JP2017217941A - 鞍乗型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】チェーンを介して後輪に伝達される駆動力の変動や、路面から後輪に伝わる変動に起因して、後輪に発生する振動を減衰させる。【解決手段】後輪は、車軸と、ホイールハブと、複数の軸受と、環状部材と、スプロケットと、弾性部材と、減衰機構とを含む。ホイールハブには、車軸が挿入される。複数の軸受の各々は、ホイールハブの径方向でホイールハブと車軸との間に配置されている。環状部材は、ホイールハブの周方向で、ホイールハブに対して、相対回転可能に配置されている。スプロケットは、環状部材に結合され、チェーンが巻き掛けられている。弾性部材は、環状部材がホイールハブに対して相対回転するときに、弾性変形する。減衰機構は、環状部材がホイールハブに対して相対回転した位置を中心にして、環状部材をホイールハブに対して周方向に変位させる振動を減衰する。【選択図】図3

Description

本発明は、鞍乗型車両に関し、詳しくは、エンジンの駆動力がチェーンを介して後輪に伝達される鞍乗型車両に関する。
鞍乗型車両として、自動二輪車が知られている。自動二輪車では、エンジンの駆動力がチェーンを介して後輪に伝達される。これにより、自動二輪車が走行する。
自動二輪車は、様々な要因から影響を受けながら走行する。特に、レース用の自動二輪車は、車両の性能を最大限に発揮しながら、高速で走行するため、それらの要因が走行に与える影響が大きくなる。
自動二輪車の走行に影響を与える要因は、外部要因と、内部要因とに分類される。外部要因には、例えば、路面の状態や、路面とタイヤとの間に発生する摩擦力の変化、後輪の接地荷重の変化、走行時に受ける風等がある。内部要因には、例えば、後輪に伝達される駆動力の変動等がある。後輪に伝達される駆動力の変動には、例えば、ライダーによるスロットル操作に起因するものや、エンジンによって発生するトルクそのものの変動に起因するもの、エンジンから後輪までの駆動力の伝達経路に起因するもの、加速時及び減速時のシフトチェンジによって発生するショックに起因するもの等がある。これらがチェーン及びスプロケットを介してホイールに伝達されることにより、後輪に振動が発生する。また、外部要因により、変動がタイヤを介してホイールに及ぼされ、後輪に振動が発生することもある。加えて、これらの変動が互いに影響し合い、後輪に発生する振動を悪化させることもある。
特開2007−118684号公報には、チェーンを介して後輪に伝達される衝撃的な荷重を低減するための構造が提案されている。上記公報では、ホイールのハブに対して、ダンパハウジングが設けられている。ダンパハウジング内には、複数のダンパが配置されている。スプロケットが取り付けられた部材により、ダンパハウジングが覆われている。複数のダンパを介して、スプロケットの回転がホイールに伝達される。
特開2007−118684号公報
上記公報では、複数のダンパの各々がゴムで形成されている。そのため、チェーンを介して後輪に伝達される衝撃的な荷重を低減することはできる。しかしながら、チェーンを介して後輪に伝達される駆動力の変動によって発生する振動を減衰させるのに十分でない。また、路面から後輪に伝達される変動によって発生する振動を減衰させる点においても、十分でない。
本発明の目的は、チェーンを介して後輪に伝達される駆動力の変動や、路面から後輪に伝達される変動に起因して、後輪に発生する振動を減衰させることである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の実施の形態による鞍乗型車両は、エンジンと、後輪と、チェーンとを備える。後輪は、エンジンよりも後方に配置される。チェーンは、エンジンの駆動力を後輪に伝達する。後輪は、車軸と、ホイールハブと、複数の軸受と、環状部材と、スプロケットと、弾性部材と、減衰機構とを含む。車軸は、車両の左右方向に延びている。ホイールハブは、車両の左右方向に延びる筒形状を有する。ホイールハブには、車軸が挿入される。複数の軸受の各々は、ホイールハブの径方向で、ホイールハブと車軸との間に配置されている。複数の軸受の各々は、ホイールハブを車軸に対して回転可能に支持する。環状部材は、ホイールハブの軸方向での一端に取り付けられている。環状部材は、ホイールハブと同軸上に位置している。環状部材は、ホイールハブの周方向で、ホイールハブに対して、相対回転可能に配置されている。スプロケットは、環状部材に結合されている。スプロケットには、チェーンが巻き掛けられている。弾性部材は、環状部材がホイールハブに対して相対回転するときに、前記環状部材の前記ホイールハブに対する相対回転量に応じて弾性変形する。環状部材がホイールハブに対して相対回転するのは、駆動力がスプロケットを介して環状部材に伝達されるときである。減衰機構は、環状部材がホイールハブに対して相対回転した状態で環状部材及びホイールハブの一方に発生する振動を減衰する。減衰機構が減衰する振動は、環状部材がホイールハブに対して相対回転した位置を中心にして、環状部材及びホイールハブの一方を他方に対して周方向に回転させる振動である。
上記鞍乗型車両においては、チェーンを介して後輪に伝達される駆動力の変動や、路面から後輪に伝わる変動に起因して、後輪に発生する振動を減衰させることができる。
本発明の実施の形態による自動二輪車を示す左側面図である。 図1に示す自動二輪車が備える後輪を示す斜視図である。 図1に示す自動二輪車が備える後輪の分解斜視図である。 図1に示す自動二輪車が備える後輪の断面図である。 図4の一部を拡大して示す断面図である。 ホイールハブが有する環状部を拡大して示す断面図である。 ホイールハブが有する環状部を軸方向から見た端面図である。 環状部材を拡大して示す断面図である。 環状部材を軸方向から見た端面図である。 図5の一部を拡大して示す断面図である。 自動二輪車の走行時に後輪に伝達される駆動力の大きさを示すグラフである。 減衰機構の応用例を示す概念図である。 弾性部材の応用例を示す説明図である。 弾性部材の他の応用例を示す説明図である。 弾性部材のさらに別の応用例を示す説明図である。
本発明の実施の形態による鞍乗型車両は、エンジンと、後輪と、チェーンとを備える。後輪は、エンジンよりも後方に配置される。チェーンは、エンジンの駆動力を後輪に伝達する。後輪は、車軸と、ホイールハブと、複数の軸受と、環状部材と、スプロケットと、弾性部材と、減衰機構とを含む。車軸は、車両の左右方向に延びている。ホイールハブは、車両の左右方向に延びる筒形状を有する。ホイールハブには、車軸が挿入される。複数の軸受の各々は、ホイールハブの径方向で、ホイールハブと車軸との間に配置されている。複数の軸受の各々は、ホイールハブを車軸に対して回転可能に支持する。環状部材は、ホイールハブの軸方向での一端に取り付けられている。環状部材は、ホイールハブと同軸上に位置している。環状部材は、ホイールハブの周方向で、ホイールハブに対して、相対回転可能に配置されている。スプロケットは、環状部材に結合されている。スプロケットには、チェーンが巻き掛けられている。弾性部材は、環状部材がホイールハブに対して相対回転するときに、前記環状部材の前記ホイールハブに対する相対回転量に応じて弾性変形する。環状部材がホイールハブに対して相対回転するのは、駆動力がスプロケットを介して環状部材に伝達されるときである。減衰機構は、環状部材がホイールハブに対して相対回転した状態で環状部材及びホイールハブの一方に発生する振動を減衰する。減衰機構が減衰する振動は、環状部材がホイールハブに対して相対回転した位置を中心にして、環状部材及びホイールハブの一方を他方に対して周方向に回転させる振動である。
上記鞍乗型車両においては、チェーンを介して伝達されるエンジンの駆動力により、スプロケットが回転する。スプロケットは、環状部材に結合されている。そのため、スプロケットの回転に伴って、環状部材が回転する。環状部材は、ホイールハブに対して、相対回転可能に配置されている。そのため、スプロケットが回転し始めると、環状部材は、ホイールハブに対して、相対回転する。このとき、弾性部材は、弾性変形する。これにより、環状部材がホイールハブに対して相対回転するときの衝撃を低減することができる。
