JP6199073B2 - マグネシウム合金の製造方法 - Google Patents

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本発明は、マグネシウム合金及びその製造方法に関する。
従来の高強度マグネシウム合金を製造するには、レアアース添加と同時に塑性加工を加える他に、予め結晶粒径を数十〜百μmに細かくした後に、圧延・押出・FSWやECAP 及びARBに代表される強ひずみ加工で強加工するなどの工程を必要とし、生産性に課題がある。
また、Ca添加難燃性Mg合金の開発も最近行われている(例えば非特許文献1参照)。Ca添加難燃性Mg合金では、塑性加工などを付与しても高強度化が難しく、Ca添加を行うことで、塑性加工温度が上昇し、発現した強度に対する伸びも小さい。またCa添加難燃性Mg合金を製造するには、時効処理や熱処理、Mg合金の再結晶温度以上で数mm/minの押出加工や圧延加工などの多くの工程を必要とし、極めて清浄な溶湯を作製するため鋳造工程も長時間かかり高温である。このため、量産時の生産性としては多くの課題がある。
日本機械学会2012年度年次大会[2012.9.9-12]J041014 圧延加工による難燃性AZX311 Mg合金の高強度化および熱処理特性
本発明の一態様は、Caを添加しても強度及び延性に優れたマグネシウム合金及びその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、強度及び延性に優れたCa添加マグネシウム合金の生産性を向上させることを課題とする。
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]マグネシウム合金鋳造材をロールにより圧延する工程を有するマグネシウム合金の製造方法であり、前記ロールの温度をTrとし、前記マグネシウム合金鋳造材の温度をTmとし、Tr及びTmは下記(式1)〜(式3)を満たし、前記マグネシウム合金鋳造材は、AlをAmass%含有し、CaをCmass%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなり、A及びCは下記(式4)及び(式5)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
(式1)80℃≦Tr≦350℃
(式2)15℃≦Tm≦300℃
(式3)50℃≦Tr−Tm≦250℃
(式4)3≦A≦15(好ましくは3≦A≦10)
(式5)0.2≦C≦2
なお、上記のマグネシウム合金鋳造材には、鋳造直後の鋳造材だけでなく、鋳造後に塑性加工(例えば押出加工や鍛造加工等)を行ったものも含まれる。
[2]上記[1]において、前記マグネシウム合金鋳造材は、Zmass%のZn、Mmass%のMn、Rmass%の希土類元素及びTmass%の遷移金属の少なくとも一を含有し、Z、M、R及びTは下記(式6)〜(式9)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
(式6)0<Z≦2
(式7)0<M≦2
(式8)0<R≦1
(式9)0<T≦1
[3]上記[1]または[2]において、前記圧延の工程後のマグネシウム合金は、Ca及びAlのリッチ層とMg相とがラメラ状に配列され、且つ前記Mg相にAl−Ca金属間化合物が分散された組織を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれか一項において、前記圧延する工程の圧下率は0.1%〜20%であり、前記圧延する工程を2回以上繰り返すことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、Tr及びTmは下記(式11)及び(式12)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
(式11)200℃≦Tr≦250℃
(式12)15℃≦Tm≦45℃
[5']上記[4]において、Tr及びTmは下記(式11)及び(式12)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
(式11)200℃≦Tr≦250℃
(式12)15℃≦Tm≦45℃
[6]上記[5']において、前記2回以上繰り返す前記圧延する工程の工程間に前記マグネシウム合金鋳造材を加熱しないことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[7]上記[1]乃至[6]、[5']のいずれか一項において、前記圧延の工程後のマグネシウム合金は、湾曲または屈曲したMg相、Mg相とラメラ状に形成されたCa及びAlのリッチ層、前記Mg相に分散されたAl−Ca金属間化合物層、及びそれらが連続的に湾曲または屈曲した結晶層の少なくとも1つを有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[8]上記[1]乃至[7]、[5']のいずれか一項において、前記圧延の工程後のマグネシウム合金は、Mg相を有し、Mg相は高傾角結晶粒界及び低傾角結晶粒界を有しており、前記高傾角結晶粒界の量をXとし、前記低傾角結晶粒界の量をYとした場合に下記(式10)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
