JP2017214572A - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
アミン変性エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、および、ポリアクリルアミド樹脂(C)を含む、カチオン電着塗料組成物であって、
上記アミン変性エポキシ樹脂(A)は、数平均分子量が1,000〜5,000の範囲内であり、および
上記ポリアクリルアミド樹脂(C)は、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、および、数平均分子量が100,000以上であるノニオン性ポリアクリルアミド樹脂からなる群から選択される1種またはそれ以上である、
カチオン電着塗料組成物。
[2]
上記ポリアクリルアミド樹脂(C)は、数平均分子量が100,000以上であるカチオン性ポリアクリルアミド樹脂である、上記カチオン電着塗料組成物。
[3]
上記カチオン電着塗料組成物中に含まれる上記ポリアクリルアミド樹脂(C)の量は、上記アミン変性エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分100質量部に対して0.001〜1質量部である、上記カチオン電着塗料組成物。
[4]
上記カチオン電着塗料組成物はさらに、金属酸化物および/または金属水酸化物(D)を含み、上記金属酸化物および/または金属水酸化物(D)は、金属元素として、La、NdおよびYからなる群から選択される1種またはそれ以上を含む、
上記カチオン電着塗料組成物。
[5]
上記カチオン電着塗料組成物の析出電着塗膜は、105℃における塗膜粘度が10Pa・s以下であり、および
上記析出電着塗膜の、105℃における静置粘度が200〜5000Pa・sである、
上記カチオン電着塗料組成物。
[6]
上記カチオン電着塗料組成物の23℃における塗料粘度が10mPa・s以下である、上記カチオン電着塗料組成物。
[7]
上記カチオン電着塗料組成物は、さらにビスマス化合物を含み、上記ビスマス化合物の平均粒子径は1〜500nmである、上記カチオン電着塗料組成物。
[8]
上記カチオン電着塗料組成物中に被塗物を浸漬して電着塗装を行い、次いで加熱硬化することにより、被塗物上に硬化電着塗膜を形成する工程を包含する、硬化電着塗膜形成方法。
[9]
上記被塗物はエッジ部を有し、および、形成された硬化電着塗膜を有する被塗物を塩水噴霧試験した場合において、エッジ塗装部1cm2における錆発生個数が5個/cm2未満である、上記塗膜形成方法。
アミン変性エポキシ樹脂(A)、
硬化剤(B)、および、
ポリアクリルアミド樹脂(C)、
を含む。ここで上記アミン変性エポキシ樹脂(A)は、数平均分子量が1,000〜5,000の範囲内である。以下、各成分について詳述する。
アミン変性エポキシ樹脂(A)は、電着塗膜を構成する塗膜形成樹脂である。アミン変性エポキシ樹脂(A)として、樹脂骨格中のオキシラン環を有機アミン化合物で変性して得られるカチオン変性エポキシ樹脂が好ましい。一般にカチオン変性エポキシ樹脂は、出発原料樹脂分子内のオキシラン環を1級アミン、2級アミンあるいは3級アミンおよび/またはその酸塩などのアミン類との反応によって開環して調製される。出発原料樹脂の典型例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。また他の出発原料樹脂の例として、特開平5−306327号公報に記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物、またはジイソシアネート化合物のイソシアネート基をメタノール、エタノールなどの低級アルコールでブロックして得られたビスウレタン化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって調製することができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物中に含まれる硬化剤(B)は、加熱条件下においてアミン変性エポキシ樹脂(A)と硬化反応する塗膜形成樹脂である。硬化剤(B)として、メラミン樹脂またはブロックイソシアネート硬化剤が好適に用いられる。硬化剤(B)として好適に用いることができるブロックイソシアネート硬化剤は、ポリイソシアネートを、封止剤でブロック化することによって調製することができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、ポリアクリルアミド樹脂(C)を含む。本発明において、ポリアクリルアミド樹脂(C)は、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、および、数平均分子量が100,000以上であるノニオン性ポリアクリルアミド樹脂からなる群から選択される1種またはそれ以上であることを条件とする。カチオン電着塗料組成物中に、上記ポリアクリルアミド樹脂(C)が含まれることによって、エッジ部防錆性が向上する利点がある。
上記アニオン性ビニルモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸などのジカルボン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
N−置換(メタ)アクリルアミドは、上記カチオン性ビニルモノマー以外のN−置換(メタ)アクリルアミドであれば特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルモノマーとして、上記モノマー以外のモノマーであって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル類;アリルアルコールなどのアリル基を含有するアリル系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアクリルアミド系モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジアクリレート系モノマー;ジアリルアミン、ジビニルベンゼン;1,3,5-トリアクロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどの多官能ビニルモノマーなどが挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要に応じて、金属酸化物および/または金属水酸化物(D)を含んでもよい。ここで金属酸化物および/または金属水酸化物(D)は、金属元素として、La、NdおよびYからなる群から選択される1種またはそれ以上を含む金属化合物である。
