JP2017528608A - コード化のために用いる表面マーキングを有する繊維 - Google Patents

Abstract

標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンの表面マーキングを示す１以上の標付繊維を含む繊維を開示する。標付繊維をヤーン又は繊維バンド中に導入して、ヤーン、繊維バンド、及び／又はヤード若しくは繊維バンドから製造される物品のサプライチェーン情報を表すことができる。具体例においては、標付繊維をアセテートトウバンド中に導入することができる。標付繊維を紙巻きタバコフィルターから回収し、繰り返しパターンをデコードして、製造者、取引先、納入先、及び更にはアセテートトウの梱包のような紙巻きタバコフィルターを製造するのに用いられるアセテートトウに関連するサプライチェーン情報を得ることができる。【選択図】図１

Description

[0001]本出願は、２０１４年６月２７日出願の米国仮出願６２／０１８１８２、２０１５年１月１９日出願の米国仮出願６２／１０５０１１、及び２０１５年５月２０日出願の米国仮出願６２／１６４１３５（これらのそれぞれはその全部を参照として本明細書中に包含する）に対する３５ＵＳＣ１１９（ｅ）に基づく優先権を主張する。

[0002]本発明は、標付繊維(branded fibers)を含む繊維、繊維バンド、又はヤーンに関する。標付繊維は、表面マーキングの繰り返しパターンを示すことができる。表面マーキングの繰り返しパターンは、繊維バンド又はヤーンのサプライチェーン情報に相関させることができる。本発明はまた、標付繊維を含む繊維バンド又はヤーンを製造及び特徴付ける方法にも関する。繊維バンド又はヤーンの特徴付けには、標付繊維を単離し、表面マーキングの繰り返しパターンをデコードし、そして表面マーキングの繰り返しパターンをサプライチェーン情報に相関させることを含ませることができる。サプライチェーン情報を用いて、繊維バンド又はヤーンを、製造から、中間段階を経由して、最終製品への転化、及び／又は取引先まで追跡することができる。

[0003]多くの産業は、製品に印を付け、タグ付けをし、又は識別して、これによってサプライチェーンを通して製品を追跡及び遡及することを可能にする必要性を有する。かかる追跡及び遡及システムの主要な目的の１つは、偽造及び非合法販売のような不正取引に対抗することである。

[0004]偽造防止対策（ＡＣＭ）は、３つの異なるタイプ：タイプＩ（顕在的）；タイプＩＩ（潜在的）；及びタイプＩＩＩ（法科学的）；とみなすことができる。タイプＩのＡＣＭは、肉眼で容易に識別され且つ観察することができる物品中に導入される特徴である。例としては、物品中に導入される透かし模様、カラーシフトインク、着色繊維、バンド、又はストリップ、並びにホログラムが挙げられる。タイプＩＩのＡＣＭは、領域内の特徴を識別するためにある種の装置が必要である、物品中に導入される特徴である。必要な装置は、一般に容易に入手でき輸送できるものである。幾つかの例としては、非常に小さい文章（拡大鏡を用いることが必要である）、ＵＶ応答性インク又は糸（ＵＶ光を照射することが必要である）、及びバーコード又はＲＦＩＤタグ（特別な読取機が必要である）を導入することが挙げられる。タイプＩＩＩのＡＣＭは、識別するためには特別な試験装置が必要である隠された属性である。幾つかのタイプＩＩＩの例としては、ナノテキスト、マイクロタガント、ＤＮＡインク、及び化学添加剤が挙げられる。

[0005]上述したように、多くの産業において多くの広く用いられている包装及び標識化タガント並びに偽造防止対策（ＡＣＭ）が存在しているが、これらのより顕在的な解決手段は、しばしば、破壊、改造、複製、再包装、又は再標識化のような対抗手段の余地がある。製品の原材料の物理的特徴を変化させることによって、回避するのが遙かにより困難であるより潜在的な解決策を提供することができる。これらのタガントは、サプライチェーンを通して繊維を追跡するために用いることができる。タガントは、複写又は改ざんするのが困難であるが、画像分析及び／又は他の機械的方法を用いて検出することができる形態で繊維、ヤーン、繊維バンド、及び／又は派生物品の物理特性を変化させることができる。

[0006]広範囲の産業にわたって、繊維バンド又はヤーン及びそれらの派生物品内の繊維を製造、試験、及び追跡する必要性が存在する。繊維バンド、ヤーン、及び／又は繊維バンド若しくはヤーンを含む物品の供給源を識別する能力は、製造プロセス中において、その後に識別し、読み出し、及び使用して繊維バンド及び／又は物品を識別することができるある種のコードを１つ又は複数の繊維中に埋め込むことによって達成することができる。

[0007]サプライチェーン情報の中でも、繊維バンド、ヤーン、及び／又は物品の追跡及び遡及のために有用である可能性がある、例えば製造者、製造場所、取引先、及び納入先を示すことができる識別タグを、繊維、繊維バンド、又はヤーン中に導入することができる。

[0008]開示する代表的な態様は、例えばタバコ製品、特に紙巻きタバコの継続し且つ深刻さを増している不正取引の問題に対抗するために用いることができる。紙巻きタバコの全販売数の１０〜１２％は、紙巻きタバコに対する物品税の支払を回避する偽造の複製品又は販売品のいずれかの不正取引であると概算されている（Tobacco International, "Tackling Illicit Trade, Pt. I", 2013年12月）。この不正取引に対抗するためには、製造者、販売業者、監査機関、及び取引先／法執行機関、並びに紙巻きタバコを消費者に販売する小売業者から構成される全体的な努力が必要である。紙巻きタバコの製造において用いる成分を追跡及び最終的には遡及することを可能にする必要性が存在する。例えば、非合法市場の紙巻きタバコのフィルター中に含まれるアセテートトウのサプライチェーン経路の部分を追跡する能力によって、これらの不正な紙巻きタバコの供給源に関する有益な情報を与えることができる。

[0009]アセテートトウの製造者は、通常は製造されたアセテートトウのそれぞれの梱包に梱包の識別子（例えば番号）を割り当てる。割り当てたら、梱包の番号は、製造者、製造場所、製造ライン、製造ラン、及び製造日のようなサプライチェーン要素に関連づけられる。アセテートトウの梱包はサプライチェーンを通して移動するので、例えば取引先及び納入先のような更なるサプライチェーン要素を梱包の番号に関連づけることができる。言い換えれば、アセテートトウの製造者は、アセテートトウの梱包に関するサプライチェーン要素の幾つかを追跡及び遡及するシステムを適所に有する。しかしながら、現在においては、梱包の番号に相当するものはアセテートトウバンド自体の中にエンコードされていない。したがって、ラベルをアセテートトウの梱包から取り外すか、又はアセテートトウバンドをフィルターロッド又は紙巻きタバコフィルターに加工すると、サプライチェーン情報は失われる。

[0010]容易に製造され、紙巻きタバコフィルターの性能に影響を与えず、アセテートトウバンド中だけでなく、単一又は１組の紙巻きタバコ／紙巻きタバコフィルター中においても検出することができる追跡可能なアセテートトウに対する必要性が存在する。紙巻きタバコの製造者及び消費者によって容易に許容しうる追跡可能なアセテートトウ、例えば味に影響を与える可能性があり、及び／又は規制認可が必要な可能性がある化学物質を加える必要がないアセテートトウに対する必要性が存在する。紙巻きタバコフィルターの圧力損失及び収量に影響を与えない追跡可能なアセテートトウに対する必要性が存在する。開繊し、可塑化し、フィルターに成形する際にその追跡可能性を保持する、追跡可能なアセテートトウに対する必要性が存在する。

[0011]単一又は一組の紙巻きタバコから情報をデコードすることができるような、製造者、取引先、又は納入先などのサプライチェーン情報を含む追跡可能なアセテートトウに対する必要性が存在する。最小のサプライチェーンのコスト及び複雑さで追跡可能なアセテートトウシステムを実施するために、アセテートトウの梱包のレベルでサプライチェーン情報を有する追跡可能なアセテートトウに対する更なる必要性が存在する。

Tobacco International, "Tackling Illicit Trade, Pt. I", 2013年12月

[0012]幾つかの態様は、標準繊維（standard fibers)、及び１以上の識別繊維（identification fibers）を含む繊維を開示する。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、標準繊維の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0013]更なる開示する態様は、繊維を含むアセテートトウバンドを包含する。この繊維は１以上の識別繊維及び標準繊維を含み、標準繊維はセルロースアセテートを含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、アセテートトウバンドの少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0014]更なる態様は、繊維を含むアセテートトウバンドの製造方法を包含する。この繊維は標準繊維及び識別繊維を含み、標準繊維はセルロースアセテートを含む。この方法は、（ａ）識別繊維を入手し；（ｂ）第１の繊維製造プロセスで標準繊維を製造し；そして（ｃ）識別繊維と標準繊維を結合してアセテートトウバンドにする；ことを含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、アセテートトウバンドの少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0015]更なる態様は、繊維試料を特徴付ける方法を包含する。繊維試料は繊維を含み、繊維は標準繊維及び識別繊維を含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。この方法は、（１）場合によって繊維試料から標付繊維を分離し；（２）標付繊維に画像技術を適用し；（３）タガント表面マーキングの繰り返しパターンを測定する；ことを含む。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、繊維試料の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0016]図１は、アセテートトウ繊維を共製造しながら繊維を標付(branding)し、それらを結合してアセテートトウバンドにする非限定的な態様の概要的なプロセスフロー図を示す。 [0017]図２は、実施例１のプリンターの設定を示す。 [0018]図３ａは、フィルターロッドから回収された標付ナイロンモノフィラメントの顕微鏡写真を示し、図３ｂは、捲縮アセテートトウバンドから回収された標付ポリエステル糸の顕微鏡写真を示す。 [0019]図４は、MACSA二酸化炭素レーザーを用いて浮き出し印刷したアクリルモノフィラメント繊維の顕微鏡写真を示す。 [0020]図５Ａは、開示する態様と合致する１以上の機関の中の通信及び輸送ルートの非限定的な例を示す。 図５Ｂは、開示する態様と合致する１以上の機関の中の通信及び輸送ルートの非限定的な例を示す。 [0021]図６は、開示する態様と合致する１以上の機関によって用いられる演算システムの非限定的な例を示す。 [0022]図７は、開示する態様と合致する、サプライチェーン情報を繊維中に埋め込む方法の非限定的な例を示す。 [0023]図８は、開示する態様と合致する、相関データを作成する方法の非限定的な例を示す。 図９は、開示する態様と合致する、相関データを作成する方法の非限定的な例を示す。 [0024]図１０は、開示する態様と合致する、識別繊維の製造方法の非限定的な例を示す。 [0025]図１１は、開示する態様と合致する、試料からサプライチェーン情報を識別する方法の非限定的な例を示す。 [0026]図１２は、開示する態様と合致する、タガント情報をサプライチェーン要素に割り当てる方法の非限定的な例を示す。

[0027]幾つかの態様は、１以上の識別繊維を含む繊維を開示する。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、標準繊維の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0028]他に示していない限りにおいて、本明細書及び特許請求の範囲において用いる成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数は、全ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。

[0029]１以上のプロセス工程の言及は、組み合わさった示されている工程の前後の更なるプロセス工程、或いは明確に特定されているこれらの工程の間に介在するプロセス工程の存在を排除するものではないことを理解すべきである。更に、プロセス工程又は構成要素の記号は別個の活動又は構成要素を特定するための簡便な手段であり、示されている記号は他に示さない限りにおいて任意の順番で配列することができる。

[0030]本明細書において用いる「及び／又は」という用語は、２以上の事項のリストにおいて用いる場合には、リストされた事項のいずれか１つを単独で用いることができ、或いはリストされた事項の２以上の任意の組合せを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分Ａ、Ｂ、及び／又はＣを含むものとして記載されている場合には、この組成物は、Ａ単独；Ｂ単独；Ｃ単独；Ａ及びＢの組合せ；Ａ及びＣの組合せ；Ｂ及びＣの組合せ；或いはＡ、Ｂ、及びＣの組合せ；を含んでいてよい。

[0030]本明細書において用いる「繊維」という用語は、細い可撓性の糸状の物体を指す。繊維は天然繊維又は人工であってよい。本明細書において用いる「ポリマー」という用語は、それから繊維が製造される原料物質を指す。ポリマーの非限定的な例としては、アクリル、モダクリル、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レイヨン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ＰＴＦＥ、及びセルロースアセテートが挙げられる。本明細書において用いる「フィラメント」という用語は単繊維を指す。本明細書において用いる「繊維バンド」という用語は、繊維が非撚合又は絡合状態のままであり、高い幅／深さ比を有する実質的に長方形の断面を形成するようにそれらの長さに沿って互いと隣接して配置されている複数の繊維を指す。繊維バンドは、しばしば繊維の有効な捲縮を可能にするように形成され、最終用途に応じてステープルに切断するか、又は連続バンドとして処理することができる。繊維バンドは、通常は、まずステープルに変化させて糸を形成する場合を除いて、布帛物品に織成又は編成されない。繊維はまた、ヤーンの形態であってもよい。本明細書において用いる「ヤーン」という用語は、それらの長さに沿って互いと隣接して配置され、しばしば繊維結合性及び性能を向上させるために一緒に撚合又は絡合されており、通常は実質的に丸い断面を形成している複数の繊維を指す。ヤーンは、最終用途に応じて、連続ストランドとして処理するか、又はより短い長さに切断することができる。

