本出願は、2014年3月14日に出願した米国仮特許出願第61/953,650の優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照によりここに組み込まれる。
本出願は、ファイル名「150313_0893_86150_PCT_Sequence_Listing_REB.txt」に存在する、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を参照により組み込んでおり、そのファイルは、サイズが499キロバイトであり、2015年3月13日に、MS−Windowsとのオペレーティングシステム互換性を有するIBM−PCフォーマットで作成されたものであり、本出願の一部として2015年3月13日に提出したテキストファイルに含まれている。
本出願全体を通して、様々な文献が参照される。本発明に関連する従来技術をより十分に説明するために、すべての参考文献の開示全体が、参照により本出願に組み込まれる。
発明の背景
タンパク質は、溶媒へのその曝露を最小限にする、コンパクトな球状又は繊維状の構造を形成しやすい。この傾向は、水素結合による二次構造をとる傾向があるポリペプチド骨格と、三次フォールディングを促進する側鎖相互作用の両方に固有である。したがって、ペプチドを使用して、抗体に「フレキシビリティー」を導入するこれまでの取り組みは、大部分は不十分であった。例えば、溶媒と相互作用しやすいアミノ酸(例えば、セリン)と、らせん構造を壊すアミノ酸(例えば、グリシン)との組み合わせを用いることがよくある。この手法は、融合タンパク質、例えば、単鎖抗体フラグメント(scFv)を作るのに有用であるが、得られた構造は、実際に、かなりコンパクトであり、伸張性の証拠がない(例えば、Robertら(2009)、Engineered antibody intervention strategies for Alzheimer’s disease and related dementias by targeting amyloid and toxic oligomers.Protein Eng.Des.Sel.22、199〜208を参照されたい)。更に、そのような配列は、内因性の免疫原性、及びタンパク質分解に対する感受性を理由に、さらなる問題を引き起こす可能性がある。
フレキシブルで伸張可能である、非タンパク質鎖を組み込んだ新規のタンパク質化合物、及びそのような化合物を生成するための方法の必要性が存在する。
本発明は、以下の構造を有する化合物
(式中、Aは、化合物の生物学的に活性な構造であり、
Zは、化合物のタンパク質成分であり、そのタンパク質成分は、1つ以上のポリペプチドを含み、1つ以上のポリペプチドの少なくとも1つは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン又はセレノシステインをN末端に有し、
Bは、AとZを連結させる化学構造であり、
BZ間の点線は、ペプチジル結合を表し、
AB間の実線は、非ペプチジル結合を表す)を提供する。
本発明はまた、以下の構造を有する化合物
[式中、Zは、化合物のタンパク質成分であり、そのタンパク質成分は、1つ以上のポリペプチドを含み、1つ以上のポリペプチドの少なくとも1つは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン又はセレノシステインをN末端に有し、
Bは、RaとCを連結させる化学構造であり、
BZ間の点線は、ペプチジル結合を表し、
Lは、−N3、アルキン、
基(ここで、R5は、アルキル基又はアリール基である)、
基、テトラジン、及びtrans−シクロオクテンからなる群から選択され、
Raは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である]を提供する。
本発明はまた、以下の構造を有する化合物
(式中、Aは、化合物の生物学的に活性な構造であり、
Zは、化合物のタンパク質成分であり、そのタンパク質成分は、1つ以上のポリペプチドを含み、1つ以上のポリペプチドの少なくとも1つは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン又はセレノシステインをN末端に有し、
Bは、AとZを連結させる化学構造であり、
BZ間の点線は、ペプチジル結合を表し、
AB間の実線は、非ペプチジル結合を表す)
を生成するための方法であって、
a)A又はAの誘導体と、第1の末端反応性基とを含むA’を得る工程と、
b)B又はBの誘導体と、第2の末端反応性基と、第3の末端反応性基とを含み、第2の末端反応性基が、第1の末端反応性基と反応して、非ペプチジル結合を形成することができるB’を得る工程と、
c)Z又はZの誘導体と、第4の末端反応性基とを含み、第4の末端反応性基が、第3の末端反応性基と反応して、ペプチジル結合を形成することができるZ’を得る工程と、
d)A’、B’及びZ’を任意の順序で反応させて、化合物を生成する工程
とを含む、方法を提供する。
図1は、TNR1B−インテイン融合タンパク質をシスチル−プロパルギルアミドで切断することによるアルキン修飾TNR1Bの調製を示す。インテイン副生成物は、キチンクロマトグラフィーにより除去される。アジド修飾TNR1B及びシクロアルキン修飾TNR1Bは、シスチル−3−アジドプロピルアミド、及びシステインの様々なシクロオクチン(たとえば、DIBAC)誘導体をそれぞれ用いて同様に調製される。
図2は、(1)システイン、(2)システイン+メルカプトエタンスルホネート(MESNA)、(3)シスチル−プロパルギルアミド、(4)シスチル−プロパルギルアミド+MESNA、及び(5)MESNAによるTNR1Bの切断を示す。すべての化合物を50mM濃度で用いた。
図3は、Fc6二量体及びアジド−DKTHT−チオエステルの連結(ペプチジル)によるアジド修飾Fc6の調製を示す(表1)。
図4は、Fc6二量体及びアジド−PEGn−DKTHT−チオエステルの連結(ペプチジル)によるアジド修飾Fc6の調製を示す(表1)。シクロアルキン修飾Fcは、DIBAC−PEG12−チオエステルを用いることにより同様に調製される。
図5は、(1)未修飾Fc6、(2)図3のAz−DKTHT−Fc6反応生成物、及び(3)図4のAz−PEG4−DKTHT−Fc6反応生成物のSDS−PAGE分析(還元条件)を示す。
図6は、アルキン修飾TNR1B及びAz−DKTHT−Fc6の連結(非ペプチジル)によるTNR1B−アルキン−アジド−Fc6の合成を示す。
図7は、アルキン修飾TNR1B及びアジド−PEGn−DKTHT−Fc6の連結(非ペプチジル)によるTNR1B−アルキン−アジド−PEGn−Fc6の合成を示す。この例では、n=4。
図8は、(1)アルキン修飾TNR1B単独、(2)触媒の非存在下のアルキン修飾TNR1B+Az−DKTHT−Fc6、(3)図6の生成物をもたらすアルキン修飾TNR1B+Az−DKTHT−Fc6+触媒、及び(4)図6の生成物の形成を増加させる透析されたアルキン修飾TNR1B+Az−DKTHT−Fc6+触媒、(5)触媒の非存在下のアルキン修飾TNR1B+Az−PEG4−DKTHT−Fc6、(6)図7の生成物をもたらすアルキン修飾TNR1B+Az−PEG4−DKTHT−Fc6+触媒、及び(7)図7の生成物の形成を増加させる透析されたアルキン修飾TNR1B+Az−PEG4−DKTHT−Fc6+触媒のSDS−PAGE分析(還元条件)を示す。矢印は、(a)Mr約75,000、(b)Mr約65,000、(c)Mr約43,000、及び(d)Mr約28,000に相当する。
図9は、(1)TNF1B−Fc融合タンパク質(エタネルセプト)単独、(2)図6の生成物をもたらすアルキン修飾TNR1B+Az−DKTHT−Fc6+触媒、(3)TNF1B−Fc融合タンパク質(エタネルセプト)、及び(4)図7の生成物をもたらすアルキン修飾TNR1B+Az−PEG4−DKTHT−Fc6のSDS−PAGE分析(還元条件)を示す。矢印は、(a)Mr約75,000、(b)Mr約65,000、(c)Mr約43,000、及び(d)Mr約28,000に相当する。
図10は、(1)未修飾Fc6+触媒、(2)アルキン修飾TNR1B+未修飾Fc6+触媒(3)Az−DKTHT−Fc6+触媒、(4)図6の生成物をもたらすアルキン修飾TNR1B+Az−DKTHT−Fc6+触媒、及び(5)アルキン修飾TNR1B単独のSDS−PAGE分析(還元条件)を示す。矢印は、(a)Mr約75,000、(b)Mr約65,000、(c)Mr約43,000、(d)Mr約28,000、及び(e)Mr約27,000に相当する。
図11は、LC/MSにより図10のTNR1B−アルキン−アジド−DKTHT−Fc6生成物(Mr約75,000)でトリプシンペプチド化(tryptic peptided)を示す。下線のあるペプチド配列は、親TNR1B(上部)及びFc6(下部)配列に由来し、LC/MSにより同定されたものである。
図12は、図9のTNR1B−アルキン−アジド−DKTHT−Fc6(左のパネル)及びTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−DKTHT−Fc6(右のパネル)反応生成物によるTNF− 結合のSPR分析を示す。キネティック結合データを表2にまとめて示す。
図13は、3工程プロセス、すなわち、1)Fab’2+Fc’フラグメントへのIdeS切断、2)Fc’フラグメントを除去するためのプロテインAクロマトグラフィー、及び3)2−メルカプトエチルアミン(MEA)を用いた、Fab’2フラグメントのFab’フラグメントへの穏やかな還元におけるアダリムマブFab’の調製を示す。
図14は、(1)アダリムマブ、(2)IdeS切断後のアダリムマブ、(3)プロテインA精製後のアダリムマブFab’2、(4)プロテインAによって精製されたFab’2のMEA処置後のアダリムマブFab’、(5)プロテインA精製後のアダリムマブFab’2、及び(6)プロテインAによって精製されたFab’2のMEA処置後のアダリムマブFab’のSDS−PAGE分析を示す。レーン1、2、5及び6におけるサンプルを、還元条件下で分析し;レーン3及び4におけるサンプルを、非還元条件下で分析した。矢印は、(a)重鎖、(b)重鎖Fc’フラグメント、(c)重鎖Fd’(可変領域−含有)フラグメント、及び(d)軽鎖に相当する。
図15は、アダリムマブFab’のDIBAC−PEGy−Lys(Mal)との反応によるシクロアルキン修飾Fab’の調製を示す。この例では、PEGy=PEG12。
図16は、シクロアルキン修飾アダリムマブFab’の合成及び精製のSDS−PAGE分析(非還元条件)を示す。上のパネルは、(1〜6)pH7.4及び(7〜12)pH7.0における反応を示す。Fab’割当量(ration)に対するDIBAC−PEGy−Lys(Mal)は、(1)0、(2)10:1、(3)5:1、(4)2.5:1、(5)1.2:1、(6)0.6:1、(7)0、(8)10、(9)5、(10)2.5、(11)1.2、及び(12)0.6:1であった。下のパネルは、(1)未反応のFab’、(2)から(12)シクロアルキン修飾Fab’のみを含有するプロテインLフロースルー画分を示す。
図17は、(1)Fc6、(2)Az−DKTHT−Fc6、(3)Az−PEG12−DKTHT−Fc6、(4)Az−PEG24−DKTHT−Fc6、及び(5)Az−PEG36−DKTHT−Fc6のSDS−PAGE分析(還元条件)を示す。
図18は、(a)Az−PEG36−DKTHT−Fc6、(b)Az−PEG24−DKTHT−Fc6、(c)Az−PEG12−DKTHT−Fc6、(d)Az−DKTHT−Fc6、及び(e)Fc6のサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
図19は、シクロアルキン修飾アダリムマブFab’及びアジド修飾Fc6の連結(非ペプチジル)によるFab’−PEGy−アルキン−アジド−PEGx−Fc6の合成を示す。
図20は、Fab’−PEGy−アルキン−アジド−PEGx−Fc6生成物シリーズを示す。
図21は、(1)アダリムマブ全抗体、(2)アダリムマブFab’、(3)Fab’−PEG12−アルキン、(4)Fab’−PEG12−アルキン+Az−DKTHT−Fc6、(5)Az−DKTHT−Fc6、(6)Fab’−PEG12−アルキン+Az−PEG12−DKTHT−Fc6、(7)Az−PEG12−DKTHT−Fc6、(8)Fab’−PEG12−アルキン+Az−PEG24−DKTHT−Fc6、(9)Az−PEG24−DKTHT−Fc6単独、(10)Fab’−PEG12−アルキン+Az−PEG36−DKTHT−Fc6、(11)Az−PEG36−DKTHT−Fc6、及び(12)Fc6のSDS−PAGE分析を示す。サンプルを、還元条件(上のパネル)及び非還元条件(下のパネル)下で操作した。上のパネルにおいて、矢印は、(a)Fab’−PEGy−アルキン−アジド−PEGx−Fc6重鎖を示す。下のパネルにおいて、矢印は、(a)両手のFab’−PEGy−アルキン−アジド−PEGx−Fc6分子、及び(b)片手のFab’−PEGy−アルキン−アジド−PEGx−Fc6分子を示す。
図22は、両手の反応生成物、すなわち、(a)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−PEG36−DKTHT−Fc6、(b)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−PEG24−DKTHT−Fc6、(c)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−PEG12−DKTHT−Fc6、(d)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−DKTHT−Fc6、及び(e)全アダリムマブのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を示す。
図23は、反応生成物によるWEHI細胞におけるTNF−α細胞毒性の抑制を示す。上のパネルは、(a)Fc6対照、(b)シクロアルキン修飾Fab’、(c)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−DKTHT−Fc6、及び(d)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−PEG12−DKTHT−Fc6を示す。下のパネルは、(a)Fc6対照、(b)シクロアルキン修飾Fab’、(c)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−PEG24−DKTHT−Fc6、及び(d)Fab’−PEG12−アルキン−アジド−PEG36−DKTHT−Fc6を示す。
図24は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたN3−Px−Fcタンパク質を示す:Fc6対照(レーンa)、N3−P0−Fc(レーンb)、N3−P12−Fc(レーンc)、N3−P24−Fc(レーンd)、N3−P36−Fc(レーンe)、及びN3−P48−Fc(レーンf)。
図25は、シクロオクチン修飾GLP−1類似体(GLP1−P7−DBCO)の構造及び合成を示す。
図26は、GLP1−P7−DBCOとN3−Px−Fcタンパク質との反応を示す。
図27は、GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図28は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたGLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンを示す:Fc6対照(レーンa)、GLP1−P4−DN−P0−Fc(レーンb)、GLP1−P4−DN−P12−Fc(レーンc)、GLP1−P4−DN−P24−Fc(レーンd)、GLP1−P4−DN−P36−Fc(レーンe)、及びGLP1−P4−DN−P48−Fc(レーンf)。
図29は、還元条件下のSDS−PAGEによる、GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン及びN3−Px−Fcタンパク質を直接比較する:Fc6対照(レーンa)、N3−P0−Fc(レーンb)、GLP1−P4−DN−P0−Fc(レーンc)、N3−P12−Fc(レーンd)、GLP1−P4−DN−P12−Fc(レーンe)、N3−P24−Fc(レーンf)、GLP1−P4−DN−P24−Fc(レーンg)、N3−P36−Fc(レーンh)、GLP1−P4−DN−P36−Fc(レーンi)、N3−P48−Fc(レーンj)、及びGLP1−P4−DN−P48−Fc(レーンk)。
図30は、GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン及びGLP−1による、GLP−1受容体発現細胞におけるcAMP合成の誘導を比較する。
図31は、DIBAC−PEG11−DIBACとN3−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図32は、シクロオクチン−Px−Fcタンパク質の構造を示す。
図33は、還元条件下のSDS−PAGEによるDIBAC−P11−DN−P0−Fc反応生成物を示す:Fc6対照(レーンb)、未精製の反応生成物(レーンc〜e)、精製されたN3−P0−Fcタンパク質(レーンf)、及び精製されたDIBAC−P11−DN−P0−Fcタンパク質(レーンg)。
図34は、アジド修飾DNAとシクロオクチン−Px−Fcタンパク質との反応を示す。
図35は、DNA−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図36は、還元条件下のSDS−PAGEによるDNA−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン反応生成物を示す。5AzD−let7dオリゴヌクレオチド濃度(mg/ml)は、以下の通りであった:マーカー(レーンa)、0(レーンb)、2.5(レーンc)、1.25(レーンd)、0.063(レーンe)、0.031(レーンf)、0.016(レーンg)、0.08(レーンh)。
図37は、トラスツズマブ変異体、cys1H−IgG1、及びアジド修飾トラスツズマブ重鎖(N3−Px−Hc)の構造及び合成を示す。
図38は、トラスツズマブ変異体、cys1H−IgG1、及びアジド修飾トラスツズマブ軽鎖(N3−Px−Lc)の構造及び合成を示す。
図39は、シクロオクチン修飾DM−1(DM1−P4−DBCO)の構造及び合成を示す。
図40は、シクロオクチン修飾DM−1とN3−Px−Hcタンパク質との間の反応を示す。
図41は、DM1−P4−トリアゾール−Px−Hcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図42は、シクロオクチン修飾DM−1とN3−Px−Lcタンパク質との間の反応を示す。
図43は、DM1−P4−トリアゾール−Px−Lcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図44は、テトラジン−DBCOとN3−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図45は、テトラジン修飾Fcタンパク質(Tet−Px−Fc)の構造を示す。
図46は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたTet−Px−Fcタンパク質を示す:Fc6対照(レーンa)、Tet−P0−Fc(レーンb)、Tet−P12−Fc(レーンc)、Tet−P24−Fc(レーンd)、Tet−P36−Fc(レーンe)、及びTet−P48−Fc(レーンf)。
図47は、TCO−PEG12−DBCOとN3−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図48は、trans−シクロオクテン修飾Fcタンパク質(Tco−Px−Fc)の構造を示す。
図49は、還元条件下のSDS−PAGEによるTco−P12−Px−Fcタンパク質を示す。Tco−P12−DMCOリンカー濃度(mg/ml)は、以下の通りであった:32(レーンa)、16(レーンb)、8(レーンc)、4(レーンd)、2(レーンe)、1(レーンf)、0.5(レーンg)、0.25(レーンh)、0.125(レーンi)、及び0(レーンj)。
図50は、還元条件下のSDS−PAGEによる、NH2−PEG23−N3とDBCO−TT−P12−P36−Fcタンパク質との反応生成物を示す。NH2−PEG23−N3リンカー濃度(mg/ml)は、以下の通りであった:0.12(レーンa)、0.06(レーンb)、0.03(レーンc)、0.015(レーンd)、0.0075(レーンe)、0.0038(レーンf)、0.002(レーンg)、0.001(レーンh)、0(レーンi)。
図51は、trans−シクロオクテン修飾GLP−1類似体(GLP1−P6−Tco)の構造及び合成を示す。
図52は、GLP1−P6−TcoペプチドとTet−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図53は、GLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図54は、テトラジン修飾GLP−1類似体(GLP1−P6−Tet)の構造及び合成を示す。
図55は、GLP1−P6−TetペプチドとTco−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図56は、GLP1−P6−TT−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図57は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたGLP1−ジドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンを示す:Fc6対照(レーンa)、GLP1−P6−TT−P0−Fc(レーンb)、GLP1−P6−TT−P12−Fc(レーンc)、GLP1−P6−TT−P24−Fc(レーンd)、GLP1−P6−TT−P36−Fc(レーンe)、及びGLP1−P6−TT−P048−Fc(レーンf)。
図58は、還元条件下のSDS−PAGEによる、N3−Px−Fc(I)タンパク質、Tet−Px−Fc(II)タンパク質、及びGLP1−ジヒドロピリジジン−Fc(III)ハイブリッド免疫グロブリンを直接比較する:Fc6対照(レーンa)、N3−P0−Fc(レーンb)、Tet−P0−Fc(レーンc)、GLP1−P6−TT−P0−Fc(レーンd)、N3−P12−Fc(レーンe)、Tet−P12−Fc(レーンf)、GLP1−P6−TT−P12−Fc(レーンg)、N3−P24−Fc(レーンh)、Tet−P24−Fc(レーンi)、GLP1−P6−TT−P24−Fc(レーンj)、N3−P36−Fc(レーンk)、Tet−P36−Fc(レーンl)、GLP1−P6−TT−P36−Fc(レーンm)、N3−P48−Fc(レーンn)、Tet−P48−Fc(レーンo)、GLP1−P6−TT−P48−Fc(レーンp)。
図59は、GLP1−P7−DBCOとN3−P36−Fcとの反応の時間的経過、及びGLP1−P6−TcoとTet−P36−Fcとの反応の時間的経過を示す。
図60は、GLP1−ジドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン及びGLP−1による、GLP−1受容体発現細胞におけるcAMP合成の誘導を比較する。
図61は、trans−シクロオクテン修飾アダリムマブFab(Fab−P3−Tco)の構造及び合成を示す。
図62は、Fab−P3−Tcoタンパク質とTet−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図63は、Fab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
図64は、還元条件下のSDS−PAGEによる、Fab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンを示す:マーカー(レーンa)、アダリムマブ(レーンb)、Fab−P3−TT−P0−Fc(レーンc)、Fab−P3−TT−P12−Fc(レーンd)、Fab−P3−TT−P24−Fc(レーンe)、Fab−P3−TT−P36−Fc(レーンf)、Fab−P3−TT−P48−Fc(レーンg)、Fab−P3−Tco(レーンh)、Tet−P0−Fc(レーンi)、Tet−P12−Fc(レーンj)、Tet−P24−Fc(レーンk)、Tet−P36−Fc(レーンl)、Tet−P48−Fc(レーンm)。
図65は、アジド修飾及びtrans−シクロオクテン修飾オランザピン(Ola−P12−Tco)の構造及び合成を示す。
図66は、Ola−P12−TcoとTet−Px−Fcタンパク質との間の反応を示す。
図67は、オランザピン−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンの構造を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、以下の構造を有する化合物
(式中、Aは、化合物の生物学的に活性な構造であり、
Zは、化合物のタンパク質成分であり、そのタンパク質成分は、1つ以上のポリペプチドを含み、1つ以上のポリペプチドの少なくとも1つは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン又はセレノシステインをN末端に有し、
Bは、AとZを連結させる化学構造であり、
BZ間の点線は、ペプチジル結合を表し、
AB間の実線は、非ペプチジル結合を表す)を提供する。
いくつかの態様において、システイン又はセレノシステインは、一連の連続アミノ酸に天然に存在する。いくつかの態様において、システイン及びセレノシステインは、一連の連続アミノ酸に天然に存在しない。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、システイン、セレノシステイン、CP、CPXCP(ここで、X=P、R又はS)、CDKTHTCPPCP、CVECPPCP、CCVECPPCP、及びCDTPPPCPRCPからなる群から選択される配列をN末端に有する。
いくつかの態様において、抗体のFcドメインは、天然に存在する、抗体のFcドメインである。
いくつかの態様において、抗体のFcドメインは、抗体の変異型Fcドメインである。
いくつかの態様において、抗体の変異型Fcドメインは、抗体の変異したFcドメインである。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、置換変異体である。
いくつかの態様において、置換変異体は、N末端、C末端、又はN末端若しくはC末端以外のFcドメインのある位置にアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、置換変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、置換は、保存的アミノ酸置換である。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、アミノ酸付加変異体である。
いくつかの態様において、アミノ酸付加変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個の付加アミノ酸を有する。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、アミノ酸欠失変異体である。
いくつかの態様において、アミノ酸欠失変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個の欠失アミノ酸を有する。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、抗体のFcドメイン鎖に存在する、ある一連の少なくとも0、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180又は190個の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、Fcドメインのヒンジ領域、CH2領域若しくはCH3領域、又はその一部における、一連のアミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、
は、
(ここで、R5は、アルキル基又はアリール基である)
であり、
R1は、H、又は、環状構造である付加的構造の一部であり、ここで、付加的環状構造は、R1又はR1の一部を含み、R2又はR2の一部、及びR2とアルケン二重結合との間の炭素も含んでいてもよく、
ただし、
が、
である場合、R3は、Hであり、
が、
である場合、
は、
を含むトリアゾール環であり、
が、
である場合、
は、
を含むN−アルキル又はアリール置換イソキサゾリン環であり、
R2は、A又はBの一方と接続する有機構造を表し、R4は、A又はBのもう一方と接続する有機構造を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、R1は、H、又は、環状構造である付加的構造の一部であり、ここで、付加的環状構造は、R1又はR1の一部を含み、R2又はR2の一部、及びR2とアルケン二重結合との間の炭素も含んでいてもよい。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、R1は、H、又は、環状構造である付加的構造の一部であり、ここで、付加的環状構造は、R1又はR1の一部を含み、R2又はR2の一部、及びR2とアルケン二重結合との間の炭素も含んでいてもよい。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、R1は、環状構造である付加的構造の一部であり、ここで、付加的環状構造は、R1又はR1の一部を含み、R2又はR2の一部、及びR2とアルケン二重結合との間の炭素も含んでいてもよい。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、R1は、環状構造である付加的構造の一部であり、ここで、付加的環状構造は、R1又はR1の一部を含み、R2又はR2の一部、及びR2とアルケン二重結合との間の炭素も含んでいてもよい。
いくつかの態様において、R1及びR2は、少なくとも1つの直接結合によって連結して、
i)R1の一部と、
ii)R2の一部と、
iii)R2とアルケン二重結合との間の炭素と、
iv)アルケン二重結合と
を含む環状構造を形成する。
いくつかの態様において、R1は、任意の位置で任意に置換されていてもよい、
からなる群から選択される。
いくつかの態様において、R1は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R1は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R1は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R2とアルケン二重結合との間の炭素は、
i)単結合でR2に直接結合し、水素、ハロゲン、任意に置換されていてもよいベンジル、任意に置換されていてもよいアルキル、若しくは任意に置換されていてもよいアルコキシからなる群から独立に選択される2つの置換基で置換されている、又は
ii)二重結合及び単結合によってR2に直接結合している。
いくつかの態様において、R2とアルケン二重結合との間の炭素は、2つの水素で置換されており、単結合でR2に直接結合している。
いくつかの態様において、R2とアルケン二重結合との間の炭素は、二重結合及び単結合によってR2に直接結合している。
いくつかの態様において、R2とアルケン二重結合との間の炭素は、二重結合及び単結合によってR2に直接結合して、任意の位置で任意に置換されていてもよいフェニル環を形成する。
いくつかの態様において、R2は、
であり、R2は、JによってA又はBに結合しており、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、R2は、
であり、R2は、JによってA又はBに結合し、R2の窒素原子によってR1に結合しており、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい、
であり、R2の窒素原子又は炭素原子によってR1に結合しており、
R2は、JによってA又はBに結合しており、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、R2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、1つにまとまったR1及びR2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい、
であり、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、1つにまとまったR1及びR2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、1つにまとまったR1及びR2は、任意の位置で任意に置換されていてもよい
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
Jは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、任意の位置で任意に置換されていてもよい以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、R1は、Hである。
いくつかの態様において、Jは、[PEG(y)]z基を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、又は多糖基を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、C1〜C4アルキル基を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、スクシンイミドを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、アミンを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、又はアジポイルを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、マロニルを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、アミノ酸を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、システインを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、リシンを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される3個種の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される4個の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される5個の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、リシンに結合している[PEG(y)]z基を含む。
いくつかの態様において、Jは、スクシンイミド基に結合しているC1〜C4アシル基を含む。
いくつかの態様において、Jは、C1〜C4アシルに結合しているリシンを含む。
いくつかの態様において、Jは、グルタリルに結合している[PEG(y)]z基を含む。
いくつかの態様において、Jは、[PEG(y)]z、C2〜C5アシル、スクシニル、マロニル、グルタリル、アミノ酸、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される5個の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Jは、結合である。
いくつかの態様において、Jは、システインである。
いくつかの態様において、Jは、以下の構造
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
を有する。
いくつかの態様において、Jは、直鎖状構造を有する。
いくつかの態様において、Jは、分枝構造を有する。
いくつかの態様において、R2は、
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
である。
いくつかの態様において、R2は、
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
である。
いくつかの態様において、R2は、
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
である。
いくつかの態様において、1つにまとまったR1及びR2は、
又は
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
である。
いくつかの態様において、1つにまとまったR1及びR2は、
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
である。
いくつかの態様において、1つにまとまったR1及びR2は、
(ここで、nは、1〜3であり、mは、1〜4であり、yは、1〜100であり、zは、1〜10である)
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
[PEG(y)]zが、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
であり、
[PEG(x)]wは、x=1〜100及びw=1〜10の
である。
いくつかの態様において、yは、1〜20である。いくつかの態様において、yは、21〜40である。いくつかの態様において、yは、41〜60である。いくつかの態様において、yは、61〜80である。いくつかの態様において、yは、30〜50である。いくつかの態様において、yは、12、24、36又は48である。いくつかの態様において、zは、1である。いくつかの態様において、zは、0である。
いくつかの態様において、[PEG(y)]z基の末端カルボニルは、アミド結合の一部である。
いくつかの態様において、[PEG(y)]z基の末端アミンは、アミド結合の一部である。
いくつかの態様において、R4は、x=1〜100及びw=0〜5の
である。
いくつかの態様において、xは、1〜20である。いくつかの態様において、xは、21〜40である。いくつかの態様において、xは、41〜60である。いくつかの態様において、xは、61〜80である。いくつかの態様において、xは、30〜50である。いくつかの態様において、xは、12、24、36又は48である。
いくつかの態様において、wは、1である。いくつかの態様において、wは、0である。
いくつかの態様において、R4は、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、R2は、JによってAに結合し、R4は、Bに結合している。
いくつかの態様において、R2は、JによってBに結合し、R4は、Aに結合している。
いくつかの態様において、R4は、末端カルボニルの炭素によってBに結合している。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
(ここで、p=0〜5、0〜10、0〜50、又は0〜100)
を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、R2は、炭素−窒素結合又は炭素−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、R2は、炭素−窒素結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、炭素−窒素結合は、アミド結合である。
いくつかの態様において、R2は、生物学的に不安定な(biologically labile)結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、R2は、AのC末端アミノ酸とBにおけるアミノ基とのアミド結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、末端アミノ酸は、システインである。
いくつかの態様において、R2は、炭素−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、R2は、R2と遊離チオールとの間で形成される炭素−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、R2は、スクシンイミド−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、Jは、分枝残基を含む。
いくつかの態様において、Jは、前記分枝残基によって2つ以上のAに結合している。
いくつかの態様において、Bは、分枝残基を含む。
いくつかの態様において、Bは、それぞれ分枝残基による非ペプチジル結合によって2つ以上のAに連結している。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、Xaは、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造であり、
Raは、A又はBの一方と接続する有機構造を表し、Rbは、A又はBのもう一方と接続する有機構造を表す。
いくつかの態様において、Xaは、以下の構造
(ここで、Rcは、H、アルキル若しくはアリールである)
又はその互変異性体を有する。
いくつかの態様において、Xaは、以下の構造
(ここで、Rcは、H、アルキル若しくはアリールである)
又はその互変異性体を有する。
いくつかの態様において、Raは、シクロオクタンに接続し、Rbは、ジヒドロピリダジンに接続している。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
(ここで、Rcは、H、アルキル又はアリールである)
又はその互変異性体を含む非ペプチジル結合を表す。
いくつかの態様において、Xaは、以下の構造
(ここで、Rcは、H、アルキル若しくはアリールである)
又はその互変異性体を有する。
いくつかの態様において、Rcは、メチルである。
いくつかの態様において、Ra及びRbは独立に、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、Ra及びRbは独立に、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、C2〜C5アシル、スクシニル、マロニル、グルタリル、アミノ酸、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、炭素−窒素結合又は炭素−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、炭素−窒素結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、炭素−窒素結合は、アミド結合である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、生物学的に不安定な結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、AのC末端アミノ酸とBにおけるアミノ基との間のアミド結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、末端アミノ酸は、システインである。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、炭素−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、R2と遊離チオールとの間で形成される炭素−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、スクシンイミド−硫黄結合によってAに結合している。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、分枝残基を含む。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、分枝残基によって2つ以上のAに結合している。
