本開示の実施形態は、概して、基板の上のマスクのチャッキングに関する。より詳細には、実施形態は、ハルバッハ(Halbach)配列を用いた基板の上のマスクの磁気チャッキングに関する。
マスクは、基板のどの領域が処理されるかを制御するために、半導体基板の上にしばしば配置される。基板並びにマスクは、機械的な力を用いて基板支持体上にしばしば保持される。処理中に基板及びマスクを保持するために使用される従来の機械的接触は、しばしば高い機械的な力が加えられたことに起因して基板の損傷をもたらす可能性がある。処理中にマスクを適所に保持するために、機械的な力が更に加えられる。従来の機械的キャリアは、一般的に基板を端部で保持し、このため基板の端部との非常に集中した物理的接触をもたらし、これによって基板を確実に持ち上げる(ピックアップする)のに十分な印加されるクランプ力を確保する。基板の端部に集中したこの機械的接触は、必然的に接触汚染又は基板への物理的損傷を生成する。
より新しい処理システムは、静電気力を用いて基板を適所に保持するなど、上記の損傷を回避するために基板をチャッキングするための代替機構を組み込んでいる。静電気力は、システムの金属部品と基板との間の接触を最小にしながら、処理中に基板を適所に効果的に保持することができる。しかしながら、基板をチャッキングするために使用される静電気力は、マスクもまた適所に効果的にチャッキングすることはできない。
したがって、処理システム内において、基板の位置決め及びチャッキングとは独立して、マスクを位置決め及びチャッキングするための方法及び装置が必要とされている。
一実施形態では、マスクを基板にチャッキングするための処理システムが提供される。処理システムは、処理チャンバと、処理チャンバ内に配置された磁気チャックとを含む。磁気チャックは、チャッキング面と、チャッキング面に対して1以上のハルバッハ配列で配向された複数の磁石とを含む。各磁石は、4つの方向のうちの1つに配向されたN極を有する。1以上の回転機構が、磁石のうちの少なくとも1つのN極の方向を変えるように結合される。
別の一実施形態では、処理チャンバ内で使用するための基板キャリアが提供される。基板キャリアは、支持ベースと、電極アセンブリと、基板支持面と、磁気チャックとを含む。支持ベースは、基板キャリアを処理チャンバの内外に移動させるように動作可能である。電極アセンブリは、基板を基板支持面に静電チャックするために支持ベース上に配置される。基板支持面は、電極アセンブリ上に配置される。磁気チャックは、支持ベースと一体化されている。磁気チャックは、1以上の回転機構と、基板支持面に対して1以上のハルバッハ配列で配向された複数の磁石を含む。各磁石は、4つの方向のうちの1つに配向されたN極を有する。1以上の回転機構は、磁石のうちの少なくとも1つのN極の方向を変えるように結合される
別の一実施形態では、処理チャンバ内で基板にマスクをチャッキングする方法が提供される。本方法は、基板キャリアの基板支持面上に配置された基板を処理チャンバ内へ搬送する工程と、マスクを基板にチャッキングする工程と、マスクを通して基板上に層を堆積させる工程と、基板キャリア上に配置された基板からマスクをデチャック(チャック解除)するために、基板支持面に近接した磁気チャック内の1以上のハルバッハ配列に配置された複数の磁石のうちの少なくともいくつかを移動させる工程とを含む。
上に開示された実施形態の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約したより具体的な説明を、以下の実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限し、他の等しく有効な実施形態を排除していると解釈されるべきではないことに留意すべきである。
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本明細書に記載された実施形態に係る、磁気チャッキングアセンブリと共に使用される有機材料用蒸発源を例示する概略上面図を示す。
本明細書に記載の実施形態に係る磁気チャッキングアセンブリを有する堆積装置の概略上面図を示す。
一実施形態に係る一体型静電チャックを有する基板キャリアの一実施形態の分解図を示す。
一実施形態に係る、複数のハルバッハ配列を含む磁気チャックを有するチャッキングアセンブリを示す。
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一実施形態に係る、ハルバッハ配列を含む磁気チャックの前面概略図を示す。
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一実施形態に係る、複数のハルバッハ配列を含む磁気チャックの前面概略図を示す。
一実施形態に係る、ハルバッハ配列を含む磁気チャックの概略平面図を示す。
一実施形態に係るプロセスフロー図である。
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態で開示された要素を、特に説明することなく、他の実施形態で有益に利用してもよいと理解される。
詳細な説明
本開示は、概して、基板の上にマスクをチャッキングするための装置、及びその使用方法に関する。1以上のハルバッハ配列を有する磁気チャックは、処理チャンバ内で使用するための処理チャンバ又は基板キャリア内に統合することができる。ハルバッハ配列に配置された一連の磁石を組み込むことによって、マスクは、ハルバッハ配列の磁石の少なくともいくつかを動かすことによって、制御された方法で基板の上の適所にチャックされることができる。
図1A〜図1Dは、本明細書に記載の実施形態に係る、第1のマスク132a及び第2のマスク132bに対する処理チャンバ110内の様々な位置11〜14における蒸発源100の上面図を示す。処理チャンバ110は、真空処理チャンバとすることができる。典型的な実施形態によれば、マスク132a、132bは、それぞれマスクフレーム131a、131b内に設けられ、マスク132a、132bを所定の位置に保持する。蒸発源100の異なる位置間の移動は、矢印101B、101C、及び101Dで示されている。図1A〜図1Dは、蒸発るつぼ104及び分配パイプ106を有する蒸発源100を示す。分配パイプ106は、支持体102によって支持される。更に、いくつかの実施形態によると、蒸発るつぼ104もまた、支持体102によって支持されることができる。
処理チャンバ110内には、第1の基板121aと第2の基板121bとが提供される。第1の基板121aと第2の基板121bは、それぞれ第1の基板キャリア150aと第2の基板キャリア150bによって支持されチャッキングされている。キャリア150a、150bは、以下の図3を参照して更に詳細に説明される。第1マスク132a及び第2マスク132bが、それぞれの基板121a、121bと蒸発源100との間に提供される。第1のマスク132a及び第2のマスク132bは、第1の磁気チャック151a及び第2の磁気チャック151bによってそれぞれチャッキングされる。マスクチャッキングアセンブリ151a、151bは、従来の機械的なマスクのクランプと比較して、ディスプレイ製造中の各基板121a、121bとマスク132a、132bとの間の接触力を最小化し低減することができる。いくつかの実施形態では、各磁気チャック151a、151bは、それぞれの基板キャリア150a、150bの構成要素とすることができる。他の実施形態では、各磁気チャック151a、151bは、それぞれの基板キャリア150a、150bに対して別個の装置とすることができる。マスクチャッキングアセンブリ151a、151bは、以下の図4〜図7を参照して更に詳細に説明される。
図1A〜図1Dに示すように、分配パイプ106から有機材料を蒸発させて、基板121a、121b上に層を堆積させる。噴霧経路10は、蒸発源が基板121a(図1B及び図1C参照)及び基板121b(図1D参照)上に材料を堆積させるとき、蒸発源100が堆積材料を噴霧(スプレー)する方向を示す。第1のマスク132a及び第2のマスク132bは、堆積時に各基板121a、121bの領域をマスクすることができる。
図1Aでは、蒸発源100が、第1の基板キャリア150a、150bと共に第1の位置11に示され、第1の基板キャリア150a、150bは、堆積プロセスを開始する位置にそれぞれの基板121a、121bを保持する。堆積プロセスはまだ開始されていないので、マスク132a、132bはチャックされず、したがって、それぞれの基板121a、121bから離間して図示される。
図1Bでは、第1の磁気チャック151aは、第1のマスク132aを基板121aと接触する位置にチャックしている。マスク132aは、第1の基板121aに対して均一にチャッキングされているように表示されているが、マスクのある領域は、他の領域よりも大きな圧力でチャックすることが可能である。例えば、蒸発源100から堆積材料を現在受け取っている第1の基板121aの領域上の第1のマスク132aの部分は、第1のマスク132aの他の部分よりも大きな圧力でチャックすることができる。第1のマスク132aを所定の位置に配置すると、図1Aの第1の位置11から図1Bの第2の位置12へ、そしてその後、図1Cの第3の位置13へと移動する矢印101Bで示されるように、蒸発源100の並進運動によって第1の基板121a上に有機材料の層を堆積させることができる。第1の基板121aが第1のマスク132aを介して有機材料の層で堆積されている間、第2の基板121bは新しい基板と交換することができる。図1Bは、第2の基板121bを交換するのを助けるための第2の輸送トラック124bを示す。第2の基板121bが図1Bでは適所にないので、第2の基板キャリア150b及び第2の磁気チャック151bはチャッキングのために起動されず、マスク132aは基板121bが第2の輸送トラック124bに係合する位置から離間して図示されている。
