高パワー密度と高エネルギー密度とを有するリチウムイオン電池が、携帯用電子機器、電気移動体およびピーク・パワー・ストレージにとり、寿命、航続距離(range)および容量を向上させるために望ましい。リチウムイオンを用いるカソードおよびアノードに対するいくつかの改良対策が、ストレージ容量および構造的破壊前における充電回数を増加させるために追及される。
硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ製カソード
リチウム硫黄(Li−S)電池は、カソード設計構造にとっての魅力的な選択肢となってきており、その理由は、その電池が、Li2Sとの完全な反応が行われると仮定すると、約2600Wh/kg(1672mAh/g)というように高い理論比エネルギー密度を有するということにある。さらに、リチウム硫黄エネルギー(Li−S)ストレージのリサイクル性能(cyclability)(すなわち、電池の容量が初期容量の80%未満の値に低下するまでその電池を充電できる回数)は、電池技術を大きく進歩させる潜在能力を有し、その理由は、リチウムイオン電池用のLi−S構造が高理論エネルギー密度(1672mAh/g)を有するということにある。この高容量に加え、硫黄をカソード材料として用いることは、生態系にやさしい一方で、自然界に非常に豊富に存在するという利点と、低コストであるという利点とを有する。従来のLi−S構造は、リサイクル性能が低いため、その技術が、商業的に実現可能な製品となることを阻害する。材料技術および電気自動車に関する用途が最近進歩しているため、Li−S電池に対する新たな関心に拍車がかかっている。
従来のLi−S電池を用いたシステムにはいくつかの欠点がある。第1に、硫黄元素は低い導電率(5.0e-14S*cm-1すなわち5.0e-14S/cm)を有するということである。第2に、ポリスルフィド(polysulfides、ポリ硫化物、多硫化物)(Li2Sn)(リチウム多流化物、多硫化リチウム)が、充放電サイクル中に、アノードとカソードとの間の電解液内に溶解する(branch into、硫黄正極から解離して、析出して、溶出して、電解液内に溶解する)ということである。もし、そのポリスルフィドが、アノードとカソードとの間に位置するセパレータを横切り、リチウム負極と反応すると、カソード内の活性硫黄の量が減少し、その後、充放電サイクル効率が、その充放電サイクルを重ねるごとに低下する。最終的に、そのような硫黄の減少により、当該電池がショートすることになり得る。そのLi2Snポリスルフィド(polysulfides、ポリ硫化物、多硫化物)がLiアノード(Li anodes、リチウム負極)によって減少し続けると、充電によってカソード側において硫黄元素に戻る(back to elemental sulfur at the cathod side、硫黄正極において前記ポリ硫化物が硫黄元素に戻る)レドックス反応(redox reaction、酸化還元反応)が阻害される。この循環的なプロセスは、Li−S硫黄システム(Li-S sulfur system、リチウムと硫黄とを用いたシステム、リチウム−硫黄システム)の「シャトル」現象(shuttle phenomenon、正極から溶出した硫黄が負極と反応する現象)として知られており、容量が硫黄電極の理論値よりはるかに低いということを招来する。第3に、Li−S用カソード(Li-S cathodes、前記リチウム−硫黄システム用カソード)が製造されると、利用不可能な副生物であって余剰物を増やすものを発生させ得るということである。
この書類に記載されているいくつかの実施態様は、硫黄搭載(sulfur charged、硫黄が搭載された、硫黄が担持された、硫黄で被覆された、硫黄が付着された、硫黄が内蔵された、硫黄が取り込まれた)カーボンナノチューブを生成するいくつかの方法を提供し、それらナノチューブは、Li−S電池用カソードにおいて使用してもよい。後に詳述されるように、昇華(sublimed)硫黄をカーボンナノチューブ内に封入する(encapsulating、カプセル化する、固定化する、収容する)ことにより、硫黄カソードの高容量性を犠牲にすることなく、硫黄の導電性が低い分を補ってもよい。さらに、当該カーボンナノチューブによれば、ポリスルフィド(polysulfides、ポリ流化物)が形成されることが見込まれており(allow for、条件が整っており)、それにより、複数個のリチウムイオンが拡散する(diffusion、複数個のリチウムイオンがカソード内において拡散する)ための経路が提供される一方、前記ポリスルフィドが前記電解液内に溶解して前記アノードに向かって移動する可能性であって、当該電池をショートさせるものを低下させる。この書類に記載されているいくつかの実施態様によれば、Li−S電池用の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ製カソードを生成するいくつかの方法であって、特に、低コストであり、高収率であり、そして、拡張性が高いものが提供される。
ここで、いくつかの図面を参照するに、図1は、複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブを生成するための複数の実施工程を有するある方法を、全体として符号100が付された状態で示している。工程102においては、硫黄がソルベント(solvent、溶媒)内において溶解させられる。種々の実施態様においては、前記硫黄が、昇華させられた硫黄元素であってもよい。前記ソルベント(solvent、溶媒)は任意の適切なソルベント(solvent、溶媒)であってもよい。一実施態様においては、そのソルベント(solvent、溶媒)が二硫化炭素(CS2)である。種々の実施態様においては、硫黄の量が、ソルベント(solvent、溶媒)の量と、必要な硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブの量とに基づいて決定されてもよい。例えば、その硫黄は、その硫黄とナノチューブとが組み合わされて成る混合物のうちの約50重量%から約98重量%の範囲内であってもよい。特定のいくつかの実施態様においては、CS2の5ml当たりに1gの昇華硫黄が添加されてもよい。当業者であれば理解されることは、前記硫黄が前記ソルベント(solvent、溶媒)内において完全に溶解する限り、種々の組合せ(different combinations、硫黄量とCS2量との組合せ)が存在し得るということである。それら硫黄とソルベント(solvent、溶媒)とは、撹拌され、超音波処理され(sonicated、ソニケートされ)、および/または加熱され、その目的は、前記ソルベント(solvent、溶媒)内における前記硫黄の溶解度(solubility)を向上させることおよび/または前記ソルベント(solvent、溶媒)内における前記硫黄の分散(dispersion)さえ確保することにある。特定のいくつかの実施態様においては、前記溶液(solution、硫黄が溶媒内に溶解させられたもの)が、撹拌中、32℃から33℃までの範囲内に加熱されてもよい。
工程104においては、複数本のカーボンナノチューブが上述の硫黄溶液(the sulfur solution、前記溶液)に添加される。カーボンナノチューブの量は、複数本の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブより成る最終的な目的組成物に応じて決定してもよい。種々の実施態様においては、ナノチューブの量が、硫黄とナノチューブとが組み合わされて成る混合物のうちの約2重量%から約50重量%の範囲内であってもよい。種々の実施態様においては、ナノチューブが、単層ナノチューブ、可溶化(soluble wall、可溶性を有する層を有する)ナノチューブおよび/または多層ナノチューブのうちのいずれであってもよい。いくつかの実施態様においては、ナノチューブが10nm未満の直径を有する。いくつかの実施態様においては、ナノチューブが5μm未満の長さ寸法を有する。他のいくつかの実施態様においては、ナノチューブが3μm未満の長さ寸法を有する。種々の実施態様においては、ナノチューブの長さ寸法を短縮することにより、ナノチューブの束化(bundling、束形成、絡み合い)を抑制することと、被膜(coatings、膜)が電極材料に塗布されたときにその被膜がより均一になることとが可能である。カーボンナノチューブの種類は、結果物であるカソードの目標電気的特性に基づいて選択されてもよい。前記混合物(The mixture、前記硫黄溶液)であって硫黄、ソルベント(solvent、溶媒)および複数本のナノチューブを含有するものは、超音波処理されるかおよび/または撹拌され、それにより、前記混合物内において複数本のカーボンナノチューブが均一に分散させられてもよい。まず、ソルベント(solvent、溶媒)内において硫黄を溶解させることにより、複数本のカーボンナノチューブが、ナノ毛管作用により、硫黄で充填される。毛管作用は、液体が、その液体に作用する外力(例えば、重力)を受けることなく(または、その外力に抗して)狭い空間を充填する能力である。カーボンナノチューブの如き小径のチューブにおいては、毛管作用が前記液体内の分子間力(例えば、表面張力)と、前記液体と前記ナノチューブとの間の接着力とから発生する。
工程106においては、極性プロトン性溶媒(polar protic solvent)が添加され(added、前記硫黄・ナノチューブ混合物に添加され)、一方で、その硫黄・ナノチューブ混合物が加熱される。種々の実施態様においては、その極性プロトン性溶媒が、メタノール、イソプロピル・アルコール、エタノールおよび蒸留水であってもよい。特定のいくつかの実施態様においては、その極性プロトン性溶媒が、制御された速度(例えば、1ml/分という滴下速度)で添加される。前記硫黄・ナノチューブ混合物は、撹拌されるかおよび/または加熱される一方で、前記極性プロトン性溶媒をその前記硫黄・ナノチューブ混合物に添加してもよい。例えば、その混合物は、33℃から35℃までの範囲内の温度に加熱されてもよい。前記極性プロトン性溶媒が前記溶液(the solution、前記硫黄・ナノチューブ混合物)に添加される速度を変えることにより、硫黄粒子の粒子径が制御されてもよい。さらに、前述のナノ毛管作用によって前記複数本のナノチューブを硫黄で充填することに加えて、前記極性プロトン性溶媒により、複数個の硫黄粒子と前記複数本のカーボンナノチューブとの間のπ結合を促進し、それにより、硫黄がナノチューブの外面に結合することを可能にしてもよい。硫黄を前記複数本のカーボンナノチューブの外面に付着させることにより、結果物としてのLi−S電池のサイクル性能および容量を増加させてもよい。
工程108においては、硫黄カーボンナノチューブ製品を分離するために、前記ソルベント(solvent、溶媒)(すなわち、工程102に関連して前述されたソルベント)が除去される。そのソルベント(solvent、溶媒)は、前記硫黄カーボンナノチューブ製品に損傷を与えない方法であればいかなる方法で除去されてもよい。特定のいくつかの実施態様においては、前記硫黄・カーボンナノチューブ混合物が加熱され(例えば、35℃に)、それにより、程よく湿気のある混合物(moist mixture)が残るまで、前記ソルベント(solvent、溶媒)の一部が蒸発される。その程よく湿気のある状態で残っている混合物は、風乾(air dry、空気風で自然乾燥し)し、残存しているソルベント(solvent、溶媒)がすべて蒸発するように、トレイ上に拡布し(spread)薄く拡げてもよい。この書類に記載されているように、2段階(two stage、2つのステージ)の乾燥プロセスが、結果物としての硫黄カーボンナノチューブ製品が特定の形態を有するように維持されることを支援し、それにより、その後に実施される工程を促進してもよい。特定のいくつかの実施態様においては、結果物としての硫黄カーボンナノチューブ製品が、複数個の微粒子(fine particles)に破砕され、それにより、その後に実施される工程を促進してもよい。種々の実施態様においては、蒸発させられたソルベント(solvent、溶媒)を捕集し、それを将来行われるプロセスに再利用し、それにより、硫黄搭載ナノチューブを製造する際に生成される利用不可能な副生物を減少させてもよい。図1に示す実施態様によれば、微粒子から成る硫黄搭載ナノチューブが、硫黄が前記複数本のカーボンナノチューブを充填するとともに硫黄がそれらナノチューブの外面に付着されるように生成される。結果物としての硫黄搭載カーボンナノチューブの構造は、図3および図4を参照して後に詳述される。
図2は、リチウムイオン電池用の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ製カソードを生成するための複数の実施工程を有するある方法を、全体として符号200が付された状態で示している。図2に示す実施態様は、複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブであって図1に関連して前述されたものの如きものを用いてLi−S(リチウム硫黄製)カソードを製造するために用いられてもよい方法を提供する。
工程202においては、スラリが、複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブを用いて調製される。そのスラリは、例えば、ポリ(アクリロニトリル・メチルメタクリレート(poly(acrylonitrile-methylmethacrylate))の如き結合剤(binding agent、バインダ)、導電性カーボン添加剤、およびN−メチルピロリジノン(N-methylpyrrolidinone、N−メチルピロリドンなど)の如き溶媒を含有してもよい。前記結合剤は、複数本の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブを互いに接着してもよい。前記導電性カーボン添加剤は、結果物としてのカソードの導電率を増加させてもよい。前記溶媒は、製品の製造を容易にするとともにカソード上の複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブの均一な被膜(coatings、膜)を確保するために、前記スラリの目標粘性を達成するために用いてもよい。
工程204においては、アルミニウム電極が前記スラリを用いて被覆される。種々の実施態様においては、そのアルミニウム電極が、アルミニウム箔のシートであってもよい。そのスラリ被膜(coatings、膜)は、約20μm−約50μmの範囲内の厚さを有してもよい。工程202に関連して前述された前記結合剤は、さらに、前記スラリを前記アルミニウム電極に結合するように作用してもよい。前記被覆された電極(The coated electrode、前記スラリを用いて被覆されたアルミニウム電極)は、任意選択的に、前記スラリ被膜の目標厚さを達成するためにロール型プレス(a roll press)を用いて圧縮されてもよい。当業者であれば理解されることは、前記スラリの厚さ、ひいては、複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブより成る層の厚さを変更することにより、結果物としてのカソードの特性を調整してもよいということである。例えば、複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブの厚さ(the thickness、層厚、膜厚)を増加させると、カソード内に深く入り込むリチウムの量が増加するかもしれない。工程206においては、前記溶媒(すなわち、工程202において添加された溶媒)がカソードから蒸発する。その溶媒は、適切なメカニズムを用いて蒸発してもよい。一実施態様においては、スラリ被膜を有する前記アルミニウム電極が、オーブン(oven、炉)内に配置され、約60℃という温度に、前記スラリから前記溶媒のうちの実質的に全部が蒸発するのに十分な時間の間、加熱される。工程208においては、複数のカソードが、硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブで被覆されたアルミニウム電極から、打ち抜き加工(is cut to shape、切り抜き加工)されてもよい。例えば、複数のカソードが、ボタン(コイン)型電池、ポーチ型電池などにおいて使用されるように、打ち抜き加工(is cut to shape、切り抜き加工)されてもよい。
図2に示す方法に従って製造されたカソード(The cathodes、複数のカソード)は、Li−S電池であって、シリコンおよび/またはゲルマニウム製のアノードと、リチウムのシャトリング(shuttling、レドックス現象、酸化還元反応など)を促進するための電解質とを有するものに用いられてもよい。その電解質は、硝酸リチウム(Lithium nitrate) (LiNO3、N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(N-Diethyl-N-methyl-N-(2-methoxyethyl)ammonium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)(DEMMOX)、 ジメチルエーテル(dimethyl ether、メトキシメタン)(DME) 、および 1,3−ジオキソラン(1,3-dioxolane)(DOL)を有して(include、それらのいずれかであって)もよい。例えば、前記電解質は、0.25E-3 mol g?1 のLiNO3 (LiNO3 = 68.95 g mol-1)、 0.25E-3 mol g?1 のDEMMOX (DEMMOX = 466.4 g mol-1)およびDME と DOLとの混合物であって重量比が1:1であるものを有して(include、それらのいずれかであって)もよい。
図3は、硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ製カソード(cathode、1つのカソード)であって図2に示す実施態様に従うものを、全体として符号300が付された状態で示している。そのカソード(The cathode、1つのカソード)300は、複数の硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ302を有してもよい。種々の実施態様においては、それら硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブが、アルミニウムの如き電極材料を、約20μm−約50μmという範囲内にある実質的に均一な層(a layer、1つの層)として被覆してもよい。それら硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブは、カソードに、Li−S電池のエネルギー密度を与える一方で、複数の硫黄粒子を含有するとともに、ポリスルフィド(polysulfides、多硫化物、ポリ硫化物)がカソードとアノードとの間のギャップを埋めて当該電池をショートさせることを阻止する。
