JP2017227902A - 発色構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】観察角度による色変化を緩やかにしながらも、光沢感の低下を防止することができる発色構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】凹凸構造と積層体とを有する発色構造体において、積層体を構成する隣接する2層は、同じ波長帯の光を透過し、且つ、波長帯の光に対して異なる屈折率を持つ材料で構成され、積層体は、波長帯の一部の波長の光を選択的に反射されるように設計され、凹凸構造は複数の凸部を配列することで構成され、凸部の第1方向における線幅は波長帯の波長以下であり、第1方向と直交する第2方向における線長が第1方向の線幅よりも長く、第1方向および積層体の積層方向との断面にて、単位領域あたりの複数の凸部の構造高さは、波長帯の波長以下の高さであり、かつ第一構造高さ又は第二構造高さ又は第一構造高さと第二構造高さを足し合わせた高さである第三構造高さの少なくともいずれか2種類以上を備えることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、表面に形成された構造体により発色する発色構造体およびその製造方法に関する。
色素のような光吸収による電子遷移を伴う発色現象とは異なり、物質自体には光吸収性はないが、光の波長と同程度、もしくは波長よりも小さい周期構造体による回折や干渉、散乱を利用して、特定波長の光のみを反射、又は透過することにより発色する発色現象が存在する。以下、本明細書においては、この発色現象を構造発色と称する。
構造発色は、例えば紫外線により劣化しない無機誘電体材料で構成される場合、構造が保たれる限り紫外線が照射される環境下に放置しても、色褪せすることがない。
また、回折、干渉を利用する構造発色は、観察角度により認識される光の波長が変化する特徴があるため、意匠性の高い表現が可能となる。
このような構造発色による発色体として、屈折率が異なる高分子材料を多層構造とした多層膜干渉を利用した発色構造体が提案されている(特許文献1)。
但し、特許文献1で提案された発色構造体は、高分子材料の多層構造であるため、隣接する各層を構成する材料の屈折率差が小さく、強い反射を得るためには幾重にも積層する必要があり、製造コストが高くなる。さらに、多層膜干渉の影響が支配的となり、観察角度による色変化が急峻となり、特定の色を表現することが困難となる。
そこで、自然界に生息するモルフォチョウのように、強い反射を有し、且つ観察する角度による色変化が緩やかである発色体が提案されている(特許文献2)。
特開2000−246829号公報 特開2005−153192号公報
特許文献2で提案された発色体は、基材に不均一な凹凸構造を形成し、この凹凸構造上に多層膜を積層することで、多層膜の周期性からなる干渉に凹凸構造の不規則性からなる光の広がり効果を付与し、観察角度による緩やかな色変化を実現している。
通常、多層膜干渉により反射される光の強度は、正反射角度から離れると急激に減少するが、特許文献2の発色体は凹凸構造の影響により、正反射角度から外れても一定の反射強度が得られる。
しかしながら、特許文献2で提案されている凹凸構造では、光の広がり効果を強めるために凹凸構造を高くすると光を散乱効果が強まることにより、観察角度による色変化は緩やかになるものの、反射光の波長は長波長側にシフトすることに加え、色コントラストが低下してしまう。さらに、散乱効果により光沢も失われてしまう。光沢を加えるために、多層膜と基材との間に金属薄膜を挿入することが提案されているが、多層膜を透過した可視領域の光は金属薄膜で反射されるため、色コントラスト低下の原因となる。
一方、散乱効果を抑えるため、凹凸構造を低くしてしまうと、光の広がりが十分に得られず、観察角度による色変化が急峻になってしまう。
