JP2014237896A - マグネシウム合金板 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性に優れるマグネシウム合金板を提供する。
【解決手段】添加元素を含有するマグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、前記添加元素としてAlを3.0質量%以上11.0質量%以下含有するMg−Al系合金からなり、前記板中にMg17Al12の金属間化合物の粒子が分散して存在しており、前記金属間化合物の粒子には、アスペクト比2未満の球状の粒子と、更にアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれ、前記板表面のXRD分析における前記金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上で、前記板断面のSEM観察における前記金属間化合物の面積比率が10.0%以上であり、前記金属間化合物の球状の粒子の平均粒径が0.4μm以上であるマグネシウム合金板。
【選択図】なし
【解決手段】添加元素を含有するマグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、前記添加元素としてAlを3.0質量%以上11.0質量%以下含有するMg−Al系合金からなり、前記板中にMg17Al12の金属間化合物の粒子が分散して存在しており、前記金属間化合物の粒子には、アスペクト比2未満の球状の粒子と、更にアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれ、前記板表面のXRD分析における前記金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上で、前記板断面のSEM観察における前記金属間化合物の面積比率が10.0%以上であり、前記金属間化合物の球状の粒子の平均粒径が0.4μm以上であるマグネシウム合金板。
【選択図】なし
Description
本発明は、電気・電子機器類の筐体などの各種の部材の素材に適したマグネシウム合金板に関する。特に、耐食性に優れるマグネシウム合金板に関する。
マグネシウムに種々の添加元素を含有したマグネシウム合金が、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターといった携帯用電気・電子機器類の筐体や自動車用部品などの各種の部材の構成材料に利用されつつある。
マグネシウム合金からなる部材は、ダイカスト法やチクソモールド法による鋳造材(ASTM規格のAZ91合金)が主流である。近年、ASTM規格のAZ31合金に代表される展伸用マグネシウム合金からなる板にプレス加工を施した部材が使用されつつある。例えば特許文献1には、ASTM規格におけるAZ91合金相当の合金からなり、プレス加工性に優れるマグネシウム合金板が提案されている。
マグネシウムは、活性な金属であるため、上記部材やその素材となるマグネシウム合金の表面には、通常、陽極酸化処理や化成処理といった防食処理が施される。
上述したAZ31合金やAZ91合金などのAlを含有するマグネシウム合金では、Alの含有量が多くなるほど耐食性に優れる傾向にある。例えば、AZ91合金は、マグネシウム合金の中でも耐食性に優れるとされている。しかし、AZ91合金であっても、耐食性の問題は十分に解決できておらず、上記防食処理が必要とされている。防食処理を施さない場合、AZ91合金であっても、塩水噴霧試験や塩水浸漬試験などの腐食試験を行うと腐食が進行する。また、耐食性の向上などを目的として、上記防食処理に加えて塗装を行った場合でも、衝撃などにより塗装に疵が生じたり、経年劣化などにより塗装が剥がれたりすると、マグネシウム合金が露出する部分から腐食が進行する。したがって、マグネシウム合金部材を構成するマグネシウム合金板自体が耐食性に優れることが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の一つは、耐食性に優れるマグネシウム合金板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の組織を有するマグネシウム合金板が優れた耐食性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のマグネシウム合金板は、添加元素を含有するマグネシウム合金からなる。そして、板中に添加元素及びMgを含む金属間化合物の粒子が分散して存在している。また、板表面のXRD分析における金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上であることを特徴とする。
本発明のマグネシウム合金板が優れた耐食性を示す理由は必ずしも明らかではないが、添加元素(例えば、Al)及びMgを含む金属間化合物(代表例、Mg17Al12)の存在状態が密接に関係していると考えられ、板表面のXRD分析における金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度とMg合金相のc面(0,0,2)回折強度との比率(金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度/Mg合金相のc面(0,0,2)回折強度)が0.040以上であることが主として作用していると考えられる。なお、本発明において、マグネシウム合金は、Mgを50質量%以上含有する。