[0032]繊維は、識別繊維及び／又は標準繊維であってよい。本明細書において用いる「標準繊維」という用語は、物品の製造における主要な目的及び用途のために製造される繊維を指す。標準繊維は、標準繊維、標準繊維を含むヤーン、繊維バンド、及び／又は物品を識別及び追跡するために用いられる別個の特徴を含むように意図的に操作されてはいない。本明細書において用いる「識別繊維」という用語は、別個の特徴を有していて、識別繊維を用いて、標準繊維、標準繊維及び識別繊維を含むヤーン、繊維バンド、及び／又は物品を識別及び追跡することができるようになっている繊維を指す。

[0033]本明細書において用いる「別個の特徴」という用語は、画像技術を用いて識別することができる繊維の中における相違を指す。別個の特徴の非限定的な例としては、断面形状、断面寸法、光学特性、及び表面マーキングが挙げられる。本明細書において用いる「複数の別個の特徴の組合せ」という用語は、識別繊維によって示される２以上の別個の特徴を指す。

[0034]本明細書において用いる「光学特性」という用語は、繊維を特定の電磁放射線源に曝露した際に観察される電磁放射線応答を指す。この用語には、肉眼によって、及び分光測光サインを識別することができるもののような装置によって観察することができる色が含まれる。電磁放射線の非限定的な例としては、Ｘ線、紫外線、可視光、赤外線、及び所謂「Ｔ線」（テラヘルツ周波数）が挙げられる。本明細書において用いる「タガント光学特性」という用語は、繊維、繊維バンド、及び／又はヤーンのサプライチェーン情報を求めるためのシステムにおいて１以上の製造者によって用いられる既知の光学特性の集合を指す。

[0035]本明細書において用いる「表面マーキング」という用語は、繊維表面を物理的に変化させることによって生成する繊維の中における相違を指す。非限定的な例としては、繊維の浮き出し印刷、形態変化、繊維表面上への印刷、及び光学特性のパターンを化学的に生成させることが挙げられる。本明細書において用いる「タガント表面マーキング」という用語は、チェーン情報を求めるためのシステムにおいて１以上の製造者によって用いられる既知の表面マーキングの集合を指す。

[0036]本明細書において用いる「英数字コード」という用語は、句読点のような特殊文字を含み、その言語に関する任意の手書き文字又は印刷スタイルを含む、共通のアルファベット及び数値体系又は言語に属する文字又は記号を用いて表される情報を指す。非限定的な例としては、ラテン文字、ローマ数字、及びアラビア数字が挙げられる。

[0037]本明細書において用いる「デジタルコード」という用語は、別個の不連続な値の列を用いて表される情報を指す。非限定的な例としては、バイナリーコード体系、モールス符号、バーコード体系（一次元線形及び二次元マトリクスを含む）が挙げられる。

[0038]本明細書において用いる「アナログコード」という用語は、空間位置、ディメンション、又はマグニチュードのような連続可変の物理量を調節することによって表される情報を指す。

[0039]本明細書において用いる「表意文字コード」という用語は、任意の特定の言語又は英数字体系とは独立した図形記号又は絵文字によって表される情報を指す。
[0040]本明細書において用いる「メタデータ」という用語は、パターン内の残りのコードに関する情報を含むコードを表すパターンの一部又は複数の部分を指す。この情報の非限定的な例としては、パターンが表す任意のコードのフォーマット、読み取り開始位置、読み取り終了位置、読み取り方向が挙げられる。メタデータにはまた、繊維の製造者を表す情報も含めることができる。メタデータは、パターンの残りの部分に関して用いられるものと同じか又は同様のコード化体系(coding system)を用いることができ、或いはそれがパターンの残りの部分から容易に区別される異なるコード化体系を用いることができる。

[0041]本明細書において用いる「読み取り開始位置」という用語は、コード又はコードの一部が開始する位置を指す。
[0042]本明細書において用いる「読み取り終了位置」という用語は、コード又はコードの一部が終了する位置を指す。

[0043]本明細書において用いる「読み取り方向」という用語は、情報を信頼性を持ってデコードするためにコードの特定の部分を読み取らなければならない直線方向を指す。
[0044]本明細書において用いる「繰り返しパターンが実質的に一次元である」という用語は、パターンに関連づけられている有用な情報が一方向に沿っているか、或いはパターンを通る単一の線に沿った変化を観察することによって求めることができる場合のパターンを指す。

[0045]本明細書において用いる「浮き出し印刷」という用語は、繊維表面から材料を除去するか、或いは繊維表面上の隆起領域又は陥凹領域を形成して、繊維表面において得られる不連続性を視覚的又は他の分析手段によって検出することができるようにすることを指す。浮き出し印刷は、研削面、ブレード、又はエンボス加工機を用いる装置のような接触装置によるか、或いはレーザー若しくは他の高エネルギー照射源のような非接触装置によって行うことができる。

[0046]本明細書において用いる「レーザー浮き出し印刷」という用語は、レーザーを用いて繊維の表面に浮き出し印刷を行うことを指す。
[0047]本明細書において用いる「形態変化」という用語は、繊維又は繊維表面の物理形態又は状態を変化させて、その変化を、手動又は拡大のいずれかによって視覚的に、或いは他の分析技術を用いて観察することができるようにすることを指す。形態変化の非限定的な例としては、テクスチャー、粗さ、不透明性、結晶化度、密度、又はポリマー配向度に対する変化が挙げられる。形態変化は、研削面を用いる装置のような接触装置によるか、或いはレーザー若しくは他の高エネルギー照射源のような非接触装置によって行うことができる。

[0048]本明細書において用いる「長さに沿って変化する」という用語は、識別繊維の長さに沿って１以上の表面マーキングの種々のレベル及び／又はパターンを用いることを指す。本明細書において用いる「繰り返しパターン」という用語は、識別繊維の長さに沿って繰り返されている同一の順番の表面マーキングを指す。それぞれの繰り返しパターンは、同じ情報の同じコードを表す。

[0049]本明細書において用いる「溶剤結合を実質的に起こさない」という用語は、繊維が繊維の通常の処理条件下で、或いは繊維から製造される物品が、結合剤が接触点に存在する際に２以上の繊維の接触点において永久的な結合を引き起こすのに十分に結合剤中に可溶でないような状態を指す。

[0050]本明細書において用いる「溶剤中に実質的に不溶」という用語は、特定の条件の組の下でその溶剤に曝露した際に繊維及び任意の表面マーキングが検出可能な状態のままで保持されるように繊維が溶剤中に十分に可溶でないような状態を指す。

[0051]本明細書において用いる「繊維試料の溶解部分」という用語は、溶解した標準繊維及び溶解溶剤を含む溶液を指し、試料中の非可溶性識別繊維を除外することを指す。
[0052]本明細書において用いる「セルロースアセテート」という用語は、セルロースグルコース単位のヒドロキシル基中の水素がアセチル化反応によってアセチル基に置き換えられているセルロースのアセテートエステルを指す。幾つかの態様においては、好適なセルロースアセテートは、グルコース単位あたり約３未満、好ましくは２．２〜約２．８の範囲、最も好ましくは２．４〜２．７の範囲のアセチル基の置換度を有していてよい。

[0053]本明細書において用いる「セルロースアセテートトウ」、「アセテートトウ」、又は「アセテートトウバンド」という用語は、セルロースアセテート繊維を含む連続的な捲縮繊維バンドを指す。

[0054]本明細書において用いる「物品」という用語は、所期の用途の機能的要件を満足するために必要な他の成分及び添加剤を含む標準繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドから製造される構成単位を指す。非限定的な例としては、布帛及び他の編織製品、不織布、吸収材製品、フィルター、フィルターロッド、紙巻きタバコフィルター、及び液体貯蔵容器が挙げられる。本明細書において用いる「繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを含む物品」という用語は、幾つかの態様においては物品を製造するために用いる際に繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドに有意の物理的変化が起こる可能性があるという認識を有する繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを含む物品を指す。

[0055]本明細書において用いる「フィルター」という用語は、半透過性の繊維状材料を指す。フィルターの非限定的な例としては、フィルターロッド、及び紙巻きタバコフィルターのようなフィルターロッドから製造される部材が挙げられる。本明細書において用いる「フィルターロッド」という用語は、繊維バンド及び他の成分又は添加剤から製造され、その後に、蒸気流を濾過するためにユニット全体として用いるか或いは複数のユニットを形成する長さに切断することができる、任意の断面形状のロッド状の物品を指す。フィルターロッドは、タバコ製品を濾過するため、例えば伝統的な紙巻きタバコフィルターのため、及び／又は加熱式製品などの他のタバコ製品に関する他の用途のために用いることができる。フィルターロッドはまた、タバコ、及び例えば他の植物若しくは植物誘導体のような他の成分を含む新しい製品のために用いることもできる。フィルターロッドは、タバコが存在するか又は存在しない他の植物及び植物誘導体を濾過するために用いることができる。更に、フィルターロッドは、電子タバコのような活性成分を供給するために用いられる蒸気流を濾過するために用いることができる。

[0056]本明細書において用いる「紙巻きタバコフィルター」という用語は、煙流から１以上の成分を除去又は減少させる紙巻きタバコ又は他の喫煙具の構成材を指す。紙巻きタバコフィルターという用語は、紙巻きタバコ、紙巻きタバコ用パイプ、葉巻、葉巻用パイプ、パイプ、水パイプ、水キセル、電子喫煙具、手巻きタバコ、手巻き葉巻、及び巻紙の非限定的な例を含む任意の喫煙具に関するフィルターを包含するように意図される。

[0057]本明細書において用いる「サプライチェーン情報」という用語は、標準繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドの製造に関する情報、並びに標準繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドの製造後の流通に関する情報を指す。サプライチェーン情報には、例えば製造者、製造場所、製造ライン、製造ラン、製造日、包装、梱包、取引先、取引先納入先、倉庫、運送業者、及び／又は出荷路又は経路のような「サプライチェーン要素」が含まれる。サプライチェーン要素は、繊維、ヤーン、繊維バンド、及び／又は物品に適用することができる。

[0058]本明細書において用いる「製造者」という用語は、標準繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを製造する機関を指す。
[0059]本明細書において用いる「製造場所」という用語は、正式な住所、大陸、国、州、県、地方、又は市などの任意のレベルの具体度によって表示される製造者の１つ又は複数の地理的場所を指す。

[0060]本明細書において用いる「製造ライン」という用語は、標準繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを製造するために製造者によって用いられる特定のプロセス装置又は装置の組を指す。

[0061]本明細書において用いる「製造ラン」という用語は、製造手順、プロセス、又は条件、及び／又は製品仕様の特定の組を用いることによって製造される同様又は関連する商品の群又は組を指す。

[0062]本明細書において用いる「取引先」という用語は、繊維、繊維バンド、及び／又はヤーンが、中間物品又は最終製品物品に更に処理するために販売及び輸送される機関；或いは繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを再販売するために購入する機関を指す。

[0063]本明細書において用いる「納入先」という用語は、繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを届けるために、正式な住所、大陸、国、州、県、地方、又は市などの任意のレベルの具体度によって表示される取引先の地理的場所を指す。

[0064]本明細書において用いる「梱包」という用語は、高密度に圧縮され、包装材料によって包装、収容、及び保護されている通常は立方体形状の繊維バンドの包装単位を指す。

[0065]本明細書において用いる「倉庫」という用語は、繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを届けるために、正式な住所、大陸、国、州、県、地方、又は市などの任意のレベルの具体度によって表示される倉庫の地理的場所を指す。

[0066]本明細書において用いる「相関させる」という用語は、２以上の情報の間の関係を定めることを指す。
[0067]本明細書において用いる「製造者に特異のタガント」という用語は、特定の製造者によって繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンド中に導入される特定のタガントを指す。「製造者に特異のタガントの組」という用語は、特定の製造者に関連付けられているタガント断面形状及び／又はタガント断面寸法を指す。

[0068]本明細書において用いる「繊維を製造する」、「繊維の製造」、及び「繊維製造プロセス」という用語は、繊維を集合させることによって繊維を紡糸するプロセス工程を指す。

[0069]本明細書において用いる「製造するのと同時に」という用語は、識別繊維を標準繊維と結合する前又は後のいずれかにおいて、標準繊維を製造するのと同時に識別繊維に表面マーキングするプロセスを指す。

[0070]本明細書において用いる「識別繊維を包装する」という用語は、識別繊維を紡績機から移して、識別繊維を例えばスプール上又は梱包中に包装するプロセス工程を指す。識別繊維は、その後に、標準繊維を含む繊維、ヤーン、繊維バンド、及び／又は物品中に導入するために包装から取り出す必要がある。

[0071]本明細書において用いる「繊維試料」という用語は、画像技術を用いて分析される任意の物理形態の繊維を含む部材を指す。繊維試料には、画像分析のために製造された繊維、ヤーン、繊維バンド、又は物品の組の一部を含ませることができる。