図4は、硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ(the sulfur charged carbon nanotube、1本の硫黄搭載カーボンナノチューブ)302を示している。この硫黄搭載(sulfur-charged)カーボンナノチューブ302は、カーボンナノチューブ(a carbon nanotube、1本のカーボンナノチューブ)402と、複数個の硫黄粒子404であってカーボンナノチューブ402の外面に付着されたものとを有する。種々の実施態様においては、1本のカーボンナノチューブ402が、複数個の硫黄粒子404によって充填されることも行われている。図1に関連して前述したように、前記複数個の硫黄粒子の粒子径は、前記極性プロトン性溶媒が前記硫黄・カーボンナノチューブ混合物に添加される速度に基づいて制御されてもよい。その図示した実施態様においては、前記複数個の硫黄粒子が、約30nm−約35nmの直径を有し、また、1本のカーボンナノチューブ402であってそれの内部に複数個の硫黄粒子(internal sulfur particles、複数個の内在硫黄粒子、複数個の内包硫黄粒子)が搭載されたものは、約45nm−約50nmの直径を有する。当業者であれば理解されることは、硫黄粒子404およびカーボンナノチューブ402についての他のサイズが存在するということである。種々の実施態様においては、カーボンナノチューブ402が多孔性(porous、多孔質)であり(例えば、カーボンナノチューブ内の硫黄が、そのカーボンナノチューブ内に複数の「ホール」を生成する複数の炭素結合を伸長させる)、それにより、充放電サイクル中にLiイオンの拡散(diffusion、電極内の拡散)が可能となる。
ここで、図5および図6を参照すると、図5は、コイン型電池に使用される半電池カソード(half-cell cathod、カソードとして作用する半電池)を、全体として符号500が付された状態で示す概略図である。図6は、図5の実施形態に従って半電池カソード500を製造する方法を、全体として符号600が付された状態で示している。その半電池カソード500は、セル・ベース502と、硫黄搭載(sulfur charged、硫黄が搭載された、硫黄が担持された、硫黄で被覆された、硫黄が付着された、硫黄が内蔵された、硫黄が取り込まれた)カーボンナノチューブ製のカソード504と、1または複数のセパレータ506a/506bと、リチウム箔(lithium foil)508と、1枚または複数枚のスペーサ510a/510bと、付勢デバイス(biasing device、バイアスを付与するデバイス)512と、セル・カバー514とを有してもよい。
ステップ602においては、電解質516aがセル・ベース502に提供される。その電解質516aは、例えば、0.25E-3 mol g?1 のLiNO3 (LiNO3 = 68.95 g mol-1)、0.25E-3 mol g?1 のDEMMOX (DEMMOX = 466.4 g mol-1)、およびDMEとDOLとの混合物であって重量比が1:1であるものであってもよい。一実施態様においては、25μLの電解質516aがセル・ベース502の中央部に提供される。ステップ604においては、硫黄搭載カーボンナノチューブ(sulfur charged carbon nanotube、SCNT)製のカソード504が電解質516aの内部に配置される。種々の実施態様においては、そのカソード504が、自身のアルミニウム接触領域(aluminum contact、導電接触部)がセル・ベース502を向くとともに、硫黄搭載(sulfur charged)カーボンナノチューブで被覆された側がセル・ベース502とは反対側を向く姿勢で配置される。ステップ606においては、追加の電解質516bが、カソード504のうち、硫黄搭載(sulfur charged)カーボンナノチューブの側の上面上に提供される。一実施態様においては、25μLの電解質516bがカソード504の上面上に提供される。
ステップ608においては、第1のセパレータ506aがカソード504および電解質516aの上面上に配置される。種々の実施態様においては、第1のセパレータ506aがカソード504の直径に相当する直径を有してもよい。特定の実施態様においては、第1のセパレータ506aが19mmのポリプロピレン製セパレータであってもよい。ステップ610においては、追加の電解質516cが第1のセパレータ506aの上面上に配置される。一実施態様においては、25μLの電解質516cが第1のセパレータ506aの上面上に提供される。ステップ612においては、第2のセパレータ506bが電解液516cおよび第1のセパレータ506aの上面上に配置される。種々の実施態様においては、第2のセパレータ506bが第1のセパレータ506aの直径に相当する直径を有してもよい。特定の実施態様においては、第2のセパレータ506bが19mmのポリプロピレン製セパレータであってもよい。ステップ614においては、追加の電解質516dが第2のセパレータ506bの上面上に配置される。一実施態様においては、25μLの電解質516dが第2のセパレータ506bの上面上に提供される。
ステップ616においては、リチウム箔508より成るディスク、すなわち、少なくともカソード504の直径と同じ直径を有するものが、芯出しされて、第2のセパレータ506b上の電解質516dの上に配置される。種々の実施態様においては、リチウム箔508より成る前記ディスクがカソード504を完全に覆ってもよい。ステップ618においては、1枚または複数枚のスペーサ510a/510bがリチウム箔508の上面上に配置される。種々の実施態様においては、スペーサ510a/510bがステンレス・スチール製のスペーサ(stainless steel spacers)であってもよい。種々の実施態様においては、2枚のスペーサ510a/510bが、リチウム箔508の上に配置される。ステップ620においては、付勢デバイス512がスペーサ510a/510bの上面上に配置される。種々の実施態様においては、付勢デバイス512がスプリング・ワッシャ(spring washer、座金)であってもよい。他の実施態様においては、付勢デバイス512が、半電池カソード500の電気特性と干渉しない他の任意の種類の付勢デバイスであってもよい。ステップ622においては、セル・カバー514がセル・ベース512を被覆するように配置され、それにより、半電池カソード500の内部部品を包囲する。種々の実施態様においては、半電池カソード500を包囲することが原因で、電解質が半電池カソード500から漏れ出てしまうかもしれない。漏れ出した電解質が存在する場合にはその電解質を半電池カソード500の外側から取り除いてもよい。ステップ624においては、セル・カバー514およびセル・ベース502が気密に合体させられ(sealed together、互いに密封され)、それにより、完成品としての(complete、すべての部品が揃った)半電池カソード500が製造される。半電池カソード500は、図15および図16に関連して後述するように、完全な(full、完成品としての、一対の半電池を備えた)1つのコイン型単電池(coin cell)を製造するために使用されてもよい。
リチウムイオンによってインターカレートされたナノ結晶製アノード
シリコン結晶およびゲルマニウム結晶は、理論的には、多数のリチウムイオンを収容する(accommodate、吸蔵する、収納する)ことが可能である。リチウム原子の原子比であってSi原子またはGe原子により利用されることが可能なものは、4.4:1である(すなわち、22Li:5SiまたはGe(Li:SiまたはGe=22:5))。複数個のリチウムイオンは、シリコンまたはゲルマニウムの結晶格子を構成する複数個の原子間の複数の隙間内に入り込む程度に十分に小さい。さらに、ゲルマニウムは、本質的に、提案されている他のアノード材料より高速に複数個のリチウムイオンを受け入れることが可能であり、このことは、テストデータを用いて経験的に実証されてきている。リチウムイオンがGe内に拡散する速度(diffusivity、拡散率)は、シリコンより400倍速く、また、標準的なリチウムイオン技術よりほぼ1000倍速い。
図7Aは、純粋状態(pure state、リチウム化前)にある複数個のゲルマニウム・ナノ結晶702の集まりを示す顕微鏡写真である。純粋な(pure、リチウム化前の)複数個のゲルマニウム・ナノ結晶の集まりをさらに拡大して示す画像が図7Bに示されている。それの概略的な形状は、高度に球状を成しており、このことは、高い品質を有する一様な結晶構成体であって、複数個のリチウムイオンの拡散的充填(diffusive packing)を最大化することに寄与するものを示している。さらに、その表面形態(morphology、組織、モーフォロジ、形状)は、各ナノ結晶704上に存在する多数の膨出突起部(distended protrusions、膨出した突起部)706を示している。この形態は、複数個のゲルマニウム・ナノ結晶の表面積が、シリコンまたは他の同様なナノスケール結晶構造体と比較すると、非常に大きいということに言い換えられる。前記表面積がより大きいということは、充電サイクル中に複数個のリチウムイオンが前記結晶格子内により急速に拡散することを促進することにおいて有利である。実際、Geの導電率は、Siの導電率より10,000倍高く、また、LiイオンがGe内において拡散する速度は、常温で、Siの拡散速度より400倍速く、すなわち、Geについての充電速度は、Siについての充電速度より400倍速い。
図7Cは、リチウム化された複数個のゲルマニウム・ナノ結晶708の集まりを、図7Aにおける純粋な複数個のナノ結晶702と同様のスケールで示す顕微鏡写真である。純粋な(pure、リチウム化前の)複数個のナノ結晶702の形態(morphology、組織、モーフォロジ、形状)を、そのリチウム化された複数個のナノ結晶708と比較すると、結晶格子が膨張し、リチウムイオンを受け入れる比率が増加していることが分かる。特に、リチウム化された複数個のゲルマニウム・ナノ結晶708は、ナノポーラス構造(nanoporous structure、ナノスケールの細孔を有する構造、ナノ多孔質構造)を有しており、そのナノポーラス構造は、リチウムイオンのインターカレーションを可能にするナノ結晶格子の膨張(expansion)を原因として発生する。高性能な(球として一様な(spherically uniform、複数個の結晶がいずれも球状を成している、球状を成すか否かという観点で複数個の結晶が一様である))複数個のGeナノ結晶にとっては、前記膨張がアイソトロピックであり、それにより、結晶格子構造における歪みが最小化され、非常に高いサイクル・レート(cycle rates、充電レートおよび放電レート、充電電流および放電電流)が可能となり、不可逆容量の損失(irreversible capacity loss)が最小化される。逆に、シリコンより成る複数個の大きなナノ結晶は、典型的には、非アイソトロピカルに(anisotropically)膨張し、よって、数回の充放電サイクルを経ただけで、急速に容量が低下することになる。しかしながら、それら複数個のSiナノ結晶が十分に小さく(すなわち、100nm未満、また、好ましくは、50nm未満で)形成されると、それの結晶構造がより一様性を増すとともに、膨張が、よりアイソトロピックな挙動を示し、それが原因となって、前記ナノ結晶構造上の歪みが減少し、よって、サイクル能力(cycling capacity、サイクル寿命性能、サイクル耐久性)が増加する。
リチウムイオン電池においては、リチウム源(lithium source、リチウム材料)がアノードまたはカソードにおいて必要であるが、リチウム源が両者に存在することはあり得ない。充電された電池は、すべてのリチウムをアノードに収容する。市販されている電池は、典型的には、すべてのリチウムを、カソードにおいて、リチウム金属酸化物(lithium metal oxide)、すなわち、リチウムコバルト酸化物(lithium cobalt oxide)もしくはリチウムマンガン酸化物(lithium manganese oxide)またはそれらと同様のものという形態で保存する。複数個のリチウムイオン電池の製造プロセスの最終段階において、リチウムがアノード内に挿入されるために、すべての電池が少なくとも1回充電され(cycled)、それにより、消費者が店舗においてその電池を購入する際にその電池がすでに充電されているようにすることが必要である。リチウム金属酸化物カソード(Lithium-metal-oxide cathodes)は、非常に容量が少なく、せいぜい、200mAh/g−300mAh/gというオーダである。
ゲルマニウムの如きアノードが、1000mAh/gというエネルギー容量(energy capacity、重量エネルギー密度、重量容量密度)を有すると、そのアノードは、市販されているカソードと効果的に対を成すことができない。リチウムの拡散に限界があるため、アノード材料の体積の4倍ないし5倍の体積のカソード材料に追加するのみでは、同じ体積を有するアノード材料に見合うようにすることはできない。このジレンマを考慮し、この書類に開示されている事項は、プレリチウム化(prelithiated)されて高いエネルギー密度(energy density、電池容量密度)を有するアノード材料であって、そのアノードに保存されるリチウムを容易に受け入れるであろう実用的で低価格のカソード材料(例えば、硫黄)と対を成すためのものを費用対効果が高い方法で製造するいくつかのプロセスを説明している。したがって、1個の完全な単電池(full battery cell、完成品としての単電池、電池セル)のうちのアノードは、シリコンまたはゲルマニウムより成る複数個のナノ結晶内にリチウムが予め組み込まれたもの/含有されたものであり、それにより、リチウム化合物より成るカソードを使用する必要性も、初回の使用に備えて当該電池を充電するための初期サイクル(initial cycle)を行う必要性も軽減される。
望ましいいくつかの実施態様においては、この書類に記載されているアノードが、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)またはシリコン・ゲルマニウム(SiGe)より成る複数個のナノ結晶(NC)構造であって、この書類に記載されているように、複数個のリチウムイオン(Li+)によってインターカレートされているもの(この書類においては、それぞれ、「Li−SiNC」、「Li−GeNC」および「 Li−SiGeNC」というように略記されることがある)と、それらのうちの任意の組合せとを有してもよい。この書類において用いられるように、「インターカレーション」という用語、またはこの書類において記載されているように、リチウムがSiNC、GeNCおよび/またはSiGeNC内にインターカレーションされることを意味する場合の「拡散」もしくは「アロイ(alloy)」という用語は、離散した複数個のナノ結晶の結晶格子内へのインターカレーションと、複数個のナノ結晶間でのインターカレーションとの双方を意味する。それらリチウム化された複数個のナノ結晶は、その後、構造的に実用可能なアノードを形成するために、導電性基板に束縛される。この書類に記載されている望ましいアノード構造および望ましい製造プロセスにおいては、複数個のナノ結晶が、この書類に開示されているアノード・リチウム化による大きな効果を達成するために「高品質」を有することが必要である。SiおよびGeのナノ結晶であってリチウムイオン電池用アノードに用いられるものにおける「高品質」とは、Siナノ結晶が150nm未満の直径を有し、かつ、形状が実質的に球状を成すことと、Geナノ結晶が500nm未満の直径を有し、かつ、形状が実質的に球状を成すこととを意味する。その1個のナノ結晶の直径が小さいほど、前記膜(film、成膜)における充填率(packing factor、詰込み率)が大きくなり、それにより、エネルギー密度が増加する。充填率(packing factor、詰込み率)の増加は、二峰性および三峰性の分布、例えば、50nm、17nm、6.5nmのナノ結晶粒子径分布を用いて達成することが可能である。
いくつかの実施態様においては、単電池(cells)、電池(batteries、蓄電池)およびそれらと同様なデバイスであってこの書類に記載されているものが、歪みなしのSiGeNCおよび/またはGeNCを有してもよい。いくつかの実施態様においては、その電池(the batteries)およびそれと同様なデバイスであってこの書類に記載されているものが、歪みSiGeNCおよび/または歪みGeNCを有してもよい。この書類において用いられるように、「歪みSiGeNC」および「歪みGeNC」という用語は、SiGeNCおよび/またはGeNCであって、X線回折によって解析されたときのある結晶面のシフトによって識別される(markded by)歪み結晶構造を有するものを意味する。この書類において参照される歪みSiGeNCおよび歪みGeNCは、いくつかの実施態様においては、(111)結晶面であって、バルク・シリコン(bulk silicon、歪みなしシリコン)の(111)結晶面から、1度、2度、3度または4度という下限値から8度、7度、6度、5度または4度という上限値までの範囲内のシフト量だけシフトしたものについての2θ値を有する。そのシフト量は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
特記なき限り、「SiGeNC」および「GeNC」という各用語は、それらについての歪みあり構造体と歪みなし構造体との双方を含む。さらに、この書類に記載されているように、SiGeNCおよびGeNCであって、この書類に記載されている種々の特性および/または性質(例えば、2θ値シフト量(2q shift、2θ値が歪みなし結晶の2θ値からシフトした量)、平均直径およびそれらと同様なもの)を有するものは、それぞれ、 Li−SiGeNCおよびLi−GeNCを生成するために用いてもよい。このような意味において、理解されるべきことは、この書類に記載されているSiGeNCおよびGeNCの特性は、この書類に記載されているLi−SiGeNCおよびLi−GeNCにも適用されてもよいということである。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiGeNCが、ゲルマニウムに対するシリコンのモル比であって、約1:10、約1:5または約1:1という下限値から、約10:1、約5:1または約1:1という上限値までの範囲内に存在するものを有してもよく、ここに、前記モル比は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiNC、SiGeNCおよび/またはGeNCが、p型ドーピングまたはn型ドーピングされたものであってもよい。いくつかの実施態様においては、SiGeNCが「コア−シェル」構造であって、ゲルマニウム格子のコアがシリコン格子のシェルによって包囲されるものであってもよい。いくつかの実施態様においては、SiGeNCが、互いに分離している複数個のSiNCと複数個のGeNCとの組合せまたは混合物にすぎないものであってもよい。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiNC、SiGeNCおよび/またはGeNCが、少なくとも1つの寸法についての平均直径であって、約3nm、約5nm、約10nm、約25nmまたは約100nmという下限値から、約1000nm、約500nm、約250nm、約150nm、約100nmまたは約50nmという上限値までの範囲内に存在するものを有してもよい。前記少なくとも1つの寸法についての前記平均直径は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。特に、SiNCは、直径が150nm未満であり、また、望ましくは、50nm未満であってもよい。ゲルマニウム・ナノ結晶は、直径が1000nm未満であり、また、望ましくは、100nm未満であってもよい。それら直径寸法値を超えると、ナノ結晶は、リチウム化(lithiation、リチウム挿入)と脱リチウム化(delithiation、リチウム脱離)とを行うサイクルを数回行った後、長距離秩序(long range order)を維持しないかもしれず、また、当該材料は、アモルファスになる。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiNC、SiGeNCおよび/またはGeNCが、狭い直径分布であって、前記平均直径からの標準偏差が、プラスマイナス約0.5nm、約1nmまたは約2nmという下限値から、プラスマイナス約10nm、約7nmまたは約5nmという上限値までの範囲内に存在するものを有してもよい。前記標準偏差は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiNC、SiGeNCおよび/またはGeNCが、多峰性直径分布(例えば、二峰性、三峰性など)を有してもよい。可及的に小さい粒子径から、前述のようなSiNCおよびGeNCについての前記上限値までの粒子径の範囲を有することが、導電性アノード基板上におけるナノ結晶の充填密度を増加させ、それにより、ナノ結晶内およびナノ結晶間におけるリチウムの拡散密度を最大化するために望ましいことである。粒子径が異なる2種類のゲルマニウム・ナノ結晶より成る二峰性分布800であって自己組織化する(self-organizing、自律的に秩序を持つ構造を作り出す現象)ものの一例が、図8の顕微鏡写真として示されている。図示するように、複数個の大径ナノ結晶802(例えば、直径が50nm)が基板上においてベース層を形成する一方で、複数個の小径ナノ結晶804(例えば、直径が12nm)が、複数個の大径ナノ結晶802間の隙間内に配列されている。このようにして、それらナノ結晶の密度が増加する。
望ましいいくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiGeNCおよび/またはGeNCであって多峰性直径分布を有するものが、少なくとも1つの寸法についての平均直径が、約4nm、約7nm、約12nmまたは約25nmという下限値から、約250nm、約150nm、約100nmまたは約50nmという上限値までの範囲内に存在するものを有する最頻値(mode)を少なくとも1つ有してもよい。前記平均直径は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているSiNC、SiGeNCおよび/またはGeNCについての多峰性直径分布の複数の最頻値が、それぞれ、狭い直径分布であって、各最頻値についての平均直径からの標準偏差が、他の最頻値の標準偏差に従属することなく、プラスマイナス約0.5nm、約1nmまたは約2nmという下限値から、プラスマイナス約10nm、約7nmまたは約5nmという上限値までの範囲内に存在するものを有してもよい。前記標準偏差は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているLi−SiGeNCおよびLi−GeNCが、SiGeのモル数(すなわち、Siのモル数とGeのモル数との合計値)に対するLiのモル数の比率であるモル比、または、Geのモル数に対するLiのモル数の比率であるモル比であって、0より大きい値、約0.2、約0.5、約1、約1.5または約2という下限値から、約3.6、約3.5、約3.25、約3、約2.5、約2または約1.5という上限値までの範囲内に存在するものを有してもよい。SiGeに対するLiの前記モル比またはGeに対するLiの前記モル比は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。注目されるべきことは、そのような複数のモル比は、完全に充電された電池または他の同様なデバイスを想定して記述されているということである。SiGeに対するLiの前記モル比またはGeに対するLiの前記モル比は、特に、Li−SiGeNCおよび/またはLi−GeNCの合成物内において、SiGeNCおよび/またはGeNCに対するリチウム源の比率に依存してもよい。
いくつかの実施態様においては、リチウムのインターカレーションが、SiGeNCおよび/またはGeNCをリチウム金属と混合する工程(例えば、両者(the two、SiGeNCおよび/またはGeNCと、リチウム金属と)を重ね合せ、前記リチウムがインターカレートすることを可能にする工程)と、イオン性液体の存在下に、SiGeNCおよび/またはGeNCをリチウム金属と混合する工程と、SiGeNCおよび/またはGeNCをリチウム金属電極上に電着する(electrodepositing)工程と、それらと同様な工程とのうちの少なくとも1つにより行われてもよい。いくつかの実施態様においては、前記イオン性液体と前記電着(electrodeposition)とを一緒に用いてもよい。
望ましいいくつかの実施態様においては、リチウム金属電極から放出されるリチウム元素が、そのリチウム金属電極の表面に引き付けられたSiNC、SiGeNCおよび/またはGeNC内にインターカレートし、それにより、リチウム化された複数個のナノ結晶とイオン性液体より成るペーストが前記リチウム金属電極上に形成される。前記ペーストは、存在するリチウムの量に応じ、茶褐色から黒紫色までの範囲内の色(a dark-brown to purple-black color)を有する。Li−SiGeNCおよび/またはLi−GeNCより成る前記ペーストが、長時間にわたり、空気中で安定することが観察され、リチウム金属とは異なり、水に曝されても反応しないかもしれない。ナノ結晶構造体内におけるリチウムイオンのインターカレーションは、そのリチウムを、空気および水分と相互作用を行うことから保護する。さらに、GeNCの場合には、ゲルマニウムが、シリコンのように空気中で表面酸化物を形成するということはなく、これにより、リチウムイオンの拡散速度がさらに向上する。
リチウム化されたナノ結晶より成る前記ペーストが一旦形成されると、そのペーストは、自身を保護するのに適した環境(例えば、アルゴンで充填された部屋)を設ける必要性を有することなく、後続するアノード製造プロセスにおいて使用してもよく、それにより、当該プロセスのコストおよび難易度を大いに軽減することが可能である。さらに、前述の不揮発性のペーストは、電池およびそれと同様なデバイスの使用を、そのアノードが空気または水に曝される電池損傷の場合であっても発火のリスクが最小であるか全く存在しない状態で、可能にする点で有利であるかもしれない。このような利点およびリスク軽減は、より軽量な電池を製造する際に活用されてもよく、なぜなら、前記電池のケーシングが、電気自動車であって、前記電池の重量のうちの大半が衝突時における前記電池の破裂防止に寄与し得るものにおいて役に立つ別の材料によって構成されるかもしれないからである。
いくつかの実施態様においては、前記アノードが、導電性支持体(conductive support、導電性基板)であって、その上に膜(film、フィルム、成膜)が被着させられているものを含み、その膜は、この書類に記載されている複数個のナノ結晶を有するものとしてもよい。その導電性支持体のいくつかの例としては、シリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ニッケル、鉄、ステンレス・スチール、アルミニウム、銅、およびそれらと同様なもの、ならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態においては、前記導電性支持体が、シート、箔、グリッド、ロッド、およびそれらと同様なもの、ならびにそれらのうちの任意のものが複合されたものという複数の形態のうちの少なくとも1つを有してもよく、その少なくとも1つの形態は、特に、当該アノードが使用されるべき電池または他のデバイスの構成態様に依存してもよい。
いくつかの実施態様においては、前記膜(film、フィルム、成膜、前記アノード用の膜)が、この書類に記載されている複数個のナノ結晶を非排他的に含むものとしてもよい。他のいくつかの実施態様においては、前記膜が、この書類に記載されている複数個のナノ結晶を含み、さらに、任意選択的に、バインダおよび/または既知のアノード材料(existing anode materials)を含んでもよい。それら任意選択的な成分は、前記膜および/またはその膜の前駆体(precursor、膜前駆体)についての目標物理的特性を達成するために用いられてもよい。物理的特性についてのいくつかの例としては、前記膜前駆体のレオロジー、その膜前駆体の乾燥特性、前記膜の可塑性、その膜の導電率、その膜が前記導電性支持体に接着する強度、およびそれらと同様なもの、ならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあるが、それらに限定されない。
いくつかの実施態様においては、バインダが、複数個のナノ結晶を互いに接着するかまたはそれらナノ結晶を導電性支持体に接着することによってアノード用の膜(film、フィルム、成膜)またはそれの前駆体の目標物理的特性を達成するために有用であってもよい。そのバインダは、最小のレベルでしか、可能なら全く、結果物としての電池または同様なデバイスであって、前記アノードが用いられるものの電気化学挙動に影響を及ぼさないものであってもよい。バインダは、導電性であっても絶縁性であってもよい。バインダについてのいくつかの例としては、フッ化ポリビリニデン、N−メチル2−ピロリドン、カルボキシメチル・セルロース、寒天、スチレンブタジエン・ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、導電性アセチレン・ブラック、導電性グラファイト粉末、およびそれらと同様なもの、ならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあるが、それらに限定されない。いくつかの実施態様においては、前記バインダが、ハイドロゲル・フィルムまたは有機ゲル・フィルム(例えば、架橋された寒天またはカルボキシメチル・セルロース)を生成可能であるように選択されてもよい。いくつかの実施態様においては、前記バインダが、プリンタブル膜前駆体であってインクのように乾燥するもの(例えば、導電性グラファイト粉末)を生成可能であるように選択されてもよい。いくつかの実施態様においては、前記バインダが、フレキシブルなドライ・フィルム(例えば、スチレンブタジエン・ゴムまたはポリテトラフルオロエチレン)を生成可能であるように選択されてもよい。
既知のアノード材料(existing anode materials)は、前記膜(film、フィルム、成膜)またはその膜の前駆体の目標物理的特性を達成するために有用であってもよく、また、結果物としての電池または同様なデバイスであって、前記アノードが用いられるものの電気化学挙動に関与するものであってもよい。いくつかの実施態様においては、既知のアノード材料が、アノード特性をほとんどかまたは全く強化しないという理由と、アノード材料が存在しなかったならばこの書類に記載の複数個のナノ結晶によって充填される体積を、既知のアノード材料が占有するという理由とにより、既知のアノード材料の使用量を最小化するかまたはその使用を省略してもよい。既知のアノード材料についてのいくつかの例としては、グラファイト粉末、カーボン・マイクロビーズ、Li4Ti5O12、LiVPO4F、およびそれらと同様なもの、ならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあるが、それらに限定されない。
前記膜前駆体における種々の成分のそれぞれの濃度は、前記膜(film、フィルム、成膜)および/またはその膜の前駆体(precursor、膜前駆体)の目標物理的特性、および、前記アノードの目標電気化学的特性を達成するために必要なレベルであってもよく、各成分の濃度は、前記膜前駆体の重量を単位として、約0%と約99%との範囲内において変動することを見込んでもよい。
いくつかの実施態様においては、前記膜前駆体がペーストであってもよい。一例においては、膜前駆体が、前述のペーストであって、Li−SiNC、Li−SiGeNCおよび/またはLi−GeNCの合成方法についての少なくともいくつかの実施態様の実施中に生成されるものであってもよい。別の例においては、ペースト膜前駆体が、N−メチル2−ピロリドン中にSiGeNC、グラファイトおよびポリビニリデン(polyvinyliden)が存在して成るペーストであってもよい。いくつかの実施態様においては、前記アノードが、前記導電性支持体と前記膜との間に存在する高速イオン導電体層(例えば、窒化リチウムまたはそれと同様なもの)を有してもよい。
いくつかの実施態様においては、前記膜前駆体が、低粘性液体であって、希釈されたペーストまたはそのペーストとは別に調製されたもの(formed independently)であってもよい。いくつかの実施態様においては、粘度の低下を、有機溶媒(例えば、ベンゼン、メタノールおよびそれらと同様なもの)を用いて達成してもよい。いくつかの実施態様においては、前記膜前駆体が、電着(electrodeposition)、噴霧(spraying)、塗装(painting、ペインティング)、浸漬被覆(dip coating)、カレンダー法(calendaring、ローラ塗装)およびそれらと同様なもののような方法によって前記導電性基板(conductive substrate、前述の導電性支持体)上に成膜されることが可能な粘度を有してもよい。それらの方法は、この書類に記載されているアノードの製造規模を、例えば、半導体産業において使用されているものと同様な被膜方法を用いたり、フレキシブル電池またはそれと同様なデバイスを製造する際に用いられる塗装方法を用いることにより、工業生産レベルまで拡大することが可能であるという利点を有してもよい。
いくつかの実施態様においては、導電性基板上への成膜後、前記膜前駆体を乾燥させ(例えば、前記膜前駆体の組成に応じ、約30℃と約220℃との範囲内で)、それにより、この書類に記載されている複数個のプレリチウム化ナノ結晶を含む膜を生成してもよい。いくつかの実施態様においては、前記導電性基板上への成膜後、前記膜前駆体が固化する(set、硬化する)ようにし、それにより、この書類に記載されている複数個のプレリチウム化ナノ結晶を含むハイドロゲル・フィルムまたは有機ゲル・フィルムを生成してもよい。
SiNC、SiGeNCまたはGeNCの成膜によって生成された被膜内へリチウムが拡散する限界(diffusion limit、拡散深度)は、典型的には、30ミクロン−40ミクロンである。したがって、いくつかの実施態様においては、この書類に記載されている複数個のナノ粒子を含む前記膜の厚さは、約10ミクロン、約25ミクロンまたは約100ミクロンという下限値から、約500ミクロン、約250ミクロンまたは約100ミクロンという上限値までの範囲内に存在する厚さを有してもよい。その厚さは、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
図9は、アノード構造体に使用されるペーストであってプレリチウム化ナノ結晶より成るものを調製する概略的な電着(electrodeposition)プロセス900を示すフローチャートである。ステップ902においては、複数個のSiNC、複数個のSiGeNCおよび/または複数個のGeNCが、少なくとも1つのイオン性流体、少なくとも1つの非水性溶媒またはそれら双方の組合せより成る溶液内に投入されて混合させられ、それにより、前記複数個のナノ結晶のコロイド懸濁液が生成される。ステップ904に示すように、そのコロイド混合物(colloidal mixture、前記コロイド懸濁液)内に、リチウム金属リボン(ribbon、帯状体、紐状体、1本のリボン)が、アノード電極(an anode electrode、1本のアノード電極)として配置される。同様に、ステップ906に示すように、前記コロイド混合液内に炭素電極(a carbon electrode、1本の炭素電極)がカソード(a cathode、1本のカソード)として配置される。その後、ステップ908に示すように、それらアノードとカソードとの間に電圧が印加され、それにより、複数個のナノ結晶が、前記コロイド混合物から前記リチウム金属リボンのアノードに移動させられ、そのアノード上で合体させられる。そのリチウム金属から出た複数個のリチウムイオンは、前記リチウム金属上に被着された複数個のナノ結晶内にインターカレートし、そのようにしてリチウム化された(lithiated、複数個のリチウムイオンが付与された)複数個のナノ結晶が、前記イオン性流体および/または前記溶媒の存在下に、前記リチウム金属リボンの表面上でペーストを生成する。その後、ステップ910に示すように、そのようにしてリチウムが拡散させられたナノ結晶より成るペーストは、前記リチウム金属より成るアノードから除去される。最後に、ステップ912に示すように、そのペーストを、高速イオン導電体または固体電解質のような電極上において拡布する(spread、薄く広げる、薄く塗布する)かまたは他の方法で前記電極上に分布させる(distribute)ことにより、プレリチウム化されたアノードが生成される。
図10は、アノード構造体に使用されるペーストであってプレリチウム化ナノ結晶より成るものを調製する概略的な電解プロセス(electrolytic process、電解法)1000を示すフローチャートである。ステップ1002においては、複数個のSiNC、複数個のSiGeNCおよび/または複数個のGeNCが、少なくとも1つのイオン性流体、少なくとも1つの非水性溶媒またはそれら双方の組合せより成る溶液であってリチウム電解質が添加されたものに投入されて混合させられ、それにより、前記複数個のナノ結晶のコロイド懸濁液が生成される。ステップ1004に示すように、リチウム金属リボンより成る第1部分が正極電極に接続され、また、ステップ1006に示すように、リチウム金属リボンより成る第2部分が負極電極に接続される。ステップS1008に示すように、リチウム金属より成る前記第1部分および前記第2部分がそれぞれ、前記コロイド混合物(colloidal mixture、前記コロイド懸濁液)内に配置され、その配置は、ステップ1010に示すように、前記複数のリチウム金属電極(the lithium metal electrodes、リチウム金属より成る前記第1部分および前記第2部分)が物理的に互いに分離することが確保されるように注意して行われる。その後、ステップ1012に示すように、それら電極の間に電圧が印加され、それにより、前記複数個のナノ結晶が、前記コロイド混合物から移動し、前記リチウム金属リボンのアノード上において合体させられる(coalesce、成膜される、被着させられる)。前記電圧は、前記リチウム金属リボオンから出た複数個のリチウムイオンが、前記被着された複数個のナノ結晶内にインターカレートするまで維持され、また、ステップ1014に示すように、そのようにしてリチウム化された(lithiated、複数個のリチウムイオンが付与された)複数個のナノ結晶と溶媒とから成るペーストが、前記リチウム金属リボンの表面上に生成される。その後、ステップS1016に示すように、電圧源が前記複数の電極から切断され、前記ペーストであってリチウムが拡散している(lithium-diffused)ナノ結晶より成るものが前記リチウム金属リボンから除去される。その後、ステップ1018に示すように、そのペーストは、雰囲気条件下、すなわち、大気中に、大気圧で、かつ、不活性ガスのような追加のセーフガードも低い湿度という環境もなく、バインダおよび/または導電性カーボンと混合される。その後、ステップ1020に示すように、前記ペーストと前記バインダとの混合物は、導電性アノード基板上に拡布される(spread、薄く広げる、薄く塗布する)かまたは他の方法で前記導電性アノード基板上に分布させられる。最後に、ステップ1022に示すように、前記ペーストであってリチウム化されたナノ結晶より成るものを前記アノード基板(the anode substrate、前記導電性アノード基板)に接着するために前記バインダが硬化させられ、それにより、プレリチウム化されたアノードの形成が完成する。
