JP2017208350A - 燃料電池の出力検査方法 - Google Patents

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Tadaaki Yamada
忠明 山田
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Ayumi Mizuno
あゆみ 水野
洋 下村
Hiroshi Shimomura
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Abstract

【課題】簡便でコストを低減することができる燃料電池の出力検査方法を提供する。【解決手段】検査対象の燃料電池に実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電しているときの電池性能を第2の電池性能として測定し、基準値と比較することにより検査対象の良否の判定を行う。基準値は、検査対象の燃料電池と同型の燃料電池に、実用時と同じ酸素含有量のガスを供給して発電したときに測定された電池性能としての第1の電池性能と、検査対象の燃料電池の第2の電池性能との測定結果に基づいた、第1の電池性能と第2の電池性能との相関関係における、同型の燃料電池の第1の電池性能の所定の値に対応する検査対象の燃料電池の第2の電池性能の値からなる。【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池の出力検査方法に関する。
石油資源が枯渇化する一方、化石燃料の消費による地球温暖化等の環境問題が深刻化しており、二酸化炭素の発生を伴わないクリーンな電動機用電力源として燃料電池が注目されて広範に開発されると共に、一部では実用化され始めている。前記燃料電池を自動車等に搭載する場合には、高電圧と大電流とが得やすいことから、固体高分子電解質膜を用いる固体高分子型燃料電池が好適に用いられる。
前記固体高分子型燃料電池として、プロトン伝導性を備える固体高分子電解質膜の両面に、1対の電極触媒層を備え、各電極触媒層の上に、ガス拡散層を積層すると共に、さらに各ガス拡散層の上に、ガス通路を兼ねたセパレータを積層したものが知られている。前記1対の電極触媒層は、白金等の触媒がカーボンブラック等の触媒担体に担持されイオン伝導性高分子バインダーにより一体化されることにより形成され、一方がカソード電極触媒層として作用し、他方がアノード電極触媒層として作用する。前記固体高分子型燃料電池は、前記構成を単セルとして複数の単セルを前記セパレータを介して相互に積層することによりスタックを構成することができる。
前記固体高分子型燃料電池では、前記アノード電極触媒層を燃料極として前記ガス拡散層を介して水素等の還元性ガスを導入すると共に、前記カソード電極触媒層を酸素極として前記ガス拡散層を介して空気等の酸素を含む酸化性ガスを導入する。このようにすると、前記アノード電極触媒層では、該電極触媒層に含まれる触媒の作用により、前記還元性ガスからプロトン及び電子が生成し、前記プロトンは前記固体高分子電解質膜を介して、前記酸素極側の電極触媒層に移動する。そして、前記プロトンは、前記カソード電極触媒層で、該電極触媒層に含まれる触媒の作用により、該酸素極に導入される前記酸化性ガス及び電子と反応して水を生成する。従って、前記アノード電極触媒層とカソード電極触媒層とを導線により接続することにより、該アノード電極触媒層で生成した電子を該カソード電極触媒層に送る回路が形成され、電流を取り出すことができる。
前記固体高分子型燃料電池は、工場出荷時に所定の検査を行うことにより、その異常の有無が判定される(例えば、特許文献1参照)。
前記検査は、発電したときに所定の電流値に対し、基準値以上の出力又は電圧が得られるか否かで異常の有無を判定している。
特開2011−28965号公報
しかしながら、前記のようにして検査するときには、電流値が大きくなるほどアノード電極触媒層に導入する水素の量が増大する上、大きい電流値に耐えうる検査装置が必要となるので、検査に要するコストが増大するという不都合がある。