いくつかの態様において、Aの生物学的活性は、Aが本発明の化合物又はダイマーの一部である場合、Aが任意の他の構造に連結していない場合のAの生物学的活性と比較して増大する。
いくつかの態様において、Aは、ある疾患を患う対象の治療に承認された薬である化合物の構造を含む。
いくつかの態様において、対象は、哺乳類対象である。
いくつかの態様において、哺乳類対象は、ヒト対象である。
いくつかの態様において、Aは、1000ダルトン未満の分子量を有する有機化合物の構造、DNAアプタマー、RNAアプタマー、オリゴヌクレオチド、又は生物学的に活性であるタンパク質を含む。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉誘導分子である。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉誘導分子をコードする。
いくつかの態様において、Aは、第1級又は第2級アミンを含む。
いくつかの態様において、Aは、第1級又は第2級アミンによってBに連結している。
いくつかの態様において、Aは、第1級アミンを含む。
いくつかの態様において、Aは、アリピプラゾール又はオセルタミビルを含む。
いくつかの態様において、Aは、第2級アミンを含む。
いくつかの態様において、Aは、呼吸器薬、抗喘息薬、鎮痛薬、抗うつ薬、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗高血圧症薬、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン薬、抗感染症薬、抗生物質、抗炎症薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、解熱薬、抗潰瘍薬、注意欠陥多動性障害(ADHD)薬、中枢神経興奮薬、充血除去薬、若しくは精神刺激薬である。
いくつかの態様において、Aは、アルプレノロール、アセブトロール、アミデフリン、アミネプチン、アモスラロール、アモキサピン、アンフェタミニル、アテノロール、アトモキセチン、バロフロキサシン、バメタン、ベフノロール、ベナゼプリル、ベンフルオレクス、ベンゾクタミン、ベタヒスチン、ベタキソロール、ベバントロール、ビフェメラン、ビソプロロール、ブリンゾラミド、ブフェニオド(bufeniode)、ブテタミン、カミロフィン、カラゾロール、カルチカイン、カルベジロール、セファエリン、シプロフロキサシン、クロザピン、クロベンゾレクス、クロルプレナリン、シクロペンタミン、デラプリル、デメキシプチリン、デノパミン、デシプラミン、デスロラタジン、ジクロフェナク、ジメトフリン、ジオキサドロール、ドブタミン、ドペキサミン、ドリペネム、ドルゾラミド、ドロプレニルアミン、デュロキセチン、エルトプラジン、エナラプリル、エノキサシン、エピネフリン、エルタペネム、エサプラゾール、エスモロール、エトキサドロール、ファスジル、フェンジリン、フェネチリン、フェンフルラミン、フェノルドパム、フェノテロール、フェンプロポレクス、フレカイニド、フルオキセチン、フォルモテロール、フロバトリプタン、ガボキサドール、ガレノキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、ヘキソプレナリン、イミダプリル、インダルピン、インデカイニド、塩酸インデロキサジン、イソクスプリン、イスプロニクリン、ラベタロール、ランジオロール、ラパチニブ、レボファセトペラン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロトラフィバン、マプロチリン、メカミラミン、メフロキン、メピンドロール、メロペネム、メタプラミン、メタプロテレノール、メトキシフェナミン、右旋性メチルフェニデート、メチルフェニデート、メチプラノロール、メトプロロール、ミトキサントロン、ミバゼロール、モエキシプリル、モプロロール、モキシフロキサシン、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ニリドリン、オランザピン、オキサムニキン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、パロキセチン、ペルヘキシリン、フェンメトラジン、フェニレフリン、フェニルプロピルメチラミン、フォレドリン、ピシロレクス、ピメチリン(pimethylline)、ピンドロール、ピペミド酸、ピリドカイン、プラクトロール、プラドフロキサシン、プラミペキソール、プラミベリン、プレナルテロール、プレニラミン、プリロカイン、プロカテロール、プロネタロール、プロパフェノン、プロプラノロール、プロピルヘキセドリン、プロトキロール、プロトリプチリン、プソイドエフェドリン、レボキセチン、ラサギリン、(r)−ラサギリン、レピノタン、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サフィナミド、サルブタモール/アルブテロール、サルメテロール、サリゾタン、セルトラリン、シロドシン、ソタロール、ソテレノール、スパルフロキサシン、スピラプリル、スルフィナロール、シネフリン、タムスロシン、テバニクリン(tebanicline)、チアネプチン、チロフィバン、トレトキノール、トリメタジジン、トロキシピド、バレニクリン、ビルダグリプチン、ビロキサジン、ビキジル、若しくはキサモテロールである。
いくつかの態様において、Aは、生物学的に活性であるタンパク質を含む。
いくつかの態様において、Aは、分泌タンパク質を含む。
いくつかの態様において、Aは、タンパク質の細胞外ドメインを含む。
いくつかの態様において、Aは、標的結合活性を有する程度に生物学的に活性である。
いくつかの態様において、Aは、独立にフォールディングするタンパク質又はその一部である。
いくつかの態様において、Aは、グリコシル化タンパク質である。
いくつかの態様において、Aは、鎖内ジスルフィド結合を含む。
いくつかの態様において、Aは、サイトカインに結合している。
いくつかの態様において、サイトカインは、TNFαである。
いくつかの態様において、Aは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、エンドセリン、胃抑制ペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)、GLP−1若しくはGLP−2の類似体、グルカゴン血管作動性腸管ペプチド(GVIP)、グレリン、ペプチドYY若しくはセクレチン、又はそれらの一部分を含む。
いくつかの態様において、Aは、HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGRGという配列における、ある一連の連続アミノ酸を含む。
いくつかの態様において、Aは、少なくとも1つの一連の連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、抗体のFab又はFab’の重鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Aは、少なくとも1つの一連の連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、抗体のFab又はFab’の軽鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Aは、抗体の少なくとも1つのFab若しくはFab’又は少なくとも1つのFab若しくはFab’の一部分を含む。
いくつかの態様において、Aは、Fab若しくはFab’又はその一部分の少なくとも2、3、4、5,6、7、8、9、又は10個のコピーを含む。
いくつかの態様において、Aは、抗体のFab−1若しくはFab’1又はその一部分を含む。
いくつかの態様において、Aは、抗体のFab−2若しくはFab’2又はその一部分を含む。
いくつかの態様において、Aは、抗体の2つのFab又はFab’の手を含む。
いくつかの態様において、Fab及びFab’は、アダリムマブに存在する。
いくつかの態様において、Aは、少なくとも1つの一連の連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、単鎖抗体に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Aは、少なくとも1つの一連の連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸一連、TNFα受容体に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、TNFα受容体は、TNR1Bである。
いくつかの態様において、本発明の化合物は、ホモダイマーの一部を形成する。
いくつかの態様において、本発明の化合物は、ヘテロダイマーの一部を形成する。
本発明は、本発明の化合物を含むホモダイマーを提供する。
本発明は、本発明の化合物を含むヘテロダイマーを提供する。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合することができる。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、各化合物のZ間の少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合することができる。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合する。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、各化合物のZ間の少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合する。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、他方に非共有結合する。
本発明は、以下の構造を有する化合物
[式中、Zは、化合物のタンパク質成分であり、そのタンパク質成分は、1つ以上のポリペプチドを含み、1つ以上のポリペプチドの少なくとも1つは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン又はセレノシステインをN末端に有し、
Bは、RaとCを連結させる化学構造であり、
BZ間の点線は、ペプチジル結合を表し、
Lは、−N3、アルキン、
基(ここで、R5は、アルキル基又はアリール基である)、
基、テトラジン、及びtrans−シクロオクテンからなる群から選択され、
Raは、結合であるか、各部分が[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から独立に選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個若しくはそれ以上の部分の鎖を含む、又はからなる有機構造であり、
[PEG(y)]zは、y=1〜100及びz=1〜10の
である]を提供する。
いくつかの態様において、システイン又はセレノシステインは、一連の連続アミノ酸に天然に存在する。いくつかの態様において、システイン及びセレノシステインは、一連の連続アミノ酸に天然に存在しない。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、システイン、セレノシステイン、CP、CPXCP(ここで、X=P、R又はS)、CDKTHTCPPCP、CVECPPCP、CCVECPPCP、及びCDTPPPCPRCPからなる群から選択される配列をN末端に有する。
いくつかの態様において、抗体のFcドメインは、天然に存在する、抗体のFcドメインである。
いくつかの態様において、抗体のFcドメインは、抗体の変異型Fcドメインである。
いくつかの態様において、抗体の変異型Fcドメインは、抗体の変異したFcドメインである。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、置換変異体である。
いくつかの態様において、置換変異体は、N末端、C末端、又はN末端若しくはC末端以外のFcドメインのある位置にアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、置換変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、置換は、保存的アミノ酸置換である。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、アミノ酸付加変異体である。
いくつかの態様において、アミノ酸付加変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個の付加アミノ酸を有する。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、アミノ酸欠失変異体である。
いくつかの態様において、アミノ酸欠失変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個の欠失アミノ酸を有する。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、抗体のFcドメイン鎖に存在する、ある一連の少なくとも0、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180又は190個の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、Fcドメインのヒンジ領域、CH2領域若しくはCH3領域、又はその一部における、一連のアミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Lは、−N3である。
いくつかの態様において、Lは、
である。
いくつかの態様において、Lは、アルキンである。
いくつかの態様において、アルキンは、プロパルギル基である。
いくつかの態様において、アルキンは、シクロオクチン基である。
いくつかの態様において、アルキンは、以下の構造
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
を有する。
いくつかの態様において、アルキンは、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、Lは、テトラジンである。
いくつかの態様において、テトラジンは、以下の構造
(ここで、Rcは、H、アルキル又はアリールである)
を有する。
いくつかの態様において、テトラジンは、以下の構造
(ここで、Rcは、H、アルキル又はアリールである)
を有する。
いくつかの態様において、テトラジンは、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、テトラジンは、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、Lは、trans−シクロオクテンである。
いくつかの態様において、trans−シクロオクテンは、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、trans−シクロオクテンは、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、[PEG(y)]z基を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、又は多糖基を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、C1〜C4アルキル基を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、スクシンイミドを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、アミンを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイルを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、マロニルを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、アミノ酸を含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、システインを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、リシンを含む有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される3個の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される4個の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、[PEG(y)]z、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、多糖、分枝残基、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルカン、C2〜C10アルケン、C5〜C10シクロアルケン、アミン、硫黄、酸素、スクシンイミド、マレイミド、グリセロール、トリアゾール、イソオキサゾリジン、C2〜C5アシル、C2〜C5アシルアミノ、C2〜C5アシルオキシ、スクシニル、マロニル、グルタリル、フタリル、アジポイル、アミノ酸、アリール基、ヘテロアリール基、カルバメート、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
からなる群から選択される5個の部分の鎖からなる有機構造である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、リシンに結合している[PEG(y)]z基を含む。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、スクシンイミド基に結合しているC1〜C4アシル基を含む。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、C1〜C4アシルに結合しているリシンを含む。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、グルタリルに結合している[PEG(y)]z基を含む。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、[PEG(y)]z、C2〜C5アシル、スクシニル、マロニル、グルタリル、アミノ酸、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造、トリアゾールに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、イソオキサゾリジンに縮合したシクロオクテンを含む化学構造、ジベンゾシクロオクテン、ジベンゾアザシクロオクテン、
(ここで、X1は、CH若しくはNであり、X2は、CH2若しくはカルボニル基であり、R5は、アリール基若しくはアルキル基である)
からなる群から選択される3個、4個若しくは5個の部分の鎖からなる有機構造であり、
[PEG(y)]zが、y=1〜100及びz=1〜10の
である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、結合である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、システインである。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、直鎖状構造を有する。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、分枝構造を有する。
いくつかの態様において、yは、1〜20である。いくつかの態様において、yは、21〜40である。いくつかの態様において、yは、41〜60である。いくつかの態様において、yは、61〜80である。いくつかの態様において、yは、30〜50である。いくつかの態様において、yは、12、24、36又は48である。
いくつかの態様において、zは、1である。
いくつかの態様において、[PEG(y)]z基の末端カルボニルは、アミド結合の一部である。
いくつかの態様において、[PEG(y)]z基の末端アミンは、アミド結合の一部である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、xが1〜100であり、wが0〜5である
である。
いくつかの態様において、xは、1〜20である。いくつかの態様において、xは、21〜40である。いくつかの態様において、xは、41〜60である。いくつかの態様において、xは、61〜80である。いくつかの態様において、xは、30〜50である。いくつかの態様において、xは、12、24、36又は48である。
いくつかの態様において、wは、1である。いくつかの態様において、wは、0である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、
(ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50である)
である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、
(ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50である)
である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、
(ここで、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50である)
である。
いくつかの態様において、Ra又はRbは、
(ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50である)
である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50であり、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、1〜30、1〜40、又は1〜50である。
本発明は、以下の構造を有する化合物
(式中、Aは、化合物の生物学的に活性な構造であり、
Zは、化合物のタンパク質成分であり、そのタンパク質成分は、1つ以上のポリペプチドを含み、1つ以上のポリペプチドの少なくとも1つは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸は、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン又はセレノシステインをN末端に有し、
Bは、AとZを連結させる化学構造であり、
BZ間の点線は、ペプチジル結合を表し、
AB間の実線は、非ペプチジル結合を表す)
を生成するための方法であって、
a)A又はAの誘導体と、第1の末端反応性基とを含むA’を得る工程と、
b)B又はBの誘導体と、第2の末端反応性基と、第3の末端反応性基とを含み、第2の末端反応性基が、第1の末端反応性基と反応して、非ペプチジル結合を形成することができるB’を得る工程と、
c)Z又はZの誘導体と、第4の末端反応性基とを含み、第4の末端反応性基が、第3の末端反応性基と反応して、ペプチジル結合を形成することができるZ’を得る工程と、
d)A’、B’及びZ’を任意の順序で反応させて、化合物を生成する工程
とを含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、システイン又はセレノシステインは、一連の連続アミノ酸に天然に存在する。いくつかの態様において、システイン及びセレノシステインは、一連の連続アミノ酸に天然に存在しない。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、システイン、セレノシステイン、CP、CPXCP(ここで、X=P、R又はS)、CDKTHTCPPCP、CVECPPCP、CCVECPPCP、及びCDTPPPCPRCPからなる群から選択される配列をN末端に有する。
いくつかの態様において、抗体のFcドメインは、天然に存在する、抗体のFcドメインである。
いくつかの態様において、抗体のFcドメインは、抗体の変異型Fcドメインである。
いくつかの態様において、抗体の変異型Fcドメインは、抗体の変異したFcドメインである。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、置換変異体である。
いくつかの態様において、置換変異体は、N末端、C末端、又はN末端若しくはC末端以外のFcドメインのある位置にアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、置換変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、置換は、保存的アミノ酸置換である。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、アミノ酸付加変異体である。
いくつかの態様において、アミノ酸付加変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個の付加アミノ酸を有する。
いくつかの態様において、変異したFcドメインは、アミノ酸欠失変異体である。
いくつかの態様において、アミノ酸欠失変異体は、その一連の連続アミノ酸中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜15、15〜20、10〜20、又は20〜50個の欠失アミノ酸を有する。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、抗体のFcドメイン鎖に存在する、ある一連の少なくとも0、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180又は190個の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、連続アミノ酸は、Fcドメインのヒンジ領域、CH2領域若しくはCH3領域、又はその一部における、一連のアミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、
は、
(ここで、R5は、アルキル基又はアリール基である)
であり、
R1は、H、又は、環状構造である付加的構造の一部であり、ここで、付加的環状構造は、R1又はR1の一部を含み、R2又はR2の一部、及びR2とアルケン二重結合との間の炭素も含んでいてもよく、
ただし、
が、
である場合、R3は、Hであり、
が、
である場合、
は、
を含むトリアゾール環であり、
が、
である場合、
は、
を含むN−アルキル又はアリール置換イソキサゾリン環であり、
R2は、A又はBの一方と接続する有機構造を表し、R4は、A又はBのもう一方と接続する有機構造を表し、
それは、
a)A又はAの誘導体と、第1の末端反応性基とを含むA’を得る工程と、
b)B又はBの誘導体と、第2の末端反応性基と、第3の末端反応性基とを含み、第2の末端反応性基が、第1の末端反応性基と反応して、非ペプチジル結合を形成することができるB’を得る工程と、
c)C又はCの誘導体と、第4の末端反応性基とを含み、第4の末端反応性基が、第3の末端反応性基と反応して、ペプチジル結合を形成することができるC’を得る工程と、
d)A’、B’及びC’を任意の順序で反応させて、化合物を生成する工程
とを含む。
いくつかの態様において、工程d)を、まず、A’とB’とを反応させることにより行って、
(ここで、B’’は、Bと、第3の末端反応性基を含み、B’’A間の実線は、非ペプチジル結合を表す)を生成し、次いで、
をC’と反応させて、化合物を得る。
いくつかの態様において、工程d)を、まず、C’とB’とを反応させることにより行って、
(ここで、B’’は、Bと、第2の末端反応性基を含み、B’’C間の点線は、ペプチジル結合を表す)を生成し、次いで、
をA’と反応させて、化合物を得る。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジド、チオール、ニトロン、又はアルキンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アルキンである。
いくつかの態様において、アルキンは、シクロアルキンである。
いくつかの態様において、アルキンは、8員環である。
いくつかの態様において、アルキンは、アザシクロオクチンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、ビアリールアザシクロオクチンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、シクロオクチンである。
いくつかの態様において、アルキンは、末端アルキンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジド、チオール、又はニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジドである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、チオールである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、ニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、N−アルキルニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、N−アリールニトロンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、アジド、チオール、ニトロン、又はアルキンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、アルキンである。
いくつかの態様において、アルキンは、シクロアルキンである。
いくつかの態様において、アルキンは、8員環である。
いくつかの態様において、アルキンは、アザシクロオクチンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、ビアリールアザシクロオクチンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、シクロオクチンである。
いくつかの態様において、アルキンは、末端アルキンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、アジド、チオール、又はニトロンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、アジドである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、チオールである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、ニトロンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、N−アルキルニトロンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、N−アリールニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、末端アルキンであり、第2の末端反応性基は、アジド、チオール、又はニトロンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、アジドである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、チオールである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、ニトロンである。
いくつかの態様において、ニトロンは、N−アルキル又はN−アリールニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジド、チオール、又はニトロンであり、第2の末端反応性基は、末端アルキンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジドである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、チオールである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、ニトロンである。
いくつかの態様において、ニトロンは、N−アルキル又はN−アリールニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、シクロアルキンであり、第2の末端反応性基は、アジド、チオール、又はニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジドである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、チオールである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、ニトロンである。
いくつかの態様において、ニトロンは、N−アルキル又はN−アリールニトロンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジド、チオール、又はニトロンであり、第2の末端反応性基は、シクロアルキンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジドである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、チオールである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、ニトロンである。
いくつかの態様において、ニトロンは、N−アルキル又はN−アリールニトロンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、8員環である。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、アザシクロオクチンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、ビアリールアザシクロオクチンである。
いくつかの態様において、シクロアルキンは、シクロオクチンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、アジドであり、第2の末端反応性基は、末端アルキンである、又は、第1の末端反応性基は、アジドであり、第2の末端反応性基は、シクロアルキンである、又は、第1の末端反応性基は、チオールであり、第2の末端反応性基は、シクロアルキンである、又は、第1の末端反応性基は、N−アルキルニトロン若しくはN−アリールニトロンであり、第2の末端反応性基は、シクロオクチンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、アジドであり、第1の末端反応性基は、末端アルキンである、又は、第2の末端反応性基は、アジドであり、第1の末端反応性基は、シクロアルキンである、又は、第2の末端反応性基は、チオールであり、第1の末端反応性基は、シクロアルキンである、又は、第2の末端反応性基は、N−アルキルニトロン若しくはN−アリールニトロンであり、第1の末端反応性基は、シクロオクチンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基及び第2の末端反応性基は反応して、トリアゾール、チオレン、N−アルキルイソキサゾリン、又はN−アリールイソキサゾリンを生成する。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基及び第2の末端反応性基は反応して、トリアゾールを生成する。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基及び第2の末端反応性基は反応して、チオレンを生成する。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基及び第2の末端反応性基は反応して、N−アルキルイソキサゾリン、又はN−アリールイソキサゾリンを生成する。
いくつかの態様において、第1の反応性基を第2の反応性基と反応させることは、3、6、12、18、24、30、36、42、48又は72時間未満で、少なくとも80%、85%又は90%という反応の収率をもたらす。
いくつかの態様において、AB間の実線は、以下の構造
を含む非ペプチジル結合を表し、
ここで、Xaは、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造であり、
Raは、A又はBの一方と接続する有機構造を表し、Rbは、A又はBのもう一方と接続する有機構造を表す。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、trans−シクロオクテン、又はテトラジンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、trans−シクロオクテンである。
いくつかの態様において、アルキンは、テトラジンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、trans−シクロオクテン、又はテトラジンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、trans−シクロオクテンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、テトラジンである。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、以下の構造
(ここで、Rcは、N、アルキル又はアリールである)
を有する。
いくつかの態様において、第2の末端反応性基は、以下の構造
を有する。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、trans−シクロオクテンであり、第2の末端反応性基は、テトラジンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基は、テトラジンであり、第2の末端反応性基は、trans−シクロオクテンである。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基と第2の末端反応性基は、反応して、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造を生成する。
いくつかの態様において、第1の末端反応性基と第2の末端反応性基は、反応して、以下の化学構造
(ここで、Rcは、N、アルキル若しくはアリールである)
又はその互変異性体を生成する。
いくつかの態様において、第3の末端反応性基及び第4の末端反応性基は、それぞれ独立に、アミノ酸又はアミノ酸誘導体である。
いくつかの態様において、第3の末端反応性基は、スレオニン又はスレオニン誘導体である。
いくつかの態様において、第3の末端反応性基は、アミノ酸のチオエステル誘導体である。
いくつかの態様において、第4の末端反応性基は、システイン、セレノシステイン、ホモシステイン、若しくはホモセレノシステイン、又はシステイン、セレノシステイン、ホモシステイン、若しくはホモセレノシステインの誘導体である。
いくつかの態様において、第4の末端反応性基は、システイン又はシステインの誘導体である。
いくつかの態様において、第4の末端反応性基は、システインである。
いくつかの態様において、A’を、
i)A又はAの誘導体と、インテインを含むある一連の連続アミノ酸とを含むA’’を得る工程、
ii)アルキン、アジド、チオール、又はニトロンを含む有機構造にC末端で置換されている、システイン、セレノシステイン、ホモシステイン、若しくはホモセレノシステイン残基、又はシステイン、セレノシステイン、ホモシステイン、若しくはホモセレノシステイン残基の置換誘導体を得る工程、及び
iii)A’’を、置換されているシステイン残基と反応させて、A’を生成する工程
によって作製する。
いくつかの態様において、アルキンを含む有機構造は、N−プロパルギルアミンである。
いくつかの態様において、A’を、
i)A又はAの誘導体を含み、少なくとも1つの遊離チオ基を含むA’’を得る工程、
ii)第1の末端反応性基と末端マレイミドとを含む化合物を得る工程、及び
iii)A’’を、工程ii)の化合物と反応させて、A’を生成する工程
によって作製する。
いくつかの態様において、A’’を、
a)A又はAの誘導体を含み、少なくとも1つのジスルフィド結合を含むポリペプチドであるA’’’を得る工程、及び
b)A’’’をメルカプトエチルアミン(MEA)で処理して、A’’を生成する工程
によって作製する。
いくつかの態様において、A’’’を、
a)A又はAの誘導体を含み、少なくとも1つのジスルフィド結合を含むモノクローナル抗体を得る工程、及び
b)工程a)のポリペプチドをIdeSで処理して、A’’’を生成する工程
によって作製する。
いくつかの態様において、モノクローナル抗体は、TNFαに結合する。
いくつかの態様において、モノクローナル抗体は、アダリムマブである。
いくつかの態様において、R1が水素であり、第1の末端反応性基がアルキンである場合、工程d)において、B’を、金属触媒の存在下で反応させる。
いくつかの態様において、R1が水素であり、第2の末端反応性基がアルキンである場合、工程d)において、B’を、金属触媒の存在下で反応させる。
いくつかの態様において、金属触媒は、Ag(I)又はCu(I)である。
いくつかの態様において、A’は、1つ以上の分枝残基を含み、各分枝残基は、追加の第1の末端反応性基を含む。
いくつかの態様において、B’は、1つ以上の分枝残基を含み、各分枝残基は、追加の第2の末端反応性基を含む。
いくつかの態様において、B’は、1つ以上の分枝残基を含み、各分枝残基は、追加の第3の末端反応性基を含む。
いくつかの態様において、分枝残基は、アミノ酸残基である。
いくつかの態様において、アミノ酸残基は、リシン又はリシン誘導体、アルギニン又はアルギニン誘導体、アスパラギン酸又はアスパラギン酸誘導体、グルタミン酸又はグルタミン酸誘導体、アスパラギン又はアスパラギン誘導体、グルタミン又はグルタミン誘導体、チロシン又はチロシン誘導体、システイン又はシステイン誘導体、オルニチン又はオルニチン誘導体である。
いくつかの態様において、アミノ酸残基を、末端アミノ又はカルボニル反応性基を含む残基にN位で置換する。
いくつかの態様において、分枝残基は、2つ以上の末端アミノ基又は2つ以上の末端カルボニル基を含む、有機残基である。
いくつかの態様において、有機残基は、イミノジプロピオン酸、イミノ二酢酸、4−アミノ−ピメリン酸、4−アミノ−ヘプタン二酸、3−アミノヘキサン二酸、3−アミノアジピン酸、2−アミノオクタン二酸、又は2−アミノ−6−カルボニル−ヘプタン二酸である。
いくつかの態様において、方法は、非チオール還元剤の非存在下で行われる。
いくつかの態様において、方法は、チオール還元剤の非存在下で行われる。
いくつかの態様において、方法は、チオール還元剤の存在下で行われる。
いくつかの態様において、方法は、全収率80%以上で行われる。
いくつかの態様において、方法は、全収率90%以上で行われる。
いくつかの態様において、第1の反応性基を第2の反応性基と反応させることは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は60分未満で、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%又は90%という反応の収率をもたらす。
