JP2017212874A - 巻線ヘッドを有する回転電気機械 - Google Patents

巻線ヘッドを有する回転電気機械 Download PDF

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Abstract

【課題】前方巻線ヘッドは、機械の前側に位置する軸方向面のブレードを、軸に対して垂直な方向に沿って完全に覆うオルタネータ、オルタネータ‐スタータ及び電気モータを提供する。【解決手段】機械は、冷却空気が流れることを可能とするファンブレード26を設けられた2つの軸方向端面81、82を備えた軸Xを有するロータ2と、スロットを有するとともにロータ2を取り囲むステータ本体4を備えたステータ50であって、ステータ50はスロットに設置された巻線5を備える。巻線5は、ステータ本体4の軸方向端部から前方部品16に向かって延在する前方巻線ヘッド51と、ステータ本体4の他の軸方向端部から後方部品17に向かって延在する後方巻線ヘッド53とを形成する。前方巻線ヘッド51は、機械の前側に位置する軸方向面81のブレード26を、軸Xに対して垂直な方向に沿って完全に覆う。【選択図】図3

Description

本発明は、改良された形状の巻線ヘッドを有する回転電気機械に関する。当該機械は、自動車に設置されて燃焼機関とともに機能する、又は自動車の推進力を保証することが意図されている。また、本発明は、かかる回転電気機械を組み立てる方法に関する。
公知の態様において、回転電気機械は、2つの同軸部品、すなわち、ロータとこのロータの本体を取り囲むステータとを備えている。
図1を参照すると、参照符号100で示されるこのような回転電気機械の例が示されている。オルタネータの場合、燃焼機関自動車用の多相タイプの内部通風部によってオルタネータモードで機能する。当然ながら、オルタネータは可逆性であり、特許FR A 2 745 445号に記載のように、特に電気モータモードで車両の燃焼機関を始動させて自動車の推進力を保証するように機能するオルタネータ‐スタータから構成され得る。
機械100がオルタネータモードで機能する場合、機械は、他のオルタネータのように、機械エネルギを電気エネルギに変換する。機械が電気モータモードで機能する場合、特に車両の燃焼機関を始動させるスタータモードで機能する場合、機械は電気エネルギを機械エネルギに変換する。
この機械100は、主として、ケース1と、この内部に、ロータシャフトとして理解される中央シャフト3と一体とされたロータ2と、環状形状のステータ50と、を備えている。ステータ50は、エアギャップを介してロータ2を取り囲むとともに、例えば半閉鎖タイプのスロットを有する鋼シートの積層体形状である本体4を備えており、ステータ巻線5を組み立てるために、ステータ50の本体の両側で、ステータの軸方向両端部に、軸方向に突出する前方巻線ヘッド51と後方巻線ヘッド53を形成するステータ巻線5を形成する。
この巻線5は、例えば、星型又はデルタ型連結の三相コイルの組を備え、その出力は、52として部分的に示される整流ブリッジ52に連結されている。整流ブリッジは、特に機械がオルタネータ‐スタータから構成される場合、ダイオード又はMOSFETタイプのトランジスタ等の整流要素を備えている。
コイル巻線5は、エナメル等の電気的絶縁層により被覆された連続した導電ワイヤを使用することにより得られ、スロット絶縁体(図示せず)を介してステータ50の本体4に対応するスロットに組み付けられる。
別の選択的な実施形態によれば、巻線5は、2組の三相コイルからなり複合コイルステータ装置を形成している。特許US‐A1‐2002/0175589号、及びFR‐A‐2 784 248号に記載のように、コイルは電気的に30度ずらされている。この場合、2つの整流ブリッジ及び、星型及び/又はデルタ型連結を有する三相コイルの組合せが可能であると予測される。或いは、ステータの巻線は五相タイプである。
一般に、多相タイプのオルタネータ、及び特に整流ブリッジは、ステータ50のコイルで生成されたACをDCに整流することができる。特に、自動車のバッテリを充電し、且つ自動車の車載電力系統の負荷や電気消費品に給電することができる。
環状形状のロータ2は、図示例において、例えば、特許US‐A1‐2002/01 75589号に記載のように、爪付きロータの形状に構成され、ここでは軸方向に並んだ2つの極性ホイール7、8を備えている。各ホイールは、その外縁に爪9が設けられた環状形状の横方向フランジを有している。
各爪9は、対応するフランジの平面において横方向配置の根元部を備えている。この根元部は、軸方向に拡がる歯によりその外縁まで延長しており、歯と根元部との間には面取部が存在している。
