JP2017217104A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】装着感及び防漏性に優れた吸収性物品を提供すること【解決手段】吸収体4と表面シートと裏面シートとを構成部材として具備する吸収性物品であって、吸収体4は、その周縁部に、内側の隣接領域よりも厚みが薄く且つ密度が高い高密度領域81〜83を有しており、吸収性物品の平面視における吸収体4が配されている領域の、少なくとも高密度領域81〜83より内側に位置する部分81n〜83nに血球凝集剤が含まれており、血球凝集剤は、表面シートから裏面シートまでの構成部材の少なくとも1つに含まれている。【選択図】図3
Description
本発明は、経血の吸収に用いられる女性用吸収性物品として有用な吸収性物品に関する。
生理用ナプキン、パンティライナなどの女性用吸収性物品には経血の吸収性能が高く、表面シート上に排泄された経血を速やかに物品内部の吸収体に吸収することが望まれる。
経血の吸収性能に関する技術に関し、血液処理剤を吸収性物品に適用して、該吸収性物品の経血の吸収性能を向上させる技術が知られている。特許文献1には、無機金属塩を含む月経帯に関する技術が開示され、経血中のヘモグロビンが金属無機塩によって凝集塊となり、無色の流動体をパッドの他の部分における吸収のために通過する、とされている。特許文献2には、血液ゲル化剤を含む衛生ナプキンが開示され、血液ゲル化剤として部分水和無水ジカルボン酸コポリマー又はポリカチオンが例示されている。特許文献3には、赤血球を変更するのに適する流体処理剤で処理された多孔性不織ウエブを備えたパーソナルケア吸収性物品が開示され、流体処理剤としてポリプロピレンオキシド及びポリエチレンオキシドを含むトリブロックポリマー又はポリカチオンが例示されている。特許文献4には、血液凝固剤を含む吸収性物品が開示されている。
また吸収体の周縁部に圧縮加工によって所定幅の高密度領域を形成する技術が知られている。例えば、特許文献5には、防漏壁と防漏壁間に位置する防漏溝を有し、防漏壁と防漏溝との間の領域に、圧縮部位を設けた吸収性物品が記載されている。
特許文献5に記載の吸収性物品は、吸収体の周縁部に、圧縮により厚みを薄型化させた領域を設けることにより、着用感の改善等を図ることができる。しかしながら、吸収体の周縁部に圧縮部位を設けると、その部位における吸収量が減少し、特に経血の排泄量が多い時などでは、吸収体が経血を十分に保持できずに、吸収体の周縁部を越えて外部への液漏れが生じ易くなる。
特許文献1及び4では、血液凝固剤として水溶性の金属化合物を用いる以外、血液の吸収速度を向上させたり、吸収量を向上させる構成について何ら記載されていない。一方、特許文献2及び特許文献3に記載の吸収性物品は、多量の経血吸収時の課題についての認識がない。また、ポリカチオンを含む流体処理剤を使用しうることは記載しているものの、実際にはノニオン系の処理材でのデータしか開示されていない。これら技術では、特に、経血の排泄量が多い場合には、赤血球塊と分離された血液成分の流動体の吸収、固定速度や量が十分でない場合には、経血成分が拡散してしまい、吸収体の周縁部を超え、液漏れを発生してしまう恐れがあった。
本発明の課題は、吸収体の周縁部に圧縮により形成された高密度領域を有していながら、防漏性に優れた吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、着用時に着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有すると共に、着用時に股間部に配され、該股間部における排泄部に対向配置される排泄部対向部を有する股下部と、該股下部よりも着用者の腹側に配される前方部と、該股下部よりも着用者の背側に配される後方部とを縦方向に有し、経血を吸収可能な吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配され着用時に着用者の肌と接触し得る表面シートと、該吸収体の対向面側に配されている裏面シートとを構成部材として具備する吸収性物品であって、
前記吸収体は、その周縁部に、内側の隣接領域よりも厚みが薄く且つ密度が高い高密度領域を有しており、吸収性物品の平面視における前記吸収体が配されている領域の、少なくとも前記高密度領域より内側に位置する部分に血球凝集剤が含まれており、該血球凝集剤は、前記表面シートから前記裏面シートまでの構成部材の少なくとも1つに含まれている、吸収性物品を提供するものである。
前記吸収体は、その周縁部に、内側の隣接領域よりも厚みが薄く且つ密度が高い高密度領域を有しており、吸収性物品の平面視における前記吸収体が配されている領域の、少なくとも前記高密度領域より内側に位置する部分に血球凝集剤が含まれており、該血球凝集剤は、前記表面シートから前記裏面シートまでの構成部材の少なくとも1つに含まれている、吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、吸収体の周縁部に圧縮により形成された高密度領域を有していながら、該高密度領域を越えての液漏れが生じにくく、防漏性に優れた吸収性物品が提供される。
以下、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、図1に示すように、着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有すると共に、着用時に股間部に配され、該股間部における排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部B1を有する股下部Bと、該股下部Bよりも着用者の腹側、即ち前側に配される前方部Aと、該股下部Bよりも着用者の背側、即ち後側に配される後方部Cとを縦方向Xに有し、経血を吸収可能な吸収体4と、該吸収体4の肌対向面側に配され着用時に着用者の肌と接触し得る表面シート2と、該吸収体4の非肌対向面側に配されている裏面シート3とを構成部材として具備する。
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、図1に示すように、着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有すると共に、着用時に股間部に配され、該股間部における排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部B1を有する股下部Bと、該股下部Bよりも着用者の腹側、即ち前側に配される前方部Aと、該股下部Bよりも着用者の背側、即ち後側に配される後方部Cとを縦方向Xに有し、経血を吸収可能な吸収体4と、該吸収体4の肌対向面側に配され着用時に着用者の肌と接触し得る表面シート2と、該吸収体4の非肌対向面側に配されている裏面シート3とを構成部材として具備する。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体4)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側、即ち相対的に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味し、吸収性物品が該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
ナプキン1は、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及び両シート2,3間に介在された吸収体4を具備する吸収性本体5を備えている。吸収性本体5は、縦方向Xにおいて着用者の腹側から順に、前方部A、股下部B及び後方部Cの3つの領域に区分される。縦方向Xは、ナプキン1及び吸収性本体5の長手方向に一致し、横方向Yは、ナプキン1及び吸収性本体5の長手方向に直交する幅方向に一致する。
排泄部対向部B1は、吸収性本体5の股下部Bの一部であり、ナプキン1の着用の際には、着用者における膣口等の排泄部に対向配置される部位である。図1中、股下部Bにおいて点線で囲まれた平面視矩形状の領域が排泄部対向部B1である。排泄部対向部B1の位置や大きさは、吸収性物品の種類や着用者の体型などによって変動するが、排泄部対向部B1は通常、股下部Bの横方向Yの中央部に位置し、股下部Bの縦方向Xの略全長にわたる連続した1つの領域である。
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、さらに吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、さらに吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、表面シート2の吸収体4の両側縁からの延出部よりもさらに横方向Yの外方位置にて、後述するサイドシート6と共にサイドフラップ部5Sを形成している。裏面シート3とサイドシート6とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の縦方向Xの両端からの延出部において、公知の接合手段によって互いに接合されている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。表面シート2、裏面シート3としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、透湿性の樹脂フィルム等を用いることができる。表面シート2は、液透過性を向上させるための各種の油剤、例えば各種の界面活性剤を塗布しておくことができる。表面シート2が多層構造のものである場合、該表面シート2として、着用者の肌に近い側に位置する第1繊維層と、着用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層とを有し、両繊維層が、部分的に形成された多数の接合部によって厚さ方向に一体化されており、第1繊維層における、複数の該接合部どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、前記凹凸形状の凸部を形成している凹凸シートを用いることができる。この凹凸シートにおける凸部は、その全体が繊維で満たされた中実構造のものであってもよく、あるいは内部に空間を有する中空構造のものであってもよい。凸部が中実構造である凹凸シートとしては、例えば特開2007−182662号公報や特開2002−187228号公報に記載のものを用いることができる。
吸収体4は、図2に示すように、液保持性の吸収性コア41と、該吸収性コア41の肌対向面を被覆するコアラップシート42を含んで構成されている。吸収性コア41は、図1に示す如き平面視において、縦方向Xに長い略矩形形状をなしている。コアラップシート42は、吸収性コア41の横方向Yの長さの2倍以上3倍以下の幅を有する1枚の連続した液透過性シートであり、図2に示すように、吸収性コア41の肌対向面の全域を被覆し、且つ吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア41の下方に巻き下げられて、吸収性コア41の非肌対向面の全域を被覆している。尚、コアラップシートはこのような1枚のシートでなくてもよく、例えば、吸収性コア41の肌対向面を被覆する1枚の肌側コアラップシートと、該肌側コアラップシートとは別体で、吸収性コア41の非肌対向面を被覆する1枚の非肌側コアラップシートとを含んで構成されていてもよい。以下、吸収性コア41の被覆に使用されているシートの枚数に拘わらずに、吸収性コア41の肌対向面側を被覆しているコアラップシートを肌側コアラップシート42a、吸収性コア41の非肌対向面側を被覆する部分を非肌側コアラップシート42bともいう。
