JP2017527258A - 商業的無菌試験のための血液培養プラットフォームの使用における改良 - Google Patents

商業的無菌試験のための血液培養プラットフォームの使用における改良 Download PDF

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Abstract

液体食品内の微生物の存否を示すシステム。システムは、試験される試料を受け入れるためのボトルを有している。ボトルは、少なくとも1つの試料パラメータの変化を監視かつ検出するセンサを有しているが、微生物生長を支援する栄養素を含む添加物を有していない。ボトルは、培養器内に配置され、ボトル内のセンサが変化に対して監視される。培養器は、もしセンサが監視されたパラメータの値がある特定値に達したことを検出したなら、試料が微生物生長に関して陽性であると決定されるように、プログラム化されている。

Description

[関連出願の相互参照]
本願は、2014年5月27日に出願された中国特許出願第2014/10227620.9号の出願日の利得を主張するものであり、その開示内容は、参照することによってここに含まれるものとする。
食源性疾病は、国民全体の関心事である。殆どの先進国は、食源性疾病を生じる可能性のある病原菌による汚染のない信頼性の高い安全な食品供給を確実なものとするための方針および手順を構築している。
多くの国は、汚染された食品が食品供給に混入しないことを確実にするために、食品の汚染を検査するための試験およびプロトコルを発展させてきている。このようなプロトコルの一例は、中華人民共和国の国家食品安全規格である。米国では、食品供給を病原菌に関して監視するための試験および規格が、米国農務省によって公布され、施行されている。
これらの試験の目標は、安全でない食品または安全でない可能性のある食品が消費者に供給されるのを防ぐことにある。しかし、このような試験と同様、消費に対して安全でない可能性のある食品を見分けと共に、病原菌または汚染物に関して試料を誤って試験することなく、安全でない食品が消費者に供給されるのを防ぐために、試験の正確性が極めて重要である。偽陽性は、供給者および消費者のみならず社会に経済的な負担をもたらすことになる。従って、食品を検査するどのような方法、システム、または装置も、現実の公衆衛生リスクをもたらす食品の識別を正確に行なわねばならない。
中国検査規格のプロトコルが、図1に示されている。基本的に、包装容器内にある試料100(例えば、ミルク)が、容器損傷または容器完全性の欠損の兆候に関して検査される(120)。もし容器が健全であると決定されたなら、該容器は、ステップ140において培養器内に配置される。容器は、約35℃の温度下にある培養器内に10日間にわたって貯蔵される。この時間が経過した後、容器は、病原菌の存在を表す肥大または膨張の兆候に関して目視検査される。もし容器が培養中に該容器内における微生物生長の兆候を呈したなら、該容器は、試料が開封かつ検査される前に、冷蔵庫内において冷却される。これによって、開封されたとき、汚染された試料が容器の外に吸い出されないことが確実になる。また、対照試料が、培養された試料に対する対照群として冷蔵庫内に配置される。培養された試料の内容物のpHが測定されたとき、このpHは、冷蔵された試料の内容物のpHと比較される。0.5以上のpHの差は、培養された試料内における微生物生長の指標とされる。
培養時(および必要に応じて冷却時)に微生物生長の物理的兆候を示した容器は、開封される(150)。内容物の一定分量が取り出され(160)、無菌容器内に配置される。保存された試料は、微生物汚染の源である微生物を識別するために、培地に接種され、培養される。
容器が開封されたら、内容物のpHが測定され、試料の感覚刺激性特性(例えば、匂い、色、などの感覚によって判別される特性)が検査される(170)。次いで、試料は、顕微鏡検査のための準備がなされる(180)。顕微鏡検査は、微生物汚染の源を識別し、該微生物が病原菌であるかどうかを決定することが意図されている。検査の後、報告書が提出される。報告書は、試料が容認可能であるか(すなわち、商業的無菌であるか)または容認可能でないか(商業的無菌でないか)のいずれかであることを示すことになる。