それ故に、本発明は、観察角度による色変化を緩やかにしながらも、発色の彩度や光沢感の低下を防止することができる発色構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、凹凸構造と、凹凸構造上に2層以上の層からなる積層体とを有する発色構造体において、積層体を構成する隣接する2層は、同じ波長帯の光を透過し、且つ、波長帯の光に対して異なる屈折率を持つ材料で構成され、積層体は、波長帯の一部の波長の光を選択的に反射されるように設計され、凹凸構造は複数の凸部を配列することで構成され、凸部の第1方向における線幅は波長帯の波長以下であり、第1方向と直交する第2方向における線長が第1方向の線幅よりも長く、第1方向および積層体の積層方向との断面にて、単位領域あたりの複数の凸部の構造高さは、波長帯の波長以下の高さであり、かつ第一構造高さ又は第二構造高さ又は第一構造高さと第二構造高さを足し合わせた高さである第三構造高さの少なくともいずれか2種類以上を備えることを特徴とするものである。
第一構造高さと第二構造高さが等しくてもよい。
第二構造高さ及び第三構造高さを有する凸部は、第1方向において、波長帯の最小波長の1/2以上のピッチであって、かつ一定ではないピッチで配列されてもよい。
第一構造高さと第二構造高さはそれぞれ10nm以上200nm以下であってもよい。
また、本発明は、凹凸構造と、凹凸構造上に2層以上の層からなる積層体とを有し、照射された所定の波長帯の光のうちの一部の波長の光を選択的に反射する発色構造体の製造方法であって、第1方向の線幅が波長帯の波長以下であり、第1方向と直交する第2方向における線長が第1方向の線幅よりも長く、単位領域あたりの第1方向および第2方向と直交する方向の構造高さが、波長帯の波長以下であり、かつ第一構造高さ又は第二構造高さ又は第一構造高さと第二構造高さを足し合わせた高さである第三構造高さの少なくともいずれか2種類以上から構成される複数の凹部を形成してなるモールドを用意する工程と、基材に光硬化性樹脂を塗布する工程と、光インプリント法により、光硬化性樹脂にモールドに形成された構造を転写して凹凸構造を形成する工程と、形成された凹凸構造上に、波長帯の光を透過し、且つ、波長帯の光に対して異なる屈折率を持つ材料を交互に積層して積層体を成膜する工程とを具備するものである。
本発明によれば、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造Aに、回折光効果を誘起するための線状構造からなる凹凸構造Bを重畳した凹凸構造を設けることによって、観察角度による色変化を緩やかにしながらも、発色の彩度や光沢感の低下を防止することができる発色構造体およびその製造方法を提供できる。
実施形態に係る発色構造体において、光の広がり効果を誘起するために設けられる凹凸構造Aの概略図 実施形態に係る発色構造体において、回折現象を誘起するために設けられる凹凸構造Bの概略図 図1に示す凹凸構造Aと、図2に示す凹凸構造Bを重ねた凹凸構造の概略図 実施形態に係る発色構造体の一例を示す断面概略図 実施形態に係る発色構造体の他の一例を示す断面概略図 実施例に係る発色構造体に設けた凹凸構造の概略図 実施例及び比較例に係る発色構造体の反射スペクトルの測定結果を示す図
本発明において、発色構造体が作用する波長帯は、凹凸構造を構成する凸部(凹部)の線幅及び配列ピッチと、凹凸構造上に形成する積層体の屈折率及び膜厚とにより決定される。本発明においては、発色構造体が対象とする波長帯は限定されるものではないが、以下の実施形態では、特に可視領域の光を対象とした発色構造体について図面を用いて説明する。尚、本実施形態において、可視領域は360nm〜830nmの波長帯の光を指すものとする。
図1は、実施形態に係る発色構造体において、光の広がり効果を誘起するために設けられる凹凸構造Aの概略図である。図1(a)は、平面概略図であり、図1(b)は、図1(a)に示したα−α’線に沿う断面概略図である。説明の便宜上、図1(a)においては、凹凸構造を構成する凸部が並列する方向をX方向とし、X方向と直交する方向であって、凸部が延伸する方向をY方向とし、X軸及びY軸を用いて方向を特定する。