・乳酸、グリコール酸などの、全炭素原子数2〜5、好ましくは2〜4のモノヒドロキシモノカルボン酸、特に脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸;
・ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、グリセリン酸などの、全炭素原子数3〜7、好ましくは3〜6のジヒドロキシモノカルボン酸、特に脂肪族ジヒドロキシモノカルボン酸。
スルホン酸は有機スルホン酸であり、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などの全炭素原子数1〜5、好ましくは1〜3のアルカンスルホン酸が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要に応じて顔料分散ペーストを含んでもよい。顔料分散ペーストは、電着塗料組成物中に任意に含まれる成分であり、一般に顔料分散樹脂および顔料を含む。
顔料分散樹脂は、顔料を分散させるための樹脂であり、水性媒体中に分散されて使用される。顔料分散樹脂として、4級アンモニウム基、3級スルホニウム基および1級アミン基から選択される少なくとも1種またはそれ以上を有する変性エポキシ樹脂などの、カチオン基を有する顔料分散樹脂を用いることができる。水性溶媒としてはイオン交換水または少量のアルコール類を含む水などを用いる。
顔料は、電着塗料組成物において一般的に用いられる顔料である。顔料として、例えば、通常使用される無機顔料および有機顔料、例えば、チタンホワイト(二酸化チタン)、カーボンブラックおよびベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム、およびリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料など、が挙げられる。
顔料分散ペーストは、顔料分散樹脂および顔料を混合して調製される。顔料分散ペースト中の顔料分散樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、顔料100質量部に対して樹脂固形分比で20〜100質量部となる量で用いることができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要に応じてビスマス化合物を含んでもよい。ビスマス化合物は、ビスマス金属を含有する化合物であり、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマスまたはそれらの混合物が挙げられる。好ましいビスマス化合物は、酸化ビスマスおよび水酸化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明の電着塗料組成物は、アミン変性エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)を含むエマルション、ポリアクリルアミド樹脂(C)、そして必要に応じた金属酸化物および/または金属水酸化物(D)、顔料分散ペーストおよび添加剤などを混合することによって調製することができる。
カチオン電着塗料組成物の23℃における塗料粘度は、B型粘度計(例えばTOKIMEC社製)を用いて、JIS K5601に準拠して測定することができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物を用いて被塗物に対し電着塗装することによって、電着塗膜を形成することができる。本発明のカチオン電着塗料組成物を用いる電着塗装においては、被塗物を陰極とし、陽極との間に、電圧を印加する。これにより、電着塗膜が被塗物上に析出する。
2−エチルヘキサノールハーフブロック化イソホロンジイソシアネートの調製
攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)222.0部を入れ、メチルイソブチルケトン(MIBK)39.1部で希釈した後、ここヘジブチル錫ジラウレート0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰囲気で2時間かけて滴下し、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(固形分90.0質量%)を得た。
4級化剤の調製
反応容器に、ジメチルエタノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6部およびエチレングリコールモノn−ブチルエーテル39.2部を順に加え、65℃で30分攪拌して4級化剤を調製した。
顔料分散樹脂の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)710.0部とビスフェノールA289.6部とを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃で1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。反応混合物を110〜120℃で1時間撹拌し、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル463.4部を加え、混合物を85〜95℃に冷却し、先に調製した4級化剤196.7部を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜95℃に保持した後、脱イオン水964部を加えて、目的とする顔料分散樹脂を得た(固形分50質量%)。