図1に記載されている方法は、試料の培養のための長い待機によって時間がかかる。試料内における微生物生長を検出するための自動化システムを用いて、このような試料の検査を促進させる試みがなされてきている。「BacT/ALERT 3Dシステムによるキノコ(すなわち、マッシュルーム)缶の商業的無菌性の迅速検出に関する研究」と題する非特許文献1は、BacT/ALERT 3Dシステムを用いる3日間で検査する方法を報告している。BacT/ALERTでは、試料は、培地を含むボトル内に配置されるようになっている。また、ボトルは、COセンサを有している。センサは、試料内の二酸化炭素の存在を検出する。もしシステムが培養中に一定レベルを越える試料ボトルの二酸化炭素分の増大を検出したなら、該システムは、試料が微生物生長に関して陽性であるという信号を発するようになっている。この研究のために、2種類の培地入りボトルが用いられた。一方のボトル(iASTボトル)には、好気性細菌検出用の培地が含まれ、他方のボトル(iNSTボトル)には、嫌気性細菌検出用の培地が含まれている。これらの(培地を含む)ボトルに、互いに異なる種類の低レベルの細菌および10mLの製品(マッシュルーム缶内の溶液)が添加された。BacT/ALertを用いた試験の結果が得られるまでの時間が、表1に記載され、16時間から約30時間の範囲内にあると報告されている。また、マッシュルームを含む45本の缶を用いる細菌無添加試料の実験も報告されている。BacT/ALertを用いた試験の結果は、本明細書において標準試験プロトコルと呼ばれる中国プロトコルを用いた検査の結果と比較された。BacT/ALertの試験は、45の試料の内、1つの陽性試料を識別し、この汚染は、標準試験プロトコルを用いて検証された。
「コンニャク缶の商業的無菌検出へのBacT/ALERT 3Dシステムの応用」と題する非特許文献2は、BacT/ALERT 3Dによるコンニャク缶の試験を記載している。59本の缶の(細菌が添加されない)試料が試験された。この結果は、標準試験を用いて試験された缶の結果と比較された。3つの試料容器が、この試験に用いられた。1つの容器から10mLの試料が、各BacT/Alertボトルに添加された。具体的には、10mLの試料は、i.ASTボトルおよびi.NSTボトルの各々に添加された。第2の容器は、標準試験プロトコルによって分析され、第3の容器は、後の試験のために室温で保持された。標準試験プロトコルを用いて試験された缶の場合、缶のいずれも品質管理の落度が見られなかった。しかし、BacT/ALERTによって試験された19の試料は、一方または両方のボトルにおいて生長した微生物に関して陽性であると報告された。これらの陽性結果は、(標準試験による)対照試験との比較によって、偽陽性であると見なされた。19のBacT/ALERT陽性試料の内、3つの試料は、微生物を含んでいないことが確認された。微生物の存否を確認するために、陽性ボトルからの試料が5つの異なる標準培地上に接種され、微生物成長の存否が検出された。一方、陽性ボトルからの試料は、微生物生長の証拠を得るために、さらに顕微鏡検査された。これらから、3つの陽性試料は、偽陽性試料であることが決定された。何故なら、これらの試料の3つの全てにおいて、接種培養または顕微鏡検査された試料のいずれにおいても、微生物生長の兆候が見られなかったからである。BacT/ALERTを用いた試験によって陽性と識別された他の16のボトルでは、種々の細菌が単離された。この文献によると、コンニャク缶は、おそらくいくらかの生体微生物を含んでいるが、これらの微生物は、高pH環境(10−12.5)に起因して、コンニャク缶内において生長することができない。従って、これらの缶では、微生物がいかに存在していても、病原菌ではなく、その内容物は、消費に対して危険をもたらすものではなく、中国政府によって制定された標準試験プロトコルを合格することになる。にもかかわらず、いったん試料がBact/Alertの試験のために培地を含むボトル内において希釈されると、微生物が生長することができ、Bact/Alert機器が陽性結果を報告することになる。
非特許文献3は、ミルク無菌性を評価するためのBact/Alertの使用を記載している。この研究では、一種類の超高温(UHT)ミルクに2種類の細菌系統(大腸菌およびセレウス菌)が添加された。これらの細菌系統のいずれもが好気性環境において生長するので、ASTボトルのみが評価された。この試験は、大容量の試料がより感度が高くなることを示しているが、偽陽性の課題に対処していない。何故なら、この結果は、Bact/Alerを用いて得られた結果を標準試験プロトコルと比較していないからである。
Zheng,J.,et al.,"Study on rapid detect commercial sterilization of fungus cans with Bact/ALERT 3D system", Food Science and Technology, No. 9, pp. 196-199 (2007) Zheng, J., et al., "Application of Bact/Alert 3D System in detection of Commercial Sterilization of Konjac Cans", Food Science, Vol. 29, No. 10, pp. 463-467 (2008) Dong, R., et al. Heilongjiang Province CDC, Chinese Primary Health Care, Vo. 23, No. 12 (December 2009)
