JP2017219321A - 気液分離器及び超臨界流体装置 - Google Patents

気液分離器及び超臨界流体装置 Download PDF

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洋臣 後藤
理沙 梶山
Risa KAJIYAMA
理沙 梶山
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Takahiro Mori
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Abstract

【課題】気体と液体を含む移動相を気体と液体に分離する際にクロスコンタミネーションやキャリーオーバーを発生させずに流体の線速度を抑制する。
【解決手段】気液分離器は、移動相が導入される導入流路、導入流路よりも下方において鉛直下方へ伸びるように設けられ、液を付着させて鉛直下方へ導くための外壁面を有する誘液柱、導入流路の下流端から分岐し、導入流路からの液体を誘液柱に付着させるように導入流路からの気体及び液体を吐出する吐出口を下端に有する複数の吐出流路、吐出口よりも下方に設けられ吐出口から吐出された気体を遮って誘液柱から離れる方向へ導く風防を備えている。風防は、誘液柱を貫通させる貫通穴を有し、その貫通穴の内側と誘液柱との間に該誘液柱を伝って下方へ流れる液体を通過させる隙間を有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、気液分離器及び超臨界流体装置に関するものである。
超臨界流体クロマトグラフ装置(SFC:Super-Critical Fluid Chromatography)や超臨界流体抽出装置(SFE:Super-Critical Fluid Extraction)では、10MPa(メガパスカル)以上の超臨界流体又は液体状態のCO2が背圧調整器(BPR:Back Pressure Regulator)通過後に大気圧に減圧され気化する。分取機能を備えたSFCやSFEでは、例えばCO2とモディファイアの混合流体に溶解しているサンプルをBPR通過後に捕集する。気化したCO2はその体積が400倍にもなるため、出口配管から流出する流体は飛散し、サンプルが失われるという問題が生じる。
この問題を解決するため、気体(CO2)と液体(モディファイア、主にはMeOH)を分離し、液体のみを回収する気液分離器が必要となる。このような気液分離器は例えば特許文献1−7に開示されている。
SFCやSFEにおいてカラムを通過した後の分取対象はクロマトピーク群として現れる。クロマトピーク群におけるピークの一つ一つはフラクションと呼ばれる。多数のフラクション(ピーク)は例えば秒単位で近接した状態で分離している。このフラクションすべてを採取する必要がある。
フラクションの採取にはフラクションコレクタが用いられる。例えば通常の液体クロマトグラフ(LC:liquid chromatograph)で用いられるフラクションコレクタは、空間的に多数並べられた捕集瓶(例えば試験管など)に吐出口のついたヘッドをX−Y方向に移動させることによって多数のフラクションを捕集瓶に滴下する。
ここでフラクションの分取方式を例えば3つに分けて説明する。
1つ目の分取方式は、複数の採集瓶に対して採集瓶ごとに気液分離器を設ける方式である。この方式は例えば特許文献1,3,7に開示されている。多数のフラクションはバルブによって流路を切り替えられて気液分離器を介して採集瓶に導かれる。1つの気液分離器には1つのフラクションしか通過しない。したがって、この方式は、デッドボリュームの大きさや、クロスコンタミネーション(例えばピーク個々がブロードになったりして互いに交じり合うこと)は問題とはならない利点がある。しかし、例えば市販の切り替えバルブは6方が最大であり、それ以上の個数のフラクション(分取対象クロマトピーク)を分取するためには複数段数にバルブを接続する必要があり、系が大規模複雑化するという問題が生じる。
2つ目の分取方式は、捕集瓶内で気液分離を行う方式である。この方式は、デッドボリュームがゼロであるので、クロスコンタミネーションの問題は発生しない利点がある。この方式は例えば特許文献2に開示されている。特許文献2に開示された方式は、切り替えバルブを使用せずに、LC用フラクションコレクタと同様に空間的に多数並んだ回収バイアルにフラクション排出プローブを移動させることによって多数のフラクションの分取が可能である。しかし、特許文献2に開示された方式はプローブのX−Y方向の移動の前後にプローブ先端をZ方向に移動させ、回収バイアルとプローブ先端の脱着を行う必要がある。このため、特許文献2に開示された方式は、そのデッドタイムの間はフラクションの分取は行えず、非常に近接したフラクションを分取することは困難である。
3つ目の分取方式は、フラクションコレクタの上流側の流路に1つの気液分離器を有するタイプである。この方式は、フラクションコレクタに液体のみを送液するので、従来のLCのような分取が可能である。この方式は例えば特許文献4,6,7に開示されている。
装置構成の簡略性を担保しつつ、多数のフラクションを取得可能な装置とするためには、上記3つ目の分取方式が好ましいと考えられる。しかし、特許文献4のようにドリッパと呼ばれる内径拡大管が用いられると、特許文献5で示されるように管内径拡大部で旋回流が発生し、時間的に近接した複数のフラクションが互いに交じり合うクロスコンタミネーションが発生する。管の中に旋回流が発生すると、1周目と2周目や、2周目と3周目では、流れが上下で隣接する。この流れに多数のフラクションが流れると、時間的に異なる成分が互いに交じり合うことが容易に想像できる。特許文献6における旋回流や、特許文献7の多孔質フィルタにおける滞留も、同様にクロスコンタミネーションを引き起こす。