いくつかの態様において、Bは、有機酸残基である。
いくつかの態様において、Bは、一連の1〜50個のアミノ酸残基及び任意に有機酸残基である。
いくつかの態様において、Bは、一連の1〜10個の連続アミノ酸である。
いくつかの態様において、Bは、EPKSCDKTHTCPPCP、ERKCCVECPPCP、ELKTPLGDTTHTCPRCP(EPKSCDTPPPCPRCP)3、ESKYGPPCPSCPという配列又はその一部における、一連の連続アミノ酸を含む。
いくつかの態様において、Bは、C末端にスレオニンを有する。
いくつかの態様において、Zは、1つのCを含み、Cは、化合物の第1のポリペプチドであり、第1のポリペプチドは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)システイン、セレノシステイン、CP、CPXCP(ここで、X=P、R又はS)、CDKTHTCPPCP、CVECPPCP、CCVECPPCP、及びCDTPPPCPRCPからなる群から選択される配列をN末端に有する。
いくつかの態様において、Cは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)CP、CPXCP(ここで、X=P、R又はS)、CDKTHTCPPCP、CVECPPCP、CCVECPPCP、及びCDTPPPCPRCPからなる群から選択される、天然に存在するシステインを含む配列をN末端に有する。
いくつかの態様において、Cは、前記化合物のポリペプチド成分であり、ポリペプチド成分が、連続アミノ酸を含み、連続アミノ酸が、(i)抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一であり、(ii)Fc受容体に結合し、(iii)天然に存在しないシステイン又はセレノシステインを含む配列をN末端に有する。
いくつかの態様において、Cは、連続アミノ酸を含み、連続アミノ酸が、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEからなる群から選択される抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Cは、連続アミノ酸を含み、連続アミノ酸が、抗体のFc6ドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Cは、連続アミノ酸をさらに含み、その連続アミノ酸が、抗体のFcドメイン鎖以外の抗体の鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Cは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、抗体のFab又はFab’の重鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Cは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、抗体のFab又はFab’の軽鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Zは、第2のポリペプチドをさらに含み、その第2のポリペプチドが、抗体のFcドメイン鎖以外の抗体の鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である連続アミノ酸を含む。
いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、抗体のFab又はFab’の重鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、連続アミノ酸を含み、その連続アミノ酸が、抗体のFab又はFab’の軽鎖に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である。
いくつかの態様において、Zは、抗体又はその一部分を含む。
いくつかの態様において、Zは、抗体の少なくとも1つのFab若しくはFab’、又は少なくとも1つのFab若しくはFab’の一部分を含む。
いくつかの態様において、Zは、Fab若しくはFab’又はその一部分の少なくとも2、3、4、5,6、7、8、9、又は10個のコピーを含む。
いくつかの態様において、Zは、抗体のFab−1若しくはFab’1又はその一部分を含む。
いくつかの態様において、Zは、抗体のFab−2若しくはFab’2又はその一部分を含む。
いくつかの態様において、Zは、抗体の2つのFab又はFab’の手を含む。
いくつかの態様において、抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgE抗体である。
いくつかの態様において、Fab又はFab’は、アダリムマブに存在する。
いくつかの態様において、Zは、単鎖抗体に存在するある一連の連続アミノ酸と同一である、少なくとも1つの一連の連続アミノ酸を含む。
いくつかの態様において、CのC末端は、修飾されている抗体のFcドメイン鎖に存在するある一連の連続アミノ酸を含む。
いくつかの態様において、CのC末端は、システイン、セレノシステイン、ホモシステイン若しくはホモセレノシステイン、又はシステイン、セレノシステイン、ホモシステイン若しくはホモセレノシステインの誘導体である。
いくつかの態様において、Bは、ZのポリペプチドのN末端システイン又はセレノシステインと、Bのアミノ酸残基又は有機酸残基との間のペプチジル結合によってZに連結している。
いくつかの態様において、Zは、第2のポリペプチドを含み、Bは、Zの第2のポリペプチドのN末端システイン又はセレノシステインと、Bのアミノ酸残基又は有機酸残基との間のペプチジル結合によってZに連結している。
いくつかの態様において、Bは、CのN末端システイン又はセレノシステインと、Bのアミノ酸残基又は有機酸残基との間のペプチジル結合によってCに連結している。
いくつかの態様において、Zは、1つのポリペプチドを含み、それは、Cである。
いくつかの態様において、Zは、2つのポリペプチドを含み、それらは、C及び第2のポリペプチドである。
本発明は、本発明の化合物を含むホモダイマー及びヘテロダイマーを提供する。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合することができる。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、各化合物のC又は第2のポリペプチド間の少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合することができる。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合する。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、各化合物のC又は第2のポリペプチド間の少なくとも1つのジスルフィド結合によって、他方に結合する。
いくつかの態様において、ダイマーの各化合物は、他方に非共有結合する。
いくつかの態様において、ダイマーは、
である。
本発明の化合物のダイマーの追加の非限定的例は、図に示されている。
いくつかの態様において、分枝残基は、リシン又はリシン誘導体、アルギニン又はアルギニン誘導体、アスパラギン酸又はアスパラギン酸誘導体、グルタミン酸又はグルタミン酸誘導体、アスパラギン又はアスパラギン誘導体、グルタミン又はグルタミン誘導体、チロシン又はチロシン誘導体、システイン又はシステイン誘導体、オルニチン又はオルニチン誘導体である。
いくつかの態様において、分枝残基は、末端アミノ又はカルボニル反応性基を含む残基でN位で置換されている、アミノ酸である。いくつかの態様において、分枝残基は、2つ以上の末端アミノ基又は2つ以上の末端カルボニル基を含む、有機残基である。
いくつかの態様において、分枝残基は、2つ以上の末端アミノ基を含む有機残基である。いくつかの態様において、分枝残基は、2つ以上の末端カルボニル基を含む有機残基である。いくつかの態様において、分枝残基は、ジアミノプロピオン酸である。いくつかの態様において、分枝残基は、ジアミノプロピオンカルボニル化合物(diaminopropionic carbonyl compound)である。
いくつかの態様において、分枝残基は、4−(カルボニルメトキシ)フェニルアラニン、2−アミノ−6−(カルボニルメチルアミノ)ヘキサン酸、S−(カルボニルプロピル)システイン、S−(カルボニルエチル)システイン、S−(カルボニルメチル)システイン、N−(カルボニルエチル)グリシン、N−(カルボニルメチル)グリシン、イミノジプロピオン酸、イミノ二酢酸、4−アミノ−ピメリン酸、4−アミノ−ヘプタン二酸、3−アミノヘキサン二酸、3−アミノアジピン酸、2−アミノオクタン二酸、又は2−アミノ−6−カルボニル−ヘプタン二酸である。
いくつかの態様において、分枝残基は、Fmoc−L−Asp−AMC、Fmoc−L−Asp−pNA、Fmoc−L−Glu−AMC、Fmoc−L−Glu−pNA、Fmoc−L−Glu(Edans)−OH、Fmoc−L−Glu(PEG−ビオチニル)−OH、(S)−Fmoc−2−アミノ−ヘキサン二酸−6−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−2−アミノ−アジピン酸−6−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−Aad(OtBu)−OH、(S)−Fmoc−2−アミノ−5−tert−ブトキシカルボニル−ヘキサン二酸−6−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−2−アミノ−ヘプタン二酸−7−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−2−アミノ−ピメリン酸−7−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−2−アミノ−6−tert−ブトキシカルボニル−ヘプタン二酸−7−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−2−アミノ−オクタン二酸−8−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−2−アミノ−スベリン酸−8−tert−ブチルエステル、(S)−Fmoc−Asu(OtBu)−OH、(R)−Fmoc−3−アミノ−ヘキサン二酸−1−tert−ブチルエステル、(R)−Fmoc−3−アミノ−アジピン酸−1−tert−ブチルエステル、(R)−Fmoc−4−アミノ−ヘプタン二酸−1−tert−ブチルエステル、(R)−Fmoc−4−アミノ−ピメリン酸−1−tert−ブチルエステル、Boc−イミノ二酢酸、Fmoc−イミノ二酢酸、Boc−イミノジプロピオン酸、Fmoc−イミノジプロピオン酸、Fmoc−N−(tert−ブトキシカルボニルメチル)−グリシン、Fmoc−N−(tert−ブトキシカルボニルエチル)−グリシン、Fmoc−L−Cys(tert−ブトキシカルボニルメチル)−OH (R)−Fmoc−2−アミノ−3−(tert−ブトキシカルボニルメチルスルファニル)−プロピオン酸、Fmoc−L−Cys(tert−ブトキシカルボニルプロピル)−OH (R)−Fmoc−2−アミノ−3−(3−tert−ブトキシカルボニルプロピルスルファニル)−プロピオン酸、Fmoc−L−Cys(tert−ブトキシカルボニルエチル)−OH (R)−Fmoc−2−アミノ−3−(2−tert−ブトキシカルボニルエチルスルファニル)−プロピオン酸、Fmoc−4−(tert−ブトキシカルボニルメトキシ)−L−フェニルアラニン、又は(S)−Fmoc−2−アミノ−6−(Boc−tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−ヘキサン酸から作製される。
いくつかの態様において、分枝残基は、N−α−Boc−DL−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−D−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Fmoc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−N−β−Alloc−D−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−N−β−Alloc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Fmoc−N−β−alloc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−N−β−ビス−Boc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Fmoc−N−β−Boc−D−ジアミノプロピオン酸、N−α−Fmoc−N−β−Boc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Z−N−β−Boc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−N−β−Fmoc−D−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−N−β−Fmoc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−N−β−ビス−Fmoc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Z−N−β−Fmoc−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−N−β−Z−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Fmoc−N−β−Z−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Fmoc−N−β− (Boc−アミノオキシアセチル)−L−ジアミノプロピオン酸、N−α−Boc−N−γ−Fmoc−D−ジアミノ酪酸、N−α−Boc−N−γ−Fmoc−L−ジアミノ酪酸、N−α−Boc−N−γ−Fmoc−L−ジアミノ酪酸、N−α−Fmoc−N−γ−Boc−D−ジアミノ酪酸、N−α−Fmoc−N−γ−Boc−L−ジアミノ酪酸、N−α−Fmoc−N−γ−Alloc−L−ジアミノ酪酸、(S)−N−b−Fmoc−N−γ−Boc−3,4−ジアミノ酪酸、H−L−オルニチン、N−a−Boc−N−δ−Alloc−L−オルニチン、N−a−Fmoc−N−δ−Alloc−L−オルニチン、N−a−Fmoc−N−δ−Boc−L−オルニチン、(S)−Boc−2−アミノ−5−アジド−ペンタン酸。DCHA、(S)−Fmoc−2−アミノ−5−アジド−ペンタン酸、N−a−N−δ−ビス−Boc−N−a−N−δ−ビス(3−Boc−アミノプロピル)−L−オルニチン、N−α−Boc−N−β−N−δ−N−δ−トリス(3−Boc−アミノプロピル)−L−オルニチン、Fmoc−L−Lys(ビオチン)−OH、Fmoc−L−Lys(Dabcyl)−OH、Fmoc−L−Lys(Boc)(Me)−OH、Fmoc−L−Lys(Boc)(iPr)−OH、(2S,5R)−Fmoc−2−アミノ−4−(3−Boc−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−5−イル)−酪酸、(S)−Fmoc−2−アミノ−6−(Boc−tert−ブトキシカルボニルメチル−アミノ)−ヘキサン酸、(S)−Fmoc−2−アミノ−7−(Boc−アミノ)−ヘプタン酸、Fmoc−L−Arg(Me)(Pbf)−OH、Fmoc−L−Arg(Me)2(Pbf)−OH、Fmoc−L−Arg(Me)2−OH、(S)−Fmoc−3−アミノ−5−[(N’−Pbf−ピロリジン−1−カルボキシイミドイル)−アミノ]−ペンタン酸、Fmoc−L−Homoarg(Et)2−OH、Boc−3−アミノ−5−(Fmoc−アミノ)−安息香酸、3,5−ビス[2−(Boc−アミノ)エトキシ]−安息香酸、Fmoc−4−[2−(Boc−アミノ)エトキシ]−L−フェニルアラニン、N,N−ビス(N’−Fmoc−3−アミノプロピル)−グリシンカリウムヘミスルフェート、N,N−ビス(N’−Fmoc−3−アミノプロピル)−グリシンカリウムヘミスルフェート、Fmoc−N−(2−Boc−アミノエチル)−グリシン、Fmoc−N−(3−Boc−アミノプロピル)−グリシン、Fmoc−N−(4−Boc−アミノブチル)−グリシン、(R,S)−N−α−Fmoc−N−a’−Boc−ジアミノ酢酸、N,N’−ビス−Fmoc−ジアミノ酢酸、(S)−N−4−Fmoc−N−8−Boc−ジアミノオクタン酸、(R,S)−N−Fmoc−N’−Boc−イミダゾリジン−2−カルボン酸、Fmoc−p(NH−Boc)−L−Phe−OH、Boc−p(NH−Fmoc)−L−Phe−OH、又はBoc−p(NH−Z)−L−Phe−OHから作製される。
ここで開示する各態様は、他の開示する態様のそれぞれに適用できるものであると企図する。したがって、ここで記述する様々な要素の組み合わせのすべてが、本発明の範囲内である。
パラメーターの範囲を示す場合、本発明は、その範囲のすべての整数、及びその10分の1も示すと理解する。例えば、「0.2〜5mg/kg/日」は、0.2mg/kg/日、0.3mg/kg/日、0.4mg/kg/日、0.5mg/kg/日、0.6mg/kg/日など、から5.0mg/kg/日までの開示である。
用語
ここで使用する場合、特に断りがない限り、以下の用語のそれぞれは、下記の定義を有するものとする。
ペプチジル結合:構造
ペプチジル結合は、ペプチド結合であってもよい。
一連の連続アミノ酸:鎖状に配置された複数のアミノ酸であって、鎖の最初のアミノ酸が、任意に、前のアミノ酸につながっていなくてもよいことを除いて、それぞれが、ペプチド結合によって、前のアミノ酸に接続する複数のアミノ酸。鎖のアミノ酸は、天然に存在していても天然に存在していなくてもよく、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。アミノ酸は、特に指示がない限り、遺伝的にコードされていてもよいし、天然に存在するが、遺伝的にコードされていなくてもよいし、天然に存在していなくてもよいし、それらの任意の選択であってもよい。
N末端アミノ酸残基:遊離α−アミノ(NH2)官能基又はα−アミノ(NH2)官能基の誘導体を有する、2個以上の一連の連続アミノ酸の末端残基。
N末端:N末端アミノ酸残基の遊離α−アミノ(NH2)基(又はその誘導体)。
C末端アミノ酸残基:遊離α−カルボキシル(COOH)官能基又はα−カルボキシル(COOH)官能基の誘導体を有する、2個以上の一連の連続アミノ酸の末端残基。
C末端:C末端アミノ酸残基の遊離α−カルボキシル(COOH)基(又はその誘導体)。
「生物学的に活性な構造」は、ここで使用する場合、生物学的な文脈(例えば、有機体、細胞、若しくはそれらのインビトロモデル内)で、機能若しくは作用を実行すること、又は機能、作用若しくは反応を刺激する若しくはそれらに応答することによって、疾患若しくは状態を治療すること、又は本発明の化合物を体内における疾患若しくは状態の部位に局在化若しくは標的化することができる、分子又はその断片の構造を意味する。生物学的に活性な構造は、ポリペプチド、核酸、有機又は無機小分子などの小分子の少なくとも1つの構造を含んでいてもよい。
「結合」は、特に指定がない限り、又は文脈に反しない限り、共有結合、双極子−双極子相互作用、例えば、水素結合、及び分子間相互作用、例えば、ファン・デル・ワールス力を含むと理解する。
「シグナル配列」は、ポリペプチドの翻訳後輸送を指示する、短い(3〜60アミノ酸長)ペプチド鎖である。
ここで使用する「アミノ酸」は、一態様において、遺伝的にコードされたアミノ酸、すなわち、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、アルギニン、セリン、ヒスチジン、チロシン、セレノシステイン、ピロリシンのL又はD異性体を意味し、ホモシステイン及びホモセレノシステインも含む。
アミノ酸の他の例としては、タウリン、ギャバ、ドーパミン、ランチオニン、2−アミノイソ酪酸、デヒドロアラニン、オルニチン及びシトルリンのL又はD異性体、並びに、それらの非天然同族体及び合成的に修飾された形態、例えば、2つまでの炭素原子によって短く又は長くされたアルキレン鎖を有するアミノ酸、任意に置換されていてもよいアリール基を含むアミノ酸、ハロゲン化アルキル及びアリール基を含めたハロゲン化基を含むアミノ酸、並びに、β又はγアミノ酸、及び環状類似体が挙げられる。
イオン化できるアミノ及びカルボキシル基の存在によって、これらの態様におけるアミノ酸は、酸性の塩又は塩基性の塩の形態であってもよいし、中性の形態であってもよい。個々のアミノ酸残基は、酸化又は還元によって修飾されてもよい。他の企図される修飾としては、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、並びに、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化が挙げられる。
共有結合誘導体は、特定の官能基を、アミノ酸側鎖に又はN若しくはC末端で連結することによって作製されてもよい。
R基置換を有するアミノ酸を含む化合物は、本発明の範囲内である。本発明の化合物での置換基及び置換パターンは、容易に入手できる出発材料から化学的に安定な化合物をもたらすように、当業者によって選択できると理解する。
ここで使用する「天然アミノ酸」は、遺伝的にコードされたアミノ酸、すなわち、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、アルギニン、セリン、ヒスチジン、チロシン、セレノシステイン、ピロリシン、並びに、ホモシステイン、及びホモセレノシステインのL又はD異性体を意味する。
ここで使用する「非天然アミノ酸」は、α炭素とS又はSeとの間にC3〜C10脂肪族側鎖を有するシステイン及びセレノシステイン誘導体を含めた、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、アルギニン、セリン、ヒスチジン、チロシン、セレノシステイン、ピロリシン、ホモシステイン、ホモセレノシステイン、タウリン、ギャバ、ドーパミン、ランチオニン、2−アミノイソ酪酸、デヒドロアラニン、オルニチン又はシトルリンの化学的に修飾されたL又はD異性体を意味する。一態様において、脂肪族側鎖は、アルキレンである。他の態様において、脂肪族側鎖は、アルキレン又はアルキニレンである。
ここで記述する一連の連続アミノ酸配列に加えて、それらの変異体を、適切なヌクレオチド変化をコードするDNAに導入することによって、及び/又は所望の連続アミノ酸配列の合成によって作製することができることを企図する。当業者は、発現が、選択された合成方法(例えば、化学合成ではなく)であった場合、アミノ酸変化が、ここで記述した一連の連続アミノ酸の翻訳後プロセスを変える、例えば、グリコシル化部位の数及び位置を変える、又は膜アンカー特性を変えることを理解するであろう。
ここで記述する配列の変形は、例えば、米国特許第5,364,934号に記載されている、保存的及び非保存的変異の技術及びガイドラインのいずれかを使用して行うことができる。変形は、アミノ酸配列が、元々の配列と比較して変化する、目的の連続アミノ酸配列をコードする1つ以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であってもよい。任意には、変形は、ドメインの1つ以上において、少なくとも1つのアミノ酸を、任意の他のアミノ酸で置換することによるものである。所望の活性に悪影響を与えることなく、どのアミノ酸残基を挿入、置換、又は欠失させるかを決定することにおける指針は、その配列を既知の相同タンパク質分子の配列と比較すること、及び高度な相同性の領域でなされるアミノ酸配列変化の数を最小限にすることによって見出されてもよい。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を、類似の構造的及び/又は化学特性を有する別のアミノ酸に置きかえること、例えば、ロイシンをセリンに置きかえること、すなわち、保存的アミノ酸置換の結果でありうる。挿入又は欠失は、任意に、約1〜5つのアミノ酸の範囲であってもよい。認められる変形は、配列におけるアミノ酸の挿入、欠失又は置換を合成的に行うこと、及び、得られた変異体を、元々の完全長又は成熟配列によって示される活性について試験することによって決定されてもよい。いかなる末端変形も、ここで開示する発明の文脈内で行うと理解する。
結合相手のアミノ酸配列変異体は、そのリガンドに対する結合相手の親和性を高めること、結合相手の安定性、精製、及び作製を促すこと、その血漿半減期を変えること、治療効果を向上させること、並びに、結合相手の治療的使用の間の副作用の重症度又は発生を低下させることを含めた、様々な目的を念頭に置いて作製される。
ここで、これらの配列のアミノ酸配列変異体には、挿入による、置換による、又は欠失による変異体が含まれることも企図する。そのような変異体は、標的に結合するモノマーをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異導入によって作製することができ、それによって、変異体をコードするDNAが得られ、その後、そのDNAを、組み換え細胞培養において発現させる。約100〜150個までのアミノ酸残基を有するフラグメントも、インビトロ合成によって便利に作製することができる。そのようなアミノ酸配列変異体は、所定の変異体であり、天然に存在しない。変異体は、必ずしも、非変異形態と同じ定量値を示すとは限らないが、非変異形態の質的な生物学的活性(標的に結合することを含む)を示す。アミノ酸配列変形を導入する部位は、前もって決定されているが、変異自体は、前もって決定されている必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を最適化するために、ランダム又は飽和変異導入(ここで、すべての20個の可能な残基が挿入される)が、標的コドンで行われ、発現した変異体は、所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングされる。そのようなスクリーニングは、当分野における通常の技能の範囲内である。
アミノ酸挿入は、通常、約1〜10個のアミノ酸残基程度であり、置換は、典型的には、単一残基について導入され、欠失は、約1〜30個の残基の範囲である。欠失又は挿入は、好ましくは、隣接対、すなわち、2つの残基の欠失又は2つの残基の挿入で行われる。置換、欠失、挿入、又はそれらの任意の組み合わせが、導入され又は組み合わされて、最終的な構造に到達することは、以下の検討から十分明白であろう。
一側面において、本発明は、本明細書で開示するアミノ酸配列、図、配列番号、又は本出願の配列表と、少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは、少なくとも約81%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも約82%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約83%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約84%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約85%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約86%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約87%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約88%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約89%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約90%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約91%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約92%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約93%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約94%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約95%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約96%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約97%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約98%の配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも約99%の配列同一性を有する一連の連続アミノ酸を含む、化合物に関する。
アミノ酸配列同一性率の値は、例えば、WU−BLAST−2コンピュータープログラムを使用して容易に得ることができる(Altschulら、Methods in Enzymology 266:460〜480(1996))。
元々の配列のフラグメントが、ここで提供される。そのようなフラグメントは、N末端又はC末端で切断されていてもよいし、例えば、完全長の元々のタンパク質と比較した場合に、内部残基を欠いていてもよい。いかなる末端変形も、ここで開示する発明の文脈内で行うと理解する。
ある種のフラグメントは、目的の配列の所望の生物学的活性に不可欠ではないアミノ酸残基を欠いている。
いくつかの従来の技法のいずれかが使用されてもよい。所望のペプチドフラグメント、又は一連の連続アミノ酸のフラグメントは、化学的に合成されていてもよい。代替的な手法は、酵素消化、例えば、特定のアミノ酸残基によって規定された部位でタンパク質を切断することが知られている酵素で、タンパク質を処理すること、又は適切な制限酵素でDNAを消化し、所望のフラグメントを単離することによって、フラグメントを生じさせることを含む。さらに別の適切な技法は、所望のポリペプチド/配列フラグメントをコードするDNAフラグメントを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離し、増幅することを含む。DNAフラグメントの所望の末端を規定するオリゴヌクレオチドは、PCRににおいて、5’及び3’プライマーで用いられる。
特定の態様において、目的の保存的置換を、好ましい置換という項目の下に、表1に示す。そのような置換が、生物学的活性における変化をもたらした場合、表1で例示的置換と示した、又はアミノ酸のクラスと関連して以下にさらに記述した、より実質的な変化が導入され、生成物がスクリーニングされる。
配列の機能又は免疫学的同一性における実質的な改変は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シート若しくはらせんコンフォメーション(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の嵩高さを維持することに対するそれらの効果が有意に異なる置換を選択することによって実現される。天然に存在する残基は、側鎖の共通の特性に基づいて、以下の群に分けられる。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響を与える残基:gly、pro;
(6)芳香族;trp、tyr、phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのものに交換することを必要とする。そのような置換残基も、保存的置換部位、より好ましくは、残りの(非保存的)部位に導入されていてもよい。
変形は、当分野で既知の方法、例えば、オリゴヌクレオチド媒介(部位指定)変異導入、アラニンスキャニング、及びPCR変異導入を使用して行うことができる。部位指定変異導入(Carterら、Nucl.Acids Res.、13:4331(1986);Zollerら、Nucl.Acids Res.、10:6487(1987))、カセット変異導入(Wellsら、Gene、34:315(1985))、制限選択変異導入(Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.London SerA、317:415(1986))、又は他の既知の技法をクローン化DNAで実施して、変異DNAを生成することができる。
連続した配列に沿った1つ以上のアミノ酸を同定するために、スキャニングアミノ酸分析を用いることもできる。好ましいスキャニングアミノ酸の中には、比較的小さな中性のアミノ酸がある。そのようなアミノ酸としては、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインが挙げられる。アラニンは、β炭素以外の側鎖を除去し、変異体の主鎖コンフォメーションを変える可能性が低いので、一般に、この群の中で好ましいスキャニングアミノ酸である(Cunningham及びWells、Science、244:1081〜1085(1989))。アラニンはまた、最も一般的なアミノ酸であるので、一般に好ましい。さらに、アラニンは、埋もれた位置にも、露出した位置にもよく見られる(Creighton、The Proteins、(W.H.Freeman & Co.、N.Y.);Chothia、J.Mol.Biol.、150:1(1976))。アラニン置換が、十分な量の変異体をもたらさない場合、等配電子アミノ酸を使用することができる。
共有結合修飾:一連の連続アミノ酸は、共有結合により修飾されていてもよい。共有結合修飾の1つのタイプは、標的のアミノ酸と、−x−x−結合に関与しない選択した側鎖又はN若しくはC末端残基と反応できる有機の誘導体化剤とを反応させることを含む。二官能性剤による誘導体化は、例えば、目的の抗体のアンチ配列を精製するための方法において使用する、水溶性支持マトリックス又は表面と架橋させること及びその逆に有用である。よく使用される架橋剤としては、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸を含むエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)などのジスクシンイミジルエステルを含めたホモ二官能性イミドエステル、二官能性マレイミド、例えば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタン、及びメチル−3−((p−アジドフェニル)ジチオ)プロピオイミダートなどの薬剤が挙げられる。
他の修飾としては、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基それぞれの、対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman & Co.、San Francisco、79〜86頁(1983))、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
別のタイプの共有結合修飾は、一連の連続アミノ酸の元々のグリコシル化パターンを変えることを含む。「元々のグリコシル化パターンを変えること」は、ここでの目的のために、アミノ酸配列に見られる1つ以上の糖鎖を欠失させること(下にあるグリコシル化部位を除去すること、又は化学的及び/又は酵素的手段によってグリコシル化を欠失させることのいずれかによって)、及び/又は元々の配列に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を加えることを意味することを意図する。加えて、その語句は、存在する様々な糖鎖の性質及び割合の変化を含む、元々のタンパク質のグリコシル化における質的変化を含む。
アミノ酸配列へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を変更することによって実現されてもよい。その変更は、1つ以上のセリン又はスレオニン残基を元々の配列に加える、又は1つ以上のセリン又はスレオニン残基によって置換することによって行われてもよい(O連結グリコシル化部位の場合)。アミノ酸配列は、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生じるように、アミノ酸配列をコードするDNAを、予め選択した塩基で変異させることによる、DNAレベルの変化を通じて任意に変更されてもよい。
アミノ酸配列での糖鎖の数を増加させる別の手段は、ポリペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的カップリングによるものである。そのような方法は、当分野、例えば、1987年9月11日に公開されたWO87/05330、並びに、Aplin及びWriston、CRC Crit.Rev.Biochem.、259〜306頁(1981)に記載されている。
アミノ酸配列に存在する糖鎖の除去は、化学的に若しくは酵素的に、又はグリコシル化の標的になるアミノ酸残基をコードするコドンの変異置換によって実現されてもよい。化学的グリコシル化の技法は、当分野で既知であり、例えば、Hakimuddinら、Arch.Biochem.Biophys.、259:52(1987)、及びEdgeら、Anal.Biochem.、118:131(1981)によって説明されている。ポリペプチドでの糖鎖の酵素的切断は、Thotakuraら、Meth.Enzymol.、138:350(1987)によって説明されている通り、様々なエンド及びエキソグリコシダーゼの使用によって実現することができる。
別のタイプの共有結合修飾は、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号、又は第4,179,337号に記載されている方法で、様々な非タンパク質性ポリマーの1つ、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンにアミノ酸配列を連結されることを含む。
用語「置換」、「置換されている」、及び「置換基」は、通常の原子価が維持され、置換によって、安定な化合物がもたらされることを条件に、その中に含まれる水素原子への1つ以上の結合が、非水素原子への結合に置きかえられている官能基を指す。置換されている基には、炭素又は水素原子への1つ以上の結合が、ヘテロ原子への、二重又は三重結合を含む1つ以上の結合に置きかえられた基も含まれる。置換基の例としては、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、及びI);アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、及びトリフルオロメチル;アリール基、例えば、フェニル;ヘテロアリール基、例えば、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、及びテトラゾール;ヒドロキシル;アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロキシ、及びイソプロポキシ;アリールオキシ基、例えば、フェノキシ;アリールアルキルオキシ、例えば、ベンジルオキシ(フェニルメトキシ)及びp−トリフルオロメチルベンジルオキシ(4−トリフルオロメチルフェニルメトキシ);ヘテロアリールオキシ基;スルホニル基、例えば、スルホネート、トリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、及びp−トルエンスルホニル;スルホニトロ(sulfnitro)、ニトロシル;メルカプト;スルファニル基、例えば、メチルスルファニル、エチルスルファニル、及びプロピルスルファニル;シアノ;アミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、及びジエチルアミノ;並びに、カルボキシルが挙げられる。複数の置換基部分が、開示されているか、特許請求されている場合、置換されている化合物は、開示されている又は特許請求されている置換基部分の1つ以上によって、単独で又は複数で、独立に置換されていることができる。「独立に置換されている」は、(2つ以上の)置換基が、同じでありうる又は異なりうることを意味する。本発明の方法で使用する化合物において、アルキル、ヘテロアルキル、単環、二環、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロ環基は、1つ以上の水素原子を代替の非水素原子に置きかえることによって、置換されうる。これらとしては、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、シアノ、及びカルバモイルが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明の方法で使用する化合物での置換基及び置換パターンは、化学的に安定している、及び、容易に入手できる出発材料から当分野で既知の技法によって容易に合成できる化合物をもたらすように、当業者によって選択できると理解する。置換基自体が、2つ以上の基で置換されている場合、これらの複数の基は、安定な構造がもたらされる限り、同一の炭素上又は異なる炭素上にあってもよいと理解する。
本発明の方法で使用する化合物を選択する際に、当業者は、様々な置換基、すなわち、R1、R2などが、化学構造連結性の周知の原理に従って選択されるべきであることを認識するであろう。
ここで使用する場合、「アルキル」は、指定数の炭素原子を有する、分枝脂肪族飽和炭化水素基と直鎖状脂肪族飽和炭化水素基の両方を含み、置換されていなくてもよいし、置換されていてもよい。したがって、「C1〜Cnアルキル」におけるようなC1〜Cnは、直鎖状又は分枝配置の中に1、2、....、n−1又はn個の炭素を有する基を含むと定義する。例えば、「C1〜C6アルキル」におけるようなC1〜C6は、直鎖状又は分枝配置の中に1、2、3、4、5又は6個の炭素を有する基を含むと定義し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む。特に指定がない限り、1〜12個の炭素原子を含む。アルキル基は、置換されていない可能性もあるし、それらに限定されないが、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ及びヒドロキシルを含めた、1つ以上の置換基で置換されている可能性もある。一態様は、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルキル、C3〜C12アルキル、C4〜C12アルキルなどでありうる。一態様は、C1〜C8アルキル、C2〜C8アルキル、C3〜C8アルキル、C4〜C8アルキルなどでありうる。アルキルは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「C1〜C4アルキル」は、分枝C1〜C4アルキルと直鎖状C1〜C4アルキルの両方を含む。
