クレームに記載された対象は特定の実施形態に関して説明されるが、本明細書に規定される利益と特徴の全てを提供しない実施形態を含むその他の実施形態も本開示の範囲内である。本開示の範囲から逸脱せずに、種々の構造的、論理的、プロセスステップ上および電子的変更がなされてもよい。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照してのみ規定される。
本開示は、ウェーハ表面をイメージングするためのシステムと、コンピュータによって実施される方法を提供する。開示されるシステムおよび方法のいくつかの実施形態は、ウェーハ内に非平坦な領域が存在するかどうかを識別し、個々のセグメントの、指定面からの逸脱の度合いを識別し、そのような識別に基づいて、光学システムの像面湾曲を調整して、個々のセグメントに関する逸脱を吸収して、ウェーハ表面の所望の部分全体の正確な画像が得られるように備える。レンズ素子の位置は、像面湾曲を修正するために変更され得る。本明細書に開示されるウェーハ表面をイメージングするためのシステムと、コンピュータによって実施される方法は、エッジグリップチャックが反ったウェーハを保持する状態で、または、チャックでは容易にまたは他様に平坦化され得ない反ったウェーハで使用され得る。
ウェーハ表面の平坦および/または非平坦な領域の初期識別はトポグラフィマッピング出力として取得される。この出力は個々のセグメントからのいくつかの個々の出力の合成であってよい。個々のセグメントからの1つ以上のトポグラフィマッピング出力または1つ以上のセグメントからの合成は次にコントローラに入力され、コントローラは次に光学システムの像面湾曲の調整を、光学システムにおけるレンズ素子の位置を変更することによって指令する。
一実施形態において、トポグラフィマッピング出力と画像は、ウェーハにわたる検査システムの同じ工程内で生成される。この実施形態において、ウェーハ表面の各セグメントに関するトポグラフィマッピング出力がコントローラに入力されることができ、光学システムの像面湾曲はそのセグメントに関するトポグラフィデータに基づいて修正され、システムが次のセグメントに移行する前にそのセグメントに関する画像が捕捉される(イメージング機能)。一実施形態において、マッピング機能とイメージング機能の間に遅延が生じることがある。例えば、イメージング機能はマッピング機能よりも1つ以上のセグメント分遅れることがある。
一実施形態において、トポグラフィマッピング出力と画像処理ステップは別個の工程で実行される。この実施形態において、トポグラフィマッピング出力はコントローラに供給されてもよいし、または後で検査システムに入力されるために記憶媒体に記憶される。
本明細書に記載されるステップのうちいずれからの結果も、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されて必要なときに取り出されてよい。そのような記憶媒体は当業者には周知である。記憶媒体からの結果は、マッピング機能をイメージング機能と同期させ、ウェーハが製造工程を進むにつれたウェーハトポグラフィの変化を識別し、使用中の変化を識別する等のために後で取り出されてもよい。
図1は、本発明で開示されるシステムおよび方法による検査対象の典型的な反ったウェーハ100の上面を示す。図1において中心から周縁105に向かう影付き部分で示されるように、ウェーハ100の周縁105は、ウェーハ100の中心に対してz方向に高さが異なる。したがって、ウェーハ100の表面は半径方向線101に沿って平坦でない。ウェーハ100の中心領域(破線の円102で示される)と周縁105との高さの差はz方向において約100μm以上であり得る。図1においてウェーハ100はボウル形状であるが、ウェーハの反りは、非対称反り、局所的な反り等を含む、平坦な表面からの任意の逸脱であり得ることに注目すべきである。
反りにより、図1のウェーハ100の画像の部分は、有意義なデバイス検査には合焦が十分に鮮明でない(平坦な焦点面を有する光学システムの画界にわたる、等)可能性がある。例えば、光学システムの被写界深度が約20μm未満であり、被写界深度が平坦または平面の像面を有する周縁105でのウェーハ100の表面の高さに設定されている場合、領域103(影付きで示された被写界深度内のウェーハ表面部分)のみが合焦していることになる。そのため、生成されるウェーハ100の表面の画像は十分に合焦していない可能性がある。例えば、画像は、フォトレジストが歪んでいる、不整合である、正しい限界寸法を有している、または表面不均一性がないかどうかを判断するために十分な程、画像全体にわたり合焦していない可能性がある。