(式10)0.6≦X/(X+Y)
[9]上記[1]乃至[8]、[5']のいずれか一項において、前記圧延する工程では、圧延後の前記マグネシウム合金鋳造材の温度Tmが前記ロールの温度Trを超過しないことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[10]上記[1]乃至[9]のいずれか一項において、前記マグネシウム合金鋳造材の結晶粒径は1000μm以上であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[11]AlをAmass%含有し、CaをCmass%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなり、A及びCは下記(式4)及び(式5)を満たし、Ca及びAlのリッチ層とMg相とがラメラ状に配列され、且つ前記Mg相にAl−Ca金属間化合物が分散された組織を有することを特徴とするマグネシウム合金。
(式4)3≦A≦15(好ましくは3≦A≦10)
(式5)0.2≦C≦2
[11']AlをAmass%含有し、CaをCmass%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなり、A及びCは下記(式4)及び(式5)を満たし、
Ca及びAlのリッチ層とMg相とがラメラ状に配列され、且つ前記Mg相にAl−Ca金属間化合物が塑性加工により粉砕および微細化され,Mg相およびMg相の結晶粒界及び粒内に分散された組織を有することを特徴とするマグネシウム合金。
(式4)3≦A≦15(好ましくは3≦A≦10)
(式5)0.2≦C≦2
[12]上記[11]または[11']において、前記マグネシウム合金は、Zmass%のZn、Mmass%のMn、Rmass%の希土類元素及びTmass%の遷移金属の少なくとも一を含有し、Z、M、R及びTは下記(式6)〜(式9)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金。
(式6)0<Z≦2
(式7)0<M≦2
(式8)0<R≦1
(式9)0<T≦1
本発明の一態様を適用することで、Caを添加しても強度及び延性に優れたマグネシウム合金及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の一態様を適用することで、強度及び延性に優れたCa添加マグネシウム合金の生産性を向上させることができる。
本発明の一態様に係る2段圧延機を示す模式図である。 本発明の一態様に係る4段圧延機を示す模式図である。 試料1〜3それぞれの機械的特性を示す図であり、AZX311C=AZX311鋳造材(試料1),AZX311C+圧延加工=鋳造材に圧延加工したもの(サンプル200℃,ロール250℃)(試料2),AZX311C+鍛造加工+圧延加工(鋳造材に鍛造加工を行い,その後圧延加工をサンプル温度とロール温度を同じとして行った例で,鍛造の効果を謳ったもの(試料3)。 試料4〜7それぞれの機械的特性を示す図であり、試料4はAZX611鋳造材(図中AZX611C),試料5はAZX611鋳造材に溶体化処理(490℃×6h)を行ったもの(図中AZX611SS),試料6はAZX611溶体化材に圧延加工を行ったもの(ロール温度250℃,サンプル温度150℃),試料7はAZX611溶体化処理材に鍛造加工を行いその後,圧延加工を行ったもの(ロール・サンプル共に200℃)。 (a)は試料2の組織写真であり、(b)は試料6の組織写真である。 室温の試料8に100℃〜350℃の圧延ロールの温度で圧延加工を施した後に引張試験を行った結果を示す図である。 100℃〜300℃の試料9に圧延ロール200℃一定として圧延加工を施した後に引張試験を行った結果を示す図である。 試料10(as-cast)、試料11(1pass)、試料12(3passes)それぞれの機械的特性を示す図である。 試料10(as-cast)及び試料12(as rolled)それぞれのSEM組織である。 図8で機械的特性を示したものの組織写真と結晶方位解析結果であり、(a)はas-cast(鋳造材)、(b)は1 pass圧延材、(c)は3 pass圧延材の結晶方位解析結果である。 サンプル温度と圧延ロール温度に勾配を設け圧延した後のAMX1001合金(圧延前初期板厚4mm)、AZX311合金(圧延前初期板厚10 mm)、AZX611合金(圧延前初期板厚10 mm)の光学顕微鏡組織であり、具体的にはサンプル温度が室温で、ロール表面温度が250℃である。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明の一態様は、希土類元素を使用せずに、室温・高温強度と延性を同時に向上させ、耐熱性と絞り性が鉄道車両で使用されるA6N01合金を凌駕する高強度マグネシウム合金である。また本発明の一態様は、その高強度マグネシウム合金を安価に製造できるマグネシウム合金薄板および厚板材の製造方法である。特に、出発材を鋳造材とし、展伸材を作製することでコストを抑え、生産性を向上させるものである。
本発明の一態様に係るマグネシウム合金の製造方法について以下に説明する。
まず、マグネシウム合金鋳造材を用意する。このマグネシウム合金鋳造材は、AlをAmass%含有し、CaをCmass%含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなり、A及びCは下記(式4)及び(式5)を満たすものである。
