JP2017226776A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリルは、湿度依存性が低く、良好なガスバリア性を示すが、廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が高いという問題があった。
しかしながら、上記のポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体の高分子樹脂組成物を積層させたフィルムは湿度依存性が大きいため、高湿下においてガスバリア性の低下が見られるという問題があった。
第2の発明は、前記基材フィルムが以下の要件(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体から主としてなる配向フィルムであり、かつ、以下の要件(d)を満たす第1の発明に記載の積層フィルムである。
(a)メソペンタッド分率が96%以上
(b)プロピレン以外のコモノマー含有量が0.5モル%以下
(c)メルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上、20g/10分以下
(d)広角X線散乱法により測定されるポリプロピレンのα型結晶の110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時の最大ピークの半値幅が30度以下
第3の発明は、前記基材フィルムの小角X線散乱法により測定される主たる配向方向の長周期散乱ピークから求められる長周期サイズが40nm以上である第1または第2の発明のいずれかに記載の積層フィルムである。
第4の発明は、前記無機層状粒子の平均粒径が2.0μm以上、6.5μm以下であり、無機層状粒子の含有量が4質量%以上、20質量%以下である第1〜3の発明のいずれかに記載の積層フィルムである。
第5の発明は、前記積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率が共に1.0%以下である第1〜4の発明のいずれかに記載の積層フィルムである。
第6の発明は、前記積層フィルムのヘーズが5.0%以下である第1〜5の発明のいずれかに記載の積層フィルムである。
第7の発明は、第1〜6の発明に記載の積層フィルムの製造方法であって、ジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成される水分散性のポリウレタン樹脂と無機層状粒子と溶媒とを少なくとも含む塗布液をプロピレン系重合体配向フィルムに塗布し塗布層を形成する工程、その後、プロピレン系重合体配向フィルムの張力を30N/m以上、150N/m以下、かつプロピレン系重合体配向フィルムの温度60℃以上、150℃以下の範囲の条件に維持した状態で塗布層に含まれる溶媒を揮散させて被覆層を形成する工程、を有することを特徴とする積層フィルムの製造方法である。
第8の発明は、前記第1〜6の発明のいずれかに記載の積層フィルムの被覆層上に接着剤層、ヒートシール性樹脂層を順次積層した積層体である。
第9の発明は、前記第1〜6の発明のいずれかに記載の積層フィルムからなる積層フィルムロールである。
第10の発明は、第9の発明に記載の積層フィルムロールの製造方法であって、ジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成される水分散性のポリウレタン樹脂と無機層状粒子と溶媒とを少なくとも含む塗布液をプロピレン系重合体配向フィルムに塗布し塗布層を形成する工程、その後、プロピレン系重合体配向フィルムの張力を30N/m以上、150N/m以下、かつプロピレン系重合体配向フィルムの温度60℃以上、150℃以下の範囲の条件に維持した状態で塗布層に含まれる溶媒を揮散させて被覆層を形成する工程、及び被覆層が形成された積層フィルムを巻き取る工程、を有すること特徴とする積層フィルムロールの製造方法である。
この熱収縮率(A−B)が0.3%より小さい場合、被覆層に水分子が侵入することで生じる酸素分子が通過できる間隙を抑制することができず、高湿度環境下での酸素バリア性が十分に発現しない。
ここで、MD方向とは、フィルムの流れ方向(長さ方向または長手方向と言うこともある)であり、TD方向とは、フィルムの流れ方向に垂直な方向(横方向または幅方向と言うこともある)である。
熱収縮率差(A−B)を特定の範囲に制御することにより、高湿度環境下でのガスバリア性の低下を軽減している理油については、大きいほど、被覆層を構成する樹脂と無機層状粒子との界面に存在する、被覆層に侵入した大気中の水分子により生じた酸素分子が通過できる分子レベルの間隙が小さくなるものと推定している。
一方、熱収縮率差(A−B)が3.0%を超える場合、基材フィルムと被覆層の界面で生じる収縮応力差が大きくなるため、ラミネート強度の低下を生じる。
(被覆層)
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に直接被覆層が積層されたものである。本発明において被覆層とは、基材フィルムよりも優れた酸素ガスバリア性を有し、かつ、前記基材フィルム、及び、前記被覆層上に積層されるインキ層や接着層などとの優れた接着性を有する層である。被覆層を有することにより、本発明の積層フィルムは酸素透過度(OTR)が150ml/m2・day・MPa以下、かつ、水蒸気透過度(WVTR)が5.0g/m2・day以下のガスバリア性を有し、かつ、ラミネート強度が2.0N/15mm巾以上の接着強度を有し、例えば食品や医薬品、工業製品などの包装材料として好適に用いることができる。
本発明に用いられる被覆層は、ジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成される、水分散性のポリウレタン樹脂を主成分とすることが重要である。このポリウレタン樹脂は、ポリ塩化ビニリデン樹脂のように廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が少なく、また、基材フィルム及び被覆層上に積層されるインキ層や接着層などとの優れた接着性を有することができ好適である。
本発明における被覆層は無機層状粒子を含有することが重要である。架橋剤を含有する被覆層のように架橋時に高温の加熱処理をすることを要せず、熱による基材フィルムの機械特性の劣化や加工時の熱ジワを少なくすることができ、包装材料として好適である。さらに本発明では、無機層状粒子を含有することで被覆層の収縮を抑制し、従来の技術では困難であった湿度依存性や経時劣化が極めて小さい優れたガスバリア性を発現することが可能となる。