環状エアギャップが、爪9の歯の外縁面とステータ50の本体4の内縁との間に存在している。
歯は、全体として台形又は三角形である。一方の極性ホイール7、8の歯は、他方の極性ホイール8、7のフランジに向かって軸方向に方向付けられるとともに、ホイール7、8の歯は、他のホイール7、8の2つの隣接する歯と歯の間に存在する空間を貫通し、これにより、ホイール7、8の歯は重なっている。より正確な詳細については、特許EP 051 5 259号を参照されたい。
励磁巻線10が、ホイール7、8のフランジとフランジとの間に軸方向に配設されている。これは、シャフト3と同軸の円筒状環状コアの形状にあるロータ2の一部により支持されている。図1のコアは、2つの別箇の軸方向部分から構成され、それぞれの部分は極性ホイール7、8に関連付けられた材料をベースとしている。図示しない別の実施形態によれば、コアは単独部品から構成され、コアの軸方向両側に配置された極性ホイール7、8とは別体である。
したがって、巻線10は、ホイール7、8の爪9及び中央コアにより径方向に画定された空間に配置されている。
好適には、ホイール7、8及びコアは、強磁性材料から構成され、同様に強磁性材料からなるロータ3のシャフトが同軸の態様で貫通している。これらのホイール7、8は、シャフト3と一体である。この目的のために、各ホイール7、8は、フランジを軸方向に貫通する中央穴を備えるとともに、対応するコアの一部の穴を延在させている。シャフト3は刻みの付いた部分(参照符号無)を呈するとともに、コアのボア及びホイール7、8に力を以て固定され、これにより、シャフトはその刻みの付いた部分を介して溝をカットしている。したがって、シャフト3は、ホイールに一体とされるとともに軸方向に固定され、参照符号の無いスペーサが、ホイール7と下記の軸受19との間に介在している。
シャフト3の軸は、機械の軸Xを構成している。巻線10のワイヤは、好適には、力によってコアの外縁に取付けられた電気絶縁材料からなるブラケット(図示せず)に巻かれている。
励起巻線10が作動すると、すなわち給電されると、ホイール7、8及びコアは磁化され、ロータ2は、磁極によってホイール7、8の爪9の周囲に形成される誘導ロータとなる。
シャフト3が回転すると、誘導ロータ2は、ステータ50内で生じる交流電流を生成する。
ロータ2のシャフト3は、その前端において、運動変速システム、ここでは、自動車のオルタネータと燃焼機関との間の少なくとも1つのベルト(図示せず)を介した運動変速装置が有するプーリ12を支持している。このシャフトは、その後端において、ロータ2の励起巻線10の端部にワイヤ連結部(図示せず)により連結されたスリップリング13を支持している。
或いは、プーリ12に代わって変速装置が設けられ、変速装置はチェーン及び/又はギアを有している。
ブラシは、参照符号14により通常の態様で図示されたブラシホルダに属し、巻線10に電流を供給するためにスリップリング13を擦るように設計されている。ブラシホルダ14は、電圧調整器(図示せず)に連結されている。
ここで、ロータ2及びステータ50が設置されるケース1は、2つの部分、すなわち、プーリ12に隣接する前方フランジ16、及び整流ブラシホルダ14と一般に1つ以上のブリッジと電圧調整器とを支持する後方フランジ17からなる。例えばアルミニウムをベースとする環状形状のフランジ16、17は中空形状であり、ロータ2のシャフト3を回転可能に取付けるように、玉軸受19、20をその中心にそれぞれ支持している。これらのフランジは、例えば上述の特許EP 051 5 259号の図1に記載のように、タイ又はスクリューを使用して互いに組み付けられている。換言すれば、機械100のケースは、前方軸受として理解される前方フランジ16と、後方軸受として理解される後方フランジ17と、を備えている。
図1において、金属シートの積層体の形状にある弾性システムが、振動をフィルタリングするようにステータの本体4の外縁に、前部に平坦なジョイント40と後部にプラグ41とを設けられ、弾性システムは、有し、熱を排出するよう柔軟な熱伝導性樹脂が前方フランジとステータ本体との間に挿入されている。
或いは、ジョイントは提案されない。全ての場合において、ステータはケース1により固定した態様で支持される一方、ロータ2はケース1により軸受19、20を介して回転可能に中央に取付けられている。
或いは、ケースは3つの部分からなり、フランジ16、17はステータ本体を支持する中央部分の両側に配設される。フランジは、例えばねじ留めにより、中間部分に組み付けられる。