メチルイソブチルケトン92部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA382部、オクチル酸63部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を140℃に保持し、エポキシ当量が1110g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が120℃になるまで冷却した。ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)78部とジエタノールアミン92部の混合物を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂)を得た。この樹脂の数平均分子量は2,560、アミン価は50mgKOH/g(うち1級アミンに由来するアミン価は14mgKOH/g)、水酸基価は240mgKOH/gであった。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)1680部およびMIBK732部を反応容器に仕込み、これを60℃まで加熱した。ここに、トリメチロールプロパン346部をMEKオキシム1067部に溶解させたものを60℃で2時間かけて滴下した。さらに75℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK27部を加えて固形分が78%のブロックイソシアネート硬化剤(B−1)を得た。イソシアネート基価は252mgKOH/gであった。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート1340部およびMIBK277部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK349部を加えてブロックイソシアネート硬化剤(B−2)を得た(固形分80%)。イソシアネート基価は251mgKOH/gであった。
製造例2で得られたアミン変性エポキシ樹脂(A)350部(固形分)と、製造例3−1で得られたブロックイソシアネート硬化剤(B−1)75部(固形分)および製造例3−2で得られたブロックイソシアネート硬化剤(B−2)75部(固形分)とを混合し、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%(15部)になるように添加した。次に、ギ酸を添加量が樹脂中和率40%相当分になるように加えて中和し、イオン交換水を加えてゆっくり希釈し、次いで固形分が40%になるように減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、アミン変性エポキシ樹脂エマルションを得た。
顔料ペースト(1)
容器中において、イオン交換水56.1部に、50%乳酸水溶液4.7部および酸化ビスマス6.0部を撹拌・混合した。ここに、製造例1で得られた顔料分散樹脂を100質量部加え、室温で1時間、1000rpmにて攪拌した。ここで、製造例4で得られたアミン変性エポキシ樹脂のエマルション7.5部、10%酒石酸水溶液1.4部を添加攪拌し、その後、顔料であるカーボンブラック0.9部、二酸化チタン41.8部、サテントン(焼成カオリン)52.4部を加え、サンドミルを用いて40℃で1時間、2000rpmにて撹拌し、酸化ビスマスを含む、固形分濃度47質量%の顔料ペースト(1)が得られた。
顔料ペースト(2)
50%乳酸水溶液5.1部および酸化ビスマス6.5部の代わりに、ジブチル錫オキサイド8.3部を加えたこと以外は、顔料ペースト(1)と同様の手順により、ジブチル錫オキサイドを含む、固形分濃度47質量%の顔料ペースト(2)を得た。
メチルイソブチルケトン139部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA444部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を140℃に保持し、エポキシ当量が1340g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が120℃になるまで冷却した。
ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)79部とN−メチルエタノールアミン(MMA)53部の混合物を添加し、120℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂)を得た。
90℃冷却後、イオン交換水と酢酸を添加量が樹脂中和率80%相当分になるように加えて中和し、固形分が20%になるようにした。
その後ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:DER−331J、ダウケミカル社製)188部加え、90℃×3時間反応させた。減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、固形分20%の、高分子量アミン変性エポキシ樹脂(分子量100万)を得た。
カチオン電着塗料組成物の調製
イオン交換水99.5部に、ポリアクリルアミド樹脂(C)であるアコフロックN100S(MTアクアポリマー社製、ノニオン性ポリアクリルアミド樹脂、数平均分子量:約1300万)0.5部を加えて、常温で60分間攪拌し、ポリアクリルアミド樹脂を含む調製液を得た。
次いで、製造例4のアミン変性エポキシ樹脂エマルション250部(固形分40%)に対して、上記で調製した調製液を6部(固形分0.5%)添加したものをF2エマルションとした。下記安定性評価において、得られたF2エマルションを用いて、安定性を別途評価した。
ステンレス容器に、イオン交換水1997部、上記F2エマルション 1539部および上記顔料ペースト(1)464部を40℃で16時間エージングして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
