JP2017217078A - 吸収性物品 - Google Patents

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幸江 加藤
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祐一 廣瀬
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義徳 村上
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暁 湯山
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Abstract

【課題】体液の吸収量が高く、過度の圧力が加わっても着用中に経血の赤みが周辺に拡散し難く、経血漏れを想起し難い吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性物品1は、相対的にパルプ繊維の坪量が高く偏在的に存在する偏在化部45を含む吸収性コア41を備え、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部Bを有している。吸収性物品1は、血球凝集剤を備えており、血球凝集剤は、吸収性コアにおける偏在化部、又は吸収性コアよりも肌対向面側に位置する吸収性物品の構成部材における偏在化部と重なる部分に配されている。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
本出願人は、先に、吸収性コアに坪量の高い中高部を設け、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部が隆起した吸収性物品を提案した(特許文献1,特許文献2)。特許文献1,2に記載の吸収性物品は、吸収性コアの中高部の坪量が高いので、体液の液保持量が多く、高い吸収量を確保することができる。
また、これらとは別の技術として、血液に作用させる流体処理剤を吸収性物品に適用して、吸収性物品の諸性能を向上させる技術が知られている(特許文献3〜特許文献6)。
特許文献3には、無機金属塩を含む月経帯に関する技術が開示され、経血中のヘモグロビンが金属無機塩によって集塊となり、無色の流動体をパッドの他の部分における吸収のために通過する、とされている。特許文献4には、血液ゲル化剤を含む衛生ナプキンが開示され、血液ゲル化剤として部分水和無水ジカルボン酸コポリマー又はポリカチオンが例示されている。特許文献5には、赤血球を変更するのに適する流体処理剤で処理された多孔性不織ウエブを備えたパーソナルケア吸収性物品が開示され、流体処理剤としてポリプロピレンオキシド及びポリエチレンオキシドを含むトリブロックポリマー又はポリカチオンが例示されている。特許文献6には、金属塩化合物からなる血液凝固剤を含んでなる吸収性物品が例示され、金属塩化合物として、Cu(II)、Fe(III)、Ag(I)、Fe(II)、Ti(IV)、Ni(II)から選ばれる1種又は2種以上の金属塩化合物が例示されている。
特開2002−238948号公報 特開2014−104093号公報 特公昭38−17449号公報 特開昭57−153648号公報 特表2002−528232号公報 特開2005−287997号公報
特許文献1〜2に記載の吸収性物品は、長時間の着用時や排液量が多い日などで、吸収性コアが多くの経血を吸収した状態で中高部に過度の装着圧がかかると、中高部で保持されていた経血が周辺に拡散してしまう場合があった。経血が周辺に拡散してしまうと、液漏れの発生や、実際に発生していない場合でも、経血の赤みによって経血漏れを想起させてしまうことがあった。このように、特許文献1〜2に記載の吸収性物品には、改善の余地があった。
特許文献3及び特許文献6では、血液凝固剤として水溶性の金属化合物を用いる以外、血液の吸収速度を向上させたり、吸収量を向上させる構成について何ら記載されていない。一方、特許文献4及び特許文献5に記載の吸収性物品は、多量の経血吸収時の課題についての認識がない。また、ポリカチオンを含む流体処理剤を使用しうることは記載しているものの、実際にはノニオン系の処理材でのデータしか開示されていない。更に、吸収性コアに坪量の高い中高部を設けることに関して記載も示唆もされておらず、ひいては多量の経血吸収時に過度の圧力が加わるときの課題についての認識がない。特許文献4及び5に記載の技術では、吸収性物品の排泄スポットに対向する部分での血液凝集物による通液性の低下により、血液の吸収体への吸収が妨げられ、血液が吸収するのに時間が掛かかることで、使用時に血液が肌側へ戻る、いわゆる液戻りの点でも不利なものであった。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、相対的にパルプ繊維の坪量が高く偏在的に存在する偏在化部を含む吸収性コアを備え、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部を有する吸収性物品であって、前記吸収性物品は、血球凝集剤を備えており、前記血球凝集剤は、前記吸収性コアにおける前記偏在化部、又は前記吸収性コアよりも肌対向面側に位置する前記吸収性物品の構成部材における前記偏在化部と重なる部分に配されている吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品によれば、体液の吸収量が高く、過度の圧力が加わっても着用中に経血の赤みが周辺に拡散し難く、経血漏れを想起し難い。
図1は、本発明の経血吸収用の吸収性物品の好ましい一実施形態である生理用ナプキンの斜視図である。 図2は、図1のII−II線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、図2に示す生理用ナプキンの吸収体を構成する吸収性コア及びコアラップシートを示す一部破断斜視図である。 図4は、図2に示す生理用ナプキンの備える吸収性コアを示す平面図である。 図5は、図3のV−V線断面図を模式的に示す断面図である。 図6(a)及び(b)は、図1に示す生理用ナプキンの吸収性コアの製造に好ましく使用される積繊ドラムの周方向に沿う断面を示す模式図であり、図6(a)は集積用凹部に吸収性コアの形成材料が堆積する前の状態、図6(b)は集積用凹部に吸収性コアの形成材料が堆積した状態を示す図である。 図7は、図5に示す吸収性コアの含有する血球凝集剤により形成された血液凝集塊を示す吸収体の断面図である。 図8は、本発明の吸収性物品の他の実施形態の生理用ナプキンの備える吸収性コアを示す平面図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。ナプキン1は、相対的にパルプ繊維の坪量が高く偏在的に存在する偏在化部45を含む吸収性コア41を備え、着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bを有する。また、ナプキン1は、血球凝集剤8を備えている。図1には、本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態であるナプキン1の斜視図が示されており、図2には、ナプキン1の断面図が示されている。なお、本発明の吸収性物品は、経血吸収用途で好ましいものである。
本実施形態では、ナプキン1は、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在され、吸収性コア41を備える吸収体4を具備する吸収性本体10を有している。吸収体4は、パルプ繊維の坪量の高い偏在化部45を含む吸収性コア41と、吸収性コア41の肌対向面及び非肌対向面を被覆するコアラップシート42とを有している。
ナプキン1の吸収性本体10は、図1に示すように、着用時に膣口等の着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有しており、前後方向に長い形状となっている。ナプキン1及び吸収性本体10は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、該縦方向Xに直交する横方向Yと、厚み方向Zとを有する。即ち、吸収性本体10は、前後方向である縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分される。
また、本明細書において、肌対向面は、ナプキン1又はその構成部材(例えば表面シート2)における、ナプキン1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、ナプキン1又はその構成部材における、ナプキン1の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、ナプキン1及び吸収性本体10の長手方向に一致し、横方向Yは、ナプキン1及び吸収性本体10の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。
本実施形態では、ナプキン1は、図1及び図2に示すように、吸収性本体10に加えて更に、吸収性本体10における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部10W,10Wを有している。
尚、本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部10Wを有する場合には、一方のウイング部10Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部10Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
本実施形態のナプキン1では、表面シート2は、図1に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述する防漏カフ形成用シート7と共にサイドフラップ部10Sを形成している。表面シート2の肌対向面に固定された防漏カフ形成用シート7と裏面シート3とは、吸収体4の縦方向Xの両端縁からの延出部分において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
ナプキン1では、防漏カフ形成用シート7は、図1及び図2に示すように、吸収性本体10の肌対向面に配された表面シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に配され固定されている。好適には、防漏カフ形成用シート7は、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、吸収性本体10の縦方向Xの全長に亘って配され固定されている。
ナプキン1では、一対の防漏カフ形成用シート7,7は、それぞれ、図1及び図2に示すように、横方向Y外方に向かって折り返された折り返し部71を有し、該折り返し部71からやや横方向Yの外方に位置する接合部72において表面シート2上に接合されている。防漏カフ形成用シート7は、防漏カフの自由端を形成する自由端部73の近傍に防漏カフ形成用弾性部材74を有しており、着用時には、防漏カフ形成用弾性部材74の収縮力により、排泄部対向部Bにおける前記接合部72から自由端部73までの間が着用者の肌側に向かって起立して防漏カフを形成する。防漏カフは、起立性を有するものであり、肌対向面に排泄された経血の横漏れを防止することができる。
ナプキン1では、サイドフラップ部10Sは、図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体10の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部10W,10Wが延設されている。
ウイング部10Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものである。ナプキン1では、ウイング部10Wは、図1に示すように、平面視において、下底(上底よりも長い辺)が、吸収性本体10の縦方向Xに沿う側部側に位置する略台形形状を有している。ウイング部10Wの非肌対向面には、該ウイング部10W(ナプキン1)をショーツ等の着衣(図示せず)に固定するウイング部粘着部(図示せず)が形成されており、このウイング部粘着部によって、使用時に、着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されたウイング部10Wを、該クロッチ部に粘着固定できるようになされている。また、吸収性本体10の非肌対向面にも、吸収性本体10を、ショーツ等の着衣に固定するための本体粘着部(図示せず)が形成されている。
