JP2012172255A - マグネシウム合金材及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】肉厚で、耐食性及び耐肌荒れ性に優れるマグネシウム合金材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】厚さが1.5mm以上の板状部を有するマグネシウム(Mg)合金材(代表的にはMg合金板)であり、板状部の表面から厚さ方向に厚さの1/4までの領域を表面領域、残部を内部領域とするとき、内部領域の底面ピーク比Oc((002)面の配向度合い)に対する表面領域の底面ピーク比OFの比率:OF/Ocが1.5<OF/Ocを満たす。このMg合金材は、板状部の表面が内部に比較してMg合金の結晶の底面である(002)面が強く配向した集合組織により構成され、代表的には表面領域の結晶粒径が内部領域よりも小さいことで耐食性に優れる上に、耐肌荒れ性に優れることで、プレス加工を施すと表面性状に優れる成形体が得られる。双ロール連続鋳造材に全パスの圧下率が25%以下の圧延を複数パス施すことで板状のMg合金材が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車や鉄道車両、飛行機などの輸送機器の部品や自転車部品、電子・電気機器の筐体、その他の構造部材といった各種の部材、及び当該部材の構成材料に適したマグネシウム合金材、並びにその製造方法に関するものである。特に、肉厚で、耐食性及び耐肌荒れ性に優れるマグネシウム合金材に関するものである。
携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯用電子・電気機器類の筐体、ホィールカバーやパドルシフトなどの自動車部品、鉄道車両部品、フレームなどの自転車部品といった各種の部材の構成材料として、軽量で、比強度、比剛性に優れるマグネシウム合金が検討されている。マグネシウム合金からなる部材は、ダイカスト法やチクソモールド法による鋳造材(ASTM規格のAZ91合金)が主流である。近年、ASTM規格のAZ31合金に代表される展伸用マグネシウム合金からなる板にプレス加工を施したプレス加工材が使用されつつある。特許文献1では、双ロール鋳造法を用いて、AZ91合金などの各種のマグネシウム合金からなる連続鋳造材を作製し、この連続鋳造材に圧延を施して得られた圧延板にプレス加工を施すことを開示している。
国際公開第2006/003899号
従来、マグネシウム合金の軽量性に着目して、プレス加工材といった塑性加工材の素材には、厚さ1mm以下といった比較的薄い板材が検討されている。しかし、マグネシウム合金の用途範囲の拡大に伴い、上述のような薄板だけでなく、比強度、比剛性に着目して肉厚なもの、具体的には、厚さ1.5mm以上の厚い板材の開発が望まれる。従来、このような肉厚なマグネシウム合金板といった素材、及びその製造方法、並びにこの板を用いて作製したプレス加工材といった塑性加工材について十分に検討されていない。
ダイカスト法やチクソモールド法を利用すれば、肉厚なマグネシウム合金板が得られる。しかし、ダイカスト材といった鋳造材では、巣といった内部欠陥が存在し易い上に、添加元素成分が局所的に高濃度になったり、結晶粒がランダムに配向したりするなど、組成や組織が不均一になり易い。そのため、ダイカスト材といった鋳造材は、圧延材といった塑性加工が施されたものと比較して、耐食性に劣る。また、ダイカスト材といった鋳造材は、上記内部欠陥などにより、塑性加工性に劣り、塑性加工用素材に適すると言えない。
そこで、本発明の目的の一つは、肉厚で耐食性及び耐肌荒れ性に優れるマグネシウム合金材や塑性加工が施された肉厚なマグネシウム合金材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、肉厚で耐食性及び耐肌荒れ性に優れるマグネシウム合金材が得られるマグネシウム合金材の製造方法を提供することにある。