環状部材のホイールハブに対する相対回転は、弾性部材により、規制される。そのため、環状部材は、弾性部材により、ホイールハブに対して相対回転した位置に保持される。つまり、弾性部材を弾性変形させる力と、当該弾性変形によって発生する付勢力とが、釣り合う。この状態で、環状部材の回転が、弾性部材を介して、ホイールハブに伝達される。これにより、環状部材及びホイールハブは、釣り合いの位置を保持しつつ、回転する。その結果、鞍乗型車両が走行する。
鞍乗型車両が走行しているときには、チェーンを介して後輪に伝達される駆動力が変動することがある。また、路面の状態などによっては、後輪に対して、変動が直接及ぼされることもある。これらの変動に起因して、後輪に振動が発生する。具体的には、環状部材がホイールハブに対して相対回転した位置を中心にして、環状部材及びホイールハブの一方を他方に対して相対回転させる振動が、後輪に発生する。
上記鞍乗型車両においては、後輪が減衰機構を含んでいる。そのため、後輪に発生する振動(具体的には、環状部材がホイールハブに対して相対回転した位置を中心にして、環状部材及びホイールハブの一方を他方に対して相対回転させる振動)を減衰させることができる。
減衰機構は、好ましくは、環状部材とホイールハブとの間に封入された粘性流体を利用して、振動を減衰させる。この場合、減衰機構による振動の減衰は、環状部材及びホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときの粘性流体のせん断抵抗を利用するものであってもよいし、環状部材及びホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときの粘性流体の流動抵抗を利用するものであってもよい。
好ましくは、ホイールハブ及び環状部材の一方に壁が形成されており、ホイールハブ及び環状部材の他方に溝が形成されている。壁は、軸方向でホイールハブ及び環状部材の他方に向かって突出し、且つ、周方向に延びている。溝は、軸方向でホイールハブ及び環状部材の一方に向かって開口し、且つ、周方向に延びている。壁は、溝に収容され、且つ、周方向への移動が許容されている。ホイールハブの径方向で、溝の内面と壁の側面との間には、隙間が形成されている。この隙間には、粘性流体が充填されている。この隙間の大きさは、壁の径方向での厚みよりも小さい。
このような構成により、粘性流体のせん断抵抗を利用する減衰機構を実現することができる。なお、壁の数や高さ、周方向の長さは、要求される減衰特性に応じて、適宜、設定される。溝の数や深さ、周方向の長さについても、同様である。
好ましくは、壁及び溝は、それぞれ、周方向で全周に亘って形成されている。この場合、壁及び溝の周方向での長さが大きくなる。そのため、壁の側面の面積や、溝の内面のうち、ホイールハブの径方向で壁の側面と対向する側面の面積が増える。その結果、大きな減衰力を得ることができる。
なお、壁は周方向で全周に亘って形成されていないが、溝は周方向で全周に亘って形成されていてもよい。この場合であっても、壁の周方向での長さや、壁の高さ(軸方向での長さ)を適当に設定することにより、目的とする減衰特性が得られる。
好ましくは、壁及び溝は、それぞれ、径方向に複数並んで形成されている。この場合、壁及び溝の数が増える。そのため、壁の側面の面積や、溝の内面のうち、ホイールハブの径方向で壁の側面と対向する側面の面積が全体として増える。その結果、大きな減衰力を得ることができる。
好ましくは、壁及び溝は、それぞれ、径方向で弾性部材よりも外側に形成されている。この場合、壁及び溝の周方向での長さが大きくなる。そのため、壁の側面の面積や、溝の内面のうち、ホイールハブの径方向で壁の側面と対向する側面の面積が増える。その結果、大きな減衰力を得ることができる。
好ましくは、後輪は、シールリングをさらに含む。シールリングは、環状部材とホイールハブとの間に配置されている。なお、シールリングは、軸方向で、環状部材とホイールハブとの間に配置されていてもよいし、径方向で、環状部材とホイールハブとの間に配置されていてもよい。シールリングは、ホイールハブと同軸上に位置している。シールリングは、粘性流体を環状部材とホイールハブとの間に封止する。
この場合、粘性流体が環状部材とホイールハブとの間に保持することができる。その結果、減衰機構による振動の減衰を安定させることができる。
また、環状部材及びホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときには、シールリングと環状部材との間や、シールリングとホイールハブとの間で、摩擦力が発生する。これらの摩擦力は、環状部材及びホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときに、相対回転を妨げる抵抗力として作用する。そのため、環状部材及びホイールハブの一方が他方に対して相対回転するのを抑制できる。
好ましくは、弾性部材及び減衰機構の少なくとも一方は、軸方向に垂直な方向から見て、複数の軸受の何れか1つと重なる。この場合、弾性部材及び減衰機構のうち、軸方向に垂直な方向から見て、複数の軸受の何れかと重なるものは、後輪(具体的には、ホイールハブ)に対して軸方向に垂直な方向から入力される荷重の影響を受け難くなる。
好ましくは、ホイールハブ及び環状部材の一方には、軸方向に延びる筒状の外周面が形成されており、ホイールハブ及び環状部材の他方には、軸方向に延びる筒状の内周面が形成されている。内周面は、外周面よりも、径方向で外側に位置している。内周面は、径方向から見たときに、外周面に重なる。後輪は、ブッシュをさらに含む。ブッシュは、外周面と内周面との間に配置され、軸方向に延びる筒形状を有する。
この場合、ブッシュにより、外周面と内周面との間隔(径方向での距離)を、適当な大きさに維持することができる。その結果、環状部材を、ホイールハブに対して、径方向で適当な位置に維持することができる。
好ましくは、弾性部材では、鞍乗型車両が減速するときの環状部材のホイールハブに対する回転方向でのばね特性が、鞍乗型車両が加速するときの環状部材のホイールハブに対する回転方向でのばね特性よりも柔らかい。
環状部材のホイールハブに対する相対回転に伴って弾性部材に伝達されるエンジンの駆動力には、鞍乗型車両が加速するときの駆動力(正の駆動力)と、鞍乗型車両が減速するときの駆動力(負の駆動力)とがある。鞍乗型車両が加速するときの駆動力の絶対値は、鞍乗型車両が減速するときの駆動力の絶対値よりも大きい。そのため、上記のようなばね特性であれば、鞍乗型車両が減速するときであっても、環状部材がホイールハブに対して相対回転しやすくなる。その結果、鞍乗型車両が減速するときであっても、振動減衰効果が得易くなる。また、鞍乗型車両が加速するときについては、環状部材がホイールハブに対して相対回転するときの衝撃吸収効果を確保することができる。
弾性部材は、環状部材及びホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときに弾性変形する材料で形成されていればよい。弾性部材は、例えば、ゴム又は樹脂系エラストマーで形成される。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態による鞍乗型車両について説明する。本実施の形態では、鞍乗型車両として、自動二輪車を例に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、自動二輪車のシートに着座した乗員から見た方向を示す。また、軸方向、径方向及び周方向は、後輪の車軸の中心軸線を基準とする。つまり、軸方向は、後輪の車軸の中心軸線が延びる方向を示す。径方向は、後輪の車軸の中心軸線に垂直な方向、つまり、軸方向に垂直な方向を示す。周方向は、後輪の車軸の中心軸線周りの方向を示す。また、以下の説明で参照する図において、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Uは車両の上方を示し、矢印Lは車両の左方を示す。
図1は、自動二輪車10の概略構成を示す左側面図である。図1を参照して、自動二輪車10は、エンジン14と、後輪20と、チェーン32とを備える。