また、オルタネータは、その冷却のための手段を備えている。この目的のために、図1において、フランジ16、17は空気の循環によりオルタネータが冷却されるように開放しており、ロータ2はこの空気循環を確保することが意図されたファンを、少なくともその軸方向端部のうちの1つに支持している。ここで、第1のファン23はロータ2の前面に設けられ、第2のファン24はロータ12の後面に設けられる。各ファン23、24は環状形状を有し、複数のブレード26を設けられつつ、ホイール7、8の径方向外面に固定されている。
例えば、ファンは金属製であり、そのブレード26とともに打抜き工程及び折曲げ工程により得られる。ファン23,24は、例えば遠心型又は螺旋型である。
図1を参照すると、フランジの前方においてプーリ12を取り囲む前方フランジの開口60を介して空気が吸引され、次いでその大部分がブレード26により遠心力により排出され、そして前方巻線ヘッドを冷却するように前方巻線ヘッド51と前方フランジ16との間のスペースを通過し、最終的にフロントフランジの径方向外面の開口61から流出する。後方フランジ17も、複数の空気入口開口及び空気出口開口を有している。
図1において、ブラシホルダ14と、フランジ17と一体の電圧調整器は、後方フランジ17と一体のカバー70により閉鎖されている。カバー70は、後方フランジ17と一体であり、ここでは、つめ車‐ラチェット機構により、後方フランジと一体のピン71で公知の態様で後方フランジに固定されている。このカバー70も、図1では図示しない空気入口開口を有している。
図2は、従来技術による爪ロータを示す。爪ロータは、一対の重なり合うホイール7及び8を備えている。ホイール7及び8は、爪9を備えている。選択的に、ロータ2は、両極間マグネット38を備えている。図2に示すロータ2は、1対の極を8組有している。
この機械は申し分のないものではあるが、これが特に燃焼機関により駆動される際、又は機械がモータモードで機能する際のオルタネータ‐スタータの場合において操作中に生じるノイズを低減することにより改良することが望ましいことがある。
本発明は、上述の欠点のうちの少なくとも1つを克服しつつ上記要望に応えることを目的とする。
本発明によれば、軸Xを有する回転電気機械が提案される。前記機械は、前記軸Xに対して前方部品と後方部品とを備え、
前記機械は、
‐冷却空気が流れることを可能とするファンブレードを設けられた2つの軸方向端面を備えた、軸Xを有するロータであって、前記2つの軸方向面は、前記機械の前記前方部品の側と前記後方部品の側とにそれぞれ位置している、ロータと、
‐スロットを有するとともに前記ロータを取り囲むステータ本体を備えたステータであって、前記ステータは前記スロットに設置された巻線を備え、前記巻線は、前記ステータ本体の軸方向端部から前記機械の前記前方部品に向かって延在する前方巻線ヘッドと、前記ステータ本体の他の軸方向端部から前記機械の前記後方部品に向かって延在する後方巻線ヘッドとを形成する、ステータと、
‐前記ロータと前記ステータとが配設されるケースと、
を備える。
全体的な特徴によれば、前記軸Xに対して垂直な方向に沿って、前記前方巻線ヘッドは、前記機械の前側に位置する前記軸方向面の前記ブレードを完全に覆う。したがって、前方巻線ヘッドは、機械の前側に位置する軸方向面のブレードにより生じるノイズに対する騒音遮蔽物として機能する。このため、ノイズを巻線ヘッドにより低減することができる。これが、機械の性能や特にはその冷却、及びオルタネータモードで機能する際に機械が出力する電流に関して妥協することなくノイズの低減を可能とする解決策である。例えば、機械の前側に位置する軸方向面のブレードが、冷却空気を遠心力により排出できることが提案され得る。
別箇に又は組み合わせて採用される特徴を以下に記す。
‐前記前方巻線ヘッドの前記軸Xに沿ったレベル(位置)は、前記覆われたブレードの前記軸Xに沿ったレベル(位置)より高い、又はこれと同等である。これにより、前方巻線ヘッドが遮蔽物として機能し得るようにその高さが適合される。
‐前記巻線ヘッドは、前記軸Xに沿って延在する2つの軸方向部分と、前記軸Xに対して垂直な平面内に延在する横方向部分とを有するワイヤを備え、前記前方巻線ヘッドは、前記横方向部分と前記ステータ本体との間に位置するスペースを形成し、前記スペースは、冷却空気の通過を許容する。これにより、流動面積を増大することができるとともに、一定の流量のまま通流速度を低下させることができる。
‐前記前方巻線ヘッドが前記機械の前側に位置する前記軸方向面の前記ブレードを完全に覆いつつ、前記機械の後側に位置する前記軸方向面の前記ブレードが前記後方巻線ヘッドと軸方向に重なり合うようにして、前記スロットに設置された前記巻線は前記ステータ本体に対してオフセットされている。したがって、巻線のサイズを増大することが無意味となる。これにより、銅を余分に消費したりステータ巻線の抵抗が増加したりすることが回避される。