ダイカスト材やチクソモールド材に比較して、圧延などの塑性加工(1次加工)が施されたマグネシウム合金材は、鋳造時の欠陥が低減されたり、結晶が微細化されたりすることで、同一の組成であっても、強度や硬度、靭性などの機械的特性、耐食性、塑性加工性に優れる。また、上記1次加工を施したマグネシウム合金材にプレス加工などの塑性加工(2次加工)を施したマグネシウム合金材も、上記機械的特性や耐食性に優れる。特に、1次加工材の素材として双ロール鋳造法といった連続鋳造法により製造した連続鋳造材を利用すると、当該鋳造材は、偏析や粗大な晶析出物がダイカスト材などに比較して少なく、塑性加工性に優れる。そこで、本発明者らは、連続鋳造材に種々の条件で圧延を施して、厚さ1.5mm以上の肉厚なマグネシウム合金板を作製した。その結果、特定の条件で作製したマグネシウム合金板は、肉厚で、耐食性に優れる上に、プレス加工や曲げ加工といった塑性加工を施した場合、得られた塑性加工材はその表面に凹凸が小さくかつ少なく、滑らかな表面を有しており(代表的には光沢を有して綺麗な表面を有する)、耐肌荒れ性にも優れる、との知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明のマグネシウム合金材は、マグネシウム合金からなり、厚さが1.5mm以上の板状部を有し、かつ、この板状部が以下の配向性を満たす。
[配向性]
上記板状部の表面から厚さ方向に厚さの1/4までの領域を表面領域、残部の領域を内部領域とし、
上記表面領域における(002)面、(100)面、(101)面、(102)面、(110)面、及び(103)面のX線回折のピーク強度をそれぞれIF(002)、IF(100)、IF(101)、IF(102)、IF(110)、及びIF(103)とし、
上記内部領域における(002)面、(100)面、(101)面、(102)面、(110)面、及び(103)面のX線回折のピーク強度をそれぞれIC(002)、IC(100)、IC(101)、IC(102)、IC(110)、及びIC(103)とし、
上記表面領域における(002)面の配向度合い:IF(002)/{IF(100)+IF(002)+IF(101)+IF(102)+IF(110)+IF(103)}を底面ピーク比OF
上記内部領域における(002)面の配向度合い:IC(002)/{IC(100)+IC(002)+IC(101)+IC(102)+IC(110)+IC(103)}を底面ピーク比OCとするとき、
上記内部領域の底面ピーク比Ocに対する上記表面領域の底面ピーク比OFの比率:OF/Ocが、1.05<OF/Ocを満たす。
上記本発明マグネシウム合金材は、例えば、以下の本発明製造方法により製造することができる。本発明のマグネシウム合金材の製造方法は、マグネシウム合金からなる素材に圧延を施してマグネシウム合金材を製造する方法に係るものであり、以下の準備工程と、圧延工程とを具える。
準備工程:溶解したマグネシウム合金を双ロール鋳造法により連続鋳造した板状の素材を準備する工程。
圧延工程:上記素材に複数パスの圧延を施して、厚さ1.5mm以上の板状のマグネシウム合金材を製造する工程。
この圧延工程では、上記各パスの圧下率をいずれも25%以下とする。
なお、圧下率(%)とは、{(圧延前素材の厚さtb−圧延後の素材の厚さta)/圧延前素材の厚さtb}×100をいう。
上記本発明製造方法によれば、割れなどの起点となる欠陥や晶析出物、偏析が少ない、或いは実質的に存在しない連続鋳造材を素材とすることで、複数パスの圧延を良好に施すことができる。また、各パスの圧下率を比較的小さくし、かつ複数パスに亘って圧延を施すことで、圧延材の表面部分には内部に比較して、圧延による塑性加工が十分に加えられる。即ち、圧下率が比較的小さい圧延を繰り返し行うことで、圧延材の表面組織と内部組織とを異ならせることができる。従って、本発明製造方法によれば、表面領域を構成する組織と内部領域を構成する組織とが異なる組織により構成されたマグネシウム合金材(代表的には圧延板(本発明マグネシウム合金材の一形態))が得られる。より具体的には、表面領域を構成する組織は、圧延による塑性加工が十分に加えられることで、マグネシウム合金の結晶の底面が圧延方向(圧延される素材が進行する方向)に平行するように主に配列した集合組織(上記結晶のc軸が圧延方向に直交するように配列した集合組織)であり、内部領域を構成する組織は、上記底面が表面領域よりもランダムに配列した組織である。
本発明マグネシウム合金材が上述の特定の圧延が施された圧延板である場合(即ち、本発明マグネシウム合金材の全体が板状部から構成される形態の場合)、上述のように表面領域の組織が特定の配向性を有する集合組織、より具体的には、マグネシウム合金の結晶の底面である(002)面が強く配向した集合組織であり、内部領域の組織は、この表面領域よりも(002)面の配向が少ない組織により構成される。(002)面が強く配向した集合組織とは、圧延などの塑性加工時に塑性加工に伴う変形が十分に加えられたことを示す指標の一つとなる。圧延などの加工が十分に施されるほど、マグネシウム合金の結晶粒径が微細になる傾向にあり、この微細化により結晶粒界の全面積が増大する。その結果、結晶粒界に対する不純物元素の存在比率が相対的に低下することで、上記特定の組織を有する本発明マグネシウム合金材は耐食性に優れる。