以下、本発明のマグネシウム合金板について説明する。
≪マグネシウム合金板≫
[組成]
マグネシウム合金板を構成するマグネシウム合金には、添加元素を含有した種々の組成のもの(残部:Mg及び不純物)が挙げられるが、本発明では、添加元素としてAlを3.0質量%〜11.0質量%含有するMg‐Al系合金を使用することが好ましい。Alの含有量が多いほど、耐食性に優れる上に、強度、耐塑性変形性といった機械的特性にも優れる傾向にある。また、Alを含有することで、マグネシウム合金板を製造する際に、析出物としてAl及びMgを含む金属間化合物(β相)の粒子を析出させることができる。一方、Alの含有量が多過ぎると、塑性加工性の低下を招く虞がある。より好ましいAlの含有量は、8.3質量%〜9.5質量%である。
[組成]
マグネシウム合金板を構成するマグネシウム合金には、添加元素を含有した種々の組成のもの(残部:Mg及び不純物)が挙げられるが、本発明では、添加元素としてAlを3.0質量%〜11.0質量%含有するMg‐Al系合金を使用することが好ましい。Alの含有量が多いほど、耐食性に優れる上に、強度、耐塑性変形性といった機械的特性にも優れる傾向にある。また、Alを含有することで、マグネシウム合金板を製造する際に、析出物としてAl及びMgを含む金属間化合物(β相)の粒子を析出させることができる。一方、Alの含有量が多過ぎると、塑性加工性の低下を招く虞がある。より好ましいAlの含有量は、8.3質量%〜9.5質量%である。
Al以外の添加元素としては、Zn、Mn、Si、Ca、Sr、Y、Cu、Ag、Zr、Ce、Be及び希土類元素(Y、Ceを除く)から選択された1種以上の元素が挙げられる。これらの元素を含有する場合、その含有量は、合計で0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。また、希土類元素は0.1質量%以上含有することが好ましく、その中でも、Yは0.5質量%以上含有することが好ましい。より具体的なMg‐Al系合金は、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg‐Al‐Zn系合金、Zn:0.2〜1.5質量%)、AM系合金(Mg‐Al‐Mn系合金、Mn:0.15〜0.5質量%)、Mg‐Al‐RE(希土類元素)系合金、AX系合金(Mg‐Al‐Ca系合金、Ca:0.2〜6.0質量%)、AJ系合金(Mg‐Al‐Sr系合金、Sr:0.2〜7.0質量%)などが挙げられる。特に、Alを8.3質量%〜9.5質量%、Znを0.5質量%〜1.5質量%含有するMg‐Al‐Zn系合金、代表的にはAZ91合金は、耐食性に優れる点で好ましい。不純物としては、例えば、Fe、Ni、Cuなどが挙げられる。
[組織]
<金属間化合物>
(組成)
本発明では、板中に金属間化合物の粒子が分散して存在する組織を有する。金属間化合物としては、添加元素としてAlを含有するマグネシウム合金からなる場合、Al及びMgを含むMg17Al12が代表的である。
<金属間化合物>
(組成)
本発明では、板中に金属間化合物の粒子が分散して存在する組織を有する。金属間化合物としては、添加元素としてAlを含有するマグネシウム合金からなる場合、Al及びMgを含むMg17Al12が代表的である。
(XRD分析における金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度とMg合金相のc面(0,0,2)回折強度との比率)
本発明では、板表面のXRD分析における金属間化合物(Mg17Al12など)の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上である。この比率は大きい方が好ましく、0.055以上であることがより好ましく、0.060以上であることが更により好ましい。この比率の上限は、特に限定されるものではないが、実用的な製造上の観点から0.10が適当であると考えられる。
本発明では、板表面のXRD分析における金属間化合物(Mg17Al12など)の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上である。この比率は大きい方が好ましく、0.055以上であることがより好ましく、0.060以上であることが更により好ましい。この比率の上限は、特に限定されるものではないが、実用的な製造上の観点から0.10が適当であると考えられる。
XRD分析に使用する装置の具体例、及び分析条件については詳しく後述する。
(面積比率)
本発明において、板断面のSEM観察における金属間化合物(Mg17Al12など)の面積比率が10.0%以上であることが好ましい。ここで、面積比率は、板断面のSEM観察における観察視野面積に対する金属間化合物の合計面積の割合を百分率(%)で表わしたものである。面積比率は大きい方が好ましく、10.5%以上であることがより好ましく、10.6%以上であることが更により好ましい。面積比率の上限は、特に限定されるものではないが、実用的な製造上の観点から15%が適当であると考えられる。
