならない。薬物単位にその修飾を有するリガンド薬物コンジュゲートからの遊離薬物の放出は、修飾した薬物を放出することになり、これは、望ましくない可能性がある親薬物と比較して、異なる特性を有することが予想される。
(実施例45)
グルクロニド単位を組み込んだ4級化アウリスタチンFを有する薬物−リンカー化合物の調製
アウリスタチンF C末端の保護:丸底フラスコに、アウリスタチンF184(150mg、201μmol)を充填し、アリルアルコール(10mL)に溶解した。反応物を0℃に冷却し、アリルピロカーボネート(149mg、804μmol)を加え、続いてDMAP(7.3mg、60μmol)を加えた。この反応は、CO2を激しく排出し、15min後に遅くなった。室温で2時間撹拌後、反応物をUPLCで分析し、>90%変換を示した。反応物を真空中で濃縮し、粗原料をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜25%MeOH)で精製した。画分を濃縮乾固することによって、111mg(71%)の(S)−アリル2−((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−2−((S)−2−(ジメチルアミノ)−3−メチルブタンアミド)−N,3−ジメチルブタンアミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパンアミド)−3−フェニルプロパノエート(185)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.1min、m/z(ES+)計算値:786.54(M+H)+、実測値:786.72。
4級化:AF−Oアリル185(111mg、141μmol)を含有する20mLのフラスコに、臭素化ストレッチャー−グルクロニド単位中間体2(160mg、197μmol)および乾燥DMF(5mL)を加えた。溶液を65℃で16時間撹拌し、UPLCによれば、この反応は完了した。反応物を乾燥させ、DMSO中に溶解させ、HPLCで精製した。生成物画分を濃縮乾固させて、85mg(40%)の(S)−N−(3−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−(アリルオキシ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(186)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.45min、m/z(ES+)計算値:1516.77(M)+、実測値:1517.03。
グリコシドの脱保護:保護されたGlucQ−AF−Oアリル186(85mg、56μmol)を含有する20mLのバイアルに、THF(4mL)およびMeOH(4mL)を加えた。反応物を0℃に冷却し、LiOH溶液(水中18mg/mL)を一度に加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、UPLCによれば反応は完了した。溶媒を真空中で除去し、残渣をDMSO/H2O(1:1)中に溶解させた。HPLC prepに続く凍結乾燥により、42mg(62%)の(S)−N−(3−(3−アミノプロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(187)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.88min、m/z(ES+)計算値:1114.63(M)+、実測値:1114.83。
LSS(mDPR)カップリング:3mLのバイアルに、NH2−GluQ−AF187(42mg、39μmol)および乾燥DMF(1.6mL)を充填した。溶液を撹拌し、mDPR−(Boc)−OPfp68(19mg、42μmol)を加えた。反応物を室温で5分間撹拌し、次いでDIPEA(13μL、77μmol)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、UPLCによれば反応は完了した。粗原料のHPLC prepに続く凍結乾燥により、13mg(24%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(188)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=1.12min、m/z(ES+)計算値:1380.72(M)+、実測値:1380.87。
LSS(mDPR)−AO−Y(W)−D+の脱保護:Boc−mDPR−GlucQ−AF(13mg、9μmol)を含有する20mLのバイアルを0℃に冷却し、DCM中20%のTFAの溶液(1.0mL)を加えた。反応物を室温までゆっくりと温め、4時間撹拌すると、UPLCによれば反応は完了した。DMSO/H2O中0.1%TFAを反応物に加え、次いでHPLCで精製することによって、1.5mg(33%)の(S)−N−(3−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−6−カルボキシ−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−N,N,3−トリメチル−1−オキソブタン−2−アミニウム(189)を生成した。分析用UPLC−MS(システム2):tr=0.86min、m/z(ES+)計算値:1280.67(M)+、実測値:1280.80。
実施例45のためのスキーム18および実施例43のためのスキーム16は、スキーム1と共に、一般式Lb’−AO−Y(W)−D+、さらに具体的にはM1−A1−AO−Y(W)−D+(式中、D+は4級化アウリスタチン(すなわち、それぞれドラスタチン10、アウリスタチンE、またはアウリスタチンFである)である)の薬物−リンカー化合物を調製するための代表的経路を提供する。その一般式の他の薬物−リンカー化合物は、特にN末端アミノ酸構成成分の官能基として存在する場合、第3級アミン官能基を有する追加のアウリスタチン化合物を用いて調製する。
(実施例46)
ストレッチャー単位へのC末端結合を有する条件付きで放出可能なチューブリシン薬物単位を有する薬物−リンカー化合物の調製。