従って、食品を病原菌に関して試験する代替的な方法およびシステムであって、検出時間を短縮しながら、偽陽性または偽陰性の数に関して標準試験プロトコルと比べて遜色のない、代替的な方法およびシステムが、依然として求められている。
流体食品の汚染を試験するためのシステム。システムは、培養器内に用いられるように適合された試料容器を用いるようになっている。試料容器は、微生物生長の証拠を得るために容器内に配置された試料を監視するものである。これに関して、センサが容器内に配置されている。センサは、培養器内において加熱された試料の少なくとも1つのパラメータを監視するようになっている。パラメータは、万一培養中に試料内において微生物成長が生じたなら、変化することになる試料の状態である。これに関して、センサは、微生物の代謝活動に応じて変化する試料パラメータの変化に対して応答をもたらすことになる。このようなパラメータの例として、試料内の酸素の濃度、試料内の二酸化炭素の濃度、または試料のpHが挙げられる。
センサを監視しているときに、もしパラメータの測定値が所定値を越えたなら、システムは、ボトルが微生物の存在に関して陽性であるという信号を発することになる。センサは、試料が容器内に導かれたときにセンサが試料に接触するように、容器内に配置されている。システムは、微生物生長に関連して監視されるパラメータの所定の閾値によってプログラム化されている。これに関して、もし測定されているパラメータが微生物の代謝活動によって生成されたなら、該測定されているパラメータは、増大する(例えば、CO)。続いて、もし測定されているパラメータの値が微生物の代謝活動によって消費されたなら、該パラメータは、減少する(例えば、O)。
システムは、試料容器を受け入れるために培養器に貯蔵部分を有している。試料容器は、システムの検出器が培養器内における試料の培養中にセンサを監視することができるように、位置決めされている。試料容器は、微生物生長のための栄養素を含む添加物を含むことなく、試料が試料容器内に導かれるようになっている。
流体食品を微生物汚染に関して試験するための方法も記載されている。この方法では、試験試料が、検査下にある商業的に包装された試料から取り出される。試験試料は、微生物生長に関連するパラメータを監視するセンサを有する無菌容器内に導かれる。試料は、液状で容器内に導かれる。しかし、試料は、液体試料(例えば、ミルク)であってもよいし、他の固形試料と共に包装された塩水または液体であってもよいし、または試験のために液化された固体試料であってもよい。試料は、本明細書において液体試料と呼ばれ、試験される試料は、周囲温度および試験温度において液体である。センサは、後続の培養中に試験試料に接触するように、容器内に配置される。容器は、容器内における微生物生長を支援する栄養素を有していない。次いで、センサによって監視されるパラメータの変化に関して該センサを監視しながら、試料が約30℃から38℃の温度で培養される。もしセンサの測定値が微生物生長に関連する所定値に達したなら、試料が微生物生長に関して陽性であるという信号が発せられる。
本発明のこれらのおよび他の目的、利点、および新規の特徴は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読めば、より容易に理解されるだろう。
標準試験プロトコルの流れ図である。 本発明の実施形態による多数の培養および測定器具を用いるシステムであって、各器具は、光熱分光を用いて、試料ボトル内の酸素または二酸化炭素のようなガスの濃度を監視し、これによって、試料ボトル内の微生物生長を検出するようになっている、システムのブロック図である。 図1に示されているシステムに用いられる器具の詳細図である。 図3の器具の破断上面図である。 本明細書に記載されているシステムおよび方法に用いられるように構成されたBACTECボトルを示す図である。
本発明の実施形態による試料培養における微生物の生長を検出するためのシステム100が、図2に示されている。図示されているように、システム100は、中央コンピュータ104に接続された複数の培養および測定モジュール102を備えている。中央コンピュータ104は、培養温度および培養時間、ならびにモジュール102によって行なわれる測定のタイミングを制御し、モジュール102によって得られたデータ測定値を収集し、かつ分類することが可能である。また、システム100は、プリンター106のようなデータ出力装置を備えていてもよい。プリンター106は、培養および測定モジュール102によって得られたデータ測定値を印刷するように、中央コンピュータ104によって制御可能になっている。