また、特許文献4の内管、特許文献6のチャンバ、特許文献7のチャンバなどにおけるデッドボリュームによってピークがブロードになる。このことからもクロスコンタミネーションが発生する。また、残留成分が次の分取時に混入するキャリーオーバーも問題となる。例えば特許文献4のように、容量が大きいチャンバ内壁を移動相が通過する構造は好ましくない。
特表2009−5440422号公報 特開2010−78532号公報 特許第4918641号公報 特表2012−508882号公報 特表2009−5440422号公報 米国特許出願公開第2013/0180404号明細書 国際公開第2012/167180号パンフレット
サンプルを含む液体成分の飛散の問題を引き起こす主たる要因は、大気圧となり400倍に膨張したCO2の線速度が非常に速いことである。線速度が非常に速いため、スプレーと同様の現象によって液体はミスト状に飛散する(以下スプレー現象と呼ぶ。)。線速度は流体が流れる配管の断面積に反比例する。
そこで、特許文献1,4では線速度を抑制することを目的として管の内径を拡大している。しかし、全てのフラクションが1つの気液分離器を通過する場合には、旋回流や不要なデッドボリュームによるクロスコンタミネーションの問題が発生する。
また、デッドボリュームのうち流体が通常流れない部分に飛散したサンプルが次回の分取時に流出してくるキャリーオーバーの問題を回避するために、残留サンプルを除去するための洗浄の必要が生じる。例えば3mm(ミリメートル)以上の内径を持つ配管に10ml/min(ミリリットル/分)程度の低流量の移動相を流すと、配管内面には移動相が通過する(濡れる)部分と通過しない(濡れない)部分が形成される。濡れない部分に付着したサンプルはキャリーオーバーの原因となる。
本発明は、気体と液体を含む移動相を気体と液体に分離する際にクロスコンタミネーションやキャリーオーバーを発生させずに流体の線速度を抑制することを目的とするものである。
本発明に係る気液分離器は、気体と液体とを含む移動相を気体と液体に分離する気液分離器であって、移動相が導入される導入流路と、導入流路よりも下方において鉛直下方へ伸びるように設けられ、液を付着させて鉛直下方へ導くための外壁面を有する誘液柱と、導入流路の下流端から分岐した複数の流路であって、導入流路からの液体を前記誘液柱に付着させるように導入流路からの気体及び液体を吐出する吐出口を下端に有する複数の吐出流路と、前記吐出口よりも下方に設けられ前記吐出口から吐出された気体を遮って誘液柱から離れる方向へ導く風防であって、前記誘液柱を貫通させる貫通穴を有し、その貫通穴の内側と前記誘液柱との間に該誘液柱を伝って下方へ流れる液体を通過させる隙間を有する風防と、を備えたものである。
本発明の実施形態の超臨界流体装置は、ポンプと、背圧調整器と、本発明の実施形態の気液分離器と、を備え、上記ポンプによって液体と超臨界流体又は液化気体を含む移動相が送液され、上記背圧調整器を通過した移動相が上記気液分離器に導入されるものである。
本発明に係る気液分離器及び超臨界流体装置は、気体と液体を含む移動相を気体と液体に分離する際にクロスコンタミネーションやキャリーオーバーを発生させずに流体の線速度を抑制することができる。さらに、本発明に係る気液分離器は、複数の吐出流路の吐出口よりも下方に設けられ吐出口から吐出された気体を遮って誘液柱から離れる方向へ導く風防であって、誘液柱を貫通させる貫通穴を有し、その貫通穴の内側と誘液柱との間に該誘液柱を伝って下方へ流れる液体を通過させる隙間を有する風防を備えているので、誘液柱を伝って下方へ滴下される液体の流れが吐出口から下方へ吐出される気体によって乱されることが防止され、液体を周囲へ飛散させることなく所望の位置に滴下することができる。
風防を取り付けていない状態の気液分離器の一実施形態を示す斜視図である。 超臨界流体装置の一実施形態を説明するための概略的な構成図である。 カラムを通過した後のクロマトピークの一例を説明するための図である。 配管から吐出される気体と液体の流れの様子の説明図である。 直径3mm以下の比較的細い内径を持つ管を壁面に添わせて液体の回収実験を行った結果を示す図である。 内径が細い管、太い管の気液混合流体の流れの様子を説明するための図である。 風防を取り付けた状態の気液分離器の一例を示す斜視図である。 同実施例における液体及び気体の流れを説明するための概念図である。 同実施例の気液分離器の試作品の画像図である。 同試作品の誘液柱から滴下される液の状態を示す画像図である。 同試作品から風防を取り外したときの誘液柱から滴下される液の状態を示す画像図である。 気液分離器を備えたフラクションコレクタの一例を示す概略的な斜視図である。 気液分離器の流路分岐部材の構造の一例を説明するための概略的な分解斜視図である。 気液分離器の流路分岐部材の構造の他の例を説明するための概略的な分解斜視図である。 気液分離器の他の実施形態の構造を説明するための概略的な分解斜視図である。 気液分離器のさらに他の実施形態の構造を説明するための概略的な分解斜視図である。 図15に示された機構に基づいて実際に試作した気液分離器を示す画像である。 図17の気液分離器を用いて気液分離後の液体回収率を評価した結果を示す図である。 配管の材質に起因する液体回収率の違いを評価した結果を示す図である。 超臨界流体装置の他の実施形態を説明するための概略的な構成図である。 超臨界流体装置のシステム準備動作を説明するためのフローチャートである。 移動相の冷却の効果を検証した実験結果を示す図である。 気液分離器の直前にオリフィスを設置したときと配置しなかったときの液体回収率の温度依存性を評価した結果を示す図である。 オリフィスを有する冷却器の一例を説明するための概略的な断面図である。