図1に示した凹凸構造Aは、X方向の線幅がd1であり、Y方向の線長がd1以上である矩形をX方向及びY方向のいずれにも重複しないように配列した平面形状の凸部11を有する。凸部11の平面形状を構成する矩形のY方向の線長は、所定の標準偏差を有する母集団から選択される。可視領域の発色構造体の場合、d1は830nm以下であることが好ましく、例えば、青色の発色構造体とする場合は、d1は300nm程度が好ましい。図1の例では、凸部11を構成する矩形がX方向において重複しないように配列される。よって、図1の例では、1つの凸部11のX方向における幅はd1の整数倍となる。
尚、凸部11を構成する矩形は、X方向において重複するように配列して凸部11の平面形状を構成してもよく、1つの凸部11の幅はd1の整数倍でなくても良い。1つの凸部11の幅がd1の整数倍でない場合でも光の広がり効果を誘起することは可能である。
凹凸構造Aの構造高さh1は、発色構造体の表面で反射させる光の波長に応じて最適な値に設計すれば良い。h1の値は、後述する積層体表面の表面粗さより大きい値であれば回折効果を得ることは出来る。ただし、h1を過剰に大きくすると、光の散乱効果が強まり、積層体表面から反射される光の彩度が損なわれるため、対象となる波長帯が可視領域の発色構造体の場合は、h1の値は通常10nm〜200nmの範囲にあることが好ましく、例えば青色の発色構造体では、効果的な光の広がりを得るためには40〜150nm程度が好ましい。散乱効果を抑制するために、青色の発色構造体では、h1が100nm以下であることがより好ましい。
図2は、実施形態に係る発色構造体において、回折を誘起するために設けられる凹凸構造Bの概略図である。図2(a)は、平面概略図であり、図2(b)は、図1(a)に示したβ−β’線に沿う断面概略図である。
図2に示す凹凸構造Bは、図1に示した凹凸構造A上に重畳して形成されるものであり、凸形状の線状構造(凸条)21から構成される。尚、図2に示したX方向及びY方向は、それぞれ、図1に示したX方向及びY方向と同方向である。線状構造21は、反射光の少なくとも一部が1次回折光(回折次数m=±1)として観測されるように設計する。よって、入射角度をθ、反射角度をφ、回折する光の波長λとした場合、線状構造21のX方向における配列ピッチdはd≧λ/(sinθ+sinφ)を満たす必要がある。例えば、λ=360nmの可視光線を対象とするならば、線状構造21の配列ピッチは180nm以上であれば良い。
線状構造21のX方向における線幅d2は、図1に示した凹凸構造Aの線幅d1と等しくても良いし、異なっていても良い。
線状構造21の配列ピッチは、後述する積層体最表面の凹凸構造の周期性に反映される。よって、線状構造21の配列ピッチが一定の場合、特定の角度で特定の波長の光が発色構造体の表面で回折現象により反射される。この回折現象による光の反射強度は、図1に示す凹凸構造Aの光の広がり効果により得られる反射強度と比較して非常に強いため、金属光沢のような強い光が視認されるが、一方で観察角度の変化に対して分光されてしまう。したがって、例えば青色を呈する発色構造体が得られるように図1に示した凹凸構造Aを設計した場合に、線状構造21の配列ピッチを400nm〜5μm程度の一定値としてしまうと、観察角度によっては回折により強い緑〜赤色の表面反射が発生してしまう。線状構造21の配列ピッチを例えば50μm程度に大きくすると、可視領域の光が回折される角度範囲が狭くなるため、特定波長の色が視認されにくくなるが、特定の観察角度でのみ金属光沢のような輝きを示すにとどまる。
線状構造21を周期が異なる複数の周期構造の重ね合わせにより形成した場合、回折現象により反射される光の波長は混在化するため、分光された単色性の高い光は視認されにくくなる。但し、周期性の標準偏差が大きくなるにつれ、散乱効果が支配的になり、回折現象による強い反射が得られなくなる。
そこで、線状構造21の周期性は、図1に示した凹凸構造Aによる光の広がり効果により得られる散乱角度により決定すれば良い。例えば、青色の光が入射角度に対して±40°の範囲で散乱される場合、線状構造21の配列ピッチは、平均値を1〜5μm程度とし、標準偏差を1μm程度とすれば、凹凸構造Aの光の広がり効果による散乱角度と同等の角度領域に回折現象による反射光が発生する。