さらに予想しえないことであるが、無機層状粒子の被覆層中の含有量が4質量%以上であると熱収縮率差(A−B)が0.3%以上となり、高湿度環境下によるガスバリア性の低下の影響をうけにくくなる。 一方、20質量%を超える場合、含有量が多いため透明性が低下する。
ここで、耐熱性有するとは前記積層フィルムの120℃における基材フィルムの熱収縮率Aと積層フィルムの熱収縮率Bの差(A−B)がMD方向、TD方向、共に0.3%以上、3.0%以下であるのに適した、熱収縮特性を有することを意味する。熱収縮率が高い方が、熱収縮率差(A−B)は大きくなる傾向にあるが、熱収縮率Bの差(A−B)がMD方向、TD方向、共に0.3%以上、3.0%以下となるように設計すればよい。
一方、熱収縮率が小さい方が基材フィルム上に積層する被覆層や印刷層、ラミネート層に割れや変形等の欠陥が生じず、包装材料として内容物の品質、効能維持が可能なフィルム熱特性を有するものである。
広角X線回折測定に用いるX線発生源としては、実験室で用いられる管球式や回転式などの一般的な装置でもよいが、平行度が高く高輝度の放射光を照射できる高輝度光源を用いることが好ましい。放射光では、X線が広がりにくく輝度も高いため、測定を高精度かつ短時間で行うことができ、例えば厚み数十ミクロンのフィルムサンプルでもフィルムを重ね合わせることなくフィルム1枚での測定が可能になり、しかも精度の高い測定が可能であるので詳細な結晶配向評価が可能になる。それに対して、輝度が低いX線では、厚み数十ミクロンのフィルムサンプルを測定する場合、複数枚を重ね合わさなければ測定に長時間を要することになり、複数枚を重ね合わさせると、微小なズレにより、110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時のピークがブロードになり、得られる半値幅の値が大きくなる傾向となる。
平行度が高く高輝度の放射光を照射可能な設備としては、例えば、SPring−8のような大型放射光施設等を挙げることができ、例えば、フロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUを使用して本発明の半値幅を測定することが好ましい。
本発明の積層フィルムに、公知の積層フィルムが備えているシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を、接着剤層を介して又は介さずに積層し、積層体とすることができる。この積層体は包装材料として好適である。ヒートシール性樹脂層は積層フィルムの任意の片面、もしくは両面に設けることが可能だが、ガスバリア性を具備する被覆層の保護の観点より、被覆層上に設けることが好ましい。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
また、本願発明の好ましい実施態様として、耐熱性や剛性の高いポリプロピレンフィルムを基材とし、ガスバリア性を有するポリウレタン樹脂と無機層状粒子を含有した被覆層を積層したフィルムを用いる場合は、ガスバリア性と接着強度の両方の特性をより高度に両立でき、例えば菓子やパンなどの食品包装として好適に使用しうる。
メソペンタッド分率、及び、メソ平均連鎖長の測定は、13C−NMRを用いて行った。メソペンタッド分率は、「Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)」に記載の方法に従い、メソ平均連鎖長は、「J.C.Randallによる、“Polymer Sequence Distribution”第2章(1977年)(Academic Press,New York)」に記載の方法に従って算出した。13C−NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo−ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解し、110℃で行った。
ポリプロピレン試料1gを沸騰キシレン200mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させ、ろ過液に溶解している質量の、元の試料量に対する割合をキシレン可溶分(質量%)とした。
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求めた。GPC測定での使用カラム、溶媒等の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT×3
流量:1.0ml/min
検出器:RI
測定温度:140℃
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)はそれぞれ、分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量(Mi)の分子数(Ni)により次式で定義される。
数平均分子量:Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi2)/Σ(Ni・Mi)
分子量分布:Mw/Mn
また、GPC曲線のピーク位置の分子量をMpとした。
ベースラインが明確でないときは、標準物質の溶出ピークに最も近い高分子量側の溶出ピークの高分子量側のすそ野の最も低い位置までの範囲でベースラインを設定することとした。
本発明の基材フィルムでは、大型放射光施設SPring―8の中にフロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUの第2ハッチにおいて、X線源方向とフィルム面とのなす角が垂直となすようし、測定フィルムをセットし、広角X線(WAXS)測定を行った。測定条件を下記に示す。
X線波長は0.1nmとし、検出器としてイメージングプレート(RIGAKU R−AXIS VII)またはイメージインテンシファイア付きCCDカメラ(Hamamatsu Photonics V7739P+ORCA R2)を用い、試料前後にセットしたイオンチェンバーの値から透過率を算出した。得られた2次元像に対して暗電流(ダークノイズ)および透過率を勘案した空気散乱補正を行った。カメラ長の測定には酸化セリウム(CeO2)を用い、Fit2D (European Synchrotron Radiation Facility製のソフトウェア[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/])を用いて(110)面の方位角プロファイルを算出した。
大型放射光施設SPring―8の中にフロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUの第2ハッチにおいて、フィルムのMD方向を上下、TD方向を左右とし、X線源方向とフィルム面とのなす角が垂直となすように測定フィルムをセットし、小角X線(SAXS)測定を行った。測定条件を下記に示す。