本発明の実施形態の気液分離器は、導入流路を複数の吐出流路に分岐して流れ断面積を大きくしている。これにより、本発明の実施形態の気液分離器は、気体と液体を含む移動相を気体と液体に分離する際にクロスコンタミネーションやキャリーオーバーを発生させずに流体の線速度を抑制することができる。
本発明の実施形態の気液分離器に導入される気体と液体とを含む移動相には、液体と超臨界流体又は液化気体を含む流体の超臨界流体又は液化気体の一部又は全部が気化した気液混合流体が含まれる。
ところで、例えば特許文献4,6,7に開示されているように気液分離器として内径拡大管が用いられる場合、濡れの問題や飛散の問題を考慮した内径拡大管の最適内径は移動相の流量に依存する。したがって、移動相の流量に応じて内径拡大管の内径を変更する必要があるという問題があった。また、1種類の内径を採用した場合には対応流量に対するダイナミックレンジが小さく、流量を変更した際にサンプル回収率が悪化するという問題があった。
本発明の実施形態の気液分離器は、導入流路を複数の吐出流路に分岐して流れ断面積を大きくしているので、対応流量に関するダイナミックレンジを小さくすることなく、線速度を抑制することができる。本発明の実施形態の気液分離器は、内径拡大管と比較して、液体の回収率を高く保持できる対応流量レンジが広い。
本発明の実施形態の気液分離器の好ましい一実施形態としては、風防の貫通穴周縁部に下方へいくにしたがって広がるように傾斜した側面を有するものが挙げられる。これにより、吐出口から吐出された気体を誘液柱から離れる方向へ逃がすことができ、誘液流から滴下される液体の流れが下方へ噴出する気体の流れによって乱されることを防止できる。
誘液柱としては、円柱形状又は円錐形状のものが挙げられるが、その場合の風防の貫通穴の平面形状は円形であることが好ましい。そうすれば、風防の貫通穴の内周と誘液柱の外周面との間の隙間量を均一に狭くすることができ、吐出口から吐出される気体の整流効果を得ることができる。
また、本発明の実施形態の気液分離器において、例えば、上記液体捕集部材の内部に上記吐出流路の少なくとも一部分が形成されており、上記液体捕集部材の上記外壁面に上記吐出流路の上記吐出口が形成されているようにしてもよい。
本発明の実施形態の気液分離器において、例えば、上記吐出流路の内径は2mm以下であるようにしてもよい。ただし、上記吐出流路の内径は2mm以下より大きくてもよい。
本発明の実施形態の超臨界流体装置において、例えば、上記背圧調整器と上記気液分離器の間に冷却器が接続されているようにしてもよい。移動相が冷却器によって冷却された移動相が気液分離器に導入されることにより、移動相が気液分離された後の液体の蒸発が抑制されて回収率が向上する。ただし、本発明の実施形態の超臨界流体装置は上記冷却器を備えていなくてもよい。
上記冷却器は例えばオリフィスを有している。オリフィスは流路の内径を絞ることにより、移動相を冷却する。上記冷却器としてオリフィスが用いられることにより、簡単な構造で移動相を冷却することができる。
本発明の実施形態の超臨界流体装置は、例えば、上記ポンプと上記背圧調整器の間に接続された試料注入器と、上記試料注入器と上記背圧調整器の間に接続されたカラムと、上記カラムと上記背圧調整器の間に接続された検出器と、をさらに備えているようにしてもよい。本発明の実施形態の気液分離器はクロスコンタミネーションやキャリーオーバーを防止できるので、この実施形態の超臨界流体装置はクロスコンタミネーションを防止でき、近接した多数のフラクションを分取可能となる。
さらに、本発明の実施形態の超臨界流体装置は、例えば、上記気液分離器に導入される直前の移動相の温度、上記冷却器の温度又は上記気液分離器の温度を検出するための温度検出器と、上記温度検出器が検出した温度をモニタリングした結果が規定値以下になったことを判断して上記試料注入器を動作させる制御部と、を備えているようにしてもよい。ここで、気液分離器に導入される直前の移動相の温度とは、冷却器と気液分離器の間における移動相の温度を意味する。
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、図2を参照して、超臨界流体装置の一実施例について説明する。
この実施例の超臨界流体装置は、気液分離器を備えた超臨界流体クロマトグラフ装置(SFC)である。SFCでは、例えば、比較的低温度、低圧力で超臨界状態が得られるCO2が移動相として用いられる。また、移動相には、測定試料の溶解性を高めるためにモディファイア(主にはMeOH)が混合される。このため、CO2ボンベ101から得られる液体CO2とモディファイア102がCO2ポンプ103とモディファイアポンプ104にてそれぞれ送液され、ミキサー105にて混合される。
オートサンプラ106(試料注入器)によって試料を注入された流体はカラムオーブン107内に設置されたカラム108を通る。試料は時間的に分離される。時間的に分離された試料は例えば紫外線(UV:ultraviolet)検出器109によって検出さる。
ポンプ以降の流路の圧力は圧力制御バルブ110(背圧調整器、BPR)によって10MPa程度以上に一定に保たれる。移動相は圧力制御バルブ110通過後に大気圧に減圧される。その後、UV検出器109によって検出したタイミングを基準にして、フラクションコレクタ111により、所望の成分がそれぞれ採集瓶に回収される。
図3は、カラムを通過した後のクロマトピークの一例を説明するための図である。図3において、縦軸はピーク強度(任意単位)、横軸は時間を示す。
図3に示されたものが分取対象であるクロマトピーク群である。これらのピークの一つ一つはフラクションと呼ばれる。多数のフラクション(ピーク)が例えば秒単位で近接した状態で分離している。SFCでは、例えばこれらのフラクションすべてを取得する必要がある。