‐前記前方巻線ヘッドは、所定の空気流速に対して低下した冷却空気の流速を可能とする形状を有する。例えば、前記巻線ヘッドは、円錐形状を有するヘッドを備える。これにより、騒音遮蔽機能と流動面積の増大との両立が確保される。
‐前記機械は、前記ケースと前記前方巻線ヘッドとの間に画成された冷却空気の通流窓を備え、前記ケースの厚さは、前記窓の拡大を可能とするように前記窓のレベルまで縮小されている。したがって、冷却空気の流動面積の増大と、これによる流速の低下が可能とされる。
‐前記前方巻線ヘッドの高さと前記後方巻線ヘッドの高さとの差を、前記ステータ本体の高さで除算することにより定義される割合R1は、1乃至5%の範囲にある。これにより、機械の冷却を減じることなくノイズを低減するという観点から最高の性能が発揮され得る最適な割合が得られる。
‐内径に対する外径の割合R2は、1.30乃至1.32の範囲にある。
‐前記ロータは、一対の極を複数組備え、その組数が前記2つの軸方向端面のそれぞれの前記ブレードの個数と異なる。これにより、ノイズをいくつかの高調波オーダーに亘って分散させることができ、生成される全体的なノイズが低減される。例えば、一対の極の組数が8であり、前端軸方向面のブレードの個数は11であり、後端軸方向面のブレードの個数は13である。
また、本発明は、軸Xを有する回転電気機械を組み立てるための方法にも関連し、前記機械は、前記軸Xに対して前方部品と後方部品とを備え、更に、
‐冷却空気が流れることを可能とするファンブレードを設けられた2つの軸方向端面を備えた、軸Xを有するロータであって、前記2つの軸方向面は、前記機械の前記前方部品の側と前記後方部品の側とにそれぞれ位置している、ロータと、
‐スロットを有するとともに前記ロータを取り囲むステータ本体を備えたステータと、を備え、
前記方法は前記スロット内の銅線の巻き付けステップを備え、当該巻き付けステップにおいて、前記ステータ本体の軸方向端部から前記機械の前記前方部品に向かって延在する前方巻線ヘッドと、前記ステータ本体の他の軸方向端部から前記機械の前記後方部品に向かって延在する後方巻線ヘッドとを形成するように銅線を巻き付ける、方法にも関連する。
全体的な特徴によれば、前記巻き付けステップの後に、前記方法は更にオフセットステップを備え、当該オフセットステップにおいて、前記前方巻線ヘッドが前記機械の前側に位置する前記軸方向面の前記ブレードを軸Xに対して垂直な方向に沿って完全に覆うように、前記ステータ本体に対して前記巻線の軸方向に沿ってオフセットする。したがって、実施が簡単であるとともに現行のステップに組み込み可能な方法が提案される。
本発明は、以下の説明を読み添付図面を精査することでより良く理解されるであろう。これらの図面は完全に例示的なものであり、本発明を制限するものでは全くない。
従来技術による回転電気機械の断面図。 従来技術によるロータの斜視図。 本発明の第1実施形態によるオルタネータの形状をとる回転電気機械の断面図。 本発明による回転電気機械用の巻線ヘッドの斜視図。 本発明による回転電気機械用のステータ本体を示す図。 回転数及び機械の種類に応じたノイズの騒音レベルの曲線を示す図。 本発明の第2実施形態によるオルタネータの形状をとる回転電気機械の断面図。 本発明による方法を示す図。
図面において、同一、同様又は類似の部品には同じ参照符号が付される。
図3は、本発明による、軸Xを有する回転電気機械100を示す。
この機械は、巻線ヘッド51がファン23のブレード26を完全に覆っているという点において、図1に示す機械から特に区別される。
機械100は、前方フランジ16により特に形成される第1部品と、後方フランジ17により特に形成される第2部品と、を備えている。これら2つの部分は、軸Xに対するそれらの位置に応じて前方、後方と称される。より正確には、前方部品は、プーリ12の側に配置される一方、後方部品は電気カバー70の側に配置される。
ロータ2は軸Xを有するとともに、2つの軸方向端面81及び82を備えている。これらの端面81及び82は、例えば遠心排出力により冷却空気が流れることを可能とするファン23、24のブレード26を設けられている。2つの面81及び82は、機械の前方部品の側と後方部品の側とにそれぞれ位置する。これら2つの軸方向面81及び82は、ロータ2を画成する軸Xに垂直な2つの平面のうちの一方にそれぞれ位置している。
ステータ50は、スロットに設置された巻線5を備え、巻線5は前方巻線ヘッド51及び後方巻線ヘッド53を形成している。前方巻線ヘッド51は、ステータ本体4の軸方向端部から機械の前方部品に向かって延在する。後方巻線ヘッド53は、ステータ本体の他方の軸方向端部から機械1の後方部品に向かって延在する。
