JP7302277B2 - 表示体及び表示体の製造方法 - Google Patents
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例えば、多層膜干渉による構造色は、相互に隣り合う薄膜の屈折率が互いに異なる多層膜層において、多層膜の各界面で反射した光が干渉することによって生じる構造色である。また、多層膜干渉は、モルフォ蝶の翅の発色原理の1つである。モルフォ蝶の翅では、多層膜干渉に加えて、翅の表面の微細な凹凸構造によって光の散乱や回折が生じる結果、鮮やかな青色が広い観察角度において視認される。
モルフォ蝶の翅のような構造色を人工的に再現する構造として、特許文献1に記載のような構造がある。特許文献1では、不均一に配列され微細な凹凸を有する基材の表面に対し、多層膜層が積層された構造が提案されている。
これに対し、特許文献1の構造では、不規則な凹凸の上に多層膜層が積層されていることにより、干渉によって強められた反射光が多方向に広がるため、観察角度による色の変化が緩やかになる。その結果、モルフォ蝶の翅のように広い観察角度で特定の色を呈する発色体が実現される。
また、表示体の防汚、破損防止や視認性を向上させるために多層膜の表面に保護層を設けた場合においても、多層膜と保護層との密着性が弱く、界面で剥離が発生し、所望の効果が得られ難くなる。
また、第2の目的は、波長より小さな図形要素を組み合わせることにより、凹凸構造の凸部の表面積を増やすことで多層膜の表面積を増やし、保護層と多層膜界面の密着性を向上させることにある。
さらに、本発明の一態様によれば、凹凸構造の表面積が増加することにより、その表面に成膜される多層膜の表面積が増加する。この結果、防汚や視認性向上のために多層膜表面に塗布する保護層と多層膜界面の密着性を向上させることが可能になる。
図1に示すように、表示体10は基材11の表面上に、一つ以上の表示要素12が形成される。なお、図1では、2つの表示要素12が例示されているが、本実施形態に係る表示体10は、1つ又は3つ以上の表示要素を含んでいても良い。また、図1では、2つの表示要素12(#1)、12(#2)は同じサイズとして例示されているが、複数の表示要素12が、互いに異なるサイズや異なる輪郭形状であっても良い。
次に、図1~4を参照して、表示体及びその製造方法について説明する。
なお、表示体に対する入射光及び反射光の波長域は特に限定されないが、以下の実施形態においては、一例として、可視領域の光を対象とした表示体について説明する。以下の説明において、可視領域の光とは、360nm以上830nm以下の波長域の光を指す。
図2は、表示要素12の構成例を示す断面図である。すなわち、表示要素12は、図1及び図2に示すように、基材の一方の面側に形成された凹凸構造23を有する凹凸層と、凹凸構造23上に積層された複数の層からなる多層膜層24とからなる。また、多層膜層24は、凹凸構造23の凹凸形状に追従して積層され、各表示要素の凸部及び凹部を形成する。
凹凸層を構成する基材を、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成した構成によれば、多層膜層24を透過した光の少なくとも一部は、吸収層を構成する凹凸層によって吸収され、透過光が第1面側(図2の上面側)に返ってくることが抑えられる。したがって、凹凸層を有する面から表示体を観察した場合に、多層膜層24からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性の低下を抑制することが可能である。
多層膜層24は、隣接する層の屈折率が互いに異なる。本実施形態の多層膜層24は、高屈折率層22と低屈折率層21を交互に積層した構造を有する。高屈折率層22の屈折率は、低屈折率層21の屈折率よりも大きい。凹凸構造23における凸部上と凹部上とで、多層膜層24の構成、すなわち、多層膜層24を構成する各層の材料や膜厚や積層順序は一致している。
高屈折率層22及び低屈折率層21の各々の膜厚は、表示体にて発色させる所望の色に応じて、転送行列法等を用いて設計されればよい。例えば、青色を呈する表示体の場合は、TiO2からなる高屈折率層の膜厚は40nm程度であることが好ましく、SiO2からなる低屈折率層21の膜厚は75nm程度であることが好ましい。
図3(a)は、基材をその表面と対向する方向(厚さ方向)から見た平面図であり、図3(b)は、図3(a)のIII-III線に沿った基材の断面構造を示す図である。