ナプキン1は、図1及び図2に示すように、吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)に、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥されてなる線状の圧搾溝9を備えている。線状の圧搾溝9における「線状」とは、溝(凹陥部)の形状が平面視において直線に限られず、曲線を含んでいることを意味する。尚、各線は、連続線でも破線等のような不連続線でもよい。例えば、圧搾溝9は、不連続な多数の点エンボスのなす列から構成されていてもよい。このように構成された圧搾溝9は、吸収体4の吸収性コア41にのみ形成されている後述する溝部43とは異なる溝である。また、圧搾溝9は、加圧又は加熱及び加圧を伴うエンボス加工を施すことにより形成することができる。また、圧搾溝9は、その構成繊維が熱融着した状態となっていてもよい。いずれの場合においても、圧搾溝9は、その密度が、圧搾溝9を除く他の部位の密度よりも高くなっている。
ナプキン1では、図1に示すように平面視して、圧搾溝9は、前方部A及び後方部Cに、それぞれ横方向Yに延びる横圧搾溝91と、縦方向Xに沿う両側部それぞれに前方部Aから後方部Cに亘って縦方向Xに延びる縦圧搾溝92とを有している。ナプキン1では、前方部A及び後方部Cの横圧搾溝91は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状を形成しながら横方向Yに延びている。ナプキン1では、前方部Aの横圧搾溝91、一方の縦圧搾溝92、後方部Cの横圧搾溝91、及び他方の縦圧搾溝92が繋がってリング状の全周溝を形成している。このように形成された圧搾溝9は、表面シート2上を平面方向に流れる体液の拡散を抑制して、ナプキン1の周囲から液漏れを効果的に防止することができる。
吸収性コア41は、パルプ繊維を含む繊維材料からなる繊維集合体から形成されており、ナプキン1では、繊維集合体に高吸収性ポリマーを保持させて形成されている。このように、ナプキン1の吸収性コア41は、パルプ繊維と高吸収性ポリマーとを含んでいる。吸収性コア41は、少なくとも肌対向面をコアラップシート42によって被覆されており、本実施形態のナプキン1では、肌対向面及び非肌対向面の両面を、コアラップシート42によって被覆されている。ナプキン1では、図2に示すように、1枚のコアラップシート42を用いている。1枚のコアラップシート42は、吸収性コア41の横方向Yの長さの2倍以上の長さを有している。そして、1枚のコアラップシート42の横方向Yの中央部を、吸収性コア41の肌対向面上に重ね、1枚のコアラップシート42の横方向Yの両端部分を吸収性コア41の非肌対向面側に折り返し、折り返した両端縁部分を重ね合わせる。このようにして、吸収性コア41の肌対向面及び非肌対向面の両面が、1枚のコアラップシート42で被覆されている。コアラップシート42は、吸収性コア41の形成材料の漏れ出しを防止したり、吸収性コア41の保形性を高めたりする目的で使用される。表面シート2と、吸収性コア41の肌対向面側を被覆するコアラップシート42との間、及び裏面シート3と吸収性コア41の非肌対向面側を被覆するコアラップシート42との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤により互いに接合されていることが好ましい。
吸収性コア41の有する高吸収性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。高吸収性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸又はメタクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合物も用いることができる。
ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41は、ナプキン1の縦方向Xと同方向に長い形状を有し、偏在化部45を含んでいる。吸収性コア41の縦方向Xは、ナプキン1の吸収性本体10の縦方向Xと同方向であり、吸収性コア41の横方向Yは、ナプキン1の吸収性本体10の横方向Yと同方向である。
ナプキン1では、図3及び図4に示すように、吸収性コア41における偏在化部45は、横方向Yの中央部に中高部となって形成されている。偏在化部45は、吸収性コア41における偏在化部45を除く周辺領域46での厚みよりも厚みが厚く形成され、ナプキン1では、着用者の肌側に向かって隆起している。ナプキン1の偏在化部45は、排泄部対向部Bにおける横方向Yの中央部に形成された排泄部偏在化部45Bと、後方部Cにおける横方向Yの中央部に後方偏在化部45Cを有している。排泄部偏在化部45Bは、吸収性コア41の縦方向Xに長い縦長形状を有する中央偏在化部45BCと、中央偏在化部45BCの縦方向Xに沿う両側縁それぞれから横方向Y外方に膨出する側方偏在化部45BS,45BSとを有する。
ナプキン1では、偏在化部45は、図4に示すように、厚みの薄い溝部43を有している。ここで「厚みの薄い溝部43」とは、厚み方向Zに薄くても厚みを有する有底である場合と、吸収性コアの構成材料を全く存在せずに吸収性コアを貫通している場合の双方を含んでおり、他の部位よりも厚みが薄くなっている部位のことを意味する。しかしながら、本発明においては、ナプキン1の溝部が有底となっていると、吸収性能が良好となる点から好ましい。また、「溝部」とは、溝部43の内、縦方向Xと横方向Yとからなる面方向に、溝部43の幅(溝幅)の5倍以上の長さで延びているものを意味する。ナプキン1では、溝部43は、その底部の坪量が、吸収性コア41の他の領域、具体的には後述する小吸収部44の坪量よりも低くなっている。
また、ナプキン1では、溝部43は、図4に示すように、偏在化部45の輪郭に沿って延びる外周溝部43Gを有している。外周溝部43Gは、相対的に坪量が低くなっており、具体的には後述する小吸収部44の坪量よりも低くなっている。ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41の偏在化部45は、相対的に坪量が低い溝部43と相対的に坪量が高く溝部43で囲まれた複数の小吸収部44とを有するブロック構造が、縦方向Xに複数配されたブロック領域BTを有している。ナプキン1では、溝部43は、外周溝部43Gと、外周溝部43G以外に、吸収性コア41の横方向Yに延びる横溝部43Yと、吸収性コア41の縦方向Xに延びる縦溝部43Xとを有している。吸収性コア41の溝部43は、本実施形態では、肌対向面側に開口しており、ナプキン1では、溝部43が肌対向面側に開口している。即ち、ナプキン1の溝部43は、有底の底部が、吸収性コア41の厚み方向Zの非肌対向面側に配されている。
ナプキン1では、表面シート2の下に、排泄部偏在化部45Bが存在することによって、排泄部対向部Bにおける肌対向面の横方向中央部に、着用者の肌側に向かって突出する排泄部隆起部10Bが形成され(図1参照)、また、表面シート2の下に、後方偏在化部45Cが存在することによって、後方部Cにおける肌対向面の横方向中央部に、着用者の肌側に向かって突出する後方隆起部10Cが形成される(図1参照)。後方隆起部10Cは、ナプキン1の着用時に着用者の臀裂に対向配置されることが好ましい。
ナプキン1では、中央偏在化部45BC及び一対の側方偏在化部45BS,45BSを有する排泄部偏在化部45Bは、吸収性コア41の周辺領域46における厚みよりも厚みが厚い領域であり、排泄部対向部Bに形成されている。排泄部偏在化部45Bは、排泄部対向部Bのみに形成されていても良いが、ナプキン1では、図1及び図3に示すように、排泄部対向部Bから後方部Cの一部に亘って延在している。好適には、一対の側方偏在化部45BS,45BSが、排泄部対向部B内に形成されており、中央偏在化部45BCが、排泄部対向部Bから後方部Cの一部に亘って延在している。
ナプキン1では、図4に示すように排泄部偏在化部45B及び後方偏在化部45Cを有する偏在化部45と周辺領域46とを含む吸収性コア41が、吸収性コア41の横方向に延びる横溝部43Yによって分割されており、それによって、吸収性コア41には、吸収性コア41の縦方向Xに沿って並んだ複数の小吸収部44が形成されている。また、ナプキン1では、偏在化部45を含む吸収性コア41が、吸収性コア41の縦方向Xに延びる縦溝部43Xによって分割されており、それによって、吸収性コア41には、吸収性コア41の横方向Yに沿って並んだ複数の小吸収部44が形成されている。その為、ナプキン1の吸収性コア41は、横溝部43Y及び縦溝部43Xで囲まれた小吸収部44を複数有するブロック構造が縦方向Xに複数配されてなるブロック領域BTが、排泄部対向部Bのみならず、前方部Aから後方部Cに亘って形成されている。
ナプキン1では、図5に示すように、中央偏在化部45BC及び一対の側方偏在化部45BS,45BSを有する排泄部偏在化部45Bの厚みは、ナプキン1の肌対向面に、肌に向かって突出する排泄部隆起部10B(図1参照)を形成して排泄部対向部Bにおける液の吸収性等を向上させる観点等から、吸収性コア41の周辺領域46の厚みの、好ましくは120%以上、より好ましくは150%以上であり、また、好ましくは500%以下、より好ましくは400%以下であり、また、好ましくは120%以上500%以下、より好ましくは150%以上400%以下である。また、排泄部偏在化部45Bの厚みと吸収性コア41の周辺領域46の厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、また、好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また、好ましくは1mm以上8mm以下、より好ましくは1.5mm以上6mm以下である。
また、中央偏在化部45BCの厚みと側方偏在化部45BSの厚みとは、それらの厚みが上記範囲内であれば、同一であってもよく、異なっていてもよい。
尚、吸収性コア41の周辺領域46の厚みとは、周辺領域46に吸収性コア41の面方向に延びる溝部43等の溝部43が形成されている場合には、そのような溝部43が存在しない部分における厚みである。
同様に、排泄部偏在化部45Bの厚みとは、排泄部偏在化部45Bに吸収性コア41の面方向に延びる溝部43等の溝部43が形成されている場合には、そのような溝部43が存在しない部分における厚みである。
また、吸収性コア41の排泄部偏在化部45Bは、溝部43における厚みが、溝部43以外の部分の厚み(排泄部偏在化部45Bの小吸収部44の厚みに同じ)の好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下であり、また、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは20%以上70%以下、より好ましくは30%以上50%以下である。
吸収性コア41の各部における厚みは、非荷重下における吸収性物品の切断端面の写真から計測する。
ナプキン1では、図3に示すように、後方偏在化部45Cの厚みは、ナプキン1の肌対向面に、肌に向かって突出する後方隆起部10C(図1参照)を形成して、身体(好ましくは臀裂)に対するフィット性を向上させる観点等から、排泄部偏在化部45Bの厚みよりも小さいことが好ましく、吸収性コア41の周辺領域46の厚みの、好ましくは110%以上、より好ましくは130%以上であり、また、好ましくは400%以下、より好ましくは300%以下であり、また、好ましくは110%以上400%以下、より好ましくは130%以上300%以下である。また、後方偏在化部45Cの厚みと吸収性コア41の周辺領域46の厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上5.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である。
尚、後方偏在化部45Cの厚みとは、後方偏在化部45Cに吸収性コア41の面方向に延びる溝部43等の溝部43が形成されている場合には、そのような溝部43が存在しない部分における厚みである。
また、吸収性コア41の後方偏在化部45Cは、溝部43における厚みが、溝部43以外の部分の厚み(後方偏在化部45Cの小吸収部44の厚みに同じ)の好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また、好ましくは30%以上70%以下、より好ましくは20%以上50%以下である。
吸収性コア41の各部における厚みは、非荷重下における吸収性物品の切断端面の写真から計測する。
