JP2017210651A - マグネシウム合金の製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度・高延性であるとともに機械的特性に異方性が認められない高性能マグネシウム合金材を得る。【解決手段】このマグネシウム合金の製造方法は、マグネシウム合金に圧下率40%以上の圧延加工を行う第一圧延加工工程を施した後、前記マグネシウム合金の固相線温度よりも約15〜120℃低い温度で約10分〜10時間熱処理を行う熱処理加工工程を施し、さらに、前記熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に再度の圧延加工を施す第二圧延加工工程を施すことを特徴とするものである。【選択図】図1

Description

本発明は、マグネシウム合金の製造方法に関する。
マグネシウムは、実用構造金属材料中、最も低密度(=1.7g/cm)であり、金属材料特有の易リサイクル性を有し、資源も豊富に存在することから、次世代の構造用軽量材料として注目されている。
例えば、自動車産業においては、下記特許文献1に例示されるようなステアリングホイールや、シリンダーヘッドカバー、オイルパン等の部材が、マグネシウム合金鋳造材により作製されている。また、例えば、家電製品では、パソコン・携帯電話等の家電製品筐体が、マグネシウム合金鋳造材により作製されている。
特開2008−24113号公報
マグネシウム合金鋳造材の鋳造法による生産法には、鋳造欠陥を補うための後処理が必要であること、歩留りが低いこと、部材の強度・剛性に問題があること、等の課題が存在する。これらの課題を解決するために、マグネシウム合金に添加される添加合金元素の検討は有用である。また、塑性加工プロセスは、一般的に、歩留まりが高く、成形と同時に高強度・高靱性化を図ることができることから、マグネシウム合金の需要拡大の有効な手段と言える。
しかしながら、マグネシウム合金は強度が向上すると、例えば、塑性加工プロセスとして圧延加工を行った場合、晶出物や金属間化合物などが圧延方向に平行に配列するとともに、マグネシウム相に加工硬化が生じたり集合組織が形成され、機械的特性の異方性が大きくなるという課題がある。
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであり、その目的は、高強度・高延性であるとともに機械的特性に異方性が認められない高性能マグネシウム合金材が得られるマグネシウム合金の製造方法を提供することにある。
本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、マグネシウム合金に圧下率40%以上の圧延加工を行う第一圧延加工工程を施した後、前記マグネシウム合金の固相線温度よりも約15〜120℃低い温度で約10分〜10時間熱処理を行う熱処理加工工程を施し、さらに、前記熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に再度の圧延加工を施す第二圧延加工工程を施すことを特徴とするものである。
また、本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、前記熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金が、ビッカース硬さがHV60以上であり、マグネシウム相の平均結晶粒径が10〜30μmであり、前記マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成されることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、前記第二圧延加工工程が、ロール温度を50〜150℃とし、素材を350℃を超える温度に加熱した上で、1パスあたりの圧下量が元板厚に対して5%以上であり、前記ロール温度と前記素材の温度の差が200〜380℃であることとすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、前記第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金が、当該第二圧延加工工程の圧延方向の引張強度が300MPa以上であるとともに破断時のひずみが0.1以上であることとすることができる。
さらにまた、本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、前記第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金が、当該第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向の引張強度が、当該第二圧延加工工程の圧延方向の引張強度の値±6%であり、当該第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向のひずみが、当該第二圧延加工工程の圧延方向の破断時のひずみの値±17%以内であることとすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、前記第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金が、前記マグネシウム相の平均結晶粒径が25μm以下であり、前記晶出物又は前記金属間化合物のマグネシウム相に対する面積割合が7%以下であり、当該晶出物又は当該金属間化合物の相当円直径が0.1〜9μmであるとともにその平均値が7μm以下であることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金の製造方法は、前記マグネシウム相の結晶粒界に形成される前記晶出物又は前記金属間化合物が、微細に分散しており、微細に分散している当該晶出物又は当該金属間化合物の間隔が0.14μm以上であることとすることができる。