エンジン14は、車体フレーム12によって支持されている。車体フレーム12の前部には、フロントフォーク16が取り付けられている。フロントフォーク16は、前輪18を回転可能に支持する。
車体フレーム12には、左右一対のリアアーム30、30が取り付けられている。左右一対のリアアーム30、30は、後輪20を回転可能に支持する。
後輪20は、エンジン14よりも後方に配置されている。エンジン14の動力は、チェーン32を介して、後輪20に伝達される。これにより、後輪20が回転する。
図2、図3、図4及び図5を参照しながら、自動二輪車10が備える後輪20について説明する。図2は、後輪20の斜視図である。図3は、後輪20の分解斜視図である。図4は、後輪20の断面図である。図5は、図4の一部を拡大して示す断面図である。なお、図2及び図3では、ホイール21に装着されるタイヤ200(図1参照)及び車軸(図4参照)の図示を省略している。また、図4及び図5では、タイヤ200(図1参照)、リム211及び複数のスポーク213の図示を省略している。
後輪20は、ホイール21と、スプロケット22と、環状部材23と、車軸24と、複数(本実施の形態では、2つ)の軸受25と、複数(本実施の形態では、5つ)の連結部材26と、シールリング44、46と、ブッシュ48とを含む。以下、これらについて説明する。
図2及び図3を参照しながら、ホイール21について説明する。ホイール21は、リム211と、ホイールハブ212と、複数のスポーク213とを含む。
リム211には、タイヤ200(図1参照)が取り付けられる。リム211は、左右方向に延びる軸線(具体的には、車軸24の中心軸線24L)を中心軸とする筒形状を有する。
ホイールハブ212は、径方向で、リム211の内側に位置している。ホイールハブ212は、リム211と同軸上に配置されている。ホイールハブ212は、リム211と一体化されている。ホイールハブ212の詳細については、後述する。
複数のスポーク213は、ホイールハブ212とリム211との間に配置されている。複数のスポーク213の各々は、ホイールハブ212とリム211とを接続している。
図4を参照しながら、車軸24について説明する。車軸24は、左右方向に延びて、左右一対のリアアーム30、30を連結している。つまり、車軸24の中心軸線24Lは、左右方向に延びている。車軸24は、金属で形成されている。金属は、例えば、クロムモリブデン鋼(SCM435等)である。車軸24は、ホイールハブ212に挿入されている。
図4を参照しながら、ホイールハブ212について説明する。ホイールハブ212は、全体として、左右方向に延びる軸線を中心軸とする筒形状を有する。ホイールハブ212は、車軸24と同軸上に配置されている。つまり、ホイールハブ212の中心軸線212Lは、車軸24の中心軸線24Lと一致している。したがって、ホイールハブ212の軸方向、径方向及び周方向は、車軸24の軸方向、径方向及び周方向と一致する。ホイールハブ212は、一対のリアアーム30、30の間に配置されている。つまり、車軸24は、ホイールハブ212を貫通している。
ホイールハブ212は、金属で形成されている。金属は、例えば、アルミニウム合金や、マグネシウム合金である。ホイールハブ212は、筒部2122と、環状部2121とを含む。
筒部2122は、全体として、中心軸線212Lを中心軸とする筒形状を有する。筒部2122の左端の外径及び内径は、筒部2122の右端の内径及び外径よりも大きい。
筒部2122の右端部には、内周面2121Bが形成されている。内周面2121Bは、中心軸線212Lを中心軸とする筒状面である。内周面2121Bは、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。
内周面2121Bの左端には、ストッパ片2121B1が形成されている。ストッパ片2121B1は、内周面2121Bから径方向で内側に向かって突出している。ストッパ片2121B1は、周方向で全周に亘って形成されている。
筒部2122の右端部には、複数のボルト36により、ディスクロータ34が固定されている。ライダーの操作により、ディスクロータ34に対して、ブレーキキャリパ38に配置されたブレーキパッド381が押し当てられる。これにより、後輪20の回転速度を減速させることができる。
なお、ブレーキキャリパ381は、車軸24が挿入された支持部材56に取り付けられている。支持部材56は、軸方向で、右側のリアアーム30と、筒部2122との間に配置されている。
図5に示すように、筒部2122の左端には、環状部2121が接続されている。環状部2121は、全体として、中心軸線212Lを中心軸とする円環形状を有する。
図6及び図7を参照しながら、環状部2121について説明する。図6は、環状部2121を拡大して示す断面図である。図7は、環状部2121を左側(軸方向の一端側)から見た端面図である。
図6に示すように、環状部2121は、軸方向に延びる内周面2121Aを有する。内周面2121Aは、中心軸線212Lを中心軸とする筒状面である。内周面2121Aは、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。内周面2121Aは、筒部2122の左端よりも径方向で内側に位置している。
内周面2121Aの右端には、ストッパ片2121A1が形成されている。ストッパ片2121A1は、内周面2121Aから径方向で内側に向かって突出している。ストッパ片2121Aは、周方向で全周に亘って形成されている。つまり、ストッパ片2121Aは、円環形状を有する。
図7に示すように、環状部2121には、複数(本実施の形態では、5つ)の凹部2121Cが形成されている。複数の凹部2121Cは、互いに同じ形状及び大きさで形成されている。
複数の凹部2121Cの各々は、内周面2121Aよりも径方向で外側に位置している。複数の凹部2121Cの各々は、径方向から見て、内周面2121Aに重なる位置に形成されている。
複数の凹部2121Cは、中心軸線212L上に中心を有する円上に位置している。複数の凹部2121Cは、周方向で等間隔に形成されている。
図6に示すように、複数の凹部2121Cの各々は、左側(軸方向の一端側)に向かって開口している。複数の凹部2121Cの各々は、側面2121C1と、端面2121C2とを有する。
側面2121C1は、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。つまり、側面2121Cは、軸方向に延びる筒状面である。
軸方向から見て、端面2121C2は、円形状を有する。端面2121C2の縁は、側面2121C1の右端に接続されている。
図7に示すように、環状部2121には、溝2121Dが形成されている。溝2121Dは、中心軸線212Lを中心軸とする円環形状を有する。溝2121Dは、略一定の幅(径方向での長さ)で、周方向に延びている。溝2121Dは、周方向で全周に亘って形成されている。溝2121Dは、複数の凹部2121Cよりも径方向で外側に位置している。
図6に示すように、溝2121Dは、左側(軸方向の一端側)に向かって開口している。溝2121Dの幅(径方向での長さ)は、溝2121Dの深さ(軸方向での長さ)よりも大きい。溝2121Dの深さ(軸方向での長さ)は、凹部2121Cの深さ(軸方向での長さ)よりも小さい。
図7に示すように、環状部2121には、複数(本実施の形態では、4つ)の溝2121Eが形成されている。複数の溝2121Eは、互いに同じ形状及び大きさで形成されている。
図6に示すように、複数の溝2121Eの各々は、左側(軸方向の一端側)に向かって開口している。複数の溝2121Eの各々の深さ(軸方向での長さ)は、凹部2121Cの深さ(軸方向での長さ)よりも大きい。溝2121Eの幅は、溝2121Eの深さよりも十分に小さい。
図7に示すように、複数の溝2121Eの各々は、溝2121Dよりも径方向で外側に位置している。複数の溝2121Eは、中心軸線212L上に中心を有する円上に位置している。複数の溝2121Eは、周方向で等間隔に形成されている。溝2121Eは、凹部2121Cと周方向で同じ位置に形成されている。