ナプキン1では、図4に示すように、吸収性コア41において、排泄部偏在化部45Bと後方偏在化部45Cとを纏めて取り囲む、環状の領域である周辺領域46は、溝部43における厚みが、溝部43以外の部分の厚み(周辺領域46の小吸収部44の厚みに同じ)の好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下であり、また、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは5%以上70%以下、より好ましくは10%以上50%以下である。
吸収性コア41の各部における厚みは、非荷重下における吸収性物品の切断端面の写真から計測する。
ナプキン1では、偏在化部45は、相対的にパルプ繊維の坪量が高くなっており、本実施形態では、相対的に高吸収性ポリマーの坪量も高くなっている。好適に、ナプキン1では、図4に示すように、排泄部偏在化部45B及び後方偏在化部45Cは、それぞれ、吸収性コア41の周辺領域46よりも、吸収性コア41の形成材料(高吸収性ポリマーを有する場合はパルプ繊維及び高吸収性ポリマーを含む材料、或いは高吸収性ポリマーを有しない場合はパルプ繊維を含む材料)(以下「コア材料」ともいう)の坪量を増やして形成されている。即ち、排泄部偏在化部45Bの小吸収部44及び後方偏在化部45Cの小吸収部44は、それぞれ、コア材料の坪量が、吸収性コア41の周辺領域46の小吸収部44における坪量よりも大きい。本実施形態における吸収性コア41は、コア材料の坪量に差を設けて厚み差を設けてあるため、坪量の均一な吸収性コアの一部を圧縮して厚み差を設ける場合とは異なり、吸収性コア41は、周辺領域46においても全体として柔軟である。
また、ナプキン1では、偏在化部45の形成材料(コア材料)の密度が周辺領域46の形成材料(コア材料)の密度よりも高くなっている。偏在化部45のコア材料の密度は周辺領域46のコア材料の密度の、好ましくは110%以上、より好ましくは120%以上であり、また、好ましくは400%以下、より好ましくは300%以下である。より具体的には、偏在化部45のコア材料の密度は周辺領域46のコア材料の密度の110%以上400%以下であることが好ましく、120%以上300%以下であることがより好ましい。偏在化部45のコア材料の密度及び周辺領域46のコア材料の密度が上述の関係を満たすと、偏在化部45で経血が留まり易くなるため、赤血球の凝集体が偏在化部45において形成され易くなる。このため、経血の赤味が周辺領域に一層広がり難くなる。
尚、偏在化部45のコア材料の密度とは、偏在化部45に吸収性コア41の面方向に延びる溝部43等の溝部43が形成されている場合には、そのような溝部43が存在しない部分における密度である。
同様に、吸収性コア41の周辺領域46のコア材料の密度とは、周辺領域46に吸収性コア41の面方向に延びる溝部43等の溝部43が形成されている場合には、そのような溝部43が存在しない部分における密度である。
[コア材料の密度の算出方法]
吸収性コア41の偏在化部45及び周辺領域46から、吸収性コア41の横方向に3mm、吸収性コア41の縦方向に30mmの大きさの試験片を、フェザー社製片刃剃刀を用いて切り出す。まず、吸収性コア41の偏在化部45(溝部が存在する場合には、縦溝部及び横溝部の無い部分を選択する)から試験片を切り出し、その質量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。次に、切り出した試験片の断面を、例えば、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて20〜100倍の倍率で観察し、試験片の厚みが最大となる箇所で厚みを測定する。なお、測定する試験片は5個とし、それらの平均値を偏在化部45の厚みとする。そして、前記測定した質量を、試験片の体積(厚み×製品幅方向の長さ×製品長手方向の長さ)で除して、偏在化部45の密度を算出する。吸収性コア41の周辺領域46の密度も、吸収性コア41の偏在化部45の密度と同様に測定することができる。
ナプキン1では、図4に示すように、外周溝部43G、横溝部43Y及び縦溝部43Xを有する溝部43は、何れも、コア材料を、排泄部偏在化部45B、後方偏在化部45C及び周辺領域46における他の部位より減らして形成されている。即ち、溝部43は、コア材料の坪量が、最も低くなっている。
また、坪量の均一な部分の一部を圧縮して形成した溝部を設ける場合とは異なり、溝部43におけるコア材料の密度が、小吸収部44における密度よりも低くなっている。
偏在化部45の坪量が、周辺領域46の坪量よりも大きいことが好ましく、好ましくは250g/m2以上、より好ましくは300g/m2以上であり、また、好ましくは1000g/m2以下、より好ましくは900g/m2以下であり、また、好ましくは250g/m2以上1000g/m2以下、より好ましくは300g/m2以上900g/m2以下である。
周辺領域46の坪量は、好ましくは100g/m2以上、より好ましくは150g/m2以上であり、また、好ましくは800g/m2以下、より好ましくは700g/m2以下であり、また、好ましくは100g/m2以上800g/m2以下、より好ましくは150g/m2以上700g/m2以下である。なお、ここで「偏在化部45の坪量」及び「周辺領域46の坪量」は、ナプキン1のように、吸収性コア41が溝部43で分割されて小吸収部44が形成されている場合には、各小吸収部44における坪量を意味し、溝部43で分割されていない場合には、各偏在化部45全体における坪量及び周辺領域46全体における坪量を意味する。
横溝部43Y及び縦溝部43Xそれぞれの坪量は、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上であり、また、好ましくは500g/m2以下、より好ましくは400g/m2以下であり、また、好ましくは10g/m2以上500g/m2以下、より好ましくは20g/m2以上400g/m2以下である。
溝部43におけるコア材料の坪量は、溝部とそれ以外の部分との境界を切断して切り出し、その細幅のサンプルの質量を、そのサンプルの例えば肌対向面側の面の面積で除して求める。溝部43以外の部分の坪量は、溝部43以外の部分を切り出したサンプルの質量を、そのサンプルの例えば肌対向面側の面の面積で除して求める。
ナプキン1では、偏在化部45、周辺領域46及び溝部43を有する吸収性コア41は、その全体が一体成形されている。「一体成形されている」とは、別の工程で製造した部材どうしを接着剤や圧縮などの接合手段で結合したものとは異なり、同一の材料を用いて、一つの工程で一体的に形成されていることを意味する。
上述したナプキン1の吸収性コア41は、図6(a)に示すように、外周面に集積用凹部55を備え、一方向Rに回転する積繊ドラム54と、該積繊ドラム54の外周面に、コア材料を飛散状態で供給するダクト(図示せず)を備えた積繊装置を用いて製造することができる。
集積用凹部55は、積繊ドラム54の外周面の周方向に一定の間隔で複数個形成されている。集積用凹部55の底面56は、メッシュプレート等からなり、吸引孔として機能する多数の細孔を有している。
また、図6(a)に示すように、集積用凹部55の底面56の一部には、排泄部偏在化部45B及び後方偏在化部45Cを形成するための2つの凹部56b,56cが形成されている。また、凹部56bの底部には、排泄部偏在化部45Bに溝部43を形成するための難通気性部材57が配置されており、凹部56cの底部にも、後方偏在化部45Cに溝部43に形成するための難通気性部材57が配置されている。また、集積用凹部55の底面56の凹部56b,56c以外の部分には、溝部43を形成するための難通気性部材58が形成されている。難通気性部材57,58は、集積用凹部55の底面から突出するように固定されており、非通気性部材であっても良く、例えば金属やプラスチック、セラミック等からなる。
積繊ドラムを備えた公知の積繊装置と同様に、集積用凹部55の底面から吸引しつつ、ダクト内に、パルプ繊維等のコア材料を供給することによって、図6(b)に示すように、コア材料が集積用凹部55内に所定形状に堆積する。その堆積物40を、集積用凹部55から離型することで、吸収性コア41が得られる。吸収性コア41は、コアラップシート42で被覆する前又は被覆した後、一対のロール間に通すこと等により加圧し適度に圧縮させる。これにより、難通気性部材57上に堆積したコア材料からなる部分が、坪量及び密度が相対的に小さい溝部43となり、各凹部56b,56cにおける難通気性部材57を有しない底面上に堆積した部分が、坪量及び密度が相対的に大きい小吸収部44を有する排泄部偏在化部45B及び後方偏在化部45Cとなる。同様に、凹部56b,56c以外の部分においては、難通気性部材58上に堆積したコア材料からなる部分が、坪量及び密度が相対的に小さい溝部43となり、難通気性部材58を有しない底面上に堆積した部分が、坪量及び密度が相対的に大きい小吸収部44を有する周辺領域46となる。吸収性コア41のコア材料を構成する高吸収性ポリマーは、ダクトの途中に高吸収性ポリマーの導入部を設けて繊維集合体に含有させる。
血球凝集剤8は、吸収性コア41における偏在化部45、又は吸収性コア41よりも肌対向面側に位置するナプキン1の構成部材における偏在化部45と重なる部分に配されており、ナプキン1では、ナプキン1の構成部材における偏在化部45と重なる部分に該当する排泄部対向部Bに配されている。ここで、ナプキン1における吸収性コア41よりも肌対向面側に位置する構成部材としては、表面シート2、又はコアラップシート42挙げられ、本実施形態では、吸収性コア41は、少なくとも肌対向面がコアラップシート42で覆われており、図7に示す吸収性コア41では、吸収性コア41の肌対向面及び非肌対向面の両面が、1枚のコアラップシート42で被覆されており、血球凝集剤8は、コアラップシート42の排泄部対向部Bに配されている偏在化部45と平面視において重なる部分に配されている。吸収性コア41の肌対向面を覆うコアラップシート42に血球凝集剤8が配される場合、コアラップシート42に到達した経血に血球凝集剤8が溶解し、血球凝集剤8が溶解した経血が吸収性コア41の偏在化部45に流れ込み、赤血球が凝集することにより、肌への液戻りや経血の赤みを周辺に拡散し難くする観点から好ましい。
尚、表面シート2と吸収体4との間に、不織布によって構成されたセカンドシートが配されている場合には、該セカンドシートに血球凝集剤8が配されていてもよい。前記セカンドシートは、表面シート2及び吸収体4とは別体の、当該技術分野においてサブレイヤーシートとも呼ばれるシートである。サブレイヤーシートとは、表面シート2から吸収体4への液の透過性を向上させたり、吸収体4に吸収された液の表面シート2への液戻りを低減させたりする役割を担うシートである。
ナプキン1の備える血球凝集剤8とは、血液中の赤血球を凝集させて凝集塊を形成するものであり、好ましくは形成した凝集塊と血漿成分と分離するよう作用するものである。特に好ましい血球凝集剤としては、擬似血液に、測定サンプル剤を1000ppm添加した際に、血液の流動性が維持された状態で、少なくとも2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成するものである。ここで、「血液の流動性が維持された状態」は、測定サンプルが1000ppm添加された血液10gをスクリュー管瓶(マルエム社製 品番「スクリュー管No.4」,口内径14.5mm,胴径27mm,全長55mm)に入れ、該擬似血液を入れたスクリュー管瓶を180度反転した際に、5秒以内で80%以上の該擬似血液が流れ落ちる状態を意味する。擬似血液とは、B型粘度計(東機産業株式会社製 型番TVB−10M、測定条件:ローターNo.19、30rpm、25℃、60秒間)を用いて測定した粘度が8mPa・sになるように脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製)の血球・血漿比率を調製したものである。また、「2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成」しているか否かは、次のようにして判断される。すなわち、測定サンプル剤が、1000ppm添加された前記擬似血液を、生理食塩水で4000倍に希釈し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製 型番:LA−950V2,測定条件:フロー式セル測定,循環速度1,超音波なし)を用いたレーザー回折散乱法によって、温度25℃にて測定した体積粒径平均のメジアン径が、2個以上の赤血球が凝集した凝集塊のサイズに相当する10μm以上である場合に、「2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成」していると判断する。