フラクションコレクタ111内の配管出口からは気化により体積が400倍に膨張したCO2が勢い良く噴出する。一般には、サンプルを含んだMeOHがスプレー現象により飛散し、サンプルの回収率が低下する。この実施形態のSFCは、サンプルの回収率を向上させるために、圧力制御バルブ110とフラクションコレクタ111の間の流路又はフラクションコレクタ111内に、図1に示された気液分離器1を備えている。
図1を用いて、気液分離器1を説明する。なお、図1では図示されていないが、この気液分離器1は後述の風防9を取り付けて使用するものであり、風防9を含めたもの全体を気液分離器1と称する。
気液分離器1は、例えば移動相(CO2+モディファイア)を気体と液体に分離するものである。気液分離器1は、入口管2(導入流路)、流路分岐部材3、複数の吐出流路4及び誘液柱5(液体捕集部材)を備えている。入口管2には、例えば気体状態のCO2とモディファイア(液体)を含む移動相が導入される。複数の吐出流路4は流路分岐部材3を介して入口管2に接続されている。
吐出流路4の吐出口4aは誘液柱5の外壁面に接して配置されている。誘液注5は円柱形状である。吐出流路4の吐出口4aから吐出された液体は誘液注5の外壁面に付着して先端部5aへ移動する。
気液分離器1は、入口管2から流入する移動相を、流路分岐部材3を通過させることで複数の吐出流路4に分岐する。吐出流路4の内径は比較的細く、例えば2mm以下である。気液分離器1は、吐出流路4の吐出口4aから吐出される液体であるモディファイアを誘液柱5の外壁面に伝わせて誘液柱5の先端部5aから滴下する。移動相の線速度が十分に遅いと、図1に示されるように棒状又は平面状の部材の表面に液体を沿わせることで、ある流量までは飛散なく液体のみを滴下することが可能である。
図4は、配管から吐出される気体と液体の流れの様子の説明図である。
配管201から気液混合流体が吐出する際、液体はコアンダ効果と呼ばれる現象により配管201に接した壁202の壁面に絡めとられ、壁面を伝って流れる。他方、気体は壁面とは無関係に自由空間に放出される。これにより、気体と液体の分離が実行される。
図4に示されたような系であっても、流体の線速度が非常に大きいと、スプレーと同様に液体は気体に乗じて飛散してしまう。したがって、流体の線速度を十分に低下させる必要がある。
流体の線速度を低下させるためには、流体が流れる断面積を増大させることが有効である。しかし、管内径を拡大すると、前述の特許文献4の説明で述べたように旋回流によるクロスコンタミネーションの問題が発生する。
そこで、図1に示された気液分離器1では、旋回流を発生させない状態で流れ断面積を拡大するために、比較的細い内径を持つ複数の配管4(吐出流路)に分岐する。配管4の吐出口4aが誘液柱5の外壁を伝って流れることもこの実施形態の有益な特徴である。
配管吐出口を壁面に沿わせて気液分離を行う場合、体積が400倍にもなる気体CO2を液体の流れに乱れの影響を与えないように十分広い空間を用いて逃がしてやる必要があり、気液分離チャンバは十分に大きくする必要がある。
しかし、特許文献1や特許文献4のようにチャンバの内壁に液体を伝わせる場合、チャンバの大きさはそのまま流路のデッドボリュームとなり、ピークのブロード化によるクロスコンタミネーションの問題が発生する。
そこで、図1に示された気液分離器1では、液体を誘液柱5の外壁を伝わせるようにした。これにより、気液分離器1を覆うように配置されるチャンバを十分に大きくとっても、流れのデッドボリュームとはならない。
以上で述べた気液分離の原理の要点について再度まとめる。
(1)コアンダ効果に基づき、配管出口を壁面に沿わせると液体のみが壁面を流れ、気液分離される。
(2)しかし流体線速度が大きいと、液体は気体に乗じてスプレーされ、飛散消失してしまう。
(3)流体線速度を抑制するためには流れ断面積を増大させることが有効である。
(4)しかし流れ断面積を増大させるために管内径を拡大すると旋回流によりクロスコンタミネーションの問題が生じる。
(5)旋回流を発生させないで流れ断面積を拡大する目的で、比較的細い内径を持つ複数の配管に分岐する。
(6)分岐された複数の配管の吐出口は柱の外壁に沿わせることで実質的な流路デッドボリュームを小さくする。
次に、スプレー現象による液体の飛散を抑制可能な線速度を実験により見積もった結果について説明する。ここでは、ある流量に対してどの程度の内径を持つ配管を用い、何本に分岐すれば回収率が低下しない線速度に抑制できるかを検証した。
図5は、直径3mm以下の比較的細い内径を持つ管を壁面に添わせて液体の回収実験を行った結果を示す図である。図5のグラフにおいて、横軸は流量を示し、縦軸はEtOH回収率を示している。
それぞれの管内径(φ1mm、φ1.5mm、φ2mm、φ3mm)に対して、ある閾値流量までは高い回収率を示した。そして、ある閾値流量を超過すると、流量の増大に応じて回収率が低下する。
例えばφ1.5mmでは、流量10ml/minまでは飛散なく液体を回収可能(線速度が十分に遅い)である。しかし、それ以上の流量に対しては回収率が低下する。つまり、吐出流路が1本では、分取SFCで必要な10〜150ml/minといった大流量領域では高い回収率は期待できない。そこで、移動相が導入される導入流路を複数本の吐出流路に分岐し、吐出流路1本当たりの流量を減らす(線速度を遅くする)ことによって、大流量に対応する。
ここで、細い内径の複数の配管に分岐することによるもう一つのメリットについて説明する。細い内径を持つ配管には、低流量側に関して利点がある。例えば0.1ml/minの低流量であっても、気液混合流体は配管の内面全てを濡らしながら管内を通過する。
図6は、内径が細い管、太い管の気液混合流体の流れの様子を説明するための図である。
図6(a)に示した内径が比較的細い管301は、液体の表面張力により配管内壁全てを濡らすように液体303が流れ、気体302は気泡となって流れる。
