JP2017220592A - 電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101は、フレキシブルプリント配線板130と、絶縁フィルム140と、第1の離型フィルム118を剥離した電磁波シールドフィルム110とを備える。
フレキシブルプリント配線板130は、ベースフィルム132の片面にプリント回路134が設けられたものである。
絶縁フィルム140は、フレキシブルプリント配線板130のプリント回路134が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム110は、絶縁樹脂層112と、絶縁樹脂層112に隣接する金属薄膜層114と、金属薄膜層114の絶縁樹脂層112とは反対側に隣接する導電性接着剤層116と、絶縁樹脂層112の金属薄膜層114とは反対側に隣接する第1の離型フィルム118(キャリアフィルム)とを有する。
電磁波シールドフィルム110の導電性接着剤層116は、絶縁フィルム140の表面に接着され、かつ硬化されている。また、導電性接着剤層116は、絶縁フィルム140に形成された貫通孔142を通ってプリント回路134に電気的に接続されている。
工程(i):フレキシブルプリント配線板130のプリント回路134が設けられた側の表面に、プリント回路134のグランドに対応する位置に貫通孔142が形成された絶縁フィルム140を設ける工程。
工程(ii):電磁波シールドフィルム110を、絶縁フィルム140の表面に、電磁波シールドフィルム110の導電性接着剤層116が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルム140の表面に導電性接着剤層116を接着し、かつ導電性接着剤層116を、貫通孔142を通ってプリント回路134のグランドに電気的に接続する工程。
工程(iii):熱プレス後、キャリアフィルムとしての役割を終えた第1の離型フィルム118を、絶縁樹脂層112から剥離し、取り除くことによって、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101を得る工程。
<1>絶縁樹脂層と;前記絶縁樹脂層に隣接する金属薄膜層と;前記金属薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する導電性接着剤層と;前記絶縁樹脂層の前記金属薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムとを有し;前記金属薄膜層の厚さが、150nm以上400nm以下である、電磁波シールドフィルム。
<2>前記金属薄膜層のナノインデンテーション法による硬さが、0.3GPa以上2.0GPa以下である、前記<1>の電磁波シールドフィルム。
<3>前記導電性接着剤層が導電性粒子を含み;前記導電性粒子の10%圧縮強度が、30MPa以上200MPa以下である、前記<1>または<2>の電磁波シールドフィルム。
<4>前記導電性接着剤層が導電性粒子として金属粒子を含み;前記金属薄膜層を構成する金属および前記金属粒子を構成する金属が、銅である、前記<1>〜<3>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<5>前記金属薄膜層が、蒸着膜である、<1>〜<4>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<6>前記導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率が、1×103Pa以上5×107Pa以下である、前記<1>〜<5>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<7>前記第1の離型フィルムの180℃における貯蔵弾性率が、8×107Pa以上5×109Pa以下である、前記<1>〜<6>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<8>前記絶縁樹脂層の180℃における貯蔵弾性率が、5×106Pa以上5×109Pa以下である、前記<1>〜<7>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<9>前記導電性接着剤層の前記金属薄膜とは反対側に隣接する第2の離型フィルムをさらに有する、前記<1>〜<8>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<10>基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と;前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと;前記導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された前記<1>〜<8>のいずれかの電磁波シールドフィルムとを有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板においては、プリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路に電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層が確実に電気的に接続される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×104Ω以上である導電性接着剤層を意味する。
フィルム(離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(絶縁樹脂層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
金属薄膜層に対し、三角錐圧子(Berkovich圧子)を用いて押し込み負荷/除荷試験を行い、荷重−押しこみ深さ線図を取得する。
最大荷重時の硬さHは、荷重Pと、押し込み後に弾性変形分が回復し、残存する圧痕の投影面積Aを用いて下記式(1)のように定義される。
H=P/A (1)
圧痕の投影面積Aは、下記式(2)から求められる。
A=ηkhc 2 (2)
ただし、ηは圧子先端形状の補正係数であり、kは圧子の幾何学形状から求まる定数であり、Berkovich圧子ではk=24.56であり、hcは有効接触深さであり、下記式(3)で表される。
hc=h−ε{c/(dP/dh)} (3)
ただし、hは測定される全変位であり、dP/dhは得られた荷重−押しこみ深さ線図における除荷時の初期勾配であり、εは圧子の幾何学形状から求まる定数であり、Berkovich圧子では0.75となる。
式(1)、式(2)および式(3)から、最大荷重Pmaxにおける硬さが下記式(4)から算出される。
H=Pmax/(ηkhc 2) (4)
連続剛性測定法とは、押しこみ試験中に圧子を微小振動させ、振動に対する応答振幅、位相差を時間の関数として取得し、押しこみ深さの連続的変化に対応して、dP/dhを連続的に算出する方法である。以下にその原理を示す。
金属薄膜層に圧子が侵入する方向の力の総和(検出荷重成分)F(t)は、下記式(5)で表される。
F(t)=m(d2h/dt2)+D(dh/dt)+Kh (5)
ただし、式(5)の第1項は圧子軸由来の力(m:圧子軸の質量)であり、式(5)の第2項は金属薄膜層および圧子系の粘性的成分由来の力(D:損失定数)であり、式(5)の第3項は金属薄膜層、荷重系枠(ロードフレーム)のコンプライアンス、圧子軸を支える板ばねの剛性が複合された力(K:複合剛性)であり、tは時間である。式(5)のDおよびKは下記式(6)、式(7)で表される。
K={(dh/dP)+Cr}−1+Ks (6)
D=Ds+Di (7)
ただし、Crはロードフレームのコンプライアンスであり、Ksは圧子軸を支える板ばねの剛性であり、Dsは圧子系の損失定数であり、Diは金属薄膜層の損失定数である。また、式(5)のF(t)は、時間に依存することから下記式(8)のように表される。