本発明において、板断面のSEM観察における金属間化合物(Mg17Al12など)の面積比率が10.0%以上であることが好ましい。ここで、面積比率は、板断面のSEM観察における観察視野面積に対する金属間化合物の合計面積の割合を百分率(%)で表わしたものである。面積比率は大きい方が好ましく、10.5%以上であることがより好ましく、10.6%以上であることが更により好ましい。面積比率の上限は、特に限定されるものではないが、実用的な製造上の観点から15%が適当であると考えられる。
(粒子形態、平均粒径)
本発明において、金属間化合物(Mg17Al12など)の粒子には、アスペクト比2未満の球状の粒子が含まれることが好ましい。ここで、アスペクト比は、粒子の長径と短径との比(長径/短径)で表わされる。特に、アスペクト比2未満の球状の粒子と、更にアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれることがより好ましい。このアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれることで、更なる耐食性の向上を図ることができる。また、アスペクト比3以上の棒状の粒子が含まれることが更により好ましい。
本発明において、金属間化合物(Mg17Al12など)の粒子には、アスペクト比2未満の球状の粒子が含まれることが好ましい。ここで、アスペクト比は、粒子の長径と短径との比(長径/短径)で表わされる。特に、アスペクト比2未満の球状の粒子と、更にアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれることがより好ましい。このアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれることで、更なる耐食性の向上を図ることができる。また、アスペクト比3以上の棒状の粒子が含まれることが更により好ましい。
本発明において、上記した金属間化合物(Mg17Al12など)の粒子のうち、球状(アスペクト比2未満)の粒子の平均粒径が0.4μm以上であることが好ましい。ここで、平均粒径は、板断面のSEM観察における観察視野内の金属間化合物の球状の粒子の個数を求め、観察視野内に存在するその粒子の合計面積をその粒子の個数で除した値を円形(球状)の粒子1個当たりの面積とみなし、この面積に等しい円の直径を算出した値である。平均粒径は大きい方が好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。平均粒径の上限は、特に限定されるものではないが、粗大な金属間化合物の粒子が多く存在し過ぎると塑性加工時に割れなどが発生し易くなることから、5μmが適当であると考えられる。
[耐食性]
本発明では、優れた耐食性を有し、塩水噴霧試験(JIS Z 2371:2000に準拠した試験方法)による腐食減量が少ない。例えば、塩水噴霧試験96時間後の腐食減量が0.25mg/cm2以下を実現することができる。腐食減量は少ない方が好ましく、0.20mg/cm2以下であることがより好ましい。上記塩水噴霧試験では、5%濃度の塩水(塩50gを溶かした1リットルの水溶液)を使用する。
本発明では、優れた耐食性を有し、塩水噴霧試験(JIS Z 2371:2000に準拠した試験方法)による腐食減量が少ない。例えば、塩水噴霧試験96時間後の腐食減量が0.25mg/cm2以下を実現することができる。腐食減量は少ない方が好ましく、0.20mg/cm2以下であることがより好ましい。上記塩水噴霧試験では、5%濃度の塩水(塩50gを溶かした1リットルの水溶液)を使用する。
[製造方法]
本発明のマグネシウム合金板は、例えば、以下の各工程を備える製造方法により製造することができる。
鋳造工程:添加元素を含有するマグネシウム合金からなる鋳造材を連続鋳造により作製する工程。
熱処理工程:鋳造材を400℃以上に保持した後、30℃/min以下の冷却速度で冷却して熱処理材を作製する工程。
圧延工程:熱処理材を温間圧延して、圧延板を作製する工程。
本発明のマグネシウム合金板は、例えば、以下の各工程を備える製造方法により製造することができる。
鋳造工程:添加元素を含有するマグネシウム合金からなる鋳造材を連続鋳造により作製する工程。
熱処理工程:鋳造材を400℃以上に保持した後、30℃/min以下の冷却速度で冷却して熱処理材を作製する工程。
圧延工程:熱処理材を温間圧延して、圧延板を作製する工程。
更に、上記圧延板を温間矯正する矯正工程を備えてもよい。
鋳造材をそのまま圧延することは難しく、熱処理工程は、圧延前に鋳造材を軟化させるために行われる。また、熱処理工程において、所定温度に一定時間保持することで、マグネシウム合金の組成を均質化させると共に、マグネシウム合金中にAlなどの添加元素を固溶させる効果もある。従来は、熱処理工程の冷却過程で粗大な金属間化合物(Mg17Al12など)の粒子が多量に析出すると耐食性が低下すると考えられていたため、例えば鋳造材を350℃以上に保持した後、水冷や衝風などにより強制冷却していた。具体的には、金属間化合物の析出速度の大きい温度域(350℃〜250℃)を速く通過させるために、350℃〜250℃の温度域を100℃/min以上の冷却速度で冷却(急冷)して、固溶体を得ていた。しかし、本発明者らが鋭意研究したところによると、熱処理工程において、急冷するのではなく、30℃/min以下の冷却速度で冷却(徐冷)することで、上述したような優れた耐食性を示す特定の組織を有する圧延板(マグネシウム合金板)が最終的に得られることが分かった。