本開示の技法は、反りが光学システムの被写界深度よりも大きいか、または反りが被写界深度以内である場合に、ウェーハが部分的または全体的に反っているかどうかを検査するために用いられ得る。この技法は、全く反っていないウェーハを検査するためにも用いられ得る。さらに、ウェーハは半導体ウェーハであっても、別のタイプのウェーハであってもよい。光学システムの像面湾曲は、ウェーハの反りに適合または別の方法で補償するように調整され得る。像面湾曲の調節は検査中にリアルタイムで実行されてよい。
本開示の検査システム200の実施形態が図2に示される。検査システム200は、ウェーハ表面のセグメントの画像を捕捉する光学システム202を含む。光学システム202は、ウェーハ201からz方向に一定距離にあるように構成される(検査システム200内に配置されたウェーハ201のウェーハ表面が概ねxy平面に配置されている場合)。光学システム202は、以下にさらに説明されるように像面湾曲を修正できる複数のレンズ素子を含む。光学システム202の実施形態は、照明源と、ウェーハ201の表面の画像を捕捉するセンサを含んでもよい。照明源は、レーザ、発光ダイオード、ランプ、レーザ駆動プラズマ源またはその他の源であってよい。照明源は可視光またはその他の波長を発生でき、広帯域源またはその他であってよい。光は偏光されていても、非偏光でもよい。明視野または暗視野の照明が用いられ得る。光学システム202は、レンズ素子の位置の調整を可能にして焦点および/または像面湾曲に影響を与える、例えばモータまたはサーボ等の1つ以上のアクチュエータを含んでもよい。光学システム202はさらに、反射素子、ビームスプリッタまたは付加的なレンズ等の別の構成要素を含んでもよい。光学システム202は、光学システム202のレンズ素子によって規定される光軸、または、光学システムを通って光が伝播する中心経路を有する。
一実施形態において、イメージングシステム202は像面湾曲を変更するように構成されたレンズ素子を有する。例えば、イメージングシステム202は3つのレンズ素子を有してもよく、第1レンズ素子が正の屈折力、第2レンズ素子が負の屈折力、第3レンズ素子が正の屈折力を有する。像面湾曲に変更を生じさせ得るように、第1と第2レンズ素子が第3レンズ素子に対してユニットとして移動してもよい。第1レンズ素子と第2レンズ素子は、光軸上の物体からの無限遠の光レイトレースが、第2レンズ素子と第3レンズ素子の間の空間内の光軸と略平行となるように構成される。そのようなレンズシステムは当技術分野において周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,231,636号明細書を参照されたい。被写界深度は少なくとも開口と焦点距離に関係し、したがって変動があり得る。特定の実施形態において、被写界深度は0.1ミクロンから500ミクロンであり得る。光学システム202の被写界深度は一例において約20μm未満であり得る。被写界深度の別の値も可能である。
図3は、本開示の上記の実施形態による光学システム300を表すブロック図である。光学システム300は、合焦中に像面湾曲の自動補正とは別に像面湾曲の変動を可能にする可変像面湾曲レンズシステムであってよい。複数のレンズ素子が光学システム300において使用されてもよい。各レンズ素子は1以上のレンズを含み得る。光学システム300は正面レンズグループを形成する正の屈折レンズ素子301と負の屈折レンズ素子302を含む。光学システム300はさらに、正の屈折レンズ素子303を含む。正面レンズグループは、画像平面と光軸304の間の交差位置をシフトせずに像面湾曲を所望に変更するために光軸304に沿ってシフトする。第1と第2レンズ素子301、302の相対位置は合焦中に一定に保持され、可変な像面湾曲の導入を可能にするために変更されてもよい。合焦は、正の屈折レンズ素子301の、光学システム300の残りのレンズに対する相対移動によって可能となる。第1と第2レンズ素子301、302等の2つの可動レンズ素子は、相補的な屈折力を有し得る、または、レンズシステムの総背面焦点距離を変えずに第3レンズ素子に対して単一のユニットとして光軸304に沿って移動可能である。センサ306は、ウェーハ305の画像を捕捉する。
図2に戻ると、検査システム200は、ウェーハの表面のトポグラフィデータを受け取るように構成されたコントローラ204をさらに備える。コントローラ204は、画界内のウェーハ201の表面が光学システム202の修正された被写界深度以内に収まるように光学システム202の像面湾曲を変更するために、光学システム202内のレンズ素子の位置を、ウェーハ201の表面のトポグラフィに基づいて変更するように構成される。こうして、光学システム202を用いて捕捉されたウェーハ表面セグメントの画像が、ウェーハ表面セグメント全体にわたり合焦する(すなわち、容認できる程度に鮮明な合焦で)。