ここで使用する場合、用語「シクロアルカン」は、不飽和又は部分的に不飽和であってもよい、すなわち、1つ以上の二重結合を有する、単環式又は二環式環系を指す。単環式環系としては、3〜8個の炭素原子を含有する飽和環状水素基がある。単環式環系の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。二環式縮合環系としては、別のシクロアルキル環に縮合したシクロアルキル環がある。二環式縮合環系の例としては、それらに限定されないが、デカリン、1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレンなどが挙げられる。したがって、C3〜C10シクロアルカンは、総炭素原子3〜8個のアルカンの環状環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルなど)を含む。シクロアルカン基は、置換されていない可能性もあるし、それらに限定されないが、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ、及びヒドロキシルを含めた1つ以上の置換基で置換されている可能性もある。シクロアルカンは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、用語「シクロアルケン」は、1つ以上の二重結合を有するシクロアルカンを指す。したがって、C5〜C10シクロアルケンは、総炭素原子5〜10個のアルカンの環状環(例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニルなど)を含む。シクロアルケンは、一価、二価、三価などである部分であることを意図する。シクロアルケンは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「アルケン」は、1つ以上の二重結合及び特定数の炭素原子を有する、分枝及び直鎖状脂肪族炭化水素基を含み、置換されていなくてもよいし、置換されていてもよい。したがって、「C2〜Cnアルケン」におけるようなC2〜Cnは、直鎖状又は分枝配置の中に2、3、....、n−1又はn個の炭素を有する基を含むと定義する。例えば、C2〜C10アルケンにおけるようなC2〜C10は、直鎖状又は分枝配置の中に2、3、4、5...10個の炭素を有する基と定義し、具体的には、ビニル、アリル、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテンなどを含む。アルケン基は、置換されていない可能性もあるし、それらに限定されないが、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ、及びヒドロキシルを含めた1つ以上の置換基で置換されている可能性もある。一態様は、C2〜C3アルケン、C2〜C4アルケン、C2〜C5アルケンなどでありうる。アルケンは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「アシル」は、1位にケトンを有するアルキル基を指す。例えば、「アシル」の一態様は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、及びバレリルでありうる。別の例として、「アシル」の一態様は、
(ここで、nは、1〜10である)
でありうる。別の態様において、nは、1〜4である。
したがって、「C2〜C5アシル」は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、又はバレリルでありうる。アシルは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
C2〜C5アシルアミノは、さらにアミンで置換されている、先に定義したアシル基である。アミンは、アシル基のカルボニル部分に連結して、アミドを形成してもよい、又はアシル基の非カルボニル部分に連結してもよい。例えば、アミノ基は、α位、β位、γ位、δ位などにあってもよい。さらなる例として、アシルアミノは、α−アミノアセチルとアセトアミド基の両方を含む。アシルアミノは、β−アミノプロピオニルを含む。
C2〜C5アシルオキシは、酸素でさらに置換されている、先に定義したアシル基である。酸素は、アシル基のカルボニル部分に連結して、アミドを形成してもよい、又はアシル基の非カルボニル部分に連結してもよい。例えば、酸素基は、α位、β位、γ位、δ位などにあってもよい。さらなる例として、アシルオキシは、α−オキシアセチルとアセテート基の両方を含む。アシルオキシは、β−オキシプロピオニルを含む。
ここで使用する場合、「アミノ」は、第1級、第2級、3級及び4級アミンを含む。したがって、アミノは、−NH−基、−NH2基、−NR−基、−NR2 +−基、−NRH+−基、−NH2 +−基、−NH3 +基、及び−NR3 +基(ここで、Rは、アルキル又はアリールである)を含む。アミノは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「硫黄」は、−S−基及びSH基を含む。硫黄という用語は、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「酸素」は、−O−基及びOH基を含む。硫黄という用語は、一価、及び二価である部分であることを意図する。
ここで使用する場合、「スクシニル」は、1つ又は両方のヒドロキシル基の除去によって、コハク酸から誘導される。一態様は、−C(O)−CH2−CH2−C(O)−でありうる。スクシニルは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「マロニル」は、1つ又は両方のヒドロキシル基の除去によって、マロン酸から誘導される。一態様は、−C(O)−CH2−C(O)−でありうる。マロニルは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「グルタリル」は、1つ又は両方のヒドロキシル基の除去によって、グルタル酸から誘導される。一態様は、−C(O)−CH2−CH2−CH2−C(O)−でありうる。グルタリルは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
ここで使用する場合、「アジポイル」は、1つ又は両方のヒドロキシル基の除去によって、アジピン酸から誘導される。一態様は、−C(O)−CH2−CH2−CH2−CH2−(O)−でありうる。アジポイルは、一価、二価、三価などである部分を含むものであることを意図する。
「ポリアルキレングリコール」は、ヒドロキシル基からの両方の水素の除去によって、ポリアルキレングリコールから誘導される。一態様は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリブチレングリコールから誘導されうる。「ポリアルキレングリコール」の一態様は、
(ここで、nは、1〜10である)
でありうる。
ここで使用する場合、「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、各環で原子が10個までの任意の安定した単環式、二環式、又は多環式炭素環を意味することを意図し、置換されていなくてもよいし、置換されていてもよい。そのようなアリール要素の例としては、フェニル、p−トルエニル(4−メチルフェニル)、ナフチル、テトラヒドロ−ナフチル、インダニル、フェナントリル、アントリル、又はアセナフチルが挙げられるが、それらに限定されない。アリール置換基が二環式であり、1つの環は、非芳香族である場合において、結合は、芳香族環を介すると理解する。
ここで使用する場合、「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族であり、置換されていなくてもよいし、置換されていてもよい、各環で原子が10個までの任意の安定した単環式、二環式又は多環式炭素環を意味することを意図する。そのようなアリール要素の例としては、フェニル、p−トルエニル(4−メチルフェニル)、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、フェナントリル、アントリル、又はアセナフチルが挙げられるが、それらに限定されない。アリール置換基が二環式であり、1つの環は非芳香族である場合、結合は、芳香族環を介すると理解する。
用語「ヘテロアリール」は、ここで使用する場合、少なくとも1つの環が芳香族であり、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、各環で原子が10個までの任意の安定した単環式、二環式又は多環式の環を表す。二環式芳香族ヘテロアリール基は、(a)1つの窒素原子を有する6員芳香族(不飽和)複素環に縮合した;(b)2つの窒素原子を有する5若しくは6員芳香族(不飽和)複素環に縮合した;(c)1つの酸素原子又は1つの硫黄原子と共に1つの窒素原子を有する5員芳香族(不飽和)複素環に縮合した:又は(d)O、N若しくはSから選択される1つのヘテロ原子を有する5員芳香族(不飽和)複素環に縮合した、フェニル、ピリジン、ピリミジン若しくはピリジジン環を含む。この定義の範囲内のヘテロアリール基としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、ジヒドロピリジジン、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、アジリジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロアリール置換基が二環式であり、1つの環は非芳香族である、又はヘテロ原子を含有しない場合において、結合は、それぞれ、芳香族環を介する、又はヘテロ原子含有環を介すると理解する。ヘテロアリールが窒素原子を含有する場合、対応するそのN−オキシドもこの定義によって包含されていると理解する。
用語「フェニル」は、6つの炭素を含む芳香族6員環、及び任意の置換されているそれらの誘導体を意味することを意図する。
用語「ベンジル」は、ベンゼン環に直接結合したメチレンを意味することを意図する。ベンジル基は、水素がフェニル基に置きかえられたメチル基、及び任意の置換されているそれらの誘導体である。
用語「トリアゾール」は、2つの炭素原子及び3つの窒素原子を含有する5員環を有するヘテロアリール、及び任意の置換されたその誘導体を意味することを意図する。
ジヒドロピリダジンは、任意に置換されていてもよく、1,2−ジヒドロピリダジン
1,4−ジヒドロピリダジン
1,6−ジヒドロピリダジン
及び4,5−ジヒドロピリダジン
を含む。
ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造としては、それらに限定されないが、いずれも任意に置換されていてもよい、ジヒドロピリダジンの3位及び4位に縮合したシクロオクタンを含む化学構造、又は飽和シクロオクタ[d]ピリダジンを含む化学構造が挙げられる。例えば、ジヒドロピリダジンに縮合したシクロオクタンを含む化学構造としては、それらに限定されないが、それぞれ任意に置換されていてもよい、2,4a,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジン
4a,5,6,7,8,9,10,10a−オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジン
2,3,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジン
又は1,2,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロシクロオクタ[d]ピリダジン
を含む化学構造が挙げられる。
の互変異性体としては、それらに限定されないが、
が挙げられる。
いくつかの態様において、ジヒドロピリダジンは、ピリダジンへと酸化される。
いくつかの態様において、ジヒドロピリダジンが還元されて、1,4−ジカルボニル化合物を有する開環構造がもたらされる。
本発明の方法で使用する化合物は、有機合成において周知であり、当業者になじみのある技法によって作製されてもよい。しかし、これらは、所望の化合物を合成する又は得るための唯一の手段でなくてもよい。
対象発明の化合物は、吸収及び生物学的利用能を最適化するために、プロドラッグに変換することができる。プロドラッグの形成は、それらに限定されないが、エステルを形成するための遊離ヒドロキシル基とカルボン酸との反応、リン酸エステルを形成するための遊離ヒドロキシル基と塩化ホスホリルとの反応、その後の加水分解、又は、アミノ酸エステルを形成するための遊離ヒドロキシル基とアミノ酸との反応を含み、その方法は、以前にChandranによってWO2005/046575に記載されている。置換基が選択され、得られた類似体は、医薬品化学及び薬化学の分野で周知の原理、例えば、構造−活性関係の定量化、生物学的活性の最適化、及びADMET(吸収、分布、代謝、排泄、毒性)特性に従って評価される。
ここで開示する化合物の芳香族環に結合する様々なR基は、標準的な手順、例えば、その内容が参照によりここに組み込まれる、Advanced Organic Chemistry:Part B:Reaction and Synthesis,Francis Carey and Richard Sundberg、(Springer)5th ed.Edition(2007)に記載されている手順によって、環に付加されていてもよい。
本発明の化合物は、参照によりここに組み込まれる、Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry、A.I.Vogel、A.R.Tatchell、B.S.Furnis、A.J.Hannaford、P.W.G.Smith、(Prentice Hall)5th Edition(1996)、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisms、and Structure、Michael B.Smith、Jerry March、(Wiley−Interscience)5th Edition(2007)、及びそれらの中の参考文献に記載されている技法によって作製されてもよい。しかし、これらは、所望の化合物を合成する又は得るための唯一の手段でなくてもよい。
当業者は、ここに示す置換基及び部分(例えば、J、Ra及びRbの部分)の規定が化学的原子価の標準規則に従っていることを意図していることをすぐに理解するであろう。例えば、ここに示す構造が、特定の置換基又は部分(例えば、部分の直鎖における部分)が二価であることを必要とする場合、当業者は、その置換基又は部分の規定が、化学的原子価の標準規則に従うように二価であることをすぐに理解するであろう。
当業者は、本発明に示すいくつかの二価の部分が、2つ以上の手段で他の化学構造に連結してもよいこと、例えば、示した構造が、回転又は反転したときに他の化学構造に連結してもよいことをすぐに理解するであろう。
本発明のいくつかの態様において、化合物は、非タンパク質性ポリマーを含む。いくつかの態様において、非タンパク質性ポリマーは、親水性合成ポリマー、すなわち、さもなければ天然に存在しないポリマーであってもよい。しかし、天然に存在し、組み換えによって又はインビトロ方法で生成されるポリマーは、天然から単離されたポリマーと同様に有用である。親水性ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンは、本発明の範囲内にある。特に有用なのは、ポリアルキレンエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンエステル、又はメトキシポリエチレングリコール;ポリオキシアルキレン、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマー(Pluronic);ポリメタクリラート;カルボマー;サッカライドモノマーである、D−マンノース、D−及びL−ガラクトース、フコース、フルクトース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、シアル酸、D−ガラクツロン酸(galacturontc acid)、D−マンヌロン酸(例えば、ポリマンヌロン酸又はアルギン酸)、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、D−グルコース、及びノイラミン酸を含む、分枝又は非分枝多糖、例えば、ホモポリサッカライド及びヘテロポリサッカライド、例えば、ラクトース、アミロペクチン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミロース、硫酸デキストラン、デキストラン、デキストリン、グリコーゲン、又は、酸性ムコ多糖、例えば、ヒアルロン酸の多糖サブユニット;糖アルコールのポリマー、例えば、ポリソルビトール及びポリマンニトール;並びに、ヘパリン又はヘパロン(heparon)である。
塩
ここで開示する化合物の塩は、本発明の範囲内である。ここで使用する場合、「塩」は、本発明の化合物の塩であり、それは、化合物の酸性又は塩基性の塩を作ることによって変更されている。
FCドメイン
用語「Fcドメイン」は、ここで使用する場合、概して、免疫グロブリン重鎖のC末端ポリペプチド配列を含むモノマー又はダイマー複合体を指す。Fcドメインは、天然型又は変異型Fc配列を含んでもよい。免疫グロブリン重鎖のFcドメインの境界は、変わりうるが、ヒトIgG重鎖のFcドメインは、一般に、ヒンジ領域のアミノ酸残基からFc配列のカルボキシル末端に及ぶと定義される。免疫グロブリンのFc配列は、2つの定常領域、すなわち、CH2領域及びCH3領域を含み、任意に、CH4領域を含む。ヒトFcドメインは、任意の適切な免疫グロブリン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD、又はIgMから得てもよい。
適切なFcドメインは、1)N末端システイン残基を有する成熟ペプチドの前で切断される、分泌又は膜貫通タンパク質から得られるシグナルペプチド、それと隣接した2)N末端システイン残基を有するFcドメインポリペプチドを含むプレFcキメラポリペプチドの、組み換えDNAによる発現によって作製される。
シグナルペプチドの適切な例は、ソニックヘッジホッグ(SHH)(GenBank Acc.No.NM000193)、IFNα−2(IFN)(GenBank Acc.No.NP000596)、及びコレステロールエステルトランスフェラーゼ(CETP)(GenBank Accession No.NM000078)である。他の適切な例としては、インディアンヘッジホッグ(GenBank Acc.No.NM002181)、デザートヘッジホッグ(GenBank Acc.No.NM021044)、IFNα−1(GenBank Acc.No.NP076918)、IFNα−4(GenBank Acc.No.NM021068)、IFNα−5(GenBank Acc.No.NM002169)、IFNα−6(GenBank Acc.No.NM021002)、IFNα−7(GenBank Acc.No.NM021057)、IFNα−8(GenBank Acc.No.NM002170)、IFNα−10(GenBank Acc.No.NM002171)、IFNα−13(GenBank Acc.No.NM006900)、IFNα−14(GenBank Acc.No.NM002172)、IFNα−16(GenBank Acc.No.NM002173)、IFNα−17(GenBank Acc.No.NM021268)、及びIFNα−21(GenBank Acc.No.NM002175)が挙げられる。
Fcドメイン及びそれらのプレFcキメラポリペプチドの適切な例を、配列番号1から配列番号96に示す。Fcドメインは、シグナルペプチドの分泌及び切断を引き起こす条件下で、細胞においてプレFcキメラポリペプチドを発現させることによって得られる。プレFcキメラポリペプチドを、原核又は真核宿主細胞の何れかで発現させてもよい。好ましくは、哺乳類宿主細胞に、プレFcキメラポリペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクトする。
N末端配列CDKTHTCPPCPAPE、CPPCPAPE、及びCPAPEを有する、ヒトIgG1のFcドメインを、それぞれ、配列番号1、配列番号9、及び配列番号17に示し、それらをコードするDNA配列を、それぞれ、配列番号2、配列番号10、及び配列番号18に示す。配列番号1のIgG1ドメインは、配列番号3(SHHシグナルペプチド)、配列番号5(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号7(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号9のIgG1ドメインは、配列番号11(SHHシグナルペプチド)、配列番号13(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号15(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号12、配列番号14、及び配列番号16に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号17のIgG1ドメインは、配列番号19(SHHシグナルペプチド)、配列番号21(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号23(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号20、配列番号22、及び配列番号24に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。
N末端配列CCVECPPCPAPE、CVECPPCPAPE、CPPCPAPE、及びCPAPEを有する、ヒトIgG2のFcドメインを、それぞれ、配列番号25、配列番号33、配列番号41、及び配列番号49に示し、それらをコードするDNA配列を、それぞれ、配列番号26、配列番号34、配列番号42、及び配列番号50に示す。配列番号25のIgG2ドメインは、配列番号27(SHHシグナルペプチド)、配列番号29(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号31(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号28、配列番号30、及び配列番号32に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号33のIgG2ドメインは、配列番号35(SHHシグナルペプチド)、配列番号37(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号39(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号36、配列番号38、及び配列番号40に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号41のIgG2ドメインは、配列番号43(SHHシグナルペプチド)、配列番号45(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号47(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号44、配列番号46、及び配列番号48に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号49のIgG2ドメインは、配列番号51(SHHシグナルペプチド)、配列番号53(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号55(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号52、配列番号54、及び配列番号56に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。
N末端配列(CPRCPEPKSDTPPP)3−CPRCPAPE、CPRCPAPE、及びCPAPEを有する、ヒトIgG3のFcドメインを、それぞれ、配列番号57、配列番号65、及び配列番号73に示し、それらをコードするDNA配列を、それぞれ、配列番号58、配列番号66、配列番号42、及び配列番号74に示す。配列番号57のIgG3ドメインは、配列番号59(SHHシグナルペプチド)、配列番号61(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号63(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号60、配列番号62、及び配列番号64に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号65のIgG3ドメインは、配列番号67(SHHシグナルペプチド)、配列番号69(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号71(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号68、配列番号70、及び配列番号72に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号73のIgG3ドメインは、配列番号75(SHHシグナルペプチド)、配列番号77(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号79(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号76、配列番号78、及び配列番号80に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。
N末端配列CPSCPAPE及びCPAPEを有する、ヒトIgG4のFcドメインの配列を、それぞれ、配列番号81及び配列番号89に示し、それらをコードするDNA配列を、それぞれ、配列番号82及び配列番号90に示す。配列番号81のIgG4ドメインは、配列番号83(SHHシグナルペプチド)、配列番号85(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号87(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号84、配列番号86、及び配列番号88に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。配列番号89のIgG4ドメインは、配列番号91(SHHシグナルペプチド)、配列番号93(IFNシグナルペプチド)、及び配列番号95(CETPシグナルペプチド)に示すプレFcキメラポリペプチドを、それぞれ、配列番号92、配列番号94、及び配列番号96に示すDNA配列を使用して発現させることによって得られる。
重鎖N末端にシステイン残基を有する適切な抗体変異体は、1)N末端システイン残基を有する成熟ペプチドの前で切断される、分泌又は膜貫通タンパク質から得られるシグナルペプチド、それと隣接した2)N末端システイン残基を有する抗体重鎖ポリペプチドを含むプレ重鎖キメラポリペプチドの、組み換えDNAによる発現によって作製される。
軽鎖N末端にシステイン残基を有する適切な抗体変異体は、1)N末端システイン残基を有する成熟ペプチドの前で切断される、分泌又は膜貫通タンパク質から得られるシグナルペプチド、それと隣接した2)N末端システイン残基を有する抗体軽鎖ポリペプチドを含むプレ軽鎖キメラポリペプチドの、組み換えDNAによる発現によって作製される。
トラスツズマブ重鎖及び軽鎖は、シグナルペプチドの分泌及び切断を引き起こす条件下で、細胞においてプレ重鎖及びプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。プレ重鎖及びプレ軽鎖ポリペプチドを、原核又は真核宿主細胞のいずれかにおいて発現させてもよい。好ましくは、哺乳類宿主細胞に、プレ重鎖及びプレ軽鎖ポリペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクトする。
前述の抗体重鎖、プレ重鎖、軽鎖、及びプレ軽鎖変異体のN末端に付加されるタンパク質配列は、組み換え抗体トラスツズマブについてここで示されるが、一般に、いかなる組み換え抗体にも適用できる。トラスツズマブ及びその変異体をコードするDNA配列を、参照によりここに組み込まれる米国特許第5,821,337号(「免疫グロブリン変異体」)に記載されているような、重鎖及び軽鎖、並びにそれらから得られる変異体について、DNAベクターを共トランスフェクトすることによって、哺乳類細胞において構築し、発現させてもよい。野生型トラスツズマブの軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号128及び配列番号129に示す。
N末端システイン残基を有するトラスツズマブ軽鎖及びそれらのプレFcキメラポリペプチドの適切な例を、配列番号130から配列番号165に示す。N末端システイン残基を有するトラスツズマブ重鎖及びそれらのプレFcキメラポリペプチドの適切な例を、配列番号166から配列番号201に示す。
N末端配列C、CP、CPP、CPR、CPS、CDKT、CDKTHT、CVE及びCDTPPPを有するトラスツズマブ軽鎖を、それぞれ、配列番号130、配列番号134、配列番号138、配列番号142、配列番号146、配列番号150、配列番号154、配列番号158、及び配列番号162に示す。配列番号130の軽鎖は、配列番号131(SHHシグナルペプチド)、配列番号132(IFNシグナルペプチド)及び配列番号133(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号134の軽鎖は、配列番号135(SHHシグナルペプチド)、配列番号136(IFNシグナルペプチド)及び配列番号137(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号138の軽鎖は、配列番号139(SHHシグナルペプチド)、配列番号140(IFNシグナルペプチド)及び配列番号141(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号142の軽鎖は、配列番号143(SHHシグナルペプチド)、配列番号144(IFNシグナルペプチド)及び配列番号145(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号146の軽鎖は、配列番号147(SHHシグナルペプチド)、配列番号148(IFNシグナルペプチド)及び配列番号149(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号150の軽鎖は、配列番号151(SHHシグナルペプチド)、配列番号152(IFNシグナルペプチド)及び配列番号153(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号154の軽鎖は、配列番号155(SHHシグナルペプチド)、配列番号156(IFNシグナルペプチド)及び配列番号157(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号158の軽鎖は、配列番号159(SHHシグナルペプチド)、配列番号160(IFNシグナルペプチド)及び配列番号161(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号162の軽鎖は、配列番号163(SHHシグナルペプチド)、配列番号164(IFNシグナルペプチド)及び配列番号165(CETPシグナルペプチド)に示すプレ軽鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。
N末端配列C、CP、CPP、CPR、CPS、CDKT、CDKTHT、CVE及びCDTPPPを有するトラスツズマブ重鎖を、それぞれ、配列番号166、配列番号170、配列番号174、配列番号178、配列番号182、配列番号186、配列番号190、配列番号194、及び配列番号198に示す。配列番号166の重鎖は、配列番号167(SHHシグナルペプチド)、配列番号168(IFNシグナルペプチド)及び配列番号169(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号170の重鎖は、配列番号171(SHHシグナルペプチド)、配列番号172(IFNシグナルペプチド)及び配列番号173(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号174の重鎖は、配列番号175(SHHシグナルペプチド)、配列番号176(IFNシグナルペプチド)及び配列番号177(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号178の重鎖は、配列番号179(SHHシグナルペプチド)、配列番号180(IFNシグナルペプチド)及び配列番号181(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号182の重鎖は、配列番号183(SHHシグナルペプチド)、配列番号184(IFNシグナルペプチド)及び配列番号185(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号186の重鎖は、配列番号187(SHHシグナルペプチド)、配列番号188(IFNシグナルペプチド)及び配列番号189(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号190の重鎖は、配列番号191(SHHシグナルペプチド)、配列番号192(IFNシグナルペプチド)及び配列番号193(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドを発現させることによって得られる。配列番号194の重鎖は、配列番号195(SHHシグナルペプチド)、配列番号196(IFNシグナルペプチド)及び配列番号197(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドによって得られる。配列番号198の重鎖は、配列番号199(SHHシグナルペプチド)、配列番号200(IFNシグナルペプチド)及び配列番号201(CETPシグナルペプチド)に示すプレ重鎖キメラポリペプチドによって得られる。
適切な宿主細胞としては、American Type Culture Collection(Rockville、Md.)から得られる、293ヒト肺細胞(ATCC CRL−1573)及びCHO−K1ハムスター卵巣細胞(ATCC CCL−61)が挙げられる。細胞を、空気95%;二酸化炭素5%の雰囲気下で、37℃で増殖させる。293細胞は、1.5g/Lの炭酸水素ナトリウム、0.1mMの非必須アミノ酸、及び1.0mMのピルビン酸ナトリウム90%;ウシ胎児血清10%を含有するように調整された、2mMのL−グルタミン及びアール液を含む最小必須培地(イーグル)で維持される。CHO−K1細胞は、1.5g/Lの炭酸水素ナトリウム90%;ウシ胎児血清10%を含有するように調整された、2mMのL−グルタミンを含むHam’s F12K培地で維持される。他の適切な宿主細胞としては、CV1サル腎細胞(ATCC CCL−70)、COS−7サル腎細胞(ATCC CRL−1651)、VERO−76サル腎細胞(ATCC CRL−1587)、HELAヒト子宮頸部細胞(ATCC CCL−2)、W138ヒト肺細胞(ATCC CCL−75)、MDCKイヌ腎細胞(ATCC CCL−34)、BRL3Aラット肝細胞(ATCC CRL−1442)、BHKハムスター腎細胞(ATCC CCL−10)、MMT060562マウス乳腺細胞(ATCC CCL−51)、及びCD8.sup.+T細胞(参照によりその全体がここに組み込まれるU.S.Ser.No.08/258,152に記載されている)が挙げられる。
適切な発現ベクターの例は、配列番号97に示すpCDNA3.1(+)、及び配列番号98に示すpSAである。プラスミドpSAは、以下のDNA配列要素を含む。1)pBluescriptIIKS(+)(ヌクレオチド912〜2941/1〜619、GenBank Accession No.X52327)、2)ヒトサイトメガロウイルスプロモーター、エンハンサー、及び第1エクソンのスプライスドナー(ヌクレオチド63〜912、GenBank Accession No.K03104)、3)ヒトα1−グロブリンの第2エクソンのスプライスアクセプター(ヌクレオチド6808〜6919、GenBank Accession No.J00153)、4)SV40T抗原のポリアデニル化部位(ヌクレオチド2770〜2533、Reddyら(1978)Science 200、494〜502)、及び5)SV40の複製起点(ヌクレオチド5725〜5578、Reddyら、同書)。他の適切な発現ベクターとしては、プラスミドpSVeCD4DHFR及びpRKCD4(米国特許第5,336,603号)、プラスミドpIK.1.1(米国特許第5,359,046号)、プラスミドpVL−2(米国特許第5,838,464号)、プラスミドpRT43.2F3(参照によりその全体がここに組み込まれるU.S.Ser.No.08/258,152に記載されている)が挙げられる。
ヒトIgGのプレFcポリペプチドに適した発現ベクターは、配列番号98から作製されるHindIII−PspOM1ベクターフラグメントと、配列番号4、6、8、12、14、16、20、22、24、28、30、32、36、38、40、44、46、48、52、54、56、60、62、64、68、70、72、76、78、80、84、86、88、92、94、及び96から作製されるHindIII−EagI挿入フラグメントとのライゲーションによって構築されてもよい。
適切な選択可能なマーカーとしては、Tn5トランスポゾンのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NEO)遺伝子(Southern及びBerg(1982)J.Mol.Appl.Gen.1、327〜341)、及びジヒドロ葉酸レダクターゼ(DNFR)cDNA(Lucasら1996)Nucl.Acids Res.24、1774〜1779)が挙げられる。NEO遺伝子を組み込む適切な発現ベクターの一例は、プラスミドpSA−NEOであり、それは、配列番号99をEcoRI及びBglIIで消化することにより作製される第1のDNAフラグメントを、配列番号98をEcoRI及びBglIIで消化することにより作製される第2のDNAフラグメントとライゲートすることによって構築される。配列番号99は、翻訳開始配列が先行する、NEO遺伝子(ヌクレオチド1551〜2345、Genbank Accession No.U00004)を組み込む(Kozak(1991)J.Biol.Chem、266、19867〜19870)。NEO遺伝子及びDHFR cDNAを組み込む、適切な発現ベクターの別の例は、プラスミドpSVe−NEO−DHFRであり、それは、配列番号99をEcoRI及びBglIIで消化することにより作製される第1のDNAフラグメントを、pSVeCD4DHFRをEcoRI及びBglIIで消化することにより作製される第2のDNAフラグメントとライゲートすることによって構築される。プラスミドpSVe−NEO−DHFRは、NEO遺伝子及びDHFR cDNAの発現を推進するために、SV40初期プロモーター/エンハンサーを使用する。他の適切な選択可能なマーカーとしては、XPGT遺伝子(Mulligan及びBerg(1980)Science 209、1422〜1427)、及びハイグロマイシン耐性遺伝子(Sugdenら(1995)Mol.Cell.Biol.5、410〜413)が挙げられる。
一態様において、細胞は、Grahamら(1977)J.Gen.Virol.36、59〜74のリン酸カルシウム法によってトランスフェクトされる。DNA混合物(10ug)は、0.5mlの1mMトリス−HCl、0.1ml EDTA及び227mM CaCl2に溶解される。DNA混合物は、発現ベクターDNA、選択可能なマーカーDNA、及び、VA RNA遺伝子(Thimmappayaら、(1982)Cell 31、543〜551)をコードするDNAを(10:1:1の比で)含有する。この混合物に、0.5mLの50mM Hepes(pH7.35)、280mM NaCl、及び1.5mM NaPO4が滴下される。25℃で10分間、DNA沈殿物を形成させ、懸濁させ、100mmのプラスチック製組織培養皿でコンフルエントに増殖した細胞に添加する。37℃で4時間後、培地が吸引され、PBS中の20%グリセロール2mlが、0.5分間添加される。次いで、細胞は、血清不含培地で洗浄され、新しい培地が添加され、細胞は、5日間インキュベートされる。
別の態様において、細胞は、Somparyracら(1981)Proc.Nat.Acad.Sci.12、7575〜7579の硫酸デキストラン法によって一時的にトランスフェクトされる。細胞を、スピナーフラスコにおいて最大密度まで増殖させ、その細胞は、遠心分離によって濃縮され、PBSで洗浄される。DNA−デキストラン沈殿物は、細胞ペレット上でインキュベートされる。37℃で4時間後、DEAE−デキストランは、吸引され、PBS中の20%グリセロールが、1.5分間添加される。次いで、細胞は、血清不含培地で洗浄され、5マイクログラム/mlのウシインスリン及び0.1マイクログラム/mlのウシトランスフェリンを含有する新しい培地を含むスピナーフラスコに再度導入され、4日間インキュベートされる。
何れかの方法によるトランスフェクション後、馴化培地は、遠心分離され、濾過され、宿主細胞及び残屑が除去される。次いで、Fcドメインを含むサンプルが濃縮され、任意の選択された方法、例えば、透析、及び/又はカラムクロマトグラフィーによって精製される(以下参照)。細胞培養上清中のFcドメインを同定するために、細胞培地が、トランスフェクションの24〜96時間後に除去され、濃縮され、ジチオトレイトールなどの還元剤の存在又は非存在下のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分析される。
非増幅発現の場合、効率の高い手順(Gormanら、DNA Prot.Eng.Tech.2:3 10(1990))を使用して、プラスミドが、ヒト293細胞(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59 74(1977))にトランスフェクトされる。培地は、5日間まで毎日、血清不含のものに取りかえられ、回収される。非増幅発現の場合、効率の高い手順(Gormanら、DNA Prot.Eng.Tech.2:3 10(1990))を使用して、プラスミドが、ヒト293細胞(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59 74(1977))にトランスフェクトされる。培地は、5日間まで毎日、血清不含のものに取りかえられ、回収される。Fcドメインは、HiTrap Protein A HP(Pharmacia)を使用して、細胞培養上清から精製される。溶離したFcドメインは、Centricon−30(Amicon)を使用して、PBSにバッファー交換され、0.5mlに濃縮され、4℃で、Millex−GV(Millipore)を使用して滅菌濾過される。
一連の連続アミノ酸
ここで言及する一連の連続アミノ酸の例としては、それらに限定されないが、結合ドメインを含む連続アミノ酸、例えば、分泌又は膜貫通タンパク質、細胞内結合ドメイン、及び抗体(全体若しくはその一部)、並びにそれらの改変形が挙げられる。以下は、一部の非限定的例である。
1)免疫グロブリン
用語「抗体」を、最も広い意味で使用し、それは、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、一価抗体、多価抗体、並びに、所望の生物学的活性を示す限りは、抗体フラグメント(例えば、Fab及び/又は単一アーム抗体)を包含する。
抗体の「クラス」は、抗体の重鎖がもつ定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、更に、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に分けてもよい。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体が結合する抗原に結合する、インタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例としては、それらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);及び、抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
ここで、用語「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「完全な抗体」を、天然型抗体の構造に実質的に類似する構造を有する、又はここで定義するFc領域を含む重鎖を有する抗体を指すために互換的に使用する。
