JP2002285077A - エッジ部を有する電線用電着塗料組成物 - Google Patents

エッジ部を有する電線用電着塗料組成物

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JP2002285077A
JP2002285077A JP2001089389A JP2001089389A JP2002285077A JP 2002285077 A JP2002285077 A JP 2002285077A JP 2001089389 A JP2001089389 A JP 2001089389A JP 2001089389 A JP2001089389 A JP 2001089389A JP 2002285077 A JP2002285077 A JP 2002285077A
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electric wire
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epoxy resin
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JP2001089389A
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Kiyoshi Arai
清志 新井
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】断面が四角形のようなエッジ部を有する角型電
線において、特にエッジ部の被覆性能に優れ、ピンホー
ルによる漏電のない被覆電線を形成することができるエ
ッジ部を有する電線用電着塗料組成物を提供する。 【解決手段】カチオン変性エポキシ樹脂と硬化剤とを水
性媒体中に分散してなるカチオン電着塗料組成物中に、
架橋樹脂粒子が配合され、前記カチオン変性エポキシ樹
脂と硬化剤の合計量と、前記架橋樹脂粒子との重量比が
85:15〜45:55であるエッジ部を有する電線用
電着塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気コイルに使用
する絶縁電線に好適なエッジ部を有する電線用の電着塗
料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話、携帯型CDプレーヤ等に使用
するモータ類は、軽量かつ小さいことが要求され、その
ためモータのコイルに用いる絶縁電線も、できる限りそ
の容積を小さく重量を軽くすることが要望されている。
この面から、断面角型の電線はコイルに巻き取った際に
無駄な空間ができないため、従来の断面円型の電線より
も有望である。
【0003】しかし、上記断面角型の電線は、4つの角
部分(以後、エッジ部という)を持つため絶縁被覆が困
難であった。すなわち、樹脂溶液を使用した通常の被覆
方法では表面張力により樹脂溶液が平面部に寄るためエ
ッジ部の塗膜厚が十分に確保されず、エッジ部にピンホ
ールが形成されてリークの原因となっていた。また、上
記のようにエッジ部の塗膜が薄くなるため、被覆材と電
線との密着性も弱くなり、巻取りによってコイルを形成
する際に被覆材の傷付き・剥離が生じて同じくリークの
原因となっていた。
【0004】上記問題を解決するためエッジ部を丸くす
る(Rを付ける)技術が開発されている。しかし、Rが
少ないと被覆が難しく、Rが大きいと丸線に近づいて軽
量化効果がなく、さらに、一定のRを付けることが技術
上困難なためコイルのように多層巻きすることも難しか
った。
【0005】一方、たとえば特開平7−320573号
公報では、上記問題を電着塗装により解決しようとして
いる。この公報では、平角状薄膜電線を特定濁度以下に
制御したエポキシ・アクリル系水分散ワニスを原料とし
て連続的に電着塗装を行う技術が開示されている。すな
わち常に特定濁度以下のワニスを使うことで、ピンホー
ルを作りやすい大粒径樹脂の混入を防止しようとするも
のである。しかし、電着塗装後の焼付工程で電着された
樹脂粒子が軟化してダレが生じるため、エッジ部の膜厚
を十分に確保することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、断面
が四角形のようなエッジ部を有する角型電線において、
特にエッジ部の被覆性能に優れ、ピンホールによる漏電
のない被覆電線を形成することができるエッジ部を有す
る電線用電着塗料組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のエッジ部を有す
る電線用電着塗料組成物(以下、単に「電線用電着塗料
組成物」という)は、カチオン変性エポキシ樹脂と硬化