さらに、より長周期の回折現象を付与するために、配列ピッチの平均値を1〜5μm程度とし、標準偏差を1μm程度とする線状構造21を一辺10〜100μmの矩形領域に形成し、この矩形領域を隣接領域と重ねることなく配列することも可能である。
さらに、一辺10〜100μmの矩形領域内に、構造周期が1〜5μmの間から選ばれる一定周期の線状構造21を形成したとしても、隣接したいずれかの矩形領域の線状構造の周期が標準偏差1μm程度のばらつき範囲で異なっていれば、人の目の解像度においては同等の効果が期待できる。
尚、図2の線状構造21はX方向のみの配列であるが、図1に示した凹凸構造Aによる光の広がり効果はY方向にも一部影響するため、図2の線状構造21はY方向にも周期性を有しても良い。この場合、線状構造21のX方向及びY方向の配列ピッチの平均値は、1μm以上100μm以下であればよい。さらに、その周期性は、図1に示した凹凸構造Aによる光の広がり効果のX方向への影響とY方向への影響とに応じて、配列ピッチの平均値及び標準偏差の少なくとも一方が異なる構成としても良い。
線状構造21の構造高さh2は、凹凸構造Aの凸部11の構造高さh1と同様に、後述する積層体表面の表面粗さより大きい値とする。但し、h2の値が大きくなるにつれ、線状構造21による回折効果が支配的となる。線状構造21による回折効率が過剰に高くなることに加え、多段構造とすることにより、凹凸構造による散乱効果が高くなることからも、図1で示した凹凸構造Aによる光の広がり効果が十分に得られなくなることが懸念される。よって、h2はh1と同程度であることが好ましく、またh1と等しくても良い。例えば、青色の発色構造体では10〜150nm程度が好ましい。
図3は、図1に示した凹凸構造Aと、図2に示した凹凸構造Bとを重ねた凹凸構造の概略図である。図3(a)は、平面概略図であり、図3(b)は、図3(a)に示したγ−γ’線に沿う断面概略図である。尚、図3に示したX方向及びY方向は、それぞれ、図1及び図2に示したX方向及びY方向と同方向である。
図1に示した凹凸構造Aの凸部11と、図2に示した凹凸構造Bの線状構造21とが重なった重なり部31の構造高さは、h1とh2の和となる。尚、当該発色構造体においては、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造Aと、回折現象を誘起するための凹凸構造Bとが重なるように設計しているが、重ならないように設計しても本発明による効果を得ることは可能である。但し、この場合、線状構造21が形成される領域には、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造は形成できなくなり、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造形成領域が狭くなってしまうため、図3のように多段構造とすることがより好ましい。
図3に示した凹凸構造を基材上に加工するには、例えば電子線や紫外線リソグラフィとドライエッチングなど公知の技術を用いれば良い。
図4は、実施形態に係る発色構造体の一例を示す断面概略図である。図4(a)に示す発色構造体は、合成石英からなる基材101表面に図3で示した凹凸構造を加工し、この凹凸構造の上に、可視領域に対して透明、且つ異なる屈折率を有する2つの材料で構成される10層の積層体61が形成されたものである。積層体61は、高屈折率層41と低屈折率槽51とを交互に積層して構成されており、基材101の表面には高屈折率層41が形成され、発色構造体の最表面には低屈折率層51が形成されている。積層体61表面で反射される光の波長は、高屈折率層41と低屈折率層51を構成する材料の屈折率や膜厚、基材101の屈折率によって決定される。したがって、積層体61は、転送行列法などを用いて所望の波長が反射されるように設計すれば良い。また、高屈折率層41と低屈折率層51を構成する材料の屈折率差が大きいほど、積層数が少なくとも高反射率を得ることができる。