F(t)=F0exp(iωt) (8)
ただし、F0は定数であり、ωは角振動数である。(8)式を(5)式に代入し、常微分方程式の特別解である下記式(9)式を代入して方程式を解くと、下記式(10)のようにdP/dhが計算される。
h=h0exp{i(ωt−φ)} (9)
dP/dh=[1/{(F0/h0)cosφ−(Ks−mω2)}−Cr]−1 (10)
ただし、φは位相差である。式(10)式において、Cr、m、Ksは測定時に既知であることから、金属薄膜層について測定している時に、変位の振動振幅(h0)、位相差(φ)と励起振動振幅(F0)を計測することによって、式(10)から押しこみ深さの連続的変化に対応して、dP/dhを連続的に算出できる。したがって、計算で得た値を式(3)に代入することによって、金属薄膜層の硬さを算出できる。
C(x)=2.48P/πd2 (11)
ただし、C(x)は10%圧縮強度(MPa)であり、Pは粒子径の10%変位時の試験力(N)であり、dは粒子径(mm)である。
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図である。
第1の実施形態および第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と;絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と;導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する等方導電性接着剤層26とを有する例である。
絶縁樹脂層10は、金属薄膜層22を形成する際のベース(下地)となり、電磁波シールドフィルム1を、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着した後には、金属薄膜層22の保護層となる。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
絶縁樹脂層10の表面には、絶縁樹脂層10の表面の傷等を目立たなくするために、エンボス加工やブラスト加工が施された第1の離型フィルム30の凹凸が転写されていてもよい。
絶縁樹脂層10は、他の成分(難燃剤等)を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、絶縁樹脂層10が保護層としての機能を十分に発揮できる。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
導電層20としては、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、導電層20において絶縁樹脂層10とは反対側の最表層となる導電性接着剤層(異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26)とを有する導電層(I);または等方導電性接着剤層26のみからなる導電層(II)が挙げられる。本発明においては、導電層20としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点から、導電層(I)が採用される。
金属薄膜層22は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層22は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、下記の点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。
・導電性接着剤層がさらに適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失をさらに低減できる。
・導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
導電層(I)における導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。
熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10や導電層20を形成する際のキャリアフィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム30は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付けた後には、絶縁樹脂層10から剥離される。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
第2の離型フィルム40は、導電性接着剤層を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第2の離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層から剥離される。
離型フィルム本体42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)は、10μm以上45μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が前記範囲の下限値以上であれば、第1の離型フィルム30を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)〜(c)を有する方法(α)によって製造できる。
工程(a):第1の離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁樹脂層の表面に導電層を形成する工程。
工程(c):工程(b)の後、導電層の表面に第2の離型フィルムを貼り付ける工程。
工程(a’):第1の離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b’1):絶縁樹脂層の表面に金属薄膜層を形成することによって、第1の離型フィルムと、絶縁樹脂層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
工程(b’2):第2の離型フィルムの片面に導電性接着剤層を形成することによって、第2の離型フィルムと、導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
工程(c’):第1の積層体と第2の積層体とを、金属薄膜層と導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
図3に示すように、第1の離型フィルム30の片面に絶縁樹脂層10を形成する。
絶縁樹脂層10の形成方法としては、リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させる方法が好ましい。
熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料は、必要に応じて溶剤、他の成分(難燃剤等)を含んでいてもよい。
図3に示すように、絶縁樹脂層10の表面に金属薄膜層22を形成し(工程(b1))、金属薄膜層22の表面に異方導電性接着剤層24を形成する(工程(b2))。
熱硬化性導電性接着剤組成物としては、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含むものを用いる。
異方導電性接着剤層24の貯蔵弾性率の制御は、絶縁樹脂層10の貯蔵弾性率の制御と同様に行うことができる。
図3に示すように、異方導電性接着剤層24の表面に第2の離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得る。