第1の基板121aが有機材料の層で堆積された後、蒸発源100の分配パイプ106は、図1Cの第3の位置から図1Dの第4の位置14まで図1Cの矢印101Cによって示されるように回転する。その後、第1基板121a上に有機材料を堆積させる間、第2基板121bは第2基板キャリア150bにチャックされる。次に、第2のマスク132bは、第2の基板121bに対して位置決めされ、アライメントされ、その後、第2の基板121bの上の第2の磁気チャック151bに第2のマスク132bをチャックする。したがって、図1Cの矢印101Cの回転後、第2の基板121bは、図1Dの矢印101Dで示されるように、第2のマスク132bを通して有機材料の層でコーティングすることができる。第2の基板121bが有機材料でコーティングされている間、第1マスク132aは、第1磁気チャック151aから抜き取る(アンチャックする)ことができる。その結果、第1のマスク132aは、第1の基板121aを新しい基板と交換するのを助けるために使用される第1の輸送トラック124aから離間して図示されている。第1のマスク132aがチャッキングされていない状態で、その後、第1の基板121aをチャンバ110から取り外すことができる。
本明細書に記載の実施形態によれば、第1の基板121a及び第2の基板121bは、実質的に鉛直な位置で有機材料によってコーティングされる。上述したように、図1A〜図1Dは、処理チャンバ110と、処理チャンバ110内の対応する装置(例えば、蒸発源100)の上面図である。分配パイプ106は、蒸気分配シャワーヘッドとすることができ、いくつかの実施形態では、分配パイプ106は、直線状(リニア)蒸気分配シャワーヘッドとすることができる。これにより、分配パイプ106は、本質的に鉛直に延びる線源を提供することができる。本明細書に記載された実施形態によれば、「本質的に鉛直に」は、主として基板の向きを指し、10度以下の鉛直方向からのずれを許容する。このずれは、いくつかの実施形態では、鉛直方向からいくらかずれた基板キャリアが、より安定した基板位置をもたらす可能性があることを認める。更に、「本質的に鉛直」は、水平な基板の向きとは異なると考えられる。基板(例えば、第1の基板121a)の表面は、第1の位置11から第2の位置12及び第3の位置13に移動する蒸発源100によって示されるように、主に基板の鉛直寸法(すなわちY方向)に沿った蒸発源100と、水平方向(すなわち、X方向)に沿った並進運動によってコーティングすることができる。しかしながら、例示的な縦型(鉛直)処理チャンバのための本質的に鉛直な位置への参照で記載したが、この構成及び/又はチャンバは、限定することを意図していない。本明細書に記載の実施形態は、横型(水平)チャンバ又はより多くの又はより少ない基板を処理することができるチャンバに等しく適用可能である。
本明細書に記載の実施形態は、特に、有機材料(例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ製造のための堆積物及び大面積基板上の堆積物)の堆積に関するが、実施形態は他のプロセスにおいても有用である可能性がある。いくつかの実施形態によれば、大面積基板は、少なくとも0.174m2のサイズを有することができる。キャリアは、約1.4m2〜約9m2(例えば、約2m2〜約8m2、又はいくつかの実施形態では、最大12m2)の基板を支持することができる。ここに記載される実施形態が提供される、基板が上で支持されるキャリアの矩形領域は、大面積基板のサイズとほぼ同じか、又はわずかに大きい。いくつかの実施形態では、基板の厚さは0.1〜1.8mmとすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、基板の厚さは約0.9mm以下(例えば、0.5mm又は0.3mm)とすることができ、保持装置及びデバイスはそのような基板の厚さに適合させることができる。基板は、材料の堆積に適した任意の材料から作製することができる。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミックス、複合材料、炭素繊維材料、又は堆積プロセスによってコーティングすることができる任意の他の材料又は材料の組合せからなる群から選択される材料から作製することができる。
いくつかの実施形態では、第1の磁気チャック151a及び第2の磁気チャック151bは、それぞれの基板121a、121bのチャッキングに影響を及ぼすことなく、マスク132a、132bの独立したチャッキング及びアンチャッキングを可能にする永久磁石を使用することができる。他の実施形態では、マスクチャッキングアセンブリ151a、151b内の磁石用に電磁石を使用することができる。更に他の実施形態では、永久磁石と電磁石をミックスして、マスクチャッキングアセンブリ151a、151b内の磁石用に使用することができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれにおいても、磁石(永久磁石、電磁石、又はその両方の組合せ)をハルバッハ配列に配置することができる。本明細書で使用される場合、ハルバッハ配列は、配列の一方の側の磁場を増強し、他方の側の磁場をほぼゼロに低減又は相殺する磁石の配置を指す。いくつかの実施形態では、低減された磁場は部分的にしか低減されず、ほぼゼロには低減されない。ハルバッハ配列に配置された磁石を有する実施形態を採用すると、配列の一方の側に磁場を集中させるという利点があり、その結果、磁石のすべてが同じ向きに配置された場合(例えば、磁石のすべての極が同じ方向を向いている、又は交互のN極/S極の構成)よりも、その側により強力な磁場をもたらす。ハルバッハ配列内の磁石は、各磁石を配列内の隣接する各磁石と位相がπ/2ずれるように配向させることができる。図4〜図7は、ハルバッハ配列を使用するマスクチャッキングアセンブリの実施形態の追加の詳細を提供する。
図2は、一実施形態に係る、基板キャリア150a、150b及びマスクチャッキングアセンブリ151a、151bを含む処理チャンバ240内に有機材料を堆積させるための堆積装置200の平面図を示す。処理チャンバ240は、真空処理チャンバとすることができる。蒸発源230は、トラック又はリニアガイド224上の処理チャンバ240内に設けられる。リニアガイド224は、蒸発源230の並進運動のために構成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、並進運動のための駆動は、蒸発源230内に、トラック又はリニアガイド224に、処理チャンバ240内に、又はそれらの組み合わせに設けることができる。図2は、バルブ205(例えば、ゲートバルブ)を示す。バルブ205は、隣接する処理チャンバ(図2には図示せず)への真空シールを可能にする。バルブ205は、1以上の基板(例えば、基板121a及び121b)又は1以上のマスク(例えば、マスク132a及び132b)を処理チャンバ240の内外に輸送するために開くことができる。
いくつかの実施形態では、メンテナンス処理チャンバ210が処理チャンバ240に隣接して設けられる。処理チャンバ240及びメンテナンス処理チャンバ210は、バルブ207と接続することができる。バルブ207は、処理チャンバ240とメンテナンス処理チャンバ210の間で真空シールを開閉するために構成される。バルブ207が開いた状態で、蒸発源230をメンテナンス処理チャンバ210に搬送することができる。その後、バルブ207を閉じて、処理チャンバ240とメンテナンス処理チャンバ210との間に真空シールを提供することができる。バルブ207が閉じられると、メンテナンス処理チャンバ210は、処理チャンバ240内の真空を破ることなく、蒸発源230のメンテナンスのために通気され、開けられることができる。