X線波長は0.2nmとし、カメラ長は約7.7m、検出器としてはイメージングプレート(RIGAKU R−AXIS VII)を用い散乱ベクトルqの0.01〜0.5(nm−1)の範囲の散乱像を得た。ここで散乱ベクトルqはθを散乱角2θの半分、πを円周率、λをX線の波長とした時、式q=4πsinθ/λによって算出される。得られた散乱像に対してWAXS測定と同様に暗電流(ダークノイズ)および透過率を勘案した空気散乱補正を行い、正確なカメラ長の測定にはベヘン酸銀で別途校正したコラーゲンを用いた。前述のFit2dソフトウェアを用い試料の巾方向のプロファイルを算出し横軸に散乱ベクトルq(nm-1)、縦軸に強度I(q)の常用対数をとりプロットした。ここでプロファイルの算出範囲は巾方向から±5度とした。
JIS K 7127に準拠してフィルムのMD方向およびTD方向のヤング率を23℃にて測定した。
JIS K7136に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
無機層状粒子を含む分散液中の無機層状粒子の含有量が0.05質量%になるようにイオン交換水にて希釈を行い、レーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD−7500)を用いて、粒度分布を測定した。その粒度分布の平均値を算出し、これを平均粒径とした。
JIS Z 1712に準拠して以下の方法で測定した。実施例および比較例で得られた積層フィルム(B)と前記積層フィルムに積層された被覆層をテトラヒドロフランとイオン交換水を1:1(質量比)の割合で配合した溶液にて除去した基材フィルム(A)のそれぞれを巾20mm、長さ200mmの大きさで、MD方向、TD方向にそれぞれカットし、120℃の熱風オーブン中に吊るして5分間加熱した。加熱後の長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合(百分率)を熱収縮率とした。
JIS K7126−2Aに準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用い、20℃、80%RHの条件下で測定した。ここで酸素透過度が150ml/m2・day・MPa以下のものを酸素バリア性を有するものとし、100ml/m2・day・MPa以下を優れた酸素バリア性を有するものと、50ml/m2・day・MPa以下を特に優れた酸素バリア性を有するものと判断した。
JIS K7129−Bに準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製PERMATRAN−W3/33)を用いて、40℃、90%RHの条件下にて測定を行った。ここで水蒸気透過度が5.0g/m2・day以下のものを水蒸気バリア性を有するものとし、4.5g/m2・day以下を優れた水蒸気バリア性を有するものと、4.0g/m2・day以下を特に優れた水蒸気バリア性を有するものと判断した。
実施例、および、比較例で得られた積層フィルムの被覆層面側に、ドライラミネーション加工により、ラミネート用接着剤(東洋モートン社製「TM329」と「CAT−8B」を1:1(質量比)の割合で配合)を介して、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製「P1128」)をコロナ処理面を接するように貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、評価用の積層体を得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも約3μmであった。
上記で得られた積層体を幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、90°剥離させて、ラミネート強度を測定した。ここでラミネート強度が2.0N/15mm巾以上を優れた接着強度を有するものとし、2.5N/15mm巾以上を特に優れた接着強度を有するものと判断した。
幅300mm、長さ1000mの基材フィルムに塗布乾燥して被覆層を設けた際に、得られた積層フィルムにシワが発生しなければ良好(○)、発生した場合は不良(×)と判定した。
幅300mm、長さ1000mの基材フィルムに塗布乾燥して被覆層を設けた際に、被覆層にブラッシング、コート抜け、ハジキが全く見られなければ良好(○)、欠陥が見られれば不良(×)と判定した。
幅300mm、長さ1000mの基材フィルムに塗布乾燥して被覆層を設けた後、フィルム幅長さを測定した。塗工前のフィルム幅長さをa、塗工後のフィルム幅長さをbとしてとき、下記式により塗工前後でのフィルム幅方向の収縮率(幅方向収縮率)を求めた。この収縮率が2.0%以下であれば良好、2.0%を超えた場合は不良と判定した。
幅方向収縮率(%)=(a−b)×100/a
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=7.7、MFR=5.0g/10分、メソペンタッド分率=97.3%であるプロピレン単独重合体(日本ポリプロ製「ノバテック(登録商標)PP SA4L」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−1」と略する)を用いた。
このポリプロピレン樹脂を、60mm押出機を用いて、250℃でTダイよりシート状に押出し、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃で長さ方向(MD方向)に4.5倍に縦延伸し、次いで両端をクリップで挟み、熱風オーブン中に導いて、170℃で予熱後、160℃で横方向(TD方向)に8.2倍に横延伸し、次いで6.7%のリラックスを掛けながら168℃で熱処理した。その後、両端部をシア刃によりトリミング処理を行い、フィルムの片面にコロナ処理を行い、ワインダーで巻き取って、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表
2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=8.9、MFR=3.0g/10分、メソペンタッド分率=97.1%であるプロピレン単独重合体(サムスントタル製「HU300」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−2」と略する)を用い、横延伸の予熱温度を171℃、横延伸温度を161℃、横延伸後の熱処理温度を170℃とした以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