以下、各工程について説明する。
<鋳造工程>
鋳造工程では、双ロール法などの連続鋳造法により、所定組成の鋳造材を作製する。例えば、WO2006/003899に記載の連続鋳造技術を利用することができる。連続鋳造法は、急冷凝固が可能であるため、酸化物や偏析などを低減することができる上に、10μm超といった粗大な析出物(金属間化合物)が生成されることを抑制することができる。鋳造材の厚さは、特に限定されるものではないが、厚過ぎると偏析が生じ易いため、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
鋳造工程では、双ロール法などの連続鋳造法により、所定組成の鋳造材を作製する。例えば、WO2006/003899に記載の連続鋳造技術を利用することができる。連続鋳造法は、急冷凝固が可能であるため、酸化物や偏析などを低減することができる上に、10μm超といった粗大な析出物(金属間化合物)が生成されることを抑制することができる。鋳造材の厚さは、特に限定されるものではないが、厚過ぎると偏析が生じ易いため、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
<熱処理工程>
熱処理工程では、上記鋳造材を400℃以上に保持した後、30℃/min以下の冷却速度で冷却して熱処理材を作製する。熱処理は、400℃以上420℃以下、好ましくは410℃以下の温度に加熱して、その状態で60分間以上2400分間以下(1時間〜40時間)保持することが挙げられる。また、この保持時間は、Alの含有量が多いほど長くすることが好ましい。一方、30℃/min以下の冷却速度で冷却する温度域は、例えば、400℃から250℃までとすることが挙げられる。より好ましくは、次のように、400℃〜350℃の温度域と350℃〜250℃の温度域とに分け、各温度域における冷却速度を調節する。
熱処理工程では、上記鋳造材を400℃以上に保持した後、30℃/min以下の冷却速度で冷却して熱処理材を作製する。熱処理は、400℃以上420℃以下、好ましくは410℃以下の温度に加熱して、その状態で60分間以上2400分間以下(1時間〜40時間)保持することが挙げられる。また、この保持時間は、Alの含有量が多いほど長くすることが好ましい。一方、30℃/min以下の冷却速度で冷却する温度域は、例えば、400℃から250℃までとすることが挙げられる。より好ましくは、次のように、400℃〜350℃の温度域と350℃〜250℃の温度域とに分け、各温度域における冷却速度を調節する。
400℃から350℃まで30℃/min以下の冷却速度で冷却し、350℃から250℃まで10℃/min以下の冷却速度で冷却することが好ましい。特に、400℃〜350℃の温度域では、2.0℃/min以下の冷却速度で冷却することがより好ましく、0.2℃/min以下の冷却速度で冷却することが更により好ましい。一方、350℃〜250℃の温度域では、1.0℃/min以下の冷却速度で冷却することがより好ましい。
このように、熱処理工程における冷却条件を徐冷とすることで、上述したような特定の組織を有する圧延板(マグネシウム合金板)を製造することができる。また、上記各温度域での冷却速度を調節することで、金属間化合物(Mg17Al12など)の析出状態(具体的には、XRD分析における金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度とMg合金相のc面(0,0,2)回折強度との比率、面積比率、粒子形態、及び平均粒径)を制御することができる。
<圧延工程>
圧延工程では、上記熱処理材を温間圧延して、圧延板を作製する。熱処理材を圧延するにあたり、素材(熱処理材や最終圧延が行われるまでの圧延途中の板材)を加熱することで塑性加工性(圧延加工性)を高めることができる。特に、上記素材を300℃超に加熱すると塑性加工性を十分に高められて圧延加工を行い易い。しかし、素材の加熱温度を高くすると圧延加工時に素材に焼付が発生したり、マグネシウム母相の結晶粒が粗大化すると共に粗大な金属間化合物が多量に生成され、最終的な圧延板の機械的特性が低下したりすることが起こり得る。そのため、圧延工程における素材の加熱温度を300℃以下とする。特に、素材の加熱温度は150℃以上280℃以下が好ましい。また、複数回(多パス)の圧延を行うことで、所望の板厚(例えば、0.3mm〜3.0mm)に加工することができると共に、母相の平均結晶粒径を小さく(例えば、10μm以下、好ましくは5μm以下)して、圧延加工やプレス加工といった塑性加工性を高めることができる。圧延は、公知の条件を利用することができ、例えば、素材だけでなく圧延ロールも加熱する他、特許文献1に記載の制御圧延などを組み合わせて利用してもよい。