特に、外部雰囲気に曝される表面領域が内部よりも微細組織であることで、耐食性により優れる。そのため、本発明マグネシウム合金材は、肉厚で耐食性に優れる。また、このマグネシウム合金材は、上述のように表面部分と内部とで異なる組織から構成されることで、表面部分と内部とで異なる特性(硬度や強度、耐衝撃性、靭性などの機械的特性、耐食性、制振性など)を有する。このような特性差を利用して、本発明マグネシウム合金材は、種々の部材、及びこれらの部材の素材への利用が期待できる。かつ、本発明マグネシウム合金材は、内部領域の底面((002)面)の配向度度合いが小さい(集合組織における集積度が小さい)ことで、プレス加工や曲げ加工といった塑性加工性が良好になることから、プレス加工や曲げ加工といった塑性加工用素材に好適に利用することができる。そして、表面領域が微細な結晶組織で構成されることで、プレス加工などの塑性加工を施しても、素材の表面に大きな凹凸が生じ難く、滑らかな表面を有する塑性加工材(本発明マグネシウム合金材の一形態)が得られる。従って、本発明マグネシウム合金材は、耐肌荒れ性に優れる。また、得られた塑性加工材も優れた表面性状を有する。
本発明マグネシウム合金材の一形態として、上記表面領域の平均結晶粒径をDF、上記内部領域の平均結晶粒径をDcとするとき、上記表面領域の平均結晶粒径DFに対する上記内部領域の平均結晶粒径Dcの比率:Dc/DFが、1.5<Dc/DFを満たす形態が挙げられる。
上記形態によれば、内部領域の結晶粒径が表面領域よりも大きい、換言すれば、表面領域の結晶粒径が内部領域よりも十分に小さいことで、上述のように結晶粒界が長くなり、耐食性に優れる。また、上記形態によれば、表面領域が微細な結晶組織により構成されることで塑性加工性が良好になる上に耐肌荒れ性に優れ、内側領域の結晶粒径が表面領域よりも大きいことで、耐熱性にも優れる。
本発明マグネシウム合金材の一形態として、上記表面領域のビッカース硬度(Hv)をHF、上記内部領域のビッカース硬度(Hv)をHcとするとき、上記表面領域のビッカース硬度HFに対する上記内部領域のビッカース硬度Hcの比率:Hc/HFが、Hc/HF<0.85を満たす形態が挙げられる。
上記形態によれば、内部領域のビッカース硬度が表面領域よりも小さい、換言すれば、表面領域のビッカース硬度が内部領域よりも十分に大きいため、耐摩耗性に優れる。
本発明マグネシウム合金材は、種々の元素を添加元素とするマグネシウム合金(残部Mg及び不純物)から構成され得る。特に、添加元素の濃度が高い合金、具体的には合計含有量が5.0質量%以上であるマグネシウム合金は、添加元素の種類にもよるが、強度や硬度といった機械的特性、耐食性、難燃性、耐熱性といった種々の特性に優れる。
具体的な添加元素は、Al,Zn,Mn,Si,Be,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,Sn,Li,Zr,Ce,Ni,Au及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択される少なくとも1種の元素が挙げられる。不純物は、例えば、Feなどが挙げられる。
特に、Alを含有するMg-Al系合金は、耐食性に優れる上に、強度や硬度といった機械的特性にも優れる。従って、本発明マグネシウム合金材の一形態として、上記マグネシウム合金が添加元素にAlを5.0質量%以上12質量%以下含有する形態が挙げられる。Alの含有量が多いほど上記効果が高い傾向にあり、7質量%以上、更に7.3質量%以上が好ましい。但し、Alの含有量が12質量%を超えると塑性加工性の低下を招くことから、上限は12質量%、更に11質量%が好ましい。特に、Alを8.3質量%〜9.5質量%含有する形態は、強度及び耐食性により優れる。Al以外の各元素の含有量は、合計で0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下が挙げられる。
Mg-Al系合金のより具体的な組成は、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg-Al-Zn系合金、Zn:0.2質量%〜1.5質量%、例えば、AZ31合金、AZ61合金、AZ91合金など)、AM系合金(Mg-Al-Mn系合金、Mn:0.15質量%〜0.5質量%)、AS系合金(Mg-Al-Si系合金、Si:0.01質量%〜20質量%)、Mg-Al-RE(希土類元素)系合金、AX系合金(Mg-Al-Ca系合金、Ca:0.2質量%〜6.0質量%)、AJ系合金(Mg-Al-Sr系合金、Sr:0.2質量%〜7.0質量%)などが挙げられる。Alを8.3質量%〜9.5質量%含有する合金として、更にZnを0.5質量%〜1.5質量%含有するMg-Al-Zn系合金、代表的にはAZ91合金が挙げられる。