チューブリシンM−ヒドラジドを遊離薬物(190)として合成し、スキーム24に示されているようなVal−Cit−PAB−PNP活性化した薬物−リンカー化合物中間体(192)にカップリングした。手短に述べると、ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドでの活性化を介して、チューブリシンM(26)を第3級ブチルカルバゼートにカップリングした。ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸を用いて、標準的条件下で、カップリングした生成物をBOC脱保護して、遊離薬物、チューブリシンM−ヒドラジド(1R,3R)−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−1−(4−(((2R,4S)−5−ヒドラジニル−4−メチル−5−オキソ−1−フェニルペンタン−2−イル)カルバモイル)チアゾール−2−イル)−4−メチルペンチルアセテート(190)を生成した。一般式M1−A−W−Y−D(式中、M1はマレイミド部分であり、Aはスペーサー単位としてのアルキレンであり、Wは−W2−W1−であり、W1はシトルリンであり、W2はバリンであり、Yは、ヒドラジド官能基を介してチューブリシン薬物単位に結合している自壊性スペーサー単位としてのPAB部分である)の切断可能なMC−Val−Cit−PABN−D薬物−リンカー化合物を、ヒドラジド窒素と、PNPで活性化した薬物−リンカー化合物中間体4−((S)−2−((S)−2−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル(4−ニトロフェニル)カーボネート(191)とを、ジイソプロピルエチルアミン、ヒドロキシベンゾトリアゾール、および共溶媒としてのピリジンの存在下で、反応させることによって調製し、薬物−リンカー化合物4−((S)−2−((S)−2−(6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサンアミド)−3−メチルブタンアミド)−5−ウレイドペンタンアミド)ベンジル2−((2S,4R)−4−(2−((1R,3R)−1−アセトキシ−3−((2S,3S)−N,3−ジメチル−2−((R)−1−メチルピペリジン−2−カルボキサミド)ペンタンアミド)−4−メチルペンチル)チアゾール−4−カルボキサミド)−2−メチル−5−フェニルペンタノイル)ヒドラジンカルボキシレート(192)を、チューブリシンM−ヒドラジド(190)から33%収率で生成した。
薬物−リンカー化合物192から調製したリガンド薬物コンジュゲートの条件付きタンパク質分解は、C末端の残基がそのヒドラジドとして修飾されたままである活性薬物部分として化合物190を放出する。本明細書に記載されているような第4級アミンコンジュゲートは、これらのC末端に遊離カルボン酸官能基を有するチューブリシンを放出する。
(実施例47)
4級化Tub(O−アシル)薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのツブバリン(O−アシル)構成成分の脱アシル化の評価。
2.5μmポリプロピレン96ウェル濾過プレート内で、1mlのPBSを各ウェルに加えた。mAbSelect(商標)タンパク質A樹脂の200μlスラリーを各ウェルに適用し、水性の構成成分を真空除去した。各解凍した血漿試料の20μlのアリコートを樹脂に適用し、4℃で1時間混合した。フロースルーを遠心分離(500g、3分間)によりプレート内に収集し、別の遠心分離を介して、樹脂を200μl[2X]パパイン緩衝剤(40mM KPO4、20mM EDTA、pH7)で洗浄した。
パパイン酵素を、[1X]パパイン緩衝剤(20mM KPO4、10mM EDTA、2mM システイン、pH7)中に2.5mg/mlで溶解し、37℃で15分間インキュベートした。パパインの200μlのアリコートを、樹脂を含む各ウェルに加えた。プレートを密閉し、37℃で2時間インキュベートした。遠心分離(500g、3分間)を介してフロースルーを回収した。樹脂を100μl[1X]パパイン緩衝剤で洗浄し、フロースルーと合わせた。試料をエッペンドルフ管に移し、1000μlの氷冷したMeOHを各管に加え、氷上で15分間インキュベートした。16,000gで5分間、4℃で遠心分離することにより試料を沈殿させ、上清を96ウェルプレートに移した。
各薬物に対して1〜10,000nMの範囲の8ポイント標準曲線を50%MeOH中で調製した。各標準物質の20μLのアリコートを、試料も含有した96ウェルプレートに加えた。300μLアリコートの20mM KPO4、10mM EDTA、2mMシステイン(1Xパパイン緩衝剤)および1000μLのMeOHを各標準ウェルに加えた。プレートを窒素下で蒸発乾燥させた。
プレートを、70μlの20%アセトニトリル+0.1%ギ酸で再構成し、50μLのアリコートを、Quattro Premier三重四重極質量分析計に接続したWaters Acquity LCへ注入した。この質量分析器は、親イオンのMS/MS断片イオンへの転移を測定し、試料および標準物質中の各分析物に対するピーク面積をもたらす。標準ピーク面積を、薬物濃度の関数としてプロットし、試料から測定したピーク面積を、標準曲線により決定された線の方程式を使用して定量した。
(実施例47)
D+部分として4級化チューブリシンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性。
8個のD+単位(D+は4級化チューブリシンMである)を有するLDCを主に含有する、リンパ腫細胞を標的とするLDC組成物を、スキーム5の薬物リンカー化合物30およびモノクローナル抗体cAC10から得た。この主体となるLDCは以下の構造で表される
(式中、AbはcAC10であり、p’は8であり、Sは抗体システイン残基の硫黄原子である)。モノクローナル抗体標的化CD30抗体リガンド単位、ジペプチド切断可能単位および4級化チューブリシンMで構成されるそのLDCの、CD30+リンパ腫細胞株の一団に対する細胞毒性を、cAC10抗体がCD33を標的とする対照抗体(h2H12)で置き換えられている対照コンジュゲートと比較した。cAC10−D+コンジュゲートの細胞毒性は、CD30+細胞へのその細胞内在化、および遊離のチューブリシンMを放出するための、LDCの切断可能単位であるVal−Alaジペプチドのタンパク質分解の切断後に起こる。細胞増殖阻害についてのIC50がng/mLの単位で提供されている表2において、その比較の結果が提供されている。
とりわけ、KM−2、L428、L540cy−BVRおよびDel/BYRは多剤耐性細胞株である。チューブリシンMのMep残基由来のメチル置換基が除去され、生成した第2級アミンが、カルバメートを介して、PAB自壊性部分(バリン−シトルリン(vc)切断可能単位のカテプシン切断により活性化される)に連結されているLDC組成物が調製された。実施例53に記載されているような薬物リンカー化合物172から調製されたそのLDC組成物は、不活性であることが判明し、これは、チューブリシンの細胞毒性活性のための第3級アミンファルマコフォアの重要性を裏付けるものである。