複数の溝2121Eは、それぞれ、略一定の幅(径方向での長さ)で周方向に延びている。溝2121Eの周方向での長さは、複数の溝2121Eが位置する円の周長の1/5よりも短い。
図7に示すように、環状部2121には、複数(本実施の形態では、3つ)の溝2121Fが形成されている。複数の溝2121Fは、複数の溝2121Eよりも径方向で外側に位置している。複数の溝2121Fの各々は、中心軸線212Lを中心軸とする円環形状を有する。
複数の溝2121Fは、径方向に並んでいる。複数の溝2121Fは、径方向で等間隔に形成されている。つまり、複数の溝2121Fは、同軸上に位置している。
複数の溝2121Fは、それぞれ、略一定の幅(径方向での長さ)で、周方向に延びている。複数の溝2121Fは、それぞれ、周方向で全周に亘って形成されている。複数の溝2121Fは、互いに同じ幅を有する。
図6に示すように、溝2121Fを規定する一対の側壁(径方向で隣り合う2つの側壁)は、それぞれ、中心軸線212Lを中心軸とする筒形状を有する。つまり、溝2121Fを規定する一対の側壁(径方向で隣り合う2つの側壁)は、それぞれ、略一定の内径及び外径で軸方向にストレートに延びている。
溝2121Fの幅の両端を規定する一対の側面(径方向で対向する一対の側面)は、それぞれ、中心軸線212Lを中心軸とする筒状面である。つまり、溝2121Fの幅の両端を規定する一対の側面(径方向で対向する一対の側面)は、それぞれ、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。
複数の溝2121Fの各々は、左側(軸方向の一端側)に向かって開口している。溝2121Fの幅(径方向での長さ)は、溝2121Fの深さ(軸方向での長さ)よりも小さい。溝2121Fの幅は、好ましくは、溝2121Fの深さの1/2以下である。溝2121Fの幅は、より好ましくは、溝2121Fの深さの1/5以下である。溝2121Fの幅は、さらに好ましくは、溝2121Fの深さの1/10以下である。
複数の溝2121Fの各々の深さ(軸方向での長さ)は、凹部2121Cの深さ(軸方向での長さ)よりも大きい。複数の溝2121Fのうち、径方向で最も外側に位置する溝2121F3の深さ(軸方向での長さ)は、溝2121Eの深さ(軸方向での長さ)と略同じである。複数の溝2121Fのうち、径方向で最も内側に位置している溝2121F1の深さ(軸方向での長さ)は、溝2121Eの深さ(軸方向での長さ)よりも大きい。複数の溝2121Fのうち、径方向で溝2121F1と溝2121F3との間に位置する溝2121F2の深さ(軸方向での長さ)は、溝2121Eの深さ(軸方向での長さ)よりも大きい。溝2121F1の深さ(軸方向での長さ)は、溝2121F2の深さ(軸方向での長さ)と略同じである。
複数の溝2121Fの各々の底は、軸方向で、溝2121Eの底と略同じ位置にある。溝2121F3の開口端は、軸方向で、溝2121Eの開口端と略同じ位置にある。溝2121F1の開口端は、軸方向で、溝2121F2の開口端と略同じ位置にある。溝2121F1及び溝2121F2の開口端は、それぞれ、溝2121Eの開口端よりも左側(軸方向の一端側)に位置している。
図6に示すように、環状部2121は、外周面2121Gを有する。外周面2121Gは、中心軸212Lを中心軸とする筒状面である。外周面2121Gは、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。
外周面2121Gには、溝2121G1が形成されている。溝2121G1は、中心軸204Lを中心軸とする円環形状を有する。
溝2121G1は、略一定の幅(軸方向での長さ)で、周方向に延びている。溝2121G1は、周方向で全周に亘って形成されている。溝2121G1は、径方向で外側に向かって開口している。
なお、図6に示す例では、溝2121G1よりも右側(軸方向の他端側)に位置する部分(溝2121Gの右側の側壁に相当する部分)の外周面は、外周面2121Gよりも大きな直径を有する。つまり、溝2121G1は、外周面2121Gの右端部(軸方向の他端部)に形成されている。
溝2121G1は、径方向から見て、複数の凹部2121Cよりも右側(軸方向の他端側)に位置している。溝2121G1は、径方向から見て、複数の溝2121Fの底と重なる位置に形成されている。
図7に示すように、環状部2121には、周方向で隣り合う2つの凹部2121Cの間に、肉抜き用の凹部2121H1、2121H2が形成されている。これらの凹部2121H1、2121H2は、径方向に並んでいる。凹部2121H1、2121H2が形成されていることにより、環状部2121C、つまり、ホイールハブ212の軽量化が図られている。
このようなホイールハブ212は、図4に示すように、複数の軸受25により、車軸24に対して回転可能に支持されている。図4を参照しながら、複数の軸受25について説明する。複数の軸受25の各々は、径方向で、ホイールハブ212と車軸24との間に配置されている。
具体的には、複数の軸受25のうち、左側の軸受251は、ホイールハブ212の左端部(具体的には、環状部2121の内周面2121A)と、車軸24との間に配置されている。
軸受251は、径方向から見て、複数の凹部2121Cの各々と重なる位置に配置されている。軸受251は、径方向から見て、複数の溝2121Fの各々と重なる位置に配置されている。
複数の軸受25のうち、右側の軸受252は、ホイールハブ212の右端部(具体的には、筒部2122の右端部に形成された内周面2121B)と、車軸24との間に配置されている。軸受252は、軸方向で、内周面2121Bの左端に形成されたストッパ片2121B1と、ブレーキキャリパ38を支持する支持部材56とに接している。支持部材56は、軸方向で、軸受252と、右側のリアアーム30とに接している。
本実施の形態では、複数の軸受25の各々と車軸24との間に、カラー40が配置されている。カラー40は、全体として、軸方向にストレートに延びる筒形状を有する。カラー40には、車軸24が挿入されている。カラー40は、軸受251と、軸受252との間隔(軸方向での距離)を規定する。
図5に示すように、ホイールハブ212の左端(軸方向での一端)には、環状部材23が取り付けられている。環状部材23は、金属で形成されている。金属は、例えば、アルミニウム合金や、マグネシウム合金である。
環状部材23は、左右方向に延びる軸線を中心軸とする円環形状を有する。環状部材23には、車軸24が挿入されている。環状部材23は、車軸24と同軸上に配置されている。つまり、環状部材23の中心軸線23Lは、車軸24の中心軸線24Lと一致している。したがって、環状部材23の軸方向、径方向及び周方向は、車軸24の軸方向、径方向及び周方向と一致する。
続いて、図8及び図9を参照しながら、環状部材23について説明する。図8は、環状部材23を拡大して示す断面図である。図9は、環状部材23を右側(軸方向の他端側)から見た端面図である。
図8に示すように、環状部材23は、内周面23Aを有する。内周面23Aは、全体として、中心軸線23Lを中心軸とする筒状面である。
内周面23Aの左端部には、支持面23A1が形成されている。支持面23A1は、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。支持面23A1の右端には、ストッパ片23A11が形成されている。ストッパ片23A11は、支持面23A1から径方向で内側に突出している。ストッパ片23A11は、周方向で全周に亘って形成されている。
図9に示すように、環状部材23には、複数(本実施の形態では、5つ)の孔23Cが形成されている。複数の孔23Cは、互いに同じ形状及び大きさで形成されている。
図8に示すように、孔23Cは、環状部材23を軸方向に貫通している。孔23Cは、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。孔23Cの内面は、軸方向にストレートに延びる筒状面である。
図9に示すように、複数の孔23Cの各々は、内周面23Aよりも径方向で外側に位置している。複数の孔23Cは、中心軸23L上に中心を有する円上に位置している。複数の孔23Cは、周方向で等間隔に形成されている。