図3に示す電気機械100において、前方巻線ヘッド51は、機械の前側に位置する軸方向面81のブレード26を、軸Xに垂直な方向に沿って完全に覆っている。
この目的のために、前方巻線ヘッド51の軸Xに沿ったレベル(位置)は、覆われたブレード26の軸Xに沿ったレベル(位置)より高い、又はこれと同等である。ロータ2の2つのホイール7及び8の間を通る平面85は、図3において点線にて定義されている。
前方巻線ヘッド51の軸方向端部を有する平面83が定義されている。この軸方向端部は、ステータ本体4から軸Xに沿って最も離間した巻線ヘッド51の一点に対応する。この平面は、図3において点線で示されている。
ブレード26の軸方向端部を備えた平面84が定義されている。この軸方向端部は、ホイール7から軸Xに沿って最も離間したブレード26の一点に対応する。この平面は、図3において点線で示されている。
したがって、巻線ヘッド51のレベル(位置)は、平面83と平面85との間の距離を意味するものとして理解され、同様に、軸方向面81のブレード26のレベル(位置)は、平面84と平面85との間の距離を意味するものとして理解される。例えば、巻線ヘッド51のレベルと軸方向面81のブレード26のレベルとの差は、0乃至1mmの範囲にあることが提案される。
例えばステータ本体4は、ステータ本体を画定する軸Xに垂直な2つの平面同士の間の距離として定義される高さHsを有する鋼シートの積層体から形成される。
前方巻線ヘッド51及び後方巻線ヘッド53のそれぞれは、ステータ本体から最も離間した巻線ヘッドの一点を備えた軸Xに垂直な平面と、ステータ本体を画定する軸Xに垂直な2つの平面のうちの一方との間の距離として定義される高さを呈する。
本発明の一実施形態によれば、前方巻線ヘッド51の高さHaは23mmであり、後方巻線ヘッド53の高さHbは22mmであり、ステータ50の本体4を形成する鋼シートの積層体の高さHsは35mmである。
したがって、巻線ヘッド本体4の高さに対する前方巻線ヘッドと後方巻線ヘッドとの差の関係を表す割合R1を定義すると、R1=23−22/35=0.0285が得られる。
本発明の一実施形態によれば、割合Rが1乃至5%、例えば2乃至4%の範囲にあるようにして、前方巻線ヘッドの高さを後方巻線ヘッドに対して調節することが提案され得る。
前方巻線ヘッド51と後方巻線ヘッド53との間のレベル差は、巻線5をステータ本体に対してオフセットすることにより得られる。
図3に示す実施形態によれば、前方巻線ヘッド51が機械の前側に位置する軸方向表面81のブレード26を完全に覆いつつ、機械の後側に位置する軸方向面82のブレード26が後方巻線ヘッド53に軸方向に重なり合うようにして、スロットに設置された巻線5はステータ本体に対してオフセットされている。
機械の前側に位置する軸方向面81のブレード26を覆うことにより、これらのブレード26の遠心力による空気の通流(空気流)により生じるノイズが顕著に低減される。
実際に、前方巻線ヘッドは、遠心力による空気流のノイズに対する遮蔽物として機能するであろう。このような空気流により、特に前方巻線ヘッド51において空気流の循環によって機械が冷却され得る。
例示を目的として、図3は、機械の前方部品における冷却空気の流れを示す。この流れは、フランジの開口60を介した冷却空気の吸入と、ブレード26による遠心力を利用した冷却空気の排出と、前方巻線ヘッドを冷却するための前方巻線ヘッド51と前方フランジ16との間の冷却空気の通過と、最終的な開口61を介した冷却空気の流出と、からなる。
後方巻線ヘッド53のノイズに対する影響はそれほど重大ではない。なぜならば、特に冷却すべき電子部品の存在、及び遠心力による流れの優越性を減じる軸方向流れを理由として、流れが不規則になるからである。したがって、後方巻線ヘッド53が機械の後側に位置する軸方向面82のブレード26を、巻線5の前方に向けたずれを理由としてより低い程度でしか覆っていたとしても、ノイズの全体的な低減が得られる。
回転しているロータにより生じるノイズのうち、ロータの幾何構成に関する特定の高調波が支配的である。特に、前側に位置する軸方向面81におけるロータのブレードの個数、後側に位置する軸方向面82におけるロータのブレードの個数、及び一対の極の組数が挙げられる。本発明による意図は、個数が同一となることを回避することである。この場合、同じオーダーのいくつかの高調波の総和が発生され得るからである。
実際に、同じ高調波オーダーのいくつかのノイズ成分を有するノイズ成分の所定の音量について知覚される音量は、異なる高調波オーダーを有するいくつかのノイズ成分より大きい。
したがって、これを回避すべく、ロータ2が、一対の極を複数組備え、その組数が2つの軸方向端面81、82のブレードの個数とそれぞれ異なるということが提案され得る。例えば、一対の極の組数は8であり、ブレードの個数は11又は13である。
