JP2017222732A - 片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含む組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(2):R1−Rf−R2COOHで示され、数平均分子量1,000〜8,000を有する片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含み、一般式(3):HOOCR2−Rf−R2COOHで示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物であって、一般式(2)のパーフルオロポリエーテル化合物の割合が70モル%以上である組成物を製造する方法であって、一般式(3)の両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物のカルボキシル基の一部をフッ素化してパーフルオロポリエーテル化合物の混合物を得る工程をさらに含む製造方法。
【選択図】なし
Description
特許文献2及び3には、まず、両末端官能性ポリマーを部分フッ素化して、片末端官能性ポリマー、両末端官能性ポリマー、及び無官能性ポリマーの混合物(片末端官能性ポリマーの含有量が高い)を製造した後、副生した無官能性ポリマーを除去することを記載している。特許文献2及び3は、両末端官能性ポリマーを部分フッ素化する際に、フッ素ガスの量を調整してフッ素化を制限し両末端官能性ポリマーの残存を少なくすることで、片末端官能性ポリマーを多く含んだ組成物を得ることができると記載している。しかし、該方法では同時に無官能性ポリマーも多く生成する。特許文献2及び3は、無官能性ポリマーの除去方法として、イオン交換樹脂による吸着法や薄膜蒸留法を記載している。
R1−Rf−R1 (1)
R1−Rf−R2COOH (2)
HOOCR2−Rf−R2COOH (3)
の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物それぞれの、極性固定相への吸着力の違い、非極性又は低極性のパーフルオロ炭化水素化合物からなる溶剤への溶解性の違い、部分フッ素化化合物からなる溶剤への溶解性の違い、および温度による吸着性の違いに着目し、これらを組み合わせることによって、目的とする片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を高濃度で含む組成物を簡便に得る方法を見出した。
尚、本発明において「部分フッ素化化合物からなる溶剤」は酸性極性化合物ではない。本発明の製造方法では、フッ素原子含有アルコール、フッ素原子含有カルボン酸、及びフッ素原子含有スルホン酸等の酸性極性化合物は使用しない。
下記一般式(2)で示され、数平均分子量1,000〜8,000を有する片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含み、下記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物であって、一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の合計100モル%に対する、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の割合が70モル%以上である組成物を製造する方法であり、
R1−Rf−R2COOH (2)
HOOCR2−Rf−R2COOH (3)
[各式中、R1は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは下記式(4)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖である
−O(CF2O)p−(C2F4O)q−(C3F6O)r−(C4F8O)s−
(4)
(p、q、r、sは、互いに独立に、0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s=10〜300であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてもよい)]
下記[1’]及び[2]の工程
[1’]前記一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含む混合物を極性固定相に接触させて、各化合物を極性固定相に吸着させる工程
[2]前記工程[1’]の後、極性固定相を50℃以上の溶剤中で加熱した後、50℃以上の温度下で、極性固定相と液相とを分離し、次いで、該液相から溶剤を留去させて上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を70モル%以上で含有する組成物を残留物として得る工程
を含み、前記溶剤が、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換されている炭化水素化合物であり、エーテル結合を有してよく、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてよく、不飽和結合を有してよい炭化水素化合物である(ただし、酸性極性化合物を除く)、前記製造方法を提供する。
下記一般式(2)で示され、数平均分子量1,000〜8,000を有する片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含み、下記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物及び下記一般式(1)で示される無官能パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物であって、一般式(1)〜(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の合計100モル%に対する、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の割合が70モル%以上である組成物を製造する方法であり、
R1−Rf−R1 (1)
R1−Rf−R2COOH (2)
HOOCR2−Rf−R2COOH (3)
[各式中、R1は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは下記式(4)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖である
−O(CF2O)p−(C2F4O)q−(C3F6O)r−(C4F8O)s−
(4)