「ブロッキング」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を(部分的に又は完全に)顕著に阻害するものである。
基準抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、抗原への基準抗体の結合を50%以上ブロックする、逆に、基準抗体が、競合アッセイにおいて、抗原への該抗体の結合を50%以上ブロックする抗体を指す。例示的な競合アッセイをここで示す。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗原への抗体の結合に関与する、抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然型抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に類似の構造を有し、各ドメインは、4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindtら、Kuby Immunology、第6版、W.H.Freeman and Co.、91頁(2007)を参照されたい)。単一VH又はVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であってもよい。更に、特定の抗原と結合する抗体は、抗原に結合する抗体からのVH又はVLドメインを使用して、それぞれ、相補的なVL又はVHドメインのライブラリーをスクリーニングして単離されてもよい。例えば、Portolanoら、J.Immunol.150:880〜887(1993);Clarksonら、Nature 352:624〜628(1991)を参照されたい。
用語「超可変領域」又は「HVR]は、ここで使用する場合、配列において超可変である、及び/又は構造的に定義されたループ(超可変ループ)を形成する、抗体可変ドメインの領域のそれぞれを指す。一般に、天然型4鎖抗体は、6つのHVRを含み、それをVHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3)含む。HVRは、一般に、超可変ループからの、及び/又は「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は、最も高い配列可変性のもの、及び/又は抗原認識に関与するものである。例示の超可変ループは、アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)に存在する(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))。例示的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)は、L1のアミノ酸残基24〜34、L2のアミノ酸残基50〜56、L3のアミノ酸残基89〜97、H1のアミノ酸残基31〜35B、H2のアミノ酸残基50〜65、及びH3のアミノ酸残基95〜102に存在する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991))。VH中のCDR1を除いて、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原に接触する残基である「特異性決定残基」又は「SDR」も含む。SDRは、短縮CDR又はa−CDRと呼ばれるCDR領域内に含まれる。例示的なa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、L1のアミノ酸残基31〜34、L2のアミノ酸残基50〜55、L3のアミノ酸残基89〜96、H1のアミノ酸残基31〜35B、H2のアミノ酸残基50〜58、及びH3のアミノ酸残基95〜102に存在する(Almagro及びFransson、Front.Biosci.13:1619〜1633(2008)を参照されたい)。特に指示がない限り、ここで、可変ドメイン中のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、Kabatら、前掲、に従って番号が付与される。
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)の残基を除く、可変ドメインの残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン、すなわち、FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)における以下の配列、すなわち、FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に出現する。
語句「N末端切断型重鎖」は、ここで使用する場合、完全長免疫グロブリン重鎖のすべてではなく一部を含むポリペプチドを指し、そこで、欠損部分は、通常、重鎖のN末端領域にあるものである。欠損部分は、それらに限定されないが、可変ドメイン、CH1、及びヒンジ配列の一部又は全体を含んでもよい。一般に、野生型ヒンジ配列が存在しない場合、N末端切断型重鎖の残りの定常ドメインは、別のFc配列(すなわち、ここで記述する「第1の」Fcポリペプチド)に連結できる構成成分を含むであろう。例えば、前記構成成分は、ジスルフィド結合を形成できる修飾残基又は付加システイン残基でありうる。
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことをいう。いくつかの態様において、FcRは、天然型ヒトFcRである。いくつかの態様において、FcRは、IgG抗体(γ受容体)と結合するものであり、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、それらには、これらの受容体の対立遺伝子変異体、選択的スプライスによる形態が含まれる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性型受容体」)及びFcγRIIB(「阻害型受容体」)があり、それらは、主にその細胞質ドメインが異なる、類似のアミノ酸配列を有する。活性型受容体FcγRIIAは、細胞質ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害型受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)を含む。(例えば、Daeron、Annu.Rev.Immunol.15:203〜234(1997)を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch及びKinet、Annu.Rev.Immunol、9:457〜92(1991);Capelら、Immunomethods 4:25〜34(1994);及びde Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330〜41(1995)で概説されている。他のFcRは、将来同定されることになるものを含めて、ここで、用語「FcR」により包含される。
用語「Fc受容体」又は「FcR」は、母性IgGの胎児への移送(Guyerら、J.Immunol.117:587(1976)及びKimら、J.Immunol.24:249(1994))、及び、免疫グロブリンのホメオスタシスの調節に関与する新生児性受容体FcRnも含む。FcRnへの結合を測定する方法は、既知である(例えば、Ghetie及びWard.、Immunol.Today 18(12):592〜598(1997);Ghetieら、Nature Biotechnology、15(7):637〜640(1997);Hintonら、J.Biol.Chem.279(8):6213〜6216(2004);WO2004/92219(Hintonら)を参照されたい)。
インビボでのヒトFcRnへの結合、及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現する、トランスジェニックマウス若しくはトランスフェクトされたヒト細胞株において、又は、変異型Fc領域を有するポリペプチドを投与された霊長類においてアッセイすることができる。WO2000/42072(Presta)は、FcRへの結合を向上又は減弱させる抗体変異体を説明している。例えば、Shieldsら、J.Biol.Chem.9(2):6591〜6604(2001)も参照されたい。
「ヒンジ領域」、「ヒンジ配列」、及びそれらの変形は、ここで使用する場合、当分野で既知の意味を含み、それは、例えば、Janewayら、Immuno Biology:the immune system in health and disease(Elsevier Science Ltd.、NY)(第4版、1999);Bloomら、Protein Science(1997)、6:407〜415;Humphreysら、J.Immunol.Methods(1997)、209:193〜202において説明されている。
特に指示がない限り、「多価抗体」という表現を、3つ以上の抗原結合部位を含む抗体を指すために、本明細書全体を通して使用する。多価抗体は、好ましくは、3つ以上の抗原結合部位を有するように操作されたものであり、一般に、天然配列のIgM又はIgA抗体ではない。
「Fv」フラグメントは、完全な抗原認識及び結合部位を含む抗体フラグメントである。この領域は、例えば、scFvにおいては、本質的に共有結合することができる、密接な会合状態の1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインとのダイマーからなる。各可変ドメインの3つのHVRが、VH−VLダイマーの表面で抗原結合部位を定めるために相互作用するのは、この立体配置においてである。まとめると、6つのHVR又はそれらのサブセットは、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのHVRのみを含む、半分のFv)でさえ、通常、結合部位全体よりは低い親和性ではあるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
「Fab」フラグメントは、軽鎖の可変及び定常ドメインと、重鎖の可変ドメイン及び第1の定常領域(CH1)とを含む。F(ab’)2抗体フラグメントは、一対のFabフラグメントを含み、それらは、一般に、それらの間のヒンジシステインによってそのカルボキシ末端近傍で共有結合により連結されている。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも当分野で既知である。
語句「抗原結合アーム」は、ここで使用する場合、目的の標的分子に特異的に結合する能力を有する抗体フラグメントの構成部分を指す。一般に且つ好ましくは、抗原結合アームは、免疫グロブリンポリペプチド配列、例えば、HVR及び/又は免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列の複合体である。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、VH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それは、scFVが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、Vol 113、Rosenburg及びMoore編、Springer−Verlag、New York、269〜315頁(1994)を参照されたい。
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、そのフラグメントは、同一ポリペプチド鎖(VH及びVL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、そのドメインは別の鎖の相補的ドメインと強制的に対合し、2つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、例えば、EP404097;WO93/11161;及びHollingerら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA、90:6444〜6448(1993)に、より十分に記載されている。
「直鎖状抗体」という表現は、Zapataら、Protein Eng.8(10):1057〜1062(1995)に記載されている抗体を意味する。簡潔には、これらの抗体は、相補的な軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む。直鎖状抗体は、二重特異性又は単一特異性であってもよい。
ここで使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる変異を含む、又はモノクローナル抗体調製物の製造時に発生する、一般に少量で存在している変異体などの可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は、同一である、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするものとして解釈すべきではない。例えば、使用しようとするモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作られてもよく、モノクローナル抗体を作るためのそのような方法及び他の例示的な方法を、ここで記述している。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種から得られ、重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる供給源又は種から得られる抗体を指す。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基と、ヒトFRからのアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。ある種の態様において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含み、そこでは、HVR(例えば、CDR)のすべて又は実質的にすべてが、非ヒト抗体のものに対応し、すべて又は実質的にすべてのFRが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化された抗体を指す。
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又はヒト抗体をコードする他の配列を利用した非ヒト供給源から得られる抗体のアミノ酸配列に対応する、アミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。
「ネイキッド抗体」は、異種の部分(例えば、細胞毒性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、医薬製剤に存在してもよい。
「天然型抗体」は、様々な構造を有する、天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に、3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)が続く。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に、定常軽鎖(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの一方に割り当てられてもよい。
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総合的な強度を意味する。ここで使用する場合、特に断りがない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体及び抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映している、本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に、解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、ここで記述するものを含む、当分野で既知の一般的方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な実例的及び例示的態様を、以下に記述する。
「親和性成熟」抗体は、変更を有していない親抗体と比較して、その1つ以上のHVRにおいて1つ以上の変更を有する抗体を指し、そのような変更は、抗原への抗体の親和性を高める。
指定された抗体の「生物学的特徴」を有する抗体は、同じ抗原に結合する他の抗体とそれを区別する、その抗体の生物学的特徴の1つ以上を有する抗体である。
抗体の「機能的抗原結合部位」は、標的抗原に結合することができる部位である。抗原結合部位の抗原結合親和性は、必ずしも、抗原結合部位が得られる親抗体ほど強いとは限らないが、抗原に結合する能力は、抗原への抗体の結合を評価するための既知の様々な方法の何れかを使用して測定できなければならない。更に、ここで、多価抗体の抗原結合部位の各々の抗原結合親和性は、量的に同じである必要はない。ここでの多量体抗体について、機能的抗原結合部位の数は、米国特許出願公開第20050186208号の例2に記載されている通り、超遠心分離分析を用いて評価することができる。この分析方法によれば、標的抗原対多量体抗体の異なる比が組み合わされ、複合体の平均分子量が、機能的結合部位の異なった数を仮定して計算される。これらの理論値は、機能的結合部位の数を評価するために得られた実際の実験値と比較される。
「種依存性抗体」は、第2の哺乳類種からの抗原の相同体に対して有している結合親和性よりも強力な、第1の哺乳類種からの抗原への結合親和性を有する抗体である。通常、種依存性抗体は、ヒト抗原と「特異的に結合」する(すなわち、約1×10-7M以下、好ましくは約1×10-8以下、最も好ましくは約1×10-9M以下の結合親和性(Kd)値を有する)が、そのヒト抗原への結合親和性よりも、少なくとも約50倍、又は少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い、第2の非ヒト哺乳類種からの抗原の相同体への結合親和性を有する。種依存性抗体は、上で定義した種々のタイプの抗体の何れかでありうる。いくつかの態様において、種依存性抗体は、ヒト化又はヒト抗体である。
「単離された」抗体は、その自然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定される、純度95%超又は99%に精製される。抗体純度の評価のための方法の概説については、Flatmanら、J.Chromatogr.B 848:79〜87(2007)を参照されたい。
2)細胞外タンパク質
細胞外タンパク質は、とりわけ、多細胞生物の形成、分化、及び維持において重要な役割を果たす。目的の様々な細胞外タンパク質の検討は、参照により組み込まれる、2004年4月20日に発行された米国特許第6,723,535号(Ashkenaziら)に記載されている。
多くの個々の細胞の運命、例えば、増殖、遊走、分化、又は他の細胞との相互作用は、典型的には、他の細胞及び/又は直近の環境から受け取る情報によって統制されている。この情報は、しばしば、分泌ペプチド(例えば、分裂促進因子、生存因子、細胞毒性因子、分化因子、神経ペプチド、及びホルモン)により伝達され、これが、多様な細胞受容体又は膜結合タンパク質により受け取られ、解釈される。これらの分泌ポリペプチド又はシグナル分子は、通常、細胞の分泌経路を通過し、細胞外環境に存在するそれらの活性部位に到達する。
分泌タンパク質は、製薬、診断、バイオセンサー及びバイオリアクターを含む、様々な産業上の利用性を有している。血栓溶解剤、インターフェロン、インターロイキン、エリスロポエチン、コロニー刺激因子、及び様々な他のサイトカインなどの、現在入手可能な大抵のタンパク質薬は、分泌タンパク質である。膜タンパク質であるその受容体も、治療又は診断用薬剤としての可能性を有している。新規の天然型分泌タンパク質を同定する努力が産業界と学術界の両方によってなされている。新規な分泌タンパク質のコード配列を同定するために、多くの努力が、哺乳類組換えDNAライブラリーのスクリーニングに注がれている。スクリーニング方法及び技術の例は、文献に記載されている(例えば、Kleinら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:7108〜7113(1996);米国特許第5,536,637号を参照されたい)。
膜結合タンパク質と受容体は、とりわけ、多細胞生物の形成、分化及び維持において重要な役割を果たすことができる。多くの個々の細胞の運命、例えば増殖、遊走、分化又は他の細胞との相互作用は、典型的には、他の細胞及び/又は直近の環境から受け取る情報に統制される。この情報は、しばしば、分泌ポリペプチド(例えば、分裂促進因子、生存因子、細胞毒性因子、分化因子、神経ペプチド、及びホルモン)により伝達され、これが、多様な細胞受容体又は膜結合タンパク質により受け取られ、解釈される。このような膜結合タンパク質と細胞受容体としては、それらに限定されないが、サイトカイン受容体、受容体キナーゼ、受容体ホスファターゼ、細胞−細胞間相互作用に関与する受容体、並びに、セレクチン及びインテグリンのような細胞接着分子が挙げられる。例えば、細胞の成長及び分化を調節するシグナルの伝達は、様々な細胞タンパク質のリン酸化により部分的に調節される。そのプロセスを触媒する酵素であるプロテインチロシンキナーゼは、成長因子受容体としても作用することができる。例としては、繊維芽細胞成長因子及び神経成長因子受容体が挙げられる。
膜結合タンパク質及び受容体分子は、製薬及び診断薬を含む、様々な産業上の利用性を有している。例えば、受容体イムノアドヘシンは、受容体−リガンド間相互作用をブロックする治療薬として用いることができる。膜結合タンパク質は、関連する受容体/リガンド間相互作用の可能性のあるペプチド又は小分子インヒビターをスクリーニングするために使用することもできる。
3)インテインベースのC末端合成
例えば、2005年2月1日に発行された米国特許第6,849,428号に記載されている通り、インテインは、自己スプライシングRNAイントロンのタンパク質同等物であり(Perlerら、Nucleic Acids Res.22:1125〜1127(1994))、それは、前駆タンパク質からのそれら自体の切除を触媒し、同時に、エクステインとして知られるフランキングタンパク質配列を融合させる(Perlerら、Curr.Opin.Chem.Biol.1:292〜299(1997);Perler,F.B.Cell 92(1):1〜4(1998);Xuら、EMBO J.15(19):5146〜5153(1996)で概説されている)。
インテインスプライシング機構の研究により、Sce VMAインテインのN末端でのペプチド結合のチオール誘導切断を使用するタンパク質精製システムが開発された(Chongら、Gene、192(2):271〜281(1997)。このインテイン媒介システムによる精製によって、C末端チオエステルを有する細菌発現タンパク質が生ずる(Chongら,(1997))。細胞毒性タンパク質を単離すると述べられている1つの用途において、C末端チオエステルを有する細菌発現タンパク質は、「天然化学ライゲーション」に関する化学(Evansら、Protein Sci.、7:2256〜2264(1998)、Muirら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:6705〜6710(1998))を使用して、N末端システインを有する化学合成ペプチドと融合される。
「インテイン媒介タンパク質ライゲーション(IPL)」と呼ばれるこの技法により、タンパク質半合成法がかなり進歩した。しかし、約100を超える残基を有する化学合成ペプチドを得ることが困難であるので、IPLの一般的な適用は、ライゲーションの相手としての化学合成ペプチドの要件により限定された。
例えば、米国特許第6,849,428号に記載されている通り、所定のN末端、例えば、システインを有する発現タンパク質が作製された時、IPL技術は、著しく拡大した。これにより、宿主細胞、例えば、細菌、酵母、哺乳類細胞から発現させた1種以上のタンパク質を融合させることが可能になる。非限定的な一例において、C末端又はN末端のいずれかで開裂する、改変RIR1 Methanobacterium thermoautotrophicumのインテインを使用し、これにより、1カラム精製の間に、細菌発現タンパク質の放出が可能になり、したがって、プロテアーゼの必要性が完全になくなる。
インテイン技術は、構成成分を得るための1つの経路の一例である。一態様において、本発明の化合物のサブユニットは、成熟キメラペプチドを発現及び分泌できる適切な細胞をトランスフェクトすることによって得られ、そこでは、そのようなポリペプチドは、例えば、単離可能なC末端インテインドメインに隣接するアドヘシンドメインを含む(例えば、参照により組み込まれる、2005年2月1日に発行された、米国特許第6,849,428(Evansら)を参照されたい)。哺乳類細胞又は細菌細胞などの細胞は、既知の組み換えDNA技法を使用してトランスフェクトされる。次いで、分泌されたキメラポリペプチドは、例えば、インテイン−キチン結合ドメインの場合は、キチン誘導体化樹脂を使用して単離することができ(参照により組み込まれる、2005年5月24日に発行された、米国特許第6,897,285号(Xuら)を参照されたい)、次いで、チオール媒介切断、及びこの時点でC末端チオエステル末端付きサブユニットの放出を可能にする条件下で処理される。チオエステル末端付きアドへシンサブユニットは、C末端システイン末端付きサブユニットに容易に変換される。
例えば、インテイン自動切断反応後に、天然化学ライゲーションによる、C末端へのシステイン、セレノシステイン、ホモシステイン若しくはホモセレノシステイン、又はシステイン、セレノシステイン、ホモシステイン、ホモセレノシステインの誘導体の簡単な添加を可能にするチオエステル中間体を生じさせる。天然化学ライゲーションにより、システイン、セレノシステイン、ホモシステイン若しくはホモセレノシステイン、又はシステイン、セレノシステイン、ホモシステイン、ホモセレノシステインの誘導体をC末端に付加する方法は、本発明の側面に有用であり、2008年10月16日に公開された米国特許出願第2008/0254512号(Capon)に記載されており、それは、参照によりその内容全体がここに組み込まれる。
キット
本発明の別の側面は、ここで開示する化合物及びこれらの化合物を含む医薬組成物を含むキットを提供する。キットは、化合物又は医薬組成物に加えて、診断又は治療薬を含んでもよい。キットは、診断又は治療法における使用説明書も含んでもよい。診断の態様において、キットは、化合物又はその医薬組成物、及び診断薬を含む。治療の態様において、キットは、抗体又はその医薬組成物、及び1種以上の治療薬、例えば、追加の抗悪性腫瘍薬、抗腫瘍薬又は化学療法薬を含む。
一般的技法
以下の記述は主に、コード核酸を含むベクターで形質転換又はトランスフェクトされる細胞を培養することによる、目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの生成に関する。当然、当分野で周知されている代替的方法が用いられてもよいことを企図する。例えば、アミノ酸配列又はその一部は、固相法を使用する直接ペプチド合成によって生成されてもよい(例えば、Stewartら、Solid−Phase Peptide Synthesis、W.H.Freeman Co.、San Francisco、Calif.(1969);Merrifield、J.Am.Chem.Soc.、85:2149〜2154(1963)を参照されたい)。インビトロタンパク質合成は、手動法を使用して、又は自動的に行われてもよい。自動合成は、例えば、製造元の説明書を使用して、Applied Biosystems Peptide Synthesizer(Foster City、Calif.)を使用して行われてもよい。目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの様々な部分を個々に又は組み合わせて、化学合成し、化学的又は酵素的方法を使用して、目的の完全長の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドを生成してもよい。
1.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞は、生成のために、ここに記述する発現又はクローニングベクターでトランスフェクト又は形質転換され、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、又は、所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために、必要に応じて改変された従来の栄養培地で培養される。培養条件、例えば、培地、温度、pHなどを、過度の実験をすることなく、当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール及び実際の技法は、Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach、M.Butler編(IRL Press、1991)、及びSambrookら、前掲、において見出すことができる。
真核生物細胞トランスフェクション及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl2、CaPO4、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは、当業者に既知である。使用する宿主細胞に応じて、形質転換は、そのような細胞に適した標準的方法を使用して行われる。Sambrookら、前掲、に記載されている塩化カルシウムを用いるカルシウム処理、又はエレクトロポレーションは、一般に、原核生物に使用される。Agrobacterium tumefaciensによる感染は、Shawら、Gene、23:315(1983)、及び1989年6月29日に公開されたWO89/05859に記載されているように、ある種の植物細胞の形質転換に使用される。そのような細胞壁を有しない哺乳類細胞については、Graham及びvan der Eb、Virology、52:456〜457(1978)のリン酸カルシウム沈殿法が使用される。哺乳類細胞の宿主系の形質転換の一般的な側面は、米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母への形質転換は、典型的には、Van Solingenら、J.Bact.、130:946(1977)、及びHsiaoら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、76:3829(1979)の方法に従って行われる。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、インタクト細胞との細菌プロトプラスト融合、又は、ポリカチオン、例えば、ポリブレン、ポリオルニチンも使用されてもよい。哺乳類細胞を形質転換するための様々な技法については、Keownら、Methods in Enzymology、185:527〜537(1990)、及びMansourら、Nature、336:348〜352(1988)を参照されたい。
ここで、ベクターにおいてDNAをクローニングする又は発現させるのに適切な宿主細胞は、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物としては、それらに限定されないが、真正細菌、例えば、グラム陰性又はグラム陽性微生物、例えば、大腸内細菌科、例えば、大腸菌(E.coli)が挙げられる。様々な大腸菌株が公に入手可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC 31,446);大腸菌X1776(ATCC 31,537);大腸菌株W3110(ATCC 27,325)及びK5772(ATCC 53,635)である。他の適切な原核動物宿主細胞としては、腸内細菌科、例えば、大腸菌属、例えば、大腸菌、エンテロバクター、Erwinia属、Klebsiella属、Proteus属、サルモネラ(Salmonella)、例えば、ネズミチフス菌(Salmonella tryphimurium)、Serratia属、例えば、Serratia marcescans、及び赤痢菌(Shigella)、並びに、桿菌、例えば、B.subtilis及びB.licheniformis(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266,710に記載されたB.licheniformis41P)、Pseudomonas属、例えば、緑膿菌(P.aeruginosa)、並びに、Streptomyces属が挙げられる。これらの例は、限定ではなく例示である。株W3110は、組み換えDNA生成物発酵に共通の宿主株であるので、1つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110を、宿主にとって内因性のタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子変異をもたらすように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonAptr3phoA E15(argF−lac)169 degP ompT kanrを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanrを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を有する37D6株である、大腸菌W3110株40B4;及び、1990年8月7日発行の米国特許第4,946,783号に開示されている変異ペリプラズムプロテアーゼを有する大腸菌株が挙げられる。或いは、クローニングのインビトロ法、例えば、PCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が適切である。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物は、ベクターをコードするのに適切なクローニング又は発現宿主である。Saccharomyces cerevisiaeは、よく使用される下等真核生物宿主微生物である。他には、Schizosaccharomyces pombe(Beach及びNurse、Nature、290:140(1981);1985年5月2日に公開されたEP139,383);Kluyveromyces宿主(米国特許第4,943,529号;Fleerら、Bio/Technology、9:968〜975(1991))、例えば、K.lactis(MW98−8C、CBS683、CBS4574;Louvencourtら、J.Bacteriol.737(1983)、K.fragilis(ATCC 12,424)、K.bulgaricus(ATCC 16,045)、K.wickeramii(ATCC 24,178)、K.waltii(ATCC 56,500)、K.drosophilarum(ATCC 36,906);Van den Bergら、Bio/Technology、8:135(1990))、K.thermotolerans及びK.marxianus;yarrowia属(EP402,226);Pichia pastoris(EP183,070);Sreekrishnaら、J.Basic Microbiol、28:265〜278(1988));Candida属;Trichoderma reesia(EP244,234);アカパンカビ(Neurospora crassa)(Caseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76:5259〜5263(1979));Schwanniomyces属、例えば、Schwanniomyces occidentalis(1990年10月31日に公開されたEP394,538);及び糸状真菌、例えば、Neurospora、Penicillium属、Tolypocladium(1991年1月10日に公開されたWO91/00357);並びに、Aspergillus属宿主、例えば、A.nidulans(Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、112:284〜289(1983);Tilburnら、Gene、26:205〜221(1983);Yeltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:1470〜1474(1984))、及びA.niger(Kelly及びHynes、EMBO J.、4:475〜479(1985))がある。ここで、メチロトローフ酵母が適切であり、メチロトローフ酵母としては、それらに限定されないが、Hansenula、Candida、Kloeckera、Pichia、Saccharomyces、Torulopsis、及びRhodotorulaからなる属から選択される、メタノールで成長できる酵母を含む。この酵母のクラスの例示である具体的な種のリストは、C.Anthony、The Biochemistry of Methylotrophs、269(1982)に記載されている。
目的のグリコシル化された一連の連続アミノ酸、又はポリペプチドの発現に適した宿主細胞は、多細胞生物由来のものである。非脊椎動物細胞の例としては、昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)S2及びSpodoptera Sf9、並びに、植物細胞が挙げられる。有用な哺乳類宿主細胞株の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及びCOS細胞である。より具体的な例としては、SV40(COS−7、ATCC CRL1651)により形質転換されたサル腎CV1細胞株;ヒト胚芽腎細胞株(293細胞、又は懸濁培養で成長するようにサブクローニングされた293細胞、Grahamら、J.Gen Virol.、36:59(1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.、23:243〜251(1980));ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);及びマウス乳腺腫瘍細胞(MMT 060562、ATCC CCL51)が挙げられる。適切な宿主細胞の選択は、当分野の技能の範囲内であると考える。
2.複製可能なベクターの選択及び使用
目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能なベクターに挿入されてもよい。様々なベクターが、公に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態であってもよい。適切な核酸配列は、様々な手順によって、ベクターに挿入されてもよい。一般に、DNAは、当分野で既知の技法を使用して、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター構成成分としては、それらに限定されないが、一般的には、シグナル配列、複製の起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終結配列のうちの1つ以上が挙げられる。これらの構成成分の1つ以上を含む適切なベクターの構築は、当業者に既知の標準的なライゲーション技術を用いる。
目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドは、組み換えによって、直接的にだけでなく、シグナル配列、又は、成熟タンパク質若しくはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドであってもよい、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして生成されてもよい。一般に、シグナル配列は、ベクターの構成成分であってもよいし、ベクターに挿入されるDNAをコードする一部であってもよい。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、1pp、又は熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される、原核生物シグナル配列であってもよい。酵母の分泌については、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(Saccharomyces及びKluyveromycesのα因子リーダーを含み、後者は、米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸性ホスファターゼリーダー、C.albicansグルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日に公開されたEP362,179)、又は1990年11月15日に公開されたWO90/13646に記載されているシグナルであってもよい。哺乳類細胞の発現において、同一又は関係種の分泌ペプチドからのシグナル配列などの哺乳類シグナル配列、並びに、ウイルス分泌リーダーが、タンパク質の分泌を誘導するために使用されてもよい。
発現ベクターとクローニングベクターの両方は、1つ以上の選択される宿主細胞において、ベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は、様々な細菌、酵母、ウイルスについてよく知られている。プラスミドpBR322由来の複製の起点は、ほとんどのグラム陰性菌に適していて、2muプラスミド起点は、酵母に適していて、様々なウイルス起源(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は、哺乳類細胞においてベクターをクローニングするのに有用である。
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート又はテトラサイクリンなどの抗生物質、又は他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えば、BacilliのD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子などの、複合培地から得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
哺乳類細胞に適した選択可能なマーカーの例は、コード核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することができるもの、例えば、DHFR又はチミジンキナーゼである。野生型DHFRを用いた場合の適切な宿主細胞は、Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216(1980)に記載されている通りに作製され増殖された、DHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母での使用に適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature、282:39(1979);Kingsmanら、Gene、7:141(1979);Tschemperら、Gene、10:157(1980))。trp1遺伝子は、トリプトファン、例えば、ATCC NO.44076、又はPEP4−1で成長する能力を欠く酵母の変異株に対する選択マーカーを与える(Jones、Genetics、85:12(1977)。