本発明によれば、高強度・高延性であるとともに機械的特性に異方性が認められない高性能マグネシウム合金材が得られるマグネシウム合金の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法の例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る晶出物又は金属間化合物の状態を説明するための模式図であり、図2中の分図(a)は、第一圧延加工工程を施したマグネシウム合金の晶出物又は金属間化合物の状態を示す図であり、図2中の分図(b)は、図2中の分図(a)に示されるマグネシウム合金に熱処理加工工程を施した状態を示す図であり、図2中の分図(c)は、図2中の分図(b)に示されるマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施した状態示す図である。 本実施形態に係る第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図3中の分図(a)は、第一圧延加工工程が施されたAMX1001であり、図3中の分図(b)は、第一圧延加工工程が施されたAZX811である。 本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金と比較例に係る熱処理加工が施されたマグネシウム合金の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図4中の分図(a)は、450℃で5時間熱処理加工を行う本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAMX1001の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図4中の分図(b)は、490℃で1時間熱処理加工を行う比較例に係る熱処理加工が施されたAMX1001の金属組織を示すミクロ観察写真である。 本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図5中の分図(a)は、400℃で10分熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX811の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図5中の分図(b)は、500℃で1時間熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX811の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図5中の分図(c)は、450℃で10時間熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX612の金属組織を示すミクロ観察写真である。 本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金のビッカース硬さを示す図であり、図6中の分図(a)は、マグネシウム合金としてAZ61を用いたものであり、図6中の分図(b)は、マグネシウム合金としてAZX811を用いたものであり、図6中の分図(c)は、マグネシウム合金としてAZ612を用いたものであり、図6中の分図(d)は、マグネシウム合金としてAMX1001を用いたものである。 本実施形態に係る熱処理加工工程が施された後、第二圧延加工工程が施されたAZX811の金属組織を示すミクロ観察写真である。 本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金と比較例に係る熱処理加工が施されたマグネシウム合金に、第二圧延加工工程を施して得られたマグネシウム合金材のSEM観察写真を示す図であり、図8中の分図(a)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAMX1001に第二圧延加工工程が施されたものであり、図8中の分図(b)は、比較例に係る熱処理加工が施されたAMX1001に第二圧延加工工程が施されたものであり、図8中の分図(c)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX612に第二圧延加工工程が施されたものであり、図8中の分図(d)は、比較例に係る熱処理加工が施されたAZX612に第二圧延加工工程が施されたものである。 本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施して得られたマグネシウム合金材のSEM観察写真を示す図であり、図9中の分図(a)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX811に第二圧延加工工程が施されたものであり、図9中の分図(b)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX811に第二圧延加工工程が施されたものであり、図9中の分図(c)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX612に第二圧延加工工程が施されたものである。 晶出物又は金属間化合物の間隔を表すFE−SEM観察写真を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
発明者らは、上述した課題の解決のために鋭意研究を行った結果、マグネシウム合金に対して所定の条件で圧延加工を行った後、所定の条件で熱処理加工を行い、再度、所定の条件で圧延加工を行うことにより、高強度・高延性であるとともに機械的特性に異方性が認められないマグネシウム合金材が得られるとの知見を得た。そこで、以下に記す実施形態では、発明者らが見出したマグネシウム合金の製造方法、および、かかる製造方法によって製造されたマグネシム合金材の特徴を示す分析結果および試験結果について説明することとする。ここで、図1は、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法の例を示すフローチャートである。また、図2は、本実施形態に係る晶出物又は金属間化合物の状態を説明するための模式図であり、図2中の分図(a)は、第一圧延加工工程を施したマグネシウム合金の晶出物又は金属間化合物の状態を示す図であり、図2中の分図(b)は、図2中の分図(a)に示されるマグネシウム合金に熱処理加工工程を施した状態を示す図であり、図2中の分図(c)は、図2中の分図(b)に示されるマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施した状態示す図である。
本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法には、6.0〜10mass%のAl、0〜1.5mass%のZn、0〜3.2mass%のCa、0.01〜0.3mass%のMnを含有し、残部がマグネシウムおよび不可避不純物からなる成分組成を有するマグネシウム合金を用いることができる。
アルミニウム(Al)は、マグネシウム合金内部にカルシウムとの析出物(AlCa)又は晶出物(Mg17Al12)を析出するために、6.0〜10%の範囲内で添加されていることが好ましい。アルミニウムの添加量が10%を超えると、過度の析出物が析出し、加工性が低下する。また、アルミニウムの添加量が6.0%未満では、所望の強度を得ることが難しい。
亜鉛(Zn)は、0〜1.5%の範囲内で添加されてもよい。亜鉛は、鋳造性と強度等の機械的性質の向上に寄与するものであるが、亜鉛の添加量が1.5%を超えると、鋳造性が低下する。
カルシウム(Ca)は、マグネシウム合金に難燃特性を付与するために、0.4〜3.2%の範囲内で添加されることが好ましい。