以上説明した電磁波シールドフィルム1にあっては、金属薄膜層22の厚さが150nm以上であるため、金属薄膜層22が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の金属薄膜層22における圧力損失を低減できる。その結果、導電性接着剤層とプリント配線板のプリント回路とが十分に接着され、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路に確実に電気的に接続される。また、金属薄膜層22の厚さが400nm以下であるため、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。その結果、電磁波シールドフィルム1が絶縁フィルムの貫通孔内に沈み込みやすくなり、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路に確実に電気的に接続される。
本発明の電磁波シールドフィルムは、第1の離型フィルムと絶縁樹脂層と金属薄膜層と導電性接着剤層とを順に有する電磁波シールドフィルムであって、金属薄膜層の厚さが、150nm以上400nm以下であるものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、絶縁樹脂層は、2層以上であってもよい。
導電性接着剤層の表面のタック性が少ない場合は、第2の離型フィルム40を省略しても構わない。
離型フィルムは、離型フィルム本体のみで十分な離型性を有する場合は、離型剤層を有しなくてもよい。
離型フィルムは、離型剤層の代わりに粘着剤層を有していてもよい。
図4は、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、第2の離型フィルム40は、異方導電性接着剤層24から剥離されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2において第1の離型フィルム30が不要になった際には、第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と金属薄膜層22との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、30μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上200μm以下がより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、6μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
プリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われていない。
絶縁フィルム60は、基材フィルム(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
基材フィルムの表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。基材フィルムの表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
基材フィルムとしては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
基材フィルムの厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、例えば、下記の工程(d)〜(g)を有する方法によって製造できる。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):工程(d)の後、絶縁フィルム付きプリント配線板と、第2の離型フィルムを剥離した本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層を接着し、かつ導電性接着剤層を、貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(f):工程(e)の後、第1の離型フィルムが不要になった際に第1の離型フィルムを剥離する工程。
工程(g):必要に応じて、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層を本硬化させる工程。
図5に示すように、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ね、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(g)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
図5に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着され、かつ異方導電性接着剤層24が、貫通孔62を通ってプリント回路54に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下であり、30秒以上30分以下がさらに好ましい。熱プレスの時間が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。熱プレスの時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
図5に示すように、第1の離型フィルムが不要になった際に、絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離する。
工程(e)における熱プレスの時間が20秒以上10分以下の短時間である場合、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層24の本硬化を行うことが好ましい。
異方導電性接着剤層24の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15分以上120分以下であり、30分以上60分以下が好ましい。加熱時間が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24を十分に硬化できる。加熱時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下が好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2にあっては、電磁波シールドフィルム1を用いているため、フレキシブルプリント配線板50の表面に設けられた絶縁フィルム60の貫通孔62を通ってフレキシブルプリント配線板50のプリント回路54に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層が確実に電気的に接続される。
なお、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、プリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、導電層が絶縁フィルムに隣接し、かつ導電層が絶縁フィルムに形成された貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続された電磁波シールドフィルムを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1等を用いてもよい。
金属薄膜層のナノインデンション法による硬さは、超微小硬度計(MTS systems社製、Nano Indenter XP)を用い、圧子としてダイヤモンド製三角錐圧子を用いて上述したナノインデンテーション法(連続剛性測定法)による測定を行い、測定結果から上述した算出法によって求めた。
導電性粒子の10%圧縮強度は、微小圧縮試験機(島津製作所社製、MCT−510)を用いた測定結果から、前記式(11)によって求めた。
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、RSAII)を用い、温度:180℃、周波数:1Hz、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。