機械及び特に前方巻線ヘッド51の冷却の実施は、機械の前側に位置する軸方向面のブレード26により吹き付けられる冷却空気の流量に関連している。一方、空気流により生じるノイズは、空気速度に直接的に関連している。したがって、ノイズを最小限にするために、特に、前方巻線ヘッド51が、所定の排出流量に対して低下した空気の排出速度を可能とする形状を有することが提案される。これにより、所定の空気流量を維持しつつ、冷却空気の流速を最小とすることができる。
この目的のために、例えば、空気流の面積(流動面積)の増大を可能とする巻線ヘッドの形状が提案され得る。実際に、所定の流量に対して、流動面積を増大させつつ速度を低下させることができる。
図4は、本発明によるステータ50の詳細を示す。ステータは、ステータ本体4と、スロット93に設置された巻線5とを備え、巻線は、前方巻線ヘッド51と後方巻線ヘッド53とを形成している。
巻線ヘッドは、軸Xに沿って延在する2つの軸方向部分91と、軸Xに対して垂直な平面内に延在する横方向部分92とを有するワイヤ90を備え、前方巻線ヘッド51は、横方向部分とステータ本体4との間に位置するスペース94を形成しているということが提案される。
これらのスペース94は、空気の通過を許容する。したがって、増大した流動面積を得るとともに、これにより所定の流量に対する流速の減少及びノイズの減少が得られる。
図4に示す実施形態において、巻線ヘッドは、2つのスロット間に延在するワイヤ群を備えている。これらのワイヤ群のワイヤは、2つの軸方向部分91と横方向部分92とを備えている。したがって、これらのワイヤ群は、矩形形状を実質的に呈する。
他の実施形態によれば、これらの群のそれぞれの形状は、三角形又は円錐形であることが提案され、これによれば、速度を制限するように通流する空気の遠心力による流れの流動面積を実質的に増大させることが可能となる。しかしながら、この場合、巻線ヘッドの音に対する遮蔽物しての機能がこれらの形状により制限されるため、これらを両立させることを考慮しなければならない。この目的のために、巻線ヘッド51は円錐形状を有するヘッドを有し、ヘッドはステータ本体4から軸方向に最も離間した巻線ヘッドの一部であることが提案され得る。ヘッドは、前方巻線ヘッド51の軸方向端部を備えている。したがって、速度の低減と遮蔽機能の保持との良好な両立が達成される。
図5は、実施の形態によるステータ50を示す。
このステータは、歯根を有するスロット93を設けられたステータ本体4を備えている。ステータ本体4は、内径Dint及び外径Dextにより画定されている。本実施形態によれば、ステータ本体4は、72個のスロットと、96mmのDintと、126mmのDextと、を備えている。スロットの他の個数、例えば、36個、48個、60個、84個、96個も提案され得る。
したがって、内径に対する外径の割合R2を定義する場合、R2=126/96=1.3125が得られる。
回転電気機械が発するノイズは、多くの成分を備え、それぞれが特定の高調波オーダーを有している。これらの成分の全ては、ロータ及び/又はステータの要素の幾何構成に依存する騒音レベルを有している。特に、ノイズは、ロータの爪の個数及びステータの巻線ヘッドの個数に関連する偶数オーダーの高調波成分12を備える。また、ノイズは、ロータのファンのブレードの個数に関連する奇数オーダーの高調波成分11を備える。ノイズは、これらすべての成分の騒音レベルの総和である騒音レベルを有している。
本発明により提供される利点を評価するために、本発明による機械が発するノイズの騒音レベルを、従来技術の機械が発するノイズに対応する騒音レベルと、ロータの回転数に応じて比較することが適切である。この目的のために、図6は、曲線112及び113の2つの群を示す。群112は図1に示す回転電気機械の騒音レベルを示し、群113は図3に示す回転電気機械の騒音レベルを示す。
軸110は、毎分回転数(rpm)を示す。軸110は、例えば9000rpmの値を有する下限117と、例えば18000rpmの値を有する上限118と、を備えている。軸110は、1000毎に目盛が付けられ、500毎の二次目盛を備えている。軸110は、更に、13204rpmの中間値119を備えている。
軸111は、dBW(A)で表される騒音レベルの値を示す。この軸111は、例えば85dBW(A)の値を有する下限115と、例えば105dBW(A)の値を有する上限116と、を備えている。軸111は、1毎に目盛を付けられている。