剤とを水性媒体中に分散してなるカチオン電着塗料組成
物中に、架橋樹脂粒子が配合され、上記カチオン変性エ
ポキシ樹脂と硬化剤の合計量と、上記架橋樹脂粒子との
重量比が85:15〜45:55である。また、前記重
量比が80:20〜50:50であることが好ましく。
電線用電着塗料組成物の塗膜硬化過程における最低塗膜
粘度が30〜150Pa.Sの間にあることも好まし
い。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に述べ
る。本発明の電線用電着塗料組成物は、その組成中に架
橋樹脂粒子を配合することにより、断面角型の電線、す
なわち線の太さが0.1〜2mm程度の細線であって断
面形状が真四角、あるいは長方形のためエッジ部を有す
る電線に対して、エッジ部の被覆性能に優れ、ピンホー
ルによる漏電のない被覆電線を形成することができる。
【0009】本発明の電線用電着塗料組成物に含有され
るカチオン変性エポキシ樹脂は、塗膜のフィルム形成性
樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、そ
の例としてはアミン変性エポキシ樹脂が挙げられる。こ
のアミン変性エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキ
シ樹脂とアミン類との反応によって全部のエポキシ環を
開環するか、または一部のエポキシ環をモノフェノール
類、モノカルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類、ポリ
カプロラクトンジオール、ポリエーテルジオールなどで
開環し、残りのエポキシ環をアミン類との反応によって
開環して得られる。このようなアミン変性エポキシ樹脂
は、ブロックポリイソシアネートなどの外部硬化剤と共
に、中和剤として酸を含む水性媒体中に分散される。ま
た、自己架橋型のアミン変性エポキシ樹脂の場合は、エ
ポキシ樹脂の鎖中の2級水酸基に対しハーフブロックポ
リイソシアネート化合物を付加した後、末端エポキシ環
をアミン類で開環することにより得ることができる。
【0010】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂の例と
しては、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型
エポキシ樹脂がある。前者の市販品としてはエピコート
828(商品名、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当
量180〜190)、エピコート1001(同、エポキ
シ当量450〜500)、エピコート1010(同、エ
ポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市
販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量1
70)などがある。また、本出願人の米国特許第5,2
76,072号明細書に開示されているように、オキサ
ゾリドン環を鎖中に含んでいるエポキシ樹脂を採用して
もよい。これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.
0meq/gのアミン当量となるように活性水素化合物
で開環するのが望ましい。
【0011】上記アミン類としては、1級アミン、2級
アミン、3級アミンの酸塩、もしくはスルフィド・酸混
合物がある。詳細にはブチルアミン、オクチルアミン、
ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−
メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、
N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジ
スルフィド・酢酸混合物、さらには、アミノエチルエタ
ノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケ
チミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがあ
る。アミン類は複数のものを併用して用いてもよい。
【0012】上記外部硬化剤または自己架橋に使用する
ブロックポリイソシアネートの原料であるポリイソシア
ネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネ
ート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、水添MDI、ノルボナジエンジイソ
シアネート等が挙げられる。
【0013】また、ブロック化剤は、イソシアネート基