表示パターンとなる各凸部は、複数の図形要素Rから構成されている。なお、図3については簡略のため図形要素Rを仮想的な矩形Fに内接した円とし、それぞれの図形要素Rが仮想的な矩形Fに接している場合となっているが、各図形要素Rは、対応する仮想的な矩形Fの内部に存在する図形であれば良く、例えば図4(a)のような四角形で隣り合う図形要素R間に隙間が空いていてもよい。図4(a)は、複数の図形要素Rが仮想的な矩形Fの内部に存在する場合の、基材をその表面と対向する方向(厚さ方向)から見た平面図であり、図4(b)は図4(a)のIII-III線に沿った基材の断面構造を示す図である。
図3(a)が示すように、第1方向Dxと第2方向Dyとは、仮想的な図形J及び矩形Fの辺に沿った平面に含まれる方向であり、第1方向Dxと第2方向Dyは直交する。
図3(a)が示すように、基材をその表面と対向する方向(厚さ方向)から見て、凸部が構成するパターンは、第1方向Dxと第2方向Dyに沿った辺を有する複数の仮想的な図形Jの内部に位置している。仮想的な図形Jは、第2方向Dyに沿って並ぶ複数の矩形Fに分割されている。仮想的な図形Jの第1方向の辺の長さと、複数の矩形Fの第1方向の辺の長さは一致している。複数の矩形Fの内側に複数の図形要素Rが位置していて、一つの矩形Fの内部に存在する図形要素Rは一つである。
図3(a)が示すように、図形要素Rの重心は、その図形要素Rが配置される矩形Fの中心と一致していることが好ましい。図形要素Rの重心が矩形Fの中心と一致している場合、隣り合う図形要素R間の距離が等しくなることで反射波長が一定となり、所望の色の視認性を向上させることが可能である。
多層膜層24からの反射光を効率よく散乱させるためには、第2方向Dyに沿った辺の長さd2は、平均値が4.15μm以下、かつ、標準偏差が1.0μm以下の分布を有することが好ましい。また、第2方向Dyに沿った辺の長さd2は、平均値が2.00μm以上が好ましく、また、標準偏差が0.2μm以上が好ましい。
また、凸部の高さhは各表示要素内で一定であれば良く、表示要素ごとに異なっていても良い。各表示要素において、複数の図形要素から成るパターンの凸部の構造高さが異なる場合、その差が5nm以上であることが好ましく、上限は200nm以下である。その理由は構造高さが過剰に大きくなると、反射光の散乱効果が高くなりすぎて反射光の強度が弱くなるからである。
また、複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部が占める割合が40%以上60%以下であることが好ましい。多層膜層からの反射光の広がりを大きくするため、すなわち、反射光の散乱効果を高めるためには、凹凸の起伏が多いことが好ましい。
図5は、本実施形態に係る製造方法によって製造される表示体の表示要素の構成例を示す断面図である。これは、第1の実施形態における図2に対応している。
図5では、第1の実施形態で説明した部分と同一の部分については同一符号を付して示し、以下の記載では、重複説明を避け、第1の実施形態と異なる点について説明する。
すなわち、本実施形態に係る製造方法によって製造される表示体は、その断面図を図5に例示するように、多層膜層24と、基材11との間に形成された樹脂層51が設けられ、その樹脂層51に凹凸構造が形成されている点が、第1の実施形態に係る表示体と異なっている。
すなわち、基材11自体が凹凸層を構成する代わりに、基材11の上に設けた樹脂層51が凹凸層を構成する。
樹脂層51は、例えば、光ナノインプリント法により凹凸構造23を形成する場合に、基材11の表面に塗布される光硬化性樹脂で構成される。
インプリント用モールドを作製するために、第1の実施形態で説明したように、例えば電子線や紫外線リソグラフィとドライエッチングなど公知の技術を用いれば良い。あるいは、インプリント用モールドをより簡便に作製するために、形成したレジストパターン上に、例えばニッケル(Ni)等の金属を成膜し、電鋳処理を行い、レジストを溶解し、Niからなるインプリント用モールドを作製する方法を適用するようにしても良い。
このような製造方法によっても、第1の実施形態で説明したような表示体を製造することが可能となる。
図6は、本実施形態に係る製造方法によって製造される表示体の表示要素の構成例を示す断面図である。これは、第2の実施形態における図5の多層膜層24が樹脂層51と接していない側の表面に保護層61を塗布したときの構成例を示す断面図である。
図6では、第2の実施形態で説明した部分と同一の部分については同一符号を付して示し、以下の記載では、重複説明を避け、第2の実施形態と異なる点について説明する。
保護層61を塗布する目的の一つは、例えば、多層膜層24が露出していることにより、異物の付着や破損を防ぐためである。上記の場合、可視領域の光に対して光透過性を有する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。こうした材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂が用いられる。