このようなシステムの例は、当業者にとって周知であり、ここでは詳細に説明しないことにする。このようなシステムの一例は、Becton Dickinsonから市販されているBD BACTECTMFX40である。BD BACTECTMFX40の操作は、BD BACTECTMFX40機器ユーザーズマニュアル(書類番号8090414)およびカタログ番号441980に記載されている、なお、これらは、参照することによって、ここに含まれるものとする。BD BACTECTMFX40および他のこのような機器(例えば、ミシガン州ランシング のNeogen Corpotatio から市販されているSoleris(登録商標))の操作は、当業者にとって周知であり、ここでは詳細に説明しないことにする。
培養および測定モジュール102のさらなる細部が、図3,4に示されている。図示されているように、この例における各培養および測定モジュール102は、ハウジング108および2つの棚110を備えている。棚110は、矢印Aに沿った方向においてハウジング108に出入りするように摺動可能になっている。各棚110は、複数の開口112を備えており、これらの開口は、各々、試料ボトル114を受け入れるように構成されている。開口112は、図示されているように複数の行および列をなして配置されている。各棚110は、どのような実際的な数の開口を有していてもよい。例えば、開口112は、9行×9列に配置されていてもよく、これによって、棚110ごとに総数81個の開口112を有することができる。
試料が培養および測定モジュール102によって分析されるとき、該試料は、試料ボトル114内に入れられ、試料ボトル114は、培養および測定モジュール102の各開口112内に装填される。試料ボトル114は、この例では、閉鎖された試料ボトルである。培養および測定モジュール102は、キーボード、バーコードリーダー、または任意の他の適切なインタ−フェイスをさらに含んでいてもよい。インターフェイスによって、医療技師は、試料に関する情報を培養および測定モジュール102、中央コンピュータ104、またはその両方のメモリに記憶されたデータベースに入力することが可能になる。情報の例として、例えば、患者情報、試料の種類、試料ボトル114が装填されている開口112の行および列、などが挙げられる。
各培養および測定モジュール102は、可動監視アセンブリ116をさらに備えている。監視アセンブリ116は、試料ボトル114の内側に配置されたセンサ210からの信号を監視することによって、試料ボトル114内の培地の内容物を監視することができる。図5を参照されたい。このようなセンサは、培養中に試料ボトル114内のパラメータを監視するようになっている。このような試料は、酸素レベル、二酸化炭素レベル、pH、などを含んでいる。センサは、時間経過に伴うこのような状態の変化を検出することになる。このようなセンサは、当業者にとって周知であり、ここでは詳細に説明しないことにする。培養器は、監視されるパラメータの値が一定の閾値を超えたとき、システムがボトル(およびその内容物)が微生物生長に関して陽性であるという信号を発するように、構成されている。
前述したように、食品供給は、病原菌によって汚染されていないことを保証することが重要である。世界健康機構(WHO/FAO)によれば、食品供給の目標は、商業的無菌性(commercial sterility)である。これは、「食品が製造中、流通中、および貯蔵中に保持される傾向にある通常の非冷蔵状態にある食品内において生長し得る微生物が存在しないこと」として定義されている。
中華人民共和国の国家食品安全規格(GB4789.26−2013)によって推奨されている商業的無菌性に対する標準試験プロトコルは、包装された食品を36℃±1℃で10日間培養し、膨張した包装を調べ、次いで、包装の全てを開封し、pH試験、目視検査、および顕微鏡的検査を行なうように定められている。
手動試験による費用は、比較的低いが、手動プロトコルは、時間のかかる面倒なプロセスである。(嵩張って包装されたあらゆる種類の食品を収容するために)大容量の培養器が必要であるが、これによって、著しく高いコストが食品製造業者および食品試験機関に追加されることになる。本明細書に記載されている実施形態では、血液培養における微生物生長を検出するための従来の器具が採用され、食品を微生物の存否に関して監視するようにその一部が修正されている。本明細書に記載されている方法では、このような器具、例えば、BD BACTECTMFX40の使用によって、偽陽性および偽陰性の数を制御しながら、結果が得られるまでの時間を著しく短縮する方法およびシステムが提供されている。従って、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、従来の方法によって得られる偽陽性および偽陰性の数を著しく増大させることなく、結果が得られるまでの時間を著しく短縮することができる。