発現及びクローニングベクターは、通常、コード核酸配列に作用可能に連結し、mRNA合成を方向付けるプロモーターを含む。種々の潜在的な宿主細胞によって認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主との使用に適したプロモーターは、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系(Changら、Nature、275:615(1978);Goeddelら、Nature、281:544(1979))、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel、Nucleic Acids Res.、8:4057(1980);EP36,776号)、並びに、ハイブリッドプロモーター、例えば、tacプロモーター(deBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:21〜25(1983))を含む。細菌系で使用するプロモーターも、コードするDNAに作用可能に連結したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
酵母宿主との使用に適したプロモーター配列の例としては、3−ホスホグリセラートキナーゼ(Hitzemanら、J.Biol.Chem.、255:2073(1980))、又は他の糖分解酵素(Hessら、J.Adv.Enzyme Reg.、7:149(1968);Holland、Biochemistry、17:4900(1978))、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが挙げられる。
他の酵母プロモーターは、成長条件によって転写が制御される追加の利点を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、並びに、マルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素の、プロモーター領域である。酵母菌での発現での使用に適したベクター及びプロモーターは、更に、EP73,657に記載されている。
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、伝染性上皮腫ウイルス(1989年7月5日に公開されたUK2,211,504号)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、異種哺乳類プロモーター、例えば、アクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーターから、並びにヒートショックプロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合できる限り制御される。
より高等の真核生物による、目的の一連の連続アミノ酸連又はポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強されてもよい。エンハンサーは、通常は約10〜300bpで、プロモーターに作用してその転写を増強する、DNAのシス作用要素である。現在、哺乳類遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン及びインスリン)。しかし、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用されるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100〜270bp)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。エンハンサーは、コード配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされてもよいが、好ましくは、プロモーターから5’位に位置する。
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。そのような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの、通常は5’、時には3’の非翻訳領域から得られる。これらの領域は、目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分でポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
組み換え脊椎動物細胞培養での一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの合成への適合化に適した他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら、Nature、293:620〜625(1981);Manteiら、Nature、281:40〜46(1979);EP117,060;及びEP117,058に記載されている。
3.遺伝子の増幅/発現の検出
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供する配列に基づき、適切に標識されたプローブを使用して、例えば、従来のサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法(Thomas、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:5201〜5205(1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイチューハイブリダイゼーションによって、直接的にサンプルにおいて測定されてもよい。或いは、DNA二本鎖、RNA二本鎖、及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA−タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体が用いられてもよい。次いで、抗体は、標識されてもよく、アッセイが実施されてもよく、ここで二本鎖は、表面に結合しており、その結果、表面での二本鎖の形成の時点で、その二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
或いは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量化する免疫学的な方法、例えば、細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色、及び細胞培養又は体液のアッセイによって、測定することもできる。サンプル液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナル又はポリクローナルのいずれかであってもよく、任意の哺乳類で作製されてもよい。好都合には、抗体は、天然配列の目的の一連の連続アミノ酸若しくはポリペプチドに対して、又はここで提供するDNA配列に基づく合成ペプチドに対して、又は目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチド及び特異的な抗体エピトープをコードするDNAに融合する外因性配列に対して作製されてもよい。
4.ポリペプチドの精製
目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することができる。膜結合性である場合、適切な洗浄液(例えば、トリトン−X100)を使用して、又は酵素的切断によって、膜から引き離すことができる。目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの様々な物理的又は化学的手段によって破壊することができる。
目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドを、組み換え細胞タンパク質又はポリペプチドから精製することが望まれるかもしれない。適切な精製手順の例である次の手順によって:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えば、DEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、Sephadex G−75を用いる、ゲル濾過;IgGなどの混入物質を除去するプロテインAセファロースカラム;並びに、エピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムによって精製される。タンパク質精製の様々な方法が用いられてもよく、そのような方法は、当分野で既知であり、例えば、Deutscher、Methods in Enzymology、182(1990);Scopes、Protein Purification:Principles and Practice、Springer−Verlag、New York(1982)に記載されている。選択される精製工程は、例えば、使用される生成方法、及び生成される特定の、目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの性質に依存する。
大腸菌における、目的の一連の連続アミノ酸又はポリペプチド成分の発現の例
所望の目的のアミノ酸配列又はポリペプチドをコードするDNA配列を、まず、選択したPCRプライマーを使用して増幅する。プライマーは、選択された発現ベクターでの制限酵素部位に対応した制限酵素部位を含むはずである。様々な発現ベクターを用いてもよい。適切なベクターの例は、pBR322(大腸菌由来;Bolivarら、Gene、2:95(1977)参照)であり、それは、アンピシリン及びテトラサイクリンに耐性の遺伝子を含む。ベクターは、制限酵素で消化され、脱リン酸化される。次いで、PCRで増幅された配列を、ベクターにライゲートする。ベクターは、好ましくは、抗体耐性遺伝子をコードする配列、trpプロモーター、ポリhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリhis配列、エンテロキナーゼ切断部位を含む)、具体的な、目的のアミノ酸配列/ポリペプチドコード領域、λ転写終結領域、及びargU遺伝子を含む。
次いで、ライゲーション混合物を使用して、Sambrookら、前掲、に記載されている方法で、選択した大腸菌株を形質転換する。形質転換体を、LBプレートで増殖する能力によって同定し、次いで、抗体耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAは、単離し、限定解析及びDNA塩基配列決定によって確認することができる。
選択したクローンを、液体培地、例えば、抗体を補給したLBブロスにおいて、終夜増殖させることができる。終夜の培養は、その後により大きな規模の培養物に接種するために使用されてもよい。次いで、細胞を、所望の光学濃度まで増殖させ、その間、発現プロモーターがオンになる。
細胞をさらに数時間培養した後、細胞は、遠心分離によって採取することができる。遠心分離によって得られた細胞ペレットは、当分野で既知の様々な薬剤を使用して、溶解させることができ、溶解させた目的のアミノ酸配列又はポリペプチドは、次いで、タンパク質を密接に結合させる条件下で、金属キレートカラムを使用して精製することができる。
プライマーは、選択した発現ベクターでの制限酵素部位に対応する制限酵素部位、並びに、効率的で確かな翻訳開始、金属キレートカラムでの速い精製、及びエンテロキナーゼによるタンパク質分解除去をもたらす他の有用な配列を含む。PCRで増幅した、ポリ−Hisタグ付き配列は、例えば、株52(W3110 fuhA(tonA) Ion galE rpoHts(htpRts) clpP(lacIq)をベースにした大腸菌宿主を形質転換するのに使用される発現ベクターにライゲートすることができる。形質転換体を、O.D.600が3〜5に達するまで、まず、50mg/mlのカルベニシリンを含有するLBにおいて、振盪させながら、30℃で増殖させることができる。次いで、培養物を、C RAP培地(3.57gの(NH4)2SO4、0.71gのクエン酸ナトリウム−2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母エキス、500mLの水中5.36gのSheffield hycaseSF、並びに、110mMのMPOS、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSO4)を混合して調製された)に50〜100倍希釈し、振盪させながら、30℃で約20〜30時間増殖させる。サンプルを取り出し、SDS−PAGE分析によって発現を確認して、バルク細胞を遠心分離し、細胞をペレットにする。細胞ペレットを、精製及び再フォールディングまで凍結させた。
0.5〜1Lの発酵物からの大腸菌ペースト(6〜10gのペレット)を、10容量(w/v)の7Mのグアニジン、20mMのトリス、pH8バッファーに懸濁させた。固体の硫酸ナトリウム及びテトラチオン酸ナトリウムを添加し、最終濃度をそれぞれ、0.1M及び0.2Mにし、溶液を、4℃で終夜撹拌した。この工程の結果、スルフィトリゼーションによってすべてのシステイン残基がブロックされた、変性タンパク質が生じる。溶液を、Beckman Ultracentifugeで、40,000rpmで30分間遠心分離した。上清を、3〜5容量の金属キレートカラムバッファー(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)で希釈し、0.22ミクロンのフィルターで濾過して、透明にした。透明にされた抽出物を、金属キレートカラムバッファーにおいて平衡化された5 mil Qiagen Ni−NTA金属キレートカラムに装填した。カラムを、50mMのイミダゾールを含有するpH7.4の追加バッファー(Calbiochem、Utrol grade)で洗浄した。タンパク質を、250mMのイミダゾールを含有するバッファーで溶離した。所望のタンパク質を含む画分をプールし、4℃で保存した。タンパク質の濃度を、アミノ酸配列に基づき計算された吸光係数を使用して、280nmでの吸光度によって推測した。
哺乳類細胞における、一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの発現
この一般的例は、哺乳類細胞における組み換え発現による、所望の目的アミノ酸配列又はポリペプチド成分のグリコシル化形態の調製を例示する。
ベクターpRK5(1989年3月15日に公開されたEP307,247を参照されたい)を、発現ベクターとして用いることができる。任意に、コードDNAを、Sambrookら、前掲、に記載されているようなライゲーション方法を使用して、DNAを挿入させる選択した制限酵素で、pRK5にライゲートする。
一態様において、選択される宿主細胞は、293細胞であってもよい。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)を、ウシ胎児血清、及び任意に栄養成分及び/又は抗体を補給したDMEMなどの培地の組織培養プレートにおいてコンフルエントに増殖させる。約10μgのライゲートされたベクターDNAを、VA RNA遺伝子[Thimmappayaら、Cell 31:543(1982)]をコードするDNA約1μgと混合し、500μlの1mMのトリス−HCl、0.1mMのEDTA、0.227MのCaCl2に溶解する。この混合物に、500μlの50mMのHEPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPO4を滴下し、25℃で10分間、沈殿を形成させる。沈殿物を懸濁させて、293細胞を添加して、37℃で約4時間静置した。培地を吸引除去し、PBS中の20%グリセロール2mlを、30秒間添加する。次いで、293細胞を、血清不含培地で洗浄し、新しい培地を添加し、細胞を約5日間インキュベートする。
トランスフェクションの約24時間後、培地を除去し、培地(単独)、又は、200μCi/mlの35S−システイン及び200μCi/mlの35S−メチオニンを含有する培地に取りかえる。12時間のインキュベーション後、馴化培地を収集し、スピンフィルターで濃縮し、15%のSDSゲルに装填する。処理されたゲルを乾燥させ、選択した期間の間フィルムに曝露し、目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分の存在を明らかにする。トランスフェクト細胞を含有する培養物は、(血清不含培地中で)さらにインキュベーションされてもよく、培地を、選択したバイオアッセイ試験する。
代替の方法において、核酸の目的アミノ酸配列又はポリペプチド成分を、Somparyracら、Proc.Natl.Acad.Sci.、12:7575(1981)によって説明されている硫酸デキストラン法を使用して、一時的に293細胞に導入してもよい。293細胞を、スピナーフラスコにおいて、最大濃度にまで増殖させ、700μgのライゲートされたベクター添加する。細胞を、まず、遠心分離によってスピナーフラスコから濃縮し、PBSで洗浄する。DNA−デキストラン沈殿物を、細胞ペレット上で4時間インキュベートする。細胞を、20%のグリセロールで90秒処理し、組織培地で洗浄し、組織培地、5μg/mlのウシインスリン、及び0.1μg/mlのウシトランスフェリンを含むスピナーフラスコに再び導入する。約4日後、馴化培地を遠心分離し、濾過し、細胞及び残屑を除去した。次いで、発現した目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を含むサンプルを濃縮し、任意に選択した方法、例えば、透析及び/又はカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
別の態様において、目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を、CHO細胞において発現させることができる。目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を、CaPO4又はDEAE−デキストランなどの既知の試薬を使用して、CHO細胞にトランスフェクトすることができる。上記の通り、細胞培養物をインキュベートし、培地を、培地(単独)、又は、35S−メチオニンなどの放射性標識を含む培地に取りかえる。目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分の存在を決定した後、培地を、血清不含培地に取りかえてもよい。好ましくは、培地を、6日間インキュベートし、次いで、馴化培地を採取する。発現した目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を含有する培地を、濃縮し、選択した方法によって精製することができる。
エピトープタグ付きの目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分も、宿主CHO細胞において発現させてもよい。目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を、pRK5ベクターからサブクローニングしてもよい。サブクローン挿入は、PCR処理を受けて、選択したエピトープタグ、例えば、ポリ−hisタグとインフレームで融合して、バキュロウイルス発現ベクターに入ることができる。次いで、ポリ−hisタグ付きの目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分の挿入は、安定なクローンの選択のためにDHFRなどの選択マーカーを含むSV40駆動ベクターにサブクローニングすることができる。最後に、CHO細胞を、SV駆動ベクターで、(上記の通り)トランスフェクトすることができる。発現を明らかにするために、上記の通り、標識化を行ってもよい。発現した、poly−Hisタグ付きの目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を含む培地を、次いで、濃縮し、任意の選択した方法、例えば、Ni2+−キレートアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。
一態様において、目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を、IgG構築体(イムノアドへシン)として発現させ、そこでは、各タンパク質の可溶形態のコード配列(例えば、細胞外ドメイン)は、ヒンジ、CH2及びCH2ドメイン、及び/又はポリ−Hisタグ付きの形態を含むIgG1定常領域配列に融合される。
PCR増幅後、各DNAは、Ausubelら、Current Protocols of Molecular Biology、Unit 3.16、John Wiley and Sons(1997)に記載されている標準的技法を使用して、CHO発現ベクターにサブクローニングされる。CHO発現ベクターは、cDNAの好都合なシャトリングを可能にするように、適合する制限部位を目的DNAの5’側及び3’側にもつように構築される。CHO細胞における発現に使用されるベクターは、Lucasら、Nucl.Acids Res.24:9(1774〜1779(1996)に記載されたものであり、目的cDNA及びジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の発現を駆動するためにSV40初期プロモーター/エンハンサーを使用する。DHFR発現により、トランスフェクション後に安定に維持されたプラスミドを選択することができる。
酵母における、一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの発現
以下の方法は、酵母における、所望の目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分の組み換え発現を述べる。
まず、酵母発現ベクターは、ADH2/GAPDHプロモーターからの一連の連続アミノ酸の細胞内生成又は分泌のために構築される。所望の目的アミノ酸配列又はポリペプチド成分、選択したシグナルペプチド、及びプロモーターをコードするDNAは、選択したプラスミド内の適切な制限酵素部位へ挿入され、目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分の細胞内の発現を指令する。分泌のためには、一連の連続アミノ酸をコードするDNAを、ADH2/GAPDHプロモーター、酵母α−因子分泌シグナル/リーダー配列、及びリンカー配列(必要であれば)をコードするDNAと共に、一連の連続アミノ酸を発現させるために、選択したプラスミドにクローニングすることができる。
次いで、酵母細胞、例えば、酵母株AB110を、上記の発現プラスミドで形質転換し、選択した発酵培地中で培養することができる。形質転換酵母の上清を10%トリクロロ酢酸で沈殿させ、SDS−PAGEにより分離し、その後、ゲルをクーマシーブルーで染色することにより分析することができる。
目的の組み換えアミノ酸配列又はポリペプチド成分は、次いで、酵母細胞を発酵培地から遠心分離により除去し、選択したカートリッジフィルターを使用して、培地を濃縮することにより、単離及び精製することができる。目的のアミノ酸配列又はポリペプチド成分を含有する濃縮物は、選択したカラムクロマトグラフィー樹脂を使用してさらに精製されてもよい。
バキュロウイルスに感染した昆虫細胞における、一連の連続アミノ酸又はポリペプチドの発現
以下の方法は、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞における、一連の連続アミノ酸の組み換え発現を述べる。
一連の連続アミノ酸をコードする所望の核酸を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させる。そのようなエピトープタグには、ポリ−hisタグ及び免疫グロブリンタグ(例えば、IgGのFc領域)が含まれる。様々なプラスミドが用いられてもよく、これには市販のプラスミド、例えば、pVL1393(Novagen)から得られたものが含まれる。簡潔には、目的のアミノ酸配列若しくはポリペプチド成分、又は目的のアミノ酸配列若しくはポリペプチド成分の所望の部分(例えば、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列)を、5’及び3’領域に相補的なプライマーを用いるPCRにより増幅させる。5’プライマーは、フランキングする(選択した)制限酵素部位を含むことができる。次いで、選択した制限酵素で生成物を消化させ、発現ベクターにサブクローニングする。
組み換えバキュロウイルスは、リポフェクチン(GIBCO−BRLから市販)を使用して、前述のプラスミド及びBaculoGold(商標)ウイルスDNA(Pharmingen)をツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)に、共トランスフェクトすることによって作製することができる。28℃で4〜5日間インキュベートした後、放出されたウイルスを採取して、さらなる増幅に用いる。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O’Reilleyら、Baculovirus expression vectors:A laboratory Manual,Oxford:Oxford University Press(1994)の記載の通りに実施される。
次いで、発現したポリ−hisタグ付きの目的のアミノ酸配列若しくはポリペプチド成分を、以下の通り、例えば、Ni2+−キレートアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。抽出物を、組み換えウイルス感染させたSf9細胞から、Rupertら、Nature、362:175〜179(1993)に従って調製する。簡潔には、Sf9細胞を、超音波処理バッファー(25mL Hepes、pH7.9;12.5mM MgCl2;0.1mM EDTA;10%グリセロール;0.1% NP40;0.4M KCl)で洗浄して、再懸濁し、氷上で20秒間、2回超音波処理する。超音波処理物を遠心分離で透明にし、上清を装填用バッファー(50mMリン酸塩,300mM NaCl,10%グリセロール,pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターで濾過する。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販されている)をベッド容量5mLで調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの装填用バッファーで平衡化する。濾過した細胞抽出物を、カラムに0.5mL/分で装填する。カラムをベースラインA280まで装填用バッファーで洗浄し、この時点で画分採集を開始する。次に、カラムを二次洗浄用バッファー(50mMリン酸塩;300mM NaCl、10%グリセロール、pH6.0)で洗浄し、非特異的結合タンパク質が溶離する。再度、A280ベースラインに達した後、カラムを二次洗浄用バッファー中の0〜500mMイミダゾール勾配で展開する。1mL画分を採集し、SDS−PAGE及び銀染色、又はアルカリホスファターゼにコンジュゲートしたNi2+−NTA(Qiagen)を用いるウエスタンブロットによって分析する。溶離したHis10−タグ付き配列を含む画分をプールし、装填用バッファーに対して透析する。
或いは、IgGタグ付き(又はFcタグ付き)アミノ酸配列の精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含めた、既知のクロマトグラフィー法によって行うことができる。
タンパク質のFc含有構築体は、以下の通り、馴化培地から精製することができる。馴化培地を、20mMリン酸ナトリウムバッファー、pH6.8中で平衡化した5mlのプロテインAカラム(Pharmacia)に送入する。装填後、カラムを平衡用バッファーで十分に洗浄してから、100mMクエン酸、pH3.5で溶離する。275mLの1Mトリスバッファー(pH9)を入れた試験管中に1ml画分を採集することにより、溶離したタンパク質を直ちに中和する。次いで、この高度に精製されたタンパク質を、脱塩して、ポリ−Hisタグ付きタンパク質について上記の保存用バッファーに入れる。タンパク質の均質性を、SDSポリアクリルアミドゲル(PEG)電気泳動、及びエドマン分解によるN末端アミノ酸配列決定によって確かめる。
医薬組成物の例
かかる組成物及び投与量の限定しない例は、以下に記載される通りである。
エタネルセプト(たとえば、エンブレル)の配列を有する連続アミノ酸を含む、連続アミノ酸のひと続きを含む化合物を含む組成物は、マンニトール、スクロース、及びトロメタミンを含んでいてもよい。一態様では、組成物は、凍結乾燥物の形態である。一態様では、組成物は、たとえば、(0.9%ベンジルアルコールを含有する)米国薬局方の注射用静菌性減菌水(BWFI:Bacteriostatic Water for Injection)で再構成される。一態様では、化合物は、徴候及び症状を軽減し、主な臨床応答を誘導し、構造上の損傷の進行を抑制し、中等度から重度な活性のある関節リウマチを伴う対象において身体機能を改善するために対象に投与される。化合物は、メトトレキサート(MTX)と併用して開始しても単独で使用してもよい。一態様では、化合物は、1種以上のDMARDに不適切な応答を有している対象において、中等度から重度な活性のある多関節性若年性関節リウマチ(polyarticular-course juvenile rheumatoid arthritis)の徴候及び症状を軽減するために対象に投与される。一態様では、化合物は、徴候及び症状を軽減し、活性のある関節炎の構造上の損傷の進行を抑制し、乾癬性関節炎を伴う対象において身体機能を改善するために対象に投与される。一態様では、化合物は、活性のある強直性脊椎炎を伴う対象において徴候及び症状を軽減するために対象に投与される。一態様では、化合物は、慢性の中等度から重度の尋常性乾癬の治療のために対象に投与される。一態様では、対象が関節リウマチ、乾癬性関節炎、又は強直性脊椎炎を有する場合、化合物は、1回以上の皮下(SC)注射として使用される1週間当たり25〜75mgで投与される。さらなる態様では、化合物は、単回SC注射の形で1週間当たり50mgで投与される。一態様では、対象が尋常性乾癬を有する場合、化合物は、3カ月の間隔を開けて1週間又は4日に2回25〜75mgで投与され、その後、1週間当たり25〜75mgの維持量に減らす。さらなる態様では、化合物は、3カ月の間隔を開けて1週間又は4日に2回50mgの用量で投与され、その後、1週間当たり50mgの維持量に減らす。一態様では、用量は、ここで記載する用量より少ない2×乃至100×である。一態様では、対象が、活性のある多関節性JRAを有する場合、化合物は、1週間当たり0.2〜1.2mg/kg(1週間当たり最大75mgまで)の用量で投与してもよい。さらなる態様では、化合物は、1週間当たり0.8mg/kg(1週間当たり最大50mgまで)の用量で投与される。いくつかの態様では、用量は、上述された用量より少ない2×乃至100×である。
インフリキシマブ(たとえば、レミケード)の配列を有する連続アミノ酸を含む、連続アミノ酸のひと続きを含む化合物を含む組成物は、スクロース、ポリソルベート80、リン酸二水素ナトリウム(monobasic sodium phosphate)一水和物、及びリン酸水素ナトリウム(dibasic sodium phosphate)二水和物を含んでいてもよい。保存剤は、一態様において存在しない。一態様では、組成物は、凍結乾燥物の形態である。一態様では、組成物は、たとえば、米国薬局方の注射用の水(BWFI)で再構成される。一態様では、組成物のpHは、7.2である又は約7.2である。一態様では、化合物は、静脈注入として使用される2〜4mg/kgの用量で、続いて、第1の注入の2及び6週間後、次いで、その後8週間毎に、さらに類似の用量で関節リウマチを伴う対象に投与される。さらなる態様では、化合物は、静脈注入として使用される3mg/kgの用量で、続いて、第1の注入の2及び6週間後、次いで、その後8週間毎に、さらに類似の用量で投与される。一態様では、用量は、10mg/kgまで調整される又は4週間毎に治療される。一態様では、化合物は、メトトレキサートと併用して投与される。一態様では、化合物は、中等度から重度な活性のあるクローン病又はフィステル形成する疾患を治療するために、0、2及び6週間の誘導レジメンとして使用される2〜7mg/kgの用量で、その後、8週間毎の4〜6mg/kgの維持レジメンで、クローン病又はフィステル形成するクローン病を伴う対象に投与される。さらなる態様では、化合物は、中等度から重度な活性のあるクローン病又はフィステル形成する疾患を治療するために、0、2及び6週間の誘導レジメンとして使用される5mg/kgの用量で、その後、8週間毎に5mg/kgの維持レジメンで投与される。一態様では、用量は、10mg/kgまで調整される。一態様では、化合物は、静脈注入として使用される2〜7mg/kgの用量で、続いて、第1の注入の2及び6週間後、次いで、その後6週間毎に、さらに類似の用量で強直性脊椎炎を伴う対象に投与される。さらなる態様では、化合物は、静脈注入として使用される5mg/kgの用量で、続いて、第1の注入の2及び6週間後、次いで、その後6週間毎に、さらに類似の用量で投与される。一態様では、化合物は、静脈注入として使用される2〜7mg/kgの用量で、続いて、第1の注入の2及び6週間後、次いで、その後8週間毎に、さらに類似の用量で乾癬性関節炎を伴う対象に投与される。さらなる態様では、化合物は、静脈注入として使用される5mg/kgの用量で、続いて、第1の注入の2及び6週間後、次いで、その後8週間毎に、さらに類似の用量で投与される。一態様では、化合物は、メトトレキサートと共に投与される。一態様では、化合物は、中等度から重度な活性のある潰瘍性大腸炎を治療するために、0、2及び6週間で誘導レジメンとして使用される2〜7mg/kgの用量で、その後、8週間毎に2〜7mg/kgの維持レジメンで、潰瘍性大腸炎を伴う対象に投与される。さらなる態様では、化合物は、0、2及び6週間の誘導レジメンとして使用される5mg/kgの用量で、その後8週間毎の5mg/kgの維持レジメンで潰瘍性大腸炎を伴う対象に投与される。いくつかの態様では、個々の疾患を治療するために、用量は、上述される用量より少ない2×乃至100×である。
ここで記載される組成物の態様のそれぞれにおいて、組成物は、凍結乾燥物の形態である場合、たとえば、無菌の水溶液、減菌水、注射用減菌水(米国薬局方)、注射用静菌性減菌水(米国薬局方)、及び当業者に公知のその相当物で再構成していてもよい。
本発明の化合物(instant compounds)のいずれかの投与において、化合物は、単離の形で、担体の形で、医薬組成物の一部として、又は任意の適切なビヒクルで投与してもよいことが理解される。
投与量
投与量範囲が、たとえば、1週間当たり1〜10mg/kgとここで記載される場合、ここで開示される本発明はまた、上限及び下限の間でそれぞれ整数値、及びその10分の1の数値の用量も考慮することが理解される。したがって、所与の例の場合では、本発明は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4mg/kgなどから10mg/kgまでを考慮する。
態様では、本発明の化合物は、単回投与として投与することもできる、又は多回投与として投与してもよい。
一般に、前述の方法により障害又は状態を治療するための1日投与量は、一般に、治療しようとする対象の体重1kg当たり約0.01から約10.0mgまでの範囲である。
当分野の医師が、たとえば、治療される者の体重、年齢及び状態、病気の重症度、並びに選ばれた特定の投与経路の公知の検討材料を勘案することにより、前述の投与量範囲に基づいた変形がなされていてもよい。
開示された化合物は、必要とされる有効な投与量に対して、付随的結果と結びついて協同的に作用することも予想される。
医薬品
用語「薬学的に許容される担体」には、賦形剤、担体又は希釈剤が含まれることが理解される。用いられる特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、有効成分が適用される手段及び目的に依存する。
非経口投与の場合、無菌の水溶液中で本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有する溶液を、用いてもよい。かかる水溶液は、必要なら適当に緩衝させ、液体希釈剤は、十分な食塩水又はグルコースで最初に等張させるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に適している。用いられる無菌の水性媒体は、当業者に公知の標準的な技法によりすべて容易に利用できる。
本発明の組成物は、様々な形態となっていてもよい。これらには、たとえば、液体、半固体及び固体剤形、たとえば、溶液(たとえば、注射用及び注入用溶液)、分散液又は懸濁液が含まれる。好ましい形態は、投与及び治療への適用の所期の様態に依存する。いくつかの組成物は、注射用又は注入用溶液の形態である。投与の様態は、非経口(たとえば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。一態様では、化合物は、静脈注入又は注射により投与される。別の態様では、化合物は、筋肉内又は皮下注射によって投与される。
治療的使用の場合、ここに開示される組成物は、ボーラス投与、連続的な注入、植込錠からの徐放、経口摂取、局所注射(たとえば、心臓内(intracrdiac)、筋肉内)、全身注射、又は医薬分野において周知の他の適当な技法による可溶性の形態を含む、様々な様式で投与することができる。医薬投与の他の方法は、それだけには限らないが、経口、皮下、経皮、静脈内、筋肉内及び非経口投与方法が含まれる。通常、可溶性組成物は、生理的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と併せた、精製された化合物を含む。かかる担体は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒性である。かかる組成物の調製は、緩衝液、酸化防止剤、グルコース、スクロース又はデキストリンを含む炭水化物、キレート化剤、たとえばEDTA、グルタチオン及び他の安定剤並びに賦形剤と化合物を合わせることを伴うことができる。中性の緩衝食塩水又は同種の血清アルブミンと混合した食塩水は、模範的な適切な希釈剤である。生成物は、希釈剤としての適切な賦形剤溶液(たとえば、スクロース)を用いた凍結乾燥物として配合することができる。
他の誘導体は、非タンパク質性のポリマーに共有結合した本発明の化合物/組成物を含む。ポリマーへの結合は、化合物の好ましい生物学的活性、たとえば、標的への化合物の結合活性と干渉しないように一般に行われる。非タンパク質性のポリマーは、通常、親水性の合成ポリマー、すなわち、天然で見出されていないポリマーである。しかしながら、天然に存在し、組換えにより又はインビトロ方法により生成されるポリマーは、天然から単離されるポリマーであるため有用である。親水性のポリビニルポリマーは、本発明の範囲内に収まる、たとえば、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンである。特に有用なのは、ポリアルキレンエーテル、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンエステル又はメトキシポリエチレングリコール;ポリオキシアルキレン、たとえば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロックコポリマー(Pluronics);ポリメタクリレート;カルボマー;糖モノマーを含む分枝若しくは分枝していない多糖類、D−マンノース、D−及びL−ガラクトース、フコース、フルクトース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、シアル酸、D−ガラクツロン酸(galacturontc acid)、D−マンヌロン酸(たとえば、ポリマンヌロン酸、又はアルギン酸)、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、D−グルコース並びにホモ多糖及びヘテロ多糖類を含むノイラミン酸、たとえば、ラクトース、アミロペクチン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミロース、デキストラン硫酸、デキストラン、デキストリン、グリコーゲン、又は酸性ムコ多糖類の多糖サブユニット、たとえば、ヒアルロン酸;糖アルコールのポリマー、たとえば、ポリソルビトール及びポリマンニトール;並びにヘパリン又はヘパロンである。
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の「治療上有効な量」又は「予防上有効な量」が含まれていてよい。「治療上有効な量」は、所望の治療結果を達成するために必要な投与量及び期間の有効な量を意味する。化合物の治療上有効な量は、因子、たとえば、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重により変わっていてもよい。治療上有効な量はまた、化合物の任意の毒性若しくは有害な効果が治療上有益な効果によって上回るものである。「予防上有効な量」は、所望の予防上の結果を達成するために必要な投与量及び期間の有効な量を意味する。通常、予防量が、疾患の早期の段階の前又は疾患の早期の段階の時に対象において用いられるため、予防上有効な量は、治療上有効な量よりも少ない。
ここで開示された様々な要素のすべての組合せは、本発明の範囲内である。
本発明は、次の実験の詳細と関連してより良く理解されるが、当業者は、詳細な特定の実験が、その後に続く特許請求の範囲でさらに十分に記載される通り、本発明の例示的なものに過ぎないということが容易にわかる。
[実施例]
実験の詳細
例1
TNR1B−アルキン−アジド−Fc6
TNR1B−アルキン−アジド−Fc6を、アジド修飾Fc6とのアルキン修飾TNR1B(TNF受容体1B)の反応によって、次の通り調製した。TNR1B−アジド−アルキン−Fc6を、アルキン修飾Fc6とのアジド修飾TNR1Bの反応による同じ原理を用いて調製する。
アルキン修飾TNFR1B(TNR1B−Alk)を、シスチル−プロパルギルアミド、HSCH2CH[NH2]CONHCH2C≡CH3(図1)によるTNR1B−インテイン(TNR1B−Mth融合タンパク質)の切断により調製し、アジド修飾TNR1B(TNR1B−Az)を、シスチル−3−アジドプロピルアミド、HSCH2CH[NH2]CONH(CH2)3NH2によるTNR1B−インテインの切断により調製した。
TNR1B−インテイン及びFc6は、2008年10月16日公開の米国特許出願第11/982085号に記載されており、その全体を参照によりここに組み込む。
TNR1B−インテイン融合タンパク質を、ベクターpCDNA3−TNR1B−Mthを用いて生成し、その配列を配列番号100に示す。自動切断部位でMth RIR1自己スプライシングインテインのN−末端へのペプチド結合により、そのC−末端で接合されたTNR1B細胞外ドメインを含有し、最初に発現されるプレ−TNR1B−インテインキメラポリペプチドを、配列番号101に示す。細胞シグナルペプチダーゼによる相同TNRシグナル配列の切断は、細胞培養液に分泌される成熟したTNR1B−インテイン融合タンパク質を形成し、その配列を、配列番号102に示す。
Fc6タンパク質をベクターpCDNA3−SHH−IgG1−Fc11を用いて発現させ、その配列を配列番号103に示す。最初に発現されるプレ−Fc6ポリペプチドを、配列番号104に示す。細胞シグナルペプチダーゼによる非相同のソニックヘッジホッグ(SHH)シグナル配列の切断は、細胞培養液に分泌される成熟したFc6タンパク質を形成し、その配列を配列番号105に示す。
タンパク質産生を、無血清の懸濁培養液に適合されたCHO−DG44細胞中の過渡的な発現により実行した。過渡的なトランスフェクションを、Rajendraら、J.Biotechnol.153、22〜26(2011)によって記載される、高密度条件下でDNAと複合させるトランスフェクション剤としてポリエチレンイミンを用いて行った。シードトレイン(Seed train)培養物を、TPP(Trasadingen、CH)から得たTubeSpin(登録商標)バイオリアクター50管中で維持し、体積のスケールを上げて、トランスフェクションのための十分なバイオマスを生成した。トランスフェクションを0.5〜1.0Lの培養物で実施した。このスケールでの培養物を、通風キャップ付きの2L又は5LのSchottビン中で維持した。このビンを加湿しCO2を5%で制御しながら、Kuehnerインキュベーター振とう器中で180rpmで振り混ぜた。細胞培養液を10日後に回収し、精製前に遠心し無菌ろ過した。