吸収性コア41は、親水性繊維、高吸収性ポリマーなどの吸収性材料が積繊されてなる繊維集合体であり、公知の積繊装置を用いて常法に従って製造することができる。吸収性コア41の主体をなす親水性繊維としては、疎水性の繊維を親水化処理したものと、それ自体が親水性であるものが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、それ自体が親水性で且つ保水性を有するものが好ましい。後者の親水性繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられる。親水性繊維としては、特にパルプ、レーヨンが好ましく、パルプが一層好ましい。パルプには、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプなどの木材パルプの他に、木綿パルプ、藁パルプなどの非木材パルプなどがあるが、特に制限されない。また、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋させた架橋セルロース繊維、木材パルプをマーセル化処理して得られるような嵩高性のセルロース繊維を用いてもよい。
吸収性コア41は、親水性繊維に加えてさらに高吸収性ポリマーを含有してもよい。吸収性コア41に含有される高吸収性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。高吸収性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸又はメタクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合物も用いることができる。
吸収性本体5の肌対向面、即ち表面シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部には、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート6,6が吸収性本体5の縦方向Xの略全長に亘って配されている。一対のサイドシート6,6は、それぞれ縦方向Xに延びる図示しない接合線にて、公知の接合手段によって表面シート2に接合されている。
ナプキン1は、吸収性本体5に加えてさらに、吸収性本体5における股下部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部5W,5Wを有している。
尚、本発明の吸収性物品において、股下部Bは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部5Wを有する場合には、吸収性物品の縦方向(吸収性物品の長手方向、図中のX方向)においてウイング部5Wを有する領域(一方のウイング部5Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部5Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。ウイング部を有しない吸収性物品における股下部Bは、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(吸収性物品の幅方向、図中のY方向)に横断する2本の折り曲げ線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折り曲げ線と第2折り曲げ線とに囲まれた領域を意味する。
またナプキン1は、吸収性本体5に加えてさらに、吸収性本体5における後方部Cの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対の後方フラップ部5F,5Fとを有している。このような、後方フラップ部を有する生理用ナプキンは、就寝時等に長時間使用するのに適しており、夜用の生理用ナプキンとして特に有用である。夜用のナプキンとしては、縦方向Xの全長が30cm以上のものが好適であり、特に35cm以上のものが好ましい。
サイドフラップ部5Sは、図1に示すように、股下部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部5W,5Wが延設されている。ウイング部5Wは、図1に示す如き平面視において、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体5の側部側に位置する略台形形状を有しており、その非肌対向面には、該ウイング部5Wをショーツ等の着衣に固定するウイング部粘着部(図示せず)が形成されている。ウイング部5Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されて用いられる。また、サイドフラップ部5Sは、後方部Cにおいても横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対の後方フラップ部5F,5Fが延設されている。後方フラップ部5Fは、これを着衣に固定する際に折り返されず、その非肌対向面が広げられた状態(吸収性本体5の側方に延ばされた状態)で、その非肌対向面に形成された後方粘着部(図示せず)を介して、着衣の肌対向面(内面)に固定される。前記ウイング部粘着部及び前記後方粘着部は、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。
吸収性本体5の肌対向面、即ち表面シート2の肌対向面には、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる防漏溝として、一対の側方防漏溝71,71と、一対の側方防漏溝71,71の端部どうしを前方部A側において連結する前方防漏溝72と、一対の側方防漏溝71,71の端部どうしを後方部C側において連結する後方防漏溝73とが形成されている。一対の側方防漏溝71のそれぞれは、ナプキン1の縦方向に延びる中央線CLの両側それぞれにおいて、ナプキン1の縦方向Xに延びている。一対の側方防漏溝71,71は、少なくとも股下部Bにおいて、縦方向Xに延びていることが好ましく、排泄部対向部B1を挟む両側それぞれにおいて、縦方向Xに延びていることが更に好ましい。側方防漏溝71は、股下部Bから前方部A又は後方部Cに亘って延在していることが好ましく、図1に示すように、前方部A、股下部B及び後方部Cに亘って延在していることがより好ましい。
また、一対の側方防漏溝71,71は、図1に示すように、排泄部対向部B1より前方側を通る前方防漏溝72により、前方部A側の端部どうしが連結されていることが好ましく、また、排泄部対向部B1より後方側を通る後方防漏溝73により、後方部C側の端部どうしが連結されていることが好ましい。
一対の側方防漏溝71,71、前方防漏溝72及び後方防漏溝73は、ナプキン1を横方向Yに二分して縦方向Xに延びる仮想中央線CLを基準として対称に形成されている。これら防漏溝71〜73は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。各防漏溝71〜73においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。防漏溝71〜73の主たる役割は、吸収体4の平面方向の液の拡散抑制であるが、吸収体4のヨレ防止機能も有する。
また、一対の側方防漏溝71,71は、図1に示すように、排泄部対向部B1より前方側を通る前方防漏溝72により、前方部A側の端部どうしが連結されていることが好ましく、また、排泄部対向部B1より後方側を通る後方防漏溝73により、後方部C側の端部どうしが連結されていることが好ましい。
一対の側方防漏溝71,71、前方防漏溝72及び後方防漏溝73は、ナプキン1を横方向Yに二分して縦方向Xに延びる仮想中央線CLを基準として対称に形成されている。これら防漏溝71〜73は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。各防漏溝71〜73においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。防漏溝71〜73の主たる役割は、吸収体4の平面方向の液の拡散抑制であるが、吸収体4のヨレ防止機能も有する。
本実施形態のナプキン1の主たる特徴の1つとして、吸収体4が、その周縁部に、排泄部対向部B1側の隣接領域よりも厚みが薄く且つ密度が高い高密度領域を有する点が挙げられる。
吸収体4の周縁部の周方向の一部又は全域に高密度領域8を設けることにより、吸収体4の周縁部が、着用者の肌に強く当たることが防止され、着用感が向上する。
本実施形態のナプキン1は、吸収体4に形成された高密度領域8として、一対の側方高密度領域81,81を有している。更に本実施形態のナプキン1は、前方高密度領域82と、後方高密度領域83とを有している。
一対の側方高密度領域81は、ナプキン1の横方向Yにおける吸収体4の両端部に、それぞれナプキン1の縦方向Xに延びて形成されている。側方高密度領域81は、少なくとも股下部Bに形成されていることが好ましく、股下部Bから前方部A又は後方部Cに亘って延在していることが更に好ましく、また、前方部A、股下部B及び後方部Cに亘って延在していることも好ましい。
吸収体4の周縁部の周方向の一部又は全域に高密度領域8を設けることにより、吸収体4の周縁部が、着用者の肌に強く当たることが防止され、着用感が向上する。
本実施形態のナプキン1は、吸収体4に形成された高密度領域8として、一対の側方高密度領域81,81を有している。更に本実施形態のナプキン1は、前方高密度領域82と、後方高密度領域83とを有している。
一対の側方高密度領域81は、ナプキン1の横方向Yにおける吸収体4の両端部に、それぞれナプキン1の縦方向Xに延びて形成されている。側方高密度領域81は、少なくとも股下部Bに形成されていることが好ましく、股下部Bから前方部A又は後方部Cに亘って延在していることが更に好ましく、また、前方部A、股下部B及び後方部Cに亘って延在していることも好ましい。
本実施形態のナプキン1は、横方向Yにおける吸収体4の両端部と一部が重なるように、一対のサイドシート6が設けられている。一対のサイドシート6それぞれは、ナプキン1の縦方向Xに沿って延びており、股下部Cに位置する部分においては、中央線CLの縁部である内側縁部61及びその近傍が表面シート2に固定されておらず、内側縁部61から外側に離間した部位が表面シート2上に固定されている。
側方高密度領域81は、図1に示すように、股下部Bにおける中央線CLの両側それぞれにおいて、側方防漏溝71より幅方向Yの外側に形成されている。側方高密度領域81と、厚さ及び密度を対比する内側の隣接領域は、側方防漏溝71のような、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状の防漏溝を除く部分とする。例えば、図1に示す側方高密度領域81は、側方高密度領域81と側方防漏溝71との間の領域よりも厚みが薄く密度が高ければ良い。また側方高密度領域81に隣接して側方防漏溝71があるような場合は、側方防漏溝71より中央線CL側の領域より、厚みが薄く密度が高ければ良い。