(p、q、r、sは、互いに独立に、0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s=10〜300であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてもよい)]
下記[1]及び[2]の工程
[1]前記一般式(1)〜(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の混合物と、酸素原子又は窒素原子を含んでいてよい、非極性又は低極性のパーフルオロ炭化水素化合物からなる溶剤との溶液を、極性固定相に接触させ、一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を該極性固定相に吸着させる工程[1’]の後、該極性固定相と液相とを分離して、上記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を液相中に回収する工程と、
[2]前記工程[1]の後、極性固定相を50℃以上の溶剤中で加熱した後、50℃以上の温度下で、極性固定相と液相とを分離し、次いで、該液相から溶剤を留去させて上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を70モル%以上で含有する組成物を残留物として得る工程
を含み、前記工程[2]における溶剤が、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換されている炭化水素化合物であり、エーテル結合を有してよく、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてよく、不飽和結合を有してよい炭化水素化合物である(ただし、酸性極性化合物を除く)、前記製造方法を提供する。
本発明の組成物は、下記一般式(2)で示され、数平均分子量が1,000〜8,000である片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含み、下記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物、又は、下記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物及び下記一般式(1)で示される無官能パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物である。
本発明で目的とする組成物は、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の割合が、一般式(1)、(2)、(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の合計100モル%に対し、70モル%以上である組成物である。該組成物中に含まれる一般式(1)及び一般式(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の量は少ない方が好ましく、0モル%であってよい。
R1−Rf−R1 (1)
R1−Rf−R2COOH (2)
HOOCR2−Rf−R2COOH (3)
[各式中、R1は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは下記式(4)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖である
−O(CF2O)p−(C2F4O)q−(C3F6O)r−(C4F8O)s−
(4)
(p、q、r、sは、互いに独立に、0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s=10〜300であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい)]
[ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法]
[測定条件]
展開溶媒:ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)−225
流量:1mL/min.
検出器:蒸発光散乱検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel Multipore HXL−M
7.8mmφ×30cm 2本使用
カラム温度:35℃
試料注入量:100μL(濃度0.3質量%のHCFC−225溶液)
また、数平均分子量は19F−NMR測定から計算されることもできる。該方法は、上記式(1)〜(3)で示される化合物において、R1、R2、およびRfの構造が明確であり、19F−NMR測定で各々のピークが検出できる場合に使用することができる。即ち、末端基R1、R2とポリマー主鎖部分Rfの積分値量を測定することで数平均分子量を算出することができる。19F−NMR測定条件は一般的なものでよく、従来公知の方法に従い適宜選択されればよい。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
−CF2CF2CF2CF2O−
−C(CF3)2O−
(p、qは互いに独立に5〜200の整数であり、r、sは互いに独立に0〜100の整数であり、かつ、p+q+r+s=10〜300であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい)
工程[1’]:前記一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含む混合物を極性固定相に接触させて、各化合物を極性固定相に吸着させる工程。
工程[2]: 前記工程[1’]の後、極性固定相を50℃以上の溶剤中で加熱した後、50℃以上の温度下で、極性固定相と液相とを分離し、次いで、該液相から溶剤を留去させて上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を70モル%以上で含有する組成物を残留物として得る工程。該工程における上記溶剤とは、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭化水素化合物であり、エーテル結合を有してよく、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子に置換されていてよく、不飽和結合を有してよい炭化水素化合物である(ただし、酸性極性化合物を除く)。
工程[1]:
前記一般式(1)〜(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の混合物と、酸素原子又は窒素原子を含んでいてよい、非極性又は低極性のパーフルオロ炭化水素化合物からなる溶剤との溶液を、極性固定相に接触させ、一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を該極性固定相に吸着させる工程[1’]の後、該極性固定相と液相とを分離して、上記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を液相中に回収する工程。
工程[2]:
前記工程[1]の後、極性固定相を50℃以上の溶剤中で加熱した後、50℃以上の温度下で、極性固定相と液相とを分離し、次いで、該液相から溶剤を留去させて上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を70モル%以上で含有する組成物を残留物として得る工程
該工程[2]における溶剤は、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭化水素化合物であり、エーテル結合を有してよく、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子に置換されていてよく、不飽和結合を有してよい炭化水素化合物である(ただし、酸性極性化合物を除く)。
パーフルオロポリエーテル化合物の混合物が上記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含む場合、該式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物は、極性部分がないため極性固定相に吸着されず、溶剤に溶解した状態で存在する。そのため、上記工程[1’]の後、該極性固定相と液相とを公知の方法で分離することにより、上記式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を液相中に回収し、上記一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含むパーフルオロポリエーテル化合物の混合物と上記式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物とを分離させることができる(上記工程[1])。分離する手段は特に制限されるものでなく、ろ過、カラムクロマトグラフィーなど、通常の方法で行えばよい。
パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロウンデカン、パーフルオロドデカンなどの、炭素数3〜12のパーフルオロアルカン類;
パーフルオロジプロピルエーテル、パーフルオロジブチルエーテル、パーフルオロ−2−トリフルオロメチル−4−オキサノナン、パーフルオロジペンチルエーテルなどの、炭素数6〜10のパーフルオロモノエーテル類;
GaldenSV−90、HGaldenZV100、GaldenHT55、GaldenHT70、GaldenHT90、GaldenHT110、GaldenHT135(以上、ソルベイ・ソレクシス社商品名)、CF3OCF2CF2OCF3、CF3OCF2OCF2CF2OCF3、CF3OCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF3OCF2CF2OCF2OCF2CF2OCF3、CF3OCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF3などの、炭素数3〜10のパーフルオロポリエーテル類;
パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリアミルアミン(パーフルオロトリペンチルアミン)などの、炭素数3〜15のパーフルオロアルキルアミン類;
ヘキサフルオロアセトン、パーフルオロ−2−ブタノン、パーフルオロ−1−メチル−3−ペンタノンなどの炭素数3〜10のパーフルオロケトン類;及び
ヘキサフルオロベンゼンなどの炭素数6〜12のパーフルオロ芳香族炭化水素が例示される。
その後、極性固定相と液相とを分離させる。該工程も50℃以上の温度下で行われる。分離する手段は、上記温度下で分離できれば特に制限されるものでなく、ろ過、カラムクロマトグラフィーなどで行えばよい。例えば、50℃以上に加温したろ過器で行うことができる。得られた液相中には上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物がで溶解しているため、ストリップ操作等により溶剤を留去して、上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を高濃度で含有する組成物を残留物として取り出すことができる。
R−113(C2F3Cl3)、2,2,3,3−テトラクロロヘキサフルオロブタンなどの、炭素数2〜4のクロロフルオロカーボン類;
HCFC225(CF3CF2CHCl2、CClF2CF2CHClF)などの、炭素数3〜6のハイドロクロロフルオロカーボン類;
C3F7OCH3、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C2F5CF(OCH3)C3F7、CF3CH2OCF2CHF2、CHF2CF2CF2CF2CH2OCH3、CF3CHFCF2OCH2CF2CHF2、CHF2CF2CH2OCHFCF3、CHF2OCH2CF2CHFCF3、CF3CHFCF2OCH2CF2CF3、CHF2OCH2CF2CHF2、CF3CHFCF2OCH2CF3、CHF2CF2OCH2CF2CF3、CF3CH2OCH2CF3、CF3CH2OCF2CHF2、CF3CHFCF2OCH3、CHF2OCH2CF2CF3、HCF2CF2OC4H9などの、炭素数3〜7のハイドロフルオロモノエーテル類;
CF3CH2CF2CH3、CF3CHFCHFC2F5、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、CF3CF2CF2CF2CH2CH3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH3、CF3CF2CF2CF2CF2CHF2などの、炭素数3〜8のハイドロフルオロアルカン類;
C4F9CH=CH2、C6F13CH=CH2、C8F17CH=CH2などの、炭素数3〜10のフッ素原子含有アルケン;
m−キシレンヘキサフルオリド(1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン)、(1,1,1−トリフルオロメチル)ベンゼン、モノフルオロベンゼンなどの、炭素数6〜12のフッ素原子含有芳香族炭化水素;
メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロメチルエチルケトン、フェニルヘプタフルオロプロピルケトン、メチルヘプタフルオロプロピルケトン、フェニルトリフルオロメチルケトンなどの、炭素数2〜10のフッ素原子含有ケトン;及び
トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸メチル、CF3CF2COOCH3、CF3CF2COOCH2CH3などの、炭素数3〜10のフッ素原子含有エステル
などが挙げられる。
CF3−O(CF2O)p−(C2F4O)q−CF3 (a)
CF3−O(CF2O)p−(C2F4O)q−CF2COOH (b)
HOOCCF2−O(CF2O)p−(C2F4O)q−CF2COOH (c)
(数平均分子量=約3700、p/q比=1.0であった。なお、ポリマー中に、(CF2CF2CF2O)構造および(CF2CF2CF2CF2O)構造を少量含有しているが、微量であるため無視するものとし、本実施例では表記しない)
該ポリマー混合物A及びBは、下記式(6)で表される、両末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の末端カルボキシル基の一部をフッ素化して製造されたものである。
HOOCCF2−O(CF2O)p−(C2F4O)q−CF2COOH (6)
(数平均分子量=約3700、p/q比=1.0)
ポリマー混合物Aの部分フッ素化率は70モル%であり、ポリマー混合物Aは、上記式(a)で示される化合物のモル%:上記式(b)で示される化合物のモル%:上記式(c)で示される化合物のモル%≒49:42:9(合計100モル%)で構成される混合物であった。
ポリマー混合物Bの部分フッ素化率は50モル%であり、ポリマー混合物Bは、上記式(a)で示される化合物のモル%:上記式(b)で示される化合物のモル%:上記式(c)で示される化合物のモル%≒25:50:25(合計100モル%)で構成される混合物であった。
尚、ポリマー混合物A及びポリマー混合物Bにおいて、上記式(a)、(b)、及び(c)の各々で示される化合物の各分子量全体に対する一分子中の末端カルボキシル基の数の相違による分子量の差は無視できる程度に小さいものであるため、上記各化合物の比率(モル%)は、各化合物の質量比率(質量%)とほぼ等価である。
[ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法]
[測定条件]
展開溶媒:ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)−225
流量:1mL/min.
検出器:蒸発光散乱検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel Multipore HXL−M
7.8mmφ×30cm 2本使用
カラム温度:35℃
試料注入量:100μL(濃度0.3質量%のHCFC−225溶液)
工程[1]
温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに、上記ポリマー混合物A 3.00g、パーフルオロヘキサン(沸点:56℃)30.0g、及びシリカゲル60(関東化学製)3.00gを仕込み、23℃で30分混合した。その後、反応液をメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをパーフルオロヘキサン10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮したところ1.51gの精製物を回収した。該精製物を19F−NMRで解析したところ、上記式(a)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物 約99モル%(約1.49g)と、上記式(b)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物 約1モル%(約0.02g)との混合物であった。
最初に仕込んだポリマー混合物Aの質量(3.00g)から上記で回収した精製物の質量(1.51g)を差し引くと、シリカゲルに吸着している混合物の質量は1.49gであった。
上記工程[1]で洗浄されたシリカゲルと、Novec7200(3M社製ハイドロフルオロモノエーテル;C4F9OC2H5、沸点76℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、60℃で1時間混合した。その後、60℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをNovec7200 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
上記実施例1の工程[1]を繰り返した。該工程[1]で洗浄されたシリカゲルと、Novec7300(3M社製ハイドロフルオロモノエーテル;C2F5CF(OCH3)CF(CF3)2、沸点98℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、85℃で1時間混合した。その後、60℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをNovec7300 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
上記実施例1の工程[1]を繰り返した。該工程[1]で洗浄されたシリカゲルと、AC6000(旭硝子社製ハイドロフルオロアルカン;C6F13C2H5、沸点114℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、95℃で1時間混合した。その後、60℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをAC6000 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
上記実施例1の工程[1]を繰り返した。該工程[1]で洗浄されたシリカゲルと、m−キシレンヘキサフルオリド(沸点116℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、100℃で1時間混合した。その後、60℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをm−キシレンヘキサフルオリド 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