オプションのマッピングシステム208から受け取ったデータ等のトポグラフィデータに基づいて、コントローラ204は光学システム202内のレンズ素子の位置を変更して、光学システム202の像面湾曲を、ウェーハ201の表面(すなわち画界内のウェーハ201の表面の部分)のトポグラフィに適合するように修正する。いくつかの実施形態において、コントローラ204は、ルックアップテーブルを用いて像面湾曲の要求される修正を判断してもよい。別の実施形態において、コントローラ204はトポグラフィと像面湾曲の間の予め定められた関係性に基づいて、要求される修正を計算してもよい。コントローラ204は、当技術分野で周知のそのような目的の別の方式向けに構成されてもよい。
コントローラ204は、走査中に、光学システム202による画像獲得または、光学システム202またはウェーハ201の運動を制御または管理してもよい(以下により詳細に説明する)。別の実施形態において、コントローラ204は光学システム202から画像またはイメージングデータを受け取ってもよい。
コントローラ204は実地上、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの任意の組み合わせで実行されてもよいことを理解すべきである。また、本明細書に記載されるコントローラ204の機能は1つのユニットで実行されても、または別々の構成要素に分けて実行されて、構成要素それぞれがハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの任意の組み合わせによって順に実行されてもよい。本明細書に記載される種々の方法および機能を実行するためのコントローラ204のプログラムコードまたは命令は、コントローラ204内のメモリ、コントローラ204の外部のメモリまたはそれらの組み合わせ等のコントローラ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
本発明で開示されるシステム200のいくつかの実施形態は、ウェーハ201を保持するように構成されたチャック203を備えてもよい。チャック203は、図2に示されたものと類似したエッジグリップチャックであってもよいが、ウェーハ201の裏面に接触するまたは裏面を支持するチャックを含む、静電式、真空式またはその他の機械式チャック等の別のチャックが用いられてもよい。図2の実施形態においてエッジグリップチャック203は3個のエッジグリッパ205−207を用いるが、別の個数のエッジグリッパも可能である。いくつかの実施形態において、ウェーハ201の周縁のみが把持されるまたは接触される。エッジグリッパ205−207は、デバイス構造が位置するウェーハ表面の領域の外側に配置され得る。図2の3個のエッジグリッパ205−207は、ウェーハ201の周縁に沿って分配される。ウェーハ201の周縁においてウェーハ201を保持する3個のエッジグリッパ205−207を用いることは、エッジグリッパ205−207によって生じるウェーハの歪みまたは撓みを極減できる。エッジグリッパ205−207の位置は、ウェーハ201のイメージング/検査を妨害しないように選択され得る。
実施形態において、2個のエッジグリッパまたは3個以上のエッジグリッパが用いられ、ウェーハ201の周縁の周りに間を空けて配置される。エッジグリッパはウェーハ201の周縁の周りに等間隔に配置されてもよいし、別のパターンで配置されてもよい。いくつかの実施形態において、エジグリップチャックは、ウェーハ201の全周囲にわたって介接するように構成される。
検査システム200は、ウェーハ表面を走査することによってウェーハ201を検査するように構成されてよい。例えば、ウェーハ201および/または光学システム202が互いに対して移動するときにウェーハ表面のセグメントの複数の画像を捕捉するために光学システム202が用いられてもよい。この走査機能はステップ式でも連続式でもよい。ウェーハ201と光学システム202のうち少なくとも一方は互いに対して移動できる。一つの実施形態において、光学システム202は固定され、ウェーハ201は移動する。例えば、検査システム200は、xおよび/またはy方向(複数の方向)に移動するように構成されたステージを備えてもよい。ステージは、光学システム202を用いてウェーハ201が走査され得るように、チャック203と介接するように構成される。別の施形態において、ウェーハ201は固定され、光学システム202は移動するように構成される。さらに別の実施形態では、ウェーハ201と光学システム202の両方が互いに対して移動する。