同様に、前方高密度領域82も、前方防漏溝72より前方に位置することが好ましく、その場合、前方高密度領域82は、該前方高密度領域82と前方防漏溝72との間の領域を内側の隣接領域として、該隣接領域より厚みが薄く密度が高いことが好ましい。後方高密度領域83も、後方防漏溝73より後方に位置することが好ましく、その場合、後方高密度領域83も、後方高密度領域83と後方防漏溝73との間の領域を内側の隣接領域として、該隣接領域より厚みが薄く密度が高いことが好ましい。
同様に、前方高密度領域82も、前方防漏溝72より前方に位置することが好ましく、その場合、前方高密度領域82は、該前方高密度領域82と前方防漏溝72との間の領域を内側の隣接領域として、該隣接領域より厚みが薄く密度が高いことが好ましい。後方高密度領域83も、後方防漏溝73より後方に位置することが好ましく、その場合、後方高密度領域83も、後方高密度領域83と後方防漏溝73との間の領域を内側の隣接領域として、該隣接領域より厚みが薄く密度が高いことが好ましい。
一対の側方高密度領域81,81は、図1に示すように、股下部B又は排泄部対向部B1より前方において、前方高密度領域82と連結されていることが好ましい。また、一対の側方高密度領域81,81は、図示しないが、股下部B又は排泄部対向部B1より後方において、後方高密度領域83と連結されていることも好ましい。
ナプキン1の吸収体4に、高密度領域8を形成する方法としては、周面に、高密度領域に対応する形状の圧縮用凸部を有する加圧ロールと表面平滑な受けロールとの間に、吸収性コア41がコアラップシート42で被覆された構成の吸収体4を導入して、該吸収体4の周縁部を圧縮用凸部で圧縮する方法が挙げられる。周縁部の全域又は一部を加圧圧縮する吸収体は、個々のナプキン用の長さに切断された後の吸収体4であっても良いし、吸収体4が長手方向に連続した吸収体連続体であっても良い。吸収体連続体は、個々の吸収体の周縁部となる箇所を加圧圧縮した後、個々の吸収体に切断する。
吸収体4の加圧圧縮は、加圧ロール及び受けロールの一方又は双方を加熱した状態下に行っても良いし、非加熱の状態で行っても良い。また、加圧ロール及び受けロールの一方又は双方を加熱する場合、吸収体内に含まれる繊維が軟化又は融着する温度で行っても良いし、パルプ繊維を用いる場合等、軟化や融着が起こらない条件下で行っても良い。
吸収体4の加圧圧縮は、加圧ロール及び受けロールの一方又は双方を加熱した状態下に行っても良いし、非加熱の状態で行っても良い。また、加圧ロール及び受けロールの一方又は双方を加熱する場合、吸収体内に含まれる繊維が軟化又は融着する温度で行っても良いし、パルプ繊維を用いる場合等、軟化や融着が起こらない条件下で行っても良い。
高密度領域8は、圧縮されていることによって、内側の隣接部位に比して厚みが小さく密度が大きくなっている。内側の隣接部位とは、図3に示すように、側方高密度領域81については、その側方高密度領域81よりもナプキン1の横方向Yの中央部側に位置する該側方高密度領域81の隣接領域81nであり、前方高密度領域82については、前方高密度領域82よりもナプキン1の縦方向Xの中央部側(排泄部対向部B1側)に位置する前方高密度領域82の隣接領域82nであり、後方高密度領域83については、後方高密度領域83よりもナプキン1の縦方向Xの中央部側(排泄部対向部B1側)に位置する後方高密度領域83の隣接領域83nである。また、ナプキン1では、吸収体4の隣接領域81n、82n、83nに防漏溝7が設けられており、高密度領域8は、圧縮されることにより、隣接領域81n、82n、83nの防漏溝7を除く部分の厚みよりも厚みが薄く且つ密度が高くなっている。
高密度領域81〜83は、装着感の向上の点から、厚みが、3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることが、より好ましい。また、収集性能の点から、厚みは、0.2以上であることが好ましく、0.3mm以上であることが、より好ましい。また、0.2mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.3mm以上2.0mm以下であることが、より好ましい。隣接領域81n〜83nの厚みは、吸収性能の点から、1.0mm以上であることが好ましく、2.1mm以上であることが、より好ましい。また、厚みは、装着感の点から、5.0以下であることが、好ましく、4.0mm以下であることが、より好ましい。また、1.0mm以上5.0mm以下であることが、好ましく、2.1mm以上4.0mm以下であることがより好ましい。高密度領域81〜83は、装着感の向上の観点から、それぞれの隣接領域81n〜83nに比して厚みが、80%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以下であり、また硬くなり過ぎるのを防止する観点から、5%以上であることが好ましく、より好ましくは8%以上であり、また、5%以上80%以下、より好ましくは8%以上50%以下であることが好ましい。
また、側方高密度領域81は、吸収体4の側縁から内側の縁部までの長さ(縦方向の同位置で測定した最大長さ)が、5mm以上30mm以下であることが好ましく、10mm以上25mm以下であることがより好ましい。前方高密度領域82及び83は、吸収体4の前端縁又は後端縁から内側の縁部までの長さ(横方向Yの中央位置で測定した最大長さ)が、5mm〜40mmであることが好ましく、10mm〜30mmであることが好ましい。
また、高密度領域81〜83は、密度が、0.100g/cm3以上であることが好ましく、0.150g/cm3以上であることが更に好ましく、また、密度が、0.800g/cm3以下であることが好ましく、0.750g/cm3以下であることが更に好ましい。
高密度領域81〜83の厚みについては、カミソリ刃等の鋭利な刃物で、ナプキンを横方向Yに沿って切断し、その切断面における吸収体の厚みを無荷重下に測定する。前方高密度領域82及び後方高密度領域83の厚みについては、カミソリ刃等の鋭利な刃物で、ナプキンを縦方向Xに沿って切断し、その切断面を無荷重下に観察して、前方高密度領域82、後方高密度領域83及び排泄部対向部B1の厚みを計測する。
高密度領域8の密度については、吸収体の側縁からの距離が5mmの位置において該側縁と平行に吸収体を切断するとともに、及び縦方向に相互に離間した2箇所において前記側縁に対して直角に吸収体を切断し、吸収体の側縁を含む、横方向Yの長さが5mm、縦方向Xの長さ5mmの測定片を切り出す。その測定片の厚みから該測定片の密度を算出する。測定片の厚みは、カミソリ刃等の鋭利な刃物で、吸収体を切断し、その切断面を無荷重下に観察して、高密度領域8の厚みを計測する。
なお、隣接領域81n〜83nに、防漏溝7が存在する場合、隣接領域81n〜83nの厚み及び密度を算出するに当たっては、防漏溝7部分及びその両側1mmずつの部分は、内側隣接領域に含めない。
高密度領域81〜83の厚みについては、カミソリ刃等の鋭利な刃物で、ナプキンを横方向Yに沿って切断し、その切断面における吸収体の厚みを無荷重下に測定する。前方高密度領域82及び後方高密度領域83の厚みについては、カミソリ刃等の鋭利な刃物で、ナプキンを縦方向Xに沿って切断し、その切断面を無荷重下に観察して、前方高密度領域82、後方高密度領域83及び排泄部対向部B1の厚みを計測する。
高密度領域8の密度については、吸収体の側縁からの距離が5mmの位置において該側縁と平行に吸収体を切断するとともに、及び縦方向に相互に離間した2箇所において前記側縁に対して直角に吸収体を切断し、吸収体の側縁を含む、横方向Yの長さが5mm、縦方向Xの長さ5mmの測定片を切り出す。その測定片の厚みから該測定片の密度を算出する。測定片の厚みは、カミソリ刃等の鋭利な刃物で、吸収体を切断し、その切断面を無荷重下に観察して、高密度領域8の厚みを計測する。
なお、隣接領域81n〜83nに、防漏溝7が存在する場合、隣接領域81n〜83nの厚み及び密度を算出するに当たっては、防漏溝7部分及びその両側1mmずつの部分は、内側隣接領域に含めない。
本実施形態のナプキン1の主たる特徴の他の1つとして、ナプキン1の平面視における吸収体4が配されている領域の、少なくとも高密度領域8の内側に位置する部分に血球凝集剤が含まれており、血球凝集剤は、表面シート2から裏面シート3までの構成部材の少なくとも1つに含まれている。平面視における吸収体4が配されている領域とは、吸収体4が厚み方向の内部に存在している領域である。表面シート2から裏面シート3までの構成部材は、吸収体4の肌対向面側に該吸収体4と重なって存在する表面シート2等の構成部材や、吸収体4の非肌対向面側に該吸収体4と重なって存在する裏面シート3等の構成部材、吸収体4等である。血球凝集剤は、これらの構成部材のいずれか1つ以上に含まれていれば良く、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート等の他の部材を介在させる場合は、その部材に配されていても良い。また、裏面シート3の肌対向面側に配されていても良い。
血球凝集剤は、コアラップシート42における、少なくとも吸収性コア41の肌対向面側に位置する部分、即ち肌側コアラップシート42aに配されていることが好ましい。肌側コアラップシート42aに配されている場合としては、1)肌側コアラップシート42aの全域が、血球凝集剤が配された凝集剤配置部となっている場合、2)図4(a)に示すように、肌側コアラップシート42aにおける、高密度領域8に隣接して該高密度領域8の内側(排泄部対向部側)に位置する内側隣接領域81n〜83nのみが、血球凝集剤が配された凝集剤配置部9となっている場合、3)図4(b)に示すように、肌側コアラップシート42aにおける、高密度領域8と重なっている部分及び該高密度領域8に隣接して該高密度領域8の内側(排泄部対向部側)に位置する内側隣接領域81n〜83nの両者が、血球凝集剤が配された凝集剤配置部9となっている場合等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、図4(a)及び図4(b)に示す例は、肌側コアラップシート42aが、血球凝集剤が配された凝集剤配置部9と、血球凝集剤が配されていない凝集剤非配置部とを有する例である。
なお、図4(a)及び図4(b)に示す例は、肌側コアラップシート42aが、血球凝集剤が配された凝集剤配置部9と、血球凝集剤が配されていない凝集剤非配置部とを有する例である。
また、血球凝集剤を含む凝集剤配置部9は、肌側コアラップシート42aのみに形成されていても良いが、肌側コアラップシート42a及び吸収性コア41に形成されていることが好ましく、更に肌側コアラップシート42a、吸収性コア41及び非肌側コアラップシート42bに亘るように形成されていることも好ましい。また、吸収体4に加えて、表面シート2や裏面シート3にも、血球凝集剤を含む凝集剤配置部が形成されていても良い。
コアラップシート42等のナプキンの構成部材にカチオン性ポリマーを含む血球凝集剤を含有させて凝集剤配置部を形成する方法としては、その構成部材に血球凝集剤を保持させ得る限り特に制限されないが、例えば、血球凝集剤を、水、エタノール等の適宜の溶媒に溶解させ、粘度等の諸物性を適宜調整した溶液としてコアラップシート42に付着又は浸漬させた後、乾燥して溶媒を除去することが、コアラップシート42の空孔部に血球凝集剤を埋めた状態に保持されやすい観点から好ましい。血球凝集剤を含む溶液をコアラップシート42に付着させる方法としては、コアラップシート42の所定箇所への溶液の滴下、各種の塗工方法を採用することができる。例えば、スプレー法、ディッピング法、転写法、ダイ塗工、グラビア塗工、インクジェット法、スクリーン印刷等の公知の液体塗工装置を用いたコアラップシート42の所定箇所への液体の塗工等が挙げられる。これらの中でも、スプレー塗工法が、粘度等の諸物性を適宜調整した血球凝集剤を含む溶液を、スプレー用ノズルの形状、その塗布量等を適宜調整することで、効率的に空孔を埋める状態に保持できる点から好ましい。また、乾燥は、加熱による乾燥、減圧による乾燥、加熱と減圧とを組み合わせた乾燥の何れでも良いが、これらの強制乾燥に代えて自然乾燥でも良い。加熱による乾燥、基材シートの空孔部を埋めた状態に固定する観点から、血球凝集剤や基材シートが損傷しない範囲において、より高温に加熱し、溶媒を急激に除去することにより乾燥することが、より好ましい。