(式4)3≦A≦15(好ましくは3≦A≦10、より好ましいAの下限値は3.5超、さらに好ましいAの下限値は4以上)
(式5)0.2≦C≦2
なお、Alを3mass%以上15mass%以下とする理由は、Alを3mass%未満とすると、加工性(押出性,圧延性)などが良好になるが,Mg合金鋳造材及び加工材の耐食性また熱処理・均質化および金属間化合物などを利用した高強度化が達成できないなどの不都合があり、Alを15mass%超とすると、Mg相の結晶粒界や粒内にAl-CaおよびMg-Al化合物を形成し,Al-Ca系化合物以外の金属間化合物によるネットワークを形成すること,及び鋳造時点における溶湯の温度低下を可能とするが出湯温度にバラツキが生じることで溶け残りなどの不都合があるからである。
また、Caを0.2mass%以上2mass%以下とする理由は、Caを0.2mass%未満とすると、溶湯の出湯や鋳造作業および双ロール鋳造などの板材作成時に著しい発火を伴い,公知の難燃性についても通常のMg合金の発火温度と変化がなく、Al-Ca金属間化合物の形成や熱処理による時効効果や均質化効果による強度向上に難点を抱えるという不都合があり、Caを2mass%超とすると、Al-Ca化合物の形成やCaがMg相にネットワークを形成することによる塑性加工性の低減(押出加工の場合はダイス・コンテナなどで生じる塑性流動が圧延加工に比べて著しく大きい)を招き,鋳造段階においてCaを過剰添加することでCa金属が溶け残ると同時に,溶湯の温度管理がより生産性を欠くものと為るという不都合があるからである。同時にCa添加量を極端に多くすることで、加工による塑性流動が押出加工などに比べて乏しい圧延加工では更に加工性が乏しくなるといった不都合がある.Caを鋳造する際にCaの酸化速度が速いため素早く溶解するためにもCa添加量を抑止した。
マグネシウム合金鋳造材には、鋳造直後の鋳造材だけでなく、鋳造後に塑性加工(例えば押出加工等)を行ったものも含まれる。鋳造後の結晶粒径は 1000 μm 以上であっても良く、金属間化合物(Al-Ca,Al,Mn 系化合物)のネットワークを形成していても良い。例えば、Alを溶質限界以上添加することで、Mg相に化合物として残存しても良い。また鋳造材は、巣、金属間化合物などを結晶粒界・粒内に有していても良く、デンドライト組織、等軸組織およびそれらの混粒組織であって良い。混合組織の場合、作製した板断面に占める等軸粒の割合は少なくとも30%以上であるとよい。また鋳造材には、鋳造巣や欠陥を含んでいても良く、その巣や欠陥は圧延加工で圧着することが可能である。また、マグネシウム合金鋳造材は、Ca及びAlリッチ層及びAl-Ca金属間化合物がMg相及びMg相粒内及び粒界に分散した組織を有するとよい。
なお、本発明の一態様では、上記のマグネシウム合金鋳造材を用いているが、これに限定されず、上記のマグネシウム合金鋳造材に、Zmass%のZn、Mmass%のMn、Rmass%の希土類元素及びTmass%の遷移金属の少なくとも一を含有させ、Z、M、R及びTは下記(式6)〜(式9)を満たすマグネシウム合金鋳造材を用いてもよい。
(式6)0<Z≦2
(式7)0<M≦2(好ましいMの下限値は0.3超、より好ましいMの下限値は0.35以上)
(式8)0<R≦1
(式9)0<T≦1
次に、図1に示すように、上記のマグネシウム合金鋳造材11を圧延ロール12,13により圧延する。この際の圧延ロール12,13の温度をTrとし、マグネシウム合金鋳造材11の温度をTmとすると、Tr及びTmは下記(式1)〜(式3)を満たすとよい。また、このマグネシウム合金鋳造材11は厚さが15mm〜2mmであるとよい。
(式1)80℃≦Tr≦350℃
(式2)15℃≦Tm≦300℃
(式3)50℃≦Tr−Tm≦250℃
なお、Trを式1の温度範囲とする理由は、Trを80℃未満とすると、Mg合金を圧延加工していく際に加工発熱によるMg内部組織の回復を十分に助長できないという不都合があり、Trを350℃超とすると、結晶粒成長温度を遥かに上回ると同時に,溶体化温度に近いため高強度化に必要な加工組織または微細組織の形成が結晶粒成長により困難とするという不都合があるからである。操業レベルに展開するに当たっては,ロール温度350℃を確保するためには,付帯設備が大きくなりすぎ生産性が乏しくなるといった問題を抱える。
また、Tmを式2とする理由は、Tmを15℃未満とすると、Mg合金がロールからの入熱をより受けにくくなり,薄板になった際に十分な試験片温度に達せず,割れが生じるという不都合があり、Tmを300℃超とすると、上述のTr同様Mg相の結晶粒成長を招くため,高強度化を目指すことに反し,強度低下するという不都合があるからである。
また、Tr−Tmを式3とする理由は、Tr−Tmを50℃未満とすると、Mg相が十分に塑性変形による変形能を確保できず,連続的に僅かずつ圧下率を付与しても,試験片温度が上昇しないことで,塑性変形能が乏しく破断するという不都合があり、Tr−Tmを250℃超とすると、TrおよびTm同様に極端な結晶粒成長および粒成長に伴う強度低下を抑止するための温度範囲を超過するという不都合があるからである。
なお、本実施の形態では、Tr及びTmが上記(式1)〜(式3)を満たすこととしているが、これに限定されず、Tr及びTmが下記(式11)及び(式12)を満たすこととしてもよい。