別の実施形態において、光学システム202もウェーハ201も移動しない。むしろ、ウェーハ201の全所望領域にわたるイメージング機能は、全ウェーハ表面の画像を捕捉するように構成された単一の光学システムによって、または、それぞれがウェーハ表面の一部の画像を捕捉するように構成された複数の光学システムによって実行される。
検査システム200における走査は任意のパターンであってよい。例えば、この走査はxy平面にわたり蛇行状パターンであってよい。例えば、光学センサ202またはウェーハ201は、ウェーハ表面の1つのスワス(swath)の画像を捕捉するためにx方向に移動し、隣のスワスにy方向に移動し、次に隣のスワスの画像を捕捉するためにウェーハ201の表面上で反対にx方向に移動して、それにより対象のウェーハ201の表面を表す一組の画像を捕捉してもよい。別例において、線形、ジグザグまたはスパイラルパターンが用いられてもよい。各スワスは画像または1以上のセグメントを含む。
そのような走査の実施形態では、光学システム202はウェーハ表面の少なくとも一部の複数の画像(すなわちサンプル)を捕捉するセンサを含み得る。例えば、光学システム202はイメージング素子の一次元アレイからなるラインセンサを備えてもよく、ラインセンサは、ウェーハ201の連続画像が形成されるように、光学システム202に対する ウェーハ201の速度に対応するサンプリング周波数でウェーハ201の画像をサンプリングするように構成される。形成された画像の寸法(幅等)は、走査中の光学システム202の画界内のウェーハ201の部分に対応し得る。そのような実施形態において、ウェーハの走査された部分はスワスと呼ばれてよい。ラインセンサは、電荷結合デバイス(CCD)、時間差積分(TDI)センサ(実効的にラインセンサ)、または当技術分野で周知の他のセンサであってよい。ラインセンサは、任意のサイズのセグメントをイメージングするように構成されてよい。例えば、ラインセンサは1つの次元において100mmのサイズを有するセグメントをイメージングするように構成されてもよい。こうして、以下により詳細に説明するように、300mmのウェーハが、3つの光学システムを有する検査システム下の単一の工程で検査され得る。
別の実施形態において、光学システム202は、ウェーハ201のセグメントの画像を捕捉するように構成された二次元イメージングセンサを備える。セグメントのサイズおよび形状は、イメージングセンサの設定により、および/または、光学システム202の光路に沿った開口によって規定されてもよい。そのような実施形態において、イメージングセンサは、CCD、CMOS画像センサまたは当技術分野で周知の別のセンサであってよい。
一実施形態において、ウェーハ201の望まれる部分全体の画像を形成するために複数の画像が必要な場合がある。1つの画像のセグメントは、約0.15mmから100mmを超える寸法を有し得る。
図2はウェーハ201の前面の検査を図示しているが、検査システム200はウェーハ201の裏面の検査またはウェーハ201の前面と裏面の両方の検査向けに構成されてもよい。一実施形態において、光学システム202は裏面検査を提供するためにウェーハ201に対して位置決めされる。別の実施形態において、ウェーハ201の前面と裏面の両方の検査を提供するために複数の光学システム202がウェーハ201に対して位置決めされる。ウェーハ201は、ウェーハ201の前面と裏面の両方の検査を提供するために、反転されるかまたは別様に回転されてもよい。
図4は、本開示の別の実施形態による別のシステム400の上面図である。システム400は光学システム402−404を含む。光学システム402−404それぞれは、図2の光学システム202と同じであってよい。光学システム402−404それぞれは、曲がっていてもよいウェーハ401上のスワス405−407(破線で示される)をイメージングする。各スワス405−407は一例において、x方向において約100mmであってよい。例えば、300mm径のウェーハ401は、x方向において約100mmであるスワスの画像をそれぞれ生成する3つの光学システム402−404を用いる。各スワス405−407は、点線を施した長方形の挿入部で示される複数のセグメント409からなる。セグメント409それぞれは検査中に光学システムによってイメージングされる。図4に示されているものより多いまたは少ないセグメント409が用いられてもよい。