Tup/Tut残基内のカルボン酸部分もまた、コンジュゲーションの代替の部位が使用される場合、修飾に対して不耐性であることが判明した。したがって、そのカルボン酸がヒドラジドに変換して、そのTup残基を介して同じPAB自壊性部分にチューブリシンMを結合(また、カルバメート官能基を介した)させたら、薬物リンカー化合物MC−Val−Cit−PABC−NHNH−Tub M(表3ではvcPABN(ヒドラジド)と略記)から調製したコンジュゲートは、4級化薬物リンカー化合物MC−Val−Ala−PAB4−TubM(vaPAB4と略記)から調製したコンジュゲートと比較して、有意な活性を失ったことが判明した。その結果は、チューブリシンMの細胞毒性のための遊離カルボン酸の重要性を裏付けており(放出された薬物が、その位置でヒドラジドとして修飾されているので)、CD71抗原を標的とするcOKT9コンジュゲートに関して表3に要約されている。表3では、遊離チューブリシンMを放出するcOKT9−vaPAB4(主体となる8の付加数を有する)は、表2のcAC10コンジュゲート(cAC10標的化部分は、置き換えられたcOKT9である)に構造において対応している。表3の6.7のDARを有するcOKT9−vcPABN(ヒドラジド)は、チューブリシンMに対応するカルバメート連結チューブリシン構造体であり、放出されたチューブリシンは、上に記載されているようにTup残基において修飾されている。両方の組成物中の突出したLDCは、1つの抗体当たり結合した8個の薬物(または8個の4級化薬物単位)を有する。
括弧内の値は、用量−応答曲線の底部に残っている生存細胞のパーセンテージを示す。試験したHT−116、L−427、KH−H2、L540cy、MM.1RおよびHL60cy細胞株に対するCD71のコピー数はそれぞれ5K、35K、121K、33K、32Kおよび228Kである。薬物リンカー部分MC−Val−Cit−PABN−TubM(192)を有するcOKT9−ヒドラジドADCを、薬物リンカー化合物MC−Val−Ala−PAB4−TubM(30)から調製したcOKT9 ADCと比較している表3の結果は、実施例64により裏付けられる。
表2および表3の結果は、チューブリシンが、4級化薬物単位としてこのような構造体に組み込まれる場合、強力かつ免疫学的に特異的なリガンド薬物コンジュゲートが得られること、およびこのようなコンジュゲートが多耐性細胞株に対して活性であることを示している。さらに、驚くことに、このコンジュゲートが標的とするCD30+細胞と、CD30抗原を発現しない細胞とを共培養した場合、化合物30から得た4級化コンジュゲートが、CD30抗原を発現しない細胞を死滅させる能力を有することが判明した。したがって、LDC組成物は、L540cy:U268Luc+細胞の共培養物に対して6ng/mLのIC50を示し、0%の生存細胞が用量−応答曲線の底部に残っていた。L540cyはCD30+であり、U266はCD30−である。
(実施例48)
D+部分として4級化アウリスタチンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性
CD30を標的とするモノクローナル抗体cAC10、および4級化アウリスタチンEで構成されるLDCの、CD30+リンパ腫細胞株の一団に対する細胞毒性を、cAC10抗体がCD19を標的とする対照抗体(hBU12)で置き換えられている対照コンジュゲートと比較した。検出可能なCD30+抗原を有さないが、C19抗原を有する対照細胞も使用する。cAC10−D+コンジュゲートの細胞毒性は、CD30+細胞へのその細胞内在化、および遊離アウリスタチンEを放出するための、表4においてvcPAB4−AEと指定されたコンジュゲートに対するLDCの切断可能単位であるVal−Citジペプチドのカテプシン切断、またはgluc4−AEと指定されたcAC10コンジュゲートに対する切断可能単位の切断部位である炭水化物グリコシド結合のグルクロニダーゼ切断後に起こる。同様に、細胞毒性は、類似のhBU12コンジュゲートが関連する抗原の十分なコピー数を有するCD19+細胞内へと内在化する場合、これらのコンジュゲートに対して起こる。それらの比較の結果は表4に提供されており、この中で、細胞増殖阻害についてのIC50が、ng/mLの単位で提供されている。
表4においてvcPAB4−AEと指定されたLDC組成物は、スキーム2の化合物14およびCD30+リンパ腫細胞を標的とするモノクローナル抗体cAC10、またはC19+細胞を標的とするモノクローナル抗体hBU12から得られた。この組成物は、8個のD+単位(D+は4級化アウリスタチンEである)を有するLDCを主に含有する。スクシンイミド環系の制御された加水分解後、その主体となるLDCは、以下の構造で表される:
(式中、cAC10またはhBU12のAb−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβと結合している)。上記構造において示されたM3−Aは、切断可能単位としての機能を果たすVal−Citジペプチドに結合している自己安定化(LS)リンカー部分を表す。
表4においてgluc4−AEと指定されたLDC組成物は、スキーム1の化合物8、およびCD30+リンパ腫細胞を標的とするモノクローナル抗体cAC10、およびC19+細胞を標的とするモノクローナル抗体hBU12から得た(D+は4級化アウリスタチンEである)。スクシンイミド環系の制御された加水分解後、この組成物の主体となるLDCは、以下の構造で表される:
(式中、cAC10またはhBU12のAb−S−部分は、M3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合している)。上記構造に示されたM3−A1は、AのAoサブユニットに結合している、自己安定化(LS)リンカー部分を表す。
vcPAB4−AEとgluc4−AE組成物の両方は、1つの抗体当たり8個のD+単位を有する(すなわち、p’は8である)LDCを主に含有する。
Karpas299は、CD30+(コピー数238K)であり、低量のCD19を有し(コピー数10K)、L−428はCD30+(コピー数77K)であり、検出可能なC19抗原を有さず、L540cyは、CD30+(コピー数433K)であり、低量のCD19を有する(コピー数23K)。他方では、RamosおよびRLは、検出可能なCD30を有さず、異なるレベルのCD19を有する(それぞれ、32K対18K)。括弧内の値は、用量−応答曲線の底部に残っている生存細胞のパーセンテージを示している。
表4の結果は、第3級アミン含有アウリスタチンが、4級化薬物単位としてこのような構造体内に組み込まれる場合、強力かつ免疫学的に特異的なLDCが得られることを示している。
(実施例49)
遊離薬物としてのチューブリシン(O−エーテル)化合物のin vitroでの細胞毒性。
本方法に記載されているように、細胞を、一般式Tub(O−Et)−OHのチューブリシンエーテル遊離酸化合物(64〜66)で96時間処理し、またはチューブリシンM(26)で処理し、次いで、生存率について評価した。結果は表5において要約され、IC50値がnM濃度の単位で与えられている。