その他、Y,Ce,Ca,Si,Sn及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択される少なくとも1種の元素を合計0.001質量%以上、好ましくは合計0.1質量%以上5質量%以下含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金は、耐熱性、難燃性に優れる。希土類元素を含有する場合、その合計含有量は0.1質量%以上が好ましく、特に、Yを含有する場合、その含有量は0.5質量%以上が好ましい。
本発明マグネシウム合金材は、肉厚で、耐食性及び耐肌荒れ性に優れる。本発明マグネシウム合金材の製造方法は、肉厚で、耐食性及び耐肌荒れ性に優れるマグネシウム合金材を製造することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[マグネシウム合金材]
(組成)
本発明マグネシウム合金材は、50質量%以上のMgと、代表的には上述した添加元素とを含有するマグネシウム合金により構成される。
(形態)
本発明マグネシウム合金材に具える板状部とは、平行する一対の面を具え、両面の間隔(両面の間の距離)が実質的に均一である、即ち、厚さが均一である部分を言う。本発明マグネシウム合金材は、その一部に板状部を有していれば、その他部に、ボスなどが接合された形態、溝を有する形態、表裏に貫通する孔を有する形態など、切削加工などの加工により、局所的に厚さが異なる部分を有する形態を許容する。
上記板状部を有する本発明マグネシウム合金材の代表的な形態は、その全体が板状である形態(マグネシウム合金板)が挙げられる。このマグネシウム合金板の形状(平面形状)は、矩形、円形状など種々の形状をとり得る。また、このマグネシウム合金板は、連続する長尺材を巻き取ったコイル材、所定の長さ・形状の短尺材のいずれの形態もとり得る。このマグネシウム合金板は、製造工程によっても種々の形態をとり得る。代表的には、圧延板、圧延板に後述する熱処理や矯正を施した熱処理板や矯正板、上記圧延板や熱処理板、矯正板に研磨や塗装を施した研磨板、塗装板などが挙げられる。
その他、本発明マグネシウム合金材は、上記マグネシウム合金板に、曲げ加工や絞り加工といったプレス加工などの塑性加工(2次加工)を施した成形体、上記塑性加工が一部に施されて、塑性加工部を有する部分加工材が挙げられる(但し、少なくとも一部に上記板状部を有する)。上記成形体は、例えば、天板部(底面部)と、天板部の周縁から立設される側壁部とを有する断面]状の箱体や]状の枠体、天板部が円板状で、側壁部が円筒状の有蓋筒状体などが挙げられる。上記天板部が板状部に相当する。所望の用途に応じて、マグネシウム合金材の形態を選択することができる。
(厚さ)
本発明マグネシウム合金材は、上記板状部の厚さが1.5mm以上であることを特徴の一つとする。この厚さは、所望の用途などに応じて、1.5mm以上の任意の値を選択することができる。但し、上記板状部を厚くするには、素材となる鋳造材も厚くする必要がある。鋳造材を厚くすると、上述のように欠陥などで圧延性の低下を招く。従って、上記厚さは10mm以下、特に5mm以下であると、肉厚の圧延板(本発明マグネシウム合金材の一形態)を生産性よく製造できて好ましい。
本発明マグネシウム合金材が上記成形体や上記部分加工材である場合、塑性加工に伴う変形が少ない箇所(代表的には板状部)は、塑性加工の素材となった上記マグネシウム合金板の組織や機械的特性を概ね維持する。
(組織)
<配向性>
本発明マグネシウム合金材は、少なくとも上記板状部の表面領域が上述のように底面の集合組織を有する組織により構成され、内部領域は底面の配向度合いが小さい組織から構成されることを特徴の一つとする。外部雰囲気に曝される表面領域が、(002)面が強く配向した組織により構成されることで上述のように耐食性に優れる。また、表面領域と内部領域とにおいて配向度合いの差が大きいほど、耐食性や表面硬度、耐肌荒れ性を高められると期待される。但し、上記配向度合いの差が大きくなり過ぎると、プレス加工といった塑性加工を均一的に施し難くなるため、上述した底面ピーク比の比率OF/OcはOF/Oc≦1.2を満たすことが好ましい。
<平均結晶粒径>