(式11)200℃≦Tr≦250℃
(式12)15℃≦Tm≦45℃
また、Trを式11とする理由は、Trを200℃未満とすると、結晶組織の回復による助長と金属間化合物相を粉砕することは可能であるが,加工組織が優先的に形成され強度は向上するものの,伸びが殆どなくなり,金属間化合物も再配列を示さないという不都合があり、Trを250℃超とすると、圧延試験片が250℃超に達し動的再結晶と粒成長が開始できるが,圧延加工後の試験片温度は250℃超で一定値を取るため,圧延回数を繰り返すうちに強度が低下するといった不都合があるからである。
上記のように圧延は、矢印15,16の方向に回転する2つの圧延ロール12,13の間をマグネシウム合金鋳造材11が矢印14の方向に通過することで行われる。ここでのマグネシウム合金鋳造材11は、鋳造直後の鋳造材でもよいし、鋳造後に塑性加工(例えば押出加工・鍛造加工等)を行ったものでもよい。
圧延ロール12,13にはヒータ17,18が設けられており、ヒータ17,18によって圧延ロール12,13を加熱してTrの温度とする。また、マグネシウム合金鋳造材11を室温で圧延する場合は加熱しないが、マグネシウム合金鋳造材11を室温より高い温度で圧延する場合はマグネシウム合金鋳造材11を加熱してTmの温度とする。
なお、本実施の形態では、圧延ロール12,13をヒータ17,18で加熱しているが、これに限定されるものではなく、圧延加工中の圧延ロール12,13の温度が保たれるのであれば、ヒータ以外の加熱手段を用いてもよい。
また、本実施の形態では、図1に示す2段圧延機を用いて圧延を行っているが、これに限定されず、種々の圧延機を用いてもよく、例えば図2に示す4段圧延機を用いてもよい。詳細には、図2に示す4段圧延機は、圧延ロール12,13と連動するバックアップロール19,20を有し、バックアップロール19,20にヒータ17,18が設けられている。ヒータ17,18によって加熱されたバックアップロール19,20の熱を圧延ロール12,13へ伝熱させるようになっている。要するに、圧延ロール12,13を加熱しても良いし、バックアップロール19,20を加熱して圧延ロール12,13へ伝熱させても良いし、圧延ロール12,13およびバックアップロール19,20を両方とも加熱しても良い。
上記の圧延は2回以上繰り返すとよく、好ましくは5回以上繰り返すとよく、より好ましくは10回以上繰り返すとよい。上記の圧延の圧下率は0.1%〜20%であるとよく、好ましくは5%〜10%であるとよい。圧延を2回以上繰り返す場合は、圧延ロール12,13を正転させて矢印14の方向に圧延した後に、圧延ロールを逆転させて矢印14とは逆方向に圧延することを繰り返してもよい。
なお、圧下率を0.1%〜20%とする理由は、圧下率を0.1%未満とすると、圧延による塑性流動を十分に確保できないと同時に,ここで取り上げる0.1%は仕上げ圧延ギャップにも適用できるため,ギャップの絞りすぎによる薄板材の蛇行や板厚不均一な板ができるという不都合があり、圧下率を20%超とすると、圧延加工による加工発熱が大きく,未再結晶組織領域を大きく残存させ,未再結晶組織の周辺や応力集中が作用する金属間化合物周辺のみが微細化し,高強度か出来ないと同時に,不均一組織を形成し,板厚長さに対して組織の斑が生じることで機械的特性にも斑が生じやすくなるという不都合があるからである。
また、マグネシウム合金鋳造材を室温で圧延する場合は、圧延と圧延の間にマグネシウム合金鋳造材を加熱しなくてもよい。
また、上記の圧延を行ったマグネシウム合金圧延材は、Ca及びAlのリッチ層及び鋳造時に形成されたAl-Ca金属間化合物が塑性加工により微細に粉砕され,Mg相とラメラ状に配列された組織を有するとよい。
また、上記の圧延を行ったマグネシウム合金圧延材は、湾曲または屈曲したMg相、Mg相とラメラ状に形成されたCa及びAlのリッチ層、前記Mg相に分散されたAl−Ca金属間化合物層、及びそれらがせん断変形を受けて連続的に湾曲または屈曲した結晶層の少なくとも1つを有するとよい。
また、上記の圧延を行ったマグネシウム合金圧延材は、Mg相を有し、Mg相は高傾角結晶粒界及び低傾角結晶粒界を有し、前記高傾角結晶粒界の量をXとし、前記低傾角結晶粒界の量をYとした場合に下記(式10)を満たすとよい。
(式10)0.6≦X/(X+Y)
上記の高傾角結晶粒界とは、隣り合う結晶粒の結晶方位差(結晶粒界を境にした互いの結晶粒が有する方位の差)が15°以上にあるものをいう。
また、上記の低傾角結晶粒界とは、隣り合う結晶粒の結晶方位差(結晶粒界を境にした互いの結晶粒が有する方位の差)が5°以上15°未満の範囲にあるものをいう。
本実施の形態によれば、圧延ロールの温度Tr及びマグネシウム合金鋳造材の温度Tmが上記(式1)〜(式3)を満たすことにより、圧延ロールからマグネシウム合金鋳造材に入熱されながらの圧延を2回以上行うことで、Caを添加しても強度及び延性に優れたマグネシウム合金圧延材を製造することができる。
つまり、加工性が乏しいCa添加マグネシウム合金であっても圧延ロールの表面温度とマグネシウム合金鋳造材の温度に傾斜を設けることで、強度及び延性に優れたCa添加マグネシウム合金圧延材を作製することができる。このときの圧下率は軽圧下(例えば板厚10mmに対して最小0.2mm/1パス(圧下率2%),最大9mm/1パス(圧下率90%))であり、加工温度も300℃以下と低くできると同時に加工中(パス間)での再加熱は原則必要としない。従って、加工性が乏しいCa添加マグネシウム合金圧延材の生産性を向上させることができる。