マンガン(Mn)は、0.01〜0.3%の範囲内で添加されていることが好ましい。この範囲内でマンガンを添加することにより、耐食性を低下させる不純物元素である鉄の影響を緩和することができる。
本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法は、図1に示すように、まず、上記組成のマグネシウム合金に圧下率40%以上の圧延加工を行う第一圧延加工工程を施す(ステップS10)。第一圧延加工工程には、一般的な圧延機を用いることができる。第一圧延加工工程は、特に限定されないが、例えば、1パスあたり元板厚に対して5〜20%の圧下率で、総圧下率40%以上となるように圧延加工を行うこととすることができる。また、圧延機のロールのギャップは、特に限定されないが、2回まで同一とすることが可能である。
次に、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法は、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に熱処理加工を行う熱処理加工工程を施す(ステップS20)。この熱処理加工工程は、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に対して、例えば、当該マグネシウム合金の固相線温度よりも約15〜120℃低い温度で約10分〜10時間熱処理を行うこととすることが可能である。ここで、固相線温度は、約15mgのブロック状に切断したマグネシウム合金片について、示差熱分析装置(リガク製、TG−DTA)を用いて測定を行い、得られた最初のピーク温度を当該固相線温度とした。なお、AZ61については、最初のピーク温度が得られるとともに重量変化が開始される温度を固相線温度とした。その結果、AZ61の固相線温度は約530℃であり、AZX611の固相線温度は約553℃であり、AZX612の固相線温度は約522℃であり、AZX811の固相線温度は約516℃であり、AZX813の固相線温度は約530℃であり、さらに、AMX1001の固相線温度は約502℃であった。したがって、種々のマグネシウム合金に好適な熱処理加工温度は、AZ61が約410〜515℃となり、AZX611が約433〜538℃となり、AZX612が約402〜505℃となり、AZX811が約396〜501℃となり、AZX813が約410〜515℃となり、AMX1001が約382〜487℃となる。
第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金において、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、図2中の分図(a)に示すように、結晶粒界に塊状、板状又は粒状に形成される。ここで、図2中の分図(a)に示すように、「板状」とは、少なくとも1つ以上のマグネシウム結晶粒又はマグネシウム相の結晶粒界に板状に形成される状態を示し、「粒状」とは、少なくとも1つ以上のマグネシウム結晶粒又はマグネシウム相の結晶粒界に粒状に形成される状態を示す。また、「塊状」とは、「板状」又は「粒状」の晶出物又は金属間化合物と比較すると非常に大きいものを示し、幾つかのマグネシウム結晶粒又はマグネシウム相の結晶粒界に跨って存在しているものがある。
第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に上記の条件で熱処理加工工程を施すことにより、ビッカース硬さがHV60以上であり、マグネシウム相の平均結晶粒径が10〜30μmとなる。マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、図2中の分図(b)に示すように、結晶粒界に板状又は粒状に形成される。すなわち、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に熱処理加工工程を施すことによって、塊状の大きな晶出物又は金属間化合物の存在が認められなくなる。
さらに、熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に再度の圧延加工を行う第二圧延加工工程を施す(ステップS30)。第二圧延加工工程には、一般的な圧延機を用いることができる。圧延機のロールのロール温度は、50〜150℃とすることが好ましい。また、第二圧延加工工程を施すマグネシウム合金素材は、350℃を超える温度に加熱することが好ましい。さらに、1パスあたりの圧下量は、元板厚に対して5%以上とすることが好ましい。またさらに、ロール温度と素材の温度との差は、200〜380℃であることが好ましい。
上述した熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に、上記の条件で第二圧延加工工程を施すことにより、図2中の分図(c)に示すように、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に板状又は粒状に形成された晶出物又は金属間化合物が微細に分散されるようになる。第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金材は、マグネシウム相の平均結晶粒径が25μm以下であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径が0.1〜9μmとなるとともに、その平均値が7μm以下となる。ここで、晶出物又は金属間化合物の相当円直径とは、晶出物又は金属間化合物を円形と仮定し、結晶粒面積:A=π/4×Dの式から算出した直径(D)である。また、第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金材の晶出物又は金属間化合物の間隔は0.14μm以上となる。ここで、晶出物又は金属間化合物の間隔は、後述するように、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM;日本電子株式会社製、JEOL7001)を用いたFE−SEM観察写真から求めた。
また、熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施すと、圧延方向(と平行方向)の引張強度が300MPa以上であるとともに破断時のひずみが0.1以上である高強度・高延性のマグネシウム合金材を得ることができる。この第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金材は、第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向の引張強度が、第二圧延加工工程の圧延方向(0°方向)の引張強度の値±6%となり、第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向のひずみが、第二圧延加工工程の圧延方向(0°方向)の破断時のひずみの値±17%以内となっている。したがって、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法によれば、機械的特性に異方性が認められない高性能マグネシウム合金材を得ることが可能である。