例えば、無機材料であれば高屈折率層41に二酸化チタン(TiO)、低屈折率層51に二酸化珪素(SiO)をそれぞれ適用することが好適である。例えば、青色の発色構造体の場合は、TiO膜厚は40nm程度、SiO膜厚は75nm程度が好ましい。但し、隣接する層を構成する材料に屈折率差があれば、界面で光の反射が生じるため、上記組み合わせに限定されるものではない。また、上記のような無機材料により積層体61を形成する場合は、スパッタリング法や原子層堆積法、真空蒸着法などの公知の技術を適用することが可能である。さらには積層体61を形成する材料は有機材料でも良い。有機材料により積層体61を形成する場合は、自己組織化などの公知の技術を適用することが可能である。
図4(a)に示した発色構造体1を構成する材料は、全て可視領域の光を透過する材料で構成されている。そのため、反射する波長帯以外の光は発色構造体を透過するため、例えば基材101の裏面が白色紙である場合、発色構造体1を透過する波長帯の光が色として視認されてしまう。そこで、図4(b)に示すように、炭素などの可視領域の光を吸収する材料で構成された吸収層71を基材裏面に形成することで、発色構造体1を透過した光を吸収し、発色構造体により反射した光のコントラストを向上することが可能である。
また、図3で示した凹凸構造形成には、電子線または紫外線リソグラフィとドライエッチングとの組み合わせなどの公知の技術を用いて作製した原版を用いて、熱または光ナノインプリント法を適用することも可能である。
図5は、実施形態に係る発色構造体の他の一例を示す断面概略図である。図5(a)に示す発色構造体は、光ナノインプリント法により図3で示した凹凸構造を形成したものである。より詳細には、基材102の表面に光硬化性樹脂81を塗布し、光ナノインプリント法により光硬化性樹脂に図3で示した凹凸構造を形成した後、積層体61と、吸収層71とを形成する。光硬化性樹脂81を塗布する前に基材102の裏面に吸収層71をあらかじめ形成することも可能であるが、その場合、光硬化性樹脂81の硬化に用いる光の照射は基材102裏面側からではなく、基板表面側、すなわち原版側から照射する必要がある。この方式を用いる場合、基材102は、光ナノインプリント時に照射する光の波長の透過性を有していなくても良い。また、図5(b)に示したように、基材102表面に吸収層71を形成し、吸収層71表面に光硬化性樹脂81を塗布し、光ナノインプリント法を実施することも可能である。さらには、図5(c)のように、基材103を可視領域の光を吸収する材料で構成することも可能である。基材103を構成する材料としては、例えばカーボンナノチューブを分散させた高分子フィルムなどが適用可能である。
本実施形態に係る発色構造体およびその製造方法によれば、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造Aと、回折現象を誘起するための凹凸構造Bとが重なりあった凹凸構造体を備えるため、観察角度による色変化を緩やかにしながらも、発色の彩度や光沢感の低下を防止することが可能となる。
以下、本発明に係る発色構造体を作製した実施例について図面を用いて説明する。
(実施例)
図6は、実施例に係る発色構造体に設けた凹凸構造の概略図を示している。図6(a)は、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造Aの一部領域の平面概略図であり、図6(b)は、回折現象を誘起するための線状構造からなる凹凸構造Bの一部領域の平面概略図であり、図6(c)は、図6(a)に示した凹凸構造Aと、図6(b)に示した凹凸構造Bを重ねた凹凸構造の平面概略図である。また、図6(d)は、図6(c)のδ−δ’線に沿う断面概略図である。尚、図6(a)、(b)、(c)の平面概略図は、当該発色構造体の表面の一辺約5.6μmの微小領域を拡大した図である。また、当該発色構造体の作製には、光ナノインプリント法を採用したが、熱ナノインプリント法を使用しても作製可能である。