4種すべての試験品は、試験したすべての細胞株に対して極めて強力であった。チューブリシンエチルエーテル化合物Tub(OEt)(62)は、メチル(61)およびプロピル(63)類似体よりもさらに強力な傾向を示した。エチルエーテルおよびチューブリシンM化合物は、MDR+ L428およびHL60/RV細胞株との関連で最大レベルの効力を維持した。
(実施例50)
遊離薬物としてのチューブリシン(O−アシル)化合物のin vitroでの細胞毒性。
本方法に記載されているように、細胞をチューブリシンエステル155〜159(すなわち、Tub(O−エステル)−OH)またはチューブリシンM(26)で96時間処理し、次いで、生存率について評価した。結果は表6において要約され、IC50値がnM濃度で与えられている。チューブリシンエステル155〜158は、チューブリシンMと同等の性能を発揮し、細胞株全体で同様の効力があった。最も立体障害のあるチューブリシンO−アシル化合物(159)はチューブリシンMと比べて、有意に損なわれた効力を示し、チューブリシンMと比べて5〜47倍の範囲の効力損失があった。
(実施例51)
CD30+リンパ腫細胞を標的とする4級化チューブリシン(O−エーテル)薬物単位を有する他のリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性
4級化チューブリシンエーテル(すなわち、Tub(O−エーテル化合物)を保持する抗CD30リガンド薬物コンジュゲートを、それぞれが8個の4級化薬物単位/抗体リガンド単位を有し、そして条件付きグルクロニダーゼリンカー単位を有する、対応するチューブリシンMコンジュゲートと比較した。細胞を、cAC10(抗CD30)コンジュゲートで96時間処理し、次いで生存率について評価した。ng/mL濃度の単位で与えられたIC50が表7に示されている。チューブリシンエチルエーテル薬物リンカー79から調製したコンジュゲートは、メチル(78)またはプロピル(80)類似体よりも常にさらに強力であった。L428を除いて、チューブリシンエチルエーテル薬物−リンカー79から調製したコンジュゲートは、チューブリシンM薬物薬物−リンカー104から調製したものと同様の性能を発揮した。すべてのLDCは、CD30陰性のRamos NHL細胞株に対して不活性であり(1000ng/mlにおいて作用なし)、高度の免疫学的特異性を示した。
(実施例52)
CD30+リンパ腫細胞またはCD33+白血病細胞を標的とする4級化チューブリシンM薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性。
チューブリシン第4級アミン薬物リンカー化合物MC−Val−Ala−PAB4−TubM(30)を、それぞれ抗CD30および抗CD33抗体であるキメラのAC10およびヒト化2H12に、抗体1つ当たり8個の4級化薬物単位でコンジュゲートさせた。これらのコンジュゲートを、CD30陽性およびCD33陽性のリンパ腫および急性骨髄性白血病(AML)細胞株の一団についてそれぞれ試験した。CD30陽性細胞株についての結果(単位:ng/mL)が表8に示されている。CD30結合コンジュゲートであるcAC10−30は、すべての細胞株全体にわたり極めて強力であったのに対して、非結合の対照h2H12−30は、この状況において不活性であり、IC50>1000ng/mlであった。
CD33を発現するAML細胞株の一団に対する結果が表9に示されている。CD33結合コンジュゲートであるh2H12−30は、すべての細胞株全体にわたり強力であり、IC50は0.9〜18ng/mlの範囲であった。このコンジュゲートはCD33陰性のL540cyに対して不活性であったことから、このADCに対する高度の免疫学的特異性を示している。
(実施例53)
異なるリンカー単位疎水性を有する4級化チューブリシンM薬物単位を有する、CD30+リンパ腫細胞を標的とするリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性。
4級化チューブリシンMを有するいくつかの親水性リンカー薬物リンカー化合物を調製し、それから由来する、CD30+細胞を標的とするリガンド薬物コンジュゲートを8個の薬物単位/cAC10抗体リガンド単位で、in vitroで評価した。結果は表10に示されている(IC50値はng/mLの単位で与えられている)。データは、遊離チューブリシンMのカテプシン条件付き放出を提供する薬物リンカー113から調製した、より親水性の−Val−Glu−ジペプチドを介して連結しているチューブリシンMを有するコンジュゲート、および遊離チューブリシンMの条件付きグルクロニダーゼ放出を提供する親水性グルクロニド単位を組み込んでいる薬物リンカー104から調製したコンジュゲートは、カテプシン条件付き遊離薬物の放出のための薬物−リンカー32から調製した−Val−Ala−対照コンジュゲートと等しい効力を有することを示している。すべてのコンジュゲートは、高度の免疫学的特異性を示し、抗原陰性のHep3B肝細胞癌細胞に対してIC50>1000ng/mlであった。
(実施例54)
チューブリシン由来の化合物のN末端構成成分を介してリンカー単位に結合している非4級化薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vitroでの細胞毒性
本発明以前には、アミン窒素が結合点として使用されることになっている第3級アミン含有薬物へコンジュゲートすることは、この第3級アミンからのアルキル置換基の除去を必要とした。こうして得た第2級アミンは、リンカー単位構成成分で再アルキル化して完全に異なる第3級アミン官能基を提供すること、またはアシル化して第2級アミド官能基を提供することのいずれかを可能にする。両方の手法とも、元の親薬物の放出は不必要である。さらに、放出される活性薬物部分は、親薬物と比較して生物学的活性が損なわれている可能性のある異なる第3級アミン含有化合物もしくはアミド含有化合物であるか、または放出動態が乏しく、そして/もしくは生物学的活性が損なわれている可能性のある第2級アミンである。非4級化薬物単位に対する結合点を得るためにチューブリシンの第3級アミンからアルキル置換基を除去する戦略を適用する効果を判定するため、デス−メチル−チューブリシンMおよびデス−メチル−Tub(OCH3)−OH(170)を、WO2013/085925および実施例42(スキーム15を参照されたい)の手順にそれぞれ従い調製した。化合物170は、デス−メチルチューブリシンMのツブバリン構成成分のアセテートO連結置換基を、O連結エーテル部分−OCH3で置き換えることによりデス−メチル−チューブリシンMと類似するものである。次いで、一般式M1−A−(MCと略記する)(式中、M1はマレイミド部分であり、ストレッチャー単位Aはアルキレンである)を有するリンカー単位を、アミド官能基を介してデス−メチル−チューブリシンMおよびデス−メチル−Tub(OCH3)−OHに結合させて、薬物−リンカー化合物166および172をそれぞれ得る。リガンド薬物コンジュゲートに組み込まれる場合、それら2つの化合物の薬物リンカー部分は、リンカー単位部分を保持する(すなわち、アミド含有化合物である)か、またはアミド結合の非特異的切断から生じるデス−メチルチューブリシンMもしくはデスメチル−Tub(OCH3)−OHとして第2級アミンを保持するかのいずれかである活性薬物部分を、条件に依らずに放出する。後者のタイプの放出は遅いことが予想されるので、化合物166および172などの薬物−リンカー化合物は、有効に切断不可能であると特徴付けられる。