本実施形態のナプキン1は、通常の生理用ナプキンと同様に、ショーツのクロッチ部等に固定して使用される。
本実施形態のナプキン1においては、吸収体4の周縁部に、厚み及び密度が小さい高密度領域81〜83を有するため、周縁部の柔軟性の向上や、身体との擦れによる違和感の低減など、装着感に優れている。
しかも、吸収体4の周縁部に高密度領域81〜83が存在し、その内側に血球凝集剤を配することによって、単に吸収体4の周縁部に高密度領域を形成した場合に生じ易い防漏性の低下を効果的に抑制することができる。すなわち、例えば、吸収体4の周縁部に高密度領域8が存在すると、パルプの体液吸収容量が少なくなり、その結果として、高密度領域81の位置を超えて経血が外部に漏れだし易くなるが、高密度領域8より内側に位置する部分に血球凝集剤が配されていると、高密度領域8に向かう経血あるいは高密度領域8中の経血中の赤血球に作用し、経血中に赤血球の凝集塊を生じ、その凝集塊が、高密度領域8の繊維間に捕捉され、経血の流れを堰き止める堰き止め効果を生じる。
このような作用により、本発明の一実施形態であるナプキン1は、装着感及び防漏性に共に優れたものとなっている。
本実施形態のナプキン1においては、吸収体4の周縁部に、厚み及び密度が小さい高密度領域81〜83を有するため、周縁部の柔軟性の向上や、身体との擦れによる違和感の低減など、装着感に優れている。
しかも、吸収体4の周縁部に高密度領域81〜83が存在し、その内側に血球凝集剤を配することによって、単に吸収体4の周縁部に高密度領域を形成した場合に生じ易い防漏性の低下を効果的に抑制することができる。すなわち、例えば、吸収体4の周縁部に高密度領域8が存在すると、パルプの体液吸収容量が少なくなり、その結果として、高密度領域81の位置を超えて経血が外部に漏れだし易くなるが、高密度領域8より内側に位置する部分に血球凝集剤が配されていると、高密度領域8に向かう経血あるいは高密度領域8中の経血中の赤血球に作用し、経血中に赤血球の凝集塊を生じ、その凝集塊が、高密度領域8の繊維間に捕捉され、経血の流れを堰き止める堰き止め効果を生じる。
このような作用により、本発明の一実施形態であるナプキン1は、装着感及び防漏性に共に優れたものとなっている。
前方高密度領域82や後方高密度領域83のように、高密度領域8として、ナプキン1の縦方向における吸収体4の両端部の一方又は双方に形成されていることは、経血が前後方向から漏れ難くなることに加え、装着時における前後方向でゴワゴワ感の低減、身体とのなじみやすさの点から好ましい。
また一対の側方高密度領域81のように、高密度領域8として、ナプキン1の横方向Yにおける吸収体4の両端部に、高密度領域がそれぞれ横方向Yに延びて形成されていることは、ナプキン1の両端部の厚みが少なくなることで、見た目に厚みが薄く見えるだけではなく、装着時の両端部と大腿部との違和感の低減などの点から好ましい。
また一対の側方高密度領域81のように、高密度領域8として、ナプキン1の横方向Yにおける吸収体4の両端部に、高密度領域がそれぞれ横方向Yに延びて形成されていることは、ナプキン1の両端部の厚みが少なくなることで、見た目に厚みが薄く見えるだけではなく、装着時の両端部と大腿部との違和感の低減などの点から好ましい。
経血が高密度領域8を越えて経血が外方に漏れ出すことを一層効果的に抑制させる観点から、高密度領域8、例えば前述した各高密度領域81〜83の一又は二以上には、図5(a)〜図5(f)に示すようなパターンで、高密度部10と該高密度部に比して密度の低い低密度部11とが形成されていることが好ましい。図5(a)〜図5(f)に示す高密度部10は、吸収体4の高密度領域8を形成する際に該吸収体4を部分的に強く加圧圧縮して形成された高密度部である。図5(a)に示す高密度部10は、表面シート2側(着用者側)が、平面視において円形状の窪み部となっている。
高密度領域8が、部分的に形成された高密度部10を有すると、経血中に生じた凝集塊が、その高密度部10に局所的に詰まり易くなり、当該部分での液の堰き止め効果が向上し、柔軟性を良好に維持しながら液漏れ防止効果が向上させることができる。
高密度部10は、周面に、高密度領域に対応する形状の圧縮用凸部を有する加圧ロールと表面平滑な受けロールとの間で加圧圧縮して吸収体4に高密度領域8を形成する際に、圧縮用凸部の先端面に所定形状の凹凸が形成された加圧ロールを用いることによって形成することができる。また、吸収体4に高密度領域8を形成した後、更にその高密度領域8を部分的に強く圧縮することによって、高密度部10を形成しても良い。
高密度領域8が、部分的に形成された高密度部10を有すると、経血中に生じた凝集塊が、その高密度部10に局所的に詰まり易くなり、当該部分での液の堰き止め効果が向上し、柔軟性を良好に維持しながら液漏れ防止効果が向上させることができる。
高密度部10は、周面に、高密度領域に対応する形状の圧縮用凸部を有する加圧ロールと表面平滑な受けロールとの間で加圧圧縮して吸収体4に高密度領域8を形成する際に、圧縮用凸部の先端面に所定形状の凹凸が形成された加圧ロールを用いることによって形成することができる。また、吸収体4に高密度領域8を形成した後、更にその高密度領域8を部分的に強く圧縮することによって、高密度部10を形成しても良い。
図5(a)〜図5(f)に示す高密度部10は、高密度部10と、高密度部10に比して密度の低い低密度部とが、一方向に交互に配されるパターンで形成されている。斯かるパターンの典型的なものは千鳥状パターンである。図5(a)に示す高密度部10は千鳥状パターンで形成されている。即ち、高密度領域81〜83においては、複数の高密度部10が縦方向Xに所定間隔を置いて直線的に列状に配置されてなる高密度部10の縦列が、横方向Yに複数列配置され、且つ縦方向Xにおいて、隣在する該高密度部10の縦列どうしで互いに高密度部10がずれている。
千鳥状パターンの高密度部10の寸法等は次のように設定することが好ましい。
高密度部10の直径は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。尚、ここでいう高密度部10の直径とは、高密度部10が平面視円形状でない場合には、平面視における最大長さを意味する。例えば高密度部10が平面視楕円形状の場合は、その楕円形の長軸の長さが前記範囲にあることが好ましい。
隣り合う高密度部10,10の高密度部の中心点間の最短距離は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは15.0mm以下、さらに好ましくは12.0mm以下である。
図5(b)、(c)のように、高密度部10が短直線状の場合には、隣り合う短直線の中心点間の距離が、前記範囲にあることが好ましい。また、図5(d)、(e)、(f)のように、高密度部10が互いに交差する直線状の場合は、交差する直線どうしの隣合う交点間の最短距離が、前記範囲にあることが好ましい。
高密度部10の密度は、好ましくは0.100g/cm3以上、さらに好ましくは0.150g/cm3以上、そして、好ましくは0.800g/m3以下、さらに好ましくは0.750g/m3以下である。
低密度部即ち高密度部10の非配置部の密度は、好ましくは0.01g/m3以上、さらに好ましくは0.02g/m3以上、そして、好ましくは0.09g/cm3以下、さらに好ましくは0.08g/cm3以下である。
千鳥状パターンの高密度部10の寸法等は次のように設定することが好ましい。
高密度部10の直径は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。尚、ここでいう高密度部10の直径とは、高密度部10が平面視円形状でない場合には、平面視における最大長さを意味する。例えば高密度部10が平面視楕円形状の場合は、その楕円形の長軸の長さが前記範囲にあることが好ましい。
隣り合う高密度部10,10の高密度部の中心点間の最短距離は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは15.0mm以下、さらに好ましくは12.0mm以下である。
図5(b)、(c)のように、高密度部10が短直線状の場合には、隣り合う短直線の中心点間の距離が、前記範囲にあることが好ましい。また、図5(d)、(e)、(f)のように、高密度部10が互いに交差する直線状の場合は、交差する直線どうしの隣合う交点間の最短距離が、前記範囲にあることが好ましい。
高密度部10の密度は、好ましくは0.100g/cm3以上、さらに好ましくは0.150g/cm3以上、そして、好ましくは0.800g/m3以下、さらに好ましくは0.750g/m3以下である。
低密度部即ち高密度部10の非配置部の密度は、好ましくは0.01g/m3以上、さらに好ましくは0.02g/m3以上、そして、好ましくは0.09g/cm3以下、さらに好ましくは0.08g/cm3以下である。
高密度部10の単位面積当たりの数は、該単位面積を一辺1.0cmの平面視正方形形状の領域の面積とした場合に、好ましくは1個以上、さらに好ましくは2個以上、そして、好ましくは10個以下、さらに好ましくは9個以下である。
図5には、高密度部の好ましい配置パターンが示されている。図5に示すパターンは何れも、高密度部(圧縮部、窪み部)と低密度部(非圧縮部)とが一方向に交互に配されるパターンである。
図5(a)は、平面視円形状の高密度部10が千鳥状パターンで形成されている。各高密度部10は、その平面視円形状の全体が表面シート2側から圧縮されて周辺に比して高密度となっている。
図5(b)は、平面視線状の高密度部10が千鳥状に形成されたパターンであり、各高密度部10は横方向Yに延びる直線状をなしている。前方高密度領域82及び後方高密度領域83には、このパターンで高密度部10を形成することが好ましい。
図5(c)は、互いに交差する直線状の高密度部10が平面視菱形状の目を持つ格子状に形成されたパターンであり、高密度部10は、縦方向X及び横方向Yの両方向と交差する方向に延びる2種類の直線部分を含んで構成されている。側方高密度領域81には、このパターンで高密度部10を形成することが好ましい。
図5(a)は、平面視円形状の高密度部10が千鳥状パターンで形成されている。各高密度部10は、その平面視円形状の全体が表面シート2側から圧縮されて周辺に比して高密度となっている。
図5(b)は、平面視線状の高密度部10が千鳥状に形成されたパターンであり、各高密度部10は横方向Yに延びる直線状をなしている。前方高密度領域82及び後方高密度領域83には、このパターンで高密度部10を形成することが好ましい。
図5(c)は、互いに交差する直線状の高密度部10が平面視菱形状の目を持つ格子状に形成されたパターンであり、高密度部10は、縦方向X及び横方向Yの両方向と交差する方向に延びる2種類の直線部分を含んで構成されている。側方高密度領域81には、このパターンで高密度部10を形成することが好ましい。