シスチル−プロパルギルアミド及びシスチル−3−アジドプロピルアミドを次の通り調製した。Boc−Cys(Trt)−OH、(C6H5)3CSCH2CH[NHCO2C(CH3)3]CO2H;プロパルギルアミン、HC≡CCH2NH;3−アジドプロピルアミン、NH2CH2CH2CH2N3;EDC、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩;及びHOBt、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、AnaSpec(Freemont、CA)又はCPC Scientific(San Jose、CA)から得た。他のすべての化学薬品を、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得た。シスチル−プロパルギルアミドの合成の場合、Boc−Cys(Trt)−OH(100mM)及びプロパルギルアミン(100mM)のCH2Cl2溶液を、EDC、HOBt、及びトリエチルアミン中でそれぞれ100mM作製した。シスチル−3−アジドプロピルアミドの合成の場合、3−アジドプロピルアミン(100mM)をプロパルギルアミンについて置換した。両方の反応を以下の手順により処理した。室温で終夜撹拌してから、反応を水中の過量の飽和NaHCO3で停止させ、CH2Cl2で抽出し、MgSO4で脱水し、ろ過し、蒸発させ、カラムクロマトグラフィーにより精製した。Boc/Trt保護基を除去するために、中間体生成物を、TFA/トリイソプロピルシラン/H2O(90:5:5)に0.05Mの濃度で溶解し、室温で30分間撹拌した。次いで、反応を蒸発により乾燥し、CH2Cl2で抽出した。次いで、有機層を、水で抽出し、帯黄色の油として最終のシスチル−プロパルギルアミド生成物を生成し、帯黄色の固体として最終のシスチル−3−アジドプロピルアミド生成物を生成した。
アルキン修飾TNR1B(図1)又はアジド修飾TNR1Bを調製するために、細胞培養液中のTNR1B−インテインタンパク質を、緩衝液A(20mMトリス−HCl、500mM NaCl、pH7.5)で予め平衡化した、New England BioLabs(Beverley、MA)から得たキチンビーズで充てんしたカラムに適用した。緩衝液Aを含むカラムから、非結合性タンパク質を洗浄した。切断を、50mMシスチル−プロパルギルアミド(アルキン修飾TNR1Bの場合)又は50mMシスチル−3−アジドプロピルアミド(アジド修飾TNR1Bの場合)のいずれかを含有する緩衝液B(20mMトリス−HCl、500mM NaCl、pH8.0)中でキチン樹脂を速やかに平衡化することにより開始し、インキュベーションを、室温で24〜96時間実施した。切断されたアルキン修飾TNR1B(配列番号106)又はアジド修飾TNR1Bタンパク質(配列番号107)を緩衝液Aを含むカラムから溶出し、Millipore(Billerica、MA)製のAmicon Ultracel−3 Centrifugal Filter Unitを用いて濃縮し、UCSF Cell Culture Facility(San Francisco、CA)から得たCa又はMg塩(PBS)を含まないダルベッコのリン酸緩衝食塩水に対して透析し、使用前に4℃で保存した。
図2は、シスチル−プロパルギルアミドの代わりに50mMシステインを用いて調製したシステイン修飾TNR1B(配列番号108)と比較した、アルキン修飾TNR1BのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。SDS−PAGEを、Invitrogen(Carlsbad、CA)から得たNuPAGE(登録商標)Novex Bis−Tris Midi Gel(10%)を用いて実施した。タンパク質を、Bio−Rad(Hercules、CA)から得たSilver Stain Plus又はBio−Safe Coomassie Stainを用いて可視化した。アルキン修飾TNR1B(レーン3)及びシステイン修飾TNR1B(レーン1)は、同じMr約43,000であった。さらに、アルキン修飾TNR1Bは、R&D Systems(Minneapolis、MN)から得たヒトsTNFRII/TNFRSF1B Quantikine ELISAを用いて測定された通り、システイン修飾TNR1Bに対する同程度の生物学的活性を有した。50mM MESNAの存在下で作製したシステイン修飾TNR1B(レーン2)、アルキン修飾TNR1B(レーン4)、又はチオエステル修飾TNR1B(配列番号109)(レーン5)の調製は、類似のMrであったが、MESNAの非存在下で作製された調製について観察された生物学的活性は5%未満であった。したがって、MESNAの非存在下で調製したアルキン修飾TNR1Bをさらに研究において用いた。
アジド修飾Fc6(Az−Fc6)を、様々なアジド含有ペプチドチオエステル(図3)及びアジド含有PEGチオエステル(図4)とのFc6タンパク質の反応により調製した。アルキン修飾Fc6(Alk−Fc6)を、アルキン含有チオエステルのFc6タンパク質との反応により調製した。
組換えFc6タンパク質を、TNR1B−インテインについて記載された通り(上記を参照のこと)、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞中で発現させ、プロテインA親和性クロマトグラフィーによって精製した。培養上清を、PBSで予め平衡化したPharmacia(Uppsala、Sweden)製のrProtein A Fast Flowで充てんしたカラムに適用した。カラムをPBSで広範に洗浄し、次いで、Fc6タンパク質をpH2.7の0.1Mグリシン緩衝液で溶出した。pH9.0の(最終pH7.5にする)1.0Mトリス−HCl0.05体積/体積を含有する管に、画分を回収し、プールし、PBSに対して透析し、使用前に4℃で保存した。
表1は、代表的なアジド含有及びアルキン含有ペプチド/PEGチオエステルを示す。チオエステルを、Fmoc−Thr(tBu)−OHで前負荷した塩化2−クロロトリチル樹脂におけるFmoc/t−ブチル固相ストラテジーにより合成した。アミノ酸誘導体をCPC Scientific(Sunnyvale、CA)から得、Fmoc−PEGn−OH誘導体をQuanta BioDesign(Powell、OH)から得、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウム(tetramethylaminium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、ジクロロメタン(DCM)、トリクロロ酢酸(TFA)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)及びトリイソプロピルシラン(TIS)を、Sigma(St.Louis、MO)から得た。標準的なHBTU活性化をペプチド伸長について用いた。PEGを含有するペプチドは、Fmoc−PEGn−OHの挿入を必要とした。ペプチド伸長における最終工程として、末端のα−Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)保護基をBoc(tert−ブトキシカルボニル)に変換した。ペプチド樹脂をDCMで洗浄し、1%TFA/DCMで切断して、C−末端上で遊離カルボン酸を有する完全に保護されたペプチドを生成した。終夜DCM中で未精製の保護されたペプチドをDIC/HOBt/DIEA及びベンジルメルカプタン又はチオフェノールで処置することによりペプチドのチオエステルを形成した。濃縮後、未精製の保護されたペプチドチオエステルを、冷エーテルによる複合の倍散により沈殿させ、その後遠心した。室温で2時間TFA/TIS/H2O95:2.5:2.5による未精製の保護された生成物の処置により脱保護を実施した。氷冷エーテルで沈澱後、脱保護したペプチドチオエステルを、H2O−アセトニトリル(0.1%TFA)系において分取RP−HPLCにより精製して、純度91〜95%及び所望のMSで最終生成物を得た。
アジド修飾Fc6及びアルキン修飾Fc6を、未変性の化学連結により次の通り調製した。2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)をAcros(Morris Plains、NJ)から得、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)をPierce(Rockford、IL)から得、4−メルカプトフェニル酢酸(MPAA)をSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得た。表1に示した様々なチオエステルを、Fc6プロテインと連結することにより反応を次の通り実施した。反応(100uL)は、50mM MES緩衝液pH6.5、0.8mM TCEP、10mM MPAA、ペプチドチオエステル4mg/ml、及びFc6タンパク質0.5mg/mlを含有した。室温で終夜インキュベーションした後、反応をpH9.0の1.0Mトリス−HCl0.05体積/体積を用いてpH7.0に調整し、New England BioLabs製のプロテインA磁気ビーズを用いて精製し、pH8.0の0.1Mリン酸で透析し、濃縮した。
図5は、SDS−PAGE分析を示し、Fc6タンパク質(レーン1)がアジド−DKTHT−チオエステルと定量的に反応してAz−DKTHT−Fc6タンパク質(レーン2)を得、アジド−PEG4−DKTHT−チオエステルと定量的に反応してAz−PEG4−DKTHT−Fc6タンパク質(レーン3)を得ることを実証している。Az−DKTHT−Fc6タンパク質の配列は、配列番号110で示され、Az−PEG4−DKTHT−Fc6の配列は、配列番号111で示される。PEG4オリゴマーによって、5アミノ酸DKTHT・配列と同程度にサイズが漸進的に増加した。これにより、単一のオキシエチレンモノマー単位が、単一のアミノ酸残基に類似の長さの輪郭を描くのに寄与し、同様の十分に伸長された立体配座約3.5〜4Åを有するものと一致していることが示されている(Flory(1969)Statistical Mechanics of Chain Molecules(Interscience Publishers、New York)。
TNR1B−アルキン−アジド−Fc6を、Az−DKTHT−Fc6タンパク質(図6)及びAz−PEG4−DKTHT−Fc6タンパク質(図7)とのアルキン修飾TNR1Bの反応によって調製した。(無水の)リン酸水素ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウム(一水和物)を、Acrosから得、TCEPは、Pierce製であり、CuSO4(五水和物)は、Sigma−Aldrich製であり、AnaSpec(Freemont、CA)製のトリス[1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾル−4−イル)メチル]アミン(TBTA)であった。反応(60uL)は、pH8.0の0.1Mリン酸ナトリウム、1.0mM CuSO4、2.0mM TBTA、アルキン修飾TNR1B(30ug)、並びに未修飾Fc6タンパク質、Az−DKTHT−Fc6タンパク質、又はAz−PEG4−DKTHT−Fc6タンパク質(10ug)のいずれかを含有した。反応を、2.0mM TCEPを添加することにより開始し、室温で終夜インキュベートした。反応生成物を、プロテインA磁気ビーズを用いて精製して、任意の未反応のアルキン修飾TNR1Bを除去した。
図8は、還元条件下でのTNR1B−アルキン−アジド−Fc6生成物のSDS−PAGE分析を示す。CuSO4、TBTA及びTCEPの非存在下では、Az−DKTHT−Fc6(レーン2)とAz−PEG4−DKTHT−Fc6(レーン5)の両方は、入力アジド修飾Fc6タンパク質に対応するMr約28〜30,000ダルトン(矢印d)の単一のバンドを得、いずれの生成物をも形成する徴候がない。さらに、プロテインA精製後に、入力アルキン修飾TNR1B(レーン1に示される)のキャリーオーバーの証拠はなかった。しかしながら、CuSO4、TBTA及びTCEPの存在下において、アルキン修飾TNR1BとAz−DKTHT−Fc6(レーン3)との間の反応並びにアルキン修飾TNR1BとAz−PEG4−DKTHT−Fc6(レーン6)との間の反応の両方によって、Mr約75,000ダルトン(矢印a)及び約65,000ダルトン(矢印b)の2つの新規の生成物を生成した。塩を除去するためのpH8.0の0.1Mリン酸中での緩衝液−交換後、アルキン修飾TNR1Bの調製を用いて実施した反応は、Mr約65,000ダルトンの生成物に対してMr約75,000ダルトンの生成物の収率で有意な増加があったが、Az−DKTHT−Fc6(レーン4)とAz−PEG4−DKTHT−Fc6(レーン6)の両方との本質的に類似の反応生成物を得た。
図9は、TNR1B−アルキン−アジド−Fc6反応生成物(左のパネル)及びTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6反応生成物(右のパネル)をTNR1B−Fc融合タンパク質(エタネルセプト)と比較するSDS−PAGE分析を示す。予測される配列が配列番号112に示される、Mr約75,000ダルトン(レーン2)のTNR1B−アルキン−アジド−Fc6生成物、及び予測される配列が配列番号113に示される、Mr約75,000ダルトン(レーン4)のTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6生成物は、サイズにおいてエタネルセプト(レーン1、3)と本質的に区別不能であり、その配列は、配列番号114に示される。
図10は、反応性のためのアルキン及びアジド基の要件を確認する証拠をさらに提供するSDS−PAGE分析を示す。アルキン修飾TNR1Bを未修飾Fc6タンパク質と共に含有した反応混合物は、Fc6単独(レーン1)と比較して反応生成物(レーン2)を得ず、Az−DKTHT−Fc6を有するアルキン修飾TNR1Bは、Az−DKTHT−Fc6単独(レーン3)と比較して、予想される生成物(レーン4)を得た。再度、入力アルキン修飾TNR1B(レーン5に示される)のキャリーオーバーは、プロテインA精製後明らかでなかった。
図10のTNR1B−アルキン−アジド−Fc6生成物は、そのLC−MSによるトリプシンペプチドのシークエンシングによってさらに特徴付けられた。SDS−PAGE後、ゲルを、クーマシー染色し、Mr約75,000の生成物(矢印a)、Mr約65,000の生成物(矢印b)、アルキン修飾TNR1Bが移動した非染色領域(矢印c)、及びMr約28,000の未反応のAz−DKTHT−Fc6タンパク質(矢印d)に対応して、4カ所のゲル領域を切除した。4個のゲル切片を、小型の小片(約0.5〜1.0mm3)の賽の目に切り、次の通り処理した。重炭酸アンモニウム、アセトニトリル、ジチオスレイトール、及びヨードアセトアミドをSigma−Aldrichから得、ギ酸はPierceから得、ブタのトリプシン(シークエンシンググレード)をPromega(Madison、WI)から得た。クーマシー染色を除去するため、各ゲル切片を、ボルテックスすることにより50%アセトニトリル中の25mMのNH4HCO3 200uLで抽出し、遠心して上澄みを除去し、ゲル小片が小さくなり白色になるまで数分間アセトニトリルを添加することにより脱水した。アセトニトリルを捨て、ゲル切片をSpeed Vac(Savant Instruments、Farmingdale、NY)で乾燥させた。次いで、25mM NH4HCO3中の10mMジチオスレイトール40uLにおいてゲル切片を再水和し、ボルテックスすることにより還元及びアルキル化を実施し、45分間56℃でインキュベートした。次いで、上澄みを捨て、25mM NH4HCO3中の55mMヨードアセトアミド40uLを添加し、ゲル切片をボルテックスし、室温で30分間暗所でインキュベートした。上澄みを捨て、ゲル切片を再びアセトニトリルで脱水し、Speed Vacで乾燥した。次いで、60分間氷上で25mM NH4HCO3中のトリプシン(12.5ug/mL)25uLでゲル切片を再水和することによりトリプシン消化を実施した。次いで、過剰量のトリプシン溶液を除去し、ゲル切片を25mM NH4HCO3で被覆し、終夜37oCでインキュベートした。上澄みを除去し、次いで、ゲルを、水中の50%アセトニトリル/0.1%ギ酸30uLで2回抽出した。有機抽出物を上澄み液(aqueous supernatant)と合わせ、Speed Vacにおいて10uLの容積まで減少させ、次いで、Q−Star Elite質量分析計(AB SCIEX、Foster City、CA)を用いてLC−MSにより分析した。
図11は、質量分析によりTNR1B−アルキン−アジド−Fc6反応生成物の構造の特徴付けをまとめて示す。完全長TNR1B−アルキン−アジド−Fc6生成物について予想される通り、Mr約75,000の生成物は、アルキン修飾TNR1Bとアジド修飾Fc6親タンパク質の両方由来のペプチドを含有した。さらに、アルキン修飾TNR1B配列(上のパネル)のペプチド被覆度は、N−末端領域(EYYDQTAQMCCSK)からC−末端領域(SMAPGAVHLPQPVST)まで伸長した。同様に、アジド修飾Fc6タンパク質配列(下のパネル)のペプチド被覆度は、N−末端領域(DTLMISR)からC−末端領域(TTPPPVLDSDGSFFLYSK)まで伸長した。これに対して、EYYDQTAQMCCSKペプチドを欠如したMr約65,000は、予想された完全長TNR1B−アルキン−アジド−Fc6生成物のN−末端を削除されたバージョン(N-terminally deleted version)であったことが示唆されている。アルキン修飾TNR1Bが普通なら移動するはずの場合(矢印c)、TNR1Bタンパク質に由来する配列は、Mr約43,000の非染色領域において検出されず、Fc6タンパク質に由来する配列のみは、Mr約28,000の未反応のAz−DKTHT−Fc6タンパク質において検出された(矢印d)。
図10のTNR1B−アルキン−アジド−Fc6及びTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6生成物を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてTNF−αを結合する能力を測定することにより、それらの生物学的活性についてさらに特徴付けた。(無担体の)組換えヒトTNF−αタンパク質を、R&D Systemsから得、PBSに再構成した。SPR試験をBiacore AB(Uppsala、Sweden)製のBiacore T100器具を用いて実施した。表面結合リガンド、TNR1B−アルキン−アジド−Fc6及びTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6を、製造業者の指示に従ってGE Healthcare(Piscataway、NJ)から得たAmine Coupling Kit(BR−1000−50)を用いて、CM5センサーチップ、Series S上で固定化した。pH7.4の10mM Hepes緩衝液、150mM NaCl、3mM EDTA、及び0.005%のTween−20において25℃でTNF−αの結合を実施した。結合をTNF−α濃度0.156nM、0.312nM、0.625nM、1.25nM、2.5nM、5.0nM、10.0nM、20.0nM及び40nMで繰り返して評価した。Biacore T100 Evaluation Software、version 2.0.3を用いてデータを評価した。
図12は、TNR1B−アルキン−アジド−Fc6(左のパネル)及びTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6(右のパネル)のキネティック結合曲線を示す。どちらの生成物も飽和性のTNF−α結合を示し、2指数モデル(χ2約0.05)を用いて優れた適合が得られた。表2は、キネティック結合データをまとめて示す。各生成物についての結合部位のおよそ40%は、親和性が高く、TNR1B−アルキン−アジド−Fc6(KD=2.99×10-10M)の場合よりもTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6(KD=1.86×10-10M)の解離定数が1.6倍高い。結合部位の残りの60%は、親和性が低く、解離定数はTNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6(KD=5.12×10-9M)及びTNR1B−アルキン−アジド−Fc6(KD=5.17×10-9M)の場合とほぼ同じである。高親和性結合を増加させるが、低親和性結合に等しいPEG4リンカーを会合させると、TNR1B−アルキン−アジド−Fc6と比較して、TNR1B−アルキン−アジド−PEG4−Fc6によるTNF−αの協同的(両手の)結合の程度が高いという説得力のある証拠を示している。
例2
Fab’−アルキン−アジド−Fc6
Fab’−アルキン−アジド−Fc6を、アジド修飾Fc6とのシクロアルキン修飾Fab’の反応により次の通り調製した。
アダリムマブ(Humira)を、Abbott(Abbott Park、IL)製の液剤(50mg/ml)として得た。Fab’フラグメントを、IdesSプロテアーゼを用いて調製して、Fab’2フラグメントをまず生成し、その後、鎖間のジスルフィドを2−メルカプトエチルアミンで選択的に還元した(図13)。抗体(10mg)を、Pierce(Rockford、IL)製のSlide−A−Lyzer Mini Dialysis Unit、10K MWCOを用いて、切断緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.6)に交換し、次いで、Genovis(Lund、Sweden)製のアガロースビーズ(FragIT MidiSpinカラム)で固定化されたhis−タグ付きの組換えIdeSで、一定の混合をしながら室温で1時間インキュベートした。ビーズを遠心によって消化溶液から除去し、切断緩衝液で2回洗浄し、次いで、消化溶液及び洗浄溶液を合わせ、GE Life Sciences(Piscataway、NJ)製のHiTrapプロテインA HPカラムに適用して、Fc’フラグメント及び消化されない抗体を除去した。Fab’2フラグメントを含有するフロースルー画分を、1mLアリコートをPierce製の2−メルカプトエチルアミン(MEA)6mgを含有するバイアルに添加することにより、Fab’フラグメントに還元した。鎖間のジスルフィドの再酸化を最小限にするために、10mM EDTAで還元を実施した。110分間37℃でインキュベーション後、過剰量のMEAを、GE Life Sciences(Piscataway、NJ)製のPD−10脱塩カラムを用いて10mM EDTAを含有するPBSに緩衝液−交換することにより除去した。Fab’フラグメントを含有する溶出液を、Millipore(Billerica、MA)製のAmicon Ultracel−3 Centrifugal Filter Unitを用いて濃縮した。
図14は、IdeSによる切断後(パネルA)、続いて、プロテインAクロマトグラフィー及びMEAとの穏やかな還元後(パネルB)のアダリムマブのSDS−PAGE分析を示す。ポリアクリルアミドゲル中の強力な還元剤(ジチオスレイトール)の存在下で、全抗体(レーン1)は、Mr約55,000の重鎖(矢印a)及びMr約25,000の軽鎖(矢印d)として移動した。IdeSによって、重鎖(レーン2)はMr約29,000のC−末端フラグメント(矢印b)及びMr約26,000のN−末端フラグメント(矢印c)に切断された。軽鎖及びN−末端重鎖フラグメントは、Fab’2ドメインを含み、C−末端重鎖フラグメントは、Fc’ドメインを含む。プロテインAカラムは、Fc’ドメインをFab’ドメインから効率的に除去した(レーン2をレーン5及び6と比較)。非還元条件下で、Fab’2ドメインは、Mr約110,000の単一の種として移動し(レーン3)、MEAとの穏やかな還元により生成したFab’ドメインは、Mr約55,000の単一の種として移動した(レーン4)。還元条件下で、Fab’2ドメイン(レーン5)とFab’ドメイン(レーン6)の両方は、予想通り同じ軽鎖(矢印d)及びN−末端重鎖フラグメント(矢印c)を生成した。したがって、この手順により得られたFab’ドメインは、本質的にFab’2及びFc’ドメインがなかった。
シクロアルキン修飾Fab’を2官能性リンカー、DIBAC−PEG12−Lys(Mal)を用いて、アダリムマブFab’ドメインから調製し、2官能性リンカーは、Fab’フラグメント上で遊離チオール基と反応することができるマレイミド基を含有する(図15)。DIBAC−PEG12−Lys(Mal)をFmoc固相合成ストラテジーを用いて調製した。Lys(Mtt)−Wang樹脂及びスクシンイミド3−マレイミドプロパノエート(Mpa−OSu)をCPC Scientific(Sunnyvale、CA)から得、Fmoc−N−アミド−dPEG12酸をQuanta BioDesign(Powell、OH)から得、5−(11,12−ジデヒドロジベンゾ[b,f]アゾシン−5(6H)−イル)−5−オキソペンタン酸、酸官能性をもたせたアザ−ジベンゾシクロオクチン(DIBAC酸)を、Debets、M.F.ら、Chem.Commun.46、97〜99(2010)によって記載される通り合成した。Fmoc−N−アミド−dPEG12酸及びDIBAC酸を、Lys(Mtt)−Wang樹脂と逐次的に反応させて、DIBAC−PEG12−Lys(Mtt)−Wang樹脂を得、次いで、TFA/DCM/TIS(1:96:3)で処理して、Mtt基を除去した。脱保護した樹脂を、リジン側鎖上の遊離アミノ基におけるMpa−OSuと反応させて、DIBAC−PEG12−Lys(Mpa)−Wang樹脂を得た。TFA/水(95:5)で切断後、粗生成物を分取RP−HPLCによって精製して、純度が93%であり所望のMSスペクトルを有するDIBAC−PEG12−Lys(Mal)生成物(DPKM)を生成した。
図16は、アダリムマブFab’フラグメントのDIBAC−PEG12−Lys(Mal)リンカーによる化学修飾及び得られたシクロアルキン修飾Fab’の精製を示す。精製の場合、反応(0.535mL)を、pH7.0及びpH7.4の0.1Mリン酸ナトリウムにおいて実施し、それぞれがFab’フラグメント5mg及びDIBAC−PEG12−Lys(Mal)10mgを含有している。室温で30時間のインキュベーション後、2つの反応を合わせ、PD−10カラムを用いて20mM酢酸ナトリウム、20mM NaCl(pH5.5)に緩衝−交換させた。溶出液(3.5mL)を、非修飾のFab’及び残留Fab’2すべてを保持するGE Life Sciences製のHiTrap SP HP陽イオン−交換カラムに適用させた。精製したシクロアルキン修飾Fab’(図16b)を含有するフロースルー画分(5.5mL)をプールし、10×PBS(0.55mL)でpH7.0に調整し、GE Life Sciences製のプロテインLカラム(Capto L)の親和性クロマトグラフィーにより濃縮した。シクロアルキン修飾Fab’を、pH2.7の0.1MグリシンHCl(2.4mL)を含むプロテインLカラムから溶出し、pH9.0の1.0MトリスHCl 1/20容積で中和させ、PD−10カラム(3.5mL)を用いてPBSに緩衝−交換させ、Amicon Ultracel−3 Centrifugal Filter Unitを用いて9.5mg/mLの濃度の最終容積70uLまで濃縮した。
異なる長さのPEGリンカーを有する様々なアジド修飾Fc6タンパク質を、アダリムマブFab’−シクロアルキン−アジド−Fc6の調製において用いた。Az−DKTHT−Fc6(図3)及びAz−DKTHT−PEGx−Fc6誘導体(x=12、24、及び36である)(図4)を、pH6.5の50mM MES、0.8mM TCEP、10mM MPAA、4つのAz−DKTHT−PEGx−チオエステル各5mg/ml、及びFc6タンパク質2.36mg/mlを含有した反応(2mL)で調製した。室温で20時間後、反応を、pH9.0のトリスHCl 100uLで中和させ、12,000xgの遠心(centrigugation)によって明らかにし、1mlのHiTrapプロテインA HPカラムに適用した。カラムをPBS12体積で洗浄し、次いで、アジド修飾Fc6タンパク質をpH2.7の0.1MグリシンHCl(2.0mL)で溶出し、pH9.0の1.0MトリスHCl 1/20体積で中和させ、Slide−A−Lyzer Mini Dialysis Unit、10K MWCOを用いてそれぞれ12時間PBSを3回変更して透析し、Amicon Ultracel−3 Centrifugal Filter Unitsを用いて濃縮した。
図17は、SDS−PAGEによるFc6(レーン1)Az−DKTHT−Fc6(レーン2)、Az−DKTHT−PEG12−Fc6(レーン3)、Az−DKTHT−PEG24−Fc6(レーン4)、及びAz−DKTHT−PEG36−Fc6(レーン5)タンパク質の還元条件下のSDS−PAGEによる分析を示す。Fc6タンパク質を、4つのチオエステルすべてと定量的に(>90%)反応させ、生成物のラダーのサイズを増大させた。
図18は、4つのアジド修飾Fc6タンパク質生成物が親Fc6分子と同じ二量体の構造であったことを確認するためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分析を示す。Prominence HPLC系(Shimadzu Corp、Kyoto、Japan)を用いてSECを実施した。TSKgel Super SW3000カラム(4.6mm×30cmカラム、4.6mm×5cmガードカラム)をTOSOH Bioscience(Tokyo、Japan)から得た。用いた移動相、流量、カラム温度、及び検出波長は、それぞれ、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl(pH7.4)、0.35mL/分、30℃、及び280nmであった。4つのアジド修飾Fc6タンパク質生成物は、PEGリンカーのサイズが増加するにつれて減少する保持時間を示し、これらの二量体構造を確認した。4つすべての生成物はまた、本質的に単一のピークを示し、親Fc6二量体の両方のN−末端が、非還元条件下でSDS−PAGE分析により確認されたPEGリンカーにより修飾された両手の構造を示した(下記参照)。
シクロオクチン修飾Fab’を4つすべてのアジド修飾Fc6分子と反応させ(図19)、アームの長さが増加するFab’−PEGy−シクロアルキン−アジド−PEGx−Fc6構造のファミリーを生成した(図20)。得られたアームの全長は、Fab’−PEG12−Fc6(x=0、y=12の場合)、Fab’−PEG24−Fc6(x=12、y=12の場合)、Fab’−PEG36−Fc6(x=24、y=12の場合)、及びFab’−PEG48−Fc6(x=36、y=12の場合)であった。シクロアルキン修飾Fab’(5mg/ml)の存在下又は非存在下で、4つのアジド修飾Fc6タンパク質(2.5mg/ml)をそれぞれ用いて、終夜室温でpH7.0の0.1Mリン酸ナトリウムで反応(8uL)を実施した。
図21は、還元及び非還元条件下で、Fab’−シクロアルキン−アジド−Fc6反応のSDS−PAGE分析を示す。シクロアルキン修飾Fab’(レーン5、7、9、及び11)の非存在下において、アジド修飾Fc6タンパク質のうち4つすべては、還元ゲルと非還元ゲルの両方において単一のバンドを生じ、これらの二量体の、両手の構造を認識している。シクロアルキン修飾Fab’(レーン4、6、8、及び10)の存在下において、アジド修飾Fc6タンパク質のうち4つすべてを、得られた反応中で大いに消費した。還元条件下で、4つすべての反応によって、Mr約57,000〜62,000(矢印a)の生成物を得た。Fab’−PEG12−Fc6生成物(レーン4)のサイズは、野生型アダリムマブ重鎖(レーン1)よりも大きいおよそ1〜2kDであり、Fab’−PEG24−Fc6(レーン6)、Fab’−PEG36−Fc6(レーン8)、及びFab’−PEG48−Fc6(レーン10)生成物のサイズは、PEGリンカーの全長と共にさらに増大した。非還元条件下で、2つの生成物を観察し、第1の生成物は、Mr約155,000〜160,000(矢印a)であり、第2の生成物は、Mr約110,000〜115,000(矢印b)であった。より大型のFab’−PEG12−Fc6生成物(レーン4)は、予想される両手の生成物と一致するアダリムマブ全抗体(レーン1)よりも大きいおよそ5kDであり、より大型のFab’−PEG24−Fc6(レーン6)、Fab’−PEG36−Fc6(レーン8)、及びFab’−PEG48−Fc6(レーン10)生成物は、PEGリンカーの全長が増加するのに比例してサイズがさらに増大した。
図22は、Fab’−PEG12−Fc6、Fab’−PEG24−Fc6、Fab’−PEG36−Fc6、及びFab’−PEG48−Fc6反応が、Mr約155,000〜160,000である、より大型の反応生成物の両手の構造(すなわち、1つのFc6ドメインに付着される2つのFab’の手)を確認するためのSECによる分析を示す。4つすべての反応生成物は、PEGリンカーのサイズが増加するにつれてさらに減少したアダリムマブ全抗体よりも保持時間が短いことを示し、SDS−PAGE分析によって観察された両手の構造を確認した。
Fab’−シクロアルキン−アジド−Fc6生成物の生物学的活性は、アクチノマイシンDで処理したマウスWEHI細胞に対するTNF−α媒介性細胞毒性を中和するその能力により評価された。マウスWEHI−13VAR細胞株(ATCC CRL−2148)を、American Type Culture Collection(Rockville、MD)から得、Life Technologies(Grand Island、NY)から得た、10%ウシ胎児血清(FBS)及びペニシリン及びストレプトマイシン(10U/ml)を補充したGibco RPMI培地1640(RPMI−1640)で成長させた。TNF−α細胞毒性アッセイを以下の通り実施した。WEHI−13VAR細胞を、ウェル当たり2×104細胞でThermo Fisher(Waltham、MA)から得た96ウェルNunc白色細胞培養プレートに終夜播種し、次いで、TNFR−IgG又は他の阻害物質の非存在下又は存在下で、Sigma(St Louis、MO)から得たアクチノマイシンD(0.5μg/ml)及びTNF−α(0.2ng/ml)で処理した。37℃/CO2 5%でのインキュベーションの24時間後、代謝活性のある細胞に存在するATP量及びPOLARstar照度計(BMG LABTECH Inc.、Cary、NC)を用いて測定した発光を測定するCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay Systems(Promega、Madison、WI)で、細胞生存率を決定した。各阻害物質を、10μg/mlで開始し10種の3倍段階希釈により希釈し、2回又は3回測定した。細胞毒性データを、次の方程式:(ルシフェラーゼの1サンプルの読み取り/アクチノマイシンD単独で処理した細胞からのルシフェラーゼの読み取り)×100%を用いて算出し、平均±標準偏差として示した。エンブレルを細胞毒性陽性対照として、Fc6を陰性対照として用いた。
図23は、(入力シクロアルキン修飾Fab’の等量に基づいて)シクロアルキン修飾Fab’と比較した、Fab’−PEG12−Fc6、Fab’−PEG24−Fc6、Fab’−PEG36−Fc6、及びFab’−PEG48−Fc6反応混合物によるTNF−α媒介性細胞毒性の中和を示す。Fab’−PEG12−Fc6とFab’−PEG24−Fc6反応混合物は両方とも、入力シクロアルキン修飾Fab’(上のパネル)のそれと比較して、同程度のTNF−α中和活性を示し、Fab’−PEG36−Fc6及びFab’−PEG48−Fc6反応混合物は、入力シクロアルキン修飾Fab’(下のパネル)と比較して、TNF−α中和活性の1.5倍及び2.0倍の増加をそれぞれ示した。両手の生成物の量が、SDS−PAGE(図22)により推定される通り、各反応において総シクロアルキン修飾Fab’10〜20%を表すにすぎなかったため、Fab’−PEG36−Fc6及びFab’−PEG48−Fc6反応の両手の生成物は、それぞれ入力シクロアルキン修飾Fab’よりも大きい、少なくとも7.5倍及び10倍であることが推定される。
例3
Fab−アルキン−アジド−Fc6
Fab−インテイン融合タンパク質を次の通り切断することにより生成される、アルキン修飾又はシクロアルキン修飾Fabタンパク質とアジド修飾Fc6を反応させることにより、Fab−アルキン−アジド−Fc6を調製する。同様に、Fab−インテイン融合タンパク質を切断することにより生成されるアジド修飾Fabタンパク質とアルキン修飾又はシクロアルキン修飾Fc6を反応させることにより、Fab−アジド−アルキン−Fc6を調製する。
発現ベクターpFUSE2ss−DE27−Vκ−CLIg−hk(配列番号115)をpPUSEss−DE27−Vγ1−CHIg−hG1−Mth−1(配列番号116)又はpFUSEss−DE27−Vγ1−CHIg−hG1−Mth−2(配列番号117)と同時形質移入することにより、アダリムマブFab−インテイン融合タンパク質を生成する。
ベクターpFUSE2ss−DE27−Vκ−CLIg−hkは、配列番号118に示したアダリムマブのプレ−κ軽鎖の発現を方向づける。細胞シグナルペプチダーゼによる非相同のIL−2シグナル配列の切断によって、配列番号119に示されるアダリムマブの成熟κ軽鎖を形成する。
ベクターpFUSEss−DE27−Vγ1−CHIg−hG1−Mth−1は、配列番号120に示したプレ−重鎖−インテインキメラポリペプチドの第1のタイプの発現を方向づけ、アダリムマブ重鎖VH及びCH1ドメインは、自動切断部位におけるRIR1自己スプライシングインテインのC−末端からN−末端で接合される。細胞シグナルペプチダーゼにより非相同のIL−2シグナル配列を切断することによって、配列番号121に示した成熟重鎖−インテイン融合タンパク質を形成する。一緒になって、配列番号119及び配列番号121のタンパク質は、細胞培養液に分泌されるアダリムマブFab−1−インテイン融合タンパク質を含む。
ベクターpFUSEss−DE27−Vγ1−CHIg−hG1−Mth−2は、配列番号122に示したプレ−重鎖−インテインキメラポリペプチドの第2のタイプの発現を方向づけ、アダリムマブ重鎖VH及びCH1ドメインは、自動切断部位におけるRIR1自己スプライシングインテインのC−末端からN−末端で接合される。細胞シグナルペプチダーゼにより非相同のIL−2シグナル配列を切断することによって、配列番号123に示した成熟重鎖−インテイン融合タンパク質を形成する。一緒になって、配列番号119及び配列番号123のタンパク質は、細胞培養液に分泌されるアダリムマブFab−2−インテイン融合タンパク質を含む。
タンパク質産生は、例1に記載されている通り本質的にCHO−DG44細胞中の過渡的な発現により、配列番号115を配列番号116と同時形質移入してアダリムマブFab−1−インテイン融合タンパク質を生成することにより、及び配列番号115を配列番号117と同時形質移入してアダリムマブFab−2−インテイン融合タンパク質を生成することにより実行される。
アルキン修飾アダリムマブFabタンパク質は、例1に記載されている通り本質的にアダリムマブFab−インテイン融合タンパク質を50mMシスチル−プロパルギルアミドで切断することにより生成される。アダリムマブFab−1−インテイン融合タンパク質を、シスチル−プロパルギルアミドで切断して、配列番号119及び配列番号124のヘテロ二量体タンパク質であるアルキン修飾アダリムマブFab−1タンパク質を生成する。アダリムマブFab−2−インテイン融合タンパク質を、シスチル−プロパルギルアミドで切断して、配列番号119及び配列番号125のヘテロ二量体タンパク質である、アルキン修飾アダリムマブFab−2タンパク質を生成する。
例1に記載されている通り本質的にアダリムマブFab−インテイン融合タンパク質を50mMシスチル−3−アジドプロピルアミドで切断することにより、アジド修飾アダリムマブFabタンパク質を生成する。アダリムマブFab−1−インテイン融合タンパク質をシスチル−3−アジドプロピルアミドで切断して、配列番号119及び配列番号126のヘテロ二量体タンパク質である、アジド修飾アダリムマブFab−1タンパク質を生成する。アダリムマブFab−2−インテイン融合タンパク質を、シスチル−3−アジドプロピルアミドで切断して、配列番号119及び配列番号127のヘテロ二量体タンパク質であるアジド修飾アダリムマブFab−2タンパク質を生成する。
アルキン修飾アダリムマブFab−1タンパク質又はアルキン修飾アダリムマブFab−2タンパク質をAz−DKTHT−Fc6タンパク質(図6)又はAz−PEGx−DKTHT−Fc6タンパク質(図7)と反応させることによって、アダリムマブFab−1−アルキン−アジド−Fc6及びアダリムマブFab−2−アルキン−アジド−Fc6を調製する。
トリス(3−ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THTPA)を、Hongら、Angew.Chem.Int.Ed.48、1−7(2009)に記載されている通り調製する。5mgs/mL又はそれ以上の濃度、及びFab−A:リンカー−Fcのモル比>2:1で、pH7.0の0.1Mリン酸ナトリウム中でリンカー−Fcとの反応を実施した。最終濃度が0.0001MのCuSO4、0.0005MのTHTPAを反応に添加する。最終濃度0.005Mアミノグアニジン及び0.005Mアスコルビン酸ナトリウムに添加することにより反応を開始する。閉管中で室温で12〜18時間インキュベーション後、反応混合物を、プロテインA(GE Lifesciences、NJ)で充てんしたクロマトグラフのカラムに適用して、過剰量の試薬及び未反応のFab−Aを除去し、PBSで洗浄し、pH2.7の0.1Mグリシン−HClで溶出し、pH9.0の1.0Mトリス−HClを添加することにより直ちに中和した。溶出したアダリムマブFab−1−アルキン−アジド−Fc6及びアダリムマブFab−2−アルキン−アジド−Fc6生成物を、PBSに対して透析する。
アジド修飾アダリムマブFab−1タンパク質又はアジド修飾アダリムマブFab−2タンパク質をシクロアルキン修飾Fc6タンパク質と反応させることによって、アダリムマブFab−1−アジド−アルキン−Fc6及びアダリムマブFab−2−アジド−アルキン−Fc6を調製する。
同様に調製したDIBAC−PEG12−チオエステル(表1)及び他のDIBAC−PEGx−チオエステル及びDIBAC−PEGx−DKTHT−チオエステルを用いて、シクロアルキン修飾Fc6タンパク質を例1に記載されている通り本質的に調製する。
例4
N末端アジド修飾Fcタンパク質
それぞれがN末端にアジド官能基を有し、PEGリンカーを任意に有していてもよい、一連のアジド修飾Fcタンパク質(N3−Px−Fc)を、Fc6タンパク質を、アジドアセチル−Px−DKTHT−チオフェノール(x=0、12、24、36、48)という配列を有する5つのチオエステルと反応させることによって調製した。反応をTCEP非存在下で行い、アジド基の第1級アミンへの任意の還元を最小限にした。x=12、24、36のアジドアセチル−Px−DKTHT−チオフェノールを表1に示す。アジドアセチル−DKTHT−チオフェノールチオエステルを、例1に記述した通りに調製した(C32H45O10N11S[M+H]+についての計算値776.8、実測値776.3)。アジドアセチル−PEG48−DKTHT−チオフェノールを、Quanta BioDesignから得たFmoc−PEG12−OH及びFmoc−PEG36−OHの逐次縮合により、固相によって調製した(C134H247N13O60S[M+H]+についての計算値3032.5、実測値3032.8)。構造式は、下記の通りである。