当業者には公知のように、dBW(A)で表される値は、基準IEC 61672‐1の重み付けAを有するデシベルにおける騒音レベルの評価を示す。この重み付けは、聴覚が各波長に対して正常と思われる人の耳の平均的感度を考慮に入れるように設計されている。したがって、この重み付けは、図示の自動車のユーザに知覚される騒音レベルを可能にする。
例えば、図6に示す曲線112及び113の群の騒音レベルは、高調波オーダー11としても理解される奇数オーダー成分11の騒音レベルである。
したがって、曲線113の群は3つの曲線を備え、そのそれぞれは当業者に公知の電気機械用のロータの回転数に応じた高調波オーダー11の騒音レベルを表す。曲線112の群は3つの曲線を備え、電気機械用のロータの回転数に応じた高調波11の騒音レベルを示し、この電気機械において、前方巻線ヘッド51は機械の前側に位置する軸方向端面81のファンのブレードを、高さHaが高さHbより1mmだけ大きくなるようにした巻線の機械の前方へのずれにより覆っている。
したがって、同様の機械に関して、高調波11に対する約3dBの騒音レベルにおける減少が確認される一方、全体の騒音レベル(図示せず)は約1dBだけ減少している。
図7は、本発明の第2実施形態による機械を示す。この機械は、2つの冷却空気の通流窓101及び102を備え、これらはケースと前方巻線ヘッド51との間に画成されている。ケース1の厚さは、これらの窓の拡大を可能とするように、これらの窓101、102のレベルまで縮小されている。これにより、所定の空気流量に対して流速が低下され得るため、ノイズが低減され得る。
例えば、図7に示すように、前方フランジの厚さを1mmだけ減少させることができる。
図8は、図3及び7に示す回転電気機械1を組み立てる方法を示す。
図3を参照すると、この電気機械は軸Xを有するとともに、軸Xに対する前方部品16と後方部品17とを備えている。
更に、機械は、例えば遠心力を利用した排出により冷却空気が流れることを可能とするファンブレード26を設けられた2つの軸方向端面81、82を備えた、軸Xを有するロータを備えている。これらの軸方向端面81、82は、機械1の前方部品の側と後方部品17の側とにそれぞれ位置している。
更に、機械は、スロット93を有するとともにロータ2を取り囲むステータ本体4を含むステータ50を備えている。
図8に示す方法は、
‐ステータ本体4の軸方向端部から機械1の前方部品16に向かって延在する前方巻線ヘッド51と、ステータ本体4の他の軸方向端部から機械1の後方部品17に向かって延在する後方巻線ヘッド53とを形成するように、スロット93内の銅線を巻き付ける、巻き付けステップ601と、
‐前方巻線ヘッド51が機械1の前側に位置する軸方向面81のブレード26を軸Xに対して垂直な方向に沿って完全に覆うようにして、ステータ本体4に対して巻線の軸方向に沿ってオフセットする、オフセットステップ602と、
を備えている。
本発明は、機械の後側に位置する軸方向面82のレベルよりも、機械の前側に位置する軸方向面81のレベルにおいて高い、又は同等のブレード26を有するロータに適用可能である。また、本発明は、機械の前側に位置する軸方向面81のレベルよりも、機械の後側に位置する軸方向面82のレベルにおいて高いブレード216を有するロータにも適用可能である。本発明は、遠心タイプ又は混合タイプのいずれであっても全てのタイプのファンブレードに適用可能である。

Claims (11)

  1. 軸Xを有する回転電気機械(100)であって、前記機械は、前記軸Xに対して前方部品(16)と後方部品(17)とを備え、
    前記機械は、
    ‐冷却空気が流れることを可能とするファンブレード(26)を設けられた2つの軸方向端面(81、82)を備えた、軸Xを有するロータ(2)であって、前記2つの軸方向面(81、82)は、前記機械の前記前方部品(16)の側と前記後方部品(17)の側とにそれぞれ位置している、ロータ(2)と、
    ‐スロット(93)を有するとともに前記ロータ(2)を取り囲むステータ本体(4)を備えたステータ(50)であって、前記ステータ(50)は前記スロット(93)に設置された巻線(5)を備え、前記巻線(5)は、前記ステータ本体(4)の軸方向端部から前記機械の前記前方部品(16)に向かって延在する前方巻線ヘッド(51)と、前記ステータ本体(4)の他の軸方向端部から前記機械(100)の前記後方部品(17)に向かって延在する後方巻線ヘッド(53)とを形成する、ステータ(50)と、
    ‐前記ロータと前記ステータとが配設されるケース(1)と、
    を備え、
    前記前方巻線ヘッド(51)は、前記機械の前側に位置する前記軸方向面(81)の前記ブレード(26)を、前記軸Xに対して垂直な方向に沿って完全に覆う、
    ことを特徴とする機械(100)。