2つの基板121a、121bは、処理チャンバ240内のそれぞれの輸送トラック上に支持することができる。更に、マスク132a、132bを上に提供するための2つのトラックを設けることができる。これにより、基板121a、121bのコーティングは、それぞれのマスク132a、132bによってマスクすることができる。典型的な実施形態によれば、マスク132a、132bは、マスク132a、132bを所定の位置に保持するためのマスクフレーム131a、131b内に提供される。マスク132a、132bは、それぞれのチャッキングアセンブリ151a、151bを用いて基板121a、121bの上の所定の位置にチャッキングされる。いくつかの実施形態では、チャッキングアセンブリ151a、151bは、基板121a、121bとマスク132a、132bを独立してチャッキングして、基板121a、121bの位置決めに影響を与えることなく、かつマスク121a、121bを機械的に制御することなく、マスク132a、132bをそれぞれの基板121a、121bの上に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、各チャッキングアセンブリ151a、151bは、それぞれの基板121a、121bをチャックするための静電チャックと、それぞれのマスク132a、132bをチャックするための磁気チャックとを含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、基板121a、121bは、それぞれのアライメントユニット212a、212bに接続することができる基板キャリア150a、150bによって支持することができる。アライメントユニット212a、212bは、基板121a、121bとそれぞれのマスク132a、132bとの間で適切な位置合わせ(アライメント)を提供するために、それぞれのマスク132a、132bに対する基板121a、121bの位置を調整することができるアクチュエータである。この適切な位置合わせは、有機材料及びディスプレイ製造の他の形態の堆積中に重要である。いくつかの実施形態では、マスク132a、132b及び/又はマスクフレーム131a、131bは、それぞれのアライメントユニット212a、212bに接続することができる。これにより、アライメントユニット212a、212bは、それぞれの基板121a、121bに対してマスク132a、132bを位置決めすることができ、又はマスク132a、132b並びにそれぞれの基板121a、121bを互いに対して位置決めすることができる。
基板121a、121bが基板キャリア150a、150b上に保持されるとき、基板121a、121bは、水平寸法125、厚み寸法126、及び鉛直寸法(図2の平面図には図示せず)を有するように記載することができる。X方向は、水平寸法125に本質的に平行とすることができる。Y方向は、鉛直寸法に本質的に平行とすることができる。Z方向は、厚み寸法126に本質的に平行とすることができる。各基板121a、121bの表面は、X−Y平面において平面を形成する。各アライメントユニット212a、212bは、少なくともX及びY方向において、それぞれのマスク132a、132b及び/又は基板121a、121bの相対的な位置合わせを提供することができる。各マスク132a、132bは、処理される各基板121a、121bの表面に本質的に平行なX−Y平面内にマスキング面を有することができる。
いくつかの実施形態では、アライメントユニット212a、212bはまた、Z方向における基板121a、121b及び/又はマスク132a、132bの位置合わせを提供することができる。一実施形態では、各マスク132a、132bは処理チャンバ240内に静止して保持されることができ、各アライメントユニット212a、212bは、基板121a、121bをX方向、Y方向及びZ方向において各マスク132a、132bに位置合わせすることができる。
図2に示されるように、リニアガイド224は、X方向に沿った蒸発源230の固定された並進運動を提供することができ、蒸発源が基板121a、121bの水平寸法125に沿って並進しながら、蒸発源が基板121a、121bの鉛直寸法に材料を堆積させることを可能にする。いくつかの実施形態では、蒸発源230は、一度に基板121a、121bの一方のみに材料を堆積するが、他の実施形態では、蒸発源は、両方の基板121a、121bに材料を同時に堆積させることができる。
堆積装置200は、基板121a、121bの各々の輸送のためのそれぞれの基板輸送トラック(図示せず)を含むことができる。各輸送トラックは、各基板121a、121bの水平寸法に平行なX方向に沿って延在することができる。いくつかの実施形態では、各基板輸送トラックは、それぞれの基板キャリア150a、150bを処理チャンバ240の内外に移動させることができる。他の実施形態では、輸送トラックは、処理チャンバ240内の固定された基板支持体上に基板121a、121bを搬送可能にする。
いくつかの実施形態では、マスクフレーム131a、131b及びそれによりマスク132a、132bを支持するためにマスク支持トラック(図示せず)が提供される。マスク支持トラックは、新しいマスクが必要な場合や既存のマスクを清掃する必要がある場合など様々な理由に対して、処理チャンバ240の内外へのマスク132a、132bの搬送を容易にすることができる。マスク132a、132bは、搬送中にマスクフレーム131a、131bに付着したままとすることができ、又はいくつかの実施形態では、マスク132a、132b及びマスクフレーム131a、131bは、搬送中に分離することができる。いくつかの実施形態は、処理チャンバ240内の基板121a、121b及び2つのマスク支持トラックの各々に対して2つの輸送トラックを含むことができる。
他の実施形態では、マスク132a、132b並びにそれぞれのマスクフレーム131a、131bは、処理チャンバ240の内外へのマスク132a、132bの搬送を容易にするために、基板121a、121bの輸送トラック上に移動させることができる。基板121a、121b、マスク132a、132b、及びマスクフレーム131a、131bがすべて、同じ2つのトラック(例えば、基板121a、121b用の輸送トラック)を使用して処理チャンバ240の内外に搬送可能であるならば、堆積装置200の所有コストを低減することができる。マスク132a、132b及びマスクフレーム131a、131bの輸送トラック上への搬送を促進するために、1以上のアクチュエータ又はロボット装置を使用することができる。
マスク132a、132b及びそれぞれの基板121a、121bが互いに位置合わせされると、基板キャリア150a、150bは基板121a、121bをマスク132a、132bに近接させることができる。堆積プロセスの間、有機材料が蒸発源230から基板121a、121bに推進されている。この有機材料は、マスク132a、132b内の開口部を通って基板121a、121b上に堆積される。開口部は、基板121a、121b上に堆積材料のその後のパターンを提供する。マスク132a、132bがそれぞれの基板121a、121bからあまりにも遠くに位置する場合、有機材料は、マスク132a、132b内の開口部を介して不正確に堆積され、最終製品の悪い分解能又は故障につながる可能性がある。マスク132a、132bがそれぞれの基板121a、121bに過度に接触するか又は制御されない接触をすると、マスク132a、132bは基板121a、121bに物理的損傷を引き起こす可能性がある。この物理的損傷は、基板121a、121bとマスク132a、132bとの間の複数の位置合わせプロセスによって悪化する可能性がある。本明細書に記載されるような基板キャリア150a、150bを使用することにより、マスクの三次元位置をより細かく制御することができ、処理中の基板損傷のリスクを最小限にしてより良好な堆積が可能になる。
図2は、蒸発源230の例示的な一実施形態を示す。蒸発源230は、支持体102を含む。支持体102は、リニアガイド224に沿って並進運動するように構成されている。支持体102は、蒸発るつぼ104と、蒸発るつぼ104の上に提供される分配管208を支持する。これにより、蒸発るつぼ104内で発生した蒸気は、上方へ、分配パイプ208の1以上の出口から外へ移動することができる。本明細書に記載の実施形態によれば、分配パイプ208はまた、蒸気分配シャワーヘッド(例えば、直線状の蒸気分配シャワーヘッド)と考えることができる。
図2は、少なくとも1つのシールド202を有するシールドアセンブリを更に示す。典型的には、図2に示されるように、実施形態は2つの側方シールド202を含むことができる。これにより、分配パイプ208からのスプレーは、閉じ込めて基板へと向けることができる。通常のスプレー方向に垂直な方向の分配パイプ208からのスプレーは、回避される、又はアイドルモードでのみ使用することができる。有機材料の蒸気ビームをスイッチオフすることと比較すると、有機材料の蒸気ビームを遮断することはより容易とすることができるという事実に照らせば、蒸気放出が望ましくない動作モードの間に蒸発源230を出る蒸気を回避するために、分配パイプ208もまた、側方シールド202のうちの1つに向かって回転されてもよい。
図3は、基板キャリア300の一実施形態の分解図を示す。基板キャリア300は、上述した基板キャリア150a、150bの構成要素とすることができる。基板キャリア300は、支持ベース304と、支持ベース304の上又は中に配置された電極アセンブリ306と、電極アセンブリ306上に配置され、基板キャリア300の本体311を共に形成する封止部材302とを含む。支持ベース304は、基板キャリア300の底面312を画定し、一方、封止部材302は、基板キャリア300の基板支持面313を画定する。図示されていないが、本体311は、そこを貫通して延びるリフトピン穴を含むことができる。支持ベース304は、処理チャンバ(例えば、処理チャンバ240)の内外に基板キャリア300を移動させるように動作可能とすることができる。例えば、支持ベース304は、基板キャリア300を輸送するのを助けるためのガイドレール(図示せず)を含むことができる。ガイドレールは、処理チャンバ内の搬送機構又は駆動システムとインターフェース接続するように構成することができる。他の実施形態では、支持ベースは、図1Bの第2の輸送トラック124bなどのコンベア又はトラックとインターフェース接続することができる。