特に、圧延ロールの温度Trとマグネシウム合金鋳造材の温度Tmが上記(式11)及び(式12)を満たすように温度傾斜を設け、マグネシウム合金鋳造材に断面減少率を50%以上与えることで(より好ましくは断面減少率を80%以上与えることで)、10%の伸びを有しながらも400MPa程度の強度を備えた圧延材を得ることが可能となる。
また、本実施の形態では、マグネシウム合金鋳造材に2回以上の圧延を行うことにより、マグネシウム合金圧延材の組織をCa及びAlのリッチ層及び鋳造時に形成されたAl-Ca金属間化合物が塑性加工により微細に粉砕され、Mg相とラメラ状に配列させることができる。これにより、Caを添加しても強度及び延性に優れたマグネシウム合金を製造することができる。
また、公知のMg-RE(希土類元素)や他の強ひずみ加工を施したMg合金では、集合組織を形成し(例えばLPSO型Mg合金はIf値13に対してAZ31,61,91Mg合金でのIf 値は7〜9 であるのに対して、本研究でのIf値は8である)、集合組織を利用し絞り性を向上させるか、焼きなましによりランダム配向の結晶組織を得ている。本実施の形態で作製した薄板材は加工ままでも超微細粒および鉄道車両用押出6N01合金以上の絞り性を有している。
また、時効処理が必要な合金であっても添加元素量や圧延素材とロール温度をコントロールすることで、溶体化・時効処理工程を省略して薄板材を作製することが可能である。本発明の一態様では、鋳造材の結晶粒径や粒度および混粒度合いにかかわらず、室温・高温強度および耐熱性と加工性を、既に使用されているA6N01合金や結晶粒を超微細化して耐力を500MPaまで向上させたA6N01合金よりも向上させることが可能である。
また、本発明の一態様に係る作製工程としては、Mg-RE合金などと異なり、圧延加工速度を10m/min以上とすることができ、加工発熱・抜熱反応により内部組織を制御することができる。更に、Ca添加難燃性Mg合金を所定の温度にて熱処理することで、時効硬化し、耐力を50MPa程度向上させることができる。
また、本発明の一態様では、難燃化・高強度化およびMg合金中に添加元素を追加しても、減衰性能を失うことがなく、Al合金以上の振動性能と減衰比を得ることができる。
なお、本発明の一態様では、優れた強度及び延性の性能を阻害しない程度に他の元素をマグネシウム合金圧延材に含有させてもよく、例えばマグネシウム合金圧延材にZrを0〜1mass%含有させても良い。
また、マグネシウム合金鋳造材が圧延ロールを通り過ぎた後は加工発熱していてもよく、複数回の圧延を行った後のマグネシウム合金鋳造材の温度が圧延ロールの温度を超過した場合は圧延加工によってマグネシウム合金鋳造材から抜熱されてもよい。このときの抜熱により機械的特性が向上する。また、複数回の圧延を行った後でもマグネシウム合金鋳造材の温度が圧延ロールの温度を超過しなくてもよい。
また、本発明の一態様では、Al元素を含有するため、Al-Ca化合物、Al,Mn系化合物を鋳造時に粒界および粒内に形成させることができ、成形性と塑性加工後の高延性と高強度の維持および耐熱性を確保することが可能となる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、民生品(電子、電気、家電分野)および航空機・鉄道・自動車車両、建材および医療・福祉分野への利用が期待でき、全分野で軽量化に貢献できる。民生品、建材および医療・福祉分野では、軽量かつ延性に優れた高強度マグネシウム合金のため、作業者の組立工程負荷軽減や、操作者への負担軽減および持ち運びへの負担軽減が期待できる。建材分野では、使用合金が軽量であるため地震時に生じる慣性動作による振動を抑止し、建材としての機能を満足する。航空機・鉄道・自動車では、全般的な車両重量の軽減とそれに伴う動性能(急加速、急停止、小回り)の向上、乗り心地の向上に寄与できる他、耐熱性により乗客の安全を確保することが可能である。具体的には、電子部品筐体、PC 筐体、車椅子部品、フレーム、人工関節、および車両における床板、インパネ、フロントパネル、構造体への適用が期待できる。
図3は、試料1(AZX311C)、試料2(AZX311C+圧延加工)、試料3(AZX311C+鍛造加工+圧延加工)それぞれの機械的特性を示す図である。図3は縦軸が引張強度、横軸が伸びを示す。
試料1(AZX311C)はASTM記号AZX311合金の鋳造材である。この鋳造材は公知の鋳造法により作製したものである。
試料2(AZX311C+圧延加工)は試料1の鋳造材に圧延加工を施したものである。この圧延加工の方法は以下のとおりである。
圧延に供した材料は鋳造材から板厚10mm×幅30mm×長さ40mmを切断し,ロール温度を250℃に設定した。サンプル温度は200℃とし、サンプルが200℃になった後に圧延1 passあたり1 mmの圧下量(10%)を付与し板厚1mmまで9Passの圧延を行っている。ここで、圧延加工中に弾性戻りが生じるため、9 passで板厚1mmを得ることが難しい場合は、1 passを付与し板厚1 mmに仕上げた。
試料3(AZX311C+鍛造加工+圧延加工)は試料1の鋳造材に鍛造加工を施し、さらに圧延加工を施したものである。圧延加工の方法は試料2と同様である。鍛造加工の方法は以下のとおりである。