上記実施例1の工程[1]を繰り返した。該工程[1]で洗浄されたシリカゲルと、アサヒクリンAK225(旭硝子社製ハイドロクロロフルオロカーボン;HCFC225、沸点54℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、50℃で1時間混合した。その後、50℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをm−キシレンヘキサフルオリド 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
上記実施例1の工程[1]を繰り返した。該工程[1]で洗浄されたシリカゲルとパーフルオロヘキサン(沸点56℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、50℃で1時間混合した。その後、50℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをパーフルオロヘキサン 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
上記実施例1の工程[1]を繰り返した。該工程[1]で洗浄されたシリカゲルと、Novec7200(3M社製ハイドロフルオロモノエーテル;C4F9OC2H5、沸点76℃)27.0gとを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、23℃で1時間混合した。その後、ろ過器(23℃)に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをNovec7200 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた精製物を19F−NMRで解析した。得られた組成物の回収量と該組成物中の各化合物の含有率(モル%)を表2に示す。
比較例1は工程[2]で使用する溶剤をパーフルオロ化合物とした例である。該比較例1で得た組成物の収量は0.15gであり、工程[2]における回収率10.1質量%であり、実施例に比べて極めて低かった。
比較例2は工程[2]で混合物と溶剤とを混合した後、加熱せずに混合した例である。該比較例2で得た組成物の収量は0.57gであり、工程[2]における回収率38.3質量%であり、実施例に比べて低かった。
また、例えば実施例3において、工程[1]及び[2]の全体での組成物の回収率(35%)から、工程[1]及び[2]の全体での化合物(b)の収率を求めると、(1.06×0.97)/(3.00×0.42)×100=82質量%(≒82モル%)となる。該収率は、上記した工程[2]における化合物(b)の収率(84質量%)と実質的に同等である。これからも、本発明の製造方法では、式(b)で示される化合物を高い選択的且つ高収率で回収できることがわかる。
工程[1]
温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに、上記ポリマー混合物B 3.00g、パーフルオロヘキサン30.0g、シリカゲル60(関東化学製)3.00gを仕込み、23℃で30分混合した。その後、反応液をメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをパーフルオロヘキサン10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮したところ0.78gの精製物を回収した。得られた精製物を19F−NMRで解析したところ、上記式(a)で示される化合物 約97モル%と、上記式(b)で示される化合物 約3モル%とから成る混合物であった。
上記工程1で洗浄されたシリカゲルと、Novec7300 27.0gを、温度計、攪拌機、ジムロートを付した100mLの4つ口フラスコに入れて、85℃で1時間混合した。その後、60℃に加温したろ過器に反応液を入れてメンブランフィルターで濾過し、フィルター上に残ったシリカゲルをNovec7300 10gで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して得られた組成物を19F−NMRで解析した。表3にポリマー回収量とポリマー成分含有率を示す。
下コックを付し、下コックの手前にガラスフィルターを装備した内径20mm、長さ300mmのガラス製カラムに、シリカゲル60(関東化学社製)20gを充填した。
工程[1]
カラムの下コックを閉じた状態で、パーフルオロヘキサン40.0gをカラムの上部から静かに投入した。次いで、下コックを開け、上記ポリマー混合物A 20.0gをパーフルオロヘキサン80.0gで溶解した溶液を、カラムの上部から約10分かけて流した。その後、パーフルオロヘキサン50.0gをカラム上部から流してカラム内のシリカゲルを洗浄した。その後、下コックを閉じた。カラム下部から流出した溶液を減圧下で濃縮したところ10.5gの精製物を回収した。得られた精製物を19F−NMRで解析したところ、上記式(a)で示される化合物 約99モル%と、上記式(b)で示される化合物 約1モル%とから成る混合物であった。
上記カラム内にAC6000(旭硝子社製ハイドロフルオロアルカン;C6F13C2H5、沸点114℃)35gをカラムの上部から静かに投入した。その後、カラムを95℃に加温し、下コックを開けると同時に、カラムの上部から95℃に予備加熱したAC6000400.0gを約40分かけて静かに流した。カラム下部から流出した溶液を減圧下で濃縮したところ7.6g(回収率=38質量%)の精製物を回収した。得られた精製物を19F−NMRで解析したところ、上記式(b)で示される化合物 約98モル%と、上記式(c)で示される化合物 約2モル%とから成る混合物であった。
Claims (9)
- 下記一般式(2)で示され、数平均分子量1,000〜8,000を有する片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含み、下記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物であって、一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の合計100モル%に対する、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の割合が70モル%以上である組成物を製造する方法であり、
R1−Rf−R2COOH (2)
HOOCR2−Rf−R2COOH (3)
[各式中、R1は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは下記式(4)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖である