保護層61、例えば、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗工法を用いて、多層膜層24の表面に形成される。保護層61の膜厚は特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下の程度であることが好ましい。
保護層61の形成のための塗布液であるインクには、必要に応じて、溶媒が混合されてもよい。溶媒としては、保護層61を構成する樹脂と相性のよい溶媒が選択されればよく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
なお、保護層61以外の構成として、第1の実施形態の構成(図2参照)を採用しても良い。
<実施例1>
実施例1における、表示体及びその製造方法について説明する。実施例1の表示体が有する表示要素は、図2のように、基材に凹凸構造が形成された表示要素から構成される。
はじめに、インプリント用モールドを作製した。光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いるため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。モールドの形成に際しては、まず、合成石英基板の表面に、クロム(Cr)からなる膜をスパッタリングによって成膜し、可変成形方式の電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。形成したパターンは図3(a)に示した複数の図形要素の集合からなるパターンであり、複数の図形要素は仮想的な図形の内部に位置している。上記仮想的な図形は、さらに複数の矩形に分割可能であり、各々の図形要素は矩形に内接した円である。パターン領域(各表示要素)は、一辺が50mmの正方形であり、図1に示すように、表示要素を2つ作製するため、凹凸構造A(表示要素12(#1)の凹凸構造23)と、凹凸構造B(表示要素12(#1)の凹凸構造23)の2種類を形成した。凹凸構造A及び凹凸構造Bの図3(a)における上記仮想的な図形と、仮想的な図形を分割してできる矩形の第1方向の辺の長さd1は同じであり、300nmである。上記複数の仮想的な図形の第2方向の長さd2は第1方向の長さd1の整数倍であり、1500nm以上3000nm以下の長さから選択した。上記複数の矩形の第2方向の長さd3は300nmである。凹凸構造Aと凹凸構造Bは光の散乱方向を異ならせるために、90°回転させた向きで配置されるため、異なる表示領域として区別される。上記パターンにおいて、各凸部を構成する、複数の矩形は第1方向及び第2方向に重ならないように配列されている。使用したレジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
次に、上記合成石英ウエハの凹凸を有する表面に、真空蒸着によって、膜厚が60nmである高屈折率層としてのTiO2膜と、膜厚が80nmである低屈折率層としてのSiO2膜とを交互に成膜し、高屈折率層と低屈折率層との組を5組、すなわち、10層の層を有する多層膜層を形成した。これにより、実施例1の表示体が得られた。
特許文献1のように、凹凸構造の凸部を、凹凸の形成された面から対向する方向から見て、各凸部にて共通な方向に延びる矩形形状で作製し、実施例1と同様の手順で作製した表示体と比較した。その結果、実施例1の表示体の方が凹凸構造と多層膜界面との密着性が高くなった。
実施例2における、表示体及びその製造方法を説明する。実施例2の表示体は、図5のように、基材上の樹脂層に凹凸構造が形成された表示要素から構成した。
はじめに、インプリント用モールドを作製した。光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いるため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。モールドの形成に際しては、まず、合成石英基板の表面に、クロム(Cr)からなる膜をスパッタリングによって成膜し、可変成形式の電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。形成したパターンは図3(a)に示した複数の図形要素の集合からなるパターンであり、複数の図形要素は仮想的な図形の内部に位置している。上記仮想的な図形はさらに複数の矩形に分割可能であり、各々の図形要素は矩形に内接した円である。