電着法(electrodeposition)によるアノードの形成
図9に示す概略的な方法および上述の文章による説明に従い、リチウムイオン電池用の高エネルギー容量アノードが、電気化学的な過飽和(electrochemical super saturation)であって、リチウムが、シリコン、ゲルマニウムおよびシリコン・ゲルマニウム合金より成る複数個のナノ粒子内に過飽和状態で溶解する方法により形成されてもよい。シリコンより成るナノ粒子、ゲルマニウムより成るナノ粒子および/またはシリコン・ゲルマニウム合金より成るナノ粒子(Universal Nanotech Corporation社製)は、イオン性流体である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアナート(1-butyl-3-methylimidazolium thiocyanate)(bmimSCN)と、非水性溶媒であるジエチルアセトアミドとの混合物内にコロイドとして懸濁させられた。リチウム金属リボンより成る2/3インチのストリップがアノードとして使用され、また、炭素電極がカソードとして使用された。それぞれの電極は、電圧源のうちのそれぞれの端子に接続されるとともに、前記コロイド混合物(the colloidal mixture、上述のコロイドとしての懸濁液)内に配置された。250mVと5Vとの範囲内、典型的には、2Vと4Vとの範囲内にある電圧が、リチウムが前記複数個のナノ結晶にインターカレートすることを開始するために、前記溶液に電流を流すために印加された。
前記複数個のナノ結晶は、前記リチウム金属(the Li metal、前記リチウム金属リボン)製のアノードに移動させられる。視覚的には、前記リチウム製リボン(the lithium ribbon、前記リチウム金属リボン)が、「膨張する」とともに赤味がかったオレンジ色およびえび茶色(a reddish-orange-maroon color)を呈するように見える。この「膨張」は、前記リチウム化された複数個のナノ結晶より成る被膜であって、前記分解された(decomposed、一部のリチウムが当該被膜内にインターカレートされた)リチウム製リボン上に形成されたものである。その結果物の最終的な粘稠性(consistency、濃度、粘度など)は、ペーストまたはゲル状の粘稠性であって、前記イオン性流体と前記溶媒との混合物によって提供された潤滑性を有するものである。アノードが、高速イオン導電体(例えば、窒化リチウムの如き固体電解質)より成るシート上にへら(spatula)を用いて拡布する(spread、薄く広げる、薄く塗布する)ことによって形成された。その後、アノード用の前記ナノ結晶ペーストであって前記高速イオン導電体上に位置するものが、カソード材料(LiMn2O4)の上面上にサンドイッチされた(sandwiched、前述のアノード、高速イオン導電体およびカソードがそれらの順に積層された)。アルミニウム電極が前記カソード(すなわち、LiMn2O4)に装着され、また、銅電極が前記アノードに装着され、それにより、電池(battery、1個の電池、蓄電池)が形成された。その構造全体が、保護機能を有する非導電性の積層シート内において、前記アルミニウム電極および前記銅電極のうちのいくつかの部分が前記積層シートから外側に突出して当該電池の複数の端子として作用する状態で封止された(sealed)。
イオン性流体であるbmimSCNを用いたSiGeNC(SiGeナノ結晶)のリチウム化
アルゴンで充填された環境(すなわち、グローブボックス(glove box、密閉容器))内において、リチウム金属箔より成る2枚の別々の部分(それぞれ、長さ2cm×幅1cm×厚さ0.038cm)がそれぞれ、電源のうちの負極と正極とに接続された。Si0.22Ge0.78NCs(Siを0.22、Geを0.78の比率で含有する複数個のナノ結晶)が、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアナート(bmimSCN)内に分散させられるとともに、三角フラスコ内において常時撹拌されつつ、アルゴン存在下に、40℃まで加熱された。前記イオン性流体内のSi0.22Ge0.78NCsの濃度は、ほとんど全部のリチウムが前記三角フラスコ内のゲルマニウム製ナノ結晶の部分(the amount of、量)によって吸収されるように、前記リチウム(長さ1cm×幅1cm×厚さ0.038cm)に適合させられた(was matched to)。この実験のために、0.00288モルのリチウム(1cm2)と、0.0160モルのSi0.22Ge0.78NCsとが使用された。前記複数の電極(The electrodes、前記負極と正極)は、1cm2のリチウム金属がSi0.22Ge0.78NCsより成るイオン性流体分散液内に浸漬される状態で、それら電極が互いに1cmの距離を隔てて正対するように配置された。3Vという定電圧が、Si0.22Ge0.78NCsを正極上のリチウム金属まで移動させるために用いられ、その正極においては、リチウムが、引き続いて、Si0.22Ge0.78NCs内に拡散させられた。その反応は、25分後に停止した。その結果生成された物は、深い赤色(deep red)を帯びたペーストであって、前記イオン性流体と、リチウム化されたSi0.22Ge0.78NCsとによって構成されたものであった。
電解質としてLiTFSIを用いるアノードの形成
実施例2が採用するプロセスが、電解質、すなわち、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)(LiTFSI)を導入し、それにより、bmimSCN内でのLiTFSIの1M(1M、1リットル中に1モル溶解している)溶液を作製するように変更された。よって、その概略的な方法は、図10に示すプロセスおよび上述の文章による説明に従うように変更された。さらに、そのプロセスは、室温で行われた。すべての他の側面においては、それら実験条件が同一であった。リチウム塩(LiTFSI)が添加されることにより、前記ペーストを作製するための反応時間が25分から15分に短縮された。
電解質としてLiPF6を用いるアノードの形成
図10に示す概略的な方法および上述の文章による説明に従い、アルゴンで充填された環境内(すなわち、グローブボックス(glove box、密閉容器)内)において、かつ、室温および大気圧下において、リチウム金属箔より成る2枚の別々の部分(それぞれ、長さ2cm×幅1cm×厚さ0.038cm)がそれぞれ、電源のうちの負極と正極とに接続された。高品質(球対称性を有する)ゲルマニウムより成る複数個のナノ結晶(直径は150nm未満)が、リチウム塩、すなわち、リチウム ヘキサフルオロリン酸塩(lithium hexafluorophosphate)(LiPF6)内に、炭酸エチレン対炭酸ジエチルの比率(ratio of ethylene carbonate to diethyl carbonate)が1:1である状態で、三角フラスコ内で分散させられた。前記複数の電極(The electrodes、前記負極と正極)は、1cm2のリチウム金属が、複数個のゲルマニウム製ナノ結晶(GeNCs)が電解質内に分散させられている液内に浸漬される状態で、1cmの距離を隔てて互いに正対するように配置された。この実験のために、0.00288モルのLiPF6と、0.0127モルの複数個のゲルマニウム製ナノ結晶(GeNCs)とが使用された。前記電解質内の複数個のゲルマニウム製ナノ結晶の濃度は、ほとんど全部のリチウムが、前記三角フラスコ内のゲルマニウムの部分(the amount of、量)によって吸収されるように、前記リチウム(長さ1cm×幅1cm×厚さ0.038cm)に適合させられた(was matched to)。4Vという定電圧が、前記複数個のゲルマニウム製ナノ結晶を前記正極上のリチウム金属まで移動させるために用いられ、その正極においては、リチウムが、前記リチウム箔上に被着させられた複数個のゲルマニウム製ナノ結晶(GeNCs)内に拡散させられた。その反応は、15分後に停止した。その結果生成された物は、粘性を有するとともに暗い黒紫色(purple-black)を帯びたペーストであって、電解質と、リチウム化された複数個のゲルマニウム製ナノ結晶(GeNCs)とによって構成されたものであった。その後、そのペーストは、リチウムイオン電池のアノードとして使用されるために、バインダまたは導電性カーボン添加剤と混合されるとともに、導電性基板上に被着させられることが可能である。
bmimSCNと電解質としてのLiPF6を用いるアノードの形成
実施例4が採用するプロセスが、リチウム ヘキサフルオロリン酸塩(LiPF6)に関連して、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアナート(bmimSCN)を前記イオン性流体として使用するように変更された。すべての他の側面においては、実施例4で採用した器具、条件および方法が、電気化学反応の発生中に2Vと4Vとの範囲内というようにより低い電圧が一定に保持される点を除き、変更されずに採用された。茶褐色から黒紫色までの範囲内の色(a dark-brown to purple-black color)を呈するペーストが、電解質と、リチウムが搭載された(lithium loaded)複数個のゲルマニウム製ナノ結晶(GeNCs)とであって、いずれもリチウム電極上に形成されたものによって構成された。そのペーストを用いてアノードが形成され、そのアノードは、実施例1と同様な方法で、カソード電極と組み合わせられ、それにより、単電池が形成された。図11は、この望ましい単電池についての充放電サイクル(discharge/recharge cycles)の時系列1100を示している。その単電池は、エネルギー容量(energy capacity、収容エネルギー、電池容量)と、体積エネルギー密度とを求めるために、標準的なリチウムイオン電池の試験手順に従って試験された。各充填サイクル(Each charge cycle)1102は、C/10の充電速度(charge rate)と、1Cの放電速度(discharge rate)とを有していた。当該単電池は、98%のクーロン効率を有しており、すなわち、各放電サイクル1104が、充填のための取り込まれたエネルギーのうちの98%という一定値を有していた。
リチウム化されたナノ結晶材料から形成された半電池アノード
複数個のゲルマニウム製ナノ結晶は、ポリアクリル酸バインダである(PAA)−450と、Super−P Li導電性添加剤(Timcal社製)と、N−メチルピロリドンとを用いて混合して、スラリ(slurry)が生成された。Li−GeNC(リチウムによってインターカレートされたGeナノ結晶、リチウム化されたGeナノ結晶)と導電性カーボンとバインダとの間の比率は、40:40:20であった。その混合物(the mixture、上述のスラリ)は、15分間、超音波浴内で超音波処理され、その後、ドクターブレードを用いて、銅箔より成る集電体(current collector、1枚の集電体、銅電極)上に拡布された(spread、薄く広げられた)。その後、そのスラリで被覆された銅電極(copper electrode、上述の銅箔より成る集電体)は、溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)を蒸発させるために、60℃の炉(oven)内に配置された。乾燥後、前記被覆された銅電極は、10μmの膜厚を達成するために、カレンダ加工(ロールを用いて加圧する方法)が施された。直径が11mmである数枚のディスクが、半電池組立て作業を行うために、前記ペーストで被覆された銅電極から打抜き加工された。最終的な搭載重量(resulting mass loading、前記銅電極に単位面積当たりに搭載された重量)は、Li−GeNCの2.98 mg/cm2と測定された。
当該半電池1200は、アルゴンで充填されたグローブ・ボックス内において、2032ステンレス鋼製のコイン状包囲体(cell、ケーシング)であって負極ベースと正極キャップとを有するものを用いて組み立てられた。半電池アノード(the half-cell anode、アノードとして作用する半電池)1200を分解状態で示す概略図が図12に示されており、当該半電池1200を組み立てる方法1300が図13に示されている。まず、ステップ1302に示すように、25μL(マイクロリットル)の電解質1204が、電池ケースのベース(the cell case base、前記負極ベース、セル・ベース)1202の中央部に被着させられる。この例においては、その電解質が、フルオロエチレン・カーボネイト(fluoroethylene carbonate)(FEC)内の1MのLiPF6(いずれもAldrich社製)(酸素濃度は0.1ppm未満)である。次に、ステップ1304に示すように、銅およびLi−GeNCより成るアノード1206が、ベース(base、セル・ベース)1202の中央部に位置する電解質液滴1204上に、アノード1206のうちLi−GeNCペーストが被覆された側が上側となり、銅の部分が下側となる姿勢で、配置される。その後、ステップ1306において、追加の25μLの電解質1208がアノード1206の中央部に添加される。ステップ1308に示すように、直径が19mmであるポリプロピレン製のセパレータ(separator、第1のセパレータ)1210(例えば、セルガード2500という膜セパレータであって、25μmの厚さを有するもの)であって、セル・ベース1202の全体を覆うサイズを有するものが、アノード1206上に配置された。その後、ステップ1310において、追加の25μLの電解質1212が前記セパレータ(the separator、第1のセパレータ)1210の中央部に添加された。ステップ1312に示すように、ポリプロピレン製の第2のセパレータ1214(同様に、セル・ベース1202に相当するサイズを有する)が第1のセパレータ1210上に、電解質1212を覆うように配置された。その後、追加の25μLの電解質1216が前記第2のセパレータの中央部に添加された(ステップ1314)。
ステップ1316に示すように、リチウム箔製ディスク1218であってアノード1206の直径と少なくとも同じ直径を有するものが、反対側/基準電極として作用するために、第2のセパレータ1214の中央部上に配置された。ステップ1318に示すように、2枚のステンレス鋼製のスペーサ1220,1222の積層体であって、セル・ベース1202の中央部に位置するものが、リチウム箔製ディスク1218上に配置された。ステップ1320に示すように、スプリング・ワッシャ1224の如き付勢デバイスが、スペーサ積層体(the spacer stack、2枚のステンレス鋼製のスペーサ1220,1222の積層体)1220,1222上に配置された。ステップ1322に示すように、その後、セル・キャップ(the cell cap、前記正極キャップ)1226が、スプリング・ワッシャ1224を覆うように配置され、また、ステップ1324に示すように、セル・キャップ1226とセル・ベース1202とが、当該セル積層体(the cell stack、当該セル(半電池アノード1200)を構成する複数の部品の積層体)のうちの他の部品を収容するために、加圧されて合体させられる。(当該セル(cell、半電池アノード1200))が加圧されたときに押し出された余分の電解質が拭き取られてもよい。)その後、ステップ1326に示すように、セル・キャップ1226およびセル・ベース1202は、半電池(the half-cell、半電池アノード)1200をセル・ベース1202が下向きの姿勢で圧着工具(crimping tool)内に配置し、圧着し、その圧着後に余分な流体を除去するという例示的な作業により、気密に合体させられる。その半電池アノード1200は、図15および図16を参照して後に詳述するように、完全なコイン型単電池(a full coin cell、1個の完全なコイン型単電池)を作製するために用いてもよい。
半電池(the half-cell、半電池アノード)1200が完成すると、C/20についての初期コンディショニング・サイクル(initial conditioning cycle、1回の初期充電サイクル)であって1C(電流密度)=1180mAh/g(電池の全容量を1時間で放電させる電流量)と充放電時の定電流とを用いるものが、Li/Li+を0V基準にした場合の0.01Vと1Vとの間で実行された。後続するいくつかのサイクルが、1Cのレート(rate、速度)で実行された。図14は、実施例6についてのGeNCアノード半電池1200につき、時系列的に並んだ2つの充電サイクル1402a/1402bと、それらに関連する2つの放電サイクル1404a/1404bについてのグラフ1400を示している。各充電サイクル1402a/1402bは、複数回の再充電サイクルの後、1100mAh/gという初期容量から、約1080mAh/gという比エネルギー容量に達しており、よって、リチウム化(lithation、リチウムイオンが電極に付着すること)および脱リチウム化(delithiation、リチウムイオンが電極から脱離すること)に伴って前記複数個のナノ結晶が膨張および収縮するにつれて、当該アノードの充電容量の劣化を全く示していない。
アノードについてのサイクル試験
複数の試料が、ガラスで被覆されたインジウムすず酸化物上にGeNCを電着する(electrodepositing)ことによって調製された。Agilent Technologies社製の4155C半導体パラメータ・アナライザと、Alessi社製の2本のニードル・プローブ(needle probe、触針式のニードル状電気特性検査具)であって当該試料に接触させられるものとを用いて、複数のI−V曲線が取得され、約7Vから約14Vまでの範囲内の複数のVOC(開放電圧、開放回路電圧、電池に電流が流れていないときの電圧、無負荷電圧)値が測定された。さらに、観察された充電速度(charge rate)および放電速度(discharge rate)が、バルク(bulk 、ナノ材料より大きいサイズを有する)のシリコンまたはゲルマニウムのような他の技術に匹敵した。
開示されているカソードおよびアノードを有する電池およびそれと同様なデバイス
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているいくつかの電池およびそれらと同様ないくつかのデバイスが、この書類に記載されているアノードであって、この書類に記載されている複数個のナノ結晶を有するものと、カソードと、それらカソードとアノードとの間に配置されるセパレータと、電解質とを有してもよい。この開示事項を考慮すると、当業者は、目標の電池および同様なデバイスを達成するためにそのようないくつかの部品についての前述の複数の構成態様が存在することを理解すべきである。同様なデバイスについてのいくつかの例としては、スーパー・キャパシタ(super-capacitor、電気二重層コンデンサ)、ウルトラ・キャパシタ(ultra-capacitor、電気二重層コンデンサ)、キャパシタ、DIP型電池、フレックス電池(flex battery、屈曲可能な電池)、大型電池(large-format battery)およびそれらと同様なものがあってもよいが、それらに限定されない。
