JP2016024136A - 燃料電池の評価方法及び評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検用燃料電池の構造に手を加えることなく、該被検用燃料電池の性能を簡便に評価し得る方法及び装置を提供すること。【解決手段】被検用燃料電池単セル40に、該セルの構成と同様の構成を有し、かつ参照電極28を具備した参照用燃料電池単セル20を並列に接続する。被検用燃料電池単セル40及び参照用燃料電池単セル20を同時に運転した状態下に、参照電極28の電位を基準として、アノード42及び/又はカソード43について電気化学計測を行い、その測定結果に基づき被検用燃料電池単セル40の性能を評価する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の性能を評価する方法及び評価装置に関する。
燃料電池は、単セルを複数直列した構造のスタック体として用いられることが多い。したがって、スタック体を長期にわたり安定的に運転するためには、該スタック体を構成する個々の単セルが均一な性能を有していることが要求される。この場合、スタック体を解体することなく非破壊的に個々の単セルについての性能を評価できると、工場からの出荷時の品質検査や、実使用時の定期的なメンテナンスに極めて有利である。
ところで燃料電池は、その発電原理上の理由から又はその構造上の理由から、種々の電圧損失を発生させる。しかし、燃料電池から取り出される出力電圧を測定するのみでは、電圧損失が燃料電池のどの部分に起因しているのか、あるいは個々の電圧損失の寄与がどの程度であるかを特定できず、製造後、実運転前の検査や、経時的な劣化の検査のための充分な情報が得られない。例えば、出力電圧を測定するのみでは電圧損失がカソード側で発生したものなのか、それともアノード側で発生したものなのか区別できないので、燃料電池の性能の評価、並びに品質管理等に限界を生じさせる。
そこで特許文献1においては、燃料電池におけるカソードをカソード本電極及びカソード分割電極に分割するとともに、アノードをアノード本電極及びアノード分割電極に分割しておき、カソード本電極とアノード本電極の間に電流負荷を与え、その状態で、カソード本電極と、カソード分割電極又はアノード分割電極との間に発生する交流電圧成分に基づいて、カソード側の膜抵抗を計測するインピーダンス計測方法が提案されている。この方法によれば、燃料電池の膜抵抗をカソード側及びアノード側に分離して計測できると、同文献には記載されている。
特開2009−68902号公報
しかし特許文献1に記載の計測方法は、被検用燃料電池が、本電極に加えて分割電極を備えることを必須のものとすることから、この方法を商業的に用いる燃料電池に適用することは経済的に有利とは言えない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る燃料電池の評価方法及び評価装置を提供することにある。
本発明は、被検用燃料電池単セルに、該被検用燃料電池単セルの構成と同様の構成を有し、かつ参照電極を具備した参照用燃料電池単セルを並列に接続し、
前記被検用燃料電池単セル及び前記参照用燃料電池単セルそれぞれに燃料ガス及び酸化剤ガスを供給した状態下に、前記参照電極の電位を基準として、アノード及び/又はカソードについて電気化学計測を行い、その測定結果に基づき前記被検用燃料電池単セルの性能を評価する燃料電池の評価方法を提供するものである。
また本発明は、被検用燃料電池単セルの性能の評価装置であって、
前記被検用燃料電池単セルの構成と同様の構成を有し、かつ参照電極を具備した参照用燃料電池単セルと、電気化学計測装置とを有し、
前記参照用燃料電池単セルは、前記被検用燃料電池単セルと並列接続可能になっており、これらのセルのアノード及びカソード並びに該参照用燃料電池単セルの前記参照電極が前記電気化学計測装置に接続された状態下において、該参照電極の電位を基準として、該アノード及び/又は該カソードについて電気化学計測を行うようにした、被検用燃料電池単セルの性能の評価装置を提供するものである。
本発明によれば、被検用燃料電池の構造に手を加えることなく、参照用燃料電池単セルを接続して電気化学的計測を行うだけの操作及び装置で、該被検用燃料電池の性能を簡便に評価することができる。