図3の実施形態では、支持ベース304は、電極アセンブリ306、封止部材302、並びに基板121a、121bの形状及びサイズに実質的に一致する(側部314によって画定される)周囲を有する長方形の形状を有する。支持ベース304、電極アセンブリ306、及び封止部材302は、ワークピース(例えば、基板121a、121b)の幾何学的形状を収容するために必要に応じて選択された別の形状又は幾何学的形状を有してもよいことに留意すべきである。例えば、基板キャリア300は矩形形状で示されているが、基板キャリア300の形状は、代替的に、異なる基板を収容するための他の幾何学的形状(例えば、円形基板を収容するための円形の幾何学的形状)を有してもよい。
一実施形態では、支持ベース304は、絶縁材料(例えば、誘電体材料又はセラミックス材料)から製造することができる。支持ベース304は、剛性構造を有することができる。セラミックス材料又は誘電体材料の好適な例は、ポリマー(例えば、ポリイミド)、酸化ケイ素(例えば、石英又はガラス)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、イットリウム含有材料、酸化イットリウム(Y2O3)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)等を含む。任意選択的に、支持ベース304は、電極アセンブリ306と対向する支持ベース304の表面上に配置された誘電体層を有する金属又は金属体とすることができる。
電極アセンブリ306は、支持ベース304の上又は中に配置され、少なくとも2つの分散型電極308、310を含む。各電極308、310は、チャッキング電圧が印加されたときに異なる極性で帯電されて静電力を生成することができる。電極308、310は、基板キャリア300の幅と少なくとも2倍の距離に沿って静電力を分配するように構成されている。各電極308、310は、複数の類似の又は異なる幾何学的形状の他の電極の間で交互配置又は挿入された複数の幾何学的形状を有してもよい。図3に示されるように、電極308の複数の電極フィンガー320は、電極310の複数の電極フィンガー322と交互配置される。分布電極308、310の交互配置されたフィンガー320、322は、集合体内でより少ないチャッキング電力を使用しながら高いチャッキング力を提供する基板キャリア300の大面積にわたって分布された局所的な静電引力を提供する。電極フィンガー320、322は、異なる形状、長さ、及び幾何学的形状を有するように形成することができる。一例では、電極フィンガー320、322の一方又は両方は、相互接続された電極アイランド324から形成されてもよい。電極アイランド324間の相互接続部326は、図3に示されるように電極308、310の平面内にあってもよく、又は平面外(例えば、ジャンパ及び/又はビアの形態内)にあってもよい。一実施形態では、各電極フィンガー320、322は、約0.25mm〜約10mmの幅316を有する。
一実施形態では、電極アセンブリ306は、隣接する封止部材302及び支持ベース304と同様の熱膨張係数を有する金属材料(例えば、アルミニウムシリコン合金)から製造することができる。一実施形態では、電極アセンブリ306の熱膨張係数は、約4μm/(m・K)〜約6μm/(m・K)の間であり、一般的に、封止部材302の熱膨張係数の約20%以内である。
第1の電極308の電極フィンガー320の各々の間には、第2の電極310の電極フィンガー322を受け入れるように空間328が画定される。空間328は、空隙であってもよく、誘電体スペーサー材料で満たされてもよく、又は支持ベース304又は封止部材302のうちの少なくとも1つで満たされてもよい。
ビア332、334は、第1及び第2の電極308、310をチャッキング電源(図示せず)に結合するために、支持ベース304を貫通して形成することができる。いくつかの実施形態では、オプションのバッテリ330を支持ベース304内に配置し、第1及び第2の電極308、310に接続して、基板121a、121bをチャッキングするための電力を提供することができる。バッテリ330は、リチウムイオンバッテリであってもよく、支持ベース304から取り外すことなくバッテリ330を再充電するために、支持ベース304の外部に端子接続部(図示せず)を有してもよい。
封止部材302は、電極アセンブリ306を挟む支持ベース304上に配置され、一体構造として基板キャリア300の本体311を形成する。封止部材302は、電極アセンブリ306上に配置され、上で基板121a、121bがチャックされる絶縁面を提供する。封止部材302は、下にある電極アセンブリ306の熱特性と実質的に一致する熱特性(例えば、熱膨張係数)を有する材料から製作することができる。いくつかの実施形態では、封止部材302を製造するために使用される材料は、支持ベース304を製造するために使用することもできる。
封止部材302と電極アセンブリ306と支持ベース304とを共に積層した後、接合処理(例えば、アニール処理)を行い、封止材料302と電極アセンブリ306と支持ベース304とを共に融着させ、基板キャリア300の本体311を形成する積層構造体を作る。封止部材302、電極アセンブリ306、及び支持ベース304は、高温環境(例えば、300℃を超える)で動作する可能性があるので、これらの構成要素を製造するために使用される材料は、耐熱材料(例えば、アニール処理中に高い熱処理を維持することができるセラミックス材料又はガラス材料)から選択することができる。一実施形態では、封止部材302及び支持ベース304は、良好な強度及び耐久性並びに良好な熱伝達特性を提供するセラミックス材料、ガラス材料、又はセラミックスと金属材料の複合材料から製造されてもよい。封止部材302及び支持ベース304を製造するために選択される材料は、中間電極アセンブリ306の熱膨張係数と実質的に一致する熱膨張係数を有して、高い熱負荷のもとで応力又は不具合を引き起こす可能性のある熱膨張の不一致を低減することができる。一実施形態では、封止部材302の熱膨張係数は、約2μm/(m・K)〜約8μm/(m・K)の間である。封止部材302及び支持ベース304を製造するのに適したセラミックス材料は、炭化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、イットリウム含有材料、酸化イットリウム(Y2O3)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、酸化チタン(TiO)、又は窒化チタン(TiN)を含むことができるが、これらに限定されない。別の一実施形態では、封止部材302及び支持ベース304は、セラミック及び金属の異なる組成物(例えば、セラミックス粒子を分散させた金属)を含む複合材料から製造することができる。
動作中、第1の電極308に電荷を印加することができ、第2の電極310に反対の電荷を印加することができ、これによって静電力を発生させる。基板のチャッキング中、電極308、310によって生成される静電力は、基板(例えば、基板121a、121b)を封止部材302の基板支持面313にしっかりと保持する。チャッキング電源から供給される電力が切られると、電極308、310の間の界面318に存在する電荷は、長期間にわたって維持されることができ、したがって、電力が除去された後に基板121a及び121bが基板キャリア300にチャックされたままになることを可能にする。基板キャリア300上に保持された基板を解放するために、反対極性の短パルスの電力が電極308、310に供給され、これによって界面318に存在する電荷を除去する。
図4は、一実施形態に係るチャッキングアセンブリ400を示す。チャッキングアセンブリ400は、基板キャリア402及び磁気チャック404を含む。磁気チャック404は、磁気チャック151a、151bの代わりに処理チャンバ110内で利用することができる。基板キャリア402は、基板420を着脱するように構成することができる。一実施形態では、基板キャリア402は、図3を参照して説明した基板キャリア300と実質的に類似している。磁気チャック404は、基板キャリア402の支持ベース(例えば、基板キャリア300の支持ベース304)に結合することができる。磁気チャック404は、ここでは長方形の形状として示されている。しかしながら、磁気チャック404は、基板キャリア402に保持された基板420の上にマスク430をクランプするために、磁気チャック404内に磁石の磁場を送ることができるような任意の形状とすることができる。