パターン領域(各表示要素)は一辺が50mmの正方形であり、図1に示すように表示要素を2つ作製するため、凹凸構造A(表示要素12(#1)の凹凸構造23)と、凹凸構造B(表示要素12(#1)の凹凸構造23)の2種類を形成した。凹凸構造A及び凹凸構造Bの図3(a)における上記仮想的な図形と、仮想的な図形を分割してできる矩形の第1方向の辺の長さd1は同じであり、300nmである。上記複数の仮想的な図形の第2方向の長さd2は第1方向の長さd1の整数倍であり、1500nm以上3000nm以下の長さから選択した。上記複数の矩形の第2方向の長さd3は300nmである。凹凸構造Aと凹凸構造Bは光の散乱方向を異ならせるために、90°回転させた向きで配置されるため、異なる表示領域として区別される。上記パターンにおいて、各凸部を構成する、複数の矩形は第1方向及び第2方向に重ならないように配列されている。使用したレジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
特許文献1のように、凹凸構造の凸部を、凹凸の形成された面から対向する方向から見て、各凸部にて共通な方向に延びる矩形形状で作製し、実施例2と同様の手順で作製した表示体と比較したところ、実施例2の表示体の方が凹凸構造と多層膜界面との密着性が高くなった。また、基材側を曲面を有する物体に貼り付けて観察した場合においても、凹凸構造と多層膜界面の剥離は発生せず、青色を視認することができた。
実施例3における、表示体及びその製造方法を説明する。実施例3の表示体は、図6のように、実施例2で説明した図5の表示体の多層膜表面上に保護層を塗布した表示体である。以下の記載では、重複説明を避け、実施例2と異なる点について説明する。
アクリル系UV硬化樹脂に、4質量%程度のカーボンナノチューブ粉末を混合して黒色インクを調整し、多層膜層の表面に、バーコート法を用いて黒色インクを塗布した。塗布層を80℃で2分間乾燥させた後、365nmの光を照射して、膜厚が10μmの保護層を形成した。これにより、実施例3の表示体が得られた。
11・・・基材
12(#1)、(#2)・・・表示要素
21・・・低屈折率層
22・・・高屈折率層
23・・・凹凸構造(基材)
24・・・多層膜層
31・・・凹凸構造の凸部
51・・・樹脂層(凹凸層)
61・・・保護層
62(#1)、(#2)・・・表示要素
Dx・・・第1方向
Dy・・・第2方向
R・・・図形要素
F・・・仮想的な矩形
J・・・仮想的な図形
Claims (19)
- 複数の表示要素を有する表示体であって、
上記複数の表示要素はそれぞれ、凹凸構造を有する凹凸層と、上記凹凸構造上に設けられた2層以上からなり、上記凹凸構造に追従した表面形状を有する多層膜層と、を備え、
上記多層膜層は、隣接する層の屈折率が互いに異なり、
上記多層膜層は、凸部によって構成されるパターンを有し、
上記凸部で構成されるパターンは、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有する複数の仮想的な図形の集合で規定され、
上記仮想的な図形は、上記第1方向に沿った辺の長さがサブ波長以下であり、上記第2方向に沿った辺の長さが上記第1方向に沿った辺の長さより長く、且つ上記第2方向に沿った長さの標準偏差が上記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
上記仮想的な図形は、上記第2方向に沿って並ぶ複数の矩形に分割され、
上記複数の矩形の第1方向に沿った辺の長さと、上記仮想的な図形の第1方向に沿った辺の長さは同じであり、
上記矩形の内側にそれぞれ、1つの図形要素が位置され、
上記図形要素が当該図形要素が位置する上記矩形に占める面積の割合は100%未満である、
ことを特徴とする表示体。 - 複数の表示要素を有する表示体であって、
上記複数の表示要素はそれぞれ、凹凸構造を有する凹凸層と、上記凹凸構造上に設けられた2層以上からなり、上記凹凸構造に追従した表面形状を有する多層膜層と、を備え、
上記多層膜層は、隣接する層の屈折率が互いに異なり、
上記凹凸層は、凸部によって構成されるパターンを有し、
上記凸部で構成されるパターンは、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有する複数の仮想的な図形の集合で規定され、
上記仮想的な図形は、上記第1方向に沿った辺の長さがサブ波長以下であり、上記第2方向に沿った辺の長さが上記第1方向に沿った辺の長さより長く、且つ上記第2方向に沿った長さの標準偏差が上記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
上記仮想的な図形は、上記第2方向に沿って並ぶ複数の矩形に分割され、