カソード材料についてのいくつかの例としては、いくつかの実施態様においては、コバルト酸リチウム(lithium cobalt oxide)、ニッケル酸リチウム(lithium nickel oxide)、マンガン酸リチウム(lithium manganese oxide)、リン酸鉄リチウム(lithium iron phosphate)、リチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(lithium cobalt nickel manganese oxide)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリアニリン(polyaniline)およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよいが、それらに限定されない。
セパレータについてのいくつかの例としては、いくつかの実施態様においては、ポリオレフィン系セパレータ(polyolefin-based separators)、フッ素化ポリオレフィン系セパレータ(fluorinated polyolefin-based separators)、フッ素樹脂系セパレータ(fluorine resin based separators (例えば、ポリエチレン製セパレータ(polyethylene separators))、ポリプロピレン製セパレータ(polypropylene separators)、フッ化ビニリデン樹脂製セパレータ(polyvinylidene fluoride separators)、VDF−HFPコポリマー製セパレータ(VDF-HFP copolymer separators)、ポリエチレン/ポリプロピレン製二層式セパレータ(polyethylene/polypropylene bilayer separators)、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン製三層式セパレータ(polypropylene/polyethylene/polypropylene triple layer separators)、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン製三層式セパレータ( polyethylene/polypropylene/polyethylene triple layer separators)およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよいが、それらに限定されない。
いくつかの実施態様においては、前記半電池、電池およびそれらと同様なデバイスであってこの書類に記載されているものについての電解質が、従来からの電解質、例えば、非水性溶媒内にリチウム塩が存在するものであって、任意選択的にポリマーを伴うもの、または固体電解質であってもよい。リチウム塩についてのいくつかの例としては、フッ素含有無機リチウム塩(fluorine-containing inorganic lithium salts) (例えば、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide )(LiTFSI)、LiPF6 およびLiBF4)、塩素含有無機リチウム塩(chlorine-containing inorganic lithium salts )(例えば、LiClO4)、フッ素含有有機リチウム塩(fluorine-containing organic lithium salts) (例えば、LiN(CF3SO2)2 、LiN(C2F5SO2)2 、LiCF3SO3 、LiC(CF3SO2)3 、LiPF4(CF3)2 、LiPF4(C2F5)2 、LiPF4(CF4SO2)2 、LiPF4(C2F5SO2)2 、LiBF2(CF3)2 、LiBF2(C2F5)2 、LiBF2(CF3SO2)2 およびLiBF2(C2F5SO2)2)およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよいが、それらに限定されない。非水性溶媒についてのいくつかの例としては、いくつかの実施態様においては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアナート(1-butyl-3-methylimidazolium thiocyanate )(bmimSCN)、N−ブチル−N−メチルピロリジウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(N-butyl-N-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide )(Pyr14TFSI)、環状カーボナート(cyclic carbonates )(例えば、炭酸エチレン(ethylene carbonate)および炭酸プロピレン(propylene carbonate))、直鎖状カーボナート(linear carbonates )(例えば、炭酸ジメチル(dimethyl carbonate)および炭酸エチルメチル(ethylmethyl carbonate))、環状カルボン酸エステル(cyclic carboxylic acid esters )(例えば、γ−ブチロラクトン(γ-butyrolactone)およびγ−バレロラクトン(γ-valerolactone))およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよいが、それらに限定されない。固体電解質についてのいくつかの例としては、酸化ポリエチレン(polyethylene oxide) (PEO)、ポリアクリロニトリル(polyacrylnitrile) (PAN)またはポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate) (PMMA)およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよいが、それらに限定されない。固体電解質(高速イオン導電体としても知られている)についてのいくつかの例としては、, いくつかの実施態様においては、窒化リチウム(lithium nitride)、ヨウ化リチウム(lithium iodide)、リン酸リチウム(lithium phosphate)およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよいが、それらに限定されない。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されている複数個のナノ結晶を使用することにより、サイクル(すなわち、充電および放電)を複数回(例えば、約500回以上)、パワー密度の劣化が最小である状態で行うことが可能な電池またはそれと同様なデバイスの製造を可能にしてもよい。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されている複数個のナノ結晶を使用することにより、調整可能な(tailorable)回路開放電圧(VOC(開放電圧))であって約0.1Vから約18Vまでの範囲であってそれら数値間の任意の数値の任意の組合せより成る範囲を含むものを有する電池またはそれと同様なデバイスの製造を可能にしてもよい。当該デバイスの開放電圧VOCは、特に、前記複数個のナノ結晶の組織形態および組成に依存してもよい。有利なことは、達成可能な開放電圧VOCが、バルク・シリコンおよびバルク・ゲルマニウムが有する約0.4Vから約1.1Vまでのオーダの開放電圧VOCより高い電圧を発生させる際に有利であるということである。
Li−GeNC製アノードを有する単電池(battery cell、電池セル)
電池の試作品が、複数個のLi−GeNCを有するアノードを用いて生成された。そのアノードは、単位面積当たりのエネルギー密度が約7.67mWh/cm2であり、単位面積当たりの容量(capacity、取り出せる電気の量)が約2.32mAh/cm2であるというように測定され、それら測定値から、約38,350Wh/Lというアノードのエネルギー密度(energy density、体積エネルギー密度)と、13,456Wh/kgというアノードの比エネルギー(specific energy、重量エネルギー密度)と、約3,684Ah/kgというアノードの比容量(specific capacity、重量容量密度、重量エネルギー密度)とが誘導された。さらに、数回の充放電サイクル(20回より多い)の終了後、当該電池は、無視できないほどに大きな性能劣化を示さなかった。この種の電池は、充電され、電荷(charge、充電された電荷)を2週間から3週間の間、無視できないほどに大きな電荷損失を伴うことなく維持してきた。
Li−SiGeNC製アノードを有する単電池(battery cell、電池セル)
別の電池の試作品が、複数個のLi−SiGeNCの中に収容されたリチウムを有するアノードを用いて生成された。そのアノードは、単位面積当たりのエネルギー密度(energy density per area、単位面積当たりの容量、電池容量密度)が約3mAh/cm2であるというように測定された。さらに、数回の充放電サイクル(20回より多い)の終了後、当該電池は、無視できないほどに大きな性能劣化を示さなかった。この種の電池は、充電され、電荷(charge、充電された電荷)を2週間から3週間の間、無視できないほどに大きな電荷損失を伴うことなく維持してきた。
Li−SiGeNC製アノードと、S−Cナノチューブ(S-C Nanotube、硫黄搭載カーボンナノチューブ)製カソードとを有する完成品としてのコイン型単電池(Full Coin Cell Battery)
図15は、完成品としてのコイン型単電池であって、全体として符号1500が付されたものを示す概略図である。図16は、図15に示す実施態様に従って完成品としてのコイン型単電池を組み立てる方法を、全体として符号1600が付された状態で示している。当該完成品としてのコイン型単電池1500は、セル・ベース1502と、半電池カソード1504と、1または複数のセパレータ1506a/1506bと、半電池アノード1508と、1または複数枚のスペーサ1510a/1510bと、付勢デバイス1512と、セル・カバー1514とを有してもよい。
ステップ1602においては、電解質1516aがセル・ベース1502に提供される。その電解質1516aは、例えば、0.25E-3 mol g?1 のLiNO3 (LiNO3 = 68.95 g mol-1)と、 0.25E-3 mol g?1 のDEMMOX (DEMMOX = 466.4 g mol-1)と、DME と DOLとの混合物であって重量比が1:1であるものとであってもよい。一実施態様においては、25μLの電解質1516aが、セル・ベース1502の中央部に提供される。ステップ1604においては、半電池カソード1504が電解質1516a内に配置される。種々の実施態様においては、その半電池カソード1504が、図1−図6に関連して前述されたような硫黄搭載カーボンナノチューブ製カソードを有してもよい。種々の実施態様においては、そのカソード1504が、そのカソード1504のうち、アルミニウム製接触領域はセル・ベース1502を向き、硫黄搭載カーボンナノチューブで被覆された側はセル・ベース1502から遠ざかる向きを向いている姿勢で配置される。ステップ1606においては、追加の電解質1516bが半電池カソード1504の上面上に提供される。一実施態様においては、25μLの電解質1516bが、半電池カソード1504の中央部に提供される。
ステップ1608においては、第1のセパレータ1506aが前記電解質溶液(the electrolyte solution、電界液、電解質1516a)およびカソード1504の上面上に配置される。種々の実施態様においては、第1のセパレータ1506aがカソード1504の直径に相当する直径を有してもよい。いくつかの特定の実施態様においては、第1のセパレータ1506aが19mmのポリプロピレン製セパレータであってもよい。ステップ1610においては、追加の電解質1516cが第1のセパレータ1506aの上面上に配置される。一実施態様においては、25μLの電解質1516cが第1のセパレータ1506aの上面上に提供される。ステップ1612においては、第2のセパレータ1506bが前記電解質溶液(the electrolyte solution、電界液)1516cおよび第1のセパレータ1506aの上面上に配置される。種々の実施態様においては、第2のセパレータ1506bが第1のセパレータ1506aの直径に相当する直径を有してもよい。いくつかの特定の実施態様においては、第2のセパレータ1506bが19mmのポリプロピレン製セパレータであってもよい。ステップ1614においては、追加の電解質1516dが第2のセパレータ1506bの上面上に配置される。一実施態様においては、25μLの電解質1516dが第2のセパレータ1506bの上面上に提供される。
ステップ1616においては、半電池アノード1508、すなわち、少なくともカソード1504の直径と同じ直径を有するものが、芯出しされて、第2のセパレータ1506b上の電解質1516dの上に配置される。種々の実施態様においては、半電池アノード1508がカソード1504を完全に覆ってもよい。いくつかの特定の実施態様においては、半電池アノード1508が、図12および図13に関連して前述されたように製造されたものであってもよい。ステップ1618においては、1枚または複数枚のスペーサ1510a/1510bが半電池アノード1508の上面上に配置される。種々の実施態様においては、スペーサ1510a/1510bがステンレス・スチール製のスペーサ(stainless steel spacers)であってもよい。種々の実施態様においては、2枚のスペーサ1510a/1510bが、半電池アノード1508上に配置される。ステップ1620においては、付勢デバイス1512がスペーサ1510a/1510bの上面上に配置される。種々の実施態様においては、付勢デバイス1512がスプリング・ワッシャ(spring washer、座金)であってもよい。他のいくつかの実施態様においては、付勢デバイス1512が他の任意の種類の付勢デバイスであって完成品としてのコイン型単電池1500の電気特性と干渉しないものである。ステップ1622においては、セル・カバー1514がセル・ベース1512を被覆するように配置され、それにより、完成品としてのコイン型単電池1500の内部部品を包囲する。種々の実施態様においては、完成品としてのコイン型単電池1500を包囲することが原因で、電解質が完成品としてのコイン型単電池1500から漏れ出てしまうかもしれない。漏れ出した電解質が存在する場合にはその電解質を完成品としてのコイン型単電池1500の外側から取り除いてもよい。ステップ1624においては、セル・カバー1514およびセル・ベース1502が気密に合体させられ(sealed together、互いに密封され)、それにより、完成品としてのコイン型単電池1500が製造される。
高品質でかつ歪みのあるナノ結晶の製造
この書類に開示されている事項についてのいくつかの方法およびいくつかのシステムの効果として、複数個のナノ粒子を高収率で(例えば、いくつかの実施態様においては、85%以上の収率で)生成することが可能であり、さらに、特に、複数個のナノ結晶および複数個の金属ナノ粒子を、粒子径がばらつく範囲が狭い状態で(例えば、いくつかの実施態様においては、プラス・マイナス約2nmの範囲内で)生成することが可能である。さらに、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムは、比較的高い生産率(production rates、生産速度)(例えば、1時間当たりに生産される重量(kilograms、キログラム数))と、複数の方法であって各々は連続的にないしは反復的に実行されるもの(continuous methods)とに適合することが可能であり、それら生産率(production rate)およびそれら連続的な方法は、ナノ結晶および金属ナノ粒子を含むナノ粒子を高度な一様性を有するように工業的規模で生産することを可能にするかもしれない。この書類において使用されるように、「ナノ粒子」という用語は、「ナノ結晶」という用語と相互に置換可能であり、結晶構造体を形成する複数の要素(elements、元素など)を意味するものとして理解されるべきである。
さらに、この書類に開示されているいくつかの方法およびいくつかのシステムについて予想外に発見されたことは、いくつかの実施態様においては、固有のナノ粒子組成物(nanoparticle compositions)が生成されるということであり、そのナノ粒子組成物は、電池(batttery、バッテリ)および量子エネルギー・デバイス(quantum energy device、量子化されたエネルギーである量子エネルギーを利用して作動するデバイス、量子デバイス)を含む複数の用途において有用であるかもしれない。
この書類に記載されている種々の実施態様は、エアロゾル化された前駆体溶液を加熱することによって複数個のナノ粒子を生成する工程を含むものであってもよく、その工程は、いくつかの実施態様においては、複数個のナノ粒子を連続的に(continuous、反復的に、繰返し)かつ高い生産率(production rate)で生成する工程に向いているかもしれない。
いくつかの実施態様は、流動するキャリア・ガスの存在下に、前駆体溶液(precursor solution)をエアロゾル化し、それにより、反応物流(reactant stream、反応物の流れ、反応物流体)を生成する工程と、前記反応物流を加熱し、それにより、複数個のナノ粒子を含む生成物流(product stream、生成物の流れ、生成物流体)を生成する工程と、前記生成物流を冷却する工程と、前記生成物流を捕集用液体(collection liquid)内を通過させ、それにより、前記生成物流から前記複数個のナノ粒子を捕集する工程とを含むものであってもよい。いくつかの実施態様においては、前記前駆体溶液が、揮発性溶媒(volatile solvent)と、ナノ粒子前駆体(nanoparticle precursors、複数個のナノ粒子前駆体)とを含有してもよく、また、前記反応物流は、前記揮発性溶媒の沸点より高い温度に加熱されてもよい。この書類において使用されるように、「ナノ粒子」という用語は、約40μmより小さい寸法を少なくとも一つ有する粒子を意味し、また、その粒子は、アモルファス・ナノ粒子、ナノ結晶、コア−シェル(core-shell)・ナノ粒子、非球形(non-spherical)ナノ粒子(例えば、長円状粒子またはロッド状粒子)、準球形(substantially spherical、球形またはそれと実質的に同じ形状を有する)ナノ粒子、中空球形(hollow spherical)ナノ粒子、およびそれらと同様のものを含む。