圧延工程では、上記熱処理材を温間圧延して、圧延板を作製する。熱処理材を圧延するにあたり、素材(熱処理材や最終圧延が行われるまでの圧延途中の板材)を加熱することで塑性加工性(圧延加工性)を高めることができる。特に、上記素材を300℃超に加熱すると塑性加工性を十分に高められて圧延加工を行い易い。しかし、素材の加熱温度を高くすると圧延加工時に素材に焼付が発生したり、マグネシウム母相の結晶粒が粗大化すると共に粗大な金属間化合物が多量に生成され、最終的な圧延板の機械的特性が低下したりすることが起こり得る。そのため、圧延工程における素材の加熱温度を300℃以下とする。特に、素材の加熱温度は150℃以上280℃以下が好ましい。また、複数回(多パス)の圧延を行うことで、所望の板厚(例えば、0.3mm〜3.0mm)に加工することができると共に、母相の平均結晶粒径を小さく(例えば、10μm以下、好ましくは5μm以下)して、圧延加工やプレス加工といった塑性加工性を高めることができる。圧延は、公知の条件を利用することができ、例えば、素材だけでなく圧延ロールも加熱する他、特許文献1に記載の制御圧延などを組み合わせて利用してもよい。
また、圧延工程を含む熱処理工程より後の工程では、素材を150℃以上300℃以下の温度域に保持する総合計時間を12時間以下とすると共に、300℃超に加熱しないように、上記素材の熱履歴を制御することが好ましい。150℃〜300℃の温度域に保持する時間を制御することで、金属間化合物の過度の成長(粗大化)を抑制することができる。好ましくは、上記温度域を150℃以上280℃以下とし、上記総合計時間が6時間以下となるように制御する。
多パスの圧延を行う場合、150℃〜300℃の温度域に保持する時間が上記総合計時間に含まれる範囲で、パス間で中間熱処理を行ってもよい。この中間熱処理により、当該中間熱処理までの塑性加工(主として圧延)によって素材に導入された歪みや残留応力、集合組織などを除去、軽減することができ、当該中間熱処理後の圧延において、不用意な割れや歪み、変形を防止して、より円滑な圧延を行うことができる。中間熱処理を行う場合も、素材の加熱温度を300℃以下とする。この中間熱処理における好ましい素材の加熱温度は、250℃以上280℃以下である。
<矯正工程>
矯正工程では、上記圧延板を100℃以上300℃以下に加熱した状態で矯正を行う。この場合も、150℃〜300℃の温度域に保持する時間が上記総合計時間に含まれるようにする。圧延工程により作製した上記圧延板に、特許文献1に記載の最終熱処理(最終焼鈍)を行ってもよいが、この最終熱処理を行わずに、或いは最終熱処理後に上記温間矯正を行うと、プレス加工といった塑性加工性を高めることができる。矯正は、WO2009/001516に記載のロールレベラなどを用いて、圧延板を100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下に加熱して行うとよい。このような温間矯正を行った圧延板にプレス加工といった塑性加工を施すと、塑性加工時に動的再結晶化が生じることから、塑性加工を行い易い。
矯正工程では、上記圧延板を100℃以上300℃以下に加熱した状態で矯正を行う。この場合も、150℃〜300℃の温度域に保持する時間が上記総合計時間に含まれるようにする。圧延工程により作製した上記圧延板に、特許文献1に記載の最終熱処理(最終焼鈍)を行ってもよいが、この最終熱処理を行わずに、或いは最終熱処理後に上記温間矯正を行うと、プレス加工といった塑性加工性を高めることができる。矯正は、WO2009/001516に記載のロールレベラなどを用いて、圧延板を100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下に加熱して行うとよい。このような温間矯正を行った圧延板にプレス加工といった塑性加工を施すと、塑性加工時に動的再結晶化が生じることから、塑性加工を行い易い。
<最終熱処理>
上記最終熱処理を行う場合、圧延加工によって圧延板に導入された歪みを除去することができる。最終熱処理は、例えば、圧延板を100℃以上300℃以下の温度に加熱して、その状態で5分間以上60分間以下保持することが挙げられる。この場合も、150℃〜300℃の温度域に保持する時間が上記総合計時間に含まれるようにする。ここで、特許文献1には加熱温度を300℃〜340℃とすることが記載されているが、母相の結晶粒成長をできるだけ抑制するため、加熱温度を高める場合は加熱時間を短く(例えば30分間未満)することが望ましい。
上記最終熱処理を行う場合、圧延加工によって圧延板に導入された歪みを除去することができる。最終熱処理は、例えば、圧延板を100℃以上300℃以下の温度に加熱して、その状態で5分間以上60分間以下保持することが挙げられる。この場合も、150℃〜300℃の温度域に保持する時間が上記総合計時間に含まれるようにする。ここで、特許文献1には加熱温度を300℃〜340℃とすることが記載されているが、母相の結晶粒成長をできるだけ抑制するため、加熱温度を高める場合は加熱時間を短く(例えば30分間未満)することが望ましい。