公知の鍛造加工法(野田雅史,広橋光治,船見国男,諏訪原豊,小林勝: アルミニウム合金の結晶粒微細化へ及ぼすひずみ負荷様式の影響,日本金属学会誌,第66巻2号(2002),p101-108)を参考に、鋳造材から50mmの立方体を切り出し、鍛造加工温度200℃にて、初期ひずみ速度8.3×10-3−1として加工した。鍛造加工中にサンプル温度が低下することを避けるため、電気炉を200℃に設定し、炉内に試料と鍛造用パンチを設置しておくことで一定温度下での加工を行った。加工後は直ちに水冷を行った。
試料1〜3それぞれに以下の方法で引張試験を行い、その結果を図3に示す。
平行部長さ24mm、幅4mm、板厚1mmを有する引張試験片をそれぞれの試料から放電加工により切り出し、室温にて初期ひずみ速度8.3×10-4−1にて試験した。圧延材は圧延方向と引張方向が平行となるように引張試験を行った。
図3に示すように、圧延加工を行うことで強度が向上することが試料2の結果から確認され、圧延前に鍛造加工を行って組織を微細化することで延性が大幅に改善することが試料3の結果から確認された。
図4は、試料4(AZX611C)、試料5(AZX611SS)、試料6(AZX611SS+圧延加工)、試料7(AZX611SS+1cycle多軸鍛造加工+圧延加工)それぞれの機械的特性を示す図である。図4は縦軸が引張強度、横軸が伸びを示す。
試料4(AZX611C)はASTM記号AZX611合金の鋳造材である。この鋳造材は公知の鋳造法により作製したものである。
試料5(AZX611SS)は試料4の鋳造材に溶体化処理を施したものである。この溶体化処理の方法は以下のとおりである。
溶体化処理は鋳造材を490℃に熱した大気炉(電気炉)にサンプルを投入後、6時間保持し、取り出した後は直ちに水冷を行った。圧延加工を難しくするAl-Ca金属間化合物のネットワークが十分に解除されることを確認し6時間を選択している。
試料6(AZX611SS+圧延加工)は試料5の溶体化処理材に圧延加工を施したものである。この圧延加工の方法は以下のとおりである。
圧延に供した材料は鋳造材から板厚10mm×幅30mm×長さ40mmを切断し、ロール温度を250℃に設定した。サンプル温度は150℃とし、サンプルが150℃になった後に圧延1 passあたり1 mmの圧下量(10%)を付与し板厚1mmまで9Passの圧延を行っている。ここで、圧延加工中に弾性戻りが生じるため、9 passで板厚1mmを得ることが難しい場合は、1 passを付与し板厚1 mmに仕上げた。
試料7(AZX611SS+1cycle多軸鍛造加工+圧延加工)は試料5の溶体化処理材に1cycle多軸鍛造加工を施し、さらに圧延加工を施したものである。圧延加工の方法は試料6と同様である。1cycle多軸鍛造加工の方法は以下のとおりである。
公知の鍛造加工法(野田雅史,広橋光治,船見国男,諏訪原豊,小林勝: アルミニウム合金の結晶粒微細化へ及ぼすひずみ負荷様式の影響,日本金属学会誌,第66巻2号(2002),p101-108)を参考に、鋳造材から50mmの立方体を切り出し、鍛造加工温度200℃にて、初期ひずみ速度8.3×10-3−1として加工した。鍛造加工中にサンプル温度が低下することを避けるため、電気炉を200℃に設定し、炉内に試料と鍛造用パンチを設置しておくことで一定温度下での加工を行った。加工後は直ちに水冷を行った。
試料4〜7それぞれに以下の方法で引張試験を行い、その結果を図4に示す。
平行部長さ24mm、幅4mm、板厚1mmを有する引張試験片をそれぞれの試料から放電加工により切り出し、室温にて初期ひずみ速度8.3×10-4−1にて試験した。圧延材は圧延方向と引張方向が平行となるように引張試験を行った。
図4に示すように、圧延加工を行うことで強度が向上することが試料6の結果から確認され、圧延前に鍛造加工を行って組織を微細化することで延性が大幅に改善することが試料7の結果から確認された。
図5(a)は試料2の組織写真である。図中白色部のように素材内部にせん断変形が導入されていることが分かる。また、未再結晶領域と再結晶領域が層状に重なっていることが分かり、組織全体がせん断変形の影響により湾曲している。黒色に見える箇所は金属間化合物層であり、Mg相とラメラ状の組織を呈しており、AlおよびCaリッチ相は微細化しているが、次に示す組織写真(図5 (b))における粒状箇所である。図中にはMg相の微細領域の平均粒径3μm、粗大粒領域の平均粒径25μm、Al-Ca化合物の平均粒径0.7μmを示している。
図5(b)は試料6の組織写真である。基本的に試料2と試料6は同じ形態の組織である。また、図5(b)のスケールバーの上にある黒点は巣や欠陥ではなく、焦点が合っていないだけで、金属間化合物(Mg相ではないもの)を示している。
通常の光学顕微鏡撮影のため、エッチング溶液がMg相を優先的に研磨してしまうため、金属間化合物やAl,Caリッチ相があると焦点があわない。図中にはMg相の微細領域の平均粒径3μm、粗大粒領域の平均粒径15μm、Al-Ca化合物の平均粒径0.7μmを示している。
図5(a),(b)に示す赤で囲んだ領域は再結晶粒領域であり、青で囲んだ領域は未再結晶粒領域である。未再結晶粒領域の中には伸長した結晶粒が存在し、圧延により巣が圧着されている。図5(a)に示す組織にはせん断帯、湾曲・屈曲が確認された。