前記前駆体溶液をエアロゾル化すると複数個の液滴(droplets)が形成され、それら液滴は、前記揮発性溶媒の沸点を超える温度に加熱されると、それが原因で、前記揮発性溶媒が前記液滴から蒸発し、そして、前記ナノ粒子前駆体より成る複数個の液滴が合体して反応し、それにより、複数個のナノ粒子を生成し、また、いくつかの例においては、複数個のナノ結晶を生成する。注目されるべきことは、合成を行う条件(例えば、エアロゾル化を規定するパラメータ、反応温度、揮発性溶媒の組成、ならびに、ナノ粒子前駆体の組成および/または濃度)に応じ、複数個のナノ粒子が、1個の液滴当たり1個のナノ粒子というメカニズム(one doroplet-one nanoparticle mechanism、1液滴1ナノ粒子化メカニズム、1液滴1ナノ粒子転換メカニズム)、熟成(ripening、成長、凝集)メカニズム、分裂(disintegration、分離、粉砕、崩壊、分散)メカニズム、またはそれらのうちの任意のものの組合せにより、生成されてもよいということである。種々の実施態様においては、前記1液滴1ナノ粒子化メカニズムにより、複数個の単分散粒子(monodispensed particles、単一の粒子径を有する複数個の粒子)が生成されるかもしれない。他のいくつかの実施態様においては、前記分裂メカニズム(disintegration mechanism)により、二峰性(bimodal、最頻値が2個)、三峰性(trimodal、最頻値が3個)または他の多峰性(multimodal、最頻値が複数個)のナノ粒子径分布を生成してもよい。複数個のナノ粒子についてのそのような多峰性分布のおかげで、それらナノ粒子が基板上に成膜される(deposited in a layer on a substrate、基板上に層が被着される)際に、より高度の充填効率(packing density)を実現することが可能となるかもしれない。
ここで、図17を参照するに、複数個のナノ粒子を生成するシステムが、全体として符号1700を付された状態で示されている。このシステム1700は、前駆体溶液容器1710であって、前駆体溶液1712を収容するものを有してもよく、その前駆体溶液1712の中には、エアロゾルBを生成するためのソニケータ(sonicator、超音波処理器)1714が浸漬されている。そのソニケータ1714は、制御ボックス1716に装着されてもよく、その制御ボックス1716は、ソニケータ1714によって生成される周波数、振幅および波形形状を変化させることが可能である。さらに、前駆体溶液容器1710は、キャリア・ガスAを、当該前駆体溶液容器1710を通過するように有し、そのキャリア・ガスAは、反応物流Cを生成するためにエアロゾルBと混合される。その反応物流Cは、反応ゾーン1718を通過してもよく、その反応ゾーン1718においては、反応物流Cが複数のヒータ1720aと1720bおよび1722aと1722bによって加熱され、それにより、複数個のナノ粒子を含む生成物流Dが生成される。それらヒータ1720aと1720bおよび1722aと1722bは、反応ゾーン1718内において、互いに異なるゾーン温度を有する複数のゾーンを形成するように調節されてもよい。生成物流Dは、その後、捕集用液体容器1726内の捕集用液体1728を通過させられ、その捕集用液体容器1726においては、複数個のナノ粒子が、少なくとも実質的に、生成物流Dから分離され、それにより、流出物流(effluent stream)Eが生成される。ここに図示するように、複数個の3方向バルブ1724および1730が、捕集用液体1728が反応ゾーン1718内に逆流しないように、捕集用液体容器1726の圧力およびガス流速を制御するために用いられる。注目されるべきことは、負圧源(vacuum、負圧、真空、真空圧)のような他のメカニズムおよび反応ゾーン1718より上流側に導入される別のキャリア・ガスも、捕集用液体1728が反応ゾーン1718内に逆流することを阻止することを支援するために用いてもよいということである。
いくつかの実施態様においては、前駆体溶液が、揮発性溶媒と、ナノ粒子前駆体とを含有してもよい。
揮発性溶媒は、いくつかの実施態様においては、沸点が約300℃以下である有機溶媒であってもよい。この書類に記載されているいくつかの方法に関連して用いることに適している揮発性溶媒のいくつかの例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノール)、グリコール、アセトニトリル、水、およびそれらと同様なもの、それらからの派生物、ならびに、それらのうちの任意のものの組合せを含んでもよいが、それらに限定されない。無水前駆体溶媒を、最終生成物の酸化を最小化するために用いてもよい。その溶媒は、例えば、当該溶媒の誘電率(dielectric constant)に基づいて選択してもよい。種々の実施態様においては、その溶媒の誘電率が、有機金属前駆体の誘電率に一致させられてもよい。他のいくつかの実施態様においては、その溶媒を、混和度(miscibility、溶解度)に基づいて選択してもよい。例えば、いくつかの特定の実施態様においては、その溶媒は、溶液を生成する前駆体に対して混和性(miscibile、溶解性)を有する溶媒として用いられるのではなく、前駆体に用いられるエマルジョン(emulsion、乳化物、溶質が溶媒に溶解せずに分散しているもの)を生成する溶媒として用いられることが望ましいかもしれない。
ナノ粒子前駆体は、いくつかの実施態様においては、有機金属化合物であってもよい。ナノ粒子前駆体は、塩化シリコン、塩化ゲルマニウムなどを含有してもよい。ナノ粒子前駆体は、遷移元素(例えば、チタニウム、クロミウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、カドミウム、タングステン、プラチナおよび金)、ランタノイド元素(例えば、ユウロピウム、ガドリニウムおよびエルビウム)、III族元素(ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウム)、IV族元素(ゲルマニウム、シリコン、錫、鉛および炭素)、V族元素(例えば、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマス)、VI族元素(例えば、酸素、硫黄、セレンおよびテルル)またはそれらのうちの任意のものの組合せを含有してもよい。この書類に記載されているいくつかの方法に関連して用いることに適しているナノ粒子前駆体のいくつかの例としては、いくつかの実施態様においては、テトラエチルゲルマン、テトラメチルゲルマン、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、ジエチルゲルマン、ジエチルシラン、テトラプロピルゲルマン、テトラプロピルシランおよびそれらと同様のもの、それらの派生物、ならびにそれらのうちの任意のものの組合せを含むが、それらに限定されない。
いくつかの実施態様においては、2以上の(more than one、2種類以上の)ナノ粒子前駆体が、この書類に記載されている前駆体溶液中に使用されてもよい。例えば、前駆体溶液は、ゲルマニウムを含有する第1ナノ粒子前駆体と、シリコンを含有する第2ナノ粒子前駆体とを含有してもよい。いくつかの実施態様においては、前駆体溶液が、2以上の(more than one、2種類以上の)ナノ粒子前駆体を、前記第1ナノ粒子前駆体のうちの金属(例えば、ゲルマニウム)の、前記第2ナノ粒子前駆体のうちの金属(例えば、シリコン)に対するモル比が、約1:10、約1:5または約1:1という下限値から、約10:1、約5:1または約1:1という上限値までの範囲内に存在するように含有してもよく、ここに、前記モル比は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。他のいくつかの実施態様においては、多峰性分布(multimodal distributions、多峰性の粒子径分布)が望ましい場合には、有機金属以外のものを含有しない前駆体(pure organometallic precursors、純有機金属前駆体)が、液滴分裂メカニズム(droplet disintegration mechanism)に従って用いられてもよい。この開示事項を考慮すると、当業者であれば理解されるべきことは、上述のゲルマニウムおよびシリコンを一緒に用いる一例は、本発明の範囲を限定しておらず、複数種類のナノ粒子前駆体のうちの任意のものの組合せのうちゲルマニウムとシリコンの組合せを除くもの、例えば、カドミウムとセレン、錫とテルル、および亜鉛と硫黄が適用可能であるということである。
いくつかの実施態様においては、前記ナノ粒子前駆体が、この書類に記載されている前駆体溶液中に、その前駆体溶液の体積を単位にすると、約20%、約30%、約40%または約50%という下限値から、その前駆体溶液の体積を単位にすると、約90%、約70%、約50%または約40%という上限値までの範囲内の量で存在してもよく、ここに、その量は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、前記前駆体溶液をエアロゾル化する工程が、超音波処理プローブ(sonicating probe、超音波処理器)が前記前駆体溶液内に浸漬された状態で(例えば、図17に示すように)、前記前駆体溶液を超音波処理する(sonicating、ソニケーティングする、撹拌する、分散する、破砕する、粉砕する)工程と、前記前駆体溶液を噴霧する(nebulizing、ネブライズする)工程と、前記前駆体溶液をノズル(例えば、エアロゾル化するノズル)内を通過させる工程と、静電沈降によって分離を行う(electrostatic precipitation)工程と、それらと同様な工程と、それら工程のうちの任意のものの組合せとのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
いくつかの実施態様においては、前記前駆体溶液をエアロゾル化する工程であって、この書類に記載されているいずれかの方法によるエアロゾル化工程を含むものが、約1kHz、約10kHz、約100kHz、約1MHz、約10MHzまたは約100MHzという下限値から、約1000MHz、約100MHz、約10MHz、約1MHzまたは約100kHzという上限値までの範囲内の周波数で実施されてもよく、ここに、その周波数は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)(例えば、3kHzから150kHzまでの範囲という部分集合)を包含する。いくつかの実施態様においては、前記前駆体溶液をエアロゾル化する工程であって、この書類に記載されているいずれかの方法によるエアロゾル化工程を含むものが、歪み(strained、歪みを与えられた、圧縮歪みを与えられた、引張歪みを与えられた、歪まされた、ひずみ、ストレインド)ナノ粒子(この書類においてさらに説明する)を生成するような周波数で実施されてもよく、その周波数は、約1kHz、約3kHz,約10kHzまたは約15kHzという下限値から、約200kHz、約150kHz、約50kHzまたは約25kHzという上限値までの範囲内の周波数でもよく、ここに、その周波数は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)、例えば、5kHzから22kHzまでの範囲という部分集合を包含する。
いくつかの実施態様においては、前記前駆体溶液をエアロゾル化する工程であって、この書類に記載されているいずれかの方法によるエアロゾル化工程を含むものが、約10ワット(または約5kHzという周波数)という下限値から、約100ワット(または約22kHzという周波数)という上限値までの範囲内の入力パワーで実施されてもよく、ここに、その入力パワーは、いずれかの下限値から、いずれかの上限値までの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。当業者であれば理解されることは、このシステムに供給されるエネルギーに関連する別のいくつかの要因も、結果物としてのナノ粒子の物理的特性、例えば、内部歪み(internal strain)のようなものに影響を及ぼすかもしれないということである。別の要因としては、波形形状、振幅、熱または他の任意の別のエネルギーであって複数個の液滴を形成する際にこのシステムの入力部に印加されるものがあってもよい。
いくつかの実施態様においては、前記エアロゾル化された前駆体溶液Bが、キャリア・ガスAと混合され、それにより、反応物流Cを形成してもよい。そのキャリア・ガスAは、前記エアロゾル化された前駆体溶液Bを、反応ゾーン1718を通過して輸送してもよい。さらに、そのキャリア・ガスAの流速(flow rate)は、反応物流Cが反応ゾーン1718内に滞留する時間の目標値が実現されるように、調節してもよい。いくつかの実施態様においては、反応物流Cが反応ゾーン1718内に滞留する時間が、約1秒という下限値から約10秒という上限値までの範囲内に存在してもよい。
いくつかの実施態様においては、キャリア・ガスAが、不活性ガス(例えば、ヘリウム)であってもよい。他のいくつかの実施態様においては、キャリア・ガスAが、不活性でなくてもよい(例えば、水素)。この書類に記載されているいくつかの方法に関連して用いることに適しているキャリア・ガスのいくつかの例は、いくつかの実施態様においては、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、二酸化炭素およびそれらと同様なものならびにそれらのうちの任意のものの組合せを含んでもよいが、それらに限定されない。
いくつかの実施態様においては、反応物流Cが、前記揮発性溶媒の沸点より高い温度に加熱され、それにより、複数個のナノ粒子を含む生成物流(product stream、生成物の流れ、生成物流体)Dを生成してもよい。いくつかの実施態様においては、前記揮発性溶媒の沸点より高い温度が、約500℃、約600℃または約700℃という下限値から、約1200℃、約1100℃、約1000℃または約900℃という上限値までの範囲内に存在してもよく、ここに、その温度は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、加熱工程が、反応物流Cを1本の管状炉(tube furnace)、複数本の管状炉が直列に並んだものまたはそれらと同様なものを通過させる工程を含んでもよい。理論的に限定されるわけではないが、考えられることは、複数個のナノ粒子前駆体および/または複数個のナノ粒子が、前記管状炉を通過する前記管部の壁上に付着し(collect、集積し)、それにより、ナノ粒子の全体としての収率が低下するということである。種々の実施態様により、前記壁と反応物流Cとの間での相互作用を最小化してもよい。そのような相互作用を最小化する工程は、いくつかの実施態様においては、前記管状炉を垂直に配置する工程と、反応物流Cが通過している前記管部を回転させる工程と、前記管部を帯電させる工程と、前記管状炉内にシース状流れを生成する工程(例えば、前記管部の壁と反応物流Cとの間を、ガスより成るシースを流す工程)と、反応物流C内に渦を生成する工程(例えば、回転するかまたは振動するロッドまたはそれと同様なものであって前記反応ゾーン1718内まで延びるものを用いて)と、渦の流れに関してテーパ状を成す管部を用いる工程と、それらと同様な工程と、それらを複合したものと、それらのうちの任意のものの組合せとのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
いくつかの実施態様においては、生成物流D内に存在する複数個のナノ粒子を捕集するように、生成物流Dを捕集用液体1728内を通過させる工程を含んでもよい。その捕集用液体1728は、いくつかの実施態様においては、ナノ粒子の生成工程の下流側において行われる用途(例えば、表面上に成膜すること、ポリマーと混合して組成物を生成すること、化学的に改質すること、およびそれらと同様なこと)に適した溶媒であってもよい。捕集用液体1728のいくつかの例であって、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムによって生成されたナノ粒子を捕集するのに適したものとして、メタノール、エタノール、グリコール、水、テトラヒドロフラン(THF)、炭酸ジエチル、アセトニトリル、ジクロロベンゼン、アセトン、トルエン、ペンタンおよびそれらと同様なもの、それらからの派生物、ならびにそれらのうちの任意のものの組合せがあってもよい。
いくつかの実施態様においては、捕集用液体1728が、さらに、懸濁化剤(suspension agent、懸濁補助剤)を含有してもよく、その懸濁化剤は、いくつかの実施態様においては、前記複数個のナノ粒子の懸濁を支援するかおよび/または前記複数個のナノ粒子が凝集することを軽減するものであってもよい。いくつかの実施態様においては、懸濁化剤(suspension aid、懸濁補助剤)が、共有結合的であるかまたは非共有結合的であるように、前記複数個のナノ粒子と相互作用を行ってもよい。この書類に記載されているナノ粒子の製造に関連して用いられるのに適している懸濁化剤についてのいくつかの例としては、表面活性剤、ポリマー、キレート剤、キャッピング剤(capping agent)(例えば、オクタノール、オレイルアミンおよびトリオクチルアミン)、およびそれらと同様なもの、ならびに、それらのうち任意のものの組合せを含有してもよい。
いくつかの実施態様においては、ナノ粒子前駆体および/またはナノ粒子が表面に付着する(collection、集積する)量を最小化するために、生成物流Cが反応ゾーン1718から捕集用液体1728まで流れる経路が、実質的に直線的である(例えば、約30度以下の曲り(bend)または偏り(deviation、偏差、偏向)を有する)かおよび/または実質的に垂直であり(例えば、垂直線からのはずれ量が約30度以下である)、それにより、ナノ粒子の収率が増加する。いくつかの実施態様においては、ナノ粒子の収率が、ナノ粒子前駆体のうちの金属の、生成されたナノ粒子のうちの金属に対する重量比率を単位とすると、約65%以上であるか、約75%以上であるか、または、より望ましくは、約85%以上である(例えば、約85%と約90%との範囲内)ものであってもよい。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムが、連続的に(continuous、反復的に)、かつ、高い生産率(production rate)で複数個のナノ粒子を生産する方法が実現されるように適合させられてもよい。ここで、図18を参照するに、複数個のナノ粒子を生成するシステムが、全体として符号1800を付された状態で示されている。このシステム1800は、前駆体溶液1812を収容する前駆体溶液容器1810を有してもよい。この前駆体溶液1812は、装置1814、例えば、大規模の霧化器(mister)または噴霧器(fogger)であって、エアロゾル化された前駆体溶液Bを大きな量で生成することが可能であるものに接触させられてもよい。連続生産を可能にするために、システム1800は、シリンジ・ポンプ(syringe pump、シリンジ内の溶液をポンプの力によって押し出して添加を行うもの)1832(または、それとは別のシステムであって、それと同様にして、添加を自動的に行うもの)を、前駆体溶液1812を連続的に(continuous、反復的に)添加するために有してもよい。
前駆体溶液容器1810が、キャリア・ガスAが通過する通路を有し、そのキャリア・ガスAは、エアロゾルBと混合させられ、それにより、反応物流Cが生成される。その反応物流Cは、反応ゾーン1818を通過してもよく、その反応ゾーン1818においては、反応物流Cが、ヒータ1820a,1820bによって加熱され、それにより、複数個のナノ粒子を含有する生成物流Dが生成される。注目されるべきことは、反応ゾーン1818は、図18に示すように、1本の管部であって大きな直径を有するものまたはそれと同様なもの、または、並列した複数本の管部またはそれと同様なものであって各々小さな直径を有するものを、前駆体溶液容器1810の使用に応じた大きな処理量に対処できるように有してもよいということである。生成物流Dは、その後、捕集用液体容器1826内の捕集用液体1828を通過させられ、その捕集用液体容器1826においては、複数個のナノ粒子が、少なくとも実質的に、生成物流Dから捕集され、それにより、流出物流Eが生成される。図示するように、捕集用液体容器1826は、捕集用液体1828の連続流を実現するために入口1834と出口1836とを有し、それにより、この製造プロセスまたはそれと同様な製造プロセスによって生成された複数個のナノ粒子を連続的に抽出する(extraction、取り出す)ことを可能にしてもよい。