基材フィルム(S−1)で用いたプロピレン単独重合体(PP―1)90質量部に対して、分子量10000の低分子量プロピレン(三井化学製 ハイワックス「NP105」:共重合モノマー量は0モル%)を10質量部加えて合計100質量部とし、30mm二軸押出機にて溶融混錬して、Mw/Mn=11、MFR=7.0g/10分、メソペンタッド分率=96.5%であるプロピレン重合体の混合物(以下「PP−3」と略する)のペレットを得た。このペレットをポリプロピレン樹脂として用いた以外は、基材フィルム(A−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
長さ方向に5.5倍、横方向に12倍に延伸した以外は、基材フィルム(S−3)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4.0、MFR=6.0g/10分、メソペンタッド分率=98.7%であるプロピレン単独重合体(共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−4」と略する)を用いた以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4、MFR=2.5g/10分、メソペンタッド分率=97%であるプロピレン−エチレン共重合体(住友化学製「住友ノーブレン(登録商標)FS2011DG3」:共重合モノマー量は0.6モル%;以下「PP−5」と略する)を用い、縦延伸温度を125℃、横延伸における予熱温度を168℃、横延伸温度を155℃、横延伸後の熱処理温度を163℃とした以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4.3、MFR=0.5g/10分、メソペンタッド分率=97%であるプロピレン単独重合体(共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−6」と略する)を用いた以外は、基材フィルム(S−7)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=2.8、MFR=30g/10分、メソペンタッド分率=97.9%であるであるポリプロピレン系重合体(日本ポリプロ製「ノバテック(登録商標)PP SA03」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−7」と略する)を用いたこと以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得ようと試みたが、横延伸でフィルムが破断してしまい、二軸延伸できなかった。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、メタキシリレンジイソシアネート45.59質量部、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)93.90質量部、エチレングリコール24.8質量部、ジメチロールプロピオン酸13.40質量部、及び溶剤としてメチルエチルケトン80.20質量部を混合し、窒素雰囲気下、70℃で5時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、の反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.60質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水624.80質量部を添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散させ、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール21.10質量部を添加し、鎖伸長反応を行った。その後、減圧下で、メチルエチルケトンおよび水の一部を除去することにより、固形分30重量%、平均粒子径90nmの水分散型ポリウレタン樹脂(U)を得た。
ビーズミル(コトブキ技研工業社製SUPERAPEXMILL、ビーズ:0.1mm、回転数:5000rpm)の容器内に無機層状粒子である水膨潤性マイカ(コープケミカル社製、ソマシフME−100)とイオン交換水を1:11(質量比)の割合で室温にて、30分間分散処理を行い、その後、公称ろ過精度が50μmのフィルターを用いて異物や凝集物を除去して、無機層状粒子分散液を得た。得られた無機層状粒子分散液の固形濃度は8.1%、平均粒径は2.0μmであった。
分散処理時間を20分間とする以外は無機層状粒子分散液(C−1)と同様にして、無機層状粒子分散液を得た。得られた無機層状粒子分散液の固形濃度は8.0%、平均粒径は3.0μmであった。
分散処理時間を10分間とする以外は無機層状粒子分散液(C−1)と同様にして、無機層状粒子分散液を得た。得られた無機層状粒子分散液の固形濃度は8.1%、平均粒径は4.1μmであった。
分散処理時間を1分間とする以外は無機層状粒子分散液(C−1)と同様にして、無機層状粒子分散液を得た。得られた無機層状粒子分散液の固形濃度は7.6%、平均粒径は6.5μmであった。
無機層状粒子として水膨潤性モンモリロナイト(クニミネ工業社製、クニピアF)を用いた以外は無機層状粒子分散液(C−1)と同様にして、無機層状粒子分散液を得た。得られた無機層状粒子分散液の固形濃度は7.8%、平均粒径は1.1μmであった。
基材フィルム(S−1)の幅が300mm、長さ20mのフィルムロールをロール・トゥ・ロールで下記の塗布液(D−1)をマイクログラビア方式を用いて塗布乾燥後の被覆層の厚みが1.0μmになるように塗布し、フィルム張力80N/mの条件のもと、温度80℃の熱風で20秒乾燥し、ポリプロピレン製の直径6インチの円筒状コアに積層フィルムを巻き付け、積層フィルムを得た。
(塗布液D−1)
下記の材料を下記に示す質量比で混合し、30分以上攪拌して溶解させた。次いで、公称ろ過精度が50μmのフィルターを用いて未溶解物を除去して、塗布液(D−1)を作成した。
・イオン交換水 47.50質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 30.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−2) 12.50質量%