本発明の生理用吸収性物品に使用される血球凝集剤8としては、カチオン性ポリマーが好適である。カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン化セルロースや、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン等のカチオン化デンプンなどが挙げられる。また、血球凝集剤8は、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含むこともできる。本発明において「第4級アンモニウム塩」とは、窒素原子の位置にプラス一価の電荷を有している化合物、又は中和によって窒素原子の位置にプラス一価の電荷を生じさせる化合物を包含し、その具体例としては、第4級アンモニウムカチオンの塩、第3級アミンの中和塩、及び水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンが挙げられる。以下に述べる「第4級アンモニウム部位」も同様の意味で用いられ、水中で正に帯電する部位である。また、本発明において「共重合物」とは、2種以上の重合性単量体の共重合によって得られた重合物のことであり、二元系共重合物及び三元系以上の共重合物の双方を包含する。本発明において「重縮合物」とは、2種以上の単量体からなる縮合物を重合することで得られた重縮合物である。血球凝集剤8が、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び/又は第4級アンモニウム塩共重合物及び/又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含む場合、該血球凝集剤8は、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物のうちのいずれか1種を含んでいてもよく、あるいは任意の2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。また第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。同様に、第4級アンモニウム塩共重合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に同様に、第4級アンモニウム塩重縮合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において「血球凝集剤」とは、血液の赤血球を凝集させることができる単一の化合物若しくは又はその単一の化合物の組合せ、又は、複数の化合物の組み合わせによって赤血球の凝集を発現する剤のことである。つまり、血球凝集剤とは、あくまで赤血球凝集作用があるものに限定した剤のことである。したがって、血球凝集剤に第三成分を含む場合には、それを血球凝集剤組成物と表現し、血球凝集剤と区別する。なお、ここでいう「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
上述した各種のカチオン性ポリマーのうち、特に、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を用いることが、赤血球への吸着性の点から好ましい。以下の説明においては、簡便のため、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物を総称して「第4級アンモニウム塩ポリマー」と言う。
第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種用い、これを重合することで得られたものである。一方、第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を少なくとも1種用い、必要に応じ第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を少なくとも1種用い、これらを共重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を2種以上用い、これらを共重合させて得られたものであるか、又は第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い、これらを共重合させて得られたものである。第4級アンモニウム塩共重合物は、ランダム共重合物でもよく、交互共重合物でもよく、ブロック共重合物でもよく、あるいはグラフト共重合物でもよい。第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それら縮合物を重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体2種以上の縮合物を用い、これを重合させて得られたものであるか、又は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない単量体1種以上からなる縮合物を用い、これを縮重合させて得られたものである。
第4級アンモニウム塩ポリマーは、第4級アンモニウム部位を有するカチオン性のポリマーである。第4級アンモニウム部位は、アルキル化剤を用いた第3級アミンの第4級アンモニウム化によって生成させることができる。あるいは第3級アミンを酸若しくは水に溶解させ、中和で生じさせることができる。あるいは縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化によって生成させることができる。アルキル化剤としては、例えばハロゲン化アルキルや、硫酸ジメチル及び硫酸ジメチルなどの硫酸ジアルキルが挙げられる。これらのアルキル化剤のうち、硫酸ジアルキルを用いると、ハロゲン化アルキルを用いた場合に起こり得る腐食の問題が生じないので好ましい。酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、リン酸、フルオロスルホン酸、ホウ酸、クロム酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸、ギ酸、アスコルビン酸、ヒアルロン酸などが挙げられる。特に、アルキル化剤によって第3級アミン部位を第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ポリマーを用いると、赤血球の電気二重層を確実に中和できるので好ましい。縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化は、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの開環重縮合反応、ジシアンジアミドとジエチレントリアミンの環化反応のようにして生じさせることができる。
経血中に赤血球の凝集塊を生成させるためには、カチオン性ポリマーを用いることが特に有効であることが本発明者の検討の結果判明した。この理由は次のとおりである。赤血球はその表面に赤血球膜を有する。赤血球膜は、2層構造を有している。この2層構造は、下層である赤血球膜骨格と上層である脂質皮膜からなる。赤血球の表面に露出している脂質皮膜には、グリコホリンと呼ばれるタンパク質が含まれている。グリコホリンはその末端にシアル酸と呼ばれるアニオン電荷を帯びた糖が結合した糖鎖を有している。その結果、赤血球はアニオン電荷を帯びたコロイド粒子として扱うことができる。コロイド粒子の凝集には一般に凝集剤が用いられる。赤血球がアニオン性のコロイド粒子であることを考慮すると、凝集剤としてはカチオン性の物質を用いることが、赤血球の電気二重層を中和する点から有利である。また凝集剤が高分子鎖を有していると、赤血球の表面に吸着した凝集剤の高分子鎖どうしの絡み合いが生じやすくなり、そのことに起因して赤血球の凝集が促進される。更に、凝集剤が官能基を有している場合には、該官能基間の相互作用によっても赤血球の凝集が促進されるので好ましい。
赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは、その分子量が、2000以上であることが好ましく、1万以上であることが更に好ましく、15万以上であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以上であることによって、赤血球間でのカチオン性ポリマーどうしの絡み合いや、赤血球間でのカチオン性ポリマーの架橋が十分に生じ、経血が赤血球の凝集塊を効果的に生成させ、偏在化部45での吸収速度が高まるとともに、偏在化部45での拡散を抑制する効果が高まるので一層好ましい。分子量の上限値は3000万以下であることが好ましく、2200万以下であることが更に好ましく、1000万以下であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以下であることによって、カチオン性ポリマーが経血中へ良好に溶解する。カチオン性ポリマーの分子量は、経血が赤血球と血漿に離され、赤血球の凝集塊を効果的に生成させ、血漿は偏在化部45において、高吸収性ポリマーに効率よく吸収され、吸収量を高めることができ、速度が高まるとともに、偏在化部45での拡散を抑制する効果が一層高まり、肌への液戻りや経血の赤みを周辺に拡散し難くする観点から、2000以上3000万以下であることが好ましく、1万以上2200万以下であることが更に好ましく、15万以上1000万以下であることが一層好ましい。
本発明に言う分子量とは、重量平均分子量のことである。また、上述の分子量範囲内で、異なる分子量のカチオン性ポリマーを2種以上組合せても良い。カチオン性ポリマーの分子量は、その重合条件を適切に選択することで制御することができる。カチオン性ポリマーの分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8320GPCを用いて測定することができる。具体的な測定条件は次のとおりである。カラムとしては、東ソー株式会社製のガードカラムαと分析カラムα−Mを直列でつないだものを、カラム温度:40℃で用いる。検出器は、RI(屈折率)を用いる。測定サンプルとしては、溶離液1mLに対して1mgの測定対象の処理剤(第4級アンモニウム塩ポリマー)を溶解させる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、水に150mmol/Lの硫酸ナトリウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、溶離液10mLに対して、分子量5900のプルラン、分子量47300のプルラン、分子量21.2万のプルラン、分子量78.8万のプルラン、各2.5mg溶解させたプルラン混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は流速:1.0mL/min、注入量:100μLで測定する。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、エタノール:水=3:7(体積比)に50mmol/Lの臭化リチウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、溶離液20mLに対して、分子量106のポリエチレングリコール(PEG)、分子量400のPEG、分子量1470のPEG、分子量6450のPEG、分子量5万のポリエチレンオキシド(PEO)、分子量23.5万のPEO、分子量87.5万のPEO、各10mg溶解させたPEG−PEO混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は流速:0.6mL/min、注入量:100μLで測定する。