その他、上記製造方法により得られた圧延板(本発明のマグネシウム合金板)にプレス加工といった塑性加工を施すことで、マグネシウム合金部材が得られる。塑性加工は、200℃以上300℃以下の温度域で行うと、マグネシウム合金板の塑性加工性を高められて、塑性加工を行い易い。塑性加工時においてマグネシウム合金板を200℃〜300℃に保持する時間は非常に短く、例えばプレス加工では60秒間以下であり、金属間化合物の粗大化などの不具合は実質的に生じないと考えられる。
また、上記塑性加工後に仕上げ熱処理を施して、塑性加工によってマグネシウム合金部材に導入された歪みや残留応力の除去、機械的特性の向上を図ることができる。仕上げ熱処理は、上記最終熱処理と同じ条件(加熱温度:100℃〜300℃、加熱時間:5分間〜60分間)とすることが挙げられる。ただし、この場合も、150℃〜300℃の温度域に保持する時間が上記総合計時間に含まれるようにすることが望ましい。
更に、上記塑性加工後、マグネシウム合金部材の保護、美感(意匠性)や耐食性の向上などを目的として、マグネシウム合金部材に塗装を施してもよい。
本発明のマグネシウム合金板は、板表面のXRD分析における金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上の組織を有することで、耐食性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[試験例1]
組織の異なる各種マグネシウム合金板を製造して、各板の組織、及び耐食性を評価した。
[試験例1]
組織の異なる各種マグネシウム合金板を製造して、各板の組織、及び耐食性を評価した。
この試験では、以下のようにして製造した試料No.1〜4のマグネシウム合金板を用意した。
AZ91合金相当の組成(9.0%Al‐1.0%Zn‐0.15%〜0.5%Mn(全て質量%)、残部Mg)を有するマグネシウム合金からなる鋳造材(厚さ:4mm)を、双ロール連続鋳造法により複数作製した。ここで、試料No.1、3及び4は、長尺な鋳造材を作製してコイル状に巻き取ったコイル材とした。試料No.2は、鋳造材を所定長さのシート状に切断したシート材とした。
次に、各鋳造材(コイル材又はシート材)を、熱処理炉に入れて400℃に24時間保持した後、表1に示す条件で冷却して熱処理材を作製した。なお、表1中の冷却速度は、コイル材ではコイル材の表面温度、シート材ではシート材の表面温度をそれぞれ測定して求めた値である。
ここで、試料No.1は、熱処理炉から取り出したコイル材を、そのままの状態で水槽に入れ、400℃から250℃まで水冷により強制冷却した。試料No.2は、熱処理炉から取り出したシート材を、温度調節した恒温室に入れて400℃から350℃まで空冷により冷却した後、より低い温度に設定した別の恒温室に入れて350℃から250℃まで空冷により冷却した。試料No.3は、熱処理炉から取り出したコイル材を、そのままの状態で放置して、400℃から250℃まで自然冷却した。試料No.4は、加熱を止めた熱処理炉内にコイル材をそのまま放置して400℃から350℃まで自然冷却した後、熱処理炉からコイル材を取り出してそのまま放置して350℃から250℃まで自然冷却した。
次いで、各熱処理材を次の条件で多パスの圧延を行い、圧延板(厚さ:約0.6mm)を作製した。
(圧延条件)
圧下率:5%/パス〜40%/パス
素材の加熱温度:250℃〜280℃
圧延ロールの加熱温度:100℃〜250℃
(圧延条件)
圧下率:5%/パス〜40%/パス
素材の加熱温度:250℃〜280℃
圧延ロールの加熱温度:100℃〜250℃
更に、各圧延板を200℃に加熱した状態で温間矯正を行った。温間矯正は、圧延板を加熱する加熱炉と、加熱炉で加熱された圧延板に連続的に曲げ(歪)を付与する複数のロールを有するロール部とを備えるロールレベラ装置を用いて行った。ロール部は、上下に対向して千鳥状に配置された複数のロールを備える。ロールレベラ装置は、圧延板を加熱炉内で加熱しながらロール部に送り、ロール部の上下のロール間を通過させる毎に、これらロールにより圧延板に順次曲げを付与するように構成されている。
最後に、温間矯正を行った圧延板に、♯600の研磨ベルトを用いて湿式ベルト式研磨を施し、圧延板の表面を平滑化すると共に、圧延板の厚さを0.6mmに調整した。なお、熱処理工程より後の工程では、150℃〜300℃の温度域に保持する総合計時間を12時間以下とすると共に、300℃超の温度に加熱しないように、熱履歴を制御した。
以上のようにして製造した各圧延板から一部切り出して、試料No.1〜4のマグネシウム合金板を得た。
<板表面のXRD分析>
各試料について、板表面のXRD(X‐Ray Diffraction)分析を行い、板表面のXRD分析における金属間化合物(Mg17Al12)の主回折面(4,1,1)回折強度、及びMg合金相のc面(0,0,2)回折強度を示すカウント数をそれぞれ測定した。そして、前者を後者で除すことにより、回折強度の比率を求めた。XRD分析は、フィリップス社製の多機能X線回折装置X’pertPROを使用した。また、XRD分析の条件は、次のとおりである。各試料における回折強度の比率を表2に示す。
(XRD分析条件)
使用X線:Cu‐Kα
励起条件:45kV,40mA
受光光学系:ソーラスリット
走査方法:θ‐2θスキャン
測定範囲:2θ=20°〜50°(ステップ幅:0.03°)