図6(a)に示した凸部12は、X方向の線幅d3が300nmで、Y方向の線長がd3の2倍以上の整数倍から選ばれる数値であって、平均値が2.4μm、標準偏差が0.5μmである矩形を、X方向にピッチ100nmで配列し、X方向への矩形の重なりは許容し、Y方向への矩形の重なりは許容せずにXY方向に配列した設計とした。X方向に重なり複数の階層構造となった領域については1層構造に近似した。
図6(b)に示した線状構造22は、X方向の線幅d4を200nm、Y方向の線長を94μmとした矩形を、X方向の長さが40μm、Y方向の長さが94μmである矩形領域内に、X方向のピッチの平均値1.5μm、標準偏差0.5μmで配列した線状構造を、X方向のピッチの平均値45μm、標準偏差1μm、Y方向のピッチの平均値97μm、標準偏差1μmで配列した設計とした。X方向あるいはY方向に重なり複数の階層構造となった領域については1層構造に近似した。
まず、光ナノインプリント用のモールドを用意した。具体的には、光ナノインプリントにおいて照射する光の波長は、365nmであったため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料とした。合成石英基板表面に、Crをスパッタリングにより成膜し、電子線リソグラフィにより電子線レジストパターンを形成した。使用した電子線レジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。電子線照射領域は図6(a)に示した矩形構造12の領域とした。塩素と酸素との混合ガスに高周波を印加して発生したプラズマにより、表面が露出した領域のCrをエッチング除去した。続いて六弗化エタンガスに高周波を印加して発生したプラズマにより表面が露出した領域の石英をエッチングした。該工程によりエッチングした石英深さは70nmであった。残存したレジスト、及びCr膜を除去し、図6(a)に示した凸部12を形成するための凹部が形成された合成石英基板を得た。
次に、凸部12を形成するための凹部が形成された合成石英基板表面に、Crをスパッタリングにより成膜し、電子線リソグラフィにより電子線レジストパターンを形成した。使用した電子線レジストはポジ型であり膜厚は200nmとした。電子線照射領域は図6(b)に示した線状構造22に対応する領域とした。塩素と酸素との混合ガスに高周波を印加して発生したプラズマにより、表面が露出した領域のCrをエッチング除去した。続いて六弗化エタンガスに高周波を印加して発生したプラズマにより表面が露出した領域の石英をエッチングした。該工程によりエッチングした石英深さは65nmであった。残存したレジスト、及びCr膜を除去し、図6(c)に示した凸部12と線状構造22とを重ねた凹凸構造を形成するための凹部が形成された合成石英基板を得た。
次に、上記合成石英基板表面に離型剤としてオプツールHD−1100(ダイキン工業製)を塗布し、光の広がり効果を誘起するための凹凸構造と回折現象を誘起するための線状構造からなる凹凸構造とを重ねた凹凸構造を形成するための凹部が形成された光ナノインプリント用モールドを得た。
次に、片側に易接着処理を施したポリエステルフィルムコスモシャインA4100(東洋紡製)の易接着面に光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成製)を塗工し、上記光ナノインプリント用モールドを押し当て、光ナノインプリント用モールド裏面側から365nmの光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、ポリエステルフィルムを光ナノインプリント用モールドから剥離し、図6(c)に示した凹凸構造が形成されたポリエステルフィルムを得た。
次に、得られたポリエステルフィルム表面に、真空蒸着法を用いて厚さ40nmのTiOと、厚さ75nmのSiOとをこの順で交互に5層ずつ成膜し、10層の積層体を形成し、実施例に係る発色構造体を得た。
(比較例)
実施例と同様にして、合成石英基板に、図6(a)に示した凸部12を形成するための凹部を形成し、図6(b)に示した線状構造22を形成するための凹部を重ねて形成せずに離型剤を塗布して、比較例に係る光ナノインプリント用モールドを得た。光ナノインプリント用モールドを用いて、実施例と同様にして、比較例に係る発色構造体を得た。