図9に示すように、環状部材23には、複数(本実施の形態では、4つ)の壁23Dが形成されている。複数の壁23Dは、互いに同じ形状及び大きさで形成されている。
複数の壁23Dの各々は、複数の孔23Cよりも径方向で外側に位置している。複数の壁23Dは、中心軸線23L上に中心を有する円上に形成されている。複数の壁23Dは、周方向に等間隔に形成されている。壁23Dは、孔23Cと周方向で同じ位置に形成されている。
複数の壁23Dの各々は、略一定の幅(径方向での長さ)で、周方向に延びている。壁23Dの周方向での長さは、複数の壁23Dが位置する円の周長の1/5よりも短い。
複数の壁23Dは、それぞれ、複数の孔23Cの何れかと周方向で同じ位置にある。つまり、ある径方向で、1つの壁23Dと、1つの孔23Cとが並んでいる。
図8に示すように、複数の壁23Dの各々は、右側(軸方向の他端側)に向かって突出している。壁23Dの幅は、壁23Dの高さよりも十分に小さい。
図9に示すように、環状部材23には、複数(本実施の形態では、3つ)の壁23Eが形成されている。複数の壁23Eは、複数の壁23Dよりも径方向で外側に位置している。複数の壁23Eの各々は、環状部材23の中心軸線23Lを中心軸とする円筒形状を有する。
複数の壁23Eは、径方向に並んでいる。複数の壁23Eは、径方向で等間隔に形成されている。つまり、複数の壁23Eは、同軸上に位置している。
複数の壁23Eは、それぞれ、略一定の幅(径方向での長さ)で、周方向に延びている。複数の壁23Eは、それぞれ、周方向で全周に亘って形成されている。複数の壁23Eは、互いに同じ幅を有する。
図8に示すように、壁23Eの内周面及び外周面は、それぞれ、中心軸線23Lを中心軸とする筒状面である。つまり、壁23Eの内周面及び外周面は、それぞれ、略一定の内径及び外径で軸方向にストレートに延びている。
複数の壁23Eの各々は、右側(軸方向の他端側)に向かって突出している。壁23Eの幅(径方向での長さ)は、壁23Eの高さ(軸方向での長さ)よりも小さい。壁23Eの幅は、好ましくは、壁23Eの高さの1/2以下である。壁23Eの幅は、より好ましくは、壁23Eの高さの1/5以下である。壁23Eの幅は、さらに好ましくは、壁23Eの高さの1/10以下である。
複数の壁23Eのうち、径方向で最も外側に位置する壁23E3の高さ(軸方向での長さ)は、壁23Dの高さ(軸方向での長さ)と略同じである。複数の壁23Eのうち、径方向で最も内側に位置している壁23E1の高さ(軸方向での長さ)は、壁23Dの高さ(軸方向での長さ)よりも大きい。複数の壁23Eのうち、径方向で壁23E1と壁23E3との間に位置する壁23E2の高さ(軸方向での長さ)は、壁23Dの高さ(軸方向での長さ)よりも大きい。壁23E2の高さは、壁23E1の高さと略同じである。
複数の壁23Eの各々の先端は、軸方向で、壁23Dの先端と略同じ位置にある。壁23E3の基端は、軸方向で、壁23Dの基端と略同じ位置にある。壁23E1の基端は、軸方向で、壁23E2の基端と略同じ位置にある。壁23E1の基端及び壁23E2の基端は、それぞれ、壁23Dの基端及び壁23E3の基端よりも左側(軸方向の一端側)に位置している。
図8に示すように、環状部材23は、壁23Fを有する。壁23Fは、複数の壁23Eよりも径方向で外側に位置している。壁23Fは、環状部材23の中心軸線23Lを中心軸とする円筒形状を有する。
壁23Fは、内周面23F1を有する。内周面23F1は、中心軸線23Lを中心軸とする筒状面である。内周面23F1は、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。
壁23Fには、凹所23F11が形成されている。凹所23F11は、中心軸23Lを中心軸とする円環形状を有する。
凹所23F11は、壁23Fの内周面23F1及び右端面(軸方向での端面)に開口している。凹所23F11は、略一定の幅(軸方向での長さ)で、周方向に延びている。凹所23F11は、周方向で全周に亘って形成されている。凹所23F11は、径方向から見て、複数の壁23Eの各々の先端と重なる位置に形成されている。
図9に示すように、環状部材23には、周方向で隣り合う2つの孔23Cの間に、肉抜き用の凹部23Gが形成されている。凹部23Gが形成されていることにより、環状部材23の軽量化が図られている。
このような環状部材23は、図5に示すように、軸受28により、車軸24に対して回転可能に支持されている。以下、図5を参照しながら、軸受28について説明する。
軸受28は、後輪20に含まれる。軸受28は、径方向で、環状部材23(具体的には、支持面23A1)と車軸24との間に配置されている。
この状態で、軸受28は、径方向から見て、スプロケット22と重なる位置に配置されている。軸受28は、軸方向で、支持面23A1に形成されたストッパ片23A11と、車軸24が挿入されたスペーサ58とに接している。スペーサ58は、軸方向で、軸受28と、左側のリアアーム30とに接している。
本実施の形態では、軸受28と車軸24との間に、カラー52が配置されている。カラー52は、軸方向にストレートに延びる筒形状を有する。カラー52には、車軸24が挿入されている。カラー52は、軸受251と、軸受28との間隔(軸方向での距離)を規定する。
本実施の形態では、カラー52の右端部は、軸受251と車軸24との間にも配置されている。カラー52の左端部は、スペーサ58と車軸24との間にも配置されている。
上記のようにして、環状部材23が、軸受28により、車軸24に対して回転可能に支持されている。この状態で、環状部材23は、ホイールハブ212と同軸上に位置している。環状部材23は、軸方向で、ホイールハブ212に接している。環状部材23は、ホイールハブ212に対して、周方向に相対回転可能である。
図10を参照しながら、環状部材23と、ホイールハブ212(具体的には、環状部2121)との関係について説明する。図10は、図5の一部を拡大して示す断面図である。
環状部材23が有する複数の壁23Dの各々は、ホイールハブ212に向かって突出している。ホイールハブ212が有する複数の溝2121Eの各々は、環状部材23に向かって開口している。複数の壁23Dの各々は、複数の溝2121Eのうち、周方向で対応する位置に形成された溝2121Eに収容されている。つまり、1つの壁23Dは、1つの溝2121Eに収容されている。
壁23Dの先端面と溝2121Eの底面との間には、僅かな隙間が形成されている。つまり、壁23Dの表面と溝2121Eの内面との間には、軸方向で、僅かな隙間が形成されている。壁23Dの側面と溝2121Eの側面との間には、僅かな隙間が形成されている。つまり、壁23Dの表面と溝2121Eの内面との間には、径方向で、僅かな隙間が形成されている。ここで、壁23Dの周方向の長さは、溝2121Eの周方向の長さよりも短い。そのため、壁23Dは、溝2121E内で周方向への移動が許容されている。
環状部材23が有する複数の壁23Eの各々は、ホイールハブ212に向かって突出している。ホイールハブ212が有する複数の溝2121Fの各々は、環状部材23に向かって開口している。複数の壁23Eの各々は、複数の溝2121Fのうち、径方向で対応する位置に形成された溝2121Fに収容されている。
壁23Eの先端面と溝2121Fの底面との間には、僅かな隙間が形成されている。つまり、壁23Eの表面と溝2121Fの内面との間には、軸方向で、僅かな隙間が形成されている。壁23Eの側面と溝2121Fの側面との間には、僅かな隙間が形成されている。つまり、壁23Eの表面と溝2121Fの内面との間には、径方向で、僅かな隙間が形成されている。壁23E及び溝2121Fは、それぞれ、周方向で全周に亘って形成されている。そのため、壁23Eは、溝2121F内で周方向への移動が許容されている。
壁23Eの側面と溝2121Fの側面との間に形成された隙間は、壁23Eの先端面と溝2121Fの底面との間に形成された隙間よりも小さい。壁23Eの側面と溝2121Fの側面との間に形成された隙間は、壁23Eの厚さ(径方向での長さ)よりも小さい。壁23Eの側面と溝2121Fの側面との間に形成された隙間は、好ましくは、壁23Eの厚さの1/2よりも小さい。壁23Eの側面と溝2121Fの側面との間に形成された隙間は、好ましくは、壁23Eの厚さの1/20よりも大きい。