図6(b),(c)に示した管311は内径が比較的太い管である。(b)に示すように流量が大きい場合には、粘度の低い気体312は管311の中心部を流れ、液体313は管311の内壁全てを濡らすように流れる。しかし、(c)に示すように流量が小さい場合には、液体313は液滴化し、管311の内壁の一部しか流れない。
このため、特許文献1や特許文献4のように内径が比較的太い管を用いた場合には、流量が小さい場合にはサンプルが気液分離器内壁に付着してコンタミネーションの原因となる。また、サンプルを変えた際に、残留している前回のサンプルが溶出してくる現象、いわゆるキャリーオーバーの問題も発生する。
以上で説明したように、直径1.5mmの内径を持つ管のダイナミックレンジを0.1〜10ml/minとすれば、これを例えば15本使用することによりダイナミックレンジが1.5〜150ml/minの気液分離器が実現される。
次に、図7を用いて、上記の気液分離器1の風防9について説明する。
この実施例における風防9は流路分岐部材3の上端から誘液柱5の途中までの周囲を囲う円筒状の部材であり、その上端が流路分岐部材3の上方に取り付けられた支柱9aによって支持されている。風防9の底面9bは閉じられており、配管4の吐出口4aから吐出された気体の下方への流れを遮蔽している。
風防9の底面9bの中央部に中心に向かって収束するように上方へ傾斜した、先端のない円錐形状の導風部9dが設けられており、その導風部9dの中心に誘液柱5を貫通させる円形の貫通穴9cが設けられている。貫通穴9cの内周と誘液柱5の外周面との間には、誘液柱5を伝って下方へ流れる液を通過させるための隙間が設けられている。貫通穴9cは、誘液柱5を伝う液を通過させながら吐出口4aから吐出された気体をほとんど通過させないような大きさで設けられている。吐出口4aから下方へ吐出された気体は、導風部9dの傾斜した側面に沿って誘液柱5から離れる方向に導かれる。風防9の上方は開口しており、底面9bによって下方への流れが遮られた気体は風防9の上方から放出される。
かかる構造により、図8に示されているように、吐出口4aから下方へ吐出された気体のほとんどは風防9の底面に遮られて上方へ導かれるため、誘液柱5を伝って下方へ流れる液体の流れが吐出口4aから吐出された気体の流れによって乱されることが防止される。吐出口4aから吐出された気体のうち僅かな量の気体は、貫通穴9cの内周と誘液柱5の外周面との間を通過して下方へ流れるが、導風部9dの整流効果によってその気体が誘液柱5を伝って下方へ流れる液体の流れを乱すことはない。
なお、実験の結果から、貫通穴9cの内周面と誘液柱5の外周面との間の隙間は小さければ小さいほどよいが、この隙間の大きさを1mm以下にすると誘液柱を伝う液が導風部9dに接してしまい、1.5mm程度にすれば良好な効果が得られることがわかった。
図9は風防9を取り付けた気液分離器の試作品であるが、この試作品を用いて実際に気液分離を行なった結果、図10に示されているように、風防9を取り付けた場合には、誘液柱5から滴下する液体の流れに乱れが見られないのに比べ、風防9を取り付けない場合には、図11に示されているように、誘液柱5から滴下する液体の流れに乱れが生じていることがわかる。
以上のことから、風防9を取り付けることで、誘液柱5から滴下する液体の流れが乱れることが抑制され、誘液柱5の下方に配置される回収容器の外側への液体の飛散を防止することができる。
図12は、実施形態の気液分離器を備えたフラクションコレクタの一例を説明するための概略的な斜視図である。
フラクションコレクタ401は、気液分離器402と、X−Yステージ403と、捕集瓶保持部404を備えている。
気液分離器402は、入口管402a(導入流路)、複数の吐出流路402b、誘液ブロック及び誘液柱402c(液体捕集部材)及びカバー402dを備えている。入口管402aには移動相が導入される。複数の吐出流路402bは入口管402aに接続されている。吐出流路402bの吐出口4aは誘液ブロック及び誘液柱402cの外壁面に接して配置されている。カバー402dは吐出流路402bと誘液ブロック及び誘液柱402cの周囲に配置されている。
X−Yステージ403は吐出ヘッド403aをX−Y方向に移動させる。吐出ヘッド403aには気液分離器402と移送管405が接続されている。捕集瓶保持部404に複数の捕集瓶406が配列されている。フラクションコレクタ401は、例えば図1に示されたSFCにおいてフラクションコレクタ111として用いられる。
移送管405から吐出ヘッド403aを介して気液分離器402に送られる移動相は気液分離器402で気液分離される。分離された液体は、気液分離器402の誘液ブロック及び誘液柱402cから捕集瓶406に滴下される。実施形態の気液分離器は例えば数cmオーダーの小さなサイズで実現可能である。したがって、気液分離器402をフラクションコレクタ401の吐出ヘッド403aに設置することが可能である。
図13は、気液分離器の流路分岐部材の構造の一例を説明するための概略的な分解斜視図である。
流路分岐部材3は、例えば、流体導入部材31とシール部材32と分岐部材33を備えている。
流体導入部材31は中央に直径1mm程度の貫通穴を備えている。シール部材32は、流体導入部材31と同様に中央に直径1mm程度の貫通穴を備えている。シール部材32の厚みは例えば0.2mm程度である。分岐部材33は、天面の中央に設けられた直径1mm程度の1つの穴と、底面に設けられた複数の穴を備えている。天面の穴と底面の穴は連通している。流体導入部材31とシール部材32と分岐部材33はネジで締結されている。
流体導入部材31と分岐部材33の材質は、耐薬性とシール性の観点から例えばSUS316やPEEKなどが好ましい。シール部材32の材質は、流体導入部材31や分岐部材33の材質よりもやわらかいもの、例えば超高分子ポリエチレンやカルレッツ(登録商標)などが好ましい。