この書類において用いられているように、「連続的に」という用語は、長い時間フレーム(例えば、約3時間以上)にわたり、中断なく、行われることを意味する。注目されるべきことは、連続的な動作が複数回、短い時間(例えば、数秒から数分の範囲)を隔てて断続的に行われる場合でも、それら動作は、長い時間にわたって連続的であると考えてもよいということである。例えば、前駆体溶液を連続的に添加する工程は、長い時間フレームにわたり、前駆体溶液を複数回、断続的に添加する工程、例えば、約1mLの前駆体溶液を15分ごとに添加する工程を有してもよい。
いくつかの実施態様は、流れるキャリア・ガスAの存在下に、前駆体溶液1812を連続的にエアロゾル化し、それにより、反応物流Cを生成する工程と、前駆体溶液1812を連続的に補充する工程と、反応物流Cを、前記揮発性溶媒の沸点より高い温度に加熱し、それにより、複数個のナノ粒子を含む生成物流Dを生成する工程と、生成物流Dを冷却する工程と、生成物流Dを捕集用液体1828内を通過させ、それにより、生成物流Dから複数個のナノ粒子を捕集する工程とを含むものとしてもよい。
いくつかの実施態様は、さらに、例えば、前記複数個のナノ粒子の捕集用液体1828内における濃度が目標値に到達したときに捕集用液体1828を交換することを繰り返し行う工程を含んでもよい。
いくつかの実施態様は、さらに、複数個のナノ粒子を捕集用液体1828から抽出する(例えば、連続式で(continuously)かまたは回分式で(batchwise))工程を含んでもよい。いくつかの実施態様においては、複数個のナノ粒子を捕集用液体1828から抽出する工程が、遠心分離する工程、連続的に遠心分離を行う工程(例えば、フロー遠心分離)、フィルタリングする工程、複数個のナノ粒子を濃縮する工程、複数個のナノ粒子が沈殿することを許容した後に捕集用液体1828をデカントする(decanting、捕集用液体1828の上澄み液を静かに別の容器に移す)工程、それらと同様な工程、それらの工程のうちの任意のものの組合せを含んでもよい。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムにより、歪みなしナノ粒子および/または歪みナノ粒子(strained nanoparticles、歪みありナノ粒子)が生成されてもよい。例えば、二峰性粒子径分布の場合には、より大きな直径を有するナノ粒子が、歪みを有するように形成される一方、より小さな直径を有するナノ粒子が、僅かな歪みしか有しないように形成されてもよい。この書類において用いられるように、「歪みナノ粒子」という用語は、歪み結晶構造体を有するナノ粒子を意味し、その歪み結晶構造体は、X線回折法(「XRD」)によって分析されたときに、結晶面にシフト(shift、ずれ)があることによって検出することが可能である。いくつかの実施態様においては、歪みナノ粒子が、ナノ結晶、コア−シェル(core-shell)・ナノ粒子であって結晶性のコアとアモルファスのシェルとを有するもの、SiGeコア−シェル・ナノ粒子、およびそれらと同様なものであってもよい。注目されるべきことは、特記されない限り、「ナノ粒子」という用語は、歪みなしナノ粒子と、歪みナノ粒子との双方を含むということである。
理論的に限定されるわけではないが、考えられることは、エアロゾル化の周波数、エアロゾル化の振幅、反応ゾーン内に滞留する時間、および温度が、この書類に記載されているいくつかのシステムおよびいくつかの方法によって形成されるナノ粒子につき、歪みの程度、直径分布および/または組織(morphology、モーフォロジー、金属組織)に影響を及ぼすということである。一例においては、エアロゾル化中により高い周波数が使用されると、生成されるナノ粒子の直径が増加するということであるかもしれない。別の例においては、エアロゾル化中により大きな振幅が使用されると、生成されるナノ粒子の歪みが増加するということであるかもしれない。
ナノ粒子(歪みありか歪みなしかを問わない)は、ナノ粒子の生成過程において使用されるナノ粒子前駆体のうちの金属を含有してもよい。一例においては、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムは、カドミウム(cadmium)およびセレン(selemium)を含有する前駆体溶液を使用してもよく、その場合には、カドミウムセレミド(cadmium selenide、セレン化カドミウム)より成る複数個のナノ粒子が生成される。別の例においては、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムは、金ナノ粒子、プラチナ・ナノ粒子またはパラジウム・ナノ粒子が生成されるように、金、プラチナまたはパラジウムを含有する前駆体溶液を使用してもよい。さらに別の例においては、この書類に記載されているいくつかの方法およびいくつかのシステムは、ゲルマニウムとシリコンとを概して目標比率で含有するナノ粒子が生成されるように、ゲルマニウムとシリコンとを目標比率で含有する前駆体溶液を使用してもよい。
歪みナノ粒子は、いくつかの実施態様においては、III族元素、IV属元素、V族元素および/またはVI族元素を含有してもよい。例えば、歪みシリコン・ナノ粒子は、バルク(bulk、もとの完全結晶)・シリコンの(111)結晶面から、約4度から約6度の範囲内の値だけシフトした結晶面(111)について2θ値を有してもよい。いくつかの実施態様においては、歪みナノ粒子の(111)結晶面についての前記2θ値が、約1度、約2度、約3度または約4度という下限値から約8度、約7度、約6度、約5度または約4度という上限値までの範囲内の値だけ、対応するバルク材料に対してシフトしてもよく、ここにおいて、そのシフト量は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、歪みナノ粒子が、IV属元素(例えば、ゲルマニウム、シリコン、錫、鉛、炭素またはそれらのうちの任意の組合せ)を含有してもよい。他のいくつかの実施態様においては、歪みナノ粒子が、シリコンの、ゲルマニウムに対するモル比が、約1:10、約1:5または約1:1という下限値から、約10:1、約5:1または約1:1という上限値までの範囲内に存在するように含有してもよく、ここに、前記モル比は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているナノ粒子(歪みありか歪みなしかを問わない)が、少なくとも1つの寸法についての平均直径であって、約3nm、約5nm、約10nm、約25nmまたは約100nmという下限値から、約1000nm、約500nm、約250nm、約150nm、約100nmまたは約50nmという上限値までの範囲内に存在するものを有してもよく、ここに、少なくとも1つの寸法についての前記平均直径は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているナノ粒子(歪みありか歪みなしかを問わない)が、狭い直径分布(diameter distribution、粒子径分布)を、前記平均直径からの標準偏差(standard deviation、ばらつき幅)が、プラス・マイナス約0.5nm、約1nmまたは約2nmという下限値から、プラス・マイナス約10nm、約7nmまたは約5nmという上限値までの範囲内に存在するように有してもよく、ここに、前記標準偏差は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているナノ粒子(歪みありか歪みなしかを問わない)が、多峰性直径分布(例えば、二峰性、三峰性およびその他)を有してもよい。いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているナノ粒子(歪みありか歪みなしを問わない)であって多峰性直径分布を有するものが、少なくとも1つの寸法についての平均直径であって、約4nm、約7nm、約12nmまたは約25nmという下限値から、約250nm、約150nm、約100nmまたは約50nmという上限値までの範囲内に存在するものを有する少なくとも1つの最頻値(mode、モード、峰部、山部)を有してもよく、ここに、少なくとも1つの寸法についての前記平均直径は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、この書類に記載されているナノ粒子(歪みありか歪みなしかを問わない)の多峰性直径分布の複数の最頻値(modes、モード、峰部、山部)が、それぞれ互いに独立して、狭い直径分布を、各最頻値についての標準偏差(standard deviation、ばらつき幅)が、それぞれ互いに独立して、プラス・マイナス約0.5nm、約1nmまたは約2nmという下限値から、プラス・マイナス約10nm、約7nmまたは約5nmという上限値までの範囲内に存在するように有してもよく、ここに、前記標準偏差は、それら下限値のうちのいずれかから、それら上限値のうちのいずれかまでの範囲内に存在し、そのいずれかの下限値とそのいずれかの上限値との間に存在する任意の部分集合(1つの下限値と1つの上限値との組合せ)を包含する。
いくつかの実施態様においては、ナノ粒子が、自身の粒子径に基づき、フォトルミネセンス(photoluminescence、蛍光)を生成してもよい。1個の粒子の物理的サイズ(physical size、粒子直径、粒子半径など)が、その粒子の励起子(exiton)半径(すなわち、1個の電子がそれの価電子帯(valence band)から伝導帯(conduction band)まで移動するのに必要な物理的距離)より小さい場合には、フォトルミネセンスの量子現象を観察することが可能である。例えば、シリコンの励起子半径は24nmである。すなわち、1個の電子は、それの価電子帯(valence band)から伝導帯(conduction band)まで24nm移動することが必要である。しかし、種々の実施態様は、24nmより小さい複数個のシリコン粒子を生成するかもしれない(例えば、5nmの複数個のシリコン粒子を合成することが可能である)。この種のいくつかの実施態様においては、十分なエネルギーを有する1個の光子(すなわち、紫外光、または、より具体的には、そのナノスケール材料(the nanoscale material)のバンド・ギャップ・エネルギーより大きい1個の光子)が前記1個のナノ粒子(the nanoparticle)によって吸収されると、1個の電子が前記価電子帯から前記伝導帯まで励起される。その電子は、その後、前記価電子帯に戻り、前記粒子サイズ(particle size、粒子直径、粒子半径など)と前記励起子半径との差に基づく波長を有する光の1個の光子を出射する。5nmのシリコンである場合には、その光は青色光である。前記1個の粒子の物理的サイズ(physical size、粒子直径、粒子半径など)が励起子半径に近づくにつれて、フォトルミネセンスがもはや観察されなくなり、前記材料は、バルク材料(bulk material、ナノ材料より大きいサイズを有する固体材料など)として挙動し始める。
種々の実施態様においては、ナノ粒子の直径が、次式で表される関係に基づいて求められる。
DP= σ*(f)-0.66(Q)0.207(γ)0.11(ρ)-0.274(η)0.166(power/area)-0.4
ただし、DPは、結果物である粒子の直径であり、また、σは、温度と、選択された前駆体溶液の種類とに依存する定数であり、また、fは、変換器(transducer、エネルギーの形態を変換するデバイス)/超音波処理(sonicating)のための周波数であり、また、Qは、前記キャリア・ガスの流速であり、また、γは、前記前駆体溶液の表面張力であり、また、ρは、前記前駆体溶液の密度であり、また、ηは、前記前駆体溶液の粘性であり、また、power/areaは、パワー密度(power density)である。
いくつかの実施態様においては、前記歪みナノ粒子が圧電効果(piezoelectric effects)を示してもよい。圧電気(piezoelectricity、圧電効果によって発生する電気)というものは、電荷が蓄積される(build-up)という特別の状況であって、機械的応力によって特定の固体材料構造体内に発生するものである。一般に、その圧電効果は、反転対称性を有しない結晶性材料において機械的状態と電気的状態との間での線形電気−機械相互作用であることが実験的に求められてきた。その圧電効果は、加えられた機械力による電荷の内部的発生が、印加された電場(electric field、電界)による機械的歪みの内部的発生に逆変換されることが可能であるように、可逆的な過程である。
バルク半導体における圧電効果に関しては、歪みによる原子間隔の変化が、半導体にとって本質的であるバンドギャップに影響を及ぼして、電子が伝導帯に励起することが容易になる(または、当該材料および歪みによっては、困難になる)。半導体材料の圧電効果は、金属における、それと類似の幾何学的効果より数桁大きくなることがあり、また、ゲルマニウム、多結晶シリコン、アモルファス・シリコン、炭化シリコンおよび単結晶シリコンのような材料に存在する。
半導体の圧電効果は、ゲルマニウム、多結晶シリコン、アモルファス・シリコンおよび単結晶シリコンのような広範囲の半導体材料を有するセンサ・デバイスのために使用されてきた。シリコンは、現在、ほとんどすべての集積回路にとって最適な材料であるため、圧電シリコン・デバイスの使用は、研究に対する関心が非常に深い領域である。
バルク単結晶のシリコンおよびゲルマニウムにおける圧電抵抗効果に関しては、シリコンおよびゲルマニウムの抵抗値(resistance)が、応力によって誘発される幾何形状の変化のみならず、当該材料の比抵抗値(resistivity、抵抗性、抵抗率)であって応力に依存するものによっても変化し得る。n型シリコン(電気伝導を担う主な複数個の電荷担体は複数個の電子である)の抵抗値は、主に、当該結晶の、互いに異なる3個の頂点であって電気伝導を行うもの(conducting vertices、電気伝導のための電荷担体が位置する頂点)のシフト(a shift、頂点間の距離、電荷担体間の距離を変化させること)に起因して変化する。そのシフトが原因となり、前記複数個の電荷担体が、複数の頂点の間に、互いに異なる移動度を有するように再分配される。その結果、電流の方向に応じて移動度が変化するということが起こる。軽微な効果は、単結晶シリコンの内部に位置する(in single crystal silicon、単結晶シリコンの表面に位置しない)複数個の谷側頂点(valley vertices、結晶面や結晶頂点に位置する原子とは異なり、結晶の内部に位置する原子)間の原子間隔の変化による形状のゆがみ(distorsion)に関連する有効質量変化に起因する。p型シリコン(電気伝導を担う主な複数個の電荷担体は複数個の正孔である)においては、現在研究されている現象は、より複雑であり、質量および正孔移動の変化も示す。
圧電メカニズムに関しては、圧電効果の性質が、固体における電気双極子モーメントの発生に起因する。電気双極子モーメントは、電荷の大きさと電荷間の距離との積に等しいベクトル量である。固体における電気双極子モーメントは、タンタル酸リチウムおよびチタン酸ジルコン酸鉛であるが如き場合における非対称電荷環境において、複数個の結晶格子部位上の複数個のイオンについて誘発されるものであってもよく、または、固体における電気双極子モーメントは、複数個の有機糖分子であるが如き場合において、複数個の分子群によって直接保有されるものであってもよい。分極化の原因となる双極子密度は、結晶単位格子(crystal unit cell)の単位体積当たりの複数個の双極子モーメントの合計値である。電気双極子は、ベクトル量(特定の大きさおよび特定の方向を有する幾何学的対象)であるため、双極子密度Pもベクトル量である。互いに接近している複数個の双極子は、ワイスドメインと称される領域内において整列する傾向がある。それら整列された複数の領域であって個々の粒子間に発生するものにおいては、それら粒子は一体的に作用する。したがって、電圧の電位および極性ならびに電流の大きさおよび方向は、固体全体を構成する個々の粒子すべての合計に等しい。
反復するに、典型的には、圧電効果は、加えられた機械的応力によって生じるが、内部応力をある種の固体内に誘発させる(manufacturing internal stress into certain solids)ことによっても出現し得る。圧電気は、分極の強度の変化(variation)、分極の方向の変化(variation)またはそれらの両方の変化(variation)によって生じる。電荷の大きさおよび方向は、個々の粒子内の双極子密度Pの配向と、粒子対称性と、加えられた機械的応力または誘発された内部応力との間のいくつかの相互関係に依存する。個々の結晶の双極子密度の変化は、個々の結晶面に対する表面電荷密度の変化として量的に出現するが、圧電現象から生じる全有効エネルギーは、材料全体を構成する複数個の結晶の複数個の双極子密度の重合せ、すなわち、結晶全体を構成する個々の結晶学的単位格子の合計として作用するものによって発生させられる。例えば、1cm3の立方体を成す石英であって、選択されたあるポイント(the right point)に500lbの力が機械的に加えられたものは、合力が、前記結晶全体を構成する個々の結晶学的単位格子すべての合計であるため、約12500Vの電圧を生成することができる。
応力状態で合成されたバルク極性結晶構造体における発電に関しては、32個の結晶族が存在し、それら結晶族は、結晶性材料における複数の対称操作(symmetry operations)の組合せであって、存在し得る32通りの組合せを表している。各結晶族は、当該結晶族の対称性を一意に定義する複数の結晶面を含む。上述の32個の結晶族のうち、21個の結晶族は非中心対称であり(対称中心を有せず)、また、それらのうち、20個の結晶族は直接的な圧電気を示す。それらのうち10個の結晶族は、複数の極性結晶族を含み、それら極性結晶族は、その結晶構造に内在する(inherent、本質的に存在する)非対称性に付随する非消滅(non-vanishing)電気双極子モーメントのために、機械的応力が付与されなくても自発的に分極する。極性結晶の場合、双極子密度の合計P≠0という関係が機械的負荷を付与しなくても成立し、圧電効果は、Pの大きさもしくは方向またはそれらの両方を変化させることによって出現する。換言すれば、内部応力を有するように製造可能な極性結晶は、機械的負荷を付与しなくても圧電効果を呈示するということである。
換言すれば、非極性圧電結晶の場合、付与された機械的負荷は、当該材料を非極性結晶族(P=0)から、P≠0という関係が成立する極性結晶に変換し、それにより、外部デバイスにエネルギーを供給可能な電位および有効エネルギーが発生する。しかし、内部応力状態となる傾向がある結晶は、それに内在する極性構造体であってP≠0という関係が成立するものを有し、それにより、機械的負荷が付与されなくても、エネルギーが当該構造体から放出可能である。電気エネルギーの放出中、当該結晶は、弛緩して(relax)、その結晶にとって望ましい状態の原子間隔に復元する。