磁気チャック404は、チャック本体408内に収容されたハルバッハ配列406a〜406jとして示される1以上のハルバッハ配列に配置された複数の磁石を含むことができる。1以上のハルバッハ配列における磁石の配置に関する更なる詳細は、図5A〜図7を参照して提供される。チャック本体408は、ハルバッハ配列406a〜406jを完全に取り囲むことができる。チャック本体408は、オプションのアクチュエータ410及びチャッキング面412を更に有することができる。動作中、ハルバッハ配列によって生成される磁界の強い側は、チャック本体408のチャッキング面側にある。オプションのアクチュエータ410は、チャック本体408を移動させ、したがって磁気チャック404のチャッキング面412と基板キャリア402との間の距離を制御するように動作可能である。いくつかの実施形態では、オプションのアクチュエータ410は、磁気チャック404をマスク430により近づけることができる。チャッキング面412は、磁気チャッキング力が貫通して印加される面であり、基板キャリア402上に配置された基板420に対してマスク430を引きつけることができる。チャッキング面412は、図4に示されるように平坦な面とすることができる。
基板420は、基板キャリア402にチャッキングされた支持面421と、処理中に材料が堆積される処理面422とを有する。基板キャリア402は、図3を参照して上述したように静電力を用いて基板420の支持面421をチャッキングすることができる。マスク430は、基板420の処理面422の前に位置決めされ、位置合わせされる。その後、磁気チャック404の磁場は、マスク430と磁気的に接続することができる。本明細書で使用される磁気接続とは、磁気チャック404の磁場にマスク430を引き付けさせる1以上のハルバッハ配列における磁石の位置又は配置を指す。
いくつかの実施形態では、磁気チャック404とマスク430との間の磁気接続は、磁気チャック404のチャッキング面412とマスク430との間の距離を増減させることによって達成される。これらの距離の変化は、磁気チャック404及び/又はマスク430を移動させることによって達成することができる。磁気チャックが基板キャリア402と一体化される実施形態では、キャリア402は、磁気チャック404をキャリア430内でマスク430により近い位置に再位置決めする1以上のアクチュエータを有することができる。いくつかの実施形態では、ハルバッハ配列406a〜406jの磁石は、チャック本体408内で再位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、ハルバッハ配列406a〜406jの磁石のいくつか又は全ては、電磁石とすることができ、ここで、電磁石に印加される電流は、磁場の方向を変えるために逆にすることができる。電磁石を使用する実施形態のいくつかでは、磁場の強さを制御するために電流を増減することができる。
磁気チャック404とマスク403との間の距離が変わる実施形態では、ハルバッハ配列406a〜406jの磁石のマスク430への近接は、磁石からマスク430への磁場の磁気引力を制御する。磁気チャック404内のハルバッハ配列406a〜406jの磁石からの磁力は、マスク430の少なくとも一部を基板420の上又は基板420と接触する位置にもたらす。その後、層430(図示せず)がマスク430を通して基板420上に堆積される。層が堆積されると、磁気チャック404又はチャック404内の磁石が次に再位置決めされるか、又は電磁石の場合には電流が低減され、これによって磁場がもはやマスク430を基板420に固定しなくなり、マスク430の除去を可能にする。
図5A〜図7において、磁石の磁極の位置を示すために、以下の文字及び記号が使用されている。「N」は、磁石がそのN極を図から外へ向くように配向されることを示す。「S」は、磁石がそのS極を図から外へ向くように配向されていることを示す。矢印は、磁石のN極が二次元図の平面に対して配向される方向を示す。
図5A〜図5Cは、一実施形態に係る、ハルバッハ配列510を含む磁気チャック504の正面概略図を示す。ハルバッハ配列510は、複数の磁石511〜518を含む。磁気チャック504は、図4を参照して説明したチャッキング面412と同様とすることができるチャッキング面522を含む。いくつかの実施形態では、磁石511〜518は、永久磁石とすることができ、各々は長い磁気ロッド又はチューブの形状を有する。各ロッド又はチューブは、エッジ525のようなチャッキング面522の寸法のうちの1つの実質的にすべてに及ぶ長い寸法528を有することができる。
チャッキング面522は、チャッキング面522に対する磁石511〜518の向きを示すために透明であるように示されているが、そのような透明度は必要ではない。磁石511〜518は、ハルバッハ配列406a〜406jが図4のチャッキング面412から窪んで示された方法と同様な方法で、チャッキング面522に対して窪ませることができる。
各図5A〜5Cにおいて、磁石511〜518のうちの少なくともいくつかの磁極は、チャッキング面522に対して異なって配向されている。磁石511〜518を異なる向きに配置することにより、マスクを1つの向きにチャックするためにチャッキング面522に対して増加した磁場を生成することができ(図5A参照)、マスクを他の向きにデチャックするために、チャッキング面522に対して減少又は相殺された磁場を生成することができる(図5B及び5C参照)。
図5Aは、ハルバッハ配列510の第1の向き5111〜5181に配置された磁石511〜518によってチャッキング状態に配置された磁石511〜518を示している。各磁石511〜518は、チャッキング面522に対して4方向のうちの1つに配向されたN極を有する。磁石511〜518が第1の向き5111〜5181に配置されるとき、チャッキング面522に向かって外側に向いている第1の磁極を有するそれぞれの外側に向いた磁石(例えば、磁石513)は、外側に向いている磁石に対向するそれぞれの第1の磁極を有する1つ又は2つの他の磁石(例えば、磁石512、514)に隣接している。この配向は、チャッキング面522から外に向けられた強い磁場を生成し、マスク(図示せず)がチャッキングされるのを可能にする。マスクは、上記のマスク(例えば、マスク132a、132b、又は430)と同様の特徴を有することができる。
磁気チャック504は、回転機構530を更に含むことができる。回転機構530は、アクチュエータ(例えば、空気圧アクチュエータ、ソレノイド、モータ、又は他の好適な機構)とすることができる。回転機構は、チャッキング面522に対して増強された磁場を生成するために、磁石511〜518の少なくともいくつかを回転させて使用し、これによってマスクを1つの向きにチャッキングすることができ(図5A参照)、チャッキング面522に対して低減された又はキャンセルされた磁場を生成し、これによってマスクを他の向きにデチャックすることができる(図5B及び5C参照)。回転機構530は、複数の歯車541〜548を介して磁石511〜518に結合することができる。回転機構530及び複数の歯車541〜548は、チャッキング面522の端部525、526並びに磁石511〜518の長い寸法528と平行な回転軸(例えば、回転軸551)の周りに磁石511〜518を回転させることができる。いくつかの実施形態では、回転機構530は、複数の歯車541〜548に結合された主歯車540に直接接続される。
いくつかの実施形態では、歯車541〜548は、チャッキング面522上の位置(例えば、中心524又は端部525、526のうちの1つ)から磁石511〜518の回転をずらすために、様々な形状(例えば、様々な楕円形)を有することができる。いくつかの実施形態では、複数の歯車541〜548は、中心524に最も近い磁石(例えば、磁石514、515)の回転が磁石513、516の回転を引き起こし、それが磁石512、517の回転を引き起こすことができ、それが端部525、526で磁石511、518の回転を引き起こすことができるように動作可能である。したがって、中心524により近い磁石(例えば、磁石514、515)は、中心524からより離れた磁石(例えば、磁石513、516)よりも速く回転することができる。他の実施形態では、回転の順序は逆にして、端部525、526の磁石511、518を他の磁石よりも先に回転させ、磁石514、515を他の磁石よりも後に回転させることも可能である。したがって、端部525により近い磁石(例えば、磁石513、516)は、中心からより離れた磁石(例えば、磁石514、515)よりも速く回転することができる。
他の実施形態では、回転は、1つの端部から反対側の端部までずらすことができる。例えば、回転は、各磁石の回転は、磁石の回転が右よりもわずかに早くなり、磁石511の回転が最も先行し、磁石518の回転が最も後に続くように左端部525から右端部526までずらすことができる。
更に他の実施形態では、各磁石511〜518の回転を個別に制御することができ、追加の回転シーケンスを探索することができる。例えば、各磁石511〜518は、別個のアクチュエータ(例えば、別個のサーボ又は別個の空気圧アクチュエータ)に結合することができる。いくつかの実施形態では、回転機構530及び複数の歯車541〜548は、磁気チャック504の構成要素である。他の実施形態では、回転機構530及び複数の歯車541〜548は、別個の装置であり、磁気チャック504の一部ではない。磁気チャック(例えば、磁気チャック504)が基板キャリア(例えば、基板キャリア300)と一体化されている実施形態では、回転機構530は、基板キャリア(例えば、基板キャリア300)と一体化されることもでき、又は回転機構530は、処理チャンバ(例えば、処理チャンバ110)内の別個の構成要素とすることができる。磁気チャック(例えば、磁気チャック504)が基板キャリア(例えば、基板キャリア300)とは別個の構成要素である実施形態では、回転機構530は、処理チャンバ(例えば、処理チャンバ110)内の別個に構成要素とすることができる。