  2. 前記前方巻線ヘッド(51)の前記軸Xに沿ったレベルは、前記覆われたブレード(26)の前記軸Xに沿ったレベルより高い、又はこれと同等である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の機械(100)。
  3. 前記巻線ヘッドは、前記軸Xに沿って延在する2つの軸方向部分(91)と、前記軸Xに対して垂直な平面内に延在する横方向部分(92)とを有するワイヤ(90)を備え、
    前記前方巻線ヘッドは、前記横方向部分(92)と前記ステータ本体(4)との間に位置するスペース(94)を形成し、
    前記スペース(94)は、冷却空気の通過を許容する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の機械(100)。
  4. 前記前方巻線ヘッド(51)が前記機械の前側に位置する前記軸方向面(81)の前記ブレード(26)を完全に覆いつつ、前記機械の後側に位置する前記軸方向面(82)の前記ブレード(26)が前記後方巻線ヘッド(53)と軸方向に重なり合うようにして、前記スロットに設置された前記巻線(5)は前記ステータ本体(4)に対してオフセットされている、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機械(100)。
  5. 前記前方巻線ヘッド(51)は、所定の空気の流速に対して低下した冷却空気の流速を可能とする形状を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機械。
  6. 前記巻線ヘッド(51)は、円錐形状を有するヘッドを備える、
    ことを特徴とする上記請求項に記載の機械。
  7. 前記機械は、前記ケース(1)と前記前方巻線ヘッド(51)との間に画成された冷却空気の通流窓(101、102)を備え、
    前記ケースの厚さは、前記窓(101、102)の拡大を可能とするように前記窓(101、102)のレベルまで縮小されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の機械。
  8. 前記前方巻線ヘッドの高さ(Ha)と前記後方巻線ヘッドの高さ(Hb)との差を、前記ステータ本体(4)の高さで除算することにより定義される割合R1は、1乃至5%の範囲にある、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の機械。
  9. 内径(Dint)に対する外径(Dext)の割合R2は、1.30乃至1.32の範囲にある、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の機械。
  10. 前記ロータ(2)は、一対の極を複数組備え、その組数が前記2つの軸方向端面(81、82)のそれぞれの前記ブレード(26)の個数と異なる、
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の機械。
  11. 軸Xを有する回転電気機械(100)を組み立てるための方法であって、前記機械(100)は、前記軸Xに対して前方部品(16)と後方部品(17)とを備え、更に、
    ‐冷却空気が流れることを可能とするファンブレード(26)を設けられた2つの軸方向端面(81、82)を備えた、軸Xを有するロータ(2)であって、前記2つの軸方向面(81、82)は、前記機械の前記前方部品(16)の側と前記後方部品(17)の側とにそれぞれ位置している、ロータ(2)と、
    ‐スロット(93)を有するとともに前記ロータ(2)を取り囲むステータ本体(4)を備えたステータ(50)と、を備え、
    前記方法は前記スロット内の銅線の巻き付けステップ(601)を備え、当該巻き付けステップ(601)において、前記ステータ本体(4)の軸方向端部から前記機械(100)の前記前方部品(16)に向かって延在する前方巻線ヘッド(51)と、前記ステータ本体(4)の他の軸方向端部から前記機械(100)の前記後方部品(17)に向かって延在する後方巻線ヘッド(53)とを形成するように銅線を巻き付ける、方法において、
    前記巻き付けステップの後に、前記方法は更にオフセットステップ(602)を備え、当該オフセットステップ(602)において、前記前方巻線ヘッド(51)が前記機械(100)の前側に位置する前記軸方向面(81)の前記ブレード(26)を軸Xに対して垂直な方向に沿って完全に覆うようにして、前記ステータ本体(4)に対して前記巻線の軸方向に沿ってオフセットする、
    ことを特徴とする方法。
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