本発明マグネシウム合金材の代表的な形態では、内部領域の結晶粒径が表面領域よりも大きい形態が挙げられる。この形態は、内部領域が耐熱性に優れ、結晶粒径が相対的に小さい表面領域が上述のように高い耐食性や高い硬度を有する。特に、表面領域が相対的に微細組織であることで、高硬度になり、耐摩耗性に優れることから、キズなどがつき難く、表面性状に優れる。そのため、本発明マグネシウム合金材は、耐久性が求められる構造材などに好適に利用できると期待される。表面領域と内部領域とにおいて平均結晶粒径の差が大きいほど、耐食性や耐肌荒れ性、表面硬度を高められると期待される。但し、上記平均結晶粒径の差が大きくなると、プレス加工といった塑性加工を均一的に施し難くなるため、上述した平均結晶粒径の比率:Dc/DFはDc/DF≦2.0が好ましい。
なお、上述のように圧延を施して、厚さが1.5mm以上である肉厚で板状のマグネシウム合金材を製造する場合、厚さ方向の全域に亘って均一的な粒径で、かつ微細な粒径とすることに限界があり、本発明マグネシウム合金材では、表面領域及び内部領域の平均結晶粒径は3.5μm以上となり得る。しかし、結晶粒径が小さいほど、塑性加工性に優れる傾向にあることから、上記板状部の表面領域及び内部領域の平均結晶粒径はいずれも、20μm以下、特に10μm以下が好ましい。平均結晶粒径は、圧延工程における圧下率や素材の加熱温度により変化し、圧下率が大きいほど、また、加熱温度が低いほど、小さくなる傾向にある。
(機械的特性)
本発明マグネシウム合金材は、圧延が施されていることでダイカスト材などの鋳造材に比較して、強度や硬度、靭性などの機械的特性にも優れる。例えば、上述のように表面領域のビッカース硬度が内部領域よりも高い。表面領域と内部領域とにおいてビッカース硬度の差が大きいほど、表面硬度が相対的に高くなる。但し、上記ビッカース硬度の差が大きくなり過ぎる(表面硬度を大きくし過ぎる)と、逆にプレス加工性を損ねるため、ビッカース硬度Hcの比率:Hc/HFは0.7≦Hc/HFが好ましい。ビッカース硬度の絶対値は、圧下率や素材の加熱温度などの圧延条件にもよるが、添加元素の含有量が多いほど、大きくなる傾向にある。本発明マグネシウム合金材が塑性加工材(成形体)や部分加工材である場合、加工硬化により、硬度が更に高まる傾向にある。
(その他の構成)
本発明マグネシウム合金材の表面の少なくとも一部に化成処理や陽極酸化処理といった防食処理を施して防食層を具える形態とすると、耐食性により優れる。また、本発明マグネシウム合金材の表面の少なくとも一部に塗装を施して塗装層とを具える形態とすると、意匠性や商品価値を高められる。
[製造方法]
以下、上述した本発明製造方法の各工程をより詳細に説明する。
(準備工程)
<鋳造>
本発明製造方法では、出発材に連続鋳造材を利用する。連続鋳造法は、急冷凝固が可能であるため、添加元素の含有量が多い場合でも偏析や酸化物などを低減でき、割れの起点になり得る10μm超といった粗大な晶析出物の生成を抑制できる。従って、圧延などの塑性加工性に優れる鋳造材が得られる。また、連続鋳造法では、長尺な鋳造材を連続して製造可能であり、長尺材を素材に利用できる。素材が長尺である場合、長尺な圧延材を製造可能である。連続鋳造法には、双ロール法、ツインベルト法、ベルトアンドホイール法といった種々の方法があるが、板状の鋳造材の製造には、双ロール法やツインベルト法、特に双ロール法が好適であり、とりわけ特許文献1に記載の鋳造方法で製造した連続鋳造材を利用することが好ましい。鋳造材の厚さ、幅、長さは所望の圧延材(圧延板)が得られるように適宜選択することができる。鋳造材の厚さは、厚過ぎると偏析が生じ易いため、10mm以下、特に5mm以下が好ましい。得られた連続鋳造材を長尺材とする場合、円筒状に巻き取ってコイル材とすると、次工程に搬送し易い。鋳造材における巻き取り直前の箇所を100℃〜200℃程度に加熱した状態で巻き取ると、AZ91合金といった添加元素の含有量が高く、割れが生じ易い合金種であっても曲げ易くなり、巻き取り径が小さい場合でも、割れなどを生じることなく巻き取れる。得られた連続鋳造材を適宜な長さに切断したシート材を素材とすることもできる。この場合、所定の長さの圧延材(圧延板)が得られる。
<溶体化>
上記鋳造材に圧延を施す前に溶体化処理を施すと、鋳造材の組成を均質化したり、Alといった元素を十分に固溶させて靭性を高めたりできる。溶体化処理の条件は、例えば、加熱温度:350℃以上、特に380℃以上420℃以下、保持時間:1時間以上40時間以下が挙げられる。Mg-Al系合金である場合、Alの含有量が多いほど保持時間を長めにすることが好ましい。また、上記保持時間からの冷却工程において、水冷や衝風といった強制冷却などを利用して、冷却速度を速めると(好ましくは50℃/min以上)、粗大な析出物の析出を抑制できる。
<圧延>