図4においてセグメント409それぞれはx方向に100mmであるものとして示されているが、他の形状または寸法も可能である。例えばセグメントは四角形であってもよい。セグメントの寸法と形状は、光学システムの個数、用いられる光学システムのタイプ、または光学システム内のセンサのタイプによって変わってもよい。
図4の実施形態において、走査中に光学システム402−404またはウェーハ401のいずれかは互いに対して移動する。例えば、移動はy方向になされてもよい。一つの特定の実施形態において、光学システム402−404は固定された状態でありながらウェーハ401はy方向に移動する。ウェーハ401がy方向に移動するにつれ、光学システム402−404は、ウェーハ402の表面上のスワス405−407等のスワスのセグメントをイメージングする。ウェーハ402は再び移動し、光学システム402−404は、ウェーハ402の表面上の新たなセグメントをイメージングする。
スワス405−407は複数のセグメント409を含むものとして図示されているが、スワス405−407は連続した画像であってもよい。
3つの光学システム402−404が図4に図示されているが、より多いまたはより少ない光学システムが用いられてもよい。光学システムの個数が多ければ、イメージングのセグメントを小さくできる。また、光学システムの個数が多ければ、各イメージングステップ中にウェーハ401のより多くの表面をイメージングすることによりスループットを増加させるように構成されることもできる。
ここでは図示されていないが、ウェーハ表面上のセグメント409またはスワス405−407は重なってもよい。
図4のセグメント409それぞれの画像は、ウェーハ401の反りにも拘らずウェーハ表面の検査に容認されてもよい。光学システム402−404の像面湾曲はそれぞれ、ウェーハ401のトポグラフィに依存してセグメント409に関して修正されてもよい。この像面湾曲の修正は、1つ以上の光学システム402−404の像面湾曲が、隣接するセグメント409であっても異なるように個別化され得る。
図5−7は、ウェーハ500およびウェーハ500の上面上の対応する位置を伴う像面湾曲の断面図である。ウェーハ500は少なくとも部分的に反っている。図5−7からわかるように、xz平面上のウェーハ500の断面図と、xy平面にあるウェーハ500の表面の対応する図が図示されている。
図5に、xy平面にあるウェーハ500の表面の第1セグメントが示されている。この第1セグメントの表面トポグラフィ502は湾曲している。第1セグメントをイメージングする光学システム501の像面湾曲は、光学システム501のレンズ素子の位置を変更することにより、像面503の湾曲した深度(点線で輪郭が描かれている)を有するように調節される。図5でわかるように、表面トポグラフィ502は像面503の湾曲した深度内に収まる。
図6に、xy平面にあるウェーハ500の表面の第2セグメントが示されている。この第2セグメントの表面トポグラフィ504は湾曲しており、表面トポグラフィ504の曲率は表面トポグラフィ502とは異なっている。第2セグメントをイメージングする光学システム501の像面湾曲は、光学システム501のレンズ素子の位置を変更することにより、像面505の湾曲した深度(点線で輪郭が描かれている)を有するように調節される。図6でわかるように、表面トポグラフィ504は像面505の湾曲した深度内に収まる。
図7に、xy平面にあるウェーハ500の表面の第3セグメントが示されている。この第3セグメントの表面トポグラフィ506は湾曲しており、表面トポグラフィ506の曲率は表面トポグラフィ504とも表面トポグラフィ502とも異なっている。第3セグメントをイメージングする光学システム501の像面湾曲は、光学システム501のレンズ素子の位置を変更することにより、像面507の湾曲した深度(点線で輪郭が描かれている)を有するように調節される。図7でわかるように、表面トポグラフィ506は像面507の湾曲した深度内に収まる。
図5−7それぞれにおいて、光学システム501によって生成される画像はセグメントの画像にわたり合焦していてもよい。これは、少なくとも部分的には、光学システム501によって生じる像面の湾曲した深度と、光学システム501内のレンズ素子の位置を調節することにより各セグメントの表面トポグラフィに基づいて像面湾曲を修正することによるものである。一実施形態において、表面の合焦は、±λ/20NA2内に達成され、λは光学システム501の平均波長であり、NAは光学システム501の開口数である。