図14は、気液分離器の流路分岐部材の構造の他の例を説明するための概略的な分解斜視図である。
図14に示された流路分岐部材3は、図13に示された流路分岐部材3の分岐部材33に替えて分岐部材34を備えている。
分岐部材34は、分岐部材33のように穴が斜めに開けられているのではなく、平面方向に形成された溝34aと、その溝の端部に設けられた貫通穴によって形成された分岐流路を備えている。分岐部材34は、分岐部材33と比較してデッドボリュームが小さい。また、分岐部材34は吐出流路の配管を鉛直に接続することが可能である。分岐部材34は、接続される吐出流路の配管の長さを短くでき、さらにデッドボリュームを小さくできる。一方で、分岐部材34の溝34aが均一な深さで形成されて溝34aの底面が水平になっている場合には、特に流量が非常に小さいときに、滞留によるクロマトピークの拡大やクロスコンタミネーションが懸念される。
図15は、気液分離器の他の実施形態の構造を説明するための概略的な分解斜視図である。
気液分離器11は、導入流路(図示は省略)、流路分岐部材3、複数の吐出流路41及び誘液柱5を備えている。導入流路、流路分岐部材3及び誘液柱5の構造は、図1に示された気液分離器11のものと同じである。なお、図15において流路分岐部材3は一体的に図示されているが、例えば、具体的な構造は図13又は図14に示された構造である。
気液分離器11において、流路分岐部材3に複数の吐出流路41の配管が接続されている。吐出流路41の吐出口41aは誘液柱5の外壁に接している。吐出流路41の最適な本数は吐出流路41の内径に依存しては決定される。例えば、図5の実験結果に基づいて、内径が1.5mmの吐出流路41が15本接続される。図15には図示されていないが、流路分岐部材3と複数の吐出流路41の接続は、例えば、一般的な配管締結に用いられるフェルールとメイルナットによりなされる。
吐出流路41の吐出口41aの先端から誘液柱5の先端部5aまでの長さが短すぎると液体が十分に気体流と分離されない。そこで、吐出口41aの先端から誘液柱5の先端部5aまでの長さは50mm以上の長さが確保されていることが好ましい。
また、吐出流路41の吐出口41aの先端について、隣り合う吐出流路41を近接させすぎると、その隙間を毛管現象によって吐出液体が上側に遡って流れ、クロスコンタミネーションが発生する虞がある。これを回避するために、隣り合う吐出口41aの隙間は2mm程度以上の間隔が確保されることが好ましい。
図16は、気液分離器のさらに他の実施形態の構造を説明するための概略的な分解斜視図である。
気液分離器12は、導入流路(図示は省略)、流路分岐部材3及び液体捕集部材51を備えている。導入流路及び流路分岐部材3の構造は、図14に示された気液分離器11のものと同じである。
液体捕集部材51は例えば円錐形状のブロックで形成されている。液体捕集部材51の内部に貫通穴からなる吐出流路51aが形成されている。吐出流路51aの吐出口51bは液体捕集部材51の側壁面(外壁面)に配置されている。液体捕集部材51の側壁面には、吐出口51bと先端部51dの間の位置に溝51cが形成されている。吐出流路51aの吐出口51bから吐出された液体は、液体捕集部材51の側壁面に付着して先端部51d側へ移動し、先端部51dから滴下する。なお、溝51cは必ずしも形成されていなくてもよい。
液体捕集部材51を備えた気液分離器12は、図15に示された気液分離器11と比較して部品点数を大幅に削減できる。また、気液分離器12では、上述の隣り合う吐出口の隙間を考慮する必要がなくなる。したがって、隣り合う吐出口51bの間隔を小さくすることができ、液体捕集部材51の外径、ひいては気液分離器12をコンパクトに製作することが可能である。
また、溝51cは液体の流れの迷流を防止する。溝51cの配置は液体の流量が小さい場合に特に有益である。
なお、流路分岐部材3と液体捕集部材51の間をシールするために、図示は省略されているが、超高分子ポリエチレンやカルレッツ(登録商標)のようなシートが流路分岐部材3と液体捕集部材51の間に挟まれることが好ましい。
図17は、図15に示された機構に基づいて実際に試作した気液分離器を示す画像である。図18は、図17の気液分離器を用いて気液分離後の液体回収率を評価した結果を示す図である。図18において、縦軸は液体回収率を示し、横軸は導入流路における移動相の流量を示している。導入流路及び分岐流路の配管の内径は直径1.5mmである。分岐流路の各配管の吐出口は10°に切断されている。分岐本数を4本、6本、8本とした場合の流量10〜150ml/minにおける液体回収率を評価した。
6本以上の分岐本数により、150ml/minの大流量においても気体と液体が分離され、95%以上の液体回収率が得られた。また、流量40ml/min以下では液体回収率が低下している様子が見られる。これは使用した配管の内面粗さに起因し、気液分離器の本質的な特性ではない。
図19は、配管の材質に起因する液体回収率の違いを評価した結果を示す図である。図19において、縦軸は回収率を示し、横軸は材質を示している。各材質の配管について、配管は1本、流量は2.5ml/min(8本では20ml/minに相当する)の条件で評価を行った。
図19で最も左側に示すSUS(Ra3.2)と示すものは、図18の実験で使用した配管であり、80%と低い回収率を示している。最も右側に示したテフロン(登録商標)チューブを用いた実験では100%の回収率が得られた。
一般的なSUS管とテフロン(登録商標)チューブの違いは、濡れ性と表面粗さである。テフロン(登録商標)は撥水性が良く濡れ性が悪い。SUSは濡れ性が良い。また、SUSは表面粗さが粗く、Ra3.2程度である。テフロン(登録商標)の引き抜きチューブはRa0.02程度である。