以上より、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法によれば、上述したマグネシウム合金に第一圧延加工工程を施すことにより生じた塊状、板状又は粒状の晶出物又は金属間化合物は、熱処理加工工程により板状又は粒状となる。そして、マグネシウム合金に第二圧延加工工程を施すことにより、上記の板状又は粒状の晶出物又は金属間化合物は微細に分散され、高強度・高延性であるとともに機械的特性に異方性が認められない高性能マグネシウム合金材を得ることができる。
以上、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法について説明した。次に、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法により得られるマグネシウム合金の特徴を示す分析結果および試験結果について説明する。
上述したマグネシウム合金製造方法により得られたマグネシウム合金について、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社製、JCM−6000)を用いて組織観察を行った。ここで、合金名の命名法は、「A」が「Al」を表し、「Z」が「Zn」を表し、「X」が「Ca」を表し、さらに、「M」が「Mn」を表す。そして、アルファベットに続く数字は、それぞれの元素のおよその添加濃度(mass%)を表す。例えば、AZX811の添加元素のおよその濃度は、Mg−8mass%Al−1mass%Zn−1mass%Caとなる。
[第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金]
発明者らは、まず、上述した組成のマグネシウム合金に第一圧延加工工程を施したマグネシウム合金の分析を行った。ここで、図3は、本実施形態に係る第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図3中の分図(a)は、第一圧延加工工程が施されたAMX1001であり、図3中の分図(b)は、第一圧延加工工程が施されたAZX811である。
第一圧延加工工程として圧下率50%の圧延加工が施されたAMX1001合金は、図3中の分図(a)に示すように、粗大な塊状の晶出物又は金属間化合物と板状又は粒状の晶出物又は金属間化合物が存在していることが分かる。このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径が19μmであった。また、第一圧延加工工程として圧下率50%の圧延加工が施されたAZX811合金は、図3中の分図(b)に示すように、板状又は粒状の晶出物又は金属間化合物が存在していることが分かる。このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径は18μmであった。
[熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金]
次に、発明者らは、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に対して、本実施形態に係る熱処理加工工程と比較例に係る熱処理加工とを施したマグネシウム合金について分析および試験を行った。ここで、図4は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金と比較例に係る熱処理加工が施されたマグネシウム合金の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図4中の分図(a)は、450℃で5時間熱処理加工を行う本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAMX1001の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図4中の分図(b)は、490℃で1時間熱処理加工を行う比較例に係る熱処理加工が施されたAMX1001の金属組織を示すミクロ観察写真である。また、図5は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図5中の分図(a)は、400℃で10分熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX811の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図5中の分図(b)は、500℃で1時間熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX811の金属組織を示すミクロ観察写真であり、図5中の分図(c)は、450℃で10時間熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX612の金属組織を示すミクロ観察写真である。
実施例に係る熱処理加工工程として、AMX1001合金の固相線温度である502℃よりも52℃低い450℃で5時間熱処理加工が施されたAMX1001合金は、図4中の分図(a)に示すように、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成され、粗大な塊状の晶出物又は金属間化合物が存在しないことが分かる。このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径は22μmであった。
一方、比較例に係る熱処理加工として、AMX1001合金の固相線温度よりも12℃低い490℃で1時間熱処理加工が施されたAMX1001合金は、図4中の分図(b)に示すように、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、粗大かつ網状に存在して分散しきれていないことが分かる。なお、このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径は20μmであった。
このように、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に対して、上述した温度条件で熱処理加工工程を施すことにより晶出物又は金属間化合物の再配列が起き、当該晶出物又は当該金属間化合物がマグネシウム相の結晶粒界に板状又は粒状で微細に存在するようになることが確認された。
さらに、発明者らは、以下の実施例の分析および試験結果から本実施形態に係る熱処理加工工程の好適な熱処理加工時間を得た。