図5(d)は、互いに交差する直線状の高密度部10が平面視正方形状又は矩形状の目を持つ格子状に形成されたパターンであり、高密度部10は、縦方向Xに延びる直線部分と横方向Yに延びる直線部分とを含んで構成されている。
図5(e)は、屈曲線状の高密度部10が六角形の目を持つ格子状に形成されたいわゆるハニカム状パターンである。
図5(d)及び図5(e)のパターンは、側方高密度領域81、前方高密度領域82及び後方高密度領域83のいずれにも適している。
図5(c)〜図5(e)に示すパターンにおいて、格子の目に当たる部分は何れも低密度部11である。
図5(e)は、屈曲線状の高密度部10が六角形の目を持つ格子状に形成されたいわゆるハニカム状パターンである。
図5(d)及び図5(e)のパターンは、側方高密度領域81、前方高密度領域82及び後方高密度領域83のいずれにも適している。
図5(c)〜図5(e)に示すパターンにおいて、格子の目に当たる部分は何れも低密度部11である。
高密度領域8に部分的に形成する高密度部は、図5(b)〜図5(f)に示すパターンのように、高密度部が、ナプキン等の吸収性物品の縦方向X又は横方向Yに連続して延びるものが、経血の堰き止め効果の点から好ましい。また、図5(b)〜図5(f)に示すパターンにおいて、互いに平行に延びる線状部分間の間隔は、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは15.0mm以下、さらに好ましくは12.0mm以下である。
赤血球の凝集塊を生じさせることによって、経血が高密度領域8を横断して外方に漏れ出すのを抑制させる観点から、血球凝集剤は、重量平均分子量2000以上3000万以下のカチオン性ポリマーであることが好ましい。血球凝集剤として用いるカチオン性ポリマーの分子量が、2000以上であると、赤血球の凝集効果が向上し、赤血球の凝集塊による漏れ防止効果が一層向上し、3000万以下であると、凝集塊の目詰まりによる吸収性能の低下を防ぐことができる。経血が高密度領域8を横断して外方に漏れ出すのを抑制と、凝集塊の目詰まりによる吸収性能の低下の防止の観点から、血球凝集剤として用いるカチオン性ポリマーの分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは1万以上であり、また好ましくは3000万以下、より好ましくは1000万以下であり、また好ましくは2000以上3000万以下、より好ましくは1万以上1000万以下である。
本発明に用いられる血球凝集剤としては、血液中の赤血球を凝集させ得る作用を有するものが用いられる。血球凝集剤によって凝集した赤血球は凝集塊となる。血球凝集剤としてはカチオン性ポリマーが有用である。その理由は次のとおりである。赤血球はその表面に赤血球膜を有する。赤血球膜は、2層構造を有している。この2層構造は、下層である赤血球膜骨格と上層である脂質皮膜からなる。赤血球の表面に露出している脂質皮膜には、グリコホリンと呼ばれるタンパク質が含まれている。グリコホリンはその末端にシアル酸と呼ばれるアニオン電荷を帯びた糖が結合した糖鎖を有している。その結果、赤血球はアニオン電荷を帯びたコロイド粒子として扱うことができる。コロイド粒子の凝集には一般に凝集剤が用いられる。赤血球がアニオン性のコロイド粒子であることを考慮すると、凝集剤としてはカチオン性の物質を用いることが、赤血球の電気二重層を中和する点から有利である。また凝集剤が高分子鎖を有していると、赤血球の表面に吸着した凝集剤の高分子鎖どうしの絡み合いが生じやすくなり、そのことに起因して赤血球の凝集が促進される。更に、凝集剤が官能基を有している場合には、該官能基間の相互作用によっても赤血球の凝集が促進されるので好ましい。血球凝集剤(カチオン性ポリマー)によれば、以上の作用機序によって経血中に赤血球の凝集塊を生成することが可能になる。
ナプキン1の備える血球凝集剤とは、血液中の赤血球を凝集させて凝集塊を形成し、血漿成分と分離するよう作用するものである。好ましい血球凝集剤としては、擬似血液に、1000ppm添加した際に、血液の流動性が維持された状態で、少なくとも2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成するものである。ここで、「血液の流動性が維持された状態」は、測定サンプルが1000ppm添加された血液10gをスクリュー管瓶(マルエム社製 品番「スクリュー管No.4」,口内径14.5mm,胴径27mm,全長55mm)に入れ、該擬似血液を入れたスクリュー管瓶を180度反転した際に、5秒以内で80%以上の該経血擬似血液が流れ落ちる状態を意味する。擬似血液とは、B型粘度計(東機産業株式会社製 型番TVB−10M、測定条件:ローターNo.19、30rpm、25℃、60秒間)を用いて測定した粘度が8mPa・sになるように脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製)の血球・血漿比率を調製したものである。また、「2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成」しているか否かは、次のようにして判断される。すなわち、測定サンプル剤が、1000ppm添加された前記擬似血液を、生理食塩水で4000倍に希釈し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製 型番:LA−950V2,測定条件:フロー式セル測定,循環速度1,超音波なし)を用いたレーザー回折散乱法によって、温度25℃にて測定した体積粒径平均のメジアン径が、2個以上の赤血球が凝集した凝集塊のサイズに相当する10μm以上である場合に、「2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成」していると判断する。
本発明で用いられる血球凝集剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物若しくは前記の性質に当てはまる単一の化合物の複数の組み合わせ、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(赤血球の凝集を発現し得る)剤である。つまり血球凝集剤とは、あくまで前記定義によるところの赤血球凝集作用があるものに限定した剤のことである。したがって、血球凝集剤に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、それを血球凝集剤組成物と表現し、血球凝集剤と区別する。
本発明で用いる血球凝集剤としては、カチオン性ポリマーを含むものが好適なものとして挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン化セルロースや、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン等のカチオン化デンプンなどが挙げられる。また、本発明で用いられる血球凝集剤は、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含むこともできる。本発明において「第4級アンモニウム塩」とは、窒素原子の位置にプラス一価の電荷を有している化合物、又は中和によって窒素原子の位置にプラス一価の電荷を生じさせる化合物を包含し、その具体例としては、第4級アンモニウムカチオンの塩、第3級アミンの中和塩、及び水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンが挙げられる。以下に述べる「第4級アンモニウム部位」も同様の意味で用いられ、水中で正に帯電する部位である。また、本発明において「共重合物」とは、2種以上の重合性単量体の共重合によって得られた重合物のことであり、二元系共重合物及び三元系以上の共重合物の双方を包含する。本発明において「重縮合物」とは、2種以上の単量体からなる縮合物を重合することで得られた重縮合物である。
本発明で用いる血球凝集剤が、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び/又は第4級アンモニウム塩共重合物及び/又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含む場合、該血球凝集剤は、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物のうちのいずれか1種を含んでいてもよく、あるいは任意の2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。また第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。同様に、第4級アンモニウム塩共重合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に同様に、第4級アンモニウム塩重縮合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述した各種のカチオン性ポリマーのうち、特に、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を用いることが、赤血球への吸着性の点から好ましい。以下の説明においては、簡便のため、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物を総称して「第4級アンモニウム塩ポリマー」と言う。
第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種用い、これを重合することで得られたものである。一方、第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を少なくとも1種用い、必要に応じ第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を少なくとも1種用い、これらを共重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を2種以上用い、これらを共重合させて得られたものであるか、又は第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い、これらを共重合させて得られたものである。第4級アンモニウム塩共重合物は、ランダム共重合物でもよく、交互共重合物でもよく、ブロック共重合物でもよく、あるいはグラフト共重合物でもよい。第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それら縮合物を重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体2種以上の縮合物を用い、これを重合させて得られたものであるか、又は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない単量体1種以上からなる縮合物を用い、これを縮重合させて得られたものである。