冷延鋼板(JIS G3141、SPCC−SD)を、サーフクリーナーEC90(日本ペイント社製)中に50℃で2分間浸漬して、脱脂処理した。次にサーフファインGL1(日本ペイント社製)に常温30秒浸漬し、次いでサーフダインEC3200(日本ペイント・サーフケミカルズ社製、ジルコニウム化成処理剤)に35℃で2分間浸漬した。その後、脱イオン水による水洗を行った。
上記で得られたカチオン電着塗料組成物に、硬化後の電着塗膜の膜厚が20μmとなるように2−エチルヘキシルグリコールを必要量添加した。
その後、電着塗料組成物に鋼板を全て埋没させた後、直ちに電圧の印加を開始し、30秒間昇圧し180Vに達してから150秒間保持する条件で電圧を印加して、被塗物(冷延鋼板)上に未硬化の電着塗膜を析出させた。得られた未硬化の電着塗膜を、160℃で15分間加熱硬化させて、膜厚20μmの硬化電着塗膜を有する電着塗装板を得た。
被塗物を、冷延鋼板(JIS G3141、SPCC−SD)からL型専用替刃(LB10K:オルファ株式会社製、長さ100mm、幅18mm、厚さ0.5mm)に変更したこと以外は、上記と同様の手順で、脱脂処理、表面処理および化成処理などを行った。
次いで上記硬化電着塗膜(1)の形成と同様の手順で硬化電着塗膜を設けて、エッジ部を有する被塗物上に、膜厚15μmの硬化電着塗膜を設けた。
ポリアクリルアミド樹脂(C)としてアロンフロックC535H(MTアクアポリマー社製、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、数平均分子量:約800万)を用いて調製した、ポリアクリルアミド樹脂を含む調製液を4部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
ポリアクリルアミド樹脂(C)としてアロンフロックC508(MTアクアポリマー社製、強カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、数平均分子量:約800万)を用いて調製した、ポリアクリルアミド樹脂を含む調製液を4部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
ポリアクリルアミド樹脂(C)としてアロンフロックC508LL(MTアクアポリマー社製、強カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、数平均分子量:約300万)を用いて調製した、ポリアクリルアミド樹脂を含む調製液を6部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
カチオン電着塗料組成物の調製
イオン交換水116.6部に、製造例1で得られた顔料分散樹脂(固形分50質量%)60.0質量部と酸化ランタン100部とを加えて、攪拌、混合物し、サンドミルを用いて40℃で1時間、2000rpmにて撹拌して、酸化ランタンペーストが得られた。得られた酸化ランタンペーストは、固形分濃度が47質量%であった。
他の容器中において、イオン交換水56.1部に、50%乳酸水溶液4.7部および酸化ビスマス6.0部を撹拌・混合した。ここに、製造例1で得られた顔料分散樹脂を100質量部加え、室温で1時間、1000rpmにて攪拌した。ここで、製造例4で得られたアミン変性エポキシ樹脂のエマルション7.5部、10%酒石酸水溶液1.4部を添加攪拌し、その後、顔料であるカーボンブラック0.9部、二酸化チタン41.8部、サテントン(焼成カオリン)52.4部を加え、サンドミルを用いて40℃で1時間、2000rpmにて撹拌し、固形分濃度47質量%の顔料ペーストが得られた。
上記より得られた顔料ペーストを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、カチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
成分(D)として、酸化ランタンの代わりに、酸化ネオジムを用いたこと以外は、実施例5と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
成分(D)として、酸化ランタンの代わりに、酸化イットリウムを用いたこと以外は、実施例5と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
カチオン電着塗料組成物の調製において、顔料分散ペースト(1)の代わりに、顔料分散ペースト(2)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
化成処理剤として、サーフダインEC3200(日本ペイント・サーフケミカルズ社製、ジルコニウム化成処理剤)の代わりにリン酸亜鉛化成処理液であるサーフダインSD−5000(日本ペイント社製、リン酸亜鉛化成処理液)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
カチオン電着塗料組成物の調製
ステンレス容器に、イオン交換水2082部、製造例4のアミン変性エポキシ樹脂エマルション 1454部および製造例5で得られた顔料分散ペースト(1)464部を添加しその後40℃で16時間エージングして、カチオン電着塗料組成物を形成した。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、比較製造例1で調製した高分子量アミン変性エポキシ樹脂(分子量、約100万)を用いて調製した。製造例4のアミン変性エポキシ樹脂エマルション225部(固形分40%)に対して、比較製造例1で得られた高分子量アミン変性エポキシ樹脂(分子量:約100万)調製液(固形分20%)を50部添加したものをF2エマルションとした。
ステンレス容器に、イオン交換水1938部、上記F2エマルション 1598部および上記顔料ペースト(1)464部を40℃で16時間エージングして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