次に、図6(d)に模式図を示すように、実施例及び比較例に係る発色構造体の表面に、入射角度5、15、25、35、45、55度からそれぞれキセノンランプ光源を照射し、反射角度30度における分光特性変化を、分光放射計SR−UL2(トプコン製)を用いて測定した。入射角度、反射角度は、光源の入射方向、または反射方向と、ポリエステルフィルム表面の法線とがなす角度を指す。
(測定結果)
図7(a)は、比較例に係る発色構造体の反射スペクトルの測定結果であり、図7(b)は、実施例に係る発色構造体の反射スペクトルの測定結果であり、縦軸の表示範囲は両スペクトル共に同じである。両スペクトルの比較から、回折現象を誘起するための線状構造を形成することにより、スペクトルのピーク位置が大きく変化することなく、広範囲の入射角度範囲で比較的強い反射が得られることが示された。
本発明の発色構造体は、意匠性の高い表示物に利用可能である。特に、表面加飾の分野に好適に利用が期待される。
A…光の広がり効果を誘起するための凹凸構造
B…回折現象を誘起するための線状構造からなる凹凸構造
31…重なり部
41…高屈折率層
51…低屈折率層
61…積層体
71…吸収層
81…光硬化性樹脂
101、102、103…基材

Claims (5)

  1. 凹凸構造と、前記凹凸構造上に2層以上の層からなる積層体とを有する発色構造体において、
    前記積層体を構成する隣接する2層は、同じ波長帯の光を透過し、且つ、前記波長帯の光に対して異なる屈折率を持つ材料で構成され、
    前記積層体は、前記波長帯の一部の波長の光を選択的に反射されるように設計され、
    前記凹凸構造は複数の凸部を配列することで構成され、
    前記凸部の第1方向における線幅は前記波長帯の波長以下であり、
    前記第1方向と直交する第2方向における線長が前記第1方向の線幅よりも長く、
    前記第1方向および前記積層体の積層方向との断面にて、単位領域あたりの前記複数の凸部の構造高さは、前記波長帯の波長以下の高さであり、かつ第一構造高さ又は第二構造高さ又は前記第一構造高さと前記第二構造高さを足し合わせた高さである第三構造高さの少なくともいずれか2種類以上を備えることを特徴とする発色構造体。
  2. 前記第一構造高さと前記第二構造高さが等しいことを特徴とする請求項1に記載の発色構造体。
  3. 前記第二構造高さ及び前記第三構造高さを有する前記凸部は、
    前記第1方向において、前記波長帯の最小波長の1/2以上のピッチであって、かつ一定ではないピッチで配列されることを特徴とする請求項1又は2に記載の発色構造体。
  4. 前記第一構造高さと前記第二構造高さはそれぞれ10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発色構造体。
  5. 凹凸構造と、前記凹凸構造上に2層以上の層からなる積層体とを有し、照射された所定の波長帯の光のうちの一部の波長の光を選択的に反射する発色構造体の製造方法であって、
    第1方向の線幅が前記波長帯の波長以下であり、前記第1方向と直交する第2方向における線長が前記第1方向の線幅よりも長く、単位領域あたりの前記第1方向および前記第2方向と直交する方向の構造高さが、前記波長帯の波長以下であり、かつ第一構造高さ又は第二構造高さ又は前記第一構造高さと前記第二構造高さを足し合わせた高さである第三構造高さの少なくともいずれか2種類以上から構成される複数の凹部を形成してなるモールドを用意する工程と、
    基材に光硬化性樹脂を塗布する工程と、
    光インプリント法により、前記光硬化性樹脂に前記モールドに形成された構造を転写して前記凹凸構造を形成する工程と、
    形成された前記凹凸構造上に、前記波長帯の光を透過し、且つ、前記波長帯の光に対して異なる屈折率を持つ材料を交互に積層して前記積層体を成膜する工程とを具備することを特徴とする、発色構造体の製造方法。
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