上記複数の矩形の第1方向に沿った辺の長さと、上記仮想的な図形の第1方向に沿った辺の長さは同じであり、
上記矩形の内側にそれぞれ、1つの図形要素が位置され、
上記図形要素が当該図形要素が位置する上記矩形に占める面積の割合は100%未満である、
ことを特徴とする表示体。 - 複数の表示要素を有する表示体であって、
上記複数の表示要素はそれぞれ、凹凸構造を有する凹凸層と、上記凹凸構造上に設けられた2層以上からなる多層膜層と、を備え、
上記多層膜層は、隣接する層の屈折率が互いに異なり、
上記凹凸層は、凸部によって構成されるパターンを有し、
上記凸部で構成されるパターンは、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有する複数の仮想的な図形の集合で規定され、
上記仮想的な図形は、上記第1方向に沿った辺の長さがサブ波長以下であり、上記第2方向に沿った辺の長さが上記第1方向に沿った辺の長さより長く、且つ上記第2方向に沿った長さの標準偏差が上記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
上記仮想的な図形は、上記第2方向に沿って並ぶ複数の矩形に分割され、
上記複数の矩形の第1方向に沿った辺の長さと、上記仮想的な図形の第1方向に沿った辺の長さは同じであり、
上記矩形の内側にそれぞれ、1つの図形要素が位置され、
上記図形要素が当該図形要素が位置する上記矩形に占める面積の割合は70%以上90%未満である、
ことを特徴とする表示体。 - 一つの上記表示要素内では、上記各図形要素の形状が同一であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記図形要素の重心が、当該図形要素が位置する上記矩形の中心と一致していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記矩形の上記第1方向に沿った辺の長さは830nm以下であり、上記複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部の高さは415nm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記仮想的な図形の第2方向に沿った辺の平均値は4.15μm以下であり、当該第2方向に沿った辺の長さの標準偏差は1μm以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記凹凸層の表面と対向する方向から上記凹凸構造を見たとき、上記表示要素を構成する領域内において、上記複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部が占める割合が40%以上60%以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記各表示要素において、上記複数の図形要素から成るパターンの凸部の構造高さが異なる表示要素を含み、その差が5nm以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記各表示要素において、上記凹凸構造を構成する上記凸部の高さは、各表示要素内で一定であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記多層膜層のうち、上下に隣接する2つの層は、同じ波長領域の光を透過し、その波長領域において異なる屈折率を持つ材料で構成されたことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記凹凸構造は、基材の一方の面側に形成され、
上記基材は、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の表示体。 - 上記凹凸構造は、基材の一方の面側に形成され、
上記基材の一方の面とは反対側の裏面を、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成したことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の表示体。 - 上記多層膜層の表面を覆う保護層を形成することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の表示体。
- 上記凹凸層は、入射光に対する光透過性を有し、
上記保護層は、上記入射光のうち上記多層膜層を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有することを特徴とする請求項14に記載の表示体。 - 上記保護層は、黒色顔料を含むことを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の表示体。