上記鋳造材や溶体化処理材を素材とし、この素材に複数パスの圧延を施す。少なくとも1パスは、素材(鋳造材や溶体化処理材、圧延途中の加工材)を150℃以上400℃以下に加熱して行う温間圧延、或いは熱間圧延を含むことが好ましい。素材を上記温度に加熱することで、1パスあたりの圧下率を高めた場合にも圧延中に割れなどが生じ難く、上記温度を高めるほど、割れなどが少なくなり、400℃以下とすることで、素材表面の焼付きなどによる劣化や、圧延ロールの熱劣化を抑制することができる。従って、上記加熱温度は、350℃以下、更に300℃以下、特に150℃以上280℃以下が好ましい。素材だけでなく圧延ロールも加熱してもよい。圧延ロールの加熱温度は、100℃〜250℃が挙げられる。
特に、本発明製造方法では、各パスの圧下率を全て25%以下とする。圧下率が比較的小さい圧延を複数パスに亘って施すことで、特に、素材の表面部分に集中的に塑性加工を施せる。各パスの圧下率は、25%以下の範囲で適宜選択することができるが、小さ過ぎると所望の厚さにするまでのパス数が多くなり、生産性の低下を招くことから、10%以上が好ましい。
パスごとに、素材の加熱温度や圧延ロールの温度、圧下率などの条件を変更することができる。従って、各パスの圧下率は同じでもよいし、異ならせてもよい。また、パス間に中間熱処理を行ってもよい。中間熱処理を行うことで、当該熱処理までに素材に導入された歪みや残留応力などを除去・低減して、当該熱処理以降の圧延を施し易くすることができる。中間熱処理の条件は、加熱温度:150℃〜350℃(好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃〜280℃)、保持時間:0.5時間〜3時間)が挙げられる。また、圧延後にも上記条件で最終熱処理を行ってもよい。その他、上記圧延は、潤滑剤を適宜利用すると、圧延時の摩擦抵抗を低減でき、素材の焼き付きなどを防止して、圧延を施し易い。
その他、圧延前の鋳造材の縁部をトリミングして、圧延時、縁部に割れが存在した場合にその割れが進展しないようにしてもよいし、圧延工程の途中、圧延後などにおいて、幅を適宜調整するためにトリミングしてもよい。
<その他の加工>
≪研磨≫
上記圧延後、研磨を施してもよい。研磨を行うことで、圧延時に使用した潤滑剤や圧延材表面に存在するキズや酸化膜などを除去、低減できる。研磨には、研削ベルトを用いると、素材が長尺材であっても、連続して容易に研磨を施せて好ましい。また、研磨は、粉末の飛散を防止するために湿式が好ましい。
≪矯正≫
上記圧延後や上記研磨後、矯正を施してもよい。矯正を行うことで平坦性を高められ、プレス加工などの塑性加工を精度良く行える。矯正には、複数のローラが千鳥状に配置されたロールレベラ装置を好適に利用できる。また、矯正は、例えば、素材を100℃〜300℃、特に150℃〜280℃に加熱した状態(温間矯正)で行ってもよい。
≪塑性加工≫
上記本発明マグネシウム合金材を成形体や塑性加工部を具える部分加工材とする場合、上述した圧延工程を経た素材(上述した圧延材、研磨材、矯正材)の少なくとも一部にプレス加工といった塑性加工を施す塑性加工工程を具える製造方法により、製造することができる。この塑性加工は、200℃〜300℃の温度域で行うと、素材の塑性加工性を高められて好ましい。また、この塑性加工後に熱処理を施して、塑性加工により導入された歪みや残留応力の除去、機械的特性の向上を図ることができる。この熱処理条件は、加熱温度:100℃〜300℃、加熱時間:5分〜60分程度が挙げられる。
≪表面処理≫
上記本発明マグネシウム合金材を上記防食層や塗装層を具える形態とする場合、上述した圧延工程を経た素材の少なくとも一部、或いは上記塑性加工工程を経た素材の少なくとも一部に防食処理や塗装を施す表面処理工程を具える製造方法により、製造することができる。その他、上記素材の少なくとも一部に、ヘアライン加工、ダイヤカット加工、ショットブラスト加工、エッチング加工及びスピンカット加工から選択される少なくとも1種の加工を施してもよい。これらの表面処理を行うことで、耐食性や機械的保護機能を高めたり、意匠性や金属質感、商品価値を高めたりすることができる。
以下、試験例を挙げて、本発明のより具体的な実施の形態を説明する。
[試験例]
以下の組成のマグネシウム合金からなる素材に、種々の条件で圧延を施して厚さ1.5mm以上のマグネシウム合金板を作製し、配向性、結晶粒径、及びビッカース硬度を調べた。
この試験では、AZ91合金相当の組成を有するマグネシウム合金(Mg−9.0質量%Al−0.6質量%Zn)からなるマグネシウム合金板と、AZ31合金相当の組成を有するマグネシウム合金(Mg−3.1質量%Al−0.7質量%Zn)からなるマグネシウム合金板とを作製した。