図6は、室温の試料8に100℃〜350℃の圧延ロールの温度で圧延加工を施した後に引張試験を行った結果を示す図であり、横軸が圧延ロールの温度、縦軸の左側が引張強度、縦軸の右側が伸びを示す。図6において、UTSは引張強度を示し、YSは降伏強度を示し、Elは伸び(%)を示している。
試料8,9,10は同一組成で、AMX1001合金鋳造材である。このAMX1001合金鋳造材は、公知の半連続鋳造または公知の双ロール鋳造法による、いわゆる急速凝固手法で作製したものである。半連続鋳造材および双ロール鋳造材で機械的特性に大きな差は認められない。敢えて述べるならば、上述のAZX311、AZX611も同様であるが、鋳造材の結晶粒径が100μm〜200μmの範囲または更に微細であるとより圧延加工は行いやすい方向となる。
AS-cast材から上述してきた引張試験片形状を放電加工にて切り出し、室温にて引張試験を行った。
圧延加工の方法は以下のとおりである。
室温の試料に100℃〜350℃の圧延ロールの温度で板厚4mmのAZX1001合金鋳造板材を1passあたり4→3.7→3.4→3.1→2.8→2.5→2.2→1.9→1.6→1.3→1.0 mmのスケジュールで圧延を行った。
引張試験の方法は以下のとおりである。
平行部長さ24mm、幅4mm、板厚1mmを有する引張試験片をそれぞれの試料から放電加工により切り出し、室温にて初期ひずみ速度8.3×10-4−1にて試験した。圧延材は圧延方向と引張方向が平行となるように引張試験を行った。
図7は、100℃〜300℃の試料9に200℃に維持した圧延ロールの温度で圧延加工を施した後に引張試験を行った結果を示す図であり、横軸が圧延ロールの温度、縦軸の左側が引張強度、縦軸の右側が伸びを示す。図7において、UTSは引張強度を示し、YSは降伏強度を示し、Elは伸び(%)を示している。
圧延加工の方法は、試料8の上記の圧延加工と同様である。
引張試験の方法は以下のとおりである。
平行部長さ24mm、幅4mm、板厚1mmを有する引張試験片をそれぞれの試料から放電加工により切り出し、室温にて初期ひずみ速度8.3×10-4−1にて試験した。圧延材は圧延方向と引張方向が平行となるように引張試験を行った。
図6及び図7に示すように、圧延ロールの温度に機械的特性は依存するが、AMX1001合金ではその依存性が極めて少なく、AMX1001合金鋳造材の限界圧下率はAZX311合金鋳造材、AZX611合金鋳造材より2倍以上優れている。
図8は、試料10(as-cast)、試料11(1pass)、試料12(3passes)それぞれの機械的特性を示す図である。図8は縦軸が引張強度、横軸が伸びを示す。
試料10(as-cast)の作製方法は上述したとおりである。
試料11(1pass)の作製方法は以下のとおりである。
ロール温度250℃、サンプル温度200℃に設定し、1回の圧延加工にて、板厚4mmから1mmまでの加工を行い、加工後は水冷した。
試料12(3passes)の作製方法は以下のとおりである。
ロール温度250℃、サンプル温度20℃に設定し、板厚4mmから1mmずつ圧下させ3Passで1mm板材を作製し、加工後は水冷した。
試料10〜12それぞれに以下の方法で引張試験を行い、その結果を図8に示す。
平行部長さ24mm、幅4mm、板厚1mmを有する引張試験片をそれぞれの試料から放電加工により切り出し、室温にて初期ひずみ速度8.3×10-4−1にて試験した。圧延材は圧延方向と引張方向が平行となるように引張試験を行った。
図8に示すように、試料12(3passes)は400MPaの強度及び10%の伸びを有することが確認された。
図9は、試料10(as-cast)及び試料12(as rolled)それぞれのSEM組織である。白色領域はAlやCaリッチな箇所である。as-castの両図面とも、赤矢印箇所(粒界や粒内)にplate状の析出物が認められた。XRDではAlCa、AlCaおよびMn系化合物を同定した。
白色部は金属間化合物、灰色部分はMg相、その中間色は溶質元素箇所であるが、完全にマトリクスへの溶け込みが成されていない。しかしながら、高強度化できる組織である。
図9のas rolledに示すように、せん断帯の形成と組織の湾曲・屈曲および化合物の残存と化合物相とMg相がラメラ状に配列されている。圧延加工後はせん断変形が導入され、ラメラ組織+溶質仕切らなかった相がネットワーク状組織をMg相と組んでも良い。
図10(a)はAMX1001合金鋳造材(板厚4mm)の光学顕微鏡組織で有り、デンドライト状の粗大粒やデンドライトアームに沿ってAl-Ca化合物の形成および粒内にはAlリッチ相が確認できる。
図10(b)はロール温度250℃、サンプル温度200℃に設定し、1回の圧延加工にて1mm材を作製したが、1回の加工ではロールからの入熱が十分ではなく、未再結晶領域が残存していることが分かる。図中の白色にみえる部分はAlリッチな部分であり、黒色にみえる部分は金属間化合物相である。Mg相は再結晶組織と未再結晶組織が層状に形成され、それらが湾曲していることが分かる。
図10(c)はロール温度250℃、サンプル温度20℃に設定し、板厚4mmから1mmずつ圧下させ3Passで1mm板材を作製した際の結晶方位解析結果である。サンプル温度が20℃であってもパス回数を重ねることでサンプル温度が上昇し、サンプル内部で動的再結晶や回復が生じることで微細組織を形成することが出来ていた。しかしながら、図(c)中央部に粗大組織が残存しているが、せん断変形の残存が認められ、Mg相や金属間化合物相が塑性流動により変形していることが分かった。