図2のオプションのマッピングシステム208等のマッピングシステムが、ウェーハ表面のトポグラフィを表すデータを生成するために用いられ得る。そのようなマッピングシステムは、図2のコントローラ204等のコントローラと通信してもよい。こうして、マッピングシステムはトポグラフィを含むデータをコントローラに送信することができ、コントローラはマッピングシステムからトポグラフィデータを受け取る。別の実施形態において、マッピングシステムからのトポグラフィデータは後から検査システムによって取り出されるために保存される。マッピングシステムと検査システムは、対応するウェーハを検査する際にウェーハのトポグラフィデータが利用され得るように、共通のウェーハ座標を確立するように構成されてもよい。例えば、マッピングシステムおよび/または 検査システムは、レーザビームをエッジファインダーとして利用してウェーハ座標を確立するように構成されてもよい。ウェーハ座標を確立する別の技法は、本開示に鑑みて明白であろう。
いくつかの実施形態において、図2の検査システム200等の検査システムはトポグラフィマッピングシステムを備え、コントローラは、包含されるマッピングシステムからトポグラフィデータを受け取る。トポグラフィマッピングシステムと光学システムは、マッピング機能とイメージング機能の同一工程での実行を可能にするために、同じハウジング内に配置されるか、または連結されたハウジング内に配置されてもよい。
マッピングシステムは、ウェーハ表面のz方向における相対偏向を測定するために1つ以上の距離計を用いてもよい。生じた画像が合焦していると見做されるためには、ウェーハ表面のトポグラフィは<±λ/20NA2であり得る。例えば、1つ以上の距離計は、 ウェーハ表面のトポグラフィをマッピングするための、例えばレーザ等のレンジ照明源(複数の照明源)を備えていてもよい。一実施形態において、ウェーハ表面のトポグラフィは、ウェーハの表面から反射するレーザビームのアレイを用いて測定されてもよい。例えば、3つのレーザビームが用いられてもよい。反射されたレーザビームの分離における変化とアレイの空間平行移動が測定されてトポグラフィを決定する。ウェーハ表面の曲率、チルトまたはその他のトポグラフィ質を分析するために、反射されたレーザビームの強度と配向がアルゴリズムに入力され得る。データはウェーハ表面のトポグラフィマップの形式で提供され得る。
図8に示すマッピングシステム800の実施形態において、ウェーハ801の表面のトポグラフィが、レーザ源803によって生成される3つのレーザビーム802のアレイを用いて測定される。レーザビーム802はウェーハ801の表面にわたり走査できる。反射されたレーザビーム802のアレイは検出器804に方向付けられる。ウェーハ801の表面から反射されたレーザビーム802を用いてトポグラフィが決定される。検出器804に接続されたコントローラ805等のコントローラが、レーザビーム802に基づいてトポグラフィを決定できる。マッピングシステム800はさらに、レーザビーム802を整列または反射させる鏡を含んでもよい。
マッピングシステムは、当業者に周知の別の方法を用いてもよい。例えば、ウェーハのトポグラフィを生成するために、顕微鏡画像のデジタル解釈が用いられてもよい。さらに別の例では、容量ゲージ等の電子センサを用いてウェーハのトポグラフィを生成してもよい。
本開示の方法の一つの実施形態が図9に示されている。900で、トポグラフィを決定するためにウェーハ表面がマッピングされる。ウェーハ表面の一部または全部は非平面であってよい。901で、光学システムの像面湾曲がウェーハ表面のトポグラフィに基づいて修正され、902で、ウェーハ表面のセグメントがイメージングされる。像面湾曲は、光学システム内のレンズ素子の位置を変更することによって修正されてもよい。この工程を別のセグメントに対して、所望の個数の画像が撮像されるまで、または所望の量のウェーハ表面がイメージングされるまで繰り返してもよい。
本明細書に開示される方法は、有形媒体を用いて実行されてもよい。例えば、1つ以上のプログラムを備えた非一時的コンピュータ可読記憶媒体が、1つ以上のコンピューティングデバイスで、本明細書に開示される方法を実行するために用いられてもよい。
マッピングシステムを備えた検査システムの1つの典型的な実施形態において、マッピングシステムは、ウェーハの1セグメントに関するトポグラフィデータが、セグメントがマッピングシステムを通過するにつれ生成されるように構成される。マッピングシステムは、コントローラと電気的に通信し、コントローラはセグメントに関するトポグラフィデータを受け取るようになっている。コントローラはトポグラフィデータを用いて光学システム内のレンズ素子の位置を変更して、光学システムの像面湾曲を修正し、その結果、光学システムが、セグメントが光学システムの画界内にある場合にセグメントの容認できる程度に合焦した画像を捕捉するために用いられ得るようにする。そのため、検査システムのコントローラは、セグメントのトポグラフィデータの使用を同じセグメントの画像捕捉と協調させるように構成される。この工程は、ウェーハが検査 システムによって走査される間にサンプルレートで繰り返される。コントローラのタイミングは、画像捕捉が、トポグラフィデータより1つ以上のセグメント分遅延するように構成される。別の実施形態において、ウェーハが光学システムに対して実質的に同じ位置にある間にトポグラフィデータが決定されて画像が捕捉される。