本明細書に記載されている方法では、食品試料(例えば、ミルク)が、微生物生長に関して血液培養を監視するシステムに用いられるように構成された試料ボトル内に導かれる。試料ボトル114は、内部に配置されたセンサ210を有している。センサ210は、好ましくは、試料がボトル内に導かれたときに該センサが試料に接触する位置に配置されるようになっている。ボトル114は、無菌であり、空気が実質的に完全にボトルから排出されている。
ボトル容量は、約50mLである。ボトルの大きさは、変更可能であり、それだから、ボトル容量は、変更可能である。しかし、ボトルは、試料の十分な感度を確実なものにする試料体積を受け入れるのに適する容量を有していなければならない。これに関して、もしボトルが極めてわずかな試料しか受け入れることができないなら、該試料は、試料部分の(もし汚染が存在するなら)該汚染に関して試料の中身を代表しないことがある。例えば、もし容器サイズが1ガロン(3.785L)であり、試験のための試料体積がわずか10mLであったなら、仮に微生物が該容器内に存在していても、実際には、試料部分が該微生物を含んでいない可能性がある。本明細書に記載されている方法および装置では、最小限の試料の大きさは、約10mL以上、好ましくは、50mL以上である。
ボトルは、好ましくは、いくらかの真空下にあり、これによって、試料が容易に試料容器内に引き込まれることになる。液体試料を容器内に引き込むための装置は、周知であり、ここでは詳細に説明しないことにする。
センサは、典型的には、COセンサである。適切なセンサの例が、Gentleらに付与された米国特許第5,998,517号に記載されている。この文献は、参照することによって、ここに含まれるものとする。センサ、例えば、シリコーンセンサが、ゲルマトリック内に配置されている。センサは、培養中、試料内の二酸化炭素レベルの変化を監視するために尋問されるようになっている。ボトル内の二酸化炭レベルが所定の閾値を越えたとき、該ボトルが微生物の存在に関して陽性の結果を生じた試料を含んでいる、という信号が発せられる。
試料が分注される試料ボトル114は、微生物生長を促進するどのような栄養培地も含んでいない。本願では、試料の完全性を維持し、微生物生長のための栄養素が試料自体からもたらされ、試料への添加物からもたらされないことを確実なものとすることが重要である。以下の実施例において示されるように、試料が配置される容器内に培地が存在し、培養され、微生物生長の存否に関して監視されるとき、偽陽性の数が驚くほど増大することになる。
食品試料の例としてUHTミルクを用いて、培地を含んでいない試料ボトルが準備された。一実施形態では、ボトルは、BACTEC血液培養装置に用いられるように構成されたものである。3つの異なる種類のカートンからUHTミルクの試料(50mL)がそれぞれ取り出された。これらの試料に、微生物(セレウス菌、リケニホルミス菌、ウエルシュ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、発酵乳酸桿菌)が添加された。また、比較のために、同一の微生物が添加された10mLのUHTミルク試料が、溶血/嫌気性培地を含むBATECボトルにも添加された。BATECボトルの全てが、検出のためにFX200またはBACTEC9240内に装填された。
同一濃度の微生物が添加されたUHTミルク試料が、前述の標準試験プロトコルによって試験された。50mLのミルク試料を含む空のBACTECボトルを用いた結果は、標準試験プロトコルを用いて得られた結果と良好な相関性があることが判明した。出願人は、特別の理論に捕らわれることを望むものではないが、培地を含むボトル内において試験された試料と比較して、培地を含まないボトル内において試験された試験において偽陰性の比率が低いのは、より大きい試料サイズ(50mL対10mL)および/または偽結果を生じる培地の選択に起因していると考えている。より大きい試料サイズは、低濃度の微生物を含む試料に対してより高い感度を呈することになる。
また、ある特定の細菌(例えば、ウエルシュ菌)は、2種類のミルクカートンが前述の標準試験プロトコルを用いて試験されたとき、該カートンにおいて生長しなかったことが観察された。培地を含まないボトル内の50mLの試料がBACTECを用いて試験されたとき、同じ結果が観察された。従って、本明細書に記載されている方法は、制定された試験プロトコルに匹敵する結果をもたらしている。対照的に、10mLの試料が溶血/嫌気性培地を含むボトル内に導かれたとき、これらの試料は、微生物生長に関して陽性の結果を生じた。これは、偽陽性と解釈される。従って、(標準試験プロトコルを用いた試験結果に基づく)培地を含むBACTECボトルを用いたときの偽陽性に対する培地を含まないBACTECボトルを用いたときの偽陽性の比率が小さくなる。