第4級アンモニウム塩ポリマーは、第4級アンモニウム部位を有するカチオン性のポリマーである。第4級アンモニウム部位は、アルキル化剤を用いた第3級アミンの第4級アンモニウム化によって生成させることができる。あるいは第3級アミンを酸若しくは水に溶解させ、中和で生じさせることができる。あるいは縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化によって生成させることができる。アルキル化剤としては、例えばハロゲン化アルキルや、硫酸ジメチル及び硫酸ジメチルなどの硫酸ジアルキルが挙げられる。これらのアルキル化剤のうち、硫酸ジアルキルを用いると、ハロゲン化アルキルを用いた場合に起こり得る腐食の問題が生じないので好ましい。酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、リン酸、フルオロスルホン酸、ホウ酸、クロム酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸、ギ酸、アスコルビン酸、ヒアルロン酸などが挙げられる。特に、アルキル化剤によって第3級アミン部位を第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ポリマーを用いると、赤血球の電気二重層を確実に中和できるので好ましい。縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化は、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの開環重縮合反応、ジシアンジアミドとジエチレントリアミンの環化反応のようにして生じさせることができる。
前述したとおり、赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは、その分子量が15万以上60万以下であることが好ましい。カチオン性ポリマーの分子量は、その重合条件を適切に選択することで制御することができる。カチオン性ポリマーの分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8320GPCを用いて測定することができる。具体的な測定条件は次のとおりである。
カラムとしては、東ソー株式会社製のガードカラムαと分析カラムα−Mを直列でつないだものを、カラム温度:40℃で用いる。検出器は、RI(屈折率)を用いる。測定サンプルとしては、溶離液1mLに対して1mgの測定対象の処理剤(第4級アンモニウム塩ポリマー)を溶解させる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、水に150mmol/Lの硫酸ナトリウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、溶離液10mLに対して、分子量5900のプルラン、分子量47300のプルラン、分子量21.2万のプルラン、分子量78.8万のプルラン、各2.5mg溶解させたプルラン混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は流速:1.0mL/min、注入量:100μLで測定する。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、エタノール:水=3:7(体積比)に50mmol/Lの臭化リチウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、溶離液20mLに対して、分子量106のポリエチレングリコール(PEG)、分子量400のPEG、分子量1470のPEG、分子量6450のPEG、分子量5万のポリエチレンオキシド(PEO)、分子量23.5万のPEO、分子量87.5万のPEO、各10mg溶解させたPEG−PEO混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は流速:0.6mL/min、注入量:100μLで測定する。
赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは水溶性であることが好ましい。本発明において「水溶性」とは、100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に0.05gの1mm以下の粉末状又は厚み0.5mm以下のフィルム状カチオン性ポリマーを25℃の50mLイオン交換水に添加混合したときに、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、アズワン株式会社製マグネチックスターラーHPS−100を用いて600rpm攪拌下、その全量が24時間以内に水に溶解する性質のことである。なお、本発明において、更に好ましい溶解性としては、全量が3時間以内に水に溶解することが好ましく、全量が30分以内に水に溶解することが更に好ましい。
カチオン性ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。特に第4級アンモニウム塩ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。第4級アンモニウム部位は側鎖に存在していることが好ましい。この場合、主鎖と側鎖とが1点で結合していると、側鎖の可撓性が阻害されにくくなり、側鎖に存在している第4級アンモニウム部位が赤血球の表面に円滑に吸着するようになる。尤も本発明において、カチオン性ポリマーの主鎖と側鎖とが2点又はそれ以上で結合していることは妨げられない。本発明において「1点で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの1個が、側鎖の末端に位置する1個の炭素原子と単結合していることをいう。「2点以上で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの2個以上が、側鎖の末端に位置する2個以上の炭素原子とそれぞれ単結合していることをいう。
カチオン性ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、例えば第4級アンモニウム塩ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、各側鎖の炭素数は4以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましく、6以上であることが一層好ましい。炭素数の上限値は、10以下であることが好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることが一層好ましい。例えば側鎖の炭素数は4以上10以下であることが好ましく、5以上9以下であることが更に好ましく、6以上8以下であることが一層好ましい。側鎖の炭素数とは、該側鎖における第4級アンモニウム部位(カチオン部位)の炭素数のことであり、対イオンであるアニオン中に炭素が含まれているとしても、その炭素は計数に含まない。特に、側鎖の炭素原子のうち、主鎖に結合している炭素原子から、第4級窒素に結合している炭素原子までの炭素数が前述の範囲であることが、第4級アンモニウム塩ポリマーが赤血球の表面の表面に吸着するときの立体障害性が低くなるので好ましい。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマーである場合、該ホモポリマーとしては、例えば第4級アンモニウム部位又は第3級アミン部位を有するビニル系単量体の重合物が挙げられる。第3級アミン部位を有するビニル系単量体を重合する場合には、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位をアルキル化剤によって第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ホモポリマーとなるか、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位を酸によって中和した第3級アミン中和塩となるか、重合後に水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンとなる。アルキル化剤や酸の例は、前述したとおりである。
特に第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、以下の式1で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
第4級アンモニウム塩ホモポリマーの具体例としては、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。また、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と1点で結合しているものであるポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムメチル硫酸塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルトリメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩)、ポリ(3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド4級塩)、ポリメタクル酸ジメチルアミノエチル、ポリアリルアミン塩酸塩、カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリアミジンなどが挙げられる。一方、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と2点以上で結合しているホモポリマーの例としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルアミン塩酸塩が挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩共重合物である場合には、該共重合物として、前述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を2種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物として、前述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。更に、ビニル系重合性単量体に加えて、又はそれに代えて、他の重合性単量体、例えば−SO2−などを用いることもできる。第4級アンモニウム塩共重合物は、前述したとおり、二元系の共重合物又は三元系以上の共重合物であり得る。
特に、第4級アンモニウム塩共重合物は、前記の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有することが、赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から好ましい。