濡れ性がよい3M社製コーティング剤ノベックをSUS管内面に塗布した実験結果、及び濡れ性がよい塩化ビニルチューブを用いた実験結果では、高い回収率を示した。このことから、SUSの濡れ性がよいこと自体は問題なく、低流量で回収率が低下する原因ではないと考えられる。また、同じSUS管の内面を研磨し、Raを0.4、0.1、0.05と平滑度を高めた結果、有意に液体回収率が向上した。流体が低速である場合、流路内面の粗い構造により液滴が飛び散り、CO2とともに飛散して消失しているものと考えられる。
以上の結果より、図18において低流量域で液体回収率が低下した原因は管の内面平滑度であると考えられる。また、分岐後の流路内面をRa0.05以下程度の平滑度にすれば、低流量域においても高い液体回収率が得られるものと考えられる。
図18の実験結果は、気液分離器直前の移動相の温度を10℃に保温して得られた結果である。超臨界流体装置では、カラム又は抽出容器を通過する流体を超臨界状態にするために通常40℃程度以上に移動相が加熱される。
しかし、移動相の温度が高いと、モディファイアの蒸発による消失により、回収率が低下する。そこで、気液分離器に導入される移動相を低温にすることが好ましい。
図20は、超臨界流体装置の他の実施形態を説明するための概略的な構成図である。
この実施形態の超臨界流体装置は、図2に示された構成と比較して、冷却器112と温度検出器113とシステムコントローラ120(制御部)とモニタ121が追加されたものである。温度検出器113は冷却器112の温度を検出する。
システムコントローラ120はSFCの動作には必須ではないが、各種自動操作を行う上で、通常付属されている。システムコントローラ120が行うシステムの準備について図21のフローチャートを用いて説明する。ここで言うシステムの準備とは、オートサンプラ106が分取されるサンプルを注入してよい状態となるまでの動作のことである。
図21は、超臨界流体装置のシステム準備動作を説明するためのフローチャートである。
システムコントローラ120は、まずCO2ポンプ103の冷却、カラムオーブン107の加熱、冷却器112の冷却を行う(ステップS1)。
システムコントローラ120は、図示しない温度検出器を用いてCO2ポンプ103の温度が十分に低下したかどうかを判断する(ステップS2)。
システムコントローラ120は、CO2ポンプ103の温度が規定値(例えば5℃)以下になった後、CO2ポンプ103及びモディファイアポンプ104を動作させてCO2とモディファイアの送液を開始する(ステップS3)。
システムコントローラ120は、温度検出器113を用いて冷却器112の温度をモニタリングし、温度検出器113が検出した温度が規定値(例えば5℃)を下回ったか否かを判断する(ステップS4)。
システムコントローラ120は、冷却器112の温度が規定値を下回ったと判断したとき、オートサンプラ106の試料注入動作の開始する(ステップS5)。ステップS5で、システムコントローラ120は、インジェクション動作の開始の他、モニタ121に分取操作が可能な状態となった表示させてもよいし、システムコントローラ120や冷却器112、フラクションコレクタ111の表示インジケータを点灯させてもよいし、これらの動作の組み合わせを行ってもよい。
図21の超臨界流体装置において、フラクションコレクタ111内の気液分離器の温度を検出する温度検出器が設けられていてもよい。また、冷却器112とフラクションコレクタ111の間の流路に気液分離器が設けられ、その気液分離器の温度を検出する温度検出器が設けられていてもよい。また、気液分離器に導入される直前の移動相の温度を検出する温度検出器が設けられていてもよい。そのような温度検出器は、例えば冷却器112と気液分離器の間の流路の温度を検出する位置に配置される。システムコントローラ120はこれらの温度検出器が検出した温度をモニタリングした結果が規定値以下になったことを判断してオートサンプラ106を動作させる。
図22は、移動相の冷却の効果を検証した実験結果を示す図である。図22において、縦軸は液体回収率を示し、横軸は移動相の温度を示す。この実験結果は、図17に示した分岐配管系ではなく、流路断面積を簡易的に拡大する内径6mm、長さ15cmのチューブを接続して実施した結果である。ただし、温度と液体回収率の関係を示す結果としては差支えない。
モディファイアであるメタノールを20%含むCO2の流量を10ml/min、20ml/min、50ml/min、100ml/min、150ml/minにし、各流量において温度を10℃〜60℃に設定したときのメタノールの回収率を求めた。
冷却器112の設定温度が10℃のときは全ての流量条件において100%のメタノール回収率が得られた。設定温度の上昇に伴って回収率が低下した。流量が大きい場合は、流量が小さい場合に比べて回収率の低下する割合が小さく、冷却器112の設定温度から受ける影響は小さいことがわかった。
CO2の流量が大きい場合はCO2の気化に伴う気化熱と断熱膨張によって流体が積極的に冷却される。したがって、冷却器を用いた場合と同様にメタノールの蒸発が十分に抑制され、回収率が向上したと考えられる。
以上の結果から、CO2の流量が比較的大きい場合(例えば50ml/min〜150ml/min)には、CO2の気化熱と断熱膨張による冷却効果によってモディファイアの蒸発を抑制することができ、試料の回収率の向上が図れることが確認された。
その一方で、CO2の流量が比較的小さい場合(例えば5ml/min〜50ml/min)では、冷却器112においてペルチェ素子や低温高温水槽などを用いた強制冷却が有効となる。強制冷却の手段以外にも、オリフィスなどを利用して短い距離で瞬時にCO2を気化させれば、比較的大きな冷却効果が得られ、強制冷却に替わる冷却器とすることができる。