赤血球の凝集塊を一層効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーとして第4級アンモニウム塩ポリマーを用いる場合、該第4級アンモニウム塩ポリマーは、その流動電位が1500μeq/L以上であることが好ましく、2000μeq/L以上であることが更に好ましく、3000μeq/L以上であることが一層好ましく、4000μeq/L以上であることが更に一層好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位がこれらの値以上であることによって、赤血球の電気二重層を十分に中和することができる。流動電位の上限値は13000μeq/L以下であることが好ましく、8000μeq/L以下であることが更に好ましく、6000μeq/L以下であることが一層好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位がこれらの値以下であることによって、赤血球に吸着した第4級アンモニウム塩ポリマーどうしの電気的反発を効果的に防止することができる。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位は、1500μeq/L以上13000μeq/L以下であることが好ましく、2000μeq/L以上13000μeq/L以下であることが更に好ましく、3000μeq/L以上8000μeq/L以下であることが一層好ましく、4000μeq/L以上6000μeq/L以下であることが更に一層好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位は、例えば構成しているカチオン性モノマー自体の分子量、共重合体を構成しているカチオン性モノマーとアニオン性モノマー又はノニオン性モノマーの共重合モル比を調整することで制御することができる。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位は、スペクトリス株式会社製の流動電位測定器(PCD04)を用いて測定することができる。具体的な測定条件は次のとおりである。まず市販のナプキンに対して、ドライヤーなどを用いて各部材を接着しているホットメルトを無効化し、表面シート、吸収体、裏面シートなどの部材に分解する。分解した各部材に対して、非極性溶媒から極性溶媒までの多段階溶媒抽出法を行い、各部材に用いられている処理剤を分離し、単一の組成物を含んだ溶液を得る。得られた溶液を乾燥・固化させ、1H−NMR(核磁気共鳴法)、IR(赤外分光法)、LC(液体クロマトグラフィ)、GC(ガスクロマトグラフィ)、MS(質量分析法)、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)、蛍光X線などを複合して、処理剤の構造を同定する。測定対象の処理剤(第4級アンモニウム塩ポリマー)0.001gを生理食塩水10gに溶解させた測定サンプルに対して、0.001Nのポリエチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(測定サンプルが負電荷を有する場合は、0.001Nのポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液)を滴定し、電極間の電位差がなくなるまでに要した滴定量XmLを測定する。その後、式1により第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位を算出する。
流動電位 = (X+0.190※)×1000 ・・・ 式1
(※ 溶媒の生理食塩水に要した滴定量)
カチオン性ポリマーが、赤血球の表面に首尾よく吸着するためには、該カチオン性ポリマーが、赤血球の表面に存在しているシアル酸と相互作用しやすいことが有利である。この観点から本発明者が検討を推し進めたところ、物質の無機性値と有機性値との比率である無機性値/有機性値の値(以下「IOB(Inorganic Organic Balance)値」という。)を尺度として、シアル酸結合物とカチオン性ポリマーとの相互作用の程度を評価できることが判明した。詳細には、カチオン性ポリマーとして、シアル酸結合物のIOB値と同じか、それに近似した値のIOB値を有するものを用いることが有利であることが判明した。シアル酸結合物とは、生体内でシアル酸が存在し得る形態となっている化合物のことであり、例えばガラクト脂質などの糖脂質の末端にシアル酸が結合している化合物などが挙げられる。
一般に、物質の性状は、分子間の各種分子間力に大きく支配され、この分子間力は主に分子質量によるVan Der Waals力と、分子の極性による電気的親和力からなっている。物質の性質の変化に対して大きな影響を与えるVan Der Waals力と、電気的親和力のそれぞれを個別に把握することができれば、その組み合わせから未知の物質、あるいはそれらの混合物についてもその性状を予測することができる。この考え方は、「有機概念図論」として良く知られている理論である。有機概念図論は、例えば藤田穆著の「有機分析」(カニヤ書店、昭和5年)、藤田穆著の「有機定性分析:系統的.純粋物編」(共立出版、1953年)、藤田穆著の「改編 化学実験学−有機化学編」(河出書房、1971年)、藤田穆・赤塚政実著の「系統的有機定性分析(混合物編)」(風間書房、1974年)、及び甲田善生・佐藤四郎・本間善夫著の「新版 有機概念図 基礎と応用」(三共出版、2008年)等に詳述されている。有機概念図論では、物質の物理化学的物性について、主にVan Der Waals力による物性の程度を「有機性」と呼び、また主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と呼び、物質の物性を「有機性」と「無機性」の組み合わせでとらえている。そして、炭素(C)1個を有機性20と定義し、それに対して各種極性基の無機性及び有機性の値を、以下の表1に記載のとおり定め、無機性値の和と有機性値の和を求め、両者の比をIOB値と定義している。本発明においては、これらの有機性値及び無機性値に基づき、上述したシアル酸結合物のIOB値を決定し、その値に基づきカチオン性ポリマーのIOB値を決定する。
Figure 2017217078
具体的には、カチオン性ポリマーがホモポリマーである場合、該ホモポリマーの繰り返し単位に基づき無機性値及び有機性値を決定し、IOB値を算出する。例えば後述する実施例1で用いているカチオン性ポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの場合、−C−×8=160の有機性値と、Ammo and NH4 salt×1=400の無機性値と、Ring(non-aromatic single ring)×1=10の無機性値と、−Cl×1=40の有機性値及び10の無機性値とを有することから、無機性値の合計は400+10+10=420となり、有機性値の合計は160+40=200となる。したがってIOB値は420/200=2.10となる。
一方、カチオン性ポリマーが共重合物である場合には、共重合に用いられるモノマーのモル比に応じて以下の手順でIOB値を算出する。すなわち、共重合物がモノマーAとモノマーBとから得られ、モノマーAの有機性値がORAで、無機性値がINAであり、モノマーBの有機性値がORBで、無機性値がINBであり、モノマーA/モノマーBのモル比がMA/MBである場合、共重合物のIOB値は以下の式から算出される。
Figure 2017217078
このようにして決定されたカチオン性ポリマーのIOB値は、0.6以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.1以上であることが更に好ましく、2.2以上であることが一層好ましい。また、カチオン性ポリマーのIOB値は、4.6以下であることが好ましく、3.6以下であることが更に好ましく、3.0以下であることが一層好ましい。具体的には、カチオン性ポリマーのIOB値は、0.6以上4.6以下であることが好ましく、1.8以上3.6以下であることがより好ましく、2.1以上3.6以下であることが更に好ましく、2.2以上3.0以下であることが一層好ましい。なお、シアル酸のIOB値は、シアル酸単体で4.25であり、シアル酸結合体で3.89である。前記シアル酸結合物とは、糖脂質における糖鎖とシアル酸が結合したものであり、シアル酸結合体は、シアル酸単体よりも有機性値の割合が高くなり、IOB値は低くなる。
カチオン性ポリマーのIOB値は上述のとおりであるところ、有機性値そのものは40以上であることが好ましく、100以上であることが更に好ましく、130以上であることが一層好ましい。また、310以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましく、240以下であることが更に好ましく、190以下であることが一層好ましい。例えば有機性値は、40以上310以下であることが好ましく、40以上250以下であることがより好ましく、100以上240以下であることが更に好ましく、130以上190以下であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの有機性値をこの範囲に設定することで、該カチオン性ポリマーが赤血球に一層首尾よく吸着するようになる。
一方、カチオン性ポリマーの無機性値に関しては、70以上であることが好ましく、90以上であることが更に好ましく、100以上であることが一層好ましく、120以上であることが更に一層好ましく、250以上であることが特に好ましい。また、790以下であることが好ましく、750以下であることが更に好ましく、700以下であることが一層好ましく、680以下であることが更に一層好ましく、490以下であることが特に好ましい。例えば無機性値は、70以上790以下であることが好ましく、90以上750以下であることが更に好ましく、90以上680以下であることが一層好ましく、120以上680以下であることが更に一層好ましく、250以上490以下であることが特に好ましい。カチオン性ポリマーの無機性値をこの範囲に設定することで、該カチオン性ポリマーが赤血球に一層首尾よく吸着するようになる。
カチオン性ポリマーを赤血球に更に一層首尾よく吸着させる観点から、該カチオン性ポリマーの有機性値をxとし、無機性値をyとしたとき、xとyが以下の式Aを満たすことが好ましい。
y=ax (A)
式中、aは0.66以上であることが好ましく、0.93以上であることが更に好ましく、1.96以上であることが一層好ましい。また、aは、4.56以下あることが好ましく、4.19以下であることが更に好ましく、3.5以下であることが一層好ましい。例えばaは、0.66以上4.56以下の数であることが好ましく、0.93以上4.19以下の数であることが更に好ましく、1.96以上3.5以下の数であることが一層好ましい。特に、カチオン性ポリマーの有機性値及び無機性値が上述の範囲内であることを条件として、該カチオン性ポリマーの有機性値及び無機性値が前記の式Aを満たす場合には、該カチオン性ポリマーがシアル酸結合体と相互作用しやすくなり、該カチオン性ポリマーが赤血球に更に一層吸着しやすくなる。
赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは水溶性であることが好ましい。本発明において「水溶性」とは、100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に0.05gの1mm以下の粉末状または厚み0.5mm以下のフィルム状カチオン性ポリマーを25℃の50mLイオン交換水に添加混合したときに、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、アズワン株式会社製マグネチックスターラーHPS−100を用いて600rpm攪拌下、その全量が24時間以内に水に溶解する性質のことである。なお、本発明において、さらに好ましい溶解性としては、全量が3時間以内に水に溶解することが好ましく、全量が30分以内に水に溶解することがさらに好ましい。
カチオン性ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。特に第4級アンモニウム塩ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。第4級アンモニウム部位は側鎖に存在していることが好ましい。この場合、主鎖と側鎖とが1点で結合していると、側鎖の可撓性が阻害されにくくなり、側鎖に存在している第4級アンモニウム部位が赤血球の表面に円滑に吸着するようになる。尤も本発明において、カチオン性ポリマーの主鎖と側鎖とが2点又はそれ以上で結合していることは妨げられない。本発明において「1点で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの1個が、側鎖の末端に位置する1個の炭素原子と単結合していることをいう。「2点以上で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの2個以上が、側鎖の末端に位置する2個以上の炭素原子とそれぞれ単結合していることをいう。