また、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体としては、カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体を用いることができる。これらの重合性単量体中で、特にカチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体を用いることで、第4級アンモニウム塩共重合物内において第4級アンモニウム部位との電荷相殺が起こらないので、赤血球の凝集を効果的に生じさせることができる。カチオン性重合性単量体の例としては、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を有する環状化合物としてビニルピリジンなど、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を主鎖に有する直鎖状化合物としてジシアンジアミドとジエチレントリアミンの縮合化合物などが挙げられる。アニオン性重合性単量体の例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、及び、スチレンスルホン酸、並びに、これらの化合物の塩などが挙げられる。一方、ノニオン性重合性単量体の例としては、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる。これらカチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体は、それらのうちの一つを用いることができ、あるいは任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。またカチオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、アニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、あるいはノニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることもできる。カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体及び/又はノニオン性重合性単量体を重合性単量体として用いて共重合された第4級アンモニウム塩共重合物は、その分子量が、前述のとおり1000万以下であることが好ましく、特に500万以下、とりわけ300万以下であることが好ましい(以下に例示する第4級アンモニウム塩共重合物についても同様である。)。
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いること、それから得られる第4級アンモニウム塩共重合物を用いて赤血球を凝集させたときに、硬い凝集塊が生じやすくなり、高吸収性ポリマーの吸収性能が一層阻害されにくくなる。水素結合をすることが可能な官能基としては、例えば−OH、−NH2、−CHO、−COOH、−HF、−SHなどが挙げられる。水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。特に、水素結合が強く働く、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアクリルアミドなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いることで、前述した、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いる場合と同様の有利な効果、すなわち赤血球の硬い凝集塊が生じやすくなるという効果が奏される。疎水性相互作用をすることが可能な官能基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、アルキルナフタレン基、フッ化アルキル基などが挙げられる。疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレンなどが挙げられる。特に、疎水性相互作用が強く働き、第4級アンモニウム塩ポリマーの溶解性を大きく低下させない、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第4級アンモニウム塩共重合物中での、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体とのモル比は、該第4級アンモニウム塩共重合物によって赤血球が十分に凝集するように適切に調整されることが好ましい。特に、第4級アンモニウム塩共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上であることが好ましく、22モル%以上であることが更に好ましく、32モル%以上であることが一層好ましく、38モル%以上であることが更に一層好ましい。また、100モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることが更に好ましく、65モル%以下であることが一層好ましく、56モル%以下であることが更に一層好ましい。具体的には、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上100モル%以下であることが好ましく、22モル%以上80モル%以下であることが更に好ましく、32モル%以上65モル%以下であることが更に好ましく、38モル%以上56モル%以下であることが一層好ましい。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩重縮合物である場合には、該重縮合物として、前述した第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それらの縮合物を重合することで得られた重縮合物を用いることができる。具体例としては、ジシアンジアミド/ジエチレントリアミン重縮合物、ジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合物などが挙げられる。
前述した第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び第4級アンモニウム塩共重合物は、ビニル系重合性単量体の単独重合法又は共重合法によって得ることができる。重合方法としては、例えばラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、開環重合、重縮合などを用いることができる。重合条件に特に制限はなく、目的とする分子量、流動電位、及び/又はIOB値を有する第4級アンモニウム塩ポリマーが得られる条件を適切に選択すればよい。
以上に詳述したカチオン性ポリマーは上述した「好ましい血球凝集剤」の例示であり、その効果は特願2015−239286号の実施例1乃至45によって参照可能である
また、本発明で用いる血球凝集剤は、カチオン性ポリマー以外に、第三成分、例えば、溶媒、可塑剤、香料、抗菌・消臭剤、スキンケア剤等の他の成分を1種以上含んだ組成物(血球凝集剤組成物)の形態であってもよい。溶媒としては、水、炭素数1ないし4の飽和脂肪族一価アルコール等の水溶性有機溶媒、又は該水溶性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオールなどを用いることができる。香料としては、特許第4776407号公報に記載されているグリーンハーバル様香気を有する香料、植物の抽出エキス、柑橘類の抽出エキスなどを用いることができる。抗菌・消臭剤としては、特許第4526271号公報に記載されている抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、特許第4587928号公報に記載されているフェニル基を有する重合性モノマーから重合された多孔性ポリマー、特許第4651392号公報に記載されている第4級アンモニウム塩、活性炭、粘土鉱物などを用いることができる。スキンケア剤としては、特許第4084278号公報に記載されている植物エキス、コラーゲン、天然保湿成分、保湿剤、角質柔軟化剤、消炎剤などを用いることができる。
前記血球凝集剤組成物に占めるカチオン性ポリマーの割合は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが一層好ましい。前記血球凝集剤組成物に占めるカチオン性ポリマーの割合をこの範囲内に設定することで、吸収性物品に有効量のカチオン性ポリマーを付与することができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、吸収体4は、高密度領域8として、一対の側方高密度領域81のみを有していても良く、前方高密度領域82及び後方高密度領域83のみを有していても良く、前方高密度領域82又は後方高密度領域83のみを有していても良い。また、前方高密度領域82と一対の側方高密度領域81のみを有していても良く、また後方高密度領域83と一対の側方高密度領域81のみを有していても良い。また、一対の側方高密度領域81は、図3に示す実施形態とは異なり、後方部Cの一部で途切れることなく、前方高密度領域82と後方高密度領域83との間の全域に亘って連続して形成されていても良い。また、排泄部対向部B1に周囲よりも厚みが厚い中高部を備えていても良い。
また、血球凝集剤は、表面シート、肌側コアラップシート、吸収性コア、非肌側コアラップシート及び裏面シートのいずれか1個にみに配されていても良いし、厚み方向に連続する複数の構成部材に亘って配されていても良いし、肌側コアラップシートと非肌側コアラップシートとに連続又は非連続に配されていても良いし、吸収性物品の厚み方向において相互に離間した2部材に配されていても良い。
また吸収性物品は、サイド防漏シート及びそれによる防漏機構を有しないものであっても良く、またウイング部及び後部フラップ部の一方又は双方を有しないものであっても良い。また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
例えば、吸収体4は、高密度領域8として、一対の側方高密度領域81のみを有していても良く、前方高密度領域82及び後方高密度領域83のみを有していても良く、前方高密度領域82又は後方高密度領域83のみを有していても良い。また、前方高密度領域82と一対の側方高密度領域81のみを有していても良く、また後方高密度領域83と一対の側方高密度領域81のみを有していても良い。また、一対の側方高密度領域81は、図3に示す実施形態とは異なり、後方部Cの一部で途切れることなく、前方高密度領域82と後方高密度領域83との間の全域に亘って連続して形成されていても良い。また、排泄部対向部B1に周囲よりも厚みが厚い中高部を備えていても良い。
また、血球凝集剤は、表面シート、肌側コアラップシート、吸収性コア、非肌側コアラップシート及び裏面シートのいずれか1個にみに配されていても良いし、厚み方向に連続する複数の構成部材に亘って配されていても良いし、肌側コアラップシートと非肌側コアラップシートとに連続又は非連続に配されていても良いし、吸収性物品の厚み方向において相互に離間した2部材に配されていても良い。
また吸収性物品は、サイド防漏シート及びそれによる防漏機構を有しないものであっても良く、またウイング部及び後部フラップ部の一方又は双方を有しないものであっても良い。また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示す生理用ナプキン1と同様の構成を有する生理用ナプキンを常法に従って作製した。表面シートとして坪量30g/m2のエアスルー不織布を用い、裏面シートとして坪量25g/m2の非透湿ポリエチレンフィルムを用いた。吸収体としては、吸収性コアをコアラップシートで被覆したものを用いた。吸収性コアは坪量295g/m2であり、フラッフパルプ及び高吸収性ポリマーからなり、高吸収性ポリマーの含有量は5.1質量%、高吸収性ポリマーとしては日本触媒社製のアクアリックCAを用いた。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、坪量16g/m2のティッシュペーパーを用いた。また、コアラップシートにおける吸収性コアの肌対向面を被覆する部分(肌側コアラップシート)の全域に、市販の血球凝集剤の5%水溶液を塗布し乾燥した。血球凝集剤の塗布量(単位面積当たりの存在量)は、固形分換算で6.0g/m2であった。血球凝集剤としては、日本ルーブリゾール社製の商品名「マーコート100」(カチオン性ポリマー、重量平均分子量:15万)を用いた。