画像捕捉のためにTDIセンサが用いられる場合、コントローラは光学システム内のレンズ素子の位置を変更して像面湾曲を修正し、それにより複数のセグメントのトポグラフィに合わせることに注目すべきである。そのため、隣接するセグメント間のトポグラフィの変更は、各セグメントが修正された(湾曲した)被写界深度内に収まる程度に十分小さくあるべきである。トポグラフィの変化が隣接するセグメントの画像捕捉を妨げる場合、コントローラはTDIセンサに用いられるセンサ列の数を切り詰めて、それにより画像の鮮明さのための画像輝度を犠牲にするように構成されてもよい。
トポグラフィ情報がリアルタイムで取得されるのか記憶装置から取得されるのかに拘らず、トポグラフィ情報が、1つのセグメントに関して調節が必要である(z方向に変位が顕著である等)ことを示す場合、コントローラはその変位に適合するための光学システムの像面湾曲の調節を命令する(必要な場合)。例えば、第3レンズ素子からの第1および第2レンズ素子の距離を変更して、像面湾曲の変化をもたらしてもよい。次に光学システムは次のセグメントに移り、ウェーハ表面の全所望領域が走査されるまでこの工程が繰り返される。
一実施形態において、光学システムのイメージングレンズの像面湾曲は、走査中に継続的に修正され得る。
トポグラフィデータの生成は、チャッキングの後且つ検査開始前に実行され得る。これは、トポグラフィデータが、チャック内で任意のウェーハ撓みを含むことを見込む。トポグラフィデータは、チャッキングの前に生成されてもよい。
光学システムによって生成される画像はピクセル化されてもよい。生じた画像のピクセルサイズはミクロンスケールであってよい。例えば、ピクセルサイズはウェーハの0.1μmと等しいまたはそれに相当し、合焦度は1μm未満であり得る。他のピクセルサイズまたは合焦度が可能である。
この像面湾曲の調節は、光学システムとウェーハが走査中に互いに対して移動するにつれリアルタイムで実行され得る。各セグメントに関してより小さい画界を用い、それにより像面湾曲の変化を極減することによって、より高い検査スループットが達成され得る。
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、任意のタイプのウェーハの検査に用いられ得る。例えば、ウェーハは、半導体ウェーハであってもよく、または、LED、太陽電池、磁気ディスク、フラットパネルまたは研磨板の製造に用いられるような別のタイプのウェーハであってもよい。当業者に知られるような他の物体が検査されてもよい。本開示の実施形態は、略円形、略長方形またはその他の形状であってもよいウェーハを検査するように構成されてもよい。例えば、ウェーハは略円形の半導体ウェーハであってもよい。実施形態は、別々のサイズのウェーハを検査するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ウェーハは100mm、200mm、300mmまたは450mm等の直径と、約500μmから1000μmの厚さを有してもよい。別の例において、ウェーハは、約100mmから200mm平方の寸法と約150μmから300μmの厚さを有する略長方形の太陽電池であってよい。別の例において、本明細書に記載されるシステムおよび方法は半導体フォトマスクを検査するために用いられてもよい。
ウェーハにわたる反りは、典型的には低周期の凹凸を有して滑らかである。反ったウェーハは実質的にボウル形状を有していてもよい。しかし、反りは、特定の領域にストレスまたは緊張を引き起こすウェーハ加工、ウェーハ上の層、またはウェーハ上の膜によって不規則である場合がある。本開示の実施形態は、センサのタイプに拘らず、不規則な反りの場合でもウェ−ハを適切に検査するように構成され得る。
本発明を1つ以上の特定の実施形態に関して説明してきたが、本開示の範囲から逸脱せずに本開示の別の実施形態が成され得ることが理解されよう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその合理的な解釈によってのみ限定されると見做される。