高分子量アミン変性エポキシ樹脂(分子量、約100万)の代わりに、マイクロゲル(分子量、約100万以上PZW−1010日本ペイント製、固形分30%)を33部とイオン水17部用いたこと以外は、比較例2と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
イオン交換水549部に、チオグリコール酸(試薬)1部添加し、80℃まで昇温した。一方の容器から1%過硫酸アンモニウム溶液50部を、そしてもう一方の容器から25%アクリルアミド水溶液400gを1時間かけて均一滴下して重合させた。得られた樹脂を10倍希釈し、固形分1%、数平均分子量50,000である、ノニオン性ポリアクリルアミド樹脂の溶液(ポリアクリルアミド調製液)を得た。
製造例4のアミン変性エポキシ樹脂エマルション250部に対して、上記で調製したポリアクリルアミド調製液を10部添加したものをF2エマルションとした。
ステンレス容器に、イオン交換水1997部、上記F2エマルション 1539部および上記顔料ペースト(1)464部を40℃で16時間エージングして、カチオン電着塗料組成物を調製した。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、数平均分子量1000万である、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂(アコフロックA−125S、MTアクアポリマー社製)を用いて調製した調製液を4部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
高分子量アミン変性エポキシ樹脂(分子量、約100万)の代わりに、高分子量ポリエチレンオキシド(分子量800万)を用いたこと以外は、比較例2と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
高分子量アミン変性エポキシ樹脂(分子量、約100万)の代わりに、ポリビニルピロリドン(分子量100万)を用いたこと以外は、比較例2と同様にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、硬化電着塗膜(1)、(2)を形成した。
カチオン電着塗料組成物の23℃における塗料粘度を、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて、JIS K5601に準拠して測定した。
被塗物(ブリキ板)をカチオン電着塗料組成物中に浸漬し、膜厚約15μmとなるように180秒間電着塗装を行い、未硬化の電着塗膜を形成した。これを水洗して余分に付着した電着塗料組成物を取り除いた。次いで、電着塗膜表面に付着した余分な水分を取り除いた後、乾燥させることなくすぐに塗膜を取り出して、測定用試料を調製した。得られた試料を、動的粘弾性測定装置(商品名Rheosol−G3000、ユービーエム社製)を用いて、基本周波数1Hz、歪み制御0.5degで粘度測定することによって、105℃における塗膜粘度を測定した。
被塗物(ブリキ板)をカチオン電着塗料組成物中に浸漬し、膜厚約15μmとなるように180秒間電着塗装を行い、未硬化の電着塗膜を形成した。これを水洗して余分に付着した電着塗料組成物を取り除いた。次いで、電着塗膜表面に付着した余分な水分を取り除いた後、乾燥させることなくすぐに塗膜を取り出して、測定用試料を調製した。得られた試料を、動的粘弾性測定装置(商品名MCR302、アントンパール社製)を用いて、せん断速度をd(gamma)/dt=0.011/秒に設定し、105℃で300秒後のせん断粘度を測定することによって、105℃における静置粘度を測定した。
上記実施例および比較例において形成した、膜厚15μmの硬化電着塗膜を有するL型専用替刃を試験片として用いた。
この試験片に対して、JIS Z 2371(2000)に準拠した塩水噴霧試験(35℃×168時間)を行い、L型専用替刃先端部に発生した錆の個数を調べた。
なお、この試験において「L型専用替刃先端部」は、刃の頂点から替刃本体方向に対して5mmまでの幅を意味する。上記幅は、表面側および裏面側の両方を含み、表面裏面の合計では10mmの幅となる。この「L型専用替刃先端部」は、本明細書における「エッジ部」に相当する。
例えば、下記評価で、L型専用替刃先端部に発生した錆の個数が30個である場合は、L型専用替刃の長さが100mm(10cm)、L型専用替刃先端部の幅は表面裏面の合計で10mm(幅1cm)であるため、L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数は、
30個/10cm2=3個/cm2
となる
評価基準
◎ :錆の発生なし
○ :10個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、1個/cm2未満)
○△:10個以上30個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、1個/cm2以上3個/cm2未満)
△ :30個以上〜50個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、3個/cm2以上5個/cm2未満)
△×:50個以上〜100個未満
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、5個/cm2以上10個/cm2未満)
× :100個以上
(L型専用替刃先端部1cm2あたりの錆の個数として、10個/cm2以上)
上記より得られた硬化電着塗膜の表面粗度を、JIS−B0601に準拠し、評価型表面粗さ測定機(Mitsutoyo社製、SURFTEST SJ−201P)を用いて、粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)を測定した。2.5mm幅カットオフ(区画数5)を入れたサンプルを用いて7回測定し、上下消去平均によりRa値を得た。このRa値が小さい程、凹凸が少なく、塗膜外観が良好であるといえる。