吸収体は、加圧圧縮用の凸部を備えた加圧ロールと受けロールとの間で加圧圧縮して、その周縁部に、図3に示すような形状及び大きさの高密度領域81〜83を形成し、それを生理用ナプキンに組み込んだ。
本発明における高密度領域は、厚み及び密度が全域に亘って均一であっても良いが、本実施例における高密度領域81〜83には、直径2.0mmの高密度部が千鳥状パターンで形成されている。実施例1の高密度領域81〜83においては、下記となっている。
・高密度部の中心点間の最短距離:5.0mm
・高密度領域:厚み0.38mm、密度0.61g/cm3
・隣接領域:厚み3.7mm、密度0.058g/cm3
・隣接領域に対する高密度領域の厚み比:10.2%
・高密度部の単位面積当たりの数:3.0個/cm2
・側方高密度領域81の吸収体4の側縁から内側の縁部までの長さ:15mm
・前方高密度領域82及び83の吸収体4の前端縁又は後端縁から内側の縁部までの長さ:20mm
〔実施例1〕
図1及び図2に示す生理用ナプキン1と同様の構成を有する生理用ナプキンを常法に従って作製した。表面シートとして坪量30g/m2のエアスルー不織布を用い、裏面シートとして坪量25g/m2の非透湿ポリエチレンフィルムを用いた。吸収体としては、吸収性コアをコアラップシートで被覆したものを用いた。吸収性コアは坪量295g/m2であり、フラッフパルプ及び高吸収性ポリマーからなり、高吸収性ポリマーの含有量は5.1質量%、高吸収性ポリマーとしては日本触媒社製のアクアリックCAを用いた。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、坪量16g/m2のティッシュペーパーを用いた。また、コアラップシートにおける吸収性コアの肌対向面を被覆する部分(肌側コアラップシート)の全域に、市販の血球凝集剤の5%水溶液を塗布し乾燥した。血球凝集剤の塗布量(単位面積当たりの存在量)は、固形分換算で6.0g/m2であった。血球凝集剤としては、日本ルーブリゾール社製の商品名「マーコート100」(カチオン性ポリマー、重量平均分子量:15万)を用いた。
吸収体は、加圧圧縮用の凸部を備えた加圧ロールと受けロールとの間で加圧圧縮して、その周縁部に、図3に示すような形状及び大きさの高密度領域81〜83を形成し、それを生理用ナプキンに組み込んだ。
本発明における高密度領域は、厚み及び密度が全域に亘って均一であっても良いが、本実施例における高密度領域81〜83には、直径2.0mmの高密度部が千鳥状パターンで形成されている。実施例1の高密度領域81〜83においては、下記となっている。
・高密度部の中心点間の最短距離:5.0mm
・高密度領域:厚み0.38mm、密度0.61g/cm3
・隣接領域:厚み3.7mm、密度0.058g/cm3
・隣接領域に対する高密度領域の厚み比:10.2%
・高密度部の単位面積当たりの数:3.0個/cm2
・側方高密度領域81の吸収体4の側縁から内側の縁部までの長さ:15mm
・前方高密度領域82及び83の吸収体4の前端縁又は後端縁から内側の縁部までの長さ:20mm
〔比較例1〕
吸収体に高密度領域81〜83を形成しない以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
血球凝集剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例2のサンプルとした。
吸収体に高密度領域81〜83を形成しない以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
血球凝集剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例2のサンプルとした。
〔評価試験〕
実施例及び比較例の生理用ナプキンについて、下記方法により防漏性及び柔軟性をそれぞれ評価した。その結果を下記表1に示す。なお、擬似血液としては、前述した擬似血液(粘度8mPa・s)を用いた。
実施例及び比較例の生理用ナプキンについて、下記方法により防漏性及び柔軟性をそれぞれ評価した。その結果を下記表1に示す。なお、擬似血液としては、前述した擬似血液(粘度8mPa・s)を用いた。
<防漏性の評価方法>
各生理用ナプキンを、表面シート2側を上側に向けて、水平に固定した。その状態の生理用ナプキンの排泄部対向部に、円筒状のプレートを用いて、2.0gの擬似血液を滴下した。10分間放置後にさらに2.0gの擬似血液を滴下し、合計8gまで注入した。8gでの擬似血液の表面シート2上の拡散面積を測定し、防漏により面積が小さくなっているかを評価した。
各生理用ナプキンを、表面シート2側を上側に向けて、水平に固定した。その状態の生理用ナプキンの排泄部対向部に、円筒状のプレートを用いて、2.0gの擬似血液を滴下した。10分間放置後にさらに2.0gの擬似血液を滴下し、合計8gまで注入した。8gでの擬似血液の表面シート2上の拡散面積を測定し、防漏により面積が小さくなっているかを評価した。
<装着感の評価方法>
評価対象のコアラップシートを用い、「JIS L1096 織物及び編物の生地試験方法」(8.20.圧縮率および圧縮弾性率 E法)に記載のハンドルオメーター法に則り、ハンドルオメーターを用いて測定した。試験片は65mm×80mmの平面視長方形形状とし、スリット幅は20mmにて測定した。測定される押圧の値が小さいほど、当該試験片が柔軟性に優れる。
評価対象のコアラップシートを用い、「JIS L1096 織物及び編物の生地試験方法」(8.20.圧縮率および圧縮弾性率 E法)に記載のハンドルオメーター法に則り、ハンドルオメーターを用いて測定した。試験片は65mm×80mmの平面視長方形形状とし、スリット幅は20mmにて測定した。測定される押圧の値が小さいほど、当該試験片が柔軟性に優れる。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1と比べ、比較例1は、ナプキンの周縁部に高密度部を形成していないため、装着感に改善の余地がある。
一方、比較例1は、血球凝集剤の配置により、分離した血液成分が拡散し、ナプキンの排泄部対向部の幅方向において、外縁部まで達していた。比較例2は、ナプキンの周縁部に高密度部を形成しているため、実施例と同様に装着感に優れているものの、ナプキンの排泄部対向部の幅方向において、ナプキンの周縁部の高密度部を超えて血液が拡散し、外縁部まで達していた。これに対して、本発明の実施例である実施例1の生理用ナプキンは、防漏性及び装着感の両方に優れることが判る。
一方、比較例1は、血球凝集剤の配置により、分離した血液成分が拡散し、ナプキンの排泄部対向部の幅方向において、外縁部まで達していた。比較例2は、ナプキンの周縁部に高密度部を形成しているため、実施例と同様に装着感に優れているものの、ナプキンの排泄部対向部の幅方向において、ナプキンの周縁部の高密度部を超えて血液が拡散し、外縁部まで達していた。これに対して、本発明の実施例である実施例1の生理用ナプキンは、防漏性及び装着感の両方に優れることが判る。
1 生理用ナプキン
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性本体
6 サイドシート
10 高密度部
11 低密度部
41 吸収性コア
42 コアラップシート
42a 肌側コアラップシート
71 側方防漏溝
72 前方防漏溝
73 後方防漏溝
8 高密度領域
81 側方高密度領域
81n 側方高密度領域の内側隣接領域
82 前方高密度領域
82n 前方高密度領域の内側隣接領域
83 後方高密度領域
83n 後方高密度領域の内側隣接領域
9 凝集剤配置部
A 前方部
B 股下部
B1 排泄部対向部
C 後方部
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性本体
6 サイドシート
10 高密度部
11 低密度部
41 吸収性コア
42 コアラップシート
42a 肌側コアラップシート
71 側方防漏溝
72 前方防漏溝
73 後方防漏溝
8 高密度領域
81 側方高密度領域
81n 側方高密度領域の内側隣接領域
82 前方高密度領域
82n 前方高密度領域の内側隣接領域
83 後方高密度領域
83n 後方高密度領域の内側隣接領域
9 凝集剤配置部
A 前方部
B 股下部
B1 排泄部対向部
C 後方部
Claims (7)
- 着用時に着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有すると共に、着用時に股間部に配され、該股間部における排泄部に対向配置される排泄部対向部を有する股下部と、該股下部よりも着用者の腹側に配される前方部と、該股下部よりも着用者の背側に配される後方部とを縦方向に有し、経血を吸収可能な吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配され着用時に着用者の肌と接触し得る表面シートと、該吸収体の非肌対向面側に配されている裏面シートとを構成部材として具備する吸収性物品であって、
前記吸収体は、その周縁部に、内側の隣接領域よりも厚みが薄く且つ密度が高い高密度領域を有しており、
吸収性物品の平面視における前記吸収体が配されている領域の、少なくとも前記高密度領域より内側に位置する部分に血球凝集剤が含まれており、該血球凝集剤は、前記表面シートから前記裏面シートまでの構成部材の少なくとも1つに含まれている、吸収性物品。 - 前記高密度領域が、前記縦方向における前記吸収体の両端部の一方又は双方に形成されている、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記高密度領域が、前記横方向における前記吸収体の両端部に、それぞれ前記縦方向に延びて形成されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記血球凝集剤が、前記内側の隣接領域に少なくとも含まれている、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
- 前記高密度領域に、高密度部と該高密度部に比して密度の低い低密度部とが形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
- 前記高密度部が、該高密度部と該高密度部に比して密度の低い低密度部とが一方向に交互に配されるパターンで形成されている、請求項5に記載の吸収性物品。
- 前記血球凝集剤の重量平均分子量が2000以上3000万以下のカチオン性ポリマーである請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
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2016
- 2016-06-03 JP JP2016112126A patent/JP2017217104A/ja active Pending
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