- 複数の表示要素を有する表示体の製造方法であって、
凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸層を形成する第1工程と、
上記凹凸層に沿って、上記凹凸層が有する凹凸構造に追従した表面形状を有する多層膜層を形成し、その際、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成する第2工程と、を含み、
上記第2工程では、上記多層膜層を、凸部によって構成されるパターンを有し上記凸部で構成されるパターンが、第1方向に沿った辺と上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有する複数の仮想的な図形の集合で規定し、上記仮想的な図形を、上記第1方向に沿った辺の長さがサブ波長以下であり、上記第2方向に沿った辺の長さが上記第1方向に沿った辺の長さより長く、且つ上記第2方向に沿った長さの標準偏差が上記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、上記仮想的な図形が、上記第2方向に沿って並ぶ複数の矩形に分割され、上記複数の矩形の第1方向に沿った辺の長さと上記仮想的な図形の第1方向に沿った辺の長さが同じであり、上記矩形の内側にそれぞれ、1つの図形要素を位置し、上記図形要素が当該図形要素が位置する上記矩形に占める面積の割合は100%未満であるように形成する、
ことを特徴とする表示体の製造方法。 - 複数の表示要素を有する表示体の製造方法であって、
凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸層を形成する第1工程と、
上記凹凸層に沿って、上記凹凸層が有する凹凸構造に追従した表面形状を有する多層膜層を形成し、その際、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成する第2工程と、を含み、
上記第1工程では、上記凹凸層を、凸部によって構成されるパターンを有し上記凸部で構成されるパターンが、第1方向に沿った辺と上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有する複数の仮想的な図形の集合で規定し、上記仮想的な図形を、上記第1方向に沿った辺の長さがサブ波長以下であり、上記第2方向に沿った辺の長さが上記第1方向に沿った辺の長さより長く、且つ上記第2方向に沿った長さの標準偏差が上記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、上記仮想的な図形が、上記第2方向に沿って並ぶ複数の矩形に分割され、上記複数の矩形の第1方向に沿った辺の長さと上記仮想的な図形の第1方向に沿った辺の長さが同じであり、上記矩形の内側にそれぞれ、1つの図形要素を位置し、上記図形要素が当該図形要素が位置する上記矩形に占める面積の割合は100%未満であるように形成する、
ことを特徴とする表示体の製造方法。 - 複数の表示要素を有する表示体の製造方法であって、
凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸層を形成する第1工程と、
上記凹凸層に沿って多層膜層を形成し、その際、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成する第2工程と、を含み、
上記第1工程では、上記凹凸層を、凸部によって構成されるパターンを有し上記凸部で構成されるパターンが、第1方向に沿った辺と上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有する複数の仮想的な図形の集合で規定し、上記仮想的な図形を、上記第1方向に沿った辺の長さがサブ波長以下であり、上記第2方向に沿った辺の長さが上記第1方向に沿った辺の長さより長く、且つ上記第2方向に沿った長さの標準偏差が上記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、上記仮想的な図形が、上記第2方向に沿って並ぶ複数の矩形に分割され、上記複数の矩形の第1方向に沿った辺の長さと上記仮想的な図形の第1方向に沿った辺の長さが同じであり、上記矩形の内側にそれぞれ、1つの図形要素を位置し、上記図形要素が当該図形要素が位置する上記矩形に占める面積の割合は70%以上90%未満であるように形成する、
ことを特徴とする表示体の製造方法。
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