壁23Eの表面と溝2121Fの内面との間に形成された隙間(径方向での隙間及び軸方向での隙間)には、粘性流体42が充填されている。粘性流体42は、例えば、シリコーングリスである。粘性流体42の粘度は、後述するせん断抵抗に基づく減衰効果が得られる程度の大きさであればよい。粘性流体42の粘度は、例えば、10000センチストークス(cSt)以上である。
図8を参照しながら、シールリング44について説明する。シールリング44は、ゴム材料で形成されている。ゴム材料は、例えば、ニトリルゴム(NBR)である。
シールリング44は、中心軸線212Lを中心軸とする円環形状を有している。シールリング44は、ホイールハブ212に形成された溝2121Dに配置されている。つまり、シールリング44は、ホイールハブ212と同軸上に位置している。
環状部材23がホイールハブ212に対して軸方向で接している状態では、溝2121Dの開口が環状部材23によって覆われる。つまり、シールリング44は、軸方向で、環状部材23とホイールハブ212との間に配置されている。この状態で、シールリング44は、軸方向に圧縮されている。その結果、シールリング44により、粘性流体42が溝2121Dよりも径方向で内側に漏れるのを抑制している。つまり、シールリング44は、粘性流体42を環状部材23とホイールハブ212との間で封止する。
図10を参照しながら、壁23Fと環状部2121との関係について説明する。環状部材23がホイールハブ212に対して軸方向で接している状態では、環状部材23が有する壁23Fは、ホイールハブ212が有する環状部2121よりも径方向で外側に位置している。壁23Fの先端は、軸方向で、環状部2121の右端と略同じ位置にある。径方向から見て、壁23Fは、環状部2121に重なる。つまり、壁23Fは、環状部2121の外周面2121Gを覆っている。壁23Fの内周面23F1は、外周面2121Gよりも、径方向で外側に位置している。壁23Fの内周面23F1と、環状部2121の外周面2121Gとの間には、隙間が形成されている。この状態で、内周面23F1に形成された凹所23F11は、径方向から見て、外周面2121Gに形成された溝2121G1と重なる位置にある。
図10を参照しながら、シールリング46について説明する。シールリング46は、ゴム材料で形成されている。ゴム材料は、例えば、ニトリルゴム(NBR)である。
シールリング46は、中心軸線212Lを中心軸とする円環形状を有している。シールリング46は、溝2121G1と凹所23F11との間に配置されている。つまり、シールリング46は、径方向で環状部材23とホイールハブ212との間に配置されている。別の表現をすれば、シールリング46は、ホイールハブ212と同軸上に位置している。この状態で、シールリング46は、径方向に圧縮されている。その結果、シールリング46により、粘性流体42が溝2121G1及び凹所23F11よりも右側(軸方向の他端側)に漏れるのを抑制している。つまり、シールリング46は、粘性流体42を環状部材23とホイールハブ212との間で封止する。
図10を参照しながら、ブッシュ48について説明する。ブッシュ48は、薄型の無給油すべり軸受である。ブッシュ48は、例えば、フッ素系の樹脂や、ナイロン系の樹脂で形成されている。なお、ブッシュ48は、これらの樹脂と金属(例えば、銅等)とで形成されていてもよい。
ブッシュ48は、環状部材23が有する壁23Fの内周面23F1と、環状部2121が有する外周面2121Gとの間に、配置されている。ブッシュ48は、全体として、中心軸線23Lを中心軸とする筒形状を有する。ブッシュ48は、シールリング46よりも左側に位置している。
ブッシュ48の左端(軸方向の一端)には、ストッパ片481が形成されている。ストッパ片481は、ブッシュ48の左端から径方向で内側に向かって延びている。ストッパ片481は、周方向に全周に亘って形成されている。ストッパ片481は、環状部2121に形成された溝2121F3を規定する一対の側壁のうち、径方向で外側に位置する側壁の先端と、環状部材23とに対して、軸方向で接している。これにより、ブッシュ48の軸方向での位置が規定されている。その結果、ブッシュ48が軸方向に移動して、シールリング46と接触するのを阻止している。
図5を参照しながら、複数の連結部材26について説明する。複数の連結部材26は、互いに同じ形状及び大きさを有する。
複数の連結部材26の各々は、本体261と、弾性部材262とを含む。以下、これらについて説明する。
本体261は、金属で形成されている。金属は、例えば、クロムモリブデン鋼(SCM435等)である。本体261は、基部2611と、軸部2612とを含む。
基部2611は、厚肉の円板形状、或いは、円柱形状を有する。基部2611は、略一定の直径で軸方向にストレートに延びる筒状の外周面を有する。
軸部2612は、基部2611よりも小径の円柱形状を有する。つまり、軸部2612は、略一定の直径で軸方向にストレートに延びている。軸部2612の先端部の側面には、ねじ山が形成されている。
軸部2612は、基部2612の左端から軸方向に突出している。軸部2612は、基部2612と同軸上に形成されている。
弾性部材262は、ゴム材料で形成されている。ゴム材料は、例えば、ニトリルゴム(NBR)である。なお、弾性部材262は、例えば、樹脂系のエラストマーで形成されていてもよい。樹脂系のエラストマーは、例えば、ポリウレタンである。
弾性部材262は、本体261の中心軸線を中心軸とする円環形状を有する。つまり、弾性部材262は、略一定の内径及び外径で軸方向にストレートに延びている。弾性部材262の軸方向での長さは、基部2611の軸方向での長さと略同じである。
弾性部材262の内周面は、軸方向の全長に亘って、基部2611の外周面に接着されている。この状態で、弾性部材262は、基部2611の外周面の全体を覆っている。
連結部材26のうち、基部261及び弾性部材262は、環状部2121に形成された凹部2121Cに収容されている。つまり、環状部材23が有する複数の壁23E及び環状部2121が有する複数の溝2121Fは、それぞれ、弾性部材262よりも径方向で外側に位置している。径方向から見て、弾性部材262は、複数の壁23E及び複数の溝2121Fに重なる。径方向から見て、弾性部材262は、軸受251に重なる。
基部261及び弾性部材262が凹部2121Cに収容された状態で、弾性部材262の側面は、凹部2121Cの側面2121C1に接している。この状態で、弾性部材262は、凹部2121Cの側面2121C1と基部261の外周面との間で圧縮されていてもよい。この場合、弾性部材262が有する弾性を利用して、弾性部材262の外周面を凹部2121Cの側面2121C1に密着させることができる。
環状部材23が軸方向でホイールハブ212に接している状態では、環状部2121に形成された複数の凹部2121Cの各々の開口が、環状部材23によって覆われている。基部261及び弾性部材262が凹部2121Cに収容された状態で、軸部2612は、環状部材23に形成された孔23Cに挿入されている。軸部2612の先端は、孔23Cよりも左側に位置している。つまり、軸部2612の先端は、孔23Cの外側に位置している。この状態で、軸部2612のうち、孔23Cの外側に位置する部分が、スプロケット22に形成された孔221に挿入されている。軸部2612の先端は、スプロケット22よりも左側に位置している。つまり、軸部2612は、スプロケット22を貫通している。軸部2612のうち、スプロケット22よりも左側に位置する部分に対して、ナット50が固定される。これにより、スプロケット22が環状部材23に結合されている。スプロケット22には、チェーン32が巻き掛けられている。エンジン14の駆動力がチェーン32を介してスプロケット22に伝達される。
自動二輪車10が走行するときには、エンジン14の駆動力がチェーン32を介して後輪20に伝達される。図11は、後輪20に伝達される駆動力を示すグラフである。図11に示すように、後輪20に伝達される駆動力は、常に、変動している。