いくつかの実施形態では、回転機構530は、磁石511〜518のすべてに結合されてはいない。そのような実施形態では、回転機構530は、4つの方向のうちの2つにN極が配向され、その2つの方向が約180度異なる磁石に少なくとも結合される。例えば、回転機構530は、各々が図の左右方向にN極が配向され、左右は180度異なる磁石512、514、516、及び518にのみ結合させることができる。図5Cは、回転機構530が、4つの方向のうちの2つにN極が配向された磁石にのみ結合される実施形態に関する追加の詳細を提供する。
図5Bは、ハルバッハ配列510の第2の向き5112〜5182に配置された磁石511〜518を有するデチャッキング状態に配置された磁石511〜518を示す。各磁石511〜518は、チャッキング面522に対して4つの方向のうちの1つに配向されたN極を有する。磁石511〜518が第2の向き5112〜5182に配置されるとき、チャッキング面522の方へ外側を向く第1の磁極(例えば、磁石512のS極)を有する各々の外向きの磁石(例えば、磁石512)は、外向きの磁石(例えば、磁石512)に対向するそれぞれの反対の磁極第1の磁極(磁石511、513のN極)を有する1つ又は2つの他の磁石(例えば、磁石511、513)に隣接している。この向きは、チャッキング面522から外へ向けられた減少した又はほぼゼロの磁場をもたらし、マスクをデチャックすることができる。
磁石511〜518の向きを第1の向き5111〜5181から第2の向き5112〜5182に変えるために、回転機構530は、ハルバッハ配列510のすべての磁石511〜518に結合される。2以上のハルバッハ配列を用いる実施形態では、1以上の回転機構は、各配列内の磁石のすべてに1以上の回転機構を結合することができる。次いで、回転機構530は、配列内の各磁石511〜518の回転方向を次々に変えて、各磁石511〜518を約90度回転させることができる。第1の向き5111〜5181から第2の向き5112〜5182への回転方向を次々に変える例として、チャッキング面522の下端部527から回転を観察したとき、磁石511は反時計回りに回転することができ、下端部527から回転を観察したとき、磁石512は時計回りに回転することができる。磁石511〜518をチャッキング状態に戻すためには、回転機構530は、(1)回転を90度逆転させて各磁石をその第1の向き5111〜5181に戻す、(2)各磁石511〜518を更に90度次々に回転させるのを続けて新しいチャッキングの向きを作る、又は(3)各磁石511〜518に対して同じ方向に更に270度次々と回転させるのを続けて各磁石511〜518をその第1の向き5111〜5181に戻す。いくつかの実施形態では、磁石511〜518のうちのすべてよりも少ない磁石が、マスクをデチャックするために回転される。
図5Cは、別のデチャッキング状態に配置された磁石511〜518を示し、ハルバッハ配列510内において、すべての奇数番目の磁石は、第1の向き5111、5131、5151、5171に固定され、すべての偶数番目の磁石は、第3の向き5123、5143、5163、5183に変更される。各磁石511〜518は、チャッキング面522に対して4つの方向のうちの1つに配向されたN極を有する。すべての奇数番目の磁石が第1の向き5111、5131、5151、5171に配置され、すべての偶数番目の磁石が第3の向き5123、5143、5163、5183に配置され、各々の外向きの磁石(例えば、第1の磁極を有する磁石513(例えば、そのN極がチャッキング面522に向かって外側に向いている))は、外向きの磁石(例えば、磁石513)に対向するそれぞれ反対の磁極(例えば、磁石512、514のS極)を有する1つ又は2つの他の磁石(例えば、磁石512、514)に隣接する。この向きは、チャッキング面522から外へ向けられた減少した又はほぼゼロの磁場をもたらし、マスクをデチャックすることができる。
偶数番目の磁石の向きを第1の向き5121、5141、5161、5181から第3の向き5123、5143、5163、5183に変更するには、回転機構530を偶数番目の磁石のみに結合してもよい。次いで、回転機構530は、各偶数番目の磁石512、514、516、518を約180度回転させることができる。磁石511〜518をチャッキング状態に戻すために、回転機構530は、偶数番目の磁石512、514、516、518に対して、回転を180度反転させるか、又は同じ方向に回転を更に180度続けることができる。いくつかの実施形態では、奇数番目の磁石は回転され、偶数番目の磁石は第1の向きのままである。
図6A〜図6Bは、一実施形態に係る、直列に配置された複数のハルバッハ配列611〜614を含む磁気チャック610の正面概略図を示す。各ハルバッハ配列611〜614は、複数の磁石601〜608を含む。いくつかの実施形態では、各ハルバッハ配列611〜614は、磁気チャック610の第1の端部625から磁気チャック610の第2の端部626まで延在することができる。磁気チャック610は、図4を参照して説明したチャッキング面412と同様とすることができるチャッキング面622を含む。いくつかの実施形態では、磁石601〜608は、各々が円筒形状を有し、円筒の高さがチャッキング面622に実質的に垂直であるか、又は円筒の高さがチャッキング面622の端部のうちの1つ(例えば、端部625)に実質的に平行である永久磁石とすることができる。いくつかの実施形態では、円筒は、チャッキング面622又は端部(例えば、端部625)に対して他の向きに配置することができる。他の実施形態は、ロッド、ブロック、又はチューブ(例えば、長方形のチューブ)の形をした磁石601〜608を有することができる。
チャッキング面622は、チャッキング面622に対する磁石601〜608の向きを示すために透明であるように示されているが、このような透明性は必要ではない。磁石601〜608は、図4のチャッキング面412から窪んで図示されているハルバッハ配列406a〜406jと同様に、チャッキング面622に対して窪んでいることができる。
図6Aは、第1の向き6011〜6081に配置された各ハルバッハ配列611〜614内の磁石601〜608を有するチャッキング状態に配置された磁石601〜608を示す。この向きは、チャッキング面622から外へ向けられる強い磁場を生成し、マスクをチャッキング可能にする。マスクは、上記のマスク(例えば、マスク132a、132b、又は430)と同様の特徴を有することができる。
磁気チャック610は、図5に示された回転機構530と同様の1以上の回転機構(図示せず)を更に含むことができる。1以上の回転機構は、各磁石601〜608のN極が対向する4つの方向のうちの2つに配向されたN極を有する各ハルバッハ配列611〜614内の磁石に少なくとも結合することができる。いくつかの実施形態では、磁気チャック610は、各ハルバッハ配列611〜614内の対応する各磁石601〜608を一斉に回転させる1つの回転機構を含む。接続ロッド又は他の接続は、対応する磁石が一斉に回転することを保証するために使用することができる。他の実施形態では、ハルバッハ配列611〜614の一部がチャッキング状態にあり、ハルバッハ配列611〜614の一部がデチャッキング状態又は中間状態にあることを可能にする各配列のために別個の回転機構を使用することができる。各ハルバッハ配列611〜614のための1つの回転機構又は別個の回転機構を使用する実施形態では、回転機構に結合された各磁石の回転は、上記の磁気チャック504を参照して論じた回転のずらしと同様に、中心から端部まで、端部から中央又は端部までずらすことができる。
いくつかの実施形態では、磁石の回転軸は、チャッキング面622の端部(例えば、端部625)のうちの1つと平行であり、回転を達成するために、1以上の回転機構に結合された歯車541〜548と同様の歯車を使用することができる。他の実施形態では、磁石601〜608の回転軸は、チャッキング面622に対して垂直である。
更に他の実施形態では、各ハルバッハ配列611〜614の各磁石601〜608の回転は、個別に制御することができ、追加の回転シーケンスを探索することができる。例えば、各ハルバッハ配列611〜614の各磁石601〜608は、別個のアクチュエータ(例えば、別個のサーボ又は別個の空気圧アクチュエータ)に結合することができる。
図6Bは、各ハルバッハ配列611〜614内において、すべての奇数番目の磁石が第1の向き6011、6031、6051、6071のままであり、すべての偶数番目の磁石が第2の向き6022、6042、6062、6082に変化するデチャッキング状態に配置された磁石601〜608を示す。第1の向きの奇数番目の磁石と第2の向きの偶数番目の磁石を有することにより、チャッキング面622から外へ向けられた磁場がキャンセルされる又はゼロに近くなり、マスクをデチャックすることができる。