上記各組成のマグネシウム合金を用いて、双ロール連続鋳造法により長尺な鋳造板(厚さ4.5mm(4.50mm〜4.51mm)×幅320mm)を作製して、一旦巻き取り、鋳造コイル材を作製した。各鋳造コイル材に400℃×24時間の溶体化処理を施した。溶体化処理を施した固溶コイル材を巻き戻した素材に、表1に示す圧延条件で複数パスの圧延を施し、厚さ2.0mm(2.00mm〜2.01mm)又は1.5mmの圧延材(マグネシウム合金板)を作製した。各パスは温間圧延とした(素材の加熱温度:250℃〜280℃、圧延ロールの温度:100℃〜250℃)。鋳造材の厚さ、圧延途中の加工材の厚さ、得られたマグネシウム合金板の厚さはいずれも、測定対象となる板材の幅方向の中央部、及び幅方向の両縁から50mmの地点の合計3点の厚さの平均とした。
Figure 2012172255
[配向性]
得られた各マグネシウム合金板についてX線回折を行い、内部領域の底面ピーク比Ocに対する表面領域の底面ピーク比OFの比率:OF/Ocを調べた。その結果を表2に示す。表面領域の底面ピーク比OFは、各マグネシウム合金板の表面に対してX線回折を行い、内部領域の底面ピーク比Ocは、各マグネシウム合金板の表面から厚さ方向に厚さの1/4までの領域(表面領域)を化学的に除去して、内部を露出させ、この露出面に対してX線回折を行った。そして、各領域の(002)面、(100)面、(101)面、(102)面、(110)面、及び(103)面のピーク強度をそれぞれ測定し、この測定結果を利用してOF/Ocを求めた。
底面ピーク比OF:IF(002)/{IF(100)+IF(002)+IF(101)+IF(102)+IF(110)+IF(103)}
底面ピーク比OC:IC(002)/{IC(100)+IC(002)+IC(101)+IC(102)+IC(110)+IC(103)}
[平均結晶粒径]
得られた各マグネシウム合金板について内部領域及び表面領域の平均結晶粒径(μm)を「鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法 JIS G 0551(2005)」に基づいて測定した。ここでは、各マグネシウム合金板に対して厚さ方向の断面(横断面及び縦断面)をとり、各断面を光学顕微鏡で観察し(400倍)、上記各断面における表面領域(表面から厚さ方向に厚さの1/4までの領域)、及び内部領域(表面領域を除いた残部の領域)のそれぞれについて3視野ずつとり(各領域の合計視野数:6)、視野ごとに平均結晶粒径を求めた。表面領域における合計6視野の平均結晶粒径の平均値(DF)、内部領域における合計6視野の平均結晶粒径の平均値(DC)を表2に示す。また、表面領域の平均結晶粒径DFに対する内部領域の平均結晶粒径Dcの比率:Dc/DFも求めた。その結果を表2に示す。
[ビッカース硬度]
得られた各マグネシウム合金板について内部領域及び表面領域のビッカース硬度(Hv)を調べた。ビッカース硬度は、平均結晶粒径の測定と同様に、各マグネシウム合金板に対して厚さ方向の断面(横断面及び縦断面)をとり、表面領域のビッカース硬度HFは、上記各断面における表面領域に圧子を押し当てて測定し、内部領域のビッカース硬度Hcは、上記各断面における内部領域に圧子を押し当てて測定した。表面領域における上記両断面のビッカース硬度の平均値(HF)、内部領域における上記両断面のビッカース硬度の平均値(HC)を表2に示す。また、表面領域のビッカース硬度HFに対する内部領域のビッカース硬度Hcの比率:Hc/HFも求めた。その結果を表2に示す。
[腐食試験]
得られた各マグネシウム合金板について耐食性を調べた。ここでは、JIS Z 2371(2000)に準拠して試験片を作製して(厚さは作製した板厚とした)、96時間の塩水噴霧試験を行い、試験後の腐食減量(mg/cm2)を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 2012172255
表1,2に示すように、連続鋳造材に、1パスあたりの圧下率が25%以下の圧延を複数パスに亘って施すことで、厚さ1.5mm以上の肉厚のマグネシウム合金板(マグネシウム合金材)であって、その厚さ方向における内部領域の組織(底面ピーク比)と表面領域の組織(底面ピーク比)とが異なるものが得られることが分かる。また、このマグネシウム合金板は、上記内部領域の機械的特性と表面領域の機械的特性とが異なることが分かる。