そこで、本発明は、かかる不都合を解消して、簡便でコストを低減することができる燃料電池の出力検査方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池の出力検査方法は、燃料電池の出力を検査する方法であって、検査対象の燃料電池に実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電を行っているときの前記検査対象の燃料電池の電池性能を第2の電池性能として測定する工程と、前記検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能と、基準値、とを比較することにより前記検査対象の燃料電池の良否の判定を行う工程と、を有することを特徴とする。
本発明の燃料電池の出力検査方法において、前記基準値は、前記検査対象の燃料電池と同型の燃料電池に実用時と同じ酸素含有量のガスを供給して発電したときに測定された電池性能としての第1の電池性能と前記検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能との測定結果に基づいた前記第1の電池性能と前記第2の電池性能との相関関係における同型の燃料電池の前記第1の電池性能の所定の値に対応する検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能の値からなることが好ましい。
本発明の燃料電池の出力検査方法において、前記検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能の測定は、前記検査対象の燃料電池の電流を上昇または下降させて行う工程を有することが好ましい。
本発明の燃料電池の出力検査方法において、前記検査対象の燃料電池が電極触媒を有し、電流を上昇値に上昇させて電位が電極触媒の還元領域に入った後に前記検査対象の燃料電池の電池性能を測定することが好ましい。
燃料電池の構成例を示す模式的断面図。 本発明の第1の実施形態の検査方法を示すグラフ。 本発明の第1の実施形態に係る電圧E1と電圧E2との相関関係を示すグラフ。 燃料電池の電圧と過電圧との関係を示すグラフ。 本発明の第2の実施形態の検査方法を示すグラフ。 電流−電圧曲線における傾きと切片との測定結果を示すグラフ。 定格電流I1より小さい電流I2における実測電圧E2と、定格電流I1における予測電圧Eとの関係を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示す燃料電池1は、固体高分子型燃料電池であり、プロトン伝導性を備える固体高分子電解質膜2の両面に、1対の電極触媒層3a,3bを備え、各電極触媒層3a,3bの上に、ガス拡散層4a,4b、ガス通路を兼ねたセパレータ5a,5bが積層された構成を単セルとしている。燃料電池1は、例えば、電極触媒層3aをアノードとしてセパレータ5aからガス拡散層4aを介して水素等の還元性ガスを導入すると共に、電極触媒層3bをカソードとしてセパレータ5bからガス拡散層4bを介して空気等の酸素を含む酸化性ガスを導入することにより発電を行う。
また、燃料電池1は、セパレータ5a,5bを介して複数の前記単セルが積層されることにより、燃料電池スタックを構成する。
次に、本実施形態における燃料電池1の出力検査方法について説明する。前記出力検査方法は、燃料電池1の工場出荷時等にその良否を判定するために行われる。
本実施形態の燃料電池1の出力検査方法の第1の態様では、まず、複数の燃料電池1について、電極触媒層3a,3bに実用時と同一量の水素及び酸素含有ガスを供給して発電を行う。前記酸素含有ガスとしては、例えば空気を用いることができる。このときの燃料電池1の電流と電圧との関係を、図2(a)に示す。そして、定格電流I1における電圧E1を測定する。
次に、複数の燃料電池1について、電極触媒層3aに実用時と同一量の水素を供給する一方、電極触媒層3bには実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電を行う。前記酸素含有量を低減させたガスとしては、例えば空気を窒素により希釈したガスを用いることができる。このときの燃料電池1の電流と電圧との関係を、図2(b)に示す。そして、定格電流I1より小さい電流I2における電圧E2を測定する。
このとき、電圧E1と電圧E2との間には図3に示すように正の相関関係があり、複数の燃料電池1について、電圧E1と電圧E2とを求めることにより、次式(1)のような関係式を求めることができる。
1=aE2+b (a,bは定数) …(1)。
そこで、定格電流I1における所定の電圧E1に対応する電圧E2を基準値ESとする。