抗CD30 cAC10コンジュゲートを、8個の薬物/mAbで、第2級アミン含有チューブリシンから得た薬物−リンカー化合物166および172から調製し、第3級アミン含有チューブリシンであるチューブリシンMおよびチューブリシン(OCH3)−OH(これらは、本発明の第4級アミン戦略を介してコンジュゲートされた)と比較した。結果は、表11(IC50値、単位:ng/mL)に示されているように、チューブリシン薬物単位の非第4級アミン結合を提供するために、第3級アミン含有化合物のN−脱アルキル化という戦略に依存する薬物−リンカー化合物166および172由来のcAC10抗体リガンド薬物コンジュゲートは、親薬物の第3級アミン官能基を保持する遊離薬物を放出する薬物−リンカー化合物104(4°TubM)および78(4°Tub(OCH3)−OH)から調製した第4級アミン連結比較対照物と比較して、リンパ腫細胞株に対して不活性であったことを示している。
(実施例55)
D+部分として4級化アウリスタチンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性。
L540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルを、cAC10を標的化部分として、およびvcPAB4−AEをリンカー−4級化薬物単位として有し、主体となる抗体リガンド薬物コンジュゲートが抗体1つ当たり4個のD+単位を有する(すなわち、p’は4である)表4の組成物を単回投与i.p.することで処置した。このコンジュゲートと、リンカー−薬物構造体がvcPABC−MMAEと指定されている別のcAC10コンジュゲートとの比較を行った(図1)。そのLDCでは、アウリスタチンE(AE)の第3級アミンのメチル置換基を除去することで、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)が得られ、次いでこれは、カルバメートを介したその第2級アミンを介して、同じバリン−シトルリン切断可能単位のカテプシン切断で活性化するPAB自壊性部分にコンジュゲートされている。その比較の結果が図1に示されている。その図の中で、cAC10−Cは、カルバメートcAC10−vcPAB−MMAEコンジュゲートであり、cAC10−14と指定されたcAC10−vcPAB4−AEは、4級化AEコンジュゲートであり、h00−Cはh00−vcPAB−MMAEを指し、h00−14はh00−vcPAB4−AEを指し、h00は、非標的化対照リガンド単位として使用される普遍的非結合抗体である。図1の結果は、CD30+ホジキンリンパ腫細胞を標的とし、遊離第3級アミン含有薬物(AE)を放出するcAC10 4級化AEコンジュゲートのin vitro細胞毒性は、in vivoで、用量依存性形式で変換され、対応する第2級アミン含有薬物(MMAE)が放出されるコンジュゲートよりも優れていることを実証している。L540cy細胞に存在しない(モノクローナルAbはh00である)抗原を標的とする対応するコンジュゲートの投与からの結果は、擬似の処置と同様である。とりわけ、試験したより高い用量(2mg/Kg)において、vcPAB4−AE抗体リガンド薬物コンジュゲートは、腫瘍の完全な除去を引き起こし、実験の残りの期間中にリバウンドは生じなかった。
4級化AE薬物単位およびグルクロニダーゼによる条件付きアウリスタチン薬物放出のためのグルクロニド単位を組み込んだCD30を標的とした抗体リガンド薬物コンジュゲートと、非4級化MMAE薬物単位がカルバメートを介してグルクロニド単位に結合している同様のコンジュゲートとの間でも比較を行った。したがって、この場合も同様にcAC10抗体1つ当たり4個のD+単位を有する主体となるLDCを有する表4の4級化gluc4−AE抗体リガンド薬物コンジュゲート組成物を、対応するgluc−MMAE組成物と比較した。gluc4−AEおよびgluc−MMAEリンカーはまたh00にコンジュゲートし、このh00は、以前に述べた通り、対照LDCを提供する普遍的な非結合タンパク質(したがって、L540cyホジキンリンパ腫細胞に結合しない)である。結果は図2に示されている。その図1において、cAC10−8と指定されたcAC10−glcu4−AEは4級化されたAEコンジュゲートであり、cAC10−Bはカルバメート連結cAC10−gluc−MMEコンジュゲートであり、h00−8と指定されたh00−gluc4−AE、およびh00−Bと指定されたh00−glu−MMAEは、それぞれの対照コンジュゲートである。cAC10−vcPAB4−AEコンジュゲートと同様に、遊離第3級アミンを含有するアウリスタチン(AE)を放出するcAC10−gluc4−AEコンジュゲートでのin vitroの結果は、in vivoで、用量依存形式で変換され、アウリスタチン(MMAE)のデスメチル形を放出する対応するコンジュゲート(cAC10−gluc−MMAE)よりも優れている。さらに、図1および図2は、4級化コンジュゲートのin vivo作用は、免疫学的に特異的であることを示している。
(実施例56)
D+部分として4級化チューブリシン、およびペプチド切断可能単位を有する、リガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性
薬物リンカー化合物32から調製した−Val−Ala−切断可能単位を組み込んでいる第4級アミン−チューブリシンM薬物リンカー部分を有する、cAC10−32と指定されたcAC10抗体リガンド薬物コンジュゲートを、2種のCD30+異種移植片モデル、Karpas299 ALCLおよびL540cyホジキンリンパ腫において評価した。結果は図5および6にそれぞれ示されている。両方の実験では、平均腫瘍容積が100mm3に到達した時点で、腫瘍保持マウスに、試験品の単回投与i.p.を投与した。
Karpas299異種移植片モデル(図5を参照されたい)では、標的とされる、4個の薬物/mAbの抗CD30cAC10コンジュゲートは、0.3mg/kgの投薬後、腫瘍成長の遅延を誘発させたのに対して、より高い用量の1mg/kgは、5匹のマウスのうちの4匹において持続性のある完全な退行をもたらした。対照的に、h00非結合コンジュゲートは、1mg/kg用量では活性を示さなかったので、高度の免疫学的特異性を示している。