カチオン性ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、例えば第4級アンモニウム塩ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、各側鎖の炭素数は4以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましく、6以上であることが一層好ましい。炭素数の上限値は、10以下であることが好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることが一層好ましい。例えば側鎖の炭素数は4以上10以下であることが好ましく、5以上9以下であることが更に好ましく、6以上8以下であることが一層好ましい。側鎖の炭素数とは、該側鎖における第4級アンモニウム部位(カチオン部位)の炭素数のことであり、対イオンであるアニオン中に炭素が含まれているとしても、その炭素は計数に含まない。特に、側鎖の炭素原子のうち、主鎖に結合している炭素原子から、第4級窒素に結合している炭素原子までの炭素数が上述の範囲であることが、第4級アンモニウム塩ポリマーが赤血球の表面の表面に吸着するときの立体障害性が低くなるので好ましい。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマーである場合、該ホモポリマーとしては、例えば第4級アンモニウム部位又は第3級アミン部位を有するビニル系単量体の重合物が挙げられる。第3級アミン部位を有するビニル系単量体を重合する場合には、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位をアルキル化剤によって第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ホモポリマーとなるか、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位を酸によって中和した第3級アミン中和塩となるか、重合後に水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンとなる。アルキル化剤や酸の例は、先に述べたとおりである。
特に第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、以下の式1で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2017217078
第4級アンモニウム塩ホモポリマーの具体例としては、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。また、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と1点で結合しているものであるポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムメチル硫酸塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルトリメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩)、ポリ(3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド4級塩)、ポリメタクル酸ジメチルアミノエチル、ポリアリルアミン塩酸塩、カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリアミジンなどが挙げられる。一方、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と2点以上で結合しているホモポリマーの例としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルアミン塩酸塩が挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩共重合物である場合には、該共重合物として、上述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を2種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物として、上述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。更に、ビニル系重合性単量体に加えて、又はそれに代えて、他の重合性単量体、例えば−SO2−などを用いることもできる。第4級アンモニウム塩共重合物は、上述したとおり、二元系の共重合物又は三元系以上の共重合物であり得る。
特に、第4級アンモニウム塩共重合物は、前記の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有することが、赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から好ましい。
Figure 2017217078
また、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体としては、カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体を用いることができる。これらの重合性単量体中で、特にカチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体を用いることで、第4級アンモニウム塩共重合物内において第4級アンモニウム部位との電荷相殺が起こらないので、赤血球の凝集を効果的に生じさせることができる。カチオン性重合性単量体の例としては、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を有する環状化合物としてビニルピリジンなど、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を主鎖に有する直鎖状化合物としてジシアンジアミドとジエチレントリアミンの縮合化合物などが挙げられる。アニオン性重合性単量体の例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、及び、スチレンスルホン酸、並びに、これらの化合物の塩などが挙げられる。一方、ノニオン性重合性単量体の例としては、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる。これらカチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体は、それらのうちの一つを用いることができ、あるいは任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。またカチオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、アニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、あるいはノニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることもできる。カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体及び/又はノニオン性重合性単量体を重合性単量体として用いて共重合された第4級アンモニウム塩共重合物は、その分子量が、上述のとおり1000万以下であることが好ましく、特に500万以下、とりわけ300万以下であることが好ましい(以下に例示する第4級アンモニウム塩共重合物についても同様である。)。
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いること、それから得られる第4級アンモニウム塩共重合物を用いて赤血球を凝集させたときに、硬い凝集塊が生じやすくなり、高吸収性ポリマーの吸収性能が一層阻害されにくくなる。水素結合をすることが可能な官能基としては、例えば−OH、−NH2、−CHO、−COOH、−HF、−SHなどが挙げられる。水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。特に、水素結合が強く働く、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアクリルアミドなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いることで、上述した、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いる場合と同様の有利な効果、すなわち赤血球の硬い凝集塊が生じやすくなるという効果が奏される。疎水性相互作用をすることが可能な官能基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、アルキルナフタレン基、フッ化アルキル基などが挙げられる。疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレンなどが挙げられる。特に、疎水性相互作用が強く働き、第4級アンモニウム塩ポリマーの溶解性を大きく低下させない、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第4級アンモニウム塩共重合物中での、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体とのモル比は、該第4級アンモニウム塩共重合物によって赤血球が十分に凝集するように適切に調整されることが好ましい。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物の流動電位が、上述した値となるように調整されることが好ましい。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物のIOBが、上述した値となるように調整されることが好ましい。特に、第4級アンモニウム塩共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上であることが好ましく、22モル%以上であることが更に好ましく、32モル%以上であることが一層好ましく、38モル%以上であることが更に一層好ましい。また、100モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることが更に好ましく、65モル%以下であることが一層好ましく、56モル%以下であることが更に一層好ましい。具体的には、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上100モル%以下であることが好ましく、22モル%以上80モル%以下であることが更に好ましく、32モル%以上65モル%以下であることが更に好ましく、38モル%以上56モル%以下であることが一層好ましい。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩重縮合物である場合には、該重縮合物として、上述した第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それらの縮合物を重合することで得られた重縮合物を用いることができる。具体例としては、ジシアンジアミド/ジエチレントリアミン重縮合物、ジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合物などが挙げられる。
上述した第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び第4級アンモニウム塩共重合物は、ビニル系重合性単量体の単独重合法又は共重合法によって得ることができる。重合方法としては、例えばラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、開環重合、重縮合などを用いることができる。重合条件に特に制限はなく、目的とする分子量、流動電位、及び/又はIOB値を有する第4級アンモニウム塩ポリマーが得られる条件を適切に選択すればよい。
ここで詳述したカチオン性ポリマーは上述した「好ましい血球凝集剤」の例示であり、その効果は特願2015−239286号の実施例1乃至45によって参照可能である