[0072]本明細書において用いる「画像技術」及び「画像分析技術」という用語は、電磁放射線の反射率、吸収率、透過率、及び放射率における差を検出及び定量するために用いられる装置及びソフトウエアを指す。画像技術は、電磁放射線レベルの検出、並びに自動の形状及び／又は寸法認識の両方を包含する。

[0073]繊維、繊維バンド、及び／又はヤーンは、個々の繊維を含む。それから繊維を製造する材料は、特に限定されない。繊維には、例えばアクリル、モダクリル、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レイヨン、又はセルロースアセテートを含めることができる。一形態においては、繊維は、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテート−プロピオネート、セルロースアセテート−ブチレート、セルロースプロピオネート−ブチレート、セルロースアセテート−フタレート、スターチアセテート、アクリロニトリル、塩化ビニル、ビニルエステル、ビニルエーテルなど、これらの任意の誘導体、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組合せを含む。一形態においては、繊維はセルロースアセテートを含む。一形態においては、繊維は、例えば綿、麻、及び／又は絹のような天然繊維を含む。

[0074]一形態においては、繊維、繊維バンド、又はヤーンは、標準繊維及び１以上の識別繊維を含む。繊維は、通常はポリマーから製造される。一形態においては、識別繊維の１以上は、標準繊維と同じポリマーを含む。他の形態においては、識別繊維の１以上は、標準繊維バンドと異なるポリマーを含む。一形態においては、タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは繊維のコードを表す。他の形態においては、繊維は識別繊維及び標準繊維を含み、コードは繊維及び／又は標準繊維の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0075]個々の繊維の寸法は特に限定されない。この寸法は有効径の観点で与えることができ、一形態においては繊維の有効径は例えば０．１μｍ〜１０００μｍ、１μｍ〜５００μｍ、１μｍ〜１００μｍ、１μｍ〜３０μｍ、１０μｍ〜１０００μｍ、１０μｍ〜５００μｍ、１０μｍ〜１００μｍ、１０μｍ〜３０μｍの範囲である。一形態においては、標準繊維はセルロースアセテートを含み、それに関する寸法はしばしば、長さ９０００メートルの単一のフィラメントの重量（グラム）として規定されるフィラメントあたりのデニール数（ｄｐｆ）の単位で与えられる。一形態においては、繊維の寸法は、０．５〜１０００ｄｐｆ；０．５〜５００ｄｐｆ；０．５〜１００；０．５〜５ｄｐｆ；０．５〜３０ｄｐｆ；０．５〜１０ｄｐｆ；１〜１０００ｄｐｆ；１〜５００ｄｐｆ；１〜１００；１〜５ｄｐｆ；１〜３０ｄｐｆ；１〜１０ｄｐｆ；の範囲である。一形態においては、繊維のｄｐｆは、例えば１〜３０ｄｐｆ、１〜２０ｄｐｆ、１〜１０ｄｐｆ、２〜３０ｄｐｆ、２〜２０ｄｐｆ、又は２〜１０ｄｐｆの範囲である。

[0076]繊維バンドを構成する繊維の数は特に限定されない。一形態においては、繊維バンド中の繊維の数は１０〜５０，０００の範囲であってよい。他の非限定的な例においては、繊維バンド中の繊維の数は、１０〜４０，０００；１０〜３０，０００；１０〜２０，０００；１０〜１０，０００；１０〜１０００；１００〜５０，０００；１００〜４０，０００；１００〜３０，０００；１００〜２０，０００；１００〜１０，０００；１００〜１０００；２００〜５０，０００；２００〜４０，０００；２００〜３０，０００；２００〜２０，０００；２００〜１０，０００；２００〜１０００；１０００〜５０，０００；１０００〜４０，０００；１０００〜３０，０００；１０００〜２０，０００；１０００〜１０，０００；５０００〜５０，０００；５０００〜４０，０００；５０００〜３０，０００；５０００〜２０，０００；５０００〜１０，０００；１０，０００〜５０，０００；１０，０００〜４０，０００；１０，０００〜３０，０００；又は１０，０００〜２０，０００；の範囲である。

[0077]識別繊維には１以上の標付繊維を含ませることができる。標付繊維は１以上のタガント表面マーキングを示し、タガント表面マーキングは標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。一形態においては、標付繊維はモノフィラメントであってよく、タガント表面マーキングはモノフィラメントの長さに沿って繰り返しパターンを形成する。他の形態においては、標付繊維は糸又はヤーンであってよく、タガント表面マーキングは糸又はヤーンの長さに沿って繰り返しパターンを形成する。繰り返しパターンは、例えばサプライチェーン情報のような情報に相関させることができるコードを表すことができる。

[0078]幾つかの形態においては、繰り返しパターンは、英数字コード、デジタルコード、アナログコード、又は表意文字コードを含む。幾つかの形態においては、繰り返しパターンは英数字コード又はデジタルコードを含む。幾つかの形態においては、繰り返しパターンはデジタルコードを含む。

[0079]標付繊維の長さに沿った繰り返しパターンには、メタデータを含ませることができる。メタデータは、標付繊維上のパターンを読み取るのに有用である可能性がある。メタデータは、物品中に導入されている標付繊維の長さが繰り返しパターンの長さとほぼ同等の寸法であるか又はこれよりも短い場合に特に有用である可能性がある。一形態においては、メタデータは、読み取り開始位置、読み取り終了位置、読み取り方向、又はコード内の桁の間隔を含む。

[0080]繰り返しパターンのデジタルコードは特に限定されない。幾つかの形態においては、パターンは、一次元線形又は二次元マトリクスタイプのコードのいずれかのバーコードの形態である。幾つかの形態においては、パターンはモールス符号の視覚表示であってよい。幾つかの形態においては、デジタルコードはバイナリーコードを含む。一形態においては、繰り返しパターンは実質的に一次元である。

[0081]一形態においては、デジタルコードはバイナリーコード化体系であり、それぞれの二進数の２つの状態又は文字は、桁又は位置における表面マーキングの有無であってよい。別の形態においては、２つの状態は桁内の２つの異なる表面マーキングの１つであってよい。幾つかの形態においては、デジタルコードは、ｘ進の位取り記数体系（ここで、ｘは２の冪数（又はバイナリー）である）のバイナリー表示であってよい。一形態においては、例えば大きな数の組合せ又は整数値をコード化する際には、１６進（１６進数）の記数体系を用いて、単純な２進列よりもよりコンパクトな表記を与えることができる。かかる１６進体系の非限定的な例においては、４つのバイナリーの桁で１６進コードのそれぞれの桁を構成して、１６進の桁のそれぞれに関する１６の組合せ又は状態を与えることができる。ｘ進の記数体系はまた、任意の桁又は空間的位置における特有の表面マーキングのｘ数によって表すこともできる。非限定的な例においては、５つの異なる色ドットによって５進の記数体系の基数を形成することができる。

[0082]複数の記数又はコード化体系を、エンコードされた情報の単一の列内で用いることができる。幾つかの形態においては、繰り返しパターンに、繊維又は物品の製造者を表すために用いる数列を有するバイナリーコードの部分、並びに製造者の特有の梱包番号を表すために用いる１６進体系のバイナリー表示であるパターンの他の部分を含ませることができる。

[0083]当業者であれば、バイナリーコードに関する桁数の選択は、記録する情報の複雑さ、及びタガント表面マーキングに利用できるスペースによって定まることを認識する。一形態においては、バイナリーコードにおける桁数は２〜５００の範囲である。他の非限定的な例においては、バイナリーコードにおける桁数は、４〜１００、１０〜１００、２０〜１００、４〜５０、１０〜５０、又は２０〜５０の範囲である。

[0084]当業者であれば、繊維上の繰り返しパターンの長さは、通常の物品中に導入される繊維の長さによって影響を受ける可能性があることも認識する。一形態においては、繰り返しパターンの長さは、２ｍｍ〜５００ｍｍの範囲である。他の非限定的な例においては、繰り返しパターンの長さは、２〜２００ｍｍ、２〜３０ｍｍ、１０〜２００ｍｍ、又は１０〜３０ｍｍの範囲である。

[0085]繰り返しパターンを標付繊維上に出現させる方法は、パターンが認識できる限りにおいて特に限定されない。繰り返しパターンを標付繊維上にどのように導入するかの非限定的な例としては、印刷、浮き出し印刷、繊維の形態変化、或いは光学特性のパターンを化学的に生成させることが挙げられる。

[0086]幾つかの形態においては、繊維は更に標準繊維を含む。幾つかの形態においては、標付繊維は、物理的又は化学的手段のいずれかによって標準繊維から容易に分離される。標付繊維の分離を容易にするために、標付繊維に標準繊維とは異なるポリマーを含ませることができる。幾つかの形態においては、標付繊維は溶剤中に実質的に不溶であり、標準繊維はその同じ溶剤中に可溶である。幾つかの形態においては、標付繊維はアセトン又は塩化メチレン中に実質的に不溶である。幾つかの形態においては、標付繊維は、トリアセチン、又は標準繊維を溶剤結合することによって物品を形成するのに用いられる任意の他の溶剤又は可塑剤との低温溶剤結合を実質的に起こさない。幾つかの形態においては、標付繊維は、アクリル、モダクリル、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レイヨン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、セルローストリアセテート、又はＰＴＦＥを含む．
[0087]物品には、繊維、ヤーン、及び／又は繊維バンドを含ませることができる。物品は特に限定されない。繊維又は繊維バンドを含む物品の非限定的な例としては、布帛及び他の編織製品、不織布、吸収材製品、フィルター、フィルターロッド、紙巻きタバコフィルター、液体貯蔵容器、紙、及び／又は通貨が挙げられる。一形態においては、本物品はフィルターロッドを含む。他の形態においては、本物品は紙巻きタバコフィルターを含む。物品の更なる非限定的な例としては、医療用テープ、包帯、又は布のような医療品、蒸気送達のために用いる芯材、並びに包装を含む医薬製品が挙げられる。

[0088]一形態においては、繊維、ヤーン、繊維バンド、及び／又は物品は、測定可能なサプライチェーン情報を有する。サプライチェーン情報には、製造者、製造場所、製造ライン、製造ラン、製造日、包装、梱包、倉庫、取引先、及び／又は納入先を含めることができる。

[0089]一形態においては、サプライチェーン情報はサプライチェーン要素を含む。一形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、標準繊維の製造者、標準繊維の製造場所、標準繊維の製造ライン、標準繊維の製造ラン、標準繊維の製造日、標準繊維の包装、標準繊維の倉庫、標準繊維の取引先、標準繊維の納入先、標準繊維を含むヤーン又は繊維バンドの製造者、ヤーン又は繊維バンドの製造場所、ヤーン又は繊維バンドの製造ライン、ヤーン又は繊維バンドの製造ラン、ヤーン又は繊維バンドの製造日、ヤーン又は繊維バンドの包装、ヤーン又は繊維バンドの倉庫、ヤーン又は繊維バンドの取引先、ヤーン又は繊維バンドの納入先、標準繊維を含む物品の製造者、物品の製造場所、物品の製造ライン、物品の製造ラン、物品の製造日、物品の包装、物品の倉庫、物品の取引先、又は物品の納入先を含む。

[0090]他の形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、ヤーン又は繊維バンドの製造者を含む。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの製造場所を含む。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの製造ラインを含む。ヤーン又は繊維バンドの製造ラインは、ヤーン又は繊維バンドを製造した製造ラインである。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの製造ランを含む。ヤーン又は繊維バンドの製造ランは、ヤーン又は繊維バンドを製造した製造ランである。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの製造日を含む。ヤーン又は繊維バンドの製造日は、ヤーン又は繊維バンドを製造した製造日である。一形態においては、サプライチェーン要素は、ヤーンの包装又は繊維バンドの梱包を含む。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの倉庫を含む。ヤーン又は繊維バンドの倉庫は、製造者がそこに繊維バンドを送ることを計画しているか又は送った倉庫である。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの取引先を含む。ヤーン又は繊維バンドの取引先は、製造者がそこにヤーン又は繊維バンドを送ることを計画しているか又は送った取引先である。一形態においては、サプライチェーン要素はヤーン又は繊維バンドの納入先を含む。ヤーン又は繊維バンドの納入先は、製造者がヤーン又は繊維バンドをそこに送ることを計画しているか又は送った具体的な地理的場所である。

[0091]下記は、通常の紙巻きタバコフィルター内に含められる標付繊維上に多くの異なるコードの組合せを生成させる能力を示す可能なバイナリーコード化体系の非限定的な例示を与える。

[0092]下記の実施例１の実施においては、通常の長さ２１ｍｍの紙巻きタバコフィルター内の捲縮モノフィラメント繊維又は糸の長さは、約２５．２ｍｍであると示された。更に、０．５ｍｍの印刷マークの間隔が、実施例の印刷機を用いて容易に達成することができることが示された。このような間隔を長さ２５ｍｍの繊維に適用すると、それぞれの紙巻きタバコフィルター内の標付繊維上に５０までのビット又は桁をエンコードすることが可能である。それぞれのビットは、このスペース内に印刷されているマークの有無に対応するバイナリータイプ（０又は１）の情報を含む。