3つの異なる種類のカートン、具体的には、(i)プレパック(軟質プラスチック)、(ii)テトラパック(硬質プラスチック)、およびテトラブリック(硬質厚紙ボックス)の形態にある超高温で殺菌されたミルク(UHTミルク)が入手された。これらの製品は、中国の地元スーパマーケットから購入されたものである。
細菌株溶液が極めて低濃度に希釈され、同量が2つの同一UHTミルクカートンに添加された(0.01cfu/mL−0.5cfu/mLが各カートンに添加された)。細菌が添加されたカートンの1つは、密封され、(標準プロトコルとも呼ばれる先行技術の参照方法に従って)、36℃の培養器内に配置され、他の1つは、培地を含むBACTECボトルおよび培地を含まないBACTECボトルに関する研究に用いられた。
参照方法では、カートンは、毎日、漏れ/膨張が検査され、もしカートンの異常が観察されたなら、さらなる検査のためにすぐに開封された。正常と見なされる他のカートンは、約10日間培養器内に残され、この後、さらなる試験のために開封された。試験は、i)pH、ii)匂い、iii)沈澱物または凝集物の検査、およびiv)TSA寒天およびRCM寒天上に材料を配置して36℃の培養の後のコロニー生長の観察である。試料は、もし上記のパラメータのいずれかが異常と見なされたなら、汚染された試料として識別された。
試料の一部は、標準溶血/嫌気性培地を含むBACTECボトル内に配置された。この培地は、Becton Dickenから市販されており、ここでは詳細に説明しないことにする。
他のボトルセットでは、培地が、残留空気と共にボトルから吸引された。これらのボトル内に、微生物が添加された50mLのUHTミルクが注入された。
第3のボトルセットでは、5mLの生理食塩水が空のBACTECボトルに添加され、次いで、オートクレーブ処理された。これらのボトル内の空気は、注射器によって吸引され、試料を吸引するのに十分な真空がもたらされた。次いで、細菌が添加された50mLのミルクがボトル内に注入され、2つの同一ボトルが各実験に用いられた。これらのボトルは、検出のために、BACTEC FX200またはBACTEC 9240内に装填された。試料は、もし5日の培養の後依然として陰性であったなら、商業的に無菌であると見なされた。
細菌が添加された同一の試料カートンは、培地を含まないボトルの調査および培地を含むボトルの調査に用いられた。200mL超のミルクを含む各カートンは、両方の調査に対して十分な量の試料を含んでいる。溶血/嫌気性培地を含む各ボトル内に注入された(細菌が添加された)試料の量は、10mLである。同一の2つのボトルが、各実験に用いられた。緑膿菌が添加された試料の場合、嫌気性培地を含む2つのボトルに加えて、好気性培地を含む1つのボトルが用いられた。試料は、もし5日間の培養の後も陰性であったなら、商業的に無菌であると見なされた。
Figure 2017527258
結果は、全ての微生物が全ての培地内において成長するとは限らないことを明示している。明示されているように、緑膿菌は、好気性培地内において生長しているが、嫌気性培地内において生長していない。明らかなことではあるが、培地を含まないボトルが用いられる場合、微生物が生長する特定の培地を選択する必要がない。もし培地を含まないボトルが用いられたなら、培地選択とは関連性がないことになる。培地を含まないボトル内の試料に対する試験結果は、目標とする微生物が生長する培地(好気性培地)内の試料に対する結果と完全に一致している。培地を含まないボトル内に配置された試料に対する結果は、標準プロトコルを用いて培養された試料に対する結果と完全に一致している。
Figure 2017527258
この実験は、偽陰性が培地およびわずかに10mLの試料を含むボトルにおいて得られていることを示している。偽陰性は、一貫して得られておらず、培地と組み合されたわずかに10mLの試料を含むことを条件とする少なくとも2つのボトルに生じている。2つのボトルに対して、偽陽性または偽陰性であるという信号が発せられる必要がある。このような偽陽性または偽陰性に対して、同一試料に対して一貫した結果が得られていないという信号が発せられるだろう。偽陰性は、試料の大きさが50mLであるとき、生じていない。培地を含まない試験の結果は、参照方法の結果と一致しているが(すなわち、両方とも汚染を示しているが)、培地を含むボトル(試料サイズ:10mL)の一方は、偽陰性の結果を生じている。
Figure 2017527258
ウエルシュ菌は、参照プロトコルを用いた結果によって示されているように、2種類の包装されたUHTミルクにおいて生長していない。しかし、嫌気性培地を含むボトルを用いた場合、それらの試料に対して陽性結果が生じた。この実験は、培地が含まれていないボトル内の試料の分析は、試験プロトコルと良好な関連がある結果をもたらすことを明示している。これは、微生物生長を促進するための培地が存在しないからである。従って、本方法およびシステムは、偽陽性を生じていないが、その一方、培地を含むボトルは、試料内において(培地がなければ)生長しない微生物の生長を促進させる可能性がある。