同様の結果がL540cy異種移植片モデルにおいて観察された(図6を参照されたい)。6個の薬物/mAbで付加された標的とされる抗CD30コンジュゲートは、0.3mg/kgの用量に続いて腫瘍成長の遅延を誘発させたのに対して、より高い用量である1mg/kgは、4匹のうち3匹のマウスにおいて持続性のある、完全な退行をもたらした。
(実施例57)
グルクロニド単位を介して結合しているD+部分として4級化チューブリシン(O−エーテル)を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性
グルクロニドベースの第4級アミン薬物−リンカーをL540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおいて評価した。薬物リンカー化合物104、79および80から調製した抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)は、グルクロニド単位で結合している4級化チューブリシンMおよび4級化チューブリシンエーテルチューブリシン(O−エチル)およびチューブリシン(O−プロピル)エーテルD+薬物単位をそれぞれ有する。それぞれcAC10−104、cAC10−79およびcAC10−80と指定されたそれらのADCをまた、4級化チューブリシンMをD+として有し、ジペプチド−Val−Ala−を切断可能単位として組み込んでいるcAC10−32と比較した。すべてのコンジュゲートは、ADC PKの作用を最小限に抑えるために4個の薬物/mAbで加えた。平均腫瘍容積が100mm3に到達した時点で、CD30+ L540cy異種移植片を保持するマウスに単回i.p.用量の試験品を0.6または2mg/kg投与した。図9に示されているように、すべてのADCは、30日間を通して有意な腫瘍退縮を示した。0.6mg/kgのcAC10−32という低用量レベルでは、4/5のマウスの腫瘍は、サイズが第36日において増加していた。一方で、0.6mg/kgのcAC10−104を用いた処置後、すべてのマウスにはその時点で完全な腫瘍退縮が生じた。4級化チューブリシンエーテルが示されている薬物リンカー化合物79および80由来の抗体リガンド薬物コンジュゲートについては、実験第36日目で、両方の投薬において完全な腫瘍退縮が観察された。
(実施例58)
グルクロニド単位を介して結合しているD+部分として、代替の4級化アウリスタチンを有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの細胞毒性
グルクロニド第4級アミン薬物リンカー部分を有する抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)を、抗有糸分裂性ドラスタチン10およびアウリスタチンFの標的化送達について評価し、薬物リンカー化合物177および189からそれぞれ調製した。それらのADCは、図11においてcAC10−177と指定され、図10においてcAC10−189と指定されている。
抗体1つ当たり8個の4級化アウリスタチンF薬物単位の薬物付加数を有するcAC10−189を、単回のi.p.用量0.5mg/kgおよび2mg/Kgで擬似処置した動物と、L540cyホジキンリンパ腫異種移植片モデルとを比較して評価した。同じ実験で、チューブリシンエーテルTub(OCH3)−OHが4級化されている薬物リンカー化合物78から調製した、cAC10−78と指定されたADCもまた試験した。cAC10−78に対して、DARは抗体1つ当たり6個の4級化チューブリシンエーテルであった。両方のコンジュゲートは、グルクロニド単位を組み込んだ同一のリンカー単位に結合している4級化薬物単位を有する。結果が図10に示されている。20日間全体にわたりすべての試験品は、両方の用量レベルで腫瘍退縮を示した。
第4級アミンドラスタチン10をD+として有する抗体リガンド薬物コンジュゲートを、カルバメート官能基を介するようにグルクロニド単位に結合しているモノメチルドラスタチン10と比べて、単回のi.p.用量0.4mg/kgおよび0.8mg/Kgで同じL540cy異種移植片モデルで評価した。グルクロニド単位を有する薬物−リンカー化合物177から調製した4級化ドラスタチン10を有する抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)は、図11においてcAC10−177と指定され、同じグルクロニド単位に結合している非4級化薬物単位を有するADCはcAC10−183と指定されている。これらのそれぞれの非標的化対照h00−177およびh00−183と比較して、両方のADCは、試験した最も低い用量である0.4mg/kgにおいて持続性のある、完全な退行を誘発させ、4/5の治癒であったカルバメート連結モノメチルドラスタチン10(183)と比較して、第4級アミン連結ドラスタチン10(177)は5/5が治癒した。試験した最大用量(0.8mg/kg)において、短い腫瘍成長遅延を示した第4級アミン連結ドラスタチン10と比較して、カルバメート連結ドラスタチン10を保持する非結合h00対照は、一過性の腫瘍退縮を示した。最終的に、両方のADC構造体は、免疫学的特異性を示した。
(実施例59)
リガンド薬物コンジュゲートの中の4級化薬物単位からの遊離第3級アミン含有薬物の細胞内放出。
CD71+であるMDR細胞株を、抗体標的化CD71(cOKT9)および4級化MDR阻害剤(タリキダル(商標))で構成されるLDC(1μg/mL)に曝露する。cOKT9−gluc4−Tと指定されたLDC組成物は、スキーム6の化合物36から得たものであったが、D+が4級化タリキダルである8個のD+単位を有するLDCを主に含有する。組成物の主体となるLDCは、スクシンイミド環系の制御された加水分解後、構造:
(式中、Ab−S−部分はM3カルボン酸に対する炭素αまたはβに結合し、pは8である)で表される。
リガンド薬物コンジュゲートから放出され、細胞内送達され、保持された薬物濃度が表12に示され、50nMの遊離薬物で細胞を処置したことから生じる細胞内薬物(すなわち、pgp−結合薬物)の量と比較されている。LDC処置では、括弧内の値は、標的とされる細胞から漏出したMDR阻害剤の細胞外濃度であるのに対して、遊離薬物処置に対する括弧内の値は、細胞の外側に留まる遊離薬物の量を表している。
表12の結果は、MDR阻害剤タリキダルがMDR細胞の細胞内に効率的に送達されたことを示している。106個の細胞から放出されたpmol薬物の点から分析した場合、cOKT9−glu4−T組成物は、標的とされる細胞に、その薬物付加物の50〜80%を送達する。
(実施例60)
4級化薬物単位からの酵素的薬物放出の速度