図23は、気液分離器の直前にオリフィスを設置したときと配置しなかったときの液体回収率の温度依存性を評価した結果を示す図である。図23において、縦軸は液体回収率を示し、横軸は温度を示す。
メタノールの流量を1ml/min、CO2の流量を4ml/minとし、流出するメタノールの回収率を評価した。冷却器112とフラクションコレクタ111の間に、何も設置しなかった場合と、内径50μm(マイクロメートル)の開口径を持つオリフィスを設けた場合の、液体回収率の冷却器112の設定温度依存性を評価した。
オリフィスなしの場合では、温度が20℃のときのメタノール回収率は63%であったが、設定温度が高くなるにしたがってメタノール回収率は徐々に低下し、設定温度が50℃のときには10%の回収率しか得られなかった。その一方、オリフィスありの場合では、回収率が温度に依存せず90%一定であった。かかる結果から、流体の温度を強制冷却せずともオリフィスを用いて瞬時にCO2を気化させることによる冷却効果を利用することによってモディファイアの回収率が向上することが確認された。
オリフィスを用いた冷却器は、例えば図20における冷却器112の位置に配置される。圧力制御バルブ110からの配管とフラクションコレクタ111へ続く配管との接続部にオリフィスを冷却器として設けるとよい。
図24は、オリフィスを有する冷却器の一例を説明するための概略的な断面図である。
冷却器61はオリフィス62aを有する継手62を備えている。入口管63と出口管64は継手62を介して接続されている。入口管63はメイルナット65及びフェルール66によって継手62に接続されている。出口管64はメイルナット67及びフェルール68によって継手62に接続されている。
継手62内において入口管63の端部と出口管64の端部の間にオリフィス62aが配置されている。オリフィス62aの内径は入口管63の内径及び出口管64の内径よりも小さい。オリフィス62aによって移動相の流路の内径が絞られている。
入口管63の継手62とは反対側の端部は例えば背圧調整器に接続される。出口管64の継手62とは反対側の端部は例えば気液分離器に接続される。
冷却器61に移動相(例えば超臨界CO2+モディファイア)が流されると、オリフィス62aによって短い距離で瞬時にCO2が気化され、気体のCO2を含む移動相(気液混合流体)が冷却される。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態における構成、配置、数値等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
1,10,11,12,402 気液分離器
2,402a 入口管(導入流路)
4,41,51a,402b 吐出流路
4a,41a,51b 吐出口
5,402c 誘液柱(液体捕集部材)
51 液体捕集部材
61,112 冷却器
62a オリフィス
103,104 ポンプ
106 オートサンプラ(試料注入器)
108 カラム
109 検出器
110 圧力制御バルブ(背圧調整器)
112 冷却器
113 温度検出器
120 制御部

Claims (8)

  1. 気体と液体とを含む移動相を気体と液体に分離する気液分離器であって、
    移動相が導入される導入流路と、
    前記導入流路よりも下方において鉛直下方へ伸びるように設けられ、液を付着させて鉛直下方へ導くための外壁面を有する誘液柱と、
    前記導入流路の下流端から分岐した複数の流路であって、前記導入流路からの液体を前記誘液柱に付着させるように前記導入流路からの気体及び液体を吐出する吐出口を下端に有する複数の吐出流路と、
    前記吐出口よりも下方に設けられ前記吐出口から吐出された気体を遮って前記誘液柱から離れる方向へ導く風防であって、前記誘液柱を貫通させる貫通穴を有し、その貫通穴の内側と前記誘液柱との間に該誘液柱を伝って下方へ流れる液体を通過させる隙間を有する風防と、を備えた気液分離器。
  2. 前記風防の前記貫通穴周縁部に下方へいくにしたがって広がるように傾斜した側面を有する請求項1に記載の気液分離器。
  3. 前記誘液柱は円柱形状又は円錐形状であり、前記風防の前記貫通穴の平面形状は円形である請求項1又は2に記載の気液分離器。
  4. ポンプと、背圧調整器と、請求項1から3のいずれか一項に記載の気液分離器と、を備え、
    前記ポンプによって液体と超臨界流体又は液化気体を含む移動相が送液され、前記背圧調整器を通過した移動相が前記気液分離器に導入される超臨界流体装置。
  5. 前記背圧調整器と前記気液分離器の間に冷却器が接続されている請求項4に記載の超臨界流体装置。
  6. 前記冷却器はオリフィスを有する請求項5に記載の超臨界流体装置。
  7. 前記ポンプと前記背圧調整器の間に接続された試料注入器と、
    前記試料注入器と前記背圧調整器の間に接続されたカラムと、
    前記カラムと前記背圧調整器の間に接続された検出器と、をさらに備えた請求項5又は6に記載の超臨界流体装置。
  8. 前記気液分離器に導入される直前の移動相の温度、前記冷却器の温度又は前記気液分離器の温度を検出するための温度検出器と、
    前記温度検出器が検出した温度をモニタリングした結果が規定値以下になったことを判断して前記試料注入器を動作させる制御部と、をさらに備えている請求項7に記載の超臨界流体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024053515A1 (ja) * 2022-09-06 2024-03-14 日本分光株式会社 気液分離器及びこれを用いた試料の回収方法

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