積算時間:1sec
各試料について、板表面のXRD(X‐Ray Diffraction)分析を行い、板表面のXRD分析における金属間化合物(Mg17Al12)の主回折面(4,1,1)回折強度、及びMg合金相のc面(0,0,2)回折強度を示すカウント数をそれぞれ測定した。そして、前者を後者で除すことにより、回折強度の比率を求めた。XRD分析は、フィリップス社製の多機能X線回折装置X’pertPROを使用した。また、XRD分析の条件は、次のとおりである。各試料における回折強度の比率を表2に示す。
(XRD分析条件)
使用X線:Cu‐Kα
励起条件:45kV,40mA
受光光学系:ソーラスリット
走査方法:θ‐2θスキャン
測定範囲:2θ=20°〜50°(ステップ幅:0.03°)
積算時間:1sec
<板断面のSEM観察>
各試料について、Arイオンビームを用いたクロスセクションポリッシャーにより圧延方向に直交する方向に沿って板厚方向に断面出し加工を行い、その断面をSEM(Scanning Electron Microscope)観察した。SEM観察は、カールツァイス社製の低加速電圧走査型電子顕微鏡Ultra55を使用した。また、SEM観察の条件は、加速電圧5kV、試料コーティング無しとした。観察は、インレンズ像にて行った。ここで、図1は試料No.1のSEM写真、図2は試料No.3のSEM写真、図3は試料No.4のSEM写真である。図1〜3において、薄い灰色の粒子が金属間化合物(Mg17Al12)である。なお、図中の縦方向に見える筋は断面出し加工の痕跡である。
各試料について、Arイオンビームを用いたクロスセクションポリッシャーにより圧延方向に直交する方向に沿って板厚方向に断面出し加工を行い、その断面をSEM(Scanning Electron Microscope)観察した。SEM観察は、カールツァイス社製の低加速電圧走査型電子顕微鏡Ultra55を使用した。また、SEM観察の条件は、加速電圧5kV、試料コーティング無しとした。観察は、インレンズ像にて行った。ここで、図1は試料No.1のSEM写真、図2は試料No.3のSEM写真、図3は試料No.4のSEM写真である。図1〜3において、薄い灰色の粒子が金属間化合物(Mg17Al12)である。なお、図中の縦方向に見える筋は断面出し加工の痕跡である。
各試料について、板断面のSEM観察における金属間化合物(Mg17Al12)の面積比率を求めた。ここでは、5回の断面出し加工を行い、5つの断面のそれぞれにおいて任意の3つの視野を観察し、観察視野毎に、観察視野内に存在する全ての金属間化合物の粒子の面積を調べて合計面積を算出した。そして、計15の観察視野のそれぞれにおいて、金属間化合物の合計面積を観察視野面積で除した割合を求め、その平均値を面積比率とした。なお、観察視野サイズは、4μm×6μm(面積:24μm2)とし、観察視野は、棒状(アスペクト比2以上)の粒子が存在しない領域、即ち、球状(アスペクト比2未満)の粒子のみが存在する領域を選択した。各試料における面積比率(%)を表2に示す。
また同様に、板断面のSEM観察により、金属間化合物(Mg17Al12)の球状(アスペクト比2未満)の粒子の平均粒径を求めた。ここでは、上述の観察視野において、観察視野毎に、観察視野内に存在する全ての球状の粒子の個数を調べた。そして、計15の観察視野のそれぞれにおいて、金属間化合物の上記合計面積をその粒子の個数で除した面積を算出し、この面積に等しい円の直径を求め、その平均値を平均粒径とした。各試料における平均粒径(μm)を表2に示す。
更に、板断面のSEM観察により、金属間化合物(Mg17Al12)の粒子形態を調べた。ここでは、任意の1つの観察視野(ただし、観察視野サイズ:120μm×90μm)において、観察視野内に存在する金属間化合物の粒子の形状を目視により判断した。その結果、試料No.1及びNo.2は、アスペクト比2未満の球状の粒子のみが存在していた。一方、試料No.3及びNo.4は、アスペクト比2未満の球状の粒子と、アスペクト比2以上の棒状の粒子とが混在していた。また、試料No.3及びNo.4について、アスペクト比2以上の棒状の粒子の存在割合を比較したところ、試料No.3に比較して試料No.4の方がアスペクト比2以上の棒状の粒子が多数確認された。具体的には、試料No.3では、1つの観察視野当たり3個以上の棒状の粒子が存在し、一方、試料No.4では、1つの観察視野当たり5個以上の棒状の粒子が存在していた。また、試料No.3及びNo.4において確認された棒状の粒子は、そのほとんどがアスペクト比3以上であった。
<耐食性>
各試料について、塩水噴霧試験を行い、腐食減量を求めた。ここでは、JIS Z 2371:2000に準拠した試験方法により行った。塩水噴霧試験は、スガ試験機株式会社製のキャス試験機CY‐90を使用した。また、塩水噴霧試験の条件は、試験温度35℃、塩水濃度5%、試験時間96時間とした。各試料における腐食減量(mg/cm2)を表2に示す。
各試料について、塩水噴霧試験を行い、腐食減量を求めた。ここでは、JIS Z 2371:2000に準拠した試験方法により行った。塩水噴霧試験は、スガ試験機株式会社製のキャス試験機CY‐90を使用した。また、塩水噴霧試験の条件は、試験温度35℃、塩水濃度5%、試験時間96時間とした。各試料における腐食減量(mg/cm2)を表2に示す。