ジルコニウム化成処理した冷延鋼板に、イオン交換水をスポイトで2摘滴下させ、常温で10分静置した。その後、硬化電着塗膜(1)の形成と同様にして電着塗装し、硬化電着塗膜を形成した。得られた硬化電着塗膜の外観を、下記基準により評価した。
○:滴下部の跡なし
○△:わずかに跡が確認できる
△:やや跡が確認できる
×:跡がめだつ
各実施例および比較例のカチオン電着塗料組成物の調製において用いたF2エマルションおよび顔料ペーストを用いて、保存安定性評価を行った。
・ F2エマルション:固形分を35質量%に調整した後、40℃で4週間保管した。保管後に、下記基準で評価した。
・ 顔料ペースト:塗料調製に用いた顔料ペーストを、40℃で4週間保管した。保管後に、下記基準で評価した。
評価基準
○:F2エマルションおよび顔料ペーストの両方共、ほとんど変化なく、安定であると評価できる。
△:F2エマルションおよび顔料ペーストのうち少なくとも一方で、わずかな粘度増加が観察されるものの、再攪拌することで戻り、実用上では問題とならない。
×:F2エマルションおよび顔料ペーストのうち少なくとも一方で、粘度増加が大きく、塗料安定性が劣ると判断される。
比較例1は、ポリアクリルアミド樹脂(C)を含まない例である。この例では、エッジ部防錆性が大きく劣っていた。
比較例2は、ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、高分子量アミン変性エポキシ樹脂を用いた例である。この例においては、エッジ部防錆性は、比較例1と比べると向上したものの、十分であるとはいえない。また、Ra値が上昇し、塗膜平滑性が低下した。
比較例3は、ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、マイクロゲルを用いた例である。この例においてもまた、エッジ部防錆性は、比較例1と比べると向上したものの、十分であるとはいえない。また、Ra値が上昇し、塗膜平滑性が低下した。
比較例4は、ポリアクリルアミド樹脂として、数平均分子量50000であるノニオン性ポリアクリルアミド樹脂を用いた例である。この例では、エッジ部防錆性が劣っており、エッジ部防錆性向上効果が得られていない。
比較例5は、ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂を用いた例である。この例では、カチオン電着塗料組成物の性状が不安定となり、電着塗装を行うことができなかった。
比較例6は、ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、高分子量ポリエチレンオキシド(分子量800万)を用いた例である。この例では、エッジ部防錆性が劣っており、エッジ部防錆性向上効果が得られていない。
比較例7は、ポリアクリルアミド樹脂(C)の代わりに、ポリビニルピロリドン(分子量100万)を用いた例である。この例でもまた、エッジ部防錆性が劣っており、エッジ部防錆性向上効果が得られていない。
Claims (9)
- アミン変性エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、および、ポリアクリルアミド樹脂(C)を含む、カチオン電着塗料組成物であって、
前記アミン変性エポキシ樹脂(A)は、数平均分子量が1,000〜5,000の範囲内であり、および
前記ポリアクリルアミド樹脂(C)は、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、および、数平均分子量が100,000以上であるノニオン性ポリアクリルアミド樹脂からなる群から選択される1種またはそれ以上である、
カチオン電着塗料組成物。 - 前記ポリアクリルアミド樹脂(C)は、数平均分子量が100,000以上であるカチオン性ポリアクリルアミド樹脂である、請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
- 前記カチオン電着塗料組成物中に含まれる前記ポリアクリルアミド樹脂(C)の量は、前記アミン変性エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)の樹脂固形分100質量部に対して0.001〜1質量部である、請求項1または2記載のカチオン電着塗料組成物。
- 前記カチオン電着塗料組成物はさらに、金属酸化物および/または金属水酸化物(D)を含み、前記金属酸化物および/または金属水酸化物(D)は、金属元素として、La、NdおよびYからなる群から選択される1種またはそれ以上を含む、
請求項1〜3いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。 - 前記カチオン電着塗料組成物の析出電着塗膜は、105℃における塗膜粘度が10Pa・s以下であり、および
前記析出電着塗膜の、105℃における静置粘度が200〜5000Pa・sである、
請求項1〜4いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。 - 前記カチオン電着塗料組成物の23℃における塗料粘度が10mPa・s以下である、請求項1〜5いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。
- 前記カチオン電着塗料組成物は、さらにビスマス化合物を含み、前記ビスマス化合物の平均粒子径は1〜500nmである、請求項1〜6いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。
- 請求項1〜7いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物中に被塗物を浸漬して電着塗装を行い、次いで加熱硬化することにより、被塗物上に硬化電着塗膜を形成する工程を包含する、硬化電着塗膜形成方法。
- 前記被塗物はエッジ部を有し、および、形成された硬化電着塗膜を有する被塗物を塩水噴霧試験した場合において、エッジ塗装部1cm2における錆発生個数が5個/cm2未満である、請求項8記載の塗膜形成方法。
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