駆動力が変動する要因としては、ライダーによるスロットル操作や、エンジン14によって発生するトルクそのものの変動(例えば、燃焼状態の不均一さに起因する変動)や、エンジン14から後輪20までの駆動力の伝達経路に起因するもの(例えば、変速機のギアの噛み合いに起因するものや、チェーン22等の振動に起因するもの等)、加速時及び減速時のシフトチェンジによって発生するショックに起因するもの、減速時のエンジンブレーキに起因するもの等がある。
また、路面の状態に起因して、後輪20に伝達される駆動力が変動することもある。例えば、路面そのものの状態(舗装の不均一さや、路面のひび割れ、路面の段差等)や、路面と後輪20との間に発生する摩擦力の変化(路面の濡れ具合等に起因するもの)により、後輪20に伝達される駆動力が変動することもある。
自動二輪車10では、後輪20に伝達される駆動力の変動によって発生する振動を減衰することができる。以下、この点について説明する。
自動二輪車10では、エンジン14の駆動力がチェーン32を介してスプロケット22に伝達される。スプロケット22は、複数の連結部材26と、複数の連結部材26の各々に取り付けられたナット50により、環状部材23に結合されている。チェーン32を介してスプロケット22に伝達されたエンジン14の駆動力により、スプロケット22が回転し始めるとき、環状部材23は、ホイールハブ212に対して、周方向に相対回転する。このとき、連結部材26に設けられた弾性部材262が圧縮される。そのため、環状部材23がホイールハブ212に対して周方向に相対回転するときの衝撃を低減することができる。
環状部材23は、連結部材26(具体的には、弾性部材262及び基部2611)により、ホイールハブ212に対して相対回転した位置に保持される。この状態で、環状部材23の回転が、連結部材26を介して、ホイールハブ212に伝達される。これにより、環状部材23が、ホイールハブ212と一体になって回転する。その結果、自動二輪車10が走行する。
自動二輪車10が走行しているときには、チェーン32を介して後輪20に伝達される駆動力が変動することがある。また、路面の状態などによっては、後輪20に対して、変動が直接及ぼされることもある。これらの変動に起因して、後輪20に振動が発生する。具体的には、環状部材23がホイールハブ212に対して相対回転した位置を中心にして、環状部材23及びホイールハブ212の一方を他方に対して相対回転させる振動が、後輪に発生する。
環状部材23及びホイールハブ212の一方が他方に対して周方向に相対回転すると、壁23Eが溝2121F内で周方向に移動する。このとき、壁23Eの側面と溝2121Fの側面との間に形成された隙間に充填された粘性流体42のせん断抵抗により、環状部材23及びホイールハブ212の一方を他方に対して周方向に相対回転させるエネルギーが吸収される(熱として散逸される)。その結果、環状部材23及び環状部2121の一方を他方に対して相対回転させる振動を減衰させることができる。
つまり、本実施の形態では、壁23Eと、溝2121Fと、粘性流体42とを含んで、減衰機構27が実現されている。要するに、減衰機構27は、環状部材23と環状部2121との間に充填された粘性流体42を利用して、振動を減衰する。減衰機構27は、径方向から見て、軸受251に重なる。
自動二輪車10では、環状部材23が有する複数の壁23Eの各々は、周方向で全周に亘って形成されている。また、ホイールハブ212が有する複数の溝2121Fの各々も、周方向で全周に亘って形成されている。この場合、壁23E及び溝2121Fのそれぞれの周方向での長さが大きくなる。そのため、壁23Eの側面の面積や、溝2121Fの内面のうち、壁23Eの側面と径方向で対向する側面の面積を大きくすることができる。その結果、粘性流体42のせん断抵抗に基づく減衰力を大きくすることができる。
自動二輪車10では、環状部材23が有する複数の壁23Eは、径方向に並んでいる。また、ホイールハブ212が有する複数の溝2121Fも、径方向に並んでいる。この場合、壁23E及び溝2121Fのそれぞれの数を増やすことができる。そのため、壁23Eの側面や、溝2121Fの内面のうち、壁23Eの側面と径方向で対向する側面の面積を全体として増やすことができる。そのため、粘性流体42のせん断抵抗に基づく減衰力を大きくすることができる。
自動二輪車10では、環状部材23が有する複数の壁23Eは、径方向で弾性部材262よりも外側に位置している。また、ホイールハブ212が有する複数の溝2121Fも、径方向で弾性部材262よりも外側に位置している。この場合、壁23E及び溝2121Fの周方向での長さを大きくすることができる。そのため、壁23Eの側面や、溝2121Fの内面のうち、壁23Eの側面と径方向で対向する側面の面積を増やすことができる。その結果、粘性流体42のせん断抵抗に基づく減衰力を大きくすることができる。
自動二輪車10では、環状部材23及びホイールハブ212の一方が他方に対して周方向に相対回転するときに、シールリング44、46と環状部材23との間に摩擦力が発生し、且つ、シールリング44、46とホイールハブ212との間に摩擦力が発生する。これらの摩擦力は、環状部材23及びホイールハブ212の一方が他方に対して相対回転するときに、相対回転を妨げる抵抗力として作用する。そのため、環状部材23及びホイールハブ212の一方が他方に対して相対回転するのを抑制できる。
自動二輪車10では、弾性部材262及び減衰機構27が、それぞれ、軸方向から見たときに、軸受251と重なる。この場合、弾性部材262及び減衰機構27は、後輪20に対して径方向から入力される荷重の影響を受け難くなる。
自動二輪車10では、環状部材23が有する内周面23Fと、環状部2121が有する外周面2121Gとの間に、ブッシュ48が配置されている。この場合、ブッシュ48により、外周面2121Gと内周面23Fとの間隔(径方向での距離)を、適当な大きさに維持することができる。その結果、環状部材23を、ホイールハブ212に対して、径方向で適当な位置に維持することができる。
[減衰機構の応用例]
上記実施の形態では、粘性流体42のせん断抵抗を利用して、環状部材23及びホイールハブ212の一方を他方に対して周方向に相対回転させる振動を減衰していたが、例えば、環状部材23及びホイールハブ212の一方が他方に対して相対回転するときに発生する粘性流体の周方向への流動を利用して、振動を減衰させてもよい。その一例を、図12を参照しながら、説明する。なお、図12は、減衰機構の応用例を説明するためだけの図面であり、減衰機構と弾性部材との関係は示していない。
図12に示す減衰機構27Aでは、環状部材231が一対の仕切壁2311、2311を有する。一対の仕切壁2311、2311は、それぞれ、環状部材231及びホイールハブ212Aの一方が他方に対して相対回転したときに、周方向に移動する。一対の仕切壁2311、2311は、それぞれ、環状部材231とホイールハブ212Aとの間に形成された流体室54を周方向で仕切っている。その結果、仕切壁2311よりも周方向一方には、流体室541が形成されている。仕切壁2311よりも周方向他方には、流体室542が形成されている。一対の仕切壁2311、2311の各々には、オリフィス23111が形成されている。オリフィス23111は、周方向に延びている。オリフィス23111により、2つの流体室541、542が連通されている。
このような減衰機構27Aでは、仕切壁2311が周方向に移動することにより、2つの流体室541、542の各々に充填された粘性流体42に圧力差が生じる。その結果、オリフィス23111を介して、粘性流体42が移動する。このときの流動抵抗を利用して、環状部材231及びホイールハブ212Aの一方が他方に対して周方向に相対回転する振動を低減することができる。
[弾性部材の応用例]
弾性部材262のばね特性を、自動二輪車10が加速する方向と減速する方向とで異ならせてもよい。
例えば、図13に示すように、弾性部材262のうち、自動二輪車10が減速するときにホイールハブ212と接する部分にスリット262Aを形成してもよい。