N−アセチルシステイン(NAC)形のカルバメートcAC10−gluc−MMAEコンジュゲートおよび実施例53に記載されている4級化cAC10−gluc4−AEリガンド薬物コンジュゲート(すなわち、cAC10がNACで置き換えられており、対応する構造に対するp’が1である)を、0.5mg/mLまたは1mg/mLのグルクロニダーゼに曝し、グルクロニダーゼが存在しない対照と比較した。図4の結果は、NAC−gluc4−AEコンジュゲートの4級化薬物単位からのAEの放出速度が、NAC−gluc−MMAEコンジュゲートからのMMAE放出速度に匹敵し、酵素濃度に応じて、AEの完全な放出が3.5〜4.5時間以内に生じていることを示している。図4では、NAC−8は、遊離第3級アミン含有薬物(AE)を放出する4級化薬物単位を有するコンジュゲートであり、NAC−Bは、対応するデスメチルアウリスタチン(MMAE)を放出するNAC−gluc−MMAEカルバメートコンジュゲートである。
(実施例61)
4級化アウリスタチン薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのex vivoでの安定性。
マウスおよびラット血漿中でのインキュベーション後の、実施例55のリガンド薬物コンジュゲート組成物cAC10−vcPAB4−AEおよびcAC10−gluc4−AEの統合性損失が図3に示されている。図3では、gluc4−AEコンジュゲートはcAC10−8と指定され、vcPAB4−AEコンジュゲートはcAC10−14と指定されている。結果は、両方のタイプの4級化薬物−リンカー構造体は良好な安定性を有し、遊離第3級アミン含有薬物を時期尚早に放出しないことを示している。4級化チューブリシンおよびコンジュゲート、ならびにN−アセチルシステインが標的化抗体の代わりに存在する、4級化タリキダル(tarquidar)およびフェナジンダイマーコンジュゲートのモデル系もまた同じ実験条件下に曝した。これらの事例でも同様に、遊離薬物の早期放出はなかった。
(実施例62)
4級化チューブリシン(O−アシル)薬物単位を有するリガンド薬物コンジュゲートのin vivoでの安定性。
ADC cAC10−32の標的とされる細胞毒性を研究した、実施例56、図6のL540cy異種移植片実験からの血漿試料をすべてのマウスから投薬の4および10日後(それぞれ実験日第11および17日目)に収集して、チューブリシンM脱アセチル化の程度を評価した。ツブバリンアセテートの損失は、チューブリシンの脱活性化をもたらすことが公知である。例えば、チューブリシンVを形成するチューブリシンUの脱アセチル化は、効力の>100倍損失をもたらした(J. Med. Chem.、2009年、52巻、238〜240頁)。投薬の4および10日後の実施例56のL540cy異種移植片からの血漿試料を処理して、ADCを獲得し、薬物を酵素により放出せ、そして脱アセチル化の程度を質量分析法で定量した。注入の4日後(図7)、コンジュゲートしたチューブリシン薬物弾頭はすべての3つの用量レベルの全体で>40%脱アセチル化されていた。投薬の10日後(図8)、脱アセチル化の程度はすべての用量レベルの全体で>70%であった。これらの発見は、循環しているADCにおいて、時間の関数として、弾頭効力の損失が生じており、おそらくin vivo活性を減衰させることを示唆している。
(実施例63)
薬物単位D+として4級化チューブリシンを有するリガンド薬物コンジュゲートの薬物動態学的(PK)評価。
放射標識した抗体またはADCを使用して薬物動態学的(PK)実験を実施した。以下の手順を使用して、PK試験品に放射標識した。追加の50mMリン酸カリウム(pH8.0)および50mM塩化ナトリウムを補充したPBS中の抗体またはADCの溶液に、抗体またはADC 1mg当たり、55μCi N10スクシンイミジルプロピオネート、[プロピオネート−2,3−3H]−(Moravek Biochemicals、Cat.No.:MT919、80Ci/mmol、1mCi/mL、9:1ヘキサン:酢酸エチル溶液)を加えた。得られた混合物をボルテックスし、室温で2時間静置させた。混合物を4,000gで5分間遠心分離し、下側の水層を除去し、Amicon Ultra−15 Centrifugal Filter Units(Millipore、Cat.No.:UFC903024、30kDa MWCO)中に分割した。非コンジュゲートの放射能を4回の希釈および4,000gでの遠心分離により除去した。生成した生成物を、滅菌した0.22μmUltrafree−MC Centrifugal Filter Units(Millipore、Cat.No.:UFC30GV0S)を介して濾過し、最終の抗体またはADCの濃度を分光光度法で測定した。各生成物の比活性(μCi/mg)を液体シンチレーションカウンティングにより決定した。
非コンジュゲート抗体またはADCの薬物動態特性を、いくつかの実験で試験した。各実験では、動物の体重1kg当たり1mgの放射標識した抗体またはADCを、尾静脈を介して注射した。各試験品を、複製動物において一度投薬した。血液を、伏在静脈を介してまたは末期出血に対しては心穿刺により、様々な時点においてK2EDTA管に引き入れた。10,000gで10分間遠心分離することにより血漿を単離した。各時点からの血漿の10〜20μlの試料を、4mlのEcoscint−A液体シンチレーションカクテル(National Diagnostics)に加え、全放射能を液体シンチレーションカウンティングで測定した。1分間あたりとして得た分解値を、μCiに変換し、放射標識した試験品の比活性を使用して、各時点での血漿中に残っている抗体またはADCの濃度を計算した。
図12は、薬物−リンカー化合物mDPR−Val−Ala−PAB4−TubM(32)および実施例51に記載されている親水性リンカー類似体113から調製したコンジュゲートに対する曝露プロファイルを示している。ヒト化IgGリガンド単位を有するADCおよび−Val−Ala−ジペプチド切断可能単位を有する薬物−リンカー化合物32から調製した4級化チューブリシンMのDAR4(hIgG−32(4)と指定)は、未修飾の抗体のものと同一のクリアランスプロファイルを有した。しかし、8のDARでのADC(hIgG−32(8)と指定)では、ADCはずっと急速に血液循環から排除された。薬物リンカー化合物113から調製した、切断可能単位の中のアラニン残基がグルタメートで置換されているDAR8での対応するADC(hIgG−113(8)と指定)は、曝露の増加をもたらさなかった。hIgG−32(8)の疎水性のジペプチド切断可能単位がさらに極性のグルクロニド単位で置き換えられている、薬物リンカー化合物104から調製したhIgG ADC(hIgG−104(8)と指定)では、クリアランスにおけるわずかな改善が観察された。