図10によれば、未再結晶領域と再結晶領域は隣接し、また層状に交互に形成され、その間に金属化合物相が形成されていることが確認された。
図11はサンプル温度と圧延ロール温度に勾配を設け圧延した後のAMX1001合金(圧延前初期板厚4mm)、AZX311合金(圧延前初期板厚10 mm)、AZX611合金(圧延前初期板厚10 mm)の光学顕微鏡組織である。具体的にはサンプル温度が室温で、ロール表面温度が250℃である。いずれも、Ca及びAlのリッチ層及び鋳造時に形成されたAl-Ca金属間化合物が塑性加工により微細に粉砕され、Mg相とラメラ状に配列されているが、特にMg相の湾曲や屈曲及び微細粒領域(再結晶領域))と粗大粒領域(未再結晶流領域)から形成されており、圧延加工によるせん断変形の残存が確認できる。
図11に示すように、1回の圧下率が低い場合、組織は湾曲・屈曲・キンクを形成し易く、双晶化合物・空隙などを含むことが確認された。
11 マグネシウム合金鋳造材
12,13 圧延ロール
14,15,16 矢印
17,18 ヒータ
19,20 バックアップロール

Claims (9)

  1. マグネシウム合金鋳造材をロールにより圧延する工程を有するマグネシウム合金の製造方法であり、
    前記ロールの温度をTrとし、前記マグネシウム合金鋳造材の温度をTmとし、Tr及びTmは下記(式1)〜(式3)を満たし、
    前記マグネシウム合金鋳造材は、AlをAmass%含有し、CaをCmass%含有し、Zmass%のZn及びMmass%のMnの少なくとも一を含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなり、A及びCは下記(式4)及び(式5)を満たし、Z及びMは下記(式6)及び(式7)を満たし、
    前記マグネシウム合金鋳造材の結晶粒径は1000μm以上であることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
    (式1)80℃≦Tr≦350℃
    (式2)15℃≦Tm≦300℃
    (式3)50℃≦Tr−Tm≦250℃
    (式4)3≦A≦15
    (式5)0.2≦C≦2
    (式6)0<Z≦2
    (式7)0<M≦2
  2. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金鋳造材は、Rmass%の希土類元素及びTmass%の遷移金属の少なくとも一を含有し、R及びTは下記(式及び(式9)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法
    式8)0<R≦1
    (式9)0<T≦1
  3. 請求項1において、
    前記圧延の工程後のマグネシウム合金は、Ca及びAlのリッチ層とMg相とがラメラ状に配列され、且つ前記Mg相にAl−Ca金属間化合物が分散された組織を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  4. 請求項1において、
    前記圧延する工程の圧下率は0.1%〜20%であり、
    前記圧延する工程を2回以上繰り返すことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  5. 請求項4において、
    Tr及びTmは下記(式11)及び(式12)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
    (式11)200℃≦Tr≦250℃
    (式12)15℃≦Tm≦45℃
  6. 請求項5において、
    前記2回以上繰り返す前記圧延する工程の工程間に前記マグネシウム合金鋳造材を加熱しないことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  7. 請求項1において、
    前記圧延の工程後のマグネシウム合金は、湾曲または屈曲したMg相、Mg相とラメラ状に形成されたCa及びAlのリッチ層、前記Mg相に分散されたAl−Ca金属間化合物層、及びそれらが連続的に湾曲または屈曲した結晶層の少なくとも1つを有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  8. 請求項1において、
    前記圧延の工程後のマグネシウム合金は、Mg相を有し、Mg相は高傾角結晶粒界及び低傾角結晶粒界を有しており、前記高傾角結晶粒界の量をXとし、前記低傾角結晶粒界の量をYとした場合に下記(式10)を満たすことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
    (式10)0.6≦X/(X+Y)
  9. 請求項1において、
    前記圧延する工程では、圧延後の前記マグネシウム合金鋳造材の圧延加工後の温度Tmが前記ロールの温度Trを超過しないことを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
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