図1は、本発明の燃料電池の評価方法に好適に用いられる評価装置を表す概略図である。 図2は、図1に示す評価装置における参照用燃料電池単セルの構造を模式的に示す分解斜視図である。 図3は、図1に示す評価装置と被検用電気化学単セルとを電気的に接続した状態を示す模式図である。 図4は、図1に示す評価装置を用いて燃料電池スタックにおける個々の単セルの評価を行う状態を示す模式図である。 図5(a)及び(b)は、実施例1において交流インピーダンス法を用いた被検用セルの測定結果を示すコール・コール・プロットである。 図6は、実施例1において直流法を用いた被検用セルの電流−電位及び電流−出力特性の測定結果を示すグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の評価方法に好適に用いられる評価装置の概略図が示されている。同図に示す評価装置10は、被検用燃料電池単セル(以下、「被検用セル」と略称することもある。)40の性能を評価するために用いられるものである。本明細書に言う「被検用燃料電池単セルの性能」とは、例えば該単セルを使用する前の状態での良否や、該単セルを運転している間における経時変化などを広く包含する。評価装置10は、参照用燃料電池単セル(以下、「参照用セル」と略称することもある。)20と、電気化学計測装置30とを備えている。参照用セル20は、被検用セル40の構成と同様の構成を有するものである(ただし、後述するとおり、参照電極28が参照用セル20に設けられていることは除く。)。「同様の構成」とは、セルを構成する基本部材であるアノード、カソード及び電解質が同じ材質であることを意味し、寸法や構造までが完全同一であることは要求されない。尤も、参照用セル20の寸法や構造が、被検用セル40の寸法や構造に近づくほど、本発明による評価の精度が一層向上するので好ましい。本明細書において単セルとは、アノード、カソード及び電解質を含む、燃料電池の最小構成単位のことを言う。
図2には、図1に示す評価装置10における参照用セル20が示されている。同図に示す参照用セル20は、燃料電池の一例としての固体高分子形燃料電池(以下「PEFC」とも言う。)用の単セルに係るものであり、高分子から構成される電解質膜21を有している。電解質膜21の各面にはアノード22(図1参照)及びカソード23が配置されている。本明細書においてアノードとは、燃料電池の運転時に、電極反応によって酸化が行われる、すなわち電子の放出が起こる電極のことを意味する。一方、カソードとは、燃料電池の運転時に、電極反応によって還元が行われる、すなわち電子の受け取りが起こる電極のことを意味する。
アノード22及びカソード23を構成する材料は燃料電池の種類に応じて適切なものが用いられる。参照用セル20が例えばPEFCである場合、アノード22及びカソード23はいずれも、カーボンペーパー等の導電性多孔質部材に白金等の貴金属電極触媒を担持させたガス拡散層から構成することができる。電解質膜21としては、プロトン伝導性を有する高分子材料を用いることが好ましく、例えばフッ素化されたポリエチレン骨格にスルホン酸基が導入された高分子を用いることができる。参照用セル20において、電解質膜21並びにアノード22及びカソード23は、一般には、電解質膜21の各面にアノード22及びカソード23が一体的に配置固定された膜電極接合体(以下「MEA」とも言う。)24の形態で用いられる。
図2に示すとおり、MEA24は一対のセパレータ25a,25cによって挟持される。各セパレータ25a,25cはいずれも導電性材料から構成されている。また、各セパレータ25a,25cにはガスの流通路(図示せず)が設けられている、MEA24におけるアノード22に対向するセパレータ25aには、水素を始めとする各種の燃料ガスが供給されるようになっている。一方、カソード23に対向するセパレータ25cには、酸素や空気を始めとする酸化剤ガスが供給されるようになっている。各セパレータ25a,25c供給されたガスは、それらに形成されたガス流路(図示せず)に案内されて、アノード22及びカソード23にそれぞれ達し、電極反応が生じるようになっている。なお図示していないが、MEA24をセパレータ25a,25cで挟持した状態においては、セパレータ25a,25cを通じてMEA24に供給された燃料ガス及び酸化剤ガスが漏れ出さないようにするために、両セパレータ25a,25c間に気密性のガスケットを配置している。
各セパレータ25a,25cの外面には、集電体26a,26cがそれぞれ配置されている。集電体26a,26cは導電性材料から構成されている。各集電体26a,26cは、各セパレータ25a,25cと電気的に導通している。集電体26a,26cの外面には面状ヒータ27が配置されている。面状ヒータ27は、参照用セル20の運転時に該セル20を動作温度まで加熱し、その温度を維持するために用いられる。なお図2においてはカソード23側の集電体26cの外面にのみ面状ヒータ27が配置されている状態が示されているが、面状ヒータ27の配置形態はこれに限られず、カソード23側の集電体26cに代えて、アノード22側の集電体26aに面状ヒータ27を配置してもよく、あるいは両方の集電体26a,26cに面状ヒータ27を配置してもよい。アノード22及びカソード23は、集電体26a,26cを介して、後述する被検用セル40のアノード42及びカソード43と並列接続可能な構造になっている。