図5中の分図(a)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX811合金の固相線温度である516℃よりも116℃低い400℃で10分間熱処理加工が施されたAZX811合金は、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成されていることが分かる。このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径は18μmであった。
図5中の分図(b)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX811合金の固相線温度である516℃よりも16℃低い500℃で1時間熱処理加工が施されたAZX811合金は、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成され、粗大な塊状の晶出物又は金属間化合物が存在しないことが分かる。このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径は20μmであった。
図5中の分図(c)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX612合金の固相温度である522℃よりも72℃低い450℃で10時間熱処理が施されたAZX612合金は、上述した実施例と同様に、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成され、粗大な塊状の晶出物又は金属間化合物が存在しないことが分かる。このマグネシウム合金のマグネシウム相の平均結晶粒径は14μmであった。
このように、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に対して、固相線温度よりも約15〜120℃低い温度で約10分〜10時間熱処理加工を行う熱処理加工工程を施すことにより、図2の分図(b)に示すように、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成され、粗大な塊状の晶出物又は金属間化合物は存在しないことが確認された。
ここで、第一圧延加工工程が施された種々のマグネシウム合金に、温度・時間の条件を変えて熱処理加工を行い、得られたマグネシウム合金のビッカース硬さを測定した。その結果を図6に示す。図6から分かるように、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に熱処理加工を施すと、ビッカース硬さはHV60以上となる。
[第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金材]
次に、発明者らは、本実施形態に係る第一圧延加工工程が施された後、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に対して、再度の圧延加工を施す第二圧延加工工程を施して得られたマグネシウム合金材について分析を行った。ここで、図7は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施された後、第二圧延加工工程が施されたAZX811の金属組織を示すミクロ観察写真である。
発明者らは、本実施形態に係る第一圧延加工工程として圧下率50%の圧延加工が施された後、AZX811の固相線温度である516℃よりも56℃低い460℃で1時間熱処理加工を行う熱処理加工工程が施されたAZX811に対して、第二圧延加工工程として圧下率75%の圧延加工を施してマグネシウム合金材を得た。その結果を図7に示す。図7に示すように、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法により製造されたマグネシウム合金材は、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が不連続的かつ微細に分散していることが分かる。また、当該晶出物又は金属間化合物は、不連続ではあるが、湾曲して並んで存在しているものが確認される。さらに、圧延方向と平行方向だけではなく、圧延方向と略直角方向の結晶粒界にも晶出物又は金属間化合物が形成されている。このような構成により、本実施形態によれば、機械的特性に異方性が認められないマグネシウム合金材を得ることが可能であると考えられる。
さらに、発明者らは、第一圧延加工工程が施されたマグネシウム合金に対して、本実施形態に係る熱処理加工工程を施したマグネシウム合金と、比較例に係る熱処理加工を施したマグネシウム合金とに、再度の圧延加工を施す第二圧延加工工程を施したマグネシウム合金材について分析および試験を行った。ここで、図8は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金と比較例に係る熱処理加工が施されたマグネシウム合金に、第二圧延加工工程を施して得られたマグネシウム合金材のSEM観察写真を示す図であり、図8中の分図(a)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAMX1001に第二圧延加工工程が施されたものであり、図8中の分図(b)は、比較例に係る熱処理加工が施されたAMX1001に第二圧延加工工程が施されたものであり、図8中の分図(c)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX612に第二圧延加工工程が施されたものであり、図8中の分図(d)は、比較例に係る熱処理加工が施されたAZX612に第二圧延加工工程が施されたものである。また、図9は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施して得られたマグネシウム合金材のSEM観察写真を示す図であり、図9中の分図(a)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX811に第二圧延加工工程が施されたものであり、図9中の分図(b)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX811に第二圧延加工工程が施されたものであり、図9中の分図(c)は、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたAZX612に第二圧延加工工程が施されたものである。さらに、図10は、晶出物又は金属間化合物の間隔を表すFE−SEM観察写真を示す図である。なお、図8、図9および図10のSEM観察写真において、白色および灰色部分が晶出物又は金属間化合物を示している。ここで、組織研磨後のエッチングによる濃度偏重や結晶粒により、一部、晶出物又は金属間化合物でないものが白色又は灰色となっているが、評価対象からは外している。なお、晶出物又は金属間化合物の相当円直径Dは、上述したように、晶出物又は金属間化合物を円形と仮定し、結晶粒面積:A=π/4×Dの式から算出した。また、晶出物又は金属間化合物の間隔は、上述したように、FE−SEM観察写真から求めた。