[0093]デコードにおける並進及び回転デコードエラーを排除するためには、コード化配列を有するヘッダーの形態のメタデータが望ましい可能性がある。ヘッダーは、読み取り開始及び読み取り方向の情報を与えることができる。かかるヘッダーにより、紙巻きタバコフィルターあたり１つのコードのように低いコード化頻度を有するいずれか１つの紙巻きタバコフィルターを信頼性をもってデコードすることが可能である。ヘッダーは、コード自体の文字と混乱することがないようにデザインされたバイナリー配列の形態をとることができる。例えば、二進記数法における１６進体系に関しては、１０ビット配列の0011111010を用いることができる。

[0094]この例の利用できる５０ビットの残りの４０ビットの中の３９ビットは、バイナリーの８つの１６進文字を表すために用いて（８×４桁、並びにそれぞれの４桁の文字の間の空間）、（#### #### #### #### #### #### #### ####）の形態を取る配列をエンコードすることができる。このフォーマットによると、４，２９４，９６７，２９６の特有のコードを生成させることができ、或いは標準的な二進記数を用いることによって、０〜４，２９４，９６７，２９５の数を生成させることができる。これらのコード又は数は、梱包番号のようなサプライチェーン情報と相関させることができる。

[0095]この例を更に示すために、４，２９４，９６７，２９５の数を、その１６進バイナリーフォームの111101111011110111101111011110111101111に変換する。ヘッダーを含む完全コードは0011111010111101111011110111101111011110111101111になる。

[0096]紙巻きタバコの濾過のためのアセテートトウに関する現在の世界中の需要は、１年あたり約７００，０００，０００ｋｇである。５００ｋｇの平均梱包重量を仮定すると、１年で生産される梱包の総数は約１．４Ｍである。したがってこの例の印刷コード化体系(coding system)を実施すると、３０００年の生産量にわたって梱包レベルでサプライチェーン情報をエンコードすることができる。幾つかの形態においては、それぞれのコードにおいてより少ない桁数を用いて、通常の紙巻きタバコフィルターにタガント表面マーキングの１つより多い繰り返しパターンを含ませる。

[0097]更なる開示する態様は、繊維を含むアセテートトウバンドを包含する。繊維は１以上の識別繊維及び標準繊維を含み、標準繊維はセルロースアセテートを含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、アセテートトウバンドの少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[0098]アセテートトウバンドの幾つかの態様は、上記に開示した属性の任意の組合せを有する繊維を含むアセテートトウバンドを包含する。具体的には、識別繊維の組成、繊維の寸法及び数、標付繊維、表面マーキング、繰り返しパターン、繰り返しパターンの長さ、サプライチェーン情報、及び非限定的なコード化／相関体系(coding/correlation systems)は、アセテートトウバンドに適用される。

[0099]一形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、アセテートトウバンドの製造者、アセテートトウバンドの製造場所、アセテートトウバンドの製造ライン、アセテートトウバンドの製造ラン、アセテートトウバンドの製造日、アセテートトウバンドの梱包、アセテートトウバンドの倉庫、アセテートトウバンドの取引先、或いはアセテートトウバンドの納入先を含む。一形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、アセテートトウバンドの製造者及びアセテートトウバンドの取引先を含む。他の形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、アセテートトウバンドの製造者及びアセテートトウバンドの取引先を含む。一形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、アセテートトウバンドの梱包を含む。

[00100]更なる態様は、繊維を含むアセテートトウバンドの製造方法を包含する。繊維は標準繊維及び識別繊維を含み、標準繊維はセルロースアセテートを含む。この方法は、（ａ）識別繊維を入手し；（ｂ）第１の繊維製造プロセスで標準繊維を製造し；そして（ｃ）識別繊維と標準繊維を結合してアセテートトウバンドにする；ことを含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、アセテートトウバンドの少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[00101]アセテートトウバンドの製造方法の幾つかの態様は、上記に開示した属性の任意の組合せを有する繊維を含むアセテートトウバンドを包含する。具体的には、識別繊維の組成、繊維の寸法及び数、標付繊維、表面マーキング、繰り返しパターン、繰り返しパターンの長さ、サプライチェーン情報、及び非限定的なコード化／相関体系は、アセテートトウバンドの製造方法に適用される。上記に記載したアセテートトウバンドの幾つかの態様のサプライチェーン属性も、アセテートトウバンドの製造方法に適用される。

[00102]当業者であれば、アセテートトウバンドの製造方法の幾つかの態様は、繊維バンド又はヤーンの製造に一般的に適用されることを認識する。識別繊維を標準繊維と結合してヤーン又は繊維バンドにすることができる。ヤーン又は繊維バンドを製造する方法は、上記に開示した属性の任意の組合せを有する繊維、繊維を含む繊維バンド又はヤーンを製造することを包含する。

[00103]一形態においては、繊維製造プロセスで標準繊維の少なくとも一部を製造する。他の形態においては、標準繊維は第三者から入手する。識別繊維を得ることは、（ｉ）標準繊維の繊維製造プロセスで識別繊維の少なくとも一部を製造すること；（ｉｉ）標準繊維の繊維製造プロセスとは別個のプロセスで識別繊維の少なくとも一部を製造すること；或いは（ｉｉｉ）識別繊維の少なくとも一部を第三者から入手すること；の少なくとも１つを含む。

[00104]一形態においては、識別繊維の一部を標準繊維と共に製造し、繊維バンド又はヤーンを構成する繊維の一部を紡糸して、繊維製造プロセスの直ぐに下流で結合する。
[00105]識別繊維を何時及び何処で表面マーキングするかは特に限定されない。識別繊維及び標準繊維が同じ紡糸装置で同時に製造される場合には、表面マーキングは、繊維をまず物理的に形成する紡糸プロセスの開始時と、繊維の包装の前の間の任意の箇所で適用することができる。幾つかの形態においては、マーキングは、識別繊維と標準繊維を結合する前、或いは少なくとも結合した繊維を続いて処理する前、例えば捲縮の前に行うことができる。幾つかの形態においては、標付繊維は、標準繊維とは別個に別の紡糸プロセスで製造し、表面マーキングは、それらを標準繊維と結合する前の任意の時点において、例えば第三者によって施すことができ、或いはそれらを標準繊維と結合するのと同時に施すことができる。幾つかの形態においては、マーキングは、結合の直前、或いは繊維の包装の前の任意の時点において行うことができる。

[00106]識別繊維を表面マーキングする方法の非限定的な例としては、印刷、浮き出し印刷、形態変化、及び光学特性のパターンを化学的に生成させることが挙げられる。幾つかの形態においては、表面マーキングの印刷は、インクジェットプリンターのような商業的な高速プリンター、或いはこの目的のために設計されている特注のプリンターを用いて行うことができる。印刷は、１つの色の単一のインク、或いは複数のインク色を用いて行うことができる。幾つかの形態においては、浮き出し印刷は、研削面、ブレード、又はエンボス加工ローラーを用いる装置のような接触装置によるか、或いはレーザー若しくは他の高エネルギー照射源のような非接触装置によって行うことができる。幾つかの形態においては、形態変化は、研削面を用いる装置のような接触装置によるか、或いはレーザー若しくは他の高エネルギー照射源のような非接触装置によって行うことができる。かかる形態変化の１つの非限定的な例は、繊維の形成中において繊維の断続的高速乾燥を引き起こすエネルギー源を用いて、不透明性のような繊維の光学特性の変化、或いは表面粗さにおける変化をもたらすことである。

[00107]幾つかの形態においては、第２の繊維製造プロセスで標付繊維を製造し、次にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで施す。幾つかの形態においては、繊維は第三者から受け取る。繰り返しパターンのタガント表面マーキングは、標付繊維を標準繊維と結合してアセテートトウバンドにする前の任意の時点で繊維に施して標付繊維を製造することができる。繰り返しパターンのタガント表面マーキングを標付繊維に施す方法は特に限定されない。幾つかの形態においては、繰り返しパターンのタガント表面マーキングは、標準繊維を製造するのと同時に標付繊維上に印刷する。幾つかの形態においては、繰り返しパターンのタガント表面マーキングは、標準繊維を製造するのと同時に標付繊維上にレーザー浮き出し印刷する。幾つかの形態においては、アセテートトウバンドを捲縮する前に、同時に製造された標付繊維と標準繊維を結合する。

[00108]識別繊維と標準繊維を同じ装置で製造しようと又は異なる装置で製造しようと、標準繊維の製造（又はそれとの結合）と同時に識別繊維にマーキングすることは、予めマーキングした繊維を取り扱い且つ管理し、及びこれらの標付繊維を適切な時点で指定の製造ラインに送って繊維製品の適切なコード化を確保することの複雑さが減少するので、有利である可能性がある。これに対比し、識別繊維の同時マーキングは標準的なコンピューターシステム（例えばＰＬＣ又はＤＣＳ）によって容易に制御して、コード化を自動的に変化させて、製造される繊維に関する所望のサプライチェーン情報を実質的に瞬時にコード化することができる。

[00109]他の形態においては、識別繊維を製造して標準繊維とは別に包装し、識別繊維を標準繊維と結合して繊維バンド又はヤーンを製造する。また、標準繊維を識別繊維と結合する前に包装していてもよく、或いは識別繊維を繊維バンド又はヤーンの包装の前に標準繊維と結合することができる。

[00110]繊維を製造するために用いる紡糸プロセスは特に限定されない。一形態においては、繊維は、乾式紡糸、溶液紡糸、溶融紡糸、電子紡糸、ゲル紡糸、多成分紡糸、メルトブロー、及び／又は溶液ブローを用いて製造する。他の形態においては、繊維は、乾式紡糸、溶液紡糸、溶融紡糸、電子紡糸、ゲル紡糸、及び／又は多成分紡糸を用いて製造する。更なる形態においては、標準繊維はセルロースアセテートを含み、乾式紡糸を用いて製造する。

[00111]幾つかの形態においては、繰り返しパターンのタガント表面マーキングは、浮き出し印刷、印刷、又は形態変化を含むプロセスによって施す。幾つかの形態においては、繰り返しパターンのタガント表面マーキングは、標準繊維を製造するのと同時に標付繊維上に繰り返しパターンのタガント表面マーキングを印刷し、アセテートトウバンドを捲縮する前に標付繊維と標付繊維を結合することを含むプロセスによって施す。更なる形態においては、繰り返しパターンのタガント表面マーキングは、標準繊維を製造するのと同時に標付繊維上に繰り返しパターンのタガント表面マーキングをレーザー浮き出し印刷し、アセテートトウバンドを捲縮する前に標付繊維と標準繊維を結合することを含むプロセスによって施す。

[00112]図１は、アセテートトウ繊維を共製造しながら繊維を標付し、それらを結合してアセテートトウバンドにする非限定的な態様の概要的なプロセスフロー図を示す。製造環境１００内でアセテートトウバンド１１２を製造する。セルロースアセテート紡糸溶液１０２を繊維紡糸プロセス１２０に供給し、ここでそれを、それぞれが幾つかの紡糸口金（図示せず）を有している幾つかの紡糸装置に供給する。それぞれの紡糸装置から排出される繊維１０８（しばしばエンドと呼ばれる）を集合させてバンドを形成し、これを捲縮機１３０中に供給する。識別繊維１０４はマーキング装置１１０の下に通して、繰り返しパターンの表面マーキングを与えて標付繊維１０６を製造する。マーキング装置１１０の非限定的な例としては、プリンター及びレーザーが挙げられる。標付繊維１０６及びセルロースアセテート繊維１０８を集合させ、捲縮機１３０に供給して捲縮アセテートトウバンド１１２を製造する。

[00113]更なる態様は、繊維試料を特徴付ける方法を包含する。繊維試料は繊維を含み、繊維は標準繊維及び識別繊維を含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。この方法は、標付繊維に画像技術を適用し、タガント表面マーキングの繰り返しパターンを測定することを含む。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、繊維試料の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[00114]更に他の態様は、繊維試料を特徴付ける方法を包含する。繊維試料は繊維を含み、繊維は標準繊維及び識別繊維を含む。識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示す。識別繊維は１以上の標付繊維を含む。標付繊維は、１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示す。タガント表面マーキングは、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する。この方法は、（１）場合によって標付繊維を繊維試料から分離し；（２）画像技術を標付繊維に適用し；（３）タガント表面マーキングの繰り返しパターンを測定する；ことを含む。タガント表面マーキング及び繰り返しパターンは、繊維試料の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す。

[00115]繊維試料を特徴付ける方法の幾つかの態様は、上記に開示した属性の任意の組合せを有する繊維を含む繊維試料を特徴付けることを包含する。具体的には、識別繊維の組成、繊維の寸法及び数、標付繊維、表面マーキング、繰り返しパターン、繰り返しパターンの長さ、サプライチェーン情報、及び非限定的なコード化／相関体系は、繊維試料を特徴付ける方法に適用される。

[00116]標付繊維を特徴付ける目的で標付繊維を物品の標準繊維から分離する方法は、物品の性質、配向、絡合度、及び物品内の繊維の結合度、並びに標準繊維と標付繊維の化学組成の違いによって定めることができる。通常の紙巻きタバコフィルター又は同様に溶剤結合した繊維マットの場合において、幾つかの形態においては、標付繊維は物品の製造において用いる溶剤結合剤の影響を受けず、標付繊維は（拡大を行うか又は行わないで）場所を見つけて、手作業又は幾つかの他の手段によって取り出して、標付繊維を繊維試料の残りから物理的に離脱させることができる。幾つかの形態においては、標付繊維は標準繊維と異なる溶解度プロファイルを有しており、溶剤及び／又は条件の適切な組合せを用いることによって、標準繊維を標付繊維から溶解除去することができる。幾つかの形態においては、紙巻きタバコフィルターはセルロースアセテートを含み、標付繊維はアセトン中に可溶でないポリマーを含んでいて、アセトンを用いて標準繊維を溶解除去し、標付繊維を離脱させることができる。幾つかの形態においては、繊維試料から標付繊維を分離することは、繊維試料を溶剤中に配置して、繊維試料の溶解部分及び標付繊維を含む溶液を生成させ、溶液から標付繊維を取り出すことを含む。