腐食減量は、次のようにして測定した。試料No.1〜No.4からそれぞれ試験片を採取し、各試験片の質量(試験前質量)を測定する。各試験片を塩水噴霧試験機の試験槽内にセットし、塩水噴霧試験を96時間行う。試験終了後、各試験片を試験槽から取り出し、各試験片の腐食生成物を除去する。腐食生成物の除去は、まず、酸化クロム(VI)100g、クロム酸銀10gに蒸留水を加えた溶液1000mlを用意し、煮沸状態にしたこの溶液に各試験片を1分間浸漬して、腐食生成物を除去する。更に、酸化クロム(VI)200g、クロム酸銀10g、硫酸バリウム20gに蒸留水を加えた溶液1000mlを用意し、20℃〜25℃にしたこの溶液に各試験片を1分間浸漬して、腐食生成物を除去する。その後、各試験片表面の付着物をブラシなどで除去した後、各試験片を水で洗い、乾燥する。各試験片の腐食生成物を除去した後、各試験片の質量(試験後質量)を測定する。そして、試験前質量から試験後質量を減じた質量を各試験片の面積で除した値を腐食減量とする。なお、質量の測定は、株式会社島津製作所製の電子分析天びんAEU‐210を使用した。
表2の結果から、XRD分析における金属間化合物(Mg17Al12)の主回折面(4,1,1)回折強度とMg合金相のc面(0,0,2)回折強度との比率が0.040以上の試料No.2〜4は、塩水噴霧試験96時間後の腐食減量が0.25mg/cm2以下であり、試料No.1に比較して、耐食性に優れることが分かる。また、耐食性の観点から、板断面のSEM観察における金属間化合物(Mg17Al12)の面積比率が10%以上、金属間化合物(Mg17Al12)の粒子の平均粒径が0.4μm以上が好ましいことが分かる。特に、棒状の金属間化合物(Mg17Al12)の粒子を含有する試料No.3及びNo.4は、塩水噴霧試験96時間後の腐食減量が0.20mg/cm2以下であり、耐食性により優れることが分かる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、マグネシウム合金の組成やマグネシウム合金板の製造条件を適宜変更することができる。
本発明のマグネシウム合金板は、電気・電子機器類の各種部材、特に、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターといった携帯用機器の筐体の他、耐食性が求められる各種部材に好適に利用することができる。
Claims (8)
- 添加元素を含有するマグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、
前記添加元素としてAlを3.0質量%以上11.0質量%以下含有するMg−Al系合金からなり、
前記板中にMg17Al12の金属間化合物の粒子が分散して存在しており、
前記金属間化合物の粒子には、アスペクト比2未満の球状の粒子と、更にアスペクト比2以上の棒状の粒子が含まれ、
前記板表面のXRD分析における前記金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.040以上で、
前記板断面のSEM観察における前記金属間化合物の面積比率が10.0%以上であり、
前記金属間化合物の球状の粒子の平均粒径が0.4μm以上であるマグネシウム合金板。 - 前記添加元素としてAlを8.3質量%以上9.5質量%以下含有する請求項1に記載のマグネシウム合金板。
- 前記Mg−Al系合金は、Mg−Al−Zn系合金、Mg−Al−Mn系合金、Mg−Al−RE系合金、Mg−Al−Ca系合金、Mg−Al−Sr系合金から選択される一種の合金である請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム合金板。
- 前記金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.055以上である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のマグネシウム合金板。
- 前記金属間化合物の主回折面(4,1,1)回折強度をMg合金相のc面(0,0,2)回折強度で除した比率が0.060以上である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のマグネシウム合金板。
- 前記板断面のSEM観察における前記金属間化合物の面積比率が10.5%以上である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のマグネシウム合金板。
- 前記板断面のSEM観察における前記金属間化合物の面積比率が10.6%以上である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のマグネシウム合金板。
- 前記金属間化合物の球状の粒子の平均粒径が0.5μm以上である請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のマグネシウム合金板。
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