参照用セル20は、上述の構成を有することに加えて、参照電極28を備えている。参照電極28は、被検用セル40のアノード及び/又はカソードにおける電極電位の測定時に、電位の基準点を与える電極である。参照電極28は、その使用目的上、電極反応が可逆であることや、電極電位が測定中に変動をしないことや、電流が流れたとしても電極電位が大きく変動しないことなどが要求される。そのような要求を満たす電極であれば、当該技術分野において知られているものを特に制限なく用いることができる。参照用セル20が例えばPEFCである場合、参照電極28としては、ダイナミック水素電極(以下「DHE」とも言う。)を用いることが簡便である。本実施形態で採用可能なDHEの形態としては、例えばMEA24のうち、アノード22及びカソード23が配置されていない、電解質膜21のみからなる周縁域24aに、白金からなる電極を配置した形態が挙げられる。参照電極28は、MEA24におけるアノード22側の面に配置してもよく、カソード22の側の面に配置してもよい。あるいはMEA24におけるアノード22側及びカソードが23側の各面にそれぞれ配置してもよい。
図1に戻ると、本実施形態の評価装置10は、上述した参照用セル20に加えて、電気化学計測装置30を備えている。電気化学計測装置30は、計測内容に応じて種々の構成を採用することができる。例えば電気化学計測として、インピーダンス測定を行う場合には、電気化学計測装置30を、ポテンシオスタット/ガルバノスタット(PS/GS)31、ファンクションジェネレータ(FG)32及び周波数特性分析器(FRA)33を組み合わせた構成とすることができる。そして、これら各機器をパーソナルコンピュータ(PC)34から制御するようにすることが簡便である。特に電気化学計測装置30は、被検用セル40に直流電流に交流電流を重畳した電流負荷を与えられるようになっており、交流インピーダンス法によってインピーダンス測定を行える構成になっていることが、より精度の高い評価を行い得る点から好ましい。先に述べた参照用セル20を、電気化学計測装置30に対して着脱自在に構成すると、評価装置10のメンテナンス時に参照用セル20を新しいものに取り替えることや、被検用セル40の種類に応じた参照用セル20を用いるために該参照用セル20を取り替えることを容易に行えるので有利である。
本発明において評価の対象となる被検用セル40は、図1に示すとおり、電解質膜41と、電解質膜41の各面に配置されたアノード42及びカソード43とを有している。上述した参照用セル20は、この被検用セル40の構成と同様の構成を有している。したがって、被検用セル40がPEFCである場合、参照用セル20もPEFCからなる。その場合、被検用セル40の電解質膜41と参照用セル20の電解質膜21とは同種の材質のものからなる。同様に、被検用セル40のアノード42及びカソード43と、参照用セル20のアノード22及びカソード23とは同種の材質のものからなる。これらの材質が同じである限り、被検用セル40は、実使用前の状態のものであってもよく、あるいは所定期間にわたって使用された状態のものであってもよい。また、被検用セル40と参照用セル20とで、セルの寸法や形状等の外形的な諸元が相違していることは許容される。更に、被検用セル40と参照用セル20とで、電解質膜、アノード及びカソード以外の部材が相違していることも許容される。被検用セル40における電解質膜41、アノード42及びカソード43の詳細については、参照用セル20に関して上述した説明が適宜適用される。
本実施形態の評価装置10と、被検用セル40とは、図1に示すとおりに電気的に接続される。詳細には、被検用セル40と、評価装置10の参照用セル20とを並列に接続する。「並列に接続する」とは、被検用セル40のアノード42と参照用セル20のアノード22とを接続し、かつ被検用セル40のカソード43と、参照用セル20のカソード23とを接続することを言う。また参照用セル20の参照電極28を、電気化学計測装置30における参照極端子RE(図示せず)に接続する。そして、被検用セル40のアノード42についての電気化学計測を行う場合には、アノード42を電気化学計測装置30における作用極端子WE(図示せず)に接続するとともに、カソード43を電気化学計測装置30における対極端子CE(図示せず)に接続する。一方、被検用セル40のカソード43についての電気化学計測を行う場合には、カソード43を電気化学計測装置30における作用電極端子WE(図示せず)に接続するとともに、アノード42を電気化学計測装置30における対極端子CE(図示せず)に接続する。この接続状態下に、被検用セル40及び参照用セル20のそれぞれに同種の燃料ガス及び酸化剤ガスを供給する。なお、評価に際して、被検用セル40及び参照用セル20は、これらに同種の燃料ガス及び酸化剤ガスを供給し、これらのセルを運転した状態にしてもよく、あるいは開回路状態にしておいてもよい。