に付加させておき、常温において安定で解離温度以上に
加熱した際に遊離のイソシアネート基を再生しうるもの
である。このようなブロック化剤の例としてはフェノー
ル、クレゾール等のフェノール系ブロック剤、ε−カプ
ロラクタム等のラクタム系ブロック剤、アセト酢酸エチ
ル等の活性メチレン系ブロック剤、メタノール、エタノ
ール等のアルコール系ブロック剤、ホルムアルドキシム
等のオキシム系ブロック剤、ブチルメルカプタン等のメ
ルカプタン系ブロック剤、酢酸アミド等のアミド系ブロ
ック剤、キシリジン、アニリン等のアミン系ブロック
剤、イミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤、およ
びエチレンイミン等のイミン系ブロック剤を挙げること
ができる。
【0014】本発明の電線用電着塗料組成物に含有させ
る架橋樹脂粒子は、アンモニウム基を有するアクリル樹
脂を乳化剤として、α,β−エチレン性不飽和モノマー
混合物を乳化重合することにより得られたものがこのま
しい。このα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物
は、樹脂粒子を架橋させるための分子内にα,β−エチ
レン性不飽和結合を2個以上有するポリ(メタ)アクリ
レートを含んでいる。このようなポリ(メタ)アクリレ
ートの含有量は、上記α,β−エチレン性不飽和モノマ
ー混合物中で5〜20重量%である。この量が5重量%
未満では樹脂粒子の架橋が充分に進行せず、また、20
重量%を上回ると樹脂粒子の架橋が進みすぎ、ともに電
着により得られる塗膜の物性に問題が生じる恐れがあ
る。
【0015】上記ポリ(メタ)アクリレートとしては、
2価以上のアルコールに複数個の(メタ)アクリル酸が
エステル結合している構造を有する化合物、例えば、ジ
(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)ア
クリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル
酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸テト
ラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメ
チロールプロパンが挙げられる。これらは2種以上を混
合して用いても構わない。
【0016】上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混
合物は、上記ポリ(メタ)アクリレート以外に、一般的
なα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでいてもよ
い。このような一般的な不飽和モノマーとしては(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブ
チル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトン
との付加物などの水酸基を有するもの、(メタ)アクリ
ル酸グリシジルなどのエポキシ基を有するものを挙げる
ことができる。このような反応性官能基を有する不飽和
モノマーは混合物に20重量%以下含まれ、水酸基価ま
たはエポキシ価はともに20以下であることが好まし
い。その他、含まれていて良いα,β−エチレン性不飽
和モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル等
の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルア
ミド等の重合性アミド化合物類、スチレン等の重合性芳
香族化合物類、アクリロニトリル等の重合性ニトリル
類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、酢酸
ビニル等のビニルエステル類、ブタジエン等のジエン類
を挙げることができる。
【0017】本発明で得られる架橋樹脂粒子をカチオン
電着塗料に用いる際、上記乳化剤としてのアクリル樹脂
にさらに既述したブロックポリイソシアネートを含ませ
れば、得られる塗膜の塗装外観および防錆性をさらに向
上させることができる。
【0018】上記アンモニウム基を有するアクリル樹脂
は、既に述べたカチオン変性エポキシ樹脂と同様の方
法、すなわち、エポキシ基を有するアクリル樹脂に3級
アミン化合物と有機酸とを加えて4級化することにより
容易に得ることができる。なお、このエポキシ基を有す
るアクリル樹脂を得るのに用いるモノマーのSP値は9
〜12であることが好ましい。モノマーのSP値が12
を上回ると、カチオン電着塗料に用いた際に得られる塗