図13は、薬物リンカー化合物(80)から調製したグルクロニド第4級アミン連結チューブリシンエーテル化合物Tub(O−Pr)−OHを有するDAR8のh00コンジュゲートに対するPK曝露を含有する。mDPR−gluc4−Tub(OPr)−OH80由来の8コピーの薬物リンカー部分を保持するそのh00抗体リガンド薬物コンジュゲートは、未修飾の抗体よりずっと急速に血液循環から排除された。
図14は、グルクロニド単位および4級化D+薬物単位としのアウリスタチンEまたはドラスタチン10細胞毒で構成される薬物−リンカー部分を有するDAR8のh00抗体リガンド薬物コンジュゲート(h00 ADC)、ならびにびメチル基がAEから除去された非4級化薬物単位カルバメート連結薬物単位およびドラスタチン10を有する同等のコンジュゲート(すなわち、非4級化薬物単位MMAEおよびモノメチル−ドラスタチン10のコンジュゲート)のクリアランス特性を示している。薬物リンカー化合物8から調製したグルクロニド第4級アミン−アウリスタチンE薬物リンカー部分を有するh00 ADCは、7日間全体にわたり未修飾の抗体のものと同一のPK特性を提供した。しかし、非4級化カルバメート連結モノメチルアウリスタチンEを有するh00 ADCコンジュゲート(h00−Bと指定)は、加速されたADCクリアランスを引き起こした。対照的に、薬物リンカー化合物177から調製した4級化ドラスタチン10を有し、h00−177と指定されたh00−ADC、およびカルバメート薬物リンカー化合物183から調製されたカルバメート官能基を介してリンカー単位に結合している非4級化モノメチドラスタチン10を有し、h00−183と指定されたh00−ADCは、裸の抗体よりもさらに急速に排除され、同様の曝露を有していた。
(実施例64)
遊離薬物としてのチューブリシンM−ヒドラジドと、チューブリシンM薬物ヒドラジドとのin vitroでの細胞毒性のin vitroでの比較。
ヒドラジド類似体としてチューブリシンをコンジュゲートさせるためのC末端の戦略が、チューブリシンBに対して以前記載されている(Cancer Res.、2008年、68巻、9839〜9844頁)。この手法は、本明細書に記載されている第4級アミン戦略および実施例54の切断不可能なN末端コンジュゲーション戦略の代替であり、チューブリシンC末端の構成成分の誘導体化を含む(実施例47を参照せよ)。チューブリシンM−ヒドラジド(190)を、一団の細胞株の全体で未修飾チューブリシンM(26)と比べて、遊離薬物としてin vitroで評価した。これらの細胞を96時間処理し、結果が表11に示されている(nM濃度でのIC50値)。
チューブリシンM−ヒドラジドは、試験したすべての細胞株において、親遊離薬物、チューブリシンMよりも常に効力が低かった。ヒドラジド誘導体の効力の損失は、4つの細胞株の全体で4〜25倍の範囲であった。
(実施例63)
4級化Val−Ala−PAB4チューブリシンMと比較した、非4級化Val−Cit−PABNカルバメートヒドラジド薬物リンカー部分としてのチューブリシンMのin vitroでの比較。
Val−Ala第4級アミン−チューブリシンM薬物リンカー化合物MC−vaPAB4−TubM(30)およびカルバメート連結チューブリシンM−ヒドラジド薬物リンカー化合物mDPR−Val−Cit−PABN(192)を、cOKT−9である抗トランスフェリン受容体IgGにコンジュゲートさせた。手短に述べると、cOKT−9を、TCEPで完全に還元して、8つのコンジュゲート可能なシステイン残基を露出させた。生成したチオールを、過剰に加えたマレイミド含有薬物リンカー化合物30および192でアルキル化した。cOKT−9コンジュゲートは、リンカー30および192に対してそれぞれ8個および6.7個の薬物/mAbで付加されていることが判明した。一団のがん細胞株を、生成したコンジュゲートで96時間処理し、生存率について評価した。結果は表1に示されており、IC50がng/ml単位で与えられている。
TubM−ヒドラジド(192)を保持するコンジュゲートは、第4級アミン連結TubM(30)比較対照物よりも効力が有意に低かった。誘導体化したチューブリシンは、ログ1〜3の範囲で親チューブリシンMよりも効力が低かった。
(実施例65)
グルクロニド第4級アミンリンカーを介して連結しているアウリスタチンFのin vitroでの評価。
グルクロニド第4級アミン−アウリスタチンF薬物リンカー化合物189から調製したcOKT9抗体リガンド薬物コンジュゲート(ADC)を、記載されているように調製し、8個の薬物/Abにおいて、cOKT−9である抗トランスフェリン受容体抗体にコンジュゲートさせた。生成したADCを、カルバメート−薬物リンカー化合物MC−Val−Cit−PABC−MMAF193から調製した対応するADC(Bioconjugate Chem.、2006年、17巻、114〜124頁)との比較のためにがん細胞株の一団で試験
した。結果は表13に示されている。
グルクロニド単位および自己安定LSS前駆体mDPRを有する薬物リンカー化合物189から調製した第4級アミン薬物単位としてアウリスタチンFを有するコンジュゲートは、大部分の細胞株に対して、表14に示されているように(IC50値、単位:ng/mL)、Val−Cit PABカルバメート(vcPABC)−MMAF薬物−リンカー化合物193から調製したADCと同様の細胞毒性を提供する。化合物189とは対照的に、その薬物リンカー化合物は、LSS前駆体を含有しないリンカー単位を有し、ジペプチド切断可能単位で構成される。AML細胞株HL60およびHL60/RVでは、193から得たVal−Cit−PABCカルバメート対照と比べて、観察された効力に穏やかな低減(2〜3倍)があった。
(実施例66)
がん細胞を標的とする4級化フェナジンダイマーリガンド薬物コンジュゲートの細胞毒性。
フェナジンダイマー第4級アミン薬物−リンカー化合物19を、それぞれ抗CD30および抗CD70抗体であるキメラのAC10およびヒト化1F6抗体に、抗体1つ当たり4個の薬物のDARでコンジュゲートさせた。これらのコンジュゲートを、2種のCD30+リンパ腫細胞株、Karpas299およびL540cy、ならびに2種のCD70陽性腎臓胞癌細胞株、786−OおよびCaki−1に対して試験した。データは表16に示されている(IC50値、単位;ng/mL)。
抗CD30結合コンジュゲートであるcAC10−19は、Karpas299 ALCL株に対して強力であったが、その対照であるh1F6−19(CD30抗原を認識しない)は、不活性であった。これは、高度の免疫学的特異性を示している。cAC10−19とh1F6−19コンジュゲートの両方は、CD30+/CD70+L540cy細胞に対して不活性であった。CD30陰性/CD70陽性RCC細胞に対して、CD70抗原−特異的なコンジュゲートであるh1F6−19は、CD70抗原を認識しないその対照コンジュゲートcAC10−19よりも有意に強力であった。