また、ナプキン1の備える血球凝集剤8としては、上述したように、カチオン性ポリマー以外に、第三成分、例えば、溶媒、可塑剤、香料、スキンケア剤等を含んだ組成物(血球凝集剤組成物)の形態で付与されていてもよい。また、この血球凝集剤8に含まれ得るカチオン性ポリマー以外の成分は、1種又は2種以上混合することができる。溶媒としては、水、炭素数1ないし4の飽和脂肪族一価アルコール等の水溶性有機溶媒、又は該水溶性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオールなどを用いることができる。さらに、抗菌・消臭剤としては、特許第4526271号公報に記載されている抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、特許第4587928号公報に記載されているフェニル基を有する重合性モノマーから重合された多孔性ポリマー、特許第4651392号公報に記載されている第4級アンモニウム塩、活性炭、粘土鉱物などを用いることができる。香料としては、特許第4776407号公報に記載されているグリーンハーバル様香気を有する香料、植物の抽出エキス、柑橘類の抽出エキスなどを用いることができる。スキンケア剤としては、特許第4084278号公報に記載されている植物エキス、コラーゲン、天然保湿成分、保湿剤、角質柔軟化剤、消炎剤などを用いることができる。
血球凝集剤組成物に占めるカチオン性ポリマーの割合は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが一層好ましい。例えばカチオン性ポリマーの割合は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが一層好ましい。血球凝集剤組成物に占めるカチオン性ポリマーの割合をこの範囲内に設定することで、吸収性物品に有効量のカチオン性ポリマーを付与することができる。
上述したように、ナプキン1では、図3及び図4に示すように、血球凝集剤8は、吸収性コア41よりも肌対向面側に位置するコアラップシート42に配されている。コアラップシート42の原料としては、紙又は親水性不織布が好ましく用いられる。紙としては、木材パルプ繊維を主体とする湿式抄紙法による紙、例えばティッシュペーパーが挙げられる。親水性不織布としては、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が挙げられる。該不織布の坪量は、好ましくは10〜100g/m2、更に好ましくは15〜60g/m2である。
血球凝集剤8は、平面視して、偏在化部45と重なるコアラップシート42における位置に配されていれば良いが、ナプキン1では、コアラップシート42の排泄部対向部Bの全面に配されており、より具体的には、コアラップシート42の全面に配されている。その為、吸収性コア41の肌対向面及び非肌対向面それぞれが、血球凝集剤8が全面に配されたコアラップシート42で被覆されている。
コアラップシート42に含有される血球凝集剤8の量は、1.0g/m2以上であることが好ましく、3.0g/m2以上であることが更に好ましく、5.0g/m2以上であることが一層好ましい。また20.0g/m2以下であることが好ましく、15.0g/m2以下であることが更に好ましく、10.0g/m2以下であることが一層好ましい。例えばコアラップシート42の血球凝集剤8の量は、1.0g/m2以上20.0g/m2以下であることが好ましく、3.0g/m2以上15.0g/m2以下であることが更に好ましく、5.0g/m2以上10.0g/m2以下であることが一層好ましい。この範囲の量で血球凝集剤8をコアラップシート42に施すことで、排泄された経血中の赤血球を効果的に凝集させることができる。なお、血球凝集剤8がカチオン性ポリマーであって、コアラップシート42に含まれるカチオン性ポリマーの量が上述の範囲であることが特に好ましい。なお、血球凝集剤8が、例えば後述する2枚のコアラップシート42で吸収性コア41を被覆する場合や、吸収性コア41との双方に施されている場合など、2つ以上の部位に施されている場合、前記の量は、各部位に施されている血球凝集剤8の総和のことである。なお、血球凝集剤8がカチオン性ポリマーであって、吸収性シートに含まれるカチオン性ポリマーの量が上述の範囲であることが特に好ましい。
血球凝集剤8がコアラップシート42に配されているか否かは、該構成材を溶剤に曝して抽出し、成分分析する方法等、当業者であれば容易に分析可能であるが、例えば以下のようにして判断することもできる。
走査型電子顕微鏡(SEM)に付随されるエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用い、予め、コアラップシート42を構成する繊維及び血球凝集剤8、それぞれの元素分析を行う。次いで、血球凝集剤8が配されているか否か判断したい試料片をアルミ製の試料台にカーボン製の両面テープを用いて貼り付け、必要に応じて白金/バナジウムコーティングを行った後、SEM観察で拡大しながらEDX(元素分析装置)を用いて血球凝集剤8の元素の有無について確認を行う。測定は、15kV〜40kVの加速電圧で行う。
コアラップシート42は、吸収性コア41よりも坪量が小さいものであることが、吸収性コア41に血球凝集剤8と経血が流れ込みやすくなるので、液戻りを防止する観点から好ましい。また、偏在化部45Bはコアラップシート42よりも形成材料の密度が高いことが好ましい。
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、裏面シート3としては、透湿性の樹脂フィルム等を用いることができる。
表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。表面シート2は、液透過性を向上させるための各種の油剤、例えば各種の界面活性剤を塗布しておくことができる。表面シート2が多層構造のものである場合、該表面シート2として、着用者の肌に近い側に位置する第1繊維層と、着用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層とを有し、両繊維層が、部分的に形成された多数の接合部によって厚さ方向に一体化されており、第1繊維層における、複数の該接合部どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、前記凹凸形状の凸部を形成している凹凸シートを用いることができる。この凹凸シートにおける凸部は、その全体が繊維で満たされた中実構造のものであってもよく、あるいは内部に空間を有する中空構造のものであってもよい。凸部が中実構造である凹凸シートとしては、例えば特開2007−182662号公報や特開2002−187228号公報に記載のものを用いることができる。
このような凹凸シートを表面シート2として用いると、本発明のナプキン1では、排泄部偏在化部45Bにおいて、より一層、肌への液戻りや経血の赤みを周辺に拡散し難い。
表面シート2にはエンボス加工が施されていてもよい。エンボスパターンに特に制限はなく、ナプキン1の具体的な用途に応じて種々のパターンを形成することができる。例えば、吸収体4の周縁よりも内側の位置に、該周縁に沿う閉じた形状の、いわゆるラウンドエンボスを形成することができる。このラウンドエンボスにおいては、吸収体4の側縁に対応する部位を、該吸収体4の幅方向の外方に向けて凸状に膨らんだ形状とすることが好ましい。このラウンドエンボスは、全体として見たときに連続しているとみなせる範囲において、不連続なエンボスパターンの集合体から構成されていてもよい。
ナプキン1では、表面シート2と吸収体4との間、及び吸収体4と裏面シート3との間は、接着剤を塗布して固定されていることが好ましい。接着剤は、公知の手段、例えば、スロットコートガン、スパイラルスプレーガン、スプレーガン、或いはドットガンを用いて塗布することができ、ナプキン1では、スパイラルスプレーガンを用いてスパイラル状に塗布することが好ましい。塗布する接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト接着剤の塗布量は、1.5g/m2以上10g/m2以下であることが好ましい。
上述したナプキン1の作用効果と推定メカニズムについて説明する。
ナプキン1では、図7に示すように、吸収性コア41がパルプ繊維の坪量の高い偏在化部45を備えているので、ナプキン1の使用中においては、パルプ繊維の坪量の高い偏在化部45に経血が集まり易く、体液の液保持量が多く、高い吸収量を確保することができる。また、血球凝集剤8が、吸収性コア41よりも肌対向面側に位置するコアラップシート42におけるパルプ繊維の坪量の高い偏在化部45と重なる部分に配されている。その為、ナプキン1の使用中においては、コアラップシート42の含有する血球凝集剤8によって、経血が赤血球と血漿に分離され、血球凝集剤8によって2個以上の赤血球が凝集して形成された凝集塊8Sが形成され易い。ここで、偏在化部45はパルプ繊維の坪量が高いので、パルプ繊維が多く、2個以上の赤血球が凝集してなる凝集塊8Sが、パルプ繊維間の隙間を通り難く、偏在化部45内で捕捉され易い。このように凝集塊が吸収性コア41の偏在化部45内に捕捉され易くなると、着用中に偏在化部45に過度の装着圧等の圧力がかかったとしても、偏在化部45の周辺に凝集塊8Sが拡散し難く、経血の赤みが周辺に拡散し難くなり、経血漏れを想起し難くなる。
また、ナプキン1では、図4に示すように、偏在化部45が排泄部対向部Bに配されている。その為、凝集塊が、吸収性コア41の偏在化部45内に更に捕捉され易く、凝集塊が偏在化部45の周辺に更に拡散し難く、経血の赤みが周辺に更に拡散し難くなり、経血漏れを更に想起し難くなる。
また、ナプキン1では、図7に示すように、吸収性コア41が高吸収性ポリマーを含み偏在化部45の高吸収性ポリマーの坪量も高いので、コアラップシート42の含有する血球凝集剤8によって、経血が赤血球と血漿に分離され、分離された血漿が高吸収性ポリマーに吸収され易く、吸収体4の高吸収性ポリマーへの吸収速度が速くなる。また、ナプキン1では、吸収性コア41の溝部43は、肌対向面側に開口している。その為、凝集塊8Sが、吸収性コア41の溝部43内に捕捉され易く、偏在化部45の周辺に更に拡散し難く、経血の赤みが周辺に更に拡散し難くなり、経血漏れを更に想起し難くなる。さらに、凝集塊8Sが、十分に吸収されていない体液をブロックする効果を有するため、体液の液戻りが発生し難く、ウエットバック性に優れる。
また、ナプキン1では、図4に示すように、吸収性コア41の偏在化部45は、相対的に坪量が低い溝部43を備えている。より具体的には、該溝部43と、相対的に坪量が高く溝部43で囲まれた複数の小吸収部44とを有するブロック構造が、縦方向Xに複数配されたブロック領域BTを有している。溝部43は、小吸収部44よりも吸収性コア41の形成材料の坪量を減らして形成されているので、吸収性物品の着用時に、溝部43を起点に曲がり易く、違和感を与え難く、着用感が良好となる。それと共に、溝部43によって、1つの小吸収部44内に捕捉された凝集塊は隣りの他の小吸収部44への移動が更に発生し難くなり、偏在化部45の周辺に更に拡散し難く、経血の赤みが周辺に更に拡散し難くなり、経血漏れを更に想起し難くなる。
また、ナプキン1では、図4に示すように、偏在化部45の輪郭に沿って延びる外周溝部43Gを有している。外周溝部43Gによって、偏在化部45内に捕捉された凝集塊は、偏在化部45の周辺に更に拡散し難く、経血の赤みが周辺に更に拡散し難くなり、経血漏れを更に想起し難くなる。
上記効果を一層奏する観点から、図5に示すように、吸収性コア41の偏在化部45に配された溝部43(横溝部43Y及び縦溝部43X)の底の厚みt2よりも、外周溝部43Gの底の厚みt1の方が、厚みが薄い方が好ましい。外周溝部43Gの底の厚みt1は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることが更に好ましく、そして、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることが更に好ましく、具体的には、1mm以上5mm以下であることが好ましく、2mm以上4mm以下であることが更に好ましい。また、溝部43(横溝部43Y及び縦溝部43X)の底の厚みt2は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、そして、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることが更に好ましく、具体的には、2mm以上6mm以下であることが好ましく、3mm以上5mm以下であることが更に好ましい。
吸収性コア41の溝部43の各部における底の厚みは、非荷重下における吸収性物品の切断端面の写真から計測する。