偶数番目の磁石の向きを第1の向き6121、6141、6161、6181から第2の向き6122、6142、6162、6182に変更するには、1以上の回転機構630を偶数番目の磁石のみに結合してもよい。次いで、1以上の回転機構は、各偶数番目の磁石612、614、616、618を約180度回転させることができる。磁石601〜608をチャッキング状態に戻すために、1以上の回転機構は、偶数番目の磁石612、614、616、618に対して、回転を180度反転させるか、又は同じ方向に回転を更に180度続けることができる。いくつかの実施形態では、奇数番目の磁石は回転され、偶数番目の磁石は第1の向きのままである。磁気マスク610は、上記の図5Bを参照して説明したのと同様に、チャッキング状態からデチャッキング状態に変更するために、ハルバッハ配列611〜614のうちの1以上の中の磁石601〜608のすべてを約90度回転させるように同様に動作可能とすることができる。
1つのハルバッハ配列とは対照的に、複数のハルバッハ配列を使用することで、より大きな操作上の柔軟性を提供することができる。例えば、別々の回転機構が別々のハルバッハ配列に使用される場合、いくつかのハルバッハ配列は、チャッキング状態、デチャッキング状態、又は中間状態にあることができる。各々の回転機構に別個の制御を提供して、各配列がチャッキング、デチャッキング、又は中間状態に切り替えられる時の個々の制御を可能にすることができる。更に、複数のハルバッハ配列は、マスクの異なる領域をクランプするために使用される磁気強度を変化させる磁石を可能にすることができる。例えば、マスクの中心をより大きな力でクランプするために、マスクの中心からより遠い磁石の強度に対して、マスクの中心により近い磁石のためにより強い磁石を使用することができる。
図7は、一実施形態に係る、ハルバッハ配列720を含む磁気チャック710の概略上面図を示す。チャッキング状態とデチャッキング状態との間を変えるために回転を使用する磁気チャック504及び610とは対照的に、磁気チャック710は、固定磁石721〜728に対して可動磁石711〜719の位置を変えて磁場の強度を調整する。可動磁石711〜719が固定磁石721〜728の間の適所に配置されると、ハルバッハ配列が形成され、チャッキング面732から外へ向けられる強い磁場を作り、マスク730がチャッキング可能となる。マスク730をデチャックするために、可動磁石を固定磁石721〜728及びチャッキング面732から離れるように移動させることができる。1以上のアクチュエータ704は、可動磁石711〜719の位置を個別に、グループで、又は磁石711〜719のうちのすべてを一緒に変更するために使用することができる。いくつかの実施形態では、マスク730は、可動磁石711〜719を固定磁石721〜729並びにチャッキング面732から離れるようにスライドさせ、次に、各々の可動磁石711〜719を次の固定磁石721〜719に隣接して再位置決めすることによってデチャックすることができる。例えば、チャッキング状態の固定磁石721、722に隣接する可動磁石712は、デチャッキング状態の固定磁石722、723の間で再位置決めすることができる。可動磁石712と同様に可動磁石のすべてを再位置決めすると、チャッキング面732から外へ向けられる低減した又はゼロに近い磁場が得られ、マスク730をデチャック可能とする。
いくつかの実施形態では、可動磁石711〜719を移動させるために、可撓性プレート702を使用することができる。可撓性プレート702は、可動磁石711〜719がチャッキング位置に移動されながら、マスク730をマスク730の中心からマスク730の端部へと徐々にマスク730をチャッキングするために、可撓性プレート702の中心の可動磁石711〜719がチャッキング面732により近くなるように内側に湾曲させることができる。内側に湾曲した可撓性プレートはまた、マスク730が端部から中心へのシーケンスにおいて徐々にデチャックされることを可能にする。他の実施形態では、可撓性プレート702は、可撓性プレート702の中心の可動磁石711〜719がチャッキング面732から最も遠く離れるように外側に湾曲させることができ、徐々に端部から中心へとチャッキングし、徐々に中心から端部へとデチャッキングする反対の効果をもたらす。
図2、図5A〜図5C、及び図8を参照すると、処理チャンバ内で基板にマスクをチャッキングする方法800が記載されている。この方法は、図5A〜図5Cのシステムを参照して説明されているが、当業者は、この方法の工程を任意の順序で実行するように構成された任意の磁気チャックが、開示された実施形態の範囲内にあることを理解するであろう。方法800は、第1の磁気チャック151aの代わりに基板キャリア150a及び磁気チャック504を使用して処理チャンバ240内で実行されるものとして説明される。方法800は、処理チャンバ240内で磁気チャック504及び基板キャリア150aを使用して説明されているが、方法800は、他の磁気チャックと共に、他の基板キャリアと共に、又は他の処理チャンバ内で実行することもできる。例えば、方法800は、処理チャンバ110内で磁気チャック610及び基板キャリア300を使用して実行することもできる。
ブロック802において、第1の基板121aは、基板キャリア150aの基板支持面上に配置され、処理チャンバ240内に搬送される。
ブロック804において、マスクが基板にチャックされる。マスクは、本明細書に記載された実施形態のいずれかに従ってチャッキングされることができる。いくつかの実施形態では、マスクは、ハルバッハ配列内の磁石の回転又は移動を必要としない処理チャンバ内の適所に基板が配置されるとすぐに、チャックすることができる。他の実施形態では、ハルバッハ配列内の少なくともいくつかの磁石は、マスクをチャックするために回転させて、又は回転させることなく移動することができる。例えば、磁気チャック504内のハルバッハ配列510に配置された複数の磁石511〜518の少なくともいくつかを回転させることができる。この回転は、基板キャリア150a上に配置された基板121aにマスク132aをチャッキングするために、磁気チャック504が基板支持面に近接している状態で行うことができる。あるいはまた、この回転は、基板キャリア150a上に配置された基板121aにマスク132aをチャッキングするために、磁気チャック504が基板支持面150aからより遠く離れた状態で行うことができ、その後磁気チャックは、基板支持面に近接して移動することができる。いくつかの実施形態では、図5Bを参照して上述したように、磁石511〜518はすべて約90度回転される。他の実施形態では、ハルバッハ配列510の4つの方向のうちの2つに配向された複数の磁石511〜518内の磁石は、図5Cを参照して上述したように、約180度回転させることができる。
複数のハルバッハ配列を有する磁気チャック(例えば、磁気チャック610)を有する実施形態では、複数のハルバッハ配列内の磁石はその後、ブロック804で回転させることができる。いくつかの実施形態では、磁気チャック504の中心(例えば、チャッキング面522の中心524)により近い磁石である複数の磁石511〜518のうちの少なくともいくつかは、磁気チャック504の端部(例えば、チャッキング面522の端部525)により近い磁石よりも速く回転される。磁石の回転は、上述のしたように多数の方法でずらす(例えば、中心から端部へと、端部から中心へと、又は端部から端部へと回転をずらす)ことができる。磁気チャック710を使用する実施形態では、可動磁石711〜719を固定磁石721〜728の間の適所に配置し、チャッキング面732から外へ向けられる強力な磁場を生成し、マスク730を基板にチャッキング可能にする。電磁石を使用する実施形態では、適切な電流で電磁石に通電することによってチャッキングを達成することができるので、磁石の移動又は回転は必要とされないかもしれない。
ブロック806において、マスク132aを通して基板121a上に層が堆積される。基板121a上に層を堆積させるために、蒸発源230を使用することができる。リニアガイド224は、蒸発源230の並進運動を提供することができるので、層は基板121aの異なる領域に堆積させることができる。1以上のハルバッハ配列の磁石は、堆積中に基板の異なる領域にわたってチャッキング力を調整するために回転することができる。層は、化学気相堆積又は他の堆積プロセスを用いてマスクを通して堆積させることができると考えられる。
ブロック808において、マスクは基板からデチャックされる。マスクは、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従ってデチャックすることができる。いくつかの実施形態では、ハルバッハ配列内の磁石の少なくともいくつかは、マスクをデチャックするために、回転させて又は回転させることなく移動させることができる。例えば、磁気チャック504内のハルバッハ配列510に配置された複数の磁石511〜518のうちの少なくともいくつかは、基板キャリア150a上に配置された基板121aからマスク132aをデチャックするために回転させることができる。いくつかの実施形態では、図5Bを参照して上述したように、磁石511〜518はすべて約90度回転される。他の実施形態では、ハルバッハ配列510内で4つの方向のうちの2つに配向された複数の磁石511〜518内の磁石は、図5Cを参照して上述したように、約180度回転させることができる。