以上のように評価装置10と被検用セル40とを接続した状態の模式図を図3に示す。同図から明らかなように、本実施形態の評価装置10と被検用セル40を接続した状態では、被検用セル40のアノード42及びカソード43のインピーダンスZ及びZと、参照用セル20のアノード22及びカソード23のインピーダンスZ及びZとでホイートストンブリッジを構成している。このとき、Z:Z=Z:Zであれば、Rの位置での電位と、R’の位置での電位は同じになる。上述のとおり、参照用セル20は、被検用セル40の構成と同様の構成を有しているから、理論的にはZ:Z=Z:Zの関係が成立する。この状態が成立する場合には、被検用セル40が参照電極を備えていなくても、参照用セル20に備えられた参照電極28を基準として、符号Aで示す位置及び/又は符号Cで示す位置での電位を測定することができる。そして、参照電極28を基準として、各種手法の電気化学計測器により位置Aでの電位を測定し、その結果を分析することで、被検用セル40におけるアノード42の特性が得られる。また、参照電極28を基準として、各種手法の電気化学計測器により位置Cでの電位を測定し、その結果を分析することで、被検用セル40におけるカソード43の特性が得られる。
例えば、被検用セル40及び参照用セル20としてPEFCを用い、参照用セル20のアノード22側に参照電極28としてDHEを設置した場合、交流インピーダンス法によって、被検用セル40のアノード42及びカソード43それぞれについてインピーダンス測定を行うことができ、得られたインピーダンスの値に基づき被検用セル40の性能を評価することができる。具体的には、アノード42のインピーダンスZ及び/又はカソード43のインピーダンスZについてコール・コール・プロットを作成し、その円弧の形状からアノード42及び/又はカソード43の特性を評価することができる。また、被検用セル40の等価回路はアノード42とカソード43との直列接続であるから、アノード42のインピーダンスZとカソード43のインピーダンスZとの和であるZ+Zは被検用セル40のインピーダンスとなる。そして、被検用セル40のインピーダンスについてコール・コール・プロットを作成し、その円弧の形状から被検用セル40全体としての特性を評価することもできる。
以上は、電気化学計測として交流インピーダンス法を用いた場合の例であるが、本発明ではこれ以外の電気化学計測法を採用しても差し支えない。例えば交流インピーダンス法に代えて直流法を採用することができる。
本実施形態の評価装置は、単一の被検用セル40の評価に用いることができる他、図4に示すとおり複数の被検用セルが複数接続された燃料電池スタック50における個々の被検用セル40の評価に用いることもできる。本実施形態の評価装置を用いれば、燃料電池スタック50を分解することなく、これを構成する個々の被検用セル40の性能を非破壊的に評価することができるという利点がある。したがって本実施形態の評価装置は、燃料電池スタック50を工場から出荷するときの品質検査、つまり実使用前の状態での評価や、燃料電池スタック50の実使用時の定期的なメンテナンス、つまり所定期間にわたって使用された状態の評価に極めて有利である。要するに、実使用前での良否の判定のみならず、実使用中の経時変化、すなわち途中経過のモニタリングも可能であり、極めて有用性の高いものである。
本実施形態の評価装置を用いて燃料電池スタック50中の個々の被検用セル40の評価を行う場合には、例えば燃料電池スタック50を収容するハウジング(図示せず)に設けられたサービス用ウインドゥ(図示せず)を介して、評価装置10における参照用セル20のアノード側の集電板26a及びカソード側の集電板26cからそれぞれ引き出されたケーブル29a及び29cを、被検用セル40のアノード42及びカソード43それぞれに設けられた端子(図示せず)に接続する。燃料電池スタック50のアノード50a及びカソード50cは、例えば該燃料電池スタック50に定電流を流す場合には、電気化学計測装置としての第1のガルバノスタット(図示せず)に接続しておく。