各反応物(2mL)は、pH6.5の50mMのMES、10mMのメルカプトフェニル酢酸、2.2mgのFc6、及び以下の5つのチオエステル、すなわち、アジドアセチル−DKTHT−チオフェノール(5mg)、アジドアセチル−PEG12−DKTHT−チオフェノール(5mg)、アジドアセチル−PEG24−DKTHT−チオフェノール(10mg)、アジドアセチル−PEG36−DKTHT−チオフェノール(10mg)又はアジドアセチル−PEG48−DKTHT−チオフェノール(20mg)の1つを含んだ。反応を、室温で20時間行い、pH9.0の0.1mLのトリスHClで中和し、12,000xgで遠心分離し、HiTrapプロテインA HPカラムに適用した。カラムを、12体積のPBSで洗浄し、次いで、N3−Px−Fcタンパク質を、pH2.7の0.1MのグリシンHClで溶出し、pH9.0の1.0MのトリスHCl1/20体積で中和した。A280によるピークフラクションをまとめて、PD−10カラム上で脱塩し、Amicon Ultracel−3 Filter Centrifugal Unitsを使用して濃縮した。
図24は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたN3−Px−Fcタンパク質を示す:Fc6対照(レーンa)、N3−P0−Fc(レーンb)、N3−P12−Fc(レーンc)、N3−P24−Fc(レーンd)、N3−P36−Fc(レーンe)、及びN3−P48−Fc(レーンf)。N3−Px−Fcタンパク質のサイズは、PEGリンカーの長さと共に増大した。加えて、TCEP無しで調製したN3−Px−Fcタンパク質のサイズ(図24)は、TCEP有りで調製されたN3−Px−Fcタンパク質のサイズ(図17)とSDS−PAGEにより区別できなかった。
例5
GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン
一連のGLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン(GLP1−P4−DN−Px−Fc)を、シクロオクチン官能基を有するようにさらに修飾されたGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)類似体を、例4の5つのN3−Px−Fcタンパク質のそれぞれと反応させることによって調製した。GLP−1類似体の配列、HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGRG−PEG3−C−NH2(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGRGは、配列番号202である)は、元々のGLP−1ペプチドの残基7−37に相当し、そこでは、グリシンが8位でアラニンに置換され、グルタミン酸が22位でグリシンに置換されている。加えて、GLP−1類似体は、シクロオクチン官能基に結合するために使用される、PEG3リンカー及びシステイン残基をC末端に有する。このGLP−1類似体、gly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2を、SPPSによって調製した(C165H253N43O53S[M+H]+についての計算値3720.3、実測値3721.3)。
シクロオクチン官能基を、C末端システイン残基上で遊離チオール基と反応できるマレイミド基を含有する、ヘテロ二官能性リンカーであるDBCO−PEG4−マレイミドを使用して、gly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2に付加した(図25)。DBCO−PEG4−マレイミド(C50H54N4O9、分子量854.92)は、Click Chemistry Tools(Scottsdale、AZ)から得た。使用前に、リンカーを、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得たジメチルスルホキシド(DMSO)に濃度25mg/mLで溶解した。反応物(0.4mL)は、pH6.5の50mMのMES、5mMのEDTA、0.45mgのgly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2ペプチド、及び0.9mg/mLのDBCO−PEG4−マレイミドリンカーを含んだ。反応を、室温で30分間行った。過剰な未反応リンカーを、GE Life Sciencesから得た5mLのHiTrap脱塩カラムを使用して除去した。図25は、得られたシクロオクチン修飾GLP−1類似体反応生成物(GLP1−P7−DBCO)の構造を示す。
GLP1−P7−DBCOを、5つのN3−Px−Fcタンパク質のそれぞれ1つと個々に反応させて(図26)、一連のGLP1−P7−トリアゾール−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンを生成した(図27)。各反応物(1.5mL)は、pH0.7の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.375mgのGLP1−P7−DBCOペプチド、及び5つのN3−Px−Fcタンパク質の1つを0.5mg含んだ。反応を、室温で3.5時間行い、反応物を、HiTrapプロテインA HPクロマトグラフィーによって精製し、例4に記述した通りに脱塩し、濃縮した。
図28は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたGLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンを示す:Fc6対照(レーンa)、GLP1−P4−DN−P0−Fc(レーンb)、GLP1−P4−DN−P12−Fc(レーンc)、GLP1−P4−DN−P24−Fc(レーンd)、GLP1−P4−DN−P36−Fc(レーンe)、及びGLP1−P4−DN−P48−Fc(レーンf)。GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンのサイズは、N3−Px−Fcタンパク質と同様に、PEGリンカーの長さと共に増大した。
図29は、還元条件下のSDS−PAGEによる、GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン及びN3−Px−Fcタンパク質を直接比較する:Fc6対照(レーンa)、N3−P0−Fc(レーンb)、GLP1−P4−DN−P0−Fc(レーンc)、N3−P12−Fc(レーンd)、GLP1−P4−DN−P12−Fc(レーンe)、N3−P24−Fc(レーンf)、GLP1−P4−DN−P24−Fc(レーンg)、N3−P36−Fc(レーンh)、GLP1−P4−DN−P36−Fc(レーンi)、N3−P48−Fc(レーンj)、及びGLP1−P4−DN−P48−Fc(レーンk)。各N3−Px−Fcタンパク質の、対応するGLP1−P4−DN−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンへの変換率は、約95%であった。
例6
GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンの生物学的活性
GLP1−P7−トリアゾール−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンの生物学的活性を、ヒトGLP−1受容体(GLP−1R)を発現する細胞におけるcAMP合成の誘導を測定する、細胞ベースのアッセイにおいて評価した。GLP−1R発現細胞を単離するために、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)をInvitrogen(Grand Island、NY)から、ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びジェネティシン硫酸塩(G418)をCorning(Manassas、VA)から得て、CalPhosトランスフェクションキットをClontech(Mountain View、CA)から得て、ヒトGLP−1受容体発現プラスミドをGeneCopoeia(Rockville、MD)から得て、抗ヒトGLP−1R−フィコエリトリンモノクローナル抗体をR&D Systems(Minneapolis、MN)から得た。cAMPアッセイのために、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)をSigma−Aldrichから得て(No.I5879)、cAMPダイナミック2キットをCisbio Bioassays(Bedford、MA)から得て、GLP−1(7−37)ペプチドをAnaSpec(No.20761)から得た。
GLP−1R発現細胞を、CalPho哺乳類トランスフェクションキットを使用して、GLP−1R発現ベクター(EX−A0510−M02)をヒト293T胎児由来腎臓細胞にトランスフェクトすることによって作製した。トランスフェクト細胞を、10%FBS及びペニシリン及びストレプトマイシン(10IU/ml)を補給したDMEMにおいて増殖させ、安定したトランスフェクタントの選択を、2mg/mlのG418を含有する同じ培地において行った。GLP−1R発現を、抗ヒトGLP−1R−フィコエリトリンモノクローナル抗体を使用したフローサイトメトリック分析によって評価した。
cAMPアッセイのために、293T−GLP−1R細胞を、20μL培地/ウェル中5,000、8,000又は10,000細胞/ウェルの密度で、384ウェルの組織培養処理済み白色マイクロタイタープレート(Corning No.3704)に一晩中蒔いた。翌日、0.5mMのIBMXを含有する20μLのPBS中のアゴニスト(GLP−1ペプチド又はGLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン)の段階希釈液を細胞に添加し、次いで、細胞を37℃で1、4又は24時間インキュベートした。刺激した後、cAMPレベルを、製造業者の使用説明書に従って、Cisbio cAMPダイナミック2キットを使用して、ClarioStarマイクロプレートリーダー(BMG Labtech)において、均一時間分解蛍光測定法(HTRF:Homogeneous Time-Resolved Fluorescence)によって決定した。HTRF検出試薬の添加後、抗cAMP Mabをクリプテート(20μL)で標識し、cAMPを色素d2(20μL)で標識し、プレートを室温で1時間インキュベートし、蛍光割合(665nm/620nm)を算出し、それを使用して、cAMP標準曲線への4パラメーターフィットによって、細胞溶解液中のcAMP濃度を決定した。
図30は、GLP−1(7−37)ペプチド及びGLP1−P7−DN−Px−Fcタンパク質(x=0、12、24、36、48)についての結果を示す。5つのGLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンすべてが、GLP−1(7−37)ペプチドと同様にcAMPレベルを誘導した。GLP−1(7−37)による刺激は、細胞が、アゴニストに1時間、4時間又は24時間晒されていようと同じであり、EC50は、24時間で約2nMであったが、GLP1−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンによる刺激は、細胞が、より長い時間アゴニストに晒されると劇的に増大し、EC50は、24時間で約0.4nMであった。
例7
N−末端シクロオクチン−Fcタンパク質
それぞれがシクロオクチン官能基をN末端に有する、一連のシクロオクチン修飾Fcタンパク質(DIBAC−P11−DN−Px−Fc)を、ホモ二官能性シクロオクチンリンカーを例4のアジド修飾N3−Px−Fcタンパク質と反応させることによって調製する。図31に示す、リンカーであるDIBAC−PEG11−DIBACを、CPC Scientificから得た(C74H102N6O17[M+H]+についての計算値1346.6、実測値1346.4)。このリンカーのPEG11部分は、[−NH−CH2−(CH2−CH2−O)3−(CH2)3−CO−NH−(CH2−CH2−O)5−(CH2)2−CO−NH−CH2−(CH2−CH2−O)3−(CH2)3−NH−]という構造を有するジアミド−dPEG11−ジアミン(Quanta Biodesigns No.10361)に由来した。
DIBAC−PEG11−DIBACを、5つのN3−Px−Fcタンパク質のそれぞれ1つと個々に反応させて(図31)、一連のDIBAC−P11−DN−Px−Fcタンパク質を生成する(図32)。代表的な結果を、DIBAC−P11−DN−P0−Fcを生成する、DIBAC−PEG11−DIBACとN3−P0−Fcタンパク質との反応について示す。84mgのN3−Px−Fcタンパク質を、水−エタノール(0.64:0.36体積/体積)におけるpH7.0の0.02Mリン酸ナトリウム中の11.25mgのDIBAC−PEG11−DIBACリンカーに添加することによって、反応(1mL)を開始した。反応を、室温で12時間行い、次いで、DIBAC−PEG11−DIBACリンカーを、1mLのPBSを添加することによって抽出し、よく混合し、12,000xgで遠心分離し、より濃厚な油相としてのリンカーを分離した。上部の水性相に含まれる所望のDIBAC−P11−DN−P0−Fc生成物を、HiTrapプロテインA HPクロマトグラフィーによって精製し、例4に記述した通りに脱塩し、濃縮した。
図33は、還元条件下のSDS−PAGEによるDIBAC−P11−DN−P0−Fc反応生成物を示す:Fc6対照(レーンb)、未精製の反応生成物(レーンc〜e)、精製されたN3−P0−Fcタンパク質(レーンf)、及び精製されたDIBAC−P11−DN−P0−Fcタンパク質(レーンg)。約70%のN3−P0−Fc(I)タンパク質を、期待したサイズのDIBAC−P11−DN−P0−Fc(II)タンパク質を有する生成物に変換した。
例8
DNA−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリン
一連のDNA−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンの(DNA−P11−DN−Px−Fc)を、アジド修飾DNA又はRNAを、例7の5つのDIBAC−P11−DN−Px−Fcタンパク質のそれぞれと反応させることによって調製する。図34は、成熟ヒトhsa−let−7d−5p miRNA(www.mirbase.org、受入番号MIMAT0000065)についてのDNAコード鎖の配列5’−AGAGGTAGTAGGTTGCATAGTT−3’(配列番号203)を有する、アジド修飾DNAである5AzD−let7dの構造を示す。5AzD−let7dオリゴヌクレオチド(5AzD−let7d)を、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA)から得た。使用前に、5AzD−let7d(分子量7187.8)を、10mMのトリスHCl、1mMのEDTAに溶解した。
5AzD−let7dを、DIBAC−P11−DN−Px−Fcタンパク質のそれぞれと個々に反応させ(図34)、一連のDNA−トリアゾール−Fcハイブリッド免疫グロブリンを生成した(図35)。代表的な結果を、5AzD−let7dとDIBAC−P11−DN−P0−Fcタンパク質との反応について示す。反応物(20μL)は、pH7.0の0.1Mリン酸ナトリウム、50μgの5AzD−let7d又はその一連の2倍希釈液、及び5.7μgのDNA−P11−DN−Px−Fcタンパク質を含んだ。反応を、室温で2時間行った。
図36は、還元条件下のSDS−PAGEによる反応生成物を示す。5AzD−let7dオリゴヌクレオチド濃度(mg/ml)は、以下の通りであった:マーカー(レーンa)、0(レーンb)、2.5(レーンc)、1.25(レーンd)、0.063(レーンe)、0.031(レーンf)、0.016(レーンg)、0.08(レーンh)。約90%のDIBAC−P11−DN−P0−Fc(II)タンパク質を、期待したサイズのDNA−ND−P11−DN−PEG0−Fc(III)ハイブリッド免疫グロブリンを有する生成物に変換した。
例9
N−末端アジド−Mabタンパク質
それぞれがアジド官能基を重鎖のN末端に有し、任意にPEGリンカーを有していてもよい一連のアジド修飾トラスツズマブタンパク質(N3−Px−Hc)を、トラスツズマブタンパク質変異体、cys1H−IgG1を、アジドアセチル−Px−DKTHT−チオフェノールという配列を有するチオエステルと反応させることによって調製する(図37)。
Cys1H−IgG1は、配列番号128に示す野生型トラスツズマブ軽鎖と、システイン残基を重鎖N末端に有する変異型トラスツズマブ重鎖とからなる。cys1H−IgG1重鎖は、最初、それぞれSHHシグナルペプチド、IFNシグナルペプチド、及びCETPシグナルペプチドを有する、配列番号167、配列番号168、及び配列番号169に示される、変異型トラスツズマブのプレ重鎖として発現する。細胞のシグナルペプチダーゼによる異種シグナル配列の切断は、N末端システインを有する成熟重鎖タンパク質をもたらし、その配列は、配列番号166に示される。
それぞれがアジド官能基を軽鎖のN末端に有し、任意にPEGリンカーを有していてもよい第2の一連のアジド修飾トラスツズマブタンパク質(N3−Px−Lc)を、トラスツズマブタンパク質変異体であるcys1L−IgG1を、アジドアセチル−Px−DKTHT−チオフェノールという配列を有するチオエステルと反応させることによって調製する(図38)。
Cys1L−IgG1は、配列番号129に示す野生型トラスツズマブ重鎖と、システイン残基をその軽鎖N末端に有する変異型トラスツズマブ軽鎖とからなる。cys1H−IgG1軽鎖は、最初、それぞれSHHシグナルペプチド、IFNシグナルペプチド、及びCETPシグナルペプチドを有する、配列番号131、配列番号132、及び配列番号133に示される、変異型トラスツズマブのプレ軽鎖として発現する。細胞のシグナルペプチダーゼによる異種シグナル配列の切断は、N末端システインを有する成熟軽鎖タンパク質をもたらし、その配列は、配列番号130に示される。
適切な軽鎖及び重鎖発現ベクターを共トランスフェクトして、cys1H−IgG1及びcys1L−IgG1タンパク質を生成する。タンパク質の生成を、例1に記述した通り、CHO−DG44細胞における一過性発現によって行い、無血清懸濁培養に適応させ、その後、プロテインA精製を行う。
例10
メルタンシン−トリアゾール−トラスツズマブハイブリッド免疫グロブリン
一連のメルタンシン−トリアゾール−トラスツズマブハイブリッド免疫グロブリンを、シクロオクチン官能基を有するようにさらに修飾されたメイタンシノイドDM1(メルタンシン)を、例9のN3−Px−Hc及びN3−Px−Lcタンパク質のそれぞれと反応させることによって調製する。
DM1(遊離チオール形態:M.W.737.5g/モル)を、参照によりここに組み込まれる米国特許第5,208,020号及び第6,333,410号B1に以前から記載されている通りに調製する。シクロオクチン官能基を、DM1の遊離チオール基と反応できるマレイミド基を含有する、DBCO−PEG4−マレイミドヘテロ二官能性リンカーを使用してDM1に付加する(図39)。例5の手順を使用して、DM1を、DMSO中のDBCO−PEG4−マレイミドと反応させる。シクロオクチン修飾DM1生成物(DM1−P4−DBCO)を、HPLCにより精製し、使用前にDMSOに溶解する。
DM1−P4−DBCOを、5つのN3−Px−Hcタンパク質のそれぞれ1つと個々に反応させて(図40)、トラスツズマブ重鎖のN末端でDM1を修飾した一連のメルタンシン−トリアゾール−トラスツズマブハイブリッド免疫グロブリン(DM1−P4−トリアゾール−Px−Hc)を生成する(図41)。
DM1−P4−DBCOを、5つのN3−Px−Lcタンパク質のそれぞれ1つと個々に反応させて(図42)、トラスツズマブ軽鎖のN末端でDM1で修飾した一連のメルタンシン−トリアゾール−トラスツズマブハイブリッド免疫グロブリン(DM1−P4−トリアゾール−Px−Lc)を生成する(図43)。
新規の抗体薬物複合体としてのメルタンシン−トリアゾール−トラスツズマブハイブリッド免疫グロブリンの有効性を、参照によりここに組み込まれる米国特許第7521541号B2に記載されているような、インビトロの細胞増殖アッセイ及びインビボの腫瘍増殖抑制アッセイ使用して、評価し、Genentech(South San Francisco、CA)から得たアド−トラスツズマブエムタンシンと比較する。
例11
N−末端テトラジン−Fcタンパク質
それぞれがテトラジン基をN末端に有し、任意にPEGxリンカーを有していてもよい一連のテトラジン修飾Fcタンパク質(Tet−Px−Fc)を、ヘテロ二官能性リンカーを、例4のアジド修飾N3−Px−Fcタンパク質と反応させることによって調製した。図44は、N3−Px−Fcタンパク質のアジド基と反応できるシクロオクチン基を一方の末端で有し、もう一方の末端でテトラジン基を有する、テトラジン−DBCOヘテロ二官能性リンカーを示す。テトラジン−DBCOリンカーを、Click Chemistry Toolsから得た(商品番号1022;C32H29N7O6S、プロトン化;分子量639.68、プロトン化)。使用前に、テトラジン−DBCOを、水に濃度25mg/mLで溶解した。
テトラジン−DBCOを、各N3−Px−Fcタンパク質と個々に反応させて(図44)、対応する一連のTet−Px−Fcタンパク質を生成した(図45)。反応物(0.72mL)は、pH7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.1875mgのテトラジン−DBCOリンカー、及び0.6mgのN3−Px−Fcタンパク質を含んだ。反応を、室温で3.5時間行った。過剰な未反応リンカーを、HiTrapプロテインA HPクロマトグラフィーによって除去した。
図46は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたTet−Px−Fcタンパク質を示す:Fc6対照(レーンa)、Tet−P0−Fc(レーンb)、Tet−P12−Fc(レーンc)、Tet−P24−Fc(レーンd)、Tet−P36−Fc(レーンe)、及びTet−P48−Fc(レーンf)。Tet−Px−Fcタンパク質のSDS−PAGEでのサイズは、還元条件と非還元条件の両方で、PEGリンカーの長さが増大するにつれて増大した。加えて、Tet−Px−Fcタンパク質のそれぞれが、還元条件下でのSDS−PAGEによる対応するN3−Px−Fcタンパク質よりも大きかった(図50)。
例12
N末端trans−シクロオクテン−Fcタンパク質
それぞれがtrans−シクロオクテン基をN末端に有し、任意にPEGxリンカーを有していてもよい一連のtrans−シクロオクテン修飾Fcタンパク質(Tco−Px−Fc)を、ヘテロ二官能性リンカーを例4のアジド修飾N3−Px−Fcタンパク質と反応させることによって調製する。図47は、N3−Px−Fcタンパク質のアジド基と反応できるシクロオクチン基を一方の末端で有し、もう一方の末端でtrans−シクロオクテン基を有する、TCO−PEG12−DBCOヘテロ二官能性リンカーを示す。TCO−PEG12−DBCOリンカーを、Click Chemistry Toolsから得た(商品番号1005;C54H81N3O16;分子量1028.23)。使用前に、TCO−PEG12−DBCOを、DMSOに濃度100mg/mLで溶解した。
TCO−PEG12−DBCOを、各N3−Px−Fcタンパク質と個々に反応させて(図47)、対応する一連のTet−Px−Fcタンパク質を生成した(図48)。代表的な結果を、TCO−PEG12−DBCOとN3−P36−Fcタンパク質との反応について示す。反応物(6μL)は、pH7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.2mgのTCO−PEG12−DBCOリンカー又はDMSO中のその一連の2倍希釈液、及び5μgのN3−P36−Fcタンパク質を含んだ。反応を、室温で3.5時間行った。
図49は、還元条件下のSDS−PAGEによるTco−P12−Px−Fcタンパク質を示す。Tco−P12−DMCOリンカー濃度(mg/ml)は、以下の通りであった:32(レーンa)、16(レーンb)、8(レーンc)、4(レーンd)、2(レーンe)、1(レーンf)、0.5(レーンg)、0.25(レーンh)、0.125(レーンi)、及び0(レーンj)。N3−P36−Fc(I)タンパク質のTco−P12−P36−Fc(II)タンパク質への変換は、Tco−P12−DBCOリンカー濃度1mg/ml(レーンf)で、本質的に完全であった。さらなる研究において、それによって得られたTco−P12−P36−Fcタンパク質を、HiTrapプロテインA HPクロマトグラフィーによって精製し、例4に記述した通りに脱塩し、濃縮した。
テトラジン官能基を有するTco−P12−P36−Fcタンパク質の反応性を試験するために、精製されたTco−P12−P36−Fcタンパク質を、まず、ヘテロ二官能性テトラジン−DBCOリンカーと反応させ、DBCO−TT−P12−P36−Fcタンパク質を調製し、プロテインAによって精製し、次いで、Quanta Biodesignsから得た、アジド−PEG−アミンリンカーであるNH2−PEG23−N3(商品番号10525、C48H98N4O23、分子量1099.30)と反応できる能力について試験した。試験の反応物(6μL)は、pH7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.2mgのNH2−PEG23−N3リンカー又はその一連の2倍希釈液、及び5μgのDBCO−TT−P12−P36−Fcタンパク質を含んだ。反応を、室温で1時間行った。
図50は、還元条件下のSDS−PAGEによる反応生成物を示す。NH2−PEG23−N3リンカー濃度(mg/ml)は、以下の通りであった:0.12(レーンa)、0.06(レーンb)、0.03(レーンc)、0.015(レーンd)、0.0075(レーンe)、0.0038(レーンf)、0.002(レーンg)、0.001(レーンh)、0(レーンi)。Tco−P12−P36−Fc(図示せず)ではなく、DBCO−TT−P12−P36−Fc(III)タンパク質を、期待したNH2−P23−ND−TT−P12−P36−Fc(IV)タンパク質に変換し、テトラジン官能基を有するTco−P12−P36−Fcタンパク質の反応性を確認した。
例13
GLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン
一連のGLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン(GLP1−P3−TT−Px−Fc)を、trans−シクロオクテン修飾GLP−1類似体を例11のTet−Px−Fcタンパク質と反応させることによって調製した。GLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンを、テトラジン修飾GLP−1類似体を例12のTco−Px−Fcタンパク質と反応させることによっても調製する。
trans−シクロオクテン修飾GLP−1類似体を調製するために、gly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2ペプチドを、ヘテロ二官能性リンカーと反応させた。TCO−PEG3−マレイミドは、C末端システイン残基上で遊離チオール基と反応できるマレイミド基を含有する(図51)。TCO−PEG3−マレイミド(C26H41N3O8、分子量523.62)を、Click Chemistry Toolsから得た(商品番号1002)。使用前に、リンカーを、DMSOに濃度25mg/mLで溶解した。反応物(0.42ml)は、pH6.5の50mMのMES、5mMのEDTA、0.45mgのgly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2ペプチド、及び0.375mgのTCO−PEG3−マレイミドリンカーを含んだ。反応を、室温で60分間行った。過剰な未反応リンカーを、5mLのHiTrap脱塩カラムを使用した、pH7.0の0.02Mのリン酸ナトリウムへのバッファー交換によって除去した。図51は、trans−シクロオクテン修飾GLP−1類似体(GLP1−P6−Tco)の構造を示す。
GLP1−P6−Tcoペプチドを、Tet−Px−Fcタンパク質のそれぞれと個々に反応させて(図52)、GLP1−P3−TT−Px−Fcシリーズのハイブリッド免疫グロブリンを生成した(図53)。反応物(0.99ml)は、pH7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.145mgのGLP1−P6−Tcoペプチド、及び0.33mgの各Tet−Px−Fcタンパク質を含んだ。反応を、室温で30分間行った。次いで、GLP1−P6−TT−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンを、HiTrapプロテインA HPでクロマトグラフィーによって精製された。
テトラジン修飾GLP−1類似体を調製するために、gly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2ペプチドを、二官能性リンカーと反応させる。テトラジン−PEG4−マレイミドは、C末端システイン残基上で遊離チオール基と反応できるマレイミド基を含有する(図54)。テトラジン−PEG4−マレイミド(C29H39N7O、分子量613.66)を、Click Chemistry Toolsから得た(商品番号A139)。使用前に、リンカーをDMSOに濃度25mg/mLで溶解する。反応物(0.42ml)は、pH6.5の50mMのMES、5mMのEDTA、0.45mgのgly8−glu22−GLP−1(7−37)−PEG3−cys−NH2ペプチド及び0.375mgのテトラジン−PEG4−マレイミドリンカーを含む。反応を、室温で60分間行う。過剰な未反応リンカーを、5mLのHiTrap脱塩カラムを使用した、pH7.0の0.02Mのリン酸ナトリウムへのバッファー交換によって除去する。図54は、テトラジン修飾GLP−1類似体(GLP1−P7−Tet)の構造を示す。
GLP1−P7−Tetペプチドを、Tco−Px−Fcタンパク質のそれぞれと個々に反応させて(図55)、GLP1−P7−TetTco−Px−Fcシリーズのハイブリッド免疫グロブリンを生成する(図56)。反応物(0.99ml)は、pH7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.145mgのGLP1−P7−Tetペプチド、及び0.33mgの各Tco−Px−Fcタンパク質を含む。反応を、室温で30分間行う。次いで、GLP1−P7−Tet/Tco−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンを、HiTrapプロテインA HPでクロマトグラフィーによって精製する。
図57は、還元条件(左)及び非還元条件(右)下のSDS−PAGEによる、精製されたGLP1−ジドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンを示す:Fc6対照(レーンa)、GLP1−P6−TT−P0−Fc(レーンb)、GLP1−P6−TT−P12−Fc(レーンc)、GLP1−P6−TT−P24−Fc(レーンd)、GLP1−P6−TT−P36−Fc(レーンe)、及びGLP1−P6−TT−P48−Fc(レーンf)。GLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンのサイズは、Tet−Px−Fcタンパク質と同様にPEGリンカーの長さと共に増大した。
図58は、還元条件下のSDS−PAGEによる、N3−Px−Fc(I)タンパク質、Tet−Px−Fc(II)タンパク質、及びGLP1−ジヒドロピリジジン−Fc(III)ハイブリッド免疫グロブリンを直接比較する:Fc6対照(レーンa)、N3−P0−Fc(レーンb)、Tet−P0−Fc(レーンc)、GLP1−P6−TT−P0−Fc(レーンd)、N3−P12−Fc(レーンe)、Tet−P12−Fc(レーンf)、GLP1−P6−TT−P12−Fc(レーンg)、N3−P24−Fc(レーンh)、Tet−P24−Fc(レーンi)、GLP1−P6−TT−P24−Fc(レーンj)、N3−P36−Fc(レーンk)、Tet−P36−Fc(レーンl)、GLP1−P6−TT−P36−Fc(レーンm)、N3−P48−Fc(レーンn)、Tet−P48−Fc(レーンo)、GLP1−P6−TT−P48−Fc(レーンp)。各Tet−Px−Fcタンパク質の対応するGLP1−P6−TT−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンへの変換率は、約92%であった。
図59は、GLP1−P7−DBCOとN3−P36−Fcとの反応の時間的経過、及びGLP1−P6−TcoとTet−P36−Fcとの反応の時間的経過を示す。各反応を、過剰な競合物の添加によって終了させることを除いて、示した様々な時間について、反応を上記の通りに行った。GLP1−P7−DBCOとN3−P36−Fcとの反応のために、アジドナトリウムを添加して、最終濃度0.1%にし、GLP1−P6−TcoとTet−P36−Fcとの反応のために、TCO−PEG3−マレイミドを添加して、最終濃度3.5mg/mlにした。各反応を、還元条件下でSDS−PAGEにより分析した:(上側パネル)0、1、2、4、6、24、48、72時間の間、N3−P36−Fc単独(レーンa)、N3−P36−Fc+GLP1−P7−DBCO;(下側パネル)−4、−2、−1、0、1、2、4分間の間、Tet−P36−Fc単独(レーンa)、Tet−P36−Fc+TCO−PEG3−マレイミドのみ(レーンb)、Tet−P36−Fc+GLP1−P6−Tco。GLP1−P7−DN−P36−Fc(II)の形成を引き起こす、GLP1−P6−TcoとTet−P36−Fc(I)との反応は、非常に速く、1分以内に終了するのに対して、GLP1−P7−DN−P36−Fc(II)の形成を引き起こす、GLP1−P7−DBCOとN3−P36−Fc(I)との反応は、6時間後にたった50%の終了である。
GLP1−P6−ジヒドロピリリジン−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンの生物学的活性を、例6に記述した細胞ベースのアッセイにおいて評価した。図60は、GLP−1(7−37)ペプチド及びGLP1−P6−TT−Px−Fcタンパク質(x=0、12、24、36、48)についての結果を示す。5つのGLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンすべてが、GLP−1(7−37)ペプチドと同様にcAMPレベルを誘導した。GLP−1(7−37)による刺激は、細胞が、アゴニストに1時間、4時間又は24時間晒されていようと同じであり、EC50は、24時間で約2nMであったが、GLP1−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンによる刺激は、細胞が、より長い時間アゴニストに晒されると劇的に増大し、EC50は、24時間で約0.2nMであった。
例14
アダリムマブFab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン
一連のFab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン(Fab−P3−TT−Px−Fc)を、trans−シクロオクテン修飾Fabフラグメントを例11のTet−Px−Fcタンパク質と反応させることによって調製した。Fab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンを、テトラジン修飾Fabフラグメントを例12のTco−Px−Fcタンパク質と反応させることによっても調製する。
trans−シクロオクテン修飾Fabを調製するために、TCEP処理したFabを、TCEP処理したFab上で遊離チオール基と反応できるマレイミド基を含有する、ヘテロ二官能性リンカーであるTCO−PEG3−マレイミドと反応させた(図61)。Fabフラグメントを、製造業者の使用説明書に従って、Pierce(商標)Fab Preparation Kit(カタログ番号44985)を使用して、Abbottから得た10mgのアダリムマブ(Humira(商標))のパパイン消化によって生成した。消化後、Fabフラグメントを、HiTrapプロテインA HPでクロマトグラフィーによって精製し、Fcフラグメント及び未消化抗体を除去した。Fabフラグメントを含有するフロースルーフラクションを、PBSにバッファー交換し、5mg/mlに濃縮した。
TCEPによるFabフラグメントの部分的還元のために、反応物(0.26ml)は、pH7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、0.5mgのFab、及び0.08mg/mlのTCEPを含んだ。室温での60分のインキュベーション後、pH7.0の0.3Mのリン酸ナトリウム0.24ml、及び0.22mlの水の添加によって、反応物を0.72mlにした。次いで、TCO−PEG3−マレイミドリンカーを、反応物(DMSO中の濃度50μg/mlで0.12ml)に付加し、反応物を、室温で20分間インキュベートした。trans−シクロオクテン修飾Fabを、PD−10カラムで、pH7.0の0.02Mのリン酸ナトリウムにバッファー交換し、過剰なリンカーを除去し、最終生成物を、2.7mg/mlに濃縮した。これらの条件下で、90%超のFab重鎖及び10%未満のFab軽鎖を、TCO−PEG3−マレイミドリンカーによって修飾した。図61は、trans−シクロオクテン修飾Fabタンパク質(Fab−P3−Tco)の構造を示す。
Fab−P3−Tcoタンパク質を、Tet−Px−Fcタンパク質のそれぞれと個々に反応させて(図62)、Fab−P3−TT−Px−Fcシリーズのハイブリッド免疫グロブリンを生成した(図63)。反応物(6μl)は、H7.0の0.1Mのリン酸ナトリウム、3.6μgのFab−P3−Tcoタンパク質、及び1μgの各Tet−Px−Fcタンパク質を含んだ。反応を、室温で60分間行った。
図64は、還元条件下のSDS−PAGEによる、Fab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンを示す:マーカー(レーンa)、アダリムマブ(レーンb)、Fab−P3−TT−P0−Fc(レーンc)、Fab−P3−TT−P12−Fc(レーンd)、Fab−P3−TT−P24−Fc(レーンe)、Fab−P3−TT−P36−Fc(レーンf)、Fab−P3−TT−P48−Fc(レーンg)、Fab−P3−Tco(レーンh)、Tet−P0−Fc(レーンi)、Tet−P12−Fc(レーンj)、Tet−P24−Fc(レーンk)、Tet−P36−Fc(レーンl)、Tet−P48−Fc(レーンm)。アダリムマブ(レーンb)と比較して、Fab−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリンは、期待したサイズを有しており、それは、Tet−Px−Fcタンパク質と同様にPEGリンカーの長さと共に増大したことを示す。各Tet−Px−Fcタンパク質の対応するFab−P3−TT−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンへの変換率は、約75%であった。
例15
オランザピン−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン
この例において、ハイブリッド免疫グロブリンを、第1級アミン、第2級アミン又はアルコール化合物のアジド誘導体で調製する。アジド誘導体化合物を、参照によりここに組み込まれるPothukanuri,S.and Winssinger,N.、Org Lett.2007;9(11):2223−5に記載されている通りに調製してもよい。第1級アミン、第2級アミン又はアルコール化合物を、まず、クロロギ酸クロロアルキルと反応させて、カルバミン酸クロロアルキルを得て、塩化物のアジド置換がそれに続き、カルバミン酸アジドアルキルがもたらされる。すべての化学物質をSigma−Aldrichから得る。
まず、オランザピン(Sigma、カタログ番号01141)を、参照によりここに組み込まれる2013年10月10日に公開された米国特許出願13/801,344、公開番号US20130267505A1に記載されているように、クロロギ酸クロロメチルと反応させる。オランザピン(60mmol)及びトリエチルアミン(120mmol)の無水ジクロロメタン(250ml)溶液を、透明の溶液が形成されるまで35℃に温め、次いで、5℃まで冷却する。次いで、クロロギ酸クロロメチル(90mmol)を20分かけて添加する。他の適切なクロロギ酸クロロアルキルとしては、クロロギ酸2−クロロエチル、クロロギ酸3−クロロプロピル、及びクロロギ酸4−クロロブチルが挙げられる。反応物を、室温で30分間撹拌し、室温にまで温める。室温で15分後、反応混合物を、ジクロロメタン(100ml)で希釈し、次いで、飽和NaHCO3水溶液(75ml)及び水(350ml)で洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥して、ろ過する。次いで、有機相を、真空中で45℃で濃縮し、体積150mlにする。混合物を30mlの酢酸エチルで希釈し、真空中でさらに蒸発させる(20〜30ml)。混合物を室温まで冷却し、得られた沈殿物をろ過し、酢酸エチルで洗浄する。真空中で35℃で、90分間乾燥した後、クロロメチル、2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−5−カルボキシレートを得る。次いで、この化合物(1.5当量)を、室温で、CH3CN:H2O(1:1、0.3M)中で、NaN3(1.5当量)で8〜36時間処理する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機相を水、ブラインで洗浄し、次いで、Na2SO4で乾燥し、真空中で濃縮した。HPLCによる精製は、アジドオランザピン誘導体であるアジドメチル2−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5H−ベンゾ[b]チエノ[2,3−e][1,4]ジアザピン−5−カルボキシレートをもたらす(図65)。
次いで、以下の通り、アジド−オランザピン誘導体を使用して、一連のオランザピン−ジヒドロピリジジン−Fcハイブリッド免疫グロブリン(Ola−P12−TT−Px−Fc)を調製する。第1の工程において、アジド−オランザピン誘導体を、ヘテロ二官能性リンカーを使用して、trans−シクロオクテン官能基で修飾する。第2の工程において、trans−シクロオクテン修飾オランザピンを、例11のTet−Px−Fcタンパク質と反応させる。
trans−シクロオクテン修飾オランザピンを調製するために、アジド−オランザピン誘導体を、アジド基と反応できるシクロオクチン基を含有する、ヘテロ二官能性リンカーであるTCO−PEG12−DBCOと反応させる(図65)。反応物(1ml)は、0.5mgのアジド−オランザピン誘導体、及びDMSO中の5mgのTCO−PEG12−DBCOリンカーを含む。反応を、室温で3〜20時間行う。trans−シクロオクテン修飾オランザピン(Ola−P12−Tco)を、HPLCによって精製し、過剰な未反応TCO−PEG12−DBCOリンカーを除去する。使用前に、Ola−P12−Tcoを、DMSOに濃度1mg/mLで溶解する。
Ola−P12−Tcoを、Tet−Px−Fcタンパク質のそれぞれと個々に反応させて(図66)、Ola−P12−TT−Px−Fcシリーズのハイブリッド免疫グロブリンを生成する(図67)。反応物(1ml)は、0.1mgのGLP1−P7−Tetペプチド、及びDMSO中の0.33mgの各Tco−Px−Fcタンパク質を含む。反応を、室温で60分間行う。次いで、Ola−P12−TT−Px−Fcハイブリッド免疫グロブリンを、HiTrapプロテインA HPでクロマトグラフィーによって精製する。
考察
本発明の側面は、大型の結合ドメイン、たとえば、Fab自体又は受容体細胞外ドメインを取り込む非タンパク質ヒンジによる抗体の化学半合成を提供する。本発明は、コグネイトタンパク質の未変性の構造及び機能に適合し、効率的に進行する連結反応の同定に関する。本発明の側面は、可動性並びに伸長可能である非タンパク質鎖を有する化合物を提供する。本発明の態様において提供される抗体様分子は、これらの疾患標的への結合親和性を改善した治療薬候補として非常に大きな可能性をもつ。