膜の塗装外観および防錆性が低下し、9未満だと上塗り
との密着不良が生じる。なお、SP値は濁度法などの当
業者によく知られた方法で決定することができる。
【0019】上記エポキシ基を有するアクリル樹脂は、
通常よく知られた開始剤を用いて先のモノマーを溶液重
合するといった常法により得ることができる。その数平
均分子量は5000〜20000であることが好まし
い。数平均分子量が20000を上回ると、乳化剤の粘
度上昇の問題が生じ、5000を下回るとエッジ防錆性
不良の問題が生じる可能性がある。なお、上記乳化剤に
はアントックス(Antox)MS−60(商品名、日
本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋
化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(商品
名、旭電化工業社製)およびアクアロンHS−10(商
品名、第一工業製薬社製)などの市販の乳化剤を併用す
ることができる。
【0020】上記乳化剤を使用して架橋樹脂粒子を得る
には、通常よく知られている乳化重合法を用いる。好ま
しい重合法の一例を示すと、水性媒体中に乳化剤を溶解
させ、加熱撹拌下、重合開始剤を滴下した後、一部の上
記α,β−エチレン性不飽和モノマーをまず滴下し、そ
の後、乳化剤と水とを用いてあらかじめ乳化した、残り
のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を滴下する
方法がある。この重合法によれば、目的とする粒子径か
らのバラツキが少なくなり、好ましい架橋樹脂粒子を得
ることができる。
【0021】上記重合開始剤としては、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ系油性化合物類、4,4’−アゾ
ビス(4−シアノ吉草酸)等の水溶性化合物類、ベンゾ
イルパーオキサイド等のレドックス系油性過酸化物類、
および過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム等の水
溶性過酸化物が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和
モノマー混合物の総量に対する開始剤の量は、一般に
0.1〜5重量%であり、好ましくは0.2〜2重量%
である。
【0022】上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混
合物と乳化剤との重量比は、95:5〜70:30であ
ることが好ましい。95:5を上回ると、防錆性が維持
できなくなり、70:30未満だと凝集してブツが発生
する恐れがある。また、架橋樹脂粒子の分子量を調節す
るために、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類や
α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤類を使用し
ても良い。重合時の反応温度は、例えばアゾ系開始剤を
使用した場合は60〜90℃、レドックス系開始剤では
30〜70℃が好ましい。また反応時間は1〜8時間で
ある。
【0023】このようにして得られる架橋樹脂粒子の平
均粒子径は0.05〜0.30μmの範囲であることが
好ましい。粒子径が0.05μm未満であると作業性の
改善の効果が小さく、0.30μmを上回ると得られる
塗膜の外観が悪化する恐れがある。この粒子径の調節
は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整するこ
とにより可能である。
【0024】本発明の電線用電着塗料組成物は、カチオ
ン変性エポキシ樹脂および硬化剤を、中和剤を含む水性
媒体中に分散することによって得られたカチオン電着塗
料組成物中に、さらに上記架橋樹脂粒子の水分散液を配
合して調製される。上記中和剤としては塩酸、硝酸、リ
ン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機または有機酸を使
用でき、また、分散剤としては上記の架橋樹脂粒子を分
散させるための分散剤と同様のものを使用することがで
きる。
【0025】硬化剤の量は、硬化時に樹脂中の水酸基等
の官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分で
なければならず、一般にカチオン変性エポキシ樹脂10
0重量部当り5〜50重量部が使用される。中和剤の量
は樹脂のアミノ基の少なくとも20%、好ましくは30
〜60%を中和するに足りる量である。
【0026】硬化剤としてブロックポリイソシアネート
を含む系では、ジラウリン酸ジブチルスズ、あるいはジ
ブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、その他の
ウレタン開裂触媒を使用することができる。その量はブ
ロックポリイソシアネート化合物100重量部当り0.
1〜5重量部が好ましい。
【0027】このようにして製造したカチオン電着塗料
組成物中に、上記架橋樹脂粒子を配合する。その量は、
上記カチオン変性エポキシ樹脂と硬化剤との合計量と、
架橋樹脂粒子との重量比が85:15〜45:55、好
ましくは80:20〜50:50である。この量が8
5:15未満、すなわち架橋樹脂粒子の量が少なすぎる
と、焼付時にダレが生じてエッジ部の膜厚を確保するこ
とができず、ピンホールが発生する。一方、45:55
を超えた場合は、エッジカバリング性は良好であるが膜
厚調整が困難となる。
【0028】なお、本発明の電線用電着塗料組成物は、
必要に応じて二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガ
ラ等の着色顔料、塩基性ケイ酸鉛、リンモリブデン酸ア
ルミ等の防錆顔料、カオリン、クレー、タルク等の体質
顔料、さらには水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤など常用の塗料用添加剤を含むこと
ができる。
【0029】次に、図1に基づいて本発明の電線用電着
塗料組成物を電線に塗布する方法の一例を説明する。図
1において、エッジ部を有する電線1はロール2から上
方向線速度3〜10m/秒で引き出され、前処理層3の
下部から入槽する。電線1は太さ1mmの銅製真四角型
電線である。
【0030】なお、本発明の電線用電着塗料組成物を適
用できる電線としては特に制限はなく、従来の断面丸型
電線であっても好適に使用できる。ただし、エッジカバ
ー性という観点から断面角型のエッジ部を有する電線に
適用するのが有用である。電線の素材としては銅以外に
も、例えば銅合金、ニッケルめっき銅、アルミニウム、
アルミニウム合金、銅クラッドアルミニウムを使用する
ことができる。また、線材の太さにも特に制限はない
が、例えば0.1〜2mm程度のものを採用することが
できる。
【0031】前処理層3では、電線1表面の汚れを除去
し電着性を高めるため、脱脂、酸処理、アルカリ処理等
を行う。ただし、この工程は必須ではなく、電線素材の
状況によっては省くことができる。次に、電線1を電着
槽4へ導く。電着槽4には本発明の電線用電着塗料組成
物が入れられており、電線1を陽極とし、陰極5との間
に100〜200V程度の電圧をかけて電着塗装を行
う。電着塗装に要する時間は20秒以下、さらには10
秒以下であることが好ましい。
【0032】電着槽4を出た電着済みの電線1は次に乾
燥機6を通過する。乾燥機6に入る前に、必要に応じて
水洗工程を置いても良い。乾燥機6は遠赤外線加熱方式
であるが、もちろん熱風による乾燥を行っても良い。ま
た乾燥温度は、記述の通り架橋樹脂粒子の組成によって
変動はあるが、150〜250℃で3分以下が好まし
い。乾燥時において、本発明の電線用電着塗料組成物に
よる塗膜の粘度は、最も低下したときで30〜150P
a.Sの範囲にあることが好ましい。この最低粘度が3
0Pa.S未満ではエッジ部の透けによる絶縁不良の恐
れがあり、一方150Pa.Sを超えると塗膜の弾性が
低下する場合がある。
【0033】最後に、乾燥機6を出た被覆電線1は巻取
機7に巻き取られて完成する。電着被覆層の厚さは、上
記電着時間や電圧の増減により適宜調整可能であるが、
3〜15μm程度が好ましく、さらには5〜12μmが
好ましい。
【0034】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて、本発明
をさらに具体的に説明する。なお、配合量は特に断りの
ない限り重量部を表す。また、原材料等の名称は、特に
断りのない限り商品名を表す。
【0035】実施例1 電線用電着塗料組成物の調製 クリアーのカチオン電着塗料組成物60部(「パワート
ップU」、日本ペイント社製、アミノ変性エポキシ樹
脂。架橋剤を含む)中へ、架橋樹脂粒子水分散体40部
(粒子径0.15μm、カチオン性の架橋性アクリル樹
脂微粒子)を配合し分散させた。このときの、カチオン
変性エポキシ樹脂の合計量と、架橋樹脂粒子との重量比
は60:40であった。こうして調製した電線用電着塗
料組成物の粘度特性および硬化特性を動的粘弾性率測定
機で調べた。その結果を図2に示す。本図から判るとお
り、本実施例の電線用電着塗料組成物は加温とともに粘
度が低下してほぼ150Pa.S(最低粘度)で安定す
るが、約150℃に昇温するとゲル化が始まり粘度上昇
して硬化が進行する。
【0036】電着塗装 ロールに巻かれた太さ1mm、断面真四角の銅線を使用
し、前処理として脱脂剤1%液(「サーフパワー61