[00117]一形態においては、標準繊維はセルロースアセテートを含み、繊維試料は繊維を含む物品の一部を含む。幾つかの形態においては、物品はフィルターロッド及び紙巻きタバコフィルターからなる群から選択することができる。他の形態においては、繊維試料は繊維を含む物品の一部を含み、物品は、布帛及び他の編織製品、不織布、及び吸収材製品からなる群から選択される。

[00118]一形態においては、画像技術は可視光波長の電磁放射線を用いることを含む。他の形態においては、画像技術は不可視光波長の電磁放射線を用いることを含む。画像技術のために有用な装置は特に限定されない。非限定的な例としては、人間の目視検査、顕微鏡検査、電子顕微鏡検査、共焦点顕微鏡検査、及び光学スキャンが挙げられる。

[00119]画像技術は、繊維の長さに対して平行で繊維試料に適用することができる。この方向により、例えば繊維上の表面マーキングのパターンを観察することが可能になる。
[00120]画像技術はまた、繊維、繊維バンド、又はヤーンを含む物品に適用することもできる。

[00121]一形態においては、繊維試料を特徴付けする方法は、（ａ）タガント表面マーキング及び／又はタガント表面マーキングの繰り返しパターンを、製造者に特異のタガントを含むデータベースに相関させ；そして（ｂ）繊維試料の少なくとも１つのサプライチェーン要素を求める；ことを更に含む。サプライチェーン要素は、標準繊維の製造者、標準繊維の製造場所、標準繊維の製造ライン、標準繊維の製造ラン、標準繊維の製造日、標準繊維の包装、標準繊維の倉庫、標準繊維の取引先、標準繊維の納入先、繊維を含むヤーン又は繊維バンドの製造者、ヤーン又は繊維バンドの製造場所、ヤーン又は繊維バンドの製造ライン、ヤーン又は繊維バンドの製造ラン、ヤーン又は繊維バンドの製造日、ヤーン又は繊維バンドの包装、ヤーン又は繊維バンドの倉庫、ヤーン又は繊維バンドの取引先、ヤーン又は繊維バンドの納入先、繊維を含む物品の製造者、物品の製造場所、物品の製造ライン、物品の製造ラン、物品の製造日、物品の包装、物品の倉庫、物品の取引先、又は物品の納入先を含む。一形態においては、相関付けは、別個の特徴及び／又は複数の別個の特徴の組合せの間で行う。他の形態においては、相関付けは、別個の特徴、複数の別個の特徴の組合せ、及び／又は区別可能な識別繊維のそれぞれの総数の間で行う。他の形態においては、相関付けは、別個の特徴、複数の別個の特徴の組合せ、区別可能な識別繊維のそれぞれの総数、及び／又はタガント全識別繊維数の間で行う。一形態においては、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、繊維を含むヤーンの製造者、ヤーンの製造場所、ヤーンの製造ライン、ヤーンの製造ラン、ヤーンの製造日、ヤーンの包装、ヤーンの倉庫、ヤーンの取引先、ヤーンの納入先を含む。

[00122]一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの製造者を含む。一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの製造場所を含む。一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの製造ラインを含む。ヤーン又は繊維バンドの製造ラインは、ヤーン又は繊維バンドを製造した製造ラインである。一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの製造ランを含む。ヤーン又は繊維バンドの製造ランは、ヤーン又は繊維バンドを製造した製造ランである。一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの製造日を含む。ヤーン又は繊維バンドの製造日は、ヤーン又は繊維バンドを製造した製造日である。一形態においては、サプライチェーン情報は、ヤーン又は繊維バンドの梱包を含む。一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの取引先を含む。ヤーン又は繊維バンドの取引先は、製造者がそこにヤーン又は繊維バンドを送ることを計画しているか又は送った取引先である。一形態においては、サプライチェーン情報はヤーン又は繊維バンドの納入先を含む。ヤーン又は繊維バンドの納入先は、製造者がヤーン又は繊維バンドをそこに送ることを計画しているか又は送った具体的な地理的場所である。

[00123]一形態においては、繊維試料はアセテートトウバンドを含むフィルターの一部を含み、この方法は、タガント表面マーキングの繰り返しパターンを、製造に特異のタガントを含むデータベースに相関させることを含み、少なくとも１つのサプライチェーン要素はアセテートトウバンドの梱包を含む。

[00124]開示する態様はまた、開示されている特徴のいずれかを有する繊維、繊維バンド、及び／又はヤーンを用いて物品を製造することも包含する。開示する態様は、開示されている特徴のいずれかを有する繊維、繊維バンド、又はヤーンを含む物品を特徴付けることを更に包含する。

[00125]図５Ａ及び５Ｂは、開示する態様と合致する機関の中での通信及び輸送路を示す環境５００の非限定的な例を示す。一態様においては、図５Ａ及び５Ｂの環境５００には、１以上の製造者５１０、１以上の取引先５２０、非合法市場５４０又は他の不正取引ネットワーク、１以上の要請機関(requesting parties）５３０、１以上の試験所５６０、及び通信ネットワーク５５０を含めることができる。（例えば図５Ａ及び５Ｂに示される）環境５００中に含まれる要素及び要素の配置は変化させることができる。而して、環境５００には、開示する態様に合致する１以上のプロセスを実行し、又はその性能を支援する他の要素を含めることができる。

[00126]幾つかの形態においては、ネットワーク５５０は、環境５００の要素の複数のシステム（例えば製造システム５１２及び／又は試験所システム５６２）の間の通信手段を与えるように構成されている任意のタイプのネットワークであってよい。例えば、ネットワーク５５０は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、近距離無線通信、及び／又は環境５００に関連する複数の要素システムの間で情報を送信及び受信することを可能にする１つ又は複数の他の好適な接続のような、通信を容易にし、情報を交換する等の任意のタイプのネットワーク（インフラを含む）であってよい。他の態様においては、環境５００の１以上の要素システムは、製造者５１０、取引先５２０、要請機関５３０、及び／又は試験所５６０の間のリンクのような１つ又は複数の専用の通信リンクを介して直接通信することができる。

[00127]更に、上述したように、製造者（例えば製造者５１０）は、セルロースアセテート繊維及びセルロースアセテート繊維を含む繊維製品を工業規模で製造することができる。幾つかの態様においては、製造されるセルロースアセテート繊維及び繊維製品には、標準繊維及び識別繊維を含ませることができる。識別繊維のそれぞれは、識別繊維を標準繊維から視覚的に区別する、１以上の別個の特徴（例えば、別個の断面寸法、別個の断面形状、別個の光学特性、及び更には又は或いは別個の表面マーキング）を示す。幾つかの形態においては、１以上の別個の表面マーキングはタガント表面マーキングを示すことができ、識別繊維に、１以上のタガント表面マーキングを示す１以上の標付繊維を含ませることができる。標付繊維によって示されるタガント表面マーキングは、幾つかの形態においては標付繊維の長さに沿って配置される繰り返しパターンを形成することができる。繰り返しパターンは、例えば、標準繊維、識別繊維、及び／又は標準繊維及び／又は識別繊維を含む繊維及び繊維製品に関連する少なくとも１つのサプライチェーン要素を表すことができる。

[00128]他の形態においては、繰り返しパターンは、識別繊維及び／又は標準繊維に関連づけられたコード（例えば、上記に記載した英数字コード、デジタルコード、アナログコード、及び／又は表意文字コード）を表すことができる。幾つかの態様においては、コードの部分は、標準繊維、識別繊維、及び／又は標準繊維及び／又は識別繊維を含む繊維及び繊維製品に関連する少なくとも１つのサプライチェーン要素を表すことができる。

[00129]幾つかの態様においては、セルロースアセテート繊維中に識別繊維を含ませることによって、製造者５１０が、取引先５２０に輸送する前に、セルロースアセテート繊維、及びしたがってセルロースアセテート繊維を含む繊維製品にサプライチェーン情報をタグ付けすることを可能にすることができる。例として、開示する態様に合致する繊維製品として、セルロースアセテートトウ、セルロースアセテートトウの緩いバンド、セルロースアセテートトウの梱包、並びにセルロースアセテート繊維及び／又はトウを含む布帛及び他の物品を挙げることができるが、これらに限定されない。

[00130]例えば、及び紙巻きタバコ製造の関連において、取引先５２０はアセテートトウの梱包を用いて種々の中間及び／又は最終段階の製品（例えば、緩いトウバンド、フィルターロッド、フィルター、及び／又は紙巻きタバコ）を製造することができ、これらの製品の細片によって、最終的に非合法市場（例えば非合法市場４４０）へのそれらの経路を発見することができる。而して、タグ付けされた識別繊維を有する非合法市場の製品の試料からサプライチェーン情報を求めることができるので、不正取引に対抗することに関心がある関係者（例えば要請機関５３０）は、非合法市場製品を入手して、非合法市場製品に関連するサプライチェーン情報を識別するために試料を分析に供することができる。

[00131]而して一態様においては、図５Ａに示すように、要請機関５３０は製造者５１０に対して試料を提供することができる。製造者５１０は、幾つかの形態においては上記に概説した任意の代表的な技術を用いて試料を分析して、試料に関連するサプライチェーンの少なくとも１つの要素を識別することができる。例えば、試料には標準及び識別繊維を含ませることができ、これには、標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成する１以上のタガント表面マーキングを示す標付繊維を含ませることができる。分析に基づいて、製造者５１０は識別繊維内で１以上のタガント表面マーキングを示す１以上の標付繊維を識別することができる。製造者５１０はまた、標付繊維の長さに沿ってタガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターンを（例えば上記に記載したように画像技術を標付繊維に適用することによって）識別することもできる。

[00132]幾つかの形態においては、製造者５１０は、サプライチェーンの要素を示されるタガント表面マーキング、及び更には又は或いは標付繊維の長さに沿ってタガント表面マーキングによって形成される識別された繰り返しパターンにマッピングする相関データにアクセスすることができる。製造者５１０は、例えば示されたタガント表面マーキング及び／又は識別された繰り返しパターンとアクセスした相関データとの比較に基づいて、サプライチェーンの少なくとも１つの要素を識別することができる。幾つかの場合においては、製造者５１０は、この少なくとも１つのサプライチェーン要素を識別する情報を要請機関５３０に（例えばネットワーク５５０を介して）送信することができる。

[00133]上記に記載した代表的な態様においては、製造者５１０は、試料を分析して試料に関連するサプライチェーンの少なくとも１つの要素を識別することができる。しかしながら、開示する態様は製造者５１０によって行われる代表的な分析に限定されず、更なる態様においては、取引先５２０、要請機関５３０、又は第三者（示していない）が、タグ付けされた繊維からサプライチェーン情報を識別するために分析を行うことができる。

[00134]例えば、図５Ｂに示すように、試験所５６０は要請機関５３０を代理して、試料に対する分析を行って、試料に関連する少なくとも１つのサプライチェーン要素を識別することができる。幾つかの場合においては、試験所５６０は、分析を行うことができる政府機関、準政府機関、又は民間機関を表すことができ、要請機関５３０は、試験所５６０に、分析を１回又は繰り返し行うことを契約又は留保させることができる。

[00135]しかしながら他の場合においては、試験所５６０は、（例えば要請機関５３０によって非合法市場５４０から入手された）セルロースアセテート繊維を含む不正取引されたセルロースアセテート繊維又は繊維製品から採取した試料に関連するサプライチェーン要素を正規に且つ信頼性をもって識別するために、製造者５１０、取引先５２０、及び／又は要請機関５３０の１以上によって設立することができる。試験所５６０は、幾つかの形態においては、製造者５１０、取引先５２０、及び／又は要請機関５３０によって制定された１以上の手順にしたがって試料の分析を行うことができる。例えば、製造者５１０、取引先５２０、及び／又は要請機関５３０の１以上は、試料を受取り且つ取扱い、試料を分析して正確で再現可能な方法でサプライチェーン要素を識別し、及び識別されたサプライチェーン要素の複数の部分を、製造者５１０、取引先５２０、及び／又は要請機関５３０に報告するための標準化された手順及びプロトコルを共同で制定することができる。更に、更なる態様においては、試験所５６０はまた、タガント表面マーキング、タガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターン、及び／又は繰り返しパターンによって表されるコードの複数の部分を、サプライチェーンの種々の要素（例えば製造者）に割り当てて、これらのサプライチェーン要素を一意的に識別することもできる。更なる態様においては、取引先５２０、要請機関５３０、又は第三者（示していない）は、タガント表面マーキング、タガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターン、及び／又は繰り返しパターンによって表されるコードの複数の部分を、サプライチェーンの種々の要素（例えば製造者）に割り当てて、これらのサプライチェーン要素を一意的に識別することができる。