これとともに、参照用セル20のアノード側の集電板26a及びカソード側の集電板26cからそれぞれ引き出されたケーブル20a及び20cを、電気化学計測装置としての第2のガルバノスタット(図示せず)に接続しておく。更に、参照用セル20の参照電極から引き出されたケーブル20rを第2のガルバノスタットに接続しておく。第2のガルバノスタットは、第1のガルバノスタットと連動して動作するものである。詳細には、第2のガルバノスタットは、第1のガルバノスタットによって制御された、燃料電池スタック50に流れる電流を監視し、燃料電池スタック50に流れる電流と同じ値の電流が参照用セル20に流れるように、参照用セル20に流れる電流を制御するものである。
以上の接続状態下に、燃料電池スタック50及び参照用セル20に燃料ガス及び酸化剤ガスを供給する。そして、発電状態が安定してから被検用セル40について上述のとおりの電気化学計測を行う。この操作を燃料電池スタック50に備えられた被検用セル40の全数又は所定の個数について行う。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図1ないし図4に示す実施形態は、本発明を、主として固体高分子形燃料電池に適用した場合のものであったが、本発明の評価の対象となる燃料電池は固体高分子形燃料電池に限られず、他のタイプの燃料電池にも同様に適用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
(1)参照用セルの製造
以下の説明において、「Nafion」はDuPont社の登録商標である。電解質膜であるNafion117(5cm×5cm、DuPont社)を0.5moldm−3のHSO水溶液中で1時間煮沸し、続いて蒸留水中で1時間煮沸を2回行った。
この操作とは別に、45.7%白金担持カーボン(Pt/C、田中貴金属工業、TEC 10E50E)に、Milli−Q水を2、3滴加え、約5分間ボールミルで攪拌混合した。これにアルコール水溶液(メタノール(WAKO特級):2−プロパノール(WAKO特級):Milli−Q水=1:1:1(質量比))を加えた。その後、質量比(固形分:Nafion)=6:1となるように5%Nafion117溶液(WAKO)を加えて一昼夜ボールミルで分散混合し、Pt/C電極触媒散布液とした。これを、撥水処理済みカーボンペーパー(2.3×2.3cm、東レ、TGP−H060)に塗布した。
このカーボンペーパーを、上述の前処理をしたNafion117膜の両面に、該カーボンペーパーの触媒面が、Nafion117膜に接するように挟んだ。このとき、Nafion117膜に、触媒散布液を1.5μl滴下した。
次いで、加熱加圧成形器(東洋マテリアル、WHP−2−150)を用いてホットプレス(140℃、4.5kN、10分間)を行い、MEAを得た。
このMEAを、参照電極としてDHEを備えた単セル(ElectroChem社のE3156)に組み込んだ。DHEはNafion117膜におけるアノード側に配置した。DHEは白金ワイヤからなるものであった。
(2)被検用セルの製造
前記の(1)の参照用セルの製造において、DHEを配しなかった以外は参照用セルの製造と同様にして、被検用セルを製造した。
(3)電気化学計測
被検用セル及び参照用セルを、図3に示すとおりに電気的に接続し、かつ各セルのアノード及びカソードに加湿水素ガス(純度99.99%)及び加湿酸素ガス(純度99.5%)を供給し、運転を開始した。供給量は水素及び酸素のいずれも50cm/minとした。またセルの温度を40℃に保った。
インピーダンスアナライザ(NF CorporationのAS−510−4)を用い、交流インピーダンス法によってインピーダンスを測定した。このインピーダンスアナライザは、アノードとDHE間の電位、カソードとDHE間の電位、及びアノードとカソード間の電位を同時に測定できる機器である。このインピーダンスアナライザをガルバノスタティック・モードで操作し、周波数レンジ100kHzから0.1Hzの間でインピーダンス測定を行った。測定は1ディケード当たり10点とした。
以上のインピーダンス測定を、被検用セルの運転開始時、及び20時間の連続電位掃引後に行った。その結果を以下の図5(a)及び(b)並びに図6に示す。図5(a)及び(b)は、交流インピーダンス法の測定結果であり、図6は直流法によるインピーダンスの測定結果である。なお連続電位掃引は、DHEを基準とする電位規制法で行い、カソードの電位が0.06−1.2Vの範囲内で掃引を行った。掃引速度は10mV/sとした。
(4)結果