また、図14に示すように、弾性部材262Bを、自動二輪車10が加速するときにホイールハブ212と接する弾性部材262B1と、自動二輪車10が減速するときにホイールハブ212と接する弾性部材262B2とで構成してもよい。なお、図14に示す例では、弾性部材262B2がさらに変形し易くなるように、弾性部材262B2には、複数(図14に示す例では、3つ)の孔262B21が形成されている。
或いは、弾性部材として、自動二輪車10が加速するときにホイールハブ212と接する部分と、自動二輪車10が減速するときにホイールハブ212と接する部分とで、材料を異ならせてもよい。
これらの場合、自動二輪車10が減速する方向でのばね特性は、自動二輪車10が加速する方向でのばね特性よりも柔らかくなっている。ここで、環状部材23のホイールハブ212に対する相対回転に伴って弾性部材に伝達されるエンジン14の駆動力は、自動二輪車10が加速するときのほうが、自動二輪車10が減速するときよりも大きい。そのため、上記のようなばね特性であれば、自動二輪車10が減速するときであっても、環状部材23がホイールハブ212に対して相対回転しやすくなる。その結果、自動二輪車10が減速するときであっても、振動を減衰しやすくなる。なお、自動二輪車10が加速するときについては、環状部材23がホイールハブ212に対して相対回転するときの衝撃を低減することができる。
また、図15に示すように、弾性部材は、ばね262Cであってもよい。図15に示す例では、連結部材26Aの本体26A1が有する基部26A11に対して周方向の両側にばね262Cが配置されている。ばね262C及び本体26A1は、ホイールハブ212Bに形成された凹部212B1内に配置されている。本体26A1が周方向に移動することにより、一方のばね262Cが引っ張られ、他方のばね262Cが圧縮される。その結果、環状部材23がホイールハブ212に対して相対回転するときの衝撃を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
10 自動二輪車
14 エンジン
20 後輪
212 ホイールハブ
2121F 溝
22 スプロケット
23 環状部材
23E 壁
24 車軸
25 軸受
262 弾性部材
32 チェーン

Claims (13)

  1. 鞍乗型車両であって、
    エンジンと、
    前記エンジンよりも後方に配置された後輪と、
    前記エンジンの駆動力を前記後輪に伝達するチェーンとを備え、
    前記後輪は、
    車両の左右方向に延びる車軸と、
    車両の左右方向に延びる筒形状を有し、前記車軸が挿入されるホイールハブと、
    前記ホイールハブの径方向で、前記ホイールハブと前記車軸との間に配置され、各々が前記ホイールハブを前記車軸に対して回転可能に支持する複数の軸受と、
    前記ホイールハブの軸方向での一端に取り付けられ、前記ホイールハブと同軸上に位置し、前記ホイールハブの周方向で前記ホイールハブに対して相対回転可能に配置された環状部材と、
    前記環状部材に結合され、前記チェーンが巻き掛けられたスプロケットと、
    前記駆動力が前記スプロケットを介して前記環状部材に伝達され、前記環状部材が前記ホイールハブに対して相対回転するときに、前記環状部材の前記ホイールハブに対する相対回転量に応じて弾性変形する弾性部材と、
    前記環状部材が前記ホイールハブに対して相対回転した状態で前記環状部材及び前記ホイールハブの一方に発生し、前記環状部材が前記ホイールハブに対して相対回転した位置を中心にして、前記環状部材及び前記ホイールハブの一方を他方に対して前記周方向に回転させる振動を減衰する減衰機構とを含む、鞍乗型車両。
  2. 請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
    前記減衰機構は、前記環状部材と前記ホイールハブとの間に封入された粘性流体を利用して、前記振動を減衰させる、鞍乗型車両。
  3. 請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
    前記減衰機構は、前記環状部材及び前記ホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときに発生する前記粘性流体のせん断抵抗を利用して、前記振動を減衰させる、鞍乗型車両。
  4. 請求項3に記載の鞍乗型車両であって、
    前記ホイールハブ及び前記環状部材の一方には、
    前記軸方向で前記ホイールハブ及び前記環状部材の他方に向かって突出し、且つ、前記周方向に延びる壁が形成されており、
    前記ホイールハブ及び前記環状部材の他方には、
    前記軸方向で前記ホイールハブ及び前記環状部材の一方に向かって開口し、且つ、前記周方向に延びる溝が形成されており、
    前記壁は、前記溝に収容され、且つ、前記周方向への移動が許容されており、
    前記ホイールハブの径方向で、前記溝の内面と前記壁の側面との間には、前記粘性流体が充填された隙間が形成されており、
    前記隙間は、前記壁の前記径方向での厚みよりも小さい、鞍乗型車両。
  5. 請求項4に記載の鞍乗型車両であって、
    前記壁及び前記溝は、それぞれ、前記周方向で全周に亘って形成されている、鞍乗型車両。
  6. 請求項4又は5に記載の鞍乗型車両であって、
    前記壁及び前記溝は、それぞれ、前記径方向に複数並んで形成されている、鞍乗型車両。
  7. 請求項4〜6の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
    前記壁及び前記溝は、それぞれ、前記径方向で前記弾性部材よりも外側に形成されている、鞍乗型車両。
  8. 請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
    前記減衰機構は、前記環状部材及び前記ホイールハブの一方が他方に対して相対回転するときに発生する前記粘性流体の前記周方向への流動を利用して、前記振動を減衰させる、鞍乗型車両。
  9. 請求項2〜8の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
    前記後輪は、さらに、
    前記環状部材と前記ホイールハブとの間に配置され、前記ホイールハブと同軸上に位置し、前記粘性流体を前記環状部材と前記ホイールハブとの間に封止するシールリングを含む、鞍乗型車両。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
    前記弾性部材及び前記減衰機構の少なくとも一方は、前記軸方向に垂直な方向から見て、前記複数の軸受の何れか1つと重なる、鞍乗型車両。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
    前記ホイールハブ及び前記環状部材の一方には、
    前記軸方向に延びる筒状の外周面が形成されており、
    前記ホイールハブ及び前記環状部材の他方には、
    前記軸方向に延びて、前記径方向で前記外周面よりも外側に位置し、前記径方向から見たときに、前記外周面に重なる筒状の内周面が形成されており、
    前記後輪は、さらに、
    前記径方向で前記外周面と前記内周面との間に配置され、前記軸方向に延びる筒形状を有するブッシュを含む、鞍乗型車両。
  12. 請求項1〜11の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
    前記弾性部材では、
    前記鞍乗型車両が減速するときの前記環状部材の前記ホイールハブに対する回転方向でのばね特性が、前記鞍乗型車両が加速するときの前記環状部材の前記ホイールハブに対する回転方向でのばね特性よりも柔らかい、鞍乗型車両。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の鞍乗型車両であって、
    前記弾性部材は、ゴム又は樹脂系エラストマーで形成されている、鞍乗型車両。
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