[00136]一態様においては、図５Ｂに示すように、要請機関５３０は試料を試験所５６０に提供することができる。試験所５６０は、幾つかの形態においては、試料を分析して試料に関連するサプライチェーンの少なくとも１つの要素（例えば製造者）を識別することができる。例えば、試験所５６０は、上記に記載した任意の代表的な技術を用いて試料を分析して、例えば１以上のタガント表面マーキングを示す１以上の標付繊維を含む、１以上の別個の特徴を示す識別繊維を識別することができる。試験所５６０は更に、標付繊維の長さに沿ってタガント表面マーキングによって形成される１以上の繰り返しパターンを識別することができる。更に、試験所５６０は相関データにアクセスして、上記に記載した任意の代表的な技術を用いて、示されたタガント表面マーキング及び識別された繰り返しパターンのアクセスした相関データとの比較に基づいて少なくとも１つのサプライチェーン要素を識別することができる。

[00137]更なる態様においては、試験所５６０は、特有のタガント表面マーキング、特有の繰り返しパターン、及び繰り返しパターンによって表される特有のコード（又はコードの複数の部分）を、サプライチェーンの種々の要素（例えば製造者５１０）に割り当てる中央機関として機能することができる。例えば、試験所５６０は、タガント表面マーキング、割り当てられたタガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターン、及び／又は割り当てられた繰り返しパターンによって表されるコードの一部を製造者５１０に割り当てることができる。

[00138]製造者５１０によって製造されたセルロースアセテート繊維及び対応する繊維製品内に含まれる標付繊維によって示される場合には、割り当てられたタガント表面マーキング、割り当てられた繰り返しパターン、及び／又は割り当てられたコードの部分は、製造者５１０を一意的に表すことができ、これにより、試験所５６０（及び更には又は或いは環境５００内の任意の他の機関）が上記に記載した任意の分析技術を用いて製造者５１０を繊維又は繊維製品の供給源として識別することを可能にすることができる。更に、試験所５６０（及び更には又は或いは環境５００内の任意の他の機関）は、種々のサプライチェーン要素（例えば製造者５１０）と、割り当てられたタガント表面マーキング、繰り返しパターン、及び／又はコード及びコードの複数の部分の対応するものとの間の相関を識別するデータ記録を作成して、（例えば下記に概説する代表的な演算システムを用いて実行される中央データベース内に）保持することもできる。

[00139]しかしながら、開示する態様は、代表的なタガント表面マーキング、代表的な繰り返しパターン、及び／又は代表的なコード及びコードの複数の部分を製造者５１０に割り当てることに限定されない。更なる態様においては、試験所５６０は、任意の更なる又は別のタガント情報、及び更にはタガント表面マーキング、繰り返しパターン、及び／又はコード及びコードの複数の部分の任意の更なる又は別の組或いは複数の組の組合せを割り当てて製造者５１０を一意的に識別することができる。

[00140]幾つかの形態においては、試験所５６０は、種々のサプライチェーン要素（例えば製造者５１０）を、タガント表面マーキング、タガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターン、及び／又は繰り返しパターンによって表されるコード及びコードの複数の部分の対応するものに相関させるデータ及びデータ記録に関する中央レポジトリーを（例えば下記に概説する任意の代表的な演算システムを用いて）作成することができる。更に、他の形態においては、試験所５６０は、この中央レポジトリーにアクセスして、サプライチェーン要素の少なくとも１つ（例えば製造者）を一意的に識別するタガント表面マーキング、タガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターン、及び／又は繰り返しパターンによって表されるコードを特定する１以上のレポートを作成することができる。試験所５６０は、幾つかの場合においては、所定の間隔で、又は（例えば要請機関５３０、製造者５１０等から）受け取った要請に応答してレポートを作成することができ、作成したレポートを環境５００内の種々の関係者及び機関に（例えばネットワーク５５０を介して）提供することができる。

[00141]幾つかの態様においては、試験所５６０は、中央レポジトリーにアクセスして、（例えば上記に概説した任意の分析技術を用いて）試験所５６０によって求められたか、及び更には又は或いは環境５００内の任意の第三者又は他の機関から得たタガント表面マーキング及び／又はタガント表面マーキングによって形成される繰り返しパターンに関連付けられた少なくとも１つのサプライチェーン要素（例えば製造者５１０）を識別することができる。更に、下記に記載するように、中央レポジトリーによって、試験所５６０が、（例えば製造者５１０によって選択された）提案されたタガント表面マーキング、タガント表面マーキングによって形成することができる提案された繰り返しパターン、及び／又は繰り返しパターンによって表すことができる提案されたコードによって、サプライチェーン中に導入される製造者５１０の繊維及び繊維製品を一意的に表すことができるかどうかを判断することができる。

[00142]幾つかの態様においては、試験所５６０は、１以上の提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案された繰り返しパターンによって表すことができる提案されたコード（又はコード部分）を、製造者５１０から受け取ることができる。試験所５６０は、例えば、提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）を、（例えば中央レポジトリー内の）形成されたデータ記録と比較して、これらの提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）によって、製造者５１０を一意的に識別することができるかどうか（例えば、提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）が、他の製造者のような他のサプライチェーン要素に割り当てられていないこと）を判断することができる。提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）が製造者５１０を一意的に表すことができる場合には、試験所５６０は、提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）を製造者５１０に割り当て、データ記録をアップデートしてこの割り当てを反映し、そして（ネットワーク５５０を介して試験所５６０と製造者５１０の演算システムの間で）製造者５１０への割り当ての認証を与えることができる。

[00143]或いは、試験所５６０が、提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）を従前に他の製造者に割り当てた（又は、提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）が製造者５１０を表すのに不適切である）場合には、試験所５６０は、１以上の代わりのタガント表面マーキング、代わりの繰り返しパターン、及び／又は代わりの繰り返しパターンによって表すことができる代わりのコード（又はコード部分）を製造者５１０に割り当て、データ記録をアップデートしてこの代わりの割り当てを反映させ、そして製造者５１０への代わりの割り当ての認証を与えることができる。他の形態においては、試験所５６０は、提案されたタガント表面マーキング、提案された繰り返しパターン、及び／又は提案されたコード（又はコード部分）を他の製造者に割り当てたことの指示を製造者５１０に与え、上記に記載したように試験所５６０によって割り当てるために、製造者５１０が１以上の更なるタガント表面マーキング、更なる繰り返しパターン、及び／又は更なる繰り返しパターンによって表すことができる更なるコード（又はコード部分）を提案することを要求することができる。

[00144]幾つかの形態においては、割り当てを認証したら、製造者５１０は、割り当てられた繰り返しパターンを形成し、割り当てられたコード及び／又はコード部分を表す割り当てられたタガント表面マーキングを示す標付繊維を入手及び／又は製造することができる。しかしながら他の形態においては、製造者５１０は更に、割り当てられたタガント表面マーキング、割り当てられた繰り返しパターン、及び／又は割り当てられた繰り返しパターンによって表される割り当てられたコード（又はコード部分）を、サプライチェーンの１以上の上流の要素（例えば、製造場所、製造ライン、製造ラン、製造日、梱包）、及び／又はサプライチェーンの種々の下流の要素（例えば、倉庫、取引先、納入先等）に相関させることができる。例えば、製造者５１０は更に、割り当てられた繰り返しパターンと関連づけられた更なるコード又はコードの複数の部分（即ち、製造者５１０を表すものとは別個のコード部分）が、サプライチェーン内の特定の取引先（例えば取引先５２０）、又は製造者５１０によって製造されて輸送された特定の梱包を一意的に表すことを明示することができる。

[00145]しかしながら、開示する態様は、製造者５１０が取引先５２０及び／又は特定の梱包を割り当てられたタガント表面マーキング、割り当てられた繰り返しパターン、及び／又は割り当てられた繰り返しパターンによって表される割り当てられたコード（又はコード部分）に相関させることを可能にする技術に限定されない。更なる態様においては、製造者５１０は、任意の更なる又は別のタガント情報（例えば、別個の特徴、複数の別個の特徴の組合せ等）を特定して、割り当てられたタガント表面マーキング、割り当てられた繰り返しパターン、及び／又は割り当てられた繰り返しパターンによって表される割り当てられたコード（又はコード部分）と組み合わせて、他の上流又は下流のサプライ要素（又はその組合せ）を表すことができる。

[00146]幾つかの形態においては、試験所５６０又は他の機関は、製造者５１０を、割り当てられたタガント表面マーキング、割り当てられた繰り返しパターン、及び／又は割り当てられた繰り返しパターンによって表される割り当てられたコード（又はコード部分）にリンクさせる情報を保持することができるが、製造者５１０は、製造者５１０によって製造される識別繊維、及びしたがって繊維製品をサプライチェーンの他の上流及び下流の要素にリンクさせる秘密の更なるタガント情報（例えば、別個の特徴、複数の別個の特徴の組合せ、割り当てられていないコード部分等）を保持することができる。幾つかの場合においては、更なるタガント情報の秘密性によって、取引先（例えば取引先５２０）、納入先、倉庫、及び製造者５１０に関係する他の内部のサプライチェーン要素（例えば、製造場所又はライン、並びに製造ラン又は日）を試験所５６０が識別することを、製造者５１０が阻止することを可能にすることができる。

[00147]上記に記載した態様により、サプライチェーンの特定の要素に相関するタガント情報の特定の組合せが識別され、試料の識別繊維において示される場合には、試験所、製造者、又は他の機関が試料に関連する特定のサプライチェーン要素を識別することが可能になる。しかしながら、当業者であれば、開示する態様は上記に概説した特定の組合せ又はタガント情報に限定されず、更なる態様においては、特定のサプライチェーン要素を識別繊維によって示される任意の更なる又は別の物理的、化学的、及び／又は光学的特徴（別個の特徴、及び／又は複数の別個の特徴の組合せが含まれるが、これらに限定されない）と相関させることができることを理解するであろう。更に、図５Ａ及び５Ｂには示されていないが、当業者であれば、環境５００に関係する機関（示されているか又は示されていない）は、開示する態様に合致する操作を実施する際に、１以上の倉庫を用いて原材料、中間製品、最終段階製品等を保管することができることを理解するであろう。

[00148]更に、開示する態様は、しかしながらタガント表面マーキング、繰り返しパターン、及び／又はコード並びにコード部分をサプライチェーンの種々の要素（例えば製造者）に割り与えることに限定されない。更なる態様においては、製造者５１０、試験所５６０、取引先５２０、要請機関５３０、又は第三者（示していない）は、他のタガント情報（別個の特徴、及び／又は複数の別個の特徴の組合せを含むが、これらに限定されない）をサプライチェーンの種々の要素に割り当てることができる。

[00149]図６は、開示する態様に合致する１以上の機関によって用いられる演算システム６００の非限定的な例を示す。製造者５１０（例えば製造者システム５１２として）、取引先５２０、要請機関５３０、及び／又は試験所５６０（例えば試験所システム５６２として）によって、種々の代表的なシステム６００を用いることができる。一態様においては、システム６００に、１以上のプロセッサー６２１、１以上の入出力（Ｉ／Ｏ）機器６２２、及び１以上のメモリー６２３を含ませることができる。幾つかの態様においては、システム６００は、サーバー、メインフレームコンピューター、又はこれらのコンポーネントの任意の組合せの形態をとることができる。幾つかの態様においては、システム６００は、スマートホン、タブレット、ラップトップコンピューター、又はこれらのコンポーネントの任意の組合せのようなモバイル演算機器の形態をとることができる。或いは、システム６００は、開示する態様と合致する１以上の操作を行うソフトウエア命令の保存、実行、及び／又は実施に基づく特定の装置、埋込システム、専用回路などとして構成することができる。

[00150]プロセッサー６２１には、モバイル機器マイクロプロセッサー又は任意の種々の他のプロセッサーのような１以上の公知の処理装置を含ませることができる。開示する態様は、システム６００内で構成されるいずれのタイプの１つ又は複数のプロセッサーにも限定されない。

[00151]メモリー６２３には、プロセッサー６２４によって用いられる命令を保存して、開示する態様に関連する機能を果たすように構成されている１以上の記憶装置を含ませることができる。例えば、メモリー６２３は、プロセッサー６２１によって実行された際に開示する態様と合致する１以上の操作を行うことができる１つ又は複数のプログラム６２４のような１以上のソフトウエア命令を有して構成することができる。開示する態様は、専ら特定の目的のためのタスク実行するように構成されている別のプログラム又はコンピューターに限定されない。例えば、メモリー６２３にはシステム６００の機能を果たす単一のプログラム６２４を含ませることができ、或いはプログラム６２４には複数のプログラムを含ませることができる。メモリー６２３はまた、別個の特徴をサプライチェーン情報の１以上の要素にマッピングする相関データのような１以上のプログラム６１２によって用いられるデータ６２５を保存することもできる。