次に、検査対象の燃料電池1について、電極触媒層3aに実用時と同一量の水素を供給する一方、電極触媒層3bには実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電を行い、電流I2における電圧E2を測定する。そして、検査対象の燃料電池1について測定された電圧Eを基準値Eと比較し、E2≧ESであれば、該検査対象の燃料電池1を良品と判定する。また、E2<ESであれば、前記検査対象の燃料電池1を不良品と判定する。
次に、本実施形態の燃料電池1の出力検査方法の第2の態様では、まず、複数の燃料電池1について、電極触媒層3a,3bに実用時と同一量の水素及び酸素含有ガスを供給して発電を行い、定格電流I1における出力P1を測定する。前記酸素含有ガスとしては、例えば空気を用いることができる。
次に、複数の燃料電池1について、電極触媒層3aに実用時と同一量の水素を供給する一方、電極触媒層3bには実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電を行い、定格電流I1より低い電流I2における電圧E2を測定する。前記酸素含有量を低減させたガスとしては、例えば空気を窒素により希釈したガスを用いることができる。
次に、電圧E2を用いて、電流I2における濃度過電圧ηconcを求める。一般に燃料電池における電圧E2は、理論電圧E0から過電圧ηを減じた値であり、次式(2)で表される。
=E−η …(2)。
また、燃料電池には、抵抗過電圧ηohm、活性化過電圧ηact、濃度過電圧ηconcの3種の過電圧が存在することが知られており、前記式(2)は次式(3)のように表すことができる。
2=E0−ηohm−ηact−ηconc …(3)。
そして、濃度過電圧ηconcは、前記式(3)を変形することにより、次式(4)のように表すことができる。
ηconc=E0−ηohm−ηact−E2 …(4)。
理論電圧E0、電圧E2、抵抗過電圧ηohm、活性化過電圧ηact、濃度過電圧ηconcの関係を図4に示す。
ここで、抵抗過電圧ηohmは、燃料電池1のインピーダンスを測定して抵抗Rを求めることで、オームの法則により求めることができ、式(5)のように表される。
ηohm=I2×R …(5)。
また、活性化過電圧ηactは、濃度過電圧ηconcの影響の少ない小電流域では、燃料電池1の電圧E2から近似的に算出することができるので、該小電流域で複数の電流値に対する電圧E2を測定すれば、ターフェルの式(6)により近似的に求めることができる。
ηact≒E−ηohm−E2=c・logI2+d (c,dは定数) …(6)。
そこで、電流I2における電圧E2を測定すれば、濃度過電圧ηconcは理論電圧E0、式(4)、(5)、(6)から算出することができる。
複数の燃料電池1について、定格電流I1で測定した出力P1と、上述のようにして電流I2で算出された濃度過電圧ηconcとの例を図5に示す。図5から、出力P1と、濃度過電圧ηconcとの間には負の相関関係があることが明らかである。そこで、図5に示すように、定格電流I1における所定の出力P1に対応する濃度過電圧ηconcを基準値ηSとする。
次に、検査対象の燃料電池1について、電極触媒層3aに実用時と同一量の水素を供給する一方、電極触媒層3bには実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電を行い、電流I2における電圧E2を測定すると共に、電圧E2に対応する濃度過電圧ηconcを算出する。そして、検査対象の燃料電池1について算出された濃度過電圧ηconcを基準値ηと比較し、ηconc≦ηSであれば、該検査対象の燃料電池1を良品と判定する。また、ηconc>ηSであれば、前記検査対象の燃料電池1を不良品と判定する。
前記活性化過電圧ηactをターフェルの式(6)により近似的に求める際に、前記小電流域での複数の電流値に対する電圧E2の測定は、電流を上昇又は下降させながら行うことができるが、電流を一旦上限値まで上昇させた後、下降させながら行うことが好ましい。これは、電流を上昇させながら電圧E2の測定を行うと電極触媒が酸化されて被膜により被覆されて測定値のバラツキが大きくなるのに対し、電流を一旦上限値まで上昇させると電位が還元領域に入るため、その後に電流を下降させながら電圧Eの測定を行うと測定値のバラツキが小さくなることによる。