図8中の分図(a)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AMX1001合金の固相線温度である502℃よりも52℃低い450℃で5時間熱処理加工が施されたAMX1001に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、不連続的かつ微細に分散されていることが確認された。すなわち、図2中の分図(c)に示すような状態となっている。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は6.9%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は1.0〜8.6μmであり、当該相当円直径の平均径は6.5μmであった。
一方、図8中の分図(b)に示すように、比較例に係る熱処理加工として、AMX1001合金の固相線温度である502℃よりも12℃低い490℃で1時間熱処理加工が施されたAMX1001に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、網状に存在していた晶出物又は金属間化合物が圧延加工後も分散しきれていないことが分かる。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は11.0%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は1.0〜15.2μmであり、当該相当円直径の平均径は6.2μmであった。
また、図8中の分図(c)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX612合金の固相線温度である522℃よりも22℃低い500℃で1時間熱処理加工が施されたAZX612に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、上述した場合と同様に、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、不連続的かつ微細に分散されていることが確認された。すなわち、図2中の分図(b)に示すような状態となっている。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は6.5%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は0.1〜3.4μmであり、平均径は1.0μmであった。
一方、図8中の分図(d)に示すように、比較例に係る熱処理加工として、AZX612合金の固相線温度である522℃よりも122℃低い400℃で1時間熱処理加工が施されたAZX612に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、上述した場合と同様に、網状に存在していた晶出物又は金属間化合物が圧延加工後も分散しきれていないことが分かる。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は8.2%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は0.1〜14.0μmであり、当該相当円直径の平均径は5.2μmであった。
さらに、図9中の分図(a)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX811合金の固相線温度である516℃よりも116℃低い400℃で10分熱処理加工が施されたAZX811に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、上述した場合と同様に、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、不連続的かつ微細に分散されることが確認された。すなわち、図2中の分図(b)に示すような状態となっている。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は3.4%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は0.1〜4.1μmであり、当該相当円直径の平均径は1.5μmであった。
また、図9中の分図(b)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX811合金の固相線温度である516℃よりも16℃低い500℃で1時間熱処理加工が施されたAZX811に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、上述した場合と同様に、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、不連続的かつ微細に分散されることが確認された。すなわち、図2中の分図(b)に示すような状態となっている。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は3.1%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は0.1〜4.0μmであり、当該相当円直径の平均径は1.3μmであった。
また、図9中の分図(c)に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程として、AZX612合金の固相線温度である522℃よりも72℃低い450℃で10時間熱処理加工が施されたAZX612に、圧下率75%の圧延加工を行う第二圧延加工工程が施されると、上述した場合と同様に、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、不連続的かつ微細に分散されることが確認された。すなわち、図2中の分図(c)に示すような状態となっている。当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は6.4%であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は0.1〜6.4μmであり、当該相当円直径の平均径は2.2μmであった。
さらに、図10に示すように、第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金としてのAZX811において、不連続的に形成される晶出物又は金属間化合物の間隔は、0.14μm以上となることが分かった。