[00152]Ｉ／Ｏ機器６２２は、データをシステム６００によって受信及び／又は送信することを可能にするように構成されている１以上の機器であってよい。Ｉ／Ｏ機器６２２には、環境５００の要素が環境５００の他の要素のような他の機械及び機器と通信することを可能にする１以上のデジタル及び／又はアナログ機器を含ませることができる。例えば、Ｉ／Ｏ機器６２２に、メッセージ、別個の特徴の情報、サプライチェーン情報を表示し、或いは製造者５１０、取引先５２０、要請機関５３０、及び／又は試験所５６０の従業員のようなユーザーに他の情報を与えるためのスクリーンを含ませることができる。Ｉ／Ｏ機器６２２にはまた、タッチセンサー領域、キーボード、ボタン、又はマイクのような、ユーザーがシステム６００と交信することを可能にする１以上のデジタル及び／又はアナログ機器を含ませることもできる。Ｉ／Ｏ機器６２２にはまた、ユーザーと交信するための当該技術において公知の他のコンポーネントを含ませることもできる。

[00153]システム６００のコンポーネントは、当業者に明らかなように、ハードウエア、ソフトウエア、又はハードウエア及びソフトウエアの両方の組合せの中に実装することができる。例えば、システム６００の１以上のコンポーネントはコンピューターの処理命令として実装することができるが、システム６００の機能の全部又は一部を、代わりに専用の電子機器ハードウエア中に実装することができる。

[00154]システム６００はまた、１以上のデータベース６２７に通信接続することもできる。システム６００は、ネットワーク５５０を介して１つ又は複数のデータベース６２７に通信接続することができる。データベース６２７には、情報を保存し、システム６００を通してアクセス及び／又は管理される１以上の記憶装置を含ませることができる。例として、１つ又は複数のデータベース６２７には、Oracle（登録商標）データベース、Sybase（登録商標）データベース、又はHadoopシーケンスファイル、HBase、又はCassandraのような他のリレーショナルデータベース又は非リレーショナルデータベースを含ませることができる。

[00155]データベース又は他のファイルには、例えば、別個の特徴、サプライチェーン情報、別個の特徴（例えば１つ又は複数のタガント表面マーキング）、タガント表面マーキングによって形成される１つ又は複数の繰り返しパターン、及び／又は１つ又は複数の繰り返しパターンと関連づけられている１つ又は複数のコードをサプライチェーン情報にマッピングする相関データ、サプライチェーン情報に割り当てられた別個の特徴（例えば１つ又複数のタガント表面マーキング）、タガント表面マーキングによって形成される１つ又は複数の繰り返しパターン、及び／又は１つ又は複数の繰り返しパターンと関連づけられている１つ又は複数のコードを表すデータ等を含ませることができる。例えば、データベース及び他のファイルに、サプライチェーン要素を、上記に記載したような繊維試料中に含まれる別個の特徴（例えば１つ又複数のタガント表面マーキング）、タガント表面マーキングによって形成される１つ又は複数の繰り返しパターン、及び／又は１つ又は複数の繰り返しパターンと関連づけられている１つ又は複数のコードにマッピングする相関データを含ませることができる。更に例として、データベース及び他のファイルに、上記で概説したような試験所５６０によってサプライチェーン要素に割り当てられた繊維試料中に含まれる別個の特徴（例えば１つ又複数のタガント表面マーキング）、タガント表面マーキングによって形成される１つ又は複数の繰り返しパターン、及び／又は１つ又は複数の繰り返しパターンと関連づけられている１つ又は複数のコードを含ませることもできる。

[00156]しかしながら、開示する態様のシステム及び方法は、離れたデータベースに限定されない。一形態においては、システム６００にデータベース６２７を含ませることができる。或いは、データベース６２７をシステム６００から離して配置することができる。データベース６２７には、１つ又は複数のデータベース６２７のメモリー機器内に保存されているデータに関する要求を受信及び処理し、データベース６２７からデータを提供するように構成されている演算コンポーネント（例えば、データベース管理システム、データベースサーバー等）を含ませることができる。

[00157]上記の記載は試験所５６０を種々のタガントを割り当てる機関として示しているが、他の形態においては、製造者５１０、取引先５２０、要請機関５３０、又は示されていない第三者機関を、識別繊維に関してタガントを割り当てる機関にすることができる。更に、図５Ａ及び５Ｂに示すように、本記載は、紙巻きタバコフィルターに関係するセルロースアセテートトウ及び非合法市場に焦点を置いているが、幾つかの態様は明らかに不正取引にかけられる任意の材料及び任意の物品の繊維に適用される。

[00158]図７は、開示する態様に関して理解され且つ上記に記載した、サプライチェーン情報を繊維中に埋め込む方法の非限定的な例を示す。
[00159]図８は、開示する態様に関して理解され且つ上記に記載した、相関データを作成する方法の非限定的な例を示す。例えば図８に示すように、製造者５１０（及び更には又は或いは試験所５６０）は、１以上の対応する属性を有するサプライチェーン要素の第１の構造化リストを作成することができ、識別繊維に施すか又はその中に含ませるのに供することができるタガント表面マーキングの第２の構造化リストを作成することができる。１つの場合においては、サプライチェーン要素は１以上の対応する属性を表すことができる。製造者５１０は、識別繊維（即ち標付繊維）の長さに沿ってタガント表面マーキングによって形成することができる繰り返しパターンを識別することができる。幾つかの形態においては、製造者５１０は、第１の構造化リストの要素を第２の構造化リストの要素にマッピングし、そして第１の構造化リストのサプライチェーン要素を識別された繰り返しパターンにマッピングすることができる。製造者５１０は、更なる形態においては、第１及び第２の構造化リストの要素のマッピングを反映する相関データを（例えばデータベース６２７内に）保存することができる。

[00160]図９は、開示する態様に関して理解され且つ上記に記載した、相関データを作成する方法の更なる非限定的な例を示す。例えば図９に示すように、試験所５６０（及び更には又は或いは製造者５１０）は、サプライチェーンの要素の第１の構造化リストを作成することができる。１つの場合においては、サプライチェーン要素は１以上の対応する属性を表すことができる。試験所５６０はまた、識別繊維（即ち標付繊維）に施すか又はその中に含ませるのに適切な１以上のタガント表面マーキングを特定することもでき、特定されたタガント表面マーキングによって形成することができる潜在的な繰り返しパターンを含む第２の構造化リストを作成することができる。幾つかの形態においては、試験所５６０は、第２の構造化リストの潜在的な繰り返しパターンに割り当てることができ、第１の構造化リストのサプライチェーン要素を表すことができる潜在的なコード又はコードの複数の部分を特定する第３の構造化リストを作成することができる。試験所５６０は更に、第１の構造化リストの要素を第２の構造化リストの要素にマッピングし、更に第１の構造化リストの要素を第３の構造化リストの要素にマッピングすることができる。幾つかの形態においては、試験所５６０は、サプライチェーン要素の属性の潜在的な繰り返しパターン及び潜在的なコード及びコードの複数の部分へのマッピングを反映する相関データを（例えばデータベース６２７内に）保存することができる。

[00161]図１０は、開示する態様に関して理解され且つ上記に記載した、識別繊維の製造方法の非限定的な例を示す。
[00162]図１１は、開示する態様に関して理解され且つ上記に記載した、繊維試料に関連する少なくとも１つのサプライチェーン要素を識別する方法の非限定的な例を示す。

[00163]図１２は、開示する態様に関して理解され且つ上記に記載した、サプライチェーン要素を一意的に表すタガント表面マーキング、繰り返しパターン、並びにコード及びコードの複数の部分をサプライチェーン要素に割り当てる方法の非限定的な例を示す。

[00164]非限定的な態様Ａ１〜Ａ２４を下記に示す。
[00165]Ａ１．１以上の識別繊維を含み；識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示し；識別繊維は１以上の標付繊維を含み；標付繊維は１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示し；タガント表面マーキングは標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成し；タガント表面マーキング及び／又は繰り返しパターンは繊維のコードを表す繊維。

[00166]Ａ２．標準繊維を更に含み、コードは繊維又は標準繊維の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す、態様Ａ１の繊維。
[00167]Ａ３．繰り返しパターンが、英数字コード、デジタルコード、アナログコード、又は表意文字コードを含む、態様Ａ１又はＡ２のいずれかの繊維。

[00168]Ａ４．繰り返しパターンがメタデータを含む、態様Ａ１の繊維。
[00169]Ａ５．メタデータが、読み取り開始位置、読み取り終了位置、読み取り方向、又はコード内の桁の間隔を含む、態様Ａ４の繊維。

[00170]Ａ６．繰り返しパターンがデジタルコードを含み、デジタルコードはバイナリーコードを含む、態様Ａ３〜Ａ５のいずれかの繊維。
[00171]Ａ７．バイナリーコードにおける桁数が、２〜５００、４〜１００、１０〜１００、２０〜１００、４〜５０、１０〜５０、又は２０〜５０の範囲である、態様Ａ６の繊維。

[00172]Ａ８．繰り返しパターンの長さが、２ｍｍ〜５００ｍｍ、２〜２００ｍｍ、２〜３０ｍｍ、５ｍｍ〜２００ｍｍ、５ｍｍ〜３０ｍｍ、１０ｍｍ〜２００ｍｍ、又は１０〜３０ｍｍの範囲である、態様Ａ１〜Ａ７のいずれかの繊維。

[00173]Ａ９．繰り返しパターンが実質的に一次元である、態様Ａ１〜Ａ８のいずれかの繊維。
[00174]Ａ１０．繰り返しパターンが標付繊維の上に印刷されている、態様Ａ１〜Ａ９のいずれかの繊維。

[00175]Ａ１１．繰り返しパターンが、浮き出し印刷又は形態変化によって標付繊維の上に与えられている、態様Ａ１〜Ａ９のいずれかの繊維。
[00176]Ａ１２．標準繊維がセルロースアセテートを含む、態様Ａ２〜Ａ１１のいずれかの繊維。

[00177]Ａ１３．標付繊維が溶剤中に実質的に不溶であり、標準繊維は溶剤中に可溶である、態様Ａ２〜Ａ１２のいずれかの繊維。
[00178]Ａ１４．標付繊維がアセトン又は塩化メチレン中に実質的に不溶である、態様Ａ１２又はＡ１３のいずれかの繊維。

[00179]Ａ１５．標付繊維がトリアセチンとの溶剤結合を実質的に起こさない、態様Ａ１２〜Ａ１４のいずれかの繊維。
[00180]Ａ１６．標付繊維が、アクリル、モダクリル、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レイヨン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、セルローストリアセテート、又はＰＴＦＥを含む、態様Ａ１〜Ａ１５のいずれかの繊維。

[00181]Ａ１７．少なくとも１つのサプライチェーン要素が、標準繊維の製造者、標準繊維の製造場所、標準繊維の製造ライン、標準繊維の製造ラン、標準繊維の製造日、標準繊維の包装、標準繊維の倉庫、標準繊維の取引先、標準繊維の納入先、繊維を含む繊維バンドの製造者、繊維バンドの製造場所、繊維バンドの製造ライン、繊維バンドの製造ラン、繊維バンドの製造日、繊維バンドの包装、繊維バンドの倉庫、繊維バンドの取引先、繊維バンドの納入先、繊維を含む物品の製造者、物品の製造場所、物品の製造ライン、物品の製造ラン、物品の製造日、物品の包装、物品の倉庫、物品の取引先、又は物品の納入先を含む、態様Ａ２〜Ａ１６のいずれかの繊維。

[00182]Ａ１８．態様Ａ２〜Ａ１７のいずれかの繊維を含み、標準繊維はセルロースアセテートを含むアセテートトウバンド。
[00183]Ａ１９．少なくとも１つのサプライチェーン要素が、アセテートトウバンドの製造者、アセテートトウバンドの製造場所、アセテートトウバンドの製造ライン、アセテートトウバンドの製造ラン、アセテートトウバンドの製造日、アセテートトウバンドの梱包、アセテートトウバンドの倉庫、アセテートトウバンドの取引先、又はアセテートトウバンドの納入先を含む、態様Ａ１８のアセテートトウバンド。

[00184]Ａ２０．少なくとも１つのサプライチェーン要素がアセテートトウバンドの梱包を含む、態様Ａ１８又はＡ１９のいずれかのアセテートトウバンド。
[00185]Ａ２１．態様Ａ２〜１７のいずれかの繊維を含むアセテートトウバンドの製造方法であって、（ａ）識別繊維を入手し；（ｂ）第１の繊維製造プロセスで標準繊維を製造し；そして（ｃ）識別繊維と標準繊維を結合してアセテートトウバンドにする；ことを含む上記方法。

[00186]Ａ２２．標付繊維を含む識別繊維を入手することが、（ｉ）第２の繊維製造プロセスで識別繊維の一部を製造し、次にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで識別繊維に施して標付繊維の一部を製造すること；（ｉｉ）識別繊維の一部を第三者から受取り、次にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで識別繊維に施して標付繊維の一部を製造すること；或いは（ｉｉｉ）標付繊維の一部を第三者から受け取ること；の少なくとも１つを含む、態様Ａ２１の方法。

[00187]Ａ２３．タガント表面マーキングを繰り返しパターンで施すことが、浮き出し印刷、印刷、又は形態変化を含む、態様Ａ２２の方法。
[00188]Ａ２４．施すことが、標準繊維を製造するのと同時に、標付繊維の上にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで印刷し、アセテートトウバンドを捲縮する前に標付繊維と標準繊維を結合することを含む、態様Ａ２２の方法。