電流を上昇させながら複数の電流値に対する電圧E2を測定して、電流電圧曲線における傾きと切片とを求める操作を繰り返したときの結果と、電流を一旦上限値まで上昇させた後、下降させながら複数の電流値に対する電圧E2を測定して、電流電圧曲線における傾きと切片とを求める操作を繰り返したときの結果とにおいて、ターフェルの式の傾き(式(6)の定数c)を比較したものを図6(a)に示す。また、ターフェルの式の切片(式(6)の定数d)を比較したものを図6(b)に示す。
図6(a)及び図6(b)から、電流を一旦上限値まで上昇させた後、下降させながら電圧E2を測定することにより、測定値のバラツキが小さくなることが明らかである。
また、電流I2における濃度過電圧ηconcは、次のようにして求めることもできる。
まず、電極触媒層3a,3bに濃度過電圧ηconcを無視できる量の水素及び酸素含有ガスを供給し、濃度過電圧ηconcを無視できる電流を供給して発電を行い、このときの電圧V1を測定する。このときには、十分な量の酸素が存在するので、濃度過電圧ηconcは発生しない。
次に、電極触媒層3bに対する酸素含有ガスの供給を停止し、そのまま発電を継続する。このようにすると、電極触媒層3b内の酸素が発電により消費され、電極触媒層3b内の酸素量が次第に低下する。
そこで、電極触媒層3b内の酸素濃度を継続的に測定し、濃度過電圧ηconcが発生する所定の酸素濃度まで低下したときに、電流I2における電圧V2を測定する。この結果、電圧V1と電圧V2との差として電流I2における濃度過電圧ηconcを求めることができる(式(7))。
ηconc=V1−V2 …(7)。
また、本実施形態における燃料電池1の出力検査方法では、電極触媒層3a,3bの相対湿度を90%以上として電圧の測定を行うことが好ましい。このようにすることにより、電流I2において実測された電圧E2と、定格電流I1において予測される電圧Eとの間で、高い相関性を得ることができる。
電極触媒層3a,3bの相対湿度を80%としたときの電流I2における実測電圧E2と、定格電流I1にける予測電圧Eとの関係を図7(a)に、相対湿度を90%以上(例えば100%)としたときの電流I2における実測電圧E2と、定格電流I1にける予測電圧Eとの関係を図7(b)に、それぞれ示す。R2は、回帰直線の決定係数である。
図7(a)及び図7(b)から、電極触媒層3a,3bの相対湿度を80%としたときでも電流I2における実測電圧E2と、定格電流I1における予測電圧Eとの間には相関性が見られるものの、相対湿度を90%以上とすると、より高い相関性を得ることができることが明らかである。
1…燃料電池、2…固体高分子電解質膜、3a,3b…電極触媒層、4a,4b…ガス拡散層、5a,5b…セパレータ。

Claims (4)

  1. 燃料電池の出力を検査する方法であって、
    検査対象の燃料電池に実用時の酸素含有ガスよりも酸素含有量を低減させたガスを供給して発電を行っているときの前記検査対象の燃料電池の電池性能を第2の電池性能として測定する工程と、
    前記検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能と、基準値、とを比較することにより前記検査対象の燃料電池の良否の判定を行う工程と、を有することを特徴とする燃料電池の出力検査方法。
  2. 前記基準値は、前記検査対象の燃料電池と同型の燃料電池に実用時と同じ酸素含有量のガスを供給して発電したときに測定された電池性能としての第1の電池性能と前記検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能との測定結果に基づいた前記第1の電池性能と前記第2の電池性能との相関関係における同型の燃料電池の前記第1の電池性能の所定の値に対応する検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能の値からなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の出力検査方法。
  3. 前記検査対象の燃料電池の前記第2の電池性能の測定は、前記検査対象の燃料電池の電流を上昇または下降させて行う工程を有することを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池の出力検査方法。
  4. 前記検査対象の燃料電池が電極触媒を有し、電流を上昇値に上昇させて電位が電極触媒の還元領域に入った後に前記検査対象の燃料電池の電池性能を測定することを特徴とする請求項3記載の燃料電池の出力検査方法。
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