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−2)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−3)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−4)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−5)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−2)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−2)
・イオン交換水 47.65質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 30.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−1) 12.35質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−3)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−3)
・イオン交換水 47.65質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 30.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−3) 12.35質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−4)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−4)
・イオン交換水 46.84質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 30.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−4) 13.16質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−5)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−5)
・イオン交換水 53.00質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 32.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−2) 5.00質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−6)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−6)
・イオン交換水 38.33質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 26.67質量%
・無機層状粒子分散液(C−2) 25.00質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−7)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−7)
・イオン交換水 53.45質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 32.17質量%
・無機層状粒子分散液(C−2) 4.38質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−8)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−8)
・イオン交換水 33.75質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 25.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−2) 31.25質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−9)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−9)
・イオン交換水 43.33質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 30.00質量%
・水膨潤性マイカ粒子分散液 16.67質量%
(トピー工業製NTS−5、平均粒径8.6μm、固形分比率6.0%)
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−10)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−10)
・イオン交換水 47.18質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 30.00質量%
・無機層状粒子分散液(C−5) 12.82質量%
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−7)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、基材フィルムを2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡製エステルフィルム:E5100,厚み12μm)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−6)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−11)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−11)
・イオン交換水 56.67質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・水分散型ポリウレタン樹脂(U) 33.33質量%
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−12)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(塗布液D−12)
・イオン交換水 17.50質量%
・イソプロパノール 10.00質量%
・ポリビニルアルコール水溶液 60.00質量%
(日本合成化学製OKS8149、固形分比率10%)
・無機層状粒子分散液(C−2) 12.50質量%