−O(CF2O)p−(C2F4O)q−(C3F6O)r−(C4F8O)s−
(4)
(p、q、r、sは、互いに独立に、0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s=10〜300であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてもよい)]
下記[1’]及び[2]の工程
[1’]前記一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を含む混合物を極性固定相に接触させて、各化合物を極性固定相に吸着させる工程
[2]前記工程[1’]の後、該極性固定相を50℃以上の溶剤中で加熱した後、50℃以上の温度下で、極性固定相と液相とを分離し、次いで、該液相から溶剤を留去させて上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を70モル%以上で含有する組成物を残留物として得る工程
を含み、前記溶剤が、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換されている炭化水素化合物であり、エーテル結合を有してよく、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてよく、不飽和結合を有してよい炭化水素化合物である(ただし、酸性極性化合物を除く)、前記製造方法。 - 下記一般式(2)で示され、数平均分子量1,000〜8,000を有する片末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物を含み、下記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物及び下記一般式(1)で示される無官能パーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい組成物であって、一般式(1)〜(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の合計100モル%に対する、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の割合が70モル%以上である組成物を製造する方法であり、
R1−Rf−R1 (1)
R1−Rf−R2COOH (2)
HOOCR2−Rf−R2COOH (3)
[各式中、R1は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは下記式(4)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖である
−O(CF2O)p−(C2F4O)q−(C3F6O)r−(C4F8O)s−
(4)
(p、q、r、sは、互いに独立に、0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s=10〜300であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてもよい)]
下記[1]及び[2]の工程
[1]前記一般式(1)〜(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物の混合物と、酸素原子又は窒素原子を含んでいてよい、非極性又は低極性のパーフルオロ炭化水素化合物からなる溶剤との溶液を、極性固定相に接触させ、一般式(2)及び(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を該極性固定相に吸着させる工程[1’]の後、該極性固定相と液相とを分離して、上記一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を液相中に回収する工程と、
[2]前記工程[1]の後、該極性固定相を50℃以上の溶剤中で加熱した後、50℃以上の温度下で、極性固定相と液相とを分離し、次いで、該液相から溶剤を留去させて上記一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル化合物を70モル%以上で含有する組成物を残留物として得る工程
を含み、前記工程[2]における溶剤が、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換されている炭化水素化合物であり、エーテル結合を有してよく、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてよく、不飽和結合を有してよい炭化水素化合物である(ただし、酸性極性化合物を除く)、前記製造方法。 - 前記工程[1]におけるパーフルオロポリエーテル化合物の混合物において、式(1)〜(3)の各々で示されるパーフルオロポリエーテル化合物が有する末端基の合計100モル%に対するR1基の割合が40モル%〜80モル%である、請求項2又は3記載の製造方法。
- 前記工程[1]における溶剤が、パーフルオロアルカン、パーフルオロモノエーテル、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルアミン、パーフルオロケトン、及びパーフルオロ芳香族炭化水素からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記工程[2]における溶剤が、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロモノエーテル、ハイドロフルオロアルカン、フッ素原子含有アルケン、フッ素原子含有芳香族、フッ素原子含有ケトン、及びフッ素原子含有エステルからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記工程[1’]及び[1]の前に、前記一般式(3)で示される両末端カルボキシル基含有パーフルオロポリエーテル化合物のカルボキシル基の一部をフッ素化して前記パーフルオロポリエーテル化合物の混合物を得る工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記極性固定相が酸化アルミニウム、シリカゲル、酸化マグネシウム、アルミニウムシリケート、マグネシウムシリケート、化学修飾シリカゲルおよび珪藻土からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記極性固定相がシリカゲルである、請求項8記載の製造方法。
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