様々な実施態様においては、歪みナノ結晶の生成が広範囲の要因に依存しており、それら要因としては、例えば、特に、当該ナノ結晶の組成(composition)と、前記1または複数の反応ゾーンの1または複数の温度と、前述のソニケータ(sonicator、超音波処理器)または霧化機(mister)または噴霧器(fogger)または変換器(transducer)の周波数およびパワーとが存在する。一実施態様においては、歪みSi(シリコン)ナノ結晶が、3つのステージを有する反応ゾーン(a three stage reaction zone、1つの反応ゾーン内において、3つのステージが流れに沿って順に配置されたもの)において生成されてもよく、この場合、その反応ゾーンの3つのステージは、850℃、850℃および650℃というそれぞれの温度を有し、また、前記ソニケータにより供給されるパワーは、175Wより大きく、700Wより小さい。別の実施態様においては、歪みゲルマニウム・ナノ結晶が、3つのステージを有する反応ゾーンにおいて生成されてもよく、この場合、その反応ゾーンの3つのステージは、750℃、750℃および550℃というそれぞれの温度を有し、また、前記ソニケータにより供給されるパワーは、462Wより大きく、700Wより小さい。さらに別の実施態様においては、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)ナノ結晶が、3つのステージを有する反応ゾーンにおいて生成されてもよく、この場合、その反応ゾーンの3つのステージは、800℃、800℃および575℃というそれぞれの温度を有し、また、前記ソニケータにより供給されるパワーは、390Wより大きく、700Wより小さい。
歪みナノ粒子の生成に加えて、種々の実施態様によれば、量子閉じ込めナノ粒子の生成が可能であり、その量子閉じ込めナノ粒子によれば、当該ナノ粒子を用いて製造される量子エネルギー・デバイス(QED)においてエネルギー密度を増加させることが可能である。ナノ結晶における量子閉じ込めは、当該粒子の物理的サイズ(physical size、粒子直径、粒子半径など)が、当該粒子に固有の励起子ボーア半径より短いであるときに発生する。その励起子ボーア半径は、負に帯電した1個の電子を、その電子にとっての正孔であって正に帯電しているとともに励起中に後に残されるものから分離する物理的距離である。当該粒子の物理的サイズ(physical size、粒子直径、粒子半径など)が、励起中に前記電子が移動しなければならない距離に満たないときには、当該材料は、量子閉じ込め状態にあると判断される。例えば、ゲルマニウムについての励起子ボーア半径は24.3nmであるが、直径が1ナノメートルであるゲルマニウム・ナノ結晶を合成することが可能である。この固有な距離より小さくなるように複数個のナノ粒子を作製することにより、当該ナノ粒子の電子的性質を、粒子径の調節によって複数の離散的エネルギー準位にチューニングする(tune to、合せ込む、一致させる)ことが可能である。したがって、ボーア半径より小さい複数個の粒子より成る凝集体は、エネルギー密度の大幅な増加という効果を享受する。当該複数個の粒子がボーア励起子半径とほぼ同じサイズを有する場合、または、少し大きい場合でも、当該複数個の粒子より成る凝集体は、エネルギー密度の増加という効果を、当該複数個の粒子のすべてが励起子ボーア半径より小さいときと同じ程度には至らないにしても、享受する。
この書類に開示されている事項についてのいくつかの実施態様に従って生成されるナノ粒子も、浅い(shallow)ポテンシャル井戸(potential well)から利益を得ており、よって、量子トンネル効果によって電子を価電子帯から伝導帯に励起するのに必要な活性化エネルギーが、当該ナノ粒子より大きな粒子より少なくて済む。ポテンシャル井戸は、粒子の複数の物理的寸法をそれぞれの励起子ボーア半径より小さくなるように合成することによって直接得られる効果である。ポテンシャル井戸は、ナノ材料における位置エネルギーの極小値の周辺に位置する領域である。ポテンシャル井戸内に捕捉されるエネルギーは、ポテンシャル井戸の極小値内に捕捉されるため、別のタイプのエネルギーに変換することができない。したがって、物体は、エントロピーの普遍的性質によるならばそれに向かって進行することが自然である位置エネルギーの最小値に向かって進行しない。励起のための極小値エネルギーが十分に克服されるように十分なエネルギーが当該システムに付与されると、エネルギーがポテンシャル井戸から放出される。しかし、量子物理学においては、量子論の粒子の確率論的特性に起因し、エネルギーが付与されることなく、位置エネルギーがポテンシャル井戸を脱出することができる。それらの場合には、1個の粒子が、エネルギーが当該システムに付与されることなく、ポテンシャル井戸の壁を通り抜ける(tunnel through、その壁にトンネルを開けてその穴からしみ出す)ことを想像することができる。
図19は、雰囲気(ambient atmospheric)の組成および圧力の条件下で、ナノ粒子より成るコーティング(coating、被覆)または膜1910を基板1915上に生成する方法を示している。図19の実施態様は、周囲温度またはそれよりわずかに高い温度で実施されてもよい。図19の実施態様は、複数個のナノ粒子1925を非水系(nonaqueous、非水溶性)コロイド懸濁液1930から電気泳動的に集めて堆積させる(depositing、被着させる、成膜する)とともに、それらナノ粒子1925を実質的に一様な厚さで基板1915上に堆積させる工程1935を有する。コーティングまたは膜1910は、いくつかの実施態様においては、厚さが1000ナノメートルより薄いが、別のいくつかの実施態様においては、1000ナノメートルより厚くてもよい。被覆されることを要望される基板1915は、まず、基板1915を洗浄する工程1940と、次に、基板1915の導電性が不十分である場合には、銀またはインジウムスズ酸化物(インジウムスズ酸化物の薄層は、実質的に光学的に透明であるため、典型的には、光学素子の調製に使用される)のような導電性材料の層1945を用いて基板1915を被覆する工程1943とによって調製される。
ナノ粒子1925の非水系懸濁液1930が、成膜(deposition、堆積、被着)工程(deposition process、工程1935)において使用されるために、ナノ粒子1925(例えば、この書類に記載されている捕集用液体内のナノ粒子)の合成物から調製されるかまたは提供されてもよい。液体懸濁媒体(medium、溶媒)1950(または、該当する実施態様によっては、捕集用液体)は、2−ブタノール、1,2−ジクロロベンゼンおよび/またはアセトンまたはそれらと同様のもののような極性溶媒(solvent)である。液体懸濁媒体1950の組成は、その内在する誘電率、Hamaker定数、混和性、粘度およびそれらと同様なもののようないくつかの性質を考慮して選択される。種々の実施態様においては、非プロトン性極性非水性溶媒(aprotic polar nonaqueous solvent)1955とプロトン性極性非水性溶媒(protic polar nonaqueous sovlent)1960との混合液が、液体懸濁媒体1950を構成するために選択される。
いくつかの実施態様においては、1−ブチル−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1-butyl-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)のような少量のイオン性液体(ionic liquid)1965を液体懸濁媒体1950(または、該当する実施態様によっては、捕集用液体)に添加し、それにより、ナノ粒子膜1910の成膜を促進してもよい。
いくつかの実施態様においては、緩衝液(図示しない)を、液体懸濁媒体1950(または、該当する実施態様によっては、捕集用液体)に添加し、それにより、ナノ粒子1925の表面電荷を管理してもよい。例えば、シリコン粒子は、約6から約9までのpH範囲で負に帯電され、一方、ゲルマニウム粒子は、約3から約5までのpH範囲で負に帯電される。
ナノ粒子懸濁液の調製に関しては、予め設定され、かつ、測定された量のナノ粒子1925が液体懸濁媒体1950(任意選択的に、イオン性液体1965および/または緩衝液(図示しない)を含有してもよい)内に分散させられる。液体懸濁媒体1950は、コロイド懸濁液1930を構成するために、複数個のナノ粒子1925が概して一様にかつ均質に分散されるまで撹拌してもよい。
基板1915であってDC電源1970に接続されたものは、カソード1975として作用する一方、第2の電極または電極列1980であって、コロイド懸濁液1930に浸漬されたものは、電気回路を完成させて電場(electric field、電界)を確立するために使用されてもよい。基板1915は、典型的には、カソード1975であり、炭素電極は、典型的には、アノード1980である。電極/電極列1975,1980は、例えば、目標の成膜パターン、電極1975,1980の形状、基板1915の形状およびそれらと同様なもののようないくつかの変数に応じて、約0.5センチメートルと約4.0センチメートルとの範囲内の距離で互いに隔たるように保持されてもよい。しかしながら、事情によっては、前記電極分離距離は、上述の、0.5センチメートルから4.0センチメートルまでの範囲から外れてもよい。印加電圧は、典型的には、ナノ結晶粒径に応じて約3ボルトと約12ボルトとの範囲内にある。コロイド懸濁液1930内の複数個のナノ粒子1925は、電気泳動して基板1915に達し、実質的に均一なコーティング(coating、膜)1910をその基板1915上に形成する。
複数個のナノ粒子1925は、いくつかの実施態様においては、都合のよい任意の形状および幾何学(geometry)を有するものとしてもよく、また、概して規則的な形状を有するとともに典型的にはブロック状を成し、より典型的には、概して球状を成している。典型的には、複数個のナノ粒子1925は、厳密にサイズが管理され(tightly sized、厳密に目標サイズに合わせて生成され)、比較的狭い直径分布(diameter distribution、粒径分布)を有し、それにより、狭い直径分布を有する複数個のナノ粒子1925より成るコーティングまたは膜1910が生成され、その狭い直径分布においては、例えば、複数個の粒子1925の大部分が3−10ナノメートルの範囲内にある。これに代えて、コロイド懸濁液1930が目標サイズ範囲から外れている多数のナノ粒子1925を含有する場合には、コロイド懸濁液1930の印加電圧、電流および/またはpHを変化させることにより、同様な制御を、成膜される複数個のナノ粒子1925のサイズに対して行ってもよい。さらに、コロイド懸濁液1930の印加電圧および/またはpHを変化させることにより、複数個のナノ結晶より成る複数の層を基板1915に、粒子径が徐々に増加する順序で塗布してもよい。成膜工程1935は、目標の膜厚に到達するまで、典型的には、約30秒から約5分までの範囲内の時間で継続され、典型的には、数百ナノメートルから数千ナノメートルまでの範囲内の厚さの堆積層が生成される。典型的には、成膜工程1935は雰囲気で行われ、減圧は不要である。
膜1910の有効表面積は、ナノ結晶の粒子径および形状に応じて変化し、また、前記有効表面積は、目標の最終用途によって支配され、また、前記有効表面積は、ここで用いられる成膜方法を変更しない。同様に、電極または電極列1980を、ナノ粒子が表面上に成膜されることになるカソード1975と同じサイズを有するようにすることもそれより大きいサイズを有するようにすることも不要である。
ナノ粒子1925についての電気泳動式の成膜工程1935が完了すると、被覆された基板1985が、熱蒸着(thermal evaporation)またはそれと同様のものにより、金属接触領域(metal contact、金属接触面、金属接点)1990が膜1910上に被着されることにより、最終仕上げが行われ、その目的は、ナノ粒子膜1910を保護することと、複数個の電子が移動するための通路を、外部デバイスにパワーを供給するために使用されるために確立することとにある。金属接触領域1990は、典型的には、高度の導電性を有する金属、例えば、金、プラチナ、銀、銅またはそれらと同種のものであり、また、典型的には、厚さが約100nmと約400nmとの範囲内にあるが、これに限定されない。
電気的接続を行う標準的な技術を用いることにより、被覆済みの複数枚の基板1985を直列または並列に互いに接続し、それにより、電圧/電流を供給する目標の構成物(voltage/current supply configuration)を生成するように構成される量子エネルギー・デバイス1900を生成してもよい。いくつかの実施態様においては、QED(量子エネルギー・デバイス)が、目標の負荷にパワーを供給するように完成されるとともに構成されることが可能である。
複数個の歪みシリコン・ナノ粒子が、図17を参照して前述されたものと同様な反応炉(reactor)であって同図に示す縦置き状態にあるものを用いて製造された。テトラエチルシラン(tetraethylsilane)およびメタノールが、前駆体溶液を生成するために混合された。その前駆体溶液は、その前駆体溶液に浸漬されたQSONICA MODEL Q700ソニケータ(QSONICA社から市販されている)を用いて、約22kHzの周波数で超音波処理された(sonicated)。約1000mL/minで流れるアルゴン・キャリア・ガスが、前記エアロゾル化された前駆体溶液を前記反応ゾーン(長さが約1m)内に輸送するために用いられ、その反応ゾーンの温度は約850℃であった。前記生成物流がメタノール内で捕集された。結果物としての複数個のナノ粒子は、透過型電子顕微鏡とX線回折とによって分析された。
複数個の歪みシリコン・ナノ粒子が、図17を参照して前述されたものと同様な反応炉であって同図に示す縦置き状態にあるものを用いて製造された。イソブチルシラン(isobutylsilane)が前駆体溶液として用いられた。その前駆体溶液は、その前駆体溶液に浸漬されたQSONICA MODEL Q700ソニケータ(QSONICA社から市販されている)を用いて、約20kHzの周波数で超音波処理された(sonicated)。約16.67cm3/sで流れるキャリア・ガスが、前記エアロゾル化された前駆体溶液を前記反応ゾーン(長さが約1m)内に輸送するために用いられ、その反応ゾーンは、3つのゾーン(zone、ステージ)に分割され、それぞれのゾーンの温度は約850℃、約850℃および約650℃であった。その後、前記生成物流が捕集された。結果物としての複数個のナノ粒子は、直径が約12nmであり、また、0.00165というσ値(σ value、前記定数)と、当該シリコン結晶の(111)面内において約+0.45度という歪みとを有しており、その歪みは、透過型電子顕微鏡とX線回折とによって特定された。
複数個の歪みゲルマニウム・ナノ粒子が、図17を参照して前述されたものと同様な反応炉であって同図に示す縦置き状態にあるものを用いて製造された。テトラエチルゲルマン(tetraethylgerman)が前駆体溶液として用いられた。その前駆体溶液は、その前駆体溶液に浸漬されたQSONICA MODEL Q700ソニケータ(QSONICA社から市販されている)を用いて、約20kHzの周波数でで超音波処理された(sonicated)。約16.67cm3/sで流れるキャリア・ガスが、前記エアロゾル化された前駆体溶液を前記反応ゾーン(長さが約1m)内に輸送するために用いられ、その反応ゾーンは、3つのゾーン(zone、ステージ)に分割され、それぞれのゾーンの温度は約750℃、約750℃および約550℃であった。その後、前記生成物流が捕集された。結果物としての複数個のナノ粒子は、直径が約8nmであり、また、0.00142というσ値(σ value、前記定数)と、当該シリコン結晶の(111)面内において約+1.4度という歪みとを有しており、その歪みは、透過型電子顕微鏡とX線回折とによって特定された。
複数個の歪みシリコン−ゲルマニウム・ナノ粒子が、図17を参照して前述されたものと同様な反応炉であって同図に示す縦置き状態にあるものを用いて製造された。イソブチルシラン(isobutylsilane)およびテトラエチルゲルマン(tetraethylgerman)が前駆体溶液として用いられた。その前駆体溶液は、その前駆体溶液に浸漬されたQSONICA MODEL Q700ソニケータ(QSONICA社から市販されている)を用いて、約20kHzの周波数でで超音波処理された(sonicated)。約16.67cm3/sで流れるキャリア・ガスが、前記エアロゾル化された前駆体溶液を前記反応ゾーン(長さが約1m)内に輸送するために用いられ、その反応ゾーンは、3つのゾーン(zone、ステージ)に分割され、それぞれのゾーンの温度は約800℃、約800℃および約575℃であった。その後、前記生成物流が捕集された。結果物としての複数個のナノ粒子は、シリコン対ゲルマニウムの比が約1:3であり、また、0.00149というσ値(σ value、前記定数)と、当該シリコン結晶の(111)面内において約+1.64度という歪みとを有しており、その歪みは、透過型電子顕微鏡とX線回折とによって特定された。
上述のいくつかの具体的な実施態様は、例示を目的としているにすぎない。この書類に記載されている種々の方法は、この書類の教示事項によって利益を得つつ、当業者にとって自明である種々の仕方で変更したり実施してもよい。さらに、添付された特許請求の範囲に記載されているものを除き、この書類に示されている構成または構造の細部に対していかなる限定を加える意図も存在しない。よって、上述の具体的でかつ例示的ないくつかの実施態様を改変したり、互いに組み合わせたり、変更してもよく、また、そのようないくつかの変形例はいずれも、本発明の範囲および主旨を逸脱しないと判断される。この書類に例示的に開示されている本発明は、この書類に特別に開示されているわけではない要素および/またはこの書類に開示されている任意選択的な要素が存在しない状態で実施してもよい。上記において開示されているすべての数値および範囲は、ある量だけ異なるものにしてもよい。下限値と上限値とを有する数値範囲が開示される場合は常に、その数値範囲内に包含されるいかなる数値もいなかる範囲も、具体的に開示されていることになる。特に、複数の数値が包含される範囲(「約(about)aから約(about)b」、または等価的に「約(approximately)aからbまで(a to b)」、または等価的に「約(approximately)aからbまで(a-b)」という表現形式で)であってこの書類に開示されているものは、複数の数値を包含するより広い範囲に包含されるいずれの数値および範囲も記載していると理解されるべきものである。
上述の説明書、いくつかの例およびデータは、後続する特許請求の範囲に記載される本発明の例示的ないくつかの実施形態の構成、方法および用途についての完全な説明を提供する。以上、後続する特許請求の範囲に記載される本発明の種々の実施形態を、ある程度の具体性を有するか、または、少なくとも一つの個別の実施形態を参照しながら、説明してきたが、当業者であれば、本発明の主旨からも範囲からも逸脱することなく、前述の開示された実施形態に対して多くの変更を加えることが可能である。したがって、他の実施形態を対象とすることが可能である。上述の説明に含まれるとともに本明細書に添付された添付図面に図示されたすべての事項は、具体的な複数の実施形態のみについての説明であると解釈すべきであって、本発明を限定するものではないことを意図する。細部または構造についての変更を、後続する特許請求の範囲において定義される本発明の基本的な要素から逸脱することなく行うことが可能である。