[00189]Ａ２５．施すことが、標準繊維を製造するのと同時に、標付繊維の上にタガント表面マーキングを繰り返しパターンでレーザー浮き出し印刷し、アセテートトウバンドを捲縮する前に標付繊維と標準繊維を結合することを含む、態様Ａ２１の方法。

[00190]Ａ２６．繊維試料を特徴付ける方法であって、繊維試料は態様Ａ２〜Ａ１７のいずれかの繊維を含み；（１）場合によって繊維試料から標付繊維を分離し；（２）画像技術を標付繊維に適用し；そして（３）タガント表面マーキングの繰り返しパターンを測定する；ことを含む上記方法。

[00191]Ａ２７．分離することが、繊維試料を溶剤中に配置して、繊維試料の溶解部分及び標付繊維を含む溶液を形成し、溶液から標付繊維を取り出すことを含む、態様Ａ２６の方法。

[00192]Ａ２８．標準繊維がセルロースアセテートを含み、繊維試料は繊維を含む物品の一部を含み、物品はフィルターロッド及び紙巻きタバコフィルターからなる群から選択される、態様Ａ２６又はＡ２７のいずれかの繊維。

[00193]Ａ２９．繊維試料が繊維を含む物品の一部を含み、物品は、布帛及び他の編織製品、不織布、及び吸収材製品からなる群から選択される、態様Ａ２６又はＡ２７のいずれかの繊維。

[00194]Ａ３０．画像技術が、人間の目視検査、顕微鏡検査、電子顕微鏡検査、共焦点顕微鏡検査、及び光学スキャンからなる群から選択される、態様Ａ２６〜Ａ２９のいずれかの繊維。

[00195]Ａ３１．タガント表面マーキング及び繰り返しパターンを、製造に特異のタガントを含むデータベースに相関させて少なくとも１つのサプライチェーン要素を求めることを更に含み、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、標準繊維の製造者、標準繊維の製造場所、標準繊維の製造ライン、標準繊維の製造ラン、標準繊維の製造日、標準繊維の包装、標準繊維の倉庫、標準繊維の取引先、標準繊維の納入先、繊維を含む繊維バンドの製造者、繊維バンドの製造場所、繊維バンドの製造ライン、繊維バンドの製造ラン、繊維バンドの製造日、繊維バンドの包装、繊維バンドの倉庫、繊維バンドの取引先、繊維バンドの納入先、繊維を含む物品の製造者、物品の製造場所、物品の製造ライン、物品の製造ラン、物品の製造日、物品の包装、物品の倉庫、物品の取引先、又は物品の納入先を含む、態様Ａ２６〜Ａ２９のいずれかの繊維。

[00196]Ａ３２．繊維試料がフィルターの一部を含み、フィルターはアセテートトウバンドを含み、少なくとも１つのサプライチェーン要素はアセテートトウバンドの梱包を含む、態様Ａ３１の方法。

実施例１：
[00197]ID Technologies（登録商標）Ci3300インクジェットプリンターを用い、図２の設定をプリンターのグラフィックデザインユーティリティー中に入力して、直径０．２８ｍｍのナイロンモノフィラメントに図２のコードを印刷した。用いたインクは、ID Technologies（登録商標）によって提供されたアセトンベースの特許配合のものであった。ナイロンモノフィラメントをセルロースアセテートヤーンの製造において通常的なスプール上に巻回しながら、印刷コードを連続的に施した。プリンターヘッドは、印刷されるバーが繊維及び繊維の移動方向に対して垂直方向になるように繊維の上方に配置して、インクが繊維に接触することを確保した。プリンターの幅設定（これによりバーを印刷する時点の間の時間間隔が制御される）及び繊維の速度（即ち、巻取機の表面速度）を調節することによって、繊維上に得られる印刷マークの間に約１ｍｍの間隔が得られた。約１０００ｍのエンコード又は標付繊維が製造された。

[00198]エンコードしたナイロンモノフィラメントのスプールをその包装から取り出し、捲縮機の前にセルロースアセテートトウ製造プロセスのトウバンド中に供給した。セルロースアセテートトウは、みかけの２．８フィラメントデニール及び３１，０００全デニールを有する通常の商業的な「Ｙ」字形の断面のトウ物品であった。標準的な製造条件を用いて、エンコードしたモノフィラメントを有するトウを捲縮し、コンディショニングし、梱包業者に送った。

[00199]AF2Nプラグメーカー上で、３００ｍ／ｍのテープ速度でトウからフィルターロッドを製造して、タバコ産業において用いられている通常のトウ重量及びトリアセチン可塑剤レベルの長さ１２０ｍｍのフィルターロッドを形成した。エンコードした繊維をロッドから手作業で引き抜き、顕微鏡で検査した。印刷された情報は容易に検出可能及び定量可能な状態で保持されていた。図３ａは、エンコードした繊維を含むトウを用いて製造されたフィルターロッドから引き抜いた繊維の合成画像を示す。コードの離隔性及び明瞭性は、同様に製造された全ての試料に特有であった。

実施例２：
[00200]直径０．２ｍｍのポリプロピレンモノフィラメントを用いて実施例１を繰り返した。実施例１と同様にうまくコード化したモノフィラメントをトウバンド中に導入してフィルターロッドに加工することができたが、印刷インクは繊維基材に良好に付着せず、ある程度のシミ及び不鮮明さがもたらされて、引き抜いた標付繊維はうまくデコードすることができなかった。異なるインク及び／又は繊維表面の変性はインクの付着性を向上させると考えられるが、ポリプロピレン繊維に関しては更なる実験は行わなかった。

実施例３：
[00201]ポリエステル糸を用いて実施例１のアセテートトウバンド製造を繰り返した。エンコードした糸を手作業でトウから引き抜いた。実施例１と同様に、エンコードした情報は容易に検出可能で定量可能な状態で保持されていた。図３ｂは、引き抜いた標付糸の合成画像を示す。コードの離隔性及び明瞭性は、同様に製造された全ての試料に特有であった。

実施例４：
[00202]MACSA二酸化炭素レーザーを用いて、０．１９３ｍｍの直径を有するＵＨＳ（アクリル）モノフィラメント繊維の試料にパターンをマーキングした。マーキングした繊維を図４に示す。写真に示すモノフィラメントを用いてフィルターロッドは製造しなかったが、当業者であれば実施例１及び３のものと同様のフィルターロッドの結果を予測するであろう。

[00203]他の態様は、本明細書及びここに開示した複数の態様の実施を考察することによって当業者に明らかになるであろう。開示する態様の精神及び範囲内で変更及び修正を行うことができることが理解される。更に、明細書及び実施例は例示のみとしてみなされ、開示する態様の真の範囲及び精神は特許請求の範囲によって示されることが意図される。

Claims (29)

1. １以上の識別繊維を含み；
   識別繊維のそれぞれは少なくとも１つの別個の特徴を示し；
   識別繊維は１以上の標付繊維を含み；
   標付繊維は１以上のタガント表面マーキングを含む別個の特徴を示し；
   タガント表面マーキングは標付繊維の長さに沿って繰り返しパターンを形成し；
   繰り返しパターンは繊維のコードを表す繊維。
2. 標準繊維を更に含み、コードは繊維又は標準繊維の少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す、請求項１に記載の繊維。
3. 繰り返しパターンが、英数字コード、デジタルコード、アナログコード、又は表意文字コードを含む、請求項１又は２のいずれかに記載の繊維。
4. 繰り返しパターンがメタデータを含む、請求項３に記載の繊維。
5. メタデータが、読み取り開始位置、読み取り終了位置、又は読み取り方向を含む、請求項４に記載の繊維。
6. 繰り返しパターンがデジタルコードを含み、デジタルコードはバイナリーコードを含む、請求項３〜５のいずれかに記載の繊維。
7. バイナリーコードにおける桁数が４〜１００の範囲である、請求項６に記載の繊維。
8. 繰り返しパターンの長さが５ｍｍ〜２００ｍｍの範囲である、請求項１〜７のいずれかに記載の繊維。
9. 繰り返しパターンが実質的に一次元である、請求項１〜８のいずれかに記載の繊維。
10. 繰り返しパターンが標付繊維の上に印刷されている、請求項１〜９のいずれかに記載の繊維。
11. 繰り返しパターンが、浮き出し印刷又は形態変化によって標付繊維の上に与えられている、請求項１〜９のいずれかに記載の繊維。
12. 標準繊維がセルロースアセテートを含む、請求項２〜１１のいずれかに記載の繊維。
13. 標付繊維が溶剤中に実質的に不溶であり、標準繊維は溶剤中に可溶である、請求項２〜１１のいずれかに記載の繊維。
14. 標付繊維がアセトン又は塩化メチレン中に実質的に不溶である、請求項１２又は１３のいずれかに記載の繊維。
15. 標付繊維がトリアセチンとの溶剤結合を実質的に起こさない、請求項１２〜１４のいずれかに記載の繊維。
16. 標付繊維が、アクリル、モダクリル、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レイヨン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、セルローストリアセテート、又はＰＴＦＥを含む、請求項１〜１５のいずれかに記載の繊維。
17. 請求項１〜１６のいずれかに記載の繊維を含む物品。
18. フィルター（好ましくはフィルターロッド又は紙巻きタバコフィルター）、並びに布帛及び他の編織製品、不織布、並びに吸収材製品からなる群から選択される、請求項１３に記載の物品。
19. アセテートトウバンド、又はアセテートトウバンドを含むフィルター（好ましくはフィルターロッド又は紙巻きタバコフィルター）である、請求項１７に記載の物品。
20. 繰り返しパターンが、アセテートトウバンドの製造者、アセテートトウバンドの製造場所、アセテートトウバンドの製造ライン、アセテートトウバンドの製造ラン、アセテートトウバンドの製造日、アセテートトウバンドの梱包、アセテートトウバンドの倉庫、アセテートトウバンドの取引先、又はアセテートトウバンドの納入先を含む少なくとも１つのサプライチェーン要素を表す、請求項１９に記載の物品。
21. 請求項１９又は２０のいずれかに記載のアセテートトウバンドの製造方法であって、
    （ａ）識別繊維を入手し；
    （ｂ）第１の繊維製造プロセスで標準繊維を製造し；そして
    （ｃ）識別繊維と標準繊維を結合してアセテートトウバンドにする；
    ことを含む上記方法。
22. 標付繊維を含む識別繊維を入手することが、
    （ｉ）第２の繊維製造プロセスで識別繊維の一部を製造し、次にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで識別繊維に施して標付繊維の一部を製造すること；
    （ｉｉ）識別繊維の一部を第三者から受取り、次にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで識別繊維に施して標付繊維の一部を製造すること；或いは
    （ｉｉｉ）標付繊維の一部を第三者から受け取ること；
    の少なくとも１つを含む、請求項２１に記載の方法。
23. タガント表面マーキングを繰り返しパターンで施すことが、浮き出し印刷、印刷、又は形態変化を含む、請求項２２に記載の方法。
24. 施すことが、標準繊維を製造するのと同時に、標付繊維の上にタガント表面マーキングを繰り返しパターンで印刷又はレーザー浮き出し印刷し、アセテートトウバンドを捲縮する前に標付繊維と標準繊維を結合することを含む、請求項２２に記載の方法。
25. 繊維試料を特徴付ける方法であって、繊維試料は請求項１〜１６のいずれかに記載の繊維又は請求項１７〜２０のいずれかに記載の物品を含み；
    （１）繊維試料から標付繊維を分離し；
    （２）画像技術を標付繊維に適用し；
    （３）タガント表面マーキングの繰り返しパターンを測定する；
    ことを含む上記方法。
26. 分離することが、繊維試料を溶剤中に配置して、繊維試料の溶解部分及び標付繊維を含む溶液を形成し、溶液から標付繊維を取り出すことを含む、請求項２５に記載の方法。
27. 画像技術が、人間の目視検査、顕微鏡検査、電子顕微鏡検査、共焦点顕微鏡検査、及び光学スキャンからなる群から選択される、請求項２５〜２６のいずれかに記載の方法。
28. タガント表面マーキングの繰り返しパターンを、製造に特異のタガントを含むデーターベースに相関させて少なくとも１つのサプライチェーン要素を求めることを更に含み、少なくとも１つのサプライチェーン要素は、標準繊維の製造者、標準繊維の製造場所、標準繊維の製造ライン、標準繊維の製造ラン、標準繊維の製造日、標準繊維の包装、標準繊維の倉庫、標準繊維の取引先、標準繊維の納入先、繊維を含む繊維バンドの製造者、繊維バンドの製造場所、繊維バンドの製造ライン、繊維バンドの製造ラン、繊維バンドの製造日、繊維バンドの包装、繊維バンドの倉庫、繊維バンドの取引先、繊維バンドの納入先、繊維を含む物品の製造者、物品の製造場所、物品の製造ライン、物品の製造ラン、物品の製造日、物品の包装、物品の倉庫、物品の取引先、又は物品の納入先を含む、請求項２５〜２７のいずれかに記載の方法。
29. 繊維試料がフィルターの一部を含み、フィルターはアセテートトウバンドを含み、タガント表面マーキングの繰り返しパターンを、製造に特異のタガントを含むデーターベースに相関させることを更に含み、少なくとも１つのサプライチェーン要素はアセテートトウバンドの梱包を含む、請求項２８に記載の方法。