0」、日本ペイント社製)による脱脂を30℃、10秒
で行った。
【0037】次に、脱脂処理した電線を、上記で調整
の、架橋樹脂粒子を配合した電着塗料組成物中へ通し
た。電着液(電着塗料組成物)の温度は28〜30℃、
通過時間は10秒であった。この電着塗料組成物の付着
した電線を380℃温度の遠赤外パネルヒータによって
1分焼き付けた。このときの焼付時の電線温度は165
〜196℃であった。
【0038】評価 焼付後の被覆電線を下記によって評価した。 <被覆膜厚>被覆電線の拡大断面写真を撮り、平面部お
よびエッジ部の膜厚を測定した。実施例1の結果は平面
部10μmに対してエッジ部7μmであり、十分実用に
耐えるものであった(図3の写真を参照)。 <ピンホール・テスト>電極を設置した塩化ビニル製の
容器中に、電解質を含有する液(純水に塩化ナトリウム
を1重量%添加)を入れ、そこへ上記によって形成した
被覆電線を入れて、常温で通電した(DC15V、4
A。電極を+側、被覆電線を−側)。ピンホールがある
と、そこから発泡するが本実施例で作成した被覆電線で
は発泡はなかった。この結果を表1に示す。同表中では
発泡のあったものを×、なかったものを○と表示してい
る。
【0039】
【表1】
【0040】実施例2〜5、比較例1〜5 実施例1の、カチオン変性エポキシ樹脂と硬化剤との合
計量と、架橋樹脂粒子との重量比を代えた以外は実施例
1と同様にして電線用電着塗料組成物を形成し、それぞ
れ被覆電線を製造した。これらの結果を表1に示す。ま
た比較例1の写真を図4として添付する。
【0041】比較例1では架橋樹脂粒子を全く使用しな
かったため、エッジ部には塗膜が形成されず、表面張力
により平面部中央の塗膜が盛り上がっていた。また、比
較例3では膜厚調整がうまく行かず、不必要な厚さの被
膜が形成された。さらに比較例4、5では被膜形成性樹
脂(カチオン変性エポキシ樹脂と硬化剤)の添加量が少
ないか、あるいは全くないため塗膜形成不良となった。
【0042】また、比較例1および2、ならびに実施例
2で調製した電線用電着塗料組成物の粘度特性および硬
化特性を、実施例1と同様の方法で調べた。その結果を
図2に示す。本図から判るとおり、比較例1および2の
電線用電着塗料組成物は最低粘度が30Pa.S以下に
低下したためエッジ部の膜厚を確保できなかった。これ
に対して実施例2の組成物は、最低粘度が40Pa.S
であるため、十分なエッジ部被膜厚を確保することがで
きた。
【0043】
【発明の効果】本発明の電線用電着塗料組成物には特定
量の架橋樹脂粒子が配合されているため、エッジ部を有
する断面角型電線に塗布した場合、焼付時に電着液がダ
レることがない。したがって、エッジ部にも十分な厚さ
の被覆を形成することができるためピンホール発生によ
るリークを生ずる恐れがなく、また、安定した被膜厚の
ため塗膜剥離も生じにくい。そのため電気コイル等の電
機部品に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電線用電着塗料組成物を電線に塗布す
る方法の一例を示す概略図である。
【図2】本実施例および比較例で調整した電線用電着塗
料組成物のゲル化温度および粘度上昇を示すグラフであ
る。
【図3】実施例1で製造した、電着被覆された銅製真四
角電線の拡大断面写真である。
【図4】比較例1で製造した、電着被覆された銅製真四
角電線の拡大断面写真である。
【符号の説明】
1 電線 2 ロール 3 前処理層 4 電着槽 5 陰極 6 乾燥機 7 巻取機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/40 H01B 3/40 C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カチオン変性エポキシ樹脂と硬化剤とを水
    性媒体中に分散してなるカチオン電着塗料組成物中に、
    架橋樹脂粒子が配合され、前記カチオン変性エポキシ樹
    脂と硬化剤の合計量と、前記架橋樹脂粒子との重量比が
    85:15〜45:55であることを特徴とするエッジ
    部を有する電線用電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記重量比が80:20〜50:50であ
    る請求項1記載のエッジ部を有する電線用電着塗料組成
    物。
  3. 【請求項3】前記電線用電着塗料組成物の塗膜硬化過程
    における最低塗膜粘度が30〜150Pa.Sの間にあ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の電線用電着
    塗料組成物。
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