複数のハルバッハ配列を有する磁気チャック(例えば、磁気チャック610)を有する実施形態では、複数のハルバッハ配列内の磁石はその後、ブロック806で回転させることができる。いくつかの実施形態では、磁気チャック504の中心(例えば、チャッキング面522の中心524)により近い磁石である複数の磁石511〜518のうちの少なくともいくつかは、磁気チャック504の端部(例えば、チャッキング面522の端部525)により近い磁石よりも速く回転される。磁石の回転は、上述したように多数の方法でずらす(例えば、中心から端部へと、端部から中心へと、又は端部から端部へと回転をずらす)ことができる。磁気チャック710を使用する実施形態では、可動磁石711〜719を固定磁石721〜728の間の位置から除去し、チャッキング面732から外へ向けられる相殺(キャンセル)又は低減された磁場をもたらし、マスク730を基板からデチャック可能にする。電磁石を使用する実施形態では、電磁石を通電解除する、電磁石に供給される電流を低減させる、又は電磁石のうちの少なくともいくつかに印加される電流の方向を変えることによってデチャッキングを達成することができるので、磁石の移動又は回転は必要とされないかもしれない。
ブロック808でマスクを基板からデチャッキングした後、基板をチャンバから取り出して、新しい基板に対して処理を繰り返すことができる。ブロック808で、ハルバッハ配列内の少なくともいくつかの磁石が基板からマスクをデチャックするために移動された場合、新しい基板が処理チャンバ内で適所に配置されると、ハルバッハ配列内の少なくともいくつかの磁石は、チャッキング状態を再生成するために、上記のように移動させることができる。
磁気チャック404、504、610、710の各々は、図に示されているよりも多くの又は少ない磁石を含むことができる。1つのハルバッハ配列のみを示す実施形態(例えば、磁気チャック504、710)は、追加のハルバッハ配列を含むことができる。複数のハルバッハ配列を含む実施形態(例えば、磁気チャック404、610)は、図に示される配列の数より多くの又はより少ないハルバッハ配列を含むことができる。
磁気チャック404、504、610、710の各々は、任意の基板キャリア(例えば、キャリア402)とは独立して処理チャンバ110、240の各々において完全に機能することができ、チャンバのすべての中の構成要素のすべて(例えば、アライメントユニット212a、212b、バルブ205、207、マスク132a、132b、及びマスクフレーム131a、131b)による機能を含む。アライメントユニット212a、212bは、磁気マスクチャックがキャリアの一部ではない実施形態に対して、各磁気チャック404、504、610、710を各基板キャリア150a、150b、300、402と位置合わせさせるとともに、基板をそれぞれのマスクと位置合わせさせる。磁気チャック404、504、610、710の各々は、基板キャリア150a、150b、300、402の各々と共に、別個の装置として又はキャリアの各々と一体化して使用することができる。磁気チャックが基板キャリアと一体化される実施形態では、1以上のハルバッハ配列内の複数の磁石は、チャッキング面(例えば、チャッキング面412)に対して、又は基板支持面(例えば、基板支持面313)に対して配向させることができる。いくつかの実施形態では、チャッキング面と基板支持面は、同じ面とすることができる。磁気チャック404、504、610、710の各々は、位置決め装置(例えば、オプションのアクチュエータ410)と共に機能することもできる。磁気チャックが基板キャリアから分離している実施形態では、磁気チャックは基板として処理チャンバ内に残ることができる、及び/又は基板キャリアは処理チャンバの内外に搬送される。
磁気チャック404、504、610、710の各々は、絶縁材料(例えば、誘電材料又はセラミックス材料)から製造されたチャック本体(例えば、チャック本体408)を有することができる。セラミックス材料又は誘電体材料の好適な例は、ポリマー(例えばポリイミド)、酸化ケイ素材料(例えば、石英又はガラスなど)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、イットリウム含有材料、酸化イットリウム(Y2O3)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)等を含む。オプションで、チャック本体の各々は、金属又は金属体であってもよい。いくつかの実施形態では、チャック本体は、強磁性体又は非磁性体から製造することができる。いくつかの実施形態では、チャック本体はまた、静電チャック本体とすることができる。
磁気チャック404、504、610、710の各々は、ハルバッハ配列(例えば、ハルバッハ配列406a〜406j)を含み、ハルバッハ配列内の磁石の全ては、強磁性材料(例えば、アルミニウム−ニッケル−コバルト(アルニコ)、セラミックス、希土類、鉄−クロム−コバルト、又はそれらの組み合わせ)でできた永久磁石とすることができる。他の実施形態では、ハルバッハ配列406a〜406j内の磁石の全ては電磁石とすることができる。更に他の実施形態では、ハルバッハ配列406a〜406j内の磁石のいくつかは永久磁石とすることができ、ハルバッハ配列406a〜406j内の磁石のうちのいくつかは電磁石とすることができる。
電磁石を使用する実施形態では、電磁石に通電するためにコントローラ及び電源を使用することができる。電磁石に対しては、回転機構は不要とすることができる。いくつかの実施形態では、電磁石の極性は、電磁石を通って流れる電流を逆転させることによって、容易に切り替えることができ、電磁石を使用する実施形態を、チャッキング状態とデチャッキング状態の間を変化させるために、磁石のうちのいくつかの極性を180度切り替える実施形態に対して特に好適にする。電磁石を使用する磁気チャックのいくつかの実施形態の利点は、塵埃を発生させ、追加の保守を引き起こす可能性のある可動部品(例えば、回転磁石)の欠如である可能性がある。電磁石を使用する磁気チャックの実施形態の別の利点は、チャッキング面全体にわたるチャッキング及びデチャッキングの正確な制御を可能にするコントローラによって、各電磁石が個別に通電・通電停止することができることである。
本明細書に記載された磁気チャックは、マスクを基板に磁気的にクランプすることを可能にし、これは製品品質を向上させ、設備コストを低減することができる。マスクを磁気的にクランプすることにより、機械式クランプの位置により高い力を集中させる機械式クランピングシステムと比較して、基板のターゲット領域にわたって均等に分配されたより低いクランプ力を展開させることができる。このより低い均等に分配されたクランプ力は、機械式クランピングによって使用される集中力によってしばしば引き起こされる基板への接触汚染又は物理的損傷を防止することができる。
ハルバッハ配列を使用する磁気チャックは、磁気チャックの他の実施形態と比較して追加の利点を提供する。ハルバッハ配列に配向された磁石は、他の古典的な配置(例えば、交互のNS構成)で配向された同じ磁石よりもマスクをクランプするために高い磁力を生成することができる。これは、磁気チャック内に含まれる磁石をより小さく又はより少なくすることができ、磁気チャックのサイズを低減するだけでなく、設備コストを節約することができる。
更に、上述したように、ハルバッハ配列に配向された磁石は、マスクをチャッキングするための強力な磁場を生成するチャッキング状態に容易に回転して、その後、マスクをデチャッキング可能にするマスクへ向かって指向された低減された又はほぼゼロの磁場をもたらすデチャッキング状態に回転することができる。ハルバッハ配列を使用しない磁気チャックの他の実施形態では、マスクをチャック及びデチャックするために、磁石とマスクとの間の距離を増減させる必要がある。この距離を増減することは、必要とされる磁気チャック内の追加の空間、又はマスク又は磁気チャックを移動させるためのチャンバ内の追加の空間及び設備のために、追加の設備コストをもたらす。ハルバッハ配列の磁石の回転は、磁気チャックの設置面積をより小さくすることができ、これは装置のコストを節約するだけでなく、ハルバッハ配列を使用する磁気チャックが他の磁気チャックと比べてより既存の処理チャンバ内で使用されることを可能にする。更に、永久磁石を使用する実施形態では、磁石のうちのいくつかを約180度又は磁石の全てを約90度回転させるためにのみ電力が使用されるので、マスクをチャッキング及びデチャッキングするための電力要求が非常に低い。
磁気チャック710は、チャッキング状態からデチャッキング状態に変化させるために磁石を回転させないが、磁石が移動しなければならない距離は、他の磁気チャック内で磁石を動かす必要がある距離よりもはるかに小さい。磁気チャック710内の可動磁石は、可動磁石がデチャッキングの方向に再位置決めされるときに固定磁石を過ぎて摺動することができるように、十分遠くに移動する必要があるだけであるので、距離はより小さい。
上記は典型的な実施形態を対象としているが、他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。