図5(a)と図5(b)との対比から明らかなとおり、20時間の連続電位掃引後のコール・コール・プロットは、カソードに関しては大きな変化が観察されない。これに対し、アノードに関しては半円弧の直径が大きくなっている。このことは、被検用セルを長時間にわたり運転することによってセルの劣化が生じていることを意味している。このように、コール・コール・プロットにおける半円弧の大きさを比較することで、被検用セルにおけるアノード及び/又はカソードの劣化の程度を定量的に評価することができる。
また、図6に示す結果から明らかなとおり、カソードに関しては20時間の連続電位掃引後でも電流密度に大きな変化は観察されないのに対して、アノードに関しては電流密度の低下が観察される。また、セル全体での出力密度の低下も観察される。これらのことから、直流法によっても、被検用セルにおけるアノード及び/又はカソードの劣化の程度を定量的に評価できることが判る。
10 評価装置
20 参照用燃料電池単セル
21 電解質膜
22 アノード
23 カソード
24 膜電極接合体
25a,25c セパレータ
26 集電体
27 面状ヒータ
28 参照電極
30 電気化学計測装置
31 ポテンシオスタット/ガルバノスタット
32 ファンクションジェネレータ
33 周波数特性分析器
34 パーソナルコンピュータ
40 被検用燃料電池単セル
41 電解質膜
42 アノード
43 カソード
50 燃料電池スタック

Claims (13)

  1. 被検用燃料電池単セルに、該被検用燃料電池単セルの構成と同様の構成を有し、かつ参照電極を具備した参照用燃料電池単セルを並列に接続し、
    前記被検用燃料電池単セル及び前記参照用燃料電池単セルそれぞれに燃料ガス及び酸化剤ガスを供給した状態下に、前記参照電極の電位を基準として、アノード及び/又はカソードについて電気化学計測を行い、その測定結果に基づき前記被検用燃料電池単セルの性能を評価する燃料電池の評価方法。
  2. 前記アノード及び/又は前記カソードについてインピーダンス測定を行い、得られたインピーダンスの値に基づき前記被検用燃料電池単セルの性能を評価する請求項1に記載の評価方法。
  3. 交流インピーダンス法によってインピーダンス測定を行う請求項2に記載の評価方法。
  4. 前記被検用燃料電池単セルが実使用前の状態のものであるか、又は所定期間にわたって使用された状態のものである請求項1ないし3のいずれか一項に記載の評価方法。
  5. 前記被検用燃料電池単セルが複数接続された燃料電池スタックにおける個々の被検用燃料電池単セルについて前記電気化学計測を行う請求項1ないし4のいずれか一項に記載の評価方法。
  6. 前記被検用燃料電池単セルが参照電極を具備しないものである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の評価方法。
  7. 被検用燃料電池単セルの性能の評価装置であって、
    前記被検用燃料電池単セルの構成と同様の構成を有し、かつ参照電極を具備した参照用燃料電池単セルと、電気化学計測装置とを有し、
    前記参照用燃料電池単セルは、前記被検用燃料電池単セルと並列接続可能になっており、これらのセルのアノード及びカソード並びに該参照用燃料電池単セルの前記参照電極が前記電気化学計測装置に接続された状態下において、該参照電極の電位を基準として、該アノード及び/又は該カソードについて電気化学計測を行うようにした、被検用燃料電池単セルの性能の評価装置。
  8. 前記電気化学計測装置が、前記アノード及び/又は前記カソードについてインピーダンス測定を行う装置である請求項7に記載の評価装置。
  9. 前記電気化学計測装置が、交流インピーダンス法によってインピーダンスを測定する装置である請求項8に記載の評価装置。
  10. 実使用前の状態、又は所定期間にわたって使用された状態の前記被検用燃料電池単セルの評価を行う装置である請求項7ないし9のいずれか一項に記載の評価装置。
  11. 前記被検用燃料電池単セルが複数接続された燃料電池スタックにおける個々の被検用燃料電池単セルについて前記電気化学計測を行う装置である請求項7ないし10のいずれか一項に記載の評価装置。
  12. 参照電極を具備しない前記被検用燃料電池単セルを評価する装置である請求項7ないし11のいずれか一項に記載の評価装置。
  13. 前記参照用燃料電池セルは、前記電気化学計測装置に対して着脱自在に構成されている請求項7ないし12のいずれか一項に記載の評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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