以上より、本実施形態に係る熱処理加工工程を施したマグネシウム合金に第二圧延加工工程が施されると、マグネシウム相が微細化するとともに、マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物は、不連続的かつ微細に分散されることが分かった。また、当該晶出物又は金属間化合物の面積割合は7%以下であり、晶出物又は金属間化合物の相当円直径は0.1〜9μmであり、当該相当円直径の平均径は7μm以下となることが確認された。また、晶出物又は金属間化合物の間隔は0.14μm以上となることが分かった。一方、比較例に係る熱処理加工を施したマグネシウム合金に第二圧延加工工程が施されても、網状に存在していた晶出物又は金属間化合物が分散しきれていないことが確認された。
さらに、発明者らは、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法で製造されたマグネシウム合金材および比較例に係るマグネシウム合金材について、機械的性質の試験を行った。ここで、マグネシウム合金材の引張強度の測定は、JIS Z2241 金属材料引張り試験方法に従った準静的歪み速度による室温引張り試験であって、圧延方向に対して平行方向(0°方向)、45°方向、および90°方向に試験を行った。より詳しくは、引張り試験は、マグネシウム合金材を圧延方向、45°方向、および90°方向に、マグネシウム合金材の板厚はそのままとし、平行部寸法幅5mm×長さ30mmと、幅12.5mm×長さ60mmを有する板状試験片を作製し、当該試験片を用いて室温で初期歪み速度1.1×10−3−1で行った。また、マグネシウム合金材の破断ひずみの測定は、JIS Z2241 金属材料引張り試験方法に基づいて行った。その結果を表1に示す。
表1に示すように、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施すと、第二圧延加工工程の圧延方向(0°方向)の引張強度が300MPa以上であるとともに破断時のひずみが0.1以上となることが分かる。すなわち、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法によれば、高強度・高延性であるマグネシウム合金材を得ることが可能である。
また、本実施形態に係る熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に第二圧延加工工程を施すと、第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向の引張強度が、第二圧延加工工程の圧延方向の引張強度の値±6%であり、第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向のひずみが、第二圧延加工工程の圧延方向の破断時のひずみの値±17%以内となる。すなわち、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法により得られたマグネシウム合金材は、機械的特性に異方性が認められないことが確認された。
したがって、本実施形態に係るマグネシウム合金の製造方法によれば、高強度・高延性であるとともに機械的特性に異方性が認められない高性能マグネシウム合金材を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
S10 第一圧延加工工程、S20 熱処理加工工程、S30 第二圧延加工工程。

Claims (7)

  1. マグネシウム合金に圧下率40%以上の圧延加工を行う第一圧延加工工程を施した後、前記マグネシウム合金の固相線温度よりも約15〜120℃低い温度で約10分〜10時間熱処理を行う熱処理加工工程を施し、さらに、前記熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金に再度の圧延加工を施す第二圧延加工工程を施すことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  2. 請求項1に記載のマグネシウム合金の製造方法において、
    前記熱処理加工工程が施されたマグネシウム合金は、ビッカース硬さがHV60以上であり、マグネシウム相の平均結晶粒径が10〜30μmであり、前記マグネシウム相の結晶粒界に形成される晶出物又は金属間化合物が結晶粒界に板状又は粒状に形成されることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のマグネシウム合金の製造方法において、
    前記第二圧延加工工程は、ロール温度を50〜150℃とし、素材を350℃を超える温度に加熱した上で、1パスあたりの圧下量が元板厚に対して5%以上であり、前記ロール温度と前記素材の温度の差が200〜380℃であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  4. 請求項1〜3に記載のマグネシウム合金の製造方法において、
    前記第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金は、当該第二圧延加工工程の圧延方向の引張強度が300MPa以上であるとともに破断時のひずみが0.1以上であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  5. 請求項4に記載のマグネシウム合金の製造方法において、
    前記第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金は、当該第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向の引張強度が、当該第二圧延加工工程の圧延方向の引張強度の値±6%であり、当該第二圧延加工工程の圧延方向に対して45°方向又は90°方向のひずみが、当該第二圧延加工工程の圧延方向の破断時のひずみの値±17%以内であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  6. 請求項2に記載のマグネシウム合金の製造方法において、
    前記第二圧延加工工程が施されたマグネシウム合金は、前記マグネシウム相の平均結晶粒径が25μm以下であり、前記晶出物又は前記金属間化合物のマグネシウム相に対する面積割合が7%以下であり、当該晶出物又は当該金属間化合物の相当円直径が0.1〜9μmであるとともにその平均値が7μm以下であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  7. 請求項6に記載のマグネシウム合金の製造方法において、
    前記マグネシウム相の結晶粒界に形成される前記晶出物又は前記金属間化合物は、微細に分散しており、微細に分散している当該晶出物又は当該金属間化合物の間隔が0.14μm以上であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
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