血球凝集剤8は、吸収性コア41よりも肌対向面側に位置するナプキン1の構成部材(本実施形態ではコアラップシート42)における全面に配されているが、上記効果を一層奏する観点から、血球凝集剤8は、吸収性コア41よりも肌対向面側に位置するナプキン1の構成部材(本実施形態ではコアラップシート42)における吸収性コア41の偏在化部45と平面視で重なる位置にのみ配されていることが更に好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は前記実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、ナプキン1では、図3及び図4に示すように、血球凝集剤8が、吸収性コア41よりも肌対向面側に位置するコアラップシート42に配されているが、吸収性コア41における偏在化部45に配されていてもよい。血球凝集剤8が吸収性コア41の偏在化部45に配されている場合、偏在化部45は、排泄部対向部Bに配され、偏在化部45には溝部43が設けられていることが好ましい。
また、ナプキン1では、血球凝集剤8が1枚のコアラップシート42の全面に配されており、全面に血球凝集剤8の配された1枚のコアラップシート42によって吸収性コア41の肌対向面及び非肌対向面の両面が被覆されているが、吸収性コア41の肌対向面側に配されるコアラップシート42と吸収性コア41の非肌対向面側に配されるコアラップシート42とからなる2枚のコアラップシート42で吸収性コア41を被覆していてもよい。このようにコアラップシート42を2枚使用する場合、血球凝集剤8は、吸収性コア41の肌対向面側に配されるコアラップシート42にのみ配されていることが好ましい。
また、ナプキン1の吸収性コア41は、図3及び図4に示すように、排泄部偏在化部45Bと後方偏在化部45Cとを有する偏在化部45を備え、横溝部43Y及び縦溝部43Xで囲まれた小吸収部44を複数有するブロック領域BTが前方部Aから後方部Cに亘って形成されているが、図8に示すように、排泄部偏在化部45B及び後方偏在化部45Cの代わりに、縦溝部43X及び横溝部43Yで区切られていない1つの単独偏在化部45Dを有しても良い。単独偏在化部45Dは、主として排泄部対向部Bに配されており、排泄部対向部Bにおける、吸収性コア41の縦方向Yに沿う両側部間に亘って形成されている。また単独偏在化部45Dは、縦方向Xの両端部から横方向Yの中央部に位置する頂部に向かって、その幅が漸減するように形成されており、縦方向Xの頂部のそれぞれが前方部A及び後方部Cに位置している。
このような単独偏在化部45Dを有することで、体液の吸収量が高く、着用中に経血の赤みが周辺に拡散し難くできる。
また、ナプキン1の吸収性コア41に形成された溝部43は、図3及び図4に示すように、その底部の坪量が、吸収性コア41の他の領域、具体的には後述する小吸収部44の坪量よりも低くなっているが、厚みが薄く形成されていれば、坪量が低くなくてもよい。即ち、溝部43が、吸収性コア41のみエンボス加工することにより押圧して形成されたものであってもよい。
また、ナプキン1の吸収性コア41は、パルプ繊維等を積繊した積繊タイプの吸収性コアであるが、吸収性シートで形成されたものであってもよい。吸収性シートの代表的なものとしては、特許2963647号記載のものや、特許2955223号記載のものなどが挙げられる。
また、本発明の経血吸収用の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収性物品を開示する。
以下、本発明の吸収性物品を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
<実施例1>
図3に示す吸収性コア41及びコアラップシート42を有する図1及び図2に示す生理用ナプキン1と同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを実施例1のサンプルとした。表面シートとしては、スパンボンド不織布を用いた。裏面シートとしては、透湿性の樹脂フィルムを用いた。防漏カフ形成用シートとしては、スパンボンド不織布を用いた。吸収体としては、吸収性コアは、パルプ繊維と高吸収性ポリマーの混合積繊体として形成した。吸収性コアの木材パルプ繊維の平均坪量が300g/m2であり、吸収性コアにおける高吸収性ポリマーの含有量は6.5質量%であり、高吸収性ポリマーとして、日本触媒社製のアクアリックCAを用いた。周辺領域の小吸収部の厚みは、3.7mmであり、排泄部偏在化部の小吸収部の厚みは、6.5mmであり、周辺領域の小吸収部の厚みの176%(排泄部偏在化部の小吸収部の厚み/周辺領域の小吸収部の厚み)であり、後方偏在化部の小吸収部の厚みは、5.0mmであり、周辺領域の小吸収部の厚みの135%(後方偏在化部の小吸収部の厚み/周辺領域の小吸収部の厚み)であった。また、偏在化部の小吸収部の坪量が640g/m2であり、後方偏在化部の小吸収部の坪量が400g/m2であり、周辺領域の小吸収部の坪量が230g/m2であった。縦溝部43X、横溝部43Y及び外周溝部43Gの坪量は、それぞれ、53g/m2、53g/m2であった。また、コアラップシートとしては、坪量16g/m2、厚み0.5mmであるテッシュペーパーを用い、血球凝集剤を6.0g/m2含有するように全面に塗工していた。血球凝集剤に含有するカチオン性ポリマーとしては、日本ルーブリゾール社製の商品名マーコート100(重量平均分子量:15万、IOB値21.0、流動電位7488μeq/L)を用いた。また、偏在化部の小吸収部の形成材料の密度は、周辺領域の小吸収部の形成材料の密度よりも高かった。偏在化部の小吸収部の形成材料の密度は、コアラップシートの形成材料の密度よりも高かった。
<実施例2>
高吸収性ポリマーを有しない吸収性コアを用いること以外は、実施例1で作成したサンプルと同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを実施例2のサンプルとした。偏在化部の小吸収部の坪量が640g/m2であり、後方偏在化部の小吸収部の坪量が400g/m2であり、周辺領域の小吸収部の坪量が230g/m2であった。また、偏在化部の小吸収部の形成材料の密度は、周辺領域の小吸収部の形成材料の密度よりも高かった。偏在化部の小吸収部の形成材料の密度は、コアラップシートの形成材料の密度よりも高かった。
<実施例3>
センカ株式会社製の商品名FPA1002L(重量平均分子量:60万、IOB値 2.10、流動電位7856μeq/L)を血球凝集剤に含有されるカチオン性ポリマーとして用いたこと以外は、実施例1で作製したサンプルと同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを実施例3のサンプルとした。
<実施例4>
図8に示す吸収性コア41を有する吸収体を、該吸収性コアの溝部の開口が非肌対向面側を向くように配した生理用ナプキンと同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを実施例4のサンプルとした。実施例4の生理用ナプキンの吸収性コアは、パルプ繊維と高吸収性ポリマーの混合積繊体として形成した。吸収性コアの平均坪量が300g/m2であり、吸収性コアにおける高吸収性ポリマーの含有量は5.6質量%であり、高吸収性ポリマーとして日本触媒社製のアクアリックCAを用いた。周辺領域の小吸収部の厚みは、2.3mmであり、単独偏在化部の厚みは、3.5mmであり、周辺領域の小吸収部の厚みの152%(排泄部偏在化部の小吸収部の厚み/周辺領域の小吸収部の厚み)であり、単独偏在化部の坪量は、350g/m2であり、周辺領域の小吸収部の坪量は250g/m2であった。また、偏在化部の形成材料の密度は、周辺領域の小吸収部の形成材料の密度よりも高かった。偏在化部の形成材料の密度は、コアラップシートの形成材料の密度よりも高かった。上記以外の基本的な構成は、実施例1と同様とした。
<実施例5>
図3に示す吸収性コアを有する吸収体を、該吸収性コアの溝部の開口が非肌対向面側を向くように配した生理用ナプキンと同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを実施例5のサンプルとした。上記以外の基本的な構成は、実施例1と同様とした。但し、実施例1と異なり、吸収性コアに配された溝部は、非肌対向面側に開口させた。
<比較例1>
血球凝集剤を含有しない以外は、実施例1で作製したサンプルと同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔評価〕
実施例1〜5のサンプル(生理用ナプキン)及び比較例1のサンプル(生理用ナプキン)について、(I)吸収量及び(II)赤み拡散を、それぞれ、5名に実際に使用させて官能評価させた。それらの結果の平均を下記表2に示す。
(I)吸収量の測定
5:高い
4:やや高い
3:どちらでもない
2:やや低い
1:低い
(II)赤み面積の測定
5:狭小
4:やや狭小
3:やや拡散
2:拡散
1:著しく拡散
Figure 2017217078
表2に示すように、実施例1〜5の生理用ナプキンは、比較例1に生理用ナプキンに比べ、体液の吸収量が高いと共に、着用中に経血の赤みが周辺に拡散し難いことが分かった。そのため、実施例1〜5の生理用ナプキンを用いれば、着用時における経血漏れを想起し難くなることを期待できる。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収性コア
42 コアラップシート
43 溝部
43G 外周溝部
43X 縦溝部
43Y 横溝部
44 小吸収部
45 偏在化部
45B 排泄部偏在化部
45BC 中央偏在化部
45BS 側方偏在化部
45C 中央部に後方偏在化部
46 周辺領域
8 血球凝集剤
A 前方部
B 排泄部対向部
C 後方部
BT ブロック領域

Claims (11)

  1. 着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向を備え、相対的にパルプ繊維の坪量が高く偏在的に存在する偏在化部を含む吸収性コアを備え、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部を有する吸収性物品であって、
    前記吸収性物品は、血球凝集剤を備えており、
    前記血球凝集剤は、前記吸収性コアにおける前記偏在化部、又は前記吸収性コアよりも肌対向面側に位置する前記吸収性物品の構成部材における前記偏在化部と重なる部分に配されている吸収性物品。
  2. 前記吸収性コアにおける前記偏在化部は、前記排泄部対向部に配されている請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアは少なくとも肌対向面がコアラップシートで覆われており、
    前記血球凝集剤は、平面視して、前記吸収性コアの前記偏在化部と重なる前記コアラップシートにおける位置に配されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収性コアは、高吸収性ポリマーを含み、
    前記偏在化部は、相対的に前記高吸収性ポリマーの坪量が高くなっている請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記偏在化部はその周辺に位置する周辺領域よりも、その形成材料の密度が高い、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収性コアは少なくとも肌対向面がコアラップシートで覆われており、
    前記偏在化部は前記コアラップシートよりも形成材料の密度が高い、請求項3〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記血球凝集剤は、その分子量が2000以上のカチオン性ポリマーである請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記吸収性コアの前記偏在化部は、厚みの薄い溝部を有している、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸収性物品。
  9. 前記偏在化部は、相対的に坪量が低い前記溝部と相対的に坪量が高く該溝部で囲まれた複数の小吸収部とを有するブロック構造が、縦方向に複数配されたブロック領域を有している請求項8に記載の吸収性物品。
  10. 前記溝部は、前記偏在化部の輪郭に沿って延びる外周溝部を備え、該外周溝部は、相対的に坪量が低くなっている請求項8又は9に記載の吸収性物品。
  11. 前記偏在化部に配された前記溝部の底の厚みよりも、前記外周溝部の底の厚みの方が、厚みが薄い請求項10に記載の吸収性物品。
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