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途を単に例示しているにすぎないことを理解されたい。従って、例示的実施形態に対して多くの修正がなされてもよく、添付の請求項に記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解されたい。

Claims (14)

  1. 食品の汚染を試験するためのシステムにおいて、
    培養器内において用いられるように構成された試料容器であって、前記試料容器内に配置された試料を監視するようになっている、試料容器と、
    前記試料容器内に配置されたセンサであって、前記センサは、前記試料が前記培養器内において加熱されているときに前記試料の少なくとも1つのパラメータを監視するように構成されており、前記パラメータは、前記試料内における微生物成長に応じて変化する状態であり、前記センサは、前記試料が前記試料容器内に導かれたときに前記センサが前記試料に接触するように、前記試料容器内に位置決めされており、
    前記システムは、前記監視されるパラメータの所定値によってプログラム化されており、前記所定値は、前記試料内の微生物生長を表している、センサと、
    前記試料を受け入れるための前記培養器内の貯蔵部分と、
    前記培養器内における前記試料の培養中に前記センサの変化を監視するための検出器と、
    を備え、
    前記試料容器は、微生物生長のための栄養素を含むどのような添加物も含んでいないことを特徴とする、システム。
  2. 前記監視されるパラメータは、二酸化炭素濃度、酸素濃度、およびpHからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記試料は、液体試料であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記試料は、ミルクであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記培養温度は、約30℃から約38℃の間にあることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記試料容器の容積は、少なくとも約10mLであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記試料の体積は、少なくとも約10mLであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  8. 食品試料の微生物汚染を試験するための方法において、
    検査下にある市販の包装試料から試験試料を取り出すことと、
    液状の前記試験試料を、センサを有する無菌の試料容器内に導くことであって、前記センサは、前記試験試料内における微生物生長に関連するパラメータを監視するようになっており、前記センサは、後続の培養中に前記試験試料に接触するように、前記試料容器内に配置されている、ことと、
    前記センサを監視しながら、前記試験試料を約30℃から約38℃の間の温度で培養することと、
    前記センサからの信号を監視し、もし前記センサからの監視された信号が微生物生長に関連する所定値であったなら、前記試料が微生物生長に関して陽性であるという信号を発することと、
    を含み、
    前記試験試料が導かれる前記試料容器は、微生物生長を支援するどのような栄養素も含んでいないことを特徴とする、方法。
  9. 前記監視されるパラメータは、二酸化炭素濃度、酸素濃度、およびpHからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記試験試料は、液体食品の液体試験試料または液化された固体食品試料であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. 前記液体食品は、ミルクであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記培養温度は、約35℃であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  13. 前記試料容器の容積は、少なくとも約10mLであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  14. 前記試験試料の体積は、少なくとも約10mLであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
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