後述する工程(f)により、貫通孔62が形成された位置に対応するプリント回路54のグランドと、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の接続抵抗を測定し、下記基準にて評価した。
◎(優) :接続抵抗が0.5Ω未満である。
〇(良) :接続抵抗が0.5Ω以上1Ω未満である。
×(不良):接続抵抗が1Ω以上である。
第1の離型フィルム30および第2の離型フィルム40として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm、180℃における貯蔵弾性率:5×108Pa)を用意した。
第1の離型フィルム30の離型剤層34の表面に塗料を塗布し、60℃で2分間加熱し、半硬化させて、絶縁樹脂層10(厚さ:10μm、180℃における貯蔵弾性率:1.9×107Pa)を形成した。
絶縁樹脂層10の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、金属薄膜層22(蒸着膜、厚さ:300nm、表面抵抗:0.07Ω、ナノインデンテーション法による硬さ:0.66GPa)を形成した。
金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層24(厚さ:7μm、銅粒子:4.5体積%、180℃における貯蔵弾性率:2×104Pa)を形成した。
異方導電性接着剤層24の表面に第2の離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得た。
厚さ12μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×1017Ω)(基材フィルム)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が12μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム60(厚さ:25μm)を得た。プリント回路54のグランドに対応する位置に貫通孔62(孔径:2mm)を形成した。
フレキシブルプリント配線板50に絶縁フィルム60を熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得た。
絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、ホットプレス装置(折原製作所社製、G−12)を用い、熱盤温度:170℃、圧力:2MPaで60秒間熱プレスし、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24を仮接着して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)を用い、温度:160℃で1時間加熱することによって、異方導電性接着剤層24を本硬化させた。絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離した。
貫通孔62が形成された位置に対応するプリント回路54のグランドと、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の接続抵抗を測定した。結果を表1に示す。
金属薄膜層22を構成する金属の種類、金属薄膜層22の厚さ、導電性粒子24bの種類、導電性粒子24bの平均粒子径を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム1を得た。また、電磁波シールドフィルム1を変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。貫通孔62が形成された位置に対応するプリント回路54のグランドと、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の接続抵抗を測定した。結果を表1に示す。
金属薄膜層22を構成する金属および導電性粒子24bを構成する金属の両方として銀を用いた実施例5は、接続抵抗がやや高くなった。
2 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板
3 絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板
10 絶縁樹脂層
20 導電層
22 金属薄膜層
24 異方導電性接着剤層
24a 熱硬化性接着剤
24b 導電性粒子
26 等方導電性接着剤層
26a 熱硬化性接着剤
26b 導電性粒子
30 第1の離型フィルム
32 離型フィルム本体
34 離型剤層
40 第2の離型フィルム
42 離型フィルム本体
44 離型剤層
50 フレキシブルプリント配線板
52 ベースフィルム
54 プリント回路
60 絶縁フィルム
62 貫通孔
101 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板
110 電磁波シールドフィルム
112 絶縁樹脂層
114 金属薄膜層
116 導電性接着剤層
118 第1の離型フィルム
130 フレキシブルプリント配線板
132 ベースフィルム
134 プリント回路
140 絶縁フィルム
142 貫通孔
Claims (10)
- 絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層に隣接する金属薄膜層と、
前記金属薄膜層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する導電性接着剤層と、
前記絶縁樹脂層の前記金属薄膜層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムとを有し、
前記金属薄膜層の厚さが、150nm以上400nm以下である、電磁波シールドフィルム。 - 前記金属薄膜層のナノインデンテーション法による硬さが、0.3GPa以上2.0GPa以下である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層が導電性粒子を含み、
前記導電性粒子の10%圧縮強度が、30MPa以上200MPa以下である、請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルム。 - 前記導電性接着剤層が導電性粒子として金属粒子を含み、
前記金属薄膜層を構成する金属および前記金属粒子を構成する金属が、銅である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。 - 前記金属薄膜層が、蒸着膜である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率が、1×103Pa以上5×107Pa以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記第1の離型フィルムの180℃における貯蔵弾性率が、8×107Pa以上5×109Pa以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記絶縁樹脂層の180℃における貯蔵弾性率が、5×106Pa以上5×109Pa以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層の前記金属薄膜とは反対側に隣接する第2の離型フィルムをさらに有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、
前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、
前記導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムと
を有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
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