得られた各マグネシウム合金板にプレス加工を施したところ(マグネシウム合金板の加熱温度:250℃〜270℃)、いずれの試料もプレス加工を施すことができた。また、得られた各プレス加工材において平坦な部分の組織を調べたところ、プレス加工前の各マグネシウム合金板の組織と実質的に同様であり、同様な底面ピーク比や平均結晶粒径を有していた。更に、得られた各プレス加工材において、曲げ加工部分の表面粗さRaを調べた。その結果を表2に示す。表面領域と内部領域とで異なる組織を有する試料、具体的には表面領域の粒径が大きい組織から構成された試料No.B,C,E,F,H,I,K,Lは、表面粗さRaが概ね0.5μm以下と小さく、滑らかな表面を有することが分かる。
上記試験結果から、厚さ1.5mm以上の肉厚の板状部をを有するマグネシウム合金材であって、当該板状部の組織が厚さ方向に異なっており、かつ特定の配向性を有する組織から構成されたものは、耐肌荒れ性に優れることが確認された。また、表面領域が相対的に微細組織から構成されることでこのマグネシウム合金材は、耐食性に優れることが確認された。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、マグネシウム合金の組成、マグネシウム合金材の厚さ・形状、圧延工程における各パスの圧下率、パス数などを適宜変更することができる。
本発明マグネシウム合金材は、自動車部品、鉄道車両部品、航空機部品、自転車部品、各種の電子・電気機器類の部品など、特に耐食性や耐摩耗性が望まれる種々の分野の部材、及び当該部材の構成材料に好適に利用することができる。本発明マグネシウム合金材の製造方法は、上記本発明マグネシウム合金材の製造に好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. マグネシウム合金からなり、板状部を有するマグネシウム合金材であって、
    前記板状部の厚さが1.5mm以上であり、
    前記板状部は、以下の配向性を満たすことを特徴とするマグネシウム合金材。
    [配向性]
    前記板状部の表面から厚さ方向に厚さの1/4までの領域を表面領域、残部を内部領域とし、
    前記表面領域における(002)面、(100)面、(101)面、(102)面、(110)面、及び(103)面のX線回折のピーク強度をそれぞれIF(002)、IF(100)、IF(101)、IF(102)、IF(110)、及びIF(103)とし、
    前記内部領域における(002)面、(100)面、(101)面、(102)面、(110)面、及び(103)面のX線回折のピーク強度をそれぞれIC(002)、IC(100)、IC(101)、IC(102)、IC(110)、及びIC(103)とし、
    前記表面領域における(002)面の配向度合い:IF(002)/{IF(100)+IF(002)+IF(101)+IF(102)+IF(110)+IF(103)}を底面ピーク比OF
    前記内部領域における(002)面の配向度合い:IC(002)/{IC(100)+IC(002)+IC(101)+IC(102)+IC(110)+IC(103)}を底面ピーク比OCとするとき、
    前記内部領域の底面ピーク比Ocに対する前記表面領域の底面ピーク比OFの比率:OF/Ocが、1.05<OF/Ocを満たす。
  2. 前記表面領域の平均結晶粒径をDF、前記内部領域の平均結晶粒径をDcとするとき、前記表面領域の平均結晶粒径DFに対する前記内部領域の平均結晶粒径Dcの比率:Dc/DFが、1.5<Dc/DFを満たすことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金材。
  3. 前記表面領域のビッカース硬度(Hv)をHF、前記内部領域のビッカース硬度(Hv)をHcとするとき、前記表面領域のビッカース硬度HFに対する前記内部領域のビッカース硬度Hcの比率:Hc/HFが、Hc/HF<0.85を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウム合金材。
  4. 前記マグネシウム合金は、添加元素にAlを5.0質量%以上12質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金材。
  5. マグネシウム合金からなる素材に圧延を施してマグネシウム合金材を製造するマグネシウム合金材の製造方法であって、
    溶解したマグネシウム合金を双ロール鋳造法により連続鋳造した板状の素材を準備する準備工程と、
    前記素材に複数パスの圧延を施して、厚さ1.5mm以上の板状のマグネシウム合金材を製造する圧延工程とを具え、
    前記各パスの圧下率をいずれも25%以下とすることを特徴とするマグネシウム合金材の製造方法。
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