基材フィルム(S−1)の幅が300mm、長さ1000mのフィルムロールをロール・トゥ・ロールで塗布液(D−1)をマイクログラビア方式を用いて塗布乾燥後の被覆層の厚みが1μmになるように塗布し、フィルム張力80N/mの条件のもと、温度80℃の熱風で20秒乾燥し、ポリプロピレン製の直径6インチの円筒状コアに積層フィルムを巻き付け、幅が300mm、長さ1000mの積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、基材フィルムを基材フィルム(S−2)に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、基材フィルムを基材フィルム(S−3)に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、基材フィルムを基材フィルム(S−4)に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、基材フィルムを基材フィルム(S−5)に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、基材フィルムを基材フィルム(S−7)に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、乾燥温度を60℃に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、乾燥温度を150℃に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、フィルム張力を30N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、フィルム張力を150N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、基材フィルムを基材フィルム(S−6)に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、乾燥温度を50℃に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、乾燥温度を160℃に変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、フィルム張力を20N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例16において、フィルム張力を160N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
Claims (10)
- 基材フィルムの少なくとも一方の面に被覆層を有する積層フィルムであって、前記基材フィルムがプロピレン系重合体から主としてなる配向フィルムであり、前記被覆層がジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成される水分散性のポリウレタン樹脂と無機層状粒子とを少なくとも含み、前記積層フィルムの120℃における基材フィルムの熱収縮率Aと積層フィルムの熱収縮率Bの差(A−B)がMD方向、TD方向、共に0.3%以上、3.0%以下であることを特徴とする積層フィルム。
- 前記基材フィルムが以下の要件(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体から主としてなる配向フィルムであり、かつ、以下の要件(d)を満たす請求項1に記載の積層フィルム。
(a)メソペンタッド分率が96%以上
(b)プロピレン以外のコモノマー含有量が0.5モル%以下
(c)メルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上、20g/10分以下
(d)広角X線散乱法により測定されるポリプロピレンのα型結晶の110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時の最大ピークの半値幅が30度以下 - 前記基材フィルムの小角X線散乱法により測定される主たる配向方向の長周期散乱ピークから求められる長周期サイズが40nm以上である請求項1または2のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記無機層状粒子の平均粒径が2.0μm以上、6.5μm以下であり、無機層状粒子の含有量が4質量%以上、20質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率が共に1.0%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記積層フィルムのヘーズが5.0%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜6に記載の積層フィルムの製造方法であって、ジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成される水分散性のポリウレタン樹脂と無機層状粒子と溶媒とを少なくとも含む塗布液をプロピレン系重合体配向フィルムに塗布し塗布層を形成する工程、その後、プロピレン系重合体配向フィルムの張力を30N/m以上、150N/m以下、かつプロピレン系重合体配向フィルムの温度60℃以上、150℃以下の範囲の条件に維持した状態で塗布層に含まれる溶媒を揮散させて被覆層を形成する工程、を有することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
- 前記請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムの被覆層上に接着剤層、ヒートシール性樹脂層を順次積層した積層体。
- 前記請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムからなる積層フィルムロール。
- 請求項9に記載の積層フィルムロールの製造方法であって、ジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成される水分散性のポリウレタン樹脂と無機層状粒子と溶媒とを少なくとも含む塗布液をプロピレン系重合体配向フィルムに塗布し塗布層を形成する工程、その後、プロピレン系重合体配向フィルムの張力を30N/m以上、150N/m以下、かつプロピレン系重合体配向フィルムの温度60℃以上、150℃以下の範囲の条件に維持した状態で塗布層に含まれる溶媒を揮散させて被覆層を形成する工程、及び被覆層が形成された積層フィルムを巻き取る